説明

タッチパネル装置

【課題】タッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことができるタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】タッチした位置に対応する座標情報を出力するタッチパネル部2からの座標情報に基づいて表示変更制御信号を出力する制御部5と、表示変更制御信号に基づいて表示部3に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更するための指示を表示部3に与えるユーザインタフェース表示変更指示部6とを備え、制御部5はタッチパネル部2に対するタッチが表示部3の表示をスクロールさせるためのスクロール操作である場合、スクロール操作に対応した表示変更制御信号を出力し、ユーザインタフェース表示変更指示部6は制御部5からの表示変更制御信号に基づいた指示を表示部3に与えて、スクロール操作の軌跡の突出方向に応じて表示部3に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手指でスクロールバーや操作ボタンを操作することができるユーザインタフェースを有する携帯端末に用いて好適なタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを採用した携帯端末が増えてきており、その1つとして携帯電話とPDA(Personal Digital Assistant)を融合させたスマートフォンと呼ばれるものがある。スマートフォンは、通信機能の他に、ネットワーク機能、スケジュール機能及び個人情報管理機能などの多種多様な機能を有している。
【0003】
タッチパネルでは、スクロールバーや操作ボタン等のユーザインタフェースのレイアウトを使用状況に応じて適宜変更することが可能であり、よりユーザに操作しやすいレイアウトを提供することができる。タッチパネルにおけるレイアウト変更を可能にした技術として、例えば特許文献1,2に記載されている技術がある。特許文献1には、カメラにて光学式タッチパネルと入力手段を撮影し、操作しているのがタッチペン又は指かを判別し、指であれば、更に親指か、その他の指か、そして右手か左手かを判別して適切な画面のレイアウトになるように変更する技術が開示されている。特許文献2には、筐体に配置したセンサにより、ユーザの操作している手を判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−182071号公報
【特許文献2】特開2009−169820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2で開示された技術は、ユーザインタフェースのレイアウトの変更にカメラやセンサなどのデバイスを用いるため、コスト高になるとともに、消費電力が大きくなるという課題がある。特に、片手操作用のレイアウトを実現しようとする場合、手の持ち替えがいつ発生するか予測がつき難いため、原則的にデバイスを常時起動させておく必要があり、無駄が多かった。
【0006】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、カメラやセンサなどのタッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチパネル装置は、ユーザの手指がタッチした位置に対応する座標情報を出力するタッチパネル部と、前記タッチパネル部から出力された前記座標情報に基づいて表示変更制御信号を出力する制御部と、前記制御部から出力された前記表示変更制御信号に基づいて、表示部に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更するための指示を前記表示部に与えるユーザインタフェース表示変更指示部と、を備え、前記タッチパネル部に対する前記ユーザの手指によるタッチが前記表示部の表示をスクロールさせるためのスクロール操作である場合、前記制御部から前記スクロール操作に対応した表示変更制御信号が出力され、前記ユーザインタフェース表示変更指示部から当該表示変更制御信号に基づいた指示が前記表示部に与えられ、前記スクロール操作の軌跡の突出方向に応じて前記表示部に表示する前記ユーザインタフェースの表示位置を変更する。
【0008】
上記構成によれば、スクロール操作の軌跡によって、操作している手を判定し、その結果に応じてユーザインタフェースのレイアウト変更を行うので、カメラやセンサなどのタッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記ユーザインタフェースはスクロールバーであり、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の右端部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の左端部に表示する。
【0010】
上記構成によれば、ユーザインタフェースがスクロールバーであり、スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向の場合、スクロールバーを表示部の右端部に表示し、スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向の場合、スクロールバーを表示部の左端部に表示するので、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更が可能となる。
【0011】
上記構成において、前記ユーザインタフェースはスクロールバー及び操作ボタンであり、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の右端部に表示するとともに、前記操作ボタンを前記表示部の左端部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の左端部に表示するとともに、前記操作ボタンを前記表示部の右端部に表示する。
【0012】
上記構成によれば、ユーザインタフェースがスクロールバー及び操作ボタンであり、スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、スクロールバーを表示部の右端部に表示するとともに操作ボタンを表示部の左端部に表示し、スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、スクロールバーを表示部の左端部に表示するとともに操作ボタンを表示部の右端部に表示するので、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更が可能となる。
【0013】
上記構成において、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向であり、且つ前記スクロール操作の方向が下方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の左端下部に表示し、前記スクロール操作の方向が上方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の左端上部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向であり、且つ前記スクロール操作の方向が下方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の右端下部に表示し、前記スクロール操作の方向が上方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の右端上部に表示する。
【0014】
上記構成によれば、スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向で、スクロール操作の方向が下方向の場合、操作ボタンを表示部の左端下部に表示し、スクロール操作の方向が上方向の場合、操作ボタンを表示部の左端上部に表示し、スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向で、スクロール操作の方向が下方向の場合、操作ボタンを表示部の右端下部に表示し、スクロール操作の方向が上方向の場合、操作ボタンを表示部の右端上部に表示するので、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カメラやセンサなどのタッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係るタッチパネル装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1のタッチパネル装置におけるスクロール操作とユーザインタフェースの表示位置変更を説明するための図
【図3】図1のタッチパネル装置の縦画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図
【図4】図1のタッチパネル装置の縦画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図
【図5】図1のタッチパネル装置の横画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図
【図6】図1のタッチパネル装置の横画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図
【図7】図1のタッチパネル装置の動作を説明するためのフローチャート
【図8】図1のタッチパネル装置の動作を説明するためのフローチャート
【図9】図1のタッチパネル装置の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係るタッチパネル装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態のタッチパネル装置1は、手指でスクロールバーや操作ボタンを操作することができるユーザインタフェースを備えた、スマートフォン等の携帯端末に用いられるものであり、タッチパネル部2と、表示部3と、重力方向検知部4と、制御部5と、ユーザインタフェース表示変更指示部6とを備える。タッチパネル部2は、表示部3の表示面の直上に配置され、ユーザの手指がタッチした位置に対応する座標を座標情報として出力する。タッチパネルの方式としては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式、静電容量方式等があり、スマートフォン等の携帯端末では主に静電容量方式が採用されている。静電容量方式は手指と導電膜との間における静電容量の変化を捉えて位置を検出する方式である。
【0019】
表示部3は、液晶あるいは有機EL(Organic Electro-Luminescence)を有し、表示に関する指示に従って情報を表示する。重力方向検知部4は、加速度センサ(図示略)を有し、該加速度センサの出力に基づいて装置本体が縦方向か横方向かを検知する。制御部5は、重力方向検知部4の検知結果より装置本体が縦方向か横方向かを判別する。また、制御部5は、タッチパネル部2から座標情報が出力されることで、その座標情報と重力方向検知部4の検知結果とに基づいて表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。ユーザインタフェース表示変更指示部6は、制御部5から出力された表示変更制御信号に基づいて、表示部3に表示するスクロールバーや操作ボタン等のユーザインタフェースの表示位置を変更するための指示を表示部3に与える。
【0020】
制御部5は、タッチパネル部2から出力される座標情報より、タッチパネル部2に対するユーザの手指によるタッチが表示部3の表示をスクロールさせるためのスクロール操作であると判断すると、スクロール操作に対応した表示変更制御信号をユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。ユーザインタフェース表示変更指示部6は、制御部5からスクロール操作に対応した表示変更制御信号を受け取ると、その表示変更制御信号に基づいた指示を表示部3に与える。表示部3は、ユーザインタフェース表示変更指示部6から与えられた指示に従い、ユーザインタフェースの表示位置をスクロール操作の軌跡に対応した位置に変更する。例えば、ユーザインタフェースがスクロールバーであって、スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、スクロールバーを表示部3の右端部に表示し、スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、スクロールバーを表示部3の左端部に表示する。
【0021】
図2は、スクロール操作とユーザインタフェースの表示位置変更を説明するための図である。同図において、図2の(a)は左手50で操作したときのスクロール方向60Lと実際の操作方向61Lを示し、図2の(b)は右手51で操作したときのスクロール方向60Rと実際の操作方向61Rを示す。親指でスクロール操作する場合、親指はその付け根の関節を中心に弧を描くように動くことから、スクロール操作は利き腕の方向に若干傾いた軌跡となる。すなわち、左右いずれかの方向に突出した軌跡となる。このスクロール操作の軌跡の突出方向を判定することで、左右どちらの手で操作したのかが分り、ユーザインタフェースの表示位置を決めることができる。
【0022】
図2の(c)は、左手操作時のユーザインタフェースの表示位置を示す図である。同図に示すように、左手操作時は、スクロールバー10が表示部3の右端部に表示されるとともに、操作ボタン11が表示部3の左端上部又は左端下部のいずれか一方に表示される。操作ボタン11は、スクロール操作の方向が下方向である場合は、表示部3の左端下部に表示され、スクロール操作の方向が上方向である場合は、表示部3の左端上部に表示される。本実施の形態では、“決定ボタン”と“クリアボタン”が操作ボタン11である。
【0023】
図2の(d)は、右手操作時のユーザインタフェースの表示位置を示す図である。同図に示すように、右手操作時は、スクロールバー10が表示部3の左端部に表示されるとともに、操作ボタン11が表示部3の右端上部又は右端下部のいずれか一方に表示される。操作ボタン11は、スクロール操作の方向が下方向である場合、表示部3の右端下部に表示され、スクロール操作の方向が上方向である場合、表示部3の右端上部に表示される。
【0024】
ここで、スクロールバー10の表示位置を、操作する手と反対側の位置(左手操作時は表示部3の右端部、右手操作時は表示部3の左端部)とすることで、図2の(a)又は図2の(b)に示すように、指によって隠れる死角70を避けることができ、常に最良の視認性を確保することができる。
【0025】
また、操作ボタン11の表示位置を、スクロール操作の方向が下方向である場合は表示部3の下部にし、スクロール操作の方向が上方向である場合は表示部3の上部にすることで、スクロール操作からボタン操作に容易に移行することができ、操作性が良くなる。
【0026】
次に、図3及び図4は、タッチパネル装置1の縦画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図である。図3の(a)において、タッチパネル装置1の短手方向をX軸、長手方向をY軸方向とする。また、図3の(b)において、スクロール操作の始点80のX座標をX1、終点81のX座標をX2とする。始点80から上方向へスクロール操作する場合で、操作する手が左手50であれば、画面右端からのX軸方向の距離△X1が終点81に近づくにつれて増加し、終点81における画面右端からのX軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2>△X1となる。これに対して、操作する手が右手51であれば、図3の(c)において、画面右端からのX軸方向の距離△X1が終点81に近づくにつれて減少し、終点81における画面右端からのX軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2<△X1となる。
【0027】
したがって、+X軸方向で、△X2>△X1のときは、左手による上スクロール操作であると判定できるので、図3の(d)に示すように、スクロールバー10を縦画面左手操作用として表示部3の右端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の左端上部に表示する。これに対して、+X軸方向で、△X2<△X1のときは、右手による上スクロール操作であると判定できるので、図3の(e)に示すように、スクロールバー10を縦画面右手操作用として表示部3の左端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の右端上部に表示する。
【0028】
一方、図4の(a)において、スクロール操作の始点80のX座標をX1、終点82のX座標を−X2とする。始点80から下方向へスクロール操作を行う場合、操作する手が左手50であれば、画面右端からの−X軸方向の距離△X1が終点82に近づくにつれて増加し、終点82における画面右端からの−X軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2>△X1となる。これに対して、操作する手が右手51であれば、図4の(b)において、画面右端からの−X軸方向の距離△X1が終点82に近づくにつれて減少し、終点82における画面右端からの−X軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2<△X1となる。
【0029】
したがって、−X軸方向で、△X2>△X1のときは、左手による下スクロール操作であると判定できるので、図4の(c)に示すように、スクロールバー10を縦画面左手操作用として表示部3の右端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の左端下部に表示する。これに対して、−X軸方向で、△X2<△X1のときは、右手による下スクロール操作であると判定できるので、図4の(d)に示すように、スクロールバー10を縦画面右手操作用として表示部3の左端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の右端下部に表示する。
【0030】
次に、図5及び図6は、タッチパネル装置1の横画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図である。図5の(a)において、タッチパネル装置1の短手方向をX軸、長手方向をY軸方向とする。また、図5の(b)において、スクロール操作の始点90のY座標をY1、終点91のY座標をY2とする。始点90から上方向へスクロール操作を行う場合、操作する手が左手50であれば、画面右端からのY軸方向の距離△Y1が終点91に近づくにつれて増加し、終点91における画面右端からのX軸方向の距離が△Y2となる。このとき、△Y1と△Y2の大小関係は、△Y2>△Y1となる。これに対して、操作する手が右手51であれば、図5の(c)において、画面右端からのY軸方向の距離△Y1が終点91に近づくにつれて減少し、終点91における画面右端からのY軸方向の距離が△Y2となる。このとき、△Y1と△Y2の大小関係は、△Y2<△Y1となる。
【0031】
したがって、+Y軸方向で、△Y2>△Y1のときは、左手による上スクロール操作であると判定できるので、図5の(d)に示すように、スクロールバー10を横画面左手操作用として表示部3の右端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の左端上部に表示する。これに対して、+Y軸方向で、△Y2<△Y1のときは、右手による上スクロール操作であると判定できるので、図5の(e)に示すように、スクロールバー10を横画面右手操作用として表示部3の左端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の右端上部に表示する。
【0032】
一方、図6の(a)において、スクロール操作の始点90のY座標をY1、終点92のY座標を−Y2とする。始点90から下方向へスクロール操作を行う場合、操作する手が左手50であれば、画面右端からの−Y軸方向の距離△Y1が終点92に近づくにつれて増加し、終点92における画面右端からの−Y軸方向の距離が△Y2となる。このとき、△Y1と△Y2の大小関係は、△Y2>△Y1となる。これに対して、操作する手が右手51であれば、図6の(b)において、画面右端からの−Y軸方向の距離△Y1が終点92に近づくにつれて減少し、終点92における画面右端からの−Y軸方向の距離が△Y2となる。このとき、△Y1と△Y2の大小関係は、△Y2<△Y1となる。
【0033】
したがって、−Y軸方向で、△Y2>△Y1のときは、左手による下スクロール操作であると判定できるので、図6の(c)に示すように、スクロールバー10を横画面左手操作用として表示部3の右端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の左端下部に表示する。これに対して、−Y軸方向で、△Y2<△Y1のときは、右手による下スクロール操作であると判定できるので、図6の(d)に示すように、スクロールバー10を横画面右手操作用として表示部3の左端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の右端下部に表示する。
【0034】
なお、図2の(c)に示す表示状態と、図2の(d)に示す表示状態のいずれか一方を定常状態として、定常状態時の持ち手と違う持ち手となったときに、表示の切り替えを行うようにするとよい。例えば、図2において、左手操作を定常状態と仮定して、図2の(c)の表示状態を定常表示とし、この状態で、右手操作が行われたときに、図2の(d)の表示状態に切り替える。
【0035】
次に、本実施の形態のタッチパネル装置1の動作について説明する。
図7〜図9は、本実施の形態のタッチパネル装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図7〜図9において、まず重力方向検知部4が、重力方向の検知を実施する(ステップS1)。次いで、制御部5が、重力方向検知部4による重力方向の検知が縦検知であるかどうか判定する(ステップS2)。縦検知であれば(ステップS2の判定が「YES」であれば)、スクロール操作が行われたか否かを判定する(ステップS3)。制御部5は、スクロール操作が行われたと判定すると(ステップS3で「YES」と判定すると)、タッチパネル部2から出力された座標情報より、スクロール操作における始点と終点の各X1,X2の座標を取得する(ステップS4)。
【0036】
次いで、取得したスクロール操作における始点と終点の各X1,X2の座標から、△X2−△X1≧0の関係が成立するかどうか判定する(ステップS5)。制御部5は、この判定において、△X2−△X1≧0の関係が成立すると判定すると(ステップS5で「YES」と判定すると)、スクロール操作が左手で行われたと判断し、スクロールバー10を縦画面左手操作用として表示する処理を行う(ステップS6)。すなわち、制御部5は、スクロールバー10を縦画面左手操作用として表示部3の右端部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0037】
次いで、制御部5は、スクロール操作が下スクロールであるかどうか判定し(ステップS7)、下スクロールであると判定すると(ステップS7で「YES」と判定すると)、操作ボタン11を縦画面左手操作用として下スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS8)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を縦画面左手操作用として表示部3の左端下部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。これに対して、制御部5は、ステップS7の判定で、下スクロールでないと判定すると(ステップS7で「NO」と判定すると)、操作ボタン11を縦画面左手操作用として上スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS9)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を縦画面左手操作用として表示部3の左端上部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0038】
上記ステップS5の判定において、制御部5は、△X2−△X1≧0の関係が成立しないと判定すると(ステップS5で「NO」と判定すると)、スクロール操作が右手で行われたと判断し、スクロールバー10を縦画面右手操作用として表示する処理を行う(ステップS10)。すなわち、制御部5は、スクロールバー10を縦画面右手操作用として表示部3の左端部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0039】
次いで、制御部5は、スクロール操作が下スクロールであるかどうか判定し(ステップS11)、下スクロールであると判定すると(ステップS11で「YES」と判定すると)、操作ボタン11を縦画面右手操作用として下スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS12)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を縦画面右手操作用として表示部3の右端下部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。これに対して、制御部5は、ステップS11の判定で、下スクロールでないと判定すると(ステップS11で「NO」と判定すると)、操作ボタン11を縦画面右手操作用として上スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS13)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を縦画面右手操作用として表示部3の右端上部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。ステップS8,S9,S12又はS13の処理を行った後、本処理を終える。
【0040】
一方、上記ステップS2で、制御部5が、重力方向検知部4による重力方向の検知が横検知であると判定した場合(ステップS2で「NO」と判定した場合)、スクロール操作が行われたか否かを判定する(ステップS14)。制御部5は、スクロール操作が行われたと判定すると(ステップS14で「YES」と判定すると)、タッチパネル部2から出力された座標情報より、スクロール操作における始点と終点の各Y1,Y2の座標を取得する(ステップS15)。
【0041】
次いで、取得したスクロール操作における始点と終点の各Y1,Y2の座標から、△Y2−△Y1≧0の関係が成立するかどうか判定する(ステップS16)。制御部5は、この判定において、△Y2−△Y1≧0の関係が成立すると判定すると(ステップS16で「YES」と判定すると)、スクロール操作が左手で行われたと判断し、スクロールバー10を横画面左手操作用として表示する処理を行う(ステップS17)。すなわち、制御部5は、スクロールバー10を横画面左手操作用として表示部3の右端部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0042】
次いで、制御部5は、スクロール操作が下スクロールであるかどうか判定し(ステップS18)、下スクロールであると判定すると(ステップS18で「YES」と判定すると)、操作ボタン11を横画面左手操作用として下スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS19)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を横画面左手操作用として表示部3の左端下部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。これに対して、制御部5は、ステップS18の判定で、下スクロールでないと判定すると(ステップS18で「NO」と判定すると)、操作ボタン11を横画面左手操作用として上スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS20)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を横画面左手操作用として表示部3の左端上部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0043】
上記ステップS16の判定において、制御部5は、△Y2−△Y1≧0の関係が成立しないと判定すると(ステップS16で「NO」と判定すると)、スクロール操作が右手で行われたと判断し、スクロールバー10を横画面右手操作用として表示する処理を行う(ステップS21)。すなわち、制御部5は、スクロールバー10を横画面右手操作用として表示部3の左端部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。
【0044】
次いで、制御部5は、スクロール操作が下スクロールであるかどうか判定し(ステップS22)、下スクロールであると判定すると(ステップS22で「YES」と判定すると)、操作ボタン11を横画面右手操作用として下スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS23)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を横画面右手操作用として表示部3の右端下部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。これに対して、制御部5は、ステップS22の判定で、下スクロールでないと判定すると(ステップS22で「NO」と判定すると)、操作ボタン11を横画面右手操作用として上スクロール配置表示するための処理を行う(ステップS24)。すなわち、制御部5は、操作ボタン11を横画面右手操作用として表示部3の右端上部に表示するための表示変更制御信号を生成し、ユーザインタフェース表示変更指示部6へ出力する。ステップS19,S20,S23又はS24の処理を行った後、本処理を終える。
【0045】
以上を要約すると、(1)スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向であり、且つスクロール操作の方向が下方向である場合、スクロールバー10を表示部3の右端部に表示するとともに、操作ボタン11を表示部3の左端下部に表示し、(2)スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向であり、且つスクロール操作の方向が上方向である場合、スクロールバー10を表示部3の右端部に表示するとともに、操作ボタン11を表示部3の左端上部に表示し、(3)スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向であり、且つスクロール操作の方向が下方向である場合、スクロールバー10を表示部3の左端部に表示するとともに、操作ボタン11を表示部3の右端下部に表示し、(4)スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向であり、且つスクロール操作の方向が上方向である場合、スクロールバー10を表示部3の左端部に表示するとともに、操作ボタン11を表示部3の右端上部に表示する。
【0046】
このように本実施の形態のタッチパネル装置1によれば、ユーザの手指がタッチした位置に対応する座標情報を出力するタッチパネル部2と、タッチパネル部2から出力された座標情報に基づいて表示変更制御信号を出力する制御部5と、制御部5から出力された表示変更制御信号に基づいて、表示部3に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更するための指示を表示部3に与えるユーザインタフェース表示変更指示部6と、を備え、制御部5は、タッチパネル部2に対するユーザの手指によるタッチが表示部3の表示をスクロールさせるためのスクロール操作である場合、スクロール操作に対応した表示変更制御信号を出力し、ユーザインタフェース表示変更指示部6は、制御部5からの表示変更制御信号に基づいた指示を表示部3に与えて、スクロール操作の軌跡の突出方向に応じて表示部3に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更するので、カメラやセンサなどのタッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことが可能となる。
【0047】
なお、本実施の形態のタッチパネル装置1のハード構成としては、通常のコンピュータを用いることもできる。すなわち、タッチパネル装置1は、CPU、RAM等の揮発性メモリ、及びROM等の不揮発性メモリ、及びハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置等を備えたコンピュータによって構成できる。但し、通常のコンピュータは、重力方向検知部4を有していないのが通常であるので、重力方向検知部4を追加する必要がある。
【0048】
また、本実施の形態のタッチパネル装置1における処理を記述したプログラムを、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、カメラやセンサなどのタッチパネル以外のデバイスを追加することなく、ユーザインタフェースの適切なレイアウト変更を行うことができるといった効果を有し、スマートフォン等のタッチパネルを採用した携帯端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 タッチパネル装置
2 タッチパネル部
3 表示部
4 重力方向検知部
5 制御部
6 ユーザインタフェース表示変更指示部
10 スクロールバー
11 操作ボタン
50 左手
51 右手
70 死角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手指がタッチした位置に対応する座標情報を出力するタッチパネル部と、
前記タッチパネル部から出力された前記座標情報に基づいて表示変更制御信号を出力する制御部と、
前記制御部から出力された前記表示変更制御信号に基づいて、表示部に表示するユーザインタフェースの表示位置を変更するための指示を前記表示部に与えるユーザインタフェース表示変更指示部と、を備え、
前記タッチパネル部に対する前記ユーザの手指によるタッチが前記表示部の表示をスクロールさせるためのスクロール操作である場合、前記制御部から前記スクロール操作に対応した表示変更制御信号が出力され、前記ユーザインタフェース表示変更指示部から当該表示変更制御信号に基づいた指示が前記表示部に与えられ、前記スクロール操作の軌跡の突出方向に応じて前記表示部に表示する前記ユーザインタフェースの表示位置を変更するタッチパネル装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースはスクロールバーであり、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の右端部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の左端部に表示する請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースはスクロールバー及び操作ボタンであり、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の右端部に表示するとともに、前記操作ボタンを前記表示部の左端部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向である場合、前記スクロールバーを前記表示部の左端部に表示するとともに、前記操作ボタンを前記表示部の右端部に表示する請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記スクロール操作の軌跡の突出方向が左方向であり、且つ前記スクロール操作の方向が下方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の左端下部に表示し、前記スクロール操作の方向が上方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の左端上部に表示し、前記スクロール操作の軌跡の突出方向が右方向であり、且つ前記スクロール操作の方向が下方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の右端下部に表示し、前記スクロール操作の方向が上方向である場合、前記操作ボタンを前記表示部の右端上部に表示する請求項3に記載のタッチパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−155675(P2012−155675A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16724(P2011−16724)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】