説明

タービンシステム用軸方向保持装置

【課題】ロータディスク内でブレード及び他の適切な構成部品を保持するための技術的に改良された保持装置を提供する。
【解決手段】タービンシステム用の軸方向保持装置50は、タービン構成部品34及び支持構成体32の一方の嵌合面62、64に形成されるポケット52を含む。ポケット52は第1の軸方向荷重面94を含む。軸方向保持装置50は、ベース部材56及びピボット部材58を備えるラッチ54を更に含む。ベース部材56は、タービン構成部品34及び支持構成体32の他方の嵌合面62、64に関連する。ピボット部材58は、ポケット52と係合するようになっており、第1の軸方向荷重嵌合面102を有する。ピボット部材58とポケット52が係合すると、第1の軸方向荷重面94及び第1の軸方向荷重嵌合面102が相互作用して、タービン構成部品34の支持構成体32に対する少なくとも一方向の軸方向移動が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、全体的にはタービンシステム、詳細にはタービンシステム内の構成要素を保持する軸方向保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステムは、発電等の分野で広く利用されている。例えば、従来のガスタービンシステムは、圧縮機、燃焼器、及びタービンを含む。更に。従来のガスタービンは、圧縮機のディスクに取り付けられたいくつかのロータブレードを有するロータと、タービンセクションを含む。各々のブレードは、加圧空気又は流体が流れる翼形部と、翼形部根元の空気又は流体流の半径方向内側の境界を定めるプラットホームとを含む。ブレードをロータディスクに取り付けるために、ブレードは、ディスク周囲の結合キャビティを補うように構成された根元又はダブテール等の適切な付属品を含むことができる。
【0003】
多くの場合、ロータディスク内に配置されるブレードは、システム作動中に、ロータディスクに対して変位、摺動、又は離れることができるので、潜在的に空気又は流体が漏出する、又はシステムに対して損傷を与える可能がある。従って、ロータディスクに対してブレードを保持する装置が望まれることがある。
【0004】
従来の1つのロータディスクのブレードを軸方向に保持する方法はかしめである。かしめにより、例えばブレードとロータディスクとの間の2つの構成部品間に締まりばめが形成される。ブレード及びロータディスクが連結された後、ブレード及びロータディスクを連結する装置が変形されて締まりばめが形成される。しかしながら、ロータディスクのブレードを保持するためにかしめを利用することには多くの不都合がある。例えば、ブレードは、例えば摩耗又は損傷により所定の使用期間後に交換する必要がある。その都度ブレードは交換され、ブレードをロータディスクの別の部位にかしめる必要がある。ロータディスク内で交換ブレードを保持するためにかしめを使用することは時間のかかる作業である。更に、ロータディスク上でかしめに利用可能な部位は一般に限られる。所定回数の交換後には利用可能な部位がなくなる。かしめ可能な部位がなくなるとロータディスクの交換が必要となる。ロータディスクの交換は時間がかかると共に、ロータディスクのコスト及び交換期間のタービンシステムの生産ロスに起因して費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7628589号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、技術的に改良された、ロータディスク内でブレード及び他の適切な構成部品を保持するための保持装置、及び他の適切な支持構成体が望まれる。例えば、ロータディスク及び他の支持構成体に対するブレード及び他の構成部品の軸方向移動を阻止する軸方向保持装置が好都合である。更に、ブレード及び他の構成部品の効率が良く費用効率が高い交換を可能にして、ロータディスク及び他の支持構成体の交換の必要性を低減又は取り除く保持装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様及び利点は、その一部を以下の説明に記載しており、又はその説明から自明なものとすることができ、或いは本発明を実施することにより知ることができる。
【0008】
一実施形態では、タービンシステム用の軸方向保持装置が開示される。軸方向保持装置は、タービン構成部品及び支持構成体の一方の嵌合面に形成されるポケットを含む。ポケットは第1の軸方向荷重面を含む。軸方向保持装置は、ベース部材及びピボット部材を備えるラッチを更に含む。ベース部材は、タービン構成部品及び支持構成体の他方の嵌合面に関連する。ピボット部材は、ポケットと係合するようになっており、第1の軸方向荷重嵌合面を有する。ピボット部材とポケットが係合すると、第1の軸方向荷重面及び第1の軸方向荷重嵌合面が相互作用して、タービン構成部品の支持構成体に対する少なくとも一方向の軸方向移動が阻止される。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の請求項を参照するとより理解できるであろう。本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例証しており、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
添付図の参照を含む本明細書の残りの部分において、当業者にとって最良の形態を含む本発明の完全且つ有効な開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】タービンシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態によるタービンシステムの圧縮機の側断面図。
【図3】本発明の一実施形態による支持構造及びタービン構成部品の分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態による軸方向保持装置の分解断面図。
【図5】本発明の一実施形態による組み立て中の第1の位置における軸方向保持装置の断面図。
【図6】本発明の一実施形態による組み立て中の第2の位置における軸方向保持装置の断面図。
【図7】本発明の一実施形態による分解中の第1の位置における軸方向保持装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、その1以上の実施例を図面に示している本発明の実施形態について詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなく、例証として提供される。実際に、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び変形形態を本発明において実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。例えば、一実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0013】
図1は、タービンシステム10の概略図である。本明細書で説明するタービンシステム10は一般にガスタービンシステムとすることができるが、本発明のタービンシステム10は、ガスタービンシステムに限定されず、例えば蒸気タービンシステムを含む任意の適切なタービンシステムも本発明の範囲及び精神内にあることを理解されたい。
【0014】
従って、システムは、圧縮機12、燃焼器14、及びタービン16を含む。圧縮機12及びタービン16はシャフト18で連結できる。シャフト18は単一のシャフト又は結合してシャフト18を形成する複数のシャフト部分とすることができる。
【0015】
図2はタービンシステム10の圧縮機12に関する種々の構成部品を示す。例えば、圧縮機12のロータ20は複数のロータディスク22を含むことができる。複数のブレード24は、各ロータディスク22の周りに環状配列で配置でき、以下に説明するようにロータディスク22に取り付けることができる。以下に説明するように、ブレード24の各々は、ブレード24の付属品がロータディスク22のキャビティに係合するように、ブレード24を略軸方向に摺動させることでロータディスク22に取り付けることができる。ブレード24をロータディスク22にしっかりと取り付けてブレード24のロータディスク22に対する移動を阻止するために、軸方向保持装置を設けてこの軸方向移動を阻止することができる。
【0016】
しかしながら、本発明は、タービンシステム10の圧縮機12におけるロータディスク22のブレード24に関する軸方向保持装置に限定されないことに留意されたい。更に、本発明の軸方向保持装置は、タービンシステム10のあらゆるセクションのあらゆる適切なタービン構成部品34を保持するための任意の適切な支持構造体32と一緒に使用できる。例示的な実施形態では、支持構成体32及びタービン構成部品34は、それぞれ圧縮機12のロータディスク22及びブレード24とすることができる。しかしながら、他にも、支持構成体32及びタービン構成部品34は、タービン16のロータディスク及びブレード、又は圧縮機12又はタービン16のシール装置及びスペーサリム構造体、又はタービンシステム10の任意の他の適切な支持構成体32及びタービン構成部品34とすることができる。
【0017】
図3に示すように、タービン構成部品34及び支持構成体32は、両者を嵌め合わせるための嵌合用の付属品40及びキャビティ42を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、付属品40はダブテールとすることができ、キャビティ42は、ダブテールを収容できる形状及びサイズとすることができる。図3に示すように、一般に、タービン構成部品34は、軸方向の軸44に沿って付属品40をキャビティ42内に摺動させることで支持構成体32に嵌合される。付属品40をキャビティ42に嵌合することで、タービン構成部品34の支持構成体32に対する略半径方向及び接線方向への移動は阻止できるが、タービン構成部品34の支持構成体32に対する略軸方向への移動は阻止できない。例えば、付属品40をキャビティ42に嵌合すると、付属品は、方向46又は方向48の軸方向の軸44に沿って自由に移動する。
【0018】
従って、図3−7に示すように、支持構成体32においてタービン構成部品34を軸方向に保持する軸方向保持装置50が設けられている。軸方向保持装置50はポケット52及びラッチ54を含む。本発明のラッチ54はベース部材56及びピボット部材58を含む。一般に、ポケット52は、タービン構成部品34及び支持構成体32の一方に定めることができ、ベース部材56は、タービン構成部品34及び支持構成体32の他方と関連することができる。例えば、例示的な実施形態では、図3−7に示すように、ポケット52を支持構成体32に設け、ベース部材56をタービン構成部品34に定めることができる。別の実施形態では、ポケット52をタービン構成部品34に設け、ベース部材56を支持構成体32に定めることができる。
【0019】
タービン構成部品34は嵌合面62を備えること、及び支持構成体32は嵌合面64を備えることができる。図3−7に示すように、嵌合面62、64は、それぞれ付属品40及びキャビティ42に形成できる。例えば、例示的な実施形態では、タービン構成部品34の嵌合面62は付属品40の底面とすること、及び支持構成体32の嵌合面64は付属品40の底面と嵌合するようになったキャビティ42内の表面とすることができる。別の実施形態では、付属品40の嵌合面62は任意の側面又は他の表面とすること、及び嵌合面64は付属品40の該表面と嵌合するようになったキャビティ42内の表面とすることができる。更に別の実施形態では、嵌合面62、64は付属品40及びキャビティ42に近接して定めることができる。例えば、嵌合面64を支持構成体32のリムとすること、及びタービン構成部品34の嵌合面62を支持構成体32の該表面と嵌合するようになった表面とすることができる。嵌合面62、64は一般に、タービン構成部品34と支持構成体32を嵌め合わせる際に嵌合する。ポケット52はタービン構成部品34又は支持構成体32の嵌合面62又は64の一方に形成することができ、ベース部材56はタービン構成部品34又は支持構成体32の嵌合面62又は64の他方と関連することができる。例えば、図3−7に示す例示的な実施形態では、ポケット52は支持構成体32の嵌合面64に形成すること、及びベース部材56はタービン構成部品34の嵌合面62と関連することができる。
【0020】
前述のように、ベース部材56は嵌合面62又は64と関連することができる。特定の実施形態では、例えば、ベース部材56は嵌合面62又は64に取り付けることができる。これらの実施形態では、ベース部材56は、例えば、適切な接着剤、機械的ファスナー、又は他の適切な取り付け装置又は方法を利用して取り付けることができる。別の実施形態では、ベース部材56又はその一部は嵌合面62又は64と一体化できる。図3−7に示すように、別の例示的な実施形態では、ベース部材56に関連する嵌合面62又は64は第2のポケット72を定めることができる。ベース部材56は第2のポケット72と係合できる。一般に、ベース部材56と第2のポケット72が係合することで、少なくとも1つの方向において、ベース部材56の第2のポケット72に対する軸方向の軸44に沿った軸方向移動が阻止される。例えば、図示のように、ベース部材56は第2のポケット72に配置できる。特定の実施形態では、ベース部材56は、例えば、適切な接着剤、機械的ファスナー、又は他の適切な取り付け装置又は方法を利用して第2のポケット72に取り付けることができ、第2のポケット72と係合できる。別の例示的な実施形態では、ベース部材56は、第2のポケット72に取り付けるか又は別の方法で接着することをせずに、第2のポケット72内に単純に配置することもできる。これらの実施形態では、第2のポケット72は、第1の軸方向荷重面74及び随意的に第2の軸方向荷重面76を含むことができる。更に、ベース部材56は、第1の軸方向荷重嵌合面82及び随意的に第2の軸方向荷重嵌合面84を含むことができる。ベース部材56が第2のポケット72に配置される場合、第1の軸方向荷重面74及び第1の軸方向荷重嵌合面82は相互作用して、例えば方向46である一方向のベース部材56の軸方向移動を阻止することができる。更に、例示的な実施形態では、第2の軸方向荷重面76及び第2の軸方向荷重嵌合面84は相互作用して、例えば方向48である反対方向のベース部材56の軸方向移動を阻止することができる。つまり、これらの実施形態ではベース部材56は第2のポケット72に係合できる。
【0021】
例示的な実施形態では、ベース部材56は第2のポケット72から取り外し可能である。しかしながら、ベース部材56は取り外せない方法で第2のポケット72に取り付けることもできる。
【0022】
図3−7に示すように、ピボット部材58はポケット52と係合するように構成できる。一般に、ピボット部材58とポケット52を係合すると、少なくとも1つの方向において、ピボット部材58のポケット52に対する軸方向の軸44に沿う軸方向移動を阻止できる。例えば、図6に示すようにポケット52に係合するために、ピボット部材58はポケット52に配置できる。ポケット52は、第1の軸方向荷重面94及び随意的に第2の軸方向荷重面96を含むことができる。更に、ピボット部材58は、第1の軸方向荷重嵌合面102及び随意的に第2の軸方向荷重嵌合面104を含むことができる。ピボット部材58をポケット52に配置すると、第1の軸方向荷重面94及び第1の軸方向荷重嵌合面102は相互作用して、例えば方向46である一方向のピボット部材58の軸方向移動を阻止することができ、結果的にこの方向におけるタービン構成部品34の支持構成体32に対する軸方向移動を阻止することができる。更に、例示的な実施形態では、第2の軸方向荷重面96及び第2の軸方向荷重嵌合面104は相互作用して、例えば方向48である反対方向のピボット部材58の軸方向移動を阻止することができ、結果的にこの方向におけるタービン構成部品34の支持構成体32に対する軸方向移動を阻止することができる。つまり、これらの実施形態ではピボット部材58はポケット52に係合できる。
【0023】
前述のように、ピボット部材58はポケット52と係合するように構成できる。例えば、ピボット部材58はベース部材56に対して枢動できる。ピボット部材58は枢軸110の周りを枢動できる。枢軸110は図3−7に示すようにベース部材56の端部近傍とすることができ、又はベース部材56に沿う任意の点でベース部材56の近傍とすることができる。一般に、枢軸110はピボット部材58をベース部材56に連結できる。
【0024】
例示的な実施形態では、ピボット部材58は、図5及び7に示す第1の位置と図4及び6に示す第2の位置との間を枢動できる。第1の位置において、ピボット部材58はポケット52から離れることができる。ピボット部材58が離れると、第1の軸方向荷重面94及び第1の軸方向荷重嵌合面102は相互作用しなくなる。従って、ピボット部材58は、ポケット52に対して例えば方向46である少なくとも一方向へ軸方向移動できる。更に、タービン構成部品34は、支持構成体32に対して例えば方向46である少なくとも一方向へ軸方向移動できる。第2の位置において、ピボット部材58はポケット52と係合できる。係合すると、第1の軸方向荷重面94及び第1の軸方向荷重嵌合面102は相互作用する。従って、例えば方向46である一方向のピボット部材58のポケット52に対する軸方向移動を阻止することができ、更に、タービン構成部品34は、例えば方向46である少なくとも一方向の支持構成体32に対する軸方向移動が阻止される。
【0025】
特定の実施形態では、ピボット部材58は第2の位置方向に付勢できる。例えば、ラッチ54はスプリング部材(図示せず)又は他の適切な付勢デバイスを含むことができる。スプリング部材又は他の適切な付勢デバイスは、ピボット部材58に対して引張力又は圧縮力等の力を付与して、ピボット部材58を第2の位置へ付勢する。しかしながら、別の実施形態では、ピボット部材58は、第1の位置へ付勢すること、付勢されないこと、又は任意の他の適切な付勢を有することができる。
【0026】
特定の実施形態では、ピボット部材58は分解機構120を含むことができる。分解機構120は、ピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動するように構成できる。例えば、特定の実施形態では、分解機構120はタブ、ハンドル、又は他の突起部とすることができる。これらの実施形態の分解機構120は、レバー等のピボットデバイス、又は人がピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動させて係合できる。別の実施形態では、分解機構120はピボット部材58に形成された溝122(図3参照)とすることができる。溝122はピボットデバイスで係合でき、ピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動する。
【0027】
特定の実施形態では、図7に示すように、軸方向保持装置50はレバー124のようなピボットデバイスを更に含む。例示的な実施形態では、レバー124は、溝122のような分解機構120に係合して、ピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動するように構成できる。
【0028】
分解機構120及びレバー124等のピボットデバイスはピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動できる。前述のように、第1の位置のタービン構成部品34は、少なくとも一方向に支持構成体32に対して軸方向に移動できる。従って、ピボット部材58を第2の位置から第1の位置へ枢動すると、タービン構成部品34を支持構成体32から分解できる。
【0029】
従って、本発明の軸方向保持装置50により、支持構成体32のタービン構成部品34の効率的で費用効率の高い繰り返し可能な組立、維持、及び分解が可能になる。例えば、図5で説明したように、軸方向保持装置50のピボット部材58は、第1の位置において、タービン構成部品34を支持構成体32へ取り付けることを可能にする。タービン構成部品34を支持構成体32に対して軸方向に目的位置に移動させると、ピボット部材58は図6に示す第2の位置へ枢動する。第2の位置において、軸方向保持装置50はタービン構成部品34を支持構成体32内に保持できるので、少なくとも一方向の支持構成体32に対するタービン構成部品34の軸方向移動を阻止できる。タービン構成部品34を支持構成体32から分解するために、図7に示すように、ピボット部材58は第2の位置から第1の位置へ枢動できる。第1の位置において、軸方向保持装置50は再度、支持構成体32内のタービン構成部品34の少なくとも一方向の軸方向移動を可能にする。
【0030】
好都合には、本発明の軸方向保持装置50は、支持構成体32に対するタービン構成部品34の1以上の方向の軸方向移動を阻止できる。軸方向移動を阻止することで、タービン構成部品34と支持構成体32の間の潜在的な高温流の漏れ及び/又は冷却媒体の漏出を有利に防止又は低減できる。更に、本明細書に記載の軸方向保持装置50を使用すると、支持構成体32のタービン構成部品34の効率的で費用効率の高い組立、及び分解が可能になる。更に、軸方向保持装置50は、支持構成体32を頻繁に取り替えることなく、支持構成体32のタービン構成部品34を繰り返して組み立て及び分解できる。更に、既存のタービン構成部品34及び支持構成体32は、軸方向保持装置50を収容するように改造できるので、従来のタービン構成部品34及び支持構成体32の組み立て分解に関する時間及び費用を低減できる。
【0031】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0032】
10 ガスタービンシステム
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18 シャフト
20 ロータ
22 ロータディスク
24 ブレード
32 支持構成体
34 タービン構成部品
40 付属品
42 キャビティ
44 軸方向の軸
46 第1の方向
48 第2の方向
50 軸方向保持装置
52 ポケット
54 ラッチ
56 ベース部材
58 ピボット部材
62 嵌合面(タービン構成部品)
64 嵌合面(支持構成体)
72 第2のポケット
74 第1の軸方向荷重面(第2のポケット)
76 第2の軸方向荷重面(第2のポケット)
82 第1の軸方向荷重嵌合面(ベース部材)
84 第2の軸方向荷重嵌合面(ベース部材)
94 第1の軸方向荷重面(ポケット)
96 第2の軸方向荷重面(ポケット)
102 第1の軸方向荷重嵌合面(ピボット部材)
104 第2の軸方向荷重嵌合面(ピボット部材)
110 枢軸
120 分解機構
122 溝
124 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム(10)用の軸方向保持装置(50)であって、当該軸方向保持装置(50)が、
タービン構成部品(34)及び支持構成体(32)の一方の嵌合面(62、64)に定められ、第1の軸方向荷重面(94)を有するポケット(52)と、
前記タービン構成部品(34)及び支持構成体(32)の他方の嵌合面(62、64)と関連するベース部材(56)と、前記ポケット(52)と係合するように構成されて第1の軸方向荷重嵌合面(102)を有するピボット部材(58)とを備えるラッチ(54)と
を備えており、前記ピボット部材(58)と前記ポケット(52)との係合により前記第1の軸方向荷重面(94)及び前記第1の軸方向荷重嵌合面(102)が相互作用して、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動を阻止する軸方向保持装置(50)。
【請求項2】
第1の位置において、前記ピボット部材(58)が前記ポケット(52)から離れ、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動が可能になり、第2の位置において、ピボット部材(58)が前記ポケット(52)に係合され、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動が阻止される、請求項1記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項3】
前記ピボット部材(58)は、前記第2の位置へ付勢される、請求項2記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項4】
前記ピボット部材(58)は分解機構(120)を更に備え、該分解機構(120)は、前記ピボット部材(58)を前記第2の位置から前記第1の位置へ枢動するよう構成される、請求項2又は請求項3記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項5】
前記分解機構(120)は、ピボット部材(58)内に形成される溝(122)である、請求項4記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項6】
前記分解機構(120)と係合するように構成され、前記ピボット部材(58)を前記第2の位置から前記第1の位置へ枢動するレバー(124)を備える、請求項4又は請求項5記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項7】
前記ポケット(52)は第2の軸方向荷重面(96)を更に含み、前記ピボット部材(58)は第2の軸方向荷重嵌合面(104)を更に含み、前記第2の軸方向荷重面(76、96)及び前記第2の軸方向荷重嵌合面(104)の相互作用により、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する第2の反対方向の軸方向移動を阻止する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項8】
前記ポケット(52)は、前記支持構成体(32)の嵌合面(64)を定める、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項9】
前記タービン構成部品(34)及び前記支持構成体(32)の他方の前記嵌合面(62、64)は第2のポケット(72)を定め、前記ベース部材(56)は前記第2のポケット(72)と係合するように構成される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の軸方向保持装置(50)。
【請求項10】
嵌合面(64)を有する支持構成体(32)と、
嵌合面(62)を有するタービン構成部品 34)と、
タービン構成部品(34)及び支持構成体(32)の一方の嵌合面(62、64)に定められ、第1の軸方向荷重面(94)を有するポケット(52)と、
前記タービン構成部品(34)及び支持構成体(32)の他方の嵌合面(62、64)と関連するベース部材(56)と、前記ポケット(52)と係合するように構成されて第1の軸方向荷重嵌合面(102)を有するピボット部材(58)とを備えるラッチ(54)と
を備えるタービンシステム(10)であって、前記ピボット部材(58)と前記ポケット(52)との係合により前記第1の軸方向荷重面(94)及び前記第1の軸方向荷重嵌合面(102)が相互作用して、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動を阻止する、タービンシステム(10)。
【請求項11】
第1の位置において、前記ピボット部材(58)が前記ポケット(52)から離れ、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動が可能になり、第2の位置において、ピボット部材(58)が前記ポケット(52)に係合され、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する少なくとも一方向の軸方向移動が阻止される、請求項10記載のタービンシステム(10)。
【請求項12】
前記ピボット部材(58)は、前記第2の位置へ付勢される、請求項11記載のタービンシステム(10)。
【請求項13】
前記ピボット部材(58)は分解機構(120)を更に備え、該分解機構(120)は、前記ピボット部材(58)を前記第2の位置から前記第1の位置へ枢動するよう構成される、請求項11又は請求項12記載のタービンシステム(10)。
【請求項14】
前記ポケット(52)は第2の軸方向荷重面(96)を更に含み、前記ピボット部材(58)は第2の軸方向荷重嵌合面(104)を更に含み、前記第2の軸方向荷重面(76、96)及び前記第2の軸方向荷重嵌合面(104)の相互作用により、前記タービン構成部品(34)の前記支持構成体(32)に対する第2の反対方向の軸方向移動を阻止する、請求項10乃至請求項13のいずれか1項記載のタービンシステム(10)。
【請求項15】
前記ポケット(52)は、前記支持構成体(32)の嵌合面(64)を定める、請求項10乃至請求項14のいずれか1項記載のタービンシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145106(P2012−145106A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−290272(P2011−290272)
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】