ゼオライト結晶の合成方法及びパターン化された構造内でのカーボンナノ構造体の形成方法
【課題】パターン化された構造内でのゼオライト結晶の合成方法、さらに、ゼオライト結晶内において、カーボンナノ構造体を高収率で形成する方法を提供する。
【解決手段】上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備し11、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させ12、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加え13、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化し14、上記基板をリンスし乾燥させ15、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える16ことにより、パターン化された構造内に、ゼオライト結晶を組み込む。さらに、これらのゼオライト結晶を、緻密で配列されたCNTの成長、即ちカーボンナノ構造体の成長のため使用する。CNTの成長は、ゼオライト結晶の多孔質構造体内において達成される。
【解決手段】上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備し11、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させ12、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加え13、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化し14、上記基板をリンスし乾燥させ15、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える16ことにより、パターン化された構造内に、ゼオライト結晶を組み込む。さらに、これらのゼオライト結晶を、緻密で配列されたCNTの成長、即ちカーボンナノ構造体の成長のため使用する。CNTの成長は、ゼオライト結晶の多孔質構造体内において達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト結晶を含むパターン化された構造、及び当該パターン化された構造内でのこれらゼオライト結晶の合成方法に関する。本発明は、さらに、ゼオライト結晶内において、カーボンナノチューブ(CNT)等のカーボンナノ構造体を高収率で形成する方法に関する。
【0002】
本発明は、またゼオライト結晶の平行な孔内においてカーボンナノ構造体を合成する新規な方法であって、結果として得られるカーボンナノ構造体の合成において、100%の孔充填率が確保され高効率が得られるように、含浸若しくはその場合成により導入される有機金属錯体を用いる方法に関する。当該金属は、カーボンナノ構造体の成長を開始させるのに有益なものである。
【0003】
本発明は、さらに、半導体プロセスの分野に関し、そして半導体装置におけるパターン化された構造(例えば相互接続構造体としてのトレンチ及び/又はビア等)内のゼオライト結晶においてカーボンナノ構造体を用いることに関する。本発明は、さらに銅及びカーボンナノ構造体の両方がビア及びトレンチ内において導電性材料として用いられる、相互接続構造体のハイブリッドシステムに関する。
【0004】
本発明は、さらに、ウェハスタッキング(3D積層)、センサー分野(マイクロ電極アレイとして機能するCNT)、熱散逸、及び燃料電池の分野に関する。
【0005】
より詳細には、本発明は、パターン化された構造(具体的には半導体基板のトレンチ及びビア)内にゼオライト結晶を組み込む方法、及びカーボンナノ構造体が半導体装置内において相互接続体として利用されるように、ゼオライト結晶をカーボンナノ構造体の合成のために利用することに関する。さらに詳細には、本発明は、半導体装置内のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法に関する。
【背景技術】
【0006】
カーボンナノチューブ(CNT)は、未来の半導体装置における相互接続ライン(トレンチ)及びビアとして使用されるものであり、銅に代わる有効な候補である。関連のある相互接続長さについて、最適なCNT相互接続体の抵抗は、およそ銅の相互接続体の抵抗より1オーダー小さい。完全な弾道輸送(ballistic transport)がカーボンナノチューブにおいて達成される場合、抵抗の改善はより大きく、数オーダーに及ぶ。
【0007】
半導体のためのインターナショナルテクノロジーロードマップにより設定された電気的要求を達成するためには、バックエンドオブライン(BEOL)相互接続トレンチ(ライン)及びビアについては、非常に小さい直径を有する高品質のストレートタイプ水平及び垂直金属性シングルウォールカーボンナノチューブ(SW−CNT)が、極めて高い密度のバンドル(ヘキサゴナルパッキング構成においては、理論上最も相応しいCNT密度は2CNT/nm2であり、これは0.4nmのチューブ直径、0.34nmの空間を前提とする)において要求される。非常に高い密度の異方性SW−CNTを実現するために必要な極めて小さい直径のカーボンナノチューブ(CNTs)の閉じ込められた環境における合成が、今まで例えばワンら(ネイチャー、408、50−51、2000)、クインら(ネイチャー、408、50、2000)、林ら(ナノレター、3、887−889、2003)、バルカスJr.ら(表面科学及び結晶における研究、154、903−910、2004)、及びコルマら(マイクロエレクトロニックエンジニアリング(2008)、doi:10.1016/j.mee.2008.01.061)により報告されている。一次元の孔の閉じ込め効果は、所望の直径のナノチューブを合成するのに極めて重要である。
【0008】
従来の分野においてカーボンナノ構造体はテンプレート技術により、キョウタニら(材料化学、8、2109−2113、1996)により報告された多孔質酸化アルミニウム(AAO)、アーバンら(ケミカルフィジックレター、359、95−100、2002)により報告されたMCM−41等のメソポーラス材料、タンら(アプライドフィジックレター、73、2287−2289、1998)により報告されたAFIタイプのゼオライトを使用して、作製されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ゼオライトは、CNTについての厳格な要件を満たす高い細孔率を有するため、これらは高い密度で配列され分離されたCNTを作製するための非常に良好な候補である。しかしながら、トレンチやビア等のパターン化された構造においてカーボンナノ構造体を成長させるためのゼオライトの興味深い特性を実際に利用するため、ゼオライトの成長はCMOSテクノロジープラットフォームに組み合わさなければならない。
【0010】
また、高い収率のカーボンナノ構造体の成長が達成されなければならない。従来技術においては、報告された最も高い孔充填率は28%である。これは熱分解の間炭化水素ガスを加えることによるものである。ゼオライト合成溶液若しくはゼオライト合成ジェルに錯体を加えることが報告されていたが、ゼオライト結晶化を可能とするためには、ゼオライト合成ジェル若しくは溶液におけるこれらの錯体の濃度は当然低く、それによりカーボンナノ構造体の成長は非効率なものであった(表面科学及び結晶における研究、Vol154、pp903)。
【0011】
その結果、トレンチ及びビア等のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法、ゼオライト結晶の孔内に極めて高い収率でカーボンナノ構造体を成長させ結果的に得られる材料をSiテクノロジーに組み合わせるための適切な合成方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法を提供することを目的とする。第1発明では、ゼオライト結晶は、ゼオライト結晶タイプのトポロジー及びパターン化された構造の外形により規定される配向性を有する孔(チャンネル)を有し、当該孔はパターン化された構造の長手方向の軸に平行となる。上記パターン化された構造は、半導体基板におけるビア(垂直コンタクト)及びトレンチ(水平ライン)であってもよい。さらに、本発明の利点は、緻密で配列されたナノカーボン成長のため、換言すればゼオライト構造体の孔内においてカーボンナノチューブ(CNT)等のカーボンナノ構造体を成長させるため、これらのゼオライト結晶を使用することである。CNTの成長は、ゼオライト結晶の多孔質構造体内において実現され、そのため当該孔はCNT成長のためのマイクロリアクターとして機能する、ナノメートルオーダーの、制限された空間(チャンネル)として規定される。
【0013】
本発明は、さらに、ゼオライト結晶の生成後、ゼオライト結晶の多孔質構造体内に新規な化合物を加えることにより、ゼオライト結晶内にカーボンナノチューブを成長させる改良された方法を提供する。これにより、上記新規な化合物は、上記カーボンナノ構造体を生成するため、炭素源として作用する。当該改良された成長方法は、従来の技術に比較して極めて高い炭素密度(収率)を得ることができる。
【0014】
本発明は、内部多孔質カーボンナノ構造体の成長の極めて改善された収率とすることができる新規なゼオライトトポロジー及びナノカーボン合成技術を提供する。
【0015】
本発明の実施の形態は、パターン化された構造にゼオライト結晶を配置することにより、従来技術における問題を解決する。本発明の実施の形態は、最初に合成ジェルの結晶化前に、機械的力を用いて、上記パターン化された構造をゼオライト合成溶液又はジェルで実質的に満たしゼオライト結晶を形成することにより、当該問題を解決することができる。
【0016】
本発明に係る方法の実施の形態は、カーボンナノ構造体を成長させる先行技術に係る方法(具体的には気相液相固相(VLS)エンハンスト成長)に対してさらに有利である。これは、カーボンナノ構造体の成長を開始させるため、より低い成長温度を用い、触媒ナノ粒子を析出させる必要がないからである。
【0017】
本発明の別の実施の形態では、ゼオライトの孔内における予め決定された孔サイズ及びその外形を用いて、合成されるカーボンナノ構造体(具体的にはSW−CNTとMW−CNT)の直径すなわち特性を決定することができるという利点を有する。
【0018】
パターン化された構造においてカーボンナノ構造体を提供する本発明の方法の実施の形態は、水平方向、具体的にはトレンチの長さ方向に沿って、カーボンナノ構造体を容易に成長させることができるという従来技術に対する利点を有する。本発明の方法を使用すると、構造体の制約により規定される方向にゼオライト結晶の成長を方向付けることができる(それによりゼオライトの構造体内において孔を所定の方向に配向させることができ)。すなわち、これは、パターン化された構造の外形パラメータ(深さ対長さ)により規定される。このようにして、ビア(垂直ホール)におけるゼオライト結晶の直接垂直成長及びトレンチ(水平ライン)におけるゼオライト結晶の直接水平成長を達成することができる。さらに、ゼオライト孔内においてカーボンナノ構造体の垂直成長若しくは水平成長を誘発することができる。
【0019】
本発明は、また、カーボンナノ構造体を含むゼオライト結晶を半導体装置に組み込む方法、及びトレンチ及びビア等の相互接続構造体において導電性材料としてカーボンナノ構造体を用いることに関する。
【0020】
本発明の実施の形態では、パターン化された構造(開口)を含む基板であって、これらのパターン化された構造がゼオライト結晶により充填され、ゼオライト結晶並びにゼオライト内の孔が、パターン化された構造の制限により規定された方向への配向性を有することを特徴とする基板が開示されている。
【0021】
第1発明では、パターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法が開示されている。上記のパターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、を少なくとも備える。
【0022】
本発明の実施の形態では、ゼオライト構造体の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を緻密に整列して成長させるために、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込む方法を用いる。ゼオライト結晶を用いて、パターン化された構造内にカーボンナノ構造体を成長させる方法は、上述のパターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込む工程の後、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱する工程を少なくとも有する。
【0023】
上記のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込み、その後ゼオライトの孔内においてカーボンナノチューブを成長させる方法は、上面にパターン化された構造(開口)を備える基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、続いて上記のパターン化された構造に上記の合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、上記の合成溶液若しくはジェルからゼオライトを結晶化させるため水熱処理を適用する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガス及び炭素含有ガスの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0024】
第2発明では、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法を提供する。当該改良された方法は、従来技術に比して内部多孔性ナノカーボン成長の極めて高い収率を得ることができる。従来技術において、達成された(若しくは報告された)最も高い孔充填率は28%である。これは熱分解の間、炭化水素ガスを添加することにより得られる。本発明の方法を使用すると、熱分解の間炭化水素ガスを加えなくとも、60%以上の孔充填率を達成することができる。当該改良された方法は、有機金属錯体を用い、該有機金属錯体は、ゼオライト結晶を形成する工程の後、ゼオライト結晶の孔に組み込まれ、カーボンナノ構造体を成長させる後続の工程のための開始剤及び炭素源として用いられる。
【0025】
本発明に係る有機金属錯体は、含浸若しくはその場合成によりゼオライト結晶の孔に導入しても良い。ゼオライト合成溶液若しくはジェルに有機金属錯体を添加することが、従来技術として、バルカスJr.らによって開示されている。しかしながら、当該有機金属錯体は、いつもゼオライトの結晶化前に添加されていた。従来技術に係る方法を使用すると、ゼオライト合成ジェル若しくは溶液における錯体濃度はゼオライトの結晶化を可能とするため当然低く、それによりカーボンナノ構造体を用いた充填が非効率的なものとなる。
【0026】
本発明に係る有機金属錯体は、(金属性の)フタロシアニン錯体であることが好ましい。フタロシアニンは、VFIタイプゼオライト等の過剰に大きい多孔性ゼオライトに組込まれてもよく、熱分解条件の下カーボンナノ構造体に変換される。
【0027】
適切なフタロシアン錯体の好ましい具体例は、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体、具体的にはFe-フタロシアニンである。
【0028】
本発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法は、ゼオライト合成溶液若しくはジェルを準備する工程と、ゼオライト結晶を作製するため、水熱条件を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記ゼオライト結晶を加熱し、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニンと金属とから金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の間の温度で、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いてカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0029】
当該ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法は、上述したパターン化された構造内においてゼオライト結晶を成長させる方法と互換性がある。本発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法であって、ゼオライト結晶がパターン化された構造に存在し、当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を含む基板を準備する工程と、上記基板上にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、その後上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため、水熱条件を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を加熱して、ゼオライト結晶の孔においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の温度で、上記フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度において加熱し金属性フタロシアニン錯体を開始剤として使用してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0030】
本発明の実施の形態では、基板は、別のアプリケーションの機能によって選択された適切な基板であっても良い。半導体分野(半導体デバイス内での使用)については、当該基板はSi若しくはGeウェハ等の半導体基板であっても良い。
【0031】
本発明の実施の形態では、上記パターン化された構造は、5未満のk値を有する誘電体層においてパターンされたトレンチ若しくはビアホールであってもよい。適切な誘電体層の具体例は、二酸化シリコンや、ブラックダイヤモンド(応用材料)等の他の従来技術に係る低k材料である。構造体のパターニングは、フォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせを用いることにより実現してもよい。相互接続構造体としてBEOLにおいて使用するため、トレンチとビアは、50nm〜300nmの範囲の直径を有することが好ましい。トレンチは、1より大きいアスペクト比(長さ/深さ)を有し、一方、ビアは1より小さいアスペクト比(長さ/深さ)を有する。
【0032】
好ましい実施の形態では、パターン化された構造は、直径が50nm〜300nmの範囲にわたるビアを有するシングルレベルマスク構造であっても良い。個々の及び/又は一列のビアにおいて、電気的特性若しくはカーボンナノ構造体の電気的接続が可能となるように、単一で共通の底面電極上に設置しても良い。当該電極は一連の異なる材料から構成されていても良い。適切なボトムコンタクト電極材料の具体例はTiNである。単純なパターン化された構造デザインを用いることにより、ビア内に閉じ込められたゼオライトにおける垂直CNT成長、及びボトムコンタクトと上面金属化との組み合わせが容易となりCNTの必然的電極接続が可能となる。
【0033】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源、並びに任意ではあるが、テンプレート分子及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。
【0034】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、アルミニウム源、リン源並びに酸源及びテンプレート分子及び任意ではあるがAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。SAPO-5ゼオライトタイプマテリアル(AFIタイプと称する)の具体例として、アルミニウム源としてアルミニウムイソプロポキサイドが使用され、リン源としてリン酸が使用され、テンプレートとしてトリプロピルアミン(TPA)が用いられ、シリカ源としてエアロシル200(デグサ)が使用される。合成ジェルは、水ベースの溶液であることが好ましい。即ち、エタノール等のアルコールを添加して、ジェルの濡れ性を改善してもよい。珪素アルミノリン酸塩の最適な合成ジェルは、次の組成(1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2)を有していても良い。
【0035】
本発明の実施の形態では、ゼオライトの孔における含浸若しくはその場合成のために使用される有機金属錯体は、遷移金属(Fe、Ni、若しくはCoが含まれる)及び有機リガンドからなっていてもよく、ゼオライト孔に立体的に収容される。
【0036】
本発明の実施の形態では、ゼオライトは、インターナショナルゼオライトアソシエーションにより規定される好ましくは次の構造タイプ(AFI、VFIタイプの材料)の1つを備える、平行な孔を有する結晶性多孔質材料であってもよい。別の態様では、AELタイプ、AETタイプ、AFOタイプ、AFRタイプ、AFSタイプ、AFYタイプ、ASVタイプ、ATOタイプ、ATSタイプ、BEAタイプ、BECタイプ、BOGタイプ、BPHタイプ、CANタイプ、CFIタイプ、CLOタイプ、CONタイプ、DONタイプ、DFOタイプ、EMTタイプ、EONタイプ、ETRタイプ、EUOタイプ、EZTタイプ、FAUタイプ、FERタイプ、GMEタイプ、GONタイプ、IFRタイプ、IMFタイプ、ISVタイプ、IWRタイプ、IWVタイプ、IWWタイプ、LTAタイプ、LTLタイプ、MAZタイプ、MEIタイプ、MELタイプ、MFIタイプ、MFSタイプ、MORタイプ、MOZタイプ、MSEタイプ、MTTタイプ、MTWタイプ、MWWタイプ、OFFタイプ、OSIタイプ、OSOタイプ、PONタイプ、RROタイプ、RWYタイプ、SAOタイプ、SBEタイプ、SBSタイプ、SBTタイプ、SFEタイプ、SFFタイプ、SFGタイプ、SFHタイプ、SFNタイプ、SFOタイプ、SOSタイプ、SSYタイプ、STFタイプ、SZRタイプ、TERタイプ、TONタイプ、TUNタイプ、USIタイプ、UTLタイプ、VETタイプ材料であってもよい。
【0037】
本発明の実施の形態では、上記合成ジェルを組み込むため使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択される。超音波処理は、パターン化された構造に合成ジェルを組み込むために使用してもよく、適切な超音波処理の条件は、具体的には47kHzで15分である。スピンコーティングを使用して、基板から過剰な合成ジェルを取り除いてもよく、適切なスピンコーティング条件は、具体的には15000rpmで10秒である。
【0038】
本発明の実施の形態では、合成ジェルを結晶化させるため水熱処理を用い、それにより(規則正しい)ゼオライト結晶を形成する。適切な水熱処理条件には、100〜200℃で、2〜48時間、より好ましくは150〜180℃で、14〜15時間、オートジニアス圧力(autogeneous pressure)の下、基板を加熱することが含まれる。
【0039】
本発明の実施の形態では、リンス及び乾燥は、二段蒸留水を用いて実行される。
【0040】
本発明の実施の形態では、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くために必要な付加的な機械的力としては、超音波を用いて実行される。超音波処理後、基板は再び二段蒸留水により徹底的にリンスされる。
【0041】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、カーボンナノ構造体の垂直成長がビア(垂直ホール)において実現され、カーボンナノ構造体の水平成長がトレンチ(水平ライン)において実現されるように行われる。
【0042】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、高温熱分解条件を用いて達成される。ナノ構造体合成のために必要とされる炭素源は、ゼオライト合成のために使用される有機テンプレート分子が起源である。これに代えて(若しくはこれに加えて)炭素含有ガスを熱分解条件(できるだけ高圧の条件)下で大気に加えてもよい。さらに別の形態では、ゼオライト結晶(例えば金属フタロシアニン錯体)の多孔質構造体内において有機金属錯体を形成して、ゼオライト孔においてこれらの有機金属錯体を積層される。
【0043】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させるために用いられる熱分解工程は、熱リアクター、具体的には炉において実行される。当該リアクターは、ゼオライト結晶を1000℃まで加熱することができなければならない。当該リアクターには、真空若しくは所望の圧力に維持されるチャンバが含まれることが好ましく、さらに当該チャンバへのガスフローを可能とする手段を含んでいても良い。好ましい熱分解には、不活性ガスフローの下ゼオライト結晶を加熱することが含まれていてもよい。その後、ゼオライト結晶を、10〜3600分、400〜900℃に、より好ましくは50〜150分、550℃に、等温的に維持する。
【0044】
本発明の上記の及び他の特徴、特性、及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。当該図面は具体例により本発明の原理を説明している。当該記載は、本発明の技術的範囲を離れることなく、具体例としてのみ与えられる。引用される参照番号は、添付の図面を参照する。
【0045】
図面の参照図において好ましい実施の形態を説明する。ここに開示された実施の形態及び図面は、限定的ではなく例示的であると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】図1Aは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内にゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップを説明したフローチャートである。
【図1B】図1Bは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップ、及び炭素含有ガスの存在下、ゼオライト結晶を加熱することにより、ゼオライト結晶の孔にカーボンナノ構造体を成長させることを説明したフローチャートである。
【図1C】図1Cは、本発明の好ましい実施の形態に係る、有機金属錯体を用いて、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を合成する様々なステップを説明したフローチャートである。
【図1D】図1Dは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップ、及び有機金属錯体を用いて、炭素含有ガスの存在下、ゼオライト結晶を加熱することにより、ゼオライト結晶の孔にカーボンナノ構造体を成長させることを説明したフローチャートである。
【図2】図2Aは、基板の上面に含浸された合成ジェルを有する、パターン化された構造(開口)、具体的にはBEST02パターンを有する基板の断面を示す。図2Bは、基板の上面に含浸された合成ジェルを有する、パターン化された構造(開口)、具体的にはBEST02パターンを有する基板の断面を示す。図2Cは、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を得るため、超音波処理(振動)及び水熱処理した後のパターン化された構造を有する基板の断面を示している。図2Dは、熱分解後、パターン化された構造をゼオライト結晶で充填し、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を得た基板の断面を示す。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施の形態に係る水熱合成工程を実施するための構成を示している。
【図4】図4は、BEST02パターン化ウェハのビアホールにおいて成長したAIPO−5結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)イメージである。
【図5】図5Aは、BEST02パターン化ウェハに成長した1つのゼオライトクラストの下面のSEMイメージである。図5Bは、ゼオライトクラスト及び関連するBEST02パターン化ウェハの概略図を示している。
【図6】図6Aは、透過型電子顕微鏡(TEM)イメージである。図6Bは、BEST02パターン化基板のゼオライト片のTEM回折パターンである。
【図7】図7は、超音波処理工程及び/又はスピンコーティング工程を用いることなく、BEST02パターン化ウェハに成長させたゼオライト結晶のSEMイメージを示す比較例である。
【図8】図8は、(充填効果を可視化するためウェハ基板の一部に)超音波処理工程及びスピンコーティング工程を用いてBEST02パターン化構造体に成長させたゼオライト結晶のSEMイメージである。
【図9】図9は、BEST02パターン化構造体のトレンチ構造体内で成長させた、水平方向に配列されたゼオライト結晶のSEMイメージである。
【図10】図10は、その場合成により、VPI−5ゼオライト結晶孔内に組み込まれたフタロシアニン錯体を示している。当該図は、従来技術文献、パードンら、(1994)、ジャーナルオブモルキュラーカタラシスA:化学、97:183−186から抜粋した。
【図11】図11は、熱分解後フタロシアニンが含浸されたVPI−5のラマンスペクトルを示している。
【図12】図12Aは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Aは、当該試験構造を含むSiウェハ基板の上面を示したSEM写真である。図12Bは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Bは、ビアホールを示したウェハ基板のより詳細な上面図を示している。図12Cは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Cは、ビアの底面に、Ti/TiNコンタクト電極を有するSi基板のビアホールの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、図面を参照しながら特定の実施の形態に関して説明するが、本発明は以下に限定されるわけではなく、クレームのみによって限定される。説明された図は、概略するためだけのものであり、限定するためのものではない。図面において、構成要素のいくつかの大きさは誇張され、説明のため同一縮尺で描写されていない。当該ディメンジョン及び相対的ディメンジョンは、本発明の実施に対する実際の縮尺に対応していない。
【0048】
この明細書を通して「1つの実施の形態」若しくは「ある実施の形態」と言及することは、当該実施の形態に関連して記載された特定の特徴、構造、特性が、本発明の実施の形態の少なくとも1つに含まれていることを意味する。このため、この明細書を通して様々なところに「1つの実施の形態において」若しくは「ある実施の形態において」とのフレーズが現れることは、必ずしも同じ実施の形態を参照するわけではなく、可能性があればよい。さらに、特定の特徴、構造、若しくは特性は、1以上の実施の形態において、当該開示から当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明な適切な全ての方法により組み合わせることができる。
【0049】
明細書及びクレームにおける、上部、下部、真上に、真下に等の用語は、概略のために使用され、必ずしも相対的なポジションを記載するために使用されるわけではない。このように使用される用語は、適切な条件の下で相互に交換可能であり、ここに記載された発明の実施の形態は、ここで説明された若しくは例示された方向と別の方向にも実施できることは理解されよう。
【0050】
クレームにおいて使用される「含んでいる」との用語は、それ以降に挙げられた手段に限定されると解釈すべきではない点に留意すべきである。すなわち、他の構成要素若しくは工程を排除するものではない。そのため、言及された所定の特徴、整数、工程、若しくは構成要素が存在することを特定すると解すべきであり、1以上の他の特徴、整数、工程、若しくは構成要素、若しくはこれらのグループが存在すること若しくは追加することを排除するものではない。このため、「構成要素A及びBを備える解決手段」との表現の技術的範囲は、構成要素A及びBのみからなる解決手段に限定すべきではない。本発明に関する限り、当該解決手段に単に関連する構成要素がAとBであることを意味する。
【0051】
さらに、「テンプレート」なる用語は、有機性ゼオライト形成構造指向剤を意味することに留意すべきである。当該構造指向剤は、通常、例えばトリプロピルアミン(TPA)、トリエチルアミン、テトラプロピルアンモニウムハイドロキシド、テトラエチルアンモニウムハイドロキシド、トリエチル-n-プロピルアンモニウムハイドロキシド、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、ピペリジン、N-メチルジエタノールアミン等の有機アミンである。
【0052】
さらに、「合成ジェル」若しくは「合成溶液」なる用語は、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源、任意ではあるが、テンプレート分子、及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよいゼオライト合成用組成ジェル若しくは溶液を意味することに留意すべきである。さらに、「合成ジェル」若しくは「合成溶液」なる用語は、アルミニウム源及びリン源並びに酸源、任意ではあるがテンプレート分子及びSi、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含むゼオライト合成用組成ジェル若しくは溶液を意味することに留意すべきである。
【0053】
さらに、「カーボンナノ構造体」なる用語は、カーボンナノ粒子、カーボンナノファイバー及びシングルウォール構造、ダブルウォール構造、若しくはマルチウォール構造を有するカーボンナノチューブ(CNTs)(それぞれSW-、DW-、及びMW-CNTsと称する)を意味することに留意すべきである。
【0054】
さらに、多孔質構造体なる用語は、2nm以下の範囲の孔を有するマイクロポーラス構造体、2nm〜50nmの範囲の孔を有するメソポーラス構造体、若しくは50nmより大きい範囲の孔を有するマクロポーラス構造体を意味することに留意すべきである。
【0055】
同様に、当然のことながら、本発明の好ましい実施の形態の記載において、本発明の様々な特徴は、当該開示を簡素化するため、及び1以上の様々な独創的な側面を理解することを助力するため、時折1つの実施の形態、図面若しくはその記載が一緒に纏められていることがある。しかしながら、このような開示の仕方は、クレームされた発明が、各クレームに明示的に記載されたもの以外の特徴を要求することを反映していると解釈すべきではない。そうではなく、次のクレームに反映されているように、独創的な側面は、先に開示する1つの実施の形態の全ての特徴に満たない。そのため、詳細な説明に続くクレームは、ここでは、本発明の分離された実施の形態としてそのまま存在する各クレームとともに詳細な説明に明示的に組み込まれている。
【0056】
さらに、ここで記載されるいくつかの実施の形態がいくつかの特徴を含み、別の特徴が他の実施の形態に含まれることがあるが、当該技術分野における当業者が理解できるように、異なる実施形態の特徴を組み合わせたものは、本発明の範囲内あり、異なる実施の形態を形成する。例えば、次のクレームにおいて、クレームされた形態のいずれかを、いずれかのコンビネーションにおいて使用することができる。
【0057】
以下、本発明をいくつかの実施の形態に係る詳細な説明により概略する。本発明の真の思想若しくは技術的教示から離れることなく、当該技術分野における当業者の知識に基づいて本発明の他の実施の形態を構成することができることは明らかである。当該発明は、添付のクレームの用語だけにより限定される。
【0058】
第1発明では、パターン化された構造(パターンの開口)内にゼオライト結晶を形成するための方法が提供される。
【0059】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、その後、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、を少なくとも備える。
【0060】
図1Aは、第1発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップを示したフローチャート10である。第1工程11において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)が従来技術の方法に従って準備される。次の工程12において、既知の方法、すなわち、基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)する方法や、基板の上面に合成ジェルをコーティングする方法により、合成ジェルを基板と接触させる。つづいて、工程13において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、パターン化された構造に合成溶液を含ませる。さらに次の工程14において、パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理条件を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程15において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスし乾燥させる。付加的な(任意の)工程16において、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加えてもよい。
【0061】
上記の、ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる工程は、図3に示すステンレス鋼オートクレーブ60において実行しても良い。図3に示す実験構成は、テフロン(登録商標)基板ホルダー62を有し、この上にウェハピース(パターン化された構造を含む基板)が配置される。リアクターの下面は、合成ジェル53により満たされ、この中にウェハピース若しくは基板が浸漬されている。
【0062】
第1発明の好ましい実施の形態に係る方法を用いて、パターン化された構造の制約により規定された方向に、ゼオライト結晶成長が方向付ける(さらにゼオライト構造内において孔が配向される)。すなわち、パターン化された構造の外形的パラメータ(深さ対長さ)により規定されうる。このため、ビア(垂直ホール)におけるゼオライト結晶の直接垂直成長、及びトレンチ(水平ライン)におけるゼオライト結晶の直接水平成長を達成することが可能となる。図9は、BEST02パターンにおける(水平)トレンチ構造において成長させた、水平に配列されたゼオライト結晶のSEMイメージである。基板上に水平に成長させるとは、基板が平面上に載置されている場合に、ゼオライト結晶を基板の平面と実質的に平行な方向に成長させることを意味する。また、基板上に垂直に成長させるとは、基板が平面上に載置されている場合に、ゼオライト結晶を基板の平面と実質的に垂直な方向に成長させることを意味する。
【0063】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を有する基板であって、上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、上記ゼオライト結晶が、上記パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板が開示されている。当該パターン化された構造は、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであっても良い。
【0064】
第1の好ましい実施の形態に記載された第1発明は、以下の本発明の別の好ましい実施の形態において記載されたゼオライト結晶の孔内に長いカーボンナノ構造体(具体的にはカーボンナノチューブ)を形成するために遂行される。これらのカーボンナノ構造体の成長は、第1の実施の形態に従って形成されたゼオライト結晶を炭素含有ガスの存在下350〜1000℃の温度範囲で加熱することにより実行することができる。
【0065】
第1発明の別の好ましい実施の形態では、パターン化された構造の中のゼオライト結晶の孔内に(整列された)カーボンナノ構造体を成長させるための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱する工程と、を少なくとも有する。
【0066】
図1Bは、第1発明の好ましい実施の形態に係るパターン化された構造内において、ゼオライト結晶をまず合成し、その後ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を成長させる好ましいプロセスステップを示したフローチャート20である。第1工程21において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル、及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)は従来技術の方法に従って準備される。次の工程22において、当該合成ジェルを、既知の方法、すなわち、基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)する方法や、基板の上面に合成ジェルをコーティングする方法により、基板に接触させる。つづいて、工程23において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、パターン化された構造に合成溶液を含ませる。さらに次の工程24において、パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程25において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスし乾燥させる。工程25に付加して(任意であるが)、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加えてもよい。最終的に、工程26において、ゼオライト結晶を炭素含有ガスの存在下、好ましくは350℃〜1000℃の範囲の温度で加熱する。
【0067】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を有する基板であって、上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、上記パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板が開示されている。当該パターン化された構造は、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであっても良い。
【0068】
第2発明では、最初ゼオライト結晶の孔に有機金属錯体を含浸させ、その後カーボンナノ構造体を成長させるため熱処理を実行することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を形成する方法を提供する。これにより、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法となる。当該改良された方法は、従来技術と比較して、内部多孔性ナノカーボン成長の収率が極めて高いものとなる。
【0069】
第2発明の好ましい実施の形態では、有機金属錯体は、含浸若しくはその場合成によりゼオライト結晶の孔内に導入しても良い。
【0070】
本発明の有機金属錯体は、好ましくは金属性フタロシアニン錯体である。フタロシアニンは、VFIタイプゼオライト等の過剰に大きい多孔性のゼオライトに組込まれてもよく、熱分解条件の下カーボンナノ構造体に変換される。適切なフタロシアン錯体の好ましい具体例は、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体である。具体的には、フタロシアニン及びFeの固体源若しくは前駆体を蒸発させゼオライト結晶の多孔質構造体内において再結合させゼオライト結晶の孔内にFe-フタロシアニンを形成することにより、当該ゼオライトにFe-フタロシアニンを組み込んでも良い。ゼオライト結晶の孔内にフタロシアニン錯体を積層することは、内部多孔性ナノチューブ成長のためには高い炭素密度が必要とされること、及び遷移金属触媒の存在が任意であることに関連する。
【0071】
第2発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法は、ゼオライト合成溶液若しくはジェルを準備する工程と、その後ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、ゼオライト結晶を加熱して、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、室温〜400℃の温度で、上記フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ、そして金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度において加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として使用してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0072】
図1Cは、第2発明の好ましい実施の形態に係る、ゼオライト結晶の孔内に有機金属錯体を組み込み、その後カーボンナノ構造体を成長させるため熱処理を実行することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を形成するプロセスステップを示したフローチャート30である。第1工程31において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェルは、従来技術の方法に従って調製される。次の工程32において、ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程33において、ゼオライト結晶を好ましくは室温〜400℃の温度で加熱して、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ及び金属を含浸させる。工程34において、カーボンナノ構造体は、350℃〜1000℃の範囲の温度で加熱することにより金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いて成長させる。任意ではあるが、カーボンナノ構造体の成長を開始させるため、工程34において炭化水素ガス若しくはCOガスをリアクターに加えても良い。
【0073】
図10は、その場合成により、VPI−5ゼオライト結晶70の孔内に組み込まれたフタロシアニン錯体81を示している。当該図は、従来技術文献、パードンら、(1994)、ジャーナルオブモルキュラーカタラシスA:化学、97:183−186から抜粋した。
【0074】
図11は、熱分解後フタロシアニンが含浸されたVPI−5のラマンスペクトルを示している。第2発明に係るゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法は、上記第1発明の実施の形態に記載された、パターン化された構造内にゼオライト結晶を成長させるための方法と互換可能である。
【0075】
第2発明に係る、有機金属錯体を用いてゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を成長させる方法は、第1発明に係る、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込む方法と組み合わせることができる。本発明の好ましい実施の形態は、パターン化された構造に配置されたゼオライト結晶の孔内に長いカーボンナノ構造体(具体的にはカーボンナノチューブ)を形成するために使用される好ましい方法のステップを記載する。
【0076】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造のゼオライト結晶孔内に、整列されたカーボンナノ構造体を成長させるための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を加熱し、フタロシアニンと金属から、ゼオライト結晶の孔内において金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の間の温度で、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発及び金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いてカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0077】
図1Dは、本発明の好ましい実施の形態に係る好ましいプロセスステップを示したフローチャートであって、最初パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成し、続いてゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる。第1工程41において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)を従来方法に従って準備する。次の工程42において、上記合成ジェルを既知の方法、例えば基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)するか、もしくは基板の上面に合成ジェルをコーティングすることにより基板と接触させる。次の工程43において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、上記パターン化された構造に合成溶液を含浸させる。さらに次の工程44において、上記パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程45において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスしそして乾燥させる。工程45に付加して(任意に)付加的な機械的力を加えて、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を基板から取り除いてもよい。工程46において、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、ゼオライト結晶を0℃〜400℃の間の温度で加熱し、フタロシアニンの固体源若しくは前駆物質を蒸発させ金属を含浸させる。工程47において、金属性フタロシアニン錯体を開始剤として使用し、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる。
【0078】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態に係る方法を用いて、構造体の制約により規定された方向にカーボンナノ構造体が成長するように、上記パターン化された構造の制約により規定された方向にゼオライト結晶成長を方向付ける(それによりゼオライト構造体の中の孔を配向させる)。すなわち、カーボンナノ構造体の成長を、パターン化された構造の外形的パラメータ(深さ対長さ)により規定しても良い。これにより、ビア(垂直ホール)におけるカーボンナノ構造体の直接垂直成長及びトレンチ(水平ライン)におけるカーボンナノ構造体の直接水平成長を達成することが可能である。図9は、BEST02パターン化構造のトレンチ構造51において成長させたゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体54を有する水平に配列されたゼオライト結晶53を示している(SEMイメージ)。
【0079】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を備える基板であって、上記のパターン化された構造がゼオライト結晶を含み、さらにゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有することを特徴とする基板が開示されている。
【0080】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造(開口)を備える基板であって、当該パターン化された構造がゼオライト結晶を含み、さらにゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板を、半導体装置における相互接続構造体として使用しても良い。
【0081】
図2A及び2Bは、基板51の上面に合成ジェル52が含浸された、パターン化された構造51(開口)具体的にはBEST02パターンを有する基板50の断面を示している。図2Cは、パターン化された構造51内においてゼオライト結晶53を得るため、超音波処理(振動)及び水熱処理が行われた後のパターン化された構造51を有する基板50の断面を示している。図2Dは、ゼオライト結晶53の孔内においてカーボンナノ構造体54を得るため熱分解が行われた後の、ゼオライト結晶53で充填された、パターン化された構造51を有する基板の断面を示している。
【0082】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、上記基板は、別のアプリケーションの機能において選択されたいずれかの適切な基板であっても良い。半導体分野(半導体装置内での使用)においては、上記基板は、Si若しくはGeウェハ等の半導体基板であっても良い。
【0083】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、誘電体層においてパターン化され5未満のk値を有するパターン化された構造は、トレンチであっても良いし、ビアホールであってもよい。図12A〜12Cは、BEST02試験構造体に係る、パターン化された構造デザイン(ウェハ上面に析出された誘電体層においてエッチングされたビアを有するSiウェハ)を示している(具体例1〜5において使用されている)。図12Aは、試験構造体を含むSiウェハ基板80の上面を示したSEM写真であり、図12Bは、誘電体層82においてエッチングされたビアホール81を示した、ウェハ基板80のより詳細な上面図を示している。図12Cは、ビアホール81においてTi/TiNコンタクト電極を有するSi基板におけるビアホール81の断面を示している。適切な誘電体層82の具体例は、二酸化シリコンや、ブラックダイヤモンド等(応用材料)の他の従来の低k材料である。構造体のパターニングは、フォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせを用いて実現することができる。BEOLにおいて相互接続構造として使用されるように、トレンチ及びビアは、50nm〜300nmの範囲の直径を有することが好ましい。トレンチは1より大きいアスペクト比(長さ/深さ)を有し、一方ビアは1より小さいアスペクト比(長さ/深さ)を有する。3次元(3D)ウェハスタッキングにおいてディープビアとして使用されるためには、ビアは、当該基板において、1μm〜10μmの範囲の幅を有することが好ましく、10μm〜100μmの範囲の深さを当該基板において有することが好ましい。より好ましくは、上記ディープビアは、5μmの幅及び50μmの深さを有する高アスペクト比である。
【0084】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造は、50nm〜300nmの範囲の直径のビアを有するシングルレベルマスク構造であってもよい。電気的特性若しくは個々の及び/又は一列のビアにおけるカーボンナノ構造体の電気的接触を可能とするため、当該ビアは単一の共通する底面電極に配置してもよい。これは一組の異なる材料からなる。適切な底面電極の具体例はTiNである。単純にパターン化された構造デザインを用いることにより、ビア内に閉じ込められたゼオライト内における垂直CNT成長を容易にすることができ、底面電極及び上部メタライゼーションを組み合わせることによりCNT電気接続が可能となる。
【0085】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源を含んでいてもよく、任意ではあるがテンプレート分子及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。
【0086】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、アルミニウム源、リン源並びに酸源及びテンプレート分子及び任意ではあるがAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。SAPO-5ゼオライトタイプマテリアル(AFIタイプと称する)の具体例では、アルミニウム源としてアルミニウムイソプロポキサイドが使用され、リン源としてリン酸が使用され、テンプレートとしてトリプロピルアミン(TPA)が使用され、シリカ源としてエアロシル200(デグサ)が使用される。合成ジェルは、水性の溶液であることが好ましい。即ち、エタノール等のアルコールを添加して、ジェルの濡れ性を改善してもよい。珪素アルミノリン酸塩の最適な合成ジェルは、次の組成(1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2)を有していても良い。
【0087】
本発明の実施の形態では、ゼオライトの孔における含浸若しくはその場合成のために使用される有機金属錯体は、Fe、Ni、Coを含む遷移金属及び有機リガンドからなっていてもよく、ゼオライト孔に立体的に収容されている。
【0088】
本発明の実施の形態では、ゼオライトは、インターナショナルゼオライトアソシエーションにより規定される好ましくは次の構造タイプ(AFI、VFIタイプの材料)の1つを有する、平行な孔を有する結晶性多孔質材料であってもよい。別の態様では、AELタイプ、AETタイプ、AFOタイプ、AFRタイプ、AFSタイプ、AFYタイプ、ASVタイプ、ATOタイプ、ATSタイプ、BEAタイプ、BECタイプ、BOGタイプ、BPHタイプ、CANタイプ、CFIタイプ、CLOタイプ、CONタイプ、DONタイプ、DFOタイプ、EMTタイプ、EONタイプ、ETRタイプ、EUOタイプ、EZTタイプ、FAUタイプ、FERタイプ、GMEタイプ、GONタイプ、IFRタイプ、IMFタイプ、ISVタイプ、IWRタイプ、IWVタイプ、IWWタイプ、LTAタイプ、LTLタイプ、MAZタイプ、MEIタイプ、MELタイプ、MFIタイプ、MFSタイプ、MORタイプ、MOZタイプ、MSEタイプ、MTTタイプ、MTWタイプ、MWWタイプ、OFFタイプ、OSIタイプ、OSOタイプ、PONタイプ、RROタイプ、RWYタイプ、SAOタイプ、SBEタイプ、SBSタイプ、SBTタイプ、SFEタイプ、SFFタイプ、SFGタイプ、SFHタイプ、SFNタイプ、SFOタイプ、SOSタイプ、SSYタイプ、STFタイプ、SZRタイプ、TERタイプ、TONタイプ、TUNタイプ、USIタイプ、UTLタイプ、VETタイプ材料であってもよい。
【0089】
本発明の実施の形態では、上記合成ジェルを組み込むため使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択される。超音波処理は、合成ジェルをパターン化された構造に含浸させるために用いてもよく、適切な超音波処理の条件は、具体的には47kHzで15分である。スピンコーティングを使用して、基板から過剰な合成ジェルを取り除いてもよく、適切なスピンコーティング条件は、具体的には15000rpmで10秒である。
【0090】
本発明の実施の形態では、合成ジェルを結晶化させるため水熱処理を用い、それにより(規則正しい)ゼオライト結晶を形成する。適切な水熱処理条件は、100〜200℃で、2〜48時間、より好ましくは150〜180℃で、14〜15時間、オートジニアス圧(autogeneous pressure)の下、基板を加熱することが含まれる。
【0091】
本発明の実施の形態では、リンス及び乾燥は、二段蒸留水を用いて実行される。
【0092】
本発明の実施の形態では、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くために必要な付加的な機械的力は、超音波処理を用いて加えられる。超音波処理後、基板は再び二段蒸留水により徹底的にリンスされる。
【0093】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、カーボンナノ構造体の垂直成長がビア(垂直ホール)において実現され、カーボンナノ構造体の水平成長がトレンチ(水平ライン)において実現されるように行われる。
【0094】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、高温熱分解条件を用いて実現される。ナノ構造体合成のために必要とされる炭素源については、ゼオライト合成のために使用される有機テンプレート分子が起源となる。これに代えて(若しくはこれに加えて)炭素含有ガスは、熱分解条件(できるだけ高圧の条件)下で大気に加えてもよい。さらに別の形態では、ゼオライト結晶(例えば金属フタロシアニン錯体)の多孔質構造体内において有機金属錯体を生成して、ゼオライト孔においてこれらの有機金属錯体が積層される。
【0095】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させるために用いられる熱分解工程は、熱リアクター、具体的には炉において実行される。当該リアクターは、ゼオライト結晶を1000℃まで加熱することができなければならない。当該リアクターには、真空若しくは所望の圧力に維持されるチャンバが含まれることが好ましく、さらに当該チャンバへのガスフローを可能とする手段が含まれていても良い。好ましい熱分解は、不活性ガスのフローの下ゼオライト結晶を加熱することであってもよい。その後、ゼオライト結晶を、10〜3600分、400〜900℃に、より好ましくは50〜150分、550℃に、等温的に維持する。
【0096】
以下本発明の実施の形態に係る方法をいくつかの実施例により例示する。これらの実施例は単なる例示であって、全く本発明を制限することを意図したものではないことは理解されよう。
【実施例】
【0097】
実施例1 超音波処理を用いてビアホールにゼオライト結晶を組み込む/その場成長させる
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をりん源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬し、その後合成ジェル及びウェハピースを含むビーカーを15分間47kHzで超音波バスに置いた。過剰の合成ジェルは、スピンコーティング法を、15000rpmで10秒間使用して取り除いた。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。
【0098】
実施例2:比較例:超音波処理を用いずビアホールにゼオライト結晶を組み込む/その場成長させる
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をリン源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬した。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。ビアホール内に結晶が全く若しくは非常に僅かしか成長しなかった。このことは、超音波処理工程が、BEST02ビアホール及びトレンチにおける制限された結晶成長の合成にとって必要不可欠であることを示している。図7は、超音波処理及び/又はスピンコーティング工程を実行しなかった場合の、BEST02パターン化ウェハにおけるゼオライト結晶成長のSEMイメージを示した比較例である。
【0099】
実施例3:比較例
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をりん源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬し、その後合成ジェル及びウェハピースを含むビーカーを15分間47kHzで超音波処理バスに置いた。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。
【0100】
大径のゼオライト結晶をウェハ上面に成長させクラストを形成する。ゼオライト成長の間供給源が枯渇することがないので、一旦ビアホール若しくはトレンチの閉じ込め効果が無くなると、大きな結晶成長が見られる。結晶の配向性は上記パターンにより規定される。ゼオライト結晶の凝集は、吸着性ゼオライトウェハより大きいため、ゼオライト”ルーツ”は、後の合成のための超音波処理の間に、大部分はビアホールから取り除かれる。ゼオライトクラストの底面を見ると、充填度は非常に良好であるようである。しかし、後の合成超音波処理の間大きな結晶が分離され、これらはゼオライトルーツとなる。
【0101】
実施例4 ゼオライト結晶化後有機金属錯体を用いてCNTを成長させる
Si-VPI-5の合成は、マルテンズら(カタリシスレター、(12)367-374、1991)の手法をわずかに変更した手法を用いて成功した。ゾルゲルケミストリーにより、1 Al2O3:1.05 P2O5:2 TBA:0.2 DPTA:40 H2O:0.2 SiO2の組成を有するジェルから、純粋なSi-VPI-5の相を得た。最初、Al源、疑似ベーマイト、及びP源、リン酸を60%及び40%の水でそれぞれ水和させた。希釈されたリン酸をAlゾルに滴下して加えた。当該ジェルを25分間水熱バス(95度)内に配置し、その後室温で165分間時効させた。2つの時効期間の後、テンプレートを滴下して加えた。その後、ルドックスAS-40の形態でSiを単発で加えた。ジェルをさらに5分緩やかに攪拌し、ステンレス鋼オートクレーブ内にテフロン(登録商標)ビーズとともに注入した。オートクレーブは回転させながら18時間150℃まで加熱し、得られた固体を遠心分離機で分離して、その後水により徹底的に洗浄した。粉末を30℃でオーブンの中で乾燥させた。その場化学合成によりフタロシアニンを組み込んだ。VPI-5粉末を1,2-ジシアノベンゼン及びフェロセンとよく混合した。当該混合物をHe雰囲気下4時間250℃で加熱した。得られた材料は、溶媒の色がなくなるまで、アセトン、ジメチルホルムアミドさらにアセトンで連続的にソクスレト抽出を行った。VPI-5孔においてカーボンナノ構造体を得るため、Heフローの下、2時間、600℃で加熱した。熱分解の間、炭素含有ガスを添加することなく、10wt%以下のカーボンナノ構造体を実現した。これは、従来(US2006/0051674)より性能が優れている。熱分解手続の間、炭素含有ガスを加えることなく、18%までのナノカーボンの孔充填率が報告されている。また、熱分解の間炭素含有ガスを加えれば、28%以下の充填度が達成できることは報告されている。炭化水素ガスを加えなくとも、Feフタロシアニンが組み込まれた熱分解により、60%の孔充填率のナノカーボンを作製することができる。ラマンスペクトルは、0.25という低いID/IG比を与え、これは、形成されたナノカーボンが高い品質を有することを示している。また、SWCNTの存在する場合において典型的なRBMバンドが検出される。RBM度から計算された直径が、VFIのフレームワークの孔サイズと非常に良く一致する。
【0102】
実施例5:比較例
Si-VPI-5の合成後、いくつかの有機系テンプレート分子は、フレームワークの孔内になお存在する。しかしながら、これは、AIPO-5と対照的に、ナノチューブ合成のための炭素源として使用することができない。VFI合成のための有機テンプレート分子の熱分解により、ナノカーボンは形成されない。これは、VFIフレームワークに(金属性の)フタロシアニン錯体を加える必要がないことを示しており、これは、開発された方法の新規性を与えるものである。
【0103】
実施例6:試験構造パターンデザイン(BEST02)についての詳細
ここで使用されるパターン化された構造、いわゆるBEST02試験構造は、直径が50〜300nmの範囲に及び、3つの異なるピッチを有するビアを備えるシングルレベルマスク構造である。電気的特性若しくは個々の及び/又は一列のビアにおけるカーボンナノ構造体の電気的接触を可能とするため、当該ビアは単一の共通な底面電極に配置してもよい。当該底面電極は一組の異なる材料からなる。TiNは、適切な材料であり、試験構造体において底面電極材料として選択される。単純なテスト構造デザインにより、ビア内に閉じ込められたゼオライト内における垂直CNT成長を容易にすることができる。底面電極及び上部メタライゼーションを組み合わせることにより、CNTの電気的な試験を可能とすることができる。
【0104】
試験構造体の特定の詳細としては、50〜300nmの直径のビア(コンタクト)ホール、及びビアが150nmの直径までエッチングされることを意味する標準的なプロセスを使用することが含まれる。
【0105】
それぞれのレチクルマトリックスは、異なるピッチのビアホールの3つのアレイを含む。
-ビアの直径の2倍に相当するビアピッチを有する緻密なコンタクトホール
=>8000(300nm)〜17000(150nm)列、81コラム
-ビアの直径の2.4倍に相当するビアピッチを有する程々に緻密なコンタクトホール
=>7000(300nm)〜14000(150nm)列、96〜98コラム
-ビアの直径の6倍に相当するビアピッチを有する離隔したコンタクトホール
=>2400(300nm)〜4800(150nm)列、281コラム
【0106】
図12A〜12Cは、上述したBEST02デザインに係る試験構造デザインのSEM写真を示している(当該デザインは具体例1〜5において使用されている。)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト結晶を含むパターン化された構造、及び当該パターン化された構造内でのこれらゼオライト結晶の合成方法に関する。本発明は、さらに、ゼオライト結晶内において、カーボンナノチューブ(CNT)等のカーボンナノ構造体を高収率で形成する方法に関する。
【0002】
本発明は、またゼオライト結晶の平行な孔内においてカーボンナノ構造体を合成する新規な方法であって、結果として得られるカーボンナノ構造体の合成において、100%の孔充填率が確保され高効率が得られるように、含浸若しくはその場合成により導入される有機金属錯体を用いる方法に関する。当該金属は、カーボンナノ構造体の成長を開始させるのに有益なものである。
【0003】
本発明は、さらに、半導体プロセスの分野に関し、そして半導体装置におけるパターン化された構造(例えば相互接続構造体としてのトレンチ及び/又はビア等)内のゼオライト結晶においてカーボンナノ構造体を用いることに関する。本発明は、さらに銅及びカーボンナノ構造体の両方がビア及びトレンチ内において導電性材料として用いられる、相互接続構造体のハイブリッドシステムに関する。
【0004】
本発明は、さらに、ウェハスタッキング(3D積層)、センサー分野(マイクロ電極アレイとして機能するCNT)、熱散逸、及び燃料電池の分野に関する。
【0005】
より詳細には、本発明は、パターン化された構造(具体的には半導体基板のトレンチ及びビア)内にゼオライト結晶を組み込む方法、及びカーボンナノ構造体が半導体装置内において相互接続体として利用されるように、ゼオライト結晶をカーボンナノ構造体の合成のために利用することに関する。さらに詳細には、本発明は、半導体装置内のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法に関する。
【背景技術】
【0006】
カーボンナノチューブ(CNT)は、未来の半導体装置における相互接続ライン(トレンチ)及びビアとして使用されるものであり、銅に代わる有効な候補である。関連のある相互接続長さについて、最適なCNT相互接続体の抵抗は、およそ銅の相互接続体の抵抗より1オーダー小さい。完全な弾道輸送(ballistic transport)がカーボンナノチューブにおいて達成される場合、抵抗の改善はより大きく、数オーダーに及ぶ。
【0007】
半導体のためのインターナショナルテクノロジーロードマップにより設定された電気的要求を達成するためには、バックエンドオブライン(BEOL)相互接続トレンチ(ライン)及びビアについては、非常に小さい直径を有する高品質のストレートタイプ水平及び垂直金属性シングルウォールカーボンナノチューブ(SW−CNT)が、極めて高い密度のバンドル(ヘキサゴナルパッキング構成においては、理論上最も相応しいCNT密度は2CNT/nm2であり、これは0.4nmのチューブ直径、0.34nmの空間を前提とする)において要求される。非常に高い密度の異方性SW−CNTを実現するために必要な極めて小さい直径のカーボンナノチューブ(CNTs)の閉じ込められた環境における合成が、今まで例えばワンら(ネイチャー、408、50−51、2000)、クインら(ネイチャー、408、50、2000)、林ら(ナノレター、3、887−889、2003)、バルカスJr.ら(表面科学及び結晶における研究、154、903−910、2004)、及びコルマら(マイクロエレクトロニックエンジニアリング(2008)、doi:10.1016/j.mee.2008.01.061)により報告されている。一次元の孔の閉じ込め効果は、所望の直径のナノチューブを合成するのに極めて重要である。
【0008】
従来の分野においてカーボンナノ構造体はテンプレート技術により、キョウタニら(材料化学、8、2109−2113、1996)により報告された多孔質酸化アルミニウム(AAO)、アーバンら(ケミカルフィジックレター、359、95−100、2002)により報告されたMCM−41等のメソポーラス材料、タンら(アプライドフィジックレター、73、2287−2289、1998)により報告されたAFIタイプのゼオライトを使用して、作製されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ゼオライトは、CNTについての厳格な要件を満たす高い細孔率を有するため、これらは高い密度で配列され分離されたCNTを作製するための非常に良好な候補である。しかしながら、トレンチやビア等のパターン化された構造においてカーボンナノ構造体を成長させるためのゼオライトの興味深い特性を実際に利用するため、ゼオライトの成長はCMOSテクノロジープラットフォームに組み合わさなければならない。
【0010】
また、高い収率のカーボンナノ構造体の成長が達成されなければならない。従来技術においては、報告された最も高い孔充填率は28%である。これは熱分解の間炭化水素ガスを加えることによるものである。ゼオライト合成溶液若しくはゼオライト合成ジェルに錯体を加えることが報告されていたが、ゼオライト結晶化を可能とするためには、ゼオライト合成ジェル若しくは溶液におけるこれらの錯体の濃度は当然低く、それによりカーボンナノ構造体の成長は非効率なものであった(表面科学及び結晶における研究、Vol154、pp903)。
【0011】
その結果、トレンチ及びビア等のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法、ゼオライト結晶の孔内に極めて高い収率でカーボンナノ構造体を成長させ結果的に得られる材料をSiテクノロジーに組み合わせるための適切な合成方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込むための方法を提供することを目的とする。第1発明では、ゼオライト結晶は、ゼオライト結晶タイプのトポロジー及びパターン化された構造の外形により規定される配向性を有する孔(チャンネル)を有し、当該孔はパターン化された構造の長手方向の軸に平行となる。上記パターン化された構造は、半導体基板におけるビア(垂直コンタクト)及びトレンチ(水平ライン)であってもよい。さらに、本発明の利点は、緻密で配列されたナノカーボン成長のため、換言すればゼオライト構造体の孔内においてカーボンナノチューブ(CNT)等のカーボンナノ構造体を成長させるため、これらのゼオライト結晶を使用することである。CNTの成長は、ゼオライト結晶の多孔質構造体内において実現され、そのため当該孔はCNT成長のためのマイクロリアクターとして機能する、ナノメートルオーダーの、制限された空間(チャンネル)として規定される。
【0013】
本発明は、さらに、ゼオライト結晶の生成後、ゼオライト結晶の多孔質構造体内に新規な化合物を加えることにより、ゼオライト結晶内にカーボンナノチューブを成長させる改良された方法を提供する。これにより、上記新規な化合物は、上記カーボンナノ構造体を生成するため、炭素源として作用する。当該改良された成長方法は、従来の技術に比較して極めて高い炭素密度(収率)を得ることができる。
【0014】
本発明は、内部多孔質カーボンナノ構造体の成長の極めて改善された収率とすることができる新規なゼオライトトポロジー及びナノカーボン合成技術を提供する。
【0015】
本発明の実施の形態は、パターン化された構造にゼオライト結晶を配置することにより、従来技術における問題を解決する。本発明の実施の形態は、最初に合成ジェルの結晶化前に、機械的力を用いて、上記パターン化された構造をゼオライト合成溶液又はジェルで実質的に満たしゼオライト結晶を形成することにより、当該問題を解決することができる。
【0016】
本発明に係る方法の実施の形態は、カーボンナノ構造体を成長させる先行技術に係る方法(具体的には気相液相固相(VLS)エンハンスト成長)に対してさらに有利である。これは、カーボンナノ構造体の成長を開始させるため、より低い成長温度を用い、触媒ナノ粒子を析出させる必要がないからである。
【0017】
本発明の別の実施の形態では、ゼオライトの孔内における予め決定された孔サイズ及びその外形を用いて、合成されるカーボンナノ構造体(具体的にはSW−CNTとMW−CNT)の直径すなわち特性を決定することができるという利点を有する。
【0018】
パターン化された構造においてカーボンナノ構造体を提供する本発明の方法の実施の形態は、水平方向、具体的にはトレンチの長さ方向に沿って、カーボンナノ構造体を容易に成長させることができるという従来技術に対する利点を有する。本発明の方法を使用すると、構造体の制約により規定される方向にゼオライト結晶の成長を方向付けることができる(それによりゼオライトの構造体内において孔を所定の方向に配向させることができ)。すなわち、これは、パターン化された構造の外形パラメータ(深さ対長さ)により規定される。このようにして、ビア(垂直ホール)におけるゼオライト結晶の直接垂直成長及びトレンチ(水平ライン)におけるゼオライト結晶の直接水平成長を達成することができる。さらに、ゼオライト孔内においてカーボンナノ構造体の垂直成長若しくは水平成長を誘発することができる。
【0019】
本発明は、また、カーボンナノ構造体を含むゼオライト結晶を半導体装置に組み込む方法、及びトレンチ及びビア等の相互接続構造体において導電性材料としてカーボンナノ構造体を用いることに関する。
【0020】
本発明の実施の形態では、パターン化された構造(開口)を含む基板であって、これらのパターン化された構造がゼオライト結晶により充填され、ゼオライト結晶並びにゼオライト内の孔が、パターン化された構造の制限により規定された方向への配向性を有することを特徴とする基板が開示されている。
【0021】
第1発明では、パターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法が開示されている。上記のパターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、を少なくとも備える。
【0022】
本発明の実施の形態では、ゼオライト構造体の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を緻密に整列して成長させるために、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込む方法を用いる。ゼオライト結晶を用いて、パターン化された構造内にカーボンナノ構造体を成長させる方法は、上述のパターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込む工程の後、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱する工程を少なくとも有する。
【0023】
上記のパターン化された構造にゼオライト結晶を組み込み、その後ゼオライトの孔内においてカーボンナノチューブを成長させる方法は、上面にパターン化された構造(開口)を備える基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、続いて上記のパターン化された構造に上記の合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、上記の合成溶液若しくはジェルからゼオライトを結晶化させるため水熱処理を適用する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガス及び炭素含有ガスの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0024】
第2発明では、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法を提供する。当該改良された方法は、従来技術に比して内部多孔性ナノカーボン成長の極めて高い収率を得ることができる。従来技術において、達成された(若しくは報告された)最も高い孔充填率は28%である。これは熱分解の間、炭化水素ガスを添加することにより得られる。本発明の方法を使用すると、熱分解の間炭化水素ガスを加えなくとも、60%以上の孔充填率を達成することができる。当該改良された方法は、有機金属錯体を用い、該有機金属錯体は、ゼオライト結晶を形成する工程の後、ゼオライト結晶の孔に組み込まれ、カーボンナノ構造体を成長させる後続の工程のための開始剤及び炭素源として用いられる。
【0025】
本発明に係る有機金属錯体は、含浸若しくはその場合成によりゼオライト結晶の孔に導入しても良い。ゼオライト合成溶液若しくはジェルに有機金属錯体を添加することが、従来技術として、バルカスJr.らによって開示されている。しかしながら、当該有機金属錯体は、いつもゼオライトの結晶化前に添加されていた。従来技術に係る方法を使用すると、ゼオライト合成ジェル若しくは溶液における錯体濃度はゼオライトの結晶化を可能とするため当然低く、それによりカーボンナノ構造体を用いた充填が非効率的なものとなる。
【0026】
本発明に係る有機金属錯体は、(金属性の)フタロシアニン錯体であることが好ましい。フタロシアニンは、VFIタイプゼオライト等の過剰に大きい多孔性ゼオライトに組込まれてもよく、熱分解条件の下カーボンナノ構造体に変換される。
【0027】
適切なフタロシアン錯体の好ましい具体例は、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体、具体的にはFe-フタロシアニンである。
【0028】
本発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法は、ゼオライト合成溶液若しくはジェルを準備する工程と、ゼオライト結晶を作製するため、水熱条件を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記ゼオライト結晶を加熱し、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニンと金属とから金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の間の温度で、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いてカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0029】
当該ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法は、上述したパターン化された構造内においてゼオライト結晶を成長させる方法と互換性がある。本発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法であって、ゼオライト結晶がパターン化された構造に存在し、当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を含む基板を準備する工程と、上記基板上にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、その後上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため、水熱条件を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を加熱して、ゼオライト結晶の孔においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の温度で、上記フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度において加熱し金属性フタロシアニン錯体を開始剤として使用してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0030】
本発明の実施の形態では、基板は、別のアプリケーションの機能によって選択された適切な基板であっても良い。半導体分野(半導体デバイス内での使用)については、当該基板はSi若しくはGeウェハ等の半導体基板であっても良い。
【0031】
本発明の実施の形態では、上記パターン化された構造は、5未満のk値を有する誘電体層においてパターンされたトレンチ若しくはビアホールであってもよい。適切な誘電体層の具体例は、二酸化シリコンや、ブラックダイヤモンド(応用材料)等の他の従来技術に係る低k材料である。構造体のパターニングは、フォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせを用いることにより実現してもよい。相互接続構造体としてBEOLにおいて使用するため、トレンチとビアは、50nm〜300nmの範囲の直径を有することが好ましい。トレンチは、1より大きいアスペクト比(長さ/深さ)を有し、一方、ビアは1より小さいアスペクト比(長さ/深さ)を有する。
【0032】
好ましい実施の形態では、パターン化された構造は、直径が50nm〜300nmの範囲にわたるビアを有するシングルレベルマスク構造であっても良い。個々の及び/又は一列のビアにおいて、電気的特性若しくはカーボンナノ構造体の電気的接続が可能となるように、単一で共通の底面電極上に設置しても良い。当該電極は一連の異なる材料から構成されていても良い。適切なボトムコンタクト電極材料の具体例はTiNである。単純なパターン化された構造デザインを用いることにより、ビア内に閉じ込められたゼオライトにおける垂直CNT成長、及びボトムコンタクトと上面金属化との組み合わせが容易となりCNTの必然的電極接続が可能となる。
【0033】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源、並びに任意ではあるが、テンプレート分子及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。
【0034】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、アルミニウム源、リン源並びに酸源及びテンプレート分子及び任意ではあるがAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。SAPO-5ゼオライトタイプマテリアル(AFIタイプと称する)の具体例として、アルミニウム源としてアルミニウムイソプロポキサイドが使用され、リン源としてリン酸が使用され、テンプレートとしてトリプロピルアミン(TPA)が用いられ、シリカ源としてエアロシル200(デグサ)が使用される。合成ジェルは、水ベースの溶液であることが好ましい。即ち、エタノール等のアルコールを添加して、ジェルの濡れ性を改善してもよい。珪素アルミノリン酸塩の最適な合成ジェルは、次の組成(1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2)を有していても良い。
【0035】
本発明の実施の形態では、ゼオライトの孔における含浸若しくはその場合成のために使用される有機金属錯体は、遷移金属(Fe、Ni、若しくはCoが含まれる)及び有機リガンドからなっていてもよく、ゼオライト孔に立体的に収容される。
【0036】
本発明の実施の形態では、ゼオライトは、インターナショナルゼオライトアソシエーションにより規定される好ましくは次の構造タイプ(AFI、VFIタイプの材料)の1つを備える、平行な孔を有する結晶性多孔質材料であってもよい。別の態様では、AELタイプ、AETタイプ、AFOタイプ、AFRタイプ、AFSタイプ、AFYタイプ、ASVタイプ、ATOタイプ、ATSタイプ、BEAタイプ、BECタイプ、BOGタイプ、BPHタイプ、CANタイプ、CFIタイプ、CLOタイプ、CONタイプ、DONタイプ、DFOタイプ、EMTタイプ、EONタイプ、ETRタイプ、EUOタイプ、EZTタイプ、FAUタイプ、FERタイプ、GMEタイプ、GONタイプ、IFRタイプ、IMFタイプ、ISVタイプ、IWRタイプ、IWVタイプ、IWWタイプ、LTAタイプ、LTLタイプ、MAZタイプ、MEIタイプ、MELタイプ、MFIタイプ、MFSタイプ、MORタイプ、MOZタイプ、MSEタイプ、MTTタイプ、MTWタイプ、MWWタイプ、OFFタイプ、OSIタイプ、OSOタイプ、PONタイプ、RROタイプ、RWYタイプ、SAOタイプ、SBEタイプ、SBSタイプ、SBTタイプ、SFEタイプ、SFFタイプ、SFGタイプ、SFHタイプ、SFNタイプ、SFOタイプ、SOSタイプ、SSYタイプ、STFタイプ、SZRタイプ、TERタイプ、TONタイプ、TUNタイプ、USIタイプ、UTLタイプ、VETタイプ材料であってもよい。
【0037】
本発明の実施の形態では、上記合成ジェルを組み込むため使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択される。超音波処理は、パターン化された構造に合成ジェルを組み込むために使用してもよく、適切な超音波処理の条件は、具体的には47kHzで15分である。スピンコーティングを使用して、基板から過剰な合成ジェルを取り除いてもよく、適切なスピンコーティング条件は、具体的には15000rpmで10秒である。
【0038】
本発明の実施の形態では、合成ジェルを結晶化させるため水熱処理を用い、それにより(規則正しい)ゼオライト結晶を形成する。適切な水熱処理条件には、100〜200℃で、2〜48時間、より好ましくは150〜180℃で、14〜15時間、オートジニアス圧力(autogeneous pressure)の下、基板を加熱することが含まれる。
【0039】
本発明の実施の形態では、リンス及び乾燥は、二段蒸留水を用いて実行される。
【0040】
本発明の実施の形態では、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くために必要な付加的な機械的力としては、超音波を用いて実行される。超音波処理後、基板は再び二段蒸留水により徹底的にリンスされる。
【0041】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、カーボンナノ構造体の垂直成長がビア(垂直ホール)において実現され、カーボンナノ構造体の水平成長がトレンチ(水平ライン)において実現されるように行われる。
【0042】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、高温熱分解条件を用いて達成される。ナノ構造体合成のために必要とされる炭素源は、ゼオライト合成のために使用される有機テンプレート分子が起源である。これに代えて(若しくはこれに加えて)炭素含有ガスを熱分解条件(できるだけ高圧の条件)下で大気に加えてもよい。さらに別の形態では、ゼオライト結晶(例えば金属フタロシアニン錯体)の多孔質構造体内において有機金属錯体を形成して、ゼオライト孔においてこれらの有機金属錯体を積層される。
【0043】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させるために用いられる熱分解工程は、熱リアクター、具体的には炉において実行される。当該リアクターは、ゼオライト結晶を1000℃まで加熱することができなければならない。当該リアクターには、真空若しくは所望の圧力に維持されるチャンバが含まれることが好ましく、さらに当該チャンバへのガスフローを可能とする手段を含んでいても良い。好ましい熱分解には、不活性ガスフローの下ゼオライト結晶を加熱することが含まれていてもよい。その後、ゼオライト結晶を、10〜3600分、400〜900℃に、より好ましくは50〜150分、550℃に、等温的に維持する。
【0044】
本発明の上記の及び他の特徴、特性、及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。当該図面は具体例により本発明の原理を説明している。当該記載は、本発明の技術的範囲を離れることなく、具体例としてのみ与えられる。引用される参照番号は、添付の図面を参照する。
【0045】
図面の参照図において好ましい実施の形態を説明する。ここに開示された実施の形態及び図面は、限定的ではなく例示的であると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】図1Aは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内にゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップを説明したフローチャートである。
【図1B】図1Bは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップ、及び炭素含有ガスの存在下、ゼオライト結晶を加熱することにより、ゼオライト結晶の孔にカーボンナノ構造体を成長させることを説明したフローチャートである。
【図1C】図1Cは、本発明の好ましい実施の形態に係る、有機金属錯体を用いて、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を合成する様々なステップを説明したフローチャートである。
【図1D】図1Dは、本発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップ、及び有機金属錯体を用いて、炭素含有ガスの存在下、ゼオライト結晶を加熱することにより、ゼオライト結晶の孔にカーボンナノ構造体を成長させることを説明したフローチャートである。
【図2】図2Aは、基板の上面に含浸された合成ジェルを有する、パターン化された構造(開口)、具体的にはBEST02パターンを有する基板の断面を示す。図2Bは、基板の上面に含浸された合成ジェルを有する、パターン化された構造(開口)、具体的にはBEST02パターンを有する基板の断面を示す。図2Cは、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を得るため、超音波処理(振動)及び水熱処理した後のパターン化された構造を有する基板の断面を示している。図2Dは、熱分解後、パターン化された構造をゼオライト結晶で充填し、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を得た基板の断面を示す。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施の形態に係る水熱合成工程を実施するための構成を示している。
【図4】図4は、BEST02パターン化ウェハのビアホールにおいて成長したAIPO−5結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)イメージである。
【図5】図5Aは、BEST02パターン化ウェハに成長した1つのゼオライトクラストの下面のSEMイメージである。図5Bは、ゼオライトクラスト及び関連するBEST02パターン化ウェハの概略図を示している。
【図6】図6Aは、透過型電子顕微鏡(TEM)イメージである。図6Bは、BEST02パターン化基板のゼオライト片のTEM回折パターンである。
【図7】図7は、超音波処理工程及び/又はスピンコーティング工程を用いることなく、BEST02パターン化ウェハに成長させたゼオライト結晶のSEMイメージを示す比較例である。
【図8】図8は、(充填効果を可視化するためウェハ基板の一部に)超音波処理工程及びスピンコーティング工程を用いてBEST02パターン化構造体に成長させたゼオライト結晶のSEMイメージである。
【図9】図9は、BEST02パターン化構造体のトレンチ構造体内で成長させた、水平方向に配列されたゼオライト結晶のSEMイメージである。
【図10】図10は、その場合成により、VPI−5ゼオライト結晶孔内に組み込まれたフタロシアニン錯体を示している。当該図は、従来技術文献、パードンら、(1994)、ジャーナルオブモルキュラーカタラシスA:化学、97:183−186から抜粋した。
【図11】図11は、熱分解後フタロシアニンが含浸されたVPI−5のラマンスペクトルを示している。
【図12】図12Aは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Aは、当該試験構造を含むSiウェハ基板の上面を示したSEM写真である。図12Bは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Bは、ビアホールを示したウェハ基板のより詳細な上面図を示している。図12Cは、上述した、具体例1〜5において使用されたBEST02に係る試験構造デザインを示している。図12Cは、ビアの底面に、Ti/TiNコンタクト電極を有するSi基板のビアホールの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、図面を参照しながら特定の実施の形態に関して説明するが、本発明は以下に限定されるわけではなく、クレームのみによって限定される。説明された図は、概略するためだけのものであり、限定するためのものではない。図面において、構成要素のいくつかの大きさは誇張され、説明のため同一縮尺で描写されていない。当該ディメンジョン及び相対的ディメンジョンは、本発明の実施に対する実際の縮尺に対応していない。
【0048】
この明細書を通して「1つの実施の形態」若しくは「ある実施の形態」と言及することは、当該実施の形態に関連して記載された特定の特徴、構造、特性が、本発明の実施の形態の少なくとも1つに含まれていることを意味する。このため、この明細書を通して様々なところに「1つの実施の形態において」若しくは「ある実施の形態において」とのフレーズが現れることは、必ずしも同じ実施の形態を参照するわけではなく、可能性があればよい。さらに、特定の特徴、構造、若しくは特性は、1以上の実施の形態において、当該開示から当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明な適切な全ての方法により組み合わせることができる。
【0049】
明細書及びクレームにおける、上部、下部、真上に、真下に等の用語は、概略のために使用され、必ずしも相対的なポジションを記載するために使用されるわけではない。このように使用される用語は、適切な条件の下で相互に交換可能であり、ここに記載された発明の実施の形態は、ここで説明された若しくは例示された方向と別の方向にも実施できることは理解されよう。
【0050】
クレームにおいて使用される「含んでいる」との用語は、それ以降に挙げられた手段に限定されると解釈すべきではない点に留意すべきである。すなわち、他の構成要素若しくは工程を排除するものではない。そのため、言及された所定の特徴、整数、工程、若しくは構成要素が存在することを特定すると解すべきであり、1以上の他の特徴、整数、工程、若しくは構成要素、若しくはこれらのグループが存在すること若しくは追加することを排除するものではない。このため、「構成要素A及びBを備える解決手段」との表現の技術的範囲は、構成要素A及びBのみからなる解決手段に限定すべきではない。本発明に関する限り、当該解決手段に単に関連する構成要素がAとBであることを意味する。
【0051】
さらに、「テンプレート」なる用語は、有機性ゼオライト形成構造指向剤を意味することに留意すべきである。当該構造指向剤は、通常、例えばトリプロピルアミン(TPA)、トリエチルアミン、テトラプロピルアンモニウムハイドロキシド、テトラエチルアンモニウムハイドロキシド、トリエチル-n-プロピルアンモニウムハイドロキシド、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、ピペリジン、N-メチルジエタノールアミン等の有機アミンである。
【0052】
さらに、「合成ジェル」若しくは「合成溶液」なる用語は、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源、任意ではあるが、テンプレート分子、及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよいゼオライト合成用組成ジェル若しくは溶液を意味することに留意すべきである。さらに、「合成ジェル」若しくは「合成溶液」なる用語は、アルミニウム源及びリン源並びに酸源、任意ではあるがテンプレート分子及びSi、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含むゼオライト合成用組成ジェル若しくは溶液を意味することに留意すべきである。
【0053】
さらに、「カーボンナノ構造体」なる用語は、カーボンナノ粒子、カーボンナノファイバー及びシングルウォール構造、ダブルウォール構造、若しくはマルチウォール構造を有するカーボンナノチューブ(CNTs)(それぞれSW-、DW-、及びMW-CNTsと称する)を意味することに留意すべきである。
【0054】
さらに、多孔質構造体なる用語は、2nm以下の範囲の孔を有するマイクロポーラス構造体、2nm〜50nmの範囲の孔を有するメソポーラス構造体、若しくは50nmより大きい範囲の孔を有するマクロポーラス構造体を意味することに留意すべきである。
【0055】
同様に、当然のことながら、本発明の好ましい実施の形態の記載において、本発明の様々な特徴は、当該開示を簡素化するため、及び1以上の様々な独創的な側面を理解することを助力するため、時折1つの実施の形態、図面若しくはその記載が一緒に纏められていることがある。しかしながら、このような開示の仕方は、クレームされた発明が、各クレームに明示的に記載されたもの以外の特徴を要求することを反映していると解釈すべきではない。そうではなく、次のクレームに反映されているように、独創的な側面は、先に開示する1つの実施の形態の全ての特徴に満たない。そのため、詳細な説明に続くクレームは、ここでは、本発明の分離された実施の形態としてそのまま存在する各クレームとともに詳細な説明に明示的に組み込まれている。
【0056】
さらに、ここで記載されるいくつかの実施の形態がいくつかの特徴を含み、別の特徴が他の実施の形態に含まれることがあるが、当該技術分野における当業者が理解できるように、異なる実施形態の特徴を組み合わせたものは、本発明の範囲内あり、異なる実施の形態を形成する。例えば、次のクレームにおいて、クレームされた形態のいずれかを、いずれかのコンビネーションにおいて使用することができる。
【0057】
以下、本発明をいくつかの実施の形態に係る詳細な説明により概略する。本発明の真の思想若しくは技術的教示から離れることなく、当該技術分野における当業者の知識に基づいて本発明の他の実施の形態を構成することができることは明らかである。当該発明は、添付のクレームの用語だけにより限定される。
【0058】
第1発明では、パターン化された構造(パターンの開口)内にゼオライト結晶を形成するための方法が提供される。
【0059】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造内にゼオライト結晶を組み込むための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、その後、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、を少なくとも備える。
【0060】
図1Aは、第1発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成するための様々なプロセスステップを示したフローチャート10である。第1工程11において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)が従来技術の方法に従って準備される。次の工程12において、既知の方法、すなわち、基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)する方法や、基板の上面に合成ジェルをコーティングする方法により、合成ジェルを基板と接触させる。つづいて、工程13において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、パターン化された構造に合成溶液を含ませる。さらに次の工程14において、パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理条件を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程15において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスし乾燥させる。付加的な(任意の)工程16において、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加えてもよい。
【0061】
上記の、ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる工程は、図3に示すステンレス鋼オートクレーブ60において実行しても良い。図3に示す実験構成は、テフロン(登録商標)基板ホルダー62を有し、この上にウェハピース(パターン化された構造を含む基板)が配置される。リアクターの下面は、合成ジェル53により満たされ、この中にウェハピース若しくは基板が浸漬されている。
【0062】
第1発明の好ましい実施の形態に係る方法を用いて、パターン化された構造の制約により規定された方向に、ゼオライト結晶成長が方向付ける(さらにゼオライト構造内において孔が配向される)。すなわち、パターン化された構造の外形的パラメータ(深さ対長さ)により規定されうる。このため、ビア(垂直ホール)におけるゼオライト結晶の直接垂直成長、及びトレンチ(水平ライン)におけるゼオライト結晶の直接水平成長を達成することが可能となる。図9は、BEST02パターンにおける(水平)トレンチ構造において成長させた、水平に配列されたゼオライト結晶のSEMイメージである。基板上に水平に成長させるとは、基板が平面上に載置されている場合に、ゼオライト結晶を基板の平面と実質的に平行な方向に成長させることを意味する。また、基板上に垂直に成長させるとは、基板が平面上に載置されている場合に、ゼオライト結晶を基板の平面と実質的に垂直な方向に成長させることを意味する。
【0063】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を有する基板であって、上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、上記ゼオライト結晶が、上記パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板が開示されている。当該パターン化された構造は、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであっても良い。
【0064】
第1の好ましい実施の形態に記載された第1発明は、以下の本発明の別の好ましい実施の形態において記載されたゼオライト結晶の孔内に長いカーボンナノ構造体(具体的にはカーボンナノチューブ)を形成するために遂行される。これらのカーボンナノ構造体の成長は、第1の実施の形態に従って形成されたゼオライト結晶を炭素含有ガスの存在下350〜1000℃の温度範囲で加熱することにより実行することができる。
【0065】
第1発明の別の好ましい実施の形態では、パターン化された構造の中のゼオライト結晶の孔内に(整列された)カーボンナノ構造体を成長させるための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱する工程と、を少なくとも有する。
【0066】
図1Bは、第1発明の好ましい実施の形態に係るパターン化された構造内において、ゼオライト結晶をまず合成し、その後ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を成長させる好ましいプロセスステップを示したフローチャート20である。第1工程21において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル、及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)は従来技術の方法に従って準備される。次の工程22において、当該合成ジェルを、既知の方法、すなわち、基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)する方法や、基板の上面に合成ジェルをコーティングする方法により、基板に接触させる。つづいて、工程23において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、パターン化された構造に合成溶液を含ませる。さらに次の工程24において、パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程25において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスし乾燥させる。工程25に付加して(任意であるが)、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加えてもよい。最終的に、工程26において、ゼオライト結晶を炭素含有ガスの存在下、好ましくは350℃〜1000℃の範囲の温度で加熱する。
【0067】
第1発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を有する基板であって、上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、上記パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板が開示されている。当該パターン化された構造は、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであっても良い。
【0068】
第2発明では、最初ゼオライト結晶の孔に有機金属錯体を含浸させ、その後カーボンナノ構造体を成長させるため熱処理を実行することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を形成する方法を提供する。これにより、ゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法となる。当該改良された方法は、従来技術と比較して、内部多孔性ナノカーボン成長の収率が極めて高いものとなる。
【0069】
第2発明の好ましい実施の形態では、有機金属錯体は、含浸若しくはその場合成によりゼオライト結晶の孔内に導入しても良い。
【0070】
本発明の有機金属錯体は、好ましくは金属性フタロシアニン錯体である。フタロシアニンは、VFIタイプゼオライト等の過剰に大きい多孔性のゼオライトに組込まれてもよく、熱分解条件の下カーボンナノ構造体に変換される。適切なフタロシアン錯体の好ましい具体例は、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体である。具体的には、フタロシアニン及びFeの固体源若しくは前駆体を蒸発させゼオライト結晶の多孔質構造体内において再結合させゼオライト結晶の孔内にFe-フタロシアニンを形成することにより、当該ゼオライトにFe-フタロシアニンを組み込んでも良い。ゼオライト結晶の孔内にフタロシアニン錯体を積層することは、内部多孔性ナノチューブ成長のためには高い炭素密度が必要とされること、及び遷移金属触媒の存在が任意であることに関連する。
【0071】
第2発明の実施の形態では、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させる改良された方法は、ゼオライト合成溶液若しくはジェルを準備する工程と、その後ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、ゼオライト結晶を加熱して、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、室温〜400℃の温度で、上記フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ、そして金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度において加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として使用してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0072】
図1Cは、第2発明の好ましい実施の形態に係る、ゼオライト結晶の孔内に有機金属錯体を組み込み、その後カーボンナノ構造体を成長させるため熱処理を実行することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を形成するプロセスステップを示したフローチャート30である。第1工程31において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェルは、従来技術の方法に従って調製される。次の工程32において、ゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程33において、ゼオライト結晶を好ましくは室温〜400℃の温度で加熱して、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発させ及び金属を含浸させる。工程34において、カーボンナノ構造体は、350℃〜1000℃の範囲の温度で加熱することにより金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いて成長させる。任意ではあるが、カーボンナノ構造体の成長を開始させるため、工程34において炭化水素ガス若しくはCOガスをリアクターに加えても良い。
【0073】
図10は、その場合成により、VPI−5ゼオライト結晶70の孔内に組み込まれたフタロシアニン錯体81を示している。当該図は、従来技術文献、パードンら、(1994)、ジャーナルオブモルキュラーカタラシスA:化学、97:183−186から抜粋した。
【0074】
図11は、熱分解後フタロシアニンが含浸されたVPI−5のラマンスペクトルを示している。第2発明に係るゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体(具体的にはCNT)を成長させるための改良された方法は、上記第1発明の実施の形態に記載された、パターン化された構造内にゼオライト結晶を成長させるための方法と互換可能である。
【0075】
第2発明に係る、有機金属錯体を用いてゼオライト結晶の孔内においてカーボンナノ構造体を成長させる方法は、第1発明に係る、パターン化された構造にゼオライト結晶を組み込む方法と組み合わせることができる。本発明の好ましい実施の形態は、パターン化された構造に配置されたゼオライト結晶の孔内に長いカーボンナノ構造体(具体的にはカーボンナノチューブ)を形成するために使用される好ましい方法のステップを記載する。
【0076】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造のゼオライト結晶孔内に、整列されたカーボンナノ構造体を成長させるための方法を提供する。当該方法は、上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため、機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、上記基板をリンスし乾燥させる工程と、任意ではあるが内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、ゼオライト結晶を加熱し、フタロシアニンと金属から、ゼオライト結晶の孔内において金属フタロシアニン錯体が形成されるように、0℃〜400℃の間の温度で、フタロシアニンの固体源若しくは前駆体を蒸発及び金属を含浸させる工程と、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、金属フタロシアニン錯体を開始剤として用いてカーボンナノ構造体を成長させる工程と、を少なくとも備える。
【0077】
図1Dは、本発明の好ましい実施の形態に係る好ましいプロセスステップを示したフローチャートであって、最初パターン化された構造内においてゼオライト結晶を合成し、続いてゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる。第1工程41において、ゼオライト結晶を形成するに適した合成ジェル及び上面にパターン化された構造(開口)を有する基板(具体的にはウェハ)を従来方法に従って準備する。次の工程42において、上記合成ジェルを既知の方法、例えば基板を合成ジェルに浸漬(ディッピング)するか、もしくは基板の上面に合成ジェルをコーティングすることにより基板と接触させる。次の工程43において、超音波処理及び/又は振動等の機械的力を用いて、上記パターン化された構造に合成溶液を含浸させる。さらに次の工程44において、上記パターン化された構造内にゼオライト結晶を形成するため、水熱処理を適用して(加熱して)ゼオライト合成溶液を結晶化させる。つづいて、工程45において、ゼオライト結晶を含む基板をリンスしそして乾燥させる。工程45に付加して(任意に)付加的な機械的力を加えて、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を基板から取り除いてもよい。工程46において、ゼオライト結晶の孔内においてフタロシアニン及び金属から金属フタロシアニン錯体が形成されるように、ゼオライト結晶を0℃〜400℃の間の温度で加熱し、フタロシアニンの固体源若しくは前駆物質を蒸発させ金属を含浸させる。工程47において、金属性フタロシアニン錯体を開始剤として使用し、350℃〜1000℃の間の温度で加熱することにより、ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる。
【0078】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態に係る方法を用いて、構造体の制約により規定された方向にカーボンナノ構造体が成長するように、上記パターン化された構造の制約により規定された方向にゼオライト結晶成長を方向付ける(それによりゼオライト構造体の中の孔を配向させる)。すなわち、カーボンナノ構造体の成長を、パターン化された構造の外形的パラメータ(深さ対長さ)により規定しても良い。これにより、ビア(垂直ホール)におけるカーボンナノ構造体の直接垂直成長及びトレンチ(水平ライン)におけるカーボンナノ構造体の直接水平成長を達成することが可能である。図9は、BEST02パターン化構造のトレンチ構造51において成長させたゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体54を有する水平に配列されたゼオライト結晶53を示している(SEMイメージ)。
【0079】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造(開口)を備える基板であって、上記のパターン化された構造がゼオライト結晶を含み、さらにゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有することを特徴とする基板が開示されている。
【0080】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態に係る、パターン化された構造(開口)を備える基板であって、当該パターン化された構造がゼオライト結晶を含み、さらにゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、パターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有する基板を、半導体装置における相互接続構造体として使用しても良い。
【0081】
図2A及び2Bは、基板51の上面に合成ジェル52が含浸された、パターン化された構造51(開口)具体的にはBEST02パターンを有する基板50の断面を示している。図2Cは、パターン化された構造51内においてゼオライト結晶53を得るため、超音波処理(振動)及び水熱処理が行われた後のパターン化された構造51を有する基板50の断面を示している。図2Dは、ゼオライト結晶53の孔内においてカーボンナノ構造体54を得るため熱分解が行われた後の、ゼオライト結晶53で充填された、パターン化された構造51を有する基板の断面を示している。
【0082】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、上記基板は、別のアプリケーションの機能において選択されたいずれかの適切な基板であっても良い。半導体分野(半導体装置内での使用)においては、上記基板は、Si若しくはGeウェハ等の半導体基板であっても良い。
【0083】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、誘電体層においてパターン化され5未満のk値を有するパターン化された構造は、トレンチであっても良いし、ビアホールであってもよい。図12A〜12Cは、BEST02試験構造体に係る、パターン化された構造デザイン(ウェハ上面に析出された誘電体層においてエッチングされたビアを有するSiウェハ)を示している(具体例1〜5において使用されている)。図12Aは、試験構造体を含むSiウェハ基板80の上面を示したSEM写真であり、図12Bは、誘電体層82においてエッチングされたビアホール81を示した、ウェハ基板80のより詳細な上面図を示している。図12Cは、ビアホール81においてTi/TiNコンタクト電極を有するSi基板におけるビアホール81の断面を示している。適切な誘電体層82の具体例は、二酸化シリコンや、ブラックダイヤモンド等(応用材料)の他の従来の低k材料である。構造体のパターニングは、フォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせを用いて実現することができる。BEOLにおいて相互接続構造として使用されるように、トレンチ及びビアは、50nm〜300nmの範囲の直径を有することが好ましい。トレンチは1より大きいアスペクト比(長さ/深さ)を有し、一方ビアは1より小さいアスペクト比(長さ/深さ)を有する。3次元(3D)ウェハスタッキングにおいてディープビアとして使用されるためには、ビアは、当該基板において、1μm〜10μmの範囲の幅を有することが好ましく、10μm〜100μmの範囲の深さを当該基板において有することが好ましい。より好ましくは、上記ディープビアは、5μmの幅及び50μmの深さを有する高アスペクト比である。
【0084】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、パターン化された構造は、50nm〜300nmの範囲の直径のビアを有するシングルレベルマスク構造であってもよい。電気的特性若しくは個々の及び/又は一列のビアにおけるカーボンナノ構造体の電気的接触を可能とするため、当該ビアは単一の共通する底面電極に配置してもよい。これは一組の異なる材料からなる。適切な底面電極の具体例はTiNである。単純にパターン化された構造デザインを用いることにより、ビア内に閉じ込められたゼオライト内における垂直CNT成長を容易にすることができ、底面電極及び上部メタライゼーションを組み合わせることによりCNT電気接続が可能となる。
【0085】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、無機性若しくは有機性のシリコン源及びアルカリ源を含んでいてもよく、任意ではあるがテンプレート分子及びAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。
【0086】
本発明の実施の形態では、上記ゼオライト合成溶液若しくはジェルは、アルミニウム源、リン源並びに酸源及びテンプレート分子及び任意ではあるがAl、Ga、Ti、Fe、Co、Ge、P若しくはこれらを組み合わせたもの等のヘテロ元素を含んでいてもよい。SAPO-5ゼオライトタイプマテリアル(AFIタイプと称する)の具体例では、アルミニウム源としてアルミニウムイソプロポキサイドが使用され、リン源としてリン酸が使用され、テンプレートとしてトリプロピルアミン(TPA)が使用され、シリカ源としてエアロシル200(デグサ)が使用される。合成ジェルは、水性の溶液であることが好ましい。即ち、エタノール等のアルコールを添加して、ジェルの濡れ性を改善してもよい。珪素アルミノリン酸塩の最適な合成ジェルは、次の組成(1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2)を有していても良い。
【0087】
本発明の実施の形態では、ゼオライトの孔における含浸若しくはその場合成のために使用される有機金属錯体は、Fe、Ni、Coを含む遷移金属及び有機リガンドからなっていてもよく、ゼオライト孔に立体的に収容されている。
【0088】
本発明の実施の形態では、ゼオライトは、インターナショナルゼオライトアソシエーションにより規定される好ましくは次の構造タイプ(AFI、VFIタイプの材料)の1つを有する、平行な孔を有する結晶性多孔質材料であってもよい。別の態様では、AELタイプ、AETタイプ、AFOタイプ、AFRタイプ、AFSタイプ、AFYタイプ、ASVタイプ、ATOタイプ、ATSタイプ、BEAタイプ、BECタイプ、BOGタイプ、BPHタイプ、CANタイプ、CFIタイプ、CLOタイプ、CONタイプ、DONタイプ、DFOタイプ、EMTタイプ、EONタイプ、ETRタイプ、EUOタイプ、EZTタイプ、FAUタイプ、FERタイプ、GMEタイプ、GONタイプ、IFRタイプ、IMFタイプ、ISVタイプ、IWRタイプ、IWVタイプ、IWWタイプ、LTAタイプ、LTLタイプ、MAZタイプ、MEIタイプ、MELタイプ、MFIタイプ、MFSタイプ、MORタイプ、MOZタイプ、MSEタイプ、MTTタイプ、MTWタイプ、MWWタイプ、OFFタイプ、OSIタイプ、OSOタイプ、PONタイプ、RROタイプ、RWYタイプ、SAOタイプ、SBEタイプ、SBSタイプ、SBTタイプ、SFEタイプ、SFFタイプ、SFGタイプ、SFHタイプ、SFNタイプ、SFOタイプ、SOSタイプ、SSYタイプ、STFタイプ、SZRタイプ、TERタイプ、TONタイプ、TUNタイプ、USIタイプ、UTLタイプ、VETタイプ材料であってもよい。
【0089】
本発明の実施の形態では、上記合成ジェルを組み込むため使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択される。超音波処理は、合成ジェルをパターン化された構造に含浸させるために用いてもよく、適切な超音波処理の条件は、具体的には47kHzで15分である。スピンコーティングを使用して、基板から過剰な合成ジェルを取り除いてもよく、適切なスピンコーティング条件は、具体的には15000rpmで10秒である。
【0090】
本発明の実施の形態では、合成ジェルを結晶化させるため水熱処理を用い、それにより(規則正しい)ゼオライト結晶を形成する。適切な水熱処理条件は、100〜200℃で、2〜48時間、より好ましくは150〜180℃で、14〜15時間、オートジニアス圧(autogeneous pressure)の下、基板を加熱することが含まれる。
【0091】
本発明の実施の形態では、リンス及び乾燥は、二段蒸留水を用いて実行される。
【0092】
本発明の実施の形態では、内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くために必要な付加的な機械的力は、超音波処理を用いて加えられる。超音波処理後、基板は再び二段蒸留水により徹底的にリンスされる。
【0093】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、カーボンナノ構造体の垂直成長がビア(垂直ホール)において実現され、カーボンナノ構造体の水平成長がトレンチ(水平ライン)において実現されるように行われる。
【0094】
本発明の実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させる工程は、高温熱分解条件を用いて実現される。ナノ構造体合成のために必要とされる炭素源については、ゼオライト合成のために使用される有機テンプレート分子が起源となる。これに代えて(若しくはこれに加えて)炭素含有ガスは、熱分解条件(できるだけ高圧の条件)下で大気に加えてもよい。さらに別の形態では、ゼオライト結晶(例えば金属フタロシアニン錯体)の多孔質構造体内において有機金属錯体を生成して、ゼオライト孔においてこれらの有機金属錯体が積層される。
【0095】
第1発明及び第2発明の好ましい実施の形態では、カーボンナノ構造体を成長させるために用いられる熱分解工程は、熱リアクター、具体的には炉において実行される。当該リアクターは、ゼオライト結晶を1000℃まで加熱することができなければならない。当該リアクターには、真空若しくは所望の圧力に維持されるチャンバが含まれることが好ましく、さらに当該チャンバへのガスフローを可能とする手段が含まれていても良い。好ましい熱分解は、不活性ガスのフローの下ゼオライト結晶を加熱することであってもよい。その後、ゼオライト結晶を、10〜3600分、400〜900℃に、より好ましくは50〜150分、550℃に、等温的に維持する。
【0096】
以下本発明の実施の形態に係る方法をいくつかの実施例により例示する。これらの実施例は単なる例示であって、全く本発明を制限することを意図したものではないことは理解されよう。
【実施例】
【0097】
実施例1 超音波処理を用いてビアホールにゼオライト結晶を組み込む/その場成長させる
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をりん源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬し、その後合成ジェル及びウェハピースを含むビーカーを15分間47kHzで超音波バスに置いた。過剰の合成ジェルは、スピンコーティング法を、15000rpmで10秒間使用して取り除いた。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。
【0098】
実施例2:比較例:超音波処理を用いずビアホールにゼオライト結晶を組み込む/その場成長させる
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をリン源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬した。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。ビアホール内に結晶が全く若しくは非常に僅かしか成長しなかった。このことは、超音波処理工程が、BEST02ビアホール及びトレンチにおける制限された結晶成長の合成にとって必要不可欠であることを示している。図7は、超音波処理及び/又はスピンコーティング工程を実行しなかった場合の、BEST02パターン化ウェハにおけるゼオライト結晶成長のSEMイメージを示した比較例である。
【0099】
実施例3:比較例
SAPO-5のための典型的な合成手順において、アルミニウムイソプロポキサイドをアルミニウム源として、リン酸をりん源として、トリプロピルアミン(TPA)をテンプレートとして、エアロシル200(デグサ)をシリカ源として使用した。最適な合成ジェルは、次の組成、すなわち、1 Al2O3:0.99 P2O5:1.2 TPA:400 H2O:20 エタノール:0.01 SiO2を有する。50nm〜200nmの直径のビアホールを有するパターン化されたウェハピースを合成ジェルに浸漬し、その後合成ジェル及びウェハピースを含むビーカーを15分間47kHzで超音波処理バスに置いた。オートジェネラス圧で、14時間〜15時間、180℃で結晶化した。その後、オートクレーブを空冷し、ウェハピースを二段蒸留水により徹底的にリンスした。固着していない結晶を取り除くため、再度、ウェハピースを超音波処理し、再び二段蒸留水により徹底的にリンスした。
【0100】
大径のゼオライト結晶をウェハ上面に成長させクラストを形成する。ゼオライト成長の間供給源が枯渇することがないので、一旦ビアホール若しくはトレンチの閉じ込め効果が無くなると、大きな結晶成長が見られる。結晶の配向性は上記パターンにより規定される。ゼオライト結晶の凝集は、吸着性ゼオライトウェハより大きいため、ゼオライト”ルーツ”は、後の合成のための超音波処理の間に、大部分はビアホールから取り除かれる。ゼオライトクラストの底面を見ると、充填度は非常に良好であるようである。しかし、後の合成超音波処理の間大きな結晶が分離され、これらはゼオライトルーツとなる。
【0101】
実施例4 ゼオライト結晶化後有機金属錯体を用いてCNTを成長させる
Si-VPI-5の合成は、マルテンズら(カタリシスレター、(12)367-374、1991)の手法をわずかに変更した手法を用いて成功した。ゾルゲルケミストリーにより、1 Al2O3:1.05 P2O5:2 TBA:0.2 DPTA:40 H2O:0.2 SiO2の組成を有するジェルから、純粋なSi-VPI-5の相を得た。最初、Al源、疑似ベーマイト、及びP源、リン酸を60%及び40%の水でそれぞれ水和させた。希釈されたリン酸をAlゾルに滴下して加えた。当該ジェルを25分間水熱バス(95度)内に配置し、その後室温で165分間時効させた。2つの時効期間の後、テンプレートを滴下して加えた。その後、ルドックスAS-40の形態でSiを単発で加えた。ジェルをさらに5分緩やかに攪拌し、ステンレス鋼オートクレーブ内にテフロン(登録商標)ビーズとともに注入した。オートクレーブは回転させながら18時間150℃まで加熱し、得られた固体を遠心分離機で分離して、その後水により徹底的に洗浄した。粉末を30℃でオーブンの中で乾燥させた。その場化学合成によりフタロシアニンを組み込んだ。VPI-5粉末を1,2-ジシアノベンゼン及びフェロセンとよく混合した。当該混合物をHe雰囲気下4時間250℃で加熱した。得られた材料は、溶媒の色がなくなるまで、アセトン、ジメチルホルムアミドさらにアセトンで連続的にソクスレト抽出を行った。VPI-5孔においてカーボンナノ構造体を得るため、Heフローの下、2時間、600℃で加熱した。熱分解の間、炭素含有ガスを添加することなく、10wt%以下のカーボンナノ構造体を実現した。これは、従来(US2006/0051674)より性能が優れている。熱分解手続の間、炭素含有ガスを加えることなく、18%までのナノカーボンの孔充填率が報告されている。また、熱分解の間炭素含有ガスを加えれば、28%以下の充填度が達成できることは報告されている。炭化水素ガスを加えなくとも、Feフタロシアニンが組み込まれた熱分解により、60%の孔充填率のナノカーボンを作製することができる。ラマンスペクトルは、0.25という低いID/IG比を与え、これは、形成されたナノカーボンが高い品質を有することを示している。また、SWCNTの存在する場合において典型的なRBMバンドが検出される。RBM度から計算された直径が、VFIのフレームワークの孔サイズと非常に良く一致する。
【0102】
実施例5:比較例
Si-VPI-5の合成後、いくつかの有機系テンプレート分子は、フレームワークの孔内になお存在する。しかしながら、これは、AIPO-5と対照的に、ナノチューブ合成のための炭素源として使用することができない。VFI合成のための有機テンプレート分子の熱分解により、ナノカーボンは形成されない。これは、VFIフレームワークに(金属性の)フタロシアニン錯体を加える必要がないことを示しており、これは、開発された方法の新規性を与えるものである。
【0103】
実施例6:試験構造パターンデザイン(BEST02)についての詳細
ここで使用されるパターン化された構造、いわゆるBEST02試験構造は、直径が50〜300nmの範囲に及び、3つの異なるピッチを有するビアを備えるシングルレベルマスク構造である。電気的特性若しくは個々の及び/又は一列のビアにおけるカーボンナノ構造体の電気的接触を可能とするため、当該ビアは単一の共通な底面電極に配置してもよい。当該底面電極は一組の異なる材料からなる。TiNは、適切な材料であり、試験構造体において底面電極材料として選択される。単純なテスト構造デザインにより、ビア内に閉じ込められたゼオライト内における垂直CNT成長を容易にすることができる。底面電極及び上部メタライゼーションを組み合わせることにより、CNTの電気的な試験を可能とすることができる。
【0104】
試験構造体の特定の詳細としては、50〜300nmの直径のビア(コンタクト)ホール、及びビアが150nmの直径までエッチングされることを意味する標準的なプロセスを使用することが含まれる。
【0105】
それぞれのレチクルマトリックスは、異なるピッチのビアホールの3つのアレイを含む。
-ビアの直径の2倍に相当するビアピッチを有する緻密なコンタクトホール
=>8000(300nm)〜17000(150nm)列、81コラム
-ビアの直径の2.4倍に相当するビアピッチを有する程々に緻密なコンタクトホール
=>7000(300nm)〜14000(150nm)列、96〜98コラム
-ビアの直径の6倍に相当するビアピッチを有する離隔したコンタクトホール
=>2400(300nm)〜4800(150nm)列、281コラム
【0106】
図12A〜12Cは、上述したBEST02デザインに係る試験構造デザインのSEM写真を示している(当該デザインは具体例1〜5において使用されている。)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化された構造(開口)を有する基板であって、
当該パターン化された構造が、ゼオライト結晶で充填され、該ゼオライト結晶及びゼオライト結晶内の孔が、上記パターン化された構造の制約により規定される方向に配向性を有することを特徴とする基板。
【請求項2】
上記パターン化された構造が、5未満のk値を有する誘電体層においてパターン化され、及び/又はフォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせにより達成されたトレンチ若しくはビアホールであり、及び/又は50nm〜300nmの範囲の直径を有する、半導体装置におけるトレンチ及びビアであることを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項3】
上記誘電体層が二酸化シリコン若しくは低k材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板。
【請求項4】
請求項1記載のパターン化された構造内に、ゼオライト結晶を組み込むための方法であって、
上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、
上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、
上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、
ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、
上記基板をリンスし乾燥させる工程と、
内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、
を少なくとも有することを特徴とする方法。
【請求項5】
上記の、合成ジェルを含ませるために使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
ゼオライト結晶の多孔質構造体内においてカーボンナノ構造体を成長させるための方法であって、
結晶化工程を完了した後、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程をさらに有することを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
ゼオライト結晶の多孔質構造体内においてカーボンナノ構造体を成長させるための方法であって、
結晶化工程を完了した後において、
含浸若しくはその場合成により有機金属錯体を加える工程と、
つづいて、ゼオライト結晶を不活性ガスの存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、
を少なくとも有する請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
基板にゼオライト合成溶液(ジェル)を供給する工程と、
つづいてゼオライトを結晶化させるため水熱処理を適用して上記ゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、
含浸若しくはその場合成により有機金属錯体を加える工程と、
ゼオライト結晶を不活性ガスの存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、
を少なくとも有する方法。
【請求項9】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
上記有機金属錯体が、(金属性)フタロシアニン錯体であることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
上記有機金属錯体が、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体から選択されることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【請求項11】
パターン化された構造(開口)を有する基板であって、
上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、さらに上記ゼオライト結晶内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、上記のパターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有することを特徴とする基板。
【請求項12】
上記のパターン化された構造が、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであることを特徴とする請求項11記載の基板。
【請求項13】
上記のパターン化された構造が、5より小さいk値を有する誘電体層においてパターン形成されたトレンチ若しくはビアホールであることを特徴とする請求項11記載の基板。
【請求項14】
上記のパターン化された構造が、トレンチ若しくはビアホールであり、
上記のゼオライト結晶の孔内のカーボンナノ構造体が、半導体装置における相互接続構造体であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の基板。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の基板の、半導体装置における相互接続構造体としての使用。
【請求項1】
パターン化された構造(開口)を有する基板であって、
当該パターン化された構造が、ゼオライト結晶で充填され、該ゼオライト結晶及びゼオライト結晶内の孔が、上記パターン化された構造の制約により規定される方向に配向性を有することを特徴とする基板。
【請求項2】
上記パターン化された構造が、5未満のk値を有する誘電体層においてパターン化され、及び/又はフォトリソグラフイメージングと(異方性)ドライエッチングとの組み合わせにより達成されたトレンチ若しくはビアホールであり、及び/又は50nm〜300nmの範囲の直径を有する、半導体装置におけるトレンチ及びビアであることを特徴とする請求項1記載の基板。
【請求項3】
上記誘電体層が二酸化シリコン若しくは低k材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板。
【請求項4】
請求項1記載のパターン化された構造内に、ゼオライト結晶を組み込むための方法であって、
上面にパターン化された構造(開口)を有する基板を準備する工程と、
上記基板にゼオライト合成溶液若しくはジェルを含浸させる工程と、
上記パターン化された構造に合成溶液を含ませるため機械的力を加える工程と、
ゼオライト結晶を形成するため水熱処理を適用してゼオライト合成溶液を結晶化する工程と、
上記基板をリンスし乾燥させる工程と、
内包されていない若しくは固着していないゼオライト結晶を取り除くため、付加的に機械的力を加える工程と、
を少なくとも有することを特徴とする方法。
【請求項5】
上記の、合成ジェルを含ませるために使用される機械的力が、超音波処理、振動、及び/又はスピンコーティングから選択されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
ゼオライト結晶の多孔質構造体内においてカーボンナノ構造体を成長させるための方法であって、
結晶化工程を完了した後、ゼオライト結晶を不活性ガス若しくは不活性ガスと炭素含有ガスとの混合物の存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程をさらに有することを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
ゼオライト結晶の多孔質構造体内においてカーボンナノ構造体を成長させるための方法であって、
結晶化工程を完了した後において、
含浸若しくはその場合成により有機金属錯体を加える工程と、
つづいて、ゼオライト結晶を不活性ガスの存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、
を少なくとも有する請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
基板にゼオライト合成溶液(ジェル)を供給する工程と、
つづいてゼオライトを結晶化させるため水熱処理を適用して上記ゼオライト合成溶液を結晶化させる工程と、
含浸若しくはその場合成により有機金属錯体を加える工程と、
ゼオライト結晶を不活性ガスの存在下350℃〜1000℃の間の温度で加熱してカーボンナノ構造体を成長させる工程と、
を少なくとも有する方法。
【請求項9】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
上記有機金属錯体が、(金属性)フタロシアニン錯体であることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
ゼオライト結晶の孔内にカーボンナノ構造体を成長させる方法であって、
上記有機金属錯体が、Ni-、Fe-、Co-、若しくはH2-フタロシアニン錯体から選択されることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【請求項11】
パターン化された構造(開口)を有する基板であって、
上記パターン化された構造が、ゼオライト結晶を含み、さらに上記ゼオライト結晶内にカーボンナノ構造体を含み、上記カーボンナノ構造体が、上記のパターン化された構造の制約により規定された方向に配向性を有することを特徴とする基板。
【請求項12】
上記のパターン化された構造が、半導体装置におけるトレンチ若しくはビアホールであることを特徴とする請求項11記載の基板。
【請求項13】
上記のパターン化された構造が、5より小さいk値を有する誘電体層においてパターン形成されたトレンチ若しくはビアホールであることを特徴とする請求項11記載の基板。
【請求項14】
上記のパターン化された構造が、トレンチ若しくはビアホールであり、
上記のゼオライト結晶の孔内のカーボンナノ構造体が、半導体装置における相互接続構造体であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の基板。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の基板の、半導体装置における相互接続構造体としての使用。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図3】
【図10】
【図11】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図3】
【図10】
【図11】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【公開番号】特開2009−196884(P2009−196884A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−31535(P2009−31535)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U.LEUVEN RESEARCH & DEVELOPMENT
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31535(P2009−31535)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U.LEUVEN RESEARCH & DEVELOPMENT
【Fターム(参考)】
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