説明

タイムスタンプ情報検証支援サーバ装置及び方法

【課題】 電子文書のタイムスタンプ監査者の検証を軽減する装置を提供する。
【解決手段】 タイムスタンプ情報検証装置3の検証部33は、監査者端末2から電子文書のタイムスタンプ情報と、TSTとを、受信部31を介して取得する。読み取り位置指定部301は、監査者の指示に従って、電子文書のタイムスタンプ情報読み取り位置を判定し、読み取った情報を読み取り部302、または日時データ候補抽出部303に入力する。この日時データ候補と、記憶部23から読み込んだTSTと、から差分時刻計算部304で、差分を計算する。検証結果出力作成部305は、電子文書、TSTおよび差分時刻一覧表を作成する。制御装置21は電子文書、TSTおよび差分時刻一覧表を送信部22を介して監査者端末2に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子データに付されたタイムスタンプ情報の妥当性の検証を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タイムスタンプ技術は、電子データがある時間に存在し、それ以降改ざんされていないことを暗号学的に証明する技術である。この技術では、タイムスタンプ局(TSA)と呼ばれるタイムスタンプを発行する機関により生成されるタイムスタンプデータ(タイムスタンプトークン:TST)を検証することにより、その真実性等を確保することができる。しかし、TSTを検証するためには、TSTの種類に応じた処理が必要であり、監査者の負担が大きい。この問題を解決するために、多種類のTSTを検証できるタイムスタンプ検証サーバ(VA)に検証処理を実行させて、監査者に検証結果を返却して、監査者が検証結果を吟味するモデルが存在する(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−20651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された検証技術により検証できる項目は、TSTの形式や有効性についての検証、TSTと電子文書の対応についての検証のような、TSTの妥当性についての検証のみである。この検証結果から判断できることは、対象となる電子文書データが、TSTのデータとして記録された時刻にTSAで検証処理が実行された後、改ざんされていないことである。
【0004】
しかし、監査者が関心を持つ時刻は、TSTのデータとして記録された時刻ではなく、電子文書に記された時刻である。このため、電子文書に記された時刻の信憑性を判断するためには、TSTのデータとして記録された時刻と、電子文書に記された時刻の差が容認できるものであるか否か確認する必要がある。
【0005】
この確認を、監査者が電子文書データを画面上に表示し、時刻に関する箇所を目視で確認し、確認した時刻とTSTのデータとして記録された時刻との差分を計算し、差分が証書類に記された事柄の信憑性にどれだけの影響をあたえるものかを推定し、その信憑性について判断する、という順序で行うことも考えられる。しかし、これでは、監査者に大きな負担が発生する。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、電子文書に記された日時の信憑性の判断を支援する技術を提供することを目的とする。
また、本発明は、監査者の負担の少ない電子文書監査支援技術を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置は、
前記クライアント装置から送付された電子文書と該電子文書が存在していた日時を証するタイムスタンプ情報を取得する受信手段と、
前記受信手段で受信した電子文書の中の日時に関する情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算をする差分計算手段と、
前記差分計算手段により計算された差分を示す差分情報を前記クライアント装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記読取手段は、例えば、前記電子文書を文字認識する文字認識手段と、該文字認識手段により認識された文字のうちから日時に関する情報を読み取る日時情報読取手段と、を備えてもよい。
【0009】
例えば、前記受信手段は、前記クライアント装置より、前記電子文書の読み取り範囲を指定する範囲指定情報を受信し、前記読取手段は、前記受信手段で受信した電子文書のうちの前記範囲指定情報で指定された範囲中の日時に関する情報を読み取る。
【0010】
前記送信手段は、例えば、前記差分計算手段により計算された差分の程度を示す指標を前記クライアント装置に送信する。
【0011】
前記受信手段で受信した電子文書の形式を検証する形式検証手段と、前記受信手段で受信した電子文書のファイル名に付加されている生成日時情報が示す日時が該電子文書が存在していた日時よりも前であるか否かを判別する日付検証手段と、との少なくとも一方をさらに配置してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にタイムスタンプ情報検証支援方法は、
検証対象の電子文書と該電子文書のタイムスタンプ情報を取得し、
取得した電子文書の中の日時に関する情報を読み取り、
読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算し、
計算した差分を示す差分情報を送信する、
ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にコンピュータプログラムは、
コンピュータに、
検証対象の電子文書と該電子文書のタイムスタンプ情報を取得し、
取得した電子文書の中の日時に関する情報を読み取り、
読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算し、
計算した差分を示す差分情報を送信する、
動作を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子文書中の日時情報が示す日時とタイムスタンプ情報が示す日時との差分が自動的に計算され、提供されるので、監査者の負担が小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態に係るタイムスタンプ検証装置について説明する。
【0016】
本発明の実施の形態に係るタイムスタンプ情報検証装置は、図1に示すように、通信ネットワークNを介して接続された、複数の利用者端末1と、監査者端末2と、タイムスタンプ情報検証装置3と、タイムスタンプサーバ装置4と、から構成される。
【0017】
通信ネットワークNは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などといった所定の通信プログラムに基づいてデータ伝送を行うネットワークである。通信ネットワークNは、利用者端末1と監査者端末2、タイムスタンプ情報検証装置3、タイムスタンプサーバ装置4を相互接続し、これらの間のデータ通信を媒介する。
【0018】
利用者端末1および監査者端末2は、ネットワーク通信機能を有するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から構成される。利用者端末1は、公官庁や一般企業等、広く証書類を作成する者(利用者)により使用され、監査者端末2は、監査者によって使用される。利用者、監査者は同一企業等であるか否かを問わず、また、利用者と監査者が同一人であってもよい。従って、利用者端末1と監査者端末2が、1つの情報処理装置である場合もある。
【0019】
タイムスタンプサーバ装置4は、利用者端末1から送信された電子文書(或いは電子文書のメッセージダイジェスト(ハッシュ値))に、その日時を電子文書が存在したことを証明する証明書(TST(Time Stamp Token))を生成・発行し、利用者端末1に提供するサーバ装置である。タイムスタンプサーバ装置4において、電子文書のメッセージダイジェストを生成し、TSTに含めるようにしてもよい。
【0020】
タイムスタンプ情報検証装置3は、電子文書とそのTSTとを検証するための装置であり、物理的には図2に示すように、制御装置21と、通信部22と、記憶部23と、から構成される。
【0021】
制御装置21は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、後述する各種制御動作を実行する。
【0022】
通信部22は、例えば、NIC(Network Interface Card)やルータ、モデム、などといった通信装置から構成される。通信部22は、タイムスタンプ情報検証装置3と通信ネットワークNとを接続し、通信ネットワークNを介して利用者端末1、監査者端末2やタイムスタンプ情報検証装置3、タイムスタンプサーバ装置4との間で各種の情報を送受信する。
【0023】
記憶部23は、ハードディスク装置などから構成され、制御部23の処理プログラムや各種のデータを記憶する。
【0024】
図2に示す構成のタイムスタンプ情報検証装置3は、機能的には、図3に示す構成を有する。すなわち、タイムスタンプ情報検証装置3は、制御部321と、受信部31および送信部32と、記憶部323と、検証部33と、差分検証部34と、を備える。
検証部33は、タイムスタンプ形式検証部331と、タイムスタンプ有効性検証部332と、対応検証部333と、から構成される。
差分検証部34は、読み取り位置指定部301と、読み取り部302と、日時データ候補抽出部303と、差分時刻計算部304と、検証結果出力作成部305と、を備える。
【0025】
受信部31と送信部32とは、通信部22から構成される。受信部31は、通信ネットワークNを介して、監査者端末2から、電子文書とTSTとの対を受信する。送信部32は、タイムスタンプ情報検証装置3で生成した検証用の情報(後述する検証結果および差分計算結果)を、通信ネットワークNを介して、監査者端末2に送信する。
【0026】
制御部321は、制御装置21と動作プログラムのうち基本部分から構成される。制御部321は、受信部31を介して受信した電子文書とTSTとを、検証部33と、差分検証部34とに供給し、それぞれ、電子文書とTSTとの対を検証する。
【0027】
タイムスタンプ形式検証部331は、TSTのデータ形式が、あらかじめ定められた形式であるか否か、さらに、予め定められたドキュメント形式であるか否かを判別する。例えば、TSTがメッセージダイジェストと日付と電子署名の形式であるか否か、日付の形式が合致しているか、データとエラーチェックコードとの対応関係が妥当か、等を判別する。
【0028】
タイムスタンプ有効性検証部332は、電子文書の作成日時と、タイムスタンプサーバ装置4によって付されたTSTの証明日時との前後関係などを判別することにより、電子文書とTSTの信憑性を検証する。例えば、文書の作成日時がTSTの証明日時よりも後であれば、何らかの改竄が存在すると検証することができる。具体的には、例えば、タイムスタンプ有効性検証部332は、電子文書のヘッダにアプリケーションにより機械的に付される日時情報が示す作成又は更新日時とTSTの証明日時とを比較することにより、検証動作を行う。
【0029】
対応検証部333は、電子文書とTSTとの対応関係が正しいか否かを、例えば、メッセージダイジェストをチェックすること等により検証する。
【0030】
読み取り位置指定部301は、監査者が指定した電子文書の文字情報を読み取る位置(すなわち文字認識範囲を)を指定している場合に、この情報を制御部321から受けとり、電子文書上の読み取り位置を指定する。
【0031】
読み取り部302は、読み取り位置指定部301で指定された読み取り位置情報に基づいて電子文書を読み取って文字認識し、テキストファイル形式等の形式ファイル(平文)を作成して、その結果を制御部321に送る。
【0032】
日時データ候補抽出部303は、読み取り部302で読み取られたテキストデータのうち、日付形式、例えば、平成YY年MM月DD日、YYYY/MM/DD、YY年MM月DD日のようなデータのみを抽出して平文として編集し、日付情報データ候補として、その結果を制御部321に送る。
【0033】
差分時刻計算部304は、上記日時データ候補が示す日時と、TSTに記載された証明日時との差分を計算する。差分時刻計算部304において、TSTに記載された証明日時と日時データ候補が示す日時との差分が、0日以上2日未満であれば「OK」、2日以上或いは負の値の場合であれば、「NG」といった文字情報を付した上で、結果を制御部321に送る。
【0034】
検証結果出力作成部305は、電子文書中の各日付情報とTSTに記載された時刻情報が示す日時との、それぞれの差分を示す差分レコードを作成して、制御部321に送る。
【0035】
次に、監査者が本実施形態のタイムスタンプ情報検証装置3を利用するための処理の動作について、図4を参照して説明する。
【0036】
まず、前提として、利用者は、利用者端末1を操作して、日付証明を受けたい電子文書又は電子文書のハッシュ値データを、通信ネットワークNを介してタイムスタンプサーバ装置4に送信する。電子文書の形式は任意である。
タイムスタンプサーバ装置4は、必要に応じて受信した電子文書のイメージデータのメッセージダイジェストを作成し、メッセージダイジェストに日付情報を付加し、自己の秘密鍵を用いて電子署名を施し、TSTを生成し、要求元の利用者端末に返却する。電子文書とTSTを対応付けて返却するようにしてもよい。
【0037】
続いて、TSTを受けた利用者と他の利用者との間で、商取引などの必要が生じ、他の利用者が電子文書とTSTとの信憑性をチェックする必要が生じたとする。
この場合、利用者は、電子文書とTSTとを、他の利用者(以下、監査者)に転送する。
監査者は、自己の利用者端末1(即ち、監査者端末2)を操作して、通信ネットワークNを介してタイムスタンプ情報検証装置3に対して、検証要求を送信し、続いて、電子文書とTSTとの対を送信する。この際、監査者は、電子文書の読み取り範囲(文字認識範囲)を必要に応じて適宜設定する。
【0038】
タイムスタンプ情報検証装置3の制御部321は、受信部31を介して、監査者端末2からの要求を受け取ると、図4に示す日付チェック処理を開始する。
まず、制御部321は、受信部31を介して、監査者端末2から送信されて来た電子文書およびTSTを取り込む(ステップS201)。
【0039】
制御部321は、電子文書およびTSTを受信すると、メモリに一旦これを格納し、検証部33に供給し、検証を行う(ステップS202)。
【0040】
まず、検証部33内のタイムスタンプ形式検証部331は、TSTのファイル形式、データ形式が、予め定められた形式であるか否かを判別する。例えば、TSTがメッセージダイジェストと日付と電子署名の形式であるか否か、証明日時は年号YY年MM月DD日時分秒の形式であるか、桁数は合致しているか、データとエラーチェックコードとの対応関係等をチェックする。
【0041】
タイムスタンプ有効性検証部332は、電子文書の作成日時と、タイムスタンプサーバ装置4によって付されたTSTの証明日時との前後関係などを判別することにより、電子文書とTSTの信憑性を検証する。例えば、文書の作成日時がTSTの証明日時よりも後であれば、何らかの改竄が存在すると検証することができる。
【0042】
対応検証部333は、電子文書とTSTとの対応関係が正しいか否かを、例えば、両文書のリンク関係、TSTに含まれている電子文書のメッセージダイジェストをチェックすること等により検証する。
【0043】
形式検証部331、タイムスタンプ有効性検証部332、及び対応検証部333は、検証結果を制御部321に供給する。
【0044】
制御部321は、通知された検証した結果を記憶部に一時保存する(ステップS203)。
【0045】
次に、制御部321は、監査者端末2より読み取り範囲を指定する読み取り位置情報を受信したか否かを判別する(ステップS204)。読み取り位置情報を受信していれば、即ち、監督者が、電子文書の読み取り範囲を指定していれば、ステップS204でYesと判別され、読み取り位置指定部301で、監査者端末2から指定された位置情報から、電子文書の読み取り範囲を設定する(ステップS205)。位置情報がない場合は(ステップS204;No)、ステップ205をスキップし、電子文書全体を読み取り範囲とする。
【0046】
続いて、制御部321は、電子文書と読み取り範囲を特定する情報を、読み取り部302に引き渡す(ステップS206)。読み取り部302は、提供された電子文書をイメージデータとしてメモリ上に展開し、展開したイメージデータのうち読み取り範囲内を文字認識し、テキストデータ(改行付き)を出力する。
【0047】
続いて、読み取り部302は、読み取り結果(テキストデータ)を日時データ候補抽出部303に供給する(ステップS207)。
【0048】
日時データ候補抽出部303は、供給されたテキストデータをスキャンして、日付や日時に相当する部分を抽出し、日時データ候補として差分時刻計算部304に供給する(ステップS208)。
例えば、日時データ候補抽出部303は、「平成」や「昭和」、「西暦」で始まる文字群、「19××」や「200×」で始まる数字列などを抽出し、これが年月日時分秒に相当するか否かを判別し、相当すれば、それを候補として差分時刻計算部304に通知する。
【0049】
差分時刻計算部304は、日時データ候補抽出部303で抽出された日付データ候補それぞれが示す日時と、TSTに付されている証明日時との差を求め、検証結果出力作成部305に供給する(ステップS209)。
【0050】
検証結果出力作成部305は、検証部33の検証結果、日時データ候補抽出部303及び差分時刻計算部304の出力を受信し、電子文書、TSTおよび差分時刻のレコード(すなわち差分時刻一覧表)を含む検証データ作成する(ステップS210)。この際、差分時刻計算部304で計算した差分に応じたNGやOKのメッセージを作成して付与する。たとえば、差分が0日以上+2日未満の場合、OK,+2日以上又は負の値の場合には、NGとする。
【0051】
制御部321は、送信部32を介して、監査者端末2に検証データを送信し(ステップS211)、今回の検証動作を終了する。
【0052】
監査者端末2は、タイムスタンプ情報検証装置3からの検証データを受信し、表示部にこれを表示する。
【0053】
監査者は、監査者端末2に表示された検証データを参考にして、電子文書の内容の信憑性などについて判断する。
【0054】
図4の動作を具体例に基づいて、説明する。
ここでは、検証対象の電子文書が図5(a)に示すようなものであり、図5(b)に示すように、TSTに記載された日時が「2004.10.8.17:00:00」であり、監査者が電子文書の認識範囲を指定しなかったとする。
【0055】
この場合の動作を図6(a)、(b)を参照して説明する。この場合、図4のステップS204でNoと判別され、読み取り位置指定部301は、図6(b)に示すように、読み取り範囲を文書全体とする。読み取り部302は、電子文書を先頭から順に文字認識する(ステップ207)。この結果、全文書、即ち「○○商事(株)御中 ... 21:10:57+09’00”」が読み取られる。
【0056】
日時データ候補抽出部303は、このうちから、時刻に相当すると推定される文字列「2004年9月24日」と「2004.10.07 21:10:57+09’00”」を抽出する(ステップS208)。
【0057】
次に、差分時刻計算部304は、TSTの記載時刻が「2004.10.8.17:00:00」であることから、これに合わせて、日時データ候補「2004年9月24日」を「2004.9.24 00:00:00」に変換し、「2004.10.07 21:10:57+09’00”」を「2004.10.7 21:10:57」に変換する。
【0058】
差分時刻計算部304は、さらに、変換した日時データ「2004.9.24 00:00:00」と「2004.10.7 21:10:57」と、TSTの記載日時「2004.10.8 17:00:00」との差分を+14日、+1日として求める。
【0059】
検証結果出力作成部305は、これらの検証結果より、図6(a)に例示するような検証データを生成する。この検証データは、監査者端末2に表示される。これにより、監査者は、電子文書全文を読まなくても、文書中に記載されている日時とTST記載の日時との差分を用いて文書の信憑性を判断することができる。
一方、図7(b)に示すように、図5(a)に示す文書の下端部が読み取り範囲として監査者により指定されたとする。
この場合、図4のステップS204でYesと判別され、読み取り位置指定部301は、図7(b)に示すように、読み取り範囲を指定する。読み取り部302は、指定された範囲内で文字を認識する(ステップS207)。この結果、「2004.10.07 21:10:57+09’00”」が読み取られる。
【0060】
日時データ候補抽出部303は、このうちから、日時に相当すると推定される文字列「2004.10.07 21:10:57+09’00”」を抽出する(ステップS208)。
【0061】
次に、差分時刻計算部304は、TSTの記載時刻が「2004.10.8.17:00:00」であることから、これに合わせて、日時データ候補「2004.10.07 21:10:57+09’00”」を「2004.10.7 21:10:57」に変換する。
【0062】
差分時刻計算部304は、さらに、変換した日時データ「2004.10.7 21:10:57」と、TSTの記載日時「2004.10.8 17:00:00」との差分を+1日として求める。
【0063】
検証結果出力作成部305は、これらの検証結果より、図7(a)に例示するような検証データを生成する。この検証データは、監査者端末2に表示される。これにより、監査者は、電子文書全文を読まなくても、文書中に記載されている日時とTST記載の日時との差分を用いて文書の信憑性を判断することができる。
【0064】
上記実施の形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0065】
例えば、図6,7では、監査者端末画面に検証部33での検証結果を示していないが、検証部33での検証結果を適当に表示して監査者の監査動作の一助とししてもよい。
また、検証部33での検証を通過したTSTについてのみ、差分時刻計算部304等による検証を行うようにしてもよい。
日時の差分の大きさに応じて、OK、NG等を付すようにしたが、表示色を異ならせる等してもよい。
【0066】
TSTの構成、システム構成や動作等も同様の機能構成が得られるならば、任意に変更可能である。
【0067】
上記実施の形態にかかるタイムスタンプ情報検証装置3は、専用装置によって実現可能なことはもとより、汎用のコンピュータシステムによって構成することもできる。この場合、上記各処理を実現するためのプログラムを汎用コンピュータシステムにインストールしてOSとの協働により実行することで、汎用コンピュータ装置を、上記タイムスタンプ情報検証装置3として機能させることができる。
【0068】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、CD−ROMなどの記録媒体に格納して提供可能なことはもとより、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る監査者端末、タイムスタンプ情報検証装置およびタイムスタンプサーバ装置を模式的に示す図である。
【図2】図1に示すタイムスタンプ情報検証装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2のタイムスタンプ情報検証装置の機能的構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る検証処理の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】検証対象の電子文書とTSTの例を示す図である。
【図6】監査者が電子文書の読み取り位置情報を指定しない場合の、監査者端末の表示画面に表示される検証結果および差分時刻一覧表の例を示す図である。
【図7】監査者が電子文書の読み取り位置情報を指定する場合の、監査者端末の表示画面に表示される検証結果および差分時刻一覧表の例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 利用者端末
2 監査者端末
3 タイムスタンプ情報検証装置
4 タイムスタンプサーバ装置
21 制御装置
22 通信部
31 受信部
32 送信部
33 検証部
321 制御部
323 記憶部
331 タイムスタンプ形式検証部
332 タイムスタンプ有効性検証部
333 電子文書データとTST対応検証部
34 差分検証部
301 読み取り位置指定部
302 読み取り部
303 日時データ候補抽出部
304 差分時刻計算部
305 検証結果出力作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置と通信ネットワークで互いに接続された、タイムスタンプ情報検証支援サーバ装置であって、
前記クライアント装置から送付された電子文書と該電子文書が存在していた日時を証するタイムスタンプ情報を取得する受信手段と、
前記受信手段で受信した電子文書の中の日時に関する情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算をする差分計算手段と、
前記差分計算手段により計算された差分を示す差分情報を前記クライアント装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置。
【請求項2】
前記読取手段は、前記電子文書を文字認識する文字認識手段と、該文字認識手段により認識された文字のうちから日時に関する情報を読み取る日時情報読取手段と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置。
【請求項3】
前記受信手段は、
前記クライアント装置より、前記電子文書の読み取り範囲を指定する範囲指定情報を受信し、
前記読取手段は、前記受信手段で受信した電子文書のうちの前記範囲指定情報で指定された範囲中の日時に関する情報を読み取る、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記差分計算手段により計算された差分の程度を示す指標を前記クライアント装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置。
【請求項5】
前記受信手段で受信した電子文書の形式を検証する形式検証手段と、
前記受信手段で受信した電子文書のファイル名に付加されている生成日時情報が示す日時が該電子文書が存在していた日時よりも前であるか否かを判別する日付検証手段と、
との少なくとも一方をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタイムスタンプ情報検証支援サーバ装置。
【請求項6】
検証対象の電子文書と該電子文書のタイムスタンプ情報を取得し、
取得した電子文書の中の日時に関する情報を読み取り、
読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算し、
計算した差分を示す差分情報を送信する、
ことを特徴とするタイムスタンプ情報検証支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、
検証対象の電子文書と該電子文書のタイムスタンプ情報を取得し、
取得した電子文書の中の日時に関する情報を読み取り、
読み取った日時情報が示す日時と、前記タイムスタンプ情報が示す日時との差分を計算し、
計算した差分を示す差分情報を送信する、
動作を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−124549(P2007−124549A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317202(P2005−317202)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】