説明

タンパク質およびペプチドの治療薬の経口投与に関する方法および組成物

本発明は、経口送達するように製剤した医薬組成物を提供し、油内で浮遊した疎水性表面を有する薬学的不活性なシリカナノ粒子、多糖、および生物学的活性タンパク質またはペプチドの混合物に非共有的に結合した粒子を含むものである。本発明はさらに、同様のものの製造方法および、治療タンパク質またはペプチドの経口送達のための同様のものの治療的利用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性担体内の固体粒子原料の親和性混合物を有する、経口投与組成物に関するものである。好ましくは、この組成物は無水物である。とくに、この医薬品組成物は、疎水性面、多糖、および生物活性タンパク質またはペプチドを有する薬理学的に不活性のシリカナノ粒子の親和性混合物に非共有結合した粒子を有し、粒子混合物は油もしくは油の混合物内で縣濁または組み込まれている。本発明は、さらに、同様のものの製造方法および、活性タンパク質およびペプチドの経口送達に関して同様のものを利用する治療方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク薬物の医学的用途は、3個の大きな欠点によって制限される。第1は、いくつかの場合において頻回投与が必要となる短い生物学的半減期である。第2は、体腔を概して覆う粘膜組織内で起こる急速分解である。最後に、ほとんどのタンパク薬物は、大きな分子であり、それゆえ腸管上皮を容易に超えることができない。その結果、経口投与したタンパク薬物の生物学的利用能は、概して極度に低くなる。したがって、タンパク薬物投与の最も一般的な方法は、非経口経路である。しかし、患者への不便さは別として、非経口送達システムは、生産および薬物投与の観点では最も高価である。したがって、生物分解に対して保護を提供し、および/または粘膜関門にわたって輸送を向上させるタンパク薬物の効果的な非経口でない投与に関する満たされていない医学的な要求がある。経鼻投与システムのような高度な非経口でないシステムが開発されているが、患者のコンプライアンスを増加させる便利さといった大きな利点を有する経口投与が最も好ましい。
【0003】
例えば、DNase(デオキシリボヌクレアーゼ)は、水、酸化的ストレス、温度変動、および酸性pH条件において不安定である。最大の活性は、6〜8のpH範囲内で観察される。これらの特性が経口DNase投与を困難にする。活性DNaseを血漿へ送達する現在利用されている方法は、注射を経由するものである(IV,SCまたはIM)。RNase(リボヌクレアーゼ)は、RNase分子の異なる領域間で相互作用によって非活性化することができ、この種の相互作用を防ぐことができる製剤を必要とする。
【0004】
生物活性タンパク質の例は、限定することはないが、成長因子、サイトカイン、ペプチドホルモン、鎮痛ペプチド、酵素、血液凝固因子、ペプチド神経伝達物質、抗体を含み、アミノ酸の合成ポリマーを含むことができる。生物活性タンパク質またはペプチドの特別な例には、下垂体成長ホルモン、赤血球生成促進因子、DNase、RNase、およびそれらのモノクローナル抗体がある。
【0005】
生体高分子および活性剤の送達におけるそれらの用途
多糖類のような生体高分子は、昔から知られている。多糖類は、例えば、Vandecruysにより特許文献1およびBlouquinにより特許文献2で開示されているような、経口投与形態における賦形剤として広く用いられている。これらの参考文献は、ナノ粒子または油と組み合わせで生体高分子を開示も提案もしていない。
【0006】
ナノ粒子および活性剤の送達におけるそれらの用途
シリカナノ粒子は、当業者に製剤賦形剤としてよく知られ、その用途も、例えば、Muhlhoferにより特許文献3およびTennentにより特許文献4等に開示されている。ナノ粒子−生体高分子複合体と油のコーティング、または活性剤の経口投与における同様の用途は、開示も提案もされていない。
【0007】
ナノ粒子を疎水面に付与する方法は、当業者によく知られ、例えば非特許文献1において開示されている。さらなる方法は、逆ミセル法(非特許文献2)、液体沈降法(非特許文献3)、およびゾル−ゲル法(非特許文献4)を含む。生体高分子と組み合わせたナノ粒子の用途、ナノ粒子−生体高分子の油でのコーティング、または活性剤の経口投与における同様の用途は、開示も提案もされていない。
【0008】
特許文献5,6,7,8,9,10および11等は、タンパク質の賦形剤としてナノ粒子またはマイクロ粒子の用途を開示している。これらの参考文献は、生体高分子とナノ粒子の密接な非共有結合または油コーティングにおけるナノ粒子−高分子複合体の組み込むことを開示も提案もしていない。
【0009】
Paiによる特許文献12は、対イオン物質、脂質、高分子、および乳化剤との複合体内の帯電した水溶性薬物を有するナノ粒子を含有する経口投与組成物を開示している。この組成物は、(a)対イオンと薬物をイオン結合させる工程と、(b)脂質、ポリマー、および可溶化剤を加える工程と;全混合物を溶解させる工程と、この溶液を乳化剤を含む水溶液内に導入する工程と、(c)可溶化剤を除去する工程とによって形成する。Allenによる特許文献13および14は、活性剤を送達する送達体であって、輸送体核を形成する生分解性疎水性ポリマーおよびポリマー核を囲む外側の両親媒層を構成するナノ粒子を含み、安定化脂質を含有するものを開示する。
【0010】
Shastriによる特許文献15は、脂質を有するナノ粒子およびイオンまたはイオン性部分を有するポリマーを開示している。これらの組成物も、(a)ポリマーがナノ粒子の外側ではなくそれらの一部を形成する点、および(b)油がナノ粒子−ポリマー混合物をコーティングする代わりにナノ粒子の一部を形成する点において本発明の組成物と顕著に異なる。加えて、本発明の複合体キャリア組成物の独特の構造は、開示も提案もされていない。
【0011】
Alonso Fernandezによる特許文献16は、イオン脂質−多糖の複合体の形成を通してコロイド系を調製する方法を開示している。コロイド系は、正に帯電したアミノ多糖類および負に帯電したリン脂質から成る界面で、イオン複合体を形成することによって安定化する。これらの組成物も、(a)ポリマーがナノ粒子の外側でなくその一部を形成する点、および(b)油がそれらをコーティングする代わりにナノ粒子の一部を形成する点において本発明の組成物と顕著に異なる。加えて、本発明の複合体キャリアの独特な構造は開示も提案もされていない。
【0012】
Tan等による特許文献17は、シリカコートしたナノ粒子およびシリカコートしたナノ粒子の製造方法を開示している。シリカコートしたナノ粒子は、油中水型マイクロ乳剤の水部分に溶解する試薬からナノサイズの核を沈殿させることによって調製する。反応性ケイ酸塩を加えて、シリカで核をコートする。ケイ酸塩コーティングは、さらに、タンパク質で誘導体化する。Gurnyによる特許文献18は、低い水溶性を有する薬剤の経口投与用の医薬組成物を開示している。この薬剤は高分子で溶解し、ナノ粒子はこれから形成する。
【0013】
化粧品処方において、油相内に分散する水相を含有する油中水型の乳化剤を有する組成物を用いるのが一般的である。シリカナノ粒子および多糖類が液体脂肪相内に含まれる多くの例がある。例えば、特許文献19には、疎水性または親水性のヒュームドシリカ、分岐多糖アルキルエーテル、乳化界面活性剤および油を含む液体脂質相を有する油中水型乳化剤を開示している。これらの組成物は、それらが水相と、組成物の因子を形成する最も重要な構造として機能する界面活性剤とを有する点で本発明の組成物と顕著に異なる。
【0014】
さらなる方法
生物活性タンパク質およびペプチドの経口投与方法は、広大な研究努力の目的であるが、今まで概して効果がなかった。経口投与したタンパク質の分解を防ぐための多くの方策が提案されてきており、コアシェル粒子(Gowerの特許文献20)およびナノチューブ(Dennisの特許文献21)の使用を含む。リポソームは、経口投与したタンパク質に関するキャリア、水溶性乳濁液および縣濁液(Watkinsの特許文献22,23,24および25)、およびガス充填リポソーム(Ungerらの特許文献26,27および28)として使用した。他の組成物は、水溶性媒体内で分散するナノ液滴を有する(特許文献29)。さらなる方策は、Ben-Sasonによる特許文献30,31および32で見られ、疎水性タンパク質の投与に対する生物学的障壁を越える浸透するペプチド効果を有する複合体キャリアを開示し、Guerrero Gomez-Pamoによる特許文献33は、有機塩の沈殿によって安定化した、生物学的な活性物質の経口投与に対する非共有タンパク質−多糖複合体の調製を開示している。これらの参考文献のいずれも、生体高分子または油コーティング内に組み込んだナノ粒子−高分子複合体と密接な非共有結合したナノ粒子を開示または提案していない。
【0015】
上述の違いに加えて、上述の参考文献のいずれも、本発明の組成物の向上した生物学的利用能を開示または提案していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6667060号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2004/0115264号明細書
【特許文献3】米国特許第6322765号明細書
【特許文献4】米国特許第6698247号明細書
【特許文献5】米国特許第7105229号明細書
【特許文献6】米国特許第6989195号明細書
【特許文献7】米国特許第6482517号明細書
【特許文献8】米国特許第6638621号明細書
【特許文献9】米国特許第6458387号明細書
【特許文献10】米国特許第7045146号明細書
【特許文献11】米国特許第5462866号明細書
【特許文献12】米国特許出願第2007/0154559号明細書
【特許文献13】米国特許出願第2006/0177495号明細書
【特許文献14】米国特許出願第2003/0235619号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2006/0083781号明細書
【特許文献16】国際公開第96/37232号パンフレット
【特許文献17】米国特許第6548264号明細書
【特許文献18】米国特許出願第2007/0275969号明細書
【特許文献19】米国特許第6228377号明細書
【特許文献20】米国特許第7090868号明細書
【特許文献21】米国特許第7195780号明細書
【特許文献22】米国特許第7316818号明細書
【特許文献23】国際公開第06/062544号パンフレット
【特許文献24】米国特許第6071535号明細書
【特許文献25】米国特許第5874105号明細書
【特許文献26】米国特許第6551576号明細書
【特許文献27】米国特許第6808720号明細書
【特許文献28】米国特許第7083572号明細書
【特許文献29】米国特許出願第2007/0184076号明細書
【特許文献30】国際公開第06/097793号パンフレット
【特許文献31】国際公開第05/094785号パンフレット
【特許文献32】国際公開第03/066859号パンフレット
【特許文献33】欧州特許第0491114B1号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Chung et al., “エアロゾルスプレーリアクタを用いたシリカナノ粒子の疎水性修飾(Hydrophobic modification of silica nanoparticle by using aerosol spray reactor)” Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 236 (2004) 73-79
【非特許文献2】Fu X, Qutubuddin S, Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects 179: 65, 2001
【非特許文献3】Krysztafkiewicz A, Jesionowski T, Binkowski S, Colloids Surf. A: Physicochem. Eng. Aspects 173:73, 2000
【非特許文献4】Jean J, Yang S, J. Am. Ceram. Soc. 83(8):1928, 2000; Zhang J, Gao L, Ceram. Int. 27: 143, 2001
【発明の概要】
【0018】
本発明は、多糖およびタンパク質またはペプチドと密接な非共有結合において、疎水性面を有する薬理学的不活性なナノ粒子を有する粒子状物質を有するタンパク質またはペプチドの活性剤の経口送達に適切な、複合体キャリア組成物であって、粒子状物質が油中に縣濁、組み込み、または分散するものを提供する。本発明は、さらに、複合体キャリア組成物と結合した生物学的活性タンパク質またはペプチドを有する医薬組成物と、その製造方法と、生物学的活性タンパク質と結合した同様のものを有する医薬組成物と、および同様のものを利用する治療方法を提供する。
【0019】
タンパク薬物の効果的な経口キャリアは、内腔および刷子縁ペプチドに対してその内容物を保護することができ、通常高分子量である、タンパク薬物の摂取を、胃腸(GI)上皮を越えて促進することができる。本発明の組成物は、驚くべきことに、生物学的活性のタンパク質およびペプチドの経口的生物学的利用能を可能にすることを初めて示す。従来技術の組成物において、ほとんどの治療的活性がペプチドまたはタンパク質の薬剤の経口製剤で達成されていなくても、本発明は体循環で輸送したペプチドまたはタンパク質の薬剤を吸収させることができる。
【0020】
ひとつの態様において、本発明は、疎水性面を有する薬学的に不活性なシリカナノ粒子を有し、タンパク質またはペプチドの活性物質を経口送達する複合体キャリア組成物であって、そのシリカナノ粒子の大きさは少なくとも1個の分岐多糖と密接に非共有結合において1〜100ナノメートルであり、シリカナノ粒子−多糖複合体は、油中に組み込み、分散または縣濁させたものを提供する。他の態様において、複合体キャリア組成物は複数の油類を含む。他の態様において、シリカナノ粒子および分岐多糖を含む粒子状物質の重量は、組成物の全重量の25%以下ではない。好ましくは、多糖の重量は、シリカの重量よりも大きい。いくつかの実施形態において、多糖の重量は、少なくともシリカのものの少なくとも2倍であり、他の実施形態において、多糖の重量はシリカのものの5倍であり、さらに他の実施形態において、多糖はシリカナノ粒子の重量の少なくとも10倍であるだろう。それぞれの場合を、本発明の別々の実施形態で示す。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、多糖は、分岐状の多糖を有する。他の実施形態において、分岐状の多糖は、アミロペクチン、でんぷんおよびグリコーゲンから成る群から選択するものとする。他の実施形態において、分岐状の多糖はでんぷんである。
【0022】
他の態様において、本発明は、(a)疎水性面を有する薬学的に不活性なナノ粒子であって、ナノ粒子の大きさは、多糖を有する生体高分子と密接に非共有結合において1〜100ナノメートルの間であるものと、(b)ナノ粒子および生体高分子に非共有結合した生物学的活性のタンパク質またはペプチドとを含む医薬組成物において、ナノ粒子、生体高分子および生物学的に活性なタンパク質またはペプチドによって形成された複合体は油中に組み込まれるものを提供する。現在好ましい実施形態によると、生体高分子は多糖の混合物を有する。現在より好ましい実施形態によると、生体高分子は、少なくとも1種の分岐状の多糖を含む。
【0023】
一つの実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、ナノ粒子の疎水性面および生体高分子の親水性面に非共有的に結合する。他の実施形態において、生物学的に活性なタンパク質またはペプチドの疎水性および親水性部分は、それぞれ、ナノ粒子の疎水性面および生体高分子の親水性面に接触する。他の実施形態において、生物学的に活性なタンパク質またはペプチドの疎水性部分も、生体高分子の疎水性表面に非共有的に接触することができる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0024】
他の実施形態において、本発明の複合体キャリア組成物は、非共有結合力によってまとめる(図1)。他の実施形態において、複合体組成物の組成物間の非共有結合力は、本願明細書で説明したように、成分が互いに混合するとき、複合体組成物が自己組織化することができる。他の実施形態において、非共有結合力によって、ナノ粒子および生体高分子は親和複合体を形成する。他の実施形態において、複合体組成物は、秩序だったフラクタル構造を示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0025】
他の実施形態において、ナノ粒子−生体高分子複合体は、複合体組成物の油相内で分散する。他の実施形態において、油相は、複合体組成物のナノ粒子−生体高分子複合体を含浸させる。本願明細書で示すように、本発明は、ナノ粒子および生体高分子が油相によって含浸され完全に囲まれた複合体を形成する組成体を提供する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態に示す。
【0026】
「疎水性」表面を有するような本発明のナノ粒子に関して、疎水性に修飾した表面を有するナノ粒子を包含する。他の実施形態において、ナノ粒子は、炭化水素で表面をコーティングすることによって修飾される。他の実施形態において、コーティングによって、ナノ粒子がその表面で疎水部分を示す。ナノ粒子に疎水表面を与える方法は、当業者によく知られており、とりわけ本願明細書で説明する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0027】
他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、天然植物油およびそれの合成した類似物から選択した油の混合物を有する。
【0028】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物は、さらに、付加的な油成分を含む。用語「付加的な油成分」は、本願明細書の他の部分で説明するように、付加的な油または油の混合物を示す。他の実施形態において、付加的な油成分は抗酸化物質を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0029】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物は、さらに、上述の付加的な油または油の混合物に加えて第三の油または油の混合物を含む。他の実施形態において、第三油成分は抗酸化物質を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0030】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物は、さらに、ワックスを含む。
【0031】
他の実施形態において、医薬組成物のタンパク質またはペプチドは赤血球生成促進因子である。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは下垂体成長ホルモンである。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは酢酸グラチラマーである。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドはアポリタンパク質A−1類似ペプチドである。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドはモノクローナル抗体である。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、タンパク質CD20に対するモノクローナル抗体である。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、カルシトニン、腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、インターフェロン−α、インターフェロン−β、およびインターフェロン−γから成る群から選択される。他の実施形態において、本発明の経口投与に対して調製した本発明の複合体組成物は、ソフトゲルカプセル、ハードゼラチンカプセル、および縣濁液から選択した形態である。
【0032】
他の実施形態において、本発明は、生物学的活性タンパク質またはペプチドを、それを必要とする対象に投与する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に経口投与して、それによって対象に生物学的活性タンパク質またはペプチドを投与する方法を提供する。
【0033】
一定の実施形態において、本発明の医薬組成物における活性タンパク質またはペプチドの成分は、経口投与することによって、20%以上の完全生物学的活性、好ましくは30%以上の完全生物学的活性、より好ましくは少なくとも40%の完全生物学的活性、最も好ましくは少なくとも50%の完全生物学的活性で、対象の血流に到達することができる。他の実施形態において、60%以上の生物学的活性が元の状態のままである。他の実施形態において、70%以上の生物学的活性が元の状態のままである。他の実施形態において、80%以上の生物学的活性が元の状態のままである。他の実施形態において、90%以上の生物学的活性が元の状態のままである。いずれの作用の理論または機構に縛られることなく、これらの特性は、本発明の医薬組成物の賦形剤による腸内の消化酵素および物理的力からの活性物質の保護によるものと考えられる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物を、短時間放出するように設計する。本願明細書で用いる「短時間放出」は、投与後最大活性4時間で8〜12時間以内に放出することを意味する。他の実施形態において、本発明の医薬組成物を、中時間放出するように設計する。本願明細書で用いる「中時間放出」は、投与後最大活性4〜6時間で12〜18時間以内に放出することを意味する。他の実施形態において、本発明の医薬組成物を、長時間放出するように設計する。本願明細書で用いる「長時間放出」は、投与後最大活性4〜8時間で18〜48時間以内に放出することを意味する。他の実施形態において、本発明の医薬組成物を、超長時間放出するように設計する。本願明細書で用いる「超長時間放出」は、投与後最大活性6〜8時間で18〜72間以内に放出することを意味する。他の実施形態において、本発明の組成物の放出時間が長いほど、低いピーク活性に従い長い尾を有する低いピークを示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0035】
他の態様において、本発明は、複合体キャリア組成物の製造方法を提供し、この方法は、(a)疎水性表面を有するナノ粒子を乾燥混合する工程であって、ナノ粒子の大きさは1〜100ナノメートルであり、多糖を含む生体高分子を有し、ナノ粒子は生体高分子と密接に非共有結合を形成する工程と、(b)油中でナノ粒子および生体高分子を混合する工程とを有する。好ましくは、ナノ粒子および生体高分子は複合体を形成する。他の実施形態において、複合体は油中に組み込む。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は、100〜500000ナノメートル(nm)である。いくつかの好ましい実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は100〜50000nmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0036】
他の実施形態において、本発明は、複合体キャリア組成物の製造方法を提供し、この方法は、(a)疎水性表面を有する薬学的不活性なナノ粒子を乾燥混合する工程であって、ナノ粒子の大きさは1〜100ナノメートルであり、多糖を含む生体高分子を有し、ナノ粒子は生体高分と密接に非共有結合を形成する工程と、(b)生物学的活性タンパク質またはペプチドを油中に溶解または分散させる工程と、(c)ナノ粒子および生体高分子の親和混合物を油中で混合する工程とを有し、それによってナノ粒子、生体高分子、およびタンパク質またはペプチドは油中に組み込まれるようになる。好ましくは、ナノ粒子、生体高分子およびタンパク質またはペプチドは複合体を形成する。他の実施形態において、複合体を油中に組み込み、分散、浸入、または縣濁させる。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、ナノ粒子の疎水性表面および生体高分子の親水性表面に非共有結合力を介して結合する。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は、100〜50000ナノメートルである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0037】
組成物は1個以上の生物学的活性タンパク質またはペプチドを有することが本発明の範囲内であることは容易に理解すべきである。例えば、各々のタンパク質またはペプチドは、少なくとも1個の油と混合し、その後乾燥微粒子賦形剤の親和混合物と結合する。各々のタンパク質またはペプチドに用いる油もしくは油の混合物は、同一または異なる。代案の実施形態において、2個以上の異なるペプチドまたはタンパク質を固体の微粒子賦形剤の単一混合物内に組み合わせて、油成分と混合させる。代案の実施形態において、2個以上の活性タンパク質またはペプチドは、微粒子賦形剤と個々で組み合わせて、その後個々の混合物をさらに油成分を混合する。
【0038】
本願明細書で示すように、方法は経口投与の形態で、様々な生物学的活性タンパク質またはペプチドを調製することを開発する。一定の好ましい実施形態において、成分は、特定の順番で混合して、胃および小腸における消化過程から活性成分を保護する油でコートした複合体キャリア組成物を生成する。生体高分子は、特に分岐しているとき、消化の間の水力学および物理的な圧力を吸収する。油コーティングは、消化酵素に対して更なる保護を提供する物理的障壁を形成する。
【0039】
さらに、いずれかの活性の理論または機構に縛られることなく、本発明の複合体キャリア組成物は、消化系において、元の組成物の構造と同じ以外で大きさのより小さい粒子に変わり(図2)、カイロミクロンと同様に吸収され、肝臓内の初回通過代謝を経ることなく血流に到達する。タンパク質およびペプチドの生物学的活性は、本発明の組成物における経口投与に従って大きく維持される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】リボヌクレアーゼおよび多糖を含む複合体キャリアの概略的な構造を示す図である。上図は疎水性シリカナノ粒子で含浸した多糖または生体高分子の分岐状線維構造を含むマクロ構造を示す図である。下図はマイクロ構造を示す図である。
【図2】流体力学および酵素過程の結合作用による小腸において形成された構造の概略図である。
【図3】図3Aは、第一放出のDNase複合体組成物の経口投与後のマウス血漿におけるDNase活性を示す図である。図3Bは本発明のDNaseの経口組成物75mgを経口投与した後のヒト血漿におけるDNase活性を示す図である。それぞれの線は、DNaseの経口組成物の摂取前(第1点)および後の異なる対象を示す図である。
【図4】RNaseの注射またはRNase複合体組成物の経口投与後のマウス血漿におけるRNase活性を示す図である。各組み合わせの第1線:経口投与RNase。各組み合わせの第2線:注射RNase。各組み合わせの第3線:RNase:本発明の経口組成物。
【図5A】図5Aはインスリン複合体キャリア製剤IV(実施例6)の光学顕微鏡写真を示す図である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図5B】図5Bは本発明のActrapid(商標)インスリン経口組成物の糖尿病(STZ−処理)マウスにおける血中グルコース濃度(BGL)に対する効果を示す図である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図6】糖尿病(STZ−処理)マウスにおけるBGLに、本発明のNovoRapid(商標)インスリン経口組成物の経口投与の効果を示す図である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図7】PBS(強制飼養)で25IUインスリン(BIOCONによる)投与後のSTZ処理マウスにおけるBGL濃度を示す図である。
【図8A】図8Aは本発明のインスリン経口組成物に対する投与量曲線(少なくとも5匹のマウスに基づいた平均グルコース濃度)を示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜500の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8B】図8Bは2IUで個々のマウスからのデータを示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜500の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8C】図8BCは5IUで個々のマウスからのデータを示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜500の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8D】図8Dは10IUで個々のマウスからのデータを示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜500の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8E】図8EはSTZマウスへのSC注射インスリン効果を示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜500の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8F】図8Fは正常マウスへのインスリン組成物の12IU効果を示す図である。図における中断は投与時間を示す。横軸:時間。縦軸:平均BGL濃度、mg/dLで0〜160の範囲である。異なる記号はそれぞれのマウスを示す。
【図8G】図8Gは本発明の10IUインスリン経口組成物対同量のインスリンの注射の比較を示す図である。
【図8H】図8Hは本発明の5IUインスリン経口組成物対同量のインスリンの注射の比較を示す図である。
【図8I】図8Iは本発明の2IUインスリン経口組成物対同量のインスリンの注射の比較を示す図である。
【図9】健康(A)および糖尿病(B)のヒト被験者に対するインスリン組成物の効果を示す図である。図9Aは30IUのアクトラピッドの比較的短時間放出インスリン複合体キャリア製剤は12:00に投与し、グラフにおける縞で示した。図9Bは日常平均血中グルコース濃度を示す図である。Gluco−Rite(商標)を1〜12日目に投与した。本発明のインスリン経口組成物を最初に13日目、続いて14日目に投与した。
【図10A】インスリン組成物の毒性実験を示す図である。肝臓の顕微鏡分析である。それぞれの場合において、左のパネルは対照サンプルで、右のパネルが処理したサンプルである。上下のパネルはそれぞれ40倍および200倍の倍率である。
【図10B】インスリン組成物の毒性実験を示す図である。腎臓の顕微鏡分析である。それぞれの場合において、左のパネルは対照サンプルで、右のパネルが処理したサンプルである。上下のパネルはそれぞれ40倍および200倍の倍率である。
【図10C】インスリン組成物の毒性実験を示す図である。十二指腸の顕微鏡分析である。それぞれの場合において、左のパネルは対照サンプルで、右のパネルが処理したサンプルである。上下のパネルは、それぞれ100倍および200倍の倍率である。
【図11】図11Aはリポ多糖体(LPS)のHPLC分析の設定を示す図である。図11Bは分析結果:陽性対照血清:LPS1mgを注射したマウス(曲線A);陰性対照血清:無処理のマウス(曲線B);本発明の経口(強制)インスリン経口組成物を1〜15日目に、1mgのLPSを14日目および15日目に与えたマウス(曲線C);1mLのPBSを1〜15日目、14日目および15日目に1mgのLPSを与えたマウス(曲線D)。
【図12】本発明の赤血球生成促進因子(EPO)複合体キャリア組成物の投与後のラットにおける網状赤血球形成濃度を示す図である。縦軸:相対網状赤血球数(成熟赤血球からの網状摂家級(未成熟赤血球)の%)
【図13】本発明の150IUEPO経口組成物を経口投与後のラット血清におけるEPO濃度を示す図である。
【図14】アポリタンパク質A−1類似ペプチド3F−2および3F−14のらせん状の輪を示す図である。この輪は、下に面した疎水性側を有するNからC末端までのらせん状の軸に沿って示す。主要な構造は、上記それぞれの輪の図に従う。両ペプチドのアミノ酸成分は同じである。配列は異なる。プラスおよびマイナス符号は、中性pHでのアミノ酸の電荷を示す。太字は、芳香族残基を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、疎水性表面を有する薬学的不活性なナノ粒子を、多糖または高分子量のタンパク質と親和性非共有結合して含む複合体キャリア組成物であって、ナノ粒子含有複合体は、油中に縣濁、取り込み、または分散するものを提供する。本発明はさらに、複合体キャリア組成物を結合した生物学的活性タンパク質またはペプチドを含む医薬組成物と、その製造方法と、生物学的活性タンパク質と結合した同様のものの医薬組成物と、同様のものを利用した治療方法を提供する。
【0042】
一つの実施形態において、本発明は、疎水性表面を有する薬学的不活性なナノ粒子を、多糖を含む生体高分子と親和性非共有結合して含む複合体キャリア組成物であって、ナノ粒子の直径は1〜100ナノメートルであり、ナノ粒子−生体高分子複合体は、油中に組み込み、分散、浸入、または縣濁し、複合体キャリア組成物の粒径は100〜500000ナノメートル(nm)であるモノを提供する。特定の好ましい実施形態において、粒径は100〜50000nmとする。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の油相は複数の油を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0043】
他の実施形態において、複合体キャリア組成物は非共有結合力によって結び付ける(図1)。他の実施形態において、いずれかの活性の理論または機構に縛られることなく、複合体キャリア組成物間の非共有結合力によって、本願明細書で記載したように、成分が互いに混ざるとき、複合体組成物は自己組織化することができる。他の実施形態において、いずれかの活性の理論または機構に縛られることなく、複合体キャリア組成物は、異なる性質で少なくとも2個の固体の薬学的不活性な材料(シリカナノ粒子および多糖)を含有する固相を含む。他の実施形態において、非共有結合力によって、ナノ粒子および生体高分子は親和複合体を形成する。他の実施形態において、複合体組成物は、秩序だったフラクタル構造を示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0044】
他の実施形態において、ナノ粒子−生体高分子複合体は、複合体組成物の油相内で分散する。他の実施形態において、油相は、複合体組成物のナノ粒子−生体高分子複合体を含浸させる。本願明細書で示すように、本発明は、ナノ粒子および生体高分子が油相によって含浸または完全に囲まれた複合体を形成する組成体を提供する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態に示す。
【0045】
本願明細書で用いる、組み込み、分散、浸入または縣濁した粒子状物質を有する油は、油と接触した粒子状物質を示す。全体として組成物は、粒子状物質の分布に関して均一である必要はない。むしろ、粒子状物質は、撹拌するときに油中に組み込み、分散、浸入または縣濁することができる。粒子状物質は、完全に均一である必要はないが、むしろ本願明細書で示す成分を含むその内容物、および本発明の油との親和性接触のよって特徴づけられる。本発明の範囲内で粒子状物質が塊状で沈殿する成分である。
【0046】
ナノ粒子
本発明の方法および組成物のナノ粒子は、好ましくは薬学的に不活性である。他の実施形態において、ナノ粒子は、一般的に安全と認定された(GRAS)材料から成る。他の実施形態において、ナノ粒子は無毒性である。他の実施形態において、ナノ粒子は非催奇性である。他の実施形態において、ナノ粒子は生物学的不活性である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0047】
他の実施形態において、ナノ粒子はシリカナノ粒子である。一つの好ましい実施形態において、ナノ粒子はヒュームドシリカナノ粒子である。他の実施形態において、ナノ粒子は酸化亜鉛から成る。他の実施形態において、ナノ粒子は炭素から成る。他の実施形態において、ナノ粒子はチタンから成る。他の実施形態において、ナノ粒子はシリカナノ粒子と類似の硬さの他の物質から成る。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0048】
他の実施形態において、ナノ粒子はシリカ含有ナノ粒子である。「シリカ含有ナノ粒子」は、好ましくは、シリカ、ケイ酸塩、またはそれらの組み合わせを有するナノ粒子である。「シリカ」は二酸化ケイ素を示す。シリカ含有ナノ粒子は、例えば99.99%純の細挽きのシリカ等で、購入可能である。当業者には理解できることには、低い純度のシリカも本発明に適応できる。「ケイ酸塩」は、シリコンおよび酸素を含む化合物で、例えばSiOの四面体単位がある。他の実施形態において、その用語は、1個以上の中央のケイ素原子を陰性配位子に囲まれたアニオンを有する化合物を示す。ケイ酸塩の非限定的な例には、ヘキサフルオロケイ酸塩、ケイ酸ナトリウム(NaSiO)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどがある。本発明の構造におけるナノ粒子は、単一型または多岐型のいずれかであり、多岐型が存在する場合には、少なくとも1個の型はシリカ含有ナノ粒子であることを理解すべきである。他の実施形態において、基本的にすべてのナノ粒子はシリカ含有ナノ粒子である。シリカは、安全な食品添加物として広く認められている(Thirteenth report of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives, FAO Nutrition Meetings Report Series; from the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives meeting in Rome, May 27- June 4, 1969)。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0049】
「疎水性」表面を有する本発明のナノ粒子に関して、一つの実施形態において、ナノ粒子表面の少なくとも40%が疎水性であることを示す。他の実施形態において、表面の少なくとも50%が疎水性である。他の実施形態において、表面の少なくとも60%が疎水性である。他の実施形態において、表面の少なくとも70%が疎水性である。他の実施形態において、表面の少なくとも80%が疎水性である。他の実施形態において、表面の少なくとも90%が疎水性である。他の実施形態において、表面の少なくとも95%が疎水性である。他の実施形態において、表面の40〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の50〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の60〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の70〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の80〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の90〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の95〜100%が疎水性である。他の実施形態において、表面の40〜60%が疎水性である。他の実施形態において、表面の40〜50%が疎水性である。他の実施形態において、表面の40〜70%が疎水性である。他の実施形態において、表面の40〜80%が疎水性である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0050】
他の実施形態において、「疎水性」表面を有するナノ粒子に関して、疎水性に修飾した表面を有するナノ粒子を示す。他の実施形態において、ナノ粒子は、炭化水素で表面をコーティングすることによって修飾する。他の実施形態において、コーティングによって、ナノ粒子は炭化水素部分を表面に示す。他の実施形態において、炭化水素部分は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、T−ブチル、ペンチル、およびイソ−ペンチルから成る群から選択される。他の実施形態において、コーティングによって、ナノ粒子はその表面にメチル部分を示す。疎水性表面をナノ粒子に取り込む方法は、当業者には既知であり、本願明細書でとりわけ説明する。当業者に既知であるように、化学反応によってヒュームドシリカの表面を化学的修飾させることができ、シラノール基の数を減少して生成する。とくに、シラノール基は、疎水基で置換して疎水性シリカを得る。疎水基はトリメチルシロキシ基であり、ヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することでとくに得られる。したがって、シリカは、CTFA(第6版、1995)に従って「シリル化シリカ」として既知である。それらは固体であり、例えば、Degussa社の「Aerosil R812(登録商標)」、Cabot 社の「CAB-O-SIL TS-530(登録商標)」があり、ジメチルシリルオキシまたはポリジメチルソロキサン基で、ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することによってとくに得られる。従って、シリカは、CTFA(第6版、1995)に従って「シリル化シリカジメチル」として既知である。それらは固体であり、例えば、Degussa社の「Aerosil R972(登録商標)」「Aerosil R974(登録商標)」、Cabot 社の「CAB-O-SIL TS-610(登録商標)」「CAB-O-SIL TS-720(登録商標)」がある。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0051】
他の実施形態において、本発明の組成物のナノ粒子は、水に実質的に不溶である。「実質的に不溶」とは、他の実施形態において、1万重量/重量に対して100部未満の溶解度(ppm)を示す。他の実施形態において、この用語は200ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は80ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は60ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は50ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は40ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は30ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は20ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は15ppm未満の溶解度を示す。他の実施形態において、この用語は10ppm未満の溶解度を示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0052】
他の実施形態において、本発明の方法および組成物のナノ粒子の直径は、5〜30ナノメートルの間である。他の実施形態において、直径は7〜40ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は2〜400ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は2〜300ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は3〜200ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は4〜150ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は4〜100ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は5〜50ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は5〜40ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、直径は6〜25ナノメートル(nm)である。他の実施形態において、本発明において用いる疎水性シリカナノ粒子の平均直径は10〜11nmである。他の実施形態において、平均直径は約5nmである。他の実施形態において、平均直径は約6nmである。他の実施形態において、平均直径は約7nmである。他の実施形態において、平均直径は約8nmである。他の実施形態において、平均直径は約9nmである。他の実施形態において、平均直径は約10nmである。他の実施形態において、平均直径は約12nmである。他の実施形態において、平均直径は約14nmである。他の実施形態において、平均直径は約16nmである。他の実施形態において、平均直径は約18nmである。他の実施形態において、平均直径は約20nmである。他の実施形態において、平均直径は、本願明細書で示す範囲内におさまる他の直径である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0053】
他の実施形態において、本発明のナノ粒子は、本発明の組成にとくに適切な融解温度の範囲内にある。特定の実施形態において、ナノ粒子は600℃以上の融解温度(Tm)を有する。他の実施形態において、Tmは600〜4500℃である。好ましくは、Tmは800〜4500℃である。他の実施形態において、Tmは本願明細書で示す範囲内のいずれかのTmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0054】
ナノ粒子に疎水性表面の付与
ナノ粒子に疎水性表面を付与する方法は、当業者には既知であり、とりわけ非特許文献1において開示されている。さらなる方法には、逆ミセル法(非特許文献2)、液体沈降法(非特許文献3)、およびゾル−ゲル法(非特許文献4)がある。
【0055】
さらなる方法は、米国特許公開第2007/0172426号明細書において、ナノ粒子に疎水性表面を付与する方法が開示され、ナノ粒子の表面へ吸収する第1端および、ナノ粒子から離れて広がり粒子に疎水性を付与する第2端を有する材料とそれらが結合することによる方法を提供する。この材料は、極性末端基を有する一般的な脂肪族化合物である。化合物の各分子の第1端には、粒子表面に吸収するカルボキシル基、アミン基、シラン等を含むことができる。化合物の各分子の第2端には、粒子から離れて広がるアルカン基を含むことができる。疎水性表面層を提供するのに用いる材料には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸等の飽和脂肪酸と、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸等の不飽和変異体とがある。オクタデシルトリクロロシラン等のシランも、機能化酸化物表面に広く用いることができる。疎水性表面層は、粒子をコーティングするのに適切な疎水性コーティング材料の体積中にナノ粒子を混合させることによって提供する。過剰な疎水性コーティング材料は、ナノ粒子が疎水性コーティング材料において縣濁液を形成するようなものを一般的に使用する。各ナノ粒子は、その後その表面上に疎水性層を示す。
【0056】
ナノ粒子をコーティングするために疎水性表面を利用するさらなる方法は、米国特許公開第2006/0053971号明細書において開示されている。さらなる方法は、米国特許公開第2007/0098990号明細書において開示されている。開示された方法は、第1酸は低分子量の有機カルボン酸であり、第2酸は高分子量の有機カルボン酸である複合的な多岐の有機酸を利用する。上述の各特許文献の内容を本願明細書で参照する。
【0057】
生体高分子
本発明の方法および組成物の生体高分子は、好ましくは、分岐状の生体高分子である。本願明細書で用いる「分岐状」は、天然で分岐および、熱的および/または超音波処理等の物理的処理によって分岐するように処理した高分子の両方を示す。概して、分岐状の高分子は、単量体サブユニットの置換基が高分子の他の共有結合鎖によって置換される高分子として規定される。他の実施形態において、分岐状の生体高分子は、架橋結合した高分子である。他の実施形態において、分岐状の生体高分子は架橋結合されていない。分岐状の高分子の非限定的な例には、それぞれ動物および植物において見られるでんぷんの形の、グリコーゲンおよびアミロペクチンがある。グリコーゲンおよびアミロペクチンの構造を以下に示す。
【化1】

【化2】

【0058】
他の実施形態において、生体高分子は繊維状生体高分子である。「繊維状生体高分子」は、分離した糸状の形の網目状の高分子を示す。繊維状高分子の非限定的な例は、グアーガム(Benefiber(商標)等で見られる)、コラーゲン、ケラチン、フィブリン、エラスチンがある。生体高分子は天然で繊維状であるか、または物理的および化学的処理によって繊維状にする。
【0059】
各種類の分岐および繊維状の生体高分子は、本発明の別々の実施形態で示す。
【0060】
他の実施形態において、本発明の組成物の生体高分子は、本発明の組成物にとくに適切な融解温度の範囲内である。他の実施形態において、生体高分子は400℃未満の融解温度を有する。他の実施形態において、Tmは350℃以下である。他の実施形態において、Tmは300℃以下である。他の実施形態において、Tmは250℃以下である。他の実施形態において、Tmは200℃以下である。他の実施形態において、Tmは150℃以下である。他の実施形態において、Tmは100〜400℃である。他の実施形態において、Tmは本願明細書で示す範囲内のいずれかのTmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0061】
好ましくは、本発明の方法および組成物の生体高分子は、多糖および高分子量の構造のタンパク質から成る群から選択する。
【0062】
多糖
「糖類」は、単糖、単糖誘導体、単糖類似体、砂糖、多糖のそれぞれの単位を形成するものを含むいずれかの単純な炭水化物を示す。「単糖」は、ポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)またはポリヒドロキシケトン(ケトース)および、それらの誘導体および類似体を示す。
【0063】
「多糖」は、ヘミアセタールまたはグリコシド結合によって互いに結合した約500〜100000単糖類単位から形成された高分子を示す。多糖は、直鎖、単一分岐、または多岐分岐し、各岐はさらに第2枝を有し、単糖は、それぞれ、D−フルクトースおよびD−ガラクトース糖のような、ピラノース(6員環)もしくはフラノース(5員環)の形で標準のD−またはL−環状糖であることや、または、それらは環状糖誘導体で、例えば、D−グルコサミン等のアミノ糖、D−フコースもしくはL−ラムノース等のデオキシ糖、D−リボース−5−リン酸塩等の糖リン酸、D−グルタミン酸等の糖酸、もしくは、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、もしくはN−スルフェート−D−グルコサミン等の多岐誘導糖であることができる。天然から単離すると、多糖の調製は分子量が不均一である分子を含む。多糖には、他の化合物の中には、ガラクトマンナンおよびガラクトマンナン誘導体、ガラクト−ラムノガラクツロン誘導体、およびガラクト−アラビノガラクツロン誘導体がある。
【0064】
本発明の方法において用いる多糖は、他の実施形態において、天然に生じる多糖である。他の実施形態において、多糖は合成した多糖である。合成した多糖の非限定的な例には、米国特許第6528497号明細書およびOkada M. et al. Polymer journal, 15 (11); 821-26 (1983)において見つけることができる。他の実施形態において、多糖は分岐多糖である。この用語は、当業者には既知であり、単糖モノマー間の結合における、いずれかの枝の数および構造を示す。他の実施形態において、多糖は天然分岐多糖である。他の実施形態において、多糖は合成分岐多糖である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0065】
他の実施形態において、多糖の平均分子量MWは、少なくとも100キロダルトン(kDa)である。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも150kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも200kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも300kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも400kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも500kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも600kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも800kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は150〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は200〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜800kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜600kDaである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0066】
他の実施形態において、多糖は、でんぷん、デキストリン、セルロース、キチン、αグルカン、およびβグルカン、およびそれら誘導体から成る群から選択する。典型的には、セルロース、デキストリン、でんぷんおよびグルカゴンは、すべてグルコースの高分子であり、化学式(C12である。
【0067】
他の実施形態において、多糖は以下の構造を有するでんぷんである。でんぷんの非限定的な例には、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、米でんぷん、小麦でんぷん、プラムでんぷん、および藻からのでんぷんがある。他の実施形態において、でんぷんは当業者に既知のいずれか他のでんぷんである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【化3】

【0068】
他の実施形態において、多糖はデキストリンである。他の実施形態における「デキストリン」は、でんぷんの加水分解によって生成した低分子量の炭水化物を示す。他の実施形態において、この用語は、α−(1,6)結合で開始した直鎖α−(1,4)−結合D−グルコース高分子または同様のものの混合物を示す。デキストリンは、広く購入可能で、とりわけ、α−アミラーゼで分岐アミロペクチンまたはグルカゴンを消化させることによって生成する。デキストリンの非限定的な例には、以下の構造を有するマルトデキストリンがある。他の実施形態において、デキストリンは当業者に既知のいずれか他のデキストリンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【化4】

【0069】
他の実施形態において、多糖はセルロースである。でんぷんの非限定的な例には、以下の構造式を有するα−セルロースがある。他の実施形態において、セルロースは当業者に既知のいずれか他のセルロースである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【化5】

【0070】
他の実施形態において、多糖はキチンである。キチンの非限定的な例には、分子式(C13NOで、以下の構造式である。他の実施形態において、キチンは当業者に既知のいずれか他のキチンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【化6】

【0071】
他の実施形態において、多糖はα−グルカンである。本発明のα―グルカンは、α1−2,α1−3,α1−4,および/もしくはα1−6グリコシド結合を有するグルコースの直鎖または分岐の高分子である。例えば、植物から誘導したα−アミロース等のα−グルカンは、α1−4グリコシド結合を有する未分岐の直鎖グルコース高分子であり、植物から誘導したアミロペクチン等のα−グルカンは、骨格においてα1−4グリコシド結合および分岐点においてα1−6結合を有する分岐グルコース高分子である。他の実施形態において、α−グルカンは、当業者に既知のいずれか他のα−グルカンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0072】
他の実施形態において、多糖はβ−グルカンである。「β−グルカン」は、(1→3)または(1→4)β結合によって互いに結合したD−グルコピラノシル単位を有する多糖を示す。β−グルカンは、オートムギおよびオオムギ等の多くの穀物において天然で存在する。穀物で生じるβ−グルカン分子の分子量は、典型的には200〜2000kDaである。他の実施形態において、β−グルカンは当業者に既知のいずれか他のβ−グルカンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0073】
他の実施形態において、本発明の組成物の多糖のTmは、本発明の組成物にとくに適切な融解温度の範囲内である。他の実施形態において、多糖は400℃以下の融解温度を有する。他の実施形態において、Tmは他のTmまたは本願明細書で示す範囲内のTmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0074】
他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、直鎖生体高分子である生体高分子を更に含む。他の実施形態において、さらなる生体高分子は直鎖多糖である。他の実施形態において、さらなる生体高分子は、直鎖高分子量のタンパク質である。他の実施形態において、さらなる生体高分子は、キチン、セルロース、α−グルカン、β−グルカンから成る群から選択する。この組み合わせの非限定的な例は、アミロペクチン、分岐の生体高分子、およびキチン、直鎖多糖である。本願明細書で示す他の分岐および直鎖の生体高分子も適切である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0075】
本発明の方法および組成物の他の実施形態において、組成物の生体高分子は、直鎖多糖である。この実施形態において、分岐生体高分子は存在する必要がない。
【0076】
他の実施形態において、本発明の方法および組成物のさらなる生体高分子は、線維、好ましくは食物繊維である。本願明細書で用いる用語「線維」および「食物繊維」の定義には、利用不可能な炭水化物、消化不良の残渣、植物細胞の多糖およびリグニンがあり、これらすべてはヒトの消化酵素による加水分解に抵抗する。好ましい繊維は、グアーガム、ペクチン、フルクト−オリゴ糖およびそれらの誘導体から成る群から選択する。フィチン、タンニン、サポニン、およびクチン等の少量の他の消化不良の化合物は、消化が悪く、食物繊維多糖に結合するため、食物繊維に含むことができる。他の実施形態において、食物繊維は不溶繊維である。他の実施形態において、食物繊維は直鎖不溶繊維である。他の実施形態において、食物繊維は可溶繊維である。他の実施形態において、食物繊維は直鎖可溶繊維である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0077】
他の実施形態において、本発明の組成物は、分岐生体高分子、直鎖生体高分子、および不溶繊維を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、分岐生体高分子、ポリペプチド、および不溶繊維を含む。この例には、アミロペクチン、分岐多糖;ケラチン、ポリペプチド;およびセルロース、不溶繊維を含む組成物がある。本願明細書で示す他の分岐多糖、ポリペプチド、および不溶繊維も同様に適切である。他の実施形態において、本発明の組成物は、分岐多糖、直鎖多糖、および不溶繊維を含む。この例には、アミロペクチン、分岐多糖;キチン、直鎖多糖;およびセルロース、不溶繊維を含む組成物がある。本願明細書で示す他の分岐および直鎖の多糖および不溶繊維も適切である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0078】
構造タンパク質
特定の実施形態に従って、組成物の乾燥固体成分は、さらに構造タンパク質を有する。本発明の方法および組成物の構造タンパク質は、高分子量(MW)構造タンパク質である。いくつかの実施形態において、構造タンパク質は、生物学的活性タンパク質またはペプチドの、それぞれ疎水性および親水性領域に相互接続する、親水性および疎水性残基の両方を有する。
【0079】
他の実施形態において、構造タンパク質の平均分子量は、少なくとも100キロダルトン(kDa)である。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも150kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも200kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも300kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも400kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも500kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも600kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも800kDaである。他の実施形態において、平均分子量は少なくとも1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は150〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は200〜1000kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜800kDaである。他の実施形態において、平均分子量は100〜600kDaである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0080】
「構造タンパク質」は、一つの実施形態において、複合体キャリア組成物に関連する構造を含むタンパク質を示す。他の実施形態において、本発明の構造タンパク質は、治療活性に欠ける。他の実施形態において、この用語は、細胞、細胞膜、または生体内の細胞外膜の構造を与えるタンパク質を示す。他の実施形態において、構造タンパク質は繊維タンパク質である。他の実施形態において、構造タンパク質は硬タンパク質である。他の実施形態において、構造タンパク質は、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、およびフィブリノゲンから成る群から選択する。他の実施形態において、構造タンパク質は、当業者に既知の他のいずれの繊維タンパク質または硬タンパク質である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0081】
他の実施形態において、構造タンパク質はエラスチンである。エラスチンタンパク質の非限定的な例には、とりわけGenBank Accession numbers NP_031951, NPJ786966およびAAC98394で示される。他の実施形態において、エラスチンは当業者に既知のいずれか他のエラスチンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0082】
他の実施形態において、構造タンパク質はコラーゲンである。コラーゲンタンパク質の非限定的な例には、遺伝子記号COL3A1, COL14A1, COLl 1 A2, COL5A2, COLI lAl, COL5A1, COL4A6, COL4A5, COL4A4, COL4A3, COL4A2, COL1A2, COL5A3, COL18A1, COL12A1, COL19A1, COL24A1, COL4A1, およびCOL2A1によって示すものがある。他の実施形態において、コラーゲンは当業者に既知のいずれか他のコラーゲンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0083】
他の実施形態において、構造タンパク質はケラチンである。ケラチンタンパク質の非限定的な例には、ケラチン18、ケラチン14、ケラチン3およびケラチン86(それぞれGenBank Accession numbers P05783, P02533, P12035, 043790)がある。他の実施形態において、ケラチンは当業者に既知のいずれか他のケラチンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0084】
他の実施形態において、構造タンパク質はフィブリノゲンである。フィブリノゲンは、3対のポリペプチド:2個のα、2個のβ、2個のγ鎖から成るグリコタンパク質である。フィブリノゲンα、β、γ鎖の非限定的な例には、とりわけGenBank Accession numbers P02671, P02675, および P02679で示すものがある。他の実施形態において、フィブリノゲンは当業者に既知のいずれか他のフィブリノゲンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0085】
他の実施形態において、構造タンパク質のTmは、本発明の組成物にとくに適切な融解温度の範囲内である。他の実施形態において、多糖は400℃以下の融解温度を有する。他の実施形態において、Tmは他のTmまたは本願明細書で示す範囲内のいずれかのTmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0086】
油および油コーティング
本発明の組成物の固体粒子相は、油キャリアにおいて包囲、浸入、定着、分散または縣濁される。概して、油相は、固体相をコーティングするのに加えて、ナノ粒子、生体高分子および薬学的活性分子から成る固体層に含浸する。「油」、「油層」、「油相」または「油コーティング」は、さらなる成分または本発明の方法において有効な成分の存在を除外しない(例えば、脂溶性補助因子または抗酸化物質)。むしろ、この用語は、油、油層、油相、またはコーティングが複数の薬学的に可能な油キャリアから主に成り、他の成分は混合および/または溶解する。油キャリアは、本願明細書でさらに説明するように1個または複数の種類の油から成ることができる。他の実施形態において、コーティングは脂質および/または油から主に成る。他の実施形態において、組成物のコーティングは、薬学的に可能な油キャリアを含む。他の実施形態において、油キャリアは天然油である。他の実施形態において、油は天然植物油の混合物である。他の実施形態において、油キャリアはゴマ油である。他の実施形態において、油キャリアはオリーブオイルである。他の実施形態において、油キャリアはアマニ油である。他の実施形態において、油キャリアは月見草油である。他の実施形態において、油キャリアはシリコンオイルである。他の実施形態において、油キャリアはクロウメモドキ油である。他の実施形態において、油キャリアは、ゴマ油、オリーブオイル、アマニ油、月見草油、シリコンオイル、およびクロウメモドキ油から成る群から選択する。他の実施形態において、油キャリアは、限定することはないが、ヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、ホホバ油、マロー油、グレープ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカデミア油およびヒマシ油から成る群から選択するものを含む。
【0087】
他の実施形態において、油キャリアはラノリン等の動物由来のものである。
【0088】
他の実施形態において、油キャリアは合成油である。他の実施形態において、油キャリアは脂肪アルコールである。特定の好ましい実施形態において、油キャリアは2−オクチルドデカノールである。特定の他の好ましい実施形態において、油キャリアは、脂肪酸エステルおよびフェニルシリコンから成る群から選択する。特定のより好ましい実施形態において、油キャリアはフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、およびポリ−メチルフェニルシロキサンから成る群から選択する。
【0089】
他の実施形態において、油キャリアは当業者に既知の他の適切な油キャリアである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0090】
他の実施形態において、油は、天然由来の脂質および/または油から主に成る。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0091】
「複数の油」は、他の実施形態において、2個以上の油を示す。他の実施形態において、本発明の組成物は3個以上の油を有する。他の実施形態において、本発明の組成物は4個以上の油を有する。他の実施形態において、本発明の組成物は4個を超える油を有する。他の実施形態において、油相は、天然植物油から選択した油の混合物を有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0092】
他の実施形態において、本発明の油成分は、対象によって摂取されるとき胆汁塩または胆汁酸の分泌を刺激することができる成分を有する。他の実施形態において、胆汁刺激成分は油である。他の実施形態において、その成分はオリーブオイルまたはそれらの抽出物である。他の実施形態において、その成分は当業者に既知のいずれか他の胆汁塩/酸刺激脂質可溶物質である。他の実施形態において、そのキャリアは胆汁塩/刺激物質である。他の実施形態において、胆汁塩/酸刺激物質は、キャリアから分離した物質である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0093】
他の実施形態において、本発明の油成分は、1個以上の抗酸化物質を多量に含む。例えば、クロウメモドキ(oblepicha)油は、多量のβ−カロテンを含む。他の実施形態において、1個以上の抗酸化物質を豊富に含むいずれか他の油を用いる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0094】
他の実施形態において、本発明の組成物の油成分は、比較的高い融解温度を有する油を含む。いくつかの実施形態によると、本発明の油成分は、少なくとも5〜10℃の融解温度(Tm)を有する成分を含む。他の実施形態において、高いTmの成分は室温で液体である。他の実施形態において、油キャリアは高いTmの成分である。他の実施形態において、高いTmの成分は他の油キャリアに加えて含む。高いTmの成分の非限定的な例は、ホホバ油である。他の実施形態において、高いTmの油は当業者に既知のいずれか他の高い融解温度の油である。他の実施形態において、高いTmの油は、本発明の複合体キャリアにおける油キャリアの大部分として用いる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0095】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物は、さらに付加的な油成分を有する。本願明細書で示すように、本願明細書で示す方法に従った本発明の組成物の多岐の油成分の混合物は、自由エネルギーの吸収および最小化によって、複合体構造の自己秩序化または自己組織化を提供する。用語「付加的な油成分」は、本願明細書でいずれかで示すように、油または油の混合物を示す。他の実施形態において、付加的な油成分の油キャリアはオリーブオイルである。他の実施形態において、油キャリアは当業者に既知の他の適切な油である。他の実施形態において、付加的な油成分は抗酸化物質を有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0096】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドを、最初に加えた油または油の混合物の代わりに、付加的な油または油成分内に含む。他の実施形態において、生物学的活性のタンパク質またはペプチドは、固相に加える前に抗酸化物質および油に結合する(最初に加えたもしくは付加的な油または油の混合物)。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0097】
他の実施形態において、付加的な油、油または油の混合物は、最初に加えた油または油の混合物よりも高い粘度を有する。他の実施形態において、いずれかの作用の理論または機構に縛られることなく、この段階で高い粘度の油または油の混合物を用いるのは、自由エネルギーの吸収および最小化のために構造の自己秩序化または自己組織化を可能にする。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0098】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物は、さらに第3の油または油の混合物を含む。他の実施形態において、第3油成分は抗酸化物質を含む。他の実施形態において、第3油成分はゴマ油である。他の実施形態において、第3油成分は当業者に既知の、他の適切な油である。他の実施形態において、第3油、油または油の混合物は、付加的な油または油の混合物よりも高い粘度を有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0099】
他の実施形態において、高い浸透性の油キャリアを、外側の油または油の混合物内に含む。高い浸透性の油の非限定的な例には、ゴマ油、ティーツリー(メラレウカ)油、ラベンダー油、アーモンド油、およびグレープシード油がある。他の実施形態において、高い浸透性の油キャリアは、血中への物質の効果的な輸送を促進する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0100】
他の実施形態において、本発明の複合体組成物または医薬組成物は、さらに薬学的に可能なワックスを含む。用語「ワックス」は、室温(25℃)で固体であり、固体/液体状態に可逆に変化し、30℃以上で、最高120℃の融解温度を有する、親油性化合物を示す。ワックスを液体状態(融解)にすることによって、いずれかの油の存在で混和し光顕微鏡で見て均一な混合物を形成することができるが、室温まで混合物の温度を戻すと、混合物の油におけるワックスの再結晶体が得られる。ワックスは、例えばベスワックス等の天然ワックス、植物材料から誘導したワックス、または脂肪酸および長鎖アルコールのエステル化によって調製した合成ワックスであることができる。他の適切なワックスには、パラフィンワックス等の石油系ワックスを含む。他の実施形態において、ワックスは複合体キャリア組成物を安定化する。他の実施形態において、ワックスの包含物は複合体キャリア組成物を含むタブレットの形成を容易にする。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0101】
医薬組成物
他の実施形態において、本発明は、医薬組成物を提供し、この医薬組成物は、(a)疎水性表面を有する薬学的不活性ナノ粒子であって、ナノ粒子の大きさは1〜100ナノメートルであり、多糖を含む生体高分子と親和性非共有結合を形成するナノ粒子と、(b)ナノ粒子および生体高分子に非共有的に結合した生物学的活性タンパク質またはペプチドとを含み、ナノ粒子、生体高分子、および生物学的活性タンパク質またはペプチドによって形成される複合体は油中に組み込み、分散、浸入または縣濁する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、ナノ粒子の疎水性表面および生体高分子の親水性表面に非共有的に結合する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、生体高分子の疎水性表面に非共有的に結合する。他の実施形態において、その調整後であるが摂取される前の、医薬組成物の粒径は100〜500000nmである。他の実施形態において、粒径は100〜50000nmである。他の実施形態において、粒径は100〜5000nmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0102】
本発明の医薬組成物の様々な成分、すなわち、ナノ粒子、生体高分子、および油は、上述で説明する。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の油相は複数の油を含む。他の実施形態において、ナノ粒子、生体高分子およびタンパク質またはペプチドを含む、粒子状物質の合計重量は、組成物の全重量の25%以下である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0103】
他の実施形態において、複合体キャリア組成物は、非共有結合力でまとまる。他の実施形態において、いずれかの作用の理論または機構に縛られることなく、複合体組成物の成分間の非共有結合力によって、本願明細書で記載するように、成分を互いに混合するとき複合体組成物が自己組織化できる。他の実施形態において、非共有結合力によって、ナノ粒子、生体高分子、およびタンパク質/ペプチドは親和混合物を形成する。他の実施形態において、複合体組成物は、秩序立ったフラクタル構造を示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0104】
他の実施形態において、ナノ粒子−生体高分子−タンパク質/ペプチド複合体は、複合体組成物の油相内で分散する。他の実施形態において、油相を、複合体組成物のナノ粒子−生体高分子−タンパク質/ペプチド複合体に含浸する。本願明細書で示すように、本発明は、複合体からのナノ粒子、生体高分子、およびタンパク質またはペプチドが油相によって含浸または完全に包囲されている組成物を提供する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0105】
本発明の組成物における活性剤として適切なタンパク質またはペプチド
本願明細書で用いる「治療活性を有するタンパク質またはペプチド」は、それらが必要な対象において治療できる活性を示すタンパク質またはペプチドを表す。特定の好ましい実施形態において、この用語は、概して生物学的活性を示すことを知られるタンパク質またはペプチドを示し、本発明の組成物におけるそれらの製剤に限定されない。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、グリコタンパク質またはグリコシル化ペプチドである。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、グリコシル化でない。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、当業者に既知のいずれか他の種類のタンパク質またはペプチドである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0106】
生物学的活性タンパク質またはペプチドの分子量(MW)は、他の実施形態において、100キロダルトン(kDa)未満である。他の実施形態において、分子量は90kDa未満である。他の実施形態において、分子量は80kDa未満である。他の実施形態において、分子量は70kDa未満である。他の実施形態において、分子量は60kDa未満である。他の実施形態において、分子量は50kDa未満である。他の実施形態において、分子量は45kDa未満である。他の実施形態において、分子量は40kDa未満である。他の実施形態において、分子量は35kDa未満である。他の実施形態において、分子量は30kDa未満である。他の実施形態において、分子量は25kDa未満である。他の実施形態において、分子量は20kDa未満である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0107】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドの分子量は、100kDa以上である。他の実施形態において、分子量は100〜5000kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜4000kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜3000kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜2000kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜1500kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜1000kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜800kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜700kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜600kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜500kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜400kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜300kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜200kDaである。他の実施形態において、分子量は100〜150kDaである。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、未知のまたは様々な分子量の合成高分子である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0108】
本願明細書で示すように、様々な分子量の生物学的活性タンパク質またはペプチドは、本発明の複合体キャリアに上手に組み込むことができる。例えば、インスリン(分子量5808);リボ核酸(分子量14000);およびデオキシリボ核酸(30000ダルトン以上の分子量)を用いた。
【0109】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、成長因子、サイトカイン、ペプチドホルモン、鎮痛ペプチド、酵素、小ペプチド、血液凝固因子ペプチド、およびペプチド神経伝達物質から選択する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは合成高分子である。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、当業者に既知の、いずれか他の種類の生物学的活性タンパク質またはペプチドである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0110】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは成長因子である。成長因子の非限定的な例は、血小板由来成長因子(PDGF)、幹細胞成長因子(SCF)、ヘパトサイト成長因子(HGF)、形質転換成長因子(TGF)神経成長因子(NGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、およびインスリン様成長因子(IGF)である。他の実施形態において、成長因子は当業者に既知の、いずれか他の種類の成長因子である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0111】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはサイトカインである。サイトカインの非限定的な例は、腫瘍壊死因子、インターフェロン、およびインターロイキンである。他の実施形態において、サイトカインは当業者に既知のいずれか他の種類のサイトカインである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0112】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは造血因子である。造血因子の非限定的な例は、赤血球生成促進因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子およびトロンボポエチンである。他の実施形態において、造血因子は当業者に既知の。いずれか他の種類の造血因子である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0113】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドはペプチドホルモンである。ペプチドホルモンの非限定的な例は、黄体形成ホルモン放出因子(LH−RH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、ソマトスタチン、下垂体成長ホルモン、黄体刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、バソプレシン、オキシトキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレスチラミン、アンジオテンシン、ヒト胎盤性ラクト−ゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、セルリアン、モチリン、グルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド(GIP)、およびグルカゴン様ペプチド(GLP−1)である。他の実施形態において、ペプチドホルモンは当業者に既知のいずれか他の種類のペプチドホルモンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0114】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは鎮痛ペプチドである。鎮痛ペプチドの非限定的な例は、エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン、キョトルフィンである。他の実施形態において、鎮痛ペプチドは当業者に既知のいずれか他の種類の鎮痛ペプチドである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0115】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質は酵素である。本願明細書で示すように、本発明の組成物は、かなりの割合の酵素活性を維持する間、酵素を投与することができる。酵素の非限定的な例は、DNase、RNase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)、アスパラギナーゼ、カリクレイン、およびピルビン酸デビドロゲナーゼである。他の実施形態において、酵素は当業者に既知の、いずれか他の種類の酵素である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0116】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは神経伝達物質である。ペプチド神経伝達物質の非限定的な例は、ボンベシン、ニューロテンシン、ブラジキニン、および物質Pである。他の実施形態において、神経伝達物質は当業者に既知の、いずれか他の種類の神経伝達物質である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0117】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは抗凝固ペプチドである。
【0118】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは抗体である。他の実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である。他の実施形態において、抗体は抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体である。抗TNF抗体は購入可能であり、Infliximab(商標), Etanercept(商標), および Adalimumab(商標)を含む。他の実施形態において、抗体は当業者に既知のいずれか他の抗TNF抗体である。他の実施形態において、抗体は抗癌胎児性抗原(CEA)に対するものである。他の実施形態において、抗体は卵巣癌関連抗体CA125に対するものである。他の実施形態において、抗体は当業者に既知の、いずれか他の治療活性を有する抗体である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0119】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは抗体フラグメントである。他の実施形態において、抗体フラグメントはFcフラグメントである。他の実施形態において、抗体フラグメントはFabフラグメントである。他の実施形態において、抗体フラグメントは軽鎖である。他の実施形態において、抗体フラグメントは重鎖である。他の実施形態において、抗体フラグメントは当業者に既知の、いずれか他の種類の抗体フラグメントである。他の実施形態において、抗体フラグメントは抗TNF抗体のフラグメントである。他の実施形態において、抗体フラグメントは当業者に既知の、いずれか他の治療活性を有する抗体のフラグメントである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0120】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは、医薬品に接合した抗体である。他の実施形態において、医薬品はサイトカインである。他の実施形態において、医薬品は優性阻害腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質である。他の実施形態において、医薬品は腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質である。他の実施形態において、医薬品は放射性同位体である。他の実施形態において、医薬品は当業者に既知の、いずれか他の医薬品である。他の実施形態において、抗体−医薬品接合は、ウイルス感染に対して活性を示す。他の実施形態において、抗体−医薬品接合は、細菌感染に対して活性を示す。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0121】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは医薬品に接合した抗体フラグメントである。
【0122】
他の実施形態において、生物学的活性ペプチドは、カルシトニン、赤血球生成促進因子、下垂体成長ホルモン、優性阻止腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、および抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体から選択する。
【0123】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはDNaseである。この用語は、制限エンドヌクレアーゼおよび非制限エンドヌクレアーゼを含む。DNaseは、デオキシリボ核酸(DNA)の加水分解時に、個々の3´または5´−リン酸デオキシヌクレオシド内にポリデオキシリボ核酸を加水分解することができるリン酸ジエステラーゼである。DNaseの非限定的な例は、DNase I、DNase II、およびGenBank Accession Numbers YP_001911052, CAA62587, Q8WZ79, および NP_650672の配列を有するタンパク質である。他の実施形態において、DNaseは当業者に既知の、いずれか他のDNaseである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0124】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはRNaseである。この用語は、エンドリボヌクレアーゼおよびエキソリボヌクレアーゼを含む。RNaseは、ポリRNAを分解することができる。RNaseの非限定的な例は、RNase A,RNase H,RNase I,RNase III,RNase L,RNase P,RNase PhyM,RNase T1,RNase T2,RNase U2,RNase VI,RNase V,PNPase,RNaseII,RNase R,RNase D,RNase T,オリゴリボヌクレオチド、エキソリボヌクレオチドI,およびエキソリボヌクレオチドIIである。他の実施形態において、RNaseは抗酸化物質と一緒に投与する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0125】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは下垂体成長ホルモンである。下垂体成長ホルモンは、ポリペプチドホルモン、概して全長で191アミノ酸であり、ヒト下垂体前葉(下垂体後部)によって分泌され、GHまたはソマトトロピンとしても知られている。下垂体成長ホルモンの非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_000515, NM_022559,NM_022560, NM_022561, および NM_022562に記載される。他の実施形態において、下垂体成長ホルモンは当業者に既知の、いずれか他の下垂体成長ホルモンである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0126】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、Copaxone(商標)である。Copaxone(商標)およびガラティラメル酢酸塩としても知られている共重合体1(Cop1)は、複合的な硬化症の治療の薬である。それは、L−アラニン、L−リジン、L−グルタミン酸およびL−チロシンの合成高分子から成り、それぞれ平均モル比が0.141,0.427,0.095および0.338であり、平均分子量が5000〜9000ダルトンである。共重合体1に加えて、Copaxone(商標)は、BBB浸透性を高める40mg/mLのマンニトールを含む。Copaxone(商標)は、当業者には既知であり、例えば、Jacobs L. et al. (Advances in specific therapy for multiple sclerosis. Curr. Opin. Neurol. 7:250-4, 1994)において開示されている。他の実施形態において、本発明の組成物は、生物学的活性ポリペプチドとしてのCopaxone(商標)および、さらにマンニトールを有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0127】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、アポリタンパク質A−1様ペプチドである。アポリタンパク質A−1様ペプチドは当業者には既知であり、例えば、Ou J. et al. (L-4F, an apolipoprotein A-I mimetic, dramatically improves vasodilation in hypercholesterolemia and sickle cell disease. Circulation, 107:2337-41, 2003)において開示されている。アポリタンパク質A−1様ペプチドの非限定的な例は、L−4Fである。さらなるアポリタンパク質A−1様ペプチドの構造を図14で示す。他の実施形態において、アポリタンパク質A−1様ペプチドは当業者に既知の、いずれか他のアポリタンパク質A−1様ペプチドである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0128】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはリツキシマブである。リツキシマブ(Rituxan(登録商標))は、CD20陽性B−細胞を選択的に標的にする治療である。リツキシマブは当業者に既知であり、例えばRamos-Casals M. et al. (A systematic review of the off-label use of biological therapies in systemic autoimmune diseases. Medicine (Baltimore). 87:345-64, 2008)において開示されている。
【0129】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはカルシトニンである。カルシトニンの非限定的な例は、GenBank Accession numbers NM_001741, NM_001033953, および NM_001033952に記載される。他の実施形態において、カルシトニンは当業者に既知の、いずれか他のカルシトニンである。他の実施形態において、カルシトニン含有組成物を骨粗しょう症の治療に用いる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0130】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは赤血球生成促進因子である。赤血球生成促進因子の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_000799 and AM933611に記載される。赤血球生成促進因子の他の非限定的な例は、Eprex(商標)として購入可能なエポエチンα, Epogen(商標), およびProcrit(商標);Recormon(商標) (エポエチンβ); Aranesp(商標) (ダーベポエチンα);および Mircera(商標) (メトキシポリエチレングリコール−エポエチンβ)である。他の実施形態において、赤血球生成促進因子は当業者に既知の、いずれか他の赤血球生成促進因子である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0131】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはインターフェロン−αである。インターフェロン−αタンパク質の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_024013, NM_000605, NM_002170, NM_002173, NM_021057, NM_002175, NM_021268, NM_002172, NM_006900, NM_002171, NM_021002, NM_002169, NM_21068に記載される。他の実施形態において、インターフェロン−αは当業者に既知の、いずれか他のインターフェロン−αである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0132】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはインターフェロン−βである。インターフェロン−βタンパク質の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_002176, DJ418445, および AL390882に記載される。他の実施形態において、インターフェロン−βは当業者に既知のいずれか他のインターフェロン−βである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0133】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはインターフェロン−γである。インターフェロン−γタンパク質の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_000619, BC070256, V00543,およびX13274に記載される。他の実施形態において、インターフェロン−γは当業者に既知の、いずれか他のインターフェロン−γである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0134】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはウレアーゼである。ウレアーゼタンパク質の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers AF468788 およびM65260に記載される。他の実施形態において、ウレアーゼは当業者に既知の、いずれか他のウレアーゼである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0135】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはカタラーゼである。カタラーゼタンパク質の非限定的な一連の例は、GenBank Accession numbers NM_001752およびNM_012520に記載される。他の実施形態において、カタラーゼは当業者に既知の、いずれか他のカタラーゼである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0136】
他の実施形態において、生物学的活性ポリペプチドは、ペプチド様またはペプチドを模倣して設計したタンパク質類似鎖である。
【0137】
他の実施形態において、「ペプチド様」は、非天然で生じるアミノ酸またはアミノ酸類似体を含むペプチドを示す。他の実施形態において、アミノ酸類似体は、以下の化学式を有するDまたはL残基であり:NH−CHR−CO、Rは脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基、または置換芳香族基であり、Rは天然で生じるアミノ酸の側鎖に反応しない。この用語はまた、天然に生じるアミノ酸の片方のD−アミノ酸も示す。アミノ酸類似体は当業者には既知であり、多くのこれらの類似体は購入可能である。他の実施形態において、ペプチドにおいて非天然で生じるアミノ酸の使用は、それらを認識できない酵素による分解により耐えられるという利点を有する。
【0138】
代案として、官能基は側鎖に加えたり、側鎖から取り除いたり、または他の官能基と交換することができる。この種の非保存的な置換基は、アミンまたはヒドロキシル、カルボキシル酸をバリン、ロイシン、イソロイシンの脂肪族側鎖に加えたり、アミンを有するアスパラギン酸またはグルタミン酸の側鎖にカルボキシル酸を置換したり、または、リシンまたはオルニチンの側鎖にアミン基を取り除くことを含む。さらに他の実施形態において、置換したアミノ酸の側鎖は、置換されるアミノ酸の官能基と大きく異なる立体構造および電気特性を有する。この修飾の例には、グリシンに対するトリプトファン、アスパラギン酸に対するリシン、セリンの側鎖に対する−(CHCOOHを含む。
【0139】
アミノ酸類似体は、同類置換および非同類置換の両方として本発明の組成物におけるアミノ酸残基と置換することができる。これらのペプチド様有機部分は、必須アミノ酸および非必須アミノ酸残基と置換するか、または取り除かれた(非必須アミノ酸の)アミノ酸の代わりにペプチド内で空間群として作用するいずれかである。ペプチド様有機部分は、しばしば、置換したアミノ酸と類似の立体構造、電気または構造の特性を有し、このようなペプチド様は重要な位置においてアミノ酸を置換するのに使用し、同類置換として見なす。しかし、この類似点は必ずしも必要ではない。ペプチド様体の使用における制限のみが、ペプチドがそれらの治療特性を維持する。ペプチド様体は、有機合成技術によって製造することができる。適切なペプチド様体の例には、Lアミノ酸に対応するDアミノ酸;テトラゾール、アミド結合の等量式;LL3アミノ2プロペニドン6カルボキシル酸を含む。さらなる適切なペプチド様体は、ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート;1,2,3,4テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボキシレート;ヒスチジンイソキノロンカルボキシル酸(HIC);(2S,3S)メチルフェニルアラニン、(2S,3R)メチルフェニルアラニン、および(2R,3S)メチルフェニルアラニンおよび(2R,3R)メチルフェニルアラニンを含む。
【0140】
上述の例のペプチド様体は、限定的な意味ではない。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0141】
付加的成分
他の実施形態において、本発明の組成物は、さらに抗酸化物質を有する。他の実施形態において、抗酸化物質は薬学的に可能な抗酸化物質である。他の実施形態において、抗酸化物質は、ビタミンE、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)、オメガ−3およびβ−カロテンからなる群から選択される。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0142】
他の実施形態において、組成物はさらに、生物学的活性タンパク質またはペプチドのエンハンサ−を有する。他の実施形態において、組成物はさらに、生物学的活性タンパク質またはペプチドの補因子を有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0143】
他の実施形態において、本発明の組成物はさらに医薬品グレードの界面活性剤を含む。界面活性剤は当業者には既知であり、とりわけHandbook of Pharmaceutical Excipients (eds. Raymond C Rowe, Paul J Sheskey, and Sian C Owen, copyright Pharmaceutical Press, 2005)において開示されている。他の実施形態において、界面活性剤は当業者に既知のいずれか他の界面活性剤である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0144】
他の実施形態において、本発明の組成物はさらに医薬品グレードの乳化剤または乳液(皮膚軟化剤)を含む。乳化剤または乳液は当業者には既知であり、とりわけHandbook of Pharmaceutical Excipients(ibid)において開示されている。乳化剤または乳液の非限定的な例は、ユームルギン、ユームルギンB1 PH、ユームルギンB2 PH、水素化ヒマシ油セトステアリルアルコール、およびセチルアルコールである。他の実施形態において、乳化剤または乳液は、当業者に既知のいずれか他の乳化剤または乳液である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0145】
他の実施形態において、本発明の組成物はさらに、医薬品グレードの安定化剤を含む。安定化剤は当業者には既知であり、とりわけ、Handbook of Pharmaceutical Excipients(ibid)において開示されている。他の実施形態において、安定化剤は当業者に既知のいずれか他の安定化剤である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0146】
他の実施形態において、本発明の組成物はさらに、アルギニン、リジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、およびヒスチジンから成る群から選択したアミノ酸を含む。他の実施形態において、アルギニン、リジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、およびヒスチジンの類似体または修飾変種には、用語「アルギニン」、「リジン」、「アスパラギン酸塩」、「グルタミン酸塩」、および「ヒスチジン」をそれぞれ含む。他の実施形態において、アミノ酸は、リボ核酸または他の活性分子のさらなる保護を提供する。他の実施形態において、アミノ酸は、生物学的活性タンパク質またはペプチドと標的細胞の相互作用を促進する。他の実施形態において、アミノ酸は組成物の油成分を含有する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0147】
他の実施形態において、本発明の組成物はさらに、1個以上の製剤可能な賦形剤を有し、複合体キャリア組成物をその中で混合する。他の実施形態において、賦形剤は1個以上の付加的な多糖類を有する。他の実施形態において、賦形剤は1個以上のワックスを有する。他の実施形態において、賦形剤は組成物に所望の味を提供する。他の実施形態において、賦形剤は薬の濃度、ゲルカプセルまたはハードゲルカプセル等の最終投与量に影響を与える。
【0148】
賦形剤の非制限的な例には、消泡剤(ジメチコーン、シメチコン);抗菌性保存剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼルソニウム、ブチルパラベン、塩化セチルビリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール);キレート剤(エデト酸2ナトリウム、エチルジアミン4酢酸および塩、エデト酸)、コーティング剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、薬品シロップ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸共重合体、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、酢酸フタル酸ポリビニル、セラック、スクロース、二酸化チタン、カルナバワックス、微結晶ワックス、ゼイン);着色剤(カラメル、赤、黄、黒またはブレンド、酸化鉄)錯化剤(エチレンジアミン4酢酸および塩(EDTA)、エデト酸、ゲンチアニン酸エタノールアミド、硫酸オキシキノリン);乾燥剤(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、二酸化ケイ素)、乳化剤および/または可溶化剤(アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン(補助)、グリセロールモノステアレート、ラノリンアルコール、レシチン、モノおよびジグリセリド、モノエタノールアミン(補助)、オレイン酸(補助)、オレイルアルコール(安定化剤)、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水添ヒマシ油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、プロピレングリコール2酢酸、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンラウリン酸モノエステル、モノパルチミン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸、トロラミン、乳化ワックス);芳香剤および香味料(アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メンソール、サリチル酸メチル、グルタミン酸ナトリウム、オレンジ花油、ペパーミント、ペパーミント油、ハッカ精、ローズ油、強ローズ水、チモール、トルバルサンチンキ、バニラ、バニラチンキ、バニリン);保湿剤(グリセリン、へキシレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール);高分子(例えば、酢酸セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アクリル酸高分子および共重合体);縣濁および/または増粘剤(アカシア、寒天、アルギニン酸、ステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラギーン、微結晶およびカルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ペクチン、酸化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状に酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム);甘味料(アスパラテーム、デキストレート、デキストロース、賦形剤デキストロース、フルクトース、マンニトール、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、ソルビトール、スクロース、圧縮糖、菓子糖、シロップ);を含む。この一覧は、限定的ではないが、賦形剤の単に代表例であり、本発明の経口投与組成物において用いることができる特定の賦形剤である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0149】
他の実施形態において、本発明の組成物の粒子状物質の重量は、油相の重量の33%以下である。活性成分を含まない複合体キャリアの場合、粒子状物質はナノ粒子および生体高分子から成る。複合体キャリア医薬組成物の場合、粒子状物質は、ナノ粒子、生体高分子、および活性成分から成る。油相の重量は、もしあれば、混合したすべての油成分に対して、油キャリアの重量を、そこに混合した付加的な油およびそこに溶解した物質を加えたものである。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の25%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の20%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の15%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の10%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の8%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、油相の重量の5%以下である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0150】
他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の75%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の50%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の30%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の25%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の20%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の15%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の10%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の8%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の6%以下である。他の実施形態において、粒子状物質の重量は、組成物の全重量の5%以下である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0151】
投与方法
他の実施形態において、本発明は、生物学的活性タンパク質またはペプチドを、それらが必要な対象に投与する方法を提供し、その方法は、本発明の医薬組成物を対象に経口で投与する工程を含み、それによって生物学的活性タンパク質またはペプチドを対象に投与する。
【0152】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドはDNaseである。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、RNaseである。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、カルシトニンである。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、赤血球生成促進因子である。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、カルシトニン、赤血球生成促進因子、下垂体成長ホルモン、優性阻害腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、インターフェロン−α、インターフェロン−βおよびインターフェロン−γから成る群から選択する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチド当業者に既知のいずれか他の生物学的活性タンパク質またはペプチドである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0153】
生物学的活性タンパク質またはペプチドの大きさ、特性、分類は本願明細書で説明したいずれかのものであることができる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0154】
製剤方法
他の実施形態において、本発明は、複合体キャリア組成物の製造方法を提供し、その方法は、(a)疎水性表面を有するナノ粒子を乾燥混合する工程であって、ナノ粒子の大きさは、多糖を有する生体高分子で、1〜100ナノメートルであり、ナノ粒子は生体高分と親和性非共有結合を形成する工程と、(b)油中でナノ粒子および生体高分子を混合する工程とを含む。好ましくは、ナノ粒子および生体高分子は複合体を形成する。他の実施形態において、複合体を油中に組み込み、分散、浸入または縣濁させる。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は、100〜500000ナノメートルである。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は100〜50000ナノメートルである。他の実施形態において、粒径は100〜5000nmである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。本発明の製剤方法は、付加的な化合物が工程(a)において存在する実施形態を示す。他の実施形態において、1個以上の種類の生体高分子がナノ粒子と共に存在する。他の実施形態において、分岐多糖および食物繊維がナノ粒子と共に存在する。他の実施形態において、分岐多糖および直鎖多糖がナノ粒子と共に存在する。他の実施形態において、分岐生体高分子、直鎖多糖、および不溶繊維がナノ粒子と共に存在する。
【0155】
他の実施形態において、複合体キャリア組成物の製造方法は、疎水性表面を有するシリカナノ粒子ならびに、多糖および高分子量の構造タンパク質を有する生体高分子を油中で混合する工程を含み、ナノ粒子は、生体高分子と親和性非共有的に結合する。
【0156】
他の実施形態において、本発明は、複合体キャリア組成物の製造方法を提供し、この方法は、(a)疎水性表面を有する薬学的不活性なナノ粒子を乾燥混合する工程であって、ナノ粒子の大きさは、多糖を有する生体高分子で1〜100ナノメートルであり、ナノ粒子は生体高分と親和性非共有結合を形成する工程と、(b)生物学的活性タンパク質またはペプチドを油中に溶解させる工程と、(c)ナノ粒子および生体高分子の親和混合物を油中で混合する工程であって、ナノ粒子、生体高分子、およびタンパク質またはペプチドを油中に組み込み、分散、浸入または縣濁する工程とを有する。好ましくは、ナノ粒子、生体高分子およびタンパク質またはペプチドは複合体を形成する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、ナノ粒子の疎水性表面および生体高分子の親水性表面に非共有結合力を介して結合する。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は、100〜50000ナノメートルである。他の実施形態において、複合体キャリア組成物の粒径は100〜5000ナノメートルである。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0157】
他の実施形態において、上述の方法の工程(b)は、油または油の混合物内に親液化タンパク質またはペプチドを直接溶解させる工程を有する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドの溶液は、油または油の混合物と混合し、その後水相を除去する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0158】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは、油または油の混合物と混合して縣濁液を形成する。他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドは油または油の混合物内に溶解する。本願明細書で説明するように、Copaxone等の油内で低い溶解度を有することが期待される帯電タンパク質またはペプチドを、本発明の油含有複合体組成物内に混合することができる。いずれか活性の理論または機構に縛られることなく、これは、本発明の組成物の固相上のペプチドの吸着の結果であることができる。吸着は、各非共有結合力を介して、ナノ粒子表面とペプチドの疎水領域の相互作用によって媒介される一方、ペプチドの親水領域は、多糖の親水領域と相互作用する。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、アルコールの存在下で油と混合する。他の実施形態において、ポリエチレングリコールは、200〜8000ダルトン範囲の分子量を有する。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、ペルフルオロカーボンの存在下で油と混合する。他の実施形態において、ペルフルオロカーボンは室温で液体である。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0159】
他の実施形態において、タンパク質またはペプチドは、無水条件下で油と混合する。他の実施形態において、水分が存在する。他の実施形態において、タンパク質またはペプチドの水溶液を油と混合する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0160】
上述の方法の、ナノ粒子、生体高分子、および生物学的活性タンパク質またはペプチドの特性および分類を本願明細書で説明するもののいずれかであることができる。それぞれの可能性を本発明の別々の実施形態で示す。本発明の方法において示す「油」は、単一の油、油の混合物、または油相を示すことができる。本願明細書で説明するように、油の混合物または油相は、概して1個の油キャリアを有する。他の実施形態において、油の混合物または油相は、さらに、付加的な(複数の)油または付加的な(複数の)成分を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0161】
他の実施形態において、本発明の製剤方法の工程(a)は、さらに、ナノ粒子および生体高分子が適度に均一になるように確認する工程を含む。他の実施形態において、以下の3個の試験のいずれかを利用する:(a)混合物が均一に見える;(b)混合物の体積が2成分の合計体積より小さい;(c)混合物を水の静止した面においたとき沈まない。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0162】
乾燥混合の工程は、他の実施形態において、高いせん断力の混合器を用いて行う。他の実施形態において、混合の工程は、高速混合器を用いて行う。他の実施形態において、混合の工程は、ナノ粒子および生体高分子から均一な固相を生成するのに適切ないずれか他の方法を用いて行う。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0163】
他の実施形態において、本発明の製剤方法はさらに、最初に加えた油または油の混合物を加えた後に、付加的な油を加える工程を含む。用語「付加的な油」は、本願明細書の他の部分で示すように、油または油の混合物である。他の実施形態において、付加的な油成分は抗酸化物質を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0164】
他の実施形態において、生物学的活性タンパク質またはペプチドを、最初に加えた油または油の混合物の代わりに、付加的な油または油の混合物内で含む。
【0165】
他の実施形態において、付加的な油、油または油の混合物は、最初に加えた油または油の混合物よりも高い粘度を有する。他の実施形態において、作用の理論または機構のいずれかに縛られることなく、より高い粘度の油または油の混合物をこの段階で用いると、組成物内で秩序だった構造の形成が可能になる。
【0166】
他の実施形態において、本発明の方法はさらに、上述の付加的な油または油の混合物を加えた後に、第3油または油の混合物を加える工程を含む。他の実施形態において、第3油成分は抗酸化物質を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0167】
他の実施形態において、本発明の製剤方法はさらに、最初に加えた油または油の混合物を加えた後に、製剤可能なワックスを加える工程を有する。他の実施形態において、ワックスは、蜜ろうと類似の特性を有する物質である。他の実施形態において、ワックスルは、以下の特性を有する物質であり:(a)通常の室温でプラスチック性(可鍛性);(b)約45℃(113°F)以上の融解温度を有する;(c)典型的なプラスチックと比較して融解したとき低い粘度を有する;(d)水に不溶である;(e)疎水性である。特定の好ましい実施形態において、ワックスは蜜ろうである。他の実施形態において、ワックスは複合体キャリア組成物を安定化する。他の実施形態において、ワックスの含有物は、複合体キャリア組成物を含むタブレットを形成できる。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0168】
他の実施形態において、ワックスを本発明の方法の一部として加熱する。他の実施形態において、ワックスは粉砕する。他の実施形態において、ワックスを加熱および粉砕する。他の実施形態において、加熱および/または粉砕を、他の成分と混合する前に行う。他の実施形態において、ワックスは、他の成分との混合が開始しても熱いままである。他の実施形態において、加熱および/粉砕は、他の成分との混合の間に行う。他の実施形態において、加熱および/または粉砕は、他の成分との混合の前および間に行う。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0169】
他の実施形態において、高い浸透性の油キャリアを、外側油または油の混合物内で含む。他の実施形態において、高い浸透性の油キャリアは、血液中への物質の効果的な輸送を促進する。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0170】
他の実施形態において、本発明の製剤方法は、さらに、油または油の混合物内にアミノ酸を含有させる工程を含む。他の実施形態において、アミノ酸を最後に加えた油または油の混合物内に含む。他の実施形態において、アミノ酸は帯電アミノ酸である。他の実施形態において、アミノ酸を、アルギニン酸塩、リジン、およびそれらの誘導体から成る群から選択する。他の実施形態において、抗酸化物質、強化剤、または補因子を含む。それぞれの場合を本発明の別々の実施形態で示す。
【0171】
本願明細書で示すように、方法は、経口投与の形態における様々な生物学的活性タンパク質またはペプチドを製剤するために開発する。特定の好ましい実施形態において、成分は、特定の順番で混合して、胃内の消化過程から活性成分を保護する複合体キャリア組成物の縣濁液を製造する。作用の理論または機構のいずれに縛られることなく、生体高分子、とくに分岐している生体高分子は、消化の間に経験する水圧および物理的圧力を吸収する。油コーティングは、消化酵素に対して付加的な保護を与える物理的障壁を構成する。
【0172】
作用の理論または機構のいずれに縛られることなく、胆汁酸の分泌は、小さい粒子内に油の縣濁液を分散させ、これが小腸内で吸収できる。ナノ粒子の大きさは、本発明の複合体キャリアの独特の構造のために、油内で固相の分散の程度に影響を与える。粒径は、胃を通過し小腸に入った後に小さくなると同時に、粒子は30〜1000nmの範囲の大きさを維持し、これはリパーゼおよびペプチダーゼに対する基質では大きすぎ、組成物の保護効果を妨げる。特定の好ましい実施形態において、粒子は、胃を通過し小腸に入った後30〜700nmの範囲の大きさを維持する(図2)。有利には、この大きさの脂質コーティング粒子は、小腸の絨毛を起源とするリンパ管である、乳糜血管によるカイロミクロンと類似の方法で吸収できる。この方法で吸収された粒子は、初回通過代謝を経ることなく血流に到達し、活性剤の生物学的活性を大きく維持する。
【0173】
以下の式および情報は、本発明を実践するために当業者への手引きを提供する。
【0174】
ナノ粒子および生体高分子の相対量は、以下の数式に従って計算する。

−上式のVSFおよびVIISFは、それぞれナノ粒子および生体高分子の体積である。EbSFは、ナノ粒子の分子結合エネルギーである(概して3eV以上)。EbIISFは、生体高分子における最低分子または水素結合エネルギーである。
【0175】
いずれかのタンパク質またはペプチドに対する複合体キャリアは以下の原理を用いて設計することができる。
1.最終製剤における活性剤の必要な濃度は経験則、薬物動態学および薬力学に基づくものである。
2.上記に基づいて、活性物質のモル濃度ならびに、ナノ粒子および生体高分子の全表面積を推定する。
3.活性物質の吸着面積を、活性物質の分子量および3次元構造に基づいて推定する。球形分子の場合、吸着面積は分子の球表面の30〜40%である。細長い分子の場合、吸着面積は、分子の長さおよび、最も広い分子の、分子分岐の幅を有する単一の縞の面積と同じであると推定する。他の分子は両方の形状の組み合わせで推定する。
4.保護油相の厚さを、活性分子の3次元構造を基づいて推定する。球形分子の直径または、細長い分子の最大分枝の大きさの、少なくとも10倍である。本発明の複合体キャリアの油コーティングの厚さを、油または油の混合物の以下の特性によって規定する:(a)粘度および融解温度;(b)酸度;および(c)極性基の濃度である。
5.本発明の複合体キャリアの形成に必要なナノ粒子の推定面積を計算する。この面積は、工程3において規定した活性物質の推定吸着面積の少なくとも10倍である。
6.本発明の複合体キャリアの形成に必要な生体高分子の推定面積を計算する。この面積は、工程5において規定したナノ粒子の少なくとも10倍である。
7.活性分子を加える第1油を選択し、好ましくは、比較的低い粘性および低い濃度の極性基を有する油である。適切な例は、月見草油、ゴマ油、およびシリコンオイルである。
8.両固相をこの油内に注入し、生体高分子の表面上にナノ粒子を吸着させる。これは、保護油相の完全性を維持する。
9.第2油成分を加える。第2油は、その粘度に基づいて選択し、複合体キャリアから活性分子の放出が所定の割合で比例する。
10.第2油成分を加えて、活性分子とその標的物との間の相互作用を改善して、さらに消化から活性分子を保護する。例えば、クロウメモドキ油は十分な量の抗酸化物質、ビタミンEおよびβ−カロチンを含み、活性分子を活性ラジカルおよび酸化から保護する。
【0176】
本発明の原理を以下の非限定的な実施例を用いて実践する。
【実施例】
【0177】
実施例1:中時間放出型DNase複合体キャリア組成物
以下の製剤(DNase製剤I)を中時間型DNase放出として設計した:
30mLのホホバ油および120mLのクロウメモドキ(Oblepicha)油をビーカー内に入れ、2分間100rpmで、磁性撹拌子で撹拌した。7グラム(g)のDNaseを油混合物内に入れ20rpmで2分間、その後50rpmで5分間撹拌した。18gの米多糖(Ambrotose(商標), Mannatech Inc, Coppell, TX 75019, USA)を、分析計を用いて重量を測定し、3mgのヒューム疎水性シリカR972(Degussa Inc)を加え、900rpmで、5分間渦で混合した。Ambrotose(商標)およびシリカの間の結合を、水を充填したビーカーの表面においた後の、混合物の浮力によって規定した。Ambrotose(商標)/シリカ混合物を、油−DNase溶液に加え、15分間50rpmで撹拌した。75mLのオリーブオイルを加え、混合物を50rpmで3分間撹拌した。体積をゴマ油で300mLに合わせて、混合物を50rpmで20分間撹拌した。その生成物を冷蔵庫で保管した(3〜8℃)。
【0178】
いくつかの実験において、生成物は、Shionogi and Company, Ltd, Japanから購入可能なゼラチン腸溶性カプセル等のゼラチン腸溶性カプセルに入れる。
【0179】
さらなる実験において、ビタミンEを、複合体をコートするのに用いた油のいずれか一つに含む。
【0180】
実施例2:遅時間放出DNase複合体キャリア組成物
以下の製剤(DNase製剤II)を長時間放出として設計した:
60mLのホホバ油および120mLのクロウメモドキ(Oblepicha)油をビーカー内に入れ、2分間100rpmで磁性撹拌子で撹拌した。6gのDNaseを油混合物内に入れ20rpmで2分間、その後50rpmで5分間撹拌した。3gの米多糖(Benefiber(商標)(Novartis Nutrition GmbH, Germany)および1.2gの疎水性ヒュームドシリカR972(Degussa Inc)を、ボルテックスによって900rpmで5分間混合した。Benefiber(商標)およびシリカの結合を、水を充填したビーカーの表面上においた後に、混合物の浮力によって規定した。次いでBenefiber(商標)/シリカ混合物を、油−DNase溶液に加え、25分間50rpmで撹拌した。75mLのオリーブオイルを加え、混合物を50rpmで3分間撹拌した。容量をゴマ油で300mLとし、混合物を50rpmで20分間撹拌した。生成物を冷蔵庫で保管した(3〜8℃)。
【0181】
いくつかの実験において、生成物をゼラチン腸溶性カプセル等のゼラチン腸溶性カプセル内に入れる。
【0182】
実施例3:マウスにおけるNase複合体キャリア組成物の生体内放出特性
実験方法:
ヒト血清におけるDNase活性を、感度単一酵素放射状拡散(SRED)分析を用いて分析した。デオキシリボ核酸Iの単一酵素放射状拡散(ERSD)分析方法において、酵素溶液の正確に測定した体積は、DNAおよび臭化エチジウムが均一に分散するアガロースゲル相内の円状ウェル内に分散する。円状の暗いゾーンは、酵素がウェルからゲル内に放射状に拡散し基質DNAを消化するように形成する。加水分解したDNAの暗いゾーンの直径は、時間とともに大きくなり、ウェルに入る酵素の量に直線的に相互関連する。この分析方法は、30分以内で1μLの血清サンプル内のピコグラムからフェムトグラムの量のDNaseIを規定することができる。分析した酵素の一単位は、精製ヒトDNaseIの0.6ngに対して分析した。用いた実験条件は、Nadano D, et al.,Clinical Chemistry 39: 448-452, 1993において説明されたものに従った。図3Bにおいて示した実験結果は、SRED方法を用いて得た。マウス血清におけるDNase活性は、図3Aにおいてその結果を示し、Samson−Med Bio−Assayを用いて測定した。
【0183】
表1におけるデータは、DNA濃度を測定するバートンの方法を用いて得た:標準DNA溶液(Sigma Cat. No-1626)を、10mmol/LのMgClで、pH8.0、トリス塩酸緩衝液10mmol/L内に5,10,20および50μg/mLに希釈し、ジフェニルアミン方法を用いて標準曲線を得た(Burton K, Determination of DNA concentration with diphenylamine (DPA) In Methods in Enzymology ed. Grossman, L. & Moldave, K. Vol. XIIB, pp. 163-166. New York: Academic Press. 1968)。ヒト血清におけるDNA量を、以下のように規定した:200μLの血漿サンプルを200μLの1N HClOおよび600μLのDPAと混合した。サンプルを37℃で20時間培養し、その後10分間遠心分離した(15000g,25℃)。300μLの浮遊物を96ウェルプレートに移しサンプルの600nmでの吸光度を測定した。
【0184】
結果
本発明の短時間放出DNase組成物(経口Oshadi DNaseとも呼ぶ)、注射DNaseおよび経口投与DNaseの生体外DNase活性を比較した。経口Oshadi DNaseの最初のDNaseの活性の50%を12時間後も維持したが、注射DNaseおよび経口投与DNaseはともに6時間しか活性を検出しなかった(図3A)。
【0185】
他の実施例において、75mgの上述の中時間DNase複合体キャリア経口組成物をヒト対象に投与し、血清DNase活性を測定した。強力な活性をすべての対象において投与後4,8,および12時間後に観察した(図3B)。
【0186】
他の実施例において、20mg/日の上述の中時間DNase複合体キャリア組成物を経口的に4人のヒト対象に1週間投与し、血清内自由のDNA濃度をそれぞれの対象に対して測定した。すべての対象は、血清において自由DNA濃度の減少を示した(表1)。
【0187】
【表1】

【0188】
上述の実施例は、本発明の複合体組成物の放出速度が、所望の、対象の必要量および治療剤に従って容易に制御できることを示す。
【0189】
実施例4:RNase複合体キャリア組成物の調製(RNase製剤I)
12gのAmbrotose(商標)米多糖を分析計で測量し、4gの疎水性シリカR972を入れ、ボルテックスによって900rpmで5分間混合した。Ambrotose(商標)およびシリカの結合を、水を充填したビーカーの表面においた後に、混合物の浮力によって規定した。120mLのアマニ油および60mLのクロウメモドキ(Oblepicha)油をビーカー内に入れ、2分間100rpmで磁性撹拌子を用いて撹拌した。8gのRNaseを分析計で測量し、油の混合物中で20rpmで1分間、その後50rpmで3分間撹拌した。Ambrotose(商標)/シリカ混合物を、油−RNase溶液に加え、20分間50rpmで撹拌した。60mLのオリーブオイルを加え、混合物を50rpmで4分間撹拌した。“Plus”Dried Amino Acids(L-Glutamic Acid, Glycine, L-Lysine, L- Arginine; from Mannatech Inc, Coppell, TX 75019, USA)の10錠を粉砕し、ふるいにかけて破片を除去し、その後混合物内に入れて20rpmで30分間撹拌した。容量をゴマ油で400mLとし、混合物を50rpmで5分間撹拌した。生成物を冷蔵庫で保管した(3〜8℃)。
【0190】
いくつかの実験において、生成物をゼラチン腸溶性カプセル等のゼラチン腸溶性カプセル内に入れる。
【0191】
実施例5:RNase複合体キャリア組成物の生体内放出特性
RNase活性を、以下のようにSamson−Med Bio−Assayを用いて測定した:30μLの血清を10分間1mgの酵母RNAと共に培養した。RNA濃度の減少を観察し光度的に測定した。
【0192】
結果
投与したRNase複合体キャリア組成物(製剤III−実施例4)(経口Oshadi RNaseとも呼ぶ)、注射RNaseおよび経口投与RNase(対照)の生体内RNase活性を比較した。RNase活性を、RNase投与後3,6,および17時間後に測定した。製剤は全試験時間(17時間)RNase活性を与え、注射RNaseの活性は6時間後で元のRNase濃度に到達した。加えて、最大RNase活性は、RNase複合体キャリア組成物において注射RNaseよりも3倍高くなった。経口投与RNaseは検出可能な活性を全く示さなかった(図4)。
【0193】
実施例6:インスリン複合体キャリア組成物の調製
Actrapid(商標)複合体キャリア組成物(製剤V)を以下の成分を用いて生成した:
−オリーブオイル、11mL
−Benefiber(商標)、3g
−インスリンActrapid(商標)、9mL
−oblepicha油、9mL
−疎水性シリカR972、1.2g
−ゴマ油、最大75mL
Benefiber(商標)(Novartis Nutrition GmbH, Germany)およびシリカを、ビーカー内に入れ、ボルテックスによって900rpmで5分間混合した。Benefiber(商標)およびシリカの結合を、水を充填したビーカーの表面においた後に、混合物の浮力によって規定した。Actrapid(商標)インスリンを加えて15分間50rpmで撹拌した。ゴマ油およびクロウメモドキ(oblepicha)油をビーカー内に入れ、15分間低速度でボルテックスにおいた。オリーブオイルをその油に加えガラス棒で撹拌した。固相混合物および油混合物を入れて100rpmで磁性撹拌子を用いて混合した。体積をゴマ油で75mLとし、ガラス棒で撹拌した。動物実験において、この組成物をチューブによって投与した。生成物は12IU/mLのインスリンを含み、ゼラチン腸溶性カプセル内に入れた。
【0194】
さらなるインスリン複合体キャリア組成物(製剤VI)をNovoRapid(商標)インスリンを用いて上述の手順で調製した。このとき、Actrapid(商標)インスリンの代わりにNovoRapid(商標)インスリンを用いた。
【0195】
以下の成分を用いたさらなるActrapid (商標)製剤(製剤II)を短時間インスリン放出として設計した:
−インスリンActrapid(商標)、1mL
−オリーブオイル、1.5mL
−Ambrotose(商標)、0.7g
−シリカR972、0.1g
−oblepicha油、1.5mL
−月見草油、最大5mL
0.7gの米多糖(Ambrotose(商標) ,Mannatech Inc, Coppell, TX 75019, USA)0.1gと疎水性ヒュームドシリカR972(Degussa Inc)を入れ、ボルテックスによって900rpmで5分間混合した。Ambrotose(商標)およびシリカの結合を、水を充填したビーカーの表面においた後に、混合物の浮力によって規定した。1mLのActrapid(商標)インスリンを加え2分間100rpmで磁性撹拌子を用いて撹拌した。クロウメモドキ(Oblepicha)油を加え、2分間100rpmで磁性撹拌子を用いて撹拌した。体積を月見草油で5mLとし、50rpmで20分間撹拌した。生成物を冷蔵庫で保管した(3〜8℃)。それぞれの調製において、成分の量を2倍とし異なる結果とした。
【0196】
最終インスリン濃度は20IU/mLであった。ヒト投与のために、生成物をゼラチン腸溶性カプセル内に入れた。
【0197】
さらなるインスリン複合体キャリア組成物(製剤IV)を、BIOCONインスリンを用いて、以下の手順で調製し、成分を表2において示し、前の実施例に記載したものと類似した方法を用いた。組成物の光顕微鏡画像を図5Aに示す。
1.oblepicha油+オリーブ油+1/3のゴマ油を混合
2.Insugen(商標)インスリン粉末(BIOCON)を油の混合物内に加え、混合
3.線維+キチン+アミロペクチン+シリカを混合
4.工程3の混合物を、油の混合物および工程2のインスリンに加え、混合
5.残りのゴマ油を加え、混合
【0198】
【表2】

【0199】
実施例7:糖尿病マウスにおける本発明の経口インスリン組成物の効能
材料および実験方法
糖尿病を、体重23〜28grのオス成熟BALB/cマウス(7〜10週齢)においてストレプトゾトシンによって誘発した。対照マウスは週齢および体重を一致させた。
【0200】
ストレプトゾトシン(STZ)−誘発糖尿病処理:糖尿病を、1.5mg/mLのストレプトゾトシンを500および700μLの2回、48時間おいて注射することによって、平均体重23〜28grのオス成熟BALB/cマウス(7〜10週齢)において誘発した。ほぼ同じ週齢および体重の未処理マウスを対照として用いた。血中グルコース濃度(BGL)を、STZ注射後48時間で尾静脈サンプルから、標準FreeStyle(商標)グルコメーター (Abbot Diabetes Cere Inc, Alameda, CA)によって測定した。
【0201】
食物または水を前もって剥奪することなく、インスリン組成物をチューブでマウスに経口的に投与した(1mL)。実験の間マウスに食物および水を通常のように与えた。
【0202】
組成物:第1実験は、実施例6において説明した製剤VおよびVIを用いた。第2実験は、実施例6において説明した製剤IVを用いた。
【0203】
血中インスリン濃度:血中インスリン濃度をELISA(Human Insulin ELISA kit, Linco)によって検出した。
【0204】
処理群
1.対照群1:STZ処理なし、インスリン投与なし
2.対照群2:STZ処理なし、本発明のインスリン組成物のチューブによる経口投与
3.対照群3:STZ処理、インスリン投与なし
4.糖尿病(STZ処理)マウス:SC注射によるインスリン投与
5.糖尿病(STZ処理)マウス:インスリンをチューブによって投与
6.糖尿病(STZ処理)マウス:インスリンを、本発明のインスリン組成物を使用してチューブによって経口投与
7.糖尿病(STZ処理)マウス:チューブによって複合体キャリア(インスリンなし)投与、対照
【0205】
結果
第1実験において、糖尿病をストレプトゾトシン(STZ)によってオス成熟BALB/cマウスにおいて誘発し、その後、本発明のインスリン組成物(製剤VおよびVI)に基づくActrapid(商標)−(12IU)およびNovoRapid(商標)−(9.5IU)を投与した。両組成物は血中グルコース濃度を大きく低減した(それぞれ、図5Bおよび6)。逆に、何も含まない複合体キャリア組成体(インスリン含まない)を与えたSTZ−処理マウス、Actrapid(商標)もしくはNovoRapid(商標)インスリンを経口投与したSTZ−処理マウス、または、PBS中に25IUインスリン(BIOCON)を与えられた(チューブ)STZ−処理マウス(図7)は、血中グルコース濃度の大きな減少を示さなかった。インスリン組成物を与えられた正常マウス(STZ処理していない)は、血中グルコース濃度において大きな減少は見られなかった。逆に、インスリンを注射した正常および糖尿病マウスは、低血糖症を示し、いくつかの場合には死に至った。
【0206】
第2実験において、本発明のインスリン組成物(製剤IV)をSTZ−処理マウスにチューブ(体積1mL)で、2〜10IUの範囲の投与量で経口投与した。血中グルコース濃度における投与量に対する減少を9〜12時間観察したが、濃度は100mg/dL以下にはほとんど落ちなかった(図8A−D)。インスリン複合体キャリア組成物の投与後の血中におけるヒトインスリンの存在を、ELISAによって確認した。逆に、10IUインスリンの皮下注射は、致死に近い低血糖症を引き起こした(図8E)。2,5または10IUのインスリン複合体キャリア組成物を与えた正常マウスは、血中グルコース濃度がわずかな減少のみを示したが(図8F)、インスリンを与えたマウスは、グルコース濃度が急激に場合によっては致命的に落ちる。前述同様に、何も含まない複合体キャリア組成物(インスリンを含まない)を与えたSTZ処理マウス、インスリンを経口投与したSTZ処理マウス、または未処理のままであるSTZ処理マウスは、血中グルコース濃度の減少をはっきり示さなかった。
【0207】
他の実施形態において、14〜25gのマウスにおける、10,5または2IUのインスリン複合体キャリア組成物(製剤IV)対、同量のインスリン溶液(標準製剤)の直接的な比較によって、本発明の経口インスリン組成物で処理したマウスがインスリン注射したマウスと比較して、長時間正常のグルコース濃度を維持したことを示した。これらの観察は、本発明の複合体キャリア組成物内に投与したときインスリンの生物学的利用能の増加に影響を反映した。加えて、複合体キャリア組成物を投与したマウスは、全く低血糖を示さなかったが、注射したマウスは、重度の低血糖症を示した(それぞれ10,5および2IUに対して図8G,H,I)
【0208】
注射したインスリンと比較して、本発明の組成物を用いる経口投与したインスリンの生物学的利用能の増加は、「有効面積」を計算することによってわかることができる。「有効面積」は、規定した時間に沿って、基本濃度に対する血中グルコース濃度(BGL)における純変化の合計として規定し、以下のように計算する:
1.各時点に対するBGLの平均基準値を得る
2.各時点に対して、平均基準値から処理群(本発明の経口インスリン組成物および注射インスリン)におけるBGLを差し引く
3.すべての時点に対して工程2において得られた値を足す
【0209】
表3における値を得るために、異なる処理をした「有効面積」をその後減算または割算する。
【0210】
【表3】

【0211】
表3において示すように、注射インスリンに対する比較的低い10IU/5IUおよび10IU/2IUの比は、これらの投与量がマウスに対して飽和投与量に近いことを示す。逆に、インスリン複合体キャリア組成物に対する比較的高い比は、飽和投与量から離れていることを示す。したがって、本発明の複合体キャリア組成物は、標準的な注射したインスリン製剤と比較して、それらの治療範囲内の正確な投与量により影響を受けやすい。
【0212】
次に、本発明の経口インスリン組成物の効果を、2人のヒト対象、1人は健康および、1人は糖尿病の方で試験した。30IUのActrapid(商標)複合体キャリア組成物(製剤II)は、健康な対象において6時間のテスト時間で、105から80〜90mg/dLまで血中グルコース濃度を減少させた。この対象は、通常ではない程度の空腹を示したが、副作用を全く示さなかった。逆に、健康な対象にインスリンを注射で投与すると、低血糖を引き起こし、いくつかの場合には重症となり、副作用も同時に示すことが知られている。
【0213】
10IUの製剤Vを、未処理のとき170以上、Gluco-Rite(商標).を与えたとき130〜170のグルコース濃度を示す、I/II型の糖尿病を有する67歳以上の対象に、14日間1日3回投与した。製剤Vを摂取すると、血中グルコース濃度は平均約130まで落ちた。対象は、本発明の経口インスリン組成物を与えられている間中体調が良いと報告した。対象は、必要があれば組成物を、必要に応じ、1日3〜4回摂取し続け、その結果、副作用が全くなしにグルコース濃度を十分にコントロールできた。逆に、対象は、多くの異なる注射インスリン製剤を接種後、長年の不安および心配の深刻な感覚を有した。
【0214】
インスリン組成物の投与後、糖尿病の対象の血中におけるインスリン濃度の上昇の存在を、ELISAによって確認した。したがって、本発明の複合体キャリア組成物は、糖尿病を効果的に治療できる生物学的活性な形態において、様々な形態でインスリンを経口送達することができる。それらは糖尿病または正常な対象のいずれかにおいて、低血糖症を示すことがないという更なる利点を有する。
【0215】
実施例8:インスリン組成物の長期経口投与の毒性研究
材料および実験方法
15匹の10週齢のBalb/Cオスマウスを用いた。マウスに、毎日1mLのインスリン複合体キャリア組成物(25IU/mL)(実験群)または、PBS(チューブ対照群)をチューブを介して15日間投与した。14日目および15日目に、マウスに、インスリン複合体キャリア組成物またはPBSと一緒に、100ngのリポ多糖体(LPS)を経口投与した。陰性対照マウスに、13日間チューブによって1mLのPBSを投与し、14日目および15日目に、1mLのPBS内100ngのLPSをチューブによって投与した。陽性対照マウスに、1mLのPBS内1mgLPSを注射した。LPS投与して3時間後、マウスを犠牲にして、血液を回収し(LPS検出のため)、胃、肝臓および腎臓を組織学的分析のためにパラホルムアルデヒド(PFA)4%において固定した。
【0216】
補足および巨視的分析:マウスは、3日おきに体重を計測し、その毛の状態を毎日検出した。犠牲にした後、すべての臓器または組織を病変の存在の確認のために調査した。
【0217】
内部臓器収集および固定:15日目に、マウスを犠牲にして、それらの胃、腎臓および肝臓を腹腔から収集し、重量を測定し、10%のホルマリン溶液において固定した。
【0218】
血液収集および血漿調製:血液をマウスの心臓からEDTAを含むチューブ内に収集した。血漿を血液から遠心分離:最初は15分間3000×gmax、その後、15分間16000×gmaxによって分離した。浮遊物を除去し、新しいチューブに入れ、−20℃で保管した。
【0219】
マウス血清におけるLPSの検出:マウス血清におけるLPCをHPLCによって検出した。上述の群から15日目に取った血清を、0.1MのEDTAを加えてHPLC分析で調製した。
【0220】
結果
本発明の経口インスリン組成物の長期投与の毒性を測定した。病変は動物の行動において観察されなかった。それらの毛は、滑らかで、きれいで明るい正常状態であった。体重減少は全く観察されず、マウスは正常に大きくなった。
【0221】
巨視的分析
内部臓器の巨視的分析は、いずれの病変の証拠を全く観察しかった。すべてのマウスの臓器は、正常に発達し、正常の大きさ、形、外見(明るさおよび滑らかさ)、体重であり、正常の色であり、また、正常の位置にあった。巨視的分析は、すべての群におけるマウスの組織における病変の証拠を全く示さなかった(肝臓−図10A;腎臓−図10B;十二指腸−図10C)。
【0222】
処理および未処理のマウスからの血清も、LPSの存在で試験した。LPSは、本発明の経口インスリン組成物+LPSを与えたマウスの血清において存在せず(図11、曲線C)、1mLのPBS+LPSを与えたマウスの血清においても見られず(図11、曲線D)、複合体キャリア組成物またはチューブのいずれもマウスの胃腸内面の健全性を失う。1mLのPBSにおける1mgのLPSを注射したマウスからの血清は、陽性対照として機能し(図11、曲線A)、未処理のマウスは陰性対照として機能する(図11、曲線B)。
【0223】
実施例9:赤血球生成促進因子複合体キャリア組成物の調製
赤血球生成促進因子(EPO)複合体キャリア組成物を以下の成分を用いて生成した:
EPREX(商標)エポエチンα、1mL
オリーブオイル、7mL
Ambrotose(商標)、0.6g
シリカ、0.1g
oblepicha油、8mL
アマニ油
【0224】
その組成物を上述の実施例において説明したように調製した。この組成物の体積をアマニ油で20mLとした。最終EPO濃度は150IU/mLであった。
【0225】
実施例10:赤血球生成促進因子複合体キャリア組成物の生体内放出特性
実施例9からのEPO複合体キャリア組成物の生体内放出特性をラットにおいて規定した。相対網状赤血球数を、200IUのEPOを含む複合体組成物を経口投与した後に測定した。EPO組成物を実験の1日目および4日目の2回投与した;血液サンプルを10日目に得た(2投与;5匹のラット)。対照として、EPOを含まない複合体キャリアを投与した(5匹のラット)。EPO複合体キャリアの投与は、網状赤血球製剤を強く刺激した(図12)。
【0226】
実施例11:赤血球生成促進因子複合体キャリア組成物を投与した正常および貧血ラットにおけるEPO活性
オスSDラットを、腎臓の5/6を除去する腎摘出手術し、腎臓障害モデルとして機能し;対照ラットをそのままとした。実施例9からの1mLのEPO複合体キャリア組成物を、ラットにチューブによって経口投与し、全部で150IUのEPOを投与した。EPO濃度をELISA(Human EPO Immunoassay by Quantikine(商標) IVD)によって、EPO投与後1〜24時間の様々な時点で測定した。EPOは、正常および貧血ラットの両方によって効果的に吸収された(図13)。
【0227】
他の実験において、150IUのEPOを、1日目および5日目で複合体キャリア組成物をおいて経口投与、または、1日目および5日目に皮下投与した。網状赤血球および血中ヘモグロビンの数を、EPO投与後2〜5週間の間に異なる時間に行った。EPO複合体キャリア組成物は、注射EPOと同じ効果であった。代表的な時点からのデータを表4において示す。
【0228】
【表4】

【0229】
実施例12:成長ホルモン(GH)複合体キャリア組成物の調製
成長ホルモン(GH)複合体キャリア組成物を、以下の成分を用いて生成した:
【0230】
【表5】

【0231】
Genotropin(商標)成長ホルモンをPharmacia and Upjohnから、凍結乾燥粉末含有ソマトロピンの形で得て[rDNA源]、それは組み換え型DNA起源のポリペプチドホルモンである。それは、191アミノ酸残渣および22124ダルトンの分子量を有する。生成物のアミノ酸配列は、下垂体起源の成長ホルモン(ソマトロピン)と一致する。
【0232】
実施例13:中時間型放出TGF−β複合体キャリア組成物
以下の製剤を、中時間型TGF−β放出のために設計した:30mLのゴマ油および120mLのクロウメモドキ(oblepicha)油をビーカー内に入れ、3分間60rpmで磁性撹拌子を用いて撹拌した。20グラム(g)のTGF−β(53kD)を油混合物内に入れ20rpmで4分間、その後60rpmで7分間撹拌した。18gのmaizeからのアミロペクチン(Fluka catalog number 22720)を分析計を用いて重長を測定し、3mgの疎水性シリカヒュームドR972(Degussa Inc)を加え、ボルテックスによって900rpmで5分間混合した。アミロペクチンおよびシリカの結合を、水を充填したビーカーの表面においた後、混合物の浮力によって規定した。アミロペクチン/シリカ混合物を、油−TGF−β溶液に加え、25分間40rpmで撹拌した。75mLのオリーブオイルを加え、混合物を50rpmで3分間撹拌した。体積をゴマ油で300mLとし、混合物を50rpmで20分間撹拌した。生成物を冷蔵庫で保管した(3〜8℃)。
【0233】
いくつかの実験において、その生成物は、Shionogi and Company, Ltd, Japanから購入可能なゼラチン腸溶性カプセル等のゼラチン腸溶性カプセル内に入れる。
【0234】
実施例14:Copaxone(商標)複合体キャリア組成物の調製
Copaxone(商標)組成物(Copaxone−製剤I)を、以下の成分を用いて生成した:
−Copaxone粉末、5g
−ホホバ油40mL
−オリーブオイル、50mL
−α−グルカン、2g
−β−グルカン、2g
−アミロペクチン7g
−シリカR972、2g
−クロウメモドキ油、80mL
−ゴマ油、最大200mL
1.αおよびβ−グルカンをアミロペクチンと10分間混合
2.シリカR972を加え、15分間強く混合
3.混合物の質を湿潤によって検査(粉は湿らすことなく水表面に浮くはずである)
4.クロウメモドキ(oblepicha)油およびホホバ油を5分間混合
5.Copaxone粉末をクロウメモドキおよびホホバ油混合物に加える。15分間円運動を用いて15分間混合
6.工程2からの混合物を工程5からのCopaxone混合物に加え、25分間円運動によっておだやかに混合
7.オリーブオイルおよびゴマ油を加え、磁性撹拌子を用いて40分間撹拌
【0235】
次に、付加的なCopaxone(商標)組成物(Copaxone−製剤II)を、以下の成分を用いて生成した:
−Copaxone(商標)粉末、5g
−クロウメモドキ油30mL
−オリーブオイル、50mL
−β−グルカン、4g
−アミロペクチン7g
−シリカR972、2g
−蜜ろう、170g
【0236】
手順:
1.β−グルカンをアミロペクチンと10分間混合
2.シリカR972を加え、15分間強く混合
3.混合物の質を湿潤によって検査(粉は湿らすことなく水表面に浮くはずである)
4.クロウメモドキ(oblepicha)油およびオリーブオイルを5分間混合
5.Copaxone(商標)粉末をクロウメモドキおよびオリーブオイル混合物に加える。15分間円運動を用いて混合
6.工程2からの混合物を工程5からのCopaxone混合物に加え、25分間円運動によっておだやかに混合
7.蜜ろうを加熱して、それを粉砕し、工程6の油縣濁液に加える。混合および冷却
【0237】
実施例15:アポリタンパク質A−1様ペプチド複合体キャリア組成物の調製
アポリタンパク質A−1様ペプチド複合体キャリア組成物を、以下の成分を用いて生成する:
−APO A−1様ペプチド粉末、11g
−クロウメモドキ油50mL
−オリーブオイル、50mL
−β−グルカン、3g
−キチン、2g
−アミロペクチン8g
−シリカR972、4.5g
−蜜ろう、140g
【0238】
手順:
1.β−グルカンをキチンおよびアミロペクチンと10分間混合
2.シリカR972を加え、15分間強く混合
3.混合物の質を湿潤によって検査(粉は湿らすことなく水表面に浮くはずである)
4.クロウメモドキ(oblepicha)油およびオリーブオイルを5分間混合
5.アポリタンパク質A−1粉末をクロウメモドキおよびオリーブオイル混合物に加える。25分間円運動を用いておだやかに混合
6.工程2からの混合物を工程5からのアポリタンパク質A−1混合物に加え、30分間円運動によっておだやかに混合
7.蜜ろうを加熱して、それを粉砕し、工程6の油縣濁液に加える。混合および冷却
【0239】
実施例16:Rituxan(登録商標)(治療的モノクローナル抗体)複合体キャリア組成物の調製
Rituxan(登録商標)(Mab Thera)を以下の成分を用いて生成する:
−凍結乾燥粉末Rituxan粉末、7g
−クロウメモドキ油40mL
−オリーブオイル、40mL
−キチン、3g
−アミロペクチン8g
−シリカR972、3.2g
−蜜ろう、140g
【0240】
手順:
1.キチンおよびアミロペクチンを10分間混合
2.シリカR972を加え、15分間強く混合
3.混合物の質を湿潤によって検査(粉は湿らすことなく水表面に浮くはずである)
4.クロウメモドキ(oblepicha)油およびオリーブオイルを5分間混合
5.Rituxan(登録商標)粉末をクロウメモドキおよびオリーブオイル混合物に加える。25分間円運動を用いておだやかに15分間混合
6.工程2からの混合物を工程5からのRituxan混合物に加え、25分間円運動によっておだやかに混合
7.蜜ろうを加熱して、それを粉砕し、工程6の油縣濁液に加える。混合および冷却
【0241】
上述の具体的な実施形態は、本発明の一般的な性質を完全に示し、他は、現在の知識を取り入れることで、適度な実験をすることなく、汎用的な概念から離れることなく、このような具体的な実施形態を様々な応用に容易に修正および/または適用することができ、したがって、このような適用および修正は、開示した実施形態の意味および均等物の範囲内で理解すべきでありそれを目的とする。本願明細書で用いた用語または専門用語は、説明の目的とするものであり限定しないことを理解すべきである。様々な開示した機能を実行するための方法、材料、および工程は、本発明から離れることなく様々な代わりの形態をとることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油内に浮遊した粒子状物質を有する油を含む経口で用いる医薬組成物において、前記、前記粒子状物質は、
a.疎水性表面を有するシリカナノ粒子と親和性非共有結合した多糖であって、前記シリカナノ粒子の大きさは1〜100ナノメートルである多糖と、
b.前記シリカナノ粒子および多糖と非共有結合し、治療活性を有するタンパク質またはペプチドと、
を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記多糖は分岐多糖を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物は無水物である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記シリカナノ粒子の前記大きさが5〜30ナノメートルの間である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記シリカナノ粒子の前記疎水性表面は炭化水素部分を有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記分岐多糖は、アミロペクチン、でんぷんおよびグリコーゲンから成る群から選択される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
セルロース、キチン、αグルカン、βグルカンおよびそれらの誘導体から成る群から選択される直鎖多糖を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
エラスチン、コラーゲン、ケラチン、およびフィブリノゲンから成る群から選択される構造タンパク質をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
エラスチン、コラーゲン、ケラチン、およびフィブリノゲンから成る群から選択される構造タンパク質をさらに含む請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記シリカナノ粒子は600℃以上の融解温度を有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記分岐多糖は400℃以下の融解温度を有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
アルギニン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸およびヒスチジンから成る群から選択されるアミノ酸をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記油は油の混合物を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記油は天然植物油およびその合成類似体から選択される油の混合物を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記油は抗酸化物質をさらに含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記油は少なくとも5〜10℃の融解温度を有する油を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項17に記載の医薬組成物は付加的な油成分をさらに含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の医薬組成物はワックスをさらに含む医薬組成物。
【請求項19】
前記タンパク質またはペプチドは赤血球生成促進因子である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記タンパク質またはペプチドは下垂体成長ホルモンである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記タンパク質またはペプチドは酢酸ガラティラメルである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記タンパク質またはペプチドはアポリタンパク質A−1様ペプチドである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記タンパク質またはペプチドはタンパク質CD20に対するモノクローナル抗体である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記タンパク質またはペプチドは、カルシトニン、腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γから成る群から選択される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記粒子状物質の重量は、前記医薬組成物の体積の25%以下である請求項1〜26のうちいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項26】
治療活性を有する生物学的活性タンパク質またはペプチドを、必要とする対象に投与する方法であって、前記対象に請求項1に記載の医薬組成物を経口投与して、対象にタンパク質またはペプチドを投与することを含む方法。
【請求項27】
前記タンパク質またはペプチドは酵素である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質またはペプチドはペプチドホルモンである請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記タンパク質またはペプチドは抗体である請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記タンパク質またはペプチドは赤血球生成促進因子である請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記タンパク質またはペプチドは下垂体成長ホルモンである請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質またはペプチドは酢酸ガラティラメルである請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質またはペプチドはアポリタンパク質A−1様ペプチドである請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質またはペプチドはタンパク質CD20に対するモノクローナル抗体である請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質またはペプチドは、カルシトニン、腫瘍壊死因子(TNF)タンパク質、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γから成る群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項36】
経口送達するために製剤した医薬組成物の製造方法において、前記方法は、
a.疎水性表面を有するシリカナノ粒子を乾燥混合する工程であって、前記シリカナノ粒子の大きさは多糖を有して1〜100ナノメートルであり、前記シリカナノ粒子は前記多糖と親和性非共有結合を形成する工程と、
b.治療活性を有するタンパク質またはペプチドを油と混合する工程と、
c.前記シリカナノ粒子および多糖を前記油内に入れて混合する工程であって、前記タンパク質またはペプチドは、前記シリカナノ粒子および前記多糖と親和性非共有結合を形成し、前記シリカナノ粒子、前記多糖、および前記生物学的活性タンパク質またはペプチドは、前記油内で分散する工程と、
を含む方法。
【請求項37】
前記多糖は分岐多糖を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法は直鎖多糖をさらに含む方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法は、構造タンパク質を前記シリカナノ粒子および多糖の混合物に加える工程をさらに含む方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法は、構造タンパク質を前記シリカナノ粒子および多糖の混合物に加える工程をさらに含む方法。
【請求項41】
請求項36に記載の方法は、前記油を加えた後に付加的な油成分を加える工程をさらに含む方法。
【請求項42】
請求項36に記載の方法は、前記油を加えた後にワックスを加える工程をさらに含む方法。
【請求項43】
前記タンパク質またはペプチドは、工程(b)の前に凍結乾燥した形態である請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記タンパク質またはペプチドは、工程(b)の前に水溶液内で溶解する請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−509287(P2011−509287A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541885(P2010−541885)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000036
【国際公開番号】WO2009/087633
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510188942)
【氏名又は名称原語表記】OSHADI DRUG ADMINISTRATION LTD.
【Fターム(参考)】