説明

タッチパネル

【課題】耐久性及び信頼性の高いタッチパネルを提供する。
【解決手段】上部導電膜を有する上部電極基板と、下部導電膜を有する下部電極基板と、前記上部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子と、前記下部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子とを有するフレキシブル基板と、を有し、前記上部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されており、前記下部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されていることを特徴とするタッチパネルを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ディスプレイに直接入力をすることが可能な入力デバイスであり、ディスプレイの前面に設置して使用される場合が多い。タッチパネルは、ディスプレイにより視覚的にとらえた情報に基づき、直接入力することができることから、様々な用途において普及している。
【0003】
このようなタッチパネルとしては、抵抗膜方式が広く知られている。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電膜が形成された上部電極基板及び下部電極基板において、各々の透明導電膜同士が対向するように設置し、上部電極基板の一点に力を加えることにより各々の透明導電膜同士が接触し、力の加えられた位置の位置検出を行うことができるものである。
【0004】
抵抗膜方式のタッチパネルは、4線式、5線式、ダイオード式に大別することができる。4線式は、上部電極基板又は下部電極基板のどちらか一方にX軸の電極が設けられており、他方にY軸の電極が設けられている(例えば、特許文献1)。また、5線式は、下部電極基板にX軸の電極及びY軸の電極がともに設けられており、上部電極基板は、電圧を検出するためのプローブとして機能するものである(例えば、特許文献2)。また、ダイオード式は、下部電極基板にダイオードが設けられている構造のものであり、電圧を印加するための2つの電極と、電位をモニタするための4つの電極とが設けられており、電圧を検出するためにプローブとして機能する上部電極基板に設けられた電極と併せて、電極が7つ形成されることから7線式とも呼ばれている(例えば、特許文献3)。
【0005】
図1から図3に基づき7線式タッチパネルについて説明する。7線式タッチパネルは、透明フィルム等により略長方形状に形成された上部電極基板210と、ガラス基板等により略長方形状に形成された下部電極基板220と、フレキシブル基板240とを有している。
【0006】
上部電極基板210の表面には、透明導電膜が形成されており、下部電極基板220を介し、フレキシブル基板240と接続するためのフィルム電極211が設けられている。
【0007】
下部電極基板220の表面には、透明導電膜が形成されている。上部電極基板210におけるフィルム電極211と電気的に接続される接続端子231が設けられており、接続端子231は、配線232を介し電極端子233と電気的に接続されている。また、下部電極基板220の周囲に設けられた不図示の配線と電気的に接続されている6つの電極端子234、235、236、237、238、239が設けられている。
【0008】
フレキシブル基板240は、7本の配線が設けられており、これらの配線の端部には、下部電極基板220に設けられた電極端子233、234、235、236、237、238、239と接続するための7つの電極端子243、244、245、246、247、248、249が形成されている。
【0009】
図4及び図5に示されるように、上部電極基板210と下部電極基板220とは、両面テープ251により周辺部分が接合されており、上部電極基板210におけるフィルム電極211と、下部電極基板220における接続端子231とは導電性接着剤252を介し接続されている。フレキシブル基板240における電極端子243、244、245、246、247、248、249は、各々に対応する下部電極基板220に設けられた電極端子233、234、235、236、237、238、239と熱圧着により接続されている。
【0010】
より詳細に説明すると、図5に示されるように、上部電極基板210の表面には、透明導電膜212が設けられており、透明導電膜212上には、フィルム電極211が設けられている。尚、図5は、図4における一点鎖線4A−4Bにおいて切断した断面図である。
【0011】
また、下部電極基板220の表面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明導電膜221が形成されており、透明導電膜221上には、絶縁膜222が形成されている。絶縁膜222は、熱硬化または紫外線硬化のアクリル樹脂により形成される。この絶縁膜222上に、接続端子231、配線232及び電極端子233、234、235、236、237、238、239が形成されている。接続端子231、配線232及び電極端子233、234、235、236、237、238、239は、銀ペーストを用いてスクリーン印刷した後に、加熱乾燥することにより形成される。尚、配線232等の上部には、絶縁膜223が形成されている。
【0012】
また、フレキシブル基板240には配線として7本の銅配線が設けられており、この銅配線の一部を露出させることにより、電極端子243、244、245、246、247、248、249が形成されている。
【0013】
上記の通り、下部電極基板220における電極端子233、234、235、236、237、238、239と、フレキシブル基板240における電極端子243、244、245、246、247、248、249とは、各々対応する電極端子同士が接続されている。例えば、図5に示す場合では、下部電極基板220に設けられた電極端子233はフレキシブル基板240に設けられた電極端子243と接続されており、下部電極基板220に設けられた電極端子234は、フレキシブル基板240に設けられた電極端子244と接続されており、下部電極基板220に設けられた電極端子239は、フレキシブル基板240に設けられた電極端子249と接続されているように、各々の電極端子同士が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−272722号公報
【特許文献2】特開2008−293129号公報
【特許文献3】特開2005−196280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、このような構造のタッチパネルでは、タッチパネルを駆動する際、上部電極基板210における透明導電膜212と、下部電極基板220における透明導電膜221との間で、電圧が印加される場合がある。この場合、上部電極基板210における透明導電膜212は、導電性接着剤252を介し下部電極基板220における接続端子231、配線232及び電極端子233と接続されているため、下部電極基板220における接続端子231、配線232及び電極端子233は、上部電極基板210における透明導電膜212の電位と等しくなる。従って、絶縁膜222を介し下部電極基板220の表面に形成された透明導電膜221と接続端子231、配線232及び電極端子233との間で電位差が生じ、絶縁膜222において電界が集中する。
【0016】
絶縁膜222は薄く形成されているため、透明導電膜221と接続端子231、配線232及び電極端子233との間で電界が集中することにより、接続端子231、配線232及び電極端子233を形成している銀イオンが絶縁膜222内をマイグレーションし、下部電極基板220における透明導電膜221まで到達する場合がある。この場合、銀イオンがマイグレーションした領域における絶縁膜222では、絶縁不良が発生する。このような絶縁不良は、特に高温高湿における環境においては発生が顕著であり、タッチパネルの耐久性を低下させる要因となっていた。
【0017】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、銀イオン等の金属イオンのマイグレーションが発生しにくい構造であって、耐久性及び信頼性を向上させた構造のタッチパネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上部導電膜を有する上部電極基板と、下部導電膜を有する下部電極基板と、前記上部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子と、前記下部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子とを有するフレキシブル基板と、を有し、前記上部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されており、前記下部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記上部電極基板は、透明な樹脂材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記フレキシブル基板において、前記上部電極基板と接続される電極端子と、前記下部電極基板と接続される電極端子との間に、切り込み部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記上部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板における電極端子との熱圧着は、150℃以下の温度で行なわれるものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記上部電極基板に設けられた電極端子と接続される前記フレキシブル基板に設けられた電極端子は、前記上部電極基板に設けられた1つの電極端子に対し、複数の電極端子が設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記フレキシブル基板は、絶縁膜の両面に金属膜が形成されているものであって、前記絶縁膜の両面に形成された金属膜は、前記絶縁膜に設けられたスルーホールを介し電気的に接続されているものであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記フレキシブル基板に設けられる配線の数は、5本または7本であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、銀イオン等の金属イオンのマイグレーションが発生しにくい構造であって、耐久性及び信頼性を向上させた構造のタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の7線式のタッチパネルの上部電極基板の構造図
【図2】従来の7線式のタッチパネルの下部電極基板の構造図
【図3】従来の7線式のタッチパネルのフレキシブル基板の構造図
【図4】従来の7線式のタッチパネルの構造図
【図5】従来の7線式のタッチパネルの断面図
【図6】第1の実施の形態におけるタッチパネルの上部電極基板の構造図
【図7】第1の実施の形態におけるタッチパネルの下部電極基板の構造図
【図8】第1の実施の形態におけるタッチパネルの両面テープの構造図
【図9】第1の実施の形態におけるタッチパネルのフレキシブル基板の構造図
【図10】第1の実施の形態におけるタッチパネルの構造図
【図11】第1の実施の形態におけるタッチパネルの断面図
【図12】従来のタッチパネルの説明図
【図13】第1の実施の形態におけるタッチパネルの説明図
【図14】第2の実施の形態におけるタッチパネルのフレキシブル基板の構造図
【図15】第2の実施の形態におけるタッチパネルのフレキシブル基板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
〔第1の実施の形態〕
(タッチパネル)
第1の実施の形態におけるタッチパネルについて図6から図9に基づき説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、7線式のタッチパネルであって、透明フィルム等により形成される上部電極基板10と、ガラス基板等により形成される下部電極基板20と、フレキシブル基板40とを有している。
【0029】
上部電極基板10の表面には、透明導電膜が形成されており、下部電極基板20を介し、フレキシブル基板40と接続するためのフィルム電極端子11及びフィルム電極12が設けられている。尚、上部電極基板10は、フィルム状に形成されており、上部電極基板10を形成する材料としては、透明な樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、耐熱性ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、環状ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート、ポリプロピレン、耐熱ナイロン等が用いられる。
【0030】
下部電極基板20の表面には、透明導電膜が形成されており、下部電極基板20の周囲に設けられた不図示の配線と接続される6つの電極端子31、32、33、34、35、36が設けられている。尚、下部電極基板20を形成する材料としては、ガラス、プラスチックが用いられており、プラスチックとしては、ポリカーボネート、耐熱性ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリエート、環状ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート、ポリプロピレン、耐熱ナイロン等が用いられる。尚、上部電極基板10または下部電極基板20のどちらか一方の表面には、不図示のドットスペーサが形成されている。
【0031】
上部電極基板10と下部電極基板20とは、ともに透明導電膜が形成されている面が対向している状態で、図8に示す両面テープ51により張り合わされる。両面テープ51は、中央部分がくり抜かれた形状のものであり、両面テープ51以外にも接着樹脂、印刷のり等を用いてもよい。
【0032】
フレキシブル基板40は、7本の配線を有しており、下部電極基板20に設けられた電極端子31、32、33、34、35、36と接続するための電極端子41、42、43、44、45、46と、上部電極基板10に設けられたフィルム電極端子11と接続するための2つの電極端子47、48が形成されている。フレキシブル基板40における電極端子41、42、43、44、45、46は、下部電極基板20に設けられた電極端子31、32、33、34、35、36と接続されるため、図9において裏面側に設けられている。また、フレキシブル基板40における電極端子47及び48は、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と接続されるため、図9において表面側に設けられている。
【0033】
また、フレキシブル基板40は、電極端子41、42、43、44、45、46が設けられている領域と電極端子47、48との間に、切り込み部49が設けられている。これは、電極端子41、42、43、44、45、46は、下部電極基板20に接続され、電極端子47、48は上部電極基板10に接続されるが、上部電極基板10は、樹脂材料等により形成されており、下部電極基板20は、ガラス等により形成されているため、上部電極基板10を形成する材料と下部電極基板20を形成する材料とは熱膨張係数が異なる。このため切り込み部49が形成されていないと、熱膨張、熱収縮の影響を受け、フレキシブル基板40と上部電極基板10及び下部電極基板20との接合部分が剥離等してしまい不良が発生する場合がある。従って、フレキシブル基板40において、切り込み部49を形成することにより、上部電極基板10及び下部電極基板20における熱膨張、熱収縮の影響を緩和し、タッチパネルにおける耐久性を高めるとともに、信頼性を高めることができる。
【0034】
図10及び図11に示されるように、上部電極基板10の表面には、ITO等からなる透明導電膜13が設けられており、透明導電膜13上には、フィルム電極端子11及びフィルム電極12が設けられている。尚、図11は、図10における一点鎖線10A−10Bにおいて切断した断面図である。
【0035】
下部電極基板20の表面には、ITO等からなる透明導電膜21が形成されており、透明導電膜21上には、絶縁膜22が形成されている。絶縁膜22は、熱硬化または紫外線硬化のアクリル樹脂により形成される。この絶縁膜22上に、電極端子31、32、33、34、35、36及び配線23が形成されている。電極端子31、32、33、34、35、36及び配線23は、銀ペーストを用いてスクリーン印刷した後に、加熱乾燥することにより形成される。尚、配線23等の上部には、絶縁膜24が形成されている。
【0036】
また、フレキシブル基板40には、配線として7本の銅配線が設けられており、この銅配線の一部を露出させることにより電極端子41、42、43、44、45、46、47、48が形成される。
【0037】
上記のとおり、下部電極基板20における電極端子31、32、33、34、35、36と、フレキシブル基板40における電極端子41、42、43、44、45、46とは、各々対応する電極端子同士が接続されており、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と、フレキシブル基板40における電極端子47、48とが接続されている。例えば、図11に示す場合では、上部電極基板10に設けられたフィルム電極端子11はフレキシブル基板40に設けられた電極端子47及び48と接続されており、下部電極基板20に設けられた電極端子31はフレキシブル基板40に設けられた電極端子41と接続されており、下部電極基板20に設けられた電極端子32は、フレキシブル基板40に設けられた電極端子42と接続されており、下部電極基板20に設けられた電極端子36は、フレキシブル基板40に設けられた電極端子46と接続されているように、各々の電極端子同士が接続されている。
【0038】
本実施の形態におけるタッチパネルでは、上部電極基板10における透明導電膜13と下部電極基板20における透明導電膜21との間には、フレキシブル基板40が設けられており、上部電極基板10における透明導電膜13と下部電極基板20における透明導電膜21との間において、電界が絶縁膜22等に集中することはない。従って、電極端子31、32、33、34、35、36等を銀ペーストにより形成した場合においても、絶縁膜22内において銀イオンのマイグレーションが生じることはない。これにより、絶縁膜22において銀イオンのマイグレーションに起因した絶縁不良が発生することはなく、タッチパネルにおける耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0039】
尚、下部電極基板20における電極端子31、32、33、34、35、36と、フレキシブル基板40における電極端子41、42、43、44、45、46とは、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)を用いて、熱圧着をすることにより接合されている。同様に、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と、フレキシブル基板40における電極端子47、48とは、異方性導電フィルムを用いて、熱圧着をすることにより接合されている。
【0040】
本実施の形態におけるタッチパネルでは、上部電極基板10は、透明な樹脂材料により形成されているため、熱圧着の温度が高いと、上部電極基板10が変形等してしまう。このため、異方性導電フィルムとして、いわゆる低温ACFを用いることが好ましい。低温ACFとしては、上部電極基板10を変形することのない温度である150℃以下の温度で熱圧着をすることができるものであることが好ましく、例えば、エポキシアクリレート等を含む低温ACF等が挙げられる。
【0041】
また、本実施の形態におけるタッチパネルでは、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と接続されるフレキシブル基板40における電極端子は、電極端子47、48と2つ形成されている。
【0042】
これは、図12に示すように、フレキシブル基板310における電極端子311のように幅の広い電極端子の場合では、異方性導電フィルム320を介して熱圧着をした場合、上部電極基板10はフィルム状で曲がりやすいため、熱圧着の際に変形等し、異方性導電フィルム320の中央部分が厚く、周辺部分が薄くなるような形状で熱圧着される。このような形状で熱圧着がされると、フレキシブル基板310における電極端子311と上部電極基板10におけるフィルム電極端子11との間において、抵抗が高くなり十分な導電性を得ることができない場合がある。
【0043】
一方、本実施の形態におけるタッチパネルでは、図13に示すように、フレキシブル基板40において、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と接続される電極端子は、電極端子47、48と二つに分離して形成されている。このため、異方性導電フィルム60の厚さが略均一な状態で接続することができ、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11とフレキシブル基板40における電極端子47、48との間において、十分な導電性を得ることができる。
【0044】
尚、本実施の形態では、フレキシブル基板40には7本の配線が形成される7線式タッチパネルについて説明したが、本実施の形態は、5本の配線が形成されるフレキシブル基板を用いた5線式タッチパネルについても同様に適用することができ、更には、上部電極基板及び下部電極基板の双方に電極が設けられているタッチパネルのすべてについて適用することが可能である。
【0045】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における上部電極基板10及び下部電極基板20を有するものであって、第1の実施の形態とは異なる構造のフレキシブル基板を用いたものである。
【0046】
図14及び図15に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルのフレキシブル基板について説明する。このフレキシブル基板140には、下部電極基板20における電極端子31、32、33、34、35、36と接続される電極端子141、142、143、144、145、146と、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と接続される電極端子147、148が設けられている。
【0047】
尚、フレキシブル基板140における電極端子141、142、143、144、145、146は、下部電極基板20に設けられた電極端子31、32、33、34、35、36と接続されるため、図14において裏面側に設けられている。また、フレキシブル基板140における電極端子147及び148は、上部電極基板10におけるフィルム電極端子11と接続されるため、図14において表面側に設けられている。
【0048】
図15に示されるように、フレキシブル基板140における電極端子147及び148に接続される銅配線は、絶縁膜であるポリイミド膜150の一方の面に形成された銅配線151と、他方の面に形成された銅配線152とが、ポリイミド膜150に設けられたスルーホール153を介し電気的に接続されている。また、ポリイミド膜150の一方の面に形成された銅配線151の表面には絶縁膜であるポリイミド膜154が形成されており、他方の面に形成された銅配線152の表面には絶縁膜であるポリイミド膜155が形成されている。このため、一方の面に形成されたポリイミド膜154を除去し銅配線151を露出させることにより、電極端子147及び148が形成することができる。また、他の銅配線においては、他方の面に形成されたポリイミド膜を除去し銅配線を露出させることにより電極端子141、142、143、144、145、146を形成することができる。
【0049】
尚、スルーホール153は、ポリイミド膜150において銅配線151と152を接続するための開口部をドリル等により形成した後、金属メッキを行なうことにより形成する。これにより、ポリイミド膜150の一方の面に形成された銅配線151と、他方の面に形成された銅配線152とを電気的に接続することができる。
【0050】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
実施例1におけるタッチパネルについて説明する。
【0052】
実施例1におけるタッチパネルは、透明導電膜13としてITO膜の形成された厚さが188μmのPET(Polyethylene terephthalate)フィルムからなる上部電極基板10に、銀ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、加熱乾燥することによりフィルム電極端子11及びフィルム電極12等を形成する。
【0053】
次に、透明導電膜21としてITO膜の形成された厚さ1.1mmのガラス基板からなる下部電極基板20の表面に、不図示のドットスペーサをフォトレジストにより形成し、この後、下部電極基板20の周囲に絶縁レジストを用いた印刷により絶縁膜22を形成し、更に、絶縁膜22上において、銀ペーストを用いたスクリーン印刷により配線23及び電極端子31、32、33、34、35、36等を形成する。
【0054】
次に、上部電極基板10と下部電極基板20とを透明導電膜13と透明導電膜21とが対向している状態で、両面テープ51により張り合わせた後、上部電極基板10に設けられたフィルム電極端子11とフレキシブル基板40における電極端子47及び48とを低温ACFを用いて熱圧着により電気的に接続し、下部電極基板20に設けられた電極端子31、32、33、34、35、36とフレキシブル基板40に設けられた電極端子41、42、43、44、45、46とを通常のACFを用いた熱圧着により電気的に接続する。このようにして、実施例1におけるタッチパネルを作製した。
【0055】
実施例1におけるタッチパネルについて、初期特性を測定したところ、電気的特性及び外観については、ともに良好であった。
【0056】
また、高温高湿試験(85℃、85%RH、1000時間)を行なったところ、初期特性は変化することなく維持され良好な特性が得られた。また、熱衝撃試験(−40℃〜+85℃、各0.5時間、1000サイクル)を行なったところ、初期特性はそのまま維持されていた。
【0057】
(比較例1)
次に、比較例1におけるタッチパネルについて説明する。
【0058】
比較例1におけるタッチパネルは、透明導電膜212としてITO膜の形成された厚さが188μmのPETフィルムからなる上部電極基板210に、銀ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、加熱乾燥することによりフィルム電極211等を形成する。
【0059】
次に、透明導電膜221としてITO膜の形成された厚さ1.1mmのガラス基板からなる下部電極基板220の表面に、不図示のドットスペーサをフォトレジストにより形成し、この後、下部電極基板220の周囲に絶縁レジストを用いた印刷により絶縁膜222を形成し、更に、銀ペーストを用いたスクリーン印刷により、接続端子231、配線232、電極端子233、234、235、236、237、238、239等を形成する。
【0060】
次に、上部電極基板210と下部電極基板220とを透明導電膜212と透明導電膜221とが対向している状態で、両面テープ251により張り合わせた後、上部電極基板210に設けられたフィルム電極211と下部電極基板220に形成された接続端子とを導電性接着剤により電気的に接続し、下部電極基板220に設けられた電極端子233、234、235、236、237、238、239とフレキシブル基板240に設けられた電極端子243、244、245、246、247、248、249とを通常のACFを用いた熱圧着により電気的に接続する。このようにして比較例1におけるタッチパネルを作製した。
【0061】
比較例1におけるタッチパネルについて、初期特性を測定したところ、電気的特性及び外観については、ともに良好であった。
【0062】
また、高温高湿試験(85℃、85%RH)を行なったところ、200時間で、上部電極基板210と下部電極基板220との間における絶縁性が5kΩに低下し、正常な座標検出を行なうことができず、タッチパネルとしての機能が失われていた。原因を調べたところ、上部電極基板210に設けられたフィルム電極211と下部電極基板220に形成された接続端子とが導電性接着剤により接続されている絶縁膜222の部分において短絡していることが判明した。これは絶縁膜222中を銀イオンがマイグレーションしたことにより生じたものと推察される。
【0063】
以上より、実施例1におけるタッチパネルでは、絶縁膜中における銀イオンのマイグレーションが発生しないため、絶縁不良は発生することがなく、また、熱膨張及び熱収縮の影響を受けることなくフレキシブル基板40と上部電極基板10及び下部電極基板20との電気的な接続が維持されるものとなる。従って、耐久性及び信頼性の高いタッチパネルとなる。
【0064】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0065】
10 上部電極基板
11 フィルム電極端子
12 フィルム電極
13 透明導電膜
20 下部電極基板
21 透明導電膜
22 絶縁膜
23 配線
24 絶縁膜
31、32、33、34、35、36 電極端子
40 フレキシブル基板
41、42、43、44、45、46、47、48 電極端子
49 切り込み部
51 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部導電膜を有する上部電極基板と、
下部導電膜を有する下部電極基板と、
前記上部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子と、前記下部電極基板に設けられた電極端子と接続される電極端子とを有するフレキシブル基板と、
を有し、
前記上部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板の一方の面に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されており、前記下部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板の他方の面に設けられた電極端子とは熱圧着により電気的に接続されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記上部電極基板は、透明な樹脂材料により形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記フレキシブル基板において、前記上部電極基板と接続される電極端子と、前記下部電極基板と接続される電極端子との間には、切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記上部電極基板に設けられた電極端子と前記フレキシブル基板の一方の面に設けられた電極端子との熱圧着は、150℃以下の温度で行なわれるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記上部電極基板に設けられた電極端子と接続される前記フレキシブル基板の一方の面に設けられた電極端子は、前記上部電極基板における1つの電極端子に対し、複数設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記フレキシブル基板は、絶縁膜の両面に金属膜が形成されているものであって、前記絶縁膜の両面に形成された金属膜は、前記絶縁膜に設けられたスルーホールを介し電気的に接続されているものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記フレキシブル基板に設けられる配線の数は、5本または7本であることを特徴とする1から6のいずれかに記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−128675(P2012−128675A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279712(P2010−279712)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】