タッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、およびプログラム
【課題】タッチセンサの精度を向上させる。
【解決手段】複数の表示画素電極、表示画素電極と対向して設けられた共通電極、画像表示機能を有する表示機能層、画像信号に基づいて、表示画素電極と共通電極との間に表示用電圧を印加して表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路、共通電極と対向して、または並んで設けられ、共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極を備え、表示制御回路により共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。本技術は、タッチセンサと表示装置が一体化されたタッチセンサ付き表示装置に適用できる。
【解決手段】複数の表示画素電極、表示画素電極と対向して設けられた共通電極、画像表示機能を有する表示機能層、画像信号に基づいて、表示画素電極と共通電極との間に表示用電圧を印加して表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路、共通電極と対向して、または並んで設けられ、共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極を備え、表示制御回路により共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。本技術は、タッチセンサと表示装置が一体化されたタッチセンサ付き表示装置に適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、タッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、およびプログラムに関する。詳しくは、タッチセンサの感度を向上させたタッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる接触検出装置(以下、タッチセンサと記述する)を液晶表示装置上に直接装着すると共に、液晶表示装置に各種のボタンを表示させることにより、通常のボタンの代わりとして情報入力を可能とするようにした表示装置が注目されている。この技術は、モバイル機器の画面の大型化傾向の中にあって、ディスプレイとボタンの配置の共用化を可能にすることから、省スペース化や部品点数の削減という大きなメリットをもたらす。
【0003】
しかしながら、この技術によれば、タッチパネルの装着によって液晶モジュールの全体の厚さが厚くなってしまう。特にモバイル機器用途においては、タッチパネルの傷防止のための保護層が必要となることから、液晶モジュールが厚くなり、薄型化が困難であった。
【0004】
そこで液晶表示素子に元々備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方(駆動電極)として兼用し、表示用駆動信号としての既存のコモン駆動信号を、タッチセンサ用駆動信号としても共用することで、薄型化することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-244958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、タッチセンサを搭載した機器が増え、タッチセンサに対するユーザニーズやユーザインタフェースも多様化してきている。例えば、複数の指で触れたことを検出するマルチタッチ検出、指の隣接検出(所謂プロキシミティ)、極細ペンでの検出などもできることが望まれている。このような検出を精度良く行うためには、タッチセンサの感度を向上させることが必要とされる。
【0007】
極細ペンを精度よく検出するためには、S/N(Sensor /Noise)を向上させることが必要とされ、近接検出、所謂プロキシミティを検出するためにはさらにS/Nを向上させる必要がある。特許文献1におけるタッチセンサの感度を上げる場合、表示用駆動信号とタッチセンサ用駆動信号で共用されているコモン駆動信号の振幅を大きくすることで実現できる。コモン駆動信号の振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、電界強度が大きく変化することになり、精度を向上させることが可能となる。
【0008】
一方、液晶ディスプレイに用いられるTFT(thin film transistor)には信頼性が得られる耐圧があり、その規格以上に電圧がかかるとTFTが破壊され半導体デバイスとして機能しなくなってしまう。コモン駆動信号の振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、TFTの信頼性が得られる耐圧以上になってしまうと、画素TFTが破壊されてしまい、画不良、信頼性不良が発生しまう可能性があるため、コモン駆動信号を高振幅化することは困難であった。このようなことから、タッチセンサの精度を向上させることも困難であった。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タッチセンサの精度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の一側面のタッチセンサ付き表示装置は、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備え、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。
【0011】
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされるようにすることができる。
【0012】
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされるようにすることができる。
【0013】
本技術の一側面の電位制御方法は、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。
【0014】
本技術の一側面のプログラムは、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にするための処理を実行させる。
【0015】
本技術の一側面のタッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、並びにプログラムにおいては、複数の表示画素電極、表示画素電極と対向して設けられた共通電極、画像表示機能を有する表示機能層、画像信号に基づいて、表示画素電極と共通電極との間に表示用電圧を印加して表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路、共通電極と対向して設けられ、共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極が備えられる。そして表示制御回路により共通電極に印加される表示用駆動電圧がタッチセンサ用駆動信号として利用され、タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にするための処理が実行される。
【発明の効果】
【0016】
本技術の一側面によれば、タッチセンサの精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本技術を適用したタッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、指非接触時の状態を示す図である。
【図2】タッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、指接触時の状態を示す図である。
【図3】タッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、タッチセンサの駆動信号および検出信号の波形の一例を示す図である。
【図4】タッチセンサ付き表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
【図5】タッチセンサ付き表示装置の要部(共通電極およびセンサ用検出電極)の一構成例を示す斜視図である。
【図6】画素の構成例を示す図である。
【図7】正極性と負極性との場合による電位の関係を示す図である。
【図8】正極性と負極性との場合による電位の関係を示す図である。
【図9】ゲート線の配置について説明するための図である。
【図10】ゲートバッファの構成例を示す図である。
【図11】ブランキング期間の電位の関係について説明するためのタイミングチャートである。
【図12】ブランキング期間の電位の関係について説明するためのタイミングチャートである。
【図13】記録媒体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本技術は、液晶表示素子に備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方(駆動電極)として兼用し、表示用駆動信号としての既存のコモン駆動信号を、タッチセンサ用駆動信号としても共用することで、薄型化した装置に適用できる。このような装置について、まず説明を加える。
【0020】
[タッチセンサ付き表示装置について]
図1乃至図3を参照して、本実施の形態のタッチセンサ付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を表すものである。このタッチ検出方式は、静電容量型タッチセンサとして具現化されるものであり、図1Aに示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1および検出電極E2)が用いられ、容量素子が構成される。
【0021】
この構造は、図1Bに示した等価回路として表される。駆動電極E1、検出電極E2および誘電体Dによって容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源Sに接続され、他端Pは抵抗Rを介して接地されると共に電圧検出器DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜十数kHz程度)の交流矩形波Sg(図3B)が印加されると、検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3Aに示したような出力波形(検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述するコモン駆動信号Vcomに相当するものである。
【0022】
指を接触していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3Aの波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0023】
一方、指を接触した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1,C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1,I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3Aの波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1,C2を流れる電流I1,I2の値によって定まる分圧電位となる。
【0024】
このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、後述するように、検出した電圧を所定の閾値電圧Vthと比較し、この閾値電圧以下であれば非接触状態と判断する一方、閾値電圧以上であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0025】
図4は、タッチセンサ付き表示装置の要部断面構造を表すものである。このタッチセンサ付き表示装置は、表示素子として液晶表示素子を用いると共に、この液晶表示素子に元々備えられている電極の一部(後述する共通電極43)および表示用駆動信号(後述するコモン駆動信号Vcom )を兼用して静電容量型タッチセンサを構成したものである。
【0026】
図4に示したように、このタッチセンサ付き表示装置は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板4と、画素基板2と対向基板4との間に挿設された液晶層6とを備えている。画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリクス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、各画素電極22を駆動するための図示しない表示ドライバやTFT(薄膜トランジスタ)のほか、各画素電極に画素信号を供給するソース線や、各TFTを駆動するゲート線等の配線が形成されている。
【0027】
対向基板4は、ガラス基板41と、このガラス基板41の一方の面に形成されたカラーフィルタ42と、このカラーフィルタ42の上に形成された共通電極43とを有する。カラーフィルタ42は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、表示画素(画素電極22)毎にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。共通電極43は、タッチ検出動作を行うタッチセンサの一部を構成するセンサ用駆動電極としても兼用されるものであり、図1における駆動電極E1に相当する。
【0028】
共通電極43は、コンタクト導電柱7によってTFT基板21と連結されている。このコンタクト導電柱7を介して、TFT基板21から共通電極43に交流矩形波形のコモン駆動信号Vcom が印加されるようになっている。このコモン駆動信号Vcom は、画素電極22に印加される画素電圧とともに各画素の表示電圧を画定するものであるが、タッチセンサの駆動信号としても兼用されるものであり、図1の駆動信号源Sから供給される交流矩形波Sgに相当する。
【0029】
ガラス基板41の他方の面には、センサ用検出電極44が形成され、さらに、このセンサ用検出電極44の上には、偏光板45が配設されている。センサ用検出電極44は、タッチセンサの一部を構成するもので、図1における検出電極E2に相当する。
【0030】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0031】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板4との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0032】
図5は、対向基板4における共通電極43およびセンサ用検出電極44の一構成例を斜視状態にて表したものである。この例では、共通電極43は、図の左右方向に延在する複数のストライプ状の電極パターンに分割されている。各電極パターンには、ドライバ43Dによってコモン駆動信号Vcom が順次供給され、時分割的に線順次走査駆動が行われるようになっている。
【0033】
一方、センサ用検出電極44は、共通電極43の電極パターンの延在方向と直交する方向に延びる複数のストライプ状の電極パターンから構成されている。センサ用検出電極44の各電極パターンからは、それぞれ、検出信号Vdet が出力され、検出回路(不図示)に入力されるようになっている。
【0034】
次に、以上のような構成のタッチセンサ付き表示装置の動作を説明する。画素基板2の表示ドライバ(図示せず)は、共通電極43の各電極パターンに対してコモン駆動信号Vcom を線順次で供給する。表示ドライバはまた、ソース線を介して画素電極22へ画素信号を供給すると共に、これに同期して、ゲート線を介して各画素電極のTFTのスイッチングを線順次で制御する。これにより、液晶層6には、画素毎に、コモン駆動信号Vcom と各画素信号とにより定まる縦方向(基板に垂直な方向)の電界が印加されて液晶状態の変調が行われる。このようにして、いわゆる反転駆動による表示が行われる。
【0035】
一方、対向基板4の側では、共通電極43の各電極パターンと、センサ用検出電極44の各電極パターンとの交差部分にそれぞれ容量素子C1が形成される。共通電極43の各電極パターンにコモン駆動信号Vcom を時分割的に順次印加していくと、その印加された共通電極43の電極パターンとセンサ用検出電極44の各電極パターンとの交差部分に形成されている一列分の容量素子C1の各々に対する充放電が行われる。その結果、容量素子C1の容量値に応じた大きさの検出信号Vdet が、センサ用検出電極44の各電極パターンからそれぞれ出力される。対向基板4の表面にユーザの指が触れられていない状態においては、この検出信号Vdet の大きさはほぼ一定となる。コモン駆動信号Vcom のスキャンに伴い、充放電の対象となる容量素子C1の列が線順次的に移動していく。
【0036】
ここで、対向基板4の表面のいずれかの場所にユーザの指が触れると、そのタッチ箇所に元々形成されている容量素子C1に、指による容量素子C2が付加される。その結果、そのタッチ箇所がスキャンされた時点(すなわち、共通電極43の電極パターンのうち、そのタッチ箇所に対応する電極パターンにコモン駆動信号Vcom が印加されたとき)の検出信号Vdet の値が他の箇所よりも小さくなる。検出回路は、この検出信号Vdet を閾値電圧Vthと比較して、閾値電圧Vth以下の場合に、その箇所をタッチ箇所として判定する。このタッチ箇所は、コモン駆動信号Vcom の印加タイミングと、閾値電圧Vth以下の検出信号Vdet の検出タイミングとから割り出すことができる。
【0037】
このように、本実施の形態によれば、液晶表示素子に元々備えられている共通電極43を、駆動電極と検出電極とからなる一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用すると共に、表示用駆動信号としてのコモン駆動信号Vcom を、タッチセンサ用駆動信号として共用するようにして静電容量型タッチセンサを構成したので、新たに設ける電極はセンサ用検出電極44だけでよく、また、タッチセンサ用駆動信号を新たに用意する必要がない。
【0038】
このような構成とすることで構成を簡単にすることができる。また、センサ用検出電極44を複数の電極パターンに分割して個別に時分割的に駆動するようにしたので、タッチ位置の検出も可能になる。
【0039】
このように図4、図5に示したタッチセンサ付き表示装置の表示装置として機能するアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、行状に配された走査(ゲート)線と、列状に配された信号線と、各走査線および信号線の交差部に対応して行列状(マトリクス状)に配された画素を有する。また1水平期間(1H)毎にその行の素子をアクティブ状態にする水平駆動回路と、アクティブ状態になっている行の走査線を順次走査(スキャン)して画素を行毎(ライン毎)に選択して駆動する垂直駆動回路とを有する。
【0040】
そして、各水平期間分の映像信号を選択された各行の画素に書き込んで、1フレーム(または、1フィールド)分の映像信号を保持する。このような表示装置として機能する一方で、上記したようにタッチパネルとしても機能する。
【0041】
このように、液晶表示素子に元々備えられている共通電極43を、駆動電極と検出電極とからなる一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用し、表示用駆動信号としてのコモン駆動信号Vcom を、タッチセンサ用駆動信号として共用するために、コモン駆動信号Vcomの振幅の大きさは、以下に説明するような条件を満たす必要がある。
【0042】
[耐圧について]
図6は、1画素(液晶表示素子)の詳細な構成を示したブロック図である。液晶表示素子は、TFT回路61、液晶容量62から構成される。TFT回路61のゲート電極は、ゲート線に接続され、TFT回路61のソース電極(または、信号電極)は、信号線に接続され、TFT回路61のドレイン電極は、液晶容量62に接続されている。液晶容量62の対向電極(TFT回路61に接続されていない側の電極)には、コモン駆動信号Vcomが印加される。
【0043】
TFT回路61は、液晶容量62に電圧を印可することにより、液晶容量62を駆動する。すなわち、TFT回路61は、対応するゲート信号がONであるときの信号電圧に基づいて液晶容量62を駆動する。
【0044】
なお、液晶は、直流電圧が印加されると寿命が短くなってしまう。そこで、一般的な液晶表示装置においては、共通電極に印加する電圧を基準にして、液晶容量62の画素電極に印加する電圧を、一定時間毎に、正電圧側と負電圧側に変化させることにより、液晶の寿命が短くなることを防止するようになされている。
【0045】
後述するように、本実施の形態においては、正電圧側(以下、正極性と称する)と負電圧側(以下、負極性と称する)との両方で、ゲート負電源をフローティングさせる。このことにより、TFT回路が破損しないように制御しつつも、タッチセンサの精度を向上させるために、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくすることが可能となる。
【0046】
TFT回路61には、信頼性が得られる耐圧があり、その規格以上に電圧がかかるとTFTが破壊され半導体デバイスとして機能しなくなってしまう。一方で、コモン駆動信号Vcomの振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、電界強度が大きく変化することになり、タッチセンサとしての感度を向上させることが可能となる。
【0047】
タッチセンサに対するユーザニーズやユーザインタフェースも多様化してきており、例えば、複数の指で触れたことを検出するマルチタッチ検出、指の隣接検出(所謂プロキシミティ)、極細ペンでの検出などもできることが望まれている。このような検出を精度良く行うためには、タッチセンサの感度を向上させることが必要とされ、感度を向上させるためには、コモン駆動信号Vcomの振幅(Tx振幅)を高振幅化する必要がある。
【0048】
しかしながら、単にコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化すると、上記したTFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性がある。TFT回路61のゲート電位Vgとドレイン電位(画素電位)Vdとの電位差Vgdは、液晶容量62の電位Vpix、コモン駆動信号Vcomの振幅の電位Vcom、およびゲートの電源の電位Gateから以下のように求められる。
電位差Vgd=電位Vpix+電位Vcom−電位Gate
【0049】
例えば、仮に、TFT回路61の耐圧電位を7とし、電位Vpix=1、電位Vcom=2、電位Gate=−3とする。この場合、上記式から電位差Vgdは6となる。電位差Vgd=6の場合、耐圧の7より小さい値であるため、TFT回路61は、信頼性が得られる耐圧内で動作することになる。
【0050】
しかしながら、タッチセンサの感度を向上させるために、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化し、2倍の電位Vcom=4とした場合、電位差Vgdは8となる。電位差Vgd=8の場合、耐圧の7より大きい値であるため、TFT回路61は、信頼性が得られる耐圧外で動作することになり、破損などが起きる可能性がある。よって、このような電位にコモン駆動信号Vcomの振幅を設定することはできない。
【0051】
このことについてさらに説明を加える。上記したように、画素は、負極性のときと正極性のときとがある。コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化したときに、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性があるのは、正極性のときである。このことについて、図7を参照して説明する。
【0052】
図7Aは、負極性のときの電位の関係を示す図であり、図7Bは、正極性のときの電位の関係を示す図である。図7A、図7Bにおいては、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateを実線で示し、コモン駆動信号Vcomの電位Vcomを点線で示し、液晶容量62にかかる電位Vpixを一点鎖線で示す。
【0053】
図7Aを参照するに、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされると、負極性の場合、負電圧の電位Vpixがかけられる。電位GateAは、基準となる電位とし、電位GateBは、TFT回路61をオンにするために必要な電位とする。このかけられる電位Vpixを電位VpixAとすると、電位GateBと電位VpixAとの関係は、図7Aに示したようになる。
【0054】
液晶容量62の電位が、電位VpixAであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixBとなる。このとき、電位VpixBと電位GateAとの電位差、すなわち、電位差Vgdは、耐圧内である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0055】
図7Bを参照するに、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされると、正極性の場合、正電圧の電位Vpixがかけられる。このかけられる電位Vpixを電位VpixCとすると、電位GateBと電位VpixCとの関係は、図7Bに示したようになる。
【0056】
液晶容量62の電位が、電位VpixCであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixDとなる。電位VcomBが負極性のときと同じ電位であっても、液晶容量62の電位は異なる電位となり、負極性のときよりも高い電位VpixDとなる。この電位VpixDと電位GateAとの電位差、すなわち、電位差Vgdは、負極性のときよりも大きくなり、耐圧外となる可能性がある。よって、TFT回路61が破損するなどの可能性があり、好ましい状態ではない。
【0057】
このように、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくすると、負極性のときには、TFT回路61が耐圧内で動作する設計としてあっても、正極性のときには、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性があり、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくするのは困難であった。そこで、図8に示すように、正極性のときと負極性のときの両方で、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateをフローティングの状態に切り替えることでTFT回路61の耐圧を超えてしまうことなく、かつコモン駆動信号Vcomを高振幅化することができるようにする。
【0058】
図8Aに示した負極性のときの電位の関係は、図7Aに示した負極性のときの電位の関係と比較し、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされた後、負電圧の電位Vpixがかけられると、TFT回路61のゲートにかけられる電位は、フローティングにされる点が異なる。
【0059】
液晶容量62の電位が、電位VpixAであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixBとなる。またゲートの電位がフローティングにされているので、ゲートの電位は、電位GateCとなる。この電位GateCは、電位GateA<電位GateC<電位GateBを満たす電位である。ゲートの電位が、フローティングされることで、電位差Vgdは、電位VpixBと電位GateCとの電位差となり、耐圧内に収めることが可能である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0060】
なお、ここでは、負極性のときにもフローティングの状態にされるとして説明を続けるが、図7Aを参照して説明したように、フローティングの状態にされなくても、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性は低いので、負極性のときには、フローティングの状態にされないように構成することも可能である。
【0061】
次に、図8Bを参照して正極性のときについて説明する。正極性のときも、負極性のときと同じく、ゲートの電位がフローティングの状態にされることで図8Bに示したような電位の関係となる。この図8Bに示した場合も、図7Bに示した場合と同じく、TFT回路61にコモン駆動信号Vcom、電位VpixCがかけられる。しかしながら、図7Bに示した場合と異なり、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateは、フローティングされるため、
電位GateA→電位GateB→電位GateC
というように変化する。この変化は、負極性のときと同じである。ただし、電位GateCが、正極性のときと負極性のときで同一でない場合もありうる。
【0062】
正極性のときも、ゲートの電位は、このように変化するため、電位差Vgdは、電位VpixDと電位GateCとの電位差となり、耐圧内に収めることが可能である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0063】
このように、正極性のときには、TFT回路61に正電圧の電位VpixCがかけられる。液晶容量62の電位が、電位VpixCであるときに、コモン駆動信号Vcomで、電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixDとなる。またゲートの電位がフローティングにされているので、ゲートの電位も、コモン駆動信号Vcomの振幅でカップリングされ電位GateCとなる。
【0064】
このとき、図7Bに示した例では、電位VpixDと電位GateAとの電位差の電位差Vgd(電位差VgdDAとする)は、耐圧外となる可能性があるが、図8Bに示した例では、電位VpixDと電位GateCとの電位差Vgd(電位差VgDCとする)は、電位差VgdDAよりも小さい値となるため、耐圧内に収めることが可能となる。
【0065】
このように、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた画素電位とGate電位の電位差が耐圧規格以上かからないようにするため、Gate電位をフローティングにすることで、画素電位だけでなくGate電位もコモン駆動信号Vcomの電位とのカップリングを受けるため耐圧規格を満たすようすることが可能となる。
【0066】
ただしカップリングが大きすぎると負極性画素の電位がリークし、小さすぎると正極性画素の耐圧規格を満足しないため、コモン駆動信号Vcomの振幅は、これらを満足するような振幅に制限される必要がある。しかしながら、このような制限があったとしても、上述してきたように、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することは可能であり、タッチセンサの精度を向上させることは可能である。
【0067】
このように、負極性、正極性に係わらず、3つの電位が現れるような信号電圧が、TFT回路61のゲートに加えられる。そのうちの1つの電位は、フローティングの状態にされることにより、コモン駆動信号Vcomにカップリングを受けた電位とされる。
【0068】
[画素の極正配置パターンについて]
図9は、画素の極性配置パターンと、ゲート線の接続パターンを説明するための図である。図9Aに示した極性配置パターンは、ドット反転駆動と称され、正極の画素と負極の画素が千鳥状に配置されるパターンである。ドット反転駆動においては、例えば、任意の場所の正極の画素の上下左右は負極の画素であり、同様に負極画素の上下左右は正極の画素となっている。
【0069】
図9Aに示したように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられる場合、換言すれば、負極性と正極性とで、タッチセンサとして機能するとき、ゲートの電位がフローティングの状態にされる場合、ゲート信号は、負極性と正極性の両方の画素に同一のゲート信号が供給される。
【0070】
よって、例えば、ゲート線101−1は、図中上側に横一列に配置された負極性の画素と正極性の両方の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。同様に、ゲート線101−2は、図中上側から2番目の横一列に配置された負極性の画素と正極性の両方の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。
【0071】
このように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられるため、負極性の画素と正極性の画素に関係なく、ゲート線を接続することができる。本実施の形態は、このようなドット反転駆動方式以外の方式に対しても適用することができる。例えば、図9Bに示したライン反転駆動方式に対しても、本実施の形態を適用することができる。
【0072】
ライン反転駆動方式においては、例えば、任意の場所の正極の画素の左右方向は、同じ正極の画素であり、同様に負極画素の左右方向は、同じ負極の画素となっている。すなわち、1ラインは全て正極または負極にされており、1ライン毎に正極と負極が交互に配置されている。図9Bに示したように、1ラインに負極性または正極性の画素が配置され、その1ラインにおいては、同一のゲート線と接続され、ゲート信号が供給されるように構成されている。
【0073】
よって、例えば、ゲート線111−1は、図中上側に横一列に配置された正極性の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。同様に、ゲート線111−2は、図中上側から2番目の横一列に配置された負極性の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。
【0074】
このように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられる場合には、ゲート線は、直線形状に配置され、同じく直線形状に配置された画素と接続されるように構成される。
【0075】
[ゲートバッファの構成について]
図10は、ゲートバッファの構成を示す図である。図10Aに、従来のゲート電位をフローティングしないときのゲートバッファの構成を比較のために示し、図10Bに、ゲート電位をフローティングするときのゲートバッファの構成を示す。
【0076】
図10Aを参照するに、バッファ151とバッファ152は、それぞれ電位GateAに相当する電位の信号を出力するVGL線と、電位GateBに相当する電位の信号を出力するVGH線とに接続されている。バッファ151とバッファ152は、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL線から供給される信号とVGH線から供給される信号とを切り替え、接続されているゲート線に出力する。
【0077】
バッファ151は、ゲート線(n)に接続され、バッファ152は、ゲート線(n+1)に接続されている。例えば、バッファ151がゲート線101−1(図9A)に接続されている場合、バッファ152は、ゲート線101−2(図9A)に接続されている。図10Aには、2つのバッファを図示したが、ゲート線の数に対応する数のバッファが備えられる。
【0078】
このようなゲートバッファの構成に対して、ゲート電位がフローティングされる場合、ゲートバッファの構成は、図10Bに示したような構成となる。図10Bに示したゲートバッファの構成は、図10Aに示したゲートバッファの構成と同じく、2つのバッファ161とバッファ162を図示してあるが、ゲート線の数に対応する数のバッファが備えられているうちの2つのバッファを説明のために図示してある。
【0079】
また、バッファ161とバッファ162は、それぞれ電位GateBに相当する電位の信号を出力するVGH線に接続されている点は、図10Aに示したバッファ151とバッファ152と同じである。しかしながら、バッファ161はスイッチ171を介して、バッファ162はスイッチ172を介して、それぞれ、電位GateAに相当する電位の信号を出力するVGL1線と接続されるか、または接続されない(フローティングの状態にされる)点が、図10Aに示したバッファ151とバッファ152と異なる。
【0080】
バッファ161とバッファ162は、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL1線から供給される信号を出力する状態、VGH線から供給される信号を出力する状態、およびフローティングの状態とを切り替える。また、スイッチ171とスイッチ172も、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL1線への接続と開放を切り替え、接続されているときにはVGL1線から供給される信号をバッファ161、バッファ162にそれぞれ供給するように構成されている。
【0081】
バッファ161は、ゲート線(n)に接続され、バッファ162は、ゲート線(n+1)に接続される。例えば、バッファ161がゲート線101−1(図9A)に接続されている場合、バッファ162は、ゲート線101−2(図9A)に接続されている。
【0082】
例えば、スイッチ171が接続されると、バッファ161には、VGL1線から電位GateAに相当する電位の信号が供給される状態とされ、スイッチ171が開放されると、バッファ161は、電位がフローティングされた状態とされる。
【0083】
このように、スイッチを設け、VGL1線への接続のオン、オフを切り替えることができる構成とすることで、フローティングの状態と、フローティングではない状態を作り出すことが可能となる。
【0084】
[タイミングチャートを参照した説明]
さらにタイミングチャートを参照し、タッチセンサとして機能するときに、フローティング状態にすることで、TFT回路61の耐圧を確保することについて説明する。
【0085】
上記したように、タッチセンサ付き表示装置が表示装置として機能するときの書き込みには、電荷の偏りが発生しないように正極、負極側の書き込みがあり交流反転されている。電位差Vgdが最も大きくなるのは、一般的に正極性を書き込んだ画素電位を保持している期間の画素TFT(TFT回路61)である。
【0086】
そのため上記したように、正極性側の書き込みをした画素に対して電位差Vgdが、所定の規格を超えないように、かつ、画素電位がリークしないような電位(電位GateC)へ画素TFTのゲート電位をフローティング制御すると説明した。このようなフローティング制御がなされることでコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することが可能となる。また、負極性側の書き込みをしたが画素に対しても、同様に、画素TFTのゲート電位をフローティング制御することでコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することが可能となる。
【0087】
この際、書き込み期間でない時間である垂直ブランキング期間(V blank)と水平ブランキング期間(H blank)に、タッチセンサとして機能させるための、上記した電位GateCに電位を制御する、具体的にはフローティング制御することで、画像データに起因するリークが発生しないように制御することが可能となる。Sig電位はリークしない一定電位であることが望ましい。
【0088】
タッチセンサ付き表示装置は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間を利用してタッチセンサとして機能する。垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間のそれぞれにおいて、画素のゲート負電源の持ち上げが、電位をフローティングの状態にすることで行われる。図11は、垂直ブランキング期間のときのタイミングチャートを示し、図12は、水平ブランキング期間のときのタイミングチャートを示す。
【0089】
図11を参照するに、VCKは垂直同期信号を示し、Sigは映像信号を示す。Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ上記してきた電位Vcom、電位Gate、および電位Vpixを示す。また、Gate1乃至GateNは、それぞれゲート線1乃至Nに接続されているバッファからの出力信号の電位を示し、Vpix1乃至VpixNは、それぞれゲート線1乃至Nに接続されている液晶容量Cの電位を示す。また、Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ図8を参照して説明した電位の関係を満たす。
【0090】
コモン駆動信号Vcomは、垂直ブランキング期間の間、所定の周期の信号であり、電位VcomAと電位VcomBとを繰り返す信号とされ、各画素に順次供給される。Gate1が、正極性の画素に接続されているゲート線1の電位であるとする。この場合、図11に示すタイミングで、電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線1に接続されている正極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位Vpix1は、書き込みが行われた後、電位VpixCで維持される。
【0091】
液晶容量Cの電位Vpix1が電位VpixCで維持されているときに、垂直ブランキング期間になり、電位VcomAと電位VcomBが所定の周期で繰り返されるコモン駆動信号Vcomが加えられると、その周期に対応して、液晶容量Cの電位Vpix1も、電位VpixCと電位VpixDが繰り返される信号となる。このように、正極性の画素の液晶容量Cの電位Vpix1が変動する期間、すなわちこの場合、垂直ブランキング期間の間、Gate1の電位は、フローティングの状態にされる。
【0092】
図11には、垂直ブランキング期間の間、Gate1の電位は、電位GateAで固定されているかのように図示してあるが、フローティングの状態のときのGate1の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位となるため、電位GateAで固定されているわけではない。図11においては、フローティングの状態にされている間のGate1の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位であることを示すために点線で示してある。
【0093】
負極性のときも、正極性のときと同じく、垂直ブランキング期間の間、ゲートの電位は、フローティングの状態とされ、例えば、Gate2の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位とされる。
【0094】
ゲートバッファ161のスイッチ171(図10B)は、垂直ブランキング期間の前の時点では、接続された状態にされ、ゲートバッファ161は、VGL1線を介して供給される電位GateAの信号を出力する。そして、垂直ブランキング期間になると、スイッチ171は、開放状態に切り替えられ、ゲートバッファ161は、フローティングの状態とされる。そして、垂直ブランキング期間が終了すると、スイッチ171は再度接続され、VGL1線を介して供給される電位GateAの信号をゲートバッファ161に供給する状態にされる。このようなことが繰り返される。
【0095】
このように、垂直ブランキング期間の間、ゲートの電位はフローティングの状態とされ、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位となるように制御される。よって図8を参照して説明したように、液晶容量Cの電位Vpix1が、電位VpixCと電位VpixDと変動しても、TFT回路61の耐圧を超えることなく制御することができる。
【0096】
また、タッチセンサとして機能しているブランキング期間の間、ゲート負電圧を、フローティングの状態で維持することで、ブランキング期間の間に供給されるコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅にする(電位VcomAと電位VcomBの電位差を大きくする)ことが可能となり、タッチセンサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0097】
図12は、水平ブランキング期間のときの電位の変化について説明するためのタイミングチャートである。水平ブランキング期間のときも、基本的に上記した垂直ブランキング期間のときの電位の変化と同じである。
【0098】
図12を参照するに、HCKは水平同期信号を示し、Sigは映像信号を示す。Vcom、GateM乃至GateN、およびVpixM乃至VpixNは、それぞれ上記してきた電位Vcom、電位Gate、および電位Vpixを示す。また、GateM乃至GateNは、それぞれゲート線M乃至Nに接続されているバッファからの出力信号の電位を示し、VpixM乃至VpixNは、それぞれゲート線M乃至Nに接続されている液晶容量Cの電位を示す。また、Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ図8を参照して説明した電位の関係を満たす。
【0099】
図12に示すタイミングで、GateMの電位が電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線Mに接続されている正極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位VpixMは、書き込み後の電位VpixCを維持する。正極性のGateMは、タッチセンサとして機能する水平ブランキング期間のとき、フローティングの状態とされ、それ以外のときにはフローティングの状態ではない状態とされる。
【0100】
同様に、図12に示すタイミングで、GateM+1の電位が電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線M+1に接続されている負極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位VpixMは、書き込み後の電位VpixBを維持する。負極性のGateM+1は、タッチセンサとして機能する水平ブランキング期間のとき、フローティングの状態とされ、それ以外のときにはフローティングの状態ではない状態とされる。
【0101】
図11と同じく、図12においても、フローティングの状態にされている間のゲートの電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位であり、そのような電位を点線で示してある。
【0102】
このように、タッチセンサとして機能する期間のうち、TFT回路61をオンにする期間は、電位GateBとされるが、それ以外の期間であり、水平ブランキング期間ではないときには、電位GateAとされる。そして、水平ブランキング期間のときには、フローティングの状態とされ、コモン駆動信号Vcomの振幅にカップリングされた電位とされる。
【0103】
この場合も、水平ブランキング期間の間は、ゲートにかかる電位をコモン駆動信号Vcomの振幅にカップリングされた電位とすることができ、図8を参照して説明したように、液晶容量Cの電位Vpix1が、電位VpixCと電位VpixDと変動しても、その変動に合わせて、結果としてゲートの負電源が持ち上げられるため、TFT回路61の耐圧を超えることなく制御することができる。
【0104】
また、タッチセンサとして機能している水平ブランキング期間の間、ゲート負電圧を持ち上げることができるようになることで、水平ブランキング期間の間に供給されるコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅にする(電位VcomAと電位VcomBの電位差を大きくする)ことが可能となり、センサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0105】
なお、上記したように、ブランキング期間の間、ゲート電位がフローティングの状態にされるようにしても良いし、ブランキング期間の間であり、コモン駆動信号Vcomの振幅に同期してゲート電位がフローティングの状態にされるようにしても良い。
【0106】
[効果]
このように、本技術によれば、タッチセンサ付き表示装置が、タッチセンサとして機能するときに、ゲートの電位をフローティングの状態とすることで、ゲート負電源を持ち上げることできるようになり、TFT回路の耐圧を超えるようなことを防ぐことができる。また、ゲート負電源を持ち上げることが可能となることで、その分(以上)のコモン駆動信号Vcomの電位を高くし、TFT回路にかけることが可能となる。よって、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅とすることができ、このことにより、タッチセンサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0107】
また、このようなゲート負電源を持ち上げる期間(フローティングの状態とされる期間)を、画素に対する書き込み期間でない垂直ブランキング期間や水平ブランキング期間に行うことで、画像データに起因するリークが発生するようなことを防ぐことが可能となる。
【0108】
さらに、コモン駆動信号VcomとGate線間の寄生容量が見えなくなるため、コモン駆動信号Vcomの切り替え速度(時定数)を改善できる。
【0109】
[記録媒体について]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0110】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303は、バス304により相互に接続されている。バス304には、さらに、入出力インタフェース305が接続されている。入出力インタフェース305には、入力部306、出力部307、記憶部308、通信部309、およびドライブ310が接続されている。
【0111】
入力部306は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部307は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部308は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部309は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ310は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動する。
【0112】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU301が、例えば、記憶部308に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース305およびバス304を介して、RAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0113】
コンピュータ(CPU301)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア311に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0114】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア311をドライブ310に装着することにより、入出力インタフェース305を介して、記憶部308にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部309で受信し、記憶部308にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM302や記憶部308に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0115】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0116】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0117】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0118】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0119】
(1)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備え、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
タッチセンサ付き表示装置。
(2)
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされる
前記(1)に記載のタッチセンサ付き表示装置。
(3)
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされる
前記(1)または(2)に記載のタッチセンサ付き表示装置。
(4)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
電位制御方法。
(5)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
ための処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0120】
2 画素基板, 4 対向基板, 6 液晶層, 7 コンタクト導電柱, 21 TFT基板, 22 画素電極, 41 ガラス基板, 42 カラーフィルタ, 43 共通電極(兼センサ用駆動電極), 43D ドライバ, 44 センサ用検出電極, 45 偏光板, 61 TFT回路
【技術分野】
【0001】
本技術は、タッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、およびプログラムに関する。詳しくは、タッチセンサの感度を向上させたタッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる接触検出装置(以下、タッチセンサと記述する)を液晶表示装置上に直接装着すると共に、液晶表示装置に各種のボタンを表示させることにより、通常のボタンの代わりとして情報入力を可能とするようにした表示装置が注目されている。この技術は、モバイル機器の画面の大型化傾向の中にあって、ディスプレイとボタンの配置の共用化を可能にすることから、省スペース化や部品点数の削減という大きなメリットをもたらす。
【0003】
しかしながら、この技術によれば、タッチパネルの装着によって液晶モジュールの全体の厚さが厚くなってしまう。特にモバイル機器用途においては、タッチパネルの傷防止のための保護層が必要となることから、液晶モジュールが厚くなり、薄型化が困難であった。
【0004】
そこで液晶表示素子に元々備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方(駆動電極)として兼用し、表示用駆動信号としての既存のコモン駆動信号を、タッチセンサ用駆動信号としても共用することで、薄型化することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-244958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、タッチセンサを搭載した機器が増え、タッチセンサに対するユーザニーズやユーザインタフェースも多様化してきている。例えば、複数の指で触れたことを検出するマルチタッチ検出、指の隣接検出(所謂プロキシミティ)、極細ペンでの検出などもできることが望まれている。このような検出を精度良く行うためには、タッチセンサの感度を向上させることが必要とされる。
【0007】
極細ペンを精度よく検出するためには、S/N(Sensor /Noise)を向上させることが必要とされ、近接検出、所謂プロキシミティを検出するためにはさらにS/Nを向上させる必要がある。特許文献1におけるタッチセンサの感度を上げる場合、表示用駆動信号とタッチセンサ用駆動信号で共用されているコモン駆動信号の振幅を大きくすることで実現できる。コモン駆動信号の振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、電界強度が大きく変化することになり、精度を向上させることが可能となる。
【0008】
一方、液晶ディスプレイに用いられるTFT(thin film transistor)には信頼性が得られる耐圧があり、その規格以上に電圧がかかるとTFTが破壊され半導体デバイスとして機能しなくなってしまう。コモン駆動信号の振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、TFTの信頼性が得られる耐圧以上になってしまうと、画素TFTが破壊されてしまい、画不良、信頼性不良が発生しまう可能性があるため、コモン駆動信号を高振幅化することは困難であった。このようなことから、タッチセンサの精度を向上させることも困難であった。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タッチセンサの精度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の一側面のタッチセンサ付き表示装置は、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備え、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。
【0011】
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされるようにすることができる。
【0012】
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされるようにすることができる。
【0013】
本技術の一側面の電位制御方法は、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする。
【0014】
本技術の一側面のプログラムは、複数の表示画素電極と、前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、画像表示機能を有する表示機能層と、画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極とを備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にするための処理を実行させる。
【0015】
本技術の一側面のタッチセンサ付き表示装置、電位制御方法、並びにプログラムにおいては、複数の表示画素電極、表示画素電極と対向して設けられた共通電極、画像表示機能を有する表示機能層、画像信号に基づいて、表示画素電極と共通電極との間に表示用電圧を印加して表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路、共通電極と対向して設けられ、共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極が備えられる。そして表示制御回路により共通電極に印加される表示用駆動電圧がタッチセンサ用駆動信号として利用され、タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にするための処理が実行される。
【発明の効果】
【0016】
本技術の一側面によれば、タッチセンサの精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本技術を適用したタッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、指非接触時の状態を示す図である。
【図2】タッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、指接触時の状態を示す図である。
【図3】タッチセンサ付き表示装置の動作原理を説明するための図であり、タッチセンサの駆動信号および検出信号の波形の一例を示す図である。
【図4】タッチセンサ付き表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
【図5】タッチセンサ付き表示装置の要部(共通電極およびセンサ用検出電極)の一構成例を示す斜視図である。
【図6】画素の構成例を示す図である。
【図7】正極性と負極性との場合による電位の関係を示す図である。
【図8】正極性と負極性との場合による電位の関係を示す図である。
【図9】ゲート線の配置について説明するための図である。
【図10】ゲートバッファの構成例を示す図である。
【図11】ブランキング期間の電位の関係について説明するためのタイミングチャートである。
【図12】ブランキング期間の電位の関係について説明するためのタイミングチャートである。
【図13】記録媒体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本技術は、液晶表示素子に備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方(駆動電極)として兼用し、表示用駆動信号としての既存のコモン駆動信号を、タッチセンサ用駆動信号としても共用することで、薄型化した装置に適用できる。このような装置について、まず説明を加える。
【0020】
[タッチセンサ付き表示装置について]
図1乃至図3を参照して、本実施の形態のタッチセンサ付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を表すものである。このタッチ検出方式は、静電容量型タッチセンサとして具現化されるものであり、図1Aに示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1および検出電極E2)が用いられ、容量素子が構成される。
【0021】
この構造は、図1Bに示した等価回路として表される。駆動電極E1、検出電極E2および誘電体Dによって容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源Sに接続され、他端Pは抵抗Rを介して接地されると共に電圧検出器DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜十数kHz程度)の交流矩形波Sg(図3B)が印加されると、検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3Aに示したような出力波形(検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述するコモン駆動信号Vcomに相当するものである。
【0022】
指を接触していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3Aの波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0023】
一方、指を接触した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1,C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1,I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3Aの波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1,C2を流れる電流I1,I2の値によって定まる分圧電位となる。
【0024】
このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、後述するように、検出した電圧を所定の閾値電圧Vthと比較し、この閾値電圧以下であれば非接触状態と判断する一方、閾値電圧以上であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0025】
図4は、タッチセンサ付き表示装置の要部断面構造を表すものである。このタッチセンサ付き表示装置は、表示素子として液晶表示素子を用いると共に、この液晶表示素子に元々備えられている電極の一部(後述する共通電極43)および表示用駆動信号(後述するコモン駆動信号Vcom )を兼用して静電容量型タッチセンサを構成したものである。
【0026】
図4に示したように、このタッチセンサ付き表示装置は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板4と、画素基板2と対向基板4との間に挿設された液晶層6とを備えている。画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリクス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、各画素電極22を駆動するための図示しない表示ドライバやTFT(薄膜トランジスタ)のほか、各画素電極に画素信号を供給するソース線や、各TFTを駆動するゲート線等の配線が形成されている。
【0027】
対向基板4は、ガラス基板41と、このガラス基板41の一方の面に形成されたカラーフィルタ42と、このカラーフィルタ42の上に形成された共通電極43とを有する。カラーフィルタ42は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、表示画素(画素電極22)毎にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。共通電極43は、タッチ検出動作を行うタッチセンサの一部を構成するセンサ用駆動電極としても兼用されるものであり、図1における駆動電極E1に相当する。
【0028】
共通電極43は、コンタクト導電柱7によってTFT基板21と連結されている。このコンタクト導電柱7を介して、TFT基板21から共通電極43に交流矩形波形のコモン駆動信号Vcom が印加されるようになっている。このコモン駆動信号Vcom は、画素電極22に印加される画素電圧とともに各画素の表示電圧を画定するものであるが、タッチセンサの駆動信号としても兼用されるものであり、図1の駆動信号源Sから供給される交流矩形波Sgに相当する。
【0029】
ガラス基板41の他方の面には、センサ用検出電極44が形成され、さらに、このセンサ用検出電極44の上には、偏光板45が配設されている。センサ用検出電極44は、タッチセンサの一部を構成するもので、図1における検出電極E2に相当する。
【0030】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0031】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板4との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0032】
図5は、対向基板4における共通電極43およびセンサ用検出電極44の一構成例を斜視状態にて表したものである。この例では、共通電極43は、図の左右方向に延在する複数のストライプ状の電極パターンに分割されている。各電極パターンには、ドライバ43Dによってコモン駆動信号Vcom が順次供給され、時分割的に線順次走査駆動が行われるようになっている。
【0033】
一方、センサ用検出電極44は、共通電極43の電極パターンの延在方向と直交する方向に延びる複数のストライプ状の電極パターンから構成されている。センサ用検出電極44の各電極パターンからは、それぞれ、検出信号Vdet が出力され、検出回路(不図示)に入力されるようになっている。
【0034】
次に、以上のような構成のタッチセンサ付き表示装置の動作を説明する。画素基板2の表示ドライバ(図示せず)は、共通電極43の各電極パターンに対してコモン駆動信号Vcom を線順次で供給する。表示ドライバはまた、ソース線を介して画素電極22へ画素信号を供給すると共に、これに同期して、ゲート線を介して各画素電極のTFTのスイッチングを線順次で制御する。これにより、液晶層6には、画素毎に、コモン駆動信号Vcom と各画素信号とにより定まる縦方向(基板に垂直な方向)の電界が印加されて液晶状態の変調が行われる。このようにして、いわゆる反転駆動による表示が行われる。
【0035】
一方、対向基板4の側では、共通電極43の各電極パターンと、センサ用検出電極44の各電極パターンとの交差部分にそれぞれ容量素子C1が形成される。共通電極43の各電極パターンにコモン駆動信号Vcom を時分割的に順次印加していくと、その印加された共通電極43の電極パターンとセンサ用検出電極44の各電極パターンとの交差部分に形成されている一列分の容量素子C1の各々に対する充放電が行われる。その結果、容量素子C1の容量値に応じた大きさの検出信号Vdet が、センサ用検出電極44の各電極パターンからそれぞれ出力される。対向基板4の表面にユーザの指が触れられていない状態においては、この検出信号Vdet の大きさはほぼ一定となる。コモン駆動信号Vcom のスキャンに伴い、充放電の対象となる容量素子C1の列が線順次的に移動していく。
【0036】
ここで、対向基板4の表面のいずれかの場所にユーザの指が触れると、そのタッチ箇所に元々形成されている容量素子C1に、指による容量素子C2が付加される。その結果、そのタッチ箇所がスキャンされた時点(すなわち、共通電極43の電極パターンのうち、そのタッチ箇所に対応する電極パターンにコモン駆動信号Vcom が印加されたとき)の検出信号Vdet の値が他の箇所よりも小さくなる。検出回路は、この検出信号Vdet を閾値電圧Vthと比較して、閾値電圧Vth以下の場合に、その箇所をタッチ箇所として判定する。このタッチ箇所は、コモン駆動信号Vcom の印加タイミングと、閾値電圧Vth以下の検出信号Vdet の検出タイミングとから割り出すことができる。
【0037】
このように、本実施の形態によれば、液晶表示素子に元々備えられている共通電極43を、駆動電極と検出電極とからなる一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用すると共に、表示用駆動信号としてのコモン駆動信号Vcom を、タッチセンサ用駆動信号として共用するようにして静電容量型タッチセンサを構成したので、新たに設ける電極はセンサ用検出電極44だけでよく、また、タッチセンサ用駆動信号を新たに用意する必要がない。
【0038】
このような構成とすることで構成を簡単にすることができる。また、センサ用検出電極44を複数の電極パターンに分割して個別に時分割的に駆動するようにしたので、タッチ位置の検出も可能になる。
【0039】
このように図4、図5に示したタッチセンサ付き表示装置の表示装置として機能するアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、行状に配された走査(ゲート)線と、列状に配された信号線と、各走査線および信号線の交差部に対応して行列状(マトリクス状)に配された画素を有する。また1水平期間(1H)毎にその行の素子をアクティブ状態にする水平駆動回路と、アクティブ状態になっている行の走査線を順次走査(スキャン)して画素を行毎(ライン毎)に選択して駆動する垂直駆動回路とを有する。
【0040】
そして、各水平期間分の映像信号を選択された各行の画素に書き込んで、1フレーム(または、1フィールド)分の映像信号を保持する。このような表示装置として機能する一方で、上記したようにタッチパネルとしても機能する。
【0041】
このように、液晶表示素子に元々備えられている共通電極43を、駆動電極と検出電極とからなる一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用し、表示用駆動信号としてのコモン駆動信号Vcom を、タッチセンサ用駆動信号として共用するために、コモン駆動信号Vcomの振幅の大きさは、以下に説明するような条件を満たす必要がある。
【0042】
[耐圧について]
図6は、1画素(液晶表示素子)の詳細な構成を示したブロック図である。液晶表示素子は、TFT回路61、液晶容量62から構成される。TFT回路61のゲート電極は、ゲート線に接続され、TFT回路61のソース電極(または、信号電極)は、信号線に接続され、TFT回路61のドレイン電極は、液晶容量62に接続されている。液晶容量62の対向電極(TFT回路61に接続されていない側の電極)には、コモン駆動信号Vcomが印加される。
【0043】
TFT回路61は、液晶容量62に電圧を印可することにより、液晶容量62を駆動する。すなわち、TFT回路61は、対応するゲート信号がONであるときの信号電圧に基づいて液晶容量62を駆動する。
【0044】
なお、液晶は、直流電圧が印加されると寿命が短くなってしまう。そこで、一般的な液晶表示装置においては、共通電極に印加する電圧を基準にして、液晶容量62の画素電極に印加する電圧を、一定時間毎に、正電圧側と負電圧側に変化させることにより、液晶の寿命が短くなることを防止するようになされている。
【0045】
後述するように、本実施の形態においては、正電圧側(以下、正極性と称する)と負電圧側(以下、負極性と称する)との両方で、ゲート負電源をフローティングさせる。このことにより、TFT回路が破損しないように制御しつつも、タッチセンサの精度を向上させるために、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくすることが可能となる。
【0046】
TFT回路61には、信頼性が得られる耐圧があり、その規格以上に電圧がかかるとTFTが破壊され半導体デバイスとして機能しなくなってしまう。一方で、コモン駆動信号Vcomの振幅(Tx振幅)を高振幅化することで、電界強度が大きく変化することになり、タッチセンサとしての感度を向上させることが可能となる。
【0047】
タッチセンサに対するユーザニーズやユーザインタフェースも多様化してきており、例えば、複数の指で触れたことを検出するマルチタッチ検出、指の隣接検出(所謂プロキシミティ)、極細ペンでの検出などもできることが望まれている。このような検出を精度良く行うためには、タッチセンサの感度を向上させることが必要とされ、感度を向上させるためには、コモン駆動信号Vcomの振幅(Tx振幅)を高振幅化する必要がある。
【0048】
しかしながら、単にコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化すると、上記したTFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性がある。TFT回路61のゲート電位Vgとドレイン電位(画素電位)Vdとの電位差Vgdは、液晶容量62の電位Vpix、コモン駆動信号Vcomの振幅の電位Vcom、およびゲートの電源の電位Gateから以下のように求められる。
電位差Vgd=電位Vpix+電位Vcom−電位Gate
【0049】
例えば、仮に、TFT回路61の耐圧電位を7とし、電位Vpix=1、電位Vcom=2、電位Gate=−3とする。この場合、上記式から電位差Vgdは6となる。電位差Vgd=6の場合、耐圧の7より小さい値であるため、TFT回路61は、信頼性が得られる耐圧内で動作することになる。
【0050】
しかしながら、タッチセンサの感度を向上させるために、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化し、2倍の電位Vcom=4とした場合、電位差Vgdは8となる。電位差Vgd=8の場合、耐圧の7より大きい値であるため、TFT回路61は、信頼性が得られる耐圧外で動作することになり、破損などが起きる可能性がある。よって、このような電位にコモン駆動信号Vcomの振幅を設定することはできない。
【0051】
このことについてさらに説明を加える。上記したように、画素は、負極性のときと正極性のときとがある。コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化したときに、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性があるのは、正極性のときである。このことについて、図7を参照して説明する。
【0052】
図7Aは、負極性のときの電位の関係を示す図であり、図7Bは、正極性のときの電位の関係を示す図である。図7A、図7Bにおいては、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateを実線で示し、コモン駆動信号Vcomの電位Vcomを点線で示し、液晶容量62にかかる電位Vpixを一点鎖線で示す。
【0053】
図7Aを参照するに、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされると、負極性の場合、負電圧の電位Vpixがかけられる。電位GateAは、基準となる電位とし、電位GateBは、TFT回路61をオンにするために必要な電位とする。このかけられる電位Vpixを電位VpixAとすると、電位GateBと電位VpixAとの関係は、図7Aに示したようになる。
【0054】
液晶容量62の電位が、電位VpixAであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixBとなる。このとき、電位VpixBと電位GateAとの電位差、すなわち、電位差Vgdは、耐圧内である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0055】
図7Bを参照するに、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされると、正極性の場合、正電圧の電位Vpixがかけられる。このかけられる電位Vpixを電位VpixCとすると、電位GateBと電位VpixCとの関係は、図7Bに示したようになる。
【0056】
液晶容量62の電位が、電位VpixCであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixDとなる。電位VcomBが負極性のときと同じ電位であっても、液晶容量62の電位は異なる電位となり、負極性のときよりも高い電位VpixDとなる。この電位VpixDと電位GateAとの電位差、すなわち、電位差Vgdは、負極性のときよりも大きくなり、耐圧外となる可能性がある。よって、TFT回路61が破損するなどの可能性があり、好ましい状態ではない。
【0057】
このように、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくすると、負極性のときには、TFT回路61が耐圧内で動作する設計としてあっても、正極性のときには、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性があり、コモン駆動信号Vcomの振幅を大きくするのは困難であった。そこで、図8に示すように、正極性のときと負極性のときの両方で、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateをフローティングの状態に切り替えることでTFT回路61の耐圧を超えてしまうことなく、かつコモン駆動信号Vcomを高振幅化することができるようにする。
【0058】
図8Aに示した負極性のときの電位の関係は、図7Aに示した負極性のときの電位の関係と比較し、TFT回路61のゲート信号が、電位GateAから電位GateBにされることでTFT回路61がオンにされた後、負電圧の電位Vpixがかけられると、TFT回路61のゲートにかけられる電位は、フローティングにされる点が異なる。
【0059】
液晶容量62の電位が、電位VpixAであるときに、コモン駆動信号Vcomの電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixBとなる。またゲートの電位がフローティングにされているので、ゲートの電位は、電位GateCとなる。この電位GateCは、電位GateA<電位GateC<電位GateBを満たす電位である。ゲートの電位が、フローティングされることで、電位差Vgdは、電位VpixBと電位GateCとの電位差となり、耐圧内に収めることが可能である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0060】
なお、ここでは、負極性のときにもフローティングの状態にされるとして説明を続けるが、図7Aを参照して説明したように、フローティングの状態にされなくても、TFT回路61の耐圧を超えてしまう可能性は低いので、負極性のときには、フローティングの状態にされないように構成することも可能である。
【0061】
次に、図8Bを参照して正極性のときについて説明する。正極性のときも、負極性のときと同じく、ゲートの電位がフローティングの状態にされることで図8Bに示したような電位の関係となる。この図8Bに示した場合も、図7Bに示した場合と同じく、TFT回路61にコモン駆動信号Vcom、電位VpixCがかけられる。しかしながら、図7Bに示した場合と異なり、TFT回路61のゲートにかけられる電位Gateは、フローティングされるため、
電位GateA→電位GateB→電位GateC
というように変化する。この変化は、負極性のときと同じである。ただし、電位GateCが、正極性のときと負極性のときで同一でない場合もありうる。
【0062】
正極性のときも、ゲートの電位は、このように変化するため、電位差Vgdは、電位VpixDと電位GateCとの電位差となり、耐圧内に収めることが可能である。よって、TFT回路61が破損するようなことはない。
【0063】
このように、正極性のときには、TFT回路61に正電圧の電位VpixCがかけられる。液晶容量62の電位が、電位VpixCであるときに、コモン駆動信号Vcomで、電位VcomBがかけられると、その分だけ、液晶容量62の電位が上がり、電位VpixDとなる。またゲートの電位がフローティングにされているので、ゲートの電位も、コモン駆動信号Vcomの振幅でカップリングされ電位GateCとなる。
【0064】
このとき、図7Bに示した例では、電位VpixDと電位GateAとの電位差の電位差Vgd(電位差VgdDAとする)は、耐圧外となる可能性があるが、図8Bに示した例では、電位VpixDと電位GateCとの電位差Vgd(電位差VgDCとする)は、電位差VgdDAよりも小さい値となるため、耐圧内に収めることが可能となる。
【0065】
このように、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた画素電位とGate電位の電位差が耐圧規格以上かからないようにするため、Gate電位をフローティングにすることで、画素電位だけでなくGate電位もコモン駆動信号Vcomの電位とのカップリングを受けるため耐圧規格を満たすようすることが可能となる。
【0066】
ただしカップリングが大きすぎると負極性画素の電位がリークし、小さすぎると正極性画素の耐圧規格を満足しないため、コモン駆動信号Vcomの振幅は、これらを満足するような振幅に制限される必要がある。しかしながら、このような制限があったとしても、上述してきたように、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することは可能であり、タッチセンサの精度を向上させることは可能である。
【0067】
このように、負極性、正極性に係わらず、3つの電位が現れるような信号電圧が、TFT回路61のゲートに加えられる。そのうちの1つの電位は、フローティングの状態にされることにより、コモン駆動信号Vcomにカップリングを受けた電位とされる。
【0068】
[画素の極正配置パターンについて]
図9は、画素の極性配置パターンと、ゲート線の接続パターンを説明するための図である。図9Aに示した極性配置パターンは、ドット反転駆動と称され、正極の画素と負極の画素が千鳥状に配置されるパターンである。ドット反転駆動においては、例えば、任意の場所の正極の画素の上下左右は負極の画素であり、同様に負極画素の上下左右は正極の画素となっている。
【0069】
図9Aに示したように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられる場合、換言すれば、負極性と正極性とで、タッチセンサとして機能するとき、ゲートの電位がフローティングの状態にされる場合、ゲート信号は、負極性と正極性の両方の画素に同一のゲート信号が供給される。
【0070】
よって、例えば、ゲート線101−1は、図中上側に横一列に配置された負極性の画素と正極性の両方の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。同様に、ゲート線101−2は、図中上側から2番目の横一列に配置された負極性の画素と正極性の両方の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。
【0071】
このように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられるため、負極性の画素と正極性の画素に関係なく、ゲート線を接続することができる。本実施の形態は、このようなドット反転駆動方式以外の方式に対しても適用することができる。例えば、図9Bに示したライン反転駆動方式に対しても、本実施の形態を適用することができる。
【0072】
ライン反転駆動方式においては、例えば、任意の場所の正極の画素の左右方向は、同じ正極の画素であり、同様に負極画素の左右方向は、同じ負極の画素となっている。すなわち、1ラインは全て正極または負極にされており、1ライン毎に正極と負極が交互に配置されている。図9Bに示したように、1ラインに負極性または正極性の画素が配置され、その1ラインにおいては、同一のゲート線と接続され、ゲート信号が供給されるように構成されている。
【0073】
よって、例えば、ゲート線111−1は、図中上側に横一列に配置された正極性の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。同様に、ゲート線111−2は、図中上側から2番目の横一列に配置された負極性の画素に、それぞれ接続され、ゲート信号を供給するように構成されている。
【0074】
このように、負極性と正極性とで同一のゲート信号が用いられる場合には、ゲート線は、直線形状に配置され、同じく直線形状に配置された画素と接続されるように構成される。
【0075】
[ゲートバッファの構成について]
図10は、ゲートバッファの構成を示す図である。図10Aに、従来のゲート電位をフローティングしないときのゲートバッファの構成を比較のために示し、図10Bに、ゲート電位をフローティングするときのゲートバッファの構成を示す。
【0076】
図10Aを参照するに、バッファ151とバッファ152は、それぞれ電位GateAに相当する電位の信号を出力するVGL線と、電位GateBに相当する電位の信号を出力するVGH線とに接続されている。バッファ151とバッファ152は、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL線から供給される信号とVGH線から供給される信号とを切り替え、接続されているゲート線に出力する。
【0077】
バッファ151は、ゲート線(n)に接続され、バッファ152は、ゲート線(n+1)に接続されている。例えば、バッファ151がゲート線101−1(図9A)に接続されている場合、バッファ152は、ゲート線101−2(図9A)に接続されている。図10Aには、2つのバッファを図示したが、ゲート線の数に対応する数のバッファが備えられる。
【0078】
このようなゲートバッファの構成に対して、ゲート電位がフローティングされる場合、ゲートバッファの構成は、図10Bに示したような構成となる。図10Bに示したゲートバッファの構成は、図10Aに示したゲートバッファの構成と同じく、2つのバッファ161とバッファ162を図示してあるが、ゲート線の数に対応する数のバッファが備えられているうちの2つのバッファを説明のために図示してある。
【0079】
また、バッファ161とバッファ162は、それぞれ電位GateBに相当する電位の信号を出力するVGH線に接続されている点は、図10Aに示したバッファ151とバッファ152と同じである。しかしながら、バッファ161はスイッチ171を介して、バッファ162はスイッチ172を介して、それぞれ、電位GateAに相当する電位の信号を出力するVGL1線と接続されるか、または接続されない(フローティングの状態にされる)点が、図10Aに示したバッファ151とバッファ152と異なる。
【0080】
バッファ161とバッファ162は、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL1線から供給される信号を出力する状態、VGH線から供給される信号を出力する状態、およびフローティングの状態とを切り替える。また、スイッチ171とスイッチ172も、それぞれ図示していない外部からの指示に基づき、所定のタイミングで、VGL1線への接続と開放を切り替え、接続されているときにはVGL1線から供給される信号をバッファ161、バッファ162にそれぞれ供給するように構成されている。
【0081】
バッファ161は、ゲート線(n)に接続され、バッファ162は、ゲート線(n+1)に接続される。例えば、バッファ161がゲート線101−1(図9A)に接続されている場合、バッファ162は、ゲート線101−2(図9A)に接続されている。
【0082】
例えば、スイッチ171が接続されると、バッファ161には、VGL1線から電位GateAに相当する電位の信号が供給される状態とされ、スイッチ171が開放されると、バッファ161は、電位がフローティングされた状態とされる。
【0083】
このように、スイッチを設け、VGL1線への接続のオン、オフを切り替えることができる構成とすることで、フローティングの状態と、フローティングではない状態を作り出すことが可能となる。
【0084】
[タイミングチャートを参照した説明]
さらにタイミングチャートを参照し、タッチセンサとして機能するときに、フローティング状態にすることで、TFT回路61の耐圧を確保することについて説明する。
【0085】
上記したように、タッチセンサ付き表示装置が表示装置として機能するときの書き込みには、電荷の偏りが発生しないように正極、負極側の書き込みがあり交流反転されている。電位差Vgdが最も大きくなるのは、一般的に正極性を書き込んだ画素電位を保持している期間の画素TFT(TFT回路61)である。
【0086】
そのため上記したように、正極性側の書き込みをした画素に対して電位差Vgdが、所定の規格を超えないように、かつ、画素電位がリークしないような電位(電位GateC)へ画素TFTのゲート電位をフローティング制御すると説明した。このようなフローティング制御がなされることでコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することが可能となる。また、負極性側の書き込みをしたが画素に対しても、同様に、画素TFTのゲート電位をフローティング制御することでコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅化することが可能となる。
【0087】
この際、書き込み期間でない時間である垂直ブランキング期間(V blank)と水平ブランキング期間(H blank)に、タッチセンサとして機能させるための、上記した電位GateCに電位を制御する、具体的にはフローティング制御することで、画像データに起因するリークが発生しないように制御することが可能となる。Sig電位はリークしない一定電位であることが望ましい。
【0088】
タッチセンサ付き表示装置は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間を利用してタッチセンサとして機能する。垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間のそれぞれにおいて、画素のゲート負電源の持ち上げが、電位をフローティングの状態にすることで行われる。図11は、垂直ブランキング期間のときのタイミングチャートを示し、図12は、水平ブランキング期間のときのタイミングチャートを示す。
【0089】
図11を参照するに、VCKは垂直同期信号を示し、Sigは映像信号を示す。Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ上記してきた電位Vcom、電位Gate、および電位Vpixを示す。また、Gate1乃至GateNは、それぞれゲート線1乃至Nに接続されているバッファからの出力信号の電位を示し、Vpix1乃至VpixNは、それぞれゲート線1乃至Nに接続されている液晶容量Cの電位を示す。また、Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ図8を参照して説明した電位の関係を満たす。
【0090】
コモン駆動信号Vcomは、垂直ブランキング期間の間、所定の周期の信号であり、電位VcomAと電位VcomBとを繰り返す信号とされ、各画素に順次供給される。Gate1が、正極性の画素に接続されているゲート線1の電位であるとする。この場合、図11に示すタイミングで、電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線1に接続されている正極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位Vpix1は、書き込みが行われた後、電位VpixCで維持される。
【0091】
液晶容量Cの電位Vpix1が電位VpixCで維持されているときに、垂直ブランキング期間になり、電位VcomAと電位VcomBが所定の周期で繰り返されるコモン駆動信号Vcomが加えられると、その周期に対応して、液晶容量Cの電位Vpix1も、電位VpixCと電位VpixDが繰り返される信号となる。このように、正極性の画素の液晶容量Cの電位Vpix1が変動する期間、すなわちこの場合、垂直ブランキング期間の間、Gate1の電位は、フローティングの状態にされる。
【0092】
図11には、垂直ブランキング期間の間、Gate1の電位は、電位GateAで固定されているかのように図示してあるが、フローティングの状態のときのGate1の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位となるため、電位GateAで固定されているわけではない。図11においては、フローティングの状態にされている間のGate1の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位であることを示すために点線で示してある。
【0093】
負極性のときも、正極性のときと同じく、垂直ブランキング期間の間、ゲートの電位は、フローティングの状態とされ、例えば、Gate2の電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位とされる。
【0094】
ゲートバッファ161のスイッチ171(図10B)は、垂直ブランキング期間の前の時点では、接続された状態にされ、ゲートバッファ161は、VGL1線を介して供給される電位GateAの信号を出力する。そして、垂直ブランキング期間になると、スイッチ171は、開放状態に切り替えられ、ゲートバッファ161は、フローティングの状態とされる。そして、垂直ブランキング期間が終了すると、スイッチ171は再度接続され、VGL1線を介して供給される電位GateAの信号をゲートバッファ161に供給する状態にされる。このようなことが繰り返される。
【0095】
このように、垂直ブランキング期間の間、ゲートの電位はフローティングの状態とされ、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位となるように制御される。よって図8を参照して説明したように、液晶容量Cの電位Vpix1が、電位VpixCと電位VpixDと変動しても、TFT回路61の耐圧を超えることなく制御することができる。
【0096】
また、タッチセンサとして機能しているブランキング期間の間、ゲート負電圧を、フローティングの状態で維持することで、ブランキング期間の間に供給されるコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅にする(電位VcomAと電位VcomBの電位差を大きくする)ことが可能となり、タッチセンサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0097】
図12は、水平ブランキング期間のときの電位の変化について説明するためのタイミングチャートである。水平ブランキング期間のときも、基本的に上記した垂直ブランキング期間のときの電位の変化と同じである。
【0098】
図12を参照するに、HCKは水平同期信号を示し、Sigは映像信号を示す。Vcom、GateM乃至GateN、およびVpixM乃至VpixNは、それぞれ上記してきた電位Vcom、電位Gate、および電位Vpixを示す。また、GateM乃至GateNは、それぞれゲート線M乃至Nに接続されているバッファからの出力信号の電位を示し、VpixM乃至VpixNは、それぞれゲート線M乃至Nに接続されている液晶容量Cの電位を示す。また、Vcom、Gate1乃至GateN、およびVpix1乃至VpixNは、それぞれ図8を参照して説明した電位の関係を満たす。
【0099】
図12に示すタイミングで、GateMの電位が電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線Mに接続されている正極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位VpixMは、書き込み後の電位VpixCを維持する。正極性のGateMは、タッチセンサとして機能する水平ブランキング期間のとき、フローティングの状態とされ、それ以外のときにはフローティングの状態ではない状態とされる。
【0100】
同様に、図12に示すタイミングで、GateM+1の電位が電位GateAから電位GateBにされることで、ゲート線M+1に接続されている負極性の画素がオンにされ、映像信号に基づき、書き込みが行われる。電位VpixMは、書き込み後の電位VpixBを維持する。負極性のGateM+1は、タッチセンサとして機能する水平ブランキング期間のとき、フローティングの状態とされ、それ以外のときにはフローティングの状態ではない状態とされる。
【0101】
図11と同じく、図12においても、フローティングの状態にされている間のゲートの電位は、コモン駆動信号Vcomの振幅によってカップリングを受けた電位であり、そのような電位を点線で示してある。
【0102】
このように、タッチセンサとして機能する期間のうち、TFT回路61をオンにする期間は、電位GateBとされるが、それ以外の期間であり、水平ブランキング期間ではないときには、電位GateAとされる。そして、水平ブランキング期間のときには、フローティングの状態とされ、コモン駆動信号Vcomの振幅にカップリングされた電位とされる。
【0103】
この場合も、水平ブランキング期間の間は、ゲートにかかる電位をコモン駆動信号Vcomの振幅にカップリングされた電位とすることができ、図8を参照して説明したように、液晶容量Cの電位Vpix1が、電位VpixCと電位VpixDと変動しても、その変動に合わせて、結果としてゲートの負電源が持ち上げられるため、TFT回路61の耐圧を超えることなく制御することができる。
【0104】
また、タッチセンサとして機能している水平ブランキング期間の間、ゲート負電圧を持ち上げることができるようになることで、水平ブランキング期間の間に供給されるコモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅にする(電位VcomAと電位VcomBの電位差を大きくする)ことが可能となり、センサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0105】
なお、上記したように、ブランキング期間の間、ゲート電位がフローティングの状態にされるようにしても良いし、ブランキング期間の間であり、コモン駆動信号Vcomの振幅に同期してゲート電位がフローティングの状態にされるようにしても良い。
【0106】
[効果]
このように、本技術によれば、タッチセンサ付き表示装置が、タッチセンサとして機能するときに、ゲートの電位をフローティングの状態とすることで、ゲート負電源を持ち上げることできるようになり、TFT回路の耐圧を超えるようなことを防ぐことができる。また、ゲート負電源を持ち上げることが可能となることで、その分(以上)のコモン駆動信号Vcomの電位を高くし、TFT回路にかけることが可能となる。よって、コモン駆動信号Vcomの振幅を高振幅とすることができ、このことにより、タッチセンサとしての性能を向上させることが可能となる。
【0107】
また、このようなゲート負電源を持ち上げる期間(フローティングの状態とされる期間)を、画素に対する書き込み期間でない垂直ブランキング期間や水平ブランキング期間に行うことで、画像データに起因するリークが発生するようなことを防ぐことが可能となる。
【0108】
さらに、コモン駆動信号VcomとGate線間の寄生容量が見えなくなるため、コモン駆動信号Vcomの切り替え速度(時定数)を改善できる。
【0109】
[記録媒体について]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0110】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303は、バス304により相互に接続されている。バス304には、さらに、入出力インタフェース305が接続されている。入出力インタフェース305には、入力部306、出力部307、記憶部308、通信部309、およびドライブ310が接続されている。
【0111】
入力部306は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部307は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部308は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部309は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ310は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動する。
【0112】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU301が、例えば、記憶部308に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース305およびバス304を介して、RAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0113】
コンピュータ(CPU301)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア311に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0114】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア311をドライブ310に装着することにより、入出力インタフェース305を介して、記憶部308にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部309で受信し、記憶部308にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM302や記憶部308に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0115】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0116】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0117】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0118】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0119】
(1)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備え、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
タッチセンサ付き表示装置。
(2)
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされる
前記(1)に記載のタッチセンサ付き表示装置。
(3)
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされる
前記(1)または(2)に記載のタッチセンサ付き表示装置。
(4)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
電位制御方法。
(5)
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
ための処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0120】
2 画素基板, 4 対向基板, 6 液晶層, 7 コンタクト導電柱, 21 TFT基板, 22 画素電極, 41 ガラス基板, 42 カラーフィルタ, 43 共通電極(兼センサ用駆動電極), 43D ドライバ, 44 センサ用検出電極, 45 偏光板, 61 TFT回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備え、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
タッチセンサ付き表示装置。
【請求項2】
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされる
請求項1に記載のタッチセンサ付き表示装置。
【請求項3】
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされる
請求項1に記載のタッチセンサ付き表示装置。
【請求項4】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
電位制御方法。
【請求項5】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
ための処理を実行させるプログラム。
【請求項1】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備え、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
タッチセンサ付き表示装置。
【請求項2】
前記ゲートの電位は、垂直ブランキング期間と水平ブランキング期間の間、フローティングの状態にされる
請求項1に記載のタッチセンサ付き表示装置。
【請求項3】
前記ゲートの電位は、前記タッチセンサ用駆動信号によってカップリングを受けた電位となるようにフローティングの状態にされる
請求項1に記載のタッチセンサ付き表示装置。
【請求項4】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して、または並んで設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置の電位制御方法であって、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
電位制御方法。
【請求項5】
複数の表示画素電極と、
前記表示画素電極と対向して設けられた共通電極と、
画像表示機能を有する表示機能層と、
画像信号に基づいて、前記表示画素電極と前記共通電極との間に表示用電圧を印加して前記表示機能層の表示機能を発揮させるように画像表示制御を行う表示制御回路と、
前記共通電極と対向して設けられ、前記共通電極との間に静電容量を形成するタッチ検出電極と
を備えるタッチセンサ付き表示装置を制御するコンピュータに、
前記表示制御回路により前記共通電極に印加される表示用駆動電圧をタッチセンサ用駆動信号として利用し、
前記タッチセンサ用駆動信号が印加されている間、前記表示画素電極を構成するTFT回路のゲートの電位をフローティングの状態にする
ための処理を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−101427(P2013−101427A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243648(P2011−243648)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】
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