説明

タイムベースコレクタ

【課題】 本発明は、タイムベースコレクタに関し、例えば家庭用ビデオテープレコーダから出力されるビデオ信号を処理する各種映像機器に適用して、同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、メモリ回路6における書き込みアドレス及び読み出しアドレスの差分値の平均値が所定値になるように、読み出しクロックRCKの周波数を可変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムベースコレクタに関し、例えば家庭用ビデオテープレコーダから出力されるビデオ信号を処理する各種映像機器に適用することができる。本発明は、メモリ回路における書き込みアドレス及び読み出しアドレスの差分値の平均値が所定値になるように、読み出しクロックの周波数を可変することにより、同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、編集装置等の各種映像機器においては、タイムベースコレクタにより例えば局内同期信号にビデオ信号を同期させて処理するようになされている。すなわち図2に示すように、タイムベースコレクタ1において、同期分離回路2は、処理対象の入力ビデオ信号S1から水平同期信号HDを分離して出力する。入力用発振回路3は、例えばPLL回路により構成され、この水平同期信号HDを基準にして書き込みクロックWCKを生成して出力する。アナログディジタル変換回路(A/D)4は、この書き込みクロックWCKにより入力ビデオ信号S1をアナログディジタル変換処理してビデオデータを出力する。
【0003】
出力用発振回路5は、例えばPLL回路により構成され、局内同期信号を基準にして読み出しクロックRCKを生成して出力する。バッファメモリ6は、例えば書き込みクロックWCKをリングカウンタによりカウントして得られる書き込みアドレスにより、このアナログディジタル変換回路4から出力されるビデオデータを順次格納する。また同様に読み出しクロックRCKをリングカウンタによりカウントして得られる読み出しアドレスにより、記録したビデオデータを順次出力し、これらにより記録領域を順次循環的に使用して処理対象の入力ビデオ信号S1に同期したタイミングにより順次ビデオデータを入力し、またこの入力したビデオデータを局内同期信号に同期して順次出力する。ディジタルアナログ変換回路(D/A)7は、このバッファメモリ6から出力されるビデオデータをディジタルアナログ変換処理して出力ビデオ信号S2を出力する。
【0004】
このようなタイムベースコレクタに関して、例えば特開平5−91542号公報には、書き込みアドレスに対して読み出しアドレスの発生順序を切り替えることにより、上下、左右等を逆転させた特殊効果によるビデオ信号を出力する方法が提案されるようになされている。
【0005】
ところで実際上、このようなタイムベースコレクタにより家庭用ビデオテープレコーダで再生されたビデオ信号を処理する場合もあり、このような家庭用ビデオテープレコーダで再生されるビデオ信号は、同期が安定していない場合がある。
【0006】
これによりこのようなビデオ信号をタイムベースコレクタにより処理する場合、バッファメモリ6における書き込みと読み出しのタイミングとが一時的にずれ、画飛び、同一映像の繰り返しによる異常が発生する問題があった。
【特許文献1】特開平5−91542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができるタイムベースコレクタを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、入力ビデオ信号に同期して書き込みクロックを生成する書き込みクロック生成回路と、前記書き込みクロックにより前記入力ビデオ信号を順次循環的に記録すると共に、読み出しクロックにより記録した前記入力ビデオ信号を順次出力するメモリ回路と、前記読み出しクロックを生成する読み出しクロック生成回路と、前記メモリ回路における書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値が所定値になるように、前記読み出しクロック生成回路の動作を制御する制御回路とを備えるようにする。
【0009】
請求項1の構成により、入力ビデオ信号に同期して書き込みクロックを生成する書き込みクロック生成回路と、前記書き込みクロックにより前記入力ビデオ信号を順次循環的に記録すると共に、読み出しクロックにより記録した前記入力ビデオ信号を順次出力するメモリ回路と、前記読み出しクロックを生成する読み出しクロック生成回路と、前記メモリ回路における書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値が所定値になるように、前記読み出しクロック生成回路の動作を制御する制御回路とを備えるようにすれば、入力ビデオ信号の同期の変化に追従するように読み出しクロックを変化させることができ、これにより同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができる。またこの入力ビデオ信号の同期の変化に追従する読み出しクロックの変化が、メモリ回路における書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値に基づいて、読み出しクロック生成回路の動作を制御して実行されることにより、入力ビデオ信号の同期が急激に乱れた場合には、この急激な乱れに対しては応答することなく、読み出しクロックを制御することができ、これにより読み出したビデオ信号における同期の乱れを防止して安定にビデオ信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0012】
(1)実施例の構成
図1は、本発明の実施例に係るタイムベースコレクタを示すブロック図である。このタイムベースコレクタ11において、図2について上述したタイムベースコレクタ1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。このタイムベースコレクタ11は、処理対象のビデオ信号S1における瞬間的な同期の乱れを補正して出力する。これによりこのタイムベースコレクタ11を用いる編集システム等においては、このタイムベースコレクタ11から出力されるビデオ信号S2を従来構成によるタイムベースコレクタに入力して局内同期等の基準信号に同期させて処理する。
【0013】
しかしてこのタイムベースコレクタ11において、出力用発振回路12は、制御回路13から出力される制御信号に応じて周波数を可変して、バッファメモリ6の読み出しクロックRCKを生成して出力する。
【0014】
制御回路13は、バッファメモリ6における書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値を平均値化し、その結果得られる平均値が所定値となるように、出力用発振回路12に制御信号を出力する。ここでこの実施例においては、この所定値が、バッファメモリ6のメモリ空間のほぼ1/2に対応する値となるように設定される。
【0015】
(2)実施例の動作
以上の構成において、このタイムベースコレクタ11に入力される入力ビデオ信号S1は、同期分離回路2により水平同期信号HDが抽出され、続く入力用発振回路3によりこの水平同期信号HDを基準にして書き込みクロックWCKが生成される。入力ビデオ信号S1は、アナログディジタル変換回路4において、この書き込みクロックWCKによりサンプリングされてビデオデータに変換され、書き込みクロックWCKによりこのビデオデータがバッファメモリ6に順次循環的に記録される。またこのようにして記録されたビデオデータは、読み出しクロックRCKにより順次バッファメモリ6から読み出され、ディジタルアナログ変換回路7により出力ビデオ信号S2に変換されて出力される。
【0016】
このようにしてビデオ信号S1を処理するにつき、タイムベースコレクタ11では、このようなビデオ信号S1の入出力に係るバッファメモリ6に関して、書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値が制御回路13で求められ、この平均値が所定値になるように出力用発振回路12に制御信号が出力されて読み出しクロックRCKの周波数が制御される。
【0017】
これによりこのタイムベースコレクタ11では、入力ビデオ信号S1に同期の変化に追従するように読み出しクロックRCKの周波数を可変するように形成され、これにより同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができる。
【0018】
またこのような入力ビデオ信号S1に同期の変化に追従するような読み出しクロックRCKの周波数の可変が、書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値に基づいて出力用発振回路12の動作を制御して実行されることにより、入力ビデオ信号S1の同期が一時的に乱れた場合、さらには入力ビデオ信号S1の同期が瞬間的に変化した場合等にあっては、このような変化に対しては追従しないように読み出しクロックRCKの周波数を制御することができ、これにより同期の安定しない入力ビデオ信号S1を同期の安定したビデオ信号S2により出力することができる。
【0019】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、メモリ回路における書き込みアドレス及び読み出しアドレスの差分値の平均値が所定値になるように、読み出しクロックの周波数を可変することにより、同期の安定しないビデオ信号を処理する場合でも、画飛び、同一映像の繰り返しを有効に回避することができる。
【実施例2】
【0020】
なお上述の実施例においては、アナログ信号によるビデオ信号をディジタル信号に変換して処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ディジタル信号によるビデオ信号を入力して処理する場合にも広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はタイムベースコレクタに関し、例えば家庭用ビデオテープレコーダから出力されるビデオ信号を処理する各種映像機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係るタイムベースコレクタを示すブロック図である。
【図2】従来のタイムベースコレクタを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1、11……タイムベースコレクタ、2……同期分離回路、3……入力用発振回路、4……アナログディジタル変換回路、5、12……出力用発振回路、6……バッファメモリ、7……ディジタルアナログ変換回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ビデオ信号に同期して書き込みクロックを生成する書き込みクロック生成回路と、
前記書き込みクロックにより前記入力ビデオ信号を順次循環的に記録すると共に、読み出しクロックにより記録した前記入力ビデオ信号を順次出力するメモリ回路と、
前記読み出しクロックを生成する読み出しクロック生成回路と、
前記メモリ回路における書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差分値の平均値が所定値になるように、前記読み出しクロック生成回路の動作を制御する制御回路と
を備えることを特徴とするタイムベースコレクタ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−86773(P2006−86773A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269131(P2004−269131)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000131496)株式会社シバソク (57)
【Fターム(参考)】