説明

タイヤ成型システム

【課題】ゴム部材を形成するリボン供給装置の設備コストを削減することのできるタイヤ成型システムを提供する。
【解決手段】本発明のタイヤ成型システムにおいて、少なくとも一つのリボン供給装置は、二以上の作業ステーションでゴム部材の組み付けが可能なよう構成されるとともに、このリボン供給装置をそれらの作業ステーションの間で移動させるリボン供給装置移動手段が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続リボンを巻回してゴム部材を形成するタイヤ成型システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、押出設備の小型化、タイヤの均一性向上、あるいは、小ロット多サイズ生産への対応等を目的に、タイヤを成型する際に、小型押出機より押し出された連続ゴムリボンを直接、回転する成型途中のタイヤ上に巻回してこれらを積層し所定断面のゴム部材を形成するタイヤの成型方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、連続ゴムリボンを用いてゴム部材を形成する方法を示す模式図であり、図2は、この方法によって形成される途中のゴム部材を、図1のII−II矢視に対応する断面において示す模式図である。このタイヤの成型方法は、押出機93から連続ゴムリボン91を押出して成型途中のタイヤ92上に直接導き、貼付けローラ94を用いて連続ゴムリボン91をタイヤ92に押しつけながらタイヤ92を回転させることにより、連続ゴムリボン91をタイヤ92上に巻付け、ゴム部材95を形成するものである。
【0004】
一方、タイヤを成型するシステムとして、タイヤ構成部材毎もしくはタイヤ構成部材をグループ分けしたグループ毎に、これらを組み付ける各々の作業ステーションを設け、これらの作業ステーション間で、成型ドラムを搭載した成型台車を移動させ、成型ドラム上にそれぞれのタイヤ構成部材を順次組み付けて生タイヤを完成させるタイヤ成型システムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
図3は、このようなタイヤ成型システムの一部を示す概念図であり、タイヤ成型システム80において、ステーションS1では、タイヤ構成部材aとb1とが組み付けられ、これらのタイヤ構成部材aの材料を供給する部材供給装置Aと、タイヤ構成部材b1の材料を供給する部材供給装置BとがステーションS1に配設される。同様に、ステーションS2に、タイヤ構成部材cに対応する部材供給装置Cが設けられ、ステーションS3に、タイヤ構成部材d、b2にそれぞれ対応する部材供給装置D、Bが設けられる。
【0006】
そして、タイヤ成型システム80は、成型ドラム81を搭載した複数の成型台車82が順次、これらの作業ステーションS1〜S3間を移動するよう構成され、これらの作業ステーションS1〜S3でタイヤ構成部材を組み付けるには、別の作業ステーションから移動してきた成型台車82に搭載された成型ドラム81をステーションS1で停止させ、その上にタイヤ構成部材a、b1を組み付け、次いで、成型ドラム81をステーションS2に移動させてタイヤ構成部材cを組み付け、次に、成型ドラム81をステーションS3に移動させてタイヤ構成部材a、b2を組み付け、その後この成型ドラム81を別の作業ステーションに移動させる。
【0007】
ここで、タイヤ構成部材b1とb2とは、断面形状は互いに異なるものの、同一のゴム材料よりなり同じ連続ゴムリボンを巻付けて形成することができ、そのため、同じ部材供給装置BがステーションS1とステーションS3との両方に設けられる。また、タイヤ構成部材b1、b2は、いずれも、ゴム部材の量が少なく、そのため、その組み付けに要する時間は、各ステーションにおけるタクトタイムに対して、十分短いものであるとする。このような特性を有するタイヤ構成部材の代表例として、主要タイヤ構成部材の層間に配置される間ゴムが挙げることができる。
【0008】
このように、従来のタイヤ成型システム80にあっては、タイヤ構成部材b1、b2のための部材供給装置Bが、作業ステーションS1とS3との両方に設けられており、しかも、その稼働率が低く、設備コストが無駄となり問題となっていた。
【0009】
また、他の例として、断面形状だけが異なるタイヤ構成部材b1、b2は、これらのいずれか一方だけが組み付けられるものであって、いずれを組み付けるかは成型するサイズに依存する場合があり、さらなる別の例としては、タイヤ構成部材b1、b2は実は同じ部材であるが、これを組み付ける順序がサイズによって異なる場合もあり、これらの場合にも、従来のシステムにおいては、両方の作業ステーションS1、S3の両方に部材供給装置Bが配置され、どのサイズにも対応できるよう構成されているが、部材供給装置Bは、いずれか一方しか稼働しないため稼働率が低く、この場合にも、設備コストが無駄になっていた。
【特許文献1】特開2002−115714号公報
【特許文献2】国際公開WO 01/39963号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ゴム部材を形成するリボン供給装置の設備コストを削減することのできるタイヤ成型システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<1>本発明は、ゴム部材を含むタイヤ構成部材を組み付ける複数の作業ステーションを具え、このうち、二以上の作業ステーションで、成型ドラムもしくはコアの周上に連続ゴムリボンを供給するリボン供給装置を用いてゴム部材を組み付けるよう構成されたタイヤ成型システムにおいて、
少なくとも一つのリボン供給装置を、前記二以上の作業ステーションでゴム部材の組み付けが可能なよう構成するとともに、このリボン供給装置をそれらの作業ステーションの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けてなるタイヤ成型システムである。
【0012】
<2>本発明は、<1>において、前記成型ドラムもしくはコアを回転可能に支持する複数の成型台車を具え、これらの成型台車を、前記複数の作業ステーションの間で移動させる無端もしくは有端の軌道を有するタイヤ成型システムである。
【0013】
<3>本発明は、<1>において、二輪車用タイヤを成型するシステムであって、
前記作業ステーションとして、カーカスバンドをトロイダル状に膨出させる第一成型ステーションと、ベルトとトレッドゴムとを組み付ける第二成型ステーションとを配設し、トレッドゴム用の連続ゴムリボンを供給するリボン供給装置を設けて、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとのいずれのステーションでもトレッドゴムの組み付けが可能なように構成するとともに、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けてなるタイヤ成型システムである。
【発明の効果】
【0014】
<1>の発明によれば、少なくとも一つのリボン供給装置を、前記二以上の作業ステーションでゴム部材の組み付けが可能なよう構成するとともに、このリボン供給装置をそれらの作業ステーションの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けるので、従来二式以上必要であったリボン供給装置を一式で済ませることができ、リボン供給装置の稼働率をあげ、設備費用を抑えることができ、特に、これらの作業ステーションでのリボン巻付け時間が短かったり、両方の作業ステーションで同時にリボン巻付けを行わないものであったりする場合には、本発明の効果はより顕著なものとなる。
【0015】
<2>の発明によれば、前記成型ドラムもしくはコアを回転可能に支持する複数の成型台車を具え、これらの成型台車を、前記複数の作業ステーションの間で移動させる無端もしくは有端の軌道を有するものとしたので、一つのタイヤを成型するための一連の作業を、複数のステーションで分業することができ、効率的かつ能率的にタイヤを成型することができる。
【0016】
<3>の発明の効果は次の通りである。自動二輪車用ラジアルタイヤの構造として、タイヤ赤道面に対して互いに反対向きに傾斜した二枚のベルト層でベルトを構成するものと、これらのベルト層に代えて、もしくはこれらのベルト層に加えて、タイヤ周方向にコードをスパイラル状に巻回したスパイラル層を具えるベルトを有するものとがあり、スパイラル層のない前者の構造のタイヤは、通常、生産の効率化のため、ベルトとトレッドゴムとを第2成型ステーションでプリアセンブリして断面平板状のベルトトレッドバンドを形成し、これを、ビードコア回りに両側部を折返済のカーカスバンドを保持する第1成型ステーションに移載して、カーカスバンド半径方向外側に配置したあと、カーカスバンドをトロイダル状に膨出させてカーカスバンドとベルトトレッドバンドとを合体させ、そこでベルトを断面円弧状に変形させる、いわゆる、2ステーション方式によってタイヤが成型され、一方、スパイラル層を有する後者の構造のタイヤにおいては、一旦断面平板状に形成されたスパイラル層は断面円弧状に変形することができないため、トレッドゴムを含むすべての部材を第1ステーションで組み付けてタイヤが成型される。
【0017】
そして、いずれの方式においても、ベルトを組み付けたあと、ゴムリボンを螺旋状に巻付けてトレッドゴムの組み付けを行う。このゴムリボン巻付けによる方法は、トレッドゴム断面の異なる複数のサイズを、サイズ切替に時間を要することなく連続的に混流生産できるという特長を有するが、合わせて、スパイラル層を有するタイヤ、スパイラル層のないタイヤについても区別なく混流生産することが好ましく、このため、従来は、ゴムリボン供給装置を第一成型ステーションおよび第二成型ステーションの両方に設けていた。
【0018】
<3>の発明によれば、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとのいずれのステーションでもトレッドゴムの組み付けが可能なように構成するとともに、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けて構成されるので、一台のリボン供給装置で済ませることができ、しかも、スパイラル層を有するタイヤとないタイヤとの両方を混流して生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について図に基づいて説明する。図4は、第1の実施形態のタイヤ成型システムとして、カーカスバンドを成型するカーカスバンド成型システムを示す配置図である。カーカスバンド成型システム10は、ST1〜ST3の作業ステーションと、所定のタクトタイムでこれらの作業ステーションST1〜ST3間を無端軌道3にそって移動する複数台(図示ものものは4台)の成型台車2とを有し、それぞれの成型台車2には、ステーション毎に予め定められた種類のタイヤ構成部材を周上に組み付けるタイヤ成型ドラム1が搭載されている。
【0020】
作業ステーションST1には、インナーライナゴムILをタイヤ成型ドラム1上に組み付けるインナーライナゴム組付装置4、左右の右のキャンバスチェーファCCHを組み付けるキャンバスチェーファ組付装置5が設けられ、また、作業ステーションST2には、カーカスプライCを成型ドラム1上に組み付けるカーカスプライ組付装置8が設けられ、さらに、作業ステーションST3には、ビードコアBとビードフィラFとがプリセットされたプリセットビードPBを、ビードストック9から取り出して、成型ドラム1に供給するビードハンドリングロボット11が配設される。
【0021】
また、間ゴムM1R、M1LおよびM2を、ゴムリボンを巻回して組み付けるリボン供給装置6と、リボン供給装置6を作業ステーションST1とST2との間で往復変位させるリボン供給装置移動手段7が設けられる。
【0022】
図5は、カーカスバンドの形成手順を説明するための、タイヤ断面を示す模式図であり、空の成型ドラム1を作業ステーションST1に配置したあと、ここで、インナーライナゴムILを、インナーライナゴム組付装置4を用いて成型ドラム1上に組み付け、次いで、左右のキャンバスチェーファCCHを、キャンバスチェーファ組付装置5を用いてインナーライナゴムILの半径方向外側に組み付け、次いで、左右の第1間ゴムM1LとM1Rとを、図5(a)に示すように、作業ステーションST1の位置に変位配置されたリボン供給装置6を用いて組み付ける。
【0023】
続いて、成型ドラム1を作業ステーションST2に移動させ、図5(b)に示すように、カーカスプライCを、カーカスプライ組付装置8を用いて組付け、次いで、第2間ゴムM2を、作業ステーションST2の位置に変位配置されたリボン供給装置6を用いて組み付ける。
【0024】
次に、成型ドラム1を作業ステーションST3に移動させ、カーカスプライCの幅方向両側位置の半径方向外側に、プリセットビードPBを配置したあと、バンド成型ドラム1を拡径して先に巻付けた部材をプリセットビードPBの内側に圧着することによりこれらをセットしてカーカスバンドを形成し、その後、図5(c)に示すように、バンド成型ドラム1を縮径する。そして、カーカスバンドを、バンド成型ドラム1から取り出して次工程に搬送し、一方、バンド成型ドラム1を、作業ステーションST1に戻す。
【0025】
このようなカーカスバンド成型システム10において、リボン供給装置6は、作業ステーションST1とST2との間を往復変位し、左右の第1間ゴムM1LおよびM1Rと、第2間ゴムM2とを貼付けるよう構成され、一台のリボン供給装置6で三つの部材を組み付ける。そして、間ゴムのように断面が小さなタイヤ構成部材に関しては、このように、全体のタクトタイムを犠牲にすることなく、一台のリボン供給装置で複数のステーションでのリボン供給を行わせることができ、設備コストを削減することができる。
【0026】
第一の実施形態は、作業ステーション間を順次移動する成型台車を有するシステムにおいて、リボン供給装置6が互いに隣接する二つの作業ステーション間を移動するよう構成されたものの例であるが、リボン供給装置の移動に関する別の態様を図6、図7に配置図で示す。
【0027】
図6に示したタイヤ成型システム20は、タイヤ成型ドラム21を搭載した成型台車22が、直線状に配列された複数の作業ステーション31〜34のそれぞれで停止し、これらの作業ステーション31〜34のそれぞれでの予め定められた組付け作業の後、これらの作業ステーション31〜34を順次移動するシステムであり、リボン供給ユニット23aと23bとの2ユニットがセットとなったリボン供給装置23が、リボン供給装置移動手段29により、これらのステーション間を往復変位されるよう構成される。リボン供給ユニット23aと23bとは同じゴム材料のリボンを供給するものであっても、異なるゴム材料のリボンを供給するものであってもよい。
【0028】
例えば、リボン供給装置23aは材料m1のリボンを、リボン供給装置23bは材料m2のリボンを供給するものとし、材料m1のゴム部材を作業ステーション31、33で組み付け、材料m2のゴム部材を作業ステーション32、34で組み付けてタイヤを成型する場合には、リボン供給装置23をポジションPaに配置し、作業ステーション31でリボン供給ユニット23aから材料m1のリボンを供給してゴム部材を組付け、次いで、リボン供給装置23をポジションPcに配置し、作業ステーション33でリボン供給ユニット23aから材料m1のリボンを供給してゴム部材を組付けと同時に、作業ステーション32でリボン供給ユニット23bから材料m2のリボンを供給してゴム部材を組付け、次に、リボン供給装置23をポジションPeに配置し、作業ステーション34でリボン供給ユニット23bから材料m2のリボンを供給してゴム部材を組付ける。そして、最後にリボン供給装置23をポジションPaに戻してワンサイクルを終了するようにすればよい。
【0029】
図7は、リボン供給装置の移動に関する他の態様を有するタイヤ成型システムを示す配置図であり、このタイヤ成型ステム40は、円環状に配置された複数の作業ステーション51〜56を有し、タイヤ成型ドラム41を搭載した成型台車42は、ループ状軌道48に沿ってこれらの作業ステーション51〜56を順に移動して停止する作動を繰り返したあとループ状軌道48から退出するよう構成される。また、作業ステーション51〜56で囲まれた内側領域には3台のリボン供給ユニット43a、43b、43cが配置され、これらのユニットを搭載して回動させとともに、所要の作業ステーションでこれらを停止させるリボン供給装置移動手段として、回動テーブル49が設けられる。リボン供給装置43は、これを構成するリボン供給ユニットの数と配置が、タイヤ成型システム20におけるリボン供給装置23と異なるが、基本的な作動は、リボン供給装置23と同様であり詳細な説明を省略する。
【0030】
次に、第2の実施形態について説明する。図8は、自動二輪車用ラジアルタイヤを成型する二輪車用タイヤ成型システムを示す配置図である。二輪車用タイヤ成型システム60は、フォーマ61の外周上に配置されたカーカスバンドを、フォーマ66を拡径することにより、トロイダル状に膨出させ、トロイダル状のカーカスバンドにベルトとトレッドゴムとを組み付けて生タイヤとする第1成型ステーション61と、ベルトトレッド成型ドラム64の外周上にベルトとトレッドゴムとをそれぞれ巻付けてベルトトレッドバンドを形成する第2成型ステーション62とを有する。
【0031】
さらに、二輪車用タイヤ成型60は、これらの第1ステーション61と第2ステーション62との両方でトレッドゴム用リボンの供給が可能なよう構成されたリボン供給装置63と、リボン供給装置63をこれらのステーション61、62間で往復変位させるリボン供給装置往復手段69とを具える。
【0032】
ここで、自動二輪車用ラジアルタイヤのベルト構造とそれに係るタイヤ構成部材の組立て手順とについて説明する。自動二輪車用ラジアルタイヤのベルト構造として、タイヤ赤道面に対して互いに反対向きに傾斜した二枚のベルト層で構成されるものと、これらのベルト層に代えて、もしくはこれらのベルト層に加えて、タイヤ周方向にコードをスパイラル状に巻回したスパイラル層を具えるものとがある。
【0033】
図9および10は、タイヤの成型工程の一部を説明するための、タイヤの断面図であり、図9は、スパイラル層のない前者のベルト構造のタイヤを、図10は、スパイラル層を有する後者のベルト構造のタイヤを示す。スパイラル層のないタイヤは、図9(a)に示すように、カーカスPの側部を幅方向両側のビードコアB回りに折返しその外側にサイドトレッドSを貼付けるとともにカーカスPの中央部をトロイダル状に膨出させてできたグリーンケースを、第1成型ステーション61で待機させ、一方、第2成型ステーションでは、ベルトトレッド成型ドラム64の外周上に2層のベルト層1B、2Bを順に巻付けその外側にトレッドゴム用リボンをリボン供給装置63から供給してトレッドゴムTとなし、図9(b)に示すようにベルトトレッドバンドBTを形成する。
【0034】
その後、ベルトトレッド成型ドラム64を縮径して、ベルトトレッドバンドBTをベルトトレッド成型ドラム64から取り出し、これを、第1成型ステーション61のフォーマ66上で待機させたカーカスバンドの半径方向外側まで移載して図9(c)に示した状態とし、そこでカーカスバンドの幅方向中央部をさらに膨出させるとともに、図9(d)に示すように、幅方向全面に亘ってベルトトレッドバンドBTがトロイダル状をなすカーカスバンドに完全に密着するよう、ベルトトレッドバンドBTの幅方向両端部を半径方向内側に倒し込ませる。
【0035】
一方、ベルトがスパイラル層を具える場合には、図10(a)に示すように、第1成型ステーション61で、カーカスPの側部を幅方向両側のビードコアB回りに折返しその外側にサイドトレッドSを貼付けるとともにカーカスPの中央部をトロイダル状に膨出させてグリーンケースを形成し、次いで、第1成型ステーションで、そのグリーンケースの外周上に、図10(b)に示すように、ベルト層1B、2Bを組付け、続いてその外側に、ゴムを被覆したコードをスパイラル状に巻回することによって、図10(c)に示すようにスパイラル層SPを形成し、さらに、フォーマ66の回転と同期させて、リボン供給装置63からリボンを供給してスパイラル層SPの外側にトレッドゴムTを形成する。
【0036】
このとき、スパイラル層SPおよびトレッドゴムTは、トロイダル状に中央が膨出された断面形状のカーカスバンドの上に直接貼付けられるので、これらを貼付けたあと断面形状を変化させなくてすむ。もしも、スパイラル層SPを、前述の、幅方向に平坦な周面を有するベルトトレッド成型ドラム64上で組み付けた場合には、トロイダル状のカーカスバンドに密着させる工程で幅方向両端部を縮径する必要があり、幅方向両端部のコードを弛ませることになり、トレッド部の遠心力による伸びを抑えるという、スパイラル層SPの所期した機能を発揮させることができなくなってしまう。
【0037】
したがって、スパイラル層を有するタイヤは、第1成型ステーション61でトレッドゴムTの形成しなければならず、一方、スパイラル層のないタイヤは、生産効率向上のため、第2成型ステーション62でトレッドゴムTの形成する方が好ましく、リボン供給装置63は、このように、タイヤのベルト構造に応じて、第1成型ステーション61および第2成型ステーション62のうち、いずれか一方に移動し、そこでゴムリボンを供給するよう作動する。
【0038】
ここで、リボン供給装置63を移動させるリボン供給装置移動手段69を、ボールネジ69aとリニアガイド69bとよりなる構成としたが、これに限定する必要はなく、他の構成でもかまわない。
【0039】
なお、従来は、リボン供給装置移動手段69を設ける代りに、第1ステーション66と第2成型ステーション64とのそれぞれにリボン供給装置63を設置し、タイヤのベルト構造に応じて、第1成型ステーション61および第2成型ステーション62のうち、いずれか一方のリボン供給装置63を作動させることが行われていたものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、種々のサイズのタイヤの成型工程に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】連続ゴムリボンを用いてゴム部材を形成する方法を示す模式図である。
【図2】連続ゴムリボンを用いてゴム部材を形成する方法によって形成される途中のゴム部材を示す断面図である。
【図3】成型台車を作業ステーション間で移動させてタイヤを成型するタイヤ成型システムの一部を示す配置図である。
【図4】本発明に係る第1の実施形態のタイヤ成型システムを示す配置図である。
【図5】カーカスバンドの形成手順を説明するための、タイヤの断面を示す模式図である。
【図6】異なる移動態様のリボン供給装置を示す配置図である。
【図7】異なる移動態様のリボン供給装置を示す配置図である。
【図8】本発明に係る第2の実施形態のタイヤ成型システムを示す配置図である。
【図9】スパイラル層のないベルト構造のタイヤを組立てる工程の一部を説明するための、タイヤの断面図である。
【図10】スパイラル層を有するベルト構造のタイヤを組立てる工程の一部を説明するための、タイヤの断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 タイヤ成型ドラム
2 成型台車
3 無端軌道
4 インナーライナゴム組付装置
5 キャンバスチェーファ組付装置
6 リボン供給装置
7 リボン供給装置移動手段
8 カーカスプライ組付装置
9 ビードストック
10 カーカスバンド成型システム
20 タイヤ成型システム
21 タイヤ成型ドラム
22 成型台車
23 リボン供給装置
23a、23b リボン供給ユニット
29 リボン供給装置移動手段
31、32、33 作業ステーション
40 タイヤ成型ステム
43a、43b、43c リボン供給ユニット
49 回動テーブル
51、52、53、54、55、56 作業ステーション
60 二輪車用タイヤ成型システム
61 第1成型ステーション
62 第2成型ステーション
63 リボン供給装置
64 ベルトトレッド成型ドラム
66 フォーマ
69 リボン供給装置往復手段
1B、2B ベルト層
B ビードコア
BT ベルトトレッドバンド
ST1、ST2、ST3 作業ステーション
C カーカスプライ
CCH キャンバスチェーファ
F ビードフィラ
IL インナーライナゴム
M1R、M1L、M2 間ゴム
P カーカス
PB プリセットビード
S サイドトレッド
SP スパイラル層
T トレッドゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム部材を含むタイヤ構成部材を組み付ける複数の作業ステーションを具え、このうち、二以上の作業ステーションで、成型ドラムもしくはコアの周上に連続ゴムリボンを供給するリボン供給装置を用いてゴム部材を組み付けるよう構成されたタイヤ成型システムにおいて、
少なくとも一つのリボン供給装置を、前記二以上の作業ステーションでゴム部材の組み付けが可能なよう構成するとともに、このリボン供給装置をそれらの作業ステーションの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けてなるタイヤ成型システム。
【請求項2】
前記成型ドラムもしくはコアを回転可能に支持する複数の成型台車を具え、これらの成型台車を、前記複数の作業ステーションの間で移動させる無端もしくは有端の軌道を有する請求項1に記載のタイヤ成型システム。
【請求項3】
二輪車用タイヤを成型するシステムであって、
前記作業ステーションとして、カーカスバンドをトロイダル状に膨出させる第一成型ステーションと、ベルトとトレッドゴムとを組み付ける第二成型ステーションとを配設し、トレッドゴム用の連続ゴムリボンを供給するリボン供給装置を設けて、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとのいずれのステーションでもトレッドゴムの組み付けが可能なように構成するとともに、このリボン供給装置を、第一成型ステーションと第二成型ステーションとの間で移動させるリボン供給装置移動手段を設けてなる請求項1に記載のタイヤ成型システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−7708(P2006−7708A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191390(P2004−191390)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】