タンパク質キナーゼ阻害剤としてのN,N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物
本発明は、優れた医薬的性質、それらの製造方法、それらの中間体およびそれらからなる医薬品組成物、それらを含む試剤、および治療として、それらを用いる方法を有する新規タンパク質キナーゼ阻害剤に関連する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた薬学的性質を有する新規タンパク質キナーゼ阻害剤、それらの製造方法、それらの中間体およびそれらからなる医薬品組成、それらを含む試薬、および治療剤、特にCNS疾患における治療剤としてのそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ類は、タンパク基質に局在する水酸基にリン酸基の転移を触媒する酵素の大分類を構成する。タンパク質キナーゼの異常制御は、無秩序な細胞分裂、刺激に対する異常な細胞応答、細胞分化、および骨疾患の変性、代謝性疾患、炎症疾患、感染症、および中枢神経系疾患に大きく関連していると一般的に認識されている。生理学および病気におけるタンパク質キナーゼの機能についてのこれまでに蓄積している理解の背景を基に、かかる酵素の阻害はより原因に近く、これにより、より効果的な治療を導く期待がある。
【0003】
受容体シグナル伝達に関する障害において、チロシンキナーゼは、良く確立された医薬的標的、特に体細胞変異が、通常厳密に制御された受容体キナーゼドメインにおける常時活動の誘導のために、しばしば発癌を引き起こすような種々の腫瘍型における標的である。この分類のキナーゼ類は、abl、kit、met、src、EGFR、ErbB受容体およびFGFRの種々の同族体、Fak、fes、Fyn、IGF−1R、Ins−R、Jak、Lck、Lyn、PDGFR、trkなどが例示される。
【0004】
セリン/スレオニン−キナーゼは、細胞内制御にしばしば関与する。通常、腫瘍中のraf−キナーゼの顕著な例外を有する突然変異による疾病とは関連しないが、異常シグナル伝達に関連する過剰反応は、それらを興味が持たれる医薬的標的でもある。上記の分類は、細胞周期の中心的制御点としての種々のCDKファミリー、およびシグナル伝達カスケード類、特にrafキナーゼ、MLK類、MEKK類、MEK類、ERK類、JNK、SAPK2(p38)およびGSK−3等の拡張されたMAP−キナーゼファミリーが例示される。上記のすべては、種々のセリン/スレオニン−プロリン配列モチーフの特異性のため、いわゆる「プロリン配向性」キナーゼのスーパーファミリーに属する。対照的に、PKA、PKC、CaMK等の非プロリン配向性キナーゼは、膜およびイオン電流活性に関与し制御するセカンドメッセンジャーを変換する。
【0005】
上記キナーゼの機能は、癌生物学(例えば、ras突然変異に関連するCDK類またはMAP−キナーゼ経路)、炎症(例えば、TNFシグナル伝達のp38)、もしくは代謝性疾患(グルコース供給能の制御におけるGSK3)において、現在よく理解されているが、CNS疾患におけるそれの役割はあまり知られていない。しかしながら、それらが記憶形成、酸素ラジカルの慢性被曝による神経変性、およびアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、脳卒中、および頭外傷における細胞骨格障害について重要な役割があることはさらに理解されている。
【0006】
異常なタンパク質リン酸化は、微小管関連タンパクのタウ(タウオパシー)に関する病理学分野で最も多く報告されており、またタウは、ADの不変特徴、および進行性痴呆症の臨床上の症状の進行にて決定的に重要である。ERK2は、実質的に全17ある有効なタウのセリン/スレオニン−プロリン部位をリン酸化する特有の能力があるため、タウ(PHF−タウ)の病理学的な過剰リン酸化を行うキナーゼの第一候補である。(参考文献:Roder,H.M.,Ingram,V.M., J. Neurosci. 1991, 11, 3325-3343; Drewes,G.et al., EMBO J., 1992, 11, 2131-2138; Roder,H.M.et al., BBRC, 1993, 193, 639-647)。ERK2の阻害は、したがってタウの過剰リン酸化(WO 00/01699)、その機能的後遺症、すなわち、微小管の不安定化、輸送障害、およびPHF形成における過剰リン酸化タウの凝集(神経繊維のもつれ)を防ぎ得る。
【0007】
キナーゼ類の阻害剤は、タンパク質キナーゼが含まれる代謝過程で引き起こされる障害の新規治療法を提供する。強力かつ選択的なキナーゼ阻害剤のいくつかは、天然資源から、および合成取り組みの結果としてすでに見出されている。先行技術として知られるタンパク質キナーゼ阻害剤は、非常に多様な構造に及んでおり、例えば、ピリミジン化合物、インドリノン化合物、ピリジニルイミダゾール化合物、アミノプリン化合物、フラボノイド化合物、およびグリコシル化されたインドロカルバゾール化合物等がある。これらのタンパク質キナーゼ阻害剤は、例えば、Adams, J.L. and Lee, D., Curr. Opin. Drug Disc. Dev., 1999, 2, 96-109, Stover, D.R. et al., Curr. Opin. Drug Disc. Dev., 1999, 2, 274-285, Dumas, J., Exp. Opin. Ther. Pat., 2000, 11, 405-429, and Davies, S.P. et al., Biochem. J., 2000, 351, 95-105. 等に記載されている。
【0008】
グリコシル化されたインドロカルバゾール系キナーゼ阻害剤群は、重要な調査対象である。この分野での先行技術のほとんどは、スタウロスポリンおよびK252aで例示される天然物類から得られている。これらの天然物前駆体から誘導される多様な化合物の使用は、種々の癌型およびCNS障害の治療、例えば、WO 93/08809, WO 94/02488, WO 94/27982, WO 94/04541, WO 95/07911, EP 0 508 792. などで特許請求されている。これらに分類される化合物のいくつかは、種々の癌型の臨床評価がなされている。ある化合物は、PDの臨床第三相試験中である。しかしながら、先に開示された化合物群の構造多様性は、天然物の出発原料からの単に半合成的方法で課される制約のため限定される。
【0009】
より多様性のあるものには、米国特許第6013646号で開示されている合成誘導可能な炭素環誘導体がある。しかしながら、上記のタイプの化合物と一般的に関連する医薬的な問題の多くには、充分取り組んでいない。
【0010】
本発明の一つの目的は、タンパク質キナーゼ阻害活性を有する化合物を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、特に、該標的タンパク質キナーゼ類に対して、強力かつ選択性を共に最適化する必要があるため、広範な構造多様性を獲得するために充分合成可能な化合物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、血液脳関門(BBB)を通過する特別な能力によって、先行技術化合物とは区別される化合物を提供することであり、その能力は、特にCNS適応にふさわしいものにさせる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、塩を形成するのに適し、溶解性を改良し、および容易な投与手段を提供するのに適した化合物を提供することである。塩形成は、エナンチオ的に純粋な酸を用いて塩を形成後に、キラル分離をするのに簡便な態様でも有り得る。
【0014】
(発明の要約)
本発明は、N、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。本発明はまた、タンパク質キナーゼの活性を阻害するN、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。本発明の更なる態様として、インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中および他の神経外傷治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病の化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常機能により引き起こされる病気治療のための、ならびにアルツハイマー病等の神経変性疾患の治療のためのN、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
以下の定義は、発明を説明するのに有効であり、反復説明の必要性を回避できる。
【0016】
「アルコキシ」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、芳香族または非芳香族である、元のアルコールもしくはフェノールの水酸基から単一の水素原子を除いて生じるアルコキシ基を意味する。
【0017】
「アルキル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルカンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0018】
「アルキレン」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルカンの末端二炭素原子から水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0019】
「アルケニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルケンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0020】
「アルキニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルキンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0021】
「アリール」は、無置換および置換の、元の芳香環から単一の水素原子を除いて生じる芳香族基を意味する。
【0022】
「炭素環」は5員環で、無置換または置換された環状であり、元の環状化合物から単一の水素原子を除いて生じる非芳香族炭化水素基を意味し、該環状化合物は、適宜1もしくは2の炭素−炭素二重結合を含む。
【0023】
「修飾」は、例えば阻害活性を増強する、または特定のタンパク質キナーゼに対する特異性を向上させるためのような特別な目的のために、特に有効である置換形式を意味する。
【0024】
「修飾する」は、所望の性質を有する化合物を得るための置換形式の変化させることを意味する。限定されない修飾する例としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エステル基またはアミノ基等のアシル化、酸化、還元(例えば、還元的アミノ化)、およびアルキル化などがある。
【0025】
「ヘテロアリール」は、1もしくはそれ以上の環内原子が炭素でない、元の芳香環から単一の水素原子を除いて生じる無置換および置換された基を意味する。
【0026】
「阻害剤」は、十分量加えた場合、前記の酵素によって触媒され得る少なくとも一反応において、所定の酵素の触媒活性を減少させる事ができる物質に関する。
【0027】
「低級アルキル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数1−6の炭素原子を含むアルカンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0028】
「低級アルケニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数2−6の炭素原子を含むアルケンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0029】
「低級アルキニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数2−6の炭素原子を含むアルキンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0030】
本明細書で用いる「置換された」とは、1もしくはそれ以上の水素原子が、1もしくはそれ以上の非水素原子、またはこれに限らないが、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミド、カルボキシル、アルキルカルボキシレート、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロ環、環状ヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、アシル、オキソ、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アラルキル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、およびシアノを含む官能基または官能部位に置き換えられる分子もしくは分子残基をいう。
【0031】
発明は、限定されないより好ましい発明の態様、ならびに添付している図で図解される実施例に関して、より詳細に説明される。
【0032】
一般式Iの分子が、タンパク質キナーゼのかなり強力な阻害剤である事を見出した。驚くべき事に、それらの物理化学的性質およびBBB通過は、先行技術化合物(例えば、WO 00/01699 に記載)に比べ充分改良されている。
【0033】
本発明は、一般式(I):
【化1】
[式中、
R1は、NR13R14であり、あるいはR2と一緒になって適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、スピロ−ヒダントイル)を形成され得るか、またはR3と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、オキサゾリン−2−オン−4,5−ジイル)を形成され得;
R2は、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、H、OR13、OCOR13、OCONHR13、およびOCONR13R14からなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールもしくはヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、CONR13R14、CSR13、CSSR13、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、N3、OR13、OCOR13、SR13、SO2R13、およびSiR15R16R17からなる群から選択され;ここで、R15、R16およびR17は、同一または異なって、独立してH、低級アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
R8およびR9は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R10およびR11は、カルボニルと異なる場合、R8およびR9は一緒になって、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子で置換され;
R10およびR11は、単独で用いられる場合、両方がH、またはその一方がHで他方がOH、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R8およびR9はカルボニルと異なる場合、R10およびR11は一緒になって、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R12は、H、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたベンジル、アリール、ヘテロアリール、COR13、COOR13、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は同一または異なって、独立してH、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたアシル、アリール、適宜置換されたベンジルおよびヘテロアリール基からなる群から選択され;
もしくは一緒になって、N3、または適宜飽和または不飽和N−ヘテロ環を形成され得る(例えば、モルホリノ、ピペリジニル、または例えば、下式の群の適宜置換されたトリアゾリルであり;
【化2】
例えば、下式の群の適宜置換されたテトラゾリルであり;
【化3】
ここで、R18およびR19は同一または異なって、各々独立して、H、低級アルキル、COR13、COOR13、CONHR13およびCONR13R14からなる群から選択される)]
の構造を有する化合物類に関する。
【0034】
本発明における化合物は、1またはそれ以上の不斉中心を含み得ること、および光学活性体またはラセミ体で単離され得ることは、当業者によって理解される。それ故、構造の全キラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体および全幾何異性体は発明の範囲に包含される。本発明の範囲に分類される化合物は、上記化合物の医薬的に許容される塩も含む。
【0035】
発明のより好ましい態様は、一般式(IA):
【化4】
[式中、R1からR12は、一般式(I)と同義である]
の構造を有する化合物類に関する。
【0036】
本発明の式(I)および(IA)の化合物は、本明細書では、N、N−架橋され、アミノ置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物と命名しており、それらの特徴が、表2の結果で記載されているような、多様な治療に関連するキナーゼ標的に対する選択性および効力に達するための構造改良によって調節でき得るので、キナーゼ阻害剤として非常に有効である。これらの化合物は、種々の障害において、タンパク質キナーゼ活性の特異的および選択的調節のための治療剤の有効な源となることもまた見出している。より明確には、それらは、アルツハイマー病を含む神経変性疾患治療に有用な正常でないERK2活性の強力な阻害剤である。
【0037】
より好ましいタンパク質キナーゼ阻害剤である、式IおよびIA:
[式中
R1は、NR13R14であり;
R2は、H、CN、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、CONHR13、CONR13R14、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、およびOR13からなる群から選択され;
R8およびR9は、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、もしくは一緒になって、それらはカルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、カルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11は、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニルと異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12は、H、置換された低級アルキル、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は、同一または異なって、独立してHおよび置換された低級アルキルからなる群から選択される]
の化合物である。
【0038】
より好ましい化合物は、アルツハイマー病を含む神経変性疾患に対して、改善されたインビボ活性を示す一般式IおよびIA:
[式中
R1は、NHR13であり、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R2は、CN、COOR13およびCONHR13からなる群から選択され;ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R3は、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、NHR13、およびOR13からなる群から選択され;ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R8およびR9は、両方がH、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11は、両方がH、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが、但し、R8およびR9が、カルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になって、カルボニル基の酸素原子であり;
R12はHである]
である。
【0039】
さらに、好ましい態様において、本発明は、一般式(IB):
【化5】
[式中、R1からR7およびR12は、一般式(I)および(IA)と同義である]
の構造を有する化合物類に関する。
【0040】
さらに本発明は、1またはそれ以上のタンパク質キナーゼ活性を阻害するための本発明の化合物の使用にも関する。好ましくは、タンパク質キナーゼは、細胞外シグナル制御キナーゼ2、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼC、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βからなる群から選択される。さらなる態様において、本発明は、インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中、および他の神経外傷の治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病治療のための化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常によって引き起こされる疾病治療のための、ならびに例えばアルツハイマー病のような神経変性疾患治療のための本発明化合物の使用に関する。
【0041】
該治療は、治療上の有効量の少なくとも一つの本発明の化合物および/またはそれらの医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤との混合に用いて行われる。
【0042】
「治療上の有効量」は、単独もしくは別の薬物投与と併用して、所望の反応もしくは生理的効果を生じさせる量に関する。特定の病気もしくは症状の治療に関して、該所望の反応は、遅延からなる病気の経路の阻害、特に病気の進行の停止に関する。治療上の有効量は、特定化合物の活性および他の要因、例えば治療がされる患者の症状、病気の重傷度、年齢、生理的状態、患者の身長および体重、治療期間および投与様式等の他要因に依存して選択されうる。
【0043】
医薬的に許容な塩は、これに限らないが、アミノ基もしくはカルボキシル基で形成されるそれらの塩を含む。酸付加による塩形成に適した酸は、HCl、HBr、H2SO4、HNO3、H3PO4等の無機酸、または酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびサリチル酸等の有機酸である。カルボキシル基と塩を形成し得る塩基化合物は、これに限らないが、NaOH、KOH、NH3、Ca(OH)2、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエチルアミン、ヒスチジン、およびプロカインを含む。
【0044】
用語「医薬的に許容な賦形剤」は、患者へ投与の際に刺激を全くまたは、ほんの僅かしか引き起こさず、本発明化合物の活性を減じない、もしくは本発明化合物と干渉しない化合物に関する。
【0045】
本発明の少なくとも一つの化合物および/またはそれらの医薬的に許容な塩を医薬的に許容な賦形剤と混合してなる医薬組成物は、種々の様式で患者に投与され得る。例えば、経口投与、口腔投与、舌下投与、局所投与(topic)、経腸投与、鼻腔投与、眼球投与、局所性投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および直腸投与等を用いる。医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、コーティング錠、点滴、坐剤、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ剤、噴霧剤、カプセル剤(好ましくは、ソフトもしくはハードゼラチンカプセル)、粒剤、もしくは粉剤の形体であり得る。
【0046】
(製造法)
本発明の化合物は、当業者に良く知られる方法、および以下に記載する方法、あるいは当業者に良く知られる方法の変化によって製造され得る。本発明と関連して開示される全過程は、ミリグラムから数キログラムの商工業スケールまで、あらゆるスケールに適用される。
【0047】
本発明化合物に存在する官能基は、合成経路の中で保護基を含み得る。例えば、式Iの炭素環上の水酸基は、t−ブチルジメチルシリル基もしくはトリメチルシリル基等の保護基で置換され得る。また、式Iの炭素環上におけるアミノ基は、ベンジルオキシカルボニル基もしくはt−ブトキシカルボニル基等の保護基に置換され得る。保護基は、上述のものを含み、但しこれに限らないが、上記の保護基が合成過程にさらされる化学反応条件において、置換基を不活性化するために化合物内に存在するが、当業者に公知の方法により、いずれかの所定の合成段階において、置換基から選択的に除去もし得る。本発明に係る好ましい保護基は、上記の保護基を含むが、限定されない。他の好ましい保護基は、Greene, T.W. and Wuts, P.G.M., Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., Wiley and Sons, 1999.中で見出し得る。
【0048】
図1は、式Ia−hを含む式Iの化合物の構造を示し、それらの合成は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として以下詳細に記述する。
【0049】
例えば、図1に示された化合物は、図2から図19に記載された鍵中間体および合成戦略を用いて製造され得る。XおよびZは、より高度な官能基化による、さらなる修飾を意味する。
【0050】
図2は、化式Iの合成に用いられた、シクロペンテン中間体(II)の合成を示す。
【0051】
化合物(II)は、これに限らないが、当業者に公知の実験手順、例えばこれに限らないが、クロロホルム溶媒中、−70℃で1時間の反応を用いて、市販品として入手可能なシクロペンタジエン(III)と臭素の1,4−付加を含む方法で製造され得る。
【化6】
【0052】
図3は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、ビス−ハロマレイミド中間体(IVa,b)の合成を示す。
【0053】
市販品として入手可能なビス−クロロマレイン酸無水物(V)を主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当な1級アミン(VI)と作用させることにより、式(IVa)に示す対応するビス−クロロ化合物を得る。(図3、経路A)市販品として入手可能な2,3−ジブロモマレイン酸(VII)および上記の1級アミンを当業者に公知のカップリング剤存在下用いると、式(IVb)の対応するビス−ブロモ化合物が得られる。(図3、経路B)
【化7】
【0054】
図4は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−保護された対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa)の合成を示す。N−保護されたビス−ハロマレイミド体(IVa、b)およびインドール体(IX)は、化合物(VIIIa)へ導く特定の合成戦略における中間体である。
【0055】
化合物(IVa、b)は、これに限らないが、エチルマグネシウムブロミドをトルエン/THF混合溶媒中、窒素雰囲気下、4時間還流する様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩の様な活性化されたインドール(IX)誘導体を2当量より僅かに多く用いて縮合し、N−保護された対称ビスインドリルマレイミド体(Xa)を与え得る。化合物(Xa)は、これらに限らないが、臭素および塩化スルフリル、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、ならびにヨウ素元素を含むモノハロゲン化条件および試薬を用いて、選択的にモノハロゲン化され、モノ−2−ハロ化N−保護されたビスインドリルマレイミド体(XIa−c)を与え得る。化合物(XIa−c)は、これに限らないが、ジイソプロピルエチルアミン存在下、酢酸エチル中、還流4時間でハロゲンランプを用いる光照射の様な実験条件を用いて環化させ、鍵となるN−保護された対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa)を与え得る。
【0056】
図4で示した合成戦略の改良は、図5で報告され、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵であるN−保護された非対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIb)へと導く。そのN−保護されたビス−ハロマレイミド体(IVa、b)およびインドール体(IX)は、化合物(VIIIb)へと導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0057】
化合物(IVa、b)は、これに限らないが、窒素雰囲気下、トルエン溶媒中でエチルマグネシウムブロミドを含む様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩などの活性化されたインドール誘導体(IX)を僅かに1当量より多く用いて縮合し、N−保護されたモノ−ハロ化モノインドリルマレイミド体(XIIa、b)を与え得る。化合物(XIIa、b)は、これに限らないが、窒素雰囲気下、トルエンもしくはTHF溶媒中でエチルマグネシウムブロミドを含む様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩の様な活性化された別のインドール誘導体(IX)を僅かに1当量より多く用いて縮合させ、N−保護された非対称ビスインドリルマレイミド体(Xb)を与え得る。化合物(Xb)は、これらに限らないが、臭素および塩化スルフリル、N−臭化コハク酸イミド、N−塩化コハク酸イミドならびにヨウ素元素などのモノハロゲン化条件および試薬を用い、選択的にモノハロゲン化させ、モノ−2−ハロ化窒素保護されたビスインドリルマレイミド体(XId−f)を与え得る。化合物(XId−f)は、これに限らないが、DIPEA存在下、酢酸エチル溶媒中、4時間還流条件で、ハロゲンランプを用いる光照射の様な実験条件を用いて環化させ、鍵である窒素保護された非対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIb)を与え得る。
【0058】
図6は、特に、R8、R9およびR10、R11の群中の一つだけがカルボニル基の場合、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵であるN−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物(XIIIa、b)の合成を示す。
【0059】
N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)は、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、水素化リチウムアルミニウムの様な反応条件を用いて還元され、ヒドロキシラクタム体(XIVa、b)を与え得る。化合物(XIVa、b)は、これに限らないが、フッ化アンモニウム存在下、トリフルオロ酢酸中で、トリエチルシランを含む様な実験条件を用いて脱酸素化され、鍵であるN−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物(XIIIa、b)を与え得る。
【0060】
図7は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−イミド保護され、N,N−架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)および(XVIa、b)の合成を示す。N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)およびシス−1,4−ジブロモシクロペンテン(II)は、化合物(XVa、bおよびXVIa、b)へ導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0061】
N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)は、これに限らないが、水素化ナトリウムをTHF中、0℃で2時間の様な実験条件を用いて、化合物(II)でN,N−ジアルキル化され、鍵であるアルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)を与え得る。化合物(XVa、b)は、これに限らないが、ボラン/テトラヒドロフラン錯体をTHF中、室温で16時間等の実験条件を用いてヒドロキシル化され、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIIa、b)を与え得る。化合物(XVIIa、b)は、これに限らないが、ピリジニウムクロロクロメートを1,2−ジクロロエタン中、室温で4時間の様な実験条件を用いて酸化され、鍵であるケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)を与え得る。
【0062】
図8は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)からの化合物(Ia)の合成のための詳細な経路を示す。
【0063】
ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)と、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体、もしくは経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)との縮合は、これに限らないが、ナトリウムシアノボロヒドリドをテトラヒドロフラン中、室温で4時間の様な還元的アミノ化条件を用いて行った。R13およびR14の性質によるアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびに例えばこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および2度目の還元的アミノ化反応を用いて可能であり、シス−窒素置換された架橋インドロカルバゾールイミド体(Ia)を与え得る。
【0064】
図9は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)からの化合物(Ib)の合成のための詳細な経路を示す。
【0065】
ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)と、主に市販品として入手可能、もしくは当業者に公知の前駆体または経路によって製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)との反応は、これに限らないが、トリメチルシリルシアニドおよびシアン化カリウムの様な適当なニトリル源存在下、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、チタニウムイソプロポキシドを窒素雰囲気下、室温で18時間等のストレッカー反応条件を用いて行った。R13およびR14の性質によるアミノ基のさらなる修飾は、当業者に良く知られる実験手順、ならびに例えばこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化等を用いて可能であり、シス−窒素、トランス−シアノ置換された架橋インドロカルバゾールイミド体(Ib)を与え得る。
【0066】
図10は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)からの化合物(Ic/1−3)の合成のための詳細な経路を示す。
【0067】
シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、これに限らないが、過酸化水素水およびテトラヒドロフラン混合液中、水酸化リチウムと5℃で4時間の様な穏和な塩基性加水分解条件で処理することにより、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/1)が得られる。シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、これに限らないが、アルコール中もしくは水中で、濃硫酸と16時間還流する様な強酸性加水分解条件で処理することにより、α−アミノカルボキサミドまたはα−アミノエステル置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2)が得られる。化合物(Ic/2)はまた、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/1)を前記の強酸性加水分解条件を用いて、処理することにより容易に得られる。α−アミノエステル置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2、COOHではなくCOOR13)を、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者が知る前駆体または経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)で、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、室温で16時間もしくは還流6時間等の実験条件にて処理することにより、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/3、アミド基上のR13およびR14の一方もしくは両方は水素と異なる)が得られる。化合物(Ic/3、アミド基上のR13およびR14の一方もしくは両方は水素と異なる)はまた、α−アミノ酸置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2、COOR13=COOH)を前記のアミン化合物(XVIII)で、これらに限らないが、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド中、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール/ジイソプロピルエチルアミンもしくはカルボニルジイミダゾールを室温で16時間の様な典型的なペプチドカップリング条件にて処理することにより、容易に得られる。それぞれR13およびR14の性質によるアミノ基ならびに(Ic/3)および(Ic/1)のアミド基ならびに(Ic/2)のエステル基のさらなる修飾は、当業者に公知の実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化および還元的アミノ化等の手順を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ic/1−3)を与え得る。
【0068】
図11は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アミノ、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)からの化合物(Id)および(Id/1)の合成のための詳細な経路について示す。
【0069】
シス−アミノ、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、塩基存在下、ホスゲン等価体で、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、トリホスゲンおよびトリエチルアミンを室温で4時間の様な実験条件および試薬で処理することにより、スピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id/1)を得られる。スピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id/1)をアルキル化剤(XIX)で、例えばこれに限らないが、ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムを50℃で4時間の様な強塩基性加水分解条件にて処理することにより、N−モノアルキル化されたスピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id、R16は水素でない)が得られる。
【0070】
図12は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)からの化合物(Ie)および(Ie/1)の合成のための詳細な経路を示す。
【0071】
アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)と、例えばこれに限らないが、触媒量の四酸化オスミニウム存在下のN−メチルモルホリンN−オキシド等のジヒドロキシル化試薬との反応は、例えばこれに限らないが、アセトンおよび水混合溶媒中、室温で24時間の様な実験条件を用いて、シス−ジオール架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXa、b)へと導く。化合物(XXa、b)は、これに限らないが、スルホニルジイミダゾールのような二価性試薬と、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、ジアザビシクロウンデセン(DBU)を室温で18時間のような実験条件で反応させることにより求核置換反応が活性化され、環状の硫酸で架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIa、b)が得られうる。化合物(XXIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)と、これに限らないが、テトラヒドロフランもしくはジメチルホルムアミド中、反応温度は室温から100℃の範囲で、反応時間は4から24時間までの範囲のような実験条件で反応させ、酸性硫酸加水分解の後、βシス−アミノ、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/1)を与え得る。水酸基およびアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応のような手順を用いて可能であり、高度に官能基化された化合物(Ie)を与え得る。
【0072】
図13は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、環状の硫酸で架橋インドロカルバゾールイミド(XXIa、b)からの化合物(Ie)および(Ie/2)の合成のための別の詳細な経路を示す。
【0073】
環状の硫酸で架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIa、b)を、例えばこれに限らないが、アジ化ナトリウムのようなアジド化剤で、これに限らないが、ジメチルホルムアミド中、80℃で3時間等の種々の実験条件にて処理することにより、酸性硫酸加水分解後、β−シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)が得られる。化合物(XXIIa、b)は、例えばこれに限らないが、ジメチルホルムアミド中、Pd/C 10%、200PSIの水素圧下、室温で3時間、触媒的水素化反応の様な種々の試薬および実験条件を用いて還元され、無置換βシス−アミノ、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/2)が得られる。水酸基とアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie)が得られる。
【0074】
図14は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)からの化合物(Ie/3)および(Ie/4)の合成のための詳細な経路を示す。
【0075】
シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当なアルキン(XXIII)と、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、ヨウ化銅(I)とジイソプロピルエチルアミンを室温で6時間のような種々の実験条件を用いて処理させることにより、シス−トリアゾリル、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/3)が得られる。R18およびR19の性質による水酸基およびヘテロ環状置換基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順ならびに、これに限らないが、アシル化およびアルキル化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie/4)を与え得る。
【0076】
図15は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)からの化合物(Ie/5)および(Ie/6)の合成のための詳細な経路を示す。
【0077】
シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路によって製造される適当なニトリル化合物(XXIV)と、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、ヨウ化銅(I)とジイソプロピルエチルアミンを室温で6時間のような種々の実験条件にて処理され、シス−テトラゾリル、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/5)が得られる。R18の性質による水酸基およびヘテロ環状置換基のさらなる修飾は、当業者に良く知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化およびアルキル化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie/6)を与える。
【0078】
図16は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)からの化合物(1f)および(If/1)の合成のための詳細な経路を示す。
【0079】
アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)は、これに限らないが、水−テトラヒドロフラン混合溶媒中、触媒量のオスミウム酸カリウム2水和物、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、エチルウレタン、および水酸化ナトリウムを室温で16時間の様な種々の試薬および反応条件を用いて、アミノヒドロキシル化する手順で反応させ、オキサゾリドン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXVa、b)を与え得る。化合物(XXVa、b)は、例えばこれに限らないが、水中、水酸化ナトリウムと80℃で4時間の様な強塩基性条件で加水分解され、β−シス−アミノ、シス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(If/1)を得られる。水酸基およびアミノ基のさらなる修飾は、当業者が良く知る実験手順、ならびにこれに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応のような手順を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(If)を与える。
【0080】
化合物(Ia−f)は、1またはそれ以上の不斉中心を含み得ること、および光学活性体もしくはラセミ体で単離され得ることは、当業者によって理解される。それ故、構造の全キラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体および全幾何異性体は、位置選択的、ジアステレオ選択的および/または立体選択的な試薬、ならびに当業者によく知られる実験手順を用いて、または当業者に良く知られる適当な分離技術を用いて、ジアステレオマーまたはラセミ体の混合物から個々の成分を単離することで得られうる。
【0081】
図17は、R8、R9およびR10、R11のうち一つだけがカルボニル基である場合の一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−ラクタム保護され、N,N−架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIa、b)および(XXVIIa−d)の合成を示す。N−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン体(XIIIa、b)およびシス−1,4−ジブロモシクロペンテン(II)は、化合物(XXVIa、b)および(XXVIIa−d)へ導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0082】
N−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン体(XIIIa、b)は、これに限らないが、THF中、水素化ナトリウムを0℃で2時間の様な実験条件を用いて、化合物(II)とN,N−ジアルキル化され、鍵となるアルケン架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIa、b)を与え得る。化合物(XXVIa、b)は、これに限らないが、THF中、ボラン/テトラヒドロフラン錯体と、室温で16時間の様な実験条件を用いてヒドロキシル化され、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIIa−d)を与え得る。化合物(XXVIIIa−d)は、これに限らないが、1,2−ジクロロエタン中、クロロクロム酸ピリジニウムと室温で4時間、または1,2−ジクロロエタン中、塩化オキサリルおよびジメチルスルホキシドと室温で16時間の様な実験条件を用いて酸化され、鍵となるケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIa−d)を与え得る。
【0083】
化合物(XXVIIa−d)および(XXVIIIa−d)は、ラクタム部位の非対称な性質のため、位置異性体の混合物として得られうることは、当業者によって理解される。これ以降ラクタムのカルボニルおよびシクロペンタン置換基が反対方向を指すものを、エントゲーゲン(E)位置異性体とし、ラクタムのカルボニル基およびシクロペンタン置換基が同じ方向を指すものを、ツザンメン(Z)対と定義する。
【0084】
図18は、位置異性のアルコールの混合物(XXVIIIa−d)から、位置異性的に純粋な鍵となるケト架橋されたインドロカルバゾールラクタムE−(XXVIIa、b)およびZ−対(XXVIIc、d)の合成を示す。トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIIa−d)は、例えばこれに限らないが、3,4−ジメトキシフェニル酢酸(XXIX)等の適当で市販品として入手可能なカルボン酸を用いて、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、水溶性カルボジイミドおよびジメチルアミノピリジンを室温で3時間のような実験条件にてエステル化し、トランスエステル化された架橋インドロカルバゾールラクタム体(XXXa−d)を与え得る。化合物(XXXa−d)は、例えばこれに限らないが、順相(direct phase)クロマトグラフィー(シリカゲル)等の多様な分取分析方法によって、これに限らないが、酢酸エチルおよび石油エーテルとの混合等の多様な溶媒を用いて分離され、ジアステレオ的に純粋なE−およびZ−トランスエステル化された架橋インドロカルバゾールラクタム対(XXXa、b)および(XXXc、d)の二つのラセミ混合物を与え得る。その二対は、例えばこれに限らないが、メタノールおよびテトラヒドロフラン混合溶媒中、ナトリウムメトキシドを室温で2時間のような穏和な塩基条件で加水分解し、純粋なE−およびZ−トランスヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム対(XXVIIIa、b)および(XXVIIIc、d)を与え得る。化合物(XXVIIIa、b)および(XXVIIIc、d)は、これに限らないが、1,2−ジクロロエタン中、ピリジニウムクロロクロメートと、室温で4時間のような実験条件を用い、別々に酸化し、鍵となるE−およびZ−トランスケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム対(XXVIIa、b)および(XXVIIc、d)を与え得る。
【0085】
二つのE−およびZ−対(XXVIIa、b)および(XXVIIc、d)が、これに限らないが、図8〜図11のインドロカルバゾールイミド体で用い、示したような多種多様な試薬および実験条件を用いて、炭素環上にアミノ基を導入して官能基化され得ることは、当業者によって理解される。
【0086】
図19は、例えば図8−10に記述の所定の手順で合成されたアミノ置換されたインドロカルバゾールラクタム体のE−対(Ig/1−3)およびアミノ置換されたインドロカルバゾールラクタム体のZ−対(Ih/1−3)の構造を示す。
【0087】
最終化合物1−20および全てのキラルな合成中間体が、ラセミ体として単離されるので、以下の例は、単一のジアステレオマーの合成を記載することに限定されない。選択された表記は、ラセミ体混合物からなる二つのエナンチオマーのどちらか一方だけを適宜記載する。化合物21から48は、表1に挙げており、上記の方法を用いて製造された。特定のエナンチオマーの単離は、当技術において周知の方法、および例えば実施例49から55に記載される方法によって行われ得る。
【0088】
(実施例)
実施例1
1a)
【化8】
臭素(47.2mL、0.926mol)のCHCl3(50mL)溶液を、窒素雰囲気下、−70℃で、新たに蒸留したシクロペンタジエン(64.45g、0.975mol)のCHCl3(150mL)溶液に加えた。30分後、石油エーテル(2L)を加え、該溶液を−70℃で1時間攪拌した。該白色沈殿は窒素雰囲気下、濾過し、冷石油エーテル(500mL)で洗浄し、3,5−ジブロモシクロペンテン(80.5g、収率38.1%)を得、直接次工程に用いた。
【0089】
1b)
【化9】
p−メトキシベンジルアミン(75.3g、549mmol)を、攪拌したジクロロマレイン酸無水物(91.6g、549mmol)の酢酸(850mL)溶液に、室温で滴下して加えた。反応液は3時間還流し、室温で終夜放置した。該沈殿物は濾過し、酢酸(2×100mL)および氷冷EtOH(2×100mL)で洗浄し、真空乾燥後、精標題化合物(76.4g)を得た。濾液を300mLまで濃縮し、−5℃で4時間冷却すると精標題化合物の二番晶を得た(49.5g、全収率80.3%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.61 (3H, s, OCH3), 4.60 (2H, s, N-CH2), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.20 (2H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 286 [M+H]+.
【0090】
1c)
【化10】
3MエチルマグネシウムブロミドのEt2O溶液(100mL、0.3mol)を、攪拌したインドール(35.1g,0.3mol)のトルエン(600mL)およびTHF(60mL)混合溶液に窒素雰囲気下、滴下して加えた。該緑がかった反応液を室温で1時間攪拌した後、1b(39g,0.136mol)の溶液を1時間以内に加えた。反応混合物を4時間還流し、室温まで冷却し、終夜攪拌した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOAc(800mL)で溶解し、飽和NH4Cl溶液(150mL)で処理し、次いで水で洗浄した。有機層を次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。該粗残渣はCH2Cl2(200mL)中還流し、−20℃に冷却し、濾過し、冷CH2Cl2で2回洗浄し、乾燥後、精標題化合物(40.5g,収率67.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.69 (2H, s, CH2-N), 6.62-7.00 (8H, m, 芳香族H), 7.30 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, d, 芳香族H), 7.89 (2H, s, インドール H-2), 11.70 (2H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 448 [M+H]+.
【0091】
1d)
【化11】
1c(35g,78.2mmol)のCH2Cl2/THF(容積比7/6)(1.3L)の澄明な赤色溶液を0℃に冷却し、臭素(12.5g,78.2mmol)のCH2Cl2(25mL)溶液を1時間以内に滴下して加えた。該暗褐色溶液は、0℃で1時間攪拌後、冷却浴を除き、更に30分攪拌し、飽和NaHCO3溶液(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、暗褐色の泡状物質(49.7g)を得た。該粗生成物はアセトニトリル(55mL)で再結晶し、該所望化合物(14.4g)の一番晶を得た。母液を濃縮乾固し、CH2Cl2で再結晶化して、精標題化合物の二番晶を得た(16.7g、全収率75.9%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.70 (3H, s, OCH3), 4.65 (2H, s, CH2-N), 6.35 (2H, d, 芳香族H), 6.50-6.60 (2H, m, 芳香族H), 6.90-7.20 (4H, m, 芳香族H), 7.30-7.40 (4H, d, 芳香族H), 8.10 (1H, s, インドール H-2), 11.90 (1H, bs, インドール NH) 12.45 (1H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 526 [M+H]+.
【0092】
1e)
【化12】
N−ジイソプロピルエチルアミン(38mL,226mmol)を1d(59.4g,113mmol)のEtOAc(1L)懸濁液に加え、混合物をハロゲンランプで照射した。10時間還流後、該温溶液を希塩酸、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒は、沈殿が生じるまで濃縮した。フラスコを氷浴で冷却し、固形物を濾過し、冷EtOAcで洗浄し、40℃で真空乾燥し、黄色粉末として標題化合物(50g,収率99.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.70 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.55 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (2H, d, 芳香族H), 8.98 (2H, s, 芳香族H), 11.71 (2H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 446 [M+H]+.
【0093】
1f)
【化13】
水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁液、6.6g,165mmol)を窒素雰囲気下0℃で、1e(33.6g,75mmol)のTHF(800mL)溶液に加えた。反応混合物を同温で45分攪拌した後、1a(20.3g,90mmol)のTHF(50mL)溶液を20分以内に滴下して加えた。0℃で30分攪拌した後(TLCモニタリングによる変換率は70%)、NaH(3g、75mmol)を追加し、反応混合物を室温1時間攪拌した。反応混合物は、セライトを少し敷いて濾過し、溶媒留去し、該暗褐色残渣をEtOH(300mL)でトリチュレートし、沈殿物を濾過し、EtOH(50mL)で洗浄し、40℃で真空乾燥し、精標題化合物(34.5g、収率90.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ2.72 (1H, bs, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, OCH3), 4.75 (2H, s, CH2-PMB), 6.21 (2H, d, CH-N), 6.40 (2H, s, CH=CH), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.98 (2H, d, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 510 [M+H]+.
【0094】
1g)
【化14】
1MボランのTHF溶液(285mL,285mmol)を1f(29.0g,57mmol)のTHF(600mL)溶液に室温で加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで0℃まで冷却した。30%NaOH(30mL)を注意深く加え、30%H2O2(90mL)を90分以内に滴下して加えた。不溶塩を濾別し、溶媒を減圧留去した。該残渣をEtOAc(300mL)で溶解し、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOH(150mL)でトリチュレートした。橙色固形物を濾過し、冷EtOH(100mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、精標題化合物(26g、収率86.4%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ1.92 (1H, m, 5-CH2), 2.42 (1H, m, 5-CH2), 2.68 (1H, bs, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, OCH3), 4.20 (1H, m, 4-CH-OH), 4.82 (2H, s, CH2-PMB), 5.36 (1H, d, 3-CH-N), 5,65 (1H, d, OH), 5.91 (1H, m, 1-CH-N), 6.91 (2H, m, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, bt, 芳香族H), 7.96 (2H, d, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 528 [M+H]+.
【0095】
1h)
【化15】
クロロクロム酸ピリジニウム(16.2g,75mmol)を1g(26.5g,50mmol)の1,2−ジクロロエタン(1L)懸濁液に何回かに分けて加えた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液としてCH2Cl2)によって精製し、橙色粉末として精目的化合物を得た。(10.1g、収率39.6%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 2-CH2), 3.07 (1H, dd, 2-CH2), 3.25 (1H, dd, 5-CH2), 3.48 (1H, m, 5-CH2), 3.68 (3H, s, OCH3), 4.73 (2H, s, CH2-PMB), 5.59 (1H, d, 3-CH-N), 6.13 (1H, bt, 1-CH-N), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.98 (2H, dd, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 526 [M+H]+.
【0096】
1i)
【化16】
1h(530mg,1mmol)の1,2−ジクロロエタン(15mL)溶液にベンジルアミン(110μL,1mmol)および酢酸(60μL,1mmol)を滴下して処理した。反応液は室温で1時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(320mg,1.5mmol)を何回かに分けて加えた。反応混合物を更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(2M,40mL)を注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製し、黄色粉末として、精目的化合物(460mg、収率74.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.17 (1H, m, NH), 1.55 (1H, m, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.54 (2H, d, CH2-NH), 3.62 (1H, m, 4-CH-NH), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-NCO), 5.65 (2H, m, 1-CH-N + 3-CH-N), 6.90-6.95 (4H, d, 芳香族H), 7.01-7.11 (3H, m, 芳香族H), 7.32-7.41 (4H, bt, 芳香族H), 7.55-7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85-7.90 (1H,d, 芳香族H), 800-8.05 (1H, d, 芳香族H) , 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 617 [M+H]+.
【0097】
1)
【化17】
酢酸(0.5mL)およびPd/C 10%(50mg)を1i(380mg,0.61mmol)のEtOH(20mL)およびTHF(5mL)懸濁液に加えた。混合物を大気圧下、室温終夜で水素化した。触媒を濾別し、濾液を1M NaOH(50mL)に注ぎ、EtOAc(2×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、2回連続したプレパラティブTLC[溶離液としてCH2Cl2/メタノール(容積比95/5)]で分離し、精目的化合物(40mg、収率12.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.15 (1H, m, 5-CH2), 1.26 (2H, bs, NH2), 2.56 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 3.83 (1H, m, 4-CH-NH2), 4.84 (2H, s, CH2-PMB), 5.36 (1H, bt, 3-CH-N), 5.67 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.38 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.87 (1H, d, 芳香族H), 7.98 (1H,d, 芳香族H), 9.02 (1H, d, インドール H-4), 9.09 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 527 [M+H]+.
【0098】
実施例2
2a)
【化18】
1h(530mg,1mmol)の無水THF(10mL)溶液を2MメチルアミンのTHF溶液(0.6mL,1.2mmol)に滴下して処理した。反応液は、室温で2時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(320mg,1.5mmol)を加えた。反応混合物は、更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(2M,40mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比7/3)、次いでCH2Cl2/メタノール(容積比95/5)]で精製し、精目的化合物(210mg、収率38.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.17 (2H, m, NH + 5-CH2), 2.07 (3H, s, N-CH3), 2.62 (1H, bs, 2-CH2), 2.90-2.95 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 3.55 (1H, m, 4-CH-NH), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-PMB), 5.55-5.70 (2H, dt, 1-CH-N + 3CH-N), 6.90-6.95 (2H, d, 芳香族H), 7.30-7.40 (4H, m, 芳香族H), 7.55-7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85-7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 541 [M+H]+.
【0099】
2)
【化19】
塩化アルミニウム(200mg、1.5mmol)を2a(82mg,0.15mmol)のアニソール(5mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液を終夜攪拌し、氷/水(容積比1/1)(20mL)および飽和NaHCO3(15mL)で反応停止させた。反応液は、EtOAc(2×20mL)で抽出し、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。MeOH(10mL)を残渣に加え、沈殿物を濾過し、精目的化合物(44mg、収率70.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.13-1.20 (2H, m, NH + 5-CH2), 2.09 (3H, s, N-CH3), 2.62 (1H, bd, 2-CH2), 2.89-2.98 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.53 (1H, m, 4-CH-NH), 5.59 (1H, bt, 3-CH-N), 5.70 (1H, bt, 1-CH-N), 7.37 (2H, t, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.92 (2H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4), 11.05 (1H, s, イミド NH). MS (ESI) m/z 421 [M+H]+
【0100】
実施例3
3a)
【化20】
化合物1h(200mg,0.38mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)溶液にモルホリン(35μL,0.38mmol)および酢酸(25μL,0.38mmol)を滴下して処理した。反応溶液は室温で1時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(121mg,0.57mmol)を加えた。該混合物は、更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(1N,40mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比8/2)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(140mg、収率61.9%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.44 (1H, m, 5-CH2), 1.86 (2H, m, N-CH2 モルホリン), 2.45 (2H, m, N-CH2 モルホリン), 2.53 (1H, bd, 2-CH2), 2.71(1H, m, 5-CH2), 2.90 (1H, m, 2-CH2), 2.97 (4H, m, O-CH2 モルホリン), 3.36 (1H, m, 4-CH-N), 3.70 (3H,s , OCH3), 4.83 (2H, s, CH2-PMB), 5.66 (1H, bt, 3-CH-N), 5.75 (1H, bt, 1-CH-N), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.38 (4H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, bt, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 7.97 (1H,d, 芳香族H), 9.03 (1H, d, インドール H-4), 9.09 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 597 [M+H]+.
【0101】
3)
【化21】
塩化アルミニウム(200mg,1.5mmol)を3a(90mg,0.15mmol)のアニソール(5mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は終夜攪拌し、氷/水(容積比1/1)(20mL)および飽和NaHCO3(15mL)で反応停止させた。該混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出し、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。MeOH(10mL)を残渣に加え、沈殿物を濾過し、精目的化合物(50mg、収率70.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.46 (1H, m, 5-CH2), 1.88 (2H, m, CH2 モルホリン), 2.47 (2H, m, CH2 モルホリン), 2.58 (1H, bd, 2-CH2), 2.68 (1H, m, 5-CH2), 2.91 (1H, m, 2-CH2), 2.98 (4H, m, CH2 モルホリン), 3.33 (1H, m, 4-CH-N), 5.66 (1H, bt, 3-CH-N), 5.76 (1H, bt, 1-CH-N), 7.37 (2H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.93 (2H, m, 芳香族H), 9.07 (1H, d, インドール H-4), 9.13 (1H, d, インドール H-4), 11.08 (1H, bs, イミド NH). MS (ESI) m/z 477 [M+H]+.
【0102】
実施例4
4a)
【化22】
化合物1h(17.3g,32.9mmol)のアニソール(150mL)およびトリフルオロ酢酸(200mL)混合溶液を終夜還流させた。該溶媒混合物を濃縮し、残渣をEtOH(200mL)で溶解し、トリチュレートし、濾過し、EtOHおよび石油エーテルで洗浄し、乾燥した後、精標題化合物(11.73g、収率88.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.95-3.05(1H, dd, 2-CH2), 3.20-3.25 (1H, dd, 2-CH2), 3.40-3.55 (2H, m, 5-CH2), 5.60 (1H, bd, 3-CH-N), 6.16 (1H, bt, 1-CH-N), 7.43 (2H, m, 芳香族H), 7.64 (2H, bt, 芳香族H), 7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.02-9.08 (2H, d, インドール H-4), 11.14 (1H, bs, イミド NH). MS (ESI) m/z 406 [M+H]+.
【0103】
4)
【化23】
7Nアンモニアのメタノール溶液(2mL,14mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(0.5mL,1.70mmol)を4a(570mg,1.4mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)懸濁液に室温で加えた。反応液は3時間攪拌し、次いでトリメチルシリルシアニド(0.18mL,1.40mmol)を加えて、反応混合物を18時間攪拌させた。水2滴加えた後、固形物をセライト層で濾過によって除去し、溶媒を減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、精目的化合物(310mg、収率51.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.60 (1H, bd, 5-CH2), 2.35 (2H, bs, NH2), 2.75 (1H, m, 2-CH2), 3.37 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.77 (1H, d, 3-CH-N), 5.92 (1H, bt, 1-CH-N), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7.67 (2H, bt, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.03-8.07 (1H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.08 (1H, d, インドール H-4), 11.05 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 432 [M+H]+.
【0104】
実施例5
5)
【化24】
水酸化リチウム一水和物(30mg,0.69mmol)および過酸化水素(30%,0.1mL)を化合物4(200mg、0.46mmol)のTHF(10mL)溶液に、0℃で加えた。反応液は0℃で1時間攪拌し、水酸化リチウム一水和物(30mg,0.69mmol)および水(3mL)を追加した。1時間攪拌した後、反応液を3分の1まで濃縮し、CH2Cl2/水(容積比1/1)(50mL)に注いだ。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物をCH2Cl2で洗浄し、真空乾燥して、精目的化合物(120mg、収率58.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.54 (1H, bd, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.15 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.49 (1H, d, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.15 (1H, bs, CONH2), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7,60 (1H, bs, CONH2), 7.68 (2H, bt, 芳香族H) 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.93 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 10.8 (1H, bs, NH イミド). MS (ESI) m/z 451 [M+H]+.
【0105】
実施例6
6a)
【化25】
7Mアンモニアのメタノール溶液(0.7mL,5mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(180μL,0.6mmol)を攪拌した化合物1h(260mg,0.5mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。4時間後、トリメチルシリルシアニド(63μL,0.5mmol)を加えて、反応液を終夜攪拌した。反応混合物は水(10mL)で反応停止させ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和塩化アンモニウム(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液として石油エーテル/EtOAc(容積比4/2)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(160mg、収率58.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.40 (2H, s, NH2), 2.87 (1H, bd, 2-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-PMB) , 5.78 (1H, bd, 3-CH-N), 5.87 (1H, bt, 1-CH-N), 6.89 (2H, d, 芳香族H), 7.50 (4H, m, 芳香族H), 7.68 (2H, bt, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (1H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.08 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 552 [M+H]+.
【0106】
6b)
【化26】
水酸化リチウム一水和物(0.6g,15mmol)、過酸化水素(30%,5mL)および水(20mL)を6a(1.6g,2.90mmol)のTHF(100mL)溶液に5℃で加えた。反応液は5℃で4時間攪拌した後、水(25mL)を加えた。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物を洗浄し、CH2Cl2(50mL)で溶解して、水(25mL)で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、黄色粉末として精目的化合物(1.35g、収率81.8%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40 (2H, bs, NH2), 1.45 (1H, d, 2-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.09-3.25 (2H, m, 5-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.81 (2H, s, CH2-PMB), 5.48 (1H, bd, 3-CH-N), 5.78 (1H, bt, 1-CH-N), 6.88 (2H, m, 芳香族H), 7.30-7.42 (5H, m, CONH2 + 芳香族H), 7.58-7.65 (3H, m, CONH2 + 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 570 [M+H]+.
【0107】
6c)
【化27】
濃硫酸(2mL)を6b(300mg,0.52mmol)のEtOH(10mL)溶液に加えて、反応混合物を8時間還流した。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAc(2×70mL)で抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、黄色粉末として、精目的化合物(170mg、収率54.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.35 (3H, t, COOCH2-CH3), 1.48 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, d, 2-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 3.02 (1H, m, 5-CH2), 3.20 (1H, m, 5-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.30 (2H, q, COOCH2-CH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.65 (1H, bd, 3-CH-N), 5.75-5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 6.85-6.90 (2H, m, 芳香族H), 7.35-7.45 (4H, m, 芳香族H), 7.60-7.70 (2H, bt, 芳香族H) 7.80-7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.90-7.95 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, インドール H-4). MS (ESI) m/z 599 [M+H]+.
【0108】
6)
【化28】
塩化アルミニウム(100mg,2.3mmol)を6c(140mg,0.23mmol)のアニソール(10mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は、60℃で8時間攪拌した。反応混合物を冷却して、水(30mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。分取用TLC[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(42mg、収率38.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, COOCH2-CH3), 1.48 (2H, bs, NH2), 1.60 (1H, bd, 5-CH2), 2.72 (1H, bd, 2-CH2), 3.05 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 4.25 (2H, q, COOCH2-CH3), 5.65 (1H, bd, 3-CH-N), 5.85 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 479 [M+H]+.
【0109】
実施例7
7)
【化29】
水(1mL)で溶解した水酸化リチウム一水和物(35mg,0.84mmol)溶液を攪拌した化合物6(200mg,0.42mmol)のTHF(10mL)溶液に滴下して加えた。反応液は、室温で2時間攪拌し、次いでTHFを減圧留去した。該水溶液を次いで塩酸で中和し、沈殿物を濾過し、60℃で真空乾燥して、橙色粉末として精目的化合物(140mg、収率73.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD3OH): δ1.45-1.50 (1H, bd, 5-CH2), 2.58 (1H, bd, 2-CH2), 3.05 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.50 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H), 7.75-7.80 (1H, d, 芳香族H), 7.90-7.95 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 451 [M+H]+.
【0110】
実施例8
8)
【化30】
濃硫酸(10mL)を化合物5(2.25g,5mmol)のMeOH(100mL)溶液に加えて、反応混合物を28時間還流した。反応混合物を0℃に冷却して、沈殿物を濾過し、EtOAc(100mL)で溶解して、飽和NaHCO3(50mL)で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH(容積比98/2)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(1.20g、収率52.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD3OH): δ1.50 (2H, bs, NH2), 1.59 (1H, bd, 5-CH2), 2.76 (1H, bd, 2-CH2), 3.03 (1H, m, 5-CH2), 3.24 (1H, m, 2-CH2), 3.86 (3H, s, COOMe), 5.67 (1H, bd, 3-CH-N), 5.82 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.80 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.00 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 465 [M+H]+.
【0111】
実施例9
9a)
【化31】
N−Boc−エタノールアミン(1mL、過剰量)を化合物8(150mg,0.32mmol)に加えた。反応混合物を150℃で3時間加熱した。冷却した後、該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比9/1)]で精製し、精目的化合物(60mg、収率32.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.24 (1H, bd, 5-CH2), 1.38 (9H, s, C(CH3)), 1.55 (2H, bs, NH2), 2.74 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 2-CH2), 3.25 (1H, m, 5-CH2), 3.40 (2H, CH2-NHBoc), 4.25 (2H, t, CH2-OCO), 5.68 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.21 (1H, bt, Boc-NH), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (2H, dd, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H,s, NH イミド). MS (APCI) m/z 594 [M+H]+.
【0112】
9)
【化32】
トリフルオロ酢酸(1mL)を攪拌した9a(60mg,0.1mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、溶媒を減圧濃縮した。該残渣をEt2O(5mL)で溶解し、黄色沈殿物を濾過し、真空乾燥して精目的化合物(56mg、収率78.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.85 (1H, bd, 5-CH2), 2.82 (1H, bd, 2-CH2), 3.20 (1H, m, 5-CH2), 3.45 (2H, m, CH2-NHBoc), 3.60 (1H, m, 2-CH2), 4.55 (2H, t, CH2-OCO), 5.90 (1H, bd, 3-CH-N), 6.10 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (2H, dd, 芳香族H), 7.8-8.6 (6H, m, NH3+), 9.15 (2H, dd, インドール H-4), 11.06 (1H,s, NH イミド). MS (APCI) m/z 494 [M+H]+.
【0113】
実施例10
10)
【化33】
2MメチルアミンのTHF溶液(10mL,20mmol)を攪拌した化合物8(205mg,0.54mmol)のTHF(6mL)溶液に加えた。密閉フラスコを室温で終夜攪拌し、次いで溶媒を減圧留去した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH/NH4OH(容積比95/4.5/0.5)]で精製し、精目的化合物(55mg、21.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.37 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, bd, 5-CH2), 2.70 (1H, bd, 2-CH2), 2.75 (3H, d, N-CH3), 3.10 (1H,m, 5-CH2), 3.27 (1H, m, 2-CH2 ) 5.45 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 8.12 (1H, m, NH アミド), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 464 [M+H]+.
【0114】
実施例11
11)
【化34】
エタノールアミン(20μL,0.51mmol)を化合物8(240mg,0.51mmol)のTHF(10mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で4日間攪拌した。溶媒は、減圧濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH/NH4OH(容積比95/4.5/0.5)]で精製し、精目的化合物(75mg、収率30.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, bd, 5-CH2), 2.68 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (3H, m, 2-CH2 + N-CH2-CH2-OH), 3.55 (2H, m, N-CH2-CH2-OH), 4.75 (1H, t, OH), 5.45 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.70 (2H, q, 芳香族H), 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 8.10 (1H, bt, NH アミド), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.07 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 494 [M+H]+.
【0115】
実施例12
12a)
【化35】
3MエチルマグネシウムブロミドのEt2O溶液(60mL,176mmol)を攪拌した5−メトキシインドール(25.9g,176mmol)のトルエン(600mL)およびTHF(60mL)溶液に窒素雰囲気下、滴下して加えた。反応液を室温で1時間攪拌し、次いで化合物1b(22.9g,80mmol)のトルエン/THF(容積比10/1,220mL)溶液を1時間以内に加えた。反応混合物は終夜還流し、室温に冷却して、飽和NH4Cl溶液(500mL)を加えた。反応混合物をEtOAc(500mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、EtOAc/石油エーテル(容積比1/5から1/1)]で精製し、所望化合物(29.15g、収率72.0%)を与えた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.06 (6H, s, インドール OCH3), 3.72 (3H, s, PMB OCH3), 4.69 (2H, s, CH2-PMB), 6.19 (2H, s, 芳香族H), 6.56 (2H, dd, 芳香族H), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.31 (4H, m, 芳香族H), 7.89 (2H, s, インドール H-2), 11.60 (2H, bs, インドール NH). MS (APCI) m/z 508 [M+H]+.
【0116】
12b)
【化36】
酢酸パラジウム(0.55g、触媒量)を12a(25.37g,50mmol)のDMF(200mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で10分間攪拌し、CuCl2(6.60g,50mmol)を加えた。反応混合物は、次いで酸素雰囲気下、90℃で6時間加熱し、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧濃縮し、該残渣にEtOAc(200mL)を加えて、希NH4OH(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、EtOAc/石油エーテル(容積比1/2)]で精製し、精所望化合物(3.5g、収率14.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.65 (3H, s, インドール OCH3),3.85 (6H, s, PMB OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.20 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, d, 芳香族H), 7.70 (2H, dd, 芳香族H), 8.98 (2H, s, 芳香族H), 11.71 (2H, bs, インドール NH). MS (APCI) m/z 506 [M+H]+.
【0117】
12c)
【化37】
水素化ナトリウム(60%含鉱油、0.26g,6.43mmol)を12b(1.30g,2.57mmol)のTHF(50mL)溶液に、0℃で加えた。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、1a(0.70g,3.08mmol)のTHF(10mL)に30分以内に滴下して加えた。1時間後、水素化ナトリウム(60%含鉱油、0.2g,5mmol)を加えて、反応混合物を0℃で更に30分間攪拌した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOAc(100mL)で溶解して、水(2×50mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。粗目的化合物は、更に物性を特定することなく、直接次工程に用いた。(1.35g、理論収率92%)
【0118】
12d)
【化38】
1MボランのTHF溶液(11.4mL,11.4mmol)を12c(1.30g,2.28mmol)のTHF(50mL)溶液に0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、NaOH(32%,1.2mL)を注意深く加えて、次いでH2O2(30%,4mL)を30分以内に滴下して加えた。該混合物は、0℃で2時間攪拌し、次いで不溶塩を濾別し、溶媒を減圧留去した。該残渣をEtOAc(60mL)で溶解し、水(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/石油エーテル(容積比7/3)]で精製し、精目的化合物(330mg、収率24.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.95 (1H, m, 5-CH2), 2.32 (1H, m, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, PMB OCH3), 3.90 (6H, s, インドール OCH3), 4.16 (1H, m, 4-CH-OH), 4.82 (2H, s, CH2-PMB), 5.28 (1H, d, 3-CH-N), 5,62 (1H, d, OH), 5.85 (1H, m, 1-CH-N), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.30 (4H, m, 芳香族H), 7.82 (2H, m, 芳香族H), 8.55 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 588 [M+H]+.
【0119】
12e)
【化39】
クロロクロム酸ピリジニウム(0.70g,3.30mmol)を12d(26.5g,50mmol)および3Åモレキュラーシーブズ(1g)の1,2−ジクロロエタン (1L)懸濁液に何回かに分けて加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/CH2Cl2(容積比1/9)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(400mg、収率31.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.03 (1H, d, 2-CH2), 3.25 (3H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.70 (3H, s, PMB OCH3), 3.91 (6H, s, インドール OCH3), 4.84 (2H, s, CH2-PMB), 5.51 (1H, d, 3-CH-N), 6.08 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (4H, m, 芳香族H), 7.90 (2H, dd, 芳香族H), 8.50 (2H, s, 芳香族H). MS (APCI) m/z 586 [M+H]+.
【0120】
12f)
【化40】
トリフルオロ酢酸(20mL)を12e(360mg,0.61mmol)のアニソール(10mL)懸濁液に加えた。反応混合物は終夜還流で攪拌し、次いで溶媒を減圧留去した。EtOH(10mL)を加え、沈殿物を濾別し、冷EtOH(2mL)および石油エーテル(2mL)で洗浄し、真空乾燥して該目的化合物(280mg、理論収率100%)を得て、精製することなく次工程に用いた。
【0121】
12g)
【化41】
7Mアンモニアのメタノール溶液(1mL,7mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(200μL,0.72mmol)を攪拌した12f(280mg,0.6mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。2時間後トリメチルシリルシアニド(70μL,0.6mmol)を加えて、反応液は終夜攪拌した。反応混合物は、次いで水(10mL)で反応停止させて、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和塩化アンモニウム(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗残渣(240mg、理論収率81.3%)を何も精製することなく、次工程に用いた。
【0122】
12h)
【化42】
水酸化リチウム一水和物(250mg,4.9mmol)、過酸化水素(30%,2mL)および水(10mL)を12g(240mg,0.49mmol)のTHF(20mL)溶液に室温で加えた。反応液は室温で2時間攪拌し、水(25mL)を加えた。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物を水(2mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、黄色粉末として精目的化合物(130mg、収率52.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40-1.45 (3H, m, NH2 + 2-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 5-CH2), 3.40-3.45 (1H, m, 5-CH2), 3.90 (6H, s, OCH3), 5.43 (1H, bd, 3-CH-N), 5.82 (1H, bt, 1-CH-N), 7.27 (2H, m, 芳香族H), 7.66 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (2H, m, 芳香族H) 9.05 (2H, dd, 芳香族H), 11.01 (1H, s, イミド NH). MS (ESI) m/z 510 [M+H]+.
【0123】
12)
【化43】
1M三臭化ホウ素のCH2Cl2溶液(2.3mL,2.3mmol)を12h(120mg,0.23mmol)のCH2Cl2(3mL)懸濁液に加え、該混合物は室温で終夜攪拌した。該反応混合物を氷(10mL)に注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。水層は、飽和NaHCO3(20mL)で塩基性にし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比1/1)]で精製し、精所望化合物(45mg、収率41.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40-1.45 (4H, m, NH2 + 2-CH2), 3.15 (2H, m, 5-CH2), 5.43 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.27 (1H, m, 芳香族H), 7.45 (2H, bs, CONH2), 7.66 (1H, m, 芳香族H), 8.86 (2H, d, 芳香族H) 9.35 (2H, dd, 芳香族H), 10.98 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 482 [M+H]+.
【0124】
実施例13
13)
【化44】
トリエチルアミン(0.28mL,2.1mmol)およびトリホスゲン(200mg,0.7mmol)を6b(400mg,0.70mmol)のTHF(50mL)溶液に窒素雰囲気下、加えた。反応液を4時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。EtOAc(50mL)を加えて、該溶液は、冷1N塩酸(30mL)、水(30mL)および飽和食塩水(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該残渣は、EtOAc/EtOH(容積比1/1)(10mL)でトリチュレートし、濾過し、真空乾燥し、黄色粉末として所望の標題化合物(200mg、収率47.8%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 3.08 (1H, m, 5-CH2) 3.21 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.71 (1H, bd, 3-CH-N), 5.95 (1H, bt, 1-CH-N), 6.91 (2H, m, 芳香族H), 7.35-7.45 (4H, m, 芳香族H), 7.50 (1H, s, CONH), 7.55-7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85-7.95 (2H, dd, 芳香族H), 9.05-9.10 (2H, dd, インドール H-4), 10.92 (1H, s, CONHCO). MS (ESI) m/z 596 [M+H]+.
【0125】
実施例14
14)
【化45】
水素化ナトリウム(25mg,0.8mmol)およびヨウ化メチル(44μL,0.71mmol)を化合物13(170mg,0.29mmol)のDMF(20mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。反応液は50℃で4時間攪拌した。溶媒は減圧濃縮し、残渣をAcOEt(20mL)で溶解し、水(10mL)および飽和食塩水(10mL)で洗浄した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(38mg、収率21.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (3H, s, N-CH3), 3.08 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.68 (1H, bd, 3-CH-N), 6.00 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, m, 芳香族H), 7.40 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, s, NH), 7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, インドール H-4). MS (ESI) m/z 610 [M+H]+.
【0126】
実施例15
15a)
【化46】
N−メチルモルホリンN−オキシド(120mg,1mmol)、四酸化オスミニウム(2.5%含t−BuOH溶液,0.5mL,触媒量)および水数滴を1f(510mg,1mmol)のアセトン(150mL)溶液に室温で加えた。反応混合物は2時間攪拌し、沈殿物を濾別し、アセトン(20mL)および石油エーテル(20mL)で洗浄して、精目的化合物(370mg、収率69.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.42 (1H, d, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.60 (3H, s, OCH3), 4.08 (2H, m, CH-OH), 4.77 (2H, s, CH2-PMB), 5.45 (2H, m, CH-N), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (4H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.02 (2H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 544 [M+H]+.
【0127】
15b)
【化47】
トリフルオロ酢酸(20mL,大過剰量)を15a(300mg,0.55mmol)のアニソール(10mL)溶液に加えた。反応混合物は、6時間還流で攪拌し、該溶媒を減圧留去した。MeOH(20mL)およびNaOH(1N,20mL)を加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌した。反応混合物をTHF(2×50mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比7/3)]で精製し、精目的化合物(75mg、収率32.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.51 (1H, d, 2-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 4.08 (2H, m, CH-OH), 5.47 (2H, m, CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, d, 芳香族H), 11.08 (1H, bs, NH). MS (ESI) m/z 424 [M+H]+.
【0128】
15c)
【化48】
スルホニルジイミダゾール(3.7g,18.9mmol)を15b(2g,4.7mmol)のTHF(200mL)溶液に加え、続いて、DBU(2.8mL,18.9mmol)を室温で加えた。反応混合物を18時間攪拌し、次いで溶媒を減圧濃縮し、Et2O(100mL)を加えた。沈殿物を濾過し、EtOAc(15mL)およびEt2O(50mL)で洗浄し、真空乾燥して緑色粉末として精目的化合物(2.3g、収率100%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.00 (1H, d, 2-CH2), 3.19 (1H, m, 2-CH2), 3.62 (2H, m, CH-O), 5.70 (2H, bs, CH-N), 7.43 (2H, t, 芳香族H), 7.65 (2H, t, 芳香族H), 8.01 (2H, d, 芳香族H), 9.15 (2H, d, 芳香族H), 11.03 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 486 [M+H]+.
【0129】
15)
【化49】
アジ化ナトリウム(2.68g,41.2mmol)を15c(2g,4.1mmol)のDMF(100mL)の溶液に室温で加えた。反応混合物を80℃で3時間加熱した。該溶媒を減圧留去、THF(40mL)および20%硫酸水(80mL)を加えた。該反応混合物を室温で終夜攪拌し、次いでTHF(100mL)で希釈し、飽和KCl(50mL)で洗浄した。該水層はTHF(2×100mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和NaHCO3(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して精目的化合物(493mg、収率24.6%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.25 (2H, m, 2-CH2), 3.70 (1H, bt, CH-OH), 4.37 (1H, s, CH-N3), 5.31 (1H, d, 3-CH-N), 5.86 (1H, bt, 1-CH-N), 6.52 (1H, d, OH), 7.37 (2H, t, 芳香族H), 7.60 (2H, t, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.02 (2H, t, 芳香族H), 11.03 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 449 [M+H]+.
【0130】
実施例16
16)
【化50】
化合物15(100mg,0.22mmol)および水(0.5mL)のTHF(5mL)溶液は、ポリマー担持されたトリフェニルホスフィン(450mg,2.2mmol)存在下、室温で終夜攪拌した。該懸濁液は濾別し、生じた溶液を減圧濃縮し、固形残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比1/1)]で精製し、精目的化合物(25mg、収率27.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.90 (1H, d, 2-CH2), 3.35 (1H, m, 2-CH2), 3.90 (1H, bt, CH-OH), 4.25 (1H, m, CH-NH2), 5.30 (1H, d, 3-CH-N), 5.70 (2H, m, 1-CH-N + OH), 7.30 (2H, dt, 芳香族H), 7.55 (3H, m, 芳香族H), 7.95 (1H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, 芳香族H), 11.05 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 423 [M+H]+.
【0131】
実施例17
17)
【化51】
化合物15(0.3g,0.67mmol)のTHF(10mL)溶液をメチルアセチレンカルボキシレート(0.17mL,2mmol)、ヨウ化銅(I)(380mg,2mmol)およびN−ジイソプロピルエチルアミン(5.6mL,33mmol)のTHF(10mL)溶液に加えた。反応混合物は、室温で4時間攪拌し、1N塩酸(20mL)を加えた。水層はTHFで抽出し、有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比9/1から8/2)]で精製し、精目的化合物(262mg、収率75.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.80 (1H, d, 2-CH2), 3.40 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.48 (1H, bt, CH-OH), 5.55 (2H, m, 3-CH-N + 4-CH-N-N), 5.97 (1H, bt, 1-CH-N), 6.45 (1H, d, OH), 7.18 (2H, m, 芳香族H), 7.30 (1H, t, 芳香族H), 7.40 (1H, bt, 芳香族H), 7.65 (1H, bt, 芳香族H), 7.95 (1H, d, 芳香族H), 8.50 (1H, s, トリアゾール H), 8.90 (1H, d, 芳香族H), 9.15 (1H, d, 芳香族H), 11.10 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 555 [M+Na]+.
【0132】
実施例18
18)
【化52】
水酸化リチウム一水和物(77mg,1.83mmol)および水(0.5mL)を化合物17(0.195mg,0.37mmol)のTHF溶液に加えた。反応混合物は室温で終夜攪拌し、飽和NH4OAc(2mL)を加えた。反応混合物を120℃で3時間加熱し、冷却し、EtOAc(15mL)で抽出し、1N塩酸(2×10mL)で洗浄した。有機層は、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。EtOAc(10mL)を加え、沈殿物を濾過し、真空乾燥して精目的化合物(150mg、収率78.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.80 (1H, d, 2-CH2), 3.30 (1H, d, 2-CH2), 3.97 (1H, bd, 5-CH-OH), 4.75 (1H, d, OH), 5.55 (2H, m, 3-CH-N + 4-CH-N-N), 6.00 (1H, bt, 1-CH-N), 7.18 (2H, m, 芳香族H), 7.35 (1H, bt, 芳香族H), 7.40 (1H, t, 芳香族H), 7.65 (1H, bt, 芳香族H), 7.97 (1H, d, 芳香族H), 8.35 (1H, s, トリアゾール H), 8.90 (1H, d, 芳香族H), 9.10 (1H, d, 芳香族H), 11.10 (1H, s, イミド NH), 12.6 0(1H, m, COOH). MS (APCI) m/z 1035 [2M-H]+.
【0133】
実施例19
19a)
【化53】
1f(4g,7.85mmol)のTHF(15mL)溶液を室温で、ウレタン(7.0g,78.5mmol)、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(7.7g,39.25mmol)およびNaOH(3.1g,78.5mmol)の水(30mL)およびTHF(15mL)の混合溶液に加えた。オスミニウム酸カリウム塩2水和物(30mg,触媒量)を次いで加えて、室温で続けて18時間攪拌した。反応は、EtOAc(100mL)および亜硫酸水素ナトリウム固体(2g)を添加して停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、残渣(3.16g)を得、繰り返しクロマトグラフ[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/石油エーテル(容積比7/3)およびCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製した。標題化合物(740mg)を含む画分は、EtOAcおよびTHFでトリチュレートし、精標題化合物(270mg、収率6.04%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.81 (1H, m, 2-CH2), 3.23 (1H, m, 2-CH2), 3.73 (3H, s, OCH3), 4.18 (1H, m, 1-CH-N), 4.83 (2H, s, CH2-PMB), 4.98 (1H, d, 3-CH-N), 5,65 (1H, d, OH), 5.57 (1H, dd, 4-CH-N), 5.91 (1H, m, 5-CH-O), 6.89 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, m, 芳香族H), 7.40 (2H, t, 芳香族H), 7.74 (2H, m, 芳香族H), 7.91 (2H, d, 芳香族H), 9.04 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 569 [M+H]+.
【0134】
19)
【化54】
塩化アルミニウム(210mg,1.58mmol)を19a(90mg,0.158mmol)のアニソール(10mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は、2時間還流して攪拌した。反応混合物を冷却し、水 (30mL)に注ぎ、EtOAc/テトラヒドロフラン(2×30mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。分取用TLC[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製し、精目的化合物(50mg、収率67.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.78 (1H, bd, 2-CH2), 3.45 (1H, m, 2-CH2), 4.17 (1H, d, 1-CH-N), 5.01 (1H, dd, 3-CH-N), 5.60 (1H, dd, 4-CH-N), 5.89 (1H, m, 5-CH-O), 6.87 (2H, d, 芳香族H), 7.32 (2H, m, 芳香族H), 7.44 (2H, t, 芳香族H), 7.78 (2H, m, 芳香族H), 7.95 (2H, d, 芳香族H), 9.08 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 449 [M+H]+.
【0135】
実施例20
20a)
【化55】
水素化アルミニウムリチウム(15.0g,400mmol)を攪拌した1e(35.4g,800mmol)のTHF(1L)溶液に、穏やかに還流が越えない程度で、何回かに分けて加えた。反応混合物を更に室温で1時間攪拌し、湿った硫酸ナトリウムで反応停止した。固形塩を濾別し、濾液を減圧濃縮した。該残渣をEtOAc(1L)で溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して精目的化合物(33.7g、収率95.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.44 (1H, d, CH2-PMB), 5.06 (1H, d, CH2-PMB), 6.14 (1H, d, CH-OH), 6.81 (1H, d, OH), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (2H, 芳香族H), 7.36 (2H, d, 芳香族H), 7.46 (2H, m, 芳香族H), 7.75 (2H, m, 芳香族H), 8.32 (1H, d, 芳香族H), 9.19 (1H, d, 芳香族H), 11.39 (1H, s, NH), 11.51 (1H, s, NH). MS (APCI) m/z 448 [M+H]+.
【0136】
20b)
【化56】
トリフルオロ酢酸(30mL,370mmol)を攪拌した20a(33.7g,75.0mmol)、フッ化アンモニウム(3.6g,100mmol)およびトリエチルシラン(15.6mL,100mmol)の塩化メチレン(200mL)溶液に氷冷下加えた。次いで、反応混合物を室温で18時間攪拌し、氷水に注いだ。該沈殿物を濾過し、水で繰り返し洗浄し、精目的化合物(18.6g)の1回分を得た。有機層を飽和NaHCO3水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して該生成物(30.9g、収率94.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.84 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (2H, 芳香族H), 7.36 (2H, d, 芳香族H), 7.48 (2H, m, 芳香族H), 7.74 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 9.28 (1H, d, 芳香族H), 11.46 (1H, s, NH), 11.62 (1H, s, NH). MS (APCI) m/z 432 [M+H]+.
【0137】
20c)
【化57】
水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁液,5.7g,214.8mmol)を20b(30.9g,71.6mmol)のTHF(1L)溶液に氷冷下、何回かに分けて加えた。1時間後、1a(32.1g,143.2mmol)のTHF(80mL)溶液を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌し、更に水素化ナトリウム(1.9g,71.6mmol)を追加した。反応混合物を更に室温で16時間攪拌し、次いで水(1L)を加えて、反応混合物をEtOAc(2×500mL)で抽出した。有機層を併せ、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。該残渣(石油エーテル)の沈殿物を次工程に充分な純度で、精目的化合物(41.3g、定量的な収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.64 (1H, d, 2-CH2), 3.13 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 6.20 (2H, m, CH-N), 6.37 (2H, m, CH=CH), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.33 (4H, m, 芳香族H), 7.52 (2H, m, 芳香族H), 7.96 (3H, m, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 496 [M+H]+.
【0138】
20d1,2)
【化58】
1MボランのTHF溶液(416mL,416mmol)を攪拌した20c(41.3g,83.3mmol)のTHF(1L)溶液に、氷浴で冷却して加えた。反応混合物を0℃で90分間攪拌し、次いで水酸化ナトリウム(32%,52mL,416mmol)を注意深く加え、続いて過酸化水素(30%,140mL,1.25mol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌させた。有機層を上澄み分取し、水(500mL)を加えて、生じた混合物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/AcOEt(容積比95/5から80/20)]で精製し、20d1,2(14.6g、収率34.4%)を精位置異性体混合物として得た。
【0139】
20e1および20e2)
【化59】
20d1,2(14.6g,28.4mmol)、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(10.9g,56.8mmol)、N−ジメチルアミノピリジン(347mg,2.84mmol)、および3,4−ジメトキシフェニル酢酸(11.14g,56.8mmol)のTHF(500mL)の溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水、1N塩酸、水、1N NaOH、水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/AcOEt(容積比99/1から97.5/2.5)]で精製し、フラクションズエステル(fractionsesters)として、両方の精目的化合物(E−ラクタム20e1,7.2g、収率37.0%、およびZ−ラクタム20e2,6.9g、収率34.8%)を得た。
20e1:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.10 (1H, dd, 5-CH2), 2.58 (1H, dd, 5-CH2), 2.66 (2H, d, 2-CH2), 3.02 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 3.75 (5H, s, OCH3, CH2-COO), 3.78 (3H, s, OCH3), 4.77 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.83 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.92 (2H, s, CH2-PMB), 5.09 (1H, m, 5-CH-O), 5.56 (1H, d, 3-CH-N), 5.96 (1H, t, 1-CH-N), 6.92 (5H, m, 芳香族H), 7.30 (4H, m, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.83 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.29 (1H, m, 芳香族H). MS (APCI) m/z 692 [M+H]+.
20e2:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.14 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, m, 5-CH2), 2.66 (2H, m, 2-CH2), 3.05 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (5H, s, OCH3, CH2-COO), 3.75 (3H, s, OCH3), 3.78 (3H, s, OCH3), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.11 (1H, m, 5-CH-O), 5.58 (1H, d, 3-CH-N), 5.95 (1H, t, 1-CH-N), 6.94 (5H, m, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.52 (2H, m, 芳香族H), 7.79 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.33 (1H, m, 芳香族H). MS (APCI) m/z 692 [M+H]+.
【0140】
20f2)
【化60】
ナトリウムメトキシド(10mg,触媒量)を20e2(6.6g,9.5mmol)のTHF(100mL)およびMeOH(100mL)の溶液に加えて、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)からEtOAc]で精製し、精目的化合物(4.40g、収率90.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.91 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.57 (1H, d, 2-CH2), 3.16 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.16 (1H, m, CH-OH), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.33 (1H, d, 3-CH-N), 5.60 (1H, d, OH) 5.87 (1H, t, 1-CH-N), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.34 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.86 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 7.99 (1H, d, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 514 [M+H]+.
【0141】
20g2)
【化61】
ジメチルスルホキシド(2.9mL、40.8mmol)のTHF(20mL)溶液を攪拌した塩化オキサリル(1.8mL,20.4mmol)のTHF(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃で、内温−60℃以下を保ちながら加えた。10分後、20f2(4.2g,8.2mmol)のTHF(200mL)溶液を、−60℃以下で滴下して加えた。さらに10分後、トリエチルアミン(11.8mL,84.8mmol)を加えて、反応混合物を室温まで昇温した。反応混合物を反応停止させ、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機層を併せ、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2単一からCH2Cl2/EtOAc(容積比99/1)]で精製し、精標題化合物(3.1g、収率74.3%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.95 (2H, s, CH2-PMB), 5.55 (1H, d, 3-CH-N), 6.12 (1H, t, 1-CH-N), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.33 (4H, m, 芳香族H), 7.55 (2H, m, 芳香族H), 7.88 (1H, m, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.02 (1H, d, 芳香族H), 9.32 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0142】
20h2)
【化62】
20g2(2.5g,4.9mmol)のアニソール(20mL)懸濁液をトリフルオロ酢酸(100mL)と処理し、加熱還流を2時間行った。濃縮後、該残渣をEtOAc(200mL)およびTHF(50mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をエタノール(200mL)で処理し、生じた沈殿物を濾過した。ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して精標題化合物(1.7g、収率91.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 3.00 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.97 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CH-N), 6.13 (1H, t, 1-CH-N), 7.30 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.57 (1H, m, 芳香族H), 7.87 (1H, d, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0143】
20i2)
【化63】
チタニウム(IV)イソプロポキシド(1.2mL,4.2mmol)および7Mアンモニアメタノール溶液(5.4mL,38mmol)を順に攪拌した20h2(1.5g,3.8mmol)の1,2−ジクロロエタン(100mL)混合溶液に室温で加えた。トリメチルシリルシアニド(0.6mL,5.2mmol)を2時間後加え、反応混合物を室温で18時間攪拌した。次いで水(50mL)を加えた後、反応混合物をCH2Cl2(3×50mL)で抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてAcOEt/CH2Cl2(容積比3/7)]で精製した後、精標題化合物(1.28g、収率80.6%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.61 (1H, m, 5-CH2), 2.32 (2H, s, NH2), 2.74 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.72 (1H, d, 3-CH-N), 5.93 (1H, dd, 1-CH-N), 7.32 (2H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.84 (1H, d, 芳香族H), 7.96 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0144】
20)
【化64】
水酸化リチウム一水和物(84mg,2.0mmol)および過酸化水素(30%,2mL,大過剰量)を20i2(86mg,0.2mmol)のTHF(10mL)溶液に室温で加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。該残渣を水(50mL)で希釈し、沈殿物を濾過し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して精標題化合物(50mg、収率57.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.32 (2H, s, NH2), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.44 (1H, d, 3-CH-N), 5.77 (1H, m, 1-CH-N), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.34 (1H, t, 芳香族H), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7.61 (2H, bs, CONH2), 7.68 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0145】
実施例21〜48
化合物21から48は、当業者に公知の方法および/または本明細書に記載の方法で合成した。
【0146】
実施例49
49f1)
【化65】
先に合成した20e1(7.2g,10.4mmol)のTHF(150mL)およびメタノール(150mL)の溶液を、触媒量のナトリウムメトキシド存在下、室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、濃度勾配系:CH2Cl2100%−10%AcOEt−100%AcOEt)で精製し、精アルコール体(5.22g,98%)を与えた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.88 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.57 (1H, d, 2-CH2), 3.16 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, OCH3), 4.15 (1H, m, 4-CH-OH), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.31 (1H, d, 3-CHN), 5.58 (1H, d, OH) 5.87 (1H, t, 1-CHN), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (1H, m, 芳香族H), 7.33 (3H, m, 芳香族H), 7.47 (1H, td, 芳香族H), 7.56 (1H, td, 芳香族H), 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.01 (1H, d, 芳香族H), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 514 [M+H]+.
【0147】
49g1)
【化66】
攪拌した塩化オキサリル(1.98mL,22.8mmol)のTHF(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でDMSO(3.2mL,45.5mmol)のTHF(20mL)溶液を、−60℃以下を維持するように加えた。10分後、49f1(4.7g,9.1mmol)のTHF(200mL)溶液に、−60℃以下で滴下して加えた。さらに10分後、トリエチルアミン(13.2mL,94.6mmol)を加え、反応混合物を室温まで昇温させた。反応混合物を加水分解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を併せ、水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2から1%AcOEt)で精製し、精該化合物(2.9g,62.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0148】
49h1)
【化67】
49g1(2.4g,4.7mmol)のアニソール(20mL)混合物をトリフルオロ酢酸(100mL)と処理し、還流下2時間加熱した。該反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機乳濁層を減圧濃縮した。該残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して該化合物(1.5g,81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0149】
49i1)
【化68】
攪拌した49g1(1.7g,4.3mmol)のジクロロエタン(100mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(1.4mL,4.8mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアメタノール溶液(6.1mL,43mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.7mL,5.2mmol)を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(50mL)を加え、該混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/CH2Cl2=3/7)で精製し、アミノニトリル体(1.12g、収率62.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0150】
49)
【化69】
先に合成したアミノニトリル体(1.48g,3.54mmol)のTHF(100mL)溶液に水酸化リチウム水和物(1.48g、35.4mmol)を室温で加え、続いて30%過酸化水素溶液(12mL)を加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、生成した沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して該所望化合物(1.25g、収率81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0151】
実施例50
【化70】
化合物49(1.24g,2.85mmol)のエタノール(150mL)溶液に濃硫酸(15mL)を室温で滴下して加えた(注意:非常に発熱)。反応混合物を還流下で24時間攪拌し、次いで氷水(500mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して粗化合物(1.2g、収率90%)を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー[溶離液:濃度勾配系、塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3から1/1)]で精製し、所望化合物(0.38g、収率29%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0152】
実施例51
【化71】
化合物20(1.66g,3.81mmol)のエタノール(200mL)溶液に濃硫酸(20mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を還流下で24時間攪拌し、次いで氷水(500mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、粗該化合物(1.6g,収率90%)を得た。一部をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー[溶離液:濃度勾配系、塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3から1/1)]で精製し、所望化合物(0.64g,収率37%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.52 (1H, d, 5-CH2), 2.66 (1H, d, 5-CH2), 3.05 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.63 (1H, d, 3-CHN), 5.81 (1H, m, 1-CHN), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.70 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.55 (1H, s, NH), 9.30 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0153】
実施例52
【化72】
化合物50(0.33g,0.71mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(100mL)を加えた。反応混合物を1週間(HPLCで管理)室温で攪拌し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)に続いてメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物(0.25g、収率77%)を得た。該塩基(0.3g,0.66mmol)のアセトン溶液に、塩酸エタノール溶液を加えた。得られた混合物を減圧濃縮し、該塩を酢酸エチルでトリチュレートし、濾別し、酢酸エチルで洗浄し、40℃で真空乾燥し、該所望化合物(0.262g、収率81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
【0154】
実施例53
【化73】
化合物51(0.62g,1.33mmol)に2MメチルアミンのTHF溶液(100mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間(HPLCで管理)攪拌し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、次いでメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物(0.36g、収率60%)を得た。該塩基(0.185g,0.41mmol)のアセトン溶液に、塩酸エタノール溶液を加えた。得られた混合物を減圧濃縮し、塩を酢酸エチルでトリチュレートし、濾別し、酢酸エチルで洗浄し、40℃で真空乾燥して、所望化合物(0.188g、収率94%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.49 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.97 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.78 (1H, m, 1-CHN), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.34 (1H, t, 芳香族H), 7.47 (1H, m, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.67 (1H, d, 芳香族H), 7.88 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, m, 芳香族H) 8.12, (1H, broad, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
【0155】
実施例54
54a1および54a2)
【化74】
PMB保護されたケトン(1.6g,3.1mmol)のジクロロエタン(100mL)溶液にチタニウムイソプロピレート(11.1mL,37.5mmol)を加え、続いて(S)−t−ブチルスルフィナミド(2.3g,18.7mmol)を室温で加えた。反応混合物を還流下で3時間加熱した。室温に冷却した後、水を加えて、生成した沈殿物を濾別し、塩化メチレンおよびTHFで洗浄した。濾液を飽和食塩水、続いて水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/CH2Cl2=95/5)で精製した後、ジアステレオマー1、54a1(0.52g、収率26%)およびジアステレオマー2、54a2(0.32g、収率15.6%)を得た。(溶出順)
54a1:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ0.38 (9H, s, C(CH3)3), 2.82 (1H, dd, 5-CH2), 3.22 (2H, m, 2-CH2, 5-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.73 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 6.05 (2H, m, 3-CHN, 1-CHN), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.96 (1H, d, 芳香族H), 8.02 (1H, d, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 615 [M+H]+.
54a2:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ0.85 (9H, s, C(CH3)3), 2.85 (1H, dd, 5-CH2), 3.22 (2H, m, 2-CH2, 5-CH2), 3.58 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.80 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.86 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.96 (2H, s, CH2-PMB), 6.06 (2H, m, 3-CHN, 1-CHN), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.31 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.83 (1H, d, 芳香族H), 7.99 (2H, m, 芳香族H), 9.33 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 615 [M+H]+.
【0156】
54b1)
【化75】
54a1(0.52g,0.85mmol)のTHF(20mL)を1N塩酸水溶液(20mL)と室温で3日間作用させた。反応完了後(TLCモニタリング)、反応混合物を減圧濃縮した。濃縮液を酢酸エチルで溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して精キラル54b1(0.45g、定量収率)を得た。
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:8.99分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0157】
54c1)
【化76】
54b1(0.45g,0.88mmol)のアニソール(4mL)の混合物をトリフルオロ酢酸(40mL)と加熱還流下、2時間作用させた。反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。該有機乳濁層を減圧濃縮した。残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して、54c1(0.33g、収率96%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0158】
54d1)
【化77】
攪拌した54c1(0.33g,0.84mmol)のジクロロエタン(20mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(0.3mL,0.93mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアのメタノール溶液(1.2mL,8.4mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.14mL,1.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(10mL)を加えて、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、アミノニトリル体54d1(0.36g,定量収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0159】
54e1)
【化78】
54d1(0.36g,0.84mmol)のTHF(50mL)溶液に、水酸化リチウム水和物(0.35g,8.4mmol)を加えて、続いて30%過酸化水素溶液(5mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮し、残渣を水で希釈し、生じた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥し、所望化合物54e1(0.3g、収率82%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0160】
54f1)
【化79】
54e1(0.30g,0.69mmol)のエタノール(20mL)溶液に濃硫酸(2mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を還流24時間攪拌し、次いで氷水(50mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、該化合物54f1(0.27g、収率84%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0161】
54)
【化80】
先に合成したアミノエチルエステル54f1(0.27g,0.58mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(50mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間攪拌(HPLCで管理)し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、続いてメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物54(0.045g、収率17%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:14.3分
【0162】
実施例55
55b2)
【化81】
ジアステレオマーイミン54b1(0.32g,0.52mmol)のTHF(20mL)溶液と1N塩酸水溶液(20mL)を室温3日間反応させた。反応完了後(TLCモニタリング)、反応混合物を減圧濃縮した。該濃縮液を酢酸エチルで溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、キラルPMB保護されたケトン体55b2(0.29g,定量収率)を得た。
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:9.87分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0163】
55c2)
【化82】
先に合成したケトン体55b2(0.29g,0.56mmol)のアニソール(3mL)混合物をトリフルオロ酢酸(30mL)と加熱還流で2時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。該有機乳濁層を減圧濃縮した。該残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して化合物55c2(0.195g、収率89%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0164】
55d2)
【化83】
攪拌した55c2(0.195g,0.5mmol)のジクロロエタン(20mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(0.16mL,0.55mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアメタノール溶液(0.7mL,5.0mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.04mL,0.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(10mL)を加え、混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、アミノニトリル体55d2(0.22g、定量収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0165】
55e2)
【化84】
55d2(0.22g,0.5mmol)のTHF(50mL)溶液に、水酸化リチウム水和物(0.21g,5.0mmol)を室温で加え、続いて30%過酸化水素溶液(5mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで溶媒を減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、生じた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して該所望化合物55e2(0.16g、収率73%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0166】
55f2)
【化85】
55e2(0.16g,0.37mmol)のエタノール(20mL)溶液に濃硫酸(2mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を24時間還流し、次いで氷水(50mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、化合物55f2(0.17g、収率99%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0167】
55)
【化86】
先に合成したアミノエチルエステル(0.17g,0.37mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(50mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間攪拌(HPLCで管理)し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、次いでメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、55(0.035g、収率21%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:15.9分
【0168】
合成した全化合物の一覧は、表1に提供する。
表1.化合物1〜55の構造
【表1】
【表2】
【0169】
実施例56
(生物学的特性)
本発明における窒素置換され、N,N−架橋された炭素環式インドロカルバゾール化合物による酵素活性阻害は、例えば、以下の試験を用いて決定する事ができる。
1.細胞外シグナル制御キナーゼ2阻害アッセイ(ERK2)
2.タンパク質キナーゼA阻害アッセイ(PKA)
3.タンパク質キナーゼC阻害アッセイ(PKC)
4.グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害アッセイ(GSK3β)
これらの試験の記述は、以下の実施例56A〜Dに規定されている。その結果は、例示することを意図しており、開示の範囲を限定的に解釈される意図ではない。便宜上、略語は以下のように定義する:マイクログラムを”μg”、ミリグラムを”mg”、グラムを”g”、マイクロリットルを”μL”、ミリリットルを”mL”、リットルを”L”、ナノモーラーを”nM”、マイクロモーラーを”μM”、ミリモーラーを”mM”、モーラー(molar)を”M”。本発明の化合物は、好ましくは本明細書に記載のアッセイにおいて、約100μMから約10μMの濃度で、測定可能な阻害を示す。より好ましくは、本発明の化合物は、約10μMから約1μMの濃度で、測定可能な阻害を示す。さらにより好ましくは、本発明の化合物は、1μM未満の濃度で、測定可能な阻害を示す。
【0170】
上述の4つのキナーゼにおけるインビトロ活性の一覧は、試験化合物の10μM濃度での阻害パーセントとして表され、表2において合成されたほとんどの化合物を提供する。
【表3】
【0171】
実施例56A−細胞外シグナル制御キナーゼ2(ERK2)活性の阻害
ERK2キナーゼ活性アッセイは、放射活性の読み出しとともに96穴PCRプレートの放射活性に基づくフォーマットを利用する。ERK2活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、1mM MgCl2、1mM DTT、2%DMSO、150ng/mL ミエリン標準タンパク質(MBP,シグマM−1891)、および13.6ng/mL ヒスチジン標識ERK2(特異的活性=38.1nmol/分*mg)を含んだ25μLのアッセイ混合物でアッセイされた。化合物は、10μM濃度でのERK2キナーゼ活性の阻害についてスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分で進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。次いで、15μLの各溶液を対応する四角いフィルターマット(8×12ガラス繊維マット90×120mm,PE−Wallac1450−421)にスポットした。フィルターマットを乾燥させ、10%TCA、2%PPA、500mM食塩水で、それぞれ室温で30分間洗浄した。さらに、10%TCAおよび2%PPAの二つの洗浄を30分ずつ行って、次いで最後に99%エタノールを用いて、室温で30分洗浄し、フィルターマットを風乾させた。その後、乾燥させたフィルターマットは、該フィルターマットを覆うメルチレックス(Meltilex)シート(メルト−オン シンチレーターシート73×109mm、フィルターマットA用PE−Wallac1450−441)と一緒にサンプルバッグに置いた。バッグをマイクロプレートヒートシーラー(PE−Wallac 1495−021)に適合するように切り取った。ヒートシーラーを用いて、フィルターマット上のメルチレックスを溶かす。フィルターマットと溶解したメルチレックスを含むバッグは、次いでフィルターカセットに収納し、マイクロベータジェットシンチレーションおよび発光計測器PE−Wallac1450を用いてカウントした。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0172】
実施例56B−タンパク質キナーゼA阻害の阻害
PKAキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。PKA活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、10mM MgCl2、1mM DTT、1mM EDTA(pH8)、2%DMSO、250ng/mLヒストンH2B(ロシュ223 514)、および2ng/mL PKA(触媒サブユニット、牛の心臓、カルビオケム539486、特異活性=1170pmol/分*μg)を含んだ25μLのアッセイ混合物でアッセイされた。化合物は、10μM濃度で、PKAキナーゼ活性の阻害についてスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分で進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。実験手順の残りは、ERK2の報告と同一である。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0173】
実施例56C−タンパク質キナーゼC活性の阻害
PKCキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。PKC活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、10mM MgCl2、1mM DTT、1mM EDTA(pH8)、2mM CaCl2、2%DMSO、250ng/mLヒストンH1(ロシュ 1 004 875)、および165ng/mL PKC(ラット脳,カルビオケム539494、特異活性=1600nmol/分*mg)を含んだ、25μLのアッセイ混合物をアッセイした。化合物は、10μM濃度でのPKCキナーゼ活性の阻害をスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。実験手順の残りは、ERK2の報告と同一である。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0174】
実施例56D−グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β阻害活性
GSK3βキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。GSK3β活性は、8mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、0.2mM EDTA(pH8)、2%DMSO、250ng/mLミエリン標準タンパク質(MBP,シグマM−1891)、12ng/mL GSK3β(アップステートディスカバリー、特異活性=607nmol/分*GS2ペプチド、濃度6.05mg/mL)を含む25μLアッセイ混合物をアッセイした。化合物は、10μMの濃度で、GSK3βキナーゼ活性の阻害をスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分進行させて、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。
【0175】
(バイオアベイラビリティ特性)
本明細書に開示された新規化合物群は、先行技術の密接に関連した構造と直接比較すると、血液脳関門の透過能が優れている事を示す。図23は、NAD0241の投与後短時間で、脳/血漿比が約1になり、CNSコンパートメントへの充分な平衡に本質的に達する事を示す。これは、米国特許第6013646号で開示された密接に関連した化合物NAD002より数倍、および構造的に関連する天然物K252aに比べ約2倍に改良されていることを表す。同一の賦形剤条件を有する同等量投与において、より高いレベルのNAD0241が、参考化合物より周辺コンパートメントの低暴露を維持しながら、脳内で可能となる事が、図22から認め得る。図20および21は、NAD0241に匹敵する血漿レベルにもかかわらず、血液脳関門透過性は事実上持ち合わせていない構造的に無関係のモノグリコシル化されたインドロカルバゾール化合物の参考例を示す。NAD0180の疑似レベルは、脳内血管コンパートメントからの汚染の寄与を表している。
【0176】
該新規化合物群は、塩の形体において製剤化しやすいので、賦形剤中の溶解特性および固形製剤の溶出性を大幅に改良し得る。図24は、NAD0241の塩酸塩を形成することで、約10倍程度水溶性の改善を示す。
【0177】
要約すると、該新規化合物群は、関連構造を有する比較される化合物より末梢の副作用が低く、より良い医薬品の経済性評価指標を有する、CNSにおける標的となるキナーゼに関連する病理学的機構を提供する。
【0178】
以下の例では、NAD0241に代表される、新しい系での優れた医薬的特徴を説明する。
【0179】
実施例56E−NAD0241の脳/血漿比の決定およびNAD0180との比較
化合物の適用:1.5mL/kgのPEG400マクロゴールPh.Eur.ベヒクル中に、各々5mg/kgのNAD0241およびNAD0180を、体重240−270gのウィスターハンラット(Wistar Han Rats)2群(n=3)の大腿部静脈に静脈注射を投与した。本適用は麻酔下で行い、初期麻酔は3.5%イソフルオラン/酸素で行い、次いで化合物の投与中および血管縫合の間、1%を維持した。200μLの局所麻酔剤リドカインを局所投与した。化合物の投与1時間後、200μLの血液を尾部血管の切開によって採取した。続く血液サンプリング後すぐに、素早い二酸化炭素麻酔の後、断頭によって終了した。脳は切除し、秤量した。血漿は、尾部血管血液を13000gで、4℃で20分遠心分離により得た。
【0180】
血漿からNAD0241の抽出:ガラス試験管に、濃アンモニア溶液200μLおよび飽和NaCl溶液200μLを同量の血液から得た各々の血漿サンプルと混合させた。混合物を2mL酢酸エチル(HPLCグレード)で1分間激しくボルテックスして抽出し、細かい乳濁液を形成した。加速させた後、4000gで室温5−10分、遠心分離することによって層を分離した。有機層をガラスピペットで採取し、50−60℃でスピードバック(SpeedVac)を用いて、ガラスバイアル中で蒸発させた。水層は同様の方法で、2回抽出を行い、有機層は、最初の抽出液と併せた。
【0181】
脳から化合物NAD0421の抽出:ラット脳の2分の1は、コニカル底試験管に置き、飽和食塩水500μLにおいて、4℃で20分間、55%力で超音波処理(BandelinSonoplus UW2070,ベルリン)によって、ホモジネートした。200μLの濃アンモニアをサンプルに加えた。抽出は、次いで血漿サンプルで行ったのと同様に2mL酢酸エチル(HPLCグレード)で2回行った。
【0182】
血漿および脳からNAD0180の抽出:抽出は、抽出前に濃アンモニアを加える事を除いて上記のNAD0241に記載と同様に行った。
【0183】
NAD0241およびNAD0180の抽出回収および標準曲線の構築:コントロールラットから得られる、100μLの血漿または0.5gの飽和NaClでホモジネートした脳組織に、それぞれNAD0241およびNAD0180を、1ng/mLから5μg/mLの濃度範囲になるように滴下した。滴下した脳または血漿サンプルを次いで抽出し、上記の方法を行った。抽出液の定量分析は、HPLCによって、蛍光検出を用いて行った。有機抽出液を併せ、蒸発させた後の残渣を300μLのアセトニトリルで溶解し、NAD0241は、流速0.75mL/分で5μm RP18 SelectB 12.5×4.6mmカラム(メルク)に、NAD0180は、流速1.250mL/分で、C18シールドシンメトリー25×4.6mmカラム(Waters and Owen)に100μLを注入させた。溶離は40℃の温度において、アセトニトリル/水(容積比60/40)を用いて、イソクラティックで行った。蛍光検出およびピーク面積による定量は、NAD0241の励起および発光波長は、それぞれ317nmおよび542nmで、NAD0180の励起および発光波長は、315nmおよび565nmで、G1321A(AgilentTech1100シリーズ)検出器を用いて行った。ピーク面積は、それぞれNAD0241およびNAD0180のアセトニトリル(HPLCグレード)ストック溶液から調製した純標準溶液を種々の濃度で注入した後に、得られたピーク面積を比較し、抽出効率を決定し、抽出効率は、通常90−95%であった。標準曲線は、純標準液の注入された量、μgに対する蛍光ピーク面積をプロットすることにより得られた。
【0184】
実施例56F−NAD0241と比較による、先行技術化合物K252aおよびNAD002の脳/血漿比の決定
先行技術化合物K252aおよびNAD002は、血液脳関門透過能において、NAD0241との直接比較を与えるために、実施例56Eで用いた同一の適用条件を使用することで評価した。NAD0241を含む全化合物の注入量は、2.3mL/kg、すなわち動物につき平均して約500−600μLに固定した。その他のパラメーターは、変化させなかった。
【0185】
体液および脳組織のサンプリングは、実施例56Eに記載したとおり行った。脳および血漿からの化合物の抽出は、実施例56Eに記載のとおり行ったが、濃アンモニア溶液はK252aおよびNAD002の抽出の前には加えなかった。
【0186】
K252aのHPLC分析は、5μm メルク RP 18 Select B 12.5×4.6mmカラムを用い、流速0.75mL/分、アセトニトリル/水(容積比60/40)で、イソクラティック溶離で行った。蛍光励起/発光は、284nm/476nmであった。NAD002は、C18シールドシンメトリー25×4.6mmカラム(Waters and Owen)を用い、40℃で、励起/発光波長は315/565nmを用いて分析した。定量は、実施例56Eと同様に行った。
【0187】
実施例56G−NAD0241の遊離塩基および塩酸塩の水/DMSO(容積比99/1)中での溶解性決定
NAD0241(100mM)およびその塩酸塩(50mM)のDMSO(UVグレード)ストック溶液は、実験前新たに調製し、さらに最終濃度の10mMまで希釈した。これらの100%DMSOのストック溶液は、水(UVグレード)で希釈し、5つの濃度の異なる(1000,500,100,50,および10μM)水/DMSO(容積比99/1)のサンプルを調製した。
【0188】
各サンプルは、激しく30秒間ボルテックスによって混合し、続いて室温18時間で平衡化した。各サンプルの500mLアリコート(aliquot)は、1.5mLポリプロピレンチューブに移し、固定角卓上遠心分離器(#3325回転機を備えたHeraeus Biofuge pico)で、16000gで室温30分間遠心分離した。上清をピペットで水晶ガラスキュベットに入れ、UV吸収(322nm)を、UV分光光度計(Varian Cary50)を用いて測定した。各実験は、同一に行った。
【0189】
NAD0241の場合、23mg/Lの値が、両方の実験で1%DMSOを含む水への溶解限界としてわかった。その塩酸塩は、2つの二重実験によって、それぞれ170mg/Lおよび214mg/Lの値を与えた。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】は、本発明の化合物Ia−hの構造を示し、それらの合成は以下に詳細に述べる。
【図2】は、ジブロモ中間体IIの合成を示し、その中間体は、一般式Iの化合物の合成に用いられる。
【図3】は、ビス−ハロマレイミド中間体IVa,bの合成を示し、その中間体は、一般式Iの化合物の合成に用いられる。
【図4】は、鍵となるN−保護された対称架橋インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物VIIIaの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図5】は、鍵となるN−保護された非対称架橋インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物VIIIbの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11=カルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図6】は、鍵となるN−保護された架橋インドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物XIIIa,bの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図7】は、鍵となる架橋インドロカルバゾールイミド中間体XVa,bおよびXVIa,bの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図8】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Iaの合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図9】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ibの合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図10】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ic/1−3の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図11】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Idおよび1d/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図12】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ieおよび1e/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図13】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ieおよび1e/2の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図14】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ie/3および1e/4の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図15】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ie/5および1e/6の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図16】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ifおよび1f/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図17】は、鍵となる架橋インドロカルバゾールラクタム中間体XXVIa,bおよびXXVIIa−dの合成における代替的な詳しい経路を示し、その中間体は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方だけがカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図18】は、鍵となるE−およびZ−位置異性体対のケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム中間体XXVIIa,bおよびXXVIIc,dの合成における代替的な詳しい経路を示し、その中間体は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方だけがカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図19】は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方がカルボニル)に描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ig/1−3およびIh/1−3の構造を示す。
【図20】は、投与後1時間後のNAD0180(比較化合物)で処理したラットの脳と血漿濃度との比較による、NAD0241(実施例5の化合物)で処理したラットの脳と血漿濃度を示す。NAD0241がBBBをより容易に通過する能力を示し、脳内におけるNAD0241およびNAD0180濃度との間にかなり違いがある。
【図21】は、適用条件でのNAD0241およびNAD0180における脳および血漿との比を示す。この比は30倍以上の差があり、NAD0180と比較して、より良いNAD0241の透過速度性を示す。
【図22】は、実施例56Eおよび56Fで提供した条件を適用した投与後1時間後のNAD0241、NAD002(WO 00/01699記載の化合物CII)およびK252aの脳および血漿濃度を示す。NAD0241は、NAD002に比べ有意に高濃度で脳内に存在した。NAD0241と比べ、NAD002およびK252aの血漿レベルにも有意差がある。
【図23】は、1時間でのNAD0241,NAD002およびK252aの脳/血漿比を示す。脳/血漿比が1であることは、適用条件下で成され、結果として、中央コンパートメントの暴露はより低く、脳レベルでは、同等またはより高い暴露となる。NAD0241の低い血漿レベルは、より良い体内分布をも示している。血漿に対する脳比はまた、1時間での血漿レベルを決定することにより、NAD0241の脳レベルは容易に予測され、治療目的での投与方法の設計を単純化する事も示唆する。
【図24】は、水/ジメチルスルホキシド(容積比99/1)中でのNAD0241(遊離塩基)およびNAD0241塩酸塩の溶解性を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた薬学的性質を有する新規タンパク質キナーゼ阻害剤、それらの製造方法、それらの中間体およびそれらからなる医薬品組成、それらを含む試薬、および治療剤、特にCNS疾患における治療剤としてのそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ類は、タンパク基質に局在する水酸基にリン酸基の転移を触媒する酵素の大分類を構成する。タンパク質キナーゼの異常制御は、無秩序な細胞分裂、刺激に対する異常な細胞応答、細胞分化、および骨疾患の変性、代謝性疾患、炎症疾患、感染症、および中枢神経系疾患に大きく関連していると一般的に認識されている。生理学および病気におけるタンパク質キナーゼの機能についてのこれまでに蓄積している理解の背景を基に、かかる酵素の阻害はより原因に近く、これにより、より効果的な治療を導く期待がある。
【0003】
受容体シグナル伝達に関する障害において、チロシンキナーゼは、良く確立された医薬的標的、特に体細胞変異が、通常厳密に制御された受容体キナーゼドメインにおける常時活動の誘導のために、しばしば発癌を引き起こすような種々の腫瘍型における標的である。この分類のキナーゼ類は、abl、kit、met、src、EGFR、ErbB受容体およびFGFRの種々の同族体、Fak、fes、Fyn、IGF−1R、Ins−R、Jak、Lck、Lyn、PDGFR、trkなどが例示される。
【0004】
セリン/スレオニン−キナーゼは、細胞内制御にしばしば関与する。通常、腫瘍中のraf−キナーゼの顕著な例外を有する突然変異による疾病とは関連しないが、異常シグナル伝達に関連する過剰反応は、それらを興味が持たれる医薬的標的でもある。上記の分類は、細胞周期の中心的制御点としての種々のCDKファミリー、およびシグナル伝達カスケード類、特にrafキナーゼ、MLK類、MEKK類、MEK類、ERK類、JNK、SAPK2(p38)およびGSK−3等の拡張されたMAP−キナーゼファミリーが例示される。上記のすべては、種々のセリン/スレオニン−プロリン配列モチーフの特異性のため、いわゆる「プロリン配向性」キナーゼのスーパーファミリーに属する。対照的に、PKA、PKC、CaMK等の非プロリン配向性キナーゼは、膜およびイオン電流活性に関与し制御するセカンドメッセンジャーを変換する。
【0005】
上記キナーゼの機能は、癌生物学(例えば、ras突然変異に関連するCDK類またはMAP−キナーゼ経路)、炎症(例えば、TNFシグナル伝達のp38)、もしくは代謝性疾患(グルコース供給能の制御におけるGSK3)において、現在よく理解されているが、CNS疾患におけるそれの役割はあまり知られていない。しかしながら、それらが記憶形成、酸素ラジカルの慢性被曝による神経変性、およびアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、脳卒中、および頭外傷における細胞骨格障害について重要な役割があることはさらに理解されている。
【0006】
異常なタンパク質リン酸化は、微小管関連タンパクのタウ(タウオパシー)に関する病理学分野で最も多く報告されており、またタウは、ADの不変特徴、および進行性痴呆症の臨床上の症状の進行にて決定的に重要である。ERK2は、実質的に全17ある有効なタウのセリン/スレオニン−プロリン部位をリン酸化する特有の能力があるため、タウ(PHF−タウ)の病理学的な過剰リン酸化を行うキナーゼの第一候補である。(参考文献:Roder,H.M.,Ingram,V.M., J. Neurosci. 1991, 11, 3325-3343; Drewes,G.et al., EMBO J., 1992, 11, 2131-2138; Roder,H.M.et al., BBRC, 1993, 193, 639-647)。ERK2の阻害は、したがってタウの過剰リン酸化(WO 00/01699)、その機能的後遺症、すなわち、微小管の不安定化、輸送障害、およびPHF形成における過剰リン酸化タウの凝集(神経繊維のもつれ)を防ぎ得る。
【0007】
キナーゼ類の阻害剤は、タンパク質キナーゼが含まれる代謝過程で引き起こされる障害の新規治療法を提供する。強力かつ選択的なキナーゼ阻害剤のいくつかは、天然資源から、および合成取り組みの結果としてすでに見出されている。先行技術として知られるタンパク質キナーゼ阻害剤は、非常に多様な構造に及んでおり、例えば、ピリミジン化合物、インドリノン化合物、ピリジニルイミダゾール化合物、アミノプリン化合物、フラボノイド化合物、およびグリコシル化されたインドロカルバゾール化合物等がある。これらのタンパク質キナーゼ阻害剤は、例えば、Adams, J.L. and Lee, D., Curr. Opin. Drug Disc. Dev., 1999, 2, 96-109, Stover, D.R. et al., Curr. Opin. Drug Disc. Dev., 1999, 2, 274-285, Dumas, J., Exp. Opin. Ther. Pat., 2000, 11, 405-429, and Davies, S.P. et al., Biochem. J., 2000, 351, 95-105. 等に記載されている。
【0008】
グリコシル化されたインドロカルバゾール系キナーゼ阻害剤群は、重要な調査対象である。この分野での先行技術のほとんどは、スタウロスポリンおよびK252aで例示される天然物類から得られている。これらの天然物前駆体から誘導される多様な化合物の使用は、種々の癌型およびCNS障害の治療、例えば、WO 93/08809, WO 94/02488, WO 94/27982, WO 94/04541, WO 95/07911, EP 0 508 792. などで特許請求されている。これらに分類される化合物のいくつかは、種々の癌型の臨床評価がなされている。ある化合物は、PDの臨床第三相試験中である。しかしながら、先に開示された化合物群の構造多様性は、天然物の出発原料からの単に半合成的方法で課される制約のため限定される。
【0009】
より多様性のあるものには、米国特許第6013646号で開示されている合成誘導可能な炭素環誘導体がある。しかしながら、上記のタイプの化合物と一般的に関連する医薬的な問題の多くには、充分取り組んでいない。
【0010】
本発明の一つの目的は、タンパク質キナーゼ阻害活性を有する化合物を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、特に、該標的タンパク質キナーゼ類に対して、強力かつ選択性を共に最適化する必要があるため、広範な構造多様性を獲得するために充分合成可能な化合物を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、血液脳関門(BBB)を通過する特別な能力によって、先行技術化合物とは区別される化合物を提供することであり、その能力は、特にCNS適応にふさわしいものにさせる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、塩を形成するのに適し、溶解性を改良し、および容易な投与手段を提供するのに適した化合物を提供することである。塩形成は、エナンチオ的に純粋な酸を用いて塩を形成後に、キラル分離をするのに簡便な態様でも有り得る。
【0014】
(発明の要約)
本発明は、N、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。本発明はまた、タンパク質キナーゼの活性を阻害するN、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。本発明の更なる態様として、インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中および他の神経外傷治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病の化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常機能により引き起こされる病気治療のための、ならびにアルツハイマー病等の神経変性疾患の治療のためのN、N−架橋され、窒素置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物に関する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
以下の定義は、発明を説明するのに有効であり、反復説明の必要性を回避できる。
【0016】
「アルコキシ」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、芳香族または非芳香族である、元のアルコールもしくはフェノールの水酸基から単一の水素原子を除いて生じるアルコキシ基を意味する。
【0017】
「アルキル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルカンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0018】
「アルキレン」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルカンの末端二炭素原子から水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0019】
「アルケニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルケンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0020】
「アルキニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元のアルキンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0021】
「アリール」は、無置換および置換の、元の芳香環から単一の水素原子を除いて生じる芳香族基を意味する。
【0022】
「炭素環」は5員環で、無置換または置換された環状であり、元の環状化合物から単一の水素原子を除いて生じる非芳香族炭化水素基を意味し、該環状化合物は、適宜1もしくは2の炭素−炭素二重結合を含む。
【0023】
「修飾」は、例えば阻害活性を増強する、または特定のタンパク質キナーゼに対する特異性を向上させるためのような特別な目的のために、特に有効である置換形式を意味する。
【0024】
「修飾する」は、所望の性質を有する化合物を得るための置換形式の変化させることを意味する。限定されない修飾する例としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エステル基またはアミノ基等のアシル化、酸化、還元(例えば、還元的アミノ化)、およびアルキル化などがある。
【0025】
「ヘテロアリール」は、1もしくはそれ以上の環内原子が炭素でない、元の芳香環から単一の水素原子を除いて生じる無置換および置換された基を意味する。
【0026】
「阻害剤」は、十分量加えた場合、前記の酵素によって触媒され得る少なくとも一反応において、所定の酵素の触媒活性を減少させる事ができる物質に関する。
【0027】
「低級アルキル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数1−6の炭素原子を含むアルカンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0028】
「低級アルケニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数2−6の炭素原子を含むアルケンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0029】
「低級アルキニル」は、無置換および置換の、直鎖および分枝鎖の、元の炭素数2−6の炭素原子を含むアルキンから単一の水素原子を除いて生じる炭化水素基を意味する。
【0030】
本明細書で用いる「置換された」とは、1もしくはそれ以上の水素原子が、1もしくはそれ以上の非水素原子、またはこれに限らないが、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミド、カルボキシル、アルキルカルボキシレート、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロ環、環状ヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、アシル、オキソ、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アラルキル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、およびシアノを含む官能基または官能部位に置き換えられる分子もしくは分子残基をいう。
【0031】
発明は、限定されないより好ましい発明の態様、ならびに添付している図で図解される実施例に関して、より詳細に説明される。
【0032】
一般式Iの分子が、タンパク質キナーゼのかなり強力な阻害剤である事を見出した。驚くべき事に、それらの物理化学的性質およびBBB通過は、先行技術化合物(例えば、WO 00/01699 に記載)に比べ充分改良されている。
【0033】
本発明は、一般式(I):
【化1】
[式中、
R1は、NR13R14であり、あるいはR2と一緒になって適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、スピロ−ヒダントイル)を形成され得るか、またはR3と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、オキサゾリン−2−オン−4,5−ジイル)を形成され得;
R2は、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、H、OR13、OCOR13、OCONHR13、およびOCONR13R14からなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールもしくはヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、CONR13R14、CSR13、CSSR13、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、N3、OR13、OCOR13、SR13、SO2R13、およびSiR15R16R17からなる群から選択され;ここで、R15、R16およびR17は、同一または異なって、独立してH、低級アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
R8およびR9は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R10およびR11は、カルボニルと異なる場合、R8およびR9は一緒になって、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子で置換され;
R10およびR11は、単独で用いられる場合、両方がH、またはその一方がHで他方がOH、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R8およびR9はカルボニルと異なる場合、R10およびR11は一緒になって、カルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R12は、H、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたベンジル、アリール、ヘテロアリール、COR13、COOR13、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は同一または異なって、独立してH、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたアシル、アリール、適宜置換されたベンジルおよびヘテロアリール基からなる群から選択され;
もしくは一緒になって、N3、または適宜飽和または不飽和N−ヘテロ環を形成され得る(例えば、モルホリノ、ピペリジニル、または例えば、下式の群の適宜置換されたトリアゾリルであり;
【化2】
例えば、下式の群の適宜置換されたテトラゾリルであり;
【化3】
ここで、R18およびR19は同一または異なって、各々独立して、H、低級アルキル、COR13、COOR13、CONHR13およびCONR13R14からなる群から選択される)]
の構造を有する化合物類に関する。
【0034】
本発明における化合物は、1またはそれ以上の不斉中心を含み得ること、および光学活性体またはラセミ体で単離され得ることは、当業者によって理解される。それ故、構造の全キラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体および全幾何異性体は発明の範囲に包含される。本発明の範囲に分類される化合物は、上記化合物の医薬的に許容される塩も含む。
【0035】
発明のより好ましい態様は、一般式(IA):
【化4】
[式中、R1からR12は、一般式(I)と同義である]
の構造を有する化合物類に関する。
【0036】
本発明の式(I)および(IA)の化合物は、本明細書では、N、N−架橋され、アミノ置換された炭素環式インドロカルバゾール化合物と命名しており、それらの特徴が、表2の結果で記載されているような、多様な治療に関連するキナーゼ標的に対する選択性および効力に達するための構造改良によって調節でき得るので、キナーゼ阻害剤として非常に有効である。これらの化合物は、種々の障害において、タンパク質キナーゼ活性の特異的および選択的調節のための治療剤の有効な源となることもまた見出している。より明確には、それらは、アルツハイマー病を含む神経変性疾患治療に有用な正常でないERK2活性の強力な阻害剤である。
【0037】
より好ましいタンパク質キナーゼ阻害剤である、式IおよびIA:
[式中
R1は、NR13R14であり;
R2は、H、CN、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、CONHR13、CONR13R14、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、およびOR13からなる群から選択され;
R8およびR9は、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、もしくは一緒になって、それらはカルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、カルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11は、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニルと異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12は、H、置換された低級アルキル、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は、同一または異なって、独立してHおよび置換された低級アルキルからなる群から選択される]
の化合物である。
【0038】
より好ましい化合物は、アルツハイマー病を含む神経変性疾患に対して、改善されたインビボ活性を示す一般式IおよびIA:
[式中
R1は、NHR13であり、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R2は、CN、COOR13およびCONHR13からなる群から選択され;ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R3は、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、NHR13、およびOR13からなる群から選択され;ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R8およびR9は、両方がH、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11は、両方がH、もしくは一緒になって、カルボニル基の酸素原子であるが、但し、R8およびR9が、カルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になって、カルボニル基の酸素原子であり;
R12はHである]
である。
【0039】
さらに、好ましい態様において、本発明は、一般式(IB):
【化5】
[式中、R1からR7およびR12は、一般式(I)および(IA)と同義である]
の構造を有する化合物類に関する。
【0040】
さらに本発明は、1またはそれ以上のタンパク質キナーゼ活性を阻害するための本発明の化合物の使用にも関する。好ましくは、タンパク質キナーゼは、細胞外シグナル制御キナーゼ2、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼC、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βからなる群から選択される。さらなる態様において、本発明は、インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中、および他の神経外傷の治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病治療のための化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常によって引き起こされる疾病治療のための、ならびに例えばアルツハイマー病のような神経変性疾患治療のための本発明化合物の使用に関する。
【0041】
該治療は、治療上の有効量の少なくとも一つの本発明の化合物および/またはそれらの医薬的に許容される塩を医薬的に許容される賦形剤との混合に用いて行われる。
【0042】
「治療上の有効量」は、単独もしくは別の薬物投与と併用して、所望の反応もしくは生理的効果を生じさせる量に関する。特定の病気もしくは症状の治療に関して、該所望の反応は、遅延からなる病気の経路の阻害、特に病気の進行の停止に関する。治療上の有効量は、特定化合物の活性および他の要因、例えば治療がされる患者の症状、病気の重傷度、年齢、生理的状態、患者の身長および体重、治療期間および投与様式等の他要因に依存して選択されうる。
【0043】
医薬的に許容な塩は、これに限らないが、アミノ基もしくはカルボキシル基で形成されるそれらの塩を含む。酸付加による塩形成に適した酸は、HCl、HBr、H2SO4、HNO3、H3PO4等の無機酸、または酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびサリチル酸等の有機酸である。カルボキシル基と塩を形成し得る塩基化合物は、これに限らないが、NaOH、KOH、NH3、Ca(OH)2、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエチルアミン、ヒスチジン、およびプロカインを含む。
【0044】
用語「医薬的に許容な賦形剤」は、患者へ投与の際に刺激を全くまたは、ほんの僅かしか引き起こさず、本発明化合物の活性を減じない、もしくは本発明化合物と干渉しない化合物に関する。
【0045】
本発明の少なくとも一つの化合物および/またはそれらの医薬的に許容な塩を医薬的に許容な賦形剤と混合してなる医薬組成物は、種々の様式で患者に投与され得る。例えば、経口投与、口腔投与、舌下投与、局所投与(topic)、経腸投与、鼻腔投与、眼球投与、局所性投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および直腸投与等を用いる。医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、コーティング錠、点滴、坐剤、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ剤、噴霧剤、カプセル剤(好ましくは、ソフトもしくはハードゼラチンカプセル)、粒剤、もしくは粉剤の形体であり得る。
【0046】
(製造法)
本発明の化合物は、当業者に良く知られる方法、および以下に記載する方法、あるいは当業者に良く知られる方法の変化によって製造され得る。本発明と関連して開示される全過程は、ミリグラムから数キログラムの商工業スケールまで、あらゆるスケールに適用される。
【0047】
本発明化合物に存在する官能基は、合成経路の中で保護基を含み得る。例えば、式Iの炭素環上の水酸基は、t−ブチルジメチルシリル基もしくはトリメチルシリル基等の保護基で置換され得る。また、式Iの炭素環上におけるアミノ基は、ベンジルオキシカルボニル基もしくはt−ブトキシカルボニル基等の保護基に置換され得る。保護基は、上述のものを含み、但しこれに限らないが、上記の保護基が合成過程にさらされる化学反応条件において、置換基を不活性化するために化合物内に存在するが、当業者に公知の方法により、いずれかの所定の合成段階において、置換基から選択的に除去もし得る。本発明に係る好ましい保護基は、上記の保護基を含むが、限定されない。他の好ましい保護基は、Greene, T.W. and Wuts, P.G.M., Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., Wiley and Sons, 1999.中で見出し得る。
【0048】
図1は、式Ia−hを含む式Iの化合物の構造を示し、それらの合成は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として以下詳細に記述する。
【0049】
例えば、図1に示された化合物は、図2から図19に記載された鍵中間体および合成戦略を用いて製造され得る。XおよびZは、より高度な官能基化による、さらなる修飾を意味する。
【0050】
図2は、化式Iの合成に用いられた、シクロペンテン中間体(II)の合成を示す。
【0051】
化合物(II)は、これに限らないが、当業者に公知の実験手順、例えばこれに限らないが、クロロホルム溶媒中、−70℃で1時間の反応を用いて、市販品として入手可能なシクロペンタジエン(III)と臭素の1,4−付加を含む方法で製造され得る。
【化6】
【0052】
図3は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、ビス−ハロマレイミド中間体(IVa,b)の合成を示す。
【0053】
市販品として入手可能なビス−クロロマレイン酸無水物(V)を主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当な1級アミン(VI)と作用させることにより、式(IVa)に示す対応するビス−クロロ化合物を得る。(図3、経路A)市販品として入手可能な2,3−ジブロモマレイン酸(VII)および上記の1級アミンを当業者に公知のカップリング剤存在下用いると、式(IVb)の対応するビス−ブロモ化合物が得られる。(図3、経路B)
【化7】
【0054】
図4は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−保護された対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa)の合成を示す。N−保護されたビス−ハロマレイミド体(IVa、b)およびインドール体(IX)は、化合物(VIIIa)へ導く特定の合成戦略における中間体である。
【0055】
化合物(IVa、b)は、これに限らないが、エチルマグネシウムブロミドをトルエン/THF混合溶媒中、窒素雰囲気下、4時間還流する様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩の様な活性化されたインドール(IX)誘導体を2当量より僅かに多く用いて縮合し、N−保護された対称ビスインドリルマレイミド体(Xa)を与え得る。化合物(Xa)は、これらに限らないが、臭素および塩化スルフリル、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、ならびにヨウ素元素を含むモノハロゲン化条件および試薬を用いて、選択的にモノハロゲン化され、モノ−2−ハロ化N−保護されたビスインドリルマレイミド体(XIa−c)を与え得る。化合物(XIa−c)は、これに限らないが、ジイソプロピルエチルアミン存在下、酢酸エチル中、還流4時間でハロゲンランプを用いる光照射の様な実験条件を用いて環化させ、鍵となるN−保護された対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa)を与え得る。
【0056】
図4で示した合成戦略の改良は、図5で報告され、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵であるN−保護された非対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIb)へと導く。そのN−保護されたビス−ハロマレイミド体(IVa、b)およびインドール体(IX)は、化合物(VIIIb)へと導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0057】
化合物(IVa、b)は、これに限らないが、窒素雰囲気下、トルエン溶媒中でエチルマグネシウムブロミドを含む様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩などの活性化されたインドール誘導体(IX)を僅かに1当量より多く用いて縮合し、N−保護されたモノ−ハロ化モノインドリルマレイミド体(XIIa、b)を与え得る。化合物(XIIa、b)は、これに限らないが、窒素雰囲気下、トルエンもしくはTHF溶媒中でエチルマグネシウムブロミドを含む様なカップリング条件を用いて、これに限らないが、エチルマグネシウム塩の様な活性化された別のインドール誘導体(IX)を僅かに1当量より多く用いて縮合させ、N−保護された非対称ビスインドリルマレイミド体(Xb)を与え得る。化合物(Xb)は、これらに限らないが、臭素および塩化スルフリル、N−臭化コハク酸イミド、N−塩化コハク酸イミドならびにヨウ素元素などのモノハロゲン化条件および試薬を用い、選択的にモノハロゲン化させ、モノ−2−ハロ化窒素保護されたビスインドリルマレイミド体(XId−f)を与え得る。化合物(XId−f)は、これに限らないが、DIPEA存在下、酢酸エチル溶媒中、4時間還流条件で、ハロゲンランプを用いる光照射の様な実験条件を用いて環化させ、鍵である窒素保護された非対称インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIb)を与え得る。
【0058】
図6は、特に、R8、R9およびR10、R11の群中の一つだけがカルボニル基の場合、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵であるN−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物(XIIIa、b)の合成を示す。
【0059】
N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)は、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、水素化リチウムアルミニウムの様な反応条件を用いて還元され、ヒドロキシラクタム体(XIVa、b)を与え得る。化合物(XIVa、b)は、これに限らないが、フッ化アンモニウム存在下、トリフルオロ酢酸中で、トリエチルシランを含む様な実験条件を用いて脱酸素化され、鍵であるN−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物(XIIIa、b)を与え得る。
【0060】
図7は、一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−イミド保護され、N,N−架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)および(XVIa、b)の合成を示す。N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)およびシス−1,4−ジブロモシクロペンテン(II)は、化合物(XVa、bおよびXVIa、b)へ導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0061】
N−保護されたインドロカルバゾールイミドアグリコン化合物(VIIIa、b)は、これに限らないが、水素化ナトリウムをTHF中、0℃で2時間の様な実験条件を用いて、化合物(II)でN,N−ジアルキル化され、鍵であるアルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)を与え得る。化合物(XVa、b)は、これに限らないが、ボラン/テトラヒドロフラン錯体をTHF中、室温で16時間等の実験条件を用いてヒドロキシル化され、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIIa、b)を与え得る。化合物(XVIIa、b)は、これに限らないが、ピリジニウムクロロクロメートを1,2−ジクロロエタン中、室温で4時間の様な実験条件を用いて酸化され、鍵であるケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)を与え得る。
【0062】
図8は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)からの化合物(Ia)の合成のための詳細な経路を示す。
【0063】
ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)と、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体、もしくは経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)との縮合は、これに限らないが、ナトリウムシアノボロヒドリドをテトラヒドロフラン中、室温で4時間の様な還元的アミノ化条件を用いて行った。R13およびR14の性質によるアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびに例えばこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および2度目の還元的アミノ化反応を用いて可能であり、シス−窒素置換された架橋インドロカルバゾールイミド体(Ia)を与え得る。
【0064】
図9は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)からの化合物(Ib)の合成のための詳細な経路を示す。
【0065】
ケト架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVIa、b)と、主に市販品として入手可能、もしくは当業者に公知の前駆体または経路によって製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)との反応は、これに限らないが、トリメチルシリルシアニドおよびシアン化カリウムの様な適当なニトリル源存在下、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、チタニウムイソプロポキシドを窒素雰囲気下、室温で18時間等のストレッカー反応条件を用いて行った。R13およびR14の性質によるアミノ基のさらなる修飾は、当業者に良く知られる実験手順、ならびに例えばこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化等を用いて可能であり、シス−窒素、トランス−シアノ置換された架橋インドロカルバゾールイミド体(Ib)を与え得る。
【0066】
図10は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)からの化合物(Ic/1−3)の合成のための詳細な経路を示す。
【0067】
シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、これに限らないが、過酸化水素水およびテトラヒドロフラン混合液中、水酸化リチウムと5℃で4時間の様な穏和な塩基性加水分解条件で処理することにより、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/1)が得られる。シス−窒素、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、これに限らないが、アルコール中もしくは水中で、濃硫酸と16時間還流する様な強酸性加水分解条件で処理することにより、α−アミノカルボキサミドまたはα−アミノエステル置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2)が得られる。化合物(Ic/2)はまた、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/1)を前記の強酸性加水分解条件を用いて、処理することにより容易に得られる。α−アミノエステル置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2、COOHではなくCOOR13)を、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者が知る前駆体または経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)で、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、室温で16時間もしくは還流6時間等の実験条件にて処理することにより、α−アミノカルボキサミド置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/3、アミド基上のR13およびR14の一方もしくは両方は水素と異なる)が得られる。化合物(Ic/3、アミド基上のR13およびR14の一方もしくは両方は水素と異なる)はまた、α−アミノ酸置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ic/2、COOR13=COOH)を前記のアミン化合物(XVIII)で、これらに限らないが、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド中、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール/ジイソプロピルエチルアミンもしくはカルボニルジイミダゾールを室温で16時間の様な典型的なペプチドカップリング条件にて処理することにより、容易に得られる。それぞれR13およびR14の性質によるアミノ基ならびに(Ic/3)および(Ic/1)のアミド基ならびに(Ic/2)のエステル基のさらなる修飾は、当業者に公知の実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化および還元的アミノ化等の手順を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ic/1−3)を与え得る。
【0068】
図11は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アミノ、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)からの化合物(Id)および(Id/1)の合成のための詳細な経路について示す。
【0069】
シス−アミノ、トランス−シアノ置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ib)を、塩基存在下、ホスゲン等価体で、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、トリホスゲンおよびトリエチルアミンを室温で4時間の様な実験条件および試薬で処理することにより、スピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id/1)を得られる。スピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id/1)をアルキル化剤(XIX)で、例えばこれに限らないが、ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムを50℃で4時間の様な強塩基性加水分解条件にて処理することにより、N−モノアルキル化されたスピロヒダントイン置換架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Id、R16は水素でない)が得られる。
【0070】
図12は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)からの化合物(Ie)および(Ie/1)の合成のための詳細な経路を示す。
【0071】
アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)と、例えばこれに限らないが、触媒量の四酸化オスミニウム存在下のN−メチルモルホリンN−オキシド等のジヒドロキシル化試薬との反応は、例えばこれに限らないが、アセトンおよび水混合溶媒中、室温で24時間の様な実験条件を用いて、シス−ジオール架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXa、b)へと導く。化合物(XXa、b)は、これに限らないが、スルホニルジイミダゾールのような二価性試薬と、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、ジアザビシクロウンデセン(DBU)を室温で18時間のような実験条件で反応させることにより求核置換反応が活性化され、環状の硫酸で架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIa、b)が得られうる。化合物(XXIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当な1級または2級アミン化合物(XVIII)と、これに限らないが、テトラヒドロフランもしくはジメチルホルムアミド中、反応温度は室温から100℃の範囲で、反応時間は4から24時間までの範囲のような実験条件で反応させ、酸性硫酸加水分解の後、βシス−アミノ、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/1)を与え得る。水酸基およびアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応のような手順を用いて可能であり、高度に官能基化された化合物(Ie)を与え得る。
【0072】
図13は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、環状の硫酸で架橋インドロカルバゾールイミド(XXIa、b)からの化合物(Ie)および(Ie/2)の合成のための別の詳細な経路を示す。
【0073】
環状の硫酸で架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIa、b)を、例えばこれに限らないが、アジ化ナトリウムのようなアジド化剤で、これに限らないが、ジメチルホルムアミド中、80℃で3時間等の種々の実験条件にて処理することにより、酸性硫酸加水分解後、β−シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)が得られる。化合物(XXIIa、b)は、例えばこれに限らないが、ジメチルホルムアミド中、Pd/C 10%、200PSIの水素圧下、室温で3時間、触媒的水素化反応の様な種々の試薬および実験条件を用いて還元され、無置換βシス−アミノ、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/2)が得られる。水酸基とアミノ基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie)が得られる。
【0074】
図14は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)からの化合物(Ie/3)および(Ie/4)の合成のための詳細な経路を示す。
【0075】
シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路を用いて製造される適当なアルキン(XXIII)と、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、ヨウ化銅(I)とジイソプロピルエチルアミンを室温で6時間のような種々の実験条件を用いて処理させることにより、シス−トリアゾリル、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/3)が得られる。R18およびR19の性質による水酸基およびヘテロ環状置換基のさらなる修飾は、当業者によく知られる実験手順ならびに、これに限らないが、アシル化およびアルキル化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie/4)を与え得る。
【0076】
図15は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)からの化合物(Ie/5)および(Ie/6)の合成のための詳細な経路を示す。
【0077】
シス−アジド、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXIIa、b)は、主に市販品として入手可能な、もしくは当業者に公知の前駆体または経路によって製造される適当なニトリル化合物(XXIV)と、これに限らないが、テトラヒドロフラン中、ヨウ化銅(I)とジイソプロピルエチルアミンを室温で6時間のような種々の実験条件にて処理され、シス−テトラゾリル、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(Ie/5)が得られる。R18の性質による水酸基およびヘテロ環状置換基のさらなる修飾は、当業者に良く知られる実験手順、ならびにこれらに限らないが、アシル化およびアルキル化反応を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(Ie/6)を与える。
【0078】
図16は、一般式Iに記載された一般分類の化合物の製造例として、アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)からの化合物(1f)および(If/1)の合成のための詳細な経路を示す。
【0079】
アルケン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XVa、b)は、これに限らないが、水−テトラヒドロフラン混合溶媒中、触媒量のオスミウム酸カリウム2水和物、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、エチルウレタン、および水酸化ナトリウムを室温で16時間の様な種々の試薬および反応条件を用いて、アミノヒドロキシル化する手順で反応させ、オキサゾリドン架橋されたインドロカルバゾールイミド体(XXVa、b)を与え得る。化合物(XXVa、b)は、例えばこれに限らないが、水中、水酸化ナトリウムと80℃で4時間の様な強塩基性条件で加水分解され、β−シス−アミノ、シス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールイミド体(If/1)を得られる。水酸基およびアミノ基のさらなる修飾は、当業者が良く知る実験手順、ならびにこれに限らないが、アシル化、アルキル化、および還元的アミノ化反応のような手順を用いて可能であり、より高度に官能基化された化合物(If)を与える。
【0080】
化合物(Ia−f)は、1またはそれ以上の不斉中心を含み得ること、および光学活性体もしくはラセミ体で単離され得ることは、当業者によって理解される。それ故、構造の全キラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体および全幾何異性体は、位置選択的、ジアステレオ選択的および/または立体選択的な試薬、ならびに当業者によく知られる実験手順を用いて、または当業者に良く知られる適当な分離技術を用いて、ジアステレオマーまたはラセミ体の混合物から個々の成分を単離することで得られうる。
【0081】
図17は、R8、R9およびR10、R11のうち一つだけがカルボニル基である場合の一般式Iの化合物の合成に用いられた、鍵となるN−ラクタム保護され、N,N−架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIa、b)および(XXVIIa−d)の合成を示す。N−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン体(XIIIa、b)およびシス−1,4−ジブロモシクロペンテン(II)は、化合物(XXVIa、b)および(XXVIIa−d)へ導く特定の合成戦略のための中間体である。
【0082】
N−保護されたインドロカルバゾールラクタムアグリコン体(XIIIa、b)は、これに限らないが、THF中、水素化ナトリウムを0℃で2時間の様な実験条件を用いて、化合物(II)とN,N−ジアルキル化され、鍵となるアルケン架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIa、b)を与え得る。化合物(XXVIa、b)は、これに限らないが、THF中、ボラン/テトラヒドロフラン錯体と、室温で16時間の様な実験条件を用いてヒドロキシル化され、トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIIa−d)を与え得る。化合物(XXVIIIa−d)は、これに限らないが、1,2−ジクロロエタン中、クロロクロム酸ピリジニウムと室温で4時間、または1,2−ジクロロエタン中、塩化オキサリルおよびジメチルスルホキシドと室温で16時間の様な実験条件を用いて酸化され、鍵となるケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIa−d)を与え得る。
【0083】
化合物(XXVIIa−d)および(XXVIIIa−d)は、ラクタム部位の非対称な性質のため、位置異性体の混合物として得られうることは、当業者によって理解される。これ以降ラクタムのカルボニルおよびシクロペンタン置換基が反対方向を指すものを、エントゲーゲン(E)位置異性体とし、ラクタムのカルボニル基およびシクロペンタン置換基が同じ方向を指すものを、ツザンメン(Z)対と定義する。
【0084】
図18は、位置異性のアルコールの混合物(XXVIIIa−d)から、位置異性的に純粋な鍵となるケト架橋されたインドロカルバゾールラクタムE−(XXVIIa、b)およびZ−対(XXVIIc、d)の合成を示す。トランス−ヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム体(XXVIIIa−d)は、例えばこれに限らないが、3,4−ジメトキシフェニル酢酸(XXIX)等の適当で市販品として入手可能なカルボン酸を用いて、例えばこれに限らないが、テトラヒドロフラン中、水溶性カルボジイミドおよびジメチルアミノピリジンを室温で3時間のような実験条件にてエステル化し、トランスエステル化された架橋インドロカルバゾールラクタム体(XXXa−d)を与え得る。化合物(XXXa−d)は、例えばこれに限らないが、順相(direct phase)クロマトグラフィー(シリカゲル)等の多様な分取分析方法によって、これに限らないが、酢酸エチルおよび石油エーテルとの混合等の多様な溶媒を用いて分離され、ジアステレオ的に純粋なE−およびZ−トランスエステル化された架橋インドロカルバゾールラクタム対(XXXa、b)および(XXXc、d)の二つのラセミ混合物を与え得る。その二対は、例えばこれに限らないが、メタノールおよびテトラヒドロフラン混合溶媒中、ナトリウムメトキシドを室温で2時間のような穏和な塩基条件で加水分解し、純粋なE−およびZ−トランスヒドロキシ架橋されたインドロカルバゾールラクタム対(XXVIIIa、b)および(XXVIIIc、d)を与え得る。化合物(XXVIIIa、b)および(XXVIIIc、d)は、これに限らないが、1,2−ジクロロエタン中、ピリジニウムクロロクロメートと、室温で4時間のような実験条件を用い、別々に酸化し、鍵となるE−およびZ−トランスケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム対(XXVIIa、b)および(XXVIIc、d)を与え得る。
【0085】
二つのE−およびZ−対(XXVIIa、b)および(XXVIIc、d)が、これに限らないが、図8〜図11のインドロカルバゾールイミド体で用い、示したような多種多様な試薬および実験条件を用いて、炭素環上にアミノ基を導入して官能基化され得ることは、当業者によって理解される。
【0086】
図19は、例えば図8−10に記述の所定の手順で合成されたアミノ置換されたインドロカルバゾールラクタム体のE−対(Ig/1−3)およびアミノ置換されたインドロカルバゾールラクタム体のZ−対(Ih/1−3)の構造を示す。
【0087】
最終化合物1−20および全てのキラルな合成中間体が、ラセミ体として単離されるので、以下の例は、単一のジアステレオマーの合成を記載することに限定されない。選択された表記は、ラセミ体混合物からなる二つのエナンチオマーのどちらか一方だけを適宜記載する。化合物21から48は、表1に挙げており、上記の方法を用いて製造された。特定のエナンチオマーの単離は、当技術において周知の方法、および例えば実施例49から55に記載される方法によって行われ得る。
【0088】
(実施例)
実施例1
1a)
【化8】
臭素(47.2mL、0.926mol)のCHCl3(50mL)溶液を、窒素雰囲気下、−70℃で、新たに蒸留したシクロペンタジエン(64.45g、0.975mol)のCHCl3(150mL)溶液に加えた。30分後、石油エーテル(2L)を加え、該溶液を−70℃で1時間攪拌した。該白色沈殿は窒素雰囲気下、濾過し、冷石油エーテル(500mL)で洗浄し、3,5−ジブロモシクロペンテン(80.5g、収率38.1%)を得、直接次工程に用いた。
【0089】
1b)
【化9】
p−メトキシベンジルアミン(75.3g、549mmol)を、攪拌したジクロロマレイン酸無水物(91.6g、549mmol)の酢酸(850mL)溶液に、室温で滴下して加えた。反応液は3時間還流し、室温で終夜放置した。該沈殿物は濾過し、酢酸(2×100mL)および氷冷EtOH(2×100mL)で洗浄し、真空乾燥後、精標題化合物(76.4g)を得た。濾液を300mLまで濃縮し、−5℃で4時間冷却すると精標題化合物の二番晶を得た(49.5g、全収率80.3%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.61 (3H, s, OCH3), 4.60 (2H, s, N-CH2), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.20 (2H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 286 [M+H]+.
【0090】
1c)
【化10】
3MエチルマグネシウムブロミドのEt2O溶液(100mL、0.3mol)を、攪拌したインドール(35.1g,0.3mol)のトルエン(600mL)およびTHF(60mL)混合溶液に窒素雰囲気下、滴下して加えた。該緑がかった反応液を室温で1時間攪拌した後、1b(39g,0.136mol)の溶液を1時間以内に加えた。反応混合物を4時間還流し、室温まで冷却し、終夜攪拌した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOAc(800mL)で溶解し、飽和NH4Cl溶液(150mL)で処理し、次いで水で洗浄した。有機層を次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。該粗残渣はCH2Cl2(200mL)中還流し、−20℃に冷却し、濾過し、冷CH2Cl2で2回洗浄し、乾燥後、精標題化合物(40.5g,収率67.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.69 (2H, s, CH2-N), 6.62-7.00 (8H, m, 芳香族H), 7.30 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, d, 芳香族H), 7.89 (2H, s, インドール H-2), 11.70 (2H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 448 [M+H]+.
【0091】
1d)
【化11】
1c(35g,78.2mmol)のCH2Cl2/THF(容積比7/6)(1.3L)の澄明な赤色溶液を0℃に冷却し、臭素(12.5g,78.2mmol)のCH2Cl2(25mL)溶液を1時間以内に滴下して加えた。該暗褐色溶液は、0℃で1時間攪拌後、冷却浴を除き、更に30分攪拌し、飽和NaHCO3溶液(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、暗褐色の泡状物質(49.7g)を得た。該粗生成物はアセトニトリル(55mL)で再結晶し、該所望化合物(14.4g)の一番晶を得た。母液を濃縮乾固し、CH2Cl2で再結晶化して、精標題化合物の二番晶を得た(16.7g、全収率75.9%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.70 (3H, s, OCH3), 4.65 (2H, s, CH2-N), 6.35 (2H, d, 芳香族H), 6.50-6.60 (2H, m, 芳香族H), 6.90-7.20 (4H, m, 芳香族H), 7.30-7.40 (4H, d, 芳香族H), 8.10 (1H, s, インドール H-2), 11.90 (1H, bs, インドール NH) 12.45 (1H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 526 [M+H]+.
【0092】
1e)
【化12】
N−ジイソプロピルエチルアミン(38mL,226mmol)を1d(59.4g,113mmol)のEtOAc(1L)懸濁液に加え、混合物をハロゲンランプで照射した。10時間還流後、該温溶液を希塩酸、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒は、沈殿が生じるまで濃縮した。フラスコを氷浴で冷却し、固形物を濾過し、冷EtOAcで洗浄し、40℃で真空乾燥し、黄色粉末として標題化合物(50g,収率99.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ3.70 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.55 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (2H, d, 芳香族H), 8.98 (2H, s, 芳香族H), 11.71 (2H, bs, インドール NH). MS (ESI) m/z 446 [M+H]+.
【0093】
1f)
【化13】
水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁液、6.6g,165mmol)を窒素雰囲気下0℃で、1e(33.6g,75mmol)のTHF(800mL)溶液に加えた。反応混合物を同温で45分攪拌した後、1a(20.3g,90mmol)のTHF(50mL)溶液を20分以内に滴下して加えた。0℃で30分攪拌した後(TLCモニタリングによる変換率は70%)、NaH(3g、75mmol)を追加し、反応混合物を室温1時間攪拌した。反応混合物は、セライトを少し敷いて濾過し、溶媒留去し、該暗褐色残渣をEtOH(300mL)でトリチュレートし、沈殿物を濾過し、EtOH(50mL)で洗浄し、40℃で真空乾燥し、精標題化合物(34.5g、収率90.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ2.72 (1H, bs, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, OCH3), 4.75 (2H, s, CH2-PMB), 6.21 (2H, d, CH-N), 6.40 (2H, s, CH=CH), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.98 (2H, d, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 510 [M+H]+.
【0094】
1g)
【化14】
1MボランのTHF溶液(285mL,285mmol)を1f(29.0g,57mmol)のTHF(600mL)溶液に室温で加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで0℃まで冷却した。30%NaOH(30mL)を注意深く加え、30%H2O2(90mL)を90分以内に滴下して加えた。不溶塩を濾別し、溶媒を減圧留去した。該残渣をEtOAc(300mL)で溶解し、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOH(150mL)でトリチュレートした。橙色固形物を濾過し、冷EtOH(100mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、精標題化合物(26g、収率86.4%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ1.92 (1H, m, 5-CH2), 2.42 (1H, m, 5-CH2), 2.68 (1H, bs, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, OCH3), 4.20 (1H, m, 4-CH-OH), 4.82 (2H, s, CH2-PMB), 5.36 (1H, d, 3-CH-N), 5,65 (1H, d, OH), 5.91 (1H, m, 1-CH-N), 6.91 (2H, m, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, bt, 芳香族H), 7.96 (2H, d, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 528 [M+H]+.
【0095】
1h)
【化15】
クロロクロム酸ピリジニウム(16.2g,75mmol)を1g(26.5g,50mmol)の1,2−ジクロロエタン(1L)懸濁液に何回かに分けて加えた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液としてCH2Cl2)によって精製し、橙色粉末として精目的化合物を得た。(10.1g、収率39.6%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 2-CH2), 3.07 (1H, dd, 2-CH2), 3.25 (1H, dd, 5-CH2), 3.48 (1H, m, 5-CH2), 3.68 (3H, s, OCH3), 4.73 (2H, s, CH2-PMB), 5.59 (1H, d, 3-CH-N), 6.13 (1H, bt, 1-CH-N), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.37 (4H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.98 (2H, dd, 芳香族H), 9.01 (2H, s, 芳香族H). MS (ESI) m/z 526 [M+H]+.
【0096】
1i)
【化16】
1h(530mg,1mmol)の1,2−ジクロロエタン(15mL)溶液にベンジルアミン(110μL,1mmol)および酢酸(60μL,1mmol)を滴下して処理した。反応液は室温で1時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(320mg,1.5mmol)を何回かに分けて加えた。反応混合物を更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(2M,40mL)を注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製し、黄色粉末として、精目的化合物(460mg、収率74.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.17 (1H, m, NH), 1.55 (1H, m, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.54 (2H, d, CH2-NH), 3.62 (1H, m, 4-CH-NH), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-NCO), 5.65 (2H, m, 1-CH-N + 3-CH-N), 6.90-6.95 (4H, d, 芳香族H), 7.01-7.11 (3H, m, 芳香族H), 7.32-7.41 (4H, bt, 芳香族H), 7.55-7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85-7.90 (1H,d, 芳香族H), 800-8.05 (1H, d, 芳香族H) , 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 617 [M+H]+.
【0097】
1)
【化17】
酢酸(0.5mL)およびPd/C 10%(50mg)を1i(380mg,0.61mmol)のEtOH(20mL)およびTHF(5mL)懸濁液に加えた。混合物を大気圧下、室温終夜で水素化した。触媒を濾別し、濾液を1M NaOH(50mL)に注ぎ、EtOAc(2×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、2回連続したプレパラティブTLC[溶離液としてCH2Cl2/メタノール(容積比95/5)]で分離し、精目的化合物(40mg、収率12.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.15 (1H, m, 5-CH2), 1.26 (2H, bs, NH2), 2.56 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 3.83 (1H, m, 4-CH-NH2), 4.84 (2H, s, CH2-PMB), 5.36 (1H, bt, 3-CH-N), 5.67 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.38 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.87 (1H, d, 芳香族H), 7.98 (1H,d, 芳香族H), 9.02 (1H, d, インドール H-4), 9.09 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 527 [M+H]+.
【0098】
実施例2
2a)
【化18】
1h(530mg,1mmol)の無水THF(10mL)溶液を2MメチルアミンのTHF溶液(0.6mL,1.2mmol)に滴下して処理した。反応液は、室温で2時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(320mg,1.5mmol)を加えた。反応混合物は、更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(2M,40mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比7/3)、次いでCH2Cl2/メタノール(容積比95/5)]で精製し、精目的化合物(210mg、収率38.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.17 (2H, m, NH + 5-CH2), 2.07 (3H, s, N-CH3), 2.62 (1H, bs, 2-CH2), 2.90-2.95 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 3.55 (1H, m, 4-CH-NH), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-PMB), 5.55-5.70 (2H, dt, 1-CH-N + 3CH-N), 6.90-6.95 (2H, d, 芳香族H), 7.30-7.40 (4H, m, 芳香族H), 7.55-7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85-7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 541 [M+H]+.
【0099】
2)
【化19】
塩化アルミニウム(200mg、1.5mmol)を2a(82mg,0.15mmol)のアニソール(5mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液を終夜攪拌し、氷/水(容積比1/1)(20mL)および飽和NaHCO3(15mL)で反応停止させた。反応液は、EtOAc(2×20mL)で抽出し、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。MeOH(10mL)を残渣に加え、沈殿物を濾過し、精目的化合物(44mg、収率70.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.13-1.20 (2H, m, NH + 5-CH2), 2.09 (3H, s, N-CH3), 2.62 (1H, bd, 2-CH2), 2.89-2.98 (2H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.53 (1H, m, 4-CH-NH), 5.59 (1H, bt, 3-CH-N), 5.70 (1H, bt, 1-CH-N), 7.37 (2H, t, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.92 (2H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.10 (1H, d, インドール H-4), 11.05 (1H, s, イミド NH). MS (ESI) m/z 421 [M+H]+
【0100】
実施例3
3a)
【化20】
化合物1h(200mg,0.38mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)溶液にモルホリン(35μL,0.38mmol)および酢酸(25μL,0.38mmol)を滴下して処理した。反応溶液は室温で1時間攪拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(121mg,0.57mmol)を加えた。該混合物は、更に24時間攪拌し、氷冷NaOH(1N,40mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比8/2)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(140mg、収率61.9%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.44 (1H, m, 5-CH2), 1.86 (2H, m, N-CH2 モルホリン), 2.45 (2H, m, N-CH2 モルホリン), 2.53 (1H, bd, 2-CH2), 2.71(1H, m, 5-CH2), 2.90 (1H, m, 2-CH2), 2.97 (4H, m, O-CH2 モルホリン), 3.36 (1H, m, 4-CH-N), 3.70 (3H,s , OCH3), 4.83 (2H, s, CH2-PMB), 5.66 (1H, bt, 3-CH-N), 5.75 (1H, bt, 1-CH-N), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.38 (4H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, bt, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 7.97 (1H,d, 芳香族H), 9.03 (1H, d, インドール H-4), 9.09 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 597 [M+H]+.
【0101】
3)
【化21】
塩化アルミニウム(200mg,1.5mmol)を3a(90mg,0.15mmol)のアニソール(5mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は終夜攪拌し、氷/水(容積比1/1)(20mL)および飽和NaHCO3(15mL)で反応停止させた。該混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出し、飽和食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。MeOH(10mL)を残渣に加え、沈殿物を濾過し、精目的化合物(50mg、収率70.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.46 (1H, m, 5-CH2), 1.88 (2H, m, CH2 モルホリン), 2.47 (2H, m, CH2 モルホリン), 2.58 (1H, bd, 2-CH2), 2.68 (1H, m, 5-CH2), 2.91 (1H, m, 2-CH2), 2.98 (4H, m, CH2 モルホリン), 3.33 (1H, m, 4-CH-N), 5.66 (1H, bt, 3-CH-N), 5.76 (1H, bt, 1-CH-N), 7.37 (2H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, bt, 芳香族H), 7.93 (2H, m, 芳香族H), 9.07 (1H, d, インドール H-4), 9.13 (1H, d, インドール H-4), 11.08 (1H, bs, イミド NH). MS (ESI) m/z 477 [M+H]+.
【0102】
実施例4
4a)
【化22】
化合物1h(17.3g,32.9mmol)のアニソール(150mL)およびトリフルオロ酢酸(200mL)混合溶液を終夜還流させた。該溶媒混合物を濃縮し、残渣をEtOH(200mL)で溶解し、トリチュレートし、濾過し、EtOHおよび石油エーテルで洗浄し、乾燥した後、精標題化合物(11.73g、収率88.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.95-3.05(1H, dd, 2-CH2), 3.20-3.25 (1H, dd, 2-CH2), 3.40-3.55 (2H, m, 5-CH2), 5.60 (1H, bd, 3-CH-N), 6.16 (1H, bt, 1-CH-N), 7.43 (2H, m, 芳香族H), 7.64 (2H, bt, 芳香族H), 7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.02-9.08 (2H, d, インドール H-4), 11.14 (1H, bs, イミド NH). MS (ESI) m/z 406 [M+H]+.
【0103】
4)
【化23】
7Nアンモニアのメタノール溶液(2mL,14mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(0.5mL,1.70mmol)を4a(570mg,1.4mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)懸濁液に室温で加えた。反応液は3時間攪拌し、次いでトリメチルシリルシアニド(0.18mL,1.40mmol)を加えて、反応混合物を18時間攪拌させた。水2滴加えた後、固形物をセライト層で濾過によって除去し、溶媒を減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、精目的化合物(310mg、収率51.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.60 (1H, bd, 5-CH2), 2.35 (2H, bs, NH2), 2.75 (1H, m, 2-CH2), 3.37 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.77 (1H, d, 3-CH-N), 5.92 (1H, bt, 1-CH-N), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7.67 (2H, bt, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.03-8.07 (1H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.08 (1H, d, インドール H-4), 11.05 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 432 [M+H]+.
【0104】
実施例5
5)
【化24】
水酸化リチウム一水和物(30mg,0.69mmol)および過酸化水素(30%,0.1mL)を化合物4(200mg、0.46mmol)のTHF(10mL)溶液に、0℃で加えた。反応液は0℃で1時間攪拌し、水酸化リチウム一水和物(30mg,0.69mmol)および水(3mL)を追加した。1時間攪拌した後、反応液を3分の1まで濃縮し、CH2Cl2/水(容積比1/1)(50mL)に注いだ。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物をCH2Cl2で洗浄し、真空乾燥して、精目的化合物(120mg、収率58.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.54 (1H, bd, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.15 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.49 (1H, d, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.15 (1H, bs, CONH2), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7,60 (1H, bs, CONH2), 7.68 (2H, bt, 芳香族H) 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.93 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 10.8 (1H, bs, NH イミド). MS (ESI) m/z 451 [M+H]+.
【0105】
実施例6
6a)
【化25】
7Mアンモニアのメタノール溶液(0.7mL,5mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(180μL,0.6mmol)を攪拌した化合物1h(260mg,0.5mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。4時間後、トリメチルシリルシアニド(63μL,0.5mmol)を加えて、反応液を終夜攪拌した。反応混合物は水(10mL)で反応停止させ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和塩化アンモニウム(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液として石油エーテル/EtOAc(容積比4/2)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(160mg、収率58.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.40 (2H, s, NH2), 2.87 (1H, bd, 2-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 3.69 (3H, s, OCH3), 4.80 (2H, s, CH2-PMB) , 5.78 (1H, bd, 3-CH-N), 5.87 (1H, bt, 1-CH-N), 6.89 (2H, d, 芳香族H), 7.50 (4H, m, 芳香族H), 7.68 (2H, bt, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (1H, m, 芳香族H), 9.00 (1H, d, インドール H-4), 9.08 (1H, d, インドール H-4). MS (ESI) m/z 552 [M+H]+.
【0106】
6b)
【化26】
水酸化リチウム一水和物(0.6g,15mmol)、過酸化水素(30%,5mL)および水(20mL)を6a(1.6g,2.90mmol)のTHF(100mL)溶液に5℃で加えた。反応液は5℃で4時間攪拌した後、水(25mL)を加えた。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物を洗浄し、CH2Cl2(50mL)で溶解して、水(25mL)で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、黄色粉末として精目的化合物(1.35g、収率81.8%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40 (2H, bs, NH2), 1.45 (1H, d, 2-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.09-3.25 (2H, m, 5-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.81 (2H, s, CH2-PMB), 5.48 (1H, bd, 3-CH-N), 5.78 (1H, bt, 1-CH-N), 6.88 (2H, m, 芳香族H), 7.30-7.42 (5H, m, CONH2 + 芳香族H), 7.58-7.65 (3H, m, CONH2 + 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 570 [M+H]+.
【0107】
6c)
【化27】
濃硫酸(2mL)を6b(300mg,0.52mmol)のEtOH(10mL)溶液に加えて、反応混合物を8時間還流した。冷却した後、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAc(2×70mL)で抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、黄色粉末として、精目的化合物(170mg、収率54.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.35 (3H, t, COOCH2-CH3), 1.48 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, d, 2-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 3.02 (1H, m, 5-CH2), 3.20 (1H, m, 5-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.30 (2H, q, COOCH2-CH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.65 (1H, bd, 3-CH-N), 5.75-5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 6.85-6.90 (2H, m, 芳香族H), 7.35-7.45 (4H, m, 芳香族H), 7.60-7.70 (2H, bt, 芳香族H) 7.80-7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.90-7.95 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, インドール H-4). MS (ESI) m/z 599 [M+H]+.
【0108】
6)
【化28】
塩化アルミニウム(100mg,2.3mmol)を6c(140mg,0.23mmol)のアニソール(10mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は、60℃で8時間攪拌した。反応混合物を冷却して、水(30mL)に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。分取用TLC[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、黄色粉末として精目的化合物(42mg、収率38.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, COOCH2-CH3), 1.48 (2H, bs, NH2), 1.60 (1H, bd, 5-CH2), 2.72 (1H, bd, 2-CH2), 3.05 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 4.25 (2H, q, COOCH2-CH3), 5.65 (1H, bd, 3-CH-N), 5.85 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 479 [M+H]+.
【0109】
実施例7
7)
【化29】
水(1mL)で溶解した水酸化リチウム一水和物(35mg,0.84mmol)溶液を攪拌した化合物6(200mg,0.42mmol)のTHF(10mL)溶液に滴下して加えた。反応液は、室温で2時間攪拌し、次いでTHFを減圧留去した。該水溶液を次いで塩酸で中和し、沈殿物を濾過し、60℃で真空乾燥して、橙色粉末として精目的化合物(140mg、収率73.7%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD3OH): δ1.45-1.50 (1H, bd, 5-CH2), 2.58 (1H, bd, 2-CH2), 3.05 (2H, m, 2-CH2 + 5-CH2), 5.50 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H), 7.75-7.80 (1H, d, 芳香族H), 7.90-7.95 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 451 [M+H]+.
【0110】
実施例8
8)
【化30】
濃硫酸(10mL)を化合物5(2.25g,5mmol)のMeOH(100mL)溶液に加えて、反応混合物を28時間還流した。反応混合物を0℃に冷却して、沈殿物を濾過し、EtOAc(100mL)で溶解して、飽和NaHCO3(50mL)で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH(容積比98/2)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(1.20g、収率52.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD3OH): δ1.50 (2H, bs, NH2), 1.59 (1H, bd, 5-CH2), 2.76 (1H, bd, 2-CH2), 3.03 (1H, m, 5-CH2), 3.24 (1H, m, 2-CH2), 3.86 (3H, s, COOMe), 5.67 (1H, bd, 3-CH-N), 5.82 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.80 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.00 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 465 [M+H]+.
【0111】
実施例9
9a)
【化31】
N−Boc−エタノールアミン(1mL、過剰量)を化合物8(150mg,0.32mmol)に加えた。反応混合物を150℃で3時間加熱した。冷却した後、該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比9/1)]で精製し、精目的化合物(60mg、収率32.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.24 (1H, bd, 5-CH2), 1.38 (9H, s, C(CH3)), 1.55 (2H, bs, NH2), 2.74 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 2-CH2), 3.25 (1H, m, 5-CH2), 3.40 (2H, CH2-NHBoc), 4.25 (2H, t, CH2-OCO), 5.68 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.21 (1H, bt, Boc-NH), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (2H, dd, 芳香族H), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H,s, NH イミド). MS (APCI) m/z 594 [M+H]+.
【0112】
9)
【化32】
トリフルオロ酢酸(1mL)を攪拌した9a(60mg,0.1mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、溶媒を減圧濃縮した。該残渣をEt2O(5mL)で溶解し、黄色沈殿物を濾過し、真空乾燥して精目的化合物(56mg、収率78.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.85 (1H, bd, 5-CH2), 2.82 (1H, bd, 2-CH2), 3.20 (1H, m, 5-CH2), 3.45 (2H, m, CH2-NHBoc), 3.60 (1H, m, 2-CH2), 4.55 (2H, t, CH2-OCO), 5.90 (1H, bd, 3-CH-N), 6.10 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (2H, dd, 芳香族H), 7.8-8.6 (6H, m, NH3+), 9.15 (2H, dd, インドール H-4), 11.06 (1H,s, NH イミド). MS (APCI) m/z 494 [M+H]+.
【0113】
実施例10
10)
【化33】
2MメチルアミンのTHF溶液(10mL,20mmol)を攪拌した化合物8(205mg,0.54mmol)のTHF(6mL)溶液に加えた。密閉フラスコを室温で終夜攪拌し、次いで溶媒を減圧留去した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH/NH4OH(容積比95/4.5/0.5)]で精製し、精目的化合物(55mg、21.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.37 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, bd, 5-CH2), 2.70 (1H, bd, 2-CH2), 2.75 (3H, d, N-CH3), 3.10 (1H,m, 5-CH2), 3.27 (1H, m, 2-CH2 ) 5.45 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, q, 芳香族H) 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 8.12 (1H, m, NH アミド), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.06 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 464 [M+H]+.
【0114】
実施例11
11)
【化34】
エタノールアミン(20μL,0.51mmol)を化合物8(240mg,0.51mmol)のTHF(10mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で4日間攪拌した。溶媒は、減圧濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/MeOH/NH4OH(容積比95/4.5/0.5)]で精製し、精目的化合物(75mg、収率30.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40 (2H, bs, NH2), 1.55 (1H, bd, 5-CH2), 2.68 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (3H, m, 2-CH2 + N-CH2-CH2-OH), 3.55 (2H, m, N-CH2-CH2-OH), 4.75 (1H, t, OH), 5.45 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.70 (2H, q, 芳香族H), 7.77 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, m, 芳香族H), 8.10 (1H, bt, NH アミド), 9.05 (2H, bt, インドール H-4), 11.07 (1H, s, NH イミド). MS (ESI) m/z 494 [M+H]+.
【0115】
実施例12
12a)
【化35】
3MエチルマグネシウムブロミドのEt2O溶液(60mL,176mmol)を攪拌した5−メトキシインドール(25.9g,176mmol)のトルエン(600mL)およびTHF(60mL)溶液に窒素雰囲気下、滴下して加えた。反応液を室温で1時間攪拌し、次いで化合物1b(22.9g,80mmol)のトルエン/THF(容積比10/1,220mL)溶液を1時間以内に加えた。反応混合物は終夜還流し、室温に冷却して、飽和NH4Cl溶液(500mL)を加えた。反応混合物をEtOAc(500mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、EtOAc/石油エーテル(容積比1/5から1/1)]で精製し、所望化合物(29.15g、収率72.0%)を与えた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.06 (6H, s, インドール OCH3), 3.72 (3H, s, PMB OCH3), 4.69 (2H, s, CH2-PMB), 6.19 (2H, s, 芳香族H), 6.56 (2H, dd, 芳香族H), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.31 (4H, m, 芳香族H), 7.89 (2H, s, インドール H-2), 11.60 (2H, bs, インドール NH). MS (APCI) m/z 508 [M+H]+.
【0116】
12b)
【化36】
酢酸パラジウム(0.55g、触媒量)を12a(25.37g,50mmol)のDMF(200mL)溶液に加えた。反応混合物を室温で10分間攪拌し、CuCl2(6.60g,50mmol)を加えた。反応混合物は、次いで酸素雰囲気下、90℃で6時間加熱し、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧濃縮し、該残渣にEtOAc(200mL)を加えて、希NH4OH(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、EtOAc/石油エーテル(容積比1/2)]で精製し、精所望化合物(3.5g、収率14.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.65 (3H, s, インドール OCH3),3.85 (6H, s, PMB OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 6.85 (2H, d, 芳香族H), 7.20 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, d, 芳香族H), 7.70 (2H, dd, 芳香族H), 8.98 (2H, s, 芳香族H), 11.71 (2H, bs, インドール NH). MS (APCI) m/z 506 [M+H]+.
【0117】
12c)
【化37】
水素化ナトリウム(60%含鉱油、0.26g,6.43mmol)を12b(1.30g,2.57mmol)のTHF(50mL)溶液に、0℃で加えた。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、1a(0.70g,3.08mmol)のTHF(10mL)に30分以内に滴下して加えた。1時間後、水素化ナトリウム(60%含鉱油、0.2g,5mmol)を加えて、反応混合物を0℃で更に30分間攪拌した。溶媒を減圧留去し、該残渣をEtOAc(100mL)で溶解して、水(2×50mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。粗目的化合物は、更に物性を特定することなく、直接次工程に用いた。(1.35g、理論収率92%)
【0118】
12d)
【化38】
1MボランのTHF溶液(11.4mL,11.4mmol)を12c(1.30g,2.28mmol)のTHF(50mL)溶液に0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、NaOH(32%,1.2mL)を注意深く加えて、次いでH2O2(30%,4mL)を30分以内に滴下して加えた。該混合物は、0℃で2時間攪拌し、次いで不溶塩を濾別し、溶媒を減圧留去した。該残渣をEtOAc(60mL)で溶解し、水(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/石油エーテル(容積比7/3)]で精製し、精目的化合物(330mg、収率24.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.95 (1H, m, 5-CH2), 2.32 (1H, m, 5-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.35 (3H, s, PMB OCH3), 3.90 (6H, s, インドール OCH3), 4.16 (1H, m, 4-CH-OH), 4.82 (2H, s, CH2-PMB), 5.28 (1H, d, 3-CH-N), 5,62 (1H, d, OH), 5.85 (1H, m, 1-CH-N), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.30 (4H, m, 芳香族H), 7.82 (2H, m, 芳香族H), 8.55 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 588 [M+H]+.
【0119】
12e)
【化39】
クロロクロム酸ピリジニウム(0.70g,3.30mmol)を12d(26.5g,50mmol)および3Åモレキュラーシーブズ(1g)の1,2−ジクロロエタン (1L)懸濁液に何回かに分けて加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/CH2Cl2(容積比1/9)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(400mg、収率31.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.03 (1H, d, 2-CH2), 3.25 (3H, m, 5-CH2 + 2-CH2), 3.70 (3H, s, PMB OCH3), 3.91 (6H, s, インドール OCH3), 4.84 (2H, s, CH2-PMB), 5.51 (1H, d, 3-CH-N), 6.08 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (4H, m, 芳香族H), 7.90 (2H, dd, 芳香族H), 8.50 (2H, s, 芳香族H). MS (APCI) m/z 586 [M+H]+.
【0120】
12f)
【化40】
トリフルオロ酢酸(20mL)を12e(360mg,0.61mmol)のアニソール(10mL)懸濁液に加えた。反応混合物は終夜還流で攪拌し、次いで溶媒を減圧留去した。EtOH(10mL)を加え、沈殿物を濾別し、冷EtOH(2mL)および石油エーテル(2mL)で洗浄し、真空乾燥して該目的化合物(280mg、理論収率100%)を得て、精製することなく次工程に用いた。
【0121】
12g)
【化41】
7Mアンモニアのメタノール溶液(1mL,7mmol)およびチタニウム(IV)イソプロポキシド(200μL,0.72mmol)を攪拌した12f(280mg,0.6mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。2時間後トリメチルシリルシアニド(70μL,0.6mmol)を加えて、反応液は終夜攪拌した。反応混合物は、次いで水(10mL)で反応停止させて、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和塩化アンモニウム(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該粗残渣(240mg、理論収率81.3%)を何も精製することなく、次工程に用いた。
【0122】
12h)
【化42】
水酸化リチウム一水和物(250mg,4.9mmol)、過酸化水素(30%,2mL)および水(10mL)を12g(240mg,0.49mmol)のTHF(20mL)溶液に室温で加えた。反応液は室温で2時間攪拌し、水(25mL)を加えた。反応混合物を濾過し、橙色沈殿物を水(2mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、黄色粉末として精目的化合物(130mg、収率52.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40-1.45 (3H, m, NH2 + 2-CH2), 2.65 (1H, bd, 2-CH2), 3.10 (1H, m, 5-CH2), 3.40-3.45 (1H, m, 5-CH2), 3.90 (6H, s, OCH3), 5.43 (1H, bd, 3-CH-N), 5.82 (1H, bt, 1-CH-N), 7.27 (2H, m, 芳香族H), 7.66 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (2H, m, 芳香族H) 9.05 (2H, dd, 芳香族H), 11.01 (1H, s, イミド NH). MS (ESI) m/z 510 [M+H]+.
【0123】
12)
【化43】
1M三臭化ホウ素のCH2Cl2溶液(2.3mL,2.3mmol)を12h(120mg,0.23mmol)のCH2Cl2(3mL)懸濁液に加え、該混合物は室温で終夜攪拌した。該反応混合物を氷(10mL)に注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。水層は、飽和NaHCO3(20mL)で塩基性にし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比1/1)]で精製し、精所望化合物(45mg、収率41.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.40-1.45 (4H, m, NH2 + 2-CH2), 3.15 (2H, m, 5-CH2), 5.43 (1H, bd, 3-CH-N), 5.80 (1H, bt, 1-CH-N), 7.27 (1H, m, 芳香族H), 7.45 (2H, bs, CONH2), 7.66 (1H, m, 芳香族H), 8.86 (2H, d, 芳香族H) 9.35 (2H, dd, 芳香族H), 10.98 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 482 [M+H]+.
【0124】
実施例13
13)
【化44】
トリエチルアミン(0.28mL,2.1mmol)およびトリホスゲン(200mg,0.7mmol)を6b(400mg,0.70mmol)のTHF(50mL)溶液に窒素雰囲気下、加えた。反応液を4時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。EtOAc(50mL)を加えて、該溶液は、冷1N塩酸(30mL)、水(30mL)および飽和食塩水(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。該残渣は、EtOAc/EtOH(容積比1/1)(10mL)でトリチュレートし、濾過し、真空乾燥し、黄色粉末として所望の標題化合物(200mg、収率47.8%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 3.08 (1H, m, 5-CH2) 3.21 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.71 (1H, bd, 3-CH-N), 5.95 (1H, bt, 1-CH-N), 6.91 (2H, m, 芳香族H), 7.35-7.45 (4H, m, 芳香族H), 7.50 (1H, s, CONH), 7.55-7.65 (2H, m, 芳香族H), 7.85-7.95 (2H, dd, 芳香族H), 9.05-9.10 (2H, dd, インドール H-4), 10.92 (1H, s, CONHCO). MS (ESI) m/z 596 [M+H]+.
【0125】
実施例14
14)
【化45】
水素化ナトリウム(25mg,0.8mmol)およびヨウ化メチル(44μL,0.71mmol)を化合物13(170mg,0.29mmol)のDMF(20mL)溶液に窒素雰囲気下、室温で加えた。反応液は50℃で4時間攪拌した。溶媒は減圧濃縮し、残渣をAcOEt(20mL)で溶解し、水(10mL)および飽和食塩水(10mL)で洗浄した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比95/5)]で精製し、橙色粉末として精目的化合物(38mg、収率21.5%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.63 (1H, bd, 5-CH2), 2.75 (1H, bd, 2-CH2), 2.92 (3H, s, N-CH3), 3.08 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.85 (2H, s, CH2-PMB), 5.68 (1H, bd, 3-CH-N), 6.00 (1H, bt, 1-CH-N), 6.90 (2H, m, 芳香族H), 7.40 (4H, m, 芳香族H), 7.60 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, s, NH), 7.95 (2H, m, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, インドール H-4). MS (ESI) m/z 610 [M+H]+.
【0126】
実施例15
15a)
【化46】
N−メチルモルホリンN−オキシド(120mg,1mmol)、四酸化オスミニウム(2.5%含t−BuOH溶液,0.5mL,触媒量)および水数滴を1f(510mg,1mmol)のアセトン(150mL)溶液に室温で加えた。反応混合物は2時間攪拌し、沈殿物を濾別し、アセトン(20mL)および石油エーテル(20mL)で洗浄して、精目的化合物(370mg、収率69.0%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.42 (1H, d, 2-CH2), 3.15 (1H, m, 2-CH2), 3.60 (3H, s, OCH3), 4.08 (2H, m, CH-OH), 4.77 (2H, s, CH2-PMB), 5.45 (2H, m, CH-N), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (4H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.02 (2H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 544 [M+H]+.
【0127】
15b)
【化47】
トリフルオロ酢酸(20mL,大過剰量)を15a(300mg,0.55mmol)のアニソール(10mL)溶液に加えた。反応混合物は、6時間還流で攪拌し、該溶媒を減圧留去した。MeOH(20mL)およびNaOH(1N,20mL)を加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌した。反応混合物をTHF(2×50mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比7/3)]で精製し、精目的化合物(75mg、収率32.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.51 (1H, d, 2-CH2), 3.25 (1H, m, 2-CH2), 4.08 (2H, m, CH-OH), 5.47 (2H, m, CH-N), 7.40 (2H, m, 芳香族H), 7.65 (2H, bt, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, d, 芳香族H), 11.08 (1H, bs, NH). MS (ESI) m/z 424 [M+H]+.
【0128】
15c)
【化48】
スルホニルジイミダゾール(3.7g,18.9mmol)を15b(2g,4.7mmol)のTHF(200mL)溶液に加え、続いて、DBU(2.8mL,18.9mmol)を室温で加えた。反応混合物を18時間攪拌し、次いで溶媒を減圧濃縮し、Et2O(100mL)を加えた。沈殿物を濾過し、EtOAc(15mL)およびEt2O(50mL)で洗浄し、真空乾燥して緑色粉末として精目的化合物(2.3g、収率100%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.00 (1H, d, 2-CH2), 3.19 (1H, m, 2-CH2), 3.62 (2H, m, CH-O), 5.70 (2H, bs, CH-N), 7.43 (2H, t, 芳香族H), 7.65 (2H, t, 芳香族H), 8.01 (2H, d, 芳香族H), 9.15 (2H, d, 芳香族H), 11.03 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 486 [M+H]+.
【0129】
15)
【化49】
アジ化ナトリウム(2.68g,41.2mmol)を15c(2g,4.1mmol)のDMF(100mL)の溶液に室温で加えた。反応混合物を80℃で3時間加熱した。該溶媒を減圧留去、THF(40mL)および20%硫酸水(80mL)を加えた。該反応混合物を室温で終夜攪拌し、次いでTHF(100mL)で希釈し、飽和KCl(50mL)で洗浄した。該水層はTHF(2×100mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和NaHCO3(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して精目的化合物(493mg、収率24.6%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.25 (2H, m, 2-CH2), 3.70 (1H, bt, CH-OH), 4.37 (1H, s, CH-N3), 5.31 (1H, d, 3-CH-N), 5.86 (1H, bt, 1-CH-N), 6.52 (1H, d, OH), 7.37 (2H, t, 芳香族H), 7.60 (2H, t, 芳香族H), 7.85 (2H, d, 芳香族H), 9.02 (2H, t, 芳香族H), 11.03 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 449 [M+H]+.
【0130】
実施例16
16)
【化50】
化合物15(100mg,0.22mmol)および水(0.5mL)のTHF(5mL)溶液は、ポリマー担持されたトリフェニルホスフィン(450mg,2.2mmol)存在下、室温で終夜攪拌した。該懸濁液は濾別し、生じた溶液を減圧濃縮し、固形残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比1/1)]で精製し、精目的化合物(25mg、収率27.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.90 (1H, d, 2-CH2), 3.35 (1H, m, 2-CH2), 3.90 (1H, bt, CH-OH), 4.25 (1H, m, CH-NH2), 5.30 (1H, d, 3-CH-N), 5.70 (2H, m, 1-CH-N + OH), 7.30 (2H, dt, 芳香族H), 7.55 (3H, m, 芳香族H), 7.95 (1H, d, 芳香族H), 9.05 (2H, dd, 芳香族H), 11.05 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 423 [M+H]+.
【0131】
実施例17
17)
【化51】
化合物15(0.3g,0.67mmol)のTHF(10mL)溶液をメチルアセチレンカルボキシレート(0.17mL,2mmol)、ヨウ化銅(I)(380mg,2mmol)およびN−ジイソプロピルエチルアミン(5.6mL,33mmol)のTHF(10mL)溶液に加えた。反応混合物は、室温で4時間攪拌し、1N塩酸(20mL)を加えた。水層はTHFで抽出し、有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/アセトン(容積比9/1から8/2)]で精製し、精目的化合物(262mg、収率75.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.80 (1H, d, 2-CH2), 3.40 (1H, m, 2-CH2), 3.70 (3H, s, OCH3), 4.48 (1H, bt, CH-OH), 5.55 (2H, m, 3-CH-N + 4-CH-N-N), 5.97 (1H, bt, 1-CH-N), 6.45 (1H, d, OH), 7.18 (2H, m, 芳香族H), 7.30 (1H, t, 芳香族H), 7.40 (1H, bt, 芳香族H), 7.65 (1H, bt, 芳香族H), 7.95 (1H, d, 芳香族H), 8.50 (1H, s, トリアゾール H), 8.90 (1H, d, 芳香族H), 9.15 (1H, d, 芳香族H), 11.10 (1H, s, イミド NH). MS (APCI) m/z 555 [M+Na]+.
【0132】
実施例18
18)
【化52】
水酸化リチウム一水和物(77mg,1.83mmol)および水(0.5mL)を化合物17(0.195mg,0.37mmol)のTHF溶液に加えた。反応混合物は室温で終夜攪拌し、飽和NH4OAc(2mL)を加えた。反応混合物を120℃で3時間加熱し、冷却し、EtOAc(15mL)で抽出し、1N塩酸(2×10mL)で洗浄した。有機層は、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。EtOAc(10mL)を加え、沈殿物を濾過し、真空乾燥して精目的化合物(150mg、収率78.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.80 (1H, d, 2-CH2), 3.30 (1H, d, 2-CH2), 3.97 (1H, bd, 5-CH-OH), 4.75 (1H, d, OH), 5.55 (2H, m, 3-CH-N + 4-CH-N-N), 6.00 (1H, bt, 1-CH-N), 7.18 (2H, m, 芳香族H), 7.35 (1H, bt, 芳香族H), 7.40 (1H, t, 芳香族H), 7.65 (1H, bt, 芳香族H), 7.97 (1H, d, 芳香族H), 8.35 (1H, s, トリアゾール H), 8.90 (1H, d, 芳香族H), 9.10 (1H, d, 芳香族H), 11.10 (1H, s, イミド NH), 12.6 0(1H, m, COOH). MS (APCI) m/z 1035 [2M-H]+.
【0133】
実施例19
19a)
【化53】
1f(4g,7.85mmol)のTHF(15mL)溶液を室温で、ウレタン(7.0g,78.5mmol)、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(7.7g,39.25mmol)およびNaOH(3.1g,78.5mmol)の水(30mL)およびTHF(15mL)の混合溶液に加えた。オスミニウム酸カリウム塩2水和物(30mg,触媒量)を次いで加えて、室温で続けて18時間攪拌した。反応は、EtOAc(100mL)および亜硫酸水素ナトリウム固体(2g)を添加して停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、残渣(3.16g)を得、繰り返しクロマトグラフ[シリカゲル、溶離混合液としてEtOAc/石油エーテル(容積比7/3)およびCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製した。標題化合物(740mg)を含む画分は、EtOAcおよびTHFでトリチュレートし、精標題化合物(270mg、収率6.04%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.81 (1H, m, 2-CH2), 3.23 (1H, m, 2-CH2), 3.73 (3H, s, OCH3), 4.18 (1H, m, 1-CH-N), 4.83 (2H, s, CH2-PMB), 4.98 (1H, d, 3-CH-N), 5,65 (1H, d, OH), 5.57 (1H, dd, 4-CH-N), 5.91 (1H, m, 5-CH-O), 6.89 (2H, d, 芳香族H), 7.35 (2H, m, 芳香族H), 7.40 (2H, t, 芳香族H), 7.74 (2H, m, 芳香族H), 7.91 (2H, d, 芳香族H), 9.04 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 569 [M+H]+.
【0134】
19)
【化54】
塩化アルミニウム(210mg,1.58mmol)を19a(90mg,0.158mmol)のアニソール(10mL)溶液に室温で加えた。該懸濁液は、2時間還流して攪拌した。反応混合物を冷却し、水 (30mL)に注ぎ、EtOAc/テトラヒドロフラン(2×30mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。分取用TLC[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)]で精製し、精目的化合物(50mg、収率67.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.78 (1H, bd, 2-CH2), 3.45 (1H, m, 2-CH2), 4.17 (1H, d, 1-CH-N), 5.01 (1H, dd, 3-CH-N), 5.60 (1H, dd, 4-CH-N), 5.89 (1H, m, 5-CH-O), 6.87 (2H, d, 芳香族H), 7.32 (2H, m, 芳香族H), 7.44 (2H, t, 芳香族H), 7.78 (2H, m, 芳香族H), 7.95 (2H, d, 芳香族H), 9.08 (2H, dd, 芳香族H). MS (ESI) m/z 449 [M+H]+.
【0135】
実施例20
20a)
【化55】
水素化アルミニウムリチウム(15.0g,400mmol)を攪拌した1e(35.4g,800mmol)のTHF(1L)溶液に、穏やかに還流が越えない程度で、何回かに分けて加えた。反応混合物を更に室温で1時間攪拌し、湿った硫酸ナトリウムで反応停止した。固形塩を濾別し、濾液を減圧濃縮した。該残渣をEtOAc(1L)で溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して精目的化合物(33.7g、収率95.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.44 (1H, d, CH2-PMB), 5.06 (1H, d, CH2-PMB), 6.14 (1H, d, CH-OH), 6.81 (1H, d, OH), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (2H, 芳香族H), 7.36 (2H, d, 芳香族H), 7.46 (2H, m, 芳香族H), 7.75 (2H, m, 芳香族H), 8.32 (1H, d, 芳香族H), 9.19 (1H, d, 芳香族H), 11.39 (1H, s, NH), 11.51 (1H, s, NH). MS (APCI) m/z 448 [M+H]+.
【0136】
20b)
【化56】
トリフルオロ酢酸(30mL,370mmol)を攪拌した20a(33.7g,75.0mmol)、フッ化アンモニウム(3.6g,100mmol)およびトリエチルシラン(15.6mL,100mmol)の塩化メチレン(200mL)溶液に氷冷下加えた。次いで、反応混合物を室温で18時間攪拌し、氷水に注いだ。該沈殿物を濾過し、水で繰り返し洗浄し、精目的化合物(18.6g)の1回分を得た。有機層を飽和NaHCO3水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して該生成物(30.9g、収率94.9%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ3.72 (3H, s, OCH3), 4.84 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (2H, 芳香族H), 7.36 (2H, d, 芳香族H), 7.48 (2H, m, 芳香族H), 7.74 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 9.28 (1H, d, 芳香族H), 11.46 (1H, s, NH), 11.62 (1H, s, NH). MS (APCI) m/z 432 [M+H]+.
【0137】
20c)
【化57】
水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁液,5.7g,214.8mmol)を20b(30.9g,71.6mmol)のTHF(1L)溶液に氷冷下、何回かに分けて加えた。1時間後、1a(32.1g,143.2mmol)のTHF(80mL)溶液を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌し、更に水素化ナトリウム(1.9g,71.6mmol)を追加した。反応混合物を更に室温で16時間攪拌し、次いで水(1L)を加えて、反応混合物をEtOAc(2×500mL)で抽出した。有機層を併せ、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。該残渣(石油エーテル)の沈殿物を次工程に充分な純度で、精目的化合物(41.3g、定量的な収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.64 (1H, d, 2-CH2), 3.13 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 6.20 (2H, m, CH-N), 6.37 (2H, m, CH=CH), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.33 (4H, m, 芳香族H), 7.52 (2H, m, 芳香族H), 7.96 (3H, m, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 496 [M+H]+.
【0138】
20d1,2)
【化58】
1MボランのTHF溶液(416mL,416mmol)を攪拌した20c(41.3g,83.3mmol)のTHF(1L)溶液に、氷浴で冷却して加えた。反応混合物を0℃で90分間攪拌し、次いで水酸化ナトリウム(32%,52mL,416mmol)を注意深く加え、続いて過酸化水素(30%,140mL,1.25mol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌させた。有機層を上澄み分取し、水(500mL)を加えて、生じた混合物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/AcOEt(容積比95/5から80/20)]で精製し、20d1,2(14.6g、収率34.4%)を精位置異性体混合物として得た。
【0139】
20e1および20e2)
【化59】
20d1,2(14.6g,28.4mmol)、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(10.9g,56.8mmol)、N−ジメチルアミノピリジン(347mg,2.84mmol)、および3,4−ジメトキシフェニル酢酸(11.14g,56.8mmol)のTHF(500mL)の溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水、1N塩酸、水、1N NaOH、水、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/AcOEt(容積比99/1から97.5/2.5)]で精製し、フラクションズエステル(fractionsesters)として、両方の精目的化合物(E−ラクタム20e1,7.2g、収率37.0%、およびZ−ラクタム20e2,6.9g、収率34.8%)を得た。
20e1:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.10 (1H, dd, 5-CH2), 2.58 (1H, dd, 5-CH2), 2.66 (2H, d, 2-CH2), 3.02 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 3.75 (5H, s, OCH3, CH2-COO), 3.78 (3H, s, OCH3), 4.77 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.83 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.92 (2H, s, CH2-PMB), 5.09 (1H, m, 5-CH-O), 5.56 (1H, d, 3-CH-N), 5.96 (1H, t, 1-CH-N), 6.92 (5H, m, 芳香族H), 7.30 (4H, m, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.83 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.29 (1H, m, 芳香族H). MS (APCI) m/z 692 [M+H]+.
20e2:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.14 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, m, 5-CH2), 2.66 (2H, m, 2-CH2), 3.05 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (5H, s, OCH3, CH2-COO), 3.75 (3H, s, OCH3), 3.78 (3H, s, OCH3), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.11 (1H, m, 5-CH-O), 5.58 (1H, d, 3-CH-N), 5.95 (1H, t, 1-CH-N), 6.94 (5H, m, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.52 (2H, m, 芳香族H), 7.79 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.33 (1H, m, 芳香族H). MS (APCI) m/z 692 [M+H]+.
【0140】
20f2)
【化60】
ナトリウムメトキシド(10mg,触媒量)を20e2(6.6g,9.5mmol)のTHF(100mL)およびMeOH(100mL)の溶液に加えて、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2/EtOAc(容積比9/1)からEtOAc]で精製し、精目的化合物(4.40g、収率90.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.91 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.57 (1H, d, 2-CH2), 3.16 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.16 (1H, m, CH-OH), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.33 (1H, d, 3-CH-N), 5.60 (1H, d, OH) 5.87 (1H, t, 1-CH-N), 6.92 (2H, d, 芳香族H), 7.34 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.86 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 7.99 (1H, d, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 514 [M+H]+.
【0141】
20g2)
【化61】
ジメチルスルホキシド(2.9mL、40.8mmol)のTHF(20mL)溶液を攪拌した塩化オキサリル(1.8mL,20.4mmol)のTHF(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃で、内温−60℃以下を保ちながら加えた。10分後、20f2(4.2g,8.2mmol)のTHF(200mL)溶液を、−60℃以下で滴下して加えた。さらに10分後、トリエチルアミン(11.8mL,84.8mmol)を加えて、反応混合物を室温まで昇温した。反応混合物を反応停止させ、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機層を併せ、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてCH2Cl2単一からCH2Cl2/EtOAc(容積比99/1)]で精製し、精標題化合物(3.1g、収率74.3%)で得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.95 (2H, s, CH2-PMB), 5.55 (1H, d, 3-CH-N), 6.12 (1H, t, 1-CH-N), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.33 (4H, m, 芳香族H), 7.55 (2H, m, 芳香族H), 7.88 (1H, m, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.02 (1H, d, 芳香族H), 9.32 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0142】
20h2)
【化62】
20g2(2.5g,4.9mmol)のアニソール(20mL)懸濁液をトリフルオロ酢酸(100mL)と処理し、加熱還流を2時間行った。濃縮後、該残渣をEtOAc(200mL)およびTHF(50mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をエタノール(200mL)で処理し、生じた沈殿物を濾過した。ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して精標題化合物(1.7g、収率91.2%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 3.00 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.97 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CH-N), 6.13 (1H, t, 1-CH-N), 7.30 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.57 (1H, m, 芳香族H), 7.87 (1H, d, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0143】
20i2)
【化63】
チタニウム(IV)イソプロポキシド(1.2mL,4.2mmol)および7Mアンモニアメタノール溶液(5.4mL,38mmol)を順に攪拌した20h2(1.5g,3.8mmol)の1,2−ジクロロエタン(100mL)混合溶液に室温で加えた。トリメチルシリルシアニド(0.6mL,5.2mmol)を2時間後加え、反応混合物を室温で18時間攪拌した。次いで水(50mL)を加えた後、反応混合物をCH2Cl2(3×50mL)で抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。クロマトグラフィー[シリカゲル、溶離混合液としてAcOEt/CH2Cl2(容積比3/7)]で精製した後、精標題化合物(1.28g、収率80.6%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.61 (1H, m, 5-CH2), 2.32 (2H, s, NH2), 2.74 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.72 (1H, d, 3-CH-N), 5.93 (1H, dd, 1-CH-N), 7.32 (2H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.84 (1H, d, 芳香族H), 7.96 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0144】
20)
【化64】
水酸化リチウム一水和物(84mg,2.0mmol)および過酸化水素(30%,2mL,大過剰量)を20i2(86mg,0.2mmol)のTHF(10mL)溶液に室温で加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。該残渣を水(50mL)で希釈し、沈殿物を濾過し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して精標題化合物(50mg、収率57.1%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.32 (2H, s, NH2), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.44 (1H, d, 3-CH-N), 5.77 (1H, m, 1-CH-N), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.34 (1H, t, 芳香族H), 7.50 (2H, m, 芳香族H), 7.61 (2H, bs, CONH2), 7.68 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0145】
実施例21〜48
化合物21から48は、当業者に公知の方法および/または本明細書に記載の方法で合成した。
【0146】
実施例49
49f1)
【化65】
先に合成した20e1(7.2g,10.4mmol)のTHF(150mL)およびメタノール(150mL)の溶液を、触媒量のナトリウムメトキシド存在下、室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、濃度勾配系:CH2Cl2100%−10%AcOEt−100%AcOEt)で精製し、精アルコール体(5.22g,98%)を与えた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.88 (1H, dd, 5-CH2), 2.36 (1H, dd, 5-CH2), 2.57 (1H, d, 2-CH2), 3.16 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, OCH3), 4.15 (1H, m, 4-CH-OH), 4.79 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.85 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.94 (2H, s, CH2-PMB), 5.31 (1H, d, 3-CHN), 5.58 (1H, d, OH) 5.87 (1H, t, 1-CHN), 6.91 (2H, d, 芳香族H), 7.26 (1H, m, 芳香族H), 7.33 (3H, m, 芳香族H), 7.47 (1H, td, 芳香族H), 7.56 (1H, td, 芳香族H), 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.90 (1H, d, 芳香族H), 8.01 (1H, d, 芳香族H), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 514 [M+H]+.
【0147】
49g1)
【化66】
攪拌した塩化オキサリル(1.98mL,22.8mmol)のTHF(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でDMSO(3.2mL,45.5mmol)のTHF(20mL)溶液を、−60℃以下を維持するように加えた。10分後、49f1(4.7g,9.1mmol)のTHF(200mL)溶液に、−60℃以下で滴下して加えた。さらに10分後、トリエチルアミン(13.2mL,94.6mmol)を加え、反応混合物を室温まで昇温させた。反応混合物を加水分解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を併せ、水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2から1%AcOEt)で精製し、精該化合物(2.9g,62.3%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0148】
49h1)
【化67】
49g1(2.4g,4.7mmol)のアニソール(20mL)混合物をトリフルオロ酢酸(100mL)と処理し、還流下2時間加熱した。該反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機乳濁層を減圧濃縮した。該残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して該化合物(1.5g,81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0149】
49i1)
【化68】
攪拌した49g1(1.7g,4.3mmol)のジクロロエタン(100mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(1.4mL,4.8mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアメタノール溶液(6.1mL,43mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.7mL,5.2mmol)を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(50mL)を加え、該混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/CH2Cl2=3/7)で精製し、アミノニトリル体(1.12g、収率62.4%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0150】
49)
【化69】
先に合成したアミノニトリル体(1.48g,3.54mmol)のTHF(100mL)溶液に水酸化リチウム水和物(1.48g、35.4mmol)を室温で加え、続いて30%過酸化水素溶液(12mL)を加えた。反応混合物は、室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、生成した沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して該所望化合物(1.25g、収率81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0151】
実施例50
【化70】
化合物49(1.24g,2.85mmol)のエタノール(150mL)溶液に濃硫酸(15mL)を室温で滴下して加えた(注意:非常に発熱)。反応混合物を還流下で24時間攪拌し、次いで氷水(500mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して粗化合物(1.2g、収率90%)を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー[溶離液:濃度勾配系、塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3から1/1)]で精製し、所望化合物(0.38g、収率29%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0152】
実施例51
【化71】
化合物20(1.66g,3.81mmol)のエタノール(200mL)溶液に濃硫酸(20mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を還流下で24時間攪拌し、次いで氷水(500mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、粗該化合物(1.6g,収率90%)を得た。一部をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー[溶離液:濃度勾配系、塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3から1/1)]で精製し、所望化合物(0.64g,収率37%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.52 (1H, d, 5-CH2), 2.66 (1H, d, 5-CH2), 3.05 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.63 (1H, d, 3-CHN), 5.81 (1H, m, 1-CHN), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.70 (1H, d, 芳香族H), 7.89 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.55 (1H, s, NH), 9.30 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0153】
実施例52
【化72】
化合物50(0.33g,0.71mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(100mL)を加えた。反応混合物を1週間(HPLCで管理)室温で攪拌し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)に続いてメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物(0.25g、収率77%)を得た。該塩基(0.3g,0.66mmol)のアセトン溶液に、塩酸エタノール溶液を加えた。得られた混合物を減圧濃縮し、該塩を酢酸エチルでトリチュレートし、濾別し、酢酸エチルで洗浄し、40℃で真空乾燥し、該所望化合物(0.262g、収率81%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
【0154】
実施例53
【化73】
化合物51(0.62g,1.33mmol)に2MメチルアミンのTHF溶液(100mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間(HPLCで管理)攪拌し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、次いでメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物(0.36g、収率60%)を得た。該塩基(0.185g,0.41mmol)のアセトン溶液に、塩酸エタノール溶液を加えた。得られた混合物を減圧濃縮し、塩を酢酸エチルでトリチュレートし、濾別し、酢酸エチルで洗浄し、40℃で真空乾燥して、所望化合物(0.188g、収率94%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.49 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.97 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.78 (1H, m, 1-CHN), 7.28 (1H, t, 芳香族H), 7.34 (1H, t, 芳香族H), 7.47 (1H, m, 芳香族H), 7.53 (1H, m, 芳香族H), 7.67 (1H, d, 芳香族H), 7.88 (1H, d, 芳香族H), 8.07 (1H, m, 芳香族H) 8.12, (1H, broad, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.31 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
【0155】
実施例54
54a1および54a2)
【化74】
PMB保護されたケトン(1.6g,3.1mmol)のジクロロエタン(100mL)溶液にチタニウムイソプロピレート(11.1mL,37.5mmol)を加え、続いて(S)−t−ブチルスルフィナミド(2.3g,18.7mmol)を室温で加えた。反応混合物を還流下で3時間加熱した。室温に冷却した後、水を加えて、生成した沈殿物を濾別し、塩化メチレンおよびTHFで洗浄した。濾液を飽和食塩水、続いて水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/CH2Cl2=95/5)で精製した後、ジアステレオマー1、54a1(0.52g、収率26%)およびジアステレオマー2、54a2(0.32g、収率15.6%)を得た。(溶出順)
54a1:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ0.38 (9H, s, C(CH3)3), 2.82 (1H, dd, 5-CH2), 3.22 (2H, m, 2-CH2, 5-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.73 (3H, s, OCH3), 4.83 (2H, s, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 6.05 (2H, m, 3-CHN, 1-CHN), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.85 (1H, d, 芳香族H), 7.96 (1H, d, 芳香族H), 8.02 (1H, d, 芳香族H), 9.34 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 615 [M+H]+.
54a2:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ0.85 (9H, s, C(CH3)3), 2.85 (1H, dd, 5-CH2), 3.22 (2H, m, 2-CH2, 5-CH2), 3.58 (1H, m, 2-CH2), 3.72 (3H, s, OCH3), 4.80 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.86 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.96 (2H, s, CH2-PMB), 6.06 (2H, m, 3-CHN, 1-CHN), 6.93 (2H, d, 芳香族H), 7.31 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.83 (1H, d, 芳香族H), 7.99 (2H, m, 芳香族H), 9.33 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 615 [M+H]+.
【0156】
54b1)
【化75】
54a1(0.52g,0.85mmol)のTHF(20mL)を1N塩酸水溶液(20mL)と室温で3日間作用させた。反応完了後(TLCモニタリング)、反応混合物を減圧濃縮した。濃縮液を酢酸エチルで溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して精キラル54b1(0.45g、定量収率)を得た。
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:8.99分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0157】
54c1)
【化76】
54b1(0.45g,0.88mmol)のアニソール(4mL)の混合物をトリフルオロ酢酸(40mL)と加熱還流下、2時間作用させた。反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。該有機乳濁層を減圧濃縮した。残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して、54c1(0.33g、収率96%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0158】
54d1)
【化77】
攪拌した54c1(0.33g,0.84mmol)のジクロロエタン(20mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(0.3mL,0.93mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアのメタノール溶液(1.2mL,8.4mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.14mL,1.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(10mL)を加えて、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、アミノニトリル体54d1(0.36g,定量収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0159】
54e1)
【化78】
54d1(0.36g,0.84mmol)のTHF(50mL)溶液に、水酸化リチウム水和物(0.35g,8.4mmol)を加えて、続いて30%過酸化水素溶液(5mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで減圧濃縮し、残渣を水で希釈し、生じた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥し、所望化合物54e1(0.3g、収率82%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0160】
54f1)
【化79】
54e1(0.30g,0.69mmol)のエタノール(20mL)溶液に濃硫酸(2mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を還流24時間攪拌し、次いで氷水(50mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、該化合物54f1(0.27g、収率84%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0161】
54)
【化80】
先に合成したアミノエチルエステル54f1(0.27g,0.58mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(50mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間攪拌(HPLCで管理)し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、続いてメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、所望化合物54(0.045g、収率17%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:14.3分
【0162】
実施例55
55b2)
【化81】
ジアステレオマーイミン54b1(0.32g,0.52mmol)のTHF(20mL)溶液と1N塩酸水溶液(20mL)を室温3日間反応させた。反応完了後(TLCモニタリング)、反応混合物を減圧濃縮した。該濃縮液を酢酸エチルで溶解し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、キラルPMB保護されたケトン体55b2(0.29g,定量収率)を得た。
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:9.87分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.45 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.20 (1H, dd, 2-CH2), 3.49 (1H, m, 2-CH2), 3.71 (3H, s, OCH3), 4.78 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.84 (1H, d, ラクタム-CH2), 4.93 (2H, s, CH2-PMB), 5.54 (1H, d, 3-CHN), 6.11 (1H, t, 1-CHN), 6.91n (2H, d, 芳香族H), 7.32 (4H, m, 芳香族H), 7.54 (2H, m, 芳香族H), 7.82 (1H, d, 芳香族H), 7.92 (1H, d, 芳香族H), 8.00 (1H, d, 芳香族H), 9.35 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 512 [M+H]+.
【0163】
55c2)
【化82】
先に合成したケトン体55b2(0.29g,0.56mmol)のアニソール(3mL)混合物をトリフルオロ酢酸(30mL)と加熱還流で2時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮した。該残渣を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。該有機乳濁層を減圧濃縮した。該残渣をエタノールで希釈し、生じた沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して化合物55c2(0.195g、収率89%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ2.33 (1H, dd, 5-CH2), 2.98 (1H, dd, 5-CH2), 3.21 (1H, dd, 2-CH2), 3.50 (1H, m, 2-CH2), 4.96 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.55 (1H, d, 3-CHN), 6.12 (1H, t, 1-CHN), 7.29 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.52 (1H, m, 芳香族H), 7.58 (1H, m, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 7.94 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.60 (1H, s, NH), 9.29 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 392 [M+H]+.
【0164】
55d2)
【化83】
攪拌した55c2(0.195g,0.5mmol)のジクロロエタン(20mL)混合物に、チタニウムイソプロピレート(0.16mL,0.55mmol)を室温で加え、続いて7Nアンモニアメタノール溶液(0.7mL,5.0mmol)を加えた。2時間後、トリメチルシリルシアニド(0.04mL,0.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。水(10mL)を加え、混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、アミノニトリル体55d2(0.22g、定量収率)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.58 (1H, m, 5-CH2), 2.38 (2H, s, NH2), 2.75 (1H, m, 5-CH2), 3.25 (2H, m, 2-CH2), 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.73 (1H, d, 3-CHN), 5.94 (1H, dd, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.37 (1H, t, 芳香族H), 7.53 (2H, m, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.05 (2H, m, 芳香族H), 8.58 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (ESI) m/z 418 [M+H]+.
【0165】
55e2)
【化84】
55d2(0.22g,0.5mmol)のTHF(50mL)溶液に、水酸化リチウム水和物(0.21g,5.0mmol)を室温で加え、続いて30%過酸化水素溶液(5mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで溶媒を減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、生じた沈殿物を濾別し、水で洗浄し、50℃で真空乾燥して該所望化合物55e2(0.16g、収率73%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.33 (2H, s, NH2), 1.45 (1H, d, 5-CH2), 2.60 (1H, d, 5-CH2), 3.13 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 5.00 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.45 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.26 (1H, t, 芳香族H), 7.36 (1H, t, 芳香族H), 7.51 (2H, m, 芳香族H), 7.62 (2H, broad, CONH2), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.80 (1H, d, 芳香族H), 8.09 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.27 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 436 [M+H]+.
【0166】
55f2)
【化85】
55e2(0.16g,0.37mmol)のエタノール(20mL)溶液に濃硫酸(2mL)を室温で滴下して加えた。反応混合物を24時間還流し、次いで氷水(50mL)に注ぎ、炭酸ナトリウムで中和した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、化合物55f2(0.17g、収率99%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.36 (3H, t, OCH2CH3), 1.48 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 3.15 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.31 (2H, m, OCH2CH3) 4.98 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.62 (1H, d, 3-CHN), 5.79 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.55 (1H, m, 芳香族H), 7.75 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.08 (1H, d, 芳香族H), 8.56 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 465 [M+H]+.
【0167】
55)
【化86】
先に合成したアミノエチルエステル(0.17g,0.37mmol)に、2MメチルアミンのTHF溶液(50mL)を加えた。反応混合物を室温で1週間攪拌(HPLCで管理)し、次いで減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル(容積比7/3)、次いでメタノール/酢酸エチル(容積比1/1)]で精製し、55(0.035g、収率21%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ1.28 (2H, s, NH2), 1.41 (1H, d, 5-CH2), 2.61 (1H, d, 5-CH2), 2.73 (3H, d, NH-CH3), 3.11 (1H, dd, 2-CH2), 3.23 (1H, dd, 2-CH2), 4.99 (2H, s, ラクタム-CH2), 5.41 (1H, d, 3-CHN), 5.76 (1H, m, 1-CHN), 7.25 (1H, t, 芳香族H), 7.35 (1H, t, 芳香族H), 7.48 (1H, m, 芳香族H), 7.54 (1H, m, 芳香族H), 7.76 (1H, d, 芳香族H), 7.81 (1H, d, 芳香族H), 8.10 (2H, m, 芳香族H, CONHMe), 8.55 (1H, s, NH), 9.26 (1H, d, 芳香族H). MS (APCI) m/z 450 [M+H]+.
キラルHPLC:
カラム:ダイセルキラルパックAD10μm、250×4.6mm
溶媒:イソクラティック90アセトニトリル/10エタノール/0.1ジエチルアミン
流速:0.5mL/分
UV−検出:290nm
保持時間:15.9分
【0168】
合成した全化合物の一覧は、表1に提供する。
表1.化合物1〜55の構造
【表1】
【表2】
【0169】
実施例56
(生物学的特性)
本発明における窒素置換され、N,N−架橋された炭素環式インドロカルバゾール化合物による酵素活性阻害は、例えば、以下の試験を用いて決定する事ができる。
1.細胞外シグナル制御キナーゼ2阻害アッセイ(ERK2)
2.タンパク質キナーゼA阻害アッセイ(PKA)
3.タンパク質キナーゼC阻害アッセイ(PKC)
4.グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害アッセイ(GSK3β)
これらの試験の記述は、以下の実施例56A〜Dに規定されている。その結果は、例示することを意図しており、開示の範囲を限定的に解釈される意図ではない。便宜上、略語は以下のように定義する:マイクログラムを”μg”、ミリグラムを”mg”、グラムを”g”、マイクロリットルを”μL”、ミリリットルを”mL”、リットルを”L”、ナノモーラーを”nM”、マイクロモーラーを”μM”、ミリモーラーを”mM”、モーラー(molar)を”M”。本発明の化合物は、好ましくは本明細書に記載のアッセイにおいて、約100μMから約10μMの濃度で、測定可能な阻害を示す。より好ましくは、本発明の化合物は、約10μMから約1μMの濃度で、測定可能な阻害を示す。さらにより好ましくは、本発明の化合物は、1μM未満の濃度で、測定可能な阻害を示す。
【0170】
上述の4つのキナーゼにおけるインビトロ活性の一覧は、試験化合物の10μM濃度での阻害パーセントとして表され、表2において合成されたほとんどの化合物を提供する。
【表3】
【0171】
実施例56A−細胞外シグナル制御キナーゼ2(ERK2)活性の阻害
ERK2キナーゼ活性アッセイは、放射活性の読み出しとともに96穴PCRプレートの放射活性に基づくフォーマットを利用する。ERK2活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、1mM MgCl2、1mM DTT、2%DMSO、150ng/mL ミエリン標準タンパク質(MBP,シグマM−1891)、および13.6ng/mL ヒスチジン標識ERK2(特異的活性=38.1nmol/分*mg)を含んだ25μLのアッセイ混合物でアッセイされた。化合物は、10μM濃度でのERK2キナーゼ活性の阻害についてスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分で進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。次いで、15μLの各溶液を対応する四角いフィルターマット(8×12ガラス繊維マット90×120mm,PE−Wallac1450−421)にスポットした。フィルターマットを乾燥させ、10%TCA、2%PPA、500mM食塩水で、それぞれ室温で30分間洗浄した。さらに、10%TCAおよび2%PPAの二つの洗浄を30分ずつ行って、次いで最後に99%エタノールを用いて、室温で30分洗浄し、フィルターマットを風乾させた。その後、乾燥させたフィルターマットは、該フィルターマットを覆うメルチレックス(Meltilex)シート(メルト−オン シンチレーターシート73×109mm、フィルターマットA用PE−Wallac1450−441)と一緒にサンプルバッグに置いた。バッグをマイクロプレートヒートシーラー(PE−Wallac 1495−021)に適合するように切り取った。ヒートシーラーを用いて、フィルターマット上のメルチレックスを溶かす。フィルターマットと溶解したメルチレックスを含むバッグは、次いでフィルターカセットに収納し、マイクロベータジェットシンチレーションおよび発光計測器PE−Wallac1450を用いてカウントした。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0172】
実施例56B−タンパク質キナーゼA阻害の阻害
PKAキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。PKA活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、10mM MgCl2、1mM DTT、1mM EDTA(pH8)、2%DMSO、250ng/mLヒストンH2B(ロシュ223 514)、および2ng/mL PKA(触媒サブユニット、牛の心臓、カルビオケム539486、特異活性=1170pmol/分*μg)を含んだ25μLのアッセイ混合物でアッセイされた。化合物は、10μM濃度で、PKAキナーゼ活性の阻害についてスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分で進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。実験手順の残りは、ERK2の報告と同一である。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0173】
実施例56C−タンパク質キナーゼC活性の阻害
PKCキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。PKC活性は、25mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、10mM MgCl2、1mM DTT、1mM EDTA(pH8)、2mM CaCl2、2%DMSO、250ng/mLヒストンH1(ロシュ 1 004 875)、および165ng/mL PKC(ラット脳,カルビオケム539494、特異活性=1600nmol/分*mg)を含んだ、25μLのアッセイ混合物をアッセイした。化合物は、10μM濃度でのPKCキナーゼ活性の阻害をスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分進行させ、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。実験手順の残りは、ERK2の報告と同一である。試験濃度での50%以上阻害を示す化合物の結果は、表1にまとめられる。
【0174】
実施例56D−グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β阻害活性
GSK3βキナーゼ活性アッセイは、放射活性を読出しとともに96穴PCRプレートに放射活性に基づくフォーマットを利用する。GSK3β活性は、8mM HEPES(pH7.0)、250μM ATP、0.2mM EDTA(pH8)、2%DMSO、250ng/mLミエリン標準タンパク質(MBP,シグマM−1891)、12ng/mL GSK3β(アップステートディスカバリー、特異活性=607nmol/分*GS2ペプチド、濃度6.05mg/mL)を含む25μLアッセイ混合物をアッセイした。化合物は、10μMの濃度で、GSK3βキナーゼ活性の阻害をスクリーニングした。キナーゼ反応は、37℃、30分進行させて、次いで反応は、0.5M EDTA(pH8)を5μL加えて停止させた。
【0175】
(バイオアベイラビリティ特性)
本明細書に開示された新規化合物群は、先行技術の密接に関連した構造と直接比較すると、血液脳関門の透過能が優れている事を示す。図23は、NAD0241の投与後短時間で、脳/血漿比が約1になり、CNSコンパートメントへの充分な平衡に本質的に達する事を示す。これは、米国特許第6013646号で開示された密接に関連した化合物NAD002より数倍、および構造的に関連する天然物K252aに比べ約2倍に改良されていることを表す。同一の賦形剤条件を有する同等量投与において、より高いレベルのNAD0241が、参考化合物より周辺コンパートメントの低暴露を維持しながら、脳内で可能となる事が、図22から認め得る。図20および21は、NAD0241に匹敵する血漿レベルにもかかわらず、血液脳関門透過性は事実上持ち合わせていない構造的に無関係のモノグリコシル化されたインドロカルバゾール化合物の参考例を示す。NAD0180の疑似レベルは、脳内血管コンパートメントからの汚染の寄与を表している。
【0176】
該新規化合物群は、塩の形体において製剤化しやすいので、賦形剤中の溶解特性および固形製剤の溶出性を大幅に改良し得る。図24は、NAD0241の塩酸塩を形成することで、約10倍程度水溶性の改善を示す。
【0177】
要約すると、該新規化合物群は、関連構造を有する比較される化合物より末梢の副作用が低く、より良い医薬品の経済性評価指標を有する、CNSにおける標的となるキナーゼに関連する病理学的機構を提供する。
【0178】
以下の例では、NAD0241に代表される、新しい系での優れた医薬的特徴を説明する。
【0179】
実施例56E−NAD0241の脳/血漿比の決定およびNAD0180との比較
化合物の適用:1.5mL/kgのPEG400マクロゴールPh.Eur.ベヒクル中に、各々5mg/kgのNAD0241およびNAD0180を、体重240−270gのウィスターハンラット(Wistar Han Rats)2群(n=3)の大腿部静脈に静脈注射を投与した。本適用は麻酔下で行い、初期麻酔は3.5%イソフルオラン/酸素で行い、次いで化合物の投与中および血管縫合の間、1%を維持した。200μLの局所麻酔剤リドカインを局所投与した。化合物の投与1時間後、200μLの血液を尾部血管の切開によって採取した。続く血液サンプリング後すぐに、素早い二酸化炭素麻酔の後、断頭によって終了した。脳は切除し、秤量した。血漿は、尾部血管血液を13000gで、4℃で20分遠心分離により得た。
【0180】
血漿からNAD0241の抽出:ガラス試験管に、濃アンモニア溶液200μLおよび飽和NaCl溶液200μLを同量の血液から得た各々の血漿サンプルと混合させた。混合物を2mL酢酸エチル(HPLCグレード)で1分間激しくボルテックスして抽出し、細かい乳濁液を形成した。加速させた後、4000gで室温5−10分、遠心分離することによって層を分離した。有機層をガラスピペットで採取し、50−60℃でスピードバック(SpeedVac)を用いて、ガラスバイアル中で蒸発させた。水層は同様の方法で、2回抽出を行い、有機層は、最初の抽出液と併せた。
【0181】
脳から化合物NAD0421の抽出:ラット脳の2分の1は、コニカル底試験管に置き、飽和食塩水500μLにおいて、4℃で20分間、55%力で超音波処理(BandelinSonoplus UW2070,ベルリン)によって、ホモジネートした。200μLの濃アンモニアをサンプルに加えた。抽出は、次いで血漿サンプルで行ったのと同様に2mL酢酸エチル(HPLCグレード)で2回行った。
【0182】
血漿および脳からNAD0180の抽出:抽出は、抽出前に濃アンモニアを加える事を除いて上記のNAD0241に記載と同様に行った。
【0183】
NAD0241およびNAD0180の抽出回収および標準曲線の構築:コントロールラットから得られる、100μLの血漿または0.5gの飽和NaClでホモジネートした脳組織に、それぞれNAD0241およびNAD0180を、1ng/mLから5μg/mLの濃度範囲になるように滴下した。滴下した脳または血漿サンプルを次いで抽出し、上記の方法を行った。抽出液の定量分析は、HPLCによって、蛍光検出を用いて行った。有機抽出液を併せ、蒸発させた後の残渣を300μLのアセトニトリルで溶解し、NAD0241は、流速0.75mL/分で5μm RP18 SelectB 12.5×4.6mmカラム(メルク)に、NAD0180は、流速1.250mL/分で、C18シールドシンメトリー25×4.6mmカラム(Waters and Owen)に100μLを注入させた。溶離は40℃の温度において、アセトニトリル/水(容積比60/40)を用いて、イソクラティックで行った。蛍光検出およびピーク面積による定量は、NAD0241の励起および発光波長は、それぞれ317nmおよび542nmで、NAD0180の励起および発光波長は、315nmおよび565nmで、G1321A(AgilentTech1100シリーズ)検出器を用いて行った。ピーク面積は、それぞれNAD0241およびNAD0180のアセトニトリル(HPLCグレード)ストック溶液から調製した純標準溶液を種々の濃度で注入した後に、得られたピーク面積を比較し、抽出効率を決定し、抽出効率は、通常90−95%であった。標準曲線は、純標準液の注入された量、μgに対する蛍光ピーク面積をプロットすることにより得られた。
【0184】
実施例56F−NAD0241と比較による、先行技術化合物K252aおよびNAD002の脳/血漿比の決定
先行技術化合物K252aおよびNAD002は、血液脳関門透過能において、NAD0241との直接比較を与えるために、実施例56Eで用いた同一の適用条件を使用することで評価した。NAD0241を含む全化合物の注入量は、2.3mL/kg、すなわち動物につき平均して約500−600μLに固定した。その他のパラメーターは、変化させなかった。
【0185】
体液および脳組織のサンプリングは、実施例56Eに記載したとおり行った。脳および血漿からの化合物の抽出は、実施例56Eに記載のとおり行ったが、濃アンモニア溶液はK252aおよびNAD002の抽出の前には加えなかった。
【0186】
K252aのHPLC分析は、5μm メルク RP 18 Select B 12.5×4.6mmカラムを用い、流速0.75mL/分、アセトニトリル/水(容積比60/40)で、イソクラティック溶離で行った。蛍光励起/発光は、284nm/476nmであった。NAD002は、C18シールドシンメトリー25×4.6mmカラム(Waters and Owen)を用い、40℃で、励起/発光波長は315/565nmを用いて分析した。定量は、実施例56Eと同様に行った。
【0187】
実施例56G−NAD0241の遊離塩基および塩酸塩の水/DMSO(容積比99/1)中での溶解性決定
NAD0241(100mM)およびその塩酸塩(50mM)のDMSO(UVグレード)ストック溶液は、実験前新たに調製し、さらに最終濃度の10mMまで希釈した。これらの100%DMSOのストック溶液は、水(UVグレード)で希釈し、5つの濃度の異なる(1000,500,100,50,および10μM)水/DMSO(容積比99/1)のサンプルを調製した。
【0188】
各サンプルは、激しく30秒間ボルテックスによって混合し、続いて室温18時間で平衡化した。各サンプルの500mLアリコート(aliquot)は、1.5mLポリプロピレンチューブに移し、固定角卓上遠心分離器(#3325回転機を備えたHeraeus Biofuge pico)で、16000gで室温30分間遠心分離した。上清をピペットで水晶ガラスキュベットに入れ、UV吸収(322nm)を、UV分光光度計(Varian Cary50)を用いて測定した。各実験は、同一に行った。
【0189】
NAD0241の場合、23mg/Lの値が、両方の実験で1%DMSOを含む水への溶解限界としてわかった。その塩酸塩は、2つの二重実験によって、それぞれ170mg/Lおよび214mg/Lの値を与えた。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】は、本発明の化合物Ia−hの構造を示し、それらの合成は以下に詳細に述べる。
【図2】は、ジブロモ中間体IIの合成を示し、その中間体は、一般式Iの化合物の合成に用いられる。
【図3】は、ビス−ハロマレイミド中間体IVa,bの合成を示し、その中間体は、一般式Iの化合物の合成に用いられる。
【図4】は、鍵となるN−保護された対称架橋インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物VIIIaの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図5】は、鍵となるN−保護された非対称架橋インドロカルバゾールイミドアグリコン化合物VIIIbの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11=カルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図6】は、鍵となるN−保護された架橋インドロカルバゾールラクタムアグリコン化合物XIIIa,bの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図7】は、鍵となる架橋インドロカルバゾールイミド中間体XVa,bおよびXVIa,bの合成における代替的な詳しい経路を示し、それらは、一般式I(R8,R9およびR10,R11がカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図8】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Iaの合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図9】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ibの合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図10】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ic/1−3の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図11】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Idおよび1d/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図12】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ieおよび1e/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図13】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ieおよび1e/2の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図14】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ie/3および1e/4の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図15】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ie/5および1e/6の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図16】は、一般式Iに描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ifおよび1f/1の合成における代替的な詳しい経路を示す。
【図17】は、鍵となる架橋インドロカルバゾールラクタム中間体XXVIa,bおよびXXVIIa−dの合成における代替的な詳しい経路を示し、その中間体は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方だけがカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図18】は、鍵となるE−およびZ−位置異性体対のケト架橋されたインドロカルバゾールラクタム中間体XXVIIa,bおよびXXVIIc,dの合成における代替的な詳しい経路を示し、その中間体は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方だけがカルボニル)の化合物の合成に用いられる。
【図19】は、一般式I(R8,R9およびR10,R11のどちらか一方がカルボニル)に描かれた一般的に分類された化合物の合成例として、化合物Ig/1−3およびIh/1−3の構造を示す。
【図20】は、投与後1時間後のNAD0180(比較化合物)で処理したラットの脳と血漿濃度との比較による、NAD0241(実施例5の化合物)で処理したラットの脳と血漿濃度を示す。NAD0241がBBBをより容易に通過する能力を示し、脳内におけるNAD0241およびNAD0180濃度との間にかなり違いがある。
【図21】は、適用条件でのNAD0241およびNAD0180における脳および血漿との比を示す。この比は30倍以上の差があり、NAD0180と比較して、より良いNAD0241の透過速度性を示す。
【図22】は、実施例56Eおよび56Fで提供した条件を適用した投与後1時間後のNAD0241、NAD002(WO 00/01699記載の化合物CII)およびK252aの脳および血漿濃度を示す。NAD0241は、NAD002に比べ有意に高濃度で脳内に存在した。NAD0241と比べ、NAD002およびK252aの血漿レベルにも有意差がある。
【図23】は、1時間でのNAD0241,NAD002およびK252aの脳/血漿比を示す。脳/血漿比が1であることは、適用条件下で成され、結果として、中央コンパートメントの暴露はより低く、脳レベルでは、同等またはより高い暴露となる。NAD0241の低い血漿レベルは、より良い体内分布をも示している。血漿に対する脳比はまた、1時間での血漿レベルを決定することにより、NAD0241の脳レベルは容易に予測され、治療目的での投与方法の設計を単純化する事も示唆する。
【図24】は、水/ジメチルスルホキシド(容積比99/1)中でのNAD0241(遊離塩基)およびNAD0241塩酸塩の溶解性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中、
R1は、NR13R14であり、あるいはR2と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、スピロ−ヒダントイル)を形成され得るか、またはR3と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、オキサゾリン−2−オン−4,5−ジイル)を形成され得;
R2は、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、H、OR13、OCOR13、OCONHR13、およびOCONR13R14からなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールもしくはヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、CONR13R14、CSR13、CSSR13、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、N3、OR13、OCOR13、SR13、SO2R13、およびSiR15R16R17からなる群から選択され、ここでR15、R16およびR17は、同一または異なって、独立してH、低級アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
R8およびR9は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニル基と異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R10およびR11は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R12は、H、低級アルキル、シクロアルキル、置換されたベンジル、アリール、ヘテロアリール、COR13、COOR13、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は同一または異なって、独立してH、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたアシル、アリール、適宜置換されたベンジルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;あるいは一緒になってN3、または適宜飽和または不飽和N−ヘテロ環(例えば、モルホリノ、適宜置換されたトリアゾリル、適宜置換されたテトラゾリル、ピペリジニル)を形成する]
の化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項2】
一般式(IA):
【化2】
[式中、R1からR12は、請求項1と同義]
の請求項1の化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項3】
R1が、NR13R14であり;
R2が、H、CN、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3が、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7が、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、CONHR13、CONR13R14、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、およびOR13からなる群から選択され;
R8およびR9が、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11が、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニルと異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12が、H、置換された低級アルキル、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14が、同一または異なって、独立してHおよび置換された低級アルキルからなる群から選択される、
請求項1または2の化合物、もしくはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項4】
R1が、NHR13であり、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R2が、CN、COOR13およびCONHR13からなる群から選択され、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R3が、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7が、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、NHR13、およびOR13からなる群から選択され、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R8およびR9が、両方がH、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが、但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になって、カルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11が、両方がH、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが、但し、R8およびR9がカルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12がHである、
請求項1から3のいずれかの化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(IB):
【化3】
[式中、R1からR7およびR12は、請求項1から4のいずれかと同義]
の請求項1から4のいずれかの化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項6】
R4、R5、R6およびR7がいずれもHである、請求項1から5のいずれかの化合物。
【請求項7】
1またはそれ以上のタンパク質キナーゼ活性を阻害するための、請求項1から6のいずれかの化合物の使用。
【請求項8】
1またはそれ以上のタンパク質キナーゼが、細胞外シグナル制御キナーゼ2、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼC、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βからなる群から選択される、請求項7の使用。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかの化合物を含む薬物。
【請求項10】
インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中、および他の神経外傷の治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病治療のための化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常によって引き起こされる疾病の治療のための、およびアルツハイマー病等の神経変性疾患治療のための、請求項1から6のいずれかの化合物の使用。
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中、
R1は、NR13R14であり、あるいはR2と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、スピロ−ヒダントイル)を形成され得るか、またはR3と一緒になって、適宜置換された飽和もしくは不飽和N−ヘテロ環(例えば、オキサゾリン−2−オン−4,5−ジイル)を形成され得;
R2は、H、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3は、H、OR13、OCOR13、OCONHR13、およびOCONR13R14からなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7は、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールもしくはヘテロアリール、CN、COR13、COOR13、CONHR13、CONR13R14、CSR13、CSSR13、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、N3、OR13、OCOR13、SR13、SO2R13、およびSiR15R16R17からなる群から選択され、ここでR15、R16およびR17は、同一または異なって、独立してH、低級アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
R8およびR9は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニル基と異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R10およびR11は、単独で用いられる場合、両方がH、もしくはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子またはチオカルボニル基の硫黄原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子もしくはチオカルボニル基の硫黄原子であり;
R12は、H、低級アルキル、シクロアルキル、置換されたベンジル、アリール、ヘテロアリール、COR13、COOR13、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14は同一または異なって、独立してH、低級アルキル、シクロアルキル、適宜置換されたアシル、アリール、適宜置換されたベンジルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;あるいは一緒になってN3、または適宜飽和または不飽和N−ヘテロ環(例えば、モルホリノ、適宜置換されたトリアゾリル、適宜置換されたテトラゾリル、ピペリジニル)を形成する]
の化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項2】
一般式(IA):
【化2】
[式中、R1からR12は、請求項1と同義]
の請求項1の化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項3】
R1が、NR13R14であり;
R2が、H、CN、COOR13、CONHR13、およびCONR13R14からなる群から選択され;
R3が、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7が、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、CONHR13、CONR13R14、NR13R14、NHCOR13、NHCOOR13、NHSO2R13、およびOR13からなる群から選択され;
R8およびR9が、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが;但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11が、両方がH、またはその一方がHで他方がOHであり、または一緒になる場合、カルボニル基の酸素原子であるが;但し、R8およびR9がカルボニルと異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12が、H、置換された低級アルキル、NR13R14、およびOR13からなる群から選択され;
R13およびR14が、同一または異なって、独立してHおよび置換された低級アルキルからなる群から選択される、
請求項1または2の化合物、もしくはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項4】
R1が、NHR13であり、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R2が、CN、COOR13およびCONHR13からなる群から選択され、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R3が、HおよびOHからなる群から選択され;
R4、R5、R6およびR7が、単独で用いられ、同一または異なって、各々独立してH、NHR13、およびOR13からなる群から選択され、ここでR13は、Hおよび置換された低級アルキルからなる群から選択され;
R8およびR9が、両方がH、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが、但し、R10およびR11がカルボニルと異なる場合、R8およびR9は、一緒になって、カルボニル基の酸素原子であり;
R10およびR11が、両方がH、または一緒になる場合、それらはカルボニル基の酸素原子であるが、但し、R8およびR9がカルボニル基と異なる場合、R10およびR11は、一緒になってカルボニル基の酸素原子であり;
R12がHである、
請求項1から3のいずれかの化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(IB):
【化3】
[式中、R1からR7およびR12は、請求項1から4のいずれかと同義]
の請求項1から4のいずれかの化合物、またはそのジアステレオマー体、エナンチオマー体、ジアステレオマー体およびエナンチオマー体の混合物、または医薬的に許容される塩。
【請求項6】
R4、R5、R6およびR7がいずれもHである、請求項1から5のいずれかの化合物。
【請求項7】
1またはそれ以上のタンパク質キナーゼ活性を阻害するための、請求項1から6のいずれかの化合物の使用。
【請求項8】
1またはそれ以上のタンパク質キナーゼが、細胞外シグナル制御キナーゼ2、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼC、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βからなる群から選択される、請求項7の使用。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかの化合物を含む薬物。
【請求項10】
インスリン非依存性糖尿病、急性脳卒中、および他の神経外傷の治療のための、糖尿病治療のための、種々の難病治療のための化学療法剤として、特異なシグナル伝達経路の異常によって引き起こされる疾病の治療のための、およびアルツハイマー病等の神経変性疾患治療のための、請求項1から6のいずれかの化合物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2006−517519(P2006−517519A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554496(P2004−554496)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013322
【国際公開番号】WO2004/048384
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505197126)ナート・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】NAD AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013322
【国際公開番号】WO2004/048384
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505197126)ナート・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】NAD AG
【Fターム(参考)】
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