説明

ソースノード及びその送信方法

【課題】通信状態が変化しやすい通信パスを介して接続されたノード間で安定したデータ伝送を行う方法として、同一データに関して圧縮率の異なるデータを生成し、互いに異なる複数の通信パスを使用して伝送する方法がある。その場合、通信パスでエラーが発生した場合であっても、詳細度の高い(圧縮率の低い)データを送ることができ、通信の信頼性を向上させ、送信するデータの品質劣化を防止する。
【解決手段】所定の圧縮率又は非圧縮のデータと所定の圧縮率よりも高い圧縮率の高圧縮のデータと異なる通信パスで送信している際に、所定の圧縮率または非圧縮のデータを送信している通信パスでエラーが発生した場合、高圧縮のデータを送信していた通信パスで所定の圧縮率又は非圧縮のデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信パスを用いてソースノードから宛先ノードへデータを送信する無線通信システムにおけるノード及びその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信状態が変化しやすい通信パスを介して接続されたノード間で安定したデータ伝送を行う方法として、同一データに関して圧縮率の異なるデータを生成し、互いに異なる複数の通信パスを使用して伝送する方法が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、送信装置が同一の放送デジタルデータから高品質信号と低品質信号とを生成し、時間をずらして送信し、受信装置が正常受信モードでは高品質信号を受信して再生し、障害モードになると低品質信号を受信して再生している。
【0004】
また、特許文献2では、送信装置が伝送速度の異なる複数の伝送チャネルを用いて同一の情報に関する圧縮率の異なるデータを別個に送信し、受信装置が受信している伝送チャネルの誤り率に基づいて、使用する伝送チャネルを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−78116号公報
【特許文献2】特開2004−32604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、詳細度の低い(圧縮率の高い)データを伝送する通信パスしか使用できない場合、その通信パスで伝送するデータの詳細度を変更することができなかった。そのため、ビデオデータの伝送などで、詳細度の高い(圧縮率の低い)データを伝送する通信パスが使用できなくなってしまった場合、品質の悪いビデオを使用し続けなければならないという問題があった。
【0007】
また、上記従来の技術では、詳細度の高いデータと詳細度の低いデータを伝送する通信パスは、予め定められた通信パスが使用されている。そのため、両方の通信パスが同時に切断され使用できなくなった場合に、完全に通信することができなくなってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、通信パスでエラーが発生した場合に、詳細度の高いデータを送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の通信パスを用いてソースノードから宛先ノードへデータを送信する無線通信システムにおけるソースノードであって、
所定の圧縮率又は非圧縮のデータを第1の通信パスで送信し、前記第1の通信パスで送信するデータの高圧縮のデータを前記第1の通信パスとは異なる第2の通信パスで送信する送信手段と、
前記第1の通信パスでエラーが発生した場合、前記第2の通信パスで送信するデータを前記所定の圧縮率又は非圧縮のデータに変更する変更手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信パスでエラーが発生した場合であっても、詳細度の高いデータを送ることができ、通信の信頼性を向上させ、送信するデータの品質劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線通信システムのネットワーク構成の一例を示す図。
【図2】ソースノードの内部構成を示すブロック図。
【図3】宛先ノードの内部構成を示すブロック図。
【図4】無線ノードのアンテナ制御方法を説明するための図。
【図5】通信フレームの構成を説明するための図。
【図6】タイムスロット割当情報の詳細な構成を示す図。
【図7】トレーニング処理の動作シーケンスを示す図。
【図8】ビデオデータを伝送する際の動作シーケンスを示す図。
【図9】エラー発生時の動作概要を説明するための図。
【図10】本実施形態の動作シーケンスを示す図。
【図11】新たな通信パスを探索して使用する動作概要を説明するための図。
【図12】新たな通信パスを再度選択する時の動作シーケンスを示す図。
【図13】アプリケーションデータ用のタイムスロット領域の割り当てを示す図。
【図14】ソースノードのスーパーフレーム単位の処理を示すフローチャート。
【図15】宛先ノードのスーパーフレーム単位の処理を示すフローチャート。
【図16】タイムスロット割当情報の生成処理の詳細を示すフローチャート。
【図17】通信品質テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について詳細に説明する。本実施形態におけるネットワーク及び複数の無線ノードの構成、通信フレーム構成、制御動作を、図1〜図17を参照して説明する。
【0013】
図1は、無線通信システムのネットワーク構成の一例を示す図である。本ネットワークはビデオデータの無線伝送を行うシステムで、ソースノード100がデータソース105から取得するビデオデータを宛先ノード110へ無線伝送し、宛先ノード110が受信したビデオデータをディスプレイ115に出力する。
【0014】
ソースノード100や宛先ノード110である無線ノードは、指向性アンテナを備え、送受信の指向角を切り替えながらデータを無線伝送することが可能である。ビデオデータを伝送するために使用する通信パスには、直達の通信パス141のほか、壁などの反射物120、121を利用した反射の通信パス140も含まれる。これらの通信パス140、141は、ソースノード100の送信指向角と宛先ノード110の受信指向角とが互いに異なっている。
【0015】
本実施形態では、データ伝送の信頼性を向上させるため、互いに異なる複数の通信パスをソースノード100が選択し、詳細度の高い(低圧縮)ビデオデータと、詳細度の低い(高圧縮)ビデオデータを伝送する。これにより、遮蔽物130が通信パスの途中に出現した際にも、何れか1つの通信パスでデータ伝送が可能であれば、その通信パスを用いてビデオ再生を途切れさせることなく通信を継続することができる。
【0016】
宛先ノード110は、複数のビデオデータを受信し、低圧縮のビデオデータを優先的に使用する。ここでは、ソースノード100が選択した複数の通信パスのうち、低圧縮のデータの伝送に使用される第1の通信パスをメイン通信パスと呼び、それ以外の第2の通信パスをサブ通信パスと呼ぶ。サブ通信パスでは、通常時は高圧縮のデータを伝送するが、メイン通信パスでエラーが継続する場合には、低圧縮のデータを伝送する。尚、サブ通信パスは1つであるが、これに限定されるわけではなく、2つ以上あってもよい。
【0017】
尚、本実施形態では、メイン通信パスでは、低圧縮のデータを伝送する例を説明するが、メイン通信パスでは非圧縮のデータを伝送してもよい。メイン通信パスで非圧縮データを伝送する場合は、以下の説明での低圧縮データを非圧縮データに置き換えればよい。
【0018】
ここで、ソースノード100の内部構成を、図2に示すブロック図を用いて説明する。制御部200は、ROM210に格納されているプログラムに従ってソースノード100全体の動作を制御する。タイミング生成部205は、送受信処理のタイミングを生成する。送受信処理のタイミングはタイムスロット割当情報219によって決定される。ROM210は、ソースノード100のプログラムや不揮発性の各種パラメータなどを格納するメモリである。RAM215は、揮発性の各種パラメータやデータなどを格納するメモリである。
【0019】
このRAM215には、データソース105から受信した非圧縮ビデオデータ216、非圧縮ビデオデータ216に基づいてビデオエンコーダ225が圧縮して生成した低圧縮ビデオデータ217及び高圧縮ビデオデータ218が格納される。また、RAM215には、通信フレーム内のタイムスロットの割り当てを定めるタイムスロット割当情報219も格納される。このタイムスロット割当情報219には、通信フレーム内のトレーニング用割当の有無や、伝送するビデオデータ用の割当、アンテナ指向角情報、ビデオデータの圧縮率の情報などが含まれる。尚、タイムスロット割当情報219の詳細な構成は、図6を用いて更に後述する。更に、RAM215にはネットワークにおける無線ノード間の各送受信指向角の組み合わせにより形成される通信パスの通信品質を示す通信品質テーブル220も格納される。
【0020】
ビデオエンコーダ225は、非圧縮ビデオデータ216を圧縮処理して、低圧縮ビデオデータ217と高圧縮ビデオデータ218を生成する。外部インタフェース部230は、データソース105から非圧縮ビデオデータ216を受信するためのインタフェースである。アンテナ制御部240は、無線通信部245での送受信に対して電磁波を放射、吸収するためのアンテナ235の送受信指向角を制御する。無線通信部245は、無線データの変復調を含む送受信の信号処理を行う。
【0021】
アプリケーションデータ処理部250は、ビデオデータを無線データとしてパケット化して無線通信部245に出力する。このアプリケーションデータ処理部250には、次の各部が含まれる。タイムスロット割当情報219に従って、低圧縮ビデオデータ217をメイン通信パスで送信するメイン通信パス送信部251。そしてタイムスロット割当情報219に従って、低圧縮ビデオデータ217或いは高圧縮ビデオデータ218をサブ通信パスで送信するサブ通信パス送信部252。
【0022】
制御データ処理部255は、無線プロトコルの制御データを処理する。この制御データ処理部255には、次の各部が含まれる。メイン通信パス及びサブ通信パスで伝送されたビデオデータの受信状態であるACK/NAKを宛先ノード110から受信するACK受信部256。通信品質測定用の既知信号を送信するトレーニング信号送信部257。トレーニング信号を受信した際の通信品質情報を宛先ノード110から受信する通信品質情報受信部258。そしてタイムスロット割当情報219を生成し、宛先ノード110へ送信するタイムスロット割当情報送信部259。ここで、ソースノード100は、宛先ノード110から受信した通信品質情報をもとに、通信品質テーブル220を生成する。
【0023】
エラー継続状態判定部265は、ACK受信部256で受信されたACKの状況から、メイン通信パス及びサブ通信パスにおけるエラーの継続状態を判定する。通信パス・ビデオ圧縮率選択部270は、通信品質テーブル220とエラー継続状態に従って、使用する通信パスとしてメイン通信パスかサブ通信パスのどちらかを選択し、選択した通信パスで伝送するビデオの圧縮率を決定する。
【0024】
次に、宛先ノード110の内部構成を、図3に示すブロック図を用いて説明する。制御部300は、ROM310に格納されているプログラムに従って宛先ノード110全体の動作を制御する。タイミング生成部305は、送受信処理のタイミングを生成する。送受信処理のタイミングは無線通信により受信したタイムスロット割当情報319によって決定される。ROM310は、宛先ノード110のプログラムや不揮発性の各種パラメータを格納するメモリである。RAM315は、揮発性の各種パラメータやデータを格納するメモリである。
【0025】
このRAM315には、無線通信により受信した高圧縮ビデオデータ316、無線通信により受信した低圧縮ビデオデータ317が格納される。また、RAM315にはソースノード100との各送受信指向角の組み合わせにより形成される通信パスの通信状態を示す通信品質情報が格納される。更に、無線通信により受信した通信フレーム内のタイムスロットの割り当てを含むタイムスロット割当情報も格納される。
【0026】
ビデオデコーダ325は、ビデオデータ選択部360により選択された圧縮ビデオデータに対して伸長処理を施す。外部インタフェース部330は、ビデオデコーダ325により伸長されたビデオデータをディスプレイ115へ出力するためのインタフェースである。アンテナ制御部340は、無線通信部345の送受信に対して電磁波を放射、吸収するためのアンテナ335の送受信指向角の制御を行う。無線通信部345は、無線データの変復調を含む送受信の信号処理を行う。
【0027】
アプリケーションデータ処理部350は、受信した無線データのパケットからビデオデータを抽出する。このアプリケーションデータ処理部350には、次の各部が含まれる。タイムスロット割当情報319に従って、低圧縮ビデオデータ(317)をメイン通信パスで受信するメイン通信パス受信部351。タイムスロット割当情報319に従って、高圧縮のビデオデータ316或いは低圧縮ビデオデータ317をサブ通信パスで受信するサブ通信パス受信部352。そしてメイン通信パスとサブ通信パスそれぞれのビデオデータが正しく受信できたか否かを判定する通信パス受信状態判定部353。
【0028】
制御データ処理部355は、無線プロトコルの制御データを処理する。この制御データ処理部355には、次の各部が含まれる。通信パス受信状態判定部353により判定された、メイン通信パスとサブ通信パスの受信状態をACK/NAKとして宛先ノード110へ送信するACK送信部356。既知信号を受信し、各通信パスの通信品質を測定するトレーニング信号受信部357。トレーニング信号受信部357にて測定された各通信パスの通信品質情報318をソースノード100へまとめて送信する通信品質情報送信部358。そして通信フレーム内にあるタイムスロット割当情報319を受信するタイムスロット割当情報受信部359。
【0029】
ビデオデータ選択部360は、メイン通信パス及びサブ通信パスの受信状態に応じて、外部インタフェース部330に出力するビデオデータを制御する。
【0030】
次に、本実施形態における無線ノードのアンテナ制御方法を、図4を用いて説明する。無線ノード(ソースノード100、宛先ノード110)は、複数のアンテナ素子から構成される指向性アンテナを備える。また、アンテナ素子から送受信される無線信号の位相を制御することにより、狭指向性モード400と広指向性(ワイド)モード410とを切り替えることができる。
【0031】
この狭指向性モード400では、30°〜150°の範囲を30°ステップの分解能で制御し、5個の指向角パターンのビームを形成する。狭指向性モード400における指向角の範囲及び指向角の分解能はこの限りではない。一方、ワイドモード410では、0°〜180°の範囲の広い指向角をカバーするが、指向角の範囲はこの限りではない。
【0032】
狭指向性モード400は、通信パスの送受信可能な範囲は限定されるが、高いゲインが得られるため、高レートのデータ伝送ができる。また、ワイドモード410は、狭指向性モード400と比較して通信パスの送受信可能な範囲は限定されないが、低レートであるという特徴がある。本実施形態では、データ容量の大きいビデオデータは狭指向性モード400での送受信を行い、データ容量が小さい制御データはワイドモード410で送受信を行う。
【0033】
次に、無線通信システムにおける通信フレームの構成を、図5を用いて説明する。図5の通信フレームは、固定長のスーパーフレーム500であり、アプリケーションデータの有効期間である繰り返し周期で送信される。各スーパーフレーム500は、タイムスロット割当情報510、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域515、制御データ用のタイムスロット領域520の3つの時分割領域を含んでいる。
【0034】
タイムスロット割当情報510には、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域515と制御データ用のタイムスロット領域520の配置や送受信条件を示す情報が含まれている。ここで宛先ノード110は、ビデオデータの受信や制御データの送受信をするためにソースノード100が伝送するタイムスロット割当情報を正しく受信できなければならない。尚、タイムスロット割当情報の詳細な構成は、図6を用いて更に後述する。
【0035】
アプリケーションデータ用のタイムスロット領域515では、ビデオデータを送信する無線ノードであるソースノード100にタイムスロットが割り当てられる。また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域515は、1個のタイムスロット516を単位に10個のタイムスロットから構成される。
【0036】
本実施形態では、ソースノード100は、メイン通信パスとサブ通信パスの2つの通信パスを使用し、同じデータから生成した低圧縮ビデオデータと高圧縮ビデオデータとを伝送している。各ビデオデータはデータ量が異なり、メイン通信パス用のデータ領域517は8個のタイムスロットを占有し、サブ通信パス用のデータ領域518は2個のタイムスロットを占有している。このように、異なる2つの通信パスを使用してビデオデータを伝送することにより、どちらか一方の通信パスのデータが受信できれば、ビデオデータの有効期間内にビデオを再生することが可能となる。
【0037】
また、制御データ用のタイムスロット領域520は、ACK/NAK521、トレーニング信号522、通信品質情報523の3つの制御データから構成されている。ここで、ACK/NAK521は、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域515に含まれるメイン通信パス及びサブ通信パスのデータを宛先ノード110が正しく受信できたか否かを示し、宛先ノード110により送信される。トレーニング信号522は、通信パスの通信品質を測定するためにソースノード100から送信される既知信号で、複数の短いパケットデータの集合から構成される。
【0038】
本実施形態では、ソースノード100及び宛先ノード110でアプリケーションデータの伝送に狭指向性モード400を用いる。そのため、トレーニング信号522は狭指向性モード400で指向角を切り替えながら送信される。更に、宛先ノード110は指向角を切り替えながらトレーニング信号522を受信することにより、送受信時の指向角の組み合わせにより形成される通信パスの通信品質を測定することが可能となる。通信品質情報523は、このトレーニング信号522を受信することによって測定された各通信パスの通信品質情報を含んでおり、宛先ノード110により送信される。
【0039】
次に、タイムスロット割当情報の構成を、図6を用いて説明する。タイムスロット割当情報には、トレーニング用の割当情報、メイン通信パスの割当情報、サブ通信パスの割当情報、の3つに分類されるパラメータが含まれる。図6では、各分類におけるパラメータと、各パラメータの取り得る値を記述している。
【0040】
まず、トレーニング用の割当情報に含まれるパラメータを説明する。トレーニング用の割当の有無は、スーパーフレーム内の制御データ用のタイムスロット領域にトレーニング信号を含むか否かを示している。このパラメータの値が“0”の場合は割当がないことを示し、ソースノード100及び宛先ノード110は共に、トレーニング信号区間での動作を行わない。一方、このパラメータの値が“1”の場合は割当があることを示し、ソースノード100はトレーニング信号を送信し、後続の通信品質情報のタイムスロットで宛先ノード110からの通信品質情報を受信する。宛先ノード110は、トレーニング信号を受信して通信品質を測定し、後続の通信品質情報のタイムスロットで測定した通信品質をソースノード100へ送信する。
【0041】
次に、メイン通信パスの割当情報に含まれるパラメータを説明する。タイムスロットの開始位置は、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のどのタイムスロットからメイン通信パスのタイムスロットが開始するかを示している。図5の例では、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域は10個のタイムスロットから構成されているため、“0”〜“9”の値が設定される。次のタイムスロット数はメイン通信パスで使用するタイムスロットの数を示しており、“0”〜“10”の値が設定される。ここで“0”が設定される場合は、メイン通信パスではビデオデータが伝送されないことを示す。図5の領域517のメイン通信パスデータを例にとると、タイムスロットの開始位置は“0”、タイムスロット数は“8”が設定される。
【0042】
次のビデオデータの圧縮率は、もともとデータソース105から受信したビデオデータに対して、ソースノード100のエンコーダが施した圧縮処理の圧縮率を示し、“0”〜“1”の値が設定される。例えば、受信したビデオデータのサイズが500MBであり、メイン通信パスで伝送するビデオデータのサイズが400MBであった場合には、圧縮率は400/500=0.8となる。宛先ノードは110はこのパラメータに基づきビデオデコーダで伸長処理を施す。
【0043】
次の送信角度は、メイン通信パスを使用してビデオデータを送信する際に、ソースノード100で設定するアンテナの指向角を示している。これは図4に示すように、30°〜150°の間の30°ステップの値のうちの何れかが設定される。次の受信角度はメイン通信パスを使用してビデオデータを受信する際に、宛先ノード110で設定するアンテナの指向角を示している。これも送信角度と同様に、図4に示すように、30°〜150°の間の30°ステップの値のうちの何れかが設定される。例えば、図1に示すメイン通信パスにおける送信角度は90°、受信角度は90°である。
【0044】
最後に、サブ通信パスの割当情報に含まれるパラメータは、メイン通信パスの割当情報に含まれるパラメータと同様の意味を有しているので、説明を省略する。図5の領域518のサブ通信パスデータを例にとると、タイムスロットの開始位置は“8”、タイムスロット数は“2”が設定される。また、図1に示すサブ通信パスにおける送信角度は60°、受信角度は120°である。
【0045】
このように、タイムスロット割当情報に含まれる各種パラメータを参照することにより、ソースノード100と宛先ノード110とは所定のタイミングでアンテナ指向角を制御しながらアプリケーションデータと制御データとを送受信することが可能となる。
【0046】
次に、本実施形態における全体的な動作を、シーケンス図を交えて説明する。ここでは、トレーニング処理の動作、ビデオデータ伝送時の動作、ビデオデータ伝送時にエラーが継続した場合の動作、通信パス再選択時の動作、の4つの動作をそれぞれ説明する。
【0047】
まず、トレーニング処理の動作を説明する。ここでは、アプリケーションデータを伝送する前にトレーニング処理を行うことにより、各通信パスの通信品質を測定する。ソースノード100は測定された通信品質情報を収集し、通信品質テーブルに基づいて使用するメイン通信パス及びサブ通信パスを選択し、ビデオデータの圧縮率を決定する。図7は、トレーニング処理の動作シーケンスを示す図である。
【0048】
まず、S700にて、ソースノード100がトレーニング用割当を含むタイムスロット割当情報を宛先ノード110に対して送信し、トレーニング処理の開始を通知する。その後、ソースノード100はS705にて、アンテナ指向角を所定のタイミングで切り替えながら、トレーニング信号を所定期間送信する。一方、トレーニング用割当を含むタイムスロット割当情報を受信した宛先ノード110はS706にて、アンテナ指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を受信し通信品質を測定する。この処理により、宛先ノード110は、ソースノード100の各送信指向角と自身の各受信指向角の組み合わせにおける通信パスの通信品質を測定することができる。全ての通信品質の測定を完了すると、宛先ノード110は、S710にて、通信品質の測定結果をソースノード100に送信する。
【0049】
次に、ソースノード100は、S715にて、受信した通信品質の測定結果を通信品質テーブル220に保存して更新する。結果として、図17の(a)に示すような通信品質テーブルが構築される。図17に示す(a)の各セルはソースノード100の所定の送信指向角と、宛先ノード110の所定の受信指向角との組み合わせにおける通信パスの通信品質レベルを示している。通信品質レベルは1〜3で示し、通信品質が良好である程数値が大きくなる。
【0050】
尚、NA(Not Applicable)と記載されているセルは通信品質が悪く測定できなかったことを示す。例えば、ソースノード100が150°の指向角で送信し、宛先ノード110が30°の指向角で受信した場合の通信パスの通信品質レベルは1である。この例では、通信パスの候補として3つの通信パスが存在している。
【0051】
次に、トレーニング処理を終了後、ビデオデータ伝送を行う際の動作の概要を、図1を用いて説明する。図1に示すように、ソースノード100はメイン通信パス141とサブ通信パス140を使用して圧縮率の異なるビデオデータを伝送する。これにより、どちらか一方の通信パスのデータが受信できれば、ビデオデータの有効期間内にビデオを再生することが可能となる。
【0052】
ここで、ソースノード100と宛先ノード110との間でビデオデータを伝送する際の動作シーケンスを、図8を用いて詳述する。まず、ソースノード100はS800にて、通信品質テーブル220に基づいてビデオデータの伝送に使用するメイン通信パスとサブ通信パスを選択し、各通信パスで伝送するビデオデータの圧縮率を決定する。この処理の詳細は、図16を用いて更に後述する。
【0053】
この例では、複数の通信パスの候補の中から、メイン通信パスとしてパス1が選択され、サブ通信パスとしてパス2が選択される。図13の(a)は、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット割当であり、パス1のビデオデータ1305、パス2のビデオデータ1310を示している。
【0054】
S801〜S820は、メイン通信パスとサブ通信パスにエラーが発生しなかった場合の処理である。ソースノード100はS801にて選択された通信パスとビデオデータの圧縮率に従って、パス1とパス2のタイムスロット割当情報を生成し、宛先ノード110に通知する。その後、タイムスロット割当情報に従い、S802にてソースノード100はメイン通信パスであるパス1を使用して、データサイズが400MBの低圧縮のビデオデータを送信する。続いてソースノード100はS805にてサブ通信パスであるパス2を使用して、データサイズが100MBの高圧縮のビデオデータを送信する。
【0055】
パス1とパス2のビデオデータを正常に受信した宛先ノード110はS810にてパス1のACKを、S815にてパス2のACKを送信する。両方の通信パスのビデオデータを正常に受信できた宛先ノード110は、S820にて高品質の400MBのビデオデータを選択し、再生する。
【0056】
続いてS821〜S845は、メイン通信パスにエラーが発生した場合の処理である。まず、S821で、S801と同じタイムスロット割当情報をソースノード100が送信する。S825、S830に示すように、パス1に受信エラーが発生し、パス2を正常に受信できた場合には、宛先ノードはS835、S840にてパス1のNAKと、パス2のACKを送信し、正常に受信できた低品質の100MBのビデオデータを再生する。
【0057】
ここで、上述のビデオデータ伝送の動作において、メイン通信パスでビデオデータ伝送時にエラーが継続した際の動作の概要を、図9を用いて説明する。図9に示すメイン通信パス141の間に遮蔽物130が出現した場合、エラーが継続することになる。その場合には、メイン通信パス141のデータ送信を停止し、サブ通信パス140のビデオデータの圧縮率を下げ、低圧縮ビデオデータを送信することにより、ビデオの品質の低下を防止する。この場合の動作シーケンスを、図10を用いて詳述する。
【0058】
S1000〜S1025において、ソースノード100から宛先ノード110へビデオデータを伝送し、宛先ノード110がパス1の受信に失敗してNAKを送信する。その後、宛先ノード110がパス1の受信に失敗し続け、その間、宛先ノード110は100MBのビデオデータを再生している。一方、ソースノード100は、所定期間NAKを受信するか、所定期間ACKを受信しないことにより、エラーが継続状態にあると判断する。ここで、S1050にて、ソースノード100はパス1のビデオデータの送信を停止し、パス2の高圧縮のビデオデータの送信も停止する。そして、パス2のビデオデータの圧縮率を下げ、データサイズを100MBから400MBに変更する。図13の(b)は、エラーによりデータサイズを変更したアプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット割当を示す図である。
【0059】
ここで、ソースノード100はS1055にて、データレートを変更したパス2の割当と再トレーニングを宛先ノード110に要求するためのトレーニング用割当を含むタイムスロット割当情報を送信する。そして、S1060にて、パス2を使用して400MBのビデオデータを送信する。宛先ノード110がパス2のデータを正しく受信すると、宛先ノード110はS1065にて、ACKを送信し、S1070にて、400MBの高品質のビデオを再生する。
【0060】
このように、メイン通信パスで伝送エラーが継続した場合にも、ソースノード100がサブ通信パスのデータレートを変更してビデオデータを送信することにより、宛先ノード110で高品質なビデオの再生が可能となる。
【0061】
次に、メイン通信パスで伝送エラーが継続した場合に、新たな通信パスを探索して使用する動作概要を、図11を用いて説明する。使用していたメイン通信パスに伝送エラーが継続した場合に、トレーニング処理を再度行い、新たな通信パスを探索する。図11では、図9に示す通信パス141で伝送エラーが継続したため、新たな通信パス142を使用する。これにより、再び2つの通信パスを使用してビデオデータの伝送を行うことが可能となり、通信の信頼性を向上させることができる。
【0062】
ここで、新たな通信パスを再度選択する時の動作シーケンスを、図12を用いて詳述する。ソースノード100はパス1でエラーが継続したため、再トレーニングを宛先ノード110に要求するためのトレーニング用割当を含むタイムスロット割当情報を送信する(S1200)。ビデオデータの送信に続いて、ソースノード100はトレーニング信号を送信する(S1215)。一方、宛先ノード110は、アンテナの指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を受信し、各通信パスの通信品質を測定する(S1216)。そして、通信品質情報を通知する(S1220)。通信品質情報を受信したソースノード100は通信品質テーブルを更新する(S1225)。
【0063】
図17の(b)は更新された通信品質テーブルを示す図である。図17の(a)と比較し、パス1の間に遮蔽物が存在するため、送信角度90°、受信角度90°であるパス1の通信品質がNAとなっている。この通信品質テーブルに従って、メイン通信パスとしてパス2140が選択され、サブ通信パスとしてパス3142が選択される。
【0064】
ソースノード100は、通信パスとビデオデータの圧縮率とを選択し(S1230)、パス2とパス3のタイムスロット割当情報を生成し、宛先ノード110に通知する(S1235)。図13の(c)は、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット割当を示す図である。図示するように、パス2のビデオデータ1320とパス3のビデオデータ1325とが含まれる。
【0065】
その後、ソースノード100はタイムスロット割当情報に従ってメイン通信パスであるパス2を使用してデータサイズが400MBの低圧縮のビデオデータを送信する(S1240)。続いてソースノード100はサブ通信パスであるパス3を使用してデータサイズが100MBの高圧縮のビデオデータを送信する(S1245)。一方、パス2とパス3のビデオデータを正常に受信した宛先ノード110はパス2のACK、パス3のACKを送信する(S1250、S1255)。そして、両方の通信パスのビデオデータを正常に受信できた宛先ノード110は、高品質の400MBのビデオデータを選択し、再生する(S1260)。
【0066】
次に、ソースノード100と宛先ノード110の内部動作の詳細を、図14乃至図16を用いて説明する。図14は、ソースノード100のスーパーフレーム単位の処理を示すフローチャートである。
【0067】
まず、S1400において、ソースノード100はタイムスロット割当情報を生成する。この処理の詳細は図16を用いて後述する。次に、S1405において、ソースノード100は生成したタイムスロット割当情報を宛先ノード110に送信する。次に、S1410において、タイムスロット内にメイン通信パス用の割当があるか否かを判断し、割当がない場合にはS1420へ分岐し、割当がある場合にはS1415へ分岐する。このS1415では、タイムスロット割当情報に設定した所定の圧縮率でビデオデータを圧縮し、メイン通信パスの送信タイミングとアンテナ指向角の条件に従ってビデオデータを送信する。
【0068】
次に、S1420において、タイムスロット内にサブ通信パス用のタイムスロットの割当がある否かを判断し、割当がない場合にはS1430へ分岐し、割当がある場合にはS1425へ分岐する。このS1425では、タイムスロット割当情報に設定した圧縮率でビデオデータを圧縮し、サブ通信パスの送信タイミングとアンテナ指向角の条件に従ってビデオデータを送信する。次に、S1430において、宛先ノードからのACK/NAKを受信する。そして、S1435において、タイムスロット内にトレーニング信号用のタイムスロットを割当があるかどうかを判断し、割当がない場合にはスーパーフレーム単位の処理を終了する。一方、割当がある場合には、S1440において、アンテナ指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を送信する。そして、S1445において、通信品質情報を宛先ノード110から受信し、自身の通信品質テーブルを更新し、スーパーフレーム単位の処理を終了する。
【0069】
次に、宛先ノード110のスーパーフレーム単位の処理を、図15を用いて説明する。まず宛先ノード110は、S1500において、タイムスロット割当情報をソースノード100から受信する。S1505において、タイムスロット割当情報を参照してサブ通信パス用の割当があるか否かを判断し、割当がない場合はS1515へ分岐し、割当がある場合にはS1510へ分岐する。S1510では、タイムスロット割当情報に設定されたメイン通信パスの受信タイミングとアンテナ指向角の条件に従って、ビデオデータを受信する。次に、S1515において、タイムスロット割当情報を参照してサブ通信パス用の割当があるか否かを判断し、割当がない場合はS1525へ分岐し、割当がある場合にはS1520へ分岐する。S1520では、タイムスロット割当情報に設定されたサブ通信パスの受信タイミングとアンテナ指向角の条件に従って、ビデオデータを受信する。
【0070】
次に、S1525において、メイン通信パスのビデオデータの受信が成功したか否かを判断する。成功した場合にはS1530において、メイン通信パスで伝送される高品質の低圧縮ビデオデータを、タイムスロット割当情報に含まれる圧縮率情報に基づいて伸長し再生する。一方、失敗した場合には、S1535へ分岐し、サブ通信パスのビデオデータの受信が成功したか否かを判断する。成功した場合はS1540において、サブ通信パスで伝送されるビデオデータを、タイムスロット割当情報に含まれる圧縮率情報に基づいて伸長し再生する。一方、失敗した場合はS1545へ分岐し、メイン通信パスとサブ通信パスの受信結果をACK/NAKとしてソースノード100へ通知する。
【0071】
次に、S1550において、タイムスロット割当情報を参照してトレーニング用の割当があるか否かを判断し、割当がない場合はスーパーフレーム単位の処理を終了する。割当がある場合はS1555において、アンテナの指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を受信し、各通信パスの通信品質を測定する。そして、S1560において、測定された通信品質を通信品質情報としてソースノード100に通知し、スーパーフレーム単位の処理を終了する。
【0072】
次に、ソースノード100におけるタイムスロット割当情報の生成処理の詳細(図14のS1400)を、図16を用いて説明する。まず、S1600において、ソースノード100内に通信品質テーブルが生成されているか否かを判断する。生成されていない場合は、ビデオデータ伝送に使用する通信パスを選択するためのトレーニング処理が必要となるので、S1645へ分岐する。一方、生成されている場合には、S1605へ分岐し、通信品質テーブルが更新されているか、つまり、前回のスーパーフレームまでにトレーニング処理を行ったか否かを判断する。ここで、更新されていない場合はS1615へ分岐し、メイン通信パスとサブ通信パスのタイムスロット割当情報は変更せず、前回スーパーフレームで使用したものと同様のものを使用する。更新されている場合には、S1610へ分岐し、新しい通信品質テーブルに従って、メイン通信パスとサブ通信パスを選択し、各通信パスのビデオの圧縮率を決定する。そして、S1620において、選択された通信パスとビデオの圧縮率に従ってメイン通信パスとサブ通信パスのタイムスロット割当情報を生成する。
【0073】
次に、S1625において、メイン通信パス或いはサブ通信パスでエラーが所定期間継続しているか否かを判断する。どちらにもエラーが発生していない場合にはタイムスロット割当情報の生成処理を終了し、どちらかにエラーが継続している場合にはS1630へ分岐する。S1630では、エラーの継続している通信パスのデータ送信を停止するために、S1620で生成したタイムスロットの割当情報のうち、エラーの継続している通信パスの割当情報を削除する。次に、S1635において、エラーの継続している通信パスがメイン通信パスであるか否かを判断する。ここでメイン通信パスである場合には、サブ通信パスのビデオデータの圧縮率を低減し、サブ通信パスのタイムスロット割当情報を更新する。通信品質テーブルが生成されていない場合、或いは通信パスでエラーが継続しているため、通信品質テーブルの更新が必要な場合は、S1645において、トレーニング処理を宛先ノード110へ要求するためにトレーニング用の割当情報を生成する。
【0074】
ここで、メイン及びサブの通信パスの選択とビデオ圧縮率とを決定する処理(図16のS1610)を、図16の(b)及び図17を用いて説明する。例として、サブ通信パスに最低限必要なタイムスロット数を2とし、1タイムスロットあたりに送信できるビデオデータサイズを50MBとする。また、データソース105から1スーパーフレーム時間当たりに受信する非圧縮ビデオのデータサイズを500MBとし、図17に示す(a)の通信品質テーブルを使用した場合を例に挙げて説明する。
【0075】
まずS1650において、通信品質テーブルを参照し、1番目に通信品質の良好な通信パスをメイン通信パスとして選択し、2番目に通信品質の良好な通信パスをサブ通信パスとして選択する。結果として、メイン通信パスとして送信角度90°、受信角度90°の通信パスが選択され、サブ通信パスとして送信角度60°、受信角度120°の通信パスが選択される。そして、S1655において、サブ通信パスに最低限必要な2個のタイムスロットを割り当てる。この時点で残りのタイムスロット数は8個である。次に、S1660において、メイン通信パスに最大限のタイムスロットを割り当てる。ここで、残りのタイムスロット数は8個なので、50*8=400MBのデータ伝送が可能であり、圧縮前のデータサイズが500MBであることから、8個のタイムスロット全てをメイン通信パスに割り当てる。
【0076】
次に、S1665において、残りのタイムスロットがあるか否かを判断し、この時点で残りのタイムスロット数がゼロであれば、S1675へ分岐する。しかし、残りのタイムスロット数がゼロでない場合には、S1670へ分岐し、メイン通信パスで使用しきれなかった分のタイムスロットをサブ通信パスに割り当てる。そして、S1675において、メイン通信パスとサブ通信パスの割当タイムスロット数と圧縮前のビデオデータサイズからビデオデータの圧縮率を算出する。この例では、メイン通信パスで400MBのデータを伝送するため、圧縮率は400/500=0.8となり、サブ通信パスでは100MBのデータを伝送するため、圧縮率は100/500=0.2となる。以上の処理により、選択された通信パスのアンテナ指向角の条件及び圧縮率の情報はタイムスロット割当情報に格納される。
【0077】
尚、以上の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明がこれに限定されるわけでないことは言うまでもない。また本実施形態では、扱うアプリケーションデータをビデオデータとしているが、これに限定されるものではなく、例えばオーディオデータであってもよい。
【0078】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信パスを用いてソースノードから宛先ノードへデータを送信する無線通信システムにおけるソースノードであって、
所定の圧縮率又は非圧縮のデータを第1の通信パスで送信し、前記第1の通信パスで送信するデータの高圧縮のデータを前記第1の通信パスとは異なる第2の通信パスで送信する送信手段と、
前記第1の通信パスでエラーが発生した場合、前記第2の通信パスで送信するデータを前記所定の圧縮率又は非圧縮のデータに変更する変更手段と、
を有することを特徴とするソースノード。
【請求項2】
前記変更手段により前記第2の通信パスで送信するデータを前記所定の圧縮率又は非圧縮のデータに変更した場合、新たな通信パスを探索する探索手段を更に備え、
前記送信手段は、前記探索された新たな通信パスで前記高圧縮のデータを送信することを特徴とする請求項1に記載のソースノード。
【請求項3】
前記ソースノード及び前記宛先ノードの少なくとも一方は、アンテナ指向角を制御して前記データを送受信することを特徴とする請求項1又は2に記載のソースノード。
【請求項4】
前記送信手段は、前記アンテナ指向角が互いに異なる複数の通信パスを用いて送信することを特徴とする請求項3に記載のソースノード。
【請求項5】
前記変更手段は、前記第1の通信パスでのエラーが所定期間継続した場合に、前記第2の通信パスで送信するデータを前記所定の圧縮率又は非圧縮のデータに変更することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のソースノード。
【請求項6】
複数の通信パスを用いてソースノードから宛先ノードへデータを送信する無線通信システムにおけるソースノードの送信方法であって、
前記ソースノードは、所定の圧縮率又は非圧縮のデータを第1の通信パスで送信し、前記第1の通信パスで送信するデータの高圧縮のデータを前記第1の通信パスとは異なる第2の通信パスで送信している際に、前記第1の通信パスでエラーが発生した場合、前記第2の通信パスで送信するデータを前記所定の圧縮率又は非圧縮のデータに変更することを特徴とするソースノードの送信方法。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のソースノードと当該ソースノードからのデータを受信する宛先ノードとを有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至5の何れか1項に記載のソースノードの各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−227565(P2012−227565A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90407(P2011−90407)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】