説明

タイヤ加硫用モールドの製造方法

【課題】十分な排気を確保できる排気機構を、少ない加工工程で形成できるタイヤ加硫用モールドの製造方法を提供する。
【解決手段】空洞内部7aを外部に連通させるスリット8を有し、溶融金属Mと同じ金属で形成された筒状体7を、その空洞内部7aに易崩壊性耐火材料Pを充填した状態にして、スリット8が石膏鋳型11の表面11aに接するように配置した後、石膏鋳型11の表面11aに溶融金属Mを流し込んで固化させることにより、筒状体7を製造されるモールドに埋設するとともに、スリット8をモールドのタイヤ成形面に露出させ、溶融金属Mが固化した後に易崩壊性耐火材料Pを除去して、石膏鋳型11の表面11aを転写したモールドを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ加硫用モールドの製造方法に関し、さらに詳しくは、十分な排気を確保できる排気機構を、少ない加工工程で形成することができるタイヤ加硫用モールドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ加硫用モールドには、グリーンタイヤとモールドとの間に残留したエアや加硫の際に発生するガスを、モールド外部に排出させる排気機構が設けられている。従来、排気機構としてはベントホールが多用されていたが、加硫の際にゴムがベントホールに流入してスピューが発生するため、スピューが発生しない排気機構が種々提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
特許文献1および2では、薄板を重ね合わせた積層ブレードを、モールド端面まで延ばしてモールドに埋設した排気機構が提案されている。エアやガスは、積層ブレードの薄板間の微小隙間を通じてモールドの外部に排出される。この排気機構では、エアやガスがモールドの外部に排出するまでに通過する積層ブレートの微小隙間の長さが長くなるため、十分な排気が確保し難いという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献3では、十分な排気を確保するために、薄板を折り曲げて一端部を重ね合わせ、他端部に大きな隙間を確保した積層ブレードが用いた排気機構が提案されている。この積層ブレードはブロックで保持され、このブロックをモールドのタイヤ成形面の凹状のポケットに嵌入させることにより、ポケットとブロックとで囲まれた排気室を形成している。エアやガスは、積層ブレードの一端部の微小隙間および他端部の大きな隙間を通じて排気室に排出される。
【0005】
しかしながら、この排気機構では、鋳造したモールドのタイヤ成形面にポケットを形成する工程、ブロックに積層ブレードを保持させた組立体を製造する工程、この組立体をポケットに嵌入させる工程が必要になるので、加工工程が多くなり製造に要する時間が長くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−338512号公報
【特許文献2】特許第3541261号公報
【特許文献3】特開2008−260135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、十分な排気を確保できる排気機構を、少ない加工工程で形成することができるタイヤ加硫用モールドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明のタイヤ加硫用モールドの製造方法は、石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込み、この溶融金属を固化させることにより石膏鋳型の表面を転写したモールドを製造するタイヤ加硫用モールドの製造方法において、空洞内部を外部に連通させるスリットを有し、前記溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態で、その外周面が石膏鋳型の表面に接するように配置して前記スリットが前記石膏鋳型の表面に接するようにした後、この石膏鋳型の表面に前記溶融金属を流し込んで前記筒状体をモールドに埋設するとともに、前記スリットをモールドのタイヤ成形面に露出させるようにし、前記溶融金属が固化した後に、前記易崩壊性耐火材料を前記筒状体の空洞内部から除去することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の別のタイヤ加硫用モールドの製造方法は、石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込み、この溶融金属を固化させることにより石膏鋳型の表面を転写したモールドを製造するタイヤ加硫用モールドの製造方法において、前記溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態にして、その外周面が石膏鋳型の表面に接するように配置した後、この石膏鋳型の表面に前記溶融金属を流し込んで前記筒状体をモールドに埋設するとともに、この筒状体の外周面の一部をモールドのタイヤ成形面に露出させるようにし、前記溶融金属が固化した後に、前記易崩壊性耐火材料を前記筒状体の空洞内部から除去する前または除去した後、前記露出させた筒状体の外周面の一部に、レーザ加工によりスリットを形成することを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、前記筒状体の内周面に親水性処理を行なった後、その空洞内部に前記易崩壊性耐火材料を充填することもできる。前記石膏鋳型の両端部に、溝を設けた筒状体保持部材を配置し、前記溝に前記筒状体を嵌合することにより、その外周面が前記石膏鋳型の表面に接するように筒状体を配置することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタイヤ加硫用モールドの製造方法によれば、空洞内部を外部に連通させるスリットを有し、鋳込む溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態で、そのスリットが石膏鋳型の表面に接するように配置した後、この石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込んで固化させることにより筒状体をモールドに埋設するとともに、スリットをモールドのタイヤ成形面に露出させるようにすることで、モールドに埋設された筒状体の外周面に形成されたスリットが、モールドのタイヤ成形面に露出しているタイヤ加硫用モールドを得ることができる。
【0012】
或いは、鋳込む溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態で、その外周面が石膏鋳型の表面に接するように配置した後、この石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込んで固化させることにより筒状体をモールドに埋設するとともに、この筒状体の外周面の一部をモールドのタイヤ成形面に露出させ、この露出させた筒状体の外周面の一部に、レーザ加工によりスリットを形成することで、モールドに埋設された筒状体の外周面に形成されたスリットが、モールドのタイヤ成形面に露出しているタイヤ加硫用モールドを得ることができる。
【0013】
前者の製造方法では、溶融金属を石膏鋳型の表面に流し込んで固化させる鋳造工程で、モールドのタイヤ成形面にスリットを露出させた排気機構をほぼ完成させることができる。後者の製造方法では、溶融金属を流し込んで固化させる鋳造工程の後に、スリットを形成するレーザ加工を行なうことで、モールドのタイヤ成形面にスリットを露出させた排気機構をほぼ完成させることができる。このように、本発明では従来に比して少ない加工工程で、排気機構を形成することができる。
【0014】
また、本発明で形成した排気機構は、スリットが筒状体の外周面に形成されて筒状体の空洞内部に連通しているので、エアやガスが通過するスリット(微小隙間)のタイヤ半径方向長さを短縮することができるので、十分な排気を確保するには有利になる。
【0015】
さらに、筒状体と固化した溶融金属とは同じ金属なので、両者は強固に一体化し、製造したモールドを使用する際に、熱膨張の差異が生じることもないので、局部的な歪み等の不具合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】タイヤ加硫用モールドを例示する平面図である。
【図2】図1のセクターを例示する平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3のピースの左半分を例示する平面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】内周面に親水性処理を行なった筒状体の空洞内部に、易崩壊性耐火材料を充填する工程を例示する説明図である。
【図7】スリットを有する筒状体を配置した石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込む工程を、石膏鋳型の左半分の部分で例示する平面図である。
【図8】図7の工程を正面視で示す説明図である。
【図9】スリットを有していない筒状体を配置した石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込む工程を正面視で示す説明図である。
【図10】モールドのタイヤ成形面に露出させた筒状体の外周面の一部に、レーザ加工によりスリットを形成する工程を正面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のタイヤ加硫用モールドの製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図面に記載されているC矢印、R矢印、W矢印は、それぞれ、加硫用モールドに挿入して加硫されるグリーンタイヤの周方向、半径方向、幅方向を示している。
【0018】
図1に例示するように、本発明により製造されるタイヤ加硫用モールド1(以下、モールド1)は、複数のセクター2を環状に組み付けて構成されるセクショナルタイプになっている。それぞれのセクター2は、図2、図3に例示するように複数のピース3とバックブロック4で構成され、隣り合うピース3どうしが密着した状態でバックブロック4に取付けられている。それぞれのピース3の内周側表面がタイヤ成形面5になる。タイヤ成形面5には、タイヤの溝を形成する溝成形突起6が適宜設けられている。
【0019】
この実施形態では、1つのセクター2に、4個の平面視で長方形のピース3が固定されている。1つのセクター2が有するピース3の数は複数であればよく、その配置もこの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
ピース3は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料を溶融させた溶融金属Mを固化させることにより形成されていて、図4、5に例示するように溶融金属Mを固化させる際に埋設された筒状体7を有している。筒状体7は、ピース3の一方端面から他方端面まで延設されていて、筒状体7の両端は、ピース3のタイヤ周方向両端面で開口している。筒状体7には、溶融金属Mと同じ金属材料を用いる。
【0021】
この実施形態の筒状体7は、薄板を折り曲げて一端部を重ね合わせることにより、重ね合わせた薄板の間に微小隙間Sのスリット8を形成し、他端部には楕円形状の空洞内部7aを有する形状になっている。空洞内部7aを外部に連通させるスリット8は、筒状体7の長手方向(タイヤ周方向)全長に渡って筒状体7の外周面に形成されて、ピース3のタイヤ成形面5に露出している。スリット8の微小隙間Sは、0.01mm〜0.10mm程度であり、0.04mm程度がより好ましい。
【0022】
グリーンタイヤを加硫する際には、エアやガスはスリット8を通じて空洞内部7aに排出され、さらにセクター2の端面等を通じてモールド1の外部に排出される。本発明では、エアやガスが通過するスリット8(微小隙間S)のタイヤ半径方向長さを短縮することができる。スリット8のタイヤ半径方向長さは、1mm〜5mm程度、さらに好ましくは2mm程度にする。スリット8を通過したエアやガスは、スリット8よりも遥かに広い空洞内部7aに排出されるので、十分な排気を確保することできる。さらに、ピース3のタイヤ周方向端面に露出した隣り合う筒状体7の空洞内部7aどうしを、ピース3のタイヤ周方向端面に別途形成した排気溝によって連結することで、排気効率を一段と向上させることが可能になる。
【0023】
スリット8は、グリーンタイヤを加硫する際に、エアやガスが溜まり易い場所に設けられる。例えば、溝成形突起6の根元部近傍にスリット8が配置されるように、筒状体7がピース3(モールド1)に埋設される。
【0024】
スリット8は、排気が必要な場所にあればよいので、モールド1を構成するすべてのピース3に筒状体7を埋設してスリット8を設ける場合もあり、特定のピース3にのみ筒状体7を埋設してスリット8を設ける場合もある。
【0025】
筒状体7は円筒状に限らず、横断面形状が三角形、四角形、その他の多角形を横断面形状にした様々の筒状体7を採用することができる。筒状体7の空洞内部7aの幅(内径)は、十分な排気を確保し易くするために、例えば、スリット8の微小隙間の20倍以上にする。筒状体7の空洞内部7aの大きさは、例えば、内径相当で0.5mm〜5.0mm程度にする。
【0026】
このピース3を製造する手順は以下のとおりである。
【0027】
図7、図8に例示するように、空洞内部7aに易崩壊性耐火材料Pを充填した状態で、
スリット8が石膏鋳型11の表面11aに接するように筒状体7を配置する。石膏鋳型11の表面11aはピース3のタイヤ成形面5に相当し、石膏鋳型11の凹部11bはピース3の溝成形突起6に相当する。石膏鋳型11の表面11aは、タイヤ周方向では円弧状になっているので、筒状体7を、石膏鋳型11の円弧状の表面11aに沿う円弧状に屈曲させておくとよい。1つの石膏鋳型11のタイヤ周方向長さが短くて表面11aがタイヤ周方向でほぼフラットな場合は、直線状の筒状体7を用いることもできる。
【0028】
この実施形態では、石膏鋳型11のタイヤ周方向両端部に、保持溝9aを設けた筒状体保持部材9を配置している。石膏鋳型11のタイヤ幅方向両端部には枠部材10が配置され、石膏鋳型11の四方側面は、筒状体保持部材9と枠部材10とで囲まれている。
【0029】
そして、筒状体7の両端部を保持溝9aに嵌合させることにより、スリット8が石膏鋳型11の表面11aに接するように筒状体7を配置する。このような筒状体保持部材9を用いることにより、筒状体7を石膏鋳型11の所定の位置に正確かつ安定して配置することができる。また、筒状体保持部材9の保持溝9aの幅を調整することにより、スリット8の微小隙間を調整することが可能になる。
【0030】
筒状体7の両端の開口は、筒状体保持部材9によって塞がれているので、易崩壊性耐火材料Pはほとんど漏れることなく充填された状態になる。易崩壊性耐火材料Pとは、水などの流体に容易に溶解し、或いは、衝撃によって容易に崩壊し、かつ、耐火性を有する材料である。易崩壊性耐火材料Pとしては、石膏等を例示することができる。
【0031】
図6(a)に例示するように、筒状体7の内周面に親水性処理を行なって親水性処理層Lを設けた後、その空洞内部7aに易崩壊性耐火材料Pを充填して図6(b)の状態にするとよい。親水性処理を行なうことによって、筒状体7の表面に易崩壊性耐火材料Pが浸透し易くすることができる。親水性処理は、中性洗剤等を塗布することにより行なうことができる。
【0032】
次いで、石膏鋳型11の表面11aに溶融金属Mを流し込み、溶融金属Mを固化させることにより石膏鋳型11の表面11aを転写したピース3が製造される。石膏鋳型11の表面11aにスリット8が接するように筒状体7を配置したので、筒状体7がピース3に埋設されるとともに、スリット8がピース3のタイヤ成形面5に露出した状態になる。筒状体7の長手方向両端部のピース3から突出している部分は切断する。
【0033】
次いで、筒状体7の空洞内部7aに充填されている易崩壊性耐火材料Pを除去する。易崩壊性耐火材料Pに対して水を噴射したり、棒状体で突付いたりすることにより、易崩壊性耐火材料Pを空洞内部7aから除去することができる。
【0034】
易崩壊性耐火材料Pを予め空洞内部7aに充填した状態にして、石膏鋳型11の表面11aに溶融金属Mを流し込むので、溶融金属Mが空洞内部7aやスリット8の微小隙間Sに流入することを確実に防止できる。そのため、溶融金属Mが空洞内部7aやスリット8で固化することがないので、固化した金属材料を除去する必要がなくなる。
【0035】
このように、溶融金属Mを石膏鋳型11の表面11aに流し込んで固化させる鋳造工程で、モールド1を構成するピース3のタイヤ成形面5にスリット8を露出させた排気機構を実質的に完成させることができる。従来に比して多数の加工工程を経ることなく、短時間で十分な排気を確保できる排気機構が得られる。
【0036】
さらに、筒状体7と固化した溶融金属Mとは同じ金属なので、両者を強固に一体化させることができる。また、製造したモールド1を使用する際に、両者に熱膨張の差異が生じることもないので、モールド1に局部的な歪み等の不具合が発生することも回避することができる。
【0037】
図9、図10にピース3の製造する別の実施形態を例示する。この実施形態では、スリット8を有していない筒状体7を用いる点が先の実施形態と大きく異なる。
【0038】
図9に例示するように、外周面が石膏鋳型11の表面11aに接するように筒状体7を配置する。筒状体7を、タイヤ周方向で円弧状になっている石膏鋳型11の表面11aに沿う円弧状に屈曲させておくとよい。
【0039】
先の実施形態と同様に、石膏鋳型11のタイヤ周方向両端部に配置した筒状体保持部材9の保持溝9aに、空洞内部7aに易崩壊性耐火材料Pを充填した筒状体7の両端部を嵌合させることにより、外周面が石膏鋳型11の表面11aに接するように筒状体7を配置するとよい。
【0040】
次いで、先の実施形態と同様に、石膏鋳型11の表面11aに溶融金属Mを流し込み、溶融金属Mを固化させることにより石膏鋳型11の表面11aを転写したピース3が製造される。石膏鋳型11の表面11aに外周面が接するように筒状体7を配置したので、筒状体7がピース3に埋設されるとともに、外周面の一部がピース3のタイヤ成形面5に露出した状態になる。筒状体7の長手方向両端部のピース3から突出している部分は切断する。
【0041】
次いで、図10に例示するように、ピース3のタイヤ成形面5に露出した筒状体7の外周面の一部に、レーザ加工機12からレーザ光を照射して、筒状体7の周壁7bを貫通するスリット8を形成する。スリット8の仕様は、先の実施形態と同様である。
【0042】
尚、レーザ加工機12によるスリット8の形成は、溶融金属Mが固化した後に、易崩壊性耐火材料Pを筒状体7の空洞内部7aから除去する前に行なってもよく、易崩壊性耐火材料Pを除去した後に行なってもよい。
【0043】
この実施形態では、溶融金属Mを石膏鋳型11の表面11aに流し込んで固化させる鋳造工程の後に、筒状体1にスリット8を形成するレーザ加工を行なうことにで、モールド1を構成するピース3のタイヤ成形面5にスリット8を露出させた排気機構を実質的に完成させることができる。従来に比して多数の加工工程を経ることなく、短時間で十分な排気を確保できる排気機構が得られる。
【0044】
尚、本発明においては、筒状体7の外周面に直接、或いは、親水性処理をした後に易崩壊性耐火材料Pを付着させた状態にして、この筒状体7を石膏鋳型11の表面に接するように配置し、石膏鋳型11の表面11aに溶融金属Mを流し込んで、モールド1を製造することもできる。この場合には、筒状体7の外周面に付着させた易崩壊性耐火材料Pを、溶融金属Mが固化した後に除去することで、筒状体7の外周面に微小な隙間が形成され、この隙間もエアやガスの排気路(排気機構)として用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 モールド
2 セクター
3 ピース
4 バックブロック
5 タイヤ成形面
6 溝成形突起
7 筒状体
7a 空洞内部
7b 周壁
8 スリット
9 筒状体保持部材
9a 保持溝
10 枠部材
11 石膏鋳型
11a 表面
11b 凹部
12 レーザ加工機
P 易崩壊性耐火材料
L 親水性処理層
M 溶融金属

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込み、この溶融金属を固化させることにより石膏鋳型の表面を転写したモールドを製造するタイヤ加硫用モールドの製造方法において、空洞内部を外部に連通させるスリットを有し、前記溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態で、その外周面が石膏鋳型の表面に接するように配置して前記スリットが前記石膏鋳型の表面に接するようにした後、この石膏鋳型の表面に前記溶融金属を流し込んで前記筒状体をモールドに埋設するとともに、前記スリットをモールドのタイヤ成形面に露出させるようにし、前記溶融金属が固化した後に、前記易崩壊性耐火材料を前記筒状体の空洞内部から除去するタイヤ加硫用モールドの製造方法。
【請求項2】
石膏鋳型の表面に溶融金属を流し込み、この溶融金属を固化させることにより石膏鋳型の表面を転写したモールドを製造するタイヤ加硫用モールドの製造方法において、前記溶融金属と同じ金属で形成された筒状体を、その空洞内部に易崩壊性耐火材料を充填した状態にして、その外周面が石膏鋳型の表面に接するように配置した後、この石膏鋳型の表面に前記溶融金属を流し込んで前記筒状体をモールドに埋設するとともに、この筒状体の外周面の一部をモールドのタイヤ成形面に露出させるようにし、前記溶融金属が固化した後に、前記易崩壊性耐火材料を前記筒状体の空洞内部から除去する前または除去した後、前記露出させた筒状体の外周面の一部に、レーザ加工によりスリットを形成するタイヤ加硫用モールドの製造方法。
【請求項3】
前記筒状体の内周面に親水性処理を行なった後、その空洞内部に前記易崩壊性耐火材料を充填する請求項1または2に記載のタイヤ加硫用モールドの製造方法。
【請求項4】
前記石膏鋳型の両端部に、溝を設けた筒状体保持部材を配置し、前記溝に前記筒状体を嵌合することにより、その外周面が前記石膏鋳型の表面に接するように筒状体を配置する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫用モールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−218590(P2011−218590A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87526(P2010−87526)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】