説明

タッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置

【課題】タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置を提供する。
【解決手段】対象物の接近又は接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、前記検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、検出開始時における前記検出出力の変化率が対象物判断値以下であるか否かで前記対象物を仮判断する対象物判断部と、前記検出出力が検知閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、を有し、前記操作判定部は、前記対象物判断部が仮判断の結果に応じて前記検知閾値を設定し、前記検出出力が前記検知閾値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、タッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置に関し、具体的には静電容量方式のタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極に接触した人体の持つ静電容量と、水滴の持つ静電容量と、の大きさの違いに応じて変化させた出力周波数に基づいて、人が操作したのか、あるいは水滴が付着したのかを判断するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、非接触式の静電容量センサで検出される全体の電荷量の違いにより発生した静電容量センサの出力変化に基づいて、人が操作したのか、あるいは水滴が付着したのかを判断するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ここで、静電容量方式のタッチスイッチ検出装置を給水装置などの水廻りの機器の操作スイッチとして使用する場合には、水がタッチ検出用の電極に直接かかることを想定する必要がある。しかしながら、特許文献1(特開2002−57564号公報)に記載された装置では、静電容量の大きさの違いのみによって、人が操作したのか、あるいは水滴が付着したのかを判断しているため、濡れた指で操作した場合には判断が困難である。また、特許文献2(特開2004−212344号公報)に記載された装置では、物体が接近する場合の静電容量センサの出力変化のみから、その物体が人体か否かを判断しているため、人体をゆっくり接近させた場合の操作と、水滴が付着した場合と、を判断することが困難である。
【特許文献1】特開2002−57564号公報
【特許文献2】特開2004−212344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、対象物の接近又は接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、前記検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、検出開始時における前記検出出力の変化率が対象物判断値以下であるか否かで前記対象物を仮判断する対象物判断部と、前記検出出力が検知閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、を有し、前記操作判定部は、前記対象物判断部が仮判断の結果に応じて前記検知閾値を設定し、前記検出出力が前記検知閾値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のタッチスイッチ検出装置と、給水流路を開閉する電磁弁と、前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする給水装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、タッチスイッチの検出が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができるタッチスイッチ検出装置及びそれを用いた給水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、対象物の接近又は接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、前記検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、前記操作判定部は、検出開始時における前記検出出力の変化率が対象物判断値以下であるか否かで前記対象物を仮判断する対象物判断部と、前記検出出力が検知閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、を有し、前記操作判定部は、前記対象物判断部が仮判断の結果に応じて前記検知閾値を設定し、前記検出出力が前記検知閾値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、対象物がタッチ検出電極に接近するときに、静電容量の違いや接近速度の違いにより検出出力の変化率が異なるので、その対象物が人の指であるか水滴であるかを判断でき、それぞれに応じた最適な検知閾値を設定できる。その結果、タッチスイッチ検出装置の操作が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記検出出力が前記検知閾値以上である場合に、前記操作判定部は前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、水滴に対し使用者は静電容量が大きく、検出出力が高くなるため、タッチスイッチ検出装置の操作が人の操作によるものか否かをより的確に判断することができる。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記操作判定部は、前記対象物判断部が前記対象物を水滴であると仮判断した場合は、前記対象物を前記使用者の接触であると仮判断した場合よりも大きい値を有する前記検知閾値を設定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
このタッチスイッチ検出装置によれば、濡れた指で操作しようとした場合に、水が先に付着してしまい、その後に人の指が触れたときに検出出力が高くなる現象を的確に捉えることができる。これは、広がった水滴の上に指が触れた状態になっているため、見かけ上の指の接触面積が大きくなるためであり、そのときの検出出力が高くなる。このタッチスイッチ検出装置は、この現象を的確に捉えることができる。したがって、濡れた指でタッチ検出電極を押した場合や水滴が付いたタッチ検出電極を乾いた指で押した場合と、タッチ検出電極に水滴が付いた場合と、をより正確に判定することができる。
【0011】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明のタッチスイッチ検出装置と、給水流路を開閉する電磁弁と、前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、水滴がかかっても誤動作することなく、より正確な操作判断をして吐水動作を行うことができる。
【0012】
また、第5の発明は、第4の発明において、前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記対象物判断値の値と、前記検知閾値の値と、の少なくともいずれかを変更することを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、吐水開始前の状態と、吐水中で水のかかりやすい状態と、のそれぞれに応じてタッチスイッチ検出装置の判断基準を変更でき、水の影響を考慮したより正確な操作判断を行うことができる。
【0013】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記操作判定部は、前記電磁弁が開状態の場合は、前記電磁弁が閉状態の場合よりも大きい値を有する前記対象物判断値および前記検知閾値を設定することを特徴とする給水装置である。
この給水装置によれば、電磁弁が開放状態の場合には、タッチ検出電極に水がかかりやすく、また止水するときに濡れた手で操作されることが多いため、そのタッチ検出電極の操作に関する水滴の影響を考慮してより正確な操作判断を行うことができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置のブロック図を表す。
本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、タッチ検出電極200と、検出部300と、操作判定部400と、を備えている。タッチ検出電極200は、後述するように、例えば給水装置などが有するパネルの直下などに設けられる。なお、使用者がこのパネルに触れることは、タッチ検出電極200に触れることと等価である。検出部300は、発振部310と、電圧変換部320と、を有している。また、操作判定部400は、接触判定部410と、対象物判断部430と、を有している。
【0015】
発振部310は高周波信号を出力し、その高周波信号に基づいて高周波電圧を形成してタッチ検出電極200に印加する。使用者がタッチ検出電極200に指で触れていない場合には、タッチ検出電極200に印加される高周波電圧の電圧振幅は変化せず、電圧変換部320へ出力される。これに対して、使用者がタッチ検出電極200に指で触れている場合には、タッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化する。その結果、タッチ検出電極200に印加される高周波電圧の電圧振幅は静電容量の変化に応じて変化し、電圧変換部320へ出力される。電圧変換部320は、発振部310の出力を電圧値の検知信号として操作判定部400へ出力する。
【0016】
接触判定部410は、電圧変換部320から出力された検知信号(検出出力)を受信すると、後に詳述する動作に基づいて、人の操作が有ったか否かの判定を行う。一方、対象物判断部430は、電圧変換部320から出力された検出出力の検出開始時における出力変化率に応じて、タッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断する。
【0017】
図2は、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置のブロック図を表す。
また、図3は、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置の模式図を表す。
本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置100は、例えば給水装置などに用いられる。図2および図3に表した給水装置500は、タッチスイッチ検出装置100と、制御部510と、電磁弁520と、吐水口530と、を備えている。
【0018】
図3に表した給水装置は、タッチスイッチ検出装置100a、100b、100cを有しており、例えばタッチスイッチ検出装置100aは「吐水スイッチ」、タッチスイッチ検出装置100bは「流量調整スイッチ」、タッチスイッチ検出装置100cは「止水スイッチ」としての機能を有することができる。
【0019】
制御部510は、タッチスイッチ検出装置100から出力された信号に基づいて、使用者の操作の有無を判断し、電磁弁520に吐止水動作を指示する。電磁弁520は、制御部510から出力された指示に基づいて弁の開閉動作を行う。これにより、給水装置500の吐水口530からの吐水が制御される。
【0020】
図4は、タッチ検出電極を乾いた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図4に表したグラフ図の縦軸は電圧値(100mV/div)を表し、横軸は時間(50ms/div)を表している。
【0021】
使用者がタッチ検出電極200に乾いた指で触れると、図1に関して前述したように、タッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化し、検出部300から出力される電圧値の検知信号は変化する。また、タッチ検出電極200に乾いた指で触れた場合、指先の変形に伴ってタッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に大きくなっていくため、図4に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値(検出出力)は徐々に上昇していく。ここで、電圧変換部320の変換方法は、使用者がタッチ検出電極200に指で触れると、電圧値が低下していくものであってもよい。
【0022】
使用者がタッチ検出電極200に指で触れている場合には、触れていない場合に対してタッチ検出電極200と大地との間の静電容量が変化(上昇)したままの状態となるため、図4に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値は上昇したままで略一定となる。電圧値が上昇し始めて略一定となるまでの時間t1は、例えば約20ミリ秒間程度である。
【0023】
その後、使用者がタッチ検出電極200から乾いた指を離すときも、指先の変形に伴ってタッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に小さくなっていくため、検出部300から出力される電圧値は徐々に低下していく。乾いた指がタッチ検出電極200から完全に離れると、検出部300から出力される電圧値は、図4に表したグラフ図のように、乾いた指で触れる前の電圧値まで低下し略一定となる。
【0024】
図5は、本実施形態のタッチ検出電極を濡れた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
図5に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図4に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。なお、図5に表したグラフ図は、指に付いた水滴がタッチ検出電極200に落ちることなく、指に付いたままの状態で、使用者がタッチ検出電極を押した場合の電圧値の波形を表している。
【0025】
使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れると、指に付いた水がタッチ検出電極200に対して素早く広がるため、乾いた指で触れた場合よりも大きい上昇率で電圧値は上昇する。電圧値が上昇し始めて略一定となるまでの時間t2は、例えば約10ミリ秒間程度である。さらに、指が水で濡れているため、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積は広がる。そのため、乾いた指で触れた場合よりも静電容量が大きく、その結果、使用者がタッチ検出電極200に濡れた指で触れている間の電圧値は、図5に表したように、乾いた指で触れている間の電圧値よりも大きい(図4参照)。
【0026】
その後、使用者がタッチ検出電極200から濡れた指を離した場合、指がタッチ検出電極200から離れようとしても、水の表面張力により、タッチ検出電極200と指とが水を介して接触した状態が継続する。ある程度指が離れたところで、水が指から離れ、結果としてタッチ検出電極200から指が一気に離れる。そのため、乾いた指でタッチ検出電極200を押した場合のようには、指とタッチ検出電極200との接触面積が徐々に小さくなっていくことがない。したがって、濡れた指がタッチ検出電極200から離れる場合は、乾いた指の場合よりも大きい変化率で電圧値は低下する。
【0027】
図6は、タッチ検出電極に水滴が付いたときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
なお、図6に表したグラフ図の縦軸および横軸は、図4に表したグラフ図と同様に、それぞれ電圧値(100mV/div)および時間(50ms/div)を表している。
【0028】
タッチ検出電極200に水滴が付くと、指で触れた場合と同様に、タッチ検出電極200と水滴との間の静電容量が変化し、検出部300から出力される電圧値の検知信号は変化する。タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、乾いた指または濡れた指で触れる場合と比較すると、タッチ検出電極200に対する水滴の接触面積は速く広がる。そのため、図6に表したグラフ図のように、検出部300から出力される電圧値の変化率(上昇率)は、乾いた指または濡れた指で触れた場合の上昇率よりも大きい。電圧値の上昇開始から上昇終了までの時間t3は、例えば約5ミリ秒間程度である。
【0029】
ここで、使用者がタッチ検出電極200を触れている場合は、人は大地とも接触しているため、タッチ検出電極200から使用者に送られた電荷は人体を通して大地へと抜けていく。そのため、使用者が指を離すまでの間に検出部300から出力される電圧値は、ある電圧値に維持される。これに対して、水滴が付いた場合には、タッチ検出電極200から水滴へ電荷が送られることにより、水滴の容量成分に充電が進み、最終的にタッチ電極200と水滴とが同電位になってしまう。そのため、水滴がタッチ検出電極200に付いたままの状態であっても、図6に表したように、電圧値は徐々に低下していく。そして、タッチ検出電極200から水滴に電荷が移る速度は、水滴の容量成分により時定数が決まるが、使用者がタッチ検出電極200から指を離す速度より遅い。そのため、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、乾いた指で触れた場合と略同じ電圧値まで上昇した後、その電圧値は徐々に低下していく。
【0030】
このように、使用者がタッチ検出電極200を指で押した場合であっても、指の濡れ具合の違いによっては、検出部300から出力される電圧値の検出開始時における上昇率は相違する。したがって、タッチ検出電極200を乾いた指で押した場合よりも大きい上昇率で電圧値が変化したとしても、タッチ検出電極200に接触した対象物が水滴であると断定することはできない。すなわち、検出部300から出力される電圧値の検出開始時における変化率(上昇率)に基づいて、タッチ検出電極200に接触した対象物を判断するだけで、使用者の操作の有無を断定することはできない。
【0031】
次に、本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置の判定動作の具体例について図面を参照しつつ説明する。
図7は、タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。なお、図7(a)は、タッチ検出電極に乾いた指で触れた状態を表す模式図であり、図7(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
【0032】
使用者がタッチ検出電極200を乾いた指で押すと、検出部300から出力された電圧値は徐々に上昇し(範囲A1)、電圧値は上昇したままで略一定となる(範囲B1)。ここで、操作判定部400は、後に詳述するように、検出部300から出力された電圧値の変化率(上昇率)を演算する。その変化率(ここでは約20ミリ秒間程度)に応じて、タッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断し、使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を設定する。
【0033】
図7(b)に表した電圧値の上昇率によれば、タッチ検出電極200に接触した対象物は指である可能性が高いため、その対象物を指であると仮判断する。これは、図4に関して前述したように、接触した対象物が指の場合には、指先の変形に伴ってタッチ検出電極200に対する接触面積が徐々に大きくなっていくためである。この仮判断結果に基づいて、操作判定部400は所定検知閾値を「V1」に設定する。
【0034】
ここで、図7(b)に表したように、検出部300から出力された電圧値が所定検知閾値V1以上となった場合には、操作判定部400は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。すなわち、本実施形態のタッチスイッチ検出装置100は、タッチ検出電極200に接触した対象物を判断するだけで使用者の操作の有無を判断するわけではなく、その対象物に応じて設定された所定検知閾値と、検出部300から出力された電圧値と、の大小関係を比較することで使用者の操作の有無を判断する。
【0035】
これに対して、検出部300から出力された電圧値が所定検知閾値V1以上とならなかった場合には、後述するように、操作判定部400は使用者の操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
【0036】
図8は、水滴が付いたタッチ検出電極を乾いた指で押す場合を例示する模式図である。なお、図8(a)は、水滴が付いたタッチ検出電極200を乾いた指で押す状態を表す模式図であり、図8(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
【0037】
使用者が水滴の付いたタッチ検出電極200を乾いた指で押すと、タッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積が直ぐに広がるため、水滴の付いていないタッチ検出電極200を乾いた指で押す場合よりも大きい上昇率で電圧値は上昇する(範囲A2)。また、使用者がタッチ検出電極200を押している状態では、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積は大きくなるため、より大きい電圧値のままで略一定となる(範囲B2)。
【0038】
ここで、操作判定部400は、図7に表した場合と同様に、検出部300から出力された電圧値の上昇率を演算する。その変化率(ここでは約5ミリ秒間程度)に応じて、タッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断し、使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を設定する。
【0039】
図8(b)に表した電圧値の上昇率によれば、その上昇率はタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合の上昇率よりも大きいため、タッチ検出電極200に接触した対象物は水滴である可能性が高く、その対象物を水滴であると仮判断する。この仮判断結果に基づいて、操作判定部400は所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定する。ここで、所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定した場合であっても、図8(b)に表したように、電圧値が所定検知閾値V2以上となった場合には、操作判定部400は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0040】
前述したように、水滴の付いたタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合には、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積は大きくなるため、図8(b)に表したような所定検知閾値V2と電圧値との大小関係が起こり得る。したがって、電圧値の検出開始時における上昇率に応じてタッチ検出電極200に接触した対象物が水滴であると仮判断された場合であっても、その後の電圧値と所定検知閾値との大小関係によっては、操作判定部400は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける場合がある。
【0041】
図9は、タッチ検出電極を濡れた指で押す場合を例示する模式図である。なお、図9(a)は、タッチ検出電極に濡れた指で触れる状態を表す模式図であり、図9(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
また本具体例においては、指に付いていた水滴がタッチ検出電極に落ちない場合を例に挙げて説明する。
【0042】
水滴が指に付いたままの状態でタッチ検出電極200を押すと、指に付いた水がタッチ検出電極200に対して素早く広がるため、乾いた指で触れた場合よりも大きい上昇率で電圧値は上昇する(範囲A3)。また、使用者がタッチ検出電極200を押している状態では、図8に表した具体例と同様に、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積は大きくなるため、より大きい電圧値のままで略一定となる(範囲B3)。
【0043】
ここで、操作判定部400は、検出部300から出力された電圧値の上昇率を演算する。その変化率(ここでは約10ミリ秒間程度)に応じて、タッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断し、使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を設定する。
【0044】
図9(b)に表した電圧値の上昇率によれば、その上昇率はタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合の上昇率よりも大きいため、その対象物を水滴であると仮判断する。この仮判断結果に基づいて、操作判定部400は所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定する。ここで、所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定した場合であっても、図9(b)に表したように、電圧値が所定検知閾値V2以上となった場合には、操作判定部400は使用者の操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0045】
水滴が指に付いたままの状態でタッチ検出電極200を押した場合であっても、図8に表した具体例と同様に、濡れている分だけタッチ検出電極200に対する見かけ上の接触面積は大きくなるため、図9(b)に表したような所定検知閾値V2と電圧値との大小関係が起こり得る。なお、指に付いていた水滴がタッチ検出電極200に落ちた後に、そのタッチ検出電極200を指で押した場合には、図8に表した具体例と同様に考えることができる。
【0046】
図10は、タッチ検出電極に水滴が付いた場合を例示する模式図である。なお、図10(a)は、タッチ検出電極に水滴が付いた状態を表す模式図であり、図10(b)は、検出部から出力された電圧値を表す模式図である。
【0047】
水滴がタッチ検出電極200に付くと、図6に関して前述したように、検出部300から出力された電圧値は大きい上昇率で上昇する(範囲A4)。その後、上昇した電圧値は、図6に関して前述したように、水滴がタッチ検出電極200が付いたままの状態であっても徐々に低下していく(範囲B4)。
【0048】
ここで、操作判定部400は、検出部300から出力された電圧値の上昇率を演算する。その変化率(ここでは約5ミリ秒間程度)に応じて、タッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断し、使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を設定する。
【0049】
図10(b)に表した電圧値の上昇率によれば、その上昇率はタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合の上昇率よりも大きいため、タッチ検出電極200に接触した対象物は水滴である可能性が高く、その対象物を水滴であると仮判断する。この仮判断結果に基づいて、操作判定部400は所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定する。ここで、水滴がタッチ検出電極200に付いたままの状態であれば、所定検知閾値を「V1」よりも大きい「V2」に設定したことによって、電圧値が所定検知閾値V2以上となることはない。これは、水滴の有する容量成分の大きさが人体の有する容量成分よりも小さいため、電圧値が所定検知閾値V2以上となることはないためである。
【0050】
したがって、電圧値の検出開始時における上昇率に応じてタッチ検出電極200に接触した対象物が水滴であると仮判断された場合に、その後の電圧値が所定検知閾値V2以上とならなかった場合には、操作判定部400は使用者の操作が無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
【0051】
図11は、本実施形態の操作判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
操作判定部400は、まず対象物判断部430の動作により、タッチ検出電極200に接触した対象物を判断する(ステップS102)。この対象物判断部430の動作については、図12に関して後述する。
【0052】
対象物判断部430が、タッチ検出電極200に接触した対象物を「対象物1」であると判断した場合には(ステップS104:YES)、操作判定部400は使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を「V1」に設定する(ステップS110)。これと同様にして、操作判定部400は、「対象物2」の場合には(ステップS106:YES)所定検知閾値に「V2」を設定し(ステップS112)、「対象物(N−1)」の場合には(ステップS108:YES)所定検知閾値に「Vn−1」を設定し(ステップS114)、前記以外の場合には(ステップS108:NO)所定検知閾値に「V」を設定する(ステップS116)。
【0053】
続いて、接触判定部410の動作により、使用者の操作が有ったか否かを判定する(ステップS118)。この接触判定部410の動作については、図13に関して後述する。接触判定部410により使用者の操作が有ったと判定された場合には、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する(ステップS120)。一方、接触判定部410により使用者の操作が無かったと判定された場合にも、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する(ステップS120)。
【0054】
図12は、本実施形態の対象物判断部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
対象物判断部430は、まず検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS202)。続いて、読み込んだ電圧値に基づいて電圧値の変化率(上昇率)を演算する(ステップS204)。変化率が「0」であれば(ステップS206:NO)、再度検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS202)。一方、変化率が「0」でなければ(ステップS206:YES)、対象物判断部430は、ステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値A1の絶対値以下であるか否かを判定する(ステップS208)。
【0055】
なお、ステップS208においては、検出出力(電圧値)の変化率と、対象物判断値A1と、のそれぞれの絶対値の大小関係を比較しているが、図7〜図10に表した具体例のように、対象物がタッチ検出電極200に触れたときの電圧値の変化率が正(プラス)であれば、絶対値を考慮しなくともよい。これに対して、検出部300の検出回路の構成によっては、対象物がタッチ検出電極200に触れたときの電圧値の変化率が負(マイナス)になる場合もある。このように、対象物がタッチ検出電極200に触れたときの電圧値の変化率は正の場合と負の場合とがあるため、以下絶対値を考慮に入れて、具体例の動作について説明する。また、検出出力(電圧値)の変化率が大きいとは、変化の傾斜が急であることを意味する。一方、検出出力(電圧値)の変化率が小さいとは、変化の傾斜が緩やかであることを意味する。
【0056】
ステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値A1の絶対値以下であれば、対象物判断部430はタッチ検出電極200に接触した対象物を「対象物1」であると仮判断する(ステップS214)。「対象物1」は、例えば乾いた指などが挙げられる。一方、ステップS204で演算した変化率の絶対値が、所定の対象物判断値A1の絶対値以下でなければ(ステップS208:NO)、対象物判断部430はステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値A2の絶対値以下であるか否かを判定する(ステップS210)。
【0057】
ステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値A2の絶対値以下であれば、対象物判断部430はタッチ検出電極200に接触した対象物を「対象物2」であると仮判断する(ステップS216)。「対象物2」は、例えば水滴や濡れた指などが挙げられる。一方、ステップS204で演算した変化率の絶対値が、所定の対象物判断値A2の絶対値以下でなければ(ステップS210:NO)、対象物判断部430はステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値An−1の絶対値以下であるか否かを判定する(ステップS212)。
【0058】
ステップS204で演算した変化率の絶対値が所定の対象物判断値An−1の絶対値以下であれば、対象物判断部430はタッチ検出電極200に接触した対象物を「対象物(N−1)」であると仮判断する(ステップS218)。一方、ステップS204で演算した変化率の絶対値が、所定の対象物判断値An−1の絶対値以下でなければ(ステップS212:NO)、対象物判断部430はタッチ検出電極200に接触した対象物を「対象物N」であると仮判断する(ステップS220)。
【0059】
このような動作を行うことによって、対象物判断部430はタッチ検出電極200に接触した対象物を仮判断する。そして、図11に関して前述したように、操作判定部400は、対象物判断部430が仮判断した対象物に応じて、使用者の操作の有無の判定基準である所定検知閾値を設定する。なお、対象物判断値および所定検知閾値については、それぞれ次式の関係が成り立つ。

|A1|<|A2|<・・・<|An−1|<|A| 式(1)

|V1|<|V2|<・・・<|Vn−1|<|V| 式(2)
【0060】
図13は、本実施形態の接触判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
接触判定部410は、まず検出部300から出力された検出出力(電圧値)を読み込む(ステップS302)。続いて、読み込んだ電圧値の絶対値が所定検知閾値の絶対値以上であるか否かを判定する(ステップS304)。ここで、所定検知閾値とは、図11に表したステップS110、ステップS112、ステップS114、あるいはステップS116によって設定された所定検知閾値である。
【0061】
電圧値の絶対値が所定検知閾値の絶対値以上である場合には(ステップS304:YES)、接触判定部410は使用者の操作が有ったと判定する。一方、電圧値の絶対値が所定検知閾値の絶対値以上でない場合には(ステップS304:NO)、接触判定部410は使用者の操作は無かったと判定する。
【0062】
このような動作を行うことによって、接触判定部410は使用者の操作が有ったか否かを判定する。そして、図11に関して前述したように、接触判定部410により使用者の操作が有ったと判定された場合には、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する。一方、接触判定部410により使用者の操作が無かったと判定された場合にも、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する。
【0063】
次に、図11〜図13に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本具体例の操作判定部の動作をさらに説明する。
図14は、本具体例の操作判定部の動作の具体例を説明するためのタイムチャートである。なお、図14(a)は、タッチ検出電極を乾いた指で押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図14(b)は、タッチ検出電極を濡れた指で押した場合の電圧値を例示する模式図であり、図14(c)は、タッチ検出電極に水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
【0064】
タッチ検出電極200に対象物が接触し、図14(a)に表したように、電圧値の変化率(上昇率)の絶対値が所定の対象物判断値A1の絶対値以下である場合には、対象物判断部430は対象物が使用者の指であると仮判断する。これは、図4に関して前述したように、タッチ検出電極200に指で触れた場合には、指先の変形に伴ってタッチ検出電極200に対する指の接触面積が徐々に大きくなっていくため、検出部300から出力される電圧値は水滴などの場合よりもゆっくりと上昇していくためである。
【0065】
ここで、操作判定部400は、対象物判断部430が仮判断した対象物(使用者の指)に基づいて、所定検知閾値を「V1」に設定する。続いて、図14(a)に表したように、電圧値の絶対値が所定検知閾値V1の絶対値以上となった場合には、操作判定部400は使用者による操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0066】
これに対して、タッチ検出電極200に対象物が接触し、図14(b)に表したように、電圧値の変化率(上昇率)の絶対値が所定の対象物判断値A2の絶対値以下であり、且つ対象物判断値A1の絶対値よりも大きい場合には、対象物判断部430は対象物が水滴であると仮判断する。これは、図6に関して前述したように、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、タッチ検出電極200に対する水滴の接触面積は速く広がるため、検出部300から出力される電圧値は乾いた指で触れた場合よりも急激に上昇していくためである。
【0067】
ここで、操作判定部400は、対象物判断部430が仮判断した対象物(水滴)に基づいて、所定検知閾値を「V2」に設定する。続いて、図14(b)に表したように、「V1」の絶対値よりも大きい絶対値である「V2」に所定検知閾値を設定した場合であっても、電圧値の絶対値が所定検知閾値V2の絶対値以上となった場合には、操作判定部400は使用者による操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付ける。
【0068】
また、これに対して、タッチ検出電極200に対象物が接触し、図14(c)に表したように、電圧値の変化率(上昇率)の絶対値が所定の対象物判断値A2の絶対値以下であり、且つ対象物判断値A1の絶対値よりも大きい場合には、図14(b)に表したタイムチャート図と同様に、対象物判断部430は対象物が水滴であると仮判断する。
【0069】
ここで、操作判定部400は、対象物判断部430が仮判断した対象物(水滴)に基づいて、所定検知閾値を「V2」に設定する。続いて、図14(c)に表したように、電圧値の絶対値が所定検知閾値V2の絶対値以上とならなかった場合には、操作判定部400は使用者による操作は無かったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けない。
【0070】
このように、本具体例の操作判定部400は、使用者がタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合と、濡れた指で押した場合と、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合と、をより正確に判定することができる。そのため、タッチスイッチ検出装置100の操作が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができる。
【0071】
図15は、本実施形態の操作判定部の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。なお、図15に表した操作判定部の動作は、例えば図2に表した給水装置のように、電磁弁520などの開閉弁を有する装置にタッチスイッチ検出装置100が用いられた場合を例示している。
【0072】
電磁弁520が開放している場合には、タッチスイッチ検出装置100が用いられた給水装置が使用者によって使用され、使用者の手が濡れている可能性が高い。また、電磁弁520が開放している場合には、その装置が使用者によって使用され、洗浄物などに対する反射により、タッチ検出電極200に水滴が付く可能性が高い。そこで、本具体例の操作判定部400は、電磁弁520が開放している場合には、使用者がタッチ検出電極200を濡れた指で押す可能性が高いと推定し、電磁弁が開放しているときと、閉止しているときと、で対象物判断値および所定検知閾値を変更することができる。
【0073】
操作判定部400は、まず電磁弁520が閉止しているか否かを判定する(ステップS402)。電磁弁が閉止している場合には(ステップS402:YES)、所定の対象物判断値をA1、A2、An−1、およびAに設定し(ステップS404)、電磁弁が開放している場合には(ステップS402:NO)、所定の対象物判断値をB1、B2、Bn−1、およびBに設定する(ステップS406)。なお、対象物判断値Aについては式(1)の関係が成り立ち、対象物判断値B、および対象物判断値Aと対象物判断値Bとの間については、それぞれ次式の関係式が成り立つ。

|B1|<|B2|<・・・<|Bn−1|<|B| 式(3)

|A1|<|B1| 式(4)

|A2|<|B2| 式(5)

|An−1|<|Bn−1| 式(6)

|A|<|B| 式(7)

これは、乾いた指よりも濡れた指でタッチ検出電極200を押した場合の方が、電圧値の上昇率の絶対値が大きいためである。
【0074】
続いて、対象物判断部430は図12に表した動作を行うことによって、タッチ検出電極200に接触した対象物を判断する(ステップS408)。続いて、操作判定部400は、再度電磁弁520が閉止しているか否かを判定する(ステップS410)。電磁弁520が閉止している場合には(ステップS410:YES)、対象物判断部430が判断した対象物に応じて(ステップS412、ステップS414、ステップS416)、所定検知閾値をVa1、Va2、Van−1、あるいはVaに設定する(ステップS418、ステップS420、ステップS422、ステップS424)。一方、電磁弁520が開放している場合には(ステップS410:NO)、対象物判断部430が判断した対象物に応じて(ステップS426、ステップS428、ステップS430)、所定検知閾値をVb1、Vb2、Vbn−1、あるいはVbに設定する(ステップS432、ステップS434、ステップS436、ステップS438)。なお、所定検知閾値Va、所定検知閾値Vb、および所定検知閾値VaとVbとの間については、それぞれ次式の関係式が成り立つ。

|Va1|<|Va2|<・・・<|Van−1|<|Va| 式(8)

|Vb1|<|Vb2|<・・・<|Vbn−1|<|Vb| 式(9)

|Va1|<|Vb1| 式(10)

|Va2|<|Vb2| 式(11)

|Van−1|<|Vbn−1| 式(12)

|Va|<|Vb| 式(13)
【0075】
続いて、接触判定部410の動作により、使用者の操作が有ったか否かを判定する(ステップS440)。接触判定部410により使用者の操作が有ったと判定された場合には、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する。一方、接触判定部410により使用者の操作が無かったと判定された場合にも、操作判定部400はこの判定を認識して動作を終了する。
【0076】
次に、図15に表したフローチャート図の動作に対応したタイムチャートを参照しつつ、本具体例の操作判定部の動作をさらに説明する。
図16は、タッチ検出電極を指で押して電磁弁を開放させた場合の電圧値を例示する模式図である。なお、図16(a)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、濡れた指で押して電磁弁を閉止させた場合の電圧値を例示する模式図であり、図16(b)は、タッチ検出電極を乾いた指で押して電磁弁を開放させた後に、タッチ検出電極に水滴が付いた場合の電圧値を例示する模式図である。
【0077】
使用者がタッチ検出電極200を乾いた指で押して電磁弁520を開放させる場合には、電磁弁520は閉止されているため、操作判定部400は所定の対象物判断値をA1、A2、An−1、およびAに設定する。続いて、電圧値の変化率(上昇率)の絶対値が所定の対象物判断値A1の絶対値以下であることに基づいて、対象物判断部430は、タッチ検出電極200に接触した対象物は使用者の指であると仮判断する。
【0078】
この仮判断結果に応じて、操作判定部400は所定検知閾値を「Va1」に設定する。図16(a)に表したタイムチャート図によれば、電圧値の絶対値が所定検知閾値Va1の絶対値以上となっているため、操作判定部400は使用者による操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けて電磁弁520を開放させる。
【0079】
ここで、電磁弁520が開放されたため、操作判定部400は所定の対象物判断値をB1、B2、Bn−1、およびBに設定する。さらに、指や水滴などが接触していない状態、すなわち電圧値の変化率の絶対値が所定の対象物判断値B1の絶対値以下であることに基づいて、所定検知閾値を「Vb1」に設定する。
【0080】
続いて、使用者が濡れた指でタッチ検出電極200を押すと、電圧値の変化率(上昇率)の絶対値が所定の対象物判断値B2の絶対値以下であり、且つ対象物判断値B1の絶対値よりも大きいことに基づいて、対象物判断部430は、タッチ検出電極200に接触した対象物は水滴であると仮判断する。
【0081】
この仮判断結果に応じて、操作判定部400は所定検知閾値を「Vb2」に設定する。図16(a)によれば、所定検知閾値を「Vb1」の絶対値よりも大きい絶対値である「Vb2」に設定したにもかかわらず、電圧値の絶対値は所定検知閾値Vb2の絶対値以上となっている。そのため、操作判定部400はタッチ検出電極200に水滴が付いたのではなく、使用者による操作が有ったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けて電磁弁520を閉止させる。
【0082】
これに対して、タッチ検出電極200を乾いた指で押して電磁弁520を開放させた後に、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合には、図16(a)に表したタイムチャート図と同様に、所定検知閾値を「Vb2」に設定するが、図16(b)に表したように、電圧値の絶対値が所定検知閾値Vb2の絶対値以上とはならない。そのため、操作判定部400は使用者による操作はなかったと判定し、タッチスイッチ検出装置100はこの操作を受け付けずに電磁弁520を閉止させない。
【0083】
このように、本具体例の操作判定部400は、電磁弁が開放されている場合と、閉止されている場合と、に応じて所定の対象物判断値および所定検知閾値をそれぞれ設定する。そのため、本具体例のタッチスイッチ検出装置100が用いられた装置は、この装置の使用状況に応じて判定基準を変更し、水の影響を考慮したより的確な操作判断を行うことができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、タッチ検出電極200に接触したと仮判断された対象物に応じて所定検知閾値を設定し、その所定検知閾値の絶対値と、検出部300から出力された電圧値の絶対値と、の大小関係を比較することで使用者の操作の有無を判断する。これにより、操作判定部400は、使用者がタッチ検出電極200を乾いた指で押した場合と、濡れた指で押した場合と、タッチ検出電極200に水滴が付いた場合と、をより正確に判定することができる。そのため、タッチスイッチ検出装置100の操作が人の操作によるものか、水滴の付着などによるものかを的確に判断することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、本発明の実施の形態の説明においては、静電容量の変化を反映した検出出力の電圧値は、指が触れると高くなり、指が離れると低くなる場合を例として挙げたが、これだけに限定されず、検出回路の構成によっては、指が触れると検出出力の電圧値が低くなり、指が離れると高くなるようにすることもできる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態にかかるタッチスイッチ検出装置のブロック図を表す。
【図2】本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置のブロック図を表す。
【図3】本実施形態にかかるタッチスイッチ検出装置を用いた給水装置の模式図を表す。
【図4】タッチ検出電極を乾いた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図5】本実施形態のタッチ検出電極を濡れた指で押したときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図6】タッチ検出電極に水滴が付いたときの検出部から出力された電圧値(実測値)を表すグラフ図である。
【図7】タッチ検出電極を乾いた指で押した場合を例示する模式図である。
【図8】水滴が付いたタッチ検出電極を乾いた指で押す場合を例示する模式図である。
【図9】タッチ検出電極を濡れた指で押す場合を例示する模式図である。
【図10】タッチ検出電極に水滴が付いた場合を例示する模式図である。
【図11】本実施形態の操作判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図12】本実施形態の対象物判断部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図13】本実施形態の接触判定部の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図14】本具体例の操作判定部の動作の具体例を説明するためのタイムチャートである。
【図15】本実施形態の操作判定部の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。
【図16】タッチ検出電極を指で押して電磁弁を開放させた場合の電圧値を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0087】
100、100a、100b、100c タッチスイッチ検出装置、 200 タッチ検出電極、 300 検出部、 310 発振部、 320 電圧変換部、 400 操作判定部、 410 接触判定部、 430 対象物判断部、 500 給水装置、 510 制御部、 520 電磁弁、 530 吐水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の接近又は接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、
前記静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、
前記検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、
検出開始時における前記検出出力の変化率が対象物判断値以下であるか否かで前記対象物を仮判断する対象物判断部と、
前記検出出力が検知閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、
を有し、
前記操作判定部は、前記対象物判断部が仮判断の結果に応じて前記検知閾値を設定し、前記検出出力が前記検知閾値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置。
【請求項2】
前記検出出力が前記検知閾値以上である場合に、前記操作判定部は前記使用者の操作が有ったと判定することを特徴とする請求項1記載のタッチスイッチ検出装置。
【請求項3】
前記操作判定部は、前記対象物判断部が前記対象物を水滴であると仮判断した場合は、前記対象物を前記使用者の接触であると仮判断した場合よりも大きい値を有する前記検知閾値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチスイッチ検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のタッチスイッチ検出装置と、
給水流路を開閉する電磁弁と、
前記給水流路を介して供給された水を吐出する吐水口と、
前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする給水装置。
【請求項5】
前記電磁弁の開閉状態に応じて、前記対象物判断値の値と、前記検知閾値の値と、の少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項4記載の給水装置。
【請求項6】
前記操作判定部は、前記電磁弁が開状態の場合は、前記電磁弁が閉状態の場合よりも大きい値を有する前記対象物判断値および前記検知閾値を設定することを特徴とする請求項5記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−229248(P2009−229248A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75110(P2008−75110)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】