説明

タッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置

【課題】指に邪魔されることなく、位置決めを正確におこなえる携帯型ゲーム装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル式の入力部を兼用するディスプレイを有する携帯型ゲーム装置において、プレーヤの指19が表示面3aに接触したことを検出する手段、指の表示面上での座標位置を演算する手段、座標位置に対して、ディスプレイに表示すべきオブジェクトCSを表示する座標位置を、指の座標位置に対して所定距離L1だけ離れ、かつディスプレイに表示されたオブジェクトと表示面に接触された指の周囲との間に間隙SPが生じるような相対位置に位置するように演算決定する手段、及び、演算決定されたディスプレイ上の座標位置にオブジェクトを表示するオブジェクト表示手段から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの表示面がタッチパネル式の入力手段となっているタッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで言う、携帯型ゲーム装置とは、ゲーム専用の装置の他に、携帯電話端末や携帯音楽/画像再生端末などの機能を有しつつ、ゲームも楽しむことも可能な携帯型の多機能端末を含むものである。
【0003】
こうした携帯型ゲーム装置では、ディスプレイの表示面積を出来るだけ大きくするために、入力方式をキーボード形式から、ディスプレイの表示面を利用したタッチパネル形式のものを用いる傾向が強くなっている。なお、一般的なタッチパネルの例としては、特許文献1示すようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−148860
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そうした場合、プレーヤは指でディスプレイの表示面の適宜な位置を触ることで、当該ディスプレイに表示されているアイコンやコマンドなどのオブジェクトを選択して何らかの入力を携帯型ゲーム装置に対して行なうこととなる。しかし、携帯型ゲーム装置のディスプレイの大きさは指の大きさに比してそれほど大きなものではないことから、ディスプレイに表示されているオブジェクトを選択しようとしてディスプレイの表示面に触ると、当該選択しようとしたオブジェクトが指で隠れてしまい、何を選択したのか分からなくなってしまう不都合が生じる。また指のディスプレイ表示面における接触位置にオブジェクトを表示させる場合でも、表示されるオブジェクトが指に隠れてしまい、何が表示されているかプレーヤに分かりにくくなる不都合が生じる。
【0006】
また、オブジェクトをディスプレイ上で適当な位置に移動位置決めさせようとしても、オブジェクトが指の下に有るために、オブジェクトのディスプレイ上での正確な位置が分からず、何度もやり直す必要が生じ、ゲームの興趣を損なう原因となる。
【0007】
そこで、本発明は、タッチパネル式の入力機能を持った小型ディスプレイにおいても、オブジェクトの選択又は表示を指に邪魔されることなく、また、その移動位置決めも正確に行なうことの出来る、タッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、タッチパネル式の入力部を兼用するディスプレイ(3)を有する携帯型ゲーム装置(1)において、
プレーヤの指(19)が前記ディスプレイの表示面(3a)に接触したことを検出する指接触検出手段(15)、
前記指の前記表示面上での座標位置を演算する指位置演算手段(15)、
前記演算された指の座標位置に対して、前記ディスプレイに表示すべきオブジェクト(CS)を表示する座標位置を、前記指の座標位置に対して所定距離(L1)だけ前記ディスプレイ上で離れ、かつ前記ディスプレイに表示されたオブジェクトと前記表示面に接触された指の周囲との間に間隙(SP)が生じるような相対位置に位置するように演算決定するオブジェクト表示位置演算手段(10、15)、及び、
前記演算決定された前記ディスプレイ上の座標位置に前記オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段(9)、
を設けた点である。
【0009】
また、本発明の第2の観点は、前記指位置演算手段は、指の前記表示面での座標位置を、一定の時間間隔で繰り返し演算し、
前記オブジェクト表示位置演算手段は、前記演算された指位置の座標位置の変化に応じて前記オブジェクトを表示する座標位置を、常に前記指の座標位置に対して前記相対位置関係を保持した座標位置となるように演算決定する、
ことを特徴とする点である。
【0010】
また、本発明の第3の観点は、タッチパネル式の入力部を兼用するディスプレイを有する携帯型ゲーム装置において、
プレーヤの前記ディスプレイに対する接触動作に基づいて、ディスプレイに表示されたフィールド上で移動すべきオブジェクトを選択決定するオブジェクト選択手段(10,11,15)、
プレーヤの指が前記ディスプレイの表示面に接触したことを検出する指接触検出手段(15)、
前記指の前記表示面上での座標位置を、一定の時間間隔で繰り返し演算する指位置演算手段(15)、
前記演算された指の座標位置に対して、前記オブジェクト選択手段により選択されたオブジェクト(CR)との相対位置関係を演算する相対位置演算手段(11)、
前記オブジェクト選択手段により選択されたオブジェクトの前記フィールド上での位置の認識を容易化するために、ディスプレイ上での表示態様を変化させる表示態様変化手段(12)、
前記演算された指の座標位置の変化に応じて前記選択されたオブジェクトを表示する座標位置を、常に前記指の座標位置に対して前記相対位置関係を保持した座標位置となるように演算決定する、オブジェクト表示位置演算手段(10,12)、及び、
前記演算決定された前記ディスプレイ上の座標位置に前記選択されたオブジェクトを、前記表示態様変化手段により表示態様を変化させた状態で表示するオブジェクト表示手段(9)、
を設けた点である。
【0011】
また、本発明の第4の観点は、前記表示態様変化手段は、
前記指接触検出手段が、前記指が前記表示面に接触したことを検出した場合、前記オブジェクトを、カーソル(CS)とオブジェクト本体(PC)とに分離し、前記カーソルをそれまで前記オブジェクトが配置されていた座標位置(P3)にそのまま配置し、前記オブジェクト本体を該カーソルの周囲(P5)に配置する形で表示する、オブジェクト分離表示手段(12)を有する、
ことを特徴とする点である。
【0012】
また、本発明の第5の観点は、前記表示態様変化手段は、
前記指接触検出手段が、前記指が前記表示面に接触したことを検出した場合、
前記オブジェクトを半透明状態にして表示する、
ことを特徴とする点である。
【発明の効果】
【0013】
第1の観点によれば、オブジェクトの表示に際して、オブジェクトがディスプレイの表示面に接触した状態の指の周囲から間隙(SP)を介して離れた形で表示されるので、オブジェクトが指に隠れてしまい、何が表示されているかプレーヤに分かりにくくなるようなことがなくなり、視認性の良い携帯型ゲーム装置の提供が可能となる。
【0014】
第2の観点によれば、指が表示面上で摺動する形で移動しても、オブジェクトは常に指に対して一定の相対位置を保持した形で表示されるので、指を移動させても、オブジェクトに対する視認性の良い携帯型ゲーム装置の提供が可能となる。また、カーソル(CS)などのオブジェクトを利用した、キャラクタ(CR)などの他のオブジェクトの選択動作も、指に邪魔されることなく正確に行なうことが出来る。
【0015】
第3の観点によれば、指がディスプレイ表示面(3a)に触れると、選択されたオブジェクトの表示態様が変化して、オブジェクトのフィールド上での位置を容易に認識することが可能となる。また、指の位置を表示面上で摺動させた場合でも、指とオブジェクトとの間の相対位置関係は保持される形でオブジェクトが移動制御されるので、常にオブジェクトをプレーヤが視認容易な位置に保持すること可能となる。従って、オブジェクトの移動位置決めを正確に行なうことが出来る。
【0016】
第4の観点によれば、オブジェクトがカーソル(CS)とオブジェクト本体(PC)とに分離表示されるので、カーソル(CS)のフィールド(FLD)上での位置をオブジェクト本体に邪魔されることなく正確に認識することが出来る。
【0017】
第5の観点によれば、オブジェクトが半透明状態で表示されるので、オブジェクトを通して、フィールド(FLD)を確認することが出来、オブジェクトのフィールド(FLD)上での位置を正確に認識することが出来る。
【0018】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明が適用される携帯型ゲーム装置のブロック図。
【図2】図2は、携帯型ゲーム装置のディスプレイにおける表示態様の一例を示す模式図。
【図3】図3は、携帯型ゲーム装置のディスプレイにおける表示態様の別の例を示す模式図。
【図4】図4は、携帯型ゲーム装置のディスプレイにおける表示態様の更に別の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0021】
図1はコンピュータを構成するゲーム機としての携帯型ゲーム装置を示している。携帯型ゲーム機1は、図2に示すように、携帯可能な筐体からなる本体2を有しており、本体2には、ディスプレイ3が設けられている、ディスプレイ3は、タッチパネル式の入力部5を兼用しており、プレーヤは、ディスプレイ3の表示面3aに表示されるカーソル、アイコン、キャラクタなど様々なオブジェクトを指で押圧することで、それらオブジェクトを選択し、当該オブジェクトに対応する種々の処理を携帯型ゲーム装置1に対して行なわせることが出来る。なお、タッチパネル式の入力方式は既に公知なので、ここではその詳細な説明は省略する。図1に示す携帯型ゲーム装置1の場合、全ての入力はディスプレイ3の表示面3aを指でタッチすることで行なわれる構成となっている。
【0022】
携帯型ゲーム装置1は、図2に示すように、主制御部6を有しており、主制御部6はバス線6を介して前述したタッチパネル式入力部5、表示制御部9,ディスプレイ3,カーソル移動制御部10,キャラクタ選択判定部11,キャラクタ本体移動制御部12,ゲーム実行制御部13,指移動検出部15及びメモリ16等が接続している。なお、これらの構成要素は、全て本体2に装備されており、プレーヤが本体2を携帯することで、携帯型ゲーム装置1を携帯することとなる。なお、図1に示すブロック図は、本発明に関係する部分のみを例示的に示したものであり、実際の携帯型ゲーム装置1の全ての構成を示すものではない。なお、表示制御部9は、請求項におけるオブジェクト表示手段を構成し、カーソル移動制御部10は、請求項におけるオブジェクト表示位置演算手段、オブジェクト選択手段を構成する。また、キャラクタ選択判定部11は、請求項におけるオブジェクト選択手段、相対位置演算手段を構成し、キャラクタ本体移動制御部12は、請求項における表示態様変化手段、オブジェクト表示位置演算手段、オブジェクト分離表示手段を構成する。更に、指移動検出部15は、請求項における指接触検出手段、指位置演算手段、オブジェクト選択手段を構成する。
【0023】
図2に示す携帯型ゲーム装置1は、実際にはコンピュータが、図示しないメモリに格納された所定のプログラムを読み出して、実行することで、図示しないCPUやメモリが、マルチタスクにより時分割的に動作し、図1に示す各ブロックに示された機能を実行してゆくこととなる。しかし、携帯型ゲーム装置1を、各ブロックに対応したハードウエアで構成することも可能であり、また各ブロックを各ブロックに分散的に設けられたCPU又はMPUにより制御するように構成することも可能である。
【0024】
携帯型ゲーム装置1は以上のような構成を有するので、プレーヤがゲームを行なう場合には、図1に示すタッチパネル式入力部5を操作して、ゲームの開始を指令する。これを受けて主制御部6は、ゲーム実行制御部13に対してゲームの実行を指令し、ゲーム実行制御部13はメモリ16から所定のゲームプログラムGPRを読み出して、実行する。
【0025】
ゲームプログラムGPRによるゲームでは、例えば、図2に示すように、ディスプレイ上の2次元のフィールドFLDが表示された中に、プレーヤが請求項におけるオブジェクトを構成するカーソルCSを適宜な位置に移動位置決めする作業がある。この作業は、通常、プレーヤがディスプレイ3上の任意の位置を押圧することでカーソルCSを表示面3a上に表示させ、そのまま指を表示面3a上で目的の位置までドラッグさせることで、行なわれる。以下に、本発明による携帯型ゲーム装置1のカーソルCSの移動位置決め制御について説明する。
【0026】
例えば、ディスプレイ3上に1個以上のキャラクタCRが表示されている状態で、それらキャラクタCRの中からプレーヤが選択したいキャラクタCRをゲーム装置1に対して決定指示する場合、プレーヤはまず、ディスプレイ3の表示面3a上の任意な位置に指19を、指先19aを表示面2aに接触させた形で置く。指先19aが表示面2aに配置されると、指移動検出部15が、指19が表示面2aと接触したことを検出し、カーソル移動制御部10にその座標位置P1と共に通知する。カーソル移動制御部10は、キャラクタ選択判定部11に対して現在プレーヤによって特定のキャラクタCRが選択されているか否かを問い合わせる。この状態では、未だ特定のキャラクタCRが選択されていることはないので、キャラクタ選択判定部11はプレーヤによるキャラクタCRの選択は行なわれていない旨、カーソル移動制御部10に対して通知する。
【0027】
これを受けて、カーソル移動制御部10は、表示制御部9に対して、現在指先19aが配置されているディスプレイ3の表示面3aの座標位置P1の図2上方(ここで、「上方」とは、正確にX軸+方向である必要はない)、即ち指先19aから所定距離L1だけ離れた座標位置P2に、半透明状態のカーソルCSを配置するように、その座標位置P2を演算決定し、表示制御部9に対して指令する。これを受けて、表示制御部9は、図2に示すように、ディスプレイ3の表示面3a上の座標位置P2にカーソルCSを表示させるが、カーソルCSは、表示面3a上でプレーヤの指先19aより所定距離上方(X軸+方向)に離れた形で表示されることとなり、プレーヤはカーソルCSが自分の指先19aの直下に表示され、カーソルCSの表示面3a上での位置が分かりにくくなるような事態の発生は防止される。なお、距離L1は、予めカーソル移動制御部10内の図示しないメモリ内に設定された値であり、表示面3a上に配置された指先19aの先端とカーソルCSが明瞭に分かれた形でプレーヤに視認可能なような距離(例えは、表示面3a上で1cm程度の間隙SPが生じる程度)に設定されている。
【0028】
なお、上述の場合は、カーソルCSなどのオブジェクトをプレーヤの指先から所定距離X軸+方向(ディスプレイ表示面3aの上方)に離れた位置に、即ちプレーヤの指先19aの先端とオブジェクトの画像との間に間隙SPが形成されるように表示した場合について説明したが、オブジェクトの指先19aに対する相対位置は、ディスプレイ表示面3aの上方に限らず、指19の周囲とオブジェクトの間に間隙SPが形成され、プレーヤが指19に邪魔されずにオブジェクトの位置を視認することが出来る限り、指先19aの周囲どの方向でもよい。
【0029】
こうして、カーソルCSがディスプレイ20a上に表示されたところで、プレーヤは指先19aを表示面3aに接触させた状態のまま、自分が選択したいと思っているキャラクタCRが表示された座標位置P3に向けて表示面3a上を移動させてゆく。指移動検出部15は、指先19aと表示面3aの接触の継続を監視しながら、指先19aのディスプレイ20a上での接触座標位置P1を一定の時間間隔で繰り返し演算し、カーソル移動制御部10に対して一定の時間間隔毎に出力する。カーソル移動制御部10は、指移動検出部15から出力される指先19aの座標位置P1の変動に基づいて、カーソルCSを、常に座標位置P1に対してX軸+方向に距離L1となるようにその表示位置P2を演算決定し、表示制御部9に対して当該表示位置P2にカーソルCSが表示されるように指令する。
【0030】
表示制御部9は、これによりカーソルCSを常にプレーヤの指先19aより所定距離上方の位置P2に表示することとなり、プレーヤが指先19aをキャラクタCRが表示された座標位置P3に向けて表示面3a上を移動させてゆくにつれ、その移動に同期した形で指先19aの移動方向と平行な方向を維持した形で座標位置P1方向に移動表示される。これにより、カーソルCSは、常にプレーヤの指先19aの先端から間隙SPを介した上方に表示された形で移動するので、プレーヤはカーソルCSの現在位置を自分の指先19aの移動に関わらず、正確に認識することが出来る。
【0031】
なお、カーソル移動制御部10は、カーソルCSの座標位置P2が現在の指先の座標位置P1に対してディスプレイ上で一定の位置関係を保った形で、即ちXY座標上での相対位置を保持した形となるようにカーソルCSの座標位置P2を演算決定するので、仮にカーソルCSが指先19aのX軸+方向に存在しない設定(例えば指先19aのY軸+又は−側の、側方に表示する設定)であっても、指先19aの表示面3a上での摺動に対して、間隙SPを介して追随する形で表示制御される。
【0032】
こうして、プレーヤが指先19aを表示面3a上で選択すべきキャラクタCRの方向に、図2左下方向に移動させてゆくと、それにつれてカーソルCSも図2左下方向に、キャラクタCRに接近移動する形で表示される。なお、図2には、理解を容易にするためにキャラクタCRが1体しか表示されていないが、実際には、ディスプレイ20a上には1体以上複数体の異なるキャラクタCRが表示されている。プレーヤはカーソルCSの位置を確かめながら指先19aを表示面3a上で移動させ、カーソルCSを徐々に自分が選択したいキャラクタCRに接近させてゆき、ついにはカーソルCSをディスプレイ20aに表示されているキャラクタCRの画像と接触させる。
【0033】
すると、カーソル移動制御部10は、ディスプレイ20a上に表示されている、ある一体のキャラクタCRと、カーソルCSが接触したことを検出し、キャラクタ選択判定部11に通知する。これを受けて、キャラクタ選択判定部11は、当該カーソルCSが接触したキャラクタCRを特定する。ディスプレイ20a上にゲーム実行制御部13により配置されているキャラクタCRの名称及びその座標位置は、ゲーム実行制御部13からカーソル移動制御部10及びキャラクタ選択判定部11に通知されているので、カーソル移動制御部10でのカーソルCSとキャラクタCRの接触の検出及び、キャラクタ選択判定部11でのカーソルCSが接触したキャラクタCRの特定は容易に行なうことが出来る。
【0034】
こうして、カーソルCSが接触したキャラクタCRがその名称及び座標位置P3と共に特定されると、キャラクタ選択判定部11は、表示制御部9を介してプレーヤが接触することで選択したキャラクタCRについて、当該キャラクタCRの画像に、カーソルCSを中心とする円形の選択マークSMを表示する。これにより、プレーヤは自分がカーソルCSを接触させたキャラクタCRが選択されたことをディスプレイ20aの画面上で認識することが出来る。キャラクタCRが選択されると、プレーヤは指先19aを表示面3aから離すが、当該選択状態は保持され、選択マークSMの表示は継続する。キャラクタ選択判定部11による、選択されたものと判定されたキャラクタCRは、カーソル移動制御部10及びキャラクタ本体移動制御部12に通知される。
【0035】
なお、キャラクタCRの選択に際して、カーソルCSを選択すべきキャラクタCRに向けて移動させる場合でも、プレーヤの指先19aの先端から間隙SPを介した上方に表示されるカーソルCSを見ながら目的のキャラクタCRが表示されている位置までカーソルCSを移動させることが出来るので、正確にカーソルCSを目的のキャラクタCRに接触させることが出来る。これは、目的とするキャラクタCRの周囲に他のキャラクタCRが複数、集合した状態で配置表示されている様な場合に、それらキャラクタCRを避けながらカーソルCSを表示面3a上で移動させて、目的のキャラクタCRが表示されている位置にまでカーソルCSを移動させる必要があるような場合には、特に有効である。
【0036】
プレーヤがキャラクタCRを選択したところで、今度は、プレーヤは自分が選択したキャラクタCRを、図3に示す位置P3から位置P3‘まで、フィールドFLD上をプレーヤの指先19aの移動に同期する形で移動させる場合(以下、こうした移動を「ドラッグ移動」と称する)には、プレーヤは指先19aをディスプレイ20aの表示面3a上の適当な位置に接触させる。この際、プレーヤは現在のキャラクタCRが表示されている位置P3とこれからキャラクタCR移動させたい位置P3’を考慮して、フィールドFLDにおいてそれらの位置P3,P3‘及びそれら位置P3,P3‘の間のフィールドFLDを観察することが可能な位置、例えば、図3の位置P4を選択し、当該位置P4に指先19aを接触させることとなる。
【0037】
なお、移動すべきキャラクタCRが未だ選択されてない状態の時、即ちキャラクタCRに選択マークSMが配置されていない場合には、前述のカーソルCSを移動させてキャラクタCRに接触させる方法の他に、直接プレーヤが表示面3aに表示されているキャラクタCRの画像をタッチすることで、指移動検出部15によりタッチされた指先19aの座標位置を検出し、キャラクタ選択判定部11が当該検出された指先19aの座標位置と表示面3aに表示されているキャラクタCRの座標位置の一致を検出して、プレーヤによるキャラクタCRの選択を判定し、表示制御部9を介して当該キャラクタCRの画像に選択マークSMを配置表示するように構成することも可能である。
【0038】
プレーヤの指先19aが表示面3aに接触されると、指移動検出部15がプレーヤの指先19aの表示面3aへの接触を検知し、当該指先19aの表示面3aへの接触が一定時間(例えば0.1秒)以上、継続した場合には、キャラクタCRのドラッグ移動が指令されているものと判断して、その旨をキャラクタ本体移動制御部12に通知する。これを受けて、キャラクタ本体移動制御部12は、現在プレーヤが選択中のキャラクタCR(選択マークSMが表示)について、図3に示すように、当該キャラクタCRの画像(オブジェクト)を半透明状態のカーソルCS及びキャラクタ本体画像(オブジェクト本体)PCとに分離した形で表示する。即ち、選択されたキャラクタCRの位置P3を示すカーソルCSは、本来のキャラクタCRが配置された座標位置P3にそのまま配置する形で表示し、キャラクタ本体画像PC(オブジェクト本体)を、当該カーソルCSの上方、即ちX軸+方向に所定距離L2だけ移動した座標位置P5に移動させた形で分離表示する。なお、キャラクタ本体画像PCは、必ずしもカーソルCSの上方に配置する必要はなく、カーソルCSと対応が取れる限り、カーソルCSの周囲のどこに配置して良い。
【0039】
これにより、プレーヤが選択したキャラクタCRは、カーソルCS上にフィールドFLD上での間隙SPを介した形でキャラクタ本体画像PCが浮いた形で表示される。このように、選択状態のキャラクタCRが、当該キャラクタCRの位置を示すカーソルCSと当該キャラクタCRそのものを示すキャラクタ本体画像PCとに分離表示されるので、プレーヤは半透明状態のカーソルCSにより、キャラクタCRのフィールドFLD上での正確な位置を容易に認識することが出来る。なお、キャラクタCRのカーソルCSとキャラクタ本体画像PCとの分離表示は、カーソルCSを介して正確なキャラクタCRのフィールドFLD上での位置をプレーヤに容易に認識してもらうためのものなので、プレーヤがキャラクタCRのフィールドFLD上での位置を容易に認識することが出来る限り、キャラクタCRをカーソルCSとキャラクタ本体画像PCとに分離表示する必要はない。例えば、プレーヤの指先19aが表示面3a上に接触した時点で、キャラクタ本体移動制御部12は、キャラクタCRの表示の透明度を上げて、半透明状態とし、キャラクタCRの画像を透して、その下に表示されているフィールドFLDの位置を認識できるように制御することも当然可能である。
【0040】
こうして選択されたキャラクタCRがカーソルCSとキャラクタ本体画像PCとに分離表示されたところで、プレーヤは指先19aを、位置P4‘に向けて表示面3a上を摺動させる形で移動させてゆくが、指先19aの表示面3a上での座標位置は指移動検出部15が常に演算検出しており、その結果を、カーソル移動制御部10及びキャラクタ本体移動制御部12に通知している。また、カーソル移動制御部10は、プレーヤが最初に指先19aを表示面3a上に接触させた際の座標位置P4に対するキャラクタCRの座標位置P3の相対位置関係をX−Y座標の距離X、Y=(L4,L3)として演算格納している。そして、指先19aが表示面3a上を移動すると、指先19aとキャラクタCRのカーソルCSの相対位置関係が、常に距離X、Y=(L4,L3)となるようにカーソルCSの表示座標を決定し、表示制御部9を介して表示する。
【0041】
一方、キャラクタ本体移動制御部12は、カーソル移動制御部10により表示面3a上を、一定の距離X、Y=(L4,L3)を保って移動するカーソルCSから所定距離L2だけ図3上方に移動した位置にキャラクタ本体画像PCが表示されるように、その表示位置を演算決定し、表示制御部9を介して表示する。これにより、キャラクタ本体画像PCは、カーソルCSの上方に間隙SPを介して浮いた状態でディスプレイ3上に表示される。
【0042】
この状態で、プレーヤがその指先19aを位置P3‘に向けて表示面3a上を摺動させると、キャラクタCRは、図3に示すように、指先19aの移動軌跡TRと平行にキャラクタCRのカーソルCS及びキャラクタ本体画像PCがフィールドFLD上を移動してゆく形で表示される。また、カーソルCSは、常にプレーヤの指先19aから一定の距離X、Y=(L4,L3)だけ離れた形で表示されている。従って、キャラクタCRは、キャラクタCRの現在位置を示すカーソルCSとその上(X軸+方向)に表示されたキャラクタ本体画像PCとに分離表示され、移動中のキャラクタCRのフィールドFLD上での位置はキャラクタ本体画像PCに邪魔されること無くカーソルCSにより明確に認識することが出来るので、キャラクタCRを正確に座標位置P3’に移動位置決めすることが簡単に出来る。
【0043】
キャラクタCRが座標位置P3‘に達すると、プレーヤは指先19aを表示面3aから離す。すると指移動検出部15は、プレーヤの指先19aが表示面3aから離れたこと検出し、キャラクタ本体移動制御部12に通知する。これを受けてキャラクタ本体移動制御部12は、それまでカーソルCSの上方に浮いた形で表示していたキャラクタ本体画像PCをカーソルCS上に戻す。これにより、キャラクタCRの画像は、カーソルCSとキャラクタ本体画像PCが一体となった図2の位置P3における、通常のキャラクタCRの画像と同様の画像に戻る。
【0044】
この状態で、プレーヤがディスプレイ3の表示面3a上の適宜な位置に表示されている図示しない決定ボタンをタッチすると、位置P3‘に配置されたキャラクタCRの位置は確定し、ゲーム実行制御部13は、当該確定された座標位置P3’にキャラクタCRがドラッグ移動により配置されたものと認識して後のゲームを進行させる。なお、決定ボタンがタッチされると、それまでプレーヤによる選択状態にあったキャラクタCRの選択状態は解除され、キャラクタ選択判定部11は、それまで当該キャラクタCRを囲んでいた選択マークSMの表示を止める。
【0045】
次に、選択状態にある、選択マークSMに囲まれたキャラクタCRを座標位置P3から、図4に示すように例えば、座標位置P6付近に瞬時に移動させたい場合には、プレーヤは指先19aを当該キャラクタCRを移動させたい座標位置P6のやや下方の座標位置P7の表示面3a上に瞬間的に接触させる。すると、指移動検出部15は、プレーヤの指先19aの表示面3aへの接触を検知し、同時に当該指先19aの表示面3aへの接触が一定時間(例えば0.1秒)以下であることを判定する。すると、指移動検出部15は、キャラクタCRの瞬間的な移動が指令されているものと判断して、その旨をキャラクタ本体移動制御部12に通知する。
【0046】
これを受けて、キャラクタ本体移動制御部12は、それまで座標位置P3に表示されていたキャラクタCRのオブジェクト(カーソルCS及びキャラクタ本体画像PC)の表示位置を、指先19aの座標位置P7の図4上方、即ち+X軸方向に距離L1だけ離れた座標位置P6と演算決定し、表示制御部9に対して当該位置にキャラクタCRを移動表示するように指令する。これを受けて、表示制御部9は、それまで座標位置P3に表示されていたキャラクタCRの画像を、座標位置P6に移動させた形でディスプレイ3に表示する。この場合、キャラクタCRの画像の移動は瞬時に行なわれるので、プレーヤはキャラクタCRの移動にストレスを感じることはない。
【0047】
また、瞬間的な移動に際してのキャラクタCRの画像は、プレーヤの指先19aの+X軸方向、即ち表示面3a上方に、フィールドFLD上で間隙SPを介して表示されるので、移動後のキャラクタCRの位置をプレーヤの指先19aの位置に邪魔されること無く容易に認識することが出来る。
【0048】
この状態で、プレーヤがディスプレイ3の表示面3a上の適宜な位置に表示されている図示しない決定ボタンをタッチすると、位置P6に配置されたキャラクタCRの位置は確定し、ゲーム実行制御部13は、当該確定された座標位置P6にキャラクタCRが瞬間的な移動により配置されたものと認識して後のゲームを進行させる。なお、決定ボタンがタッチされると、それまでプレーヤによる選択状態にあったキャラクタCRの選択状態は解除され、キャラクタ選択判定部11は、それまで当該キャラクタCRを囲んでいた選択マークSMの表示を止める。
【符号の説明】
【0049】
1……携帯型ゲーム装置
3……ディスプレイ
3a……表示面
9……表示制御部(オブジェクト表示手段)
10……カーソル移動制御部(オブジェクト表示位置演算手段、オブジェクト選択手段)
11……キャラクタ選択判定部(オブジェクト選択手段、相対位置演算手段)
12……キャラクタ本体移動制御部(表示態様変化手段、オブジェクト表示位置演算手段、オブジェクト分離表示手段)
15……指移動検出部(指接触検出手段、指位置演算手段、オブジェクト選択手段)
L1……所定距離
P3、P5……座標位置
CS……カーソル(オブジェクト)
PC……キャラクタ本体画像(オブジェクト本体)
SP……間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式の入力部を兼用するディスプレイを有する携帯型ゲーム装置において、
前記ディスプレイに1個以上のキャラクタを表示するキャラクタ表示手段、
プレーヤの指が前記ディスプレイの表示面に接触したことを検出する指接触検出手段、
前記指の前記表示面上での座標位置を一定の時間間隔で繰り返し演算する指位置演算手段、
前記演算された指の座標位置に対して、前記ディスプレイに表示すべきオブジェクトを表示する座標位置を、前記指の座標位置に対して所定距離だけ前記ディスプレイ上で離れ、かつ前記ディスプレイに表示されたオブジェクトと前記表示面に接触された指の周囲との間に間隙が生じるような相対位置に位置するように演算決定するオブジェクト表示位置演算手段を有し、
前記オブジェクト表示位置演算手段は、前記演算された指位置の座標位置の変化に応じて前記オブジェクトを表示する座標位置を、常に前記指の座標位置に対して前記相対位置関係を保持した座標位置となるように演算決定し、
前記演算決定された前記ディスプレイ上の座標位置に前記オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を有し、
前記ディスプレイに表示された前記オブジェクトと前記キャラクタの接触を検出するカーソル移動制御部、
前記カーソル移動制御部により前記オブジェクトとの接触が検出されたキャラクタを特定し、前記特定されたキャラクタについて、選択マークを前記ディスプレイの当該キャラクタの画像に表示すると共に、当該選択状態を保持する、キャラクタ選択判定部、
を有することを特徴とする、タッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置。
【請求項2】
前記キャラクタ選択判定部は、前記プレイヤの指先が前記ディスプレイの表示面から離れても、前記選択状態を保持する、
ことを特徴とする、請求項1記載のタッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置。
【請求項3】
前記オブジェクト表示手段は、前記オブジェクトを半透明状態のカーソルとして表示する、
ことを特徴として構成される、請求項1記載のタッチパネル式ディスプレイを持った携帯型ゲーム装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−172939(P2011−172939A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60409(P2011−60409)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【分割の表示】特願2009−69999(P2009−69999)の分割
【原出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】