説明

タグリーダと連動する呼出システム

【課題】 患者の呼出ボタンと対応する看護師の持つ携帯端末を予め対応付けて記憶し、呼出ボタンが押下されると、押下された呼出ボタンに対応する携帯端末を呼び出す技術が知られているが、受け持ちの看護師は、あらかじめ登録をしなければならず、受け持ちの看護師が変わった場合には登録をしなおさなければならないという問題がある。
【解決手段】 IDリーダ機能を具備する呼出ボタンユニットにおいて、前記IDリーダが近傍に存在するIDタグを検知すると、検知したIDタグの情報と自ユニットのユニット情報を呼出制御装置に通知し、該呼出制御装置は、IDタグ情報記憶手段から、該呼出ボタンユニットが検知したIDタグのうち現在時刻にもっとも近い受信時刻のIDタグ情報を読出し、当該IDタグ情報を表示または当該IDタグに対応した端末に通知することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステム等の呼出システムに関し、特にIDリーダと連動した呼出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナースコールシステムは、呼出ボタンが押下されるとナースコールセンターが鳴動するまたは全ての無線端末に呼び出された事の通知を行う。そのため、通知を受けた看護師は、直接患者に対応するか、呼出ボタンを押下した患者を担当する看護師を呼び出さなければならず、不便であった。
【0003】
これを解決するために特許文献1の技術では、患者の予め呼出ボタンと対応する看護師の持つ携帯端末を対応付けて記憶し、呼出ボタンが押下されると、押下された呼出ボタンに対応する携帯端末を呼び出す機能が開示されている。
【特許文献1】特開2000−107240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、受け持ちの看護師に通知させるためには、あらかじめ登録をしなければならず、受け持ちの看護師が変わった場合には登録をしなおさなければならないという問題がある。
【0005】
また、特許文献1の技術では看護師が呼び出されたことに気づかなかった場合の対処が考慮されていない。
【0006】
上記課題から本発明の目的は、担当看護師が変わった場合にも登録をし直す必要がなく、また、担当看護師が呼び出されたことに気がつかなかった場合には、他の看護師を呼出すことによって、いずれかの看護師を確実に呼び出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、IDリーダ機能を具備する複数の呼出ボタンユニットと、前記呼出ボタンユニットを収容し、前記呼出ボタンユニットから呼出操作に係る信号を受信すると当該呼出ボタンユニットによって呼出された旨を表示または所定の端末に通知する呼出制御装置とからなる呼出システムであって、前記呼出ボタンユニットは、自呼出ボタンユニットが近傍に存在するIDタグを検知すると、検知したIDタグのIDタグ情報と自ユニットを識別するユニット情報を前記呼出制御装置に通知する通知手段と、を有し、前記呼出制御装置は、前記通知手段によってIDタグ情報とユニット情報を受信すると、受信した時刻および前記IDタグ情報およびユニット情報を対応付けて記憶するIDタグ情報記憶手段と、予め前記IDタグ情報および所定の端末の宛先情報を対応付けて記憶する対応端末情報記憶手段と、を有し、いずれかのボタンユニットから呼出操作に係る信号とユニット情報を受信すると、前記IDタグ情報記憶手段を参照して該当するボタンユニットが検知したIDタグのうち現在時刻にもっとも近い前記受信時刻のIDタグ情報を読出し、前記読出したIDタグ情報または当該ボタンユニットに係る情報を表示する、または前記対応端末情報記憶手段を参照して当該IDタグに対応した端末に通知することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記IDタグは、所定の無線端末に対応するIDタグであって、前記対応端末情報記憶手段は、さらに前記IDタグ情報と対応付けられた前記無線端末の電話番号を記憶し、いずれかのボタンユニットから呼出操作に係る信号と自ユニットのユニット情報を受信すると、前記対応端末情報記憶手段を参照して、当該IDタグ情報に対応する前記無線端末の電話番号で当該無線端末を呼出すことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、前記呼出した無線端末から一定時間以内に応答がなければ、前記IDタグ情報記憶手段を参照して当該ボタンユニットが検知したIDタグのうち次に現在時刻に近い前記受信時刻のIDタグ情報を読み出し、前記対応端末情報記憶手段を参照して当該IDタグ情報に対応する無線端末を呼出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項2に記載のナースコールシステムによれば、一番最近看護した看護師を呼び出すことができるため、状況を知っている看護師が患者に対応することができる。また、請求項3に記載のナースコールシステムによれば、最初に呼び出したナースコール先の無線子機が応答しなかった場合に他無線子機を現在時刻に近い順に呼び出すことによって、ナースコールを看護師の誰かに気づかせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本システムのシステム構成図
【図2】呼出制御装置のブロック図
【図3】IDタグ情報記憶テーブル
【図4】無線端末情報記憶テーブル
【図5】呼出ボタンユニットフローチャート
【図6】呼出制御装置フローチャート1
【図7】呼出制御装置フローチャート2
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1を用いて、先ず本発明のシステム構成について説明する。
本発明のナースコールシステムは、ナースセンター等に設置された呼出制御装置1と、交換機3及び無線基地局4を介して呼び出される、看護師が持つIDタグ6を有した無線端末5と、各病室、各病棟のベッド毎に設けられた、患者が呼び出し時に押下する呼出ボタン25の入力を検知するボタン入力部21と、IDタグ6を検知するボタンユニットIDタグリーダ22と、検知したIDタグ情報を制御装置インターフェース24へ送信するボタンユニットID通知部23と、呼出ボタン入力や検知IDタグ情報、自ユニット情報を制御装置1へ送信する制御装置インターフェース24を有した呼出ボタンユニット2から構成される。
【0013】
なお、交換機3と無線基地局4の間に電話網を介すことにより、携帯電話端末への呼び出しをすることもできる。また、1つの呼出ボタンユニット2に対して呼出ボタン25は1つである。
【0014】
図2を用いて、本発明の呼出制御装置のブロック構成について説明する。
主制御部101は、呼出ボタンインターフェース102、交換機インターフェース103、表示器制御部104、キー入力部106、制御装置ID通知部108、IDタグ情報管理部111、無線端末情報管理部113に接続し、本装置の処理全般を制御するとともに、接続する他のブロック部を制御する。
【0015】
呼出ボタンインターフェース102は、呼出ボタンユニット2から受信したIDタグ情報と呼出ボタンユニット情報、または呼出ボタン押下情報を主制御部101へ送信する。
交換機インターフェース103は、交換機3へ呼出す無線端末番号を送信し、また交換機3から受信した相手応答信号を主制御部101へ送信する。
【0016】
表示器制御部104は、無線端末呼出時に主制御部101から無線端末情報を受信し、表示器105に表示させる。
キー入力部106は、無線端末番号登録時にダイヤルボタン107押下を検知して、押下された番号を無線端末の電話番号として主制御部101へ送信する。
【0017】
制御装置ID通知部108は、IDタグ情報登録時に制御装置IDタグリーダ109が検知したIDタグ情報を主制御部101へ送信する。
IDタグ情報管理部111は、主制御部101から受信したIDタグ情報と呼出ボタンユニット情報、時刻制御部110から取得した時刻とを関連づけてIDタグ情報記憶部112に記憶させて、現在時刻に近い順に管理する。
無線端末情報管理部113は、主制御部101から受信したIDタグ情報と無線端末番号を関連づけて対応端末情報記憶手段としての無線端末情報記憶部114に記憶させて管理する。
【0018】
図3は、呼出制御装置1のIDタグ情報記憶部112に蓄積されている、呼出ボタンユニットごとに受信したIDタグを記憶させるIDタグ情報記憶テーブル300である。
301は呼出ボタンユニット番号、302は呼出ボタンユニット番号ごとの呼出順番、303は受信IDタグ情報、304はIDタグ情報受信時刻が格納されており、310の各行の内容はそれぞれ対応している。
IDタグ情報記憶テーブル300は、呼出制御装置1のIDタグ情報受信時に作成され、呼出制御装置1の無線端末呼出時に参照する。詳細については、後述する。
【0019】
図4は、呼出制御装置1の無線端末情報記憶部114に蓄積されている、IDタグ情報に対応した無線端末番号を記憶させる無線端末情報記憶テーブル400である。
401は無線端末番号、402はIDタグ情報が格納されており、410の各行の内容はそれぞれ対応している。
無線端末情報記憶テーブル400は無線端末番号登録時に作成され、呼出制御装置1の無線端末呼出時に参照する。詳細については、後述する。
【0020】
図5を用いて本発明の呼出ボタンユニット2の処理について説明する。
呼出ボタンユニット2は患者のベッド付近に設置されており、内蔵されているボタンユニットIDタグリーダ22は、常時IDタグ6の検知動作をしている。
【0021】
看護師が看護などで患者のベッド付近にいるときに、ボタンユニットIDタグリーダ22が看護師の持っている無線端末5に内蔵または貼り付けてあるIDタグ6を検知し(S503YES)、ボタンユニットID通知部23は検知したIDタグを呼出IDタグ情報として制御装置インターフェース24へ送信し、制御装置インターフェース24から呼出制御装置1に呼出IDタグ情報と自ユニット情報を通知する(S504)。
【0022】
また、患者がベッド付近に設置されている呼出ボタン25を押下すると、ボタン入力部21が呼出ボタン25の押下を検出し(S501YES)、制御装置インターフェース24から呼出制御装置1に呼出ボタン25押下と自ユニット情報を通知する(S502)。
【0023】
図6、図7を用いて本発明の呼出制御装置1の処理について説明する。
呼出制御装置1に内蔵されている制御装置IDタグリーダ109は、常時IDタグ6の検知動作をしている。
【0024】
看護師が持つ無線端末5に内蔵または貼り付けてあるIDタグ6と関連ずけて無線端末5の内線番号を登録するときには、登録する無線端末5を呼出制御装置1の制御装置IDタグリーダ109の近くにかざすと、IDタグ情報を検知して(S601YES)、制御装置ID通知部108は検知したIDタグ情報を主制御部101に通知し、主制御部101は、無線端末情報管理部113に指示して、該IDタグ情報を無線端末情報記憶テーブル400の402欄にセットする(S602)。
【0025】
このときダイヤルボタン107を押下にて無線端末5の内線番号を入力すると、キー入力部106は該内線番号を受信し(S603)、受信した該内線番号を主制御部101に通知する。主制御部101は、該内線番号を上記IDタグ情報に対応した無線端末の内線番号として無線端末情報記憶テーブル400の401欄にセットする(S604)。
【0026】
呼出制御装置1は、IDタグを検出した呼出ボタンユニット2より、検出したIDタグ情報と呼出ボタンユニット番号を受信すると(S605YES)、IDタグ情報記憶テーブル300上の呼出ボタンユニット番号301の中から受信した呼出ユニット番号に対応する受信IDタグ情報303欄を検索する(S606)。
【0027】
呼出ボタンユニット2より受信したIDタグ情報と同一のIDタグが格納されていれば(S607YES)当該レコードを削除して(S608)、受信したIDタグ情報を受信IDタグ情報303欄に、対応するIDタグ情報受信時刻304欄に当該IDタグ情報を受信した時刻を新しく登録し(S610)、呼出ボタンユニット番号301欄内の該呼出ボタンユニット番号に対応するすべての受信IDタグ情報のレコードをIDタグ情報受信時刻が現在時刻に近い順に並べ替える(S611)。
【0028】
呼出ボタンユニット2より受信したIDタグ情報と同一のIDタグ情報が、IDタグ情報記憶テーブル300上の当該呼出ユニット番号に対応する受信IDタグ情報欄303に格納されていない場合には(S607NO)、一番古いレコードを削除して(S609)、受信したIDタグ情報と関連のIDタグ情報受信時刻とを新しく登録し(S610)、該呼出ボタンユニット番号に対応するすべての受信IDタグ情報のレコードをのIDタグ情報受信時刻が現在時刻に近い順に並べ替える(S611)。
【0029】
呼出ボタン25の押下を検知した呼出ボタンユニット2は、呼出ボタン押下通知と自呼出ボタンユニット番号を呼出制御装置1へ通知する。該呼出ボタンユニット番号と該呼出ボタン押下通知を受信すると(S612YES)、呼出制御装置1は、IDタグ情報記憶テーブル300の呼出ボタンユニット番号301欄をサーチして、受信した該呼出ボタンユニット番号に対応するすべてのレコードのIDタグ情報受信時刻をサーチして、最新レコードの受信IDタグ情報303欄のIDタグ情報を参照し(S613)、無線端末情報記憶テーブル400のIDタグ情報402欄をサーチして、参照したIDタグ情報に対応する無線端末番号を無線端末番号401欄より取得し(S614)、該無線端末番号の無線端末を呼び出し(S615)、呼出時間タイマをスタートする(S616)。
【0030】
無線端末が応答せず(S617NO)呼出時間タイマがタイムアウトした場合(S618YES)は、再びIDタグ情報記憶テーブル300の当該ユニット番号に対応する全レコードへの呼び出しを行っていなければ(S619NO)、次に最新のレコードに対応する無線端末番号を取得し(S620)、当該無線端末番号の無線端末の呼び出しを行う。
【0031】
尚、本実施例では、ステップ614で無線端末情報記憶テーブル400の無線端末番号401を取得し、端末番号での呼び出しをしているが、例えば無線端末番号401はメールアドレスであって該メールアドレスにIDタグ情報記憶テーブル300の受信IDタグ情報303また呼出ボタンユニット2の呼出ボタンユニット番号301を通知するようにしてもよい。
【0032】
尚、本実施例では、ステップ615で無線端末の呼び出しを行う説明をしているが、呼出制御装置1の表示制御部104から表示部105にIDタグ情報記憶テーブル300の受信IDタグ情報303また呼出ボタンユニット2の呼出ボタンユニット番号301を表示してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ・・・呼出制御装置
2 ・・・呼出ボタンユニット
3 ・・・交換機
4 ・・・無線基地局
5 ・・・無線端末
6 ・・・IDタグ
21 ・・・ボタン入力部
22 ・・・ボタンユニットIDタグリーダ
23 ・・・ボタンユニットID通知部
24 ・・・制御装置インターフェース
25 ・・・呼出ボタン
101 ・・・主制御部
102 ・・・呼出ボタンインターフェース
103 ・・・交換機インターフェース
104 ・・・表示器制御部
105 ・・・表示器
106 ・・・キー入力部
107 ・・・ダイヤルボタン
108 ・・・制御装置ID通知部
109 ・・・制御装置IDタグリーダ
110 ・・・時刻制御部
111 ・・・IDタグ情報管理部
112 ・・・IDタグ情報記憶部
113 ・・・無線端末情報管理部
114 ・・・無線端末情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDリーダ機能を具備する複数の呼出ボタンユニットと、前記呼出ボタンユニットを収容し、前記呼出ボタンユニットから呼出操作に係る信号を受信すると当該呼出ボタンユニットによって呼出された旨を表示または所定の端末に通知する呼出制御装置とからなる呼出システムであって、
前記呼出ボタンユニットは、
自呼出ボタンユニットが近傍に存在するIDタグを検知すると、検知したIDタグのIDタグ情報と自ユニットを識別するユニット情報を前記呼出制御装置に通知する通知手段と、を有し、
前記呼出制御装置は、
前記通知手段によってIDタグ情報とユニット情報を受信すると、受信した時刻および前記IDタグ情報およびユニット情報を対応付けて記憶するIDタグ情報記憶手段と、
予め前記IDタグ情報および所定の端末の宛先情報を対応付けて記憶する対応端末情報記憶手段と、を有し、
いずれかのボタンユニットから呼出操作に係る信号とユニット情報を受信すると、前記IDタグ情報記憶手段を参照して該当するボタンユニットが検知したIDタグのうち現在時刻にもっとも近い前記受信時刻のIDタグ情報を読出し、前記読出したIDタグ情報または当該ボタンユニットに係る情報を表示する、または前記対応端末情報記憶手段を参照して当該IDタグに対応した端末に通知することを特徴とするタグリーダと連動する呼出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の呼出システムであって、
前記IDタグは、所定の無線端末に対応するIDタグであって、
前記対応端末情報記憶手段は、さらに前記IDタグ情報と対応付けられた前記無線端末の電話番号を記憶し、
いずれかのボタンユニットから呼出操作に係る信号と自ユニットのユニット情報を受信すると、前記対応端末情報記憶手段を参照して、当該IDタグ情報に対応する前記無線端末の電話番号で当該無線端末を呼出すことを特徴とするタグリーダと連動する呼出システム。
【請求項3】
請求項2に記載の呼出システムであって、
前記呼出した無線端末から一定時間以内に応答がなければ、前記IDタグ情報記憶手段を参照して当該ボタンユニットが検知したIDタグのうち次に現在時刻に近い前記受信時刻のIDタグ情報を読み出し、前記対応端末情報記憶手段を参照して当該IDタグ情報に対応する無線端末を呼出すことを特徴とするタグリーダと連動する呼出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−85082(P2012−85082A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229249(P2010−229249)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】