説明

タッチパネルおよびタッチパネル型座標入力方法

【課題】 操作面に異物が付着することによる位置検出精度の低下を回避する、表面弾性波を用いたタッチパネルおよびこのタッチパネルにより座標位置検出するタッチパネル型座標入力方法を実現する。
【解決手段】 タッチパネル1は、可撓性を有し、タッチ操作される操作面21とは反対側に位置する被接触部材2に対向する面を、表面弾性波の伝播面22とする透明基板11を備え、操作面21がタッチ操作されて撓んだ透明基板11の伝播面22が被接触部材2に接触したときに生じる表面弾性波の伝播状態の変化に基づいて、当該タッチ操作の位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波を用いたタッチパネルおよびこのタッチパネルにより座標位置検出するタッチパネル型座標入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)を用いたタッチパネル(以下、単に「SAWタッチパネル」と称する。)は、抵抗膜方式のタッチパネルと比較して光透過率が高いことから、より鮮明な画像を表示することが可能である。また、タッチ操作される画面領域付近は、抵抗膜方式のタッチパネルでは複数の層で構成されるが、SAWタッチパネルは、1枚のガラス基板で構成できることからのでタッチパネルの小型化が容易である。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は表面弾性波を用いたタッチパネルの従来例を示す断面図であり、図9は表面弾性波を用いたタッチパネルの従来例を示す上面図である。また、図10は、表面弾性波生成手段および表面弾性波検出手段を実現するトランスジューサを示す分解斜視図である。
【0004】
SAWタッチパネル50では、LCDなどの表示装置2のディスプレイ画面の上方に、表面弾性波を伝播するための透明基板51が設けられる。透明基板51はガラス基板からなる。操作面が略四角形状を有する透明基板51の4辺のうち、該操作面上の、対向する2辺に表面弾性波生成手段52が設けられ、残りの2辺に表面弾性波検出手段52が設けられる。表面弾性波生成手段52は、表面弾性波が操作面の対角線に略平行な方向に向かって(図中、点線の矢印で示す。)該操作面上を伝播することとなるように、該表面弾性波を生成する。
【0005】
表面弾性波生成手段52および表面弾性波検出手段53は、図10に示すように、透明基板2上に、ともに同一構造のトランスジューサ60で実現することができる。トランスジューサ60は、圧電薄膜61を短絡電極62と単極性の櫛型電極63の配列とで挟んだSPT(Single Phase Transducer)の電極構造を有している。
【0006】
圧電薄膜61は、応力を加えると電気分極が生じ、電界を加えると歪みもしくは応力を生ずる性質を有する。SAWタッチパネル50では、この性質を利用して、表面弾性波(SAW)の生成および検出を行う。櫛型電極63は、くの字形状を有するシェブロン形電極である。櫛型電極63は、複数連続して配列され、なおかつそのそれぞれはバス電極64を介して接続される。
【0007】
図9に示すように、表面弾性波生成手段52は、操作面の対角線に略平行な方向に向かって表面弾性波が操作面上を伝播するように、表面弾性波を常時生成している。一方、表面弾性波検出手段53は、表面弾性波生成手段52から送られてくる表面弾性波を、常時受信する。このとき、操作面を例えば指やスタイラスペンを用いてタッチ操作すると、当該タッチ操作された箇所において、表面弾性波の伝播が遮断され、表面弾性波の伝播状態に変化が生じる。SAWタッチパネル50では、この表面弾性波の伝播状態の変化情報を検出し、この検出結果を演算処理して当該タッチ操作の位置を検出する。
【0008】
また、上記圧電部材として圧電セラミックを用いたタッチパネルも既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第3010669号明細書
【特許文献2】特開平10−55246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のSAWタッチパネルでは、表面弾性波が伝播している操作面を、指やスタイラスペンを用いてタッチ操作し、このときに生じる当該タッチ操作された箇所における表面弾性波の伝播状態に変化に基づいて、当該タッチ操作の位置を検出している。このため、透明基板の操作面上に水滴やゴミなどの異物が付着することでも表面弾性波の伝播状態が変化してしまう。このことは、位置検出精度の低下につながる。このような位置検出精度の低下を演算処理により補償する方法もあるが、十分な効果が得られておらず、処理内容も複雑である。
【0011】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、操作面に異物が付着することによる位置検出精度の低下を回避する、表面弾性波を用いたタッチパネルおよびこのタッチパネルにより座標位置検出するタッチパネル型座標入力方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するために、本発明においては、透明基板を可撓性を有する部材で構成する。そして、透明基板のタッチ操作される操作面とは反対側の面に、表面弾性波を伝播させる。すなわち、操作面とは反対側の面を、表面弾性波が伝播する伝播面とする。また、透明基板の伝播面と対面するよう、該伝播面に対して所定の間隔を有するように被接触部材を設置する。
【0013】
つまり本発明では、可撓性を有する透明基板の操作面とは反対側に位置する被接触部材に対向する面を伝播面とする表面弾性波の、操作面がタッチ操作されて撓んだ透明基板の伝播面が被接触部材に接触したときに生じる伝播状態の変化に基づいて、当該タッチ操作の位置を検出する。被接触部材は、例えばディスプレイ画面などである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、SAWタッチパネルの透明基板の操作面には表面弾性波は伝播させず、操作面の反対側の面を表面弾性波の伝播面としていることから、操作面側に水滴やゴミなどの異物が付着しても、位置検出精度が低下することはない。そもそも、表面弾性波の伝播面は、所定の間隔を有するように被接触部材を対面していることから、伝播面に異物が付着しにくい。
【0015】
また、従来のSAWタッチパネルでは操作面上に表面弾性波を伝播させなければならないことから操作面上にフィルムを貼着することが不可能であったが、本発明によるSAWタッチパネルでは、操作面上には表面弾性波を伝播させないので、操作面に別途カバーフィルムを貼着することができる。つまり、例えば、透明基板が割れることによる破片の飛散を防止するフィルム、アンチグレア処理されたフィルム、あるいは偏光機能を有するフィルムなど、種々の機能を有するフィルムを貼着することができるので、SAWタッチパネルの機能の拡張が容易である。
【0016】
さらに、従来のSAWタッチパネルでは、つめ先、金属ペンもしくはプラスチックペンなどのような表面弾性波を吸収しにくい材質のものでタッチ操作したときと、指もしくはゴムなどのような表面弾性波を吸収しやすい材質のものでタッチ操作したときとでは、タッチ操作時における操作面に対する入力荷重が異なることから、使用感が異なっていた。特に、表面弾性波を吸収しにくい材質のものでタッチ操作したときは、感度が低く、使用感が悪かった。これに対し、本発明では、操作面がタッチ操作されて撓んだ透明基板の伝播面が、被接触部材に接触することによるもの、すなわち表面弾性波の伝播が遮断されるのは常に被接触部材が伝播面に接触することによるものであることから、表面弾性波を吸収しにくい材質のものもしくは吸収しやすい材質のものにかかわらずどのような材質のものであってもほぼ同じ入力荷重でタッチ操作することができるので、使用感のばらつきを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの上面図である。図2は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの、図1におけるA−A断面図である。
【0018】
本発明の実施例によるSAWタッチパネル1は、可撓性を有する透明基板11を備える。透明基板11は、タッチ操作される操作面21とは反対側に位置する被接触部材2に対向する面を、表面弾性波の伝播面22とする。透明基板11の伝播面22と対面する側には、伝播面22に対して所定の間隔を有するように被接触部材2が設置される。被接触部材2は、例えばCRT、LCD、ELもしくはPDPなどの表示装置のディスプレイ画面である。
【0019】
透明基板11は、例えば透明なガラス基板である。しかし、本発明はこれに限定されず、ある程度の光透過率を有し、かつ、微弱なエネルギーの表面弾性波を伝達できるとともにタッチ操作されたときにある程度の撓みが生じる程度の硬度を有する部材からなる基板であればよい。例えばアクリルやポリカーボネイトなどの部材からなる基板も適用可能である。
【0020】
透明基板11の操作面21および伝播面22は、本実施例では略四角形状を有する。また、透明基板11の厚さは、透明基板11の操作面21がタッチ操作されたときに、上記所定の間隔を有して設置された被接触部材2と接触できる程度のものであればよい。一例を挙げると、透明基板11の厚さは、透明基板の操作面21の対角線長さの例えば百分の一〜数百分の一程度でよい。例えば、対角線長が10cmである操作面21を有する透明基板11の厚さは0.3〜0.5mm程度であり、この場合の上記所定の間隔は例えば50μmである。
【0021】
SAWタッチパネル1は、透明基板11の伝播面22を伝播するように表面弾性波を生成する表面弾性波生成手段12と、表面弾性波生成手段11が生成した表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段13とを備える。透明基板11の伝播面22の4辺のうち、対向する2辺に表面弾性波生成手段12が設けられるとともに残りの2辺に表面弾性波検出手段13が設けられる。すなわち、本発明では、透明基板11の伝播面22は操作面21の反対側にあることから、表面弾性波生成手段12および表面弾性波検出手段13は従来例のように操作面上に設けられるのではなく、操作面21の反対側の伝播面22上に設けられる。表面弾性波生成手段12は、伝播面22の対角線に略平行な方向に向かって(図1中、点線の矢印で示す。)伝播するよう表面弾性波を生成する。
【0022】
本発明では、透明基板11の操作面21がタッチ操作されて透明基板11が撓んで伝播面22が被接触部材2に接触したとき、伝播面22を伝播している表面弾性波の伝播状態が変化するが、この変化に基づいて、前記のタッチ操作の位置を検出する。つまり、表面弾性波検出手段13は、この表面弾性波の伝播状態の変化情報を検出し、この検出結果を演算処理して当該タッチ操作の位置を検出する。
【0023】
図3は、本発明の実施例によるSAWタッチパネル中のトランスジューサの断面図である。
【0024】
表面弾性波生成手段12および表面弾性波検出手段13はそれぞれ、圧電薄膜61を短絡電極62と単極性の櫛型電極63の配列とで挟んだSPT(Single Phase Transducer)の電極構造を有するトランスジューサ60からなることは図10を参照して説明した通りである。
【0025】
透明基板11の伝播面22上の、表面弾性波生成手段12および表面弾性波検出手段13(すなわちトランスジューサ60)がそれぞれが向かい合う側とは反対側には、それぞれ吸音材31が設けられる。トランスジューサ60がそれぞれが向かい合う側とは反対側にはバス電極64および引回し配線32が設けられているが、これらバス電極64および引回し配線32の少なくとも一部分を覆うように、吸音材31が設けられる。吸音材31は、絶縁体からなり、例えばゴムパッキン材を貼り付けたもの、あるいは印刷レジストにより形成されたものなどからなる。
【0026】
表面弾性波検出手段13は、表面弾性波生成手段12で生成され、伝播面22(透明基板11の表面から例えば約0.1mmぐらいの表層部分)を伝播してきた表面弾性波を直接受信する。しかし、表面弾性波生成手段12で生成された表面弾性波は、透明基板11の伝播面22の端部付近で反射しやすく、この反射波についても表面弾性波検出手段13が受信してしまうと、位置検出精度に影響を及ぼしてしまう。吸音材31はこれを防止するためのものである。また、本実施例では、吸音材31は、透明基板11を被接触部材2上に支持する支持部材の機能をも有する。
【0027】
以上説明した本発明の実施例によれば、SAWタッチパネル1の透明基板11の操作面21には表面弾性波は伝播させず、操作面21の反対側の面を表面弾性波の伝播面22としていることから、操作面21側に水滴やゴミなどの異物が付着しても、位置検出精度が低下することはない。また、表面弾性波の伝播面22は、所定の間隔を有するように被接触部材2を対面していることから、伝播面22に異物が付着しにくい。
【0028】
次に、本発明の実施例の変形例について説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第1の変形例を示す断面図である。
【0030】
第1の変形例によるSAWタッチパネル1は、操作面21上にプラスチックフィルム等のカバーフィルム14を貼着したものである。カバーフィルム14は、光透過率が十分に高いものが好ましい。
【0031】
例えば、カバーフィルム14を、透明基板11が割れることによる破片の飛散を防止するためのフィルムとしてもよい。これにより、PDA、携帯電話、ノート型パソコンなどのモバイル機器や、カーナビケーションシステムやカーオーディオなどの車載用機器など、耐衝撃性が要求される機器のタッチパネルとしても利用することができる。
【0032】
また例えば、カバーフィルム14を、アンチグレア処理されたフィルムとしてもよい。アンチグレア処理は、表面部分に凹凸を持たせて光が乱反射するようにする処理のことであり、例えばカーナビゲーションシステムのディスプレイなどのように光が直接反射する現象を好まない機器に適用されている。従来のSAWタッチパネルでは操作面上を表面弾性波が伝播することから該操作面をアンチグレア処理することはあまり好ましくなく、また、仮にアンチグレア処理するとしても、透明基板(例えばガラス基板)をエッチングする必要があるなど、製造が面倒であった。しかし、本発明においては、カバーフィルム14を透明基板11の操作面21上に貼着できるので、このカバーフィルム14を、既にアンチグレア処理されたフィルムとすれば、容易にアンチグレア処理の効果を享受することができる。例えば、市販されている、アンチグレア処理したフィルムを利用してもよい。
【0033】
また例えば、カバーフィルム14を、偏光機能を有するフィルムとしてもよい。特に被接触部材をLCDとする場合には、偏光機能を有するフィルムが必要であるが、これを操作面に貼着することにより、インナータッチパネルとすることができる。
【0034】
またさらに、上述のような機能以外を有するフィルムをカバーフィルム14としてもよい。また、上述のような種々の機能を有する各フィルムを何枚か張り合わせてこれをカバーフィルム14としてもよい。またあるいは、種々の機能を複数同時に有する1枚のフィルムをカバーフィルム14としてもよい。
【0035】
以上説明した第1の変形例によれば、透明基板11の操作面21上に種々の機能を有するフィルムを貼着することができるので、SAWタッチパネル1の機能の拡張が容易である。
【0036】
図5は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第2の変形例を示す斜視図である。第2の変形例では、透明基板11の略四角形状を有する伝播面側の4隅に、透明基板11を被接触部材2上に支持する支持部材15をさらに備えるものである。例えば対角線長が10cmである操作面を有する透明基板11においては、支持部材の高さは0.1mm程度でよい。
【0037】
図6は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第3の変形例を示す斜視図である。図7は、本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第3の変形例を示すA−A断面図である。
【0038】
既に説明したように本発明においては、透明基板11は、タッチ操作されたときにある程度の撓みが生じる程度の硬度を有する部材からなる基板、例えばガラス基板である。透明基板11の操作面21がタッチ操作されたときには、透明基板11が撓み、透明基板11の伝播面22は所定の間隔を有して設置された被接触部材2と接触しなければならない。そこで、第3の変形例では、この撓みをより確実なものとするために、伝播面22が略四角形状を有する透明基板11は、操作面21となる部分の厚さを、伝播面22を均一平面に維持しつつ、透明基板11の少なくとも1辺付近に比べて薄くした構造を有する。図示の例では、操作面21となる部分の厚さは、透明基板11の4辺付近に比べて薄くなっている。このように薄くされた部分の操作面21上には、カバーフィルム14が貼着される。カバーフィルム14は、当該操作面21上に設けられることにより操作面21が全体にわたって均一平面となるような厚さを有するのが好ましい。
【0039】
上述の第3の変形例によるSAWタッチパネル1の製造方法の一例を挙げると次の通りである。まず、均一な厚さを有する透明基板に、表面弾性波生成手段および表面弾性波検出手段となるトランスジューサを形成する。次に、トランスジューサを形成した面(すなわち伝播面)の反対側の操作面のうち、実際の操作可能領域に相当する部分をエッチング処理して、当該部分を薄く加工する。そして、この薄くした部分にカバーフィルムを貼着する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、操作面側に水滴やゴミなどの異物が付着しても、位置検出精度が低下することのないSAWタッチパネルを実現することができる。また、表面弾性波の伝播面は、所定の間隔を有するように被接触部材を対面していることから、伝播面に異物が付着しにくい。SAWタッチパネルは、抵抗膜方式など他の方式のタッチパネルに比べ、部品点数が少なく構造が簡便であるので、非常に薄い入出力装置を容易に実現することができる。
【0041】
また、従来のSAWタッチパネルと比べても、操作面側にカバーフィルムを貼着可能であることから、機能の拡張も容易である。例えば、カバーフィルムを貼着することで、万が一、透明基板が割れるようなことがあっても、割れた破片の飛散を防止することができる。PDA、携帯電話、ノート型パソコンなどのモバイル機器や、カーナビケーションシステムやカーオーディオなどの車載用機器など、耐衝撃性が要求される機器のタッチパネルとしても本発明は最適である。また例えば車載用機器のタッチパネルとして用いる場合は、アンチグレア処理されたフィルムや偏光機能を有するフィルムを貼着すればよい。
【0042】
さらに、本発明では、操作面がタッチ操作されて撓んだ透明基板の伝播面が、被接触部材に接触することによるもの、すなわち表面弾性波の伝播が遮断されるのは常に被接触部材が伝播面に接触することによるものであることから、表面弾性波を吸収しにくい材質のものもしくは吸収しやすい材質のものにかかわらずどのような材質のものであってもほぼ同じ入力荷重でタッチ操作することができるので、使用感のばらつきを抑えることができる。例えば、指でタッチ操作する場合も金属ペンでタッチ操作する場合も同じような使用感を得ることができる。なお、一般的には入力荷重が低い方が使用感が良くなるが、入力荷重が極端に低いと誤入力の原因になるので、適当な入力荷重に設定するのが望ましい。
【0043】
また、本発明によれば、可撓性を有する透明基板であって、タッチ操作される操作面とは反対側に位置する被接触部材に対向する面を表面弾性波の伝播面とする透明基板さえ備えていれば、被接触部材がどのようなものであっても、容易にSAWタッチパネル型の座標入力装置を実現することができる。画像出力装置としての機能が特に必要ないのであれば、被接触部材を、表示装置のディスプレイ画面ではなく、例えば単なる板材としてもよく、この場合は上記透明基板は必ずしも透明でなくてもよい。本発明によるSAWタッチパネルは薄型であるとともに、異物による位置検出精度の低下がないので、様々な環境下で使用可能な汎用性の高いタッチパネル型入力装置として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの上面図である。
【図2】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの、図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の実施例によるSAWタッチパネル中のトランスジューサの断面図である。
【図4】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第1の変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第2の変形例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第3の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例によるSAWタッチパネルの第3の変形例を示すA−A断面図である。
【図8】表面弾性波を用いたタッチパネルの従来例を示す断面図である。
【図9】表面弾性波を用いたタッチパネルの従来例を示す上面図である。
【図10】表面弾性波生成手段および表面弾性波検出手段を実現するトランスジューサを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 SAWタッチパネル
11 透明基板
12 表面弾性波生成手段
13 表面弾性波検出手段
14 カバーフィルム
15 支持部材
21 操作面
22 伝播面
31 吸音材
32 引回し配線
60 トランスジューサ
61 圧電薄膜
62 短絡電極
63 櫛型電極
64 バス電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、タッチ操作される操作面とは反対側に位置する被接触部材に対向する面を、表面弾性波の伝播面とする透明基板を備え、
前記操作面がタッチ操作されて撓んだ前記透明基板の前記伝播面が前記被接触部材に接触したときに生じる前記表面弾性波の伝播状態の変化に基づいて、前記のタッチ操作の位置を検出することを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記透明基板の前記伝播面を伝播するように前記表面弾性波を生成する表面弾性波生成手段と、
該表面弾性波生成手段が生成した表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段と、
をさらに備える請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記被接触部材は、ディスプレイ画面である請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記透明基板の前記操作面上に設けられるカバーフィルムをさらに備える請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記カバーフィルムは、アンチグレア処理された部材からなる請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記カバーフィルムは、偏光性を有する部材からなる請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記伝播面が略四角形状を有する前記透明基板上の4辺のうち、対向する2辺に前記表面弾性波生成手段が設けられるとともに残りの2辺に前記表面弾性波検出手段が設けられ、
前記表面弾性波生成手段は、前記伝播面の対角線に略平行な方向に向かって伝播するよう前記表面弾性波を生成する請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記透明基板の前記伝播面上の、前記表面弾性波生成手段および前記表面弾性波検出手段がそれぞれが向かい合う側とは反対側にそれぞれ設けられる吸音材をさらに備える請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記表面弾性波生成手段および前記表面弾性波検出手段はそれぞれ、圧電薄膜を短絡電極と単極性の櫛型電極の配列とで挟んだ構造を有するトランスジューサからなる請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記トランスジューサがそれぞれが向かい合う側とは反対側に設けられるバス電極および引回し配線の少なくとも一部分を覆うように設けられる、絶縁体からなる吸音材をさらに備える請求項9に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記透明基板は、前記吸音材によって前記被接触部材上に支持される請求項8または10に記載のタッチパネル。
【請求項12】
略四角形状を有する前記伝播面の4隅に、前記透明基板を前記被接触部材上に支持する支持部材をさらに備える請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記伝播面が略四角形状を有する前記透明基板は、前記操作面となる部分の厚さを、前記伝播面を均一平面に維持しつつ、前記透明基板の少なくとも1辺付近に比べて薄くした構造を有する請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記操作面となる部分の厚さは、エッチング処理によって、前記透明基板の少なくとも1辺付近に比べて薄くなるよう形成される請求項13に記載のタッチパネル。
【請求項15】
薄くされた部分の前記操作面上に設けられるカバーフィルムであって、前記操作面上に設けられることにより前記操作面が全体にわたって均一平面となるような厚さを有するカバーフィルムをさらに備える請求項13に記載のタッチパネル。
【請求項16】
可撓性を有する透明基板の操作面とは反対側に位置する被接触部材に対向する面を伝播面とする表面弾性波の、前記操作面がタッチ操作されて撓んだ前記透明基板の前記伝播面が前記被接触部材に接触したときに生じる伝播状態の変化に基づいて、前記のタッチ操作の位置を検出することを特徴とするタッチパネル型座標入力方法。
【請求項17】
前記被接触部材は、ディスプレイ画面である請求項16に記載のタッチパネル型座標入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−285420(P2006−285420A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102002(P2005−102002)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】