ゼオライトとキトサンとが化学的に結合された多孔性混成体の製造方法及びこれにより製造された多孔性混成体
本発明は、ゼオライトとキトサンとが化学的に結合された多孔性混成体の製造方法及びこれにより製造された多孔性混成体に関するものであって、より詳細には、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体をキトサンまたは連結化合物−キトサンと反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法及びこれにより製造された多孔性混成体、吸着剤及び浄水方法に関するものである。
【代表図】図1
【代表図】図1
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライトとキトサンとが化学的に結合された多孔性混成体の製造方法及びこれにより製造された多孔性混成体に関するものであって、さらに詳細には、カチオン及びアニオンを同時に除去できる多孔性混成体の製造方法、これにより製造された多孔性混成体、吸着剤及び浄水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、結晶性アルミノシリケート(crystalline aluminosilicate)を総称して、骨格をなすアルミノシリケートは、アルミニウムのあるところごとに陰電荷を帯びているため、電荷相殺のためのカチオンが細孔(pore)中に存在し、細孔内の残りの空間は、大体水分子により満たされている。ゼオライトが有する3次元的な細孔構造は、形と大きさにより異なるが、細孔の直径が略分子の大きさに該当する。したがって、ゼオライトは、細孔の大きさ及び形により、細孔の中に受け入れる分子に対する大きさ選択性(size selectivity)、または形状選択性(shape selectivity)を有するため、分子ふるい(molecular sieve)とも呼ばれる。
【0003】
一方、ゼオライトの骨格構造をなす元素であるシリコン(Si)とアルミニウム(Al)の代わりに、様々な他の元素でこれらを一部または全体的に置換したゼオライト擬似分子ふるい(zeotype molecular sieves)が知られている。例えば、アルミニウムを完全に除去した多孔性シリカ(MCM-series mesoporous silica及びsilicateなど)と、シリコンを燐(P)に代替したアルポ(AlPO4)系分子ふるい、そして、このようなゼオライト及び擬似分子ふるいの骨格にTi、Mn、Co、Fe、Znなどの多様な金属元素を一部置換して得た擬似分子ふるいが知られている。これらは、ゼオライトから派生した物質であって、本来の鉱物学的な分類によるとゼオライトではないが、当業界では、これらを全部まとめて、ゼオライトと呼ぶ。したがって、本明細書において、ゼオライトとは、上述の擬似分子ふるいを含む広い範囲のゼオライトを意味する。
【0004】
ゼオライトは、原油のクラッキング触媒、吸着剤、脱水剤、気体浄化剤、洗剤添加剤、土壌改良剤など、実生活と産業界において非常に広く使用されて、特に、重金属や放射性同位元素、産業廃水に含まれている各種イオン性色素を廃水から除去する時に有用に使用されている。このようなゼオライト粒子は、通常微細な粉末状に存在するため、使用上、利点もあるが、短所もたくさん有している。
【0005】
例えば、ゼオライトは、微細な粉末であるため、固定床(fixed bed)に充填して使用する場合、圧力降下(pressure drop)が非常に激しく起こり、流体の流れを妨害するため、かなり高い圧力で流体を加圧しなければならないなど、経済的にエネルギー損失が大きいという短所がある。したがって、粘土などを無機接着剤として使用し、2〜5mmのペレットやビーズ(bead)状に成形してから使用したりもする。しかしながら、使用された無機接着剤は、除去しようとするイオンがペレットやビーズの内部に拡散されて入ることを妨害するため、ペレットやビーズの内部は、実際イオン交換に使用できなくなり、効率が低くなる。また、ペレットやビーズも、水に長時間露出される場合、溶けてしまう傾向があって、この際生成された微細粉末は、除去が容易ではない。
【0006】
一方、キトサンは、自然界にセルロースの次に多く存在している天然有機高分子であって(1)、毎年1,000億トン以上生産されるキチンから製造されるが、カニ、エビなどの甲殻類、バッタ、トンボなどの昆虫類、エノキダケ、シイタケなどのキノコ類、細菌の細胞膜などに分布しているキチンを脱アセチル化して得られる。
【0007】
化学的構造面からみると、キトサンは、N−アセチル−D−グルコサミン(N-acetyl-D-glucosamine)単量体がβ−1,4結合の直鎖状に連結された多糖類の有機高分子であって、キチンと比べると、アミン基に存在していたアセチル基が除去されたため、酸性溶液で多重カチオン(polycation)として存在するようになる。したがって、酸性水溶液で水に対する溶解性がよくなるため、加工性に優れており、乾燥後の機械的強度が比較的優秀であって、粉末、繊維、薄膜、ゲル、ビーズなどの形態に成形され使用される(2)。キトサンは、連結されている単量体の数により、単量体12個内外のオリゴマーと、高分子に属するポリマーとに分かれて、ポリマーは、分子量15万未満の低分子キトサン、分子量70万〜100万に至る高分子キトサン、そして、その間の範囲を有する中分子キトサンに分かれる。
【0008】
キトサンは、アニオン性色素及び重金属に対し卓越な吸着性能を有しており(3〜6)、グルコサミン単位に存在するアミン基が配位結合を通じて着イオンを形成し、廃水中に存在する重金属を吸着したりもする。キトサンは、特に、低い濃度の3周期転移金属イオンに対して卓越な吸着力を有する(7〜14)。しかしながら、キトサンは、水に溶けやすい短所があり(15)、特に、酸性溶液では非常に速く溶けるため、キトサンを水に接触させて使用する工程の場合、キトサンの分離除去過程に困難がある。
【0009】
前述の短所を克服するために、キトサン溶液を塩基性溶液に滴下して、ビーズの形態に成形した後、グルタルアルデヒドを加えてキトサン高分子間に架橋を形成し、水によく溶ける現象を防止した後、固定床濾過機の充填材として使用したりもする(16)。しかしながら、高分子間に形成された架橋は、除去しようとするイオンのキトサンビーズ粒子内部への円滑な拡散を阻害し、グルタルアルデヒドで処理したキトサンビーズの内部は、吸着に利用できない。
【0010】
一方、廃水内に存在する重金属イオンを始めとした有害なカチオンと有害なアニオン性化合物とを同時に除去できるイオン交換剤は、まだ知られていない。したがって、廃水に存在する有害なカチオンとアニオンとを同時に除去するために、それぞれのイオン除去に活性を示すイオン交換剤を単純に物理的に混合して使用するのが一般的であるが、ゼオライトとキトサンの場合、それぞれの物質が有している、前述したような短所は除去できない。
【0011】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用は、括弧の中に表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、上述した技術的問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らが開発した方法により、ゼオライトとキトサンとを共有結合することに成功し、このように製造されたゼオライトとキトサンとからなる混成体が巨大孔を有し、優れた吸着能を発揮するということを確認し、本発明を完成した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供することにある。
【0015】
本発明のまた他の目的は、カチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、浄水方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ゼオライトの表面に連結化合物を結合した後、キトサンまたは連結化合物−キトサンと多様な比率で結合させるか、多様な形態に前成形されたキトサンまたは連結化合物−キトサンと結合させて製造した、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体及びそれの製造方法に関するものである。
【0019】
本発明の一様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合し、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明に適合したキトサンは、当業界に公知されたものであれば、その使用に制限はなく、その種類及び範囲は、次のようである:
(i)原料に制限をおかない天然産または人工的に合成されたキトサン;
(ii)1万以上の分子量を有して、10%以上の脱アセチル化度を有するキトサン;
(iii)自然状態のまま、または化学的、物理的な方法を通じて特定の形態を有するように成形したキトサン(例えば、粉末、薄片、繊維、スポンジ、フィルム、または0.5%以上の濃度を有する水溶液など、あらゆる形態のキトサン);
(iv)キトサンの官能基の全部または一部に他の官能基を付着したキトサン;及び
(v)有機分子を利用し、キトサン骨格に架橋を導入したキトサン。
【0021】
上述のように、本発明で使用される用語‘ゼオライト’は、擬似分子ふるいを含む広い範囲のゼオライトを意味する。本発明に適合したゼオライト、即ち分子ふるいの非制限的な種類及び範囲の例は、次のようである:
(i)天然及び合成ゼオライト;
(ii)ゼオライト骨格のシリコン元素の全部または一部を、燐(P)などの他の元素で置換した擬似分子ふるい(例えば、AlPO4、SAPO、MeAPO、MeAPSO系などの分子ふるい)
(iii)ゼオライト骨格のアルミニウム元素を、ボロン(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)などの他の元素で一部または全部置換した分子ふるい;
(iv)前記(ii)項と(iii)項の変化を組み合せた分子ふるい;
(v)多孔性金属またはシリコン酸化物(例えば、シリカライト、MCM系多孔性シリカ、多孔性二酸化チタン、二酸化ニオビウムなど)及びこれらの複合酸化物;及び
(vi)その他の種々の元素を単独または複合的に使用して製造した多孔性分子ふるい。
【0022】
本明細書において、用語‘連結化合物’とは、ゼオライトと化学結合ができる官能基一つと、変形されたあるいは変形されていないキトサンの表面にある官能基と化学結合ができる官能基一つ、即ち、少なくとも二つの官能基を有している化合物であって、ゼオライトとキトサンとの間の結合を媒介する化合物を意味する。
【0023】
ゼオライト及びキトサンと化学的な結合ができる官能基とは、表面ヒドロキシル基を有するゼオライトに対しては、例えば、ヒドロキシル基と反応して結合できるハロシリル基[−SiX3-nAn(n=0〜2)、X=ハロゲン元素、A=アルキル、水素、アルコキシ、アリル基]、アルコキシシリル基(例えば、−Si(OCH3)3)、イソシアナト基(−N=C=O)などを意味し、キトサンに対しては、アルデヒド基(−CHO)を意味する。これら官能基が結合された化合物は、溶液内でキトサンと架橋を形成すると、水溶液状態のキトサンをゲル状態に成形することができると知られている。
【0024】
もちろん、材料表面の性質(官能性、functionality)に応じて、それと化学的な結合ができる適切な官能基を選択することができて、このような官能基は、当業者が適切に選択することができる。
【0025】
本発明で使用できる連結化合物は、好ましくは、化学式1〜5の化合物を含む:
[化学式1]
R3Si−L−X
[化学式2]
R3Si−L−Y
[化学式3]
Y−L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
R3Si−L
上記式で、Rは、ハロゲン族元素、C1−C4アルコキシまたはアルキル基を示すが、但し、三つのRの少なくとも一つは、ハロゲンまたはアルコキシ基であって;Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【0026】
ゼオライトに結合された連結化合物は、二次的な化学結合を形成するために、連結化合物の骨格内に化学的な官能基を一つ以上有していてもよい。例えば、ゼオライトに結合された連結化合物が、その分子内にホルミル基(-CHO)を含んでいると、キトサン分子内のアミノ基とホルミル基との間で化学的反応が起こりやすいため、ゼオライトがキトサンに化学的に結合できるようになる。
【0027】
また、キトサンは、ゼオライトに使用された連結化合物の種類によって、反応の速度や反応条件を考慮し、その官能基を変化させることもできるが、連結化合物−ゼオライト中間体との反応に必要な官能基と共にアルデヒド基を有する2官能性化合物により、官能基の変形を誘導することができる。
【0028】
以上の内容をまとめてみると、連結化合物は、ゼオライトと化学結合ができる官能基一つと、変形されたあるいは変形されていないキトサンの表面にある官能基と化学反応ができる官能基一つ、即ち、少なくとも二つの官能基を有していなければならない。連結化合物、官能基及びこれらの組み合わせは、数え切れないほど可変的であり、当業者により、必要に応じて容易に変化または組み合わせることができて、これらの全ては、本発明の概念を利用する場合は、本発明の範疇に含まれる。
【0029】
本発明において、ゼオライトと連結化合物との間の化学反応を要約すると、次のようである:ゼオライトは、上述したように、表面にヒドロキシル基を有しているため、ヒドロキシル基と反応できる適合した官能基を有する連結化合物と反応して、連結化合物−ゼオライトの中間体を形成することができる。また、ある一つの官能基は、適切な処理により、新しい官能基に変性または変形されることができるため、ゼオライトの表面は、化学的な処理を通じて、新しい官能性を有するように変形することができる。このような反応及び反応条件については、当業界に周知されている(17〜29)。
【0030】
本発明の具体的な一実施例により、連結化合物−ゼオライト中間体の製造過程を説明すると、次のようである:ゼオライト粒子を、トルエンのような有機溶媒が入っている反応容器に入れて、連結化合物を添加した後、加熱する。ここで、トルエンの代わりに、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素、アルコールなどの一般によく知られた他の有機溶媒を、反応に適合するように使用することもできる。このように、ゼオライト表面に化学的な結合を形成させる時、場合によっては、有機化合物の蒸気を利用し、直接化学結合が起こるようにすることもできる。反応が終了すると、ゼオライト結晶をトルエンでよく洗浄するが、トルエンの入っている反応容器に入れて、超音波洗浄機を利用しよく分散させる。分散液内に存在する分子ふるいは、濾過紙を利用して濾過し、有機溶媒でよく洗浄する。この際、ゼオライト粒子が小さすぎて、濾過紙を利用できない場合は、遠心分離機を利用して粒子を分離する。分離した粒子を再び有機溶媒に均一に分散させて分離する過程を繰り返すことにより、反応の終わった粒子を洗浄する。また、真空減圧下で、溶媒無しにこれらの連結化合物を蒸発させてゼオライトと結合させることもできる。
【0031】
本発明において、キトサンの官能基を変形させる具体的な一実施例は、次のようである。
【0032】
キトサンのほとんど全ての単量体ごとに存在するアミン基は、アルデヒド基と反応しやすいため、連結化合物−ゼオライトとの反応に必要な官能基と共にアルデヒド基を有する2官能性化合物を、反応させようとするキトサン単量体の当量とほぼ等しい濃度でキトサン水溶液と混合することにより、キトサンの官能基を変形させることができる。
【0033】
連結化合物−ゼオライト中間体とキトサンとの間の共有結合を通じて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する具体的な一実施例は、次のようである。
【0034】
化学結合が起こるように官能基が連結された連結化合物−ゼオライトを水に入れて、超音波洗浄機を利用しよく分散させる。分散された連結化合物−ゼオライトの溶液をキトサン水溶液と混合して、連結化合物とキトサンの官能基との間に化学的な結合が起こるように反応させる。連結化合物、官能基及びこれらの組み合わせは、数え切れないほど可変的であって、当業者により、必要に応じて容易に変化または組み合わせることができる。反応が完了し、ゼオライト−キトサンの混合水溶液がゲル状に変化された後、凍結乾燥して、キトサン−連結化合物−ゼオライトの混成体を形成する。または、キトサンを多様な形態に予め成形し、例えば、凍結乾燥してスポンジの形態に成形するか、フィルム、繊維、薄片、粉末などの多様な形態に成形した後、トルエンのような有機溶媒が入っている反応容器に入れて連結化合物−ゼオライトを分散した分散液を添加し加熱するか、超音波洗浄機で反応させて、ゼオライトに連結されている連結化合物とキトサンのアミン基との間に化学的結合を形成させる。混成体が形成された後、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、形成された混成体を乾燥することができる。
【0035】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(b)の後に、(c)キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含む。このようにスポンジ成形体を製造する理由は、乾燥過程で水分子が抜け出しながら形成される多孔性形態の混成体は、優れたイオン交換能を有することができるためである。より好ましくは、前記乾燥は、凍結乾燥により行われる。
【0036】
必要に応じて、即ち、本発明の方法により製造された混成体を吸着剤として利用する場合は、前記段階(c)の後に、(d)前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことが好ましいが、その理由は、混成体に予め効果的に水を浸透させると、混成体内部にかこまれた気泡の量を最少化して、イオン交換時に混成体の効率を極大化することができるからである。
【0037】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(b)の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含む。このように2重に架橋された混成体は、キトサンに比べゼオライトの重量比が小さいか、全体的に密度の低い混成体を作る場合、より多い架橋を形成して、浸水時、必要以上に膨らまない硬い混成体を形成できるという長所がある。
【0038】
本発明により製造されるキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、一般に巨大孔を有して、ほぼ10〜500μmの孔を有する。このような孔の大きさは、ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節できる。また、キトサンまたは連結化合物−キトサン水溶液が利用される場合は、(i)水、及び(ii)キトサンまたは連結化合物−キトサンの重量比率を調節することにより孔の大きさを調節することができる。
【0039】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成するが、それにより形成された連結化合物−ゼオライトの表面には、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基と直接反応しない官能基があらわれるように連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び、(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体をキトサンまたは連結化合物−キトサンと均一に混合した後、連結化合物−ゼオライト及びキトサンまたは連結化合物−キトサンのいずれとも反応できる2官能性化合物を混合及び反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0040】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと混合させる段階;(c)前記段階(b)の混合物をスポンジ成形体に変形させる段階;及び、(d)前記スポンジ成形体中の連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0041】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)水溶液状態のキトサンまたは連結化合物−キトサンをスポンジ成形体に変形させる段階;(b)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び、(c)前記キトサンスポンジと連結化合物−ゼオライトとを混合した後、連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンスポンジ表面の官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0042】
上述した本発明の製造方法は、最初に提示した製造方法の変形であって、重複する内容は、本明細書の過度な重複による複合性を避けるために、その記載を省略する。
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、前記スポンジ成形体に変形させることは、乾燥により行われる。
【0044】
前記官能基間の共有結合は、例えば、加熱処理、または超音波洗機で反応させることにより行われるが、好ましくは、加熱処理により行う。
【0045】
本発明の好ましい具現例によると、前記最終段階の後に、スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含む。
【0046】
キトサンに比べゼオライトの重量比が小さいか、全体的に密度の低い混成体を製造する場合、より多い架橋を導入して、硬い混成体を形成するために、前記最終段階の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含む。
【0047】
本発明の好ましい具現例によると、前記乾燥は、凍結乾燥により行われる。
【0048】
本発明により製造された混成体は、巨大孔を有するようになり、このような孔の大きさは、ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節できる。また、キトサンまたは連結化合物−キトサン水溶液が利用される場合は、(i)水、及び(ii)キトサンまたは連結化合物−キトサンの重量比率を調節することにより、孔の大きさを調節することができる。
【0049】
本明細書において、用語‘多孔性’は、混成体を構成する材料自体に含まれている細孔の他にも、形成された混成体の骨格の間に巨大孔が形成され、水や空気の流れと出入りが容易に起これるようになっている構造上の特徴を意味する。
【0050】
本発明において、ゼオライトとキトサンとの化学的結合は、本発明者らが開発し特許を獲得した発明に基づくものであって(参照:大韓民国特許第335966号)、前記特許文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0051】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の方法により製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供する。
【0052】
本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、ほぼ10〜500μmの巨大孔を有して、ゼオライト/キトサンの重量比率がそれぞれ1、5、10である混成体(それぞれの密度は、23、78.5、102.5mg/cm3)の10%変形時の圧縮強度は、それぞれ13.9、46.7及び87.9kPaであって、比較的優れた機械的強度を示す。このような巨大多孔性は、本発明の混成体に適用される液体または気体試料内に存在するイオンの拡散を自由にして、キトサン及びゼオライトに存在する酸点または活性点との接触を増加させる。本明細書において、用語‘巨大孔’は、直径50〜500μmを有する孔を意味する。
【0053】
一方、本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の優れた機械的強度は、イオン交換時、混成体が水に溶けず、本来の形態を維持できるようにするため、収去が簡単で、かつ固定床濾過機にも適用できるという利点を有する。
【0054】
上述のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、キトサン及びゼオライトの一般的な用途に全て適用することができて、例えば、(i)金属イオン、染料、汚・廃水の成分を吸着することにより、水質を浄化するか、水道水、地下水、空気を浄化するために使用する用途、(ii)土壌改善剤、抗菌及び湿気調節効果を目的とする建築内・外装材などに使用する用途、(iii)衣類及びその他の生活用品の製造時、抗菌性及び湿気調節効果を有する機能性補助材料として使用する用途、及び(iv)果物・野菜類の新鮮度の延長及び抗菌性を目的とする包装材または充填剤の機能性補助材料として使用する用途を有する。
【0055】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述の本発明の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を含み、汚水または廃水内に存在する重金属を含むカチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去可能な吸着剤を提供する。
【0056】
本発明の吸着剤のように、ゼオライトとキトサンとを化学的に共有結合させて、カチオン及びアニオンを同時に除去するような先行技術は公知されていない。本発明の吸着剤は、優れた両方のイオンの除去能を有するだけではなく、水に溶けることがなく、使用された吸着剤は、容易に分離できると共に、固定床濾過機の充填剤としても使用可能である。したがって、本発明の吸着剤は、水処理工程上の画期的な発展をもたらすことができる。
【0057】
本発明のカチオン色素に対する吸着能(cationic dye adsorption capacity)は、ほぼ混成体1g当たり、2〜2.5mgであり、アニオン色素に対する吸着能(anionic dye adsorption capacity)は、ほぼ混成体1g当たり、25〜30mgであって、カチオン性重金属に対する最大吸着能(heavy metal adsorption capacity)は、混成体1g当たり、ほぼ200mgである。
【0058】
本発明の他の様態によると、本発明は、上記した本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体に、処理しようとする汚水または廃水を接触させる段階を含む浄水方法を提供する。
【0059】
本発明の方法によると、汚水または廃水内のカチオン及びアニオンが高い交換能で除去される。本発明の方法は、多様な方法、例えば、流動床または固定床方法により実施できる。
【0060】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は、専ら本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
実施例1:キトサン水溶液の製造
粉末や薄片形態のキトサン(TaxanMed Tech, Inc.)を蒸留水に一時間以上含浸させた後、これに蒸留水、酢酸または塩酸の量を調節し1%の水溶液を製造して、キトサンが完全に溶解されるまで攪拌した。水溶液状態のキトサンは、異物を除去するために、ガラスフィルターに通過させて濾過して使用した。
【0062】
実施例2:官能基が変形されたキトサン水溶液の製造
使用したキトサン溶液の濃度により、適量のアクロレイン(acrolein) (Aldrich Chemical Co., Ltd.)またはグリオキシル酸(glyoxylic acid)(Aldrich Chemical Co., Ltd.)をキトサン溶液に添加し、均一に混合した。アクロレインまたはグリオキシル酸のアルデヒド基がキトサンのアミン基と容易に反応し、グルコサミンのアミングループにビニル基またはカルボキシル基が付着されたキトサン水溶液を収得した。
【0063】
実施例3:1つの連結化合物が連結されたゼオライトの製造
ゼオライト10gを550℃で12時間加熱し、有機成分を除去した後、1mlのアミノプロピルトリメトキシシラン(Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液(100ml)に分散させて、110℃で1時間加熱した。次いで、アミノプロピル基が結合されたゼオライトを、100mlトルエンに分散させてから遠心分離し、上清液を捨てた後、再び新しいトルエンに分散する過程を繰り返して洗浄した後、エタノールで洗浄し、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、連結化合物が結合されたゼオライト10gを収得した。
【0064】
実施例4:2つの連結化合物が連結されたゼオライトの製造
ゼオライト(Union Carbide)10gを550℃で12時間加熱し、有機成分を除去した後、1mlのアミノプロピルトリメトキシシラン[H2N−(CH2)3−Si−(OCH3)3](Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液(100ml)に分散させて、110℃で1時間加熱した。次いで、アミノプロピル基の結合されたゼオライト全量をトルエン100mlに分散させた後、遠心分離する過程を繰り返して洗浄し、トルエンまたは適切な有機溶媒に入れて、超音波洗浄機を利用し均一に分散させた。3gのテレフタルジカルボキサルデヒド(CHO−(C6H12)−CHO)(Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液70mlを強く掻き混ぜながら、アミノプロピル基の結合された、均一に分散されたゼオライト30mlを一滴ずつ徐々に滴下することにより、連結化合物が、ゼオライトの間で凝集を起こさず、ゼオライト表面に均一に結合されるようにした。
【0065】
このように分散した溶液10mlを110℃で2時間以上加熱した。反応が完了した後、ゼオライトを、トルエンで数回分散させてから遠心分離する過程を繰り返して洗浄し、再びエタノールで洗浄した後、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、連結化合物の結合されたゼオライト100gを収得した。
【0066】
実施例5:水溶液状態のキトサンと2つの連結化合物−ゼオライト中間体とを連結させた多孔性混成体の製造
2つの連結化合物が結合されており、末端にアルデヒド基を有している連結化合物−ゼオライトは、前記実施例4に記載の方法と同様にして製造した。
【0067】
次いで、連結化合物−ゼオライト中間体を20mg/mlの濃度となるように水に分散した後、超音波洗浄機で均一に分散させて、アミン基を官能基として有する2%キトサン水溶液1mlと適切な濃度比率で均一に混合した。ゼオライト表面に連結されたアルデヒド基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合が起こるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体40mgを得た。
【0068】
本実施例の過程は、図1に示されている。
【0069】
また、本実施例で製造されたキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nmの厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図2a〜図2cに示されている。図面から分かるように、キトサン分子が形成する細孔に沿ってゼオライトが固く結合され、全体的に均一な混成体を成している。
【0070】
図3〜図9から、ゼオライト/キトサンの重量比率が高くなるほど、単位体積当たり混合されたゼオライトの量が多くなり、キトサンと固く結合をなすことにより、孔を形成する骨格がより太くなることが分かる。
【0071】
実施例6:水溶液状態のキトサンと1つの連結化合物−ゼオライトに2官能性分子を添加し、共有結合を通じて連結させた多孔性混成体の製造
アミノプロピル基が結合された実施例3のゼオライト20mgを1mlの水に入れて、超音波洗浄機で均一に分散させた後、2%キトサン水溶液1mlと適切な濃度比率で均一に混合した。混合後、ゼオライトに連結されたアミン基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合が形成されるように、グルタルアルデヒド[CHO−(CH2)3−CHO]を14μl添加し均一に混合して、反応が進行されるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機を利用して、ほぼ40mgの乾燥された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を収得した。
【0072】
本実施例の過程は、図10に示されている。
【0073】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングをして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図11に示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体も、前記実施例5で製造した混成体と同様に、キトサンとゼオライトとが均一に混合されて固く結合をなしている。
【0074】
実施例7:水溶液状態のキトサンと連結化合物−ゼオライトとが架橋をなすように形成された混成体に2官能性分子を添加し、2重架橋をなして成形された多孔性混成体の製造
2つの連結化合物が結合されており、末端にアルデヒド基を有している連結化合物−ゼオライトは、前記実施例4に記載の方法と同様にして製造した。
【0075】
次いで、連結化合物−ゼオライト中間体20mgを1mlの水に分散させた後、超音波洗浄機で均一に分散させて、アミン基を官能基として有する2%キトサン水溶液1mlと均一に混合した。混合直後、ゼオライト表面に連結されたアルデヒド基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合反応が完了される前に迅速に7μlのグルタルアルデヒドを添加し、均一に混合したそれぞれの官能基の間に化学的な結合が形成されるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体40mgを得た。本実施例の過程は、図12に示されている。
【0076】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトに2官能性分子を添加し2重架橋をなした混成体を約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図13に示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体は、微細構造において、前記実施例5及び6と変わりがなかった。
【0077】
実施例8:スポンジ形態に成形されたキトサンと連結化合物−ゼオライトとを、共有結合を通じて連結させた多孔性混成体の製造
1%キトサン水溶液2mlを適切な容器に入れて凍結した後、凍結乾燥機で乾燥し、キトサンスポンジ20mgを収得した。トルエンのような適当な有機溶媒20mlが入っている容器にアミノプロピルトリメトキシシランとテレフタルジカルボキサルデヒドとが付着されているゼオライトを100mg入れて、超音波洗浄機で均一に分散させた。連結化合物−ゼオライトが入っている容器にキトサンスポンジを入れて、110℃で2時間以上加熱するか、超音波洗浄機で1時間以上放置し、キトサンの官能基とゼオライトに連結された官能基との間に化学的な結合が起こるようにした。反応後、形成された混成体を、トルエンのような、反応に使用した有機溶媒で数回、超音波洗浄機を利用して洗浄した後、真空減圧下で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体約30〜40mgを収得した。本実施例の過程は、図14に示されている。
【0078】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図15a〜図15bに示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体は、前記実施例5及び6の方法により製造された混成体とは違って、ゼオライト結晶がキトサン骨格間に埋められているのではなく、外部に単一層として付着され、表面に現れている。
【0079】
実施例9:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を利用したアニオン性またはカチオン性色素吸着効率の評価
前記実施例5に記載の方法により形成された40mgの円筒形キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体(直径16mm、深さ10mm)を、カチオン性色素であるメチレンブルー(Aldrich Chemical Co., Ltd.)とメチルオレンジ(Aldrich Chemical Co., Ltd.)とがそれぞれ8.32、147μMの初期濃度で50ml入っている反応容器に入れて攪拌しながら、吸着反応を行った。色素の吸着反応が平衡に到達した時点で、反応容器に入れておいた円筒形混成体を、ピンセットを利用して取り出し、残っている溶液の吸光度を、メチレンブルーは665nm、メチルオレンジは465nmで測定し、混成体による浄水効果を評価した。
【0080】
メチレンブルーに対する吸着能は、ゼオライトAよりゼオライトYの方がより高く表れたため、ゼオライトYを利用して混成体を製造し、メチレンブルーに対する吸着実験を行って、混成体の吸着効果を比較するために、ゼオライトY粉末、ビーズ(bead)状のゼオライトX粒子(Aldrich Chemical Co., Ltd.)、キトサンスポンジ及びキトサンフレークに対する吸着効果を測定し、対照群とした。カチオン性色素であるメチレンブルーとアニオン性色素であるメチルオレンジに対する吸着結果は、それぞれ図16と図17に示されている。
【0081】
グラフに示されたように、全ての条件に対し同じ重量でメチレンブルーに対する吸着実験を行った時、混成体は、3.1mg/gの吸着能を示し、ゼオライトY粉末に比べ、ゼオライトの量が半分ぐらいにしかならないにもかかわらず、ゼオライトY粉末による吸着量3.7mg/gに比肩する高い吸着性能を示して、また、細孔の大きさがゼオライトYより大きいゼオライトXからなるビーズ状の粒子と比較してみると、遥かに高い効果を示すことが分かった。なお、メチルオレンジに対する実験では、グルタルアルデヒドで架橋を導入したキトサンスポンジに比べ、混成体が含んでいるキトサンの量が半分ぐらいにしかならないことを勘案すると、混成体は、57.25mg/g、グルタルアルデヒドで架橋を導入したキトサンスポンジは、114mg/gであって、キトサンに劣らない吸着性能を示すことが分かった。
【0082】
実施例10:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を利用した重金属吸着効率評価
前記実施例5に記載の方法により形成された40mgの円筒形キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を、1mM濃度の硝酸鉛溶液が50ml入っている反応容器に入れて攪拌しながら、吸着反応を行った。重金属イオンの吸着反応が平衡に到達した時点で、反応容器に入れておいた円筒形混成体を、ピンセットを利用して取り出し、残っている溶液を、元素分析、またはイオン選択性電極を利用した滴定などの方法により測定し、混成体による浄水効果を評価した。
【0083】
鉛イオンに対する吸着能は、ゼオライトYよりゼオライトAの方が高いため、ゼオライトAを利用して混成体を製造し、鉛イオンに対する吸着実験を行って、混成体の吸着効果を比較するために、ゼオライトA粉末、ビーズ状のゼオライトA粒子(Aldrich Chemical Co., Ltd.)、キトサンスポンジ及びキトサンフレークに対する吸着効果を測定し、対照群とした。鉛イオンに対する吸着結果は、図18に示されている。グラフに示されたように、全ての条件に対し、同じ重量で鉛イオンに対する吸着実験を行った時、混成体は、ゼオライトA粉末に比べ、ゼオライトの量が半分ぐらいであることを勘案すると、194.3mg/gの比較的高い吸着性能を示して、特に、ビーズ状のゼオライトA粒子が77.7mg/gの吸着能を示したことに比べると、遥かに高い吸着性能である。
【0084】
実施例11:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を充填した固定床濾過機を利用したイオン吸着効率の評価
前記実施例5に記載の方法を利用して、160mgの連結化合物−ゼオライトYと80mgのキトサンとを含むように製造された総240mgのキトサン−連結化合物−ゼオライトの混成体を、形成しようとする濾過装置と同一な直径及び3.5mlの体積を有するように形成した後、8mlの容量を有するように製作した固定床濾過装置に満たした。
【0085】
次いで、6.65μMの濃度を有する50mlのメチレンブルー溶液を50ml/30minの速度で流し、吸着反応を行った。ゼオライトYの粉末は、固定床濾過装置に使用し難いため、混成体の吸着性能を比較評価するために、ビーズ状のゼオライトY粒子(Zeobuilder)を同様な固定床濾過装置に充填した。ビーズ状のゼオライトY粒子は、密度が高いため、上記使用した混成体全体の質量と同一な質量で充填すると、固定床濾過装置で占める体積が非常に小さく、吸着能力が著しく落ちるため、二倍の質量で充填した後、混成体と同一な条件で吸着反応を行った。本実施例の過程は、図19に示されている。
【0086】
固定床濾過装置に50mlのメチレンブルー水溶液を30分間流しながら、排出される溶液を集めて、UV/Vis分光光度計で測定し、濾過を済ました溶液中のメチレンブルーの濃度を計算した。図20に示したように、ゼオライトとキトサンとの質量比率が2:1として含まれた混成体は、吸着剤1g当たり、0.4579の吸着効能を示した反面、ビーズ状のゼオライトY粒子は、1g当たり、0.195mgの吸着効能を示し、混成体の吸着効率が遥かに高いことが分かる。
【0087】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界で通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述はただ好ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、請求の範囲とその等価物により定義されると言える。
【0088】
本発明は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法、それにより製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供する。また、本発明は、カチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤及びそれを利用した浄水方法を提供する。本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、巨大孔及び高い機械的強度を有するため、処理対象の液体または気体試料内に存在するイオンを高い効率で除去することができる。
【0089】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の多孔性混成体の具体的な一製造例を示す図である。
【図2】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、30倍、bは、100倍、cは、500倍である。
【図3】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:5として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、500倍、cは、2,500倍である。
【図4】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:10として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率1,500倍の写真である。
【図5】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率50倍の写真である。
【図6】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:2として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率500倍の写真である。
【図7】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:5として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、10,000倍である。
【図8】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:10として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、90倍、bは、5,000倍である。
【図9】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:20として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、500倍、cは、10,000倍である。
【図10】本発明の多孔性混成体の他の具体的な製造例を示す図である。
【図11】実施例6において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、250倍、bは、500倍、cは、1000倍である。
【図12】本発明の多孔性混成体の他の具体的な製造例を示す図である。
【図13】実施例7において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、700倍である。
【図14】本発明の多孔性混成体のまた他の具体的な製造例を示す図である。
【図15】実施例6において、キトサンとゼオライト−Aとを用いて製造された混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、500倍、bは、2,500倍である。
【図16】実施例9により進行された、混成体の、アニオン性色素分子のメチルオレンジに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図17】実施例9により進行された、混成体の、カチオン性色素分子のメチレンブルーに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図18】実施例10により進行された、混成体の、重金属の鉛イオンに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図19】本発明の多孔性混成体の具体的な利用例を示す図である。
【図20】実施例11により進行された、混成体の固定床濾過効能を比較した結果を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライトとキトサンとが化学的に結合された多孔性混成体の製造方法及びこれにより製造された多孔性混成体に関するものであって、さらに詳細には、カチオン及びアニオンを同時に除去できる多孔性混成体の製造方法、これにより製造された多孔性混成体、吸着剤及び浄水方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、結晶性アルミノシリケート(crystalline aluminosilicate)を総称して、骨格をなすアルミノシリケートは、アルミニウムのあるところごとに陰電荷を帯びているため、電荷相殺のためのカチオンが細孔(pore)中に存在し、細孔内の残りの空間は、大体水分子により満たされている。ゼオライトが有する3次元的な細孔構造は、形と大きさにより異なるが、細孔の直径が略分子の大きさに該当する。したがって、ゼオライトは、細孔の大きさ及び形により、細孔の中に受け入れる分子に対する大きさ選択性(size selectivity)、または形状選択性(shape selectivity)を有するため、分子ふるい(molecular sieve)とも呼ばれる。
【0003】
一方、ゼオライトの骨格構造をなす元素であるシリコン(Si)とアルミニウム(Al)の代わりに、様々な他の元素でこれらを一部または全体的に置換したゼオライト擬似分子ふるい(zeotype molecular sieves)が知られている。例えば、アルミニウムを完全に除去した多孔性シリカ(MCM-series mesoporous silica及びsilicateなど)と、シリコンを燐(P)に代替したアルポ(AlPO4)系分子ふるい、そして、このようなゼオライト及び擬似分子ふるいの骨格にTi、Mn、Co、Fe、Znなどの多様な金属元素を一部置換して得た擬似分子ふるいが知られている。これらは、ゼオライトから派生した物質であって、本来の鉱物学的な分類によるとゼオライトではないが、当業界では、これらを全部まとめて、ゼオライトと呼ぶ。したがって、本明細書において、ゼオライトとは、上述の擬似分子ふるいを含む広い範囲のゼオライトを意味する。
【0004】
ゼオライトは、原油のクラッキング触媒、吸着剤、脱水剤、気体浄化剤、洗剤添加剤、土壌改良剤など、実生活と産業界において非常に広く使用されて、特に、重金属や放射性同位元素、産業廃水に含まれている各種イオン性色素を廃水から除去する時に有用に使用されている。このようなゼオライト粒子は、通常微細な粉末状に存在するため、使用上、利点もあるが、短所もたくさん有している。
【0005】
例えば、ゼオライトは、微細な粉末であるため、固定床(fixed bed)に充填して使用する場合、圧力降下(pressure drop)が非常に激しく起こり、流体の流れを妨害するため、かなり高い圧力で流体を加圧しなければならないなど、経済的にエネルギー損失が大きいという短所がある。したがって、粘土などを無機接着剤として使用し、2〜5mmのペレットやビーズ(bead)状に成形してから使用したりもする。しかしながら、使用された無機接着剤は、除去しようとするイオンがペレットやビーズの内部に拡散されて入ることを妨害するため、ペレットやビーズの内部は、実際イオン交換に使用できなくなり、効率が低くなる。また、ペレットやビーズも、水に長時間露出される場合、溶けてしまう傾向があって、この際生成された微細粉末は、除去が容易ではない。
【0006】
一方、キトサンは、自然界にセルロースの次に多く存在している天然有機高分子であって(1)、毎年1,000億トン以上生産されるキチンから製造されるが、カニ、エビなどの甲殻類、バッタ、トンボなどの昆虫類、エノキダケ、シイタケなどのキノコ類、細菌の細胞膜などに分布しているキチンを脱アセチル化して得られる。
【0007】
化学的構造面からみると、キトサンは、N−アセチル−D−グルコサミン(N-acetyl-D-glucosamine)単量体がβ−1,4結合の直鎖状に連結された多糖類の有機高分子であって、キチンと比べると、アミン基に存在していたアセチル基が除去されたため、酸性溶液で多重カチオン(polycation)として存在するようになる。したがって、酸性水溶液で水に対する溶解性がよくなるため、加工性に優れており、乾燥後の機械的強度が比較的優秀であって、粉末、繊維、薄膜、ゲル、ビーズなどの形態に成形され使用される(2)。キトサンは、連結されている単量体の数により、単量体12個内外のオリゴマーと、高分子に属するポリマーとに分かれて、ポリマーは、分子量15万未満の低分子キトサン、分子量70万〜100万に至る高分子キトサン、そして、その間の範囲を有する中分子キトサンに分かれる。
【0008】
キトサンは、アニオン性色素及び重金属に対し卓越な吸着性能を有しており(3〜6)、グルコサミン単位に存在するアミン基が配位結合を通じて着イオンを形成し、廃水中に存在する重金属を吸着したりもする。キトサンは、特に、低い濃度の3周期転移金属イオンに対して卓越な吸着力を有する(7〜14)。しかしながら、キトサンは、水に溶けやすい短所があり(15)、特に、酸性溶液では非常に速く溶けるため、キトサンを水に接触させて使用する工程の場合、キトサンの分離除去過程に困難がある。
【0009】
前述の短所を克服するために、キトサン溶液を塩基性溶液に滴下して、ビーズの形態に成形した後、グルタルアルデヒドを加えてキトサン高分子間に架橋を形成し、水によく溶ける現象を防止した後、固定床濾過機の充填材として使用したりもする(16)。しかしながら、高分子間に形成された架橋は、除去しようとするイオンのキトサンビーズ粒子内部への円滑な拡散を阻害し、グルタルアルデヒドで処理したキトサンビーズの内部は、吸着に利用できない。
【0010】
一方、廃水内に存在する重金属イオンを始めとした有害なカチオンと有害なアニオン性化合物とを同時に除去できるイオン交換剤は、まだ知られていない。したがって、廃水に存在する有害なカチオンとアニオンとを同時に除去するために、それぞれのイオン除去に活性を示すイオン交換剤を単純に物理的に混合して使用するのが一般的であるが、ゼオライトとキトサンの場合、それぞれの物質が有している、前述したような短所は除去できない。
【0011】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用は、括弧の中に表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、上述した技術的問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らが開発した方法により、ゼオライトとキトサンとを共有結合することに成功し、このように製造されたゼオライトとキトサンとからなる混成体が巨大孔を有し、優れた吸着能を発揮するということを確認し、本発明を完成した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供することにある。
【0015】
本発明のまた他の目的は、カチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、浄水方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ゼオライトの表面に連結化合物を結合した後、キトサンまたは連結化合物−キトサンと多様な比率で結合させるか、多様な形態に前成形されたキトサンまたは連結化合物−キトサンと結合させて製造した、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体及びそれの製造方法に関するものである。
【0019】
本発明の一様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合し、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明に適合したキトサンは、当業界に公知されたものであれば、その使用に制限はなく、その種類及び範囲は、次のようである:
(i)原料に制限をおかない天然産または人工的に合成されたキトサン;
(ii)1万以上の分子量を有して、10%以上の脱アセチル化度を有するキトサン;
(iii)自然状態のまま、または化学的、物理的な方法を通じて特定の形態を有するように成形したキトサン(例えば、粉末、薄片、繊維、スポンジ、フィルム、または0.5%以上の濃度を有する水溶液など、あらゆる形態のキトサン);
(iv)キトサンの官能基の全部または一部に他の官能基を付着したキトサン;及び
(v)有機分子を利用し、キトサン骨格に架橋を導入したキトサン。
【0021】
上述のように、本発明で使用される用語‘ゼオライト’は、擬似分子ふるいを含む広い範囲のゼオライトを意味する。本発明に適合したゼオライト、即ち分子ふるいの非制限的な種類及び範囲の例は、次のようである:
(i)天然及び合成ゼオライト;
(ii)ゼオライト骨格のシリコン元素の全部または一部を、燐(P)などの他の元素で置換した擬似分子ふるい(例えば、AlPO4、SAPO、MeAPO、MeAPSO系などの分子ふるい)
(iii)ゼオライト骨格のアルミニウム元素を、ボロン(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)などの他の元素で一部または全部置換した分子ふるい;
(iv)前記(ii)項と(iii)項の変化を組み合せた分子ふるい;
(v)多孔性金属またはシリコン酸化物(例えば、シリカライト、MCM系多孔性シリカ、多孔性二酸化チタン、二酸化ニオビウムなど)及びこれらの複合酸化物;及び
(vi)その他の種々の元素を単独または複合的に使用して製造した多孔性分子ふるい。
【0022】
本明細書において、用語‘連結化合物’とは、ゼオライトと化学結合ができる官能基一つと、変形されたあるいは変形されていないキトサンの表面にある官能基と化学結合ができる官能基一つ、即ち、少なくとも二つの官能基を有している化合物であって、ゼオライトとキトサンとの間の結合を媒介する化合物を意味する。
【0023】
ゼオライト及びキトサンと化学的な結合ができる官能基とは、表面ヒドロキシル基を有するゼオライトに対しては、例えば、ヒドロキシル基と反応して結合できるハロシリル基[−SiX3-nAn(n=0〜2)、X=ハロゲン元素、A=アルキル、水素、アルコキシ、アリル基]、アルコキシシリル基(例えば、−Si(OCH3)3)、イソシアナト基(−N=C=O)などを意味し、キトサンに対しては、アルデヒド基(−CHO)を意味する。これら官能基が結合された化合物は、溶液内でキトサンと架橋を形成すると、水溶液状態のキトサンをゲル状態に成形することができると知られている。
【0024】
もちろん、材料表面の性質(官能性、functionality)に応じて、それと化学的な結合ができる適切な官能基を選択することができて、このような官能基は、当業者が適切に選択することができる。
【0025】
本発明で使用できる連結化合物は、好ましくは、化学式1〜5の化合物を含む:
[化学式1]
R3Si−L−X
[化学式2]
R3Si−L−Y
[化学式3]
Y−L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
R3Si−L
上記式で、Rは、ハロゲン族元素、C1−C4アルコキシまたはアルキル基を示すが、但し、三つのRの少なくとも一つは、ハロゲンまたはアルコキシ基であって;Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【0026】
ゼオライトに結合された連結化合物は、二次的な化学結合を形成するために、連結化合物の骨格内に化学的な官能基を一つ以上有していてもよい。例えば、ゼオライトに結合された連結化合物が、その分子内にホルミル基(-CHO)を含んでいると、キトサン分子内のアミノ基とホルミル基との間で化学的反応が起こりやすいため、ゼオライトがキトサンに化学的に結合できるようになる。
【0027】
また、キトサンは、ゼオライトに使用された連結化合物の種類によって、反応の速度や反応条件を考慮し、その官能基を変化させることもできるが、連結化合物−ゼオライト中間体との反応に必要な官能基と共にアルデヒド基を有する2官能性化合物により、官能基の変形を誘導することができる。
【0028】
以上の内容をまとめてみると、連結化合物は、ゼオライトと化学結合ができる官能基一つと、変形されたあるいは変形されていないキトサンの表面にある官能基と化学反応ができる官能基一つ、即ち、少なくとも二つの官能基を有していなければならない。連結化合物、官能基及びこれらの組み合わせは、数え切れないほど可変的であり、当業者により、必要に応じて容易に変化または組み合わせることができて、これらの全ては、本発明の概念を利用する場合は、本発明の範疇に含まれる。
【0029】
本発明において、ゼオライトと連結化合物との間の化学反応を要約すると、次のようである:ゼオライトは、上述したように、表面にヒドロキシル基を有しているため、ヒドロキシル基と反応できる適合した官能基を有する連結化合物と反応して、連結化合物−ゼオライトの中間体を形成することができる。また、ある一つの官能基は、適切な処理により、新しい官能基に変性または変形されることができるため、ゼオライトの表面は、化学的な処理を通じて、新しい官能性を有するように変形することができる。このような反応及び反応条件については、当業界に周知されている(17〜29)。
【0030】
本発明の具体的な一実施例により、連結化合物−ゼオライト中間体の製造過程を説明すると、次のようである:ゼオライト粒子を、トルエンのような有機溶媒が入っている反応容器に入れて、連結化合物を添加した後、加熱する。ここで、トルエンの代わりに、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素、アルコールなどの一般によく知られた他の有機溶媒を、反応に適合するように使用することもできる。このように、ゼオライト表面に化学的な結合を形成させる時、場合によっては、有機化合物の蒸気を利用し、直接化学結合が起こるようにすることもできる。反応が終了すると、ゼオライト結晶をトルエンでよく洗浄するが、トルエンの入っている反応容器に入れて、超音波洗浄機を利用しよく分散させる。分散液内に存在する分子ふるいは、濾過紙を利用して濾過し、有機溶媒でよく洗浄する。この際、ゼオライト粒子が小さすぎて、濾過紙を利用できない場合は、遠心分離機を利用して粒子を分離する。分離した粒子を再び有機溶媒に均一に分散させて分離する過程を繰り返すことにより、反応の終わった粒子を洗浄する。また、真空減圧下で、溶媒無しにこれらの連結化合物を蒸発させてゼオライトと結合させることもできる。
【0031】
本発明において、キトサンの官能基を変形させる具体的な一実施例は、次のようである。
【0032】
キトサンのほとんど全ての単量体ごとに存在するアミン基は、アルデヒド基と反応しやすいため、連結化合物−ゼオライトとの反応に必要な官能基と共にアルデヒド基を有する2官能性化合物を、反応させようとするキトサン単量体の当量とほぼ等しい濃度でキトサン水溶液と混合することにより、キトサンの官能基を変形させることができる。
【0033】
連結化合物−ゼオライト中間体とキトサンとの間の共有結合を通じて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する具体的な一実施例は、次のようである。
【0034】
化学結合が起こるように官能基が連結された連結化合物−ゼオライトを水に入れて、超音波洗浄機を利用しよく分散させる。分散された連結化合物−ゼオライトの溶液をキトサン水溶液と混合して、連結化合物とキトサンの官能基との間に化学的な結合が起こるように反応させる。連結化合物、官能基及びこれらの組み合わせは、数え切れないほど可変的であって、当業者により、必要に応じて容易に変化または組み合わせることができる。反応が完了し、ゼオライト−キトサンの混合水溶液がゲル状に変化された後、凍結乾燥して、キトサン−連結化合物−ゼオライトの混成体を形成する。または、キトサンを多様な形態に予め成形し、例えば、凍結乾燥してスポンジの形態に成形するか、フィルム、繊維、薄片、粉末などの多様な形態に成形した後、トルエンのような有機溶媒が入っている反応容器に入れて連結化合物−ゼオライトを分散した分散液を添加し加熱するか、超音波洗浄機で反応させて、ゼオライトに連結されている連結化合物とキトサンのアミン基との間に化学的結合を形成させる。混成体が形成された後、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、形成された混成体を乾燥することができる。
【0035】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(b)の後に、(c)キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含む。このようにスポンジ成形体を製造する理由は、乾燥過程で水分子が抜け出しながら形成される多孔性形態の混成体は、優れたイオン交換能を有することができるためである。より好ましくは、前記乾燥は、凍結乾燥により行われる。
【0036】
必要に応じて、即ち、本発明の方法により製造された混成体を吸着剤として利用する場合は、前記段階(c)の後に、(d)前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことが好ましいが、その理由は、混成体に予め効果的に水を浸透させると、混成体内部にかこまれた気泡の量を最少化して、イオン交換時に混成体の効率を極大化することができるからである。
【0037】
本発明の好ましい具現例によると、前記段階(b)の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含む。このように2重に架橋された混成体は、キトサンに比べゼオライトの重量比が小さいか、全体的に密度の低い混成体を作る場合、より多い架橋を形成して、浸水時、必要以上に膨らまない硬い混成体を形成できるという長所がある。
【0038】
本発明により製造されるキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、一般に巨大孔を有して、ほぼ10〜500μmの孔を有する。このような孔の大きさは、ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節できる。また、キトサンまたは連結化合物−キトサン水溶液が利用される場合は、(i)水、及び(ii)キトサンまたは連結化合物−キトサンの重量比率を調節することにより孔の大きさを調節することができる。
【0039】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成するが、それにより形成された連結化合物−ゼオライトの表面には、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基と直接反応しない官能基があらわれるように連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び、(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体をキトサンまたは連結化合物−キトサンと均一に混合した後、連結化合物−ゼオライト及びキトサンまたは連結化合物−キトサンのいずれとも反応できる2官能性化合物を混合及び反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0040】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと混合させる段階;(c)前記段階(b)の混合物をスポンジ成形体に変形させる段階;及び、(d)前記スポンジ成形体中の連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0041】
本発明の他の様態によると、本発明は、(a)水溶液状態のキトサンまたは連結化合物−キトサンをスポンジ成形体に変形させる段階;(b)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び、(c)前記キトサンスポンジと連結化合物−ゼオライトとを混合した後、連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンスポンジ表面の官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階を含む、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法を提供する。
【0042】
上述した本発明の製造方法は、最初に提示した製造方法の変形であって、重複する内容は、本明細書の過度な重複による複合性を避けるために、その記載を省略する。
【0043】
本発明の好ましい具現例によると、前記スポンジ成形体に変形させることは、乾燥により行われる。
【0044】
前記官能基間の共有結合は、例えば、加熱処理、または超音波洗機で反応させることにより行われるが、好ましくは、加熱処理により行う。
【0045】
本発明の好ましい具現例によると、前記最終段階の後に、スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含む。
【0046】
キトサンに比べゼオライトの重量比が小さいか、全体的に密度の低い混成体を製造する場合、より多い架橋を導入して、硬い混成体を形成するために、前記最終段階の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含む。
【0047】
本発明の好ましい具現例によると、前記乾燥は、凍結乾燥により行われる。
【0048】
本発明により製造された混成体は、巨大孔を有するようになり、このような孔の大きさは、ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節できる。また、キトサンまたは連結化合物−キトサン水溶液が利用される場合は、(i)水、及び(ii)キトサンまたは連結化合物−キトサンの重量比率を調節することにより、孔の大きさを調節することができる。
【0049】
本明細書において、用語‘多孔性’は、混成体を構成する材料自体に含まれている細孔の他にも、形成された混成体の骨格の間に巨大孔が形成され、水や空気の流れと出入りが容易に起これるようになっている構造上の特徴を意味する。
【0050】
本発明において、ゼオライトとキトサンとの化学的結合は、本発明者らが開発し特許を獲得した発明に基づくものであって(参照:大韓民国特許第335966号)、前記特許文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0051】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の方法により製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供する。
【0052】
本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、ほぼ10〜500μmの巨大孔を有して、ゼオライト/キトサンの重量比率がそれぞれ1、5、10である混成体(それぞれの密度は、23、78.5、102.5mg/cm3)の10%変形時の圧縮強度は、それぞれ13.9、46.7及び87.9kPaであって、比較的優れた機械的強度を示す。このような巨大多孔性は、本発明の混成体に適用される液体または気体試料内に存在するイオンの拡散を自由にして、キトサン及びゼオライトに存在する酸点または活性点との接触を増加させる。本明細書において、用語‘巨大孔’は、直径50〜500μmを有する孔を意味する。
【0053】
一方、本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の優れた機械的強度は、イオン交換時、混成体が水に溶けず、本来の形態を維持できるようにするため、収去が簡単で、かつ固定床濾過機にも適用できるという利点を有する。
【0054】
上述のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、キトサン及びゼオライトの一般的な用途に全て適用することができて、例えば、(i)金属イオン、染料、汚・廃水の成分を吸着することにより、水質を浄化するか、水道水、地下水、空気を浄化するために使用する用途、(ii)土壌改善剤、抗菌及び湿気調節効果を目的とする建築内・外装材などに使用する用途、(iii)衣類及びその他の生活用品の製造時、抗菌性及び湿気調節効果を有する機能性補助材料として使用する用途、及び(iv)果物・野菜類の新鮮度の延長及び抗菌性を目的とする包装材または充填剤の機能性補助材料として使用する用途を有する。
【0055】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述の本発明の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を含み、汚水または廃水内に存在する重金属を含むカチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去可能な吸着剤を提供する。
【0056】
本発明の吸着剤のように、ゼオライトとキトサンとを化学的に共有結合させて、カチオン及びアニオンを同時に除去するような先行技術は公知されていない。本発明の吸着剤は、優れた両方のイオンの除去能を有するだけではなく、水に溶けることがなく、使用された吸着剤は、容易に分離できると共に、固定床濾過機の充填剤としても使用可能である。したがって、本発明の吸着剤は、水処理工程上の画期的な発展をもたらすことができる。
【0057】
本発明のカチオン色素に対する吸着能(cationic dye adsorption capacity)は、ほぼ混成体1g当たり、2〜2.5mgであり、アニオン色素に対する吸着能(anionic dye adsorption capacity)は、ほぼ混成体1g当たり、25〜30mgであって、カチオン性重金属に対する最大吸着能(heavy metal adsorption capacity)は、混成体1g当たり、ほぼ200mgである。
【0058】
本発明の他の様態によると、本発明は、上記した本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体に、処理しようとする汚水または廃水を接触させる段階を含む浄水方法を提供する。
【0059】
本発明の方法によると、汚水または廃水内のカチオン及びアニオンが高い交換能で除去される。本発明の方法は、多様な方法、例えば、流動床または固定床方法により実施できる。
【0060】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は、専ら本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
実施例1:キトサン水溶液の製造
粉末や薄片形態のキトサン(TaxanMed Tech, Inc.)を蒸留水に一時間以上含浸させた後、これに蒸留水、酢酸または塩酸の量を調節し1%の水溶液を製造して、キトサンが完全に溶解されるまで攪拌した。水溶液状態のキトサンは、異物を除去するために、ガラスフィルターに通過させて濾過して使用した。
【0062】
実施例2:官能基が変形されたキトサン水溶液の製造
使用したキトサン溶液の濃度により、適量のアクロレイン(acrolein) (Aldrich Chemical Co., Ltd.)またはグリオキシル酸(glyoxylic acid)(Aldrich Chemical Co., Ltd.)をキトサン溶液に添加し、均一に混合した。アクロレインまたはグリオキシル酸のアルデヒド基がキトサンのアミン基と容易に反応し、グルコサミンのアミングループにビニル基またはカルボキシル基が付着されたキトサン水溶液を収得した。
【0063】
実施例3:1つの連結化合物が連結されたゼオライトの製造
ゼオライト10gを550℃で12時間加熱し、有機成分を除去した後、1mlのアミノプロピルトリメトキシシラン(Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液(100ml)に分散させて、110℃で1時間加熱した。次いで、アミノプロピル基が結合されたゼオライトを、100mlトルエンに分散させてから遠心分離し、上清液を捨てた後、再び新しいトルエンに分散する過程を繰り返して洗浄した後、エタノールで洗浄し、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、連結化合物が結合されたゼオライト10gを収得した。
【0064】
実施例4:2つの連結化合物が連結されたゼオライトの製造
ゼオライト(Union Carbide)10gを550℃で12時間加熱し、有機成分を除去した後、1mlのアミノプロピルトリメトキシシラン[H2N−(CH2)3−Si−(OCH3)3](Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液(100ml)に分散させて、110℃で1時間加熱した。次いで、アミノプロピル基の結合されたゼオライト全量をトルエン100mlに分散させた後、遠心分離する過程を繰り返して洗浄し、トルエンまたは適切な有機溶媒に入れて、超音波洗浄機を利用し均一に分散させた。3gのテレフタルジカルボキサルデヒド(CHO−(C6H12)−CHO)(Aldrich Chemical Co., Ltd.)が溶解されているトルエン溶液70mlを強く掻き混ぜながら、アミノプロピル基の結合された、均一に分散されたゼオライト30mlを一滴ずつ徐々に滴下することにより、連結化合物が、ゼオライトの間で凝集を起こさず、ゼオライト表面に均一に結合されるようにした。
【0065】
このように分散した溶液10mlを110℃で2時間以上加熱した。反応が完了した後、ゼオライトを、トルエンで数回分散させてから遠心分離する過程を繰り返して洗浄し、再びエタノールで洗浄した後、真空減圧下で溶媒を蒸発させることにより、連結化合物の結合されたゼオライト100gを収得した。
【0066】
実施例5:水溶液状態のキトサンと2つの連結化合物−ゼオライト中間体とを連結させた多孔性混成体の製造
2つの連結化合物が結合されており、末端にアルデヒド基を有している連結化合物−ゼオライトは、前記実施例4に記載の方法と同様にして製造した。
【0067】
次いで、連結化合物−ゼオライト中間体を20mg/mlの濃度となるように水に分散した後、超音波洗浄機で均一に分散させて、アミン基を官能基として有する2%キトサン水溶液1mlと適切な濃度比率で均一に混合した。ゼオライト表面に連結されたアルデヒド基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合が起こるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体40mgを得た。
【0068】
本実施例の過程は、図1に示されている。
【0069】
また、本実施例で製造されたキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nmの厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図2a〜図2cに示されている。図面から分かるように、キトサン分子が形成する細孔に沿ってゼオライトが固く結合され、全体的に均一な混成体を成している。
【0070】
図3〜図9から、ゼオライト/キトサンの重量比率が高くなるほど、単位体積当たり混合されたゼオライトの量が多くなり、キトサンと固く結合をなすことにより、孔を形成する骨格がより太くなることが分かる。
【0071】
実施例6:水溶液状態のキトサンと1つの連結化合物−ゼオライトに2官能性分子を添加し、共有結合を通じて連結させた多孔性混成体の製造
アミノプロピル基が結合された実施例3のゼオライト20mgを1mlの水に入れて、超音波洗浄機で均一に分散させた後、2%キトサン水溶液1mlと適切な濃度比率で均一に混合した。混合後、ゼオライトに連結されたアミン基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合が形成されるように、グルタルアルデヒド[CHO−(CH2)3−CHO]を14μl添加し均一に混合して、反応が進行されるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機を利用して、ほぼ40mgの乾燥された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を収得した。
【0072】
本実施例の過程は、図10に示されている。
【0073】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングをして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図11に示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体も、前記実施例5で製造した混成体と同様に、キトサンとゼオライトとが均一に混合されて固く結合をなしている。
【0074】
実施例7:水溶液状態のキトサンと連結化合物−ゼオライトとが架橋をなすように形成された混成体に2官能性分子を添加し、2重架橋をなして成形された多孔性混成体の製造
2つの連結化合物が結合されており、末端にアルデヒド基を有している連結化合物−ゼオライトは、前記実施例4に記載の方法と同様にして製造した。
【0075】
次いで、連結化合物−ゼオライト中間体20mgを1mlの水に分散させた後、超音波洗浄機で均一に分散させて、アミン基を官能基として有する2%キトサン水溶液1mlと均一に混合した。混合直後、ゼオライト表面に連結されたアルデヒド基とキトサンのアミン基との間に化学的な結合反応が完了される前に迅速に7μlのグルタルアルデヒドを添加し、均一に混合したそれぞれの官能基の間に化学的な結合が形成されるように常温で30分以上放置してから、そのまま凍結させた後、凍結乾燥機で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体40mgを得た。本実施例の過程は、図12に示されている。
【0076】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトに2官能性分子を添加し2重架橋をなした混成体を約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図13に示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体は、微細構造において、前記実施例5及び6と変わりがなかった。
【0077】
実施例8:スポンジ形態に成形されたキトサンと連結化合物−ゼオライトとを、共有結合を通じて連結させた多孔性混成体の製造
1%キトサン水溶液2mlを適切な容器に入れて凍結した後、凍結乾燥機で乾燥し、キトサンスポンジ20mgを収得した。トルエンのような適当な有機溶媒20mlが入っている容器にアミノプロピルトリメトキシシランとテレフタルジカルボキサルデヒドとが付着されているゼオライトを100mg入れて、超音波洗浄機で均一に分散させた。連結化合物−ゼオライトが入っている容器にキトサンスポンジを入れて、110℃で2時間以上加熱するか、超音波洗浄機で1時間以上放置し、キトサンの官能基とゼオライトに連結された官能基との間に化学的な結合が起こるようにした。反応後、形成された混成体を、トルエンのような、反応に使用した有機溶媒で数回、超音波洗浄機を利用して洗浄した後、真空減圧下で乾燥し、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体約30〜40mgを収得した。本実施例の過程は、図14に示されている。
【0078】
また、本実施例で製造したキトサン−連結化合物−ゼオライトを約15nm厚さで白金/パラジウムコーティングして、走査顕微鏡(scanning electron microscope: SEM, Hitachi S-4300)で観察した。観察結果は、図15a〜図15bに示されている。図から分かるように、本実施例で製造された混成体は、前記実施例5及び6の方法により製造された混成体とは違って、ゼオライト結晶がキトサン骨格間に埋められているのではなく、外部に単一層として付着され、表面に現れている。
【0079】
実施例9:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を利用したアニオン性またはカチオン性色素吸着効率の評価
前記実施例5に記載の方法により形成された40mgの円筒形キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体(直径16mm、深さ10mm)を、カチオン性色素であるメチレンブルー(Aldrich Chemical Co., Ltd.)とメチルオレンジ(Aldrich Chemical Co., Ltd.)とがそれぞれ8.32、147μMの初期濃度で50ml入っている反応容器に入れて攪拌しながら、吸着反応を行った。色素の吸着反応が平衡に到達した時点で、反応容器に入れておいた円筒形混成体を、ピンセットを利用して取り出し、残っている溶液の吸光度を、メチレンブルーは665nm、メチルオレンジは465nmで測定し、混成体による浄水効果を評価した。
【0080】
メチレンブルーに対する吸着能は、ゼオライトAよりゼオライトYの方がより高く表れたため、ゼオライトYを利用して混成体を製造し、メチレンブルーに対する吸着実験を行って、混成体の吸着効果を比較するために、ゼオライトY粉末、ビーズ(bead)状のゼオライトX粒子(Aldrich Chemical Co., Ltd.)、キトサンスポンジ及びキトサンフレークに対する吸着効果を測定し、対照群とした。カチオン性色素であるメチレンブルーとアニオン性色素であるメチルオレンジに対する吸着結果は、それぞれ図16と図17に示されている。
【0081】
グラフに示されたように、全ての条件に対し同じ重量でメチレンブルーに対する吸着実験を行った時、混成体は、3.1mg/gの吸着能を示し、ゼオライトY粉末に比べ、ゼオライトの量が半分ぐらいにしかならないにもかかわらず、ゼオライトY粉末による吸着量3.7mg/gに比肩する高い吸着性能を示して、また、細孔の大きさがゼオライトYより大きいゼオライトXからなるビーズ状の粒子と比較してみると、遥かに高い効果を示すことが分かった。なお、メチルオレンジに対する実験では、グルタルアルデヒドで架橋を導入したキトサンスポンジに比べ、混成体が含んでいるキトサンの量が半分ぐらいにしかならないことを勘案すると、混成体は、57.25mg/g、グルタルアルデヒドで架橋を導入したキトサンスポンジは、114mg/gであって、キトサンに劣らない吸着性能を示すことが分かった。
【0082】
実施例10:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を利用した重金属吸着効率評価
前記実施例5に記載の方法により形成された40mgの円筒形キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を、1mM濃度の硝酸鉛溶液が50ml入っている反応容器に入れて攪拌しながら、吸着反応を行った。重金属イオンの吸着反応が平衡に到達した時点で、反応容器に入れておいた円筒形混成体を、ピンセットを利用して取り出し、残っている溶液を、元素分析、またはイオン選択性電極を利用した滴定などの方法により測定し、混成体による浄水効果を評価した。
【0083】
鉛イオンに対する吸着能は、ゼオライトYよりゼオライトAの方が高いため、ゼオライトAを利用して混成体を製造し、鉛イオンに対する吸着実験を行って、混成体の吸着効果を比較するために、ゼオライトA粉末、ビーズ状のゼオライトA粒子(Aldrich Chemical Co., Ltd.)、キトサンスポンジ及びキトサンフレークに対する吸着効果を測定し、対照群とした。鉛イオンに対する吸着結果は、図18に示されている。グラフに示されたように、全ての条件に対し、同じ重量で鉛イオンに対する吸着実験を行った時、混成体は、ゼオライトA粉末に比べ、ゼオライトの量が半分ぐらいであることを勘案すると、194.3mg/gの比較的高い吸着性能を示して、特に、ビーズ状のゼオライトA粒子が77.7mg/gの吸着能を示したことに比べると、遥かに高い吸着性能である。
【0084】
実施例11:キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を充填した固定床濾過機を利用したイオン吸着効率の評価
前記実施例5に記載の方法を利用して、160mgの連結化合物−ゼオライトYと80mgのキトサンとを含むように製造された総240mgのキトサン−連結化合物−ゼオライトの混成体を、形成しようとする濾過装置と同一な直径及び3.5mlの体積を有するように形成した後、8mlの容量を有するように製作した固定床濾過装置に満たした。
【0085】
次いで、6.65μMの濃度を有する50mlのメチレンブルー溶液を50ml/30minの速度で流し、吸着反応を行った。ゼオライトYの粉末は、固定床濾過装置に使用し難いため、混成体の吸着性能を比較評価するために、ビーズ状のゼオライトY粒子(Zeobuilder)を同様な固定床濾過装置に充填した。ビーズ状のゼオライトY粒子は、密度が高いため、上記使用した混成体全体の質量と同一な質量で充填すると、固定床濾過装置で占める体積が非常に小さく、吸着能力が著しく落ちるため、二倍の質量で充填した後、混成体と同一な条件で吸着反応を行った。本実施例の過程は、図19に示されている。
【0086】
固定床濾過装置に50mlのメチレンブルー水溶液を30分間流しながら、排出される溶液を集めて、UV/Vis分光光度計で測定し、濾過を済ました溶液中のメチレンブルーの濃度を計算した。図20に示したように、ゼオライトとキトサンとの質量比率が2:1として含まれた混成体は、吸着剤1g当たり、0.4579の吸着効能を示した反面、ビーズ状のゼオライトY粒子は、1g当たり、0.195mgの吸着効能を示し、混成体の吸着効率が遥かに高いことが分かる。
【0087】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界で通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述はただ好ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、請求の範囲とその等価物により定義されると言える。
【0088】
本発明は、多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法、それにより製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を提供する。また、本発明は、カチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤及びそれを利用した浄水方法を提供する。本発明のキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体は、巨大孔及び高い機械的強度を有するため、処理対象の液体または気体試料内に存在するイオンを高い効率で除去することができる。
【0089】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の多孔性混成体の具体的な一製造例を示す図である。
【図2】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、30倍、bは、100倍、cは、500倍である。
【図3】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:5として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、500倍、cは、2,500倍である。
【図4】実施例5において、キトサンとゼオライト−Yとの濃度比率を1:10として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率1,500倍の写真である。
【図5】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率50倍の写真である。
【図6】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:2として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、倍率500倍の写真である。
【図7】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:5として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、10,000倍である。
【図8】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:10として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、90倍、bは、5,000倍である。
【図9】実施例5において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:20として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、500倍、cは、10,000倍である。
【図10】本発明の多孔性混成体の他の具体的な製造例を示す図である。
【図11】実施例6において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、250倍、bは、500倍、cは、1000倍である。
【図12】本発明の多孔性混成体の他の具体的な製造例を示す図である。
【図13】実施例7において、キトサンとゼオライト−Aとの濃度比率を1:1として製造した混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、100倍、bは、700倍である。
【図14】本発明の多孔性混成体のまた他の具体的な製造例を示す図である。
【図15】実施例6において、キトサンとゼオライト−Aとを用いて製造された混成体の走査電子顕微鏡写真であって、それぞれの倍率が、aは、500倍、bは、2,500倍である。
【図16】実施例9により進行された、混成体の、アニオン性色素分子のメチルオレンジに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図17】実施例9により進行された、混成体の、カチオン性色素分子のメチレンブルーに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図18】実施例10により進行された、混成体の、重金属の鉛イオンに対する吸着効能を比較した結果を示すグラフである。
【図19】本発明の多孔性混成体の具体的な利用例を示す図である。
【図20】実施例11により進行された、混成体の固定床濾過効能を比較した結果を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合し、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項2】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成するが、それにより形成された連結化合物−ゼオライトの表面には、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基と直接反応しない官能基があらわれるように連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体をキトサンまたは連結化合物−キトサンと均一に混合した後、連結化合物−ゼオライト及びキトサンまたは連結化合物−キトサンのいずれとも反応できる2官能性化合物を混合及び反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項3】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと混合させる段階;
(c)前記段階(b)の混合物をスポンジ成形体に変形させる段階;及び
(d)前記スポンジ成形体中の連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項4】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)水溶液状態のキトサンまたは連結化合物−キトサンをスポンジ成形体に変形させる段階;
(b) ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(c) 前記キトサンスポンジと連結化合物−ゼオライトとを混合した後、連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンスポンジ表面の官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項5】
前記官能基間の共有結合は、加熱処理によりなされることを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項6】
前記方法は、最終段階の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または3に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項7】
前記方法は、最終段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項8】
前記方法は、最終段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項9】
前記方法は、2重架橋形成段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項10】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項11】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項12】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項13】
前記キトサンまたはキトサン−連結化合物は、多様な形態に成形されたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項14】
前記多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の孔の大きさは、前記ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項15】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項16】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項7に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項17】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項9に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項18】
前記キトサンまたは連結化合物−キトサンは、水溶液状態で提供されて、前記多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の孔の大きさは、前記水溶液内の水と、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの重量比率により調節されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項19】
前記連結化合物−ゼオライト及び連結化合物−キトサン中間体を製造するに利用される連結化合物は、次の化学式で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
[化学式1]
R3Si−L−X
[化学式2]
R3Si−L−Y
[化学式3]
Y−L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
R3Si−L
上記式で、Rは、ハロゲン族元素、C1−C4アルコキシまたはアルキル基を示すが、但し、三つのRの少なくとも一つは、ハロゲンまたはアルコキシ基であって;Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【請求項20】
前記ゼオライト−連結化合物−キトサン混成体に2重に架橋をなすために利用される連結化合物は、次の化学式で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
[化学式1]
X−L−X
[化学式2]
Y−L−Y
[化学式3]
L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
X−L
上記式で、Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【請求項21】
前記請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の方法により製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体。
【請求項22】
前記請求項21に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を含み、汚水または廃水内に存在する重金属を含むカチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤。
【請求項23】
前記請求項22に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体に、処理しようとする汚水または廃水を接触させる段階を含む浄水方法。
【請求項1】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合し、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項2】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成するが、それにより形成された連結化合物−ゼオライトの表面には、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基と直接反応しない官能基があらわれるように連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体をキトサンまたは連結化合物−キトサンと均一に混合した後、連結化合物−ゼオライト及びキトサンまたは連結化合物−キトサンのいずれとも反応できる2官能性化合物を混合及び反応させて、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項3】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて、連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;
(b)前記連結化合物−ゼオライト中間体を、キトサンまたは連結化合物−キトサンと混合させる段階;
(c)前記段階(b)の混合物をスポンジ成形体に変形させる段階;及び
(d)前記スポンジ成形体中の連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンまたは連結化合物−キトサンの官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項4】
次の段階を含む多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
(a)水溶液状態のキトサンまたは連結化合物−キトサンをスポンジ成形体に変形させる段階;
(b) ゼオライトの表面に連結化合物を結合させて連結化合物−ゼオライト中間体を形成させる段階;及び
(c) 前記キトサンスポンジと連結化合物−ゼオライトとを混合した後、連結化合物−ゼオライトの官能基と、キトサンスポンジ表面の官能基との間に共有結合が起こるようにして連結させ、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階。
【請求項5】
前記官能基間の共有結合は、加熱処理によりなされることを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項6】
前記方法は、最終段階の後に、2官能性化合物をさらに混合及び反応させて、2重に架橋されたキトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または3に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項7】
前記方法は、最終段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項8】
前記方法は、最終段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項9】
前記方法は、2重架橋形成段階の後に、キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を乾燥し、スポンジ成形体を製造する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項10】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項11】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項12】
前記方法は、前記乾燥段階の後に、前記スポンジ成形体に水を浸透させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項13】
前記キトサンまたはキトサン−連結化合物は、多様な形態に成形されたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項14】
前記多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の孔の大きさは、前記ゼオライトと、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの濃度比率により調節されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項15】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項3または4に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項16】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項7に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項17】
前記スポンジ成形体に変形させる方法は、凍結乾燥によりなされることを特徴とする、請求項9に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項18】
前記キトサンまたは連結化合物−キトサンは、水溶液状態で提供されて、前記多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の孔の大きさは、前記水溶液内の水と、キトサンまたは連結化合物−キトサンとの重量比率により調節されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法。
【請求項19】
前記連結化合物−ゼオライト及び連結化合物−キトサン中間体を製造するに利用される連結化合物は、次の化学式で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つの項に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
[化学式1]
R3Si−L−X
[化学式2]
R3Si−L−Y
[化学式3]
Y−L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
R3Si−L
上記式で、Rは、ハロゲン族元素、C1−C4アルコキシまたはアルキル基を示すが、但し、三つのRの少なくとも一つは、ハロゲンまたはアルコキシ基であって;Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【請求項20】
前記ゼオライト−連結化合物−キトサン混成体に2重に架橋をなすために利用される連結化合物は、次の化学式で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体の製造方法:
[化学式1]
X−L−X
[化学式2]
Y−L−Y
[化学式3]
L−Y
[化学式4]
Y−Y
[化学式5]
X−L
上記式で、Lは、置換または非置換されたC1−C17アルキル、アラルキルまたはアリル基であって、一つ以上の酸素、窒素または硫黄原子を含むことができて;Xは、ハロゲン、イソシアネート、トシル及びアジドからなる群から選択される離脱基を示して;Yは、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、アンモニウム基、スルホン基またはその塩、カルボキシル酸またはその塩、酸無水物、エポキシ基、アルデヒド基、エステル基、アクリル基、イソシアネート基(−NCO)、糖類残基、二重結合、三重結合、ジエン(diene)、ジイン(diyne)、アルキルフォスフィン及びアルキルアシンからなる群から選択されるものであって、有機官能基を含みリガンド交換ができる配位化合物の反応性官能基を示して、前記反応性官能基は、連結化合物分子の両末端または中間に位置できる。
【請求項21】
前記請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の方法により製造された多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体。
【請求項22】
前記請求項21に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体を含み、汚水または廃水内に存在する重金属を含むカチオン性物質及びアニオン性物質を同時に除去できる吸着剤。
【請求項23】
前記請求項22に記載の多孔性キトサン−連結化合物−ゼオライト混成体に、処理しようとする汚水または廃水を接触させる段階を含む浄水方法。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2007−528334(P2007−528334A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516936(P2006−516936)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001467
【国際公開番号】WO2004/110619
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505463456)インダストリー−ユニバーシティ コオペレーション ファウンデーション ソギャン ユニバーシティ (9)
【氏名又は名称原語表記】Industry−University Cooperation Foundation Sogang University
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001467
【国際公開番号】WO2004/110619
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505463456)インダストリー−ユニバーシティ コオペレーション ファウンデーション ソギャン ユニバーシティ (9)
【氏名又は名称原語表記】Industry−University Cooperation Foundation Sogang University
【Fターム(参考)】
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