説明

タイヤ選別装置

【課題】タイヤを傷つけることなく、タイヤ表面に形成されたバーコードなどのタイヤ識別表示体の情報を確実に読み取ることのできるタイヤ選別装置を提供する。
【解決手段】タイヤTを載置する載置テーブル40の下方に、タイヤ中心軸と垂直な面内において円状に配置された3本の把持アーム24a〜24cとこれらの把持アーム24a〜24cを拡幅するリンク機構を備えたタイヤ把持手段20を配置し、載置テーブル40の上方に、バーコードリーダー保持手段32により保持されたバーコードリーダー31を回転させるバーコードリーダー回転手段33を設けるとともに、バーコードリーダー31の回転軸とタイヤ把持手段20の把持アーム24a〜24cが形成する円の中心とが同一線上になるように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ表面に形成されたバーコードなどのタイヤ識別表示体の情報を読み取って、タイヤを選別するタイヤ選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの検査ラインにおいては、コンベヤ等の搬送装置により搬送されてきたタイヤを搬送路の途中で停止させた後、タイヤに貼付されたバーコードの情報を読み取り、検査されるタイヤのタイヤ種やサイズなどを識別するとともに、搬送されてきたタイヤが後工程に送るべきタイヤであるか否かを選別するようにしている。
バーコードの読み取り方法としては、例えば、3本のチャックローラーによりタイヤを内側から把持するセンタリング装置を用いてタイヤのセンタリングを行った後、このセンタリング装置でタイヤを把持した状態で、タイヤを回転させながら、タイヤのサイドウォールに貼付されたバーコードを、タイヤの上面に設置されたバーコードリーダーにより読み取る方法(例えば、特許文献1参照)や、タイヤを搬送するローラーコンベヤの下方に二次元コード表示体が設置されている設置範囲を検出する検出センサーとコード読取機とを設置し、このコード読取機を検出センサーにより検出した二次元コード表示体の設置範囲まで移動させるとともに、コード読取機を傾斜させ、ローラーの隙間から二次元コード情報を読み取る方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−157122号公報
【特許文献2】特開2006−65668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、把持装置でタイヤを把持した状態でタイヤを回転させながらバーコードを読み取る方法では、タイヤサイズによっては回転不良が発生し、バーコードをうまく読み取れないといった問題点があった。また、製品であるタイヤを回転させるため、タイヤ表面とローラーとの間の摩擦によってタイヤが傷ついてしまう可能性があった。
一方、検出センサーとコード読取機とを用いた方法では、タイヤを移動させながら検出センサーで二次元コード表示体の設置範囲を検出した後コード読取機を移動させ、ローラーの隙間から二次元コード情報を読み取っていることから、読み取りエラーが起こり易いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、タイヤを傷つけることなく、タイヤ表面に形成されたバーコードなどのタイヤ識別表示体の情報を確実に読み取ることのできるタイヤ選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、タイヤをタイヤ中心軸と垂直な面内に載置する載置手段と、タイヤの内縁部を把持するとともに前記タイヤ中心軸を位置決めするタイヤ把持手段と、タイヤ表面に形成されたタイヤ識別表示体を読み取る表示体読取手段と、この表示体読取手段を保持する保持手段とを備えたタイヤ選別装置であって、前記タイヤ把持手段は、タイヤ中心軸と垂直な面内において三角形の頂点に位置するように配置された、タイヤ中心軸と平行な方向に延長する3本の把持アームと、前記3本の把持アームを前記三角形の外接円と同心円状に配置されるように移動させるアーム開閉機構とを備え、前記保持手段は、前記表示体読取手段を保持する保持部と、この保持部をタイヤ中心軸に平行な回転軸の周りに回転させる回転駆動部とを備え、前記外接円の中心と前記保持部の回転軸とが同一線上にあることを特徴とするものである。
これにより、簡単な構成で、タイヤのセンタリングを行うことができるとともに、表示体読取手段をタイヤ中心軸を回転軸として回転させることができるので、タイヤ識別表示体の情報を精度よく読み取ることができる。したがって、タイヤの選別を確実に行うことができる。
また、タイヤを回転させないので、回転時の摩擦によりタイヤが傷つくことを防止することができる。
【0007】
また、本願発明は、タイヤを把持したときの前記3本の把持アームの位置データもしくは移動量のデータから当該タイヤ内径を検出するタイヤ内径検出手段を備え、タイヤ識別表示体の情報とともに、情報を読み取ったタイヤ内径を精度良く実測することができるようにしたものである。したがって、タイヤ識別表示体の情報を再確認できるので、タイヤ選別の精度を更に向上させることができる。
【0008】
また、本願発明は、前記表示体読取手段と保持部の回転軸との距離を変更する回転半径変更手段と、前記タイヤ内径検出手段で検出したタイヤ内径のデータを用いて、前記表示体読取手段を前記タイヤ識別表示体の位置に移動させるように、前記回転半径変更手段を制御する検出位置制御手段とを備えたものである。これにより、表示体読取手段の回転半径をタイヤサイズに応じて変更できるので、タイヤサイズが異なった場合でも、タイヤ識別表示体の情報を読み取ることができる。
【0009】
また、本願発明は、前記載置手段がタイヤの下面に接触して回転する複数の回転体と、前記3本の把持アームをタイヤの内周側に突出させるための貫通孔とを備えていることを特徴とする。
これにより、タイヤを下側から確実に保持することができるとともに、タイヤを任意の方向に容易に移動させることができるので、タイヤのセンタリングをスムースにかつ確実に行うことができる。
【0010】
また、本願発明は、前記アーム開閉機構が、固定側部材である基台と、前記基台に回転自在に立設された中心ピン部材と、前記中心ピン部材に固定された可動側部材である板状部材と、前記板状部材と前記各把持アームとをそれぞれ連結する連結機構と、前記板状部材を回転駆動する1台の駆動手段とを備え、前記連結機構が、前記基台の前記中心ピン部材の中心軸を中心とするに円に内接する多角形の各頂点に対応する位置にそれぞれ設けられた固定側ピン部材と、前記板状部材の中心ピン部材の中心軸を中心とする円に内接する多角形の各頂点に対応する位置にそれぞれ設けられた可動側ピン部材と、前記固定側ピン部材に回転可能に取付けられた固定側アームと、前記可動側ピン部材に回転可能に取付けられた可動側アームと、前記固定側アームと前記可動側アームとをそれぞれ回転可能に連結する中間ピン部材とを備え、前記3本の把持アームが前記固定側アームにそれぞれ立設され、前記駆動手段が、前記板状部材を前記中心ピン部材の周りに回転させることを特徴とする。
このような構成を採ることにより、簡単な構成で、3本の把持アームを確実に同心円状に配置されるように移動させることができるアーム開閉機構を備えたタイヤ選別装置を得ることができる。
【0011】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係るタイヤ選別装置の構成を示す側面図である。
【図2】本実施の形態に係るタイヤ選別装置の構成を示す平面図である。
【図3】本実施の形態に係るタイヤ把持手段を示す斜視図である。
【図4】載置テーブルに用いられるトランスホイールの詳細を示す図である。
【図5】タイヤ把持手段の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は本実施の形態に係るタイヤ選別装置10の構成を示す側面図である。また、図2(a)はバーコード読取手段30を取付ける前の平面図、図2(b)はバーコード読取手段30を取付けた後の平面図である。
タイヤ選別装置10は、タイヤ把持手段20と、バーコード読取手段30と、載置テーブル40と、昇降手段50と、これらの手段20〜50を取付けるための装置取付台60とを備える。
装置取付台60は4本の脚部61と昇降手段取付台62と読取手段取付台63とを備える。4本の脚部61は床Cに立設され、昇降手段取付台62と読取手段取付台63とは、脚部61の床C側に、床面に水平に取付けられる。
載置テーブル40は脚部61の上に載せられ、昇降手段50は昇降手段取付台62の台上に取付けられている。読取手段取付台63は、脚部61の上の載置テーブル40の縦フレーム41の外周側に取付けられている。
また、タイヤ把持手段20は、下部側から昇降手段50に支持され、バーコード読取手段30は、読取手段取付台63に取付けられている。
【0015】
タイヤ把持手段20は、図3にも示すように、板面が正三角形状の板材の3辺を中心方向に切欠いた切欠き部21kを有する固定側部材である基台21と、この基台21の中心に軸受け21jを介して取付けられた中心ピン部材22と、中心ピン部材22の上端に取付けられた可動側部材である三板状の板状部材23と、一端が固定側ピン部材P11〜P13により基台21に回転可能に取付けられた固定側アームA11〜A13と、これらの固定側アームA11〜A13の他端にそれぞれ立設された把持アーム24a〜24cと、可動側ピン部材P21〜P23により板状部材23に回転可能に取付けられた可動側アームA21〜A23と、固定側アームA11〜A13と可動側アームA21〜A23とをそれぞれ連結する中間ピン部材P31〜P33と、中心ピン部材22に連結されて板状部材23を回転駆動する駆動手段としてのシリンダー25と、シリンダー25を支持するシリンダー支持台26と、シリンダー支持台26に立設されて基台21を支持する支持フレーム27とを備える。なお、図3では、図を簡素化するため、シリンダー支持台26と支持フレーム27とを省略した。
固定側ピン部材P11〜P13の高さは、固定側アームA11〜A13、可動側アームA21〜A23、及び、板状部材23がほぼ同一平面上にあるように設定される。
固定側ピン部材P11〜P13、固定側アームA11〜A13、可動側ピン部材P21〜P23、可動側アームA21〜A23、及び、中間ピン部材P31〜P33が板状部材23と把持アーム24a〜24cとをそれぞれ連結する連結機構を構成し、この連結機構と基台21と中心ピン部材22と板状部材23とにより把持アーム24a〜24cを同心円状に移動させるアーム開閉機構を構成する。
【0016】
本例のタイヤ把持手段20は、3つのリンク機構を有する。
第1のリンク機構は、板状部材23と固定側アームA11とを結ぶリンクで、可動側アームA21がそれに相当する。
第2のリンク機構は、板状部材23と固定側アームA12とを結ぶリンクで、可動側アームA22がそれに相当する。
第3のリンク機構は、板状部材23と固定側アームA13とを結ぶリンクで、可動側アームA23がそれに相当する。
【0017】
基台21の中心と板状部材23の中心とは、初期位置において、基台21を構成する三角板と板状部材23を構成する三角板とが互いに約60°ずれた位置になるように連結している。
中心ピン部材22の下端は基台21の下側まで延長されており、中心ピン部材22の下端にシリンダー25が接続されている。
したがって、シリンダー25を駆動して板状部材23を回転させることで、第1〜第3のリンク機構を動かして、把持アーム24a〜24cを初期位置から板状部材23を基台21の外側に移動させることができる。
把持アーム24a〜24cは、中心ピン部材22の延長方向と垂直な面内において正三角形状に配置されており、第1〜第3のリンク機構を動かすと、把持アーム24a〜24cは前記正三角形の外接円と同心円状に広がりながら移動する。前記正三角形の外接円の中心位置は中心ピン部材22の位置と同じである。
以下、前記正三角形の外接円を把持アーム24a〜24cの形成する円といい、初期位置を把持アーム24a〜24cが閉状態にあるという。また、把持アーム24a〜24cを移動させることを、把持アーム24a〜24cを拡縮させるという。
また、本例の把持アーム24a〜24cは、それぞれ、ローラー軸Z11〜Z13と回転ローラーR11〜R13とを備えており、ローラー軸Z11〜Z13は固定側アームA11〜A13の他端側にそれぞれ立設され、回転ローラーR11〜R13は、ローラー軸Z11〜Z13の外周側面に図示しない軸受けを介して回転自在に取り付けられている。
これにより、ワークであるタイヤTを不要に傷つけることなく把持することができる。
【0018】
昇降手段50は、昇降手段取付台62に取付けられたシリンダー本体51とロッド52とを有するエア・シリンダーと、シリンダー支持台26に立設されたスライド部材53と、昇降手段取付台62に取付けられたガイド部材54とを備える。このエア・シリンダーのロッド52の先端をタイヤ把持手段20のシリンダー支持台26の下部に連結してロッド52を上下方向に往復運動させることにより、タイヤ把持手段20のシリンダー支持台26を上下動させて把持アーム24a〜24cを上昇もしくは下降させることができる。
なお、昇降手段50に代えて、ラックピニオン機構などの周知のスライド機構を用いてシリンダー支持台26を上下動させるようにしてもよい。
【0019】
載置テーブル40は、図2(a)に示すように、互いに対向するように配置された2本の縦フレーム41と、この縦フレーム41の両端側にそれぞれ取付けられる回転軸42aとこの回転軸42aに回転自在に取付けられたローラー42bとから成る誘導ローラー42と、2本の縦フレーム41を下部側で連結する底板43と、誘導ローラー42間に設置された複数のトランスホイール44とを備え、図示しない搬送コンベヤにより搬送されてきたタイヤTを一方の誘導ローラー42で受け取って、複数のトランスホイール44上に載置する。以下、載置テーブル40をxy平面上に配置したときの縦フレーム41の延長方向と直交する方向をx方向とする。
【0020】
トランスホイール44は、図4(a),(b)に示すように、1本もしくは、2本の縦フレーム41に取付けられた回転軸44Pとこの回転軸44Pに軸受け44jを介して取付けられた複数の回転体44Rとを備える。回転軸44Pの方向はx方向である。
回転体44Rは、軸受け44jを介して回転軸44Pに取付けられる、断面が多角形(ここでは、六角形)の筒状体から成る主回転部44aと、この主回転部44aの周面に取付けられた複数の副回転部44bとを備える。副回転部44bは、主回転部44aの周面に平行でかつ回転軸44Pに直交する方向に延長する回転軸44kと、この回転軸44kに回転自在に取付けられた筒状の回転体44rと、回転軸44kの両端を支持する、回転体44rの外形に沿った凹部が形成された支持部材44mとを備えている。なお、支持部材44mは、主回転部44aと一体に構成してもよい。
【0021】
回転体44Rの主回転部44aは回転軸44Pを中心に回転し、副回転部44bは回転軸44kを中心に回転する。したがって、載置テーブル40をxy平面上に配置したとき、この載置テーブル40に載置されたタイヤTは、主回転部44aによりy方向に移動し易くなり、副回転部44bによりx方向に移動し易くなる。すなわち、載置テーブル40に載置されたタイヤTは、全方向に移動し易くなる。
本例では、載置テーブル40の底板43に貫通孔43Sを設けるとともに、トランスホイール44を貫通孔43Sを避けるように配置して、載置テーブル40の下部から把持アーム24a〜24cをタイヤTの内縁部に当接可能としている。貫通孔43Sは、閉状態の把持アーム24a〜24cの作る円よりも大きな半径を有する円とこの貫通孔に連通する把持アーム24a〜24cの軌跡に沿った円弧状の貫通孔とから成る。
【0022】
バーコード読取手段30は、バーコードリーダー31と、バーコードリーダー保持手段32と、バーコードリーダー回転手段33と、タイヤ内径検出手段34と、回転半径変更手段35と、検出位置制御手段36とを備えており、タイヤ内径検出手段34以外は、読取手段取付台63に取付けられる。タイヤ内径検出手段34は、タイヤ把持手段20に設けられる。
読取手段取付台63は、載置テーブル40の縦フレーム41の外周側に取付けられて縦フレーム41と同じ方向に延長する2枚の水平板63aと、水平板63aに立設された垂直板63bと、この垂直板63bの上部を橋絡するように設けられたモーター取付板63cとを備える。
【0023】
バーコードリーダー31は、発光素子と受光素子とを備え、バーコードリーダー保持手段32に固定されてタイヤTの表面に貼付けられたバーコードBの情報を読み取る。
バーコードリーダー回転手段33は、モーター33aとモーター33aの出力軸に連結される腕部33bとを備えており、モーター33aがモーター取付板63cに取付けられる。バーコードリーダー保持手段32は、腕部33bの先端側に取付けられて、バーコードリーダー31を、その検出面が下方(載置テーブル40側)になるように保持する。
タイヤ内径検出手段34は、中心ピン部材22の回転角θを検出するロータリー・エンコーダー34aと回転角θから把持アーム24a〜24cの外周部の作る円の半径を算出してタイヤ内径を求めるタイヤ内径算出手段34bとを備える。なお、ロータリー・エンコーダー34aに代えて、位置センサーなどを用いて、板状部材23の回転角θを直接検出してもよい。
【0024】
回転半径変更手段35は、腕部33bに取付けられたリニアーアクチュエータ本体35aと、バーコードリーダー保持手段32に連結されるロッド35bとを備え、バーコードリーダー保持手段32を腕部33bに沿ってスライドさせる。
検出位置制御手段36は、タイヤ内径検出手段34の出力に基づいて、回転半径変更手段35のロッド35bの伸縮量を制御して、バーコードリーダー31を、タイヤ中心からバーコードBが貼付されている位置までの距離を半径とする円周上に移動させる。
なお、モーター33aとしては、減速機を備えたギアドモータもしくはステッピングモーターを用いることが好ましい。
本例では、腕部33bの回転中心であるモーター33aの出力軸と、タイヤ把持手段20の把持アーム24a〜24cが形成する円の中心とが同一線上にあるように、バーコード読取手段30を読取手段取付台63に取付ける。
なお、腕部33bの長さは、バーコードリーダー31が、載置テーブル40に搭載されたタイヤTのサイドウォール部のバーコード貼付け部分の直上に設置されるように設定される。
【0025】
次に、タイヤ選別装置10の動作について説明する。
まず、図示しない搬送コンベヤにより搬送されてきたタイヤTを載置テーブル40上に移動させる。次に、昇降手段50を作動させて、タイヤ把持手段20のシリンダー支持台26を上昇させて、3本の把持アーム24a〜24cをタイヤTの内側に挿入する。このとき、3本の把持アーム24a〜24cは、初期状態にあるので、タイヤTの中心と3本の把持アーム24a〜24cの中心がずれていても問題はない。
把持アーム24a〜24cが所定の高さまで上昇した段階で、昇降手段50の動作を停止させる。この場合、昇降手段50に、上昇量の上限で作動するリミットスイッチなどを設ければよい。
【0026】
次に、タイヤ把持手段20のシリンダー25を駆動させて板状部材23を回転させ、把持アーム24a〜24cを拡幅し、把持アーム24a〜24cの全てをタイヤTの内縁部に当接させることで、タイヤTの中心とタイヤ把持手段20の中心とを一致させる、いわゆる、センタリングを行う。
タイヤTは、載置テーブル40のトランスホイール44上に載置されて動き易い状態となっているので、タイヤTを把持アーム24a〜24cにより内側から押すことで、タイヤTをxy平面上のいずれの方向にも容易に移動させることができる。
【0027】
次に、タイヤ把持手段20によりタイヤTを把持した状態で、バーコードリーダー回転手段33のモーター33aを駆動して腕部33bを回転させながら、バーコードリーダー31にてタイヤTの表面に貼付けられたバーコードBの情報を読み取ってタイヤTのタイヤ種やサイズを識別する。
本例では、腕部33bの回転中心であるモーター33aの出力軸とタイヤ把持手段20の把持アーム24a〜24cが形成する円の中心とが同一線上になるように設定されているので、腕部33bの回転中心であるバーコードリーダー31の回転中心とタイヤTの回転軸とを正確に一致させることができる。したがって、バーコードリーダー31は、タイヤTの表面に貼付けられたバーコードBを確実に読み取ることができる。
タイヤTの識別後には、把持アーム24a〜24cを縮小させるとともに、昇降手段50により、シリンダー支持台26を下降させて把持アーム24a〜24cを下降させる。
そして、モーター33aを停止させてから、識別作業を終えたタイヤTを、図示しない搬送コンベヤにより次工程に搬送する。
【0028】
このように、本実施の形態では、タイヤTを載置する載置テーブル40の下方に、タイヤ中心軸と垂直な面内において円状に配置された3本の把持アーム24a〜24cとこれらの把持アーム24a〜24cを拡幅するリンク機構を備えたタイヤ把持手段20を配置し、載置テーブル40の上方に、バーコードリーダー保持手段32により保持されたバーコードリーダー31を回転させるバーコードリーダー回転手段33を設けるとともに、バーコードリーダー31の回転軸とタイヤ把持手段20の把持アーム24a〜24cが形成する円の中心とが同一線上になるように設定したので、タイヤTの表面に貼付けられたバーコードBの情報を正確に読み取ることができる。
また、本発明のタイヤ選別装置10は、タイヤTを回転させずにバーコードの読み取りができるので、回転時の摩擦によりタイヤが傷つくことを防止することができる。
【0029】
なお、前記実施の形態では、タイヤTの表面に貼付けられたバーコードBを読み取るタイヤ選別装置10について説明したが、本願発明は、タイヤTのサイドウォール部に刻印されたタイヤ表示などの読み取りにも適用可能である。
また、前記例では、リンク機構を有するタイヤ把持手段20を用いたが、これに限るものではなく、3本の把持アーム24a〜24cに各把持アーム24a〜24cを径方向にそれぞれ移動させる3個のアクチュエータを設けて、これら把持アーム24a〜24cを同心円状に拡幅するようにしてもよい。
【0030】
あるいは、図5に示すような、拡幅手段70を用いて、把持アーム24a〜24cの中心を同時に径方向にスライドさせるようにしてもよい。
この拡幅手段70は、基台71と、3本の支持台72と、レール73と、アーム支持台74と、棒状部材75と、昇降手段76とを備えている。
3本の支持台72は、平面視正三角形状になるように、基台71上に立設されている。レール73は各支持台72上に設けられ、アーム支持台74は、レール73上にレール73に沿って移動可能に取付けられている。把持アーム24a〜24bは、三角形の中心を内側としたときに、アーム支持台74の外側の端部に取付けられる。
棒状部材75は、上側の径が小さく下側の径が大きな断面が円形の棒状の部材で、昇降手段76により上下する。昇降手段76は、例えば、シリンダー本体76aと、図示しないピストンに連結されたロッド72bとを有するエア・シリンダーにより構成される。
支持台72上面のレール73の外側には、バネ取付け板77が設けられており、このバネ取付け板77とアーム支持台74とは、バネ78で連結されている。このバネ78は、アーム支持台74を内側に付勢するもので、アーム支持台74の内側は棒状部材75に常に当接している。
このような構成を採ることにより、棒状部材75を上昇させると、アーム支持台74に当接する棒状部材75の径が大きくなるので、3つのアーム支持台74は、バネ力に打ち勝って同時にレール73上を径方向外側に移動する。したがって、把持アーム24a〜24bを、初期位置のときの円と同心円状に拡幅することができる。
【0031】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
このように、本発明によれば、簡単な構成で、タイヤのセンタリングを行うことができるとともに、回転時の摩擦によりタイヤが傷つくことを防止することができるので、タイヤの選別を効率的にかつ確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
10 タイヤ選別装置、20 タイヤ把持手段、21 基台、22 中心ピン部材、
23 板状部材、24a〜24c 把持アーム、25 シリンダー、
26 シリンダー支持台、27 支持フレーム、
30 バーコード読取手段、31 バーコードリーダー、
32 バーコードリーダー保持手段、33 バーコードリーダー回転手段、
33a モーター、33b 腕部、34 タイヤ内径検出手段、
34a ロータリー・エンコーダー、34b タイヤ内径算出手段、
35 回転半径変更手段、35a リニアーアクチュエータ本体、35b ロッド、
36 検出位置制御手段、
40 載置テーブル、41 縦フレーム、42 誘導ローラー、43 底板、
44 トランスホイール、
50 昇降手段、51 シリンダー本体、52 ロッド、53 スライド部材、
54 ガイド部材、
60 装置取付台、61 脚部、62 昇降手段取付台、63 読取手段取付台、
63a 水平板、63b 垂直板、63c モーター取付板、
T タイヤ、P11〜P13 固定側ピン部材、P21〜P23 可動側ピン部材、
P31〜P33 中間ピン部材、A11〜A13 固定側アーム、
A21〜A23 可動側アーム、R11〜R13 回転ローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤをタイヤ中心軸と垂直な面内に載置する載置手段と、タイヤの内縁部を把持するとともに前記タイヤ中心軸を位置決めするタイヤ把持手段と、タイヤ表面に形成されたタイヤ識別表示体を読み取る表示体読取手段と、この表示体読取手段を保持する保持手段とを備えたタイヤ選別装置であって、
前記タイヤ把持手段は、
タイヤ中心軸と垂直な面内において三角形の頂点に位置するように配置された、タイヤ中心軸と平行な方向に延長する3本の把持アームと、
前記3本の把持アームを前記三角形の外接円と同心円状に配置されるように移動させるアーム開閉機構とを備え、
前記保持手段は、
前記表示体読取手段を保持する保持部と、
この保持部をタイヤ中心軸に平行な回転軸の周りに回転させる回転駆動部とを備え、
前記外接円の中心と前記保持部の回転軸とが同一線上にあることを特徴とするタイヤ選別装置。
【請求項2】
タイヤを把持したときの前記3本の把持アームの位置データもしくは移動量のデータから当該タイヤ内径を検出するタイヤ内径検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ選別装置。
【請求項3】
前記表示体読取手段と保持部の回転軸との距離を変更する回転半径変更手段と、
前記タイヤ内径検出手段で検出したタイヤ内径のデータを用いて、前記表示体読取手段を前記タイヤ識別表示体の位置に移動させるように、前記回転半径変更手段を制御する検出位置制御手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ選別装置。
【請求項4】
前記載置手段は、
タイヤの下面に接触して回転する複数の回転体と、
前記3本の把持アームをタイヤの内周側に突出させるための貫通孔とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ選別装置。
【請求項5】
前記アーム開閉機構は、
固定側部材である基台と、
前記基台に回転自在に立設された中心ピン部材と、
前記中心ピン部材に固定された可動側部材である板状部材と、
前記板状部材と前記各把持アームとをそれぞれ連結する連結機構と、
前記板状部材を回転駆動する1台の駆動手段とを備え、
前記連結機構は、
前記基台の前記中心ピン部材の中心軸を中心とするに円に内接する多角形の各頂点に対応する位置にそれぞれ設けられた固定側ピン部材と、
前記板状部材の中心ピン部材の中心軸を中心とする円に内接する多角形の各頂点に対応する位置にそれぞれ設けられた可動側ピン部材と、
前記固定側ピン部材に回転可能に取付けられた固定側アームと、
前記可動側ピン部材に回転可能に取付けられた可動側アームと、
前記固定側アームと前記可動側アームとをそれぞれ回転可能に連結する中間ピン部材とを備え、
前記3本の把持アームは前記固定側アームにそれぞれ立設され、
前記駆動手段は、前記板状部材を前記中心ピン部材の周りに回転させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のタイヤ選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−157200(P2011−157200A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21635(P2010−21635)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】