ソケット及びコネクタ
【課題】小型化を図りつつもソケットコンタクトの平坦度を精度よく検査可能であるソケットを提供する。
【解決手段】ヘッダ本体11、及びヘッダ本体11に保持される複数のヘッダコンタクト12からなるヘッダ1と、一面にヘッダ1が挿入される接続凹部21aが掘穿されるソケット本体21、及び接続凹部21aにソケット本体21の長手方向に沿って並設され、一端側がソケット本体21に形成される案内溝21eを介してソケット本体21の短手方向で対向する各側壁の外側面から突出し、接続凹部21aに挿入されているヘッダ1のヘッダコンタクト12に各々接触導通する複数のソケットコンタクト22からなるソケット2とを備え、ソケット本体21は、ソケットコンタクト22が突出する側壁において、少なくともソケットコンタクト22の周部に凹み部21fが形成される。
【解決手段】ヘッダ本体11、及びヘッダ本体11に保持される複数のヘッダコンタクト12からなるヘッダ1と、一面にヘッダ1が挿入される接続凹部21aが掘穿されるソケット本体21、及び接続凹部21aにソケット本体21の長手方向に沿って並設され、一端側がソケット本体21に形成される案内溝21eを介してソケット本体21の短手方向で対向する各側壁の外側面から突出し、接続凹部21aに挿入されているヘッダ1のヘッダコンタクト12に各々接触導通する複数のソケットコンタクト22からなるソケット2とを備え、ソケット本体21は、ソケットコンタクト22が突出する側壁において、少なくともソケットコンタクト22の周部に凹み部21fが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに結合して電気的に接続されるソケットとヘッダとを備えるコネクタのソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図9に示すように、ソケット81とヘッダ82とから構成され、それぞれが実装される図示しないプリント配線板(例えば、FPC基板やリジット基板)間を電気的に接続するコネクタが提供されている(例えば特許文献1参照)。以下、図9における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
【0003】
ソケット81は、絶縁材料からなる略直方体状のソケット本体811と、帯板状の金属板が折曲されてソケット本体811に保持されるソケットコンタクト812とから構成される。
【0004】
ソケット本体811は、その上面に接続凹部811aが形成され、ソケット本体811の長手方向(前後方向)に沿って接続凹部811a内に複数のソケットコンタクト812が並設されている。そして、ケース本体811には、接続凹部811aと左右各側壁とをそれぞれを接続する導出経路811bが形成され、ソケットコンタクト812の一端が、導出経路811bを介してケース本体811における左右各側壁の外側面から突出する。
【0005】
ヘッダ82は、絶縁材料から成るヘッダ本体821と、帯板状の金属板が折曲されてヘッダ本体821に保持されるヘッダコンタクト822とから構成される。
【0006】
そして、ヘッダ82を接続凹部811aに挿入することで、ヘッダコンタクト822が、ソケットコンタクト812に接触導通し、ソケット81とヘッダ82とが電気的に接続される。
【0007】
そして、ソケット本体811の側壁の外側面から突出する各ソケットコンタクト812は、その先端部が前後方向に沿って並設され、当該先端部がプリント配線板の配線パターンに各々半田接続される。ここで、各ソケットコンタクト812における上記先端部の位置が、互いに上下方向で大きくばらつくと、ソケット81とプリント配線板との接続状態が不安定になる虞があった。
【0008】
そのため、ソケット81とプリント配線板とを半田接続する前に、複数のソケットコンタクト812における各先端部の平坦度を測定し、当該各先端部のばらつきが所定の範囲内に収まっているかを検査する必要がある。ここで、上記検査は、図10、11に示すように、ソケット81が載置されるレール91と、当該レール91の一面に所定の間隔を空けて対向して設けられる一対の検査治具92とを用いたゲージ検査を行う。ここで、ソケット81は、エアーが吹き付けられることによってレール91に沿って搬送される。
【0009】
一対の検査治具92は、ソケット81が搬送される方向(図10における矢印の方向)に対して垂直な方向で互いに対向して設けられ、搬送されてきたソケット81が一対の検査治具92間を通過する。その際、ソケットコンタクト812の先端部が、レール91と検査治具92との隙間Gを通過して検査治具92に接触しなければ良品(先端部のばらつきが小さい)と判断する。一方、ソケットコンタクト812が、検査治具92に接触した場合は、不良品(先端部のばらつきが大きい)と判断する。
【0010】
ここで、ソケット81の図11における左右方向の寸法を幅寸法Lとし、ソケット本体811から突出するソケットコンタクト812の突出長さをP、ソケットコンタクト812と検査治具92との係り代をQとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−165195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来例におけるコネクタは、小型化が望まれていることから幅寸法Lを小さくする必要があり、当該幅寸法Lを小さくするためには、ソケットコンタクト812の突出長さPを短くする必要があった。
しかしながら、図12に示すように、突出長さPを短くすると、幅寸法Lを短くできるが、係り代Qを十分に確保することができなくなる(図12では係り代Qは0となっている)。つまり、上記検査を正確に行うことができなくなってしまうといった問題があった。また、検査方法として画像検査を用いた場合には、上記ゲージ検査に比べて精度が悪くなってしまう。
【0013】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を図りつつもソケットコンタクトの平坦度を精度よく検査可能であるソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために第1の発明は、絶縁材料から略直方体状に形成されて一面に接続凹部が掘穿されるソケット本体と、前記接続凹部に前記ソケット本体の長手方向に沿って並設され、一端側が前記ソケット本体に形成される導出経路を介して前記ソケット本体の短手方向で対向する両側壁の内の少なくとも一方の側壁の外側面から突出する複数のソケットコンタクトとから構成され、前記ソケット本体は、前記ソケットコンタクトが突出する側壁において、少なくとも前記ソケットコンタクトの周部に凹み部が形成されることを特徴とする。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、長手方向一端から他端にかけて連続して形成され、前記ソケットコンタクトが前記凹み部から突出することを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、前記各ソケットコンタクトごとにその周部に形成されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明は、第1乃至3いずれかの発明において、前記凹み部は、その内壁が前記凹み部の底面と鈍角をなして傾斜することを特徴とする。
【0018】
第5の発明は、第1乃至第4いずれか記載のソケットと、絶縁材料からなるヘッダ本体及びこのヘッダ本体に保持される複数のヘッダコンタクトからなるヘッダとを備え、前記接続凹部にヘッダが挿入されてこのヘッダのヘッダコンタクトとソケットコンタクトとが各々接触導通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、小型化を図りつつもソケットコンタクトの平坦度を精度よく検査可能であるソケットを提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1におけるコネクタの断面図を示す。
【図2】同上におけるヘッダの斜視図を示す。
【図3】同上におけるソケットの斜視図を示す。
【図4】同上におけるソケットコンタクトの斜視図を示す。
【図5】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図6】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図7】本発明の実施形態2におけるソケットの斜視図を示す。
【図8】同上におけるソケットの検査時の斜視図を示す。
【図9】従来例におけるコネクタの断面図を示す。
【図10】同上におけるソケットの検査時の斜視図を示す。
【図11】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図12】ソケットコンタクトを短くした場合の検査時の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態)
本実施形態におけるソケットについて、図1〜6を用いて説明を行う。
【0023】
本実施形態のソケットを備えるコネクタは、図1に示すように、第1のプリント配線板(図示せず)に実装されるヘッダ1と、第2のプリント配線板(図示せず)に実装されるソケット2とからなる。ソケット2はヘッダ1が挿抜される接続凹部21aを有し、第1のプリント配線板と第2のプリント配線板とを互いに対向させる形でヘッダ1を接続凹部21aに挿入すれば、ヘッダ1とソケット2とを介して第1のプリント配線板と第2のプリント配線板とが互いに電気的に接続されるものである。
【0024】
以下、上下左右は図1を基準として説明する。すなわち、接続凹部21aへのヘッダ1の挿入方向を下方向と呼び、接続凹部21aからヘッダ1を抜く方向を上方向と呼ぶ。つまり、以下の説明における上下方向が、請求項における挿抜方向である。また、図1の紙面に直交する方向を前後方向と呼ぶ。
【0025】
ヘッダ1は、図1、2に示すように、ヘッダ本体11と、ヘッダ本体11の左右両端部にそれぞれ複数個ずつ前後に並べて保持されたヘッダコンタクト12と、第一の配線板のグランドパターンに電気的に接続されるグランドコンタクト13とを備える。
【0026】
ヘッダ本体11は、例えば合成樹脂のような絶縁材料から略直方体状に形成され、その下面に前後方向に長い内凹部11aが形成されている。
【0027】
各ヘッダコンタクト12は、それぞれ、ヘッダ本体11の左右の外側面に露出する第一の接触部121と、第一の接触部121とともに内凹部11aの左右の縁を挟むU字形状をなし内凹部11aの内側に露出する第二の接触部122と、第二の接触部122の上端から左右方向の内、外向きに延長されて内凹部11aの底面を貫通しヘッダ本体11の上端面に沿って左右に突出して実装に用いられる端子部123とを有する。各ヘッダコンタクト12は、それぞれ例えばインサート成形によってヘッダ本体11に保持されている。各ヘッダコンタクト12は、それぞれ第1のプリント配線板に設けられた導電パターンに対して端子部123がはんだ付けされることにより、第1のプリント配線板に電気的に接続される。
【0028】
グランドコンタクト13は、ヘッダ本体11内に保持される略U字状の被保持部131と、被保持部131の上端からヘッダ本体11の上端面に沿って左右に突出してグランドパターンにはんだ付けされる端子部132とを有する。
【0029】
ソケット2は、図1、3に示すように、上面に接続凹部21aが設けられたソケット本体21と、接続凹部21aの内に保持されるソケットコンタクト122とから構成される。
【0030】
ソケット本体21は、例えば合成樹脂のような絶縁材料から略直方体状に形成され、上面に断面略矩形状の接続凹部21aが設けられ、接続凹部21aの底面略中央からは、前後方向に長い内凸部21cが突設されている。そして、接続凹部21aの左右内壁には、各ソケットコンタクト22の一部を収納する第一のコンタクト収納溝21bが前後方向にそれぞれ並設されている。また、内凸部21cの左右両側面には、各ソケットコンタクト22の一部を収納する第二のコンタクト収納溝21dが前後方向にそれぞれ並設されている。
【0031】
また、ソケット本体21の接続凹部21aの底面において、各ソケットコンタクト22に対応する位置には、それぞれ、第一のコンタクト収納溝21bと第二のコンタクト収納溝21dとに連通する案内溝21eが形成される。案内溝21eは、ソケット本体21における底面の左右両端から左右方向に沿ってそれぞれ中央へ向けて形成されている。
【0032】
更に、ソケット本体21における左右両側壁は、その下端部が前後方向に沿って連続的に切り欠かれて、上端側に比べて内側へ凹んだ断面略矩形状の凹み部21fが形成されている。
【0033】
ソケットコンタクト22は、接続凹部21aにヘッダ1が挿入した際、接続凹部21aの内側において、ヘッダコンタクト12に一対一に接触導通するようにソケット本体21に保持される。
【0034】
本実施形態では、ヘッダコンタクト12とソケットコンタクト22とはそれぞれ、弾性と導電性とを有する長細い金属板に曲げ加工が施され、幅方向を前後方向に向けて左右2列に前後に並べて複数組設けられている。
【0035】
そして、ソケットコンタクト22は、図4に示すように、厚さ方向を上下方向に向けてソケット本体21よりも左右方向の外側に突出して実装に用いられる端子部221と、端子部221の左右の内、内側となる一方の端から上方向に延長されソケット本体21に保持される被保持部222と、被保持部222の上端から左右方向のうち端子部221から離れる方向に延長された第一の連結部223と、第一の連結部223の先端から下方に延長されてヘッダコンタクト12の第一の接触部121に接触する第一の接触部224と、第一の接触部224の下端から左右方向のうち被保持部222から離れる方向に延長された第二の連結部225と、第二の連結部225の先端から上方向に延長されて第一の接触部224との間にヘッダコンタクト12を挟む形でヘッダコンタクト12の第二の接触部122に弾接する第二の接触部226とを有する。すなわち、左右方向が請求項における端子方向である。
【0036】
また、第一の接触部224の上端部には、第一の接触部224の他の部位よりも左右方向のうち被保持部222から離れる方向に突出する曲面形状の被係合凸部224aが設けられている。ヘッダ1がソケット2に完全に接続された状態では、第一の接触部224は被係合凸部224aにおいてのみヘッダコンタクト12に接触する。
【0037】
さらに、第二の連結部225は、第一の接触部224から離れるにつれて上方へ傾斜させてあり、これにより第二の連結部225は第二の接触部226側の端部を第一の接触部224側の端部に対して下方に変位させるように弾性変形可能となっている。
【0038】
また、第二の接触部226は先端を第二の連結部225へ向けるように曲げられたJ字形状となっており、この曲げによって形成された凸曲面226aにおいてヘッダコンタクト12に弾接する。
そして、ソケットコンタクト22は、ソケット本体21の下方より、被保持部222から第二の接触部226までを案内溝21eに通してソケット本体21に取り付けられる。その際、ソケットコンタクト22の端子部221が、案内溝21e内に収納され、端子部221の先端が、案内溝21eを介してソケット本体21における左右方向の側壁下端より突出する。つまり、ソケットコンタクト22は、凹み部21f下端から突出する。
【0039】
また、ソケットコンタクト22の被保持部222と第一の連結部223とは、第一のコンタクト収納溝21bに収納され、被係合凸部224aは、第一のコンタクト収納溝21bから弾性的に突出する。また、第二の接触部226は、第二のコンタクト収納溝21dに収納され、第二の接触部226の上端部が、第二のコンタクト収納溝21dから弾性的に突出する。
【0040】
ここで、ソケットコンタクト22の被保持部222と第一の接触部224とには、それぞれ上下方向の中央部において幅方向である前後方向の両側へ、圧入凸部222a,224bが突設されている。そして、各ソケットコンタクト22は、それぞれ、各圧入凸部222a,224bがそれぞれ第一のコンタクト収納溝21bの前後に対向する内面に圧入されることによってソケット本体21に保持される。ここで、各圧入凸部222a,224bの上下両端部のそれぞれ前後両面は、それぞれ上下方向の端に向かって突出寸法を小さくするように傾斜しており、この傾斜面が第一のコンタクト収納溝21bの内面によってガイドされることにより、ソケットコンタクト22の所定位置への導入が容易となっている。
【0041】
また、ヘッダコンタクト12の第一の接触部121には、ヘッダ1を接続凹部21aに挿入した際、ソケットコンタクト22の被係合凸部224aを乗り越える係合凸部121aが左右方向のうち外向きに突設されている。この構成により、係合凸部121aが被係合凸部224aを乗り越える際に作業者にクリック感を与えることができる。更に、ヘッダ1とソケット2とが接続された状態では、被係合凸部224aが係合凸部121aの下側に位置することによりヘッダ1とソケット2との間に保持力が生じている。また、係合凸部121aの下端部には、上方へ向かって突出寸法を大きくする傾斜面が設けられており、ヘッダ1を接続凹部21aに挿入する際にはこの傾斜面上を被係合凸部224aが摺動することにより、ヘッダ1の挿入に必要な力が低減される。これにより、ヘッダ1とソケット2との接続が容易となっている。
【0042】
また、ヘッダコンタクト12の第二の接触部122には、ソケットコンタクト11の内凹部11aの内壁と対向する面に、上下に長い断面略V字状の退避凹部122aが形成されている。ここで、ソケットコンタクト22の第二の接触部226の外面は、幅方向(前後方向)の中央部が両端部よりも外側へ突出した曲面形状となっている。これにより、ヘッダ1とソケット2とが接続された状態では、ソケットコンタクト22の第二の接触部226が、退避凹部122aの開口縁に弾接する。そのため、ヘッダコンタクト12やソケットコンタクト22の第二の接触部122,66に異物が付着していたとしても、この異物はヘッダ1を接続凹部21aに挿入した際に第二の接触部226に押されて退避凹部122aに落とし込まれる。従って、異物が、ヘッダコンタクト12とソケットコンタクト22との間に挟まることがなく、退避凹部122aによって接続信頼性が向上している。
【0043】
ここで、ソケットコンタクト22に対する平坦度検査の方法は、従来例と同様、ソケット2は、エアーが吹き付けられることでレール91上を当該レール91に沿って搬送される。そして、ソケット2が、一対の検査治具93間を通過してレール91と検査治具93との隙間Gにソケットコンタクト22を通過させることにより行う。なお、一対の検査治具93の互いに対向する面の下端側には、挿入突部931がそれぞれ形成されている。また、挿入突部931の上端には、下方から上方へ向かうに従って外側方向へ傾斜する傾斜面931aが形成されている。
【0044】
上記構成からなる本実施形態のコネクタは、ソケット本体21における左右各側壁の下端部に凹み部21fが形成され、当該凹み部21fの下端部よりソケットコンタクト22の端子部221が突出している。そのため、図5に示すように、平坦度検査の際、一対の検査治具93間にソケット2が搬送されると、ソケット本体21の凹み部21fに検査治具93の挿入突部931が挿し込まれた状態となり、当該挿入突部931と端子部221とが凹み部21f内でも対向する。つまり、凹み部21fの底面からソケットコンタクト22の先端までの間で、挿入突部931との係り代Qを確保することができる。従って、ケットコンタクト22のソケット本体21からの突出長さPを短くしたとしても、ソケットコンタクト22の端子部221と検査治具93との係り代Qを十分に確保することができて、ソケット2の幅寸法Lを短くすることができる。すなわち、本実施形態のソケットは、小型化を図りつつもソケットコンタクト22の平坦度を精度よく検査可能となっている。
【0045】
また、凹み部21fが、ソケットコンタクト22の並設方向(前後方向)に沿って連続的に形成されていることから、検査治具93の挿入突部931が、凹み部21f内を前後方向に通過可能となっている。つまり、検査治具93の挿入突部931を凹み部21fに挿入してソケット2を前後方向へ移動させるだけで容易に検査を行うことができ、検査時間を短縮できて検査工数を低減することができる。
【0046】
また、図6に示すように、凹み部21fの上端部を、検査治具931の傾斜面931aに沿って、下方から上方へ向かうに従って外側方向へ傾斜する傾斜面としてもよい。つまり、凹み部21fの底面は、当該凹み部21fにおける上側の内壁と鈍角をなしている。上記場合、凹み部21fを形成する際にソケット本体21から切り欠く量を、図5のソケット本体21に比べて抑制でき、ソケット本体21の強度を維持することができる。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態のソケットについて図7を用いて説明を行う。なお、以下、図7における上下左右方向を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
【0048】
本実施形態のコネクタでは、ソケット本体21に形成される凹み部21gが、ソケット本体21の左右各側壁において、ソケットコンタクト22ごとに個別に形成されている点が、実施形態1と異なっている。なお、その他の構成については実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、図7に示すように、ソケット本体21の左右各側壁の下端側に前後方向に沿って等間隔に凹み部21gが形成されて、凹み部21gの前後両端には当該凹み部21gを仕切る隔壁21hが残される。ここで、凹み部21gは、その下端が案内溝21eに連通している。すなわち、各凹み部21gの下端からは、ソケットコンタクト22が各々突出する。
【0050】
上記構成からなるソケット2に対するソケットコンタクト22の平坦度検査を行う際には、図8に示すように、レール91上に載置されたソケット2をエアーによってレール91に沿って搬送し、当該ソケット2が一対の検査治具94間にくると搬送を一旦停止する。ここで、一対の検査治具94は、当該一対の検査治具94間にソケット2が搬送されてくるまでは、レール91の搬送方向と垂直な方向においてレール91から離れた位置に有る。そして、図8(a)に示すように、一対の検査治具94間にソケット2が搬送されてくると、一対の検査治具94はソケット2側へ移動する。
【0051】
一対の検査治具94は、互いに対向する面の下端にレール91の搬送方向に沿って挿入突部932が並設されており、当該各挿入突部932の間隔は、各ソケットコンタクト22の間隔と等しいものとなっている。そのため、一対の検査治具94が、ソケット2側へ移動すると、図8(b)に示すように、各挿入突部932が、各凹み部21gにそれぞれ挿し込まれる。そして、検査治具94が、ソケットコンタクト22に接触しなければ良品と判断し、接触した場合には不良品と判断する。続いて、検査が終わると、図8(c)に示すように、一対の検査治具94はソケット2から離れ、当該ソケット2は再度レール91に沿って搬送される。
【0052】
上記構成からなる本実施形態のソケットは、ソケット本体21に対して、ソケットコンタクト22の平坦度検査を行うために最低限必要な箇所にのみ凹み部21gが形成されている。従って、本実施形態のコネクタは、平坦度を精度よく検査可能であると共に、隔壁21hが残された分だけ、ソケット本体21からの切り欠き量を抑制でき、当該ソケット本体21の強度を維持することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ヘッダ
2 ソケット
11 ヘッダ本体
12 ヘッダコンタクト
21 ソケット本体
22 ソケットコンタクト
21a 接続凹部
21f 凹み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに結合して電気的に接続されるソケットとヘッダとを備えるコネクタのソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図9に示すように、ソケット81とヘッダ82とから構成され、それぞれが実装される図示しないプリント配線板(例えば、FPC基板やリジット基板)間を電気的に接続するコネクタが提供されている(例えば特許文献1参照)。以下、図9における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
【0003】
ソケット81は、絶縁材料からなる略直方体状のソケット本体811と、帯板状の金属板が折曲されてソケット本体811に保持されるソケットコンタクト812とから構成される。
【0004】
ソケット本体811は、その上面に接続凹部811aが形成され、ソケット本体811の長手方向(前後方向)に沿って接続凹部811a内に複数のソケットコンタクト812が並設されている。そして、ケース本体811には、接続凹部811aと左右各側壁とをそれぞれを接続する導出経路811bが形成され、ソケットコンタクト812の一端が、導出経路811bを介してケース本体811における左右各側壁の外側面から突出する。
【0005】
ヘッダ82は、絶縁材料から成るヘッダ本体821と、帯板状の金属板が折曲されてヘッダ本体821に保持されるヘッダコンタクト822とから構成される。
【0006】
そして、ヘッダ82を接続凹部811aに挿入することで、ヘッダコンタクト822が、ソケットコンタクト812に接触導通し、ソケット81とヘッダ82とが電気的に接続される。
【0007】
そして、ソケット本体811の側壁の外側面から突出する各ソケットコンタクト812は、その先端部が前後方向に沿って並設され、当該先端部がプリント配線板の配線パターンに各々半田接続される。ここで、各ソケットコンタクト812における上記先端部の位置が、互いに上下方向で大きくばらつくと、ソケット81とプリント配線板との接続状態が不安定になる虞があった。
【0008】
そのため、ソケット81とプリント配線板とを半田接続する前に、複数のソケットコンタクト812における各先端部の平坦度を測定し、当該各先端部のばらつきが所定の範囲内に収まっているかを検査する必要がある。ここで、上記検査は、図10、11に示すように、ソケット81が載置されるレール91と、当該レール91の一面に所定の間隔を空けて対向して設けられる一対の検査治具92とを用いたゲージ検査を行う。ここで、ソケット81は、エアーが吹き付けられることによってレール91に沿って搬送される。
【0009】
一対の検査治具92は、ソケット81が搬送される方向(図10における矢印の方向)に対して垂直な方向で互いに対向して設けられ、搬送されてきたソケット81が一対の検査治具92間を通過する。その際、ソケットコンタクト812の先端部が、レール91と検査治具92との隙間Gを通過して検査治具92に接触しなければ良品(先端部のばらつきが小さい)と判断する。一方、ソケットコンタクト812が、検査治具92に接触した場合は、不良品(先端部のばらつきが大きい)と判断する。
【0010】
ここで、ソケット81の図11における左右方向の寸法を幅寸法Lとし、ソケット本体811から突出するソケットコンタクト812の突出長さをP、ソケットコンタクト812と検査治具92との係り代をQとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−165195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来例におけるコネクタは、小型化が望まれていることから幅寸法Lを小さくする必要があり、当該幅寸法Lを小さくするためには、ソケットコンタクト812の突出長さPを短くする必要があった。
しかしながら、図12に示すように、突出長さPを短くすると、幅寸法Lを短くできるが、係り代Qを十分に確保することができなくなる(図12では係り代Qは0となっている)。つまり、上記検査を正確に行うことができなくなってしまうといった問題があった。また、検査方法として画像検査を用いた場合には、上記ゲージ検査に比べて精度が悪くなってしまう。
【0013】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を図りつつもソケットコンタクトの平坦度を精度よく検査可能であるソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために第1の発明は、絶縁材料から略直方体状に形成されて一面に接続凹部が掘穿されるソケット本体と、前記接続凹部に前記ソケット本体の長手方向に沿って並設され、一端側が前記ソケット本体に形成される導出経路を介して前記ソケット本体の短手方向で対向する両側壁の内の少なくとも一方の側壁の外側面から突出する複数のソケットコンタクトとから構成され、前記ソケット本体は、前記ソケットコンタクトが突出する側壁において、少なくとも前記ソケットコンタクトの周部に凹み部が形成されることを特徴とする。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、長手方向一端から他端にかけて連続して形成され、前記ソケットコンタクトが前記凹み部から突出することを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、第1の発明において、前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、前記各ソケットコンタクトごとにその周部に形成されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明は、第1乃至3いずれかの発明において、前記凹み部は、その内壁が前記凹み部の底面と鈍角をなして傾斜することを特徴とする。
【0018】
第5の発明は、第1乃至第4いずれか記載のソケットと、絶縁材料からなるヘッダ本体及びこのヘッダ本体に保持される複数のヘッダコンタクトからなるヘッダとを備え、前記接続凹部にヘッダが挿入されてこのヘッダのヘッダコンタクトとソケットコンタクトとが各々接触導通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、小型化を図りつつもソケットコンタクトの平坦度を精度よく検査可能であるソケットを提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1におけるコネクタの断面図を示す。
【図2】同上におけるヘッダの斜視図を示す。
【図3】同上におけるソケットの斜視図を示す。
【図4】同上におけるソケットコンタクトの斜視図を示す。
【図5】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図6】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図7】本発明の実施形態2におけるソケットの斜視図を示す。
【図8】同上におけるソケットの検査時の斜視図を示す。
【図9】従来例におけるコネクタの断面図を示す。
【図10】同上におけるソケットの検査時の斜視図を示す。
【図11】同上におけるソケットの検査時の断面図を示す。
【図12】ソケットコンタクトを短くした場合の検査時の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態)
本実施形態におけるソケットについて、図1〜6を用いて説明を行う。
【0023】
本実施形態のソケットを備えるコネクタは、図1に示すように、第1のプリント配線板(図示せず)に実装されるヘッダ1と、第2のプリント配線板(図示せず)に実装されるソケット2とからなる。ソケット2はヘッダ1が挿抜される接続凹部21aを有し、第1のプリント配線板と第2のプリント配線板とを互いに対向させる形でヘッダ1を接続凹部21aに挿入すれば、ヘッダ1とソケット2とを介して第1のプリント配線板と第2のプリント配線板とが互いに電気的に接続されるものである。
【0024】
以下、上下左右は図1を基準として説明する。すなわち、接続凹部21aへのヘッダ1の挿入方向を下方向と呼び、接続凹部21aからヘッダ1を抜く方向を上方向と呼ぶ。つまり、以下の説明における上下方向が、請求項における挿抜方向である。また、図1の紙面に直交する方向を前後方向と呼ぶ。
【0025】
ヘッダ1は、図1、2に示すように、ヘッダ本体11と、ヘッダ本体11の左右両端部にそれぞれ複数個ずつ前後に並べて保持されたヘッダコンタクト12と、第一の配線板のグランドパターンに電気的に接続されるグランドコンタクト13とを備える。
【0026】
ヘッダ本体11は、例えば合成樹脂のような絶縁材料から略直方体状に形成され、その下面に前後方向に長い内凹部11aが形成されている。
【0027】
各ヘッダコンタクト12は、それぞれ、ヘッダ本体11の左右の外側面に露出する第一の接触部121と、第一の接触部121とともに内凹部11aの左右の縁を挟むU字形状をなし内凹部11aの内側に露出する第二の接触部122と、第二の接触部122の上端から左右方向の内、外向きに延長されて内凹部11aの底面を貫通しヘッダ本体11の上端面に沿って左右に突出して実装に用いられる端子部123とを有する。各ヘッダコンタクト12は、それぞれ例えばインサート成形によってヘッダ本体11に保持されている。各ヘッダコンタクト12は、それぞれ第1のプリント配線板に設けられた導電パターンに対して端子部123がはんだ付けされることにより、第1のプリント配線板に電気的に接続される。
【0028】
グランドコンタクト13は、ヘッダ本体11内に保持される略U字状の被保持部131と、被保持部131の上端からヘッダ本体11の上端面に沿って左右に突出してグランドパターンにはんだ付けされる端子部132とを有する。
【0029】
ソケット2は、図1、3に示すように、上面に接続凹部21aが設けられたソケット本体21と、接続凹部21aの内に保持されるソケットコンタクト122とから構成される。
【0030】
ソケット本体21は、例えば合成樹脂のような絶縁材料から略直方体状に形成され、上面に断面略矩形状の接続凹部21aが設けられ、接続凹部21aの底面略中央からは、前後方向に長い内凸部21cが突設されている。そして、接続凹部21aの左右内壁には、各ソケットコンタクト22の一部を収納する第一のコンタクト収納溝21bが前後方向にそれぞれ並設されている。また、内凸部21cの左右両側面には、各ソケットコンタクト22の一部を収納する第二のコンタクト収納溝21dが前後方向にそれぞれ並設されている。
【0031】
また、ソケット本体21の接続凹部21aの底面において、各ソケットコンタクト22に対応する位置には、それぞれ、第一のコンタクト収納溝21bと第二のコンタクト収納溝21dとに連通する案内溝21eが形成される。案内溝21eは、ソケット本体21における底面の左右両端から左右方向に沿ってそれぞれ中央へ向けて形成されている。
【0032】
更に、ソケット本体21における左右両側壁は、その下端部が前後方向に沿って連続的に切り欠かれて、上端側に比べて内側へ凹んだ断面略矩形状の凹み部21fが形成されている。
【0033】
ソケットコンタクト22は、接続凹部21aにヘッダ1が挿入した際、接続凹部21aの内側において、ヘッダコンタクト12に一対一に接触導通するようにソケット本体21に保持される。
【0034】
本実施形態では、ヘッダコンタクト12とソケットコンタクト22とはそれぞれ、弾性と導電性とを有する長細い金属板に曲げ加工が施され、幅方向を前後方向に向けて左右2列に前後に並べて複数組設けられている。
【0035】
そして、ソケットコンタクト22は、図4に示すように、厚さ方向を上下方向に向けてソケット本体21よりも左右方向の外側に突出して実装に用いられる端子部221と、端子部221の左右の内、内側となる一方の端から上方向に延長されソケット本体21に保持される被保持部222と、被保持部222の上端から左右方向のうち端子部221から離れる方向に延長された第一の連結部223と、第一の連結部223の先端から下方に延長されてヘッダコンタクト12の第一の接触部121に接触する第一の接触部224と、第一の接触部224の下端から左右方向のうち被保持部222から離れる方向に延長された第二の連結部225と、第二の連結部225の先端から上方向に延長されて第一の接触部224との間にヘッダコンタクト12を挟む形でヘッダコンタクト12の第二の接触部122に弾接する第二の接触部226とを有する。すなわち、左右方向が請求項における端子方向である。
【0036】
また、第一の接触部224の上端部には、第一の接触部224の他の部位よりも左右方向のうち被保持部222から離れる方向に突出する曲面形状の被係合凸部224aが設けられている。ヘッダ1がソケット2に完全に接続された状態では、第一の接触部224は被係合凸部224aにおいてのみヘッダコンタクト12に接触する。
【0037】
さらに、第二の連結部225は、第一の接触部224から離れるにつれて上方へ傾斜させてあり、これにより第二の連結部225は第二の接触部226側の端部を第一の接触部224側の端部に対して下方に変位させるように弾性変形可能となっている。
【0038】
また、第二の接触部226は先端を第二の連結部225へ向けるように曲げられたJ字形状となっており、この曲げによって形成された凸曲面226aにおいてヘッダコンタクト12に弾接する。
そして、ソケットコンタクト22は、ソケット本体21の下方より、被保持部222から第二の接触部226までを案内溝21eに通してソケット本体21に取り付けられる。その際、ソケットコンタクト22の端子部221が、案内溝21e内に収納され、端子部221の先端が、案内溝21eを介してソケット本体21における左右方向の側壁下端より突出する。つまり、ソケットコンタクト22は、凹み部21f下端から突出する。
【0039】
また、ソケットコンタクト22の被保持部222と第一の連結部223とは、第一のコンタクト収納溝21bに収納され、被係合凸部224aは、第一のコンタクト収納溝21bから弾性的に突出する。また、第二の接触部226は、第二のコンタクト収納溝21dに収納され、第二の接触部226の上端部が、第二のコンタクト収納溝21dから弾性的に突出する。
【0040】
ここで、ソケットコンタクト22の被保持部222と第一の接触部224とには、それぞれ上下方向の中央部において幅方向である前後方向の両側へ、圧入凸部222a,224bが突設されている。そして、各ソケットコンタクト22は、それぞれ、各圧入凸部222a,224bがそれぞれ第一のコンタクト収納溝21bの前後に対向する内面に圧入されることによってソケット本体21に保持される。ここで、各圧入凸部222a,224bの上下両端部のそれぞれ前後両面は、それぞれ上下方向の端に向かって突出寸法を小さくするように傾斜しており、この傾斜面が第一のコンタクト収納溝21bの内面によってガイドされることにより、ソケットコンタクト22の所定位置への導入が容易となっている。
【0041】
また、ヘッダコンタクト12の第一の接触部121には、ヘッダ1を接続凹部21aに挿入した際、ソケットコンタクト22の被係合凸部224aを乗り越える係合凸部121aが左右方向のうち外向きに突設されている。この構成により、係合凸部121aが被係合凸部224aを乗り越える際に作業者にクリック感を与えることができる。更に、ヘッダ1とソケット2とが接続された状態では、被係合凸部224aが係合凸部121aの下側に位置することによりヘッダ1とソケット2との間に保持力が生じている。また、係合凸部121aの下端部には、上方へ向かって突出寸法を大きくする傾斜面が設けられており、ヘッダ1を接続凹部21aに挿入する際にはこの傾斜面上を被係合凸部224aが摺動することにより、ヘッダ1の挿入に必要な力が低減される。これにより、ヘッダ1とソケット2との接続が容易となっている。
【0042】
また、ヘッダコンタクト12の第二の接触部122には、ソケットコンタクト11の内凹部11aの内壁と対向する面に、上下に長い断面略V字状の退避凹部122aが形成されている。ここで、ソケットコンタクト22の第二の接触部226の外面は、幅方向(前後方向)の中央部が両端部よりも外側へ突出した曲面形状となっている。これにより、ヘッダ1とソケット2とが接続された状態では、ソケットコンタクト22の第二の接触部226が、退避凹部122aの開口縁に弾接する。そのため、ヘッダコンタクト12やソケットコンタクト22の第二の接触部122,66に異物が付着していたとしても、この異物はヘッダ1を接続凹部21aに挿入した際に第二の接触部226に押されて退避凹部122aに落とし込まれる。従って、異物が、ヘッダコンタクト12とソケットコンタクト22との間に挟まることがなく、退避凹部122aによって接続信頼性が向上している。
【0043】
ここで、ソケットコンタクト22に対する平坦度検査の方法は、従来例と同様、ソケット2は、エアーが吹き付けられることでレール91上を当該レール91に沿って搬送される。そして、ソケット2が、一対の検査治具93間を通過してレール91と検査治具93との隙間Gにソケットコンタクト22を通過させることにより行う。なお、一対の検査治具93の互いに対向する面の下端側には、挿入突部931がそれぞれ形成されている。また、挿入突部931の上端には、下方から上方へ向かうに従って外側方向へ傾斜する傾斜面931aが形成されている。
【0044】
上記構成からなる本実施形態のコネクタは、ソケット本体21における左右各側壁の下端部に凹み部21fが形成され、当該凹み部21fの下端部よりソケットコンタクト22の端子部221が突出している。そのため、図5に示すように、平坦度検査の際、一対の検査治具93間にソケット2が搬送されると、ソケット本体21の凹み部21fに検査治具93の挿入突部931が挿し込まれた状態となり、当該挿入突部931と端子部221とが凹み部21f内でも対向する。つまり、凹み部21fの底面からソケットコンタクト22の先端までの間で、挿入突部931との係り代Qを確保することができる。従って、ケットコンタクト22のソケット本体21からの突出長さPを短くしたとしても、ソケットコンタクト22の端子部221と検査治具93との係り代Qを十分に確保することができて、ソケット2の幅寸法Lを短くすることができる。すなわち、本実施形態のソケットは、小型化を図りつつもソケットコンタクト22の平坦度を精度よく検査可能となっている。
【0045】
また、凹み部21fが、ソケットコンタクト22の並設方向(前後方向)に沿って連続的に形成されていることから、検査治具93の挿入突部931が、凹み部21f内を前後方向に通過可能となっている。つまり、検査治具93の挿入突部931を凹み部21fに挿入してソケット2を前後方向へ移動させるだけで容易に検査を行うことができ、検査時間を短縮できて検査工数を低減することができる。
【0046】
また、図6に示すように、凹み部21fの上端部を、検査治具931の傾斜面931aに沿って、下方から上方へ向かうに従って外側方向へ傾斜する傾斜面としてもよい。つまり、凹み部21fの底面は、当該凹み部21fにおける上側の内壁と鈍角をなしている。上記場合、凹み部21fを形成する際にソケット本体21から切り欠く量を、図5のソケット本体21に比べて抑制でき、ソケット本体21の強度を維持することができる。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態のソケットについて図7を用いて説明を行う。なお、以下、図7における上下左右方向を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
【0048】
本実施形態のコネクタでは、ソケット本体21に形成される凹み部21gが、ソケット本体21の左右各側壁において、ソケットコンタクト22ごとに個別に形成されている点が、実施形態1と異なっている。なお、その他の構成については実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、図7に示すように、ソケット本体21の左右各側壁の下端側に前後方向に沿って等間隔に凹み部21gが形成されて、凹み部21gの前後両端には当該凹み部21gを仕切る隔壁21hが残される。ここで、凹み部21gは、その下端が案内溝21eに連通している。すなわち、各凹み部21gの下端からは、ソケットコンタクト22が各々突出する。
【0050】
上記構成からなるソケット2に対するソケットコンタクト22の平坦度検査を行う際には、図8に示すように、レール91上に載置されたソケット2をエアーによってレール91に沿って搬送し、当該ソケット2が一対の検査治具94間にくると搬送を一旦停止する。ここで、一対の検査治具94は、当該一対の検査治具94間にソケット2が搬送されてくるまでは、レール91の搬送方向と垂直な方向においてレール91から離れた位置に有る。そして、図8(a)に示すように、一対の検査治具94間にソケット2が搬送されてくると、一対の検査治具94はソケット2側へ移動する。
【0051】
一対の検査治具94は、互いに対向する面の下端にレール91の搬送方向に沿って挿入突部932が並設されており、当該各挿入突部932の間隔は、各ソケットコンタクト22の間隔と等しいものとなっている。そのため、一対の検査治具94が、ソケット2側へ移動すると、図8(b)に示すように、各挿入突部932が、各凹み部21gにそれぞれ挿し込まれる。そして、検査治具94が、ソケットコンタクト22に接触しなければ良品と判断し、接触した場合には不良品と判断する。続いて、検査が終わると、図8(c)に示すように、一対の検査治具94はソケット2から離れ、当該ソケット2は再度レール91に沿って搬送される。
【0052】
上記構成からなる本実施形態のソケットは、ソケット本体21に対して、ソケットコンタクト22の平坦度検査を行うために最低限必要な箇所にのみ凹み部21gが形成されている。従って、本実施形態のコネクタは、平坦度を精度よく検査可能であると共に、隔壁21hが残された分だけ、ソケット本体21からの切り欠き量を抑制でき、当該ソケット本体21の強度を維持することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ヘッダ
2 ソケット
11 ヘッダ本体
12 ヘッダコンタクト
21 ソケット本体
22 ソケットコンタクト
21a 接続凹部
21f 凹み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料から略直方体状に形成されて一面に接続凹部が掘穿されるソケット本体と、
前記接続凹部に前記ソケット本体の長手方向に沿って並設され、一端側が前記ソケット本体に形成される導出経路を介して前記ソケット本体の短手方向で対向する両側壁の内の少なくとも一方の側壁の外側面から突出する複数のソケットコンタクトとから構成され、
前記ソケット本体は、前記ソケットコンタクトが突出する側壁において、少なくとも前記ソケットコンタクトの周部に凹み部が形成されることを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、長手方向一端から他端にかけて連続して形成され、前記ソケットコンタクトが前記凹み部の底面から突出することを特徴とする請求項1記載のソケット。
【請求項3】
前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、前記各ソケットコンタクトごとにその周部に形成されることを特徴とする請求項1記載のソケット。
【請求項4】
前記凹み部は、その内壁が前記凹み部の底面と鈍角をなして傾斜することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のソケット。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載のソケットと、絶縁材料からなるヘッダ本体及びこのヘッダ本体に保持される複数のヘッダコンタクトからなるヘッダとを備え、前記接続凹部にヘッダが挿入されてこのヘッダのヘッダコンタクトとソケットコンタクトとが各々接触導通することを特徴とするコネクタ。
【請求項1】
絶縁材料から略直方体状に形成されて一面に接続凹部が掘穿されるソケット本体と、
前記接続凹部に前記ソケット本体の長手方向に沿って並設され、一端側が前記ソケット本体に形成される導出経路を介して前記ソケット本体の短手方向で対向する両側壁の内の少なくとも一方の側壁の外側面から突出する複数のソケットコンタクトとから構成され、
前記ソケット本体は、前記ソケットコンタクトが突出する側壁において、少なくとも前記ソケットコンタクトの周部に凹み部が形成されることを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、長手方向一端から他端にかけて連続して形成され、前記ソケットコンタクトが前記凹み部の底面から突出することを特徴とする請求項1記載のソケット。
【請求項3】
前記凹み部は、前記ソケットコンタクトが突出するソケット本体の側壁において、前記各ソケットコンタクトごとにその周部に形成されることを特徴とする請求項1記載のソケット。
【請求項4】
前記凹み部は、その内壁が前記凹み部の底面と鈍角をなして傾斜することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のソケット。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載のソケットと、絶縁材料からなるヘッダ本体及びこのヘッダ本体に保持される複数のヘッダコンタクトからなるヘッダとを備え、前記接続凹部にヘッダが挿入されてこのヘッダのヘッダコンタクトとソケットコンタクトとが各々接触導通することを特徴とするコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−165495(P2011−165495A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27431(P2010−27431)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]