説明

ダスト低減装置

【課題】埃や花粉等のダストが車室内へ侵入することを抑制することができるダスト低減装置を得る。
【解決手段】車両1が停止した状態にあるとき、乗員がリモコンスイッチ11でドアロックを解除する操作を行うと、ドアミラー4の吹出口より掃気風Aが吹き出される。この吹き出した掃気風Aが乗員に当たると、当該乗員に付着していた埃や花粉等のダスト12が排除される。ドア3を開くと、掃気風Aの送風が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に侵入する埃や花粉等のダストの量を低減するダスト低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室内に乗員が乗り込む際に、車室ドアの開口部から埃や花粉等のダストが車室内へ入り込むことがあるため、従来、ドア開口部の縁部に、空気を吹き出してエアカーテンを形成する空気吹出口を設けて、車室ドアを開いたときドア開口部に上記エアカーテンを形成することにより、ドア開口部を介して埃や花粉等の車室内へのダスト侵入を抑制するダスト低減装置が提案されている。(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−1493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来技術では、自動車のドア開口部にエアカーテンを形成することにより、埃や花粉等のダストがドア開口部から車室内へ侵入することを抑制するようにしたが、ドア開口部付近まで上記のダストが侵入して例えば車室ドアの縁部やパッキンなどに付着していた場合、車室ドアを閉じた後に上記のエアカーテンが解除されるので、ドア開口部付近に付着していた上記のダストが車室内に侵入してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、埃や花粉等のダストの車室内への侵入を抑制することのできるダスト低減装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1にかかる発明にあっては、車両(1)のドアミラー(4)に、空気を吹き出す吹出口(6、6A、6B、6C)を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2にかかる発明にあっては、上記車室(2)内に乗員が乗り込む動作を検知する検知部(10)を備え、この検知部(10)の検知により上記吹出口(6、6A、6B、6C)から空気を吹き出すようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1にかかる発明によれば、乗員が車室に乗り込む前に、車両のドアミラーから吹き出した空気を乗員に当てることにより、当該乗員に付着していた埃や花粉等のダストを排除することができ、以て、乗員が車室に乗り込む際に車室内へのダスト侵入を抑制することができる。
【0008】
請求項2にかかる発明によれば、車室内に乗員が乗り込む動作を検知部で検知することにより、車両のドアミラーに設けた吹出口より自動的に空気を吹き出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態にかかるダスト低減装置を図に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかるダスト低減装置を備えた車両の平面図であって、(a)は、乗員がリモコンスイッチを操作する状態を示す図、(b)は、車両のドアミラーに設けた吹出口より空気を吹き出す状態を示す図、(c)は、乗員に付着していたダストが排除された状態を示す図、図2は、ダスト低減装置を設けたドアミラーの正面図、図3は、ダスト低減装置を設けたドアミラーの側面図、図4は、ダスト低減装置によって車室へのダスト侵入を抑制する際の処理手順を示すフローチャートである。
【0011】
図1に示す車両1は、車室2の側部の開口部を閉塞するドア3を有しており、このドア3の前方にドアミラー4が設けられている。
【0012】
そして、本実施形態にかかるダスト低減装置5は、ドアミラー4の根元部4aに設けられ、車両1の走行方向後側へ空気を吹き出す吹出口6と、ドアミラー4に内蔵され、下方の空気導入口7より空気を導入して風向制御翼8を介して空気を吹出口6へ送る送風機9と、車室2内に乗員が乗り込む動作を検知する検知部10とを備えている。ドアミラー4は、乗員が車両1に乗り込む前の立ち姿勢にあるとき、乗員(大人)の腰部(腹部)近傍に位置することになるため、本実施形態のようにドアミラー4に吹出口6を設ければ、乗員の頭部から足部に至るまで過不足無く所要の風力を確保しやすくなる。
【0013】
そして、本実施形態にあっては、図4に示す処理手順にしたがって車室2へのダスト12の侵入を抑制するようになっている。すなわち、車両1が停止してドア3がロックされた状態にあるとき、手順S1として乗員がリモコンスイッチ11でドアロック解除を操作すると、手順S2として送風機9が作動して吹出口6より掃気風Aが吹き出されるので、この吹き出した掃気風Aを乗員に当てることにより、当該乗員に付着していた埃や花粉等のダスト12が排除される。次いで、手順S3として車室2のドア3を開くとき、このドア3の開動作を検知部10で検知して、手順S4として送風機9を停止する。
【0014】
一方、上記の手順S3にてドア3の開動作が検知されない場合、手順S5として送風機9の作動開始から所定時間が経過したとき、バッテリを保護するため手順S4へ進んで送風機9を停止する。さらに上記の所定時間が経過する前であっても、手順S6としてバッテリ電圧が規定値以下であると判定した場合には、手順S4へ進んで送風機9を停止する。
【0015】
このように構成した第1実施形態では、乗員が車室2に乗り込む前に、吹き出した掃気風Aを乗員に当てて、当該乗員に付着していたダスト12を排除することができ、以て、乗員が車室2に乗り込む際に車室2内へのダスト12の侵入を抑制することができる。
【0016】
なお、上記第1実施形態にあっては、乗員がリモコンスイッチ11でドアロック解除を操作したときに乗車動作を検出する場合を例示したが、これには限定されず、他の方法によるドアロック解除(例えば、ドア鍵によるロック解除操作、あるいは乗員が所持する電子鍵と車両1の電子錠との照合動作等)を、乗車動作として検出してもよい。また、乗車検知によらず、リモコン等による送風開始指示に基づいて動作を開始させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0017】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかるダスト低減装置を備えた車両の正面図であって、(a)は、ドアミラーの吹出口から空気を吹き出す状態を示す図、(b)は、車室内のベント吹出口から空気を吹き出す状態を示す図、図6は、本実施形態にかかるダスト低減装置を示す斜視図、図7は、ドアミラーの側面図、図8は、吹出口の変形例を示す正面図、図9は、吹出口の他の変形例を示す正面図である。なお、本実施形態にかかるダスト低減装置5Aは、上記第1実施形態にかかるダスト低減装置5と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0018】
図5に示す車両1は、車室2の空調を行う空調ユニット13を有しており、この空調ユニット13は、車室2の外部より外気などを導入して空気を送り出す送風機(図示せず)を備えている。また、インストルメントパネル2aには、車室2内に向けて空気を吹き出すベント吹出口14が形成されている。
【0019】
本実施形態では、ダスト低減装置5Aは、ドアミラー4の根元部4aに設けられており、車両1の走行方向後側へ空気を吹き出す円形の吹出口6と、空調ユニット13の送風機からドアミラー4の吹出口6へ空気を送る導風ダクト15と、車室2内に乗員が乗り込む動作を検知する検知部(図示せず)とを備えている。ドア3を閉じた状態で、インストルメントパネル2aの側面に開口する連通口15aと、ドア3のパネルあるいはトリムに開口する連通口15bとが重なり合って、インストルメントパネル2a内からドア3へ繋がる一連の導風ダクト15が形成されるようになっている。
【0020】
そして、導風ダクト15の途中には切替ドア16が設けられており、この切替操作によって、ドアミラー4の吹出口6からの吹き出し(図5(a))と、車室2内のベント吹出口14からの吹き出し(図5(b))とが切り替えられるようになっている。
【0021】
この第2実施形態にあっては、車両1が停止してドア3を閉じた状態で、乗員がドアロックを解除する操作を行うと、空調ユニット13の送風機が所定時間作動して導風ダクト15を介して空気が送られ、ドアミラー4の吹出口6より掃気風Aが吹き出す。すると、この吹き出した掃気風Aが乗員に当たって、当該乗員に付着していた埃や花粉等のダスト12が排除される。
【0022】
このように構成した第2実施形態でも、乗員が車室2に乗り込む前に、ドアミラー4の吹出口6からの掃気風Aで乗員に付着していたダスト12が排除されるので、乗員が車室2に乗り込む際に車室2内へのダスト12の侵入を抑制することができる。
【0023】
なお、この第2実施形態にあっては、ドアミラー4の根元部4aに円形の吹出口6を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図8に示すように、ドアミラー4の本体4bの下部に、左右方向へ延びる横長の吹出口6Aを設けることにより、幅広い掃気風を吹き出させてもよいし、また、図9に示すように、ドアミラー4の本体4bのドア3から離れた側部に、上下方向へ延びる縦長の吹出口6Bを設けることにより、ドア3より遠い位置から掃気風を吹き出させるようにしてもよい。
【0024】
(第3実施形態)図10は、本発明の第3実施形態にかかるダスト低減装置を備えたドアミラーの側面図である。なお、本実施形態にかかるダスト低減装置5Bは、上記第1実施形態にかかるダスト低減装置5、および第2実施形態にかかるダスト低減装置5Aと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0025】
本実施形態にかかるダスト低減装置5Bは、ドアミラー4の本体4bに形成されて車両1の走行方向後側へ空気を吹き出す吹出口6Cを備えており、この吹出口6Cはドアミラー4の本体4bに回動可能に支持されるミラー部4cによって開閉できるようになっている。
【0026】
すなわち、この第3実施形態にあっては、車両1が停止してドア3を閉じた状態で、乗員がドアロック解除を操作すると、ドアミラー4のミラー部4cが回動して吹出口6Cが露出して開口するとともに、空調ユニット13の送風機が所定時間作動して導風ダクト15を介して空気が送られ、ドアミラー4の吹出口6Cから掃気風Aが吹き出されるので、この吹き出した掃気風Aによって乗員に付着していたダスト12が排除される。次いで、開いた後に所定時間が経過すると、空調ユニット13の送風機が停止されるとともに、ミラー部4cが動作開始前の位置まで回動して吹出口6Cを閉塞するようになっている。
【0027】
このように構成した第3実施形態によれば、上記第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が得られる上、空調ユニット13の送風機が停止したときに、ドアミラー4の本体部に回動可能に支持されるミラー部4cによって吹出口6Cが閉じられるので、非使用時に吹出口6Cから導風ダクト15内に汚れが侵入し、その汚れが掃気風とともに飛散するのを抑制することができる。
【0028】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるダスト低減装置を備えた車両の平面図であって、(a)は、乗員がリモコンスイッチを操作する状態を示す図、(b)は、車両のドアミラーに設けた吹出口より空気を吹き出す状態を示す図、(c)は、乗員に付着していたダストが排除された状態を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるダスト低減装置を設けたドアミラーの正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるダスト低減装置を設けたドアミラーの側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるダスト低減装置によって車室へのダスト侵入を抑制する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるダスト低減装置を備えた車両の正面図であって、(a)は、ドアミラーの吹出口から空気を吹き出す状態を示す図、(b)は、車室内のベント吹出口から空気を吹き出す状態を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかるダスト低減装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるダスト低減装置を設けたドアミラーの側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例にかかるダスト低減装置の吹出口を示す正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の別の変形例にかかるダスト低減装置の吹出口の正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態にかかるダスト低減装置を備えたドアミラーの側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両
2 車室
3 ドア
4 ドアミラー
4a 根元部
4b 本体
4c ミラー部
5、5A、5B ダスト低減装置
6、6A、6B、6C 吹出口
7 空気導入口
8 風向制御翼
9 送風機
10 検知部
11 リモコンスイッチ
12 ダスト
13 空調ユニット
14 ベント吹出口
15 導風ダクト
15a、15b 連通口
16 切替ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のドアミラー(4)に、空気を吹き出す吹出口(6、6A、6B、6C)を設けたことを特徴とするダスト低減装置。
【請求項2】
前記車室(2)内に乗員が乗り込む動作を検知する検知部(10)を備え、この検知部(10)の検知により前記吹出口(6、6A、6B、6C)から空気を吹き出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載のダスト低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114757(P2008−114757A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300657(P2006−300657)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】