説明

タイルパネル

【課題】損壊し易い突形の実部が無く、また施工も容易なタイルパネル及びその施工構造を提供する。
【解決手段】タイルパネル10は、下地板11に複数のタイル12を接着剤13を介して張り付けたものである。タイル12同士は均一な目地間隔を介して整列配置されている。タイルパネル10の全周にわたって、木端面に凹条11aが設けられている。タイルパネル10同士の間に目地材20を介在させ、該目地材20の凸条22を凹条11aに嵌合させつつ、突き付けられて床や壁に施工される。目地材20の板状部21はタイルパネル10の木端面同士の間に挟まれている。目地材20は、タイル12の前面よりも目地間に後退しているが、タイル12,12間に挟まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルパネルに係り、詳しくは、方形の下地板の前面に1枚又は複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
方形の下地板の前面に複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルは、特開平6−108614号に見られるように周知である。
【0003】
この特開平6−108614のタイルパネルにあっては、複数枚のタイルパネルを突き付けて床や壁に施工すると、この突き付け部分においても目地間隙が形成される。この目地間隙に目地材を充填することにより、タイル仕上げされた床や壁が構築される。
【0004】
特開2002−129732には、下地板(同号では基板と称している。)の木端面に実(さね)部を設け、隣接するタイルパネルの実部同士を係合させるタイルパネル施工構造が記載されている。
【特許文献1】特開平6−108614
【特許文献2】特開2002−129732
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開平6−108614のタイルパネルは、突き付けた後に目地材を充填する必要があり、施工に手間がかかる。
【0006】
特開2002−129732の実部は、下地板の木端面から突出する形状であるため、運搬中や施工途中で欠損し易い。また、下地板の繋ぎ目を隠すためにコーキングなどが必要となり、同様に施工に手間がかかる。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決し、損壊し易い突形の実部が無く、また施工も容易なタイルパネル及びその施工構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のタイルパネルは、方形の下地板の前面に1枚又は複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルにおいて、該下地板の4個の木端面にあっては、該下地板の厚み方向の途中に、該タイルパネルを周回する凹条が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のタイルパネル施工構造は、複数枚の請求項1のタイルパネルを、タイルパネル同士の間に目地材を介在させて突き合わせて配置したタイルパネル施工構造において、該目地材は、隣接する各タイルパネルの前記凹条に嵌合した凸条を有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のタイルパネルは、方形の下地板の前面に1枚又は複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルにおいて、該下地板の隣接する第1及び第2の木端面にあっては、該下地板の厚み方向の途中に、各木端面の全長にわたって延在する凹条が設けられており、該下地板の他の第3及び第4の木端面にあっては、下地板の裏面側の角縁に、各木端面の全長にわたって延在する切欠状の段部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のタイルパネル施工構造は、複数枚の請求項3のタイルパネルを、タイルパネル同士の間に目地材を介在させて、且つ、タイルパネルの第1又は第2の木端面が隣接するタイルパネルの第3又は第4の木端面に対峙するように付き合わせて配置したタイルパネル施工構造において、該目地材は、一方の該タイルパネルの前記凹条に嵌合した凸条と、他方の該タイルパネルの前記段部に係合した張出部とを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のタイルパネル施工構造は、請求項2又は4において、前記目地材は弾力性を有した合成樹脂又はゴム製であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,3のタイルパネルは、いずれも突形の実部がなく、実部が損壊することがない。
【0014】
請求項1のタイルパネルにあっては、下地板の全周にわたって木端面に凹条が設けられている。このタイルパネルは、請求項2の通り、隣接するタイルパネルの該凹条に嵌合する凸条を有した目地材を介在させて突き付け施工される。施工後に目地材を充填することは不要である。
【0015】
請求項3のタイルパネルは、請求項4の通り、凸条を一方のタイルパネルの木端面の凹条に嵌合させ、張出部を他方のタイルパネルの木端面の段部に係合させて突き付け施工される。この場合も、施工後に目地材を充填することは不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るタイルパネルの端部の厚み方向の断面図であり、(a)図はタイルパネル同士の連結前の状態を示し、(b)図はタイルパネル同士の連結状態を示している。第2図は実施の形態に係るタイルパネルの厚み方向の断面図である。
【0017】
この実施の形態に係るタイルパネル10は、下地板11に複数のタイル12を接着剤13を介して張り付けたものである。タイル12同士は均一な目地間隔を介して整列配置されており、目地には目地材14が充填されている。目地材14は通常目地材でも、介在させる弾性目地材のどちらでも良い。
【0018】
下地板11は方形(正方形又は長方形)であり、下地板11の全周にわたって、木端面に凹条11aが設けられている。凹条11aは、下地板11の厚み方向の中間位置に設けられている。凹条11aは、木端面から垂直に凹陥する方形断面形状のものである。
【0019】
下地板11としては、セメント系ボード、木質板、樹脂系ボードなど各種材料よりなるものを用いることができる。下地板11の木端面とタイル12の木端面とは面一状となっている。このタイルパネル10は、木端面から突出する実部がなく、運搬中や施工時における実部の損壊がない。
【0020】
このタイルパネル10同士の間に介在される目地材20は、板状部21と、該板状部21の両板面から突出する凸条22とを有した十字形断面形状のものである。凸条22の厚みは、凹条11aの開口幅と同一かごくわずか小さいものとなっている。凸条22は、目地材20の長手方向の全長にわたって設けられている。この目地材20は、EPDMなど、弾力性を有したゴム、合成樹脂などよりなる。
【0021】
このように構成されたタイルパネル10は、第1図(b)の通り、タイルパネル10同士の間に目地材20を介在させ、該目地材20の凸条22を凹条11aに嵌合させつつ、突き付けられて床や壁に施工される。目地材20の板状部21はタイルパネル10の木端面同士の間に挟まれている。目地材20の板状部21は、タイル12の前面よりも目地内に後退しているが、タイル12,12間に挟まれている。このようにして、タイルパネル10間に目地材20を介在させてなる、タイル仕上げされた床又は壁が構築される。
【0022】
目地材20の板状部21の両側に凸条22,22が設けられ、各凸部22,22が各タイルパネル10,10の凹条11a,11aに嵌合しているので、施工後にタイルパネル10,10の間隔が若干開いたとしても、壁の前方又は床の上方からタイルパネルの裏側が透けて見えることはない。また、板状部21の両側の凸条22をそれぞれ凹条11aに係合させているため、タイルパネル10,10の不陸も防止ないし抑制される。また、凸条22と凹条11aとを嵌合させたことにより、床に施工した場合でもきしみが防止される。
【0023】
第3,4図を参照して別の実施の形態について説明する。第3図はこの実施の形態に係るタイルパネルの端部の厚み方向の断面図であり、(a)図はタイルパネル同士の連結前の状態を示し、(b)図はタイルパネル同士の連結状態を示している。第4図はこの実施の形態に係るタイルパネルの厚み方向の断面図である。
【0024】
上記実施の形態では、タイルパネル10の全周に凹条11aを設けるものとしているが、第3,4図のタイルパネル10Aでは、隣接する2辺(第3及び第4の辺)の木端面のうち下地板11の裏面側の角縁に切欠状の凹段部11bを設けている。段部11bは第3,第4の辺の全長にわたって延在している。
【0025】
下地板11の残りの第1,第2の辺の木端面にあっては前記タイルパネル10と同様の凹条11aを設けておく。凹条11aは第1,第2の辺の全長にわたって延在している。
【0026】
このタイルパネル10Aの施工に際しては、タイルパネル10Aの間に目地材30を介在させる。この目地材30は、板状部31と、板状部31の一方の板面から突出する凸条32と、他方の板面のタイルパネル裏面側の端辺から凸条32と反対方向に突出する張出部33とを有する。凸条32及び張出部33は目地材30の長手方向の全長にわたって延在している。
【0027】
この第3,4図のタイルパネル10Aのその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。このタイルパネル10Aも、第3図(b)のように、第3図の左側のタイルパネル10Aの第1又は第2の辺の木端面と、右側のタイルパネル10Aの第3又は第4の辺の木端面とが、目地材30を介在させて突き合わされる。この際、凸条32が凹条11aに嵌合し、張出部33が段部11bに係合する。この実施の形態でも上記実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0028】
なお、上記のタイルパネル10、10Aの施工を行うに際しては、タイルパネル10又は10Aを壁又は床に施工してから目地材20又は30を装着してもよく、予め目地材20又は30をタイルパネル10又は10Aに装着しておいてからタイルパネル10又は10Aを壁又は床に施工してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係るタイルパネルの端部の断面図である。
【図2】図1のタイルパネルの全体断面図である。
【図3】別の実施の形態に係るタイルパネルの端部の断面図である。
【図4】図3のタイルパネルの全体断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10,10A タイルパネル
11 下地板
12 タイル
13 接着剤
20,30 目地材
21,31 板状部
22,32 凸条
33 張出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の下地板の前面に1枚又は複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルにおいて、
該下地板の4個の木端面にあっては、該下地板の厚み方向の途中に、該タイルパネルを周回する凹条が設けられていることを特徴とするタイルパネル。
【請求項2】
複数枚の請求項1のタイルパネルを、タイルパネル同士の間に目地材を介在させて突き合わせて配置したタイルパネル施工構造において、
該目地材は、隣接する各タイルパネルの前記凹条に嵌合した凸条を有することを特徴とするタイルパネル施工構造。
【請求項3】
方形の下地板の前面に1枚又は複数枚のタイルが目地間隔をあけて整列状態にて付着されてなるタイルパネルにおいて、
該下地板の隣接する第1及び第2の木端面にあっては、該下地板の厚み方向の途中に、各木端面の全長にわたって延在する凹条が設けられており、
該下地板の他の第3及び第4の木端面にあっては、下地板の裏面側の角縁に、各木端面の全長にわたって延在する切欠状の段部が設けられていることを特徴とするタイルパネル。
【請求項4】
複数枚の請求項3のタイルパネルを、タイルパネル同士の間に目地材を介在させて、且つ、タイルパネルの第1又は第2の木端面が隣接するタイルパネルの第3又は第4の木端面に対峙するように付き合わせて配置したタイルパネル施工構造において、
該目地材は、一方の該タイルパネルの前記凹条に嵌合した凸条と、他方の該タイルパネルの前記段部に係合した張出部とを有することを特徴とするタイルパネル施工構造。
【請求項5】
請求項2又は4において、前記目地材は弾力性を有した合成樹脂又はゴム製であることを特徴とするタイルパネル施工構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−35934(P2009−35934A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200983(P2007−200983)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】