説明

タマゴサラダの製造方法

【課題】タマゴサラダを調製後、通電加熱で加熱殺菌するにあたり、通電加熱後のタマゴサラダの凝固卵白部分にソフトな食感を維持させる。
【解決手段】液卵白を加熱凝固させた凝固卵白の截断物を酸性水中油型乳化調味料と混合した後に加熱殺菌を施すタマゴサラダの製造方法であって、酸性水中油型乳化調味料と混合する凝固卵白を含気率0.5〜10%の凝固卵白とし、タマゴサラダの加熱殺菌を通電加熱により行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タマゴサラダを調製後、通電加熱により殺菌処理を行うタマゴサラダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タマゴサラダは、典型的には茹で卵のダイス状の截断物をマヨネーズ等の酸性水中油型乳化調味料で和えた食品である。タマゴサラダの製造後の日持ち期間を延ばすために、タマゴサラダを調製後、60℃以上の加熱殺菌が必要とされる場合がある。
【0003】
一方、食品の加熱殺菌方法としては種々の方法が知られているが、食品全体を均一、迅速に加熱することができ、加熱装置がコンパクトで製造ラインへの取り付けが容易なものとして、通電加熱がある(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、タマゴサラダを通電加熱により加熱殺菌すると、茹で卵の卵白部分、すなわち凝固卵白が硬い食感となってしまい、加熱を施す前の凝固卵白が有していたソフトな食感が損なわれてしまう問題がある。
【0005】
これに対し、凝固卵白にソフトな食感を付与する方法として、特開平8−103248号公報(特許文献2)には、茹で卵を乳化剤およびプルランの併用処理に付す方法が提案されている。また、特開2000−60493号公報(特許文献3)には、メタリン酸塩を吸収してなる凝固卵白と酸性調味料とからなる卵食品が提案されている。しかしながら、これらの技術によっても通電加熱により加熱殺菌したタマゴサラダの食感を十分に改善することはできず、また、凝固卵白が乳化剤、プルラン、メタリン酸塩等により処理されるため、凝固卵白の風味が不自然になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187933号公報
【特許文献2】特開平8−103248号公報
【特許文献3】特開2000−60493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、タマゴサラダを調製後、通電加熱により加熱殺菌するタマゴサラダの製造方法であって、タマゴサラダの凝固卵白部分が加熱殺菌前と同様のソフトな食感を維持するタマゴサラダの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、タマゴサラダの製造方法に使用する凝固卵白を特定の含気率に調整しておくと、タマゴサラダを通電加熱により加熱殺菌しても、凝固卵白部分がソフトな食感を維持することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、液卵白を加熱凝固させた凝固卵白の截断物を酸性水中油型乳化調味料と混合した後に加熱殺菌を施すタマゴサラダの製造方法であって、酸性水中油型乳化調味料と混合する凝固卵白を含気率0.5〜10%の凝固卵白とし、タマゴサラダの加熱殺菌を通電加熱により行うタマゴサラダの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタマゴサラダの製造方法によれば、タマゴサラダの調製後、通電加熱により加熱殺菌しているにも拘わらず、タマゴサラダの凝固卵白がソフトな食感を維持する。これにより、通電加熱により加熱殺菌を行うコンパクトな製造ラインを用いて、保存期間が長く、かつ食感に優れたタマゴサラダを製造することができ、食品市場におけるタマゴサラダの更なる需要拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は特に断りのない限り、「質量%」を意味する。
【0012】
本発明におけるタマゴサラダとは、少なくとも液卵白を加熱凝固させた凝固卵白の截断物を酸性水中油型乳化状調味料で和えた食品であって、好ましくは凝固卵白と共に、液卵黄を加熱凝固させた凝固卵黄を含有し、また、必要に応じて野菜の截断物等の具材、調味料、香辛料等も含有するものである。
【0013】
このタマゴサラダは、例えば、食パンに等に塗り広げて使用するスプレッド、サンドイッチ等のフィリング、コロッケ等の具、各種料理のトッピング等として各種用途に用いられる。
【0014】
本発明のタマゴサラダの製造方法は、概略、タマゴサラダを調製する工程と、調製したタマゴサラダを通電加熱する工程とに分けられ、タマゴサラダを調製する工程において、酸性水中油型乳化調味料で和える凝固卵白として、含気率0.5〜10%の凝固卵白を使用することを特徴としている。ここで含気率とは、室温において、含気していない液卵白による凝固卵白の一定容積の質量を100%とした場合の、含気後の液卵白による凝固卵白の同容積の質量の減少分の割合(%)と定義する。例えば、含気していない液卵白を凝固させた凝固卵白100ccの質量が105gで、含気させた液卵白を凝固させた凝固卵白100ccの質量が100gに変化した場合、含気率は 100×(105-100)/105 により4.8%となる。
【0015】
なお、この含気率の測定は、アルキメデス法を用いて凝固卵白の見かけ密度を測定することにより求めても良い。また、液卵白の含気率と、その液卵白を加熱した凝固卵白の含気率は略一致するので、凝固卵白の含気率を上述の範囲とするためには、概ね液卵白の含気率を上述の範囲とすればよい。液卵白の含気率は、メスシリンダー等を用いて一定容積の液卵白の質量を測定することにより求めることができる。
【0016】
一般に、殻付き卵をそのまま加熱凝固して得られるゆで卵の凝固卵白部分の含気率は0.01%に満たないから、本発明のタマゴサラダで使用する凝固卵白は、意図的に0.5〜10%という高い含気率に製造したものである。
【0017】
なお、凝固卵白と共に凝固卵黄を使用する場合に、凝固卵黄としては、凝固卵白と同様に高い含気率に製造した凝固卵黄を使用してもよく、格別含気処理することなく製造した通常の凝固卵黄を使用してもよい。
【0018】
含気率0.5〜10%の凝固卵白の製造方法としては、まず、液卵白を用意する。液卵白としては、殻付き卵を割卵して卵黄と分離したものを使用することができ、更に殺菌、凍結、濃縮等の各種処理を施したものを使用してもよく、乾燥卵白を水戻ししたもの等を使用してもよい。
【0019】
次に、液卵白に含気させ、含気状態で加熱凝固させる。含気方法としては、ホイッパーで空気を巻き込むように撹拌する方法や、ポンプで空気、窒素ガス等の気体を吹き込む方法等を用いることができる。なお、含気率を高くしすぎた場合は、真空ミキサー等を用いて適宜脱気する。
【0020】
液卵白における含気率の程度は、液卵白を加熱した後の凝固卵白の含気率が0.5〜10%、好ましく0.8〜10%、より好ましくは1.5〜10%となるように調整する。凝固卵白の含気率が低すぎると、その截断物を用いてタマゴサラダを調製し、通電加熱で加熱殺菌した場合に、卵白に過剰な熱がかかり、卵白蛋白質が再凝集し固くなり、加熱殺菌後のタマゴサラダがソフトさに劣る硬い食感となってしまう。反対に凝固卵白の含気率が高すぎると、凝固卵白が通電加熱されにくくなり、また食感が脆くなりすぎ好ましくない。
【0021】
凝固卵白中の気泡のサイズは、凝固卵白部分がソフトな食感を維持する点から泡径5mm以下が好ましい。
【0022】
次に、含気状態の液卵白を加熱凝固させる方法としては、含気させつつ加熱凝固してもよく、含気後直ちに加熱凝固してもよい。例えば、パウチやケージング等の容器に含気させた液卵白を密封し、湯煎加熱やスチーム加熱等により品温80〜100℃になるまで加熱し液卵白を凝固させる。このように、容器に密封後に加熱処理を施すことで気体が抜けず、所望の含気率に調整することができる。
【0023】
この加熱処理の温度は、凝固卵白から離水が発生することを防止するため、好ましくは80〜100℃である。
【0024】
また、この加熱処理に使用するパウチやケージング等の容器の材質は、食品用途に用いられるもので、かつ100℃までの耐熱性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、ナイロン製、ポリエチレン製、ナイロンポリエチレン製等が挙げられ、耐熱性に優れたナイロンポリエチレン製が好ましい。
【0025】
上述の加熱処理により所定の含気率の凝固卵白を得た後は、その凝固卵白に截断処理を施す。截断処理の手段や截断物の形状等に特に制限は無く、例えば、ダイサー等の截断処理機を用い、立方体や直方体に截断してもよく、フードカッター、撹拌機等により不定形に截断してもよい。
【0026】
凝固卵白の截断物の大きさは、タマゴサラダの用途により適宜調節すればよいが、凝固卵白のソフトな食感が感じられ易いことから、0.1〜20cm3とすることが好ましい。特に、本発明によれば、タマゴサラダの加熱殺菌後においても凝固卵白がソフトな食感を保持するから、その食感の良さを顕著に感じ取ることができる大きさに凝固卵白を截断することが好ましく、具体的には截断物を0.5cm3以上とすることが好ましい。
【0027】
一方、本発明において、凝固卵白の裁断物と共に酸性水中油型調味料で和えることが好ましい凝固卵黄の截断物は、液卵黄を加熱凝固させ、截断したものである。この場合、液卵黄の加熱温度は、液卵黄の凝固温度、具体的には75℃以上、好ましくは80℃以上とする。加熱方法は任意であり、例えば、液卵黄をトレー等の容器に移し、蒸煮、通電加熱、マイクロ波加熱等により加熱する方法、或いはポリ袋等の容器に充填密封し、熱水や蒸気等により加熱する方法等が挙げられる。また、凝固卵黄の截断物の大きさや形状は任意であり、例えば、凝固卵黄をダイサー、フードカッター、撹拌機等により定形あるいは不定形に截断すればよい。また、この液卵黄には食感改良を目的に、清水、澱粉、調味料等を加えてもよい。
【0028】
本発明のタマゴサラダの製造方法において、酸性水中油型乳化調味料としては、マヨネーズ、マヨネーズ様の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化液状ドレッシング等を使用する。これらのpHは、3〜6である。
【0029】
本発明のタマゴサラダの製造方法では、前述の凝固卵白の截断物を、好ましくは凝固卵黄の截断物と共に、酸性水中油型乳化調味料で和えてタマゴサラダを調製する。この場合、これらの配合割合は、タマゴサラダの用途等により適宜定めることができるが、卵の風味と酸性水中油型乳化調味料の風味のバランスの点から凝固卵白の截断物を5〜60%、凝固卵黄の截断物を10〜50%、酸性水中油型乳化調味料を5〜50%とすることが好ましく、特に、凝固卵白の截断物を10〜50%とすることがより好ましい。凝固卵白の截断物の割合を10%以上とすることで、凝固卵白のソフトな食感によりタマゴサラダ全体の食感がソフトになるので好ましい。
【0030】
また、タマゴサラダに必要に応じて野菜の截断物等の具材、調味料、香辛料等を添加する場合には、凝固卵白の截断物と凝固卵黄の截断物を酸性水中油型乳化調味料で和えるときに、これらを配合することができる。より具体的には、例えば、キュウリ、ニンジン、タマネギ等の野菜の截断物、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、動植物等のエキス類等の各種調味料、辛子粉、胡椒等の香辛料、オリゴ糖、水あめ等の糖類、酢酸ナトリウム、グリシン、ポリリジン、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料、キレート剤等を、凝固卵白の截断物、凝固卵黄の截断物、酸性水中油型乳化調味料と共にホバートミキサー、ニーダー等に投入し、常法により撹拌混合することによりタマゴサラダを調製する。
【0031】
なお、こうして調製するタマゴサラダの粘度は、引き続き行う通電加熱の装置にタマゴサラダを連続的に送り、通電加熱時に焦げ付きが生じないようにする点から、1〜30Pa・s(室温)とすることが好ましい。
【0032】
本発明においては、上述のように調製したタマゴサラダを通電加熱により加熱殺菌する。ここで、通電加熱とは、食品原料の有する電気抵抗を利用して、食品原料に直接通電して発熱させる加熱方法である。
【0033】
通電加熱は、加熱による十分な殺菌効果と卵白タンパク質の凝集進行の抑制の点から、品温が通常60〜90℃、好ましくは60〜80℃、より好ましくは65〜75℃で、1〜30分行うことが好ましい。本発明によれば、通電加熱する凝固卵白が含気率0.5〜10%に調整されているので、凝固卵白中の気体が卵白蛋白質の再凝集を抑制する。したがって、通電加熱により十分な殺菌効果を得、かつ凝固卵白の再凝集を抑制し、通電加熱後に通電加熱前と同様のソフトな食感を得ることが可能となる。
【0034】
通電加熱後には、タマゴサラダを速やかに冷却することが、凝固卵白のソフトな食感の維持を確実にする点から好ましい。具体的には、通電加熱終了後3時間以内に10℃以下まで冷却することが好ましく、1時間以内に10℃以下まで冷却することがより好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に本発明のタマゴサラダの製造方法を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。
【0036】
〔実施例1〕
<凝固卵白の調製>
まず、殻付き卵を割卵し卵黄と分離して得られる液卵白800gを用意した。次に、液卵白に、ポンプを用いてゴムチューブから通気速度3m3/分で空気を吹き込み、含気した液卵白を内容量1kgのナイロンポリエチレン袋に充填密封した。これを、水温95℃の水槽に沈め、15分間静置し、含気率1.5%の凝固卵白を調製した。なお、この含気率は、含気前の液卵白の凝固卵白と含気後の液卵白の凝固卵白のみかけ密度の測定値から算出した。
この凝固卵白を、刃が10mm目の格子目のダイサーを用い、0.5cm3のダイス状に截断した。
【0037】
<タマゴサラダの調製と加熱殺菌>
表1の配合割合で、上述のダイス状凝固卵白以外の全原料をホバートミキサーにより撹拌混合し、次に、ダイス状凝固卵白が崩れないように注意しながらこれを加え、全体が概ね均一になるように混合してタマゴサラダを調製した。
このタマゴサラダを、連続式通電加熱装置((株)フロンティアエンジニアリング製、ジュール加熱装置)にて品温75℃で5分間加熱し、内容量1kgのナイロンポリエチレン袋にタマゴサラダを1kgずつ充填密封した。これを直ちに5℃の冷却槽に移動し、3時間以内に品温10℃以下になるように冷却した。
【0038】
【表1】

【0039】
〔実施例2〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白に代えて、含気率0.6%のダイス状凝固卵白を使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0040】
〔実施例3〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白に代えて、含気率0.8%のダイス状凝固卵白を使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0041】
〔実施例4〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白に代えて、含気率4%のダイス状凝固卵白を使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0042】
〔実施例5〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白に代えて、含気率6%のダイス状凝固卵白を使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0043】
〔実施例6〕
実施例1において、通電加熱温度を75℃から82℃に変更し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
〔実施例7〕
実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、通電加熱したが、通電加熱後、ナイロンポリエチレン袋にタマゴサラダを1kgずつ充填密封後、室温(室温25℃)で3時間放置し、品温が35℃となったタマゴサラダを5℃の冷却槽に移動した。
【0044】
〔比較例1〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白50%に代えて、殻付卵をそのまま加熱凝固して得られる茹卵の凝固卵白(含気率0.01%)を0.5cm3のダイス状に截断したものを使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0045】
〔比較例2〕
実施例1において、含気率1.5%のダイス状凝固卵白50%に代えて、含気率0.05%のダイス状凝固卵白を使用し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0046】
〔比較例3〕
実施例1において、通電加熱温度を75℃から58℃に変更し、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、連続式通電加熱装置により加熱殺菌した。
【0047】
〔評価試験1〕
上述の実施例1〜5及び比較例1〜3で得たタマゴサラダについて、それぞれ、次の評価基準に従い、通電加熱前のタマゴサラダを対照とする食感の官能試験を行った。結果を表2に示す。
<食感評価基準>
A:対照品と同程度のソフトな食感を保持していた。
B:対照品よりは少し劣るが、十分にソフトな食感を保持していた。
C:食感が硬く、タマゴサラダの品位を損ねた
【0048】
【表2】

(注*)通電加熱後3時間室温で放置
【0049】
表2の結果、凝固卵白が含気率0.5〜10%の範囲にあると、それを含有するタマゴサラダを通電加熱により加熱処理しても凝固卵白はソフトな食感となり、タマゴサラダもソフトな食感となることがわかる(実施例1〜7)。特に、凝固卵白を含気率0.8〜10%とすると、加熱殺菌後にも加熱殺菌前に近いソフトな食感のタマゴサラダを得られ好ましかった(実施例1、3〜7)。中でも、含気率0.8%の実施例3よりも含気率1.5〜10%の範囲にある実施例1、4〜7がより一層ソフトな食感を有していた。
一方、凝固卵白の含気率が0.5%より低いと、卵白タンパク質が凝集し、ソフトな食感を得られなかった(比較例1、2)。
【0050】
また、通電加熱後室温で放置した実施例7よりも、通電加熱後直ちに5℃の冷却槽で冷却した実施例1の方がソフトな食感を有していた。
通電加熱温度が60℃より低い比較例3では細菌数の増殖がみられ、加熱殺菌が不十分であった。
【0051】
〔評価試験2〕
凝固卵白截断物の大きさがタマゴサラダの食感に与える影響を調べるため、截断物の大きさを表3のように調整した以外は、実施例1と同様にしてタマゴサラダを調製し、評価試験1と同様に官能評価を行った。結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3の結果、凝固卵白の截断物の大きさを0.5cm以上にすることで、ソフトな食感をより顕著に感じ取れることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液卵白を加熱凝固させた凝固卵白の截断物を酸性水中油型乳化調味料と混合した後に加熱殺菌を施すタマゴサラダの製造方法において、酸性水中油型乳化調味料と混合する凝固卵白を含気率0.5〜10%の凝固卵白とし、タマゴサラダの加熱殺菌を通電加熱により行うことを特徴とするタマゴサラダの製造方法。
【請求項2】
凝固卵白の含気率を0.8〜10%とする請求項1記載のタマゴサラダの製造方法。
【請求項3】
凝固卵白の截断物の大きさを0.5cm3以上とする請求項1又は2記載のタマゴサラダの製造方法。
【請求項4】
通電加熱後のタマゴサラダを容器に充填密封後、3時間以内に10℃以下に冷却する請求項1〜3のいずれかに記載のタマゴサラダの製造方法。

【公開番号】特開2013−81419(P2013−81419A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223431(P2011−223431)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】