説明

タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法

【課題】 本発明は、透明基板を挟んでその一方の面にタッチパネルセンサ部が形成され、他方の面にカラーフィルタ部が形成されるタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法において、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することを容易にし、タッチパネルセンサ部に対してカラーフィルタ部を精度良く位置合わせ形成することができるタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法を提供するものである。
【解決手段】 カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜を形成する際に、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域が遮光体を構成する膜によって覆われないように、メタルマスクやダイノズルで規定することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法に関し、より詳しくは、透明基板を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部が形成され、他方の面にカラーフィルタ部が形成され、前記カラーフィルタ部は、前記タッチパネルセンサ部が形成された側の透明基板の面に設けられたアライメントマークを用いて位置合わせを行うことによりパターン加工されたことを特徴とするタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、タッチパネル装置は、携帯電話、ゲーム機、タブレットPC、カーナビゲーション、自動券売機、ATM装置などへの入力手段として広く用いられてきている。タッチパネル装置は液晶ディスプレイやCRT等の表示装置の表示面上に組み込まれ、操作者は、指またはタッチペンを用いて、表示面上でのカーソル移動、選択などの入力操作を行うことが出来る。このタッチパネル装置は、タッチパネルセンサ、タッチパネルセンサへの接触位置を検出する制御回路、配線等を含んでいる。
【0003】
タッチパネルセンサは、操作者の入力操作、即ち、人の指やタッチペンの接近、接触を感知する面を備えた透明のパネルである。このタッチパネルセンサは、接近、接触感知面が表示装置の表示エリアを覆うように配置されており、操作者の指またはタッチペンの接近、接触の事象を検出し、これらの信号を制御装置へ送る。制御装置は、これらの信号を処理し、表示装置にて入力操作に対応した表示を行う様に、表示装置側の制御装置へ所定の信号を出力する。
【0004】
タッチパネル装置には、抵抗式、静電容量式、赤外線式、表面弾性波式、電磁式、近接場イメージング式などを含むいくつかのタイプがあるが、昨今では、タッチパネルセンサ上の複数の指等の接近、接触(マルチタッチ)を検出できる方式として、静電容量式のタッチパネル装置が注目されている。
静電容量式のタッチパネル装置においては、配列された透明電極と、操作者の指の間での静電気結合による静電容量の変化、並びに、それにより発生する誘導電流を利用してタッチパネル上の位置座標を検知する。
典型的には、静電容量式タッチパネルセンサは、X軸透明電極及びY軸透明電極により構成され、X、Y軸透明電極は互いに絶縁されてタッチパネルセンサ内に設置され、各々制御回路に接続される。
【0005】
従前のタッチパネルセンサでは、X軸透明電極とY軸透明電極が別々の2枚の基板上に形成され、絶縁材料を挟んで2枚の基板を貼り合わせて作成されていたが、この方式ではタッチパネルセンサの薄型化に不利であり、また、X軸、Y軸透明電極間の位置合わせを高精度に行うことも困難なため、タッチセンサの感度や位置精度の点でも不利であった。
そこで、このような欠点を解消するため、X軸、Y軸の透明電極を同一平面上に配列した構造の静電容量式タッチパネルセンサが提案されている(例えば特許文献1)。
【0006】
図7は上述の静電容量式タッチパネルセンサの例を示す概略平面図である。
タッチパネルセンサ100は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等からなる透明基板101、タッチパネルの表示領域に相当する有効領域102に配置される複数のX軸透明電極103およびY軸透明電極104、X軸透明電極103とY軸透明電極104を絶縁する絶縁層(図示せず)、有効領域102の外側に配設され、X軸透明電極103およびY軸透明電極104と制御回路(図示せず)とを接続する配線導体105を少なくとも含んで構成される。
なお、図7において、Y軸透明電極104は同一平面上で連結されているが、X軸透明電極103は、Y軸透明電極104との短絡を避けるためにY軸透明電極104と交差する部位で分断されており、連結透明電極106により連結されている。
ここで、X軸透明電極103およびY軸透明電極104と、絶縁層(図示せず)、配線導体105、連結透明電極106の形成には、相互に位置合わせが必要であり、通常、タッチパネルセンサ100の外周部にはアライメントマーク109が形成される。典型的には、配線導体105の形成工程で、同時に上記アライメントマーク109が形成される。
【0007】
図8は、図7に示すタッチパネルセンサのA−A断面図である。ただし、煩雑となるのを避けるため、左側の作図は省略している。上述のように、X軸透明電極103は、Y軸透明電極104と交差する部位で分断されており、X軸透明電極103とY軸透明電極104の間には、短絡防止のために第1絶縁層107が形成されている。第1絶縁層107は、Y軸透明電極104と交差する部位に、Y軸透明電極104を覆うように形成される。そして、連結透明電極106は、第1絶縁層107を跨ぐように形成され、分断されたX軸透明電極103を電気的に接続する。連結透明電極106は、通常、X軸透明電極103およびY軸透明電極104と同じ材料、典型的には、結晶化したITO(インジウム錫酸化物)により形成される(特許文献2、3)。
【0008】
なお、図8における第2絶縁層108は、通常、第1絶縁層107と同じ材料であって、第1絶縁層107の形成工程で同時に形成されるものであり、X軸透明電極103およびY軸透明電極104を覆うように形成される。この第2絶縁層108は、除去されていても良い。
【0009】
タッチパネルセンサ100の外周部にはアライメントマーク109が形成される。典型的には、配線導体105の形成工程で、同時にアライメントマーク109が形成される。
例えば、まず、透明基板101上にスパッタリング法等により金属薄膜を成膜し、フォトリソグラフィ法等により所望の配線導体105とアライメントマーク109を形成する。
【0010】
次に、上記の配線導体105を形成した面に、多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜し、アライメントマーク109を用いて位置合わせしてフォトリソグラフィ法でパターンを形成後、王水等の強酸で不要ITOをエッチングする方法により、所望のX軸透明電極103およびY軸透明電極104を形成する。
また、この工程において、X軸透明電極103およびY軸透明電極104と同じ多結晶ITO薄膜を用いて透明な保護膜110を設けても良い。
【0011】
次に、上記のX軸透明電極103およびY軸透明電極104を被覆するように、UV硬化性のアクリル樹脂等からなる絶縁膜を成膜し、アライメントマーク109を用いて位置合わせし、フォトリソグラフィ法でパターン加工して所望の第1絶縁層107および第2絶縁層108を形成する。
【0012】
次に、上記の第1絶縁層107および第2絶縁層108を形成した面に、多結晶ITOからなる連結透明電極106を形成する。
連結透明電極106は、上述のX軸透明電極103と同様に、多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜し、アライメントマーク109を用いて位置合わせしてフォトリソグラフィ法でパターンを形成後、王水等の強酸で不要ITOをエッチングする方法により、形成することができる。
以上の方法により、従来のタッチパネルセンサ100を形成することができる。
【0013】
次に、カラーフィルタについて説明する。図9は従来のカラーフィルタの例を示す概略断面図である。
図9に示すように、カラーフィルタ200は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等からなる透明基板201、その上にマトリックス状に配設される遮光体(ブラックマトリックス)202、遮光体202の間に配設される複数色の着色体203、着色体203を被覆するように配設される透明電極204を、少なくとも含んで構成される。
なお、着色体203と透明電極204の間には、各種プロセスにおいて着色体203を保護するための透明な保護膜が設けられていても良い(図示せず)。
【0014】
遮光体202は、液晶表示装置のバックライトの光もれや着色体203の混色防止のために形成される。着色体203は、画素として、液晶を通過したバックライトの色を調整するものであり、通常、赤色、青色、緑色の3種の着色体が形成される。
透明電極204は、液晶分子の配列を変更させて光の透過率を調節するための共通電極として機能するものである。典型的には、透明電極204は、結晶化して低抵抗となった多結晶ITOが用いられている。
【0015】
ここで、遮光体202、着色体203、透明電極204の形成には、相互に位置合わせが必要であり、通常、カラーフィルタ200の外周部にはアライメントマーク205が形成される。典型的には、アライメントマーク205は、遮光体202の形成工程で同時に形成される(特許文献4)。
【0016】
例えば、図10に示すように、まず、透明基板201上にスパッタリング法等によりクロム等からなる金属薄膜202aを成膜し(図10(a))、フォトリソグラフィ法等により所望の遮光体202とアライメントマーク205を形成する(図10(b))。
次に、上記の遮光体202の間に、複数色の着色体203を形成する(図10(c))。着色体203を形成する方法は、例えば、各色の顔料を含んだ着色感光性樹脂を塗布し、アライメントマーク205を用いて位置合わせしてフォトリソグラフィ法でパターンを露光し、現像、ベークして、所望の着色体32を形成することができる。赤色、青色、緑色の3種の着色体を形成する場合は、上記の工程を3回行う。
次に、上記の着色体203を被覆するように、多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜し、透明電極204を形成する(図10(d))。
以上により、従来のカラーフィルタ200を得ることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実用新案登録第3144241号公報
【特許文献2】特開2001−311954号公報
【特許文献3】特開2005−290458号公報
【特許文献4】特開平8−50202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ここで、上述のタッチパネルセンサとカラーフィルタは、それぞれ個別の透明基板に形成して重ね合わせる場合、タッチパネル装置全体の薄型化や軽量化に対し不利である。
それゆえ、共通する透明基板を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部が形成され、他方の面にカラーフィルタ部が形成されているタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタが用いられてきている。
【0019】
ただし、共通する透明基板を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部を形成し、次に、他方の面にカラーフィルタ部を形成する場合、カラーフィルタ部を形成するための第一工程である遮光体の形成時に、タッチパネルセンサ部との位置合わせが必要となる。
【0020】
すなわち、タッチパネルセンサ部に対してカラーフィルタ部を位置合わせする際、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別する必要がある。
しかしながら、従来の製造方法では、前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域は、透過率が低い遮光膜(例えば、図10(a)に示す金属薄膜202a)により覆われてしまうため、この遮光膜に覆われた透明基板を通して、カラーフィルタ部側からタッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することは難しく、その結果、カラーフィルタ部をタッチパネルセンサ部に対して正確に位置合わせすることが困難となる。
【0021】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することを容易にし、タッチパネルセンサ部に対してカラーフィルタ部を精度良く位置合わせ形成することができるタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、種々研究した結果、タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法において、カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜を形成する際に、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域が遮光体を構成する膜によって覆われないようにすることで、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
【0023】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、透明基板の一方の主面上に、配線導体を有するタッチパネルセンサ部を形成し、前記透明基板の他方の主面上に、遮光体を有するカラーフィルタ部を形成するタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法において、前記タッチパネルセンサ部側の透明基板上にアライメントマークを形成し、その後、前記カラーフィルタ部側の透明基板上に、前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜を、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に形成し、次いで、前記アライメントマークを用いて、前記透明基板を通して前記カラーフィルタ部側から位置合わせを行って、前記カラーフィルタ部を形成することを特徴とするタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法である。
【0024】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記アライメントマークが、前記タッチパネルセンサ部を構成する配線導体と同じ材料からなり、前記配線導体を形成する工程で同時に形成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法である。
【0025】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜が、少なくとも、1種類の金属、金属酸化物、または金属窒化物を真空成膜した薄膜であり、真空成膜する領域をメタルマスクで規定することにより、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に、前記薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法である。
【0026】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜が、少なくとも、遮光性粒子を含有させた樹脂を塗布成膜した薄膜であり、塗布成膜する領域を規定することにより、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に、前記薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法である。
【0027】
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記遮光性粒子を含有させた樹脂が、感光性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域が遮光体を構成する膜によって覆われないため、カラーフィルタ部側からタッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することが容易となり、その結果、カラーフィルタ部をタッチパネルセンサ部に対して精度良く位置合わせして形成することができる。
それゆえ、共通する透明基板を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部が形成され、他方の面にカラーフィルタ部が形成されているタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおいて、タッチパネルセンサ部とカラーフィルタ部との位置合わせが正確なタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおけるタッチパネルセンサ部の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図3】本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおけるカラーフィルタ部の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図4】タッチパネルセンサ部とメタルマスクの関係を示す説明図であり、(a)はタッチパネルセンサ部の例を示す概略図であり、(b)はメタルマスクの例を示す概略図である。
【図5】アライメント露光装置の例を示す概略図である。
【図6】本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおけるカラーフィルタ部の製造方法の他の例を示す説明図であり、(a)はダイコータを用いた塗布成膜を示す概略図であり、(b)は塗布成膜後のカラーフィルタ部の例を示す概略図であり、(c)はタッチパネルセンサ部の例を示す概略図である。
【図7】従来のタッチパネルセンサの例を示す概略平面図である。
【図8】図7に示すタッチパネルセンサのA−A断面図である。
【図9】従来のカラーフィルタの例を示す概略断面図である。
【図10】従来のカラーフィルタの製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタおよびその製造方法について詳細に説明する。
【0031】
[タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタ]
まず、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタについて説明する。
図1は、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの例を示す概略断面図である。図1に示されるタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタ1においては、ガラス基板等からなる透明基板2を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部20が形成され、他方の面にカラーフィルタ部30が形成されている。
【0032】
[タッチパネルセンサ部]
タッチパネルセンサ部20の構成は、従来のタッチパネルセンサの構成と同じ構成を用いることができる。ここでは、X軸透明電極に相当する第1透明電極とY軸透明電極に相当する第2透明電極の透明電極を同一平面上に配列した構造の静電容量式タッチパネルセンサの例に基づいて説明する。この場合、タッチパネルセンサ部側の平面図は図7に示したものと同様であってよい。
タッチパネルセンサ部20は、図1に示すように、例えばX軸透明電極に相当する第1透明電極22、および、例えばY軸透明電極に相当する第2透明電極23、第1透明電極22と第2透明電極23を絶縁する第1絶縁層24、第1透明電極22および第2透明電極23と制御回路(図示せず)とを接続する配線導体21、および、タッチパネルセンサ部20の外周部に配設されたアライメントマーク27を少なくとも含んで構成される。
【0033】
第1透明電極22は、第2透明電極23と交差する部位で分断されており、第1透明電極22と第2透明電極23の間には、短絡防止のために第1絶縁層24が形成されている。第1絶縁層24は、第1透明電極22と第2透明電極23が交差する部位に、第2透明電極23を覆うように形成される。そして、連結透明電極26は、第1絶縁層24を跨ぐように形成され、分断された第1透明電極22を電気的に接続する。
なお、図1における第2絶縁層25は、第1絶縁層24と同じ材料であって、第1絶縁層24の形成工程で同時に形成されるものであり、第1透明電極22および第2透明電極23を覆うように形成される。この第2絶縁層25は、除去されていても良い。
【0034】
[配線導体]
配線導体21は、第1透明電極22および第2透明電極23と制御回路とを電気的に接続するためのものであり、表示領域外の透明基板2の周辺部に配設される。
配線導体21は表示領域外に形成されるので透明性は必要ないが、抵抗値の小さい材料から形成される必要がある。それゆえ、配線導体21の材料として、好ましくは、前述の透明電極材料より高い導電性を有する材料が用いられる。例えば、配線導体21は、アルミニウム、銀や銅またはそれらの合金等による金属薄膜や、銀ペースト等の導電性ペーストにより形成される。
【0035】
[アライメントマーク]
アライメントマーク27は、第1透明電極22および第2透明電極23、第1絶縁層24、第2絶縁層25、連結透明電極26の形成に際し、相互に位置合わせを行うために設けられる。
また、アライメントマーク27は、後述するカラーフィルタ部の形成に際しても、位置合わせに用いられるものである。
アライメントマーク27は、配線導体21と同じ材料を用いて、配線導体21の形成工程で、配線導体21と同時に形成されることが、工程簡略化の面から好ましい。
アライメントマーク27の形状は、上述の位置合わせを行うことが出来るものであれば良く、特に限定されないが、例えば、十字型であり、その線幅は10〜100μmであり、長さは0.5〜3.0mmである。
アライメントマーク27の配設位置は、タッチパネルの表示領域の外側であって、上述の位置合わせを行うことが出来る位置であれば良く、特に限定されないが、例えば、タッチパネルセンサ部20の外周部の左右両端近傍である。
アライメントマーク27の配設数も特に限定されないが、例えば、タッチパネルセンサ部20の外周部の左右両端に、1個以上である。また、遮光体や着色体(典型的には、3色)の各アライメント露光工程に応じて、配設位置や、形状の異なるアライメントマークを設けても良い。
【0036】
[第1及び第2透明電極、連結透明電極]
第1透明電極22、第2透明電極23、連結透明電極26は、通常、同じ材料により形成される。第1透明電極22と第2透明電極23は同一平面に同時に形成されるため同じ材料であることが好ましく、また、均一な透明性や導電性を得るために、連結透明電極26も、第1透明電極22、第2透明電極23と同じ材料であることが好ましいからである。
【0037】
上記の材料としては、透明性を有するとともに、所要の導電性を有する材料が用いられる。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物や、これらの金属酸化物が2種以上複合された材料が挙げられる。
【0038】
第1透明電極22、第2透明電極23、連結透明電極26の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、200℃〜250℃に基板加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法を用いて多結晶ITO薄膜を成膜し、アライメントマーク27を用いて位置合わせしてフォトリソグラフィ法により所望のパターンを形成後、王水で不要ITOをエッチングする方法により、第1透明電極22、第2透明電極23、連結透明電極26が形成される。
【0039】
[第1及び第2絶縁層]
第1絶縁層24は、第1透明電極22と、第2透明電極23および連結透明電極26を絶縁するために設けられるものである。第1絶縁層24は、第1透明電極22と第2透明電極23が交差する部位に、第2透明電極23を覆うように形成される。そして、連結透明電極26は、第1絶縁層24を跨ぐように形成され、分断された第1透明電極22を電気的に接続する。
【0040】
第2絶縁層25は、第1絶縁層24と同じ材料であって、第1絶縁層24の形成工程で同時に形成されるものであり、第1透明電極22および第2透明電極23を覆うように形成される。そして、第2絶縁層25は、連結透明電極26が第2透明電極23と接する面積を規定し、連結透明電極26同士の短絡を防ぐ機能を有する。なお、この第2絶縁層25は、最終形態において除去されていても良い。
【0041】
第1絶縁層24及び第2絶縁層25は、透明性および電気絶縁性を有する樹脂材料やSOG(塗布型のSiO2系材料)等の無機材料を用いて、スクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法で形成される。例えば、UV硬化性のアクリル樹脂を用い、塗布、マスク露光、現像、ベーク等の工程を行うことで形成される。
【0042】
[保護膜]
保護膜29は、アライメントマーク27を保護するために形成されるものであり、通常、第1透明電極22および第2透明電極23と同時に形成されるものである。
例えば、第1透明電極22および第2透明電極23を形成するための多結晶ITO薄膜は、通常、アライメントマーク27の上にも成膜される。そして、アライメントマーク27を王水等から保護するために、フォトリソグラフィ法によりアライメントマーク27の上に所望のパターンを形成後、王水で不要ITOをエッチングすることにより、保護膜29が形成される。
【0043】
[カラーフィルタ部]
次にカラーフィルタ部30について説明する。
カラーフィルタ部30は、図1に示すように、透明基板2を挟んで、タッチパネルセンサ部20が形成された面とは反対側の面に形成されており、マトリックス状に配設される遮光体31、遮光体31の間に配設される複数色の着色体32、着色体32を覆うように形成された第3透明電極33を、少なくとも含んで構成される。
カラーフィルタ部30の各構成要素は、従来のカラーフィルタの構成要素と同じ材料を用いることができる。
ただし、タッチパネルセンサ部20側に形成されたアライメントマーク27の位置に相当するカラーフィルタ部30側の透明基板2上には、遮光体31は存在しない。
それゆえ、カラーフィルタ部30側から透明基板2を通して、タッチパネルセンサ部20側に形成されたアライメントマークを識別することが容易となり、その結果、カラーフィルタ部30をタッチパネルセンサ部20に対して精度良く位置合わせして形成することができる。
なお、図1には示していないが、着色体32と第3透明電極33の間には、透明な保護膜が設けられていても良い。保護膜の材料としては、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物からなる透明材料、あるいはアクリル樹脂等の有機絶縁膜を挙げることができる。
【0044】
[遮光体]
遮光体31は、液晶表示装置のバックライトの光もれや着色体32の混色防止のために設けられるものである。
遮光体31は、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜法により厚み100〜200nm程度のクロム等の金属薄膜等を形成し、この薄膜をパターニングして形成したものや、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングして形成したもの、および、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングして形成したもの等、遮光性を有するものを用いることができる。
【0045】
[着色体]
着色体32は、カラーフィルタ画素として、液晶を通過したバックライトの色を調整するものであり、通常、赤色、青色、緑色の3種の着色体が形成される。
赤色の着色体に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色の着色体に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色の着色体に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
[第3透明電極]
第3透明電極33は、液晶分子の配列を変更させて光の透過率を調節するための共通電極として機能するものである。
第3透明電極33は、例えば、200℃〜250℃に基板加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法を用いて多結晶ITOを成膜することにより形成することができる。
【0047】
[タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法]
次に、本発明のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタ部の遮光体を構成する材料を成膜する工程において、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域が、遮光体を構成する膜によって覆われないようにしたことを特徴とするものであり、このことにより、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することが容易となり、その結果、カラーフィルタ部をタッチパネルセンサ部に対して精度良く位置合わせ形成することができるものである。
その他の構成要素の製造方法については、上述した構成を有するタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得ることができる方法であれば、特に限定されるものではない。
【0048】
[タッチパネルセンサ部の製造方法]
本発明においては、まず、タッチパネルセンサ部を形成し、続いてカラーフィルタ部を形成して、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得る。
図2に、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおけるタッチパネルセンサ部の製造方法の一例を示す。まず、ガラス等の材料からなる透明基板2を準備し、その一方の面に金属材料からなる配線導体21、およびアライメントマーク27を同時に形成する(図2(a))。配線導体21およびアライメントマーク27を形成する方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、透明基板2上にスパッタリング法により金属薄膜を成膜し、フォトリソグラフィ法により所望の形状の配線導体21およびアライメントマーク27を形成する。
【0049】
次に、図2(b)に示すように、上記の配線導体21およびアライメントマーク27を形成した面に、多結晶ITOからなる第1透明電極22および第2透明電極23を同時に形成する。
第1透明電極22、第2透明電極23を形成する多結晶ITOは、200℃〜250℃に基板加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法により成膜される。そして、フォトリソグラフィ法でアライメントマーク27を用いてアライメント露光し、パターンを形成後、王水等の強酸で不要ITOをエッチングする方法により、所望の形状に加工される。
【0050】
次に、上記の第1透明電極22および第2透明電極23を被覆するように、第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成するための絶縁膜を成膜し(図2(c))、アライメントマーク27を用いて位置合わせしてパターン加工し、所望の形状の第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成する(図2(d))。
第1透明電極22および第2透明電極23を形成する方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、UV硬化性のアクリル樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法により所望の形状の第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成することができる。
【0051】
次に、図2(e)に示すように、上記の第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成した面に、多結晶ITOからなる連結透明電極26を形成する。
連結透明電極26を形成する多結晶ITOは、200℃〜250℃に基板加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法により成膜される。そして、フォトリソグラフィ法でアライメントマーク27を用いてアライメント露光し、パターンを形成後、王水等の強酸で不要なITOをエッチングする方法により、所望の形状に加工される。
以上の工程により、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタのタッチパネルセンサ部20が形成される。
【0052】
[カラーフィルタ部の製造方法]
次に、上記のタッチパネルセンサ部を形成した面とは反対側の透明基板2の面に、カラーフィルタ部を形成する。
ここで、本発明に係るカラーフィルタ部の遮光体31を形成する方法は、遮光体31を構成する材料に応じて、以下の2つの実施形態がある。すなわち、クロム等の金属薄膜からなる遮光体を形成する形態(第1の実施形態)と、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた樹脂からなる遮光体を形成する形態(第2の実施形態)である。
【0053】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の例として、クロム等の金属薄膜からなる遮光体を形成する形態について説明する。
まず、図3(a)に示すように、上記のタッチパネルセンサ部20を形成した面とは反対側の透明基板2の面に、メタルマスク40を用いたスパッタリング法により、厚み100〜200nm程度のクロム等の金属薄膜31aを真空成膜する。
【0054】
ここで、メタルマスク40について説明する。図4に、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタのタッチパネルセンサ部20とメタルマスク40の関係を示す。
図4(b)に示すように、メタルマスク40は、少なくとも、タッチパネルセンサ部20側に形成されたアライメントマーク27の位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を遮蔽するように作用する遮蔽部41と、タッチパネルセンサ部20の有効領域28を含む開口部41を有している。
【0055】
上記の真空成膜の工程で、このメタルマスク40を、クロム等の金属ターゲットと透明基板2の間に介在させることにより、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27の位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域には、クロム等の金属はスパッタ成膜されないことになる。
このことにより、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークを識別することが容易になる。
【0056】
次に、図3(b)に示すように、金属薄膜31aにフォトレジストを塗布し、アライメント露光、現像、エッチングを行なって、所望の形状の遮光体31を形成する。アライメント露光は、例えば、以下のように行われる。
【0057】
図5に、アライメント露光に用いる露光装置の例を示す。図5に示すように、透明基板2は、そのカラーフィルタ部側が遮光体用フォトマスク60と対向するように露光装置50に保持される。ここで、本発明においては、タッチパネルセンサ部が接触による汚染を受けないように、基板保持手段51により透明基板2の端部で保持されることが好ましい。
遮光体用フォトマスク60はマスク保持手段52により、透明基板2の上方に保持されている。そして、遮光体用フォトマスク60に設けられたマスク側アライメントマーク61と、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いて、透明基板2と遮光体用フォトマスク60との位置合わせが行なわれる。
【0058】
上記の位置合わせは、例えば、次のように行われる。
まず、アライメント用光源53を備えたCCDカメラ54により、遮光体用フォトマスク60に設けられたマスク側アライメントマーク61と、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27とが撮像される。
ここで、アライメントマーク27はカラーフィルタ部側とは反対側の透明基板2上に設けられているが、カラーフィルタ部側のアライメントマーク27の位置に相当する領域は遮光体によって覆われていないため、カラーフィルタ部側から透明基板2を通してアライメントマーク27を容易に識別することができる。
【0059】
撮像された画像信号は、CCDカメラ54に接続された制御手段55に送られる。この画像信号からマスク側アライメントマーク61と透明基板2に形成されたアライメントマーク27との間の配置誤差が求められ、制御手段55は、この配置誤差に基づいて移動手段56を駆動制御する。
そして、移動手段56により基板保持手段51とともに透明基板2が移動し、マスク側アライメントマーク61と透明基板2に形成されたアライメントマーク27の位置合わせが行なわれる。以上により、遮光体用フォトマスク60を透明基板2に対して精度良く確実に位置合わせすることができる。
最後に、露光装置50の露光光源57により、遮光体用フォトマスク60を介して金属薄膜31a上のフォトレジストが露光される。
【0060】
次に、図3(c)に示すように、上記の遮光体31の間に、複数色の着色体32を形成する。
着色体32を形成するためのアライメント露光は、上述の遮光体31を形成するためにアライメント露光した方法と同様に、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いて行うことができる。
ここで、遮光体と各着色体(典型的には、3色)のアライメントマークは、異なる位置に設けておくこともできる。各着色塗布工程により、マーク領域が被覆されてしまうことを避けるためである。また、遮光体と各着色体(典型的には、3色)のアライメントマークは、異なる形状のマークとしてもよい。形成する着色体の色を間違えたりすることを防止できるからである。
上述のアライメント露光工程以外の着色体32を形成する工程は、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、各色の顔料を含んだ着色感光性樹脂を塗布し、露光、現像、ベークして、所望の着色体32を形成することができる。赤色、青色、緑色の3種の着色体を形成する場合は、上記の工程を3回行う。
【0061】
最後に、図3(d)に示すように、上記の着色体32を被覆するように、多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜し、第3透明電極33を形成する。
以上により、本発明に係る第1の実施形態のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得ることが出来る。
なお、上述の説明では、遮光体の形成後に各着色体(典型的には、3色)を形成する製造方法を説明したが、例えば、先に各着色体(典型的には、3色)を形成し、その後遮光体を形成しても良い。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の例として、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性の樹脂からなる遮光体を形成する形態について説明する。
図6は、本発明に係る第2の実施形態のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおけるカラーフィルタ部の製造方法の一例を示す説明図であり、(a)はダイコータを用いた塗布成膜を示す概略図であり、(b)は塗布成膜後のカラーフィルタ部の例を示す概略図であり、(c)はタッチパネルセンサ部の例を示す概略図である。
まず、図6(a)に示すように、上記のタッチパネルセンサ部のアライメントマーク27を形成した面とは反対側の透明基板2の面に、ダイコータを用いた塗布成膜により、厚み1〜3μm程度のカーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性の樹脂層31bを形成する。
ここで、ダイコータのダイノズル70は、タッチパネルセンサ部20の有効領域28の幅に規定された開口部を有しており、それゆえ、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域に対しては、樹脂層31bは塗布されないことになる(図6(b)、(c))。
このような塗布成膜方法を用いることにより、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークを識別することが容易になる。
【0063】
なお、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性の樹脂からなる遮光体を形成する方法としては、上述のダイコータを用いる方法の他に、インクジェット法、スクリーン印刷法、ドライフィルムをラミネートする方法等があり、いずれもタッチパネルセンサ部20の有効領域28の幅に規定された範囲内にカーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた感光性の樹脂層を形成することで、上述のダイコータを用いた場合と同様に、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークを識別することが可能になる。
【0064】
次に、アライメント露光、現像、ベーク等を行なって、所望の形状の遮光体31を形成する。
アライメント露光は、上述の第1の実施形態において、遮光体31を形成するためにアライメント露光した方法と同様に、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いて行うことができる。それゆえ、ここでの詳述は省略する。
【0065】
次に、上記の遮光体31の間に、複数色の着色体32を形成する。
着色体32を形成するためのアライメント露光は、上述の第1の実施形態において説明した方法と同様に、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いて行うことができる。それゆえ、ここでの詳述は省略する。
【0066】
次に、上記の着色体32を被覆するように、多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜し、第3透明電極33を得る。
以上により、本発明に係る第2の実施形態のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得ることが出来る。
なお、上述の説明では、遮光体の形成後に各着色体(典型的には、3色)を形成する製造方法を説明したが、先に各着色体(典型的には、3色)を形成し、その後遮光体を形成しても良い。
【0067】
本発明によれば、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域が遮光体を構成する膜によって覆われないため、カラーフィルタ部側からタッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを識別することが容易となり、その結果、カラーフィルタ部をタッチパネルセンサ部に対して精度良く位置合わせ形成することができる。
それゆえ、共通する透明基板を挟んで、その一方の面にタッチパネルセンサ部が形成され、他方の面にカラーフィルタ部が形成されているタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタにおいて、タッチパネルセンサ部とカラーフィルタ部との位置合わせが正確なタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを容易に製造することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
上述で説明した第1の実施形態の製造方法に従って、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを製造した。
まず、透明基板2として、350mm×300mmの旭硝子株式会社製ANガラスを準備し、その一方の面にアルミニウムをスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィ法でパターン形成後、燐酸、酢酸、水を4:1:4:4の割合で配合してなる燐硝酢酸水でエッチング加工して、配線導体21およびアライメントマーク27を形成した。アライメントマーク27は、線幅20μm、長さ1.0mmの十字型のマークとした。
【0070】
次に、上記の配線導体21およびアライメントマーク27を形成した面に、基板温度230℃で、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法により、20nm厚さの多結晶ITO薄膜を形成し、フォトリソグラフィ法で所望のパターンを作り、王水で不要なITOをエッチングして第1透明電極22および第2透明電極23を形成した。
【0071】
次に、上記の第1透明電極22および第2透明電極23を被覆するように、住友化学株式会社製ポジ型感光性材料PFI−27を塗布し、フォトリソグラフィ法により所望の形状の第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成した。
【0072】
次に、上記の第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成した面に、基板温度230℃で、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたスパッタリング法により、20nm厚さの多結晶ITO薄膜を形成し、フォトリソグラフィ法で所望のパターンを作り、王水で不要ITOをエッチングして連結透明電極26を形成した。
【0073】
次に、透明基板2の反対側の面に、メタルマスク40を用いたスパッタリング法により、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27の位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域以外の所定の領域に150nm厚さのクロムからなる金属薄膜31aを成膜した。
次に、金属薄膜31aに住友化学株式会社製ポジ型感光性材料PFI−27を塗布し、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いてアライメント露光し、現像、エッチングを行なって、所望の形状の遮光体31を形成した。
続いて、赤色顔料を含んだ着色感光性樹脂を塗布し、アライメント露光、現像、ベークして、赤色の着色体32を形成した。青色、緑色の着色体32も同様に形成した。
【0074】
最後に、上記の着色体32を被覆するように、130nm厚さの多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜して第3透明電極33を形成し、本発明に係る第1の実施形態のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得た。
【0075】
(実施例2)
上述で説明した第2の実施形態の製造方法に従って、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを製造した。
まず、透明基板2として旭硝子株式会社製ANガラスを準備し、その一方の面に実施例1と同様にして、本発明に係るタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタのタッチパネルセンサ部を形成した。
【0076】
次に、透明基板2の反対側の面に、遮光体31を必要とする領域の幅に規定された開口部を有するダイノズル70を用いたダイコート法により、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27の位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域以外の所定の領域に2μm厚さのカーボンブラックからなる感光性の樹脂層31bを塗布成膜した。
次に、透明基板2のタッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマーク27を用いてアライメント露光し、現像、ベークを行なって、所望の形状の遮光体31を形成した。
続いて、赤色顔料を含んだ着色感光性樹脂を塗布し、アライメント露光、現像、ベークして、赤色の着色体32を形成した。青色、緑色の着色体32も同様に形成した。
【0077】
最後に、上記の着色体32を被覆するように、130nm厚さの多結晶ITO薄膜をスパッタリング法により成膜して第3透明電極33を形成し、本発明に係る第2の実施形態のタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタを得た。
【0078】
実施例1、2のいずれの工程においても、タッチパネルセンサ部側に形成されたアライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域は、遮光体によって覆われないようになっており、カラーフィルタ部側から透明基板を通して、タッチパネルセンサ部側の透明基板上に形成されたアライメントマークを容易に識別でき、タッチパネルセンサ部に対して位置精度良く、カラーフィルタ部を製造することができた。
【符号の説明】
【0079】
1 タッチパネルセンサ一体型カラーフィルタ
2 透明基板
20 タッチパネルセンサ部
21 配線導体
22 第1透明電極
23 第2透明電極
24 第1絶縁層
25 第2絶縁層
26 連結透明電極
27 アライメントマーク
28 有効領域
29 保護膜
30 カラーフィルタ部
31 遮光体
31a 金属薄膜
31b 樹脂層
32 着色体
33 第3透明電極
40 メタルマスク
41 遮蔽部
42 開口部
50 露光装置
51 基板保持手段
52 マスク保持手段
53 アライメント用光源
54 CCDカメラ
55 制御手段
56 移動手段
57 露光光源
60 遮光体用フォトマスク
61 マスク側アライメントマーク
70 ダイノズル
100 タッチパネルセンサ
101 透明基板
102 有効領域
103 X軸透明電極
104 Y軸透明電極
105 配線導体
106 連結透明電極
107 第1絶縁層
108 第2絶縁層
109 アライメントマーク
110 保護膜
200 カラーフィルタ
201 透明基板
202 遮光体
202a 金属薄膜
203 着色体
204 透明電極
205 アライメントマーク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の一方の主面上に、配線導体を有するタッチパネルセンサ部を形成し、前記透明基板の他方の主面上に、遮光体を有するカラーフィルタ部を形成するタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法において、
前記タッチパネルセンサ部側の透明基板上にアライメントマークを形成し、
その後、前記カラーフィルタ部側の透明基板上に、前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜を、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に形成し、
次いで、前記アライメントマークを用いて、前記透明基板を通して前記カラーフィルタ部側から位置合わせを行って、前記カラーフィルタ部を形成することを特徴とするタッチパネルセンサ一体型カラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記アライメントマークが、前記タッチパネルセンサ部を構成する配線導体と同じ材料からなり、前記配線導体を形成する工程で同時に形成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜が、少なくとも、1種類の金属、金属酸化物、または金属窒化物を真空成膜した薄膜であり、真空成膜する領域をメタルマスクで規定することにより、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に、前記薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記カラーフィルタ部の遮光体を構成する膜が、少なくとも、遮光性粒子を含有させた樹脂を塗布成膜した薄膜であり、塗布成膜する領域を規定することにより、前記タッチパネルセンサ部側に形成された前記アライメントマークの位置に相当するカラーフィルタ部側の透明基板上の領域を除く領域に、前記薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記遮光性粒子を含有させた樹脂が、感光性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネルセンサ一体型のカラーフィルタの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−170252(P2011−170252A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35999(P2010−35999)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】