説明

タッチ式入力パネル装置及びタッチ式入力パネル装置の感度調整方法

【課題】利用者にとって使い勝手の良好な、使用寿命の延命化を目指した光学式タッチパネルを提供する。
【解決手段】表示部の表示画面の上部にタッチ式の入力パネルを設けたタッチ式入力パネル装置101において、入力された位置情報を検知する位置検知センサ103と、入力された押圧力を検知する圧力検知センサ102と、を設け、前記位置検知センサ103と前記圧力検知センサ102との検知結果に基づいて、入力者の押下状態を判定し、その判定結果に基づいて上記検知センサ102、103の感度調整を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示部の表示画面の上部にタッチ式の入力パネルを設けたタッチ式入力パネル装置に関し、さらには入力状態を判定し、その判定結果を基に内蔵する検知センサの感度を調整する感度調整機能付タッチ式入力パネル装置及び、感度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイにタッチセンサを重ね合わせたタッチパネルやパーソナルコンピュータに設けられたタッチバットと呼ばれるパネル状の入力装置が提案されている。このようなパネル状の入力装置では、画面上に表示されたボタン等に対応する位置を付属のペンや指先で触れたり、操作領域を所定の間隔でタッチしたりすることにより、装置に対して情報を入力するようにしていた。
【0003】
また、特許文献1によれば、抵抗膜方式のタッチパネルを開示したものがある。
【0004】
上記特許文献1によれば、使用者の指等の押圧による圧力に応じて、使用者に振動等によって入力が認識されたことを通知できる、と言った技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−177994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人は、ボタンやタッチパネルを押す際に、反応が無い場合や利きにくい場合に、強く押したり、何度も押したりすることがある。そのため、タッチパネルを破壊してしまう恐れがある。
【0007】
また、手が震えている人などは、ボタンを複数回押したり、押したい場所を押せずに周辺を押したりしてしまうことがあり、押した場所を認識することができない。
【0008】
また、位置センサだけでは、服などが触れた場合に押したと認識されてしまう。
【0009】
また、特許文献1記載の技術では、反応が無い場合や利きにくい場合に、強く押したり、何度も押したりすることがあり、破壊してしまうと言った課題が乗じる。
【0010】
本発明の目的は、光学式タッチパネルに設けた各検知センサの検知結果を用いて、利用者の押下状態を判定し、その判定結果を基にセンサ感度の補正を行っているため、利用者が要求を把握し、使用者の立場で装置内部に内蔵する各検知センサの感度調整を実施しており、利用者にとって使い勝手の良好な、使用寿命の延命化を目指した光学式タッチパネルを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、表示部の表示画面の上部にタッチ式の入力パネルを設けたタッチ式入力パネル装置において、入力された位置情報を検知する位置検知センサと、入力された押圧力を検知する圧力検知センサと、を設け、前記位置検知センサと前記圧力検知センサとの検知結果に基づいて、入力者の押下状態を判定し、その判定結果に基づいて上記検知センサの感度調整を行なうことように構成したことにある。
【0012】
上述の構成として、光学式タッチパネルにおいて、押しボタンなどが反応しにくくなったことによって、強く押してしまう特性を利用する。検知には、圧力センサと位置センサを用い、押している時間および押している圧力を利用する。
【0013】
ある一点を強く長く押しているのであれば、反応がしにくいと判断し、感度を上げる。
【0014】
また、手が震えている人などが押すべきボタンの周辺を複数回触れるように押してしまったり、押す力が弱すぎたりした場合は、反応範囲を上げる。
【0015】
更に、先の尖ったものでタッチパネルを押してしまうことで、タッチパネルを破壊してしまう問題については、一点に集中した圧力を検知し、警告などを表示し破壊を防ぐ。
【0016】
また、上記圧力センサを追加することで、光学式タッチパネルの留意点として、異物が光学式タッチパネルに反応し、誤作動を引き起こすことも回避することができる。
【0017】
更に、上述の構成を利用することで、省エネを実現できる。通常時は、光学式タッチパネルのLEDの光量を最低限検知できるレベルに設定し、上記、押しボタンなどが反応しにくくなったときなど、問題が生じたときのみ光量レベルをあげるように制御することで、無駄な消費電量を使用せずにすむため省エネが実現できる。
【0018】
また、通常時は、光学式タッチパネルのLEDの光量を最低限検知できるレベルで使用するため、LEDの長寿命化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、光学式タッチパネルや押しボタンの破壊を防ぐことができる。また、感度や反応を良くすることで、速やかに処理を進めることが出来るため、待ち時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】圧力検知機能を有したタッチパネルユニットの概略図である。
【図2】タッチパネルを押下した状態を示す説明図1(反応がしにくい場合)である。
【図3】タッチパネルを押下した状態を示す説明図2(手が震えている人が押したいボタンの周辺を押してしまっている場合)である。
【図4】タッチパネルを押下した状態を示す説明図3(尖ったものでタッチパネルを押してしまっている場合)である。
【図5】圧力検知機能を有したタッチパネルユニットの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明のシステムを示した構成図である。
【0022】
まず、本発明のシステム全体の概略図を説明する。タッチパネルは、位置センサと圧力センサで構成されており、その位置センサの値と圧力センサの値を読み取り、読取った圧力値と押している時間および位置センサ値を制御部に格納している閾値と比較する。
【0023】
比較した結果、圧力センサ値が閾値を上回り、かつ、押している時間が閾値を上回る場合は、タッチパネルが反応しにくいと判断し、感度を上げる処理を行う。また、まったく反応しない場合は、強く押しすぎることでタッチパネルの破壊を防ぐために、警告などを表示する。
【0024】
まず、図5は本発明の圧力検知および位置センサの処理を行うフローチャート図である。図2〜4は、タッチパネルを押下した状態を示す説明図1である。まず、図2〜図5の本発明の圧力検知および位置センサの処理を行うフローチャートについて説明する。
【0025】
タッチパネルで任意の箇所を押したとき、押している箇所を位置センサで検知し(S501)、押している圧力レベルを圧力センサで検知する。その圧力レベルが正常閾値かどうかを判定し(S502)、圧力レベルが正常閾値より低い場合は、位置センサの情報より、押している場所が検知範囲内に入っているかを判定する(S505)。検知範囲内に入っていれば、押し時間が正常閾値かどうかを判定し(S503)、押し時間が正常閾値より低い場合は、通常動作を行う(S504)。
【0026】
S505において、検知範囲の近くを押しているような状態であれば、押している位置がずれていると判断し、反応範囲を広げる。また、指が震えている人や目が不自由な人の場合、押したい場所の周辺を複数回、弱い圧力で押していることを検知し、反応範囲を広げる。また、服が触れている場合は、複数回、弱い圧力で押していることを検知し、注意を表示する(S507)。図3は、指が震えている人のタッチパネルを押下した状態を示し、震えた状態の指が周辺を複数回、弱い圧力で押しているものであり、上記を検知し、反応範囲を広げることで、押したい場所を検知する。
【0027】
次にS502において、圧力レベルが正常閾値より高く、押している時間が正常閾値より高い場合は、位置センサが検出しにくいと判断し、検出感度を上げることで、反応させ、強く押してしまうことでのタッチパネル破壊を防ぐ。また、複数回同じ場所を強く押した場合も、位置センサが検出しにくいと判断し、検出感度を上げることで、上記動作を行う(S506)。図2は、圧力レベルが正常閾値より高く、押している時間が正常閾値より高い場合の図である。押す力が強く、押している時間が長い場合、弱い力でも反応するように、反応感度を上げることで、タッチパネルの破壊を防ぐ。
【0028】
また、先の尖ったものでタッチパネルを操作しようとしたときは、タッチパネルが破壊してしまう恐れがある。その場合は、位置センサでごく狭い範囲の一点を押していることを検知し、更に圧力センサで一点に集中した圧力を検知することで、タッチパネルの画面上に警告などを表示し、タッチパネルの破壊を防ぐ。図4は、尖ったものでタッチパネルを押してしまっている場合のタッチパネルを押下した状態を示し、先の尖ったものでタッチパネルを操作しようとしたときを表したものである。ごく狭い範囲の一点を押していること、一点に集中した圧力検知し、タッチパネル上に警告を表示する。
【0029】
上記の実施例の説明した技術により、光学式タッチパネルに設けた各検知センサの検知結果を用いて、利用者の押下状態を判定し、その判定結果を基にセンサ感度の補正を行う補正機能を設けているので、今回の場合は、光学式タッチパネルや押しボタンの破壊を防ぐことができる。また、感度や反応を良くすることで、速やかに処理を進めることが出来るため、待ち時間を減らす光学式タッチパネルを提供出来る。
【0030】
別の方式として抵抗型タッチパネルを使用するものがある。しかし、抵抗型タッチパネルでは、次の留意点がある。抵抗型タッチパネルは、画像の鮮明度が落ちやすく、抵抗膜層の途絶からキャリブレーションを定期的に行う必要があり、傷がつきやすいことから、公共の場での使用には適さない。また、抵抗型タッチパネルは耐擦傷性に劣るうえ、抵抗膜に汚れや傷があるとタッチを正確に認識できなくなってしまう。そのため、認識がしにくくなると、強く押したり、何度も押したりしてしまい、その結果、タッチパネルを破壊してしまう。
【0031】
上記留意点は、光学式タッチパネルに設けた各検知センサの検知結果を用いて、利用者の押下状態を判定し、その判定結果を基にセンサ感度の補正を行う補正機能を設けることで、破壊を防ぐことができる。
【0032】
さらに、本実施例では光学式タッチパネルの構成で説明したが、本構成に限定されるものでなく、例えば、押しボタンのような構成でも本発明の技術範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0033】
101…タッチパネル、102…圧力センサ、103…位置センサ、104…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の表示画面の上部にタッチ式の入力パネルを設けたタッチ式入力パネル装置において、
入力された位置情報を検知する位置検知センサと、
入力された押圧力を検知する圧力検知センサと、を設け、
前記位置検知センサと前記圧力検知センサとの検知結果に基づいて、入力者の押下状態を判定し、
その判定結果に基づいて上記検知センサの感度調整を行なうことを特徴とするタッチ式入力パネル装置。
【請求項2】
前記タッチ式入力パネル装置は、
入力時間及び入力間隔時間を測定する時間測定手段を設け、
前記時間測定手段、および前記位置検知センサで測定した結果、一度の入力時間が第1の所定の時間より短く、かつ所定の範囲内で複数回入力されている場合、前記位置検知センサの検知範囲を拡大させる請求項1記載のタッチ式入力パネル装置。
【請求項3】
前記タッチ式入力パネル装置は、
入力時間及び入力間隔時間を測定する時間測定手段を設け、
前記時間測定手段、前記位置検知センサ、さらに前記押圧検知センサで測定した結果、一度の入力時間が第2の所定の時間より長く、かつ同一箇所を所定の押圧力一より強く入力されている場合、前記位置検知センサの検知感度を向上させる請求項1記載のタッチ式入力パネル装置。
【請求項4】
入力された位置情報を検知する位置検知センサと、
入力された押圧力を検知する圧力検知センサと、
表示部の表示画面の上部にタッチ式の入力パネルと、を設けたタッチ式入力パネル装置の前記感知センサの感度調整方法において、
入力された位置情報を前記位置検知センサで検知する入力位置検知ステップと、
入力された押圧力を前記圧力検知センサで検知する圧力検知ステップと、
前記入力位置検知ステップと前記圧力検知ステップでの検知結果に基づいて、入力者の押下状態を判定し、
その判定結果に基づいて上記検知センサの感度調整を行なう感度調整ステップと、
を備えたことを特徴とするタッチ式入力パネル装置の感度調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−123695(P2012−123695A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275232(P2010−275232)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】