ダッシュサイレンサの取付部構造
【課題】エンジンルームで発生した騒音が運転室に伝播するのを緩和するために、自動車のダッシュパネルの運転室側面に張設されるダッシュサイレンサであって、該ダッシュサイレンサの取付部の構造を改良することにより取付作業が容易に行われるようにする。
【解決手段】ダッシュパネル5の運転室側面にスタッドピン6を突設し、マット状のダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2を形成し、該細長切込2に前記スタッドピン6を貫挿することにより、該ダッシュサイレンサ1をダッシュパネル5の運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2を形成するに際し、該細長切込2により分断される下辺部3が上辺部4よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部3に運転室内側へ屈曲する付形をする。
【解決手段】ダッシュパネル5の運転室側面にスタッドピン6を突設し、マット状のダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2を形成し、該細長切込2に前記スタッドピン6を貫挿することにより、該ダッシュサイレンサ1をダッシュパネル5の運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2を形成するに際し、該細長切込2により分断される下辺部3が上辺部4よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部3に運転室内側へ屈曲する付形をする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルームと運転室とを仕切しているダッシュパネルに張設することにより、エンジンルームで発生した騒音が運転室に伝播するのを緩和するダッシュサイレンサの取付部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダッシュサイレンサは、一般に、フェルト,グラスウール等の繊維積層体やウレタンフォームのような多孔質合成樹脂材によりマット状に形成された大きな(1400mm×700mm程度)の部品であり、図11に示したように、ハンドル軸貫通用、グローボックス用等の透孔100、および多数の取付用の丸孔200が開設される。該ダッシュサイレンサは、自動車組立工場にて作業者が該ダッシュサイレンサを折り曲げ状態として車体内に持ち込み、ダッシュパネルの運転室側面に予め突設されているスタッドピンを丸孔200に貫挿することにより取り付けられる。このため丸孔200は、この取付作業を容易にするべく、スタッドピンの直径よりも大きめに開設したものであった。
【0003】
一方、下記特許文献1,2に示された発明では、上記丸孔200に代えて十字状,T字状または横一文字状の切込をダッシュサイレンサに形成し、該切込を押し広げるように上記スタッドピンを貫挿することにより該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの室内側面に取り付けるものであった。
【0004】
また、本件特許出願人の特許出願に係る下記特許文献3に示された発明は、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、スタッドピンを該細長切込に貫挿することにより取り付けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−276796号公報
【特許文献2】特開2000−6734号公報
【特許文献3】特開2005−329769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようにスタッドピンに対して大きめの丸孔や、十字状,T字状または横一文字状の切込を形成した場合は、取付後もダッシュサイレンサが左右に動き易くなる欠点があるほか、ダッシュサイレンサの自重や振動によって切込が裂けて広がり、開口部が大きくなるとともに、ダッシュサイレンサが基準点より垂れ下がることで、遮音性能が損なわれる欠点がある。
【0007】
一方、特許文献3に示されたように、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成することによっては、上記のような裂けや変形、垂れ下がりが最小限に抑えられる効果があるものの、ダッシュサイレンサの繊維表面が毛羽立っていることもあって細長切込を形成した箇所が肉眼で見難いために、細長切込をスタッドピンに位置合わせし、スタッドピンを貫挿するといった取付作業が行い難い問題があった。
本発明はこのような従来のダッシュサイレンサにおける取付作業上の問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るダッシュサイレンサの取付部構造は、ダッシュパネルの運転室側面にスタッドピンを突設し、マット状のダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、該細長切込に前記スタッドピンを貫挿することにより、該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成するに際し、該細長切込により分断される下辺部が上辺部よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部に運転室側へ屈曲する付形をすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は上記ダッシュサイレンサの取付部構造において、一方の型面に形成された凸部が他方の型面に形成された凹部に嵌入し、該凸部縁と該凹部縁とが擦り合わされることによりダッシュサイレンサに山形状の細長切込が形成されると共に、該細長切込により分断される下辺部が該凸部により該凹部内に押圧されることで該下辺部に運転室側へ屈曲する付形がされるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
ダッシュサイレンサにおける山形状の細長切込が形成された箇所が見易くなり取付作業が容易になる。また、このようにダッシュサイレンサを取り付けることにより、取付後に該ダッシュサイレンサが垂れ下がったり移動することがないようにでき、長期に亘り優れた防音性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るダッシュサイレンサの取付前の要部の斜視図。
【図2】本発明に係るダッシュサイレンサの要部の縦断面図。
【図3】本発明に係るダッシュサイレンサの要部の正面図。
【図4】本発明に係るダッシュサイレンサを形成するための金型と該ダッシュサイレンサの要部の縦断面図。
【図5】図1の金型の作動状態図。
【図6】図1の金型の作動状態図。
【図7】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の斜視図。
【図8】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の縦断面図。
【図9】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の縦断面図。
【図10】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の斜視図。
【図11】従来のダッシュサイレンサの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、図2に示したダッシュサイレンサ1は、熱可塑性樹脂繊維,綿,天然繊維等からなる繊維積層体を加熱・加圧することにより、軟質層1aと硬質層1bとからなる厚さ十数ミリのマット状に成形され、その所要取付部位に山形状の細長切込2が形成され、該細長切込2により分断される下辺部3が上辺部4よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部3に運転室側へ屈曲する付形がなされたものである。5はダッシュパネル、6は該ダッシュパネル5の運転室側面に突設された軸径5〜6mmのスタッドピンである。図3にダッシュサイレンサ1の要部の正面図を示したように、上記細長切込2の山形の頂角αは50〜150度(望ましくは100度前後の鈍角)とし、一辺の長さLはスタッドピン6の軸径に合わせて5〜20mmの適当な値にしている。また、山形の頂部mはスタッドピン6の外周面に沿う円弧状に形成される。
【0013】
次に図4〜図6に従いこのダッシュサイレンサ1に上記細長切込2を形成するための金型を説明する。図4に示すように、一方の型11は上縁16を山形状に形成した凸部10を形成すると共に、他方の型13は該凸部10が遊嵌する凹部12を形成し、該凹部12の上縁17を凸部10の上縁16と摺り合うように山形状に形成してなる。該型11と型13との間にダッシュサイレンサ1を配置し、図5に示したように、該型11と型13を接近させて凸部10を凹部12に嵌入させる。その際、該凸部10の上縁16と該凹部12の上縁17とが摺接することにより、該ダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2が形成される。またこの際、該細長切込2により分断される下辺部3が凸部10に押圧されて凹部12内に屈曲して入ることで、型11、型13が元の位置に後退した際も、図6に示したように、該下辺部3が上辺部4よりも突出する段差状に付形される。
【0014】
また、型11に膨突状部14、型13に膨突状部15がそれぞれ形成され、ダッシュサイレンサ1の細長切込2の周囲に圧潰されて硬くなった凹窪部分7、凹窪部分8が形成されることで、この部分が他部分よりも変形し難いようにしている。
なお、ダッシュサイレンサ1にハンドル軸貫通用の透孔、グローボックス用の透孔等を開設すること、および、ダッシュサイレンサ1の外周のトリミングは、型11、型13によって上記のように細長切込2が形成されるのと同時になされるようにしてもよいが、別の型により予めこれら透孔およびトリミングがなされるようにしてもよい。
【0015】
自動車組立工場にて作業者はこのダッシュサイレンサ1を折り曲げ状態として車体内に持ち込み、ダッシュパネル5の運転室側面に予め突設されているスタッドピン6を細長切込2に貫挿させることにより、このダッシュサイレンサ1を図7〜図9に示したようにダッシュパネル5の運転室側面に張設する。このように、スタッドピン6を貫挿するに際して、細長切込2の下辺部3が運転室側に突出して段差状となっているので、ダッシュサイレンサ1の繊維表面が毛羽立っていても、作業者は該細長切込2の位置を容易に発見することができ、スタッドピン6への貫挿が容易になり、取付作業の効率を大幅に上げることができる。
【0016】
このようにダッシュサイレンサ1を取り付けることにより、スタッドピン6が細長切込2の上辺部4に接触し該ダッシュサイレンサ1を安定的に支持し得ると共に、該ダッシュサイレンサ1の重量が該上辺部4から両側斜下方に分散されるので、該上辺部4を変形させ難い状態で支持することができる。このため、該ダッシュサイレンサ1は自重や自動車走行中の振動によって大きく垂れ下がったり横に移動してしまうおそれがない。また、細長切込2の下辺部3が常に該スタッドピン6の下側に被さるためにスタッドピン周囲の隙間を最小限にでき、隙間からの音漏れを最小限にすることができる。このため、ダッシュサイレンサ1により、エンジンルームで発生した騒音が運転室に伝播するのを緩和され、長期間に亘り高い防音性能が維持される。なお、スタッドピン6の先端には図10に例示したように必要に応じてワイヤーハーネス9等が止着される。
【0017】
なお、図示しないが、上記細長切込2をその両端部から下方に数mm延長することによっては、下辺部3を運転室側へより屈曲し易くなり、運転室側に突出する段差を大きくすることができるので、該切込2をこのように両端部から数mm下方に延長した形態にするのもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 ダッシュサイレンサ
2 細長切込
3 下辺部
4 上辺部
5 ダッシュパネル
6 スタッドピン
10 凸部
11 型
12 凹部
13 型
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルームと運転室とを仕切しているダッシュパネルに張設することにより、エンジンルームで発生した騒音が運転室に伝播するのを緩和するダッシュサイレンサの取付部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダッシュサイレンサは、一般に、フェルト,グラスウール等の繊維積層体やウレタンフォームのような多孔質合成樹脂材によりマット状に形成された大きな(1400mm×700mm程度)の部品であり、図11に示したように、ハンドル軸貫通用、グローボックス用等の透孔100、および多数の取付用の丸孔200が開設される。該ダッシュサイレンサは、自動車組立工場にて作業者が該ダッシュサイレンサを折り曲げ状態として車体内に持ち込み、ダッシュパネルの運転室側面に予め突設されているスタッドピンを丸孔200に貫挿することにより取り付けられる。このため丸孔200は、この取付作業を容易にするべく、スタッドピンの直径よりも大きめに開設したものであった。
【0003】
一方、下記特許文献1,2に示された発明では、上記丸孔200に代えて十字状,T字状または横一文字状の切込をダッシュサイレンサに形成し、該切込を押し広げるように上記スタッドピンを貫挿することにより該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの室内側面に取り付けるものであった。
【0004】
また、本件特許出願人の特許出願に係る下記特許文献3に示された発明は、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、スタッドピンを該細長切込に貫挿することにより取り付けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−276796号公報
【特許文献2】特開2000−6734号公報
【特許文献3】特開2005−329769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようにスタッドピンに対して大きめの丸孔や、十字状,T字状または横一文字状の切込を形成した場合は、取付後もダッシュサイレンサが左右に動き易くなる欠点があるほか、ダッシュサイレンサの自重や振動によって切込が裂けて広がり、開口部が大きくなるとともに、ダッシュサイレンサが基準点より垂れ下がることで、遮音性能が損なわれる欠点がある。
【0007】
一方、特許文献3に示されたように、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成することによっては、上記のような裂けや変形、垂れ下がりが最小限に抑えられる効果があるものの、ダッシュサイレンサの繊維表面が毛羽立っていることもあって細長切込を形成した箇所が肉眼で見難いために、細長切込をスタッドピンに位置合わせし、スタッドピンを貫挿するといった取付作業が行い難い問題があった。
本発明はこのような従来のダッシュサイレンサにおける取付作業上の問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るダッシュサイレンサの取付部構造は、ダッシュパネルの運転室側面にスタッドピンを突設し、マット状のダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、該細長切込に前記スタッドピンを貫挿することにより、該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成するに際し、該細長切込により分断される下辺部が上辺部よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部に運転室側へ屈曲する付形をすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は上記ダッシュサイレンサの取付部構造において、一方の型面に形成された凸部が他方の型面に形成された凹部に嵌入し、該凸部縁と該凹部縁とが擦り合わされることによりダッシュサイレンサに山形状の細長切込が形成されると共に、該細長切込により分断される下辺部が該凸部により該凹部内に押圧されることで該下辺部に運転室側へ屈曲する付形がされるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
ダッシュサイレンサにおける山形状の細長切込が形成された箇所が見易くなり取付作業が容易になる。また、このようにダッシュサイレンサを取り付けることにより、取付後に該ダッシュサイレンサが垂れ下がったり移動することがないようにでき、長期に亘り優れた防音性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るダッシュサイレンサの取付前の要部の斜視図。
【図2】本発明に係るダッシュサイレンサの要部の縦断面図。
【図3】本発明に係るダッシュサイレンサの要部の正面図。
【図4】本発明に係るダッシュサイレンサを形成するための金型と該ダッシュサイレンサの要部の縦断面図。
【図5】図1の金型の作動状態図。
【図6】図1の金型の作動状態図。
【図7】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の斜視図。
【図8】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の縦断面図。
【図9】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の縦断面図。
【図10】本発明に係るダッシュサイレンサの取付時の要部の斜視図。
【図11】従来のダッシュサイレンサの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、図2に示したダッシュサイレンサ1は、熱可塑性樹脂繊維,綿,天然繊維等からなる繊維積層体を加熱・加圧することにより、軟質層1aと硬質層1bとからなる厚さ十数ミリのマット状に成形され、その所要取付部位に山形状の細長切込2が形成され、該細長切込2により分断される下辺部3が上辺部4よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部3に運転室側へ屈曲する付形がなされたものである。5はダッシュパネル、6は該ダッシュパネル5の運転室側面に突設された軸径5〜6mmのスタッドピンである。図3にダッシュサイレンサ1の要部の正面図を示したように、上記細長切込2の山形の頂角αは50〜150度(望ましくは100度前後の鈍角)とし、一辺の長さLはスタッドピン6の軸径に合わせて5〜20mmの適当な値にしている。また、山形の頂部mはスタッドピン6の外周面に沿う円弧状に形成される。
【0013】
次に図4〜図6に従いこのダッシュサイレンサ1に上記細長切込2を形成するための金型を説明する。図4に示すように、一方の型11は上縁16を山形状に形成した凸部10を形成すると共に、他方の型13は該凸部10が遊嵌する凹部12を形成し、該凹部12の上縁17を凸部10の上縁16と摺り合うように山形状に形成してなる。該型11と型13との間にダッシュサイレンサ1を配置し、図5に示したように、該型11と型13を接近させて凸部10を凹部12に嵌入させる。その際、該凸部10の上縁16と該凹部12の上縁17とが摺接することにより、該ダッシュサイレンサ1に山形状の細長切込2が形成される。またこの際、該細長切込2により分断される下辺部3が凸部10に押圧されて凹部12内に屈曲して入ることで、型11、型13が元の位置に後退した際も、図6に示したように、該下辺部3が上辺部4よりも突出する段差状に付形される。
【0014】
また、型11に膨突状部14、型13に膨突状部15がそれぞれ形成され、ダッシュサイレンサ1の細長切込2の周囲に圧潰されて硬くなった凹窪部分7、凹窪部分8が形成されることで、この部分が他部分よりも変形し難いようにしている。
なお、ダッシュサイレンサ1にハンドル軸貫通用の透孔、グローボックス用の透孔等を開設すること、および、ダッシュサイレンサ1の外周のトリミングは、型11、型13によって上記のように細長切込2が形成されるのと同時になされるようにしてもよいが、別の型により予めこれら透孔およびトリミングがなされるようにしてもよい。
【0015】
自動車組立工場にて作業者はこのダッシュサイレンサ1を折り曲げ状態として車体内に持ち込み、ダッシュパネル5の運転室側面に予め突設されているスタッドピン6を細長切込2に貫挿させることにより、このダッシュサイレンサ1を図7〜図9に示したようにダッシュパネル5の運転室側面に張設する。このように、スタッドピン6を貫挿するに際して、細長切込2の下辺部3が運転室側に突出して段差状となっているので、ダッシュサイレンサ1の繊維表面が毛羽立っていても、作業者は該細長切込2の位置を容易に発見することができ、スタッドピン6への貫挿が容易になり、取付作業の効率を大幅に上げることができる。
【0016】
このようにダッシュサイレンサ1を取り付けることにより、スタッドピン6が細長切込2の上辺部4に接触し該ダッシュサイレンサ1を安定的に支持し得ると共に、該ダッシュサイレンサ1の重量が該上辺部4から両側斜下方に分散されるので、該上辺部4を変形させ難い状態で支持することができる。このため、該ダッシュサイレンサ1は自重や自動車走行中の振動によって大きく垂れ下がったり横に移動してしまうおそれがない。また、細長切込2の下辺部3が常に該スタッドピン6の下側に被さるためにスタッドピン周囲の隙間を最小限にでき、隙間からの音漏れを最小限にすることができる。このため、ダッシュサイレンサ1により、エンジンルームで発生した騒音が運転室に伝播するのを緩和され、長期間に亘り高い防音性能が維持される。なお、スタッドピン6の先端には図10に例示したように必要に応じてワイヤーハーネス9等が止着される。
【0017】
なお、図示しないが、上記細長切込2をその両端部から下方に数mm延長することによっては、下辺部3を運転室側へより屈曲し易くなり、運転室側に突出する段差を大きくすることができるので、該切込2をこのように両端部から数mm下方に延長した形態にするのもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 ダッシュサイレンサ
2 細長切込
3 下辺部
4 上辺部
5 ダッシュパネル
6 スタッドピン
10 凸部
11 型
12 凹部
13 型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルの運転室側面にスタッドピンを突設し、マット状のダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、該細長切込に前記スタッドピンを貫挿することにより、該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成するに際し、該細長切込により分断される下辺部が上辺部よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部に運転室側へ屈曲する付形をすることを特徴としたダッシュサイレンサの取付部構造。
【請求項2】
一方の型面に形成された凸部が他方の型面に形成された凹部に嵌入し、該凸部縁と該凹部縁とが摺接することによりダッシュサイレンサに山形状の細長切込が形成されると共に、該細長切込により分断される下辺部が該凸部により該凹部内に押圧されることで該下辺部に運転室側へ屈曲する付形がされるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のダッシュサイレンサの取付部構造。
【請求項1】
ダッシュパネルの運転室側面にスタッドピンを突設し、マット状のダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成し、該細長切込に前記スタッドピンを貫挿することにより、該ダッシュサイレンサをダッシュパネルの運転室側面に取り付けるものであって、ダッシュサイレンサに山形状の細長切込を形成するに際し、該細長切込により分断される下辺部が上辺部よりも運転室側に突出して段差状となるように該下辺部に運転室側へ屈曲する付形をすることを特徴としたダッシュサイレンサの取付部構造。
【請求項2】
一方の型面に形成された凸部が他方の型面に形成された凹部に嵌入し、該凸部縁と該凹部縁とが摺接することによりダッシュサイレンサに山形状の細長切込が形成されると共に、該細長切込により分断される下辺部が該凸部により該凹部内に押圧されることで該下辺部に運転室側へ屈曲する付形がされるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のダッシュサイレンサの取付部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−218624(P2012−218624A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87955(P2011−87955)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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