説明

タイヤ用プライ材料の製造装置

【課題】切断片の前端部及び後端部にカール状の変形がある場合にも、この前端部及び後端部の位置を認識して前端部と後端部とを正確に位置合わせして接合させる。
【解決手段】 ベルトコンベヤで搬送される一方の切断片の搬送方向前端部と、先行する他方の切断片の搬送方向後端部とを順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料を、精度良くかつ効率よく形成する。一方の切断片の前端部と他方の切断片の後端部とを撮影して画像データとをうる撮影手段、画像データを処理して、前記前端部と後端部との各位置を認識する位置認識手段、及び位置認識手段によって得たデータに基づき、一方の切断片の前端部を他方の切断片の後端部との接合位置まで移動させる前端部把持移動手段を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤで搬送される一方の切断片の搬送方向前端部と、先行する他方の切断片の搬送方向後端部とを順次接合し、例えばカーカスプライ用、ベルトプライ用等の長尺なタイヤ用プライ材料を高精度で効率よく形成するタイヤ用プライ材料の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカーカスプライ用、ベルトプライ用等のタイヤ用プライ材料10は、図9に概念的に示すように、平行に引き揃えられたタイヤコード11の配列体がゴム被覆された長尺帯状体12を原反として形成される。詳しくは、前記長尺帯状体12を、その先端側から、タイヤコード11に対して所定の角度θ(カーカスプライの場合には通常約90゜、ベルトプライの場合には通常10〜40°)で交差する切断方向Kに沿って順次切断し、これによって形成される切断片13を、タイヤコード11と平行な両端縁を搬送方向の前端縁Ef、後端縁Erとして切断方向Kに順次搬送するとともに、一方の切断片13Aの搬送方向前端部FAと、先行する他方の切断片13Bの搬送方向後端部RBとを順次接合することで長尺なタイヤ用プライ材料10を形成している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そして、この前端部FAと後端部RBとの接合方向として、例えば図10(A)に示すように、前端部FAと後端部RBとを段差状に重ね合わせるオーバーラップジョイントJ1、図10(B)、(C)に示すように、各端面Esを例えば斜面や段差面として形成しこの端面Es同士を僅かに重ね合わせるジッパージョイントJ2などが知られている。このうち前記ジッパージョイントJ2は、接合部に段差がほとんど無く均一性に優れるため、タイヤのユニフォミティー向上のために近年多用されている。
【0004】
しかしこのジッパージョイントJ2は、重なり巾Wが小さいために、接合に高い精度が要求される。しかも、ベルトプライ用のプライ材料10などの場合には、タイヤコード11が前記角度θで傾斜配列するために前端部FA及び後端部RBが剣先状に形成されるとともに、タイヤコード11の捻れや残留応力などの影響も加わり、前記剣先状の前端部FA及び後端部RBがカールして不規則に変形する。そのため前記前端部FA及び後端部RBの位置を正確に検出することが難しくなる。
【0005】
その結果、プライ材料10をジッパージョイントJ2によって形成する場合には、作業員が手作業により、切断片13の前端部FA及び後端部RBの変形を修正しながら、所望の重なり巾Wにて接合することが必要となり、接合精度にバラツキを招くとともにプライ材料10の形成効率を損ねるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−105508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、切断片の前端部及び後端部にカール状の変形がある場合にも、この前端部及び後端部の位置を認識して前端部と後端部とを正確に位置合わせでき、高い接合精度を有してプライ材料を効率よく形成しうるタイヤ用プライ材料の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、ベルトコンベヤで搬送される一方の切断片の搬送方向前端部と、この一方の切断片に先行する他方の切断片の搬送方向後端部とを順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料を形成するプライ材料の製造装置であって、
前記切断片は、平行に引き揃えられたタイヤコードの配列体がゴム被覆された長尺帯状体を、その先端側からタイヤコードと交差する切断方向に沿って順次切断することによって形成され、しかも各切断片は、タイヤコードと平行な両端縁を搬送方向の前端縁、後端縁とし、かつ切断縁を第1側縁、第2側縁として前記ベルトコンベヤによって切断方向に搬送されるとともに、
前記製造装置は、
一方の切断片の前端部と他方の切断片の後端部とを撮影して前記前端部の画像データと、後端部の画像データとをうる撮影手段、
各前記画像データを処理して、前記前端部と後端部との各位置をそれぞれ認識する位置認識手段、
及び、前記位置認識手段によって得たデータに基づき、一方の切断片の前端部を把持し、かつ該前端部を他方の切断片の後端部とが接合される接合位置まで移動させる前端部把持移動手段を少なくとも具え、
しかも前記位置認識手段は、
前記一方の切断片における前記前端部の画像データから、前記第1側縁の輪郭が直線となる第1側縁直線部と、前記第2側縁の輪郭が直線となる第2側縁直線部と、前記前端縁の輪郭が直線となる前端縁直線部とを検出して、この第1側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第1側縁側の第1頂点として認識し、かつ前記第2側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第2側縁側の第2頂点として認識するとともに、
前記他方の切断片における前記後端部の画像データから、前記第1側縁の輪郭が直線となる第1側縁直線部と、前記第2側縁の輪郭が直線となる第2側縁直線部と、前記後端縁の輪郭が直線となる後端縁直線部とを検出して、この第1側縁直線部の延長線と後端縁直線部の延長線とが交わる交点を後端部の第1側縁側の第1頂点として認識し、かつ前記第2側縁直線部の延長線と後端縁直線部の延長線とが交わる交点を、後端部の第2側縁側の第2頂点として認識する一方、
前記前端部把持移動手段は、前記前端部における前記第1頂点および第2頂点が、前記後端部における前記第1頂点及び第2頂点と合う接合位置まで、前記一方の切断片の前端部を移動させることを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記前端部把持移動手段は、前記前端部における第1側縁側を把持する第1の把持手段を先端に設けた第1ロボットアームと、前記前端部における第2側縁側を把持する第2の把持手段を先端に設けた第2ロボットアームとを具えるとともに、
前記第1の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記前端部の第1頂点の近傍を吸着してベルトコンベヤから持ち上げるマグネットからなる吸着片を有する持上げ具と、前記吸着片により持ち上げられた前端部の第1側縁側を把持する把持具とを具え、かつ
前記第2の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記前端部の第2頂点の近傍を吸着してベルトコンベヤから持ち上げるマグネットからなる吸着片を有する持上げ具と、前記吸着片により持ち上げられた前端部の第2側縁側を把持する把持具とを具えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は叙上の如く、一方の切断片の前端部と、他方の切断片の後端部との各位置を、この前端部と後端部とを撮影した画像データを画像処理する位置認識手段によって認識している。この位置認識手段では、前端部の画像データから、第1側縁の輪郭が直線となる第1側縁直線部と、第2側縁の輪郭が直線となる第2側縁直線部と、前記前端縁の輪郭が直線となる前端縁直線部とを検出し、この第1側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第1側縁側の第1頂点として認識し、かつ前記第2側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第2側縁側の第2頂点として認識している。同様に、後端部の画像データを処理して、後端部の第1側縁側の第1頂点、後端部の第2側縁側の第2頂点を認識している。
【0011】
従って、切断片の前端部、後端部がカールして不規則な変形が生じた場合にも、前端部及び後端部の各頂点をそれぞれ第1頂点、第2頂点として正確に認識することができる。その結果、前端部把持移動手段を用いて、前端部における第1交点および第2交点を、後端部における第1交点及び第2交点と合う接合位置まで、一方の切断片の前端部を移動させることにより、切断片の前端部と後端部とを正確に位置合わせして高い精度で接合することができる。即ち、切断片の前端部及び後端部に変形がある場合にも、この前端部及び後端部の各頂点を認識して正確に位置合わせすることができ、プライ材料を高い精度で効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のタイヤ用プライ材料の製造装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】(A)、(B)は、撮影手段を示す側面図及び平面図である。
【図3】位置認識手段の認識方法を説明する概念図である。
【図4】(A)、(B)は、接合位置を説明する平面図及び断面図である。
【図5】前端部把持移動手段を示す斜視図である。
【図6】第1の把持手段を図5の矢印A方向から見た側面図である。
【図7】第1の把持手段を図5の矢印B方向から見た側面図である。
【図8】(A)、(B)は、剥離手段の動作を示す断面図である。
【図9】切断片を説明する平面図である。
【図10】(A)〜(C)は、接合方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態のタイヤ用プライ材料の製造装置1(以下にプライ材料製造装置1という場合がある。)は、図1、2に示すように、撮影手段2と、位置認識手段3と、前端部把持移動手段4とを少なくとも具え、ベルトコンベヤ5で搬送される一方の切断片13Aの搬送方向前端部FAと、この一方の切断片13Aに先行する他方の切断片13Bの搬送方向後端部RBとを順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料10を形成する。
【0014】
ここで前記切断片13A、13B(総称するとき、切断片13という場合がある。)は、前記図9に示すように、従来と同様、平行に引き揃えられたタイヤコード11の配列体がゴム被覆された長尺帯状体12を、カッタ14によって、その先端側からタイヤコード11と交差する切断方向Kに沿って順次切断することによって形成される。又各切断片13は、タイヤコード11と平行な両端縁を搬送方向の前端縁Ef、後端縁Erとし、かつ切断縁を第1側縁E1、第2側縁E2として前記ベルトコンベヤ5によって切断方向Kに搬送される。本例では、前記タイヤ用プライ材料10が、前記タイヤコード11としてスチールコードを用いたベルトプライ用のプライ材料として形成される場合が示される。又本例の切断片13は、図2(A)に示すように、前記前端部FA及び後端部RBの各端面Esが斜面をなし、この端面Es同士を重ね合わせるジッパージョイントにて前端部FAと後端部RBとが順次接合される。
【0015】
次に、前記撮影手段2は、前記図2(A)、(B)に示すように、切断片接合場所Pの上方に設置されたカメラ2aであって、前記切断片接合場所Pにて停止するベルトコンベヤ5上の一方の切断片13Aの前端部FAと他方の切断片13Bの後端部RBとを撮影し、前端部FAの画像データと、後端部RBの画像データとをうる。前記カメラ2aとして、静止画撮影用のCCDカメラが使用され、撮影された画像データは、コンピュター15に取り込まれる。なお本例では、1つのカメラ2aで前端部FAと後端部RBとを同時に撮影する好ましい場合が示されるが、2つのカメラ2aを用い、前端部FAと後端部RBとを別々に撮影することもできる。
【0016】
次に、前記位置認識手段3は、本例では前記コンピュター15の演算装置であって、前記一方の切断片13Aにおける前記前端部FAの画像データ、及び他方の切断片13Bにおける前記後端部RBの画像データを2値化処理し、図3に示すように、前端部FA及び後端部RBの輪郭線を求める。なお前記輪郭線は、例えば前記切断方向KをX軸、巾方向をY軸とした2次元座標によって認識される。
【0017】
そして前端部FAの輪郭線から、前記前端部FAにおいて、第1側縁E1の輪郭が直線となる第1側縁直線部E1aと、前記第2側縁E2の輪郭が直線となる第2側縁直線部E2aと、前記前端縁Efの輪郭が直線となる前端縁直線部Efaとを検出するとともに、この第1側縁直線部E1aの延長線と前端縁直線部Efaの延長線とが交わる交点を前端部FAの第1側縁E1側の第1頂点Q1aとして認識し、かつ前記第2側縁直線部E2aの延長線と前端縁直線部Ffaの延長線とが交わる交点を前端部FAの第2側縁E2側の第2頂点Q2aとして認識する。
【0018】
同様に、後端部RBの輪郭線から、前記後端部RBにおいて、第1側縁E1の輪郭が直線となる第1側縁直線部E1bと、前記第2側縁E2の輪郭が直線となる第2側縁直線部E2bと、前記後端縁Erの輪郭が直線となる後端縁直線部Erbとを検出するとともに、この第1側縁直線部E1bの延長線と後端縁直線部Erbの延長線とが交わる交点を後端部RBの第1側縁E1側の第1頂点Q1bとして認識し、かつ前記第2側縁直線部E2bの延長線と後端縁直線部Frbの延長線とが交わる交点を後端部RBの第2側縁E2側の第2頂点Q2bとして認識する。
【0019】
次に、前記前端部把持移動手段4は、前記前端部FAにおける第1頂点Q1aおよび第2頂点Q2aの位置が、前記後端部RBにおける第1頂点Q1b及び第2頂点Q2bの位置と合う接合位置Tまで、前記一方の切断片13Aの前端部FAを移動させる。なお前記接合位置Tとは、本例では、図4(A)、(B)に示すように、前端部FAと後端部RBとが、端面Es同士を所定の重なり巾Wで重ならせてジッパージョイントしうる位置を意味し、従って本例の場合、第1頂点Q1aと第1頂点Q1bとはX軸方向に重なり巾W分位置ズレし、同様に第2頂点Q2aと第2頂点Q2bとはX軸方向に重なり巾W分位置ズレしている。
【0020】
ここで、前記前端部FAにおける第1頂点Q1aおよび第2頂点Q2aは、前端部FAがカール状等に変形していない非変形状態における頂部の位置に相当し、又後端部RBにおける第1頂点Q1bおよび第2頂点Q2bは、後端部RBの非変形状態における頂部の位置に相当する。従って、この第1頂点Q1a、第2頂点Q2a、第1頂点Q1b、第2頂点Q2bを検出することで、非変形状態、即ち変形を修正したときの前端部FA、後端部RBの形状、サイズ、位置を求めることができ、前記一方の切断片13Aの前端部FAを前記接合位置Tまで移動させることにより、前端部FAと後端部RBとを正確に接合させることができる。
【0021】
又、前記前端部把持移動手段4は、前記図1の如く、前記前端部FAにおける第1側縁E1側の部分を把持する第1の把持手段20を先端に設けた第1ロボットアーム21と、前記前端部FAにおける第2側縁E2側の部分を把持する第2の把持手段22を先端に設けた第2ロボットアーム23とを具える。
【0022】
前記第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム23は、周知の産業用ロボットアームであって、3次元方向に移動可能に制御される。
【0023】
又前記第1の把持手段20は、図5〜7に示すように、昇降移動できかつ上昇により前記前端部FAの第1頂点Q1aの近傍を吸着してベルトコンベヤから持ち上げる吸着片25を有する持上げ具26と、前記吸着片25により持ち上げられた前端部FAの第1側縁E1側の部分を把持する把持具27とを具える。
【0024】
詳しくは、前記第1の把持手段20は、前記第1ロボットアーム21の先端に、取付け台28を介して取り付く持上げ具26と把持具27とを具える。本例の持上げ具26は、前記取付け台28に、例えばスペーサ軸29、取り付け板30等を介してロッドを下向きで取り付けられる第1のシリンダ31と、そのロッド下端に取り付く前記吸着片25とを具え、前記ロッドの伸縮により、前記吸着片25は昇降移動しうる。前記吸着片25は、本例ではマグネットであって、その下降Z1により、搬送面上の切断片13Aに当接し、前記第1頂点Q1aの近傍を、ゴム中のタイヤコード11(スチールコード)とともに吸着する。又吸着片25の上昇Z2により前記第1頂点Q1aの近傍を、前端部FAの第1側縁E1側の部分とともにベルトコンベヤ5から持ち上げうる。
【0025】
又前記把持具27は、前記取付け台28に取り付け板33を介して横向きに取り付く第2のシリンダ34と、この第2のシリンダ34のロッド先端に取り付き切断片13Aに向かってY軸方向に進退しうる移動台35とを具える。この移動台35には、前記吸着片25によって第1頂点Q1aの近傍とともに持ち上げられた前端部FAの第1側縁E1側の部分の下面を受ける受け板36が水平に突設される。又前記移動台35には、ロッドを下方に向けた第3のシリンダ37が前記受け板36の上方側に取り付くとともに、このシリンダのロッド下端には押さえ板38が取り付く。この押さえ板38は、前記第3のシリンダ37のロッドの伸張により前記前端部FAの第1側縁E1側の部分を受け板36との間で挟んで把持する。
【0026】
又前記第2の把持手段22も、前記第1の把持手段20と同様に、昇降移動できかつ上昇により前記前端部FAの第2頂点Q2aの近傍を吸着してベルトコンベヤ5から持ち上げるマグネットからなる吸着片25を有する持上げ具46と、前記吸着片25により持ち上げられた前端部FAの第2側縁E2側の部分を把持する把持具47とを具える。なお前記持上げ具46及び把持具47は、前記第1の把持手段20の前記持上げ具26及び把持具27と実質的に同構成である。
【0027】
そしてこの第1、第2の把持手段20、22を用いることで、前記一方の切断片13Aの前端部FAを、ベルトコンベヤ5から持ち上げて把持しうるとともに、前記第1、第2ロボットアーム21、23の制御により、持ち上げた前記一方の切断片13Aを、前記接合位置Tまで正確に移動させることができる。又移動の後、各吸着片25を下降させることにより、前端部FAを後端部RBに押し付け、重ね合わせて接合させることができる。
【0028】
又本例では、接合した後、吸着片25を切断片13Aから剥離させるための剥離手段40を、第1、第2の把持手段20、22に取り付けている。この剥離手段40は、前記図6、7に示すように、前記取付け台28に、取り付け板41を介してロッドを下向きで取り付けられる第4のシリンダー42と、そのロッド下端に取り付く剥離り具43とを具える。この剥離り具43は、前記吸着片25を挿通しうる挿通孔43Hを有する筒状体からなり、図8(A)に示すように、吸着片25が下降して前端部FAを後端部RBに押し付けて接合させた後、前記剥離り具43を下降させる。そして図8(B)に示すように、この剥離り具43が前端部FAの上面を押さえた状態にて、前記吸着片25を上昇させることで、吸着片25を切断片13Aから剥離させることができ、剥離の際の切断片13Aの位置ズレなども抑制できる。
【0029】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0030】
1 プライ材料製造装置
2 撮影手段
3 位置認識手段
4 前端部把持移動手段
5 ベルトコンベヤ
10 タイヤ用プライ材料
11 タイヤコード
12 長尺帯状体
13、13A、13 切断片
20 第1の把持手段
21 第1ロボットアーム
22 第2の把持手段
23 第2ロボットアーム
25 吸着片
26 持上げ具
27 把持具
46 持上げ具
47 把持具
E1 第1側縁
E1a 第1側縁直線部
E1b 第1側縁直線部
E2 第2側縁
E2a 第2側縁直線部
E2b 第2側縁直線部
Ef 前端縁
Efa 前端縁直線部
Er 後端縁
Erb 後端縁直線部
FA 前端部
RB 後端部
Q1a 第1頂点
Q1b 第1頂点
Q2a 第2頂点
Q2b 第2頂点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤで搬送される一方の切断片の搬送方向前端部と、この一方の切断片に先行する他方の切断片の搬送方向後端部とを順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料を形成するプライ材料の製造装置であって、
前記切断片は、平行に引き揃えられたタイヤコードの配列体がゴム被覆された長尺帯状体を、その先端側からタイヤコードと交差する切断方向に沿って順次切断することによって形成され、しかも各切断片は、タイヤコードと平行な両端縁を搬送方向の前端縁、後端縁とし、かつ切断縁を第1側縁、第2側縁として前記ベルトコンベヤによって切断方向に搬送されるとともに、
前記製造装置は、
一方の切断片の前端部と他方の切断片の後端部とを撮影して前記前端部の画像データと、後端部の画像データとをうる撮影手段、
各前記画像データを処理して、前記前端部と後端部との各位置をそれぞれ認識する位置認識手段、
及び、前記位置認識手段によって得たデータに基づき、一方の切断片の前端部を把持し、かつ該前端部を他方の切断片の後端部とが接合される接合位置まで移動させる前端部把持移動手段を少なくとも具え、
しかも前記位置認識手段は、
前記一方の切断片における前記前端部の画像データから、前記第1側縁の輪郭が直線となる第1側縁直線部と、前記第2側縁の輪郭が直線となる第2側縁直線部と、前記前端縁の輪郭が直線となる前端縁直線部とを検出して、この第1側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第1側縁側の第1頂点として認識し、かつ前記第2側縁直線部の延長線と前端縁直線部の延長線とが交わる交点を前端部の第2側縁側の第2頂点として認識するとともに、
前記他方の切断片における前記後端部の画像データから、前記第1側縁の輪郭が直線となる第1側縁直線部と、前記第2側縁の輪郭が直線となる第2側縁直線部と、前記後端縁の輪郭が直線となる後端縁直線部とを検出して、この第1側縁直線部の延長線と後端縁直線部の延長線とが交わる交点を後端部の第1側縁側の第1頂点として認識し、かつ前記第2側縁直線部の延長線と後端縁直線部の延長線とが交わる交点を後端部の第2側縁側の第2頂点として認識する一方、
前記前端部把持移動手段は、前記前端部における前記第1頂点および第2頂点が、前記後端部における前記第1頂点及び第2頂点と合う接合位置まで、前記一方の切断片の前端部を移動させることを特徴とするタイヤ用プライ材料の製造装置。
【請求項2】
前記前端部把持移動手段は、前記前端部における第1側縁側を把持する第1の把持手段を先端に設けた第1ロボットアームと、前記前端部における第2側縁側を把持する第2の把持手段を先端に設けた第2ロボットアームとを具えるとともに、
前記第1の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記前端部の第1頂点の近傍を吸着してベルトコンベヤから持ち上げるマグネットからなる吸着片を有する持上げ具と、前記吸着片により持ち上げられた前端部の第1側縁側を把持する把持具とを具え、かつ
前記第2の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記前端部の第2頂点の近傍を吸着してベルトコンベヤから持ち上げるマグネットからなる吸着片を有する持上げ具と、前記吸着片により持ち上げられた前端部の第2側縁側を把持する把持具とを具えることを特徴とする請求項1記載のタイヤ用プライ材料の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−959(P2013−959A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133512(P2011−133512)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】