説明

ソランギウムセルロスムから得られる生物活性化合物

本発明は、粘液細菌、特にソランギウム属の粘液細菌、好ましくはソランギウムセルロスム(Sorangium cellulosum)から得られる、抗菌性、抗真菌性および/または細胞増殖抑制性を有する新規化合物群に関する。本化合物群の1つの代表例は、現在のところそれぞれジソラゾールZおよびジソラゾールZ-エポキシドと命名されており、その環状コア構造(I)および(II)に特定の置換基および特定の不飽和結合を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘液細菌、特にソランギウム(Sorangium)属の粘液細菌、好ましくはソランギウムセルロスム(Sorangium cellulosum)から得られる、抗菌性、抗真菌性、および/または細胞増殖抑制性を有する新規化合物群に関する。本化合物群の1つの代表例は、現在のところそれぞれジソラゾールZ(Disorazole Z)およびジソラゾールZ-エポキシドと命名されており、その環状コア構造に特定の置換基および不飽和結合の特定の立体配置を有する。
【背景技術】
【0002】
粘液細菌は、二次代謝産物とも呼ばれる多種多様の生物活性化合物を産生することが知られている。これらの二次代謝産物の中で、ジソラゾール群は、低濃度であっても、チューブリンの重合、アポトーシスの誘導、および細胞周期の停止または細胞増殖の抑制に対する阻害物質として注目を集めている。
【0003】
本発明の化合物はソランギウム属の生産菌株から単離することができるが、それらの化合物は既知のジソラゾールまたはキボサゾール(Chivosazol)に対して大いに異なる骨格構造を有する。
【0004】
ソランギウム属の粘液細菌から単離される二次代謝産物は、ジソラゾールと呼ばれており、Jansenらの Liebigs Ann. Chem. 1994, 759〜773頁中に見い出すことができる。ジソラゾールを代表する1つの構造式は下記の通りであり、それらの置換基によってジソラゾールA1からA7まで名称が付けられている。
【0005】
【化1】

【0006】
ジソラゾールは、マクロライド環に2つのオキサゾールを含むヘテロ性の基を含む。一般に、ジソラゾールは、2つに分けることができる対称性の環状構造の骨格を有し、エステル基によって結合し、合計34個の原子を含むマクロライド環を形成し、その一部はさらなる置換基を有する。エステル基の1つに隣接して、これらの分子の各半分は、オキサゾール環と10または12個の炭素原子鎖とを含み、続いてエステル基があり、もう半分の分子への結合を形成している。10から12個の炭素原子鎖を有することにより、二重結合の配置および数ならびにさらなる置換基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、およびさらなる飽和のまたは部分的に不飽和のアルキル基などの点で広範囲の変種がある。
【0007】
粘液細菌、特にソランギウムセルロスムから得られる別の二次代謝産物群は、キボサゾールと呼ばれており、Jansenら(Liebigs Ann./Recueil 1997, 1725〜1732頁(1997))によって同定されているように、以下の骨格構造で示される。一般に、キボサゾールは、その31-員マクロライド環にオキサゾールを含むアグリコンの6-デオキシグルコピラノース誘導体のグリコシドであると言うことができる。アグリコン自体はキボサゾールFと呼ばれており、抗菌活性および細胞増殖抑制活性を示す。
【0008】
【化2】

【0009】
上記化合物は、キボサゾールアグリコン(F)(式中、R1はHまたは-CH3である)である。R2に対する置換基はキノボシル誘導体と呼ばれる。
【非特許文献1】Jansen et al., Liebigs Ann. Chem. 1994, 759〜773頁
【非特許文献2】Jansen et al.(Liebigs Ann./Recueil 1997, 1725〜1732頁(1997))
【非特許文献3】lrschik et al.(The Sorangicins, novel and powerful inhibitors of eubacterial RNA polymerase isolated from myxobacteria, J. Antibiotics 40:7〜13頁(1987))
【非特許文献4】Sasse et al.(J. Antibiotics 56:827〜831頁(2003))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ソランギウム属の粘液細菌から得られる既知の二次代謝産物であることを考慮して、本発明の目的は、生物活性、例えば、抗真菌性、抗菌性、および/または細胞増殖抑制性を有する新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、生物活性を有する新規化合物、その医療目的での使用、および本化合物を含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、微生物の発酵による本化合物の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の化合物は、式Iの環状コア構造を含み、ある生物活性化合物に含まれるか、またはある生物活性化合物の一部を形成しており、炭素原子C5からC12の間の任意の1つの結合またはすべての結合、およびC5'とC12'との間の任意の結合は、それぞれ、単独にまたはすべて飽和または不飽和であってよく、互いに独立して、シス配置またはトランス配置であってよく、好ましくは共役不飽和であってよい。
【0013】
【化3】

【0014】
ここで、置換基R1からR32は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される。
【0015】
場合によって、置換基R1からR32は、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されている。
【0016】
加えてまたはその代わりに、C1からC12までおよびC1'からC12'までからそれぞれ選択される隣接した炭素原子に結合している、R1からR32の任意の2個の置換基は、好ましくはC5からC12までおよびC5'からC12'までからそれぞれ選択される2個の隣接した炭素原子間の、二重結合、エポキシド(オキシラン)、アジラン(アジリジン)、アルキル-、アルケニル-、アルキニル-、シクロアルキル-、シクロアルキルアルキル-、ヘテロアリール-、アリールアルキル-、ヘテロアリールアルキル-、ヘテロシクリル-および/またはヘテロシクリルアルキル-で置換されたアジラン(アジリジン)、チイラン、および/またはチイラン-S-オキシド基であることができる。
【0017】
好ましくは、炭素原子C5からC12までおよびC5’からC12’までの間の結合は、それぞれ共役不飽和である。より好ましくは、炭素原子C5とC6との間、C7とC8との間およびC9とC10との間の結合、ならびに炭素原子C5'とC6'との間、C7'とC8'との間およびC9'とC10'との間の結合は不飽和である。不斉炭素原子は、R配置またはS配置であり、好ましくはソランギウムから得られる生成物の配置を有する。
【0018】
好ましくは、炭素原子C1からC12までおよびC1'からC12'までの間の結合はそれぞれ、構造IIに従って不飽和であり、炭素原子C5からC12までおよびC5’からC12’まではそれぞれ、置換基R3からR17およびR18からR32を有し、これらは示されていないが、構造Iの置換基に相当する。
【0019】
【化4】

【0020】
ここで、炭素原子C5からC11までおよびC5'からC11'までは、構造Iに従って置換されている。すなわち、C5はR4で、C6はR6で、C7はR8で、C8はR10で、C9はR12で、C10はR14で、C11はR16で、C5'はR18で、C6'はR20で、C7'はR22で、C8'はR24で、C9'はR26で、C10'はR28で、C11'はR30で置換されており、X1およびX2は、R1からR32の置換基に関して定義された基または置換基X1に関して下記に定義される基から独立に選択される。
【0021】
さらなる実施形態では、一般構造Iは炭素原子C12およびC12'上にそれぞれ置換エチル基を有し、結果として以下の構造IIIが得られる。
【0022】
【化5】

【0023】
置換基R33からR70は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される。
【0024】
場合によって、置換基R33からR70は、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されている。
【0025】
加えてまたはその代わりに、C1からC12までおよびC1'からC12'までからそれぞれ選択される隣接した炭素原子に結合している、R33からR70の任意の2個の置換基は、好ましくはC5からC12までおよびC5’からC12’までからそれぞれ選択される2個の隣接した炭素原子間の、二重結合、エポキシド(オキシラン)、アジラン(アジリジン)、アルキル-、アルケニル-、アルキニル-、シクロアルキル-、シクロアルキルアルキル-、ヘテロアリール-、アリールアルキル-、ヘテロアリールアルキル-、ヘテロシクリル-、および/またはヘテロシクリルアルキル-置換されたアジラン(アジリジン)、チイラン、および/またはチイラン-S-オキシド基であることができる。
【0026】
好ましくは、炭素原子C5からC12までおよびC5’からC12’までの間の結合は、それぞれ共役不飽和である。より好ましくは、炭素原子C5とC6との間、C7とC8との間およびC9とC10との間の結合、ならびに炭素原子C5'とC6'との間、C7'とC8'との間およびC9'とC10'との間の結合は不飽和である。不斉炭素原子は、R配置またはS配置であり、好ましくはソランギウムから得られる生成物の配置を有する。
【0027】
好ましくは、炭素原子C1からC14までおよびC1'からC14'までの間の結合はそれぞれ、構造IVに従って不飽和であり、式中、炭素原子C5からC12および炭素原子C5'からC12'に対する置換基は、示されていないが、構造IIに関して定義されたR42からR70と同一である。置換基X3、X4、X5、X6、X7、およびX8も構造IIIのR33からR39に相当する。
【0028】
【化6】

【0029】
本発明のさらに好ましい実施形態では、式I、IIまたはIIIの構造中、C5からC12および/またはC5'からC12'の少なくとも2個の炭素原子は、エポキシ基で橋かけされている。エポキシドを含む本発明の化合物の例として、以下の構造Vを示す。式中、二重結合は、炭素原子C5からC12までおよびC5’からC12’までの間に形成することができる。
【0030】
【化7】

【0031】
Z1からZ32の置換基は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される。
【0032】
場合によって、置換基Z1からZ32は、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されている。
【0033】
加えてまたはその代わりに、C1からC12までおよびC1'からC12'までからそれぞれ選択される隣接した炭素原子に結合している、Z1からZ32の任意の2個の置換基は、好ましくはC5からC12までおよびC5’からC12’までからそれぞれ選択される2個の隣接した炭素原子間の、二重結合、エポキシド(オキシラン)、アジラン(アジリジン)、アルキル-、アルケニル-、アルキニル-、シクロアルキル-、シクロアルキルアルキル-、ヘテロアリール-、アリールアルキル-、ヘテロアリールアルキル-、ヘテロシクリル-、および/またはヘテロシクリルアルキル-置換されたアジラン(アジリジン)、チイラン、および/またはチイラン-S-オキシド基であることができる。
【0034】
好ましくは、炭素原子C5からC12までおよびC5’からC12’までの間の結合は、それぞれ共役不飽和である。より好ましくは、炭素原子C5とC6との間、C7とC8との間およびC9とC10との間の結合、ならびに炭素原子C5'とC6'との間、C7'とC8'との間およびC9'とC10'との間の結合は不飽和である。不斉炭素原子は、R配置またはS配置であり、好ましくはソランギウムから得られる生成物の配置を有する。
【0035】
好ましくは、炭素原子C1からC12までおよびC1'からC12'までの間の結合はそれぞれ、構造VIに従って不飽和であり、炭素原子C5からC12および炭素原子C5'からC12'に対する置換基は、示されていないが、構造Vに関して定義された通りである。
【0036】
【化8】

【0037】
ここで、X11からX16の置換基は、R1からR32に関して定義された基から選択される。
【0038】
さらに、構造Vはソランギウムの発酵培養液から単離すること、合成すること、または誘導体化によって得ることができ、以下の構造VIIによる化合物を得ることができる。ここで、Z33からZ70の置換基は、Z1からZ32の置換基と同一である。
【0039】
【化9】

【0040】
構造VIおよびVIIのエポキシドの具体的な実施形態を以下の構造VIIIに示す。VIIIは、ソランギウム属の生産菌株からも得られる。
【0041】
【化10】

【0042】
ここで、置換基X9およびX10は、Z1からZ32の置換基に関して示されたように定義される。
【0043】
式IからVIIIの構造において、二重結合は独立してシス配置またはトランス配置にある。
【0044】
上記構造のさらに好ましい実施形態では、式IからVIIIによると、C12とC1'との間およびC12'とC1との間にそれぞれ形成されている一方または両方のラクトン化結合は、その代わりにC14とC1'との間および/またはC14'とC1との間にそれぞれ形成されていてもよく、形式的にC14およびC14'の置換基の1個をそれぞれ取り替えてもよい。
【0045】
本発明による化合物はすべて、ソランギウム、特にソランギウムセルロスムの発酵培養液から単離することができることは注目に値する。この理由は、これらの二次代謝産物の合成が、発酵持続期間を通して変化するためである。例えば、C5とC14との間またはC5'とC14'との間の二重結合のシス-/トランス-配置の変化、ならびにそれらの共役および/または飽和状態および/またはC12とC1'との間の代わりにC14からC1'の間および/またはC12'とC1との間の代わりにC14'からC1の間のラクトン化結合の形成は、例えば15または20日間に及ぶような、より長い発酵時間の経過とともに異なる。さらに、発酵条件の変更、例えば、培地から吸着樹脂XADアンバーライトを除去することによって、式IからIVによる構造を有する化合物、例えば、C5からC12までおよびC5’からC12’までの間の結合の不飽和化における改変例ならびにラクトン化結合の位置決めに関する改変例のみならず、それらの炭素原子に異なる置換基を有する生成物が合成される。
【0046】
ソランギウムによる発酵における、式IからVIIIの同一コア構造を有し、C1からC14およびC1'からC14'に異なる置換基を有し、異なる飽和度/不飽和度を有し、結合の異なる配座を有する化合物の合成は、ジソラゾールには多数の変異体が存在するという点で、Jansenらによって行われた観察結果(Liebigs Ann. Chem. 1994, 759〜773頁)に合致する。ソランギウムの発酵培養液からの単離に代わる方法として、本発明の化合物は、全化学合成によって、または、いずれも発酵によって得られるジソラゾールZもしくはそのエポキシドの誘導体化によって得ることができる。本発明は化合物の構造を提供するが、化学的な合成ルートは、一般的に知られている合成化学の方法を使用して、当業者によって考案され得る。
【0047】
好ましい実施形態では、上記式IからVIIIの置換基R1、R2、X1、X2、X9、X10、Z1、およびZ2は、以下の置換基から独立に選択される。
【0048】
【化11】

【0049】
上記式において、Xa、Xb、Xc、およびXdは、以下の原子または基から独立に選択することができる。すなわち、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニルおよびアリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチルおよびアルコキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、アルキルスルフィジル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、=O、=S、=S(O)2であり、これらは、そのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、および/またはアルキルスルフィジルからなる群から互いに独立に選択される1、2、または3個の置換基で、場合によって置換されている。
【0050】
より好ましくは、置換基R1、R2、X1、X2、X9、X10、Z1、Z2は、以下の置換基から選択される。
【0051】
【化12】

【0052】
最も好ましくは、置換基R1、R2、X1、X2、X9、X10、Z1、Z2は、1つの化合物中で同一である。
【0053】
本発明においてアルキルという用語は、1から12個の炭素原子を有する非環状飽和炭化水素を含み、アルキルは直鎖であっても、または分枝していてもよい。アルキルという用語は、好ましくは1から8個、特に好ましくは1から6個の炭素原子のアルキル鎖を表す。適したアルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、tert-ペンチル、2-または3-メチル-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0054】
シクロアルキルという用語は、飽和または部分的に不飽和の、非芳香族の環状炭化水素の基を表し、単環式アルキル、二環式アルキル、三環式アルキルなどの1から3個の環を含み、該環を形成する合計3から20個の炭素原子、好ましくは3から10個の炭素原子を含み、最も好ましくは3から8個の炭素原子を有する基を表す。適したシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、およびシクロオクタジエニルである。
【0055】
シクロアルキルアルキルという用語は、シクロアルキル基がアルキル基に結合している基を指し、アルキル基およびシクロアルキル基は、本明細書において定義された意味を有し、好ましくは(C3〜C8)-シクロアルキル-(C1〜C4)-アルキル基を指す。これらの例には、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキセニルエチルが挙げられる。
【0056】
本発明においてアルケニルという用語は、2から12個の炭素原子を有する、不飽和または部分的に不飽和の炭化水素を含み、直鎖であっても、または分枝していてもよく、1つまたは複数の二重結合を含むことができる。アルケニルという用語は、好ましくは2から8個、好ましくは2から6個の炭素原子を有するアルケニル鎖を表す。例には、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、およびオクタジエニルなどが挙げられる。
【0057】
アルキニルという用語は、2から12個の炭素原子を有する、不飽和または部分的に不飽和の炭化水素を指し、直鎖であっても、または分枝していてもよく、1つまたは複数の三重結合を含むことができる。アルキニルという用語は、好ましくは2から8個、好ましくは2から6個の炭素原子を有するアルキニル鎖を表す。例には、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルが挙げられる。
【0058】
アリールという用語は、3から14個、好ましくは5から14個の炭素原子を有する芳香族炭化水素系を指し、縮合してさらに、飽和しても、(部分的に)不飽和になっても、環状芳香族系になってもよい。アリールの例には、とりわけフェニル、ビフェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、インダニル、インデニル、または1,2,3,4-テトラヒドロナフチルも挙げられる。
【0059】
ヘテロアリールという用語は、少なくとも1個、適切な場合にはまた2、3、4または5個のヘテロ原子、好ましくは窒素、酸素、および/または硫黄を含む、5-、6-または7-員の環状芳香族基を指し、かかるヘテロ原子は同一であるかまたは異なる。窒素原子の数は、独立に、0、1、2または3個が好ましく、酸素原子および硫黄原子の数は、独立に、0または1個である。ヘテロアリールという用語はまた、芳香族環が二環式または多環式の系の一部である系を含み、例えば、芳香族環が、ヘテロアリール基の所望のおよび可能な任意の環員を介して、本明細書において定義された、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基に縮合するような系を含む。ヘテロアリールの例には、ピロリル、チエニル、フリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、およびイソキノリニルが含まれる。
【0060】
アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルという用語は、アリール基またはヘテロアリール基がアルキル基に結合している基を指し、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基は、本明細書において定義された意味を有する。好ましいアリールアルキル基は、フェニル-(C1〜C4)-アルキル基であり、好ましくはベンジル基またはフェニルエチル基である。好ましいヘテロアリールアルキル基は、インドリル-(C1〜C4)-アルキル基であり、好ましくは1H-インドール-3-イル-メチルまたは2(1H-インドール-3-イル)-エチルである。
【0061】
ヘテロシクリルという用語は、3から14個、好ましくは5または6から14個の環原子の、単環式または多環式の系を指し、かかる環原子は全く炭素原子のみであってよい。しかし、環系は、1、2、3、4または5個のヘテロ原子、特に窒素、酸素、および/または硫黄を含むこともできる。環系は、飽和であるか、一価または多価の不飽和であってよいが、芳香族ではなくてもよい。少なくとも2個の環からなる環系の場合には、これらの環は縮合するか、またはスピロ結合もしくは別の結合していてよい。ヘテロシクリル基は、任意の炭素原子またはヘテロ原子に結合して、安定な構造を形成することができる。例には、ピロリジニル、チアピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、およびオキサジアゾリルが含まれる。
【0062】
ヘテロシクリルアルキルという用語は、ヘテロシクリル基がアルキル基に結合している基を指し、アルキル基およびヘテロシクリル基は、本明細書において定義された意味を有する。
【0063】
アルキルスルホニル、アリールスルホニル、およびアリールアルキルスルホニルという用語は、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基が-S(O2)-基に結合している基を指し、アルキル基、アリール基、およびアリールアルキル基は、本明細書において定義された意味を有する。例には、メチルスルホニルおよびフェニルスルホニルが挙げられる。
【0064】
ハロゲンという用語は、1個、適切な場合には、複数の、フッ素原子(F、フルオロ)、臭素原子(Br、ブロモ)、塩素原子(Cl、クロロ)またはヨウ素原子(I、ヨード)を指す。ハロゲンは、フッ素原子、塩素原子または臭素原子を意味することが好ましい。
【0065】
アルコキシル、アリールオキシル、およびアリールアルキルオキシルという用語は、本明細書において定義されたアルキル、アリール、またはアリールアルキル鎖が、それぞれ酸素原子に結合している基を指す。例には、メトキシ、n-プロピルオキシ、フェニルオキシ、およびベンジルオキシが挙げられる。
【0066】
モノ(ジ)アルキルアミノという用語は、本明細書において定義された1個(2個)までの独立したアルキル鎖が、窒素原子に結合している基を指す。例には、エチルアミノ、ジメチルアミノおよびイソプロピルエチルアミノが挙げられる。
【0067】
アルキルシアノという用語は、本明細書において定義されたアルキル鎖がシアノ基に結合している基を指す。例には、メチルシアノおよびn-プロピルシアノが挙げられる。
【0068】
アルキルスルフィジルという用語は、本明細書において定義されたアルキル鎖が硫黄原子に結合している基を指す。例には、メチルスルフィジルおよびn-プロピルスルフィジルが挙げられる。
【0069】
カルボニルという用語は、本明細書において定義された、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルおよび/またはヘテロシクリルアルキルという用語と結合して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、および/またはヘテロシクリルアルキル基が、-C(O)-基または-C(O)O-基に結合した基を指す。例には、-C(O)O-CH3、-C(O)-CH3、-C(O)O-フェニルなどが挙げられる。
【0070】
本発明の化合物のすべての立体異性体は、混合物の形態、または純粋なもしくは実質的に純粋な形態であると企図される。本発明の化合物は、置換基Rのうちのいずれか1つを含む任意の炭素原子に、不斉中心を有することができる。その結果として、本発明の化合物は、それらのラセミ体の形態、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの形態、またはこれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形態で存在することができる。混合物は、立体異性体の所望の任意の混合比を有することができる。
【0071】
したがって、例えば、1個または複数の不斉中心を有し、ラセミ体としてまたはジアステレオマー混合物として生成される本発明の化合物は、それ自体公知の方法によって、それらの光学的に純粋な異性体、すなわちエナンチオマーまたはジアステレオマーに分画することができる。本発明の化合物の分離は、キラル相または非キラル相のカラム分離によって、あるいは場合によって光学活性な溶媒からの再結晶または光学活性な酸もしくは塩基を使用した再結晶によって、あるいは例えば光学活性なアルコールなどの光学活性試薬で誘導体化した後にその基を脱離させることによって行うことができる。
【0072】
可能な場合には、本発明の化合物は互変異性体の形態であってよい。
【0073】
本発明の化合物が、酢酸塩、炭酸塩、グルクロン酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩などのプロドラッグの形態であることも同様に可能である。
【0074】
本発明の化合物は、十分に塩基性の基、例えば、第2級または第3級のアミノ基などを有する場合、無機酸および有機酸と共に塩に変換することができる。本発明の化合物の、医薬として許容できる塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、スルホ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、琥珀酸、酒石酸、ラセミ酸、リンゴ酸、エンボン酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、タウロコール酸、グルタル酸、ステアリン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸と共に形成されることが好ましい。形成される塩は、それぞれ、とりわけ塩酸塩、塩化物、臭化水素酸塩、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、スルホ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、エンボン酸塩、マンデル酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、タウロコール酸塩、グルタル酸塩、ステアリン酸塩、グルタミン酸塩、およびアスパラギン酸塩である。
【0075】
その上、本発明の化合物から形成される塩の化学量論は、整数または非整数の多様なものである。本発明の化合物は、十分に酸性の基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またはフェノール性基を含む場合、無機塩基と共にそれらの生理的に許容できる塩に変換することができる。無機塩基の例は、アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムであり、適した有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、t-ブチルアミン、t-オクチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレン-ジアミン、およびリシンである。
【0076】
本発明の化合物が、例えば溶媒または水溶液からの結晶化によって得ることができる、それらの溶媒和物および特に水和物の形態であることも同様に可能である。さらに、1、2、3個もしくは任意の数の溶媒分子または水分子が、本発明の化合物と結合して、溶媒和物および水和物を与えることができる。
【0077】
化学物質は、多形形態または変態と称される、異なる秩序状態で存在する固体を形成することが知られている。多形物質の種々の変態は、それらの物理的性質が大いに異なる可能性がある。本発明の化合物は種々の多形形態で存在することができ、その上、この多形相のうちで、ある変態は準安定である可能性がある。本発明の化合物のこれらの多形形態はすべて、本発明の範囲に包含されると見なされる。
【0078】
より好ましくは、構造IIのX1およびX2は同一の置換基であり、結果として以下の構造IXが得られ、この化合物は現在ジソラゾールZと呼ばれている。
【0079】
【化13】

【0080】
ジソラゾールZ-エポキシドについては、式量762.79884およびモノアイソトピック質量762.29999Daを所与する分子式C40H46N2O13を決定し、これから式Xによる構造を推定した。
【0081】
【化14】

【0082】
上記式IからXの新規化合物において、不斉炭素原子はそれぞれ、R配置またはS配置で存在し、好ましくはソランギウム属の生産菌株によって合成されるような配置で存在する。しかし、当業者は、ソランギウムの生合成物中に存在する配置を決定することができ、さらに各立体異性体の生物活性を測定することができる。
【0083】
新規化合物の製造については、当業者に公知の標準手法による化学合成を用いることができ、好ましくは、粘液細菌の菌株、好ましくは本化合物の生産菌株であるソランギウム属の菌株の発酵を実施し、続いて単離および精製手法を用いることができる。本発明による化合物は、医療目的での使用、すなわち、例えば関節炎などの慢性炎症性疾患の治療のための医薬製剤の成分としての使用、または、腫瘍細胞に対して有効な薬物もしくはプロドラッグとしての使用に適している。
【0084】
新規の環状コア構造を生物活性化合物のベースとして提供することに加えて、本発明による化合物が、例えば既知のジソラゾールに対して有利である点の1つは、例えば固形製剤中または液剤中での改良された長期安定性である。
【0085】
第2の実施形態の化合物に含まれる非対称のエポキシ基に関しては、化合物のさらなる誘導体化のために、または異なる生物活性および/または向上された生物活性を提供するために、あるいはその両方のために、反応性の高いエポキシ基が有利に使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
図を参照して、本発明をこれからさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0087】
実施例において、他に特に規定がなければ、百分率は重量/体積である。
【0088】
[実施例1]:ジソラゾールZ
25-員の環状コア構造を含む新規化合物の例として、ジソラゾールZを分析する。これは、一般構造IVの炭素原子C13およびC13'上に同一の置換基を有し、これらの炭素原子は以下の式IX'のそれぞれ25番および33番に数えられている。アセトン-D6中のNMR(600/150MHz、2.05/29.80ppmにアセトン)から、表1のデータを得た。
【0089】
【表1】

【0090】
分析データから、ジソラゾールZに対して以下の構造式を推定した。特に特定しない場合には、数字は炭素原子を意味する。
【0091】
【化15】

【0092】
ジソラゾールZについては、746.30507Daであると計算され、FAB-MS(3-NBAのマトリックスを使用)において746.3037Daであると測定されたことから、M=746.80での式C40H46N2O12を決定した。
【0093】
[実施例2]:ジソラゾールZの生物活性
本発明による化合物の例として、ジソラゾールZを、lrschikらのThe Sorangicins, novel and powerful inhibitors of eubacterial RNA polymerase isolated from myxobacteria, J. Antibiotics 40:7〜13頁(1987)に開示されている方法に従って、生物活性について分析した。微生物に対する以下の最小発育阻止濃度を見い出した。
【0094】
【表2】

【0095】
SasseらのJ. Antibiotics 56:827〜831頁(2003)に従って、マウス線維芽細胞の細胞系L929(ATCC CCL 1)に対して毒性を試験し、30pg/mLという発育阻止濃度IC50が測定された。
【0096】
[実施例3]:発酵による化合物の製造
本発明による化合物の製造例として、ジソラゾールZをソランギウムセルロスムの発酵によって製造した。
【0097】
新規化合物の本開示を用いて当業者は、例えば粘液細菌などの生産菌株を同定することができる。例として、ジソラゾールZの生産菌株であると同時にジソラゾールZ-エポキシドの生産菌株である、ソランギウムセルロスム菌株Soce1875(DSMZにて受入番号DSM53600の下で入手可能)を振盪フラスコ中で培養した。
【0098】
ジソラゾールZおよびジソラゾールZ-エポキシドの分析は、HPLC-MSによって、溶媒グラジエントシステムを装備したHP1100システム「自動注入器、カラムオーブン(40℃)、DAD-UV検出器;カラムNucleodur 100-5 C18 EC、125/2mm(Macherey-Nagel);溶媒A=5%アセトニトリル含有水、B=5%水含有アセトニトリル、各溶媒は、30μL/L酢酸でpH5.5に調整した酢酸アンモニウム緩衝液(0.5mM)を含有;勾配:10%Bから100%Bまで30分で増加、その後100%Bを10分間;流速0.3mL/分」を使用して行った。質量スペクトルは、イオンスプレーイオン化インターフェースを備えたPE SCIEX API 2000 LC/MS/MSシステムに、ポジティブ-ネガティブ切替モードで記録した。
【0099】
[実施例4]:ジソラゾールZおよび/またはジソラゾールZ-エポキシドの製造のためのソランギウムセルロスムの発酵
ジソラゾールZおよび/またはジソラゾールZ-エポキシドの発酵製造については、ソランギウムの特定の生産菌株に応じて、振盪フラスコ中で培養された出発培養物が、発酵槽の接種に好ましい。発酵工程は、例えば回分法または流加法で行う。
【0100】
出発培養物として、0.8%可溶性デンプン(Merck 1.01252)、0.2%酵母エキス、0.2%脱脂大豆ミール、0.1%CaCl2 x 2H2O、0.1%MgSO4 x 7H2O、8mg/L Na-Fe-EDTA、1%HEPES緩衝液、0.2%グルコース、1%XAD樹脂を含み、培養開始時にpH7.4の培地を使用した。出発培養物については、振盪フラスコを、160rpmの撹拌で、30℃にてインキュベートすることができる。発酵には、出発培養のものと同一であるがHEPES緩衝液を含まず高圧蒸気滅菌前にpH7.9である、70リットルの回分発酵培地を使用した。
【0101】
ジソラゾールZおよび/またはジソラゾールZ-エポキシドの吸着については、1%(vol/vol)XAD(Amberlite XAD 16、Rohm and Haas)を加えた。
【0102】
発酵槽に出発培養物1リットルを接種し、培養は30℃の温度で、5.5L/minでの通気にて、80rpmの撹拌速度で行った。必要であれば、発酵の経過中、5%KOH溶液を加えることによって、pHを6.8に、または6.8より高く一定に保った。残余のデンプンはヨード反応によって管理し、グルコース濃度は、例えばテストストリップ(Roche)を使用してモニターした。発酵の経過を図1に示す。図1は、溶存酸素圧(pO2)、pH、および撹拌速度の推移を示す。
【0103】
培養基および生成物の濃度は以下の通りであった。
【0104】
【表3】

【0105】
グルコースおよびデンプンが本質的に代謝され、ジソラゾールZの濃度の増加が止まると、生産培養物は集菌できる状態にある。合計12日後、ふるいを用いてXAD樹脂を集めることによって、発酵を停止し集菌した。XADに付着した細胞を、その後の抽出および精製段階において含入した。
【0106】
C12とC1'との間およびC12'とC1との間の代わりに、C14とC1'との間および/またはC14'とC1との間にラクトン結合が配列される化合物、ならびに二重結合の別の立体配置およびさまざまな置換基を有する化合物の製造については、発酵期間を2から8日を単位として延長し、場合によって培養温度を約20〜22℃に低下させ、好ましくは吸着樹脂(XAD)を除いた。
【0107】
分析の目的で、XAD樹脂および細胞集団を採集するために、発酵培養物からのアリコートを使用し、続いてメタノール、メタノール:エタノール:イソプロパノール(80:15:5)、および最終段階ではアセトンを使用して抽出した。抽出物を合わせ、濃縮してHPLC-MSで分析する。
【0108】
別のソランギウムセルロスム菌株、好ましくは、受入番号DSM53419の下でDSMZのリストに記載されているSoce427を使用する場合、以下の培地を出発培養物として使用することができる。すなわち、0.3%デンプン(Cerestar SF 12618、Cerestar Deutschland、クレーフェルト)、0.2%脱脂大豆ミール(Soyamine 50T、Lucas Meyer、ハンブルク)、0.1%酵母エキス(Marcor)、0.1%硫酸マグネシウム(Roth、P027.2)、0.05%塩化カルシウム(Merck、1.02382)、8mg/Lエチレンジアミン四酢酸のナトリウム-鉄塩(Na-Fe-EDTA)(Merck、108413)および0.9%HEPES緩衝液(Roth、9105.3)をpH7.5で使用することができる。高圧蒸気滅菌後、20%グルコース溶液(Riedel-de Haen 16301)を加えて最終的にグルコースを0.3%にした。発酵には、HEPES緩衝液以外は同一の培地を、高圧蒸気滅菌前にpH7.9の培地を使用した。
【0109】
[実施例5]:発酵培養液からのジソラゾールZの単離
実施例4による発酵の後、ソランギウムセルロスム、菌株Soce427の発酵培養液70Lを遠心分離することによって、ウエットの細胞集団およびXAD樹脂を集め、これらをメタノール3Lで数回に分けて抽出した。合わせた濾液を蒸発させ、残渣である水性混合物を得た。必要であれば、水を加えて1.2〜1.5Lにし、ジクロロメタン1.2Lで3回に分けて抽出した。合わせた有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで蒸発させて乾燥した。残渣を1Lのメタノール水溶液(97%)に再溶解させ、ヘプタンで3回分配させた。メタノール層を蒸発させ、トルエンに希釈し、蒸発させて乾燥した。Sephadex LH-20(Pharmacia)上でメタノールを用いるゲルクロマトグラフィーによって、残渣14gを分離し、約9gの濃縮画分を得、メタノール-水(65/35)を用いるRP-MPLC(ODS-AQ、120Å、S16μm)によって精製して、4.2gのジソラゾールZを得た。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、ソランギウムセルロスムの典型的な発酵(fermentation)の、酸素飽和度、pH、および撹拌速度の推移を示す図である。
【図2A】図2Aは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、全イオンクロマトグラム(TIC)200〜1000Daである。
【図2B】図2Bは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、200〜400nmの範囲のDAD-UVクロマトグラムである。
【図2C】図2Cは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、ジソラゾールZおよびZ-異性体のM+Hイオン(746.9〜747.4Da)に対応した、抽出陽イオンクロマトグラム(XIC)である。
【図2D】図2Dは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、ジソラゾールZおよびZ-異性体のM-H+AcOHイオン(804.8〜805.3Da)に対応した、抽出負イオンクロマトグラム(XIC)である。
【図2E】図2Eは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、ジソラゾールZおよびZ-異性体のフラグメントイオンm/z=675(674.7〜675.2Da)に対応した、抽出負イオンクロマトグラム(XIC)である。
【図2F】図2Fは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、Z-異性体のUVスペクトルである。
【図2G】図2Gは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、ジソラゾールZのUVスペクトルである。
【図2H】図2Hは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、[M+H]+分子イオンとしてm/z747、[M+NH4]+イオンとしてm/z764=746+18、および[M+Na]+イオンとしてm/z769=746+23を有する、Z-異性体のMSスペクトル(ESI、ポジティブモード)である。
【図2I】図2Iは、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、[M+H]+分子イオンとしてm/z747、[M+NH4]+イオンとしてm/z764=746+18、および[M+Na]+イオンとしてm/z769=746+23を有する、ジソラゾールZのMSスペクトル(ESI、ポジティブモード)である。
【図2J】は、ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、[M+AcO-]-分子イオンクラスターとしてm/z805=746+59、および[M-H-側鎖]-イオンとしてm/z675=746-H-70(=C4H6O)=C36H39N2O11でのフラグメントを有する、Z-異性体のMSスペクトル(ESI、ネガティブモード)である。
【図2K】ソランギウムセルロスムの発酵からの抽出物について、HPLC-MS、HPLCクロマトグラフィー、UV分光分析法および質量分析法によって得られたジソラゾールZの分析結果を示す図であり、詳細には、[M+AcO-]-分子イオンクラスターとしてm/z805=746+59、および[M-H-側鎖]-イオンとしてm/z675=746-H-70(=C4H6O)=C36H39N2O11でのフラグメントを有する、ジソラゾールZのMSスペクトル(ESI、ネガティブモード)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、置換基R1からR32は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される]
の構造を有する化合物。
【請求項2】
置換基R1からR32が、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式III:
【化2】

[式中、R33からR70は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される]
の構造を特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
置換基R33からR70が、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されていることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式V:
【化3】

[式中、置換基Z1からZ32は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される]
の構造を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
置換基Z1からZ32が、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されていることを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式VII:
【化4】

[式中、Z33からZ70の置換基は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される]
の構造を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
置換基Z33からZ70が、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されていることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
C5からC12および/またはC5'からC12'の、2個の隣接した炭素原子のうちの1組にそれぞれ結合している、R1からR32、R41からR70、Z1からZ32、およびZ41からZ70の少なくとも2個の置換基が、それぞれ、前記隣接した炭素原子間に存在する単結合と組み合わされて、二重結合、エポキシド(オキシラン)、アジラン(アジリジン)、アルキル-、アルケニル-、アルキニル-、シクロアルキル-、シクロアルキルアルキル-、ヘテロアリール-、アリールアルキル-、ヘテロアリールアルキル-、ヘテロシクリル-、および/またはヘテロシクリルアルキル-置換されたアジラン(アジリジン)、チイランおよびチイラン-S-オキシド基からなる群から選択される、これらの炭素原子間の基を形成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式IV:
【化5】

[式中、置換基X3からX8は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される]
の構造を特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
置換基X3からX8が、それらのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルシアノ、ジスルフィジルアルキル、および/またはアルキルスルフィジル基において、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-N3、NO2、=O、=S、=S(O)2、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択される1、2、または3個の置換基でさらに置換されていることを特徴とする、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式VI:
【化6】

[式中、X11からX16は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アセチル、アルコキシル、アリールオキシル、アリールアルキルオキシル、アミノ、イミノ、ヒドロキシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドラジニル、シアノ、アルキルシアノ、スルフヒドリル、ジスルフィジルアルキル、スルファチジル、およびアルキルスルフィジルからなる群から独立に選択され、
炭素原子C5はR4で置換されており、炭素原子C6はR6で置換されており、炭素原子C7はR8で置換されており、炭素原子C8はR10で置換されており、炭素原子C9はR12で置換されており、炭素原子C10はR14で置換されており、炭素原子C11はR16で置換されており、炭素原子C5'はR18で置換されており、炭素原子C6'はR20で置換されており、炭素原子C7'はR22で置換されており、炭素原子C8'はR24で置換されており、炭素原子C9'はR26で置換されており、炭素原子C10'はR28で置換されており、炭素原子C11'はR30で置換されている]
の構造を特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
式II:
【化7】

[式中、X1およびX2は、
【化8】

からなる群から独立に選択され、
炭素原子C5はR4で置換されており、炭素原子C6はR6で置換されており、炭素原子C7はR8で置換されており、炭素原子C8はR10で置換されており、炭素原子C9はR12で置換されており、炭素原子C10はR14で置換されており、炭素原子C11はR16で置換されており、炭素原子C5'はR18で置換されており、炭素原子C6'はR20で置換されており、炭素原子C7'はR22で置換されており、炭素原子C8'はR24で置換されており、炭素原子C9'はR26で置換されており、炭素原子C10'はR28で置換されており、炭素原子C11'はR30で置換されている]
の構造を特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項14】
式VIII:
【化9】

[式中、X9およびX10は、
【化10】

からなる群から独立に選択され、
炭素原子C5はZ4で置換されており、炭素原子C6はZ6で置換されており、炭素原子C7はZ8で置換されており、炭素原子C8はZ10で置換されており、炭素原子C9はZ12で置換されており、炭素原子C10はZ14で置換されており、炭素原子C11はZ16で置換されており、炭素原子C5'はZ18で置換されており、炭素原子C6'はZ20で置換されており、炭素原子C7'はZ22で置換されており、炭素原子C8'はZ24で置換されており、炭素原子C9'はZ26で置換されており、炭素原子C10'はZ28で置換されており、炭素原子C11'はZ30で置換されている]
の構造を特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項15】
式IX':
【化11】

の構造を特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
式X:
【化12】

の構造を特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項18】
ソランギウム属の粘液細菌を、通気下で、20から32℃の温度にて8から20日間発酵させる工程を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2A−E】
image rotate

【図2F−K】
image rotate


【公表番号】特表2009−501189(P2009−501189A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520861(P2008−520861)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064047
【国際公開番号】WO2007/009897
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(591081310)ヘルムホルツ−ツェントルム フュア インフェクツィオンスフォルシュンク ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】