説明

タッチパネルの容量検出回路、容量検出方法、およびそれを用いたタッチパネル入力装置、電子機器

【課題】容量検出回路のノイズ耐性を改善する。
【解決手段】送信回路20は、複数の容量センサ51〜mそれぞれの送信電極10に周期的な送信信号を印加する。受信回路26は、各容量センサ51〜mの容量変化を示すデジタル値Ds1〜mを、対応する受信電極121〜mに発生する受信信号IRXにもとづいて生成する。制御部50は、複数の容量センサ51〜mに対応して生成された複数のデジタル値Ds1〜mに応じて、ノイズの影響の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互キャパシタンス方式のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータや携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器は、指で接触することによって電子機器を操作するための入力装置を備えるものが主流となっている。こうした入力装置として、相互キャパシタンス(Mutual Capacitance)方式のタッチセンサ(タッチパネルともいう)が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第09/078944号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相互キャパシタンス方式の装置は、互いに容量的に結合された送信電極と受信電極のペアおよび送信電極と受信電極を駆動する制御回路を有する。制御回路が、送信電極から矩形パルスの送信信号を送信すると、受信電極には電極間の容量に応じた波形が現れる。制御回路は、受信電極に入力される信号の波形にもとづいて容量値の変化を検出する。
【0005】
受信電極に入力される受信信号は微弱であるため、制御回路の入力感度は高く設計される。したがって、送信信号の周波数と同じ周波数帯域のノイズの影響を受けやすく、誤検出、誤動作の要因となる。
【0006】
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ノイズ耐性の強い相互キャパシタ方式の容量センサの容量検出回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、複数の容量センサの容量検出回路に関する。各容量センサは、互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含んで構成される。容量検出回路は、複数の容量センサそれぞれの送信電極に周期的な送信信号を印加する送信回路と、各容量センサの容量変化を示すデジタル値を、対応する受信電極に発生する受信信号にもとづいて生成する受信回路と、複数の容量センサに対応して生成された複数のデジタル値に応じて、ノイズの影響の有無を判定する制御部と、を備える。
【0008】
容量センサに送信信号の周波数(送信周波数)に近い周波数のノイズが混入すると、受信信号にノイズが重畳される。ノイズの大きさは、同一フレーム内の複数の容量センサごとにばらつく。したがって、各容量センサの容量変化を示すデジタル値は、ノイズの影響によりばらつくことになる。あるいは、ノイズの影響を受ける場合と受けない場合では、複数のデジタル値は、異なる振る舞いを見せる。
したがって、この態様によると、同一フレーム内の複数の容量センサそれぞれのデジタル値を監視することにより、ノイズの有無を判定することができる。
【0009】
制御部は、同一フレーム内の複数のデジタル値を統計処理することにより、ノイズの影響の有無を判定してもよい。
【0010】
制御部は、所定のしきい値を超えるデジタル値の個数が所定数より多いとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。
ノイズの影響を受けない状況において、ユーザが容量センサに接触もしくは近接(以下、単に接触という)しなければ、容量変化が発生する容量センサの個数はゼロであり、接触した場合であっても、有意な容量変化が発生する容量センサの個数は、所定の個数以下となる確率が高い。なぜなら、通常の使用に際して、ユーザが接触する容量センサの個数は、指の大きさやその本数に応じて定まり、ある個数以下と想定されるからである。
つまり、ノイズの影響を受けない状況においては、所定のしきい値を超えるデジタル値の個数が所定数より多くなる確率はきわめて低い。したがって判定部は、所定のしきい値を超えるデジタル値の個数が所定数より多い場合に、ノイズの影響を受けていると推定することができる。
【0011】
制御部は、複数の容量センサそれぞれのデジタル値の分散が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。
ノイズの影響を受けない状況において、ユーザが容量センサに接触しなければ、デジタル値の分散は実質的にゼロであり、接触した場合であっても、デジタル値の分散は所定値より小さい確率が高い。したがって判定部は、デジタル値の分散にもとづいて、ノイズの影響の有無を判定できる。
【0012】
制御部は、複数の容量センサそれぞれのデジタル値の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。あるいは制御部は、複数の容量センサそれぞれのデジタル値と所定の基準値の差分の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。
ノイズの影響を受けない状況において、デジタル値の合計は、所定値より低くなる確率が高い。またノイズの影響を受けない状況において、各デジタル値と基準値の差分の合計は、ある値より低くなる確率が高い。
これらの判定条件によっても、ノイズの影響の有無を判定できる。
【0013】
制御部は、ノイズの影響があるものと判定されたとき、送信信号の周波数を切りかえてもよい。
送信周波数を切りかえることにより、ノイズの周波数と、送信周波数をずらすことができ、ノイズの影響を低減することができる。
【0014】
制御部は、ノイズの影響が検出されると周波数探索モードに移行し、当該周波数探索モードにおいて、送信信号の周波数を切りかえながら、各周波数においてノイズの判定処理を行ってもよい。制御部は、通常モードにおける送信信号の周波数を、判定処理の結果、ノイズの影響が最も少ないと推定される周波数に設定してもよい。
【0015】
複数のデジタル値の分散、合計、所定の条件を満たすデジタル値の個数をはじめとするパラメータは、ノイズの影響の大小を示す。したがって、送信信号の周波数をスイープさせることにより、ノイズの影響の小さな送信周波数を探索することができる。
【0016】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のある態様によれば、相互キャパシタ方式の容量センサを高精度で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】タッチパネル入力装置を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態に係る容量検出回路を有する入力装置の構成を示す回路図である。
【図3】実施の形態に係る容量検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図4】図4は、比較技術に係るセンシング方法を示すタイムチャートである。
【図5】容量検出回路の受信回路の第1の構成例を示す回路図である。
【図6】図5の容量検出回路の第1モードの動作を示すタイムチャートである。
【図7】図5の容量検出回路の第2モードの動作を示すタイムチャートである。
【図8】容量検出回路の受信回路の第2の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0021】
図1は、実施の形態に係るタッチパネル入力装置(単に入力装置という)2を備える電子機器1の構成を示す回路図である。入力装置2は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)8の表層に配置され、タッチパネルとして機能する。入力装置2は、ユーザが指やペンなど(以下、指6)でタッチしたポイント(点)のX座標およびY座標を判定する。
【0022】
入力装置2は、タッチパネル4および制御回路(容量検出回路)100、マイコン3を備える。タッチパネル4は相互キャパシタンス方式のマトリクス型タッチパネルであり、マトリクスの列ごとに設けられた複数の送信電極10と、マトリクスの列ごとに設けられた複数の受信電極12を備える。行と列の割り当ては逆でもよい。送信電極10と受信電極12の各交点において、2つの電極は互いに容量的に結合される(Capacitively coupled)。各交点の送信電極10と受信電極12のペアは、ひとつの容量センサ(Capacitive sensor)5を形成する。つまりタッチパネル4は、マトリクス状に配置された複数の容量センサ5を含む。ユーザの指やペンなどの物体が、ある容量センサ5に接触あるいは近接(以下、単に接触という)すると、その容量センサ5が形成する相互キャパシタンスが変化する。
【0023】
容量検出回路100は、複数の送信電極10に対して、順にサイクリックに送信信号を印加し、容量検出の対象となる列を選択する。容量検出回路100は、選択された送信電極10が、複数の受信電極12それぞれとの間で形成する容量の変化を検出する。選択された送信電極10が列座標、容量変化が発生した受信電極12が行座標に対応する。容量変化を示すデータは、マイコン3に送信される。マイコン3は、各座標の容量変化にもとづき、ユーザが接触した座標を判定する。
【0024】
図1の電子機器1において、タッチパネル4はさまざまなノイズの影響を受ける。具体的には、LCD8からのノイズ、電子機器1に搭載されるスイッチング電源のノイズ、USB(Universal Serial Bus)などのインタフェースからのノイズ、電子機器1の外部から入力されるノイズが例示される。
【0025】
図2は、実施の形態に係る容量検出回路100を有する入力装置2の構成を示す回路図である。図2には、ひとつの送信電極10と、それと直交する複数の受信電極121〜mを有するタッチパネル4が示されるが、送信電極10は複数設けられてもよい。
【0026】
送信電極10と、複数の受信電極12〜12はそれぞれ容量的に結合され、それらの間には、相互キャパシタンスCを含む容量センサ5〜5が形成される。容量検出回路100は、主として送信回路20、受信回路26および制御部50を備える。容量検出回路100は、複数の容量センサ5それぞれの相互キャパシタンスCの変化を、順に検出する。
【0027】
容量検出回路100は、送信端子(TX端子)と、受信電極12ごとに設けられた受信端子(RX端子)を有する。容量検出回路100のTX端子は送信電極10と接続され、容量検出回路100の各RX端子は、対応する受信電極12と接続される。
【0028】
送信回路20は、所定の送信周波数fTXを有する周期的な送信信号S1を発生し、送信電極10に印加する。信号発生器22は、周期的なクロック信号を発生する。ドライバ24は、クロック信号を受け、それと同期した送信信号S1を送信電極10に出力する。送信信号S1は、第1電圧レベル(たとえば電源電圧Vdd)と、第2電圧レベル(たとえば接地電圧Vss)を交互に繰り返す周期信号である。複数の送信電極10が設けられるタッチパネル4においては、選択される送信電極10に送信信号S1が印加され、その他の送信電極10には、固定的な電圧レベル、たとえば接地電圧Vssが印加される。
【0029】
受信回路26は、各容量センサ5(1≦i≦m)の容量変化を示すデジタル値Dsを、対応する受信電極12に発生する受信信号IRXにもとづいて生成する。受信回路26は、マルチプレクサMUX、積分回路30、サンプルホールド回路40、増幅器42、A/Dコンバータ44、を含む。
【0030】
マルチプレクサMUXは、検出対象の受信電極12を選択するためのセレクタである。マルチプレクサMUXは、複数の受信電極121〜mそれぞれに発生する受信信号IRXを順に選択する。
【0031】
積分回路30は、マルチプレクサMUXにより選択された受信信号IRXにもとづいて、各受信電極121〜mが形成する容量センサ51〜mの相互キャパシタンスCの変化量を検出し、容量変化に応じたレベルを有する検出電圧Vsを生成する。具体的には、受信信号IRXは電流信号であり、積分回路30は、電流IRXを積分し、容量変化に応じた検出電圧Vsを生成する。積分回路30は、公知の回路、あるいは後述する回路を用いればよく、その構成、方式は特に限定されない。
【0032】
サンプルホールド回路40は、積分回路30からの検出電圧Vsをサンプルホールドする。増幅器42は、必要に応じてサンプルホールドされた検出電圧Vsを増幅する。A/Dコンバータ44は、増幅された検出電圧Vsをデジタル値Dsに変換する。このデジタル値Dsは、各容量センサ5の容量変化を示す。
【0033】
制御部50は、送信回路20および受信回路26の動作シーケンスを制御する。また制御部50は、複数の容量センサ51〜mごとに生成された複数のデジタル値Ds1〜mに応じて、容量検出に対するノイズの影響の有無を判定する。
【0034】
制御部50によるノイズの影響の有無の判定原理を説明する。
容量センサ51〜mすなわちタッチパネル4に、送信信号S1の周波数(送信周波数fTX)に近い周波数のノイズが混入すると、受信信号IRXにノイズが重畳される。一般に、ノイズの大きさは、複数の容量センサ51〜mの位置(座標)に応じてばらつく。したがって、各容量センサ51〜mの容量変化を示すデジタル値Ds1〜mは、ノイズの影響によってばらつきうる。また、ノイズの大きさは時間的にランダムに変動するため、時分割によって複数の容量センサ51〜mの容量変化を検出する場合、検出の時刻に応じてデジタル値Dsがばらつきうる。つまり、ノイズの影響を受ける場合と受けない場合では、複数のデジタル値Ds1〜mは、異なる振る舞いを見せるといえる。
【0035】
したがって、制御部50は、複数の容量センサ51〜mごとに生成される複数のデジタル値Ds1〜mを監視することにより、ノイズの有無を判定することができる。なお、制御部50は、すべての容量センサ51〜mのデジタル値Ds1〜mを参照する必要はなく、その一部にもとづいて、ノイズの有無を判定してもよい。
【0036】
制御部50は、いくつかの判定条件にもとづいて、ノイズの影響の有無を判定することができる。以下、具体的な判定条件を説明する。
【0037】
(第1の判定条件)
制御部50は、各デジタル値Ds1〜mを、所定のしきい値DTH1と比較する。そして、所定のしきい値DTH1を超えるデジタル値Dsの個数が、所定数より多いとき、ノイズの影響があるものと判定する。
【0038】
ノイズの影響を受けない状況において、ユーザが容量センサ5に接触しなければ、容量変化が発生する容量センサ5の個数は原理的にゼロであり、接触した場合であっても、有意な容量変化が発生する容量センサの個数は、所定数以下となる確率が高い。なぜなら、通常の使用に際して、ユーザが接触する容量センサの個数は、指の大きさやその本数に応じて定まり、ある個数以下と想定されるからである。
【0039】
つまり、ノイズの影響を受けない状況においては、所定のしきい値DTH1を超えるデジタル値Dsの個数xが所定数Kより多くなる確率はきわめて低いといえる。したがって判定部50は、所定のしきい値DTH1を超えるデジタル値Dsの個数xが所定数Kより多い場合に、ノイズの影響を受けていると推定することができる。
【0040】
(第2の判定条件)
制御部50は、複数の容量センサ5それぞれのデジタル値Dsの分散σを計算する。そして、分散σが、所定のしきい値DTH2より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。
【0041】
ノイズの影響を受けない状況において、ユーザが容量センサ5に接触しなければ、デジタル値Ds1〜mの分散σは実質的にゼロであり、接触した場合であっても、デジタル値Ds1〜mの分散σは所定値より小さい確率が高い。したがって判定部50は、デジタル値Ds1〜mの分散σにもとづいて、ノイズの影響の有無を判定できる。
【0042】
(第3の判定条件)
制御部50は、複数の容量センサ51〜mそれぞれのデジタル値Ds1〜mの合計値Σi=1〜mDsを計算する。そして、合計値Σi=1〜mDsが、所定のしきい値DTH3より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。
【0043】
ノイズの影響を受けない状況において、各デジタル値Dsの合計Σi=1〜mDsは、ある値DTH3より低くなる確率が高い。反対にノイズの影響を受けると、ノイズに起因する受信信号IRXにより、デジタル値Ds1〜mが底上げされ、合計Σi=1〜mDsは、ノイズの影響が小さい場合に比べて大きくなる。
したがって、合計値Σi=1〜mDsをしきい値DTH3と比較することにより、ノイズの影響の有無を判定できる。
【0044】
(第4の判定条件)
制御部50は、複数の容量センサ51〜mそれぞれのデジタル値Ds1〜mと所定の基準値DREFの差分(Ds−DREF)の合計値Σi=1〜m(Ds−DREF)が、所定のしきい値DTH3より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定してもよい。この処理は、実質的に第3の方法と同等である。
【0045】
以上が判定条件の例である。上の条件は任意のものを組み合わせてもよく、複数の条件が同時に満たされるときに、ノイズの影響があるものと判定してもよい。また、当業者であれば、第1から第4の条件以外にも、それから導かれる原理を同じくする別の条件が存在することが理解される。
【0046】
ノイズの影響の有無の判定結果は、送信信号S1の送信周波数fTXに反映される。すなわち制御部50は、ノイズの影響があるものと判定されたとき、制御信号S2によって、送信信号S1の周波数fTXを別の値に切りかえる。これにより、送信周波数fTXがノイズの周波数とは異なる値にシフトされるため、容量検出に対するノイズの影響を低減することができる。
【0047】
容量検出回路100は、通常モードと周波数探索モードが切りかえ可能に構成される。
制御部50は、通常モードにおいてノイズの影響が検出されると周波数探索モードに移行する。周波数探索モードにおいて、送信信号S1の周波数fTXを複数の値で切りかえながら、各周波数においてノイズの判定処理を行ってもよい。制御部50は、通常モードにおける送信信号S1の周波数を、判定処理の結果、ノイズの影響が最も少ないと推定される周波数に設定する。
【0048】
ここで、第1から第4条件においては、所定の条件を満たすデジタル値Dsの個数x、複数のデジタル値Ds1〜mの分散σ、それらの合計Σi=1〜mDs、Σi=1〜m(Ds−DREF)をはじめとするパラメータが計算される。そしてこれらのパラメータは、ノイズの影響の大小を示す。したがって周波数探索モードにおいて、送信信号fTXの周波数をスイープさせることにより、ノイズの影響の小さな送信周波数を探索することができる。
【0049】
以上が容量検出回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、実施の形態に係る容量検出回路100の動作を示すタイムチャートである。時刻t0において、容量検出回路100は通常モードで動作しており、送信周波数fTXは、ある値fに設定されている。図3において、FD1、FD2…はそれぞれ、容量センサ51〜mのデジタル値を含む1フレーム分のデータを示す。
【0050】
フレームデータFD1〜FD5においては、各フレーム内の容量センサ5のデジタル値Dsにもとづき、ノイズの影響が小さいものと判定される。フレームデータFD6において、ノイズの影響が大きいと判定されると、周波数探索モードに設定される。
【0051】
時刻t1以降、送信周波数fTXをf、f、f、f、fとスイープしながら、各送信周波数fTXについて、フレームデータFD7、FD8、FD9、FD10、FD11が取得される。そして、各フレームデータFD7〜FD11それぞれについて、ノイズの影響の有無が判定される。
【0052】
そして、ノイズの影響の最も小さな送信周波数fTXがfであった場合、時刻t2以降の通常モードの送信周波数が、fに設定される。
【0053】
以上が容量検出回路100の動作である。
容量検出回路100によれば、複数の容量センサごとに生成される複数のデジタル値を監視することにより、ノイズの有無を判定することができる。
【0054】
通常モードにおいては、送信周波数を、ノイズの影響が小さな単一の周波数に固定して、各フレームのデータを取得することができる。この利点は、図4の比較技術との対比により明確となる。図4は、比較技術に係るセンシング方法を示すタイムチャートである。比較技術においては、3つの送信周波数f、f、fそれぞれについて、フレームデータFD1、FD1、FD1を取得する。ノイズの周波数が、3つの周波数f、f、fのうちひとつ(たとえばf)と重なっている場合、フレームデータFD1はノイズの影響を受け、FD1、FD1はその影響を受けない。比較技術では、フレームデータFD1、FD1、FD1の多数決を採り、ノイズの影響を低減する。
【0055】
この比較技術では、1つのフレームデータを取得するために、3つの周波数でセンシングする必要があるため、1フレームのデータを取得するのに必要なセンシング時間が長くなる。これに対して、実施の形態に係る容量検出回路100では、1フレームのデータを、単一の周波数で1回センシングすればよいため、センシング時間を短縮できる。
【0056】
実施の形態では、容量検出回路100の内部の制御部50が、ノイズの有無の判定処理を行う場合を説明したが、本発明はそれに限定されず、制御部50は容量検出回路100とは別のDSP(Digital Signal Processor)として構成されてもよい。具体的にはマイコン3が、制御部50として動作し、ノイズの有無を判定してもよい。この場合、容量検出回路100は、マイコン3からの制御信号に応じて、モードが切りかえられ、また送信周波数fTXも、マイコン3により制御される。この場合、容量検出回路100およびマイコン3を含めた全体が、特許請求の範囲における容量検出回路に対応する。
【0057】
続いて、受信回路26の具体的な構成例を説明する。
【0058】
(第1の構成例)
図5は、容量検出回路100の受信回路26の第1の構成を示す回路図である。
【0059】
積分回路30は、演算増幅器32、積分キャパシタCINT、駆動バッファ34、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、オフセット用キャパシタCOFS、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、第5スイッチSW5を備える。
【0060】
演算増幅器32の第1入力端子(非反転入力端子)には、所定の基準電圧VREFが印加される。積分キャパシタCINTは、演算増幅器32の出力端子とその第2入力端子(反転入力端子)の間に設けられる。駆動バッファ34は、演算増幅器32の反転入力端子の電位を受ける。たとえば駆動バッファ34はボルテージフォロア回路である。
【0061】
複数の第1スイッチSW11〜mはそれぞれ、受信電極121〜mごとに設けられる。第1スイッチSW1は、駆動バッファ34の出力端子と、対応する受信電極12の間に設けられる。複数の第2スイッチSW21〜mもそれぞれ、受信電極121〜mごとに設けられる。第2スイッチSW2は、対応する受信電極12と演算増幅器32の反転入力端子の間に設けられる。
【0062】
複数の第5スイッチSW51〜mもそれぞれ、受信電極121〜mごとに設けられる。第5スイッチSW51〜mは、容量検出回路100の非動作状態においてオンとなり、それぞれが接続されるラインの電位を固定するために設けられる。
【0063】
複数の第1スイッチSW11〜mおよび複数の第2スイッチSW21〜mは、検出対象の受信電極12を選択するためのセレクタ(マルチプレクサ)MUXとして把握することもできる。
【0064】
オフセット用キャパシタCOFSの第1端子は接地され、その電位が固定される。第3スイッチSW3は、オフセット用キャパシタCOFSの第2端子と演算増幅器32の反転入力端子の間に設けられる。第4スイッチSW4は、オフセット用キャパシタCOFSと並列に設けられる。第4スイッチSW4がオンすると、オフセット用キャパシタCOFSに蓄えられた電荷が放電する。オフセット用キャパシタCOFSの電荷が放電された状態で、第3スイッチSW3がオンすると、積分キャパシタCINTとオフセット用キャパシタCOFSとの間で電荷移動が起こり、演算増幅器32の出力電圧Vsが所定幅VOFSだけシフトする。
【0065】
第3スイッチSW3のオンによる電荷移動の前後で、オフセット用キャパシタCOFSの電圧変化はVREFであり、積分キャパシタCINTの電圧変化量はVOFSである。したがって電荷保存則から以下の関係式が成り立つ。
OFS×VREF=CINT×VOFS
【0066】
たとえばVREF=2V、2つの容量の比COFS/CINT=1/10とするとき、第3スイッチSW3を1回オンするごとに、演算増幅器32の出力電圧Vsは、シフト量VOFS=0.2Vだけシフトする。言い換えれば、オフセット用キャパシタCOFSの容量値に応じて、シフト量を調節できる。
【0067】
送信信号S1が印加されると、相互キャパシタンスCが充電され、その容量値に応じた電荷が蓄えられる。そして送信信号S1の電圧レベルが変化すると、相互キャパシタンスCに蓄えられた電荷が充放電され、電流IRXが発生する。積分回路30は、この電流IRXを積分し、容量変化に応じた検出電圧Vsを生成する。
【0068】
サンプルホールド回路40は、検出電圧Vsをサンプルホールドする。増幅器42は、必要に応じてサンプルホールドされた検出電圧Vsを増幅する。A/Dコンバータ44は、増幅された検出電圧Vsをデジタル値に変換する。このデジタル値は、各容量センサ5の容量変化を示す。
【0069】
制御部50は、送信回路20、スイッチSW1〜SW5のオン、オフ状態、サンプルホールド回路40のサンプルホールド動作をシーケンス制御する。制御部50は、第1モードと第2モードで切りかえ可能に構成される。
【0070】
1. 第1モード
このモードにおいて制御部50は、積分回路(演算増幅器32)30による1回の積分動作(センシング)ごとに、第3スイッチSW3をオンすることにより、前もって電荷が放電されたオフセット用キャパシタCOFSを演算増幅器32の反転入力端子に接続する。
【0071】
2. 第2モード
このモードにおいて制御部50は、演算増幅器32の出力電圧Vsが所定のしきい値電圧VTHに達するたびに、第3スイッチSW3をオンする。コンパレータ46は、検出電圧Vsとしきい値電圧VTHを比較し、第2モードにおいて第3スイッチSW3をオンするタイミングを検出する。制御部50は、コンパレータ46の検出結果にもとづき第3スイッチSW3をオンする。
【0072】
以上が容量検出回路100の構成である。続いてその動作を説明する。図6は、図2の容量検出回路100の第1モードの動作を示すタイムチャートである。スイッチの状態は、ハイレベルがオンを、ローレベルがオフを示す。
【0073】
ここでは説明の簡潔化、理解の容易化のために、ひとつの受信電極12に着目し、それが形成する相互キャパシタンスCを検出する動作を説明する。
【0074】
送信信号S1が第1電圧レベルVddから第2電圧レベルVssに変化し、あるいは第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化すると、受信電極12からRX端子を介して、相互キャパシタンスCに応じた電流IRXが流れる。容量検出回路100は、第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化することにより生ずる電流IRXのみを検出する(整流動作)。
【0075】
演算増幅器32の反転入力端子と非反転入力端子の電圧は等しくなるため、駆動バッファ34の入力電圧は、基準電圧VREFと等しくなる。送信信号S1が第2電圧レベルVssの期間に、第1スイッチSW1がオンする。これにより駆動バッファ34の出力が受信電極12と接続され、受信電極12の電位が基準電圧VREFに初期化される。
【0076】
続いて第1スイッチSW1がオフし、第3スイッチSW3がオンする。第3スイッチSW3のオンに先立ち、第4スイッチSW4をオンすることにより(不図示)、オフセット用キャパシタCOFSの電荷はゼロに放電されている。第3スイッチSW3をオンすると、オフセット用キャパシタCOFSが積分キャパシタCINTと接続される。これにより、演算増幅器32の出力電圧Vsは、所定のオフセット電圧VOFSだけ高電位側にシフトする。
【0077】
第3スイッチSW3をオフし、オフセット用キャパシタCOFSが積分キャパシタCINTと切り離された状態で、第2スイッチSW2がオンとなる。第2スイッチSW2がオンの期間に、送信信号S1が第2電圧レベルVssから第1電圧レベルVddに変化すると、第2スイッチSW2を経由して、相互キャパシタンスCの容量値に応じた電流IRXが、積分キャパシタCINTに流れ、積分処理が行われる。サンプルホールド回路40は、積分キャパシタCINTの充放電が終了したタイミングにおける検出電圧Vsをサンプルホールドする(S/H)。
【0078】
以上が第1モードの動作である。
【0079】
このように、オフセット用キャパシタCOFSを設け、それを積分処理ごとに積分キャパシタCINTと接続することにより、検出電圧Vsを毎サイクル、オフセットさせることができる。容量検出回路100が検出すべきは、接触により生ずる相互キャパシタンスCの変化であるため、接触の有無にかかわらず存在する定常的な容量の影響はキャンセルして構わない。容量検出回路100によれば、オフセットによってこのような定常的な容量の影響をキャンセルすることができる。
【0080】
検出電圧Vsが取り得る電圧範囲は限定されている。検出電圧Vsのオフセットにより、1回のセンシングで発生する検出電圧Vsの変化を小さくできるため、同じ電圧範囲内での回数を、オフセットを行わない場合に比べて増やすことができる。あるいは、1回のセンシングにおける積分する電圧値を大きくすることができるため、検出精度を高めることができ、あるいはノイズに対する耐性を高めることができる。
【0081】
ここで比較のために、オフセット用キャパシタCOFSではなく、演算増幅器32の反転入力端子に接続される電流源を設け、電流を流し込むことによりオフセットを行う場合について考察する。この比較技術では、オフセット量VOFSは、電流を供給する時間と、電流量の積で定まる。ここで容量検出回路100は、低消費電力モードにおいて、センシング周波数を落とす場合がある。この場合、積分回路30のセンシング周波数が変化するとそれによって電流源がオンする時間が変化し、オフセット量が変化するという問題が生ずる。
【0082】
これに対して実施の形態に係る容量検出回路100では、オフセット用キャパシタCOFSと積分キャパシタCINTの間の電荷の移動が瞬時に起こるため、オフセット量VOFSが第3スイッチSW3のオン時間の影響を受けにくいという利点を有する。
【0083】
また比較技術では、サンプルホールドのタイミングによって、検出電圧Vsのレベルが変化するため、検出電圧Vsがジッタの影響を受けやすい。これに対して容量検出回路100によれば、サンプルホールドのタイミングがジッタの影響を受けても、それより前に検出電圧Vsのレベルが安定化しているため、ジッタの影響を受けにくいという利点を有する。
【0084】
また比較技術ではプロセスばらつきや温度変動によって、電流源が生成する電流値が変動すると、オフセット量VOFSが変動してしまう。これに対して容量検出回路100では、オフセット電圧VOFSは、積分キャパシタCINTとオフセット用キャパシタCOFSの容量の比COFS/CINTで定まるところ、それらが同じICチップに集積化される場合、容量比COFS/CINTの変動は小さいため、オフセット電圧VOFSの変動を小さくできる。
【0085】
続いて第2モード(折り返しモード)の動作を説明する。
図7は、図2の容量検出回路100の第2モードの動作を示すタイムチャートである。第2モードでは、センシングごとに検出電圧Vsをオフセットするのではなく、検出電圧Vsがしきい値電圧VTHに達するたびに第3スイッチSW3をオンし、検出電圧Vsをオフセットさせる。第2モードでは、検出電圧Vsが折り返されることから、折り返しモードともいう。
【0086】
なお第3スイッチSW3を1回オンさせることにより得られるオフセット量が小さい場合、第3スイッチSW3を複数回オンさせることにより、必要なオフセット量VOFSを実現してもよい。
【0087】
第2モードによれば、A/Dコンバータ44による変換回数を増やすことなく、積分回数もしくは積分量を大きくすることができる。
【0088】
(第2の構成例)
図8は、容量検出回路の受信回路の第2の構成例を示す回路図である。
【0089】
タッチパネル4の構成は図1と同様である。容量検出回路100aは、2つの積分回路30a、30bを備える。
積分回路30aおよび30bは、図1の積分回路30と同様に構成される。RX1〜m端子ごとに、マルチプレクサMUX1〜mが設けられる。マルチプレクサMUXの第1スイッチSW1aは、受信電極12と第1積分回路30aの駆動バッファ34の出力との間に設けられ、第1スイッチSW1bは、受信電極12と第2積分回路30bの駆動バッファ34の出力との間に設けられる。第2スイッチSW2aは、受信電極12と第1積分回路30aの演算増幅器32との間に設けられ、第2スイッチSW2bは、受信電極12と第2積分回路30bの演算増幅器32との間に設けられる。各マルチプレクサMUXによって、対応する受信電極12を、積分回路30a、30bのいずれか一方に選択的に割り当て可能となっている。
【0090】
第1積分回路30aは、それに割り当てられたひとつの受信電極12に応じた容量変化を検出する。第2積分回路30bは、それに割り当てられたひとつの受信電極12に応じた容量変化を検出する。サンプルホールド回路40a、40bはそれぞれ、積分回路30a、30bの出力電圧Vsa、Vsbを、サンプルホールドする。
【0091】
コンパレータ46a、46bはそれぞれ、積分回路30a、30bそれぞれの出力電圧Vsa、Vsbを、所定のしきい値電圧VTHと比較する。比較結果は、上述した折り返しモードに利用される。
【0092】
容量検出回路100aは、差動モードとシングルエンドモードとが切りかえ可能に構成される。
【0093】
1. 差動モード
このモードでは、第7スイッチSW7がオン、第6スイッチSW6a、SW6b、第8スイッチSW8がオフである。差動増幅器43は、サンプルホールドされた第1積分回路30aの出力電圧Vsaと、サンプルホールドされた第2積分回路30bの出力電圧Vsbの差分を増幅する。差動増幅器43の出力は、第7スイッチSW7を介してA/Dコンバータ44に入力される。
【0094】
2. シングルエンドモード
このモードでは、第7スイッチSW7がオフ、第8スイッチSW8がオンである。第6スイッチSW6a、SW6bは、サンプルホールド回路40a、40bの出力の一方を選択する。増幅器42は、選択された一方の検出電圧Vsを増幅し、第8スイッチSW8を介してA/Dコンバータ44に入力する。
【0095】
以上が容量検出回路100aの構成である。続いてその動作を説明する。
【0096】
1. シングルエンドモード
シングルエンドモードの動作は、基本的に第1の構成例と同様である。このモードにおいては、積分回路30a、30bの一方のみをアクティブとし、アクティブな積分回路30を利用して、複数の受信電極121〜mそれぞれの容量変化を検出できる。
あるいは、積分回路30a、30bの両方を並列的に動作させ、2つの受信電極12の容量変化を同時に検出してもよい。2つの受信電極12の容量変化に応じた検出電圧Vsa、Vsbをサンプルホールドした後、A/Dコンバータ44によって2つの検出電圧Vsa、Vsbを時分割でデジタル値に変換すればよい。
【0097】
2. 差動モード
差動モードでは、2つの積分回路30a、30bの両方が並列的に動作し、それぞれに割り当てられた2つの受信電極12、12の容量を同時に検出する。そして2つの受信電極12、12の容量変化に応じた検出電圧Vsa、Vsbをサンプルホールドした後、差動増幅器43によって差分を増幅し、A/Dコンバータ44により増幅結果をデジタル値に変換する。
【0098】
たとえば差動モードのひとつの動作例では、k=j+1とし、隣接する2つの受信電極12が、第1積分回路30a、第2積分回路30bに割り当てられる。そして、変数jをひとつずつインクリメントすることにより、すべての受信電極121〜mの容量変化を検出する。
なお受信電極12の容量変化を検出する場合、受信電極12を積分回路30aに、受信電極12、あるいは別に設けられた基準となる電極(不図示)を積分回路30bに割り当ててもよい。基準となる電極は、いずれかのRX端子と接続される。
【0099】
第1の構成例、あるいは第2の構成例のシングルエンドモード動作では、タッチパネル4にノイズが混入すると、そのノイズが容量変化として検出され、ユーザによる接触が誤検出される場合がある。
ここである受信電極12にノイズが混入するとき、それと隣接する受信電極12j+1にも、受信電極12と同相のノイズが混入する確率は高くなる。このような場合に、差動モードで動作させると、積分回路30a、30bに割り当てられる2つの受信電極12に同相で混入するコモンモードのノイズの影響を除去できるため、誤検出を防止できる。
【0100】
差動モードの別の動作例では、第1積分回路30aに対して、受信電極121〜mを時分割で順に割り当て、第2積分回路30bに対しては、受信電極121〜mとは別に設けられた基準電極(不図示)を割り当ててもよい。基準電極としてアンテナラインを用いてもよい。この場合でも、検出対象の受信電極12と基準電極とにコモンモードノイズが混入している場合、その影響を低減することができる。
【0101】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0102】
1…電子機器、2…入力装置、4…タッチパネル、5…容量センサ、6…指、8…LCD、10…送信電極、12…受信電極、20…送信回路、22…信号発生器、24…ドライバ、26…受信回路、30…積分回路、30a…第1積分回路、30b…第2積分回路、32…演算増幅器、34…駆動バッファ、CINT…積分キャパシタ、COFS…オフセット用キャパシタ、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、SW3…第3スイッチ、SW4…第4スイッチ、40…サンプルホールド回路、42…増幅器、43…差動増幅器、44…A/Dコンバータ、46…コンパレータ、50…制御部、100…容量検出回路、C…相互キャパシタンス、S1…送信信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含んで構成される複数の容量センサそれぞれの容量変化を検出する容量検出回路であって、
前記複数の容量センサそれぞれの前記送信電極に周期的な送信信号を印加する送信回路と、
各容量センサの容量変化を示すデジタル値を、対応する前記受信電極に発生する受信信号にもとづいて生成する受信回路と、
前記複数の容量センサに対応して生成された複数のデジタル値に応じて、現在の送信周波数におけるノイズの影響の有無を判定する制御部と、
を備えることを特徴とする容量検出回路。
【請求項2】
前記制御部は、所定のしきい値を超えるデジタル値の個数が所定数より多いとき、ノイズの影響があるものと判定することを特徴とする請求項1に記載の容量検出回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値の分散が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定することを特徴とする請求項1に記載の容量検出回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定することを特徴とする請求項1に記載の容量検出回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値と所定の基準値の差分の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、ノイズの影響があるものと判定することを特徴とする請求項1に記載の容量検出回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記ノイズの影響があるものと判定されたとき、前記送信信号の周波数を切りかえることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の容量検出回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記ノイズの影響があるものと判定されると周波数探索モードに移行し、当該周波数探索モードにおいて、前記送信信号の周波数を切りかえながら、各周波数において前記ノイズの判定処理を行い、
通常モードにおける前記送信信号の周波数を、前記判定処理の結果、ノイズの影響が最も少ないと推定される周波数に設定することを特徴とする請求項6に記載の容量検出回路。
【請求項8】
それぞれが互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含んで構成される複数の容量センサそれぞれの容量変化を検出する容量検出回路であって、
前記複数の容量センサそれぞれの前記送信電極に周期的な送信信号を印加する送信回路と、
各容量センサの容量変化を示すデジタル値を、対応する前記送信電極に印加される前記送信信号に応じて対応する前記受信電極に発生する受信信号にもとづいて生成する受信回路と、
前記複数の容量センサに対応して生成された複数のデジタル値が所定の条件を満たすとき、前記送信信号の周波数を切りかえる制御部と、
を備えることを特徴とする容量検出回路。
【請求項9】
前記制御部は、所定のしきい値を超えるデジタル値の個数が所定数より多いとき、前記送信信号の周波数を切りかえることを特徴とする請求項8に記載の容量検出回路。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値の分散が、所定のしきい値より大きいとき、前記送信信号の周波数を切りかえることを特徴とする請求項8に記載の容量検出回路。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、前記送信信号の周波数を切りかえることを特徴とする請求項8に記載の容量検出回路。
【請求項12】
前記制御部は、前記複数の容量センサそれぞれのデジタル値と所定の基準値の差分の合計値が、所定のしきい値より大きいとき、前記送信信号の周波数を切りかえることを特徴とする請求項8に記載の容量検出回路。
【請求項13】
前記制御部は、前記複数のデジタル値が前記所定の条件を満たすとき、周波数探索モードに移行し、当該周波数探索モードにおいて、前記送信信号の周波数を切りかえながら前記条件の判定を行い、続く通常モードにおける前記送信信号の周波数を、ノイズの影響が最も少ないと推定される周波数に設定することを特徴とする請求項12に記載の容量検出回路。
【請求項14】
それぞれが互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含む複数の容量センサと、
前記容量センサの容量変化を検出する請求項8から13のいずれかに記載の容量検出回路と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項15】
請求項14に記載の入力装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項16】
それぞれが互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含んで構成される複数の容量センサそれぞれの容量変化を検出する方法であって、
前記複数の容量センサそれぞれの前記送信電極に周期的な送信信号を印加するステップと、
各容量センサの容量変化を示すデジタル値を、対応する前記送信電極に印加される前記送信信号に応じて対応する前記受信電極に発生する受信信号にもとづいて生成するステップと、
前記複数の容量センサに対応して生成された複数のデジタル値に応じて、ノイズの影響の有無を判定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
それぞれが互いに容量的に結合された送信電極および受信電極を含んで構成される複数の容量センサそれぞれの容量変化を検出する方法であって、
前記複数の容量センサそれぞれの前記送信電極に周期的な送信信号を印加するステップと、
各容量センサの容量変化を示すデジタル値を、対応する前記送信電極に印加される前記送信信号に応じて対応する前記受信電極に発生する受信信号にもとづいて生成するステップと、
前記複数の容量センサに対応して生成された複数のデジタル値が所定の条件を満たすとき、前記送信信号の周波数を切りかえるステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58045(P2013−58045A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195404(P2011−195404)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】