説明

ダルナビルの新規調製方法および微粒子径のダルナビルエタノール付加物

本発明は、式(5)の[(1S,2R)−3−[[(4−ニトロフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステルの還元を伴うダルナビルの新規調製方法を提供する。本発明はさらに、d0.9が130μm未満、d0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物およびその調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(5)の[(1S,2R)−3−[[(4−ニトロフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステルの還元を伴うダルナビルの新規調製方法を提供する。本発明はさらに、微粒子径のダルナビルエタノール付加物およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダルナビルは、ヒドロキシエチルアミノスルホンアミド類に属する強力なHIVプロテアーゼ阻害剤であり、[(1S,2R)−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステルという化学名で知られている。ダルナビルは、米国特許第5,843,946号明細書に包括的に開示されており、具体的には米国特許第6,248,775号明細書に開示されている。
【0003】
ダルナビルエタノール付加物と呼ばれるダルナビルのエタノール溶媒和物は、下記構造で表わされる。
【化1】

【0004】
ダルナビルエタノール付加物は、プレジスタ(Prezista)(登録商標)の商品名で、ティボテック・ファーマスーティカルズ社(Tibotec Pharmaceuticals)により米国で市販されており、特に米国特許第7,700,645号で保護されている。
【0005】
ダルナビルの合成に関するする文献はほとんど確認されておらず、製品特許である米国特許第6,248,775号明細書には、ダルナビル(1)の調製について実施可能な程度に開示されていない。
【0006】
出版物(Dominiqueら、Journal of Medicinal Chemistry、2005、48(6)、1813−1822)および米国特許出願公開第2007/060642号明細書に記載されている、ジアミノ化合物(2)のフラニル誘導体(3)との縮合を伴う方法は、本発明との関連性が高く、下記のスキーム1で示される。
【化2】

R=スクシンイミジル基、4−ニトロフェニル基、イミダゾリル基等
【0007】
ジアミノ化合物(2)のフラニル誘導体(3)とのカップリングによりダルナビル(1)を合成する際、不純物、すなわち不純物Aおよび不純物Bが形成される可能性が極めて高い。しかし、これらの不純物Aおよび不純物Bの形成については前記先行技術文献のいずれにも述べられていない。不純物Aおよび不純物Bの構造式を下記に示す。
【化3】

【0008】
ジアミノ化合物(2)の第3級窒素上の4−アミノフェニルスルフォニル基における4−アミノ基はフラニル誘導体(3)と反応でき、この4−アミノ基の存在に起因してこれらの不純物が発生する。これらの不純物の多さから、前述の先行技術の方法は所望の方法とは言えず、改良された方法の開発が必要である。
【0009】
前記出版物(Dominiqueら、Journal of Medicinal Chemistry、2005、48(6)、1813−1822)はさらに、トリエチルアミンの存在下、テトラヒドロフラン中でアミノ化合物(4)をフラニル誘導体(3)(R=スクシンイミジル基)と反応させることによってニトロ化合物(5)を得る、ニトロ化合物(5)の調製を開示している。驚くことに、この出版物にはニトロ化合物(5)を還元してダルナビル(1)を得ることについては何ら示唆されていない。この出版物に開示された方法を合成スキーム2に示す。
【化4】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の発明者らは、不純物Aおよび不純物Bの形成を回避するだけでなく、選択的な条件下でニトロ化合物(5)の還元を行い、カルバメート結合の分解の発生程度が少なくなるようにする新規方法を開発した。
【0011】
粒子径が、医薬品化合物の溶解性に影響を与えることはよく知られている。粒子径を小さくすることで、化合物の溶解速度を上げることができ、結果としてその化合物の生物学的利用能が向上する。粒子径は、薬剤の結晶または粉末が、いかに自在にすれ違うかに影響を与え、それは、その薬剤を含む医薬製品の製造過程に影響を与える。本発明の発明者らは、溶解性が良好で、医薬製品の調製によく適した微粒子径のダルナビルエタノール付加物を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、式(1)のダルナビルを調製する新規方法であり、(i)式(4)のアミノ化合物を式(3)のフラニル誘導体と縮合させ、式(5)のニトロ化合物を得る工程、(ii)式(5)のニトロ化合物を還元し、ダルナビル(1)を得る工程および(iii)ダルナビルをダルナビルエタノール付加物に変換する任意の工程を含む方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、d0.9が130μm未満、d0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満の粒子径を有するダルナビルエタノール付加物を提供する。本発明はさらに、微粒子径のダルナビルエタノール付加物を調製する方法であり、(i)ダルナビルエタノール付加物を窒素圧下で粉砕室に供給する工程、(ii)粉砕室を回転させる工程、(iii)より細かい粒子を回収する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明は、式(1)のダルナビルを調製する新規方法であって、
【化5】

(i)式(4)のアミノ化合物を式(3)のフラニル誘導体と縮合させ、式(5)のニトロ化合物を得る工程、
【化6】

【化7】

(前記式(3)において、R=スクシンイミジル基、p−ニトロフェニル基、イミダゾリル基、フェニル基、クロロ基等)、
(ii)式(5)のニトロ化合物を還元し、ダルナビル(1)を得る工程および
【化8】

(iii)ダルナビルをダルナビルエタノール付加物に変換する任意の工程を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法を下記スキーム3に示す。
【化9】

【0016】
前記出発化合物(4)は、米国特許第6,248,775号明細書および米国特許出願第2007/060642号明細書で公知の方法によって得ることができる。前記フラニル誘導体(3)は、式(6)の(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを、スクシンイミジルカーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ジイミダゾールカーボネート、ter−ブチルオキシカルボニル無水物、フェニルクロロホルメート、p−ニトロフェニルクロロホルメート、ホスゲン等と反応させることで得られる。
【化10】

【0017】
フラニル誘導体(3)の調製に利用する前記化合物である(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(6)は、米国特許第6,919,465号明細書、国際公開第2008/055970号パンフレット、国際公開第2005/095410号パンフレット、国際公開第03/022853号パンフレット、Dominiqueら、Journal of Medicinal Chemistry、(2005)、48(6)、1813−1822、Ghoshら,Journal of Organic Chemistry、(2004)、69(23)、7822−7829、Ghoshら, Journal of Medicinal Chemistry、(1996)、39、3278−3290、Ghoshら、Tetrahedron Letters、(1995)、36(4)、505−508等に記載された方法で得ることができる。
【0018】
一実施形態において、本発明は、塩基の存在下、溶媒もしくは溶媒の混合物中でアミノ化合物(4)をフラニル誘導体(3)とカップリングさせて前記ニトロ化合物(5)を得ることによって、ダルナビルを調製する方法を提供する。
【0019】
前記フラニル誘導体(3)の前記アミノ化合物(4)に対するモル当量は、0.8〜3の範囲であり、好ましくは1.0〜1.2の範囲である。
【0020】
前記カップリングは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸メチル等の低級脂肪族エステル、ジクロロメタン、クロロホルムジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水およびそれらの混合物から選択された溶媒中で行われる。ジクロロメタンをカップリング反応用溶媒として使用することが最も好ましい。
【0021】
前記カップリング反応は有機塩基または無機塩基の存在下で行われる。前記有機塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等から選択され、無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウム等から選択される。トリエチルアミンを塩基として使用することが最も好ましい。
【0022】
前記塩基の前記アミノ化合物(4)に対するモル比は、0.5〜6モル当量の範囲であり、より好ましくは1〜3モル当量の範囲であり、最も好ましくは2モル当量である。
【0023】
前記カップリング反応は、−20℃〜100℃の温度範囲、より好ましくは0℃〜50℃の温度範囲、最も好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行われる。
【0024】
別の好ましい実施形態において、本発明は、遷移金属触媒の存在下、有機溶媒中または複数の溶媒の混合物中で前記ニトロ化合物(5)を還元してダルナビルを得る、新規の方法を提供する。
【0025】
前記ニトロ化合物(5)の還元に適している溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ter−ブチルアルコール等の低級アルコール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等の脂肪族エステル、ジメチルホルムアミド等のアミド、ジクロロメタン、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル、ジメチルスルホキシド、水およびそれらの混合物から選択してもよい。酢酸エチル、酢酸メチルまたは酢酸イソプロピル等のエステルを使用することがより好ましく、酢酸エチルを利用することが最も好ましい。
【0026】
還元に利用する触媒は、パラジウム炭素、PtO、ラネーニッケル、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属触媒、酸性媒質中の鉄、ボラン複合体、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素、水素化アルミニウムリチウム等から選択される。
【0027】
前記ニトロ化合物(5)の還元は、パラジウム炭素、PtOおよびラネーニッケルから選択された遷移金属触媒の存在下で接触水素化によって行うことがより好ましい。これらの中で、パラジウム炭素が最も好ましい。
【0028】
前記水素化は、−20℃〜100℃の温度範囲、より好ましくは0℃〜50℃の温度範囲、最も好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行われる。
【0029】
前記ニトロ部分の還元は、有機塩基または無機塩基の存在下で任意に行われる。前記有機塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等から選択され、前記無機塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウムおよびそれらの混合物から選択される。トリエチルアミンを塩基として使用することが最も好ましい。
【0030】
前記塩基の前記ニトロ化合物(5)に対するモル比は、0.5〜5モル当量の範囲であり、より好ましくは1〜3モル当量の範囲、最も好ましくは1.5モル当量である。
【0031】
本発明の方法は、先行技術の方法と比べて下記の利点がある。
1.アミノ化合物(4)のフラニル誘導体(3)との縮合を利用しているため、不純物Aおよび不純物Bの形成が回避される。
2.塩基性条件下で接触水素化によりニトロ化合物(5)の還元を行うことが好ましく、それによってカルバメート結合が切断されることを防ぐ。
3.ダルナビルの収率がより高い。
4.ダルナビルの純度が向上する。
【0032】
別の態様において、本発明は、d0.5が30μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物を提供する。
【0033】
さらに別の態様において、本発明は、d0.9が130μm未満であり、d0.5が30μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物を提供する。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は、d0.9が130μm未満であり、d0.5が30μm未満であり、d0.1が10μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物を提供する。
【0035】
ダルナビルエタノール付加物は、任意の公知の粒子径縮小方法によって粉砕されてもよい。従来公知の粒子径縮小の主要操作は、原材料の粉砕および粉砕された前記材料を大きさ別に選別することである。
【0036】
微粒子化は、ジェットミルによる粉砕、メディアミルによる粉砕、粉状化等の公知の方法で行われる。微粒子化は、ジェットミル型微細粉砕機内で行われることが好ましい。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、微粒子径のダルナビルエタノール付加物を調製する方法であって、(i)ダルナビルエタノール付加物を窒素圧下で粉砕室に供給する工程、(ii)粉砕室を回転させる工程、および(iii)より細かい粒子を回収する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0038】
利用するダルナビルエタノール付加物は、結晶、粉末状の凝集体、結晶性もしくは非結晶性の粗粉末の形態でもよい。
【0039】
前述の微粒子化方法における全工程は、周囲温度で行われる。ダルナビルエタノール付加物の固形粒子の原材料を環状粉砕室に接線方向に投入する。さらに、前記粉砕室を、10〜50rpm,より好ましくは20〜30rpmの速さで1〜10時間、好ましくは3〜7時間回転させる。粉砕室には、おおよそ1〜5Kg/cm、より好ましくは2〜3Kg/cmの圧力で窒素が粉砕室供給される。粉砕室内の粒子は、リングに設けられた多数の角穴(angular holes)によってらせん運動で加速し、粉砕室の表面に蓄積される。高速の窒素により、粉砕動作が起こる。大きい粒子は、遠心力によって粉砕室の表面にとどまり、小さい粒子は、排気される窒素とともに中心口を通って収集室に集められる。
【0040】
本発明の方法で得られるダルナビルエタノール付加物の粒子径は、レーザー回折、ふるい分析、顕微鏡観察、沈殿等の当技術分野で公知の任意の方法で測定できる。本発明で粒子径測定に利用した機器は、マルバーン社のマスタサイザー(Malvern mastersizer)である。
【実施例】
【0041】
下記の実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。本発明のスコープから逸脱しない限り、様々な変更を原料および方法の両方に行ってもよいことは、当業者には明白である。
【0042】
[実施例1]
ニトロ化合物(5)の調製
3.5g(0.013mol)のフラニル誘導体(3)をジクロロメタン50mlとアセトニトリル50mlの混合物中に溶解させて得られた溶液を0℃〜5℃まで冷却し、1.98ml(0.014mol)のトリエチルアミンを加えた。前記混合物に5g(0.011mol)のアミノ化合物(4)を加えて1時間撹拌した。反応混合物を室温まで温めた。0.2gの40%メチルアミン水溶液を前記反応混合物に加え、反応が終わるまで加熱した。当該反応混合物を10%炭酸ナトリウム溶液で2度洗い(25ml×2)、層を分離した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発乾固した。残渣を50mlのエタノールから再結晶化させ、40℃〜45℃で真空乾燥した。

収率=5.8g
【0043】
[実施例2]
ダルナビルの調製
5g(0.009mol)のニトロ化合物(5)を加温しながら100mlの酢酸エチルに溶解させて溶液を調製し、室温まで冷却した。2.5ml(0.018mol)のトリエチルアミンと0.5gの10%Pd/C(含水率50%)を、当該溶液に加えた。水素化を圧力3kgで、室温で1〜2時間行った。触媒をろ過して取り除き、10mlの酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を得た。前記残渣にイソプロピルアルコールを100ml加え、70℃〜75℃まで加熱して、澄明溶液を得た。前記溶液を室温まで冷却し、1時間撹拌した。得られた結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄、真空乾燥した。

収率=4.7g
【0044】
[実施例3]
ダルナビルエタノール付加物の調製
100gmのダルナビルを、70℃〜75℃で1000mlの変性エタノール(97%エタノールと3%トルエンの混合物)に溶解し、澄明溶液を得た。5gmの活性炭を加え、120〜150分間撹拌した。当該熱溶液をフラックス焼成珪藻土(Hyflow)ベッドに通してろ過し、前記ベッドを100mlのエタノールで洗浄した。温度を70℃〜75℃に保ちながら、当該溶液を0.2μのフィルターに通して再びろ過した。反応生成物を15℃〜20℃まで冷却、1時間撹拌し、ろ過した。得られた湿ったケークを100mlの冷却エタノールで洗浄し、40℃〜45℃で真空乾燥すると、89.5gmのオフホワイトの結晶性固体が得られた。
【0045】
[実施例4]
微粒子径のダルナビルエタノール付加物の調製
実施例1の過程で得られたダルナビルエタノール付加物37.3kgを、約2Kg/cmの窒素圧力でベンチュリ管を通し、ジェットミル微細粉砕機の円筒状粉砕室に接線方向に供給した。粉砕室を、周囲温度で28rpmの速さで3〜7時間回転させた。小さい粒子は収集室に集められた。

収率=0.99Kg(w/w)
粒径分布:d0.9=97μm;d0.5=18μm;d0.1=2μm
純度(HPLC分析)=99.7%
容積密度=0.42g/ml
タップ密度=0.72g/ml
他の個々の不純物は検出限界未満であった(HPLC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)のダルナビルを調製する方法であって、
【化1】

(i)式(4)のアミノ化合物を式(3)のフラニル誘導体と縮合させ、式(5)のニトロ化合物を得る工程、
【化2】

【化3】

(前記式(3)において、R=スクシンイミジル基、p−ニトロフェニル基、イミダゾリル基、フェニル基、クロロ基等)、
(ii)式(5)のニトロ化合物を還元してダルナビル(1)を得る工程および
【化4】

(iii)ダルナビル(1)をダルナビルエタノール付加物に変換する任意の工程を含む方法。
【請求項2】
0.8〜3モル当量、最も好ましくは1.0〜1.2モル当量の前記フラニル誘導体(3)を利用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記工程(i)を、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸メチル等の低級脂肪族エステル、ジクロロメタン、クロロホルムジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水およびそれらの混合物からなる群から選ばれた溶媒中で行う請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(i)をジクロロメタン中で行う請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(i)で利用する塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウム等の無機塩から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(i)で使用する塩基がトリエチルアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(i)で使用する塩基の前記アミノ化合物(4)に対するモル比は、0.5〜6モル当量の範囲であり、最も好ましくは2モル当量である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(i)を、−20℃〜100℃の温度範囲、最も好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行う請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(ii)を、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ter−ブチルアルコール等の低級アルコール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等の脂肪族エステル、ジメチルホルムアミド等のアミド、ジクロロメタン、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル、ジメチルスルホキシド、水およびそれらの混合物から選択された溶媒中で行う請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(ii)を、酢酸エチル中で行う請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(ii)を、パラジウム炭素、PtO、ラネーニッケル、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属触媒、酸性媒質中の鉄、ボラン複合体、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素、水素化アルミニウムリチウム等から選択された触媒の存在下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(ii)を、好ましくはパラジウム炭素、PtOおよびラネーニッケルから選択された遷移金属触媒、最も好ましくはパラジウム炭素存在下で接触水素化することで行う請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(ii)を、−20℃〜100℃の温度範囲、最も好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行う請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(ii)を、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等から選択された有機塩基もしくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウム等から選択された無機塩基の存在下で任意に行う請求項1に記載された方法。
【請求項15】
前記工程(ii)を、トリエチルアミンの存在下で任意に行う請求項1に記載された方法。
【請求項16】
前記工程(ii)で利用される塩基の前記ニトロ化合物(5)に対するモル比は、0.5〜5モル当量の範囲であり、最も好ましくは1.5モル当量である請求項1に記載された方法。
【請求項17】
0.9が130μm未満、d0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物。
【請求項18】
0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物。
【請求項19】
0.5が30μm未満である粒子径を有するダルナビルエタノール付加物。
【請求項20】
微粒子径のダルナビルエタノール付加物を調製する方法であって、
(i)ダルナビルエタノール付加物を窒素圧下で粉砕室に供給する工程、
(ii)粉砕室を回転させる工程および
(iii)より細かい粒子を回収する工程を含む方法。
【請求項21】
前記工程(i)を、約1〜5Kg/cm、好ましくは2〜3Kg/cmの窒素圧で行う請求項20に記載された方法。
【請求項22】
前記工程(ii)を10〜50rpm、好ましくは20〜30rpmで行う請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項20記載の方法で得られるダルナビルエタノール付加物であって、その粒子径が、d0.9が130μm未満、d0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満であるダルナビルエタノール付加物。
【請求項24】
請求項20記載の方法で得られるダルナビルエタノール付加物であって、その粒子径が、d0.5が30μm未満、d0.1が10μm未満であるダルナビルエタノール付加物。
【請求項25】
請求項20記載の方法で得られるダルナビルエタノール付加物であって、その粒子径が、d0.5が30μm未満であるダルナビルエタノール付加物。

【公表番号】特表2013−509400(P2013−509400A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536019(P2012−536019)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000714
【国際公開番号】WO2011/051978
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510006473)ルパン リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Lupin Limited
【住所又は居所原語表記】159,CST Road,Kalina,Santacruz(East),Mumbai−400 098,Maharashtra,India
【Fターム(参考)】