説明

タイルユニット

【課題】各種施工性に難点があった。
【解決手段】複数枚のタイル2、2a…が目地間隙3、3a…を有して整列配置されると共に
、該目地間隙3、3a…にスペーサー5、5a…を配置し、複数枚のタイル2、2a…にわたっ
て、タイル2、2a…の表面に透明または半透明の粘着テープ4、4aを剥離自在に接着する
と共に、該粘着テープ4、4aにスペーサー5、5a…を接着することによって、形態を視認
可能に粘着テープ4、4aで一体化されたタイルユニット1を躯体の接着剤に貼着し、硬化
後に粘着テープ4、4aを剥離するだけで施工が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のタイルを整列配置させてユニット化したタイルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のタイルをユニット化する方式としては、タイルの表面または裏面に紙や
ネット等のシートを張り付けて連結一体化したものがあり、例えば、複数枚のタイルの表
面に紙を張ったものや、裏面にネットを張ったものが使用されていた。
【0003】
紙張りユニットでは、複数枚のタイルの表面に糊付けして紙を接着してユニット化し、
躯体の貼着面に接着剤を塗布した後、紙張りユニットを接着剤を介して躯体に貼着し、タ
イルの表面から紙を剥離する方式であった。
この紙張りユニットによる施工では、躯体への貼着段階では、紙が前面の全面に位置し
てタイルが見えず、紙を剥離するまで、タイルのズレ、欠けを発見出来なかったり、紙を
剥離した後工程として、洗浄によりタイルに残留した糊を除去せねばならなかったり、タ
イル表面の凹部内での糊残りの観点から粗面のタイルに対して利用できなかったという問
題点があった。
【0004】
ネット張りユニットでは、複数枚のタイルの裏面に接着剤等でネットを接着してユニッ
ト化し、躯体の貼着面に接着剤を塗布した後、ネット張りユニットを接着剤を介して躯体
に貼着する方式であった。
このネット張りユニットによる施工では、タイル、ネット等の材質の相性によっては接
着が十分で無く、タイルが剥離する可能性が問題となっていたり、施工後には目地間隙か
らネットが見え、美観を損なうという問題点があった。
【0005】
研究開発段階や出願段階で先行技術調査を行っておらず、記載すべき先行技術文献を知
りません。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、タイル形態の確認、洗浄後工程が必要、粗面タイルに利用
困難、接着性、美観等の点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記従来技術に基づく、各種施工性に難点があった課題に鑑み、複数枚のタ
イルが目地間隙を有して整列配置されると共に、該目地間隙にスペーサーを配置し、複数
枚のタイルにわたって、タイルの表面に透明または半透明の粘着テープを剥離自在に接着
すると共に、該粘着テープにスペーサーを接着することによって、形態を視認可能に粘着
テープで一体化されたタイルユニットを躯体の接着剤に貼着し、硬化後に粘着テープを剥
離するだけで施工が完了する様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、複数枚のタイルが目地間隙を有して整列配置されると共に、該目地
間隙にスペーサーを配置したので、スペーサーで目地間隙を確保した所望形態で複数枚の
タイルを配列することが出来、又タイルが所定間隔より近接しないことにより、目地間隙
において粘着テープ同志が付着することを防止できると共に、一定の目地幅を確保、維持
することが出来る。
又、複数枚の全てのタイルにわたって、タイルの表面に粘着テープを剥離自在に接着し
たので、所望形態に配列したタイルを連結一体化することが出来ると共に、粘着テープを
容易に剥離して施工を完了することが出来、粘着テープは透明または半透明としたので、
躯体への貼着直後でもタイルの不具合の発見、調整を行うことが出来、又粘着テープにス
ペーサーを接着したので、粘着テープの剥離時にスペーサーを同時に除去することが出来
る。
よって、一度に複数枚のタイルを施工することが可能であり、施工効率を良好とするこ
とが出来たり、粘着テープ剥離時の施工終了時には、従前のモルタル施工と変わらない性
能を持ち、スペーサーは除去されて残存せず美観を損なうことが無く、更に、粘着テープ
の粘着層は剥離される粘着テープに付着していることにより、洗浄後工程の必要が無く、
作業時間を短縮出来ると共に、粗面のタイルにも利用することが出来る。
【0009】
スペーサーは緩衝材と成したので、粘着テープと同時に除去されるスペーサーがタイル
に接触しても、タイルに対する悪影響を防止することが出来る。
【0010】
スペーサーをタイルより薄くしたので、躯体へのタイルユニットの貼着時に、スペーサ
ーが躯体側の接着剤に付着せず、スペーサーの残存を防止して、除去後工程を不要とする
ことが出来る。
【0011】
躯体とタイルの裏面を接着する接着剤とスペーサーは相互接着力が低い材質と成したの
で、万が一、スペーサーの一部が躯体側の接着剤に付着した場合でも、付着したスペーサ
ーを容易に除去することが出来る。
【0012】
粘着テープの端部をタイルの表面に非接着としたので、非接着部を利用して粘着テープ
をタイルから容易に剥離することが出来る。
【0013】
2条以上の長尺長方形の粘着テープを平行に接着したので、粘着テープはタイルユニッ
トに部分的に接着されて、粘着テープの周囲がテープ空白部となってタイル形態を直接確
認することが出来ると共に、平行の粘着テープでタイルの整列状態を維持することが出来
る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、2は本発明を平板タイルに適用した正面図および側面図であり、図3はコーナー
タイルに適用した斜視図である。
図1、2に示す様に、本発明に係るタイルユニット1は、複数枚(図示のものでは4枚
)のタイル2、2a…が千鳥状に整列配置され、隣接するタイル2、2a…同志の間に所定幅
の目地間隙3、3a…を形成する状態で、タイル2、2a…が整列配置されている。
配列された複数枚の全てのタイル2、2a…にわたって、裏面に粘着層、接着層等を有す
る適宜幅で長尺長方形の2条の粘着テープ4、4aを平行に剥離自在に接着しており、タイ
ル2、2a…の間の目地間隙3、3a…の位置では粘着テープ4、4aの裏面にスペーサー5、
5a…を接着している。
尚、長尺長方形の粘着テープ4、4aは2条平行のものを示したが、1条や3条以上のも
のでも良く、部分的接着で周囲にテープ空白部を形成したり、タイル2、2a…の整列状態
を維持する点から、2条以上のものが好ましい。
【0015】
複数枚のタイル2、2a…にわたって接着した粘着テープ4、4aは、両端(図示では上下
端)のタイル2、2a…では、タイル2、2a…の一部に粘着テープ4、4aの端部を接着する
と共に、中間のタイル2、2a…では、隣接するタイル2、2a…に延設する状態で接着方向
全長に粘着テープ4、4aを接着している。
【0016】
更に、端部(図示では上端)のタイル2、2a…に接着したテープ4、4aは、施工時に剥
離容易に接着することが好ましく、即ち、粘着テープ4、4aの端部(図示では上端部のみ
)をタイル2、2a…側に折り返して、粘着テープ4、4aの裏面の接着面同志を接着させて
表面の非接着面をタイル2、2a…の表面側に位置させ、粘着テープ4、4aの端部に非接着
部6、6aを形成している。
尚、粘着テープ4、4aはタイル2、2a…に対して剥離自在に接着したが、スペーサー5
、5a…は施工後に粘着テープ4、4aに付着した状態を維持する様に、粘着テープ4、4aと
スペーサー5、5a…は通常の接着状態としている。
【0017】
スペーサー5、5a…は樹脂発泡材で緩衝材と成すと共に、タイル2、2a…の厚さH1に
対してスペーサー5、5a…の厚さH2は約半分程度に薄くして、スペーサー5、5a…を粘
着テープ4、4aに接着した状態では、裏面側に空白部を形成している。
尚、スペーサー5、5a…の大きさはタイル2、2a…の間の目地間隙3、3a…と略同一幅
で粘着テープ4、4aの幅と略同一長さと成しているが、スペーサー5、5a…は目地間隙3
、3a…より細幅としても良く、又長さは略同一以外で長短どちらでも良い。
【0018】
又、スペーサー5、5a…や接着剤等の材質に関しては、躯体の表面とタイル2、2a…の
裏面を接着する接着剤は施工に充分な接着力を有すると共に、接着剤とスペーサー5、5a
…は相互接着力が低い材質と成している。
例えば、接着剤としては、無溶剤型で一液弾性型の接着剤で、空気中の湿気と反応して
硬化するタイプの変性させた特殊なシリコーン系樹脂接着剤が挙げられ、スペーサー5、
5a…としては、緩衝材ともなるポリエチレンフォーム(発泡品)が挙げられる。
【0019】
尚、上記実施形態では平板タイルに本発明を適用した例を示したが、図3に示す様に、
2面が直角のコーナータイルにも本発明を適用できる。
この例では、直角2面に長尺長方形の粘着テープ4、4a等を夫々設けており、その他の
構成は上記実施形態と同様である。
【0020】
次に本発明に係るタイルユニットの作用について説明する。
複数枚のタイル2、2a…が整列して粘着テープ4、4aで連結一体化されたタイルユニッ
ト1は、2条の粘着テープ4、4aの周囲のテープ空白部や透明または半透明の粘着テープ
4、4aを透視して、タイル2、2a…の整列状態(位置ズレ)や欠損(欠け)その他の形態
を確認しつつ、躯体表面に塗布した接着剤にタイルユニット1を押し付けてタイル2、2a
…の裏面を貼着する。
尚、躯体への貼着段階では、タイル2、2a…の裏面が粗面であったり、図示していない
凹溝等で強固に接着している。
【0021】
そして、躯体とタイル2、2a…を貼着する接着剤が硬化した後、タイル2、2a…の表面
に接着した粘着テープ4、4aの端部の非接着部6、6aを把持して、粘着テープ4、4aをタ
イル2、2a…から順次、剥離する。
タイル2、2a…の間の目地間隙3、3a…に位置するスペーサー5、5a…は粘着テープ4
、4aの裏面に接着していることにより、タイル2、2a…から剥離された粘着テープ4、4a
にスペーサー5、5a…が付着したまま目地間隙3、3a…から離脱する。
【0022】
スペーサー5、5a…は緩衝材であることにより、目地間隙3、3a…からの離脱時にタイ
ル2、2a…を損傷させたり、位置ズレを発生させる様な悪影響を及ぼさない。
又、スペーサー5、5a…はタイル2、2a…より薄くて粘着テープ4、4aに接着している
ことにより、躯体への貼着時に、スペーサー5、5a…は躯体に塗布した接着剤に付着せず
、目地間隙3、3a…にスペーサー5、5a…の一部が残存しない。
【0023】
尚、粘着テープ4、4a裏面の粘着層は、タイル2、2a…から剥離される粘着テープ4、
4aに付着していることにより、表面が粗面のタイル2、2a…であっても、粘着テープ4、
4aの剥離後にタイル2、2a…の表面に粘着層が残存せず、施工完了となる。
又、スペーサー5、5a…の一部が躯体側の接着剤に付着する等、目地間隙3、3a…に残
存した時は、接着剤に対して接着力が低い材質のスペーサー5、5a…を除去する。
【0024】
次に、タイルユニットの製作方法の一例について説明するが、これに限定されない。
例えば、複数枚のタイル2、2a…を目地間隙3、3a…を有して所望形態で治具(図示せ
ず)上に定置し、目地間隙3、3a…にスペーサー5、5a…を配置して、タイル2、2a…お
よびスペーサー5、5a…に粘着テープ4、4aを接着する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る平板タイルのユニットの正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】コーナータイルのユニットの斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 タイルユニット
2、2a… タイル
3、3a… 目地間隙
4、4a 粘着テープ
5、5a… スペーサー
6、6a 非接着部
H1 厚さ
H2 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のタイルが目地間隙を有して整列配置されると共に、該目地間隙にスペーサーを
配置し、
複数枚のタイルにわたって、タイルの表面に透明または半透明の粘着テープを剥離自在
に接着すると共に、該粘着テープにスペーサーを接着したことを特徴とするタイルユニッ
ト。
【請求項2】
スペーサーは緩衝材と成したことを特徴とする請求項1記載のタイルユニット。
【請求項3】
スペーサーをタイルより薄くしたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイルユニッ
ト。
【請求項4】
躯体とタイルの裏面を接着する接着剤とスペーサーは相互接着力が低い材質と成したこ
とを特徴とする請求項1、2又は3記載のタイルユニット。
【請求項5】
粘着テープの端部をタイルの表面に非接着としたことを特徴とする請求項1、2、3又
は4記載のタイルユニット。
【請求項6】
2条以上の長尺長方形の粘着テープを平行に接着したことを特徴とする請求項1、2、
3、4又は5記載のタイルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−169785(P2006−169785A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362320(P2004−362320)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(591090839)ニッタイ工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】