説明

ダンパー装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構成で好ましい振動遮断効果を有するダンパー装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】回転駆動力が入力される入力部材21と、入力部材21に入力された回転駆動力を受けて回転する受動部材25と、入力部材21と受動部材25との間に介在された粘弾性部材30と、粘弾性部材30の直径方向への変位を規制しつつ、粘弾性部材30の回転方向への搖動は規制しない可撓性部材35(フィルム又は紐など)と、を備えたダンパー装置。可撓性部材35に代えて筒状内壁を用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパー装置、特に、入力された回転力又は直進力を受動部材に伝達する箇所に配置されるダンパー装置、及び、複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置において、作像プロセスに関する回転駆動には高精度な回転力の伝達が要求されている。しかし、回転駆動系には、モータやギヤの噛み合いなど、回転方向の負荷変動あるいは回転方向の振動(速度変動)が発生する要因を含んでおり、回転力伝達の高精度化を阻んでいる。一方、コスト削減の方策として、回転力伝達系の簡素化が要求されており、これを実現するためには、駆動系の上流側で発生する回転方向の振動(速度変動)を下流側に伝達しないように簡単な構成で効果的に遮断する必要がある。
【0003】
特許文献1には、感光体ドラムの端面に弾性変形可能な内周部を形成した側面部材を取り付け、内周部に係合穴を設けて駆動歯車の駆動により係合ピンが側面部材を弾性変形させ、その反力により感光体ドラムを回転するようにした駆動装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、回転体と、回転体を駆動する駆動源と、駆動源の回転駆動力を回転体に伝達し、弾性的な変形挙動により回転体と駆動源からなる駆動系の固有振動数を決定する第1の弾性部材と、第1の弾性部材の弾性的な挙動に作用し、その減衰特性を増加させる第2の弾性部材とからなる駆動装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、動力を発生するブラシレスモータと、このブラシレスモータの動力により回転駆動される感光体ドラムと、ブラシレスモータの動力を複数個のギヤを介して感光体ドラムに伝達するギヤ列と、ギヤ間に介在され、感光体ドラムへの振動の伝達を規制する防振ゴムと、感光体ドラムに設けられ、ギヤに接続される感光体ギヤとを備えた駆動装置が記載されている。
【0006】
前記特許文献1,2,3に記載の防振対策は構成の簡素化や効果の点で必ずしも好ましいものではなく、より効果的な防振対策が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−210032号公報
【特許文献2】特開平10−268602号公報
【特許文献3】特開2002−174932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で好ましい振動遮断効果を有するダンパー装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態であるダンパー装置は、
回転駆動力が入力される入力部材と、
前記入力部材に入力された回転駆動力を受けて回転する受動部材と、
前記入力部材と前記受動部材との間に介在された粘弾性部材と、
前記粘弾性部材の直径方向への変位を規制しつつ、前記粘弾性部材の回転方向への搖動は規制しない可撓性部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の形態であるダンパー装置は、
回転駆動力が入力される入力部材と、
前記入力部材に入力された回転駆動力を受けて回転する受動部材と、
前記入力部材と前記受動部材との間に介在された粘弾性部材と、
前記粘弾性部材の直径方向への変位を規制しつつ、前記粘弾性部材の回転方向への搖動は規制しない円筒状内壁と、
を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【0011】
本発明の第3の形態である画像形成装置は、前記第1の形態であるダンパー装置又は前記第2の形態であるダンパー装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記ダンパー装置においては、粘弾性部材が入力部材に入力された振動を吸収する。粘弾性部材は可撓性部材(第1の形態)又は円筒状内壁(第2の形態)によって直径方向への変位を規制されつつ回転方向への搖動は規制されないため、粘弾性部材は小さなスペースで回転方向にのみ圧縮/伸長することで振動エネルギーを効果的に吸収する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で好ましい振動遮断効果を有し、回転力の高精度な伝達が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】ダンパー装置の基本的な実施形態を示す断面図である。
【図3】粘弾性部材の分割形態を示す説明図である。
【図4】弾性に基づく応答倍率を示すグラフである。
【図5】粘性に基づく応答倍率を示すグラフである。
【図6】粘性に基づく振動伝達率を示すグラフである。
【図7】ダンパーの解析用モデルを示す説明図である。
【図8】ねじり剛性に関する解析結果を示すチャート図である。
【図9】半径方向の変位に関する解析結果を示すチャート図である。
【図10】粘弾性部材の変形に関する解析結果を示すチャート図である。
【図11】ダンパー装置の第1例を示す斜視図である。
【図12】ダンパー装置の第2例を示す斜視図である。
【図13】ダンパー装置の第3例を示す斜視図である。
【図14】ダンパー装置の第4例を示す斜視図である。
【図15】ダンパー装置を適用した駆動機構を示す斜視図である。
【図16】図15に示した駆動機構の要部を示す斜視図である。
【図17】ダンパー装置の第5例を示す斜視図である。
【図18】図17に示したダンパー装置の正面図である。
【図19】図17に示したダンパー装置を適用した緩衝機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るダンパー装置及び画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において同じ部材、部分に関しては共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
図1に示すように、本画像形成装置は、タンデム方式のカラープリンタとして構成され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各画像を形成するための作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが中間転写ベルト10の直下に並置されている。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは感光体ドラム2を中心に現像器3などを配置した周知の構成を有している。中間転写ベルト10は、支持ローラ11,12に無端状に張り渡され、矢印a方向に回転駆動される。各感光体ドラム2上に形成されたトナー画像は順次中間転写ベルト10上に1次転写されてカラー画像に合成される。
【0017】
用紙は給紙トレイ15に積載されており、給紙ローラ16によって1枚ずつ給紙され、タイミングローラ対17を経て中間転写ベルト10と2次転写ローラ18とのニップ部を通過することにより、前記カラー画像が中間転写ベルト10から2次転写される。その後、用紙は定着ユニット19に搬送されてトナーの加熱定着を施され、排出ローラ対5から本体上面に排出される。
【0018】
なお、画像形成装置としては、前記カラープリンタ以外にモノクロプリンタであっても、あるいは、画像読取りユニットを備えた複写機として構成されているもの、ファクシミリ機能やインターネットとの通信機能を備えた様々な態様の装置であってもよい。
【0019】
(ダンパー装置の基本的実施形態、図2参照)
ダンパー装置の基本的な実施形態について図2を参照して説明する。このダンパー装置20は、矢印b方向の回転駆動力が入力される入力部材21と、該入力部材21に入力された回転駆動力を受けて矢印b方向に回転する受動部材25と、入力部材21と受動部材25との間に介在された粘弾性部材30と、粘弾性部材30の直径方向への変位を規制しつつ、粘弾性部材30の回転方向への搖動は規制しない可撓性を有するフィルム35(左右に位置するそれぞれの粘弾性部材30について7枚ずつ配置されている)とで構成されている。なお、ここでは、入力部材21又は受動部材25の回転軸を中心とする円を想定したときの円周方向を「回転方向」とし、回転軸に垂直な方向を「直径方向」としている。
【0020】
入力部材21は軸部材22の外周面に180°の間隔で設置されている。受動部材25は筒部材26の内周面に180°の間隔で設置されている。粘弾性部材30は、略断面円筒形状あるいは略断面円筒の一部となる形状をなし、内周面と軸部材22とは若干の間隔を有しており、外周面と筒部材26とも若干の間隔を有している。図2中左右にそれぞれ約160°にわたる領域として配置されている粘弾性部材30の両端面は入力部材21及び受動部材25に接着又は非接着な状態で単に圧着している。二つの領域に配置されている粘弾性部材30はさらにそれぞれ八つのセグメントに分割されており、それぞれの切断面にはフィルム35が接着されている。つまり、フィルム35はそれぞれのセグメントに接着することで、各セグメントが直径方向には変位(膨張)しないように規制する。一方で、フィルム35は粘弾性部材30が回転方向へ搖動(収縮)することを規制しない。
【0021】
以上の構成からなるダンパー装置20において、入力部材21から矢印b方向の回転駆動力が入力されると、その回転駆動力はそれぞれ8個のセグメント及び7枚のフィルム35を介して受動部材25に伝達される。粘弾性部材30は、回転駆動力と同時に入力される回転振動に応じて、回転方向に圧縮/伸長することで、振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、回転振動を減衰する。
【0022】
(粘弾性部材の分割例、図3参照)
粘弾性部材30の分割形態については、図3に示すように、4等分した4分割モデル20−4、3等分した3分割モデル20−3、2等分した2分割モデル20−2を想定することができる。これらの各モデルでは、合計でほぼ同じ量の粘弾性部材30が使われているにも拘わらず、回転駆動方向のねじりばね性が異なったものとなる。4分割モデル20−4は2分割モデル20−2と比較した場合、一塊りの粘弾性部材30において周方向の長さは1/2となり、断面積は2倍になる。このことは、単純化すると、直進ばねのモデルで考えた場合、ばね定数は4倍となることを意味する。
【0023】
(振動伝達の応答、図4〜図6参照)
振動伝達は図4〜図6に示す応答関数で表わすことができる。図4は弾性に基づく応答倍率の特性を示し、図5は粘性に基づく応答倍率の特性を示す。また、図6は粘性に基づく振動伝達率の特性を示す。これらのグラフでは、入力に対する出力がほぼ同じ振幅となる点を境界として、振動が大きくなる領域Aと、振動が減衰する領域Bに分けられる。振動の伝達を抑制するためには、応答倍率であれば負の領域、振動伝達率であれば1より小さい領域にすることが必要である。低周波領域の振動の伝達を抑制するための一つの考え方として、応答倍率の特性曲線を全体的に左方向に移動させることが有効である。そのためには、特性曲線のピーク(共振点)を左方向に移動させること、つまり、共振周波数を小さくすればよい。
【0024】
共振周波数f0は以下の式(1)で示される。kはばね定数、Mは慣性質量で、これらを含む中央の式は直線振動に関する共振周波数を表わしている。Kはねじりばね剛性、Iは慣性モーメントで、これらを含む右側の式は回転振動に関する共振周波数を表わしている。
【0025】
【数1】

【0026】
式(1)から明らかなように、共振周波数を下げるためには、ねじりばね剛性Kを小さくするか、慣性モーメントIを大きくすればよい。このことから、図3に示す4等分モデルと2等分モデルとでは、2等分モデルの方がねじりばね剛性が小さい、つまり、共振周波数を下げることが可能で、低周波領域まで振動伝達を抑制することが可能である。
【0027】
図6では、振動数比f/f0に対する振動伝達率τを示し、振動伝達率τは以下の式(2)で示される。F0は振動源から発生する加振力、Fは被振動源に伝えられた伝達力、fは振動源から発生する振動数、f0は防振支持したときの固有振動数、tanδは損失係数である。
【0028】
【数2】

【0029】
図5及び図6に示すように粘性を基準として考慮すると、共振点近傍の振動を下げるには粘性が高い(損失係数が大きい)材料を用いればよい。減衰領域の振動を下げるには粘性の低い(損失係数が小さい)材料を用いればよい。
【0030】
以上の考察に基づくと、粘弾性部材30の分割配置形態によってねじりばね剛性を下げる方法以外に、粘弾性部材30それ自体の性質(弾性、粘性)に基づいてばね性を下げることが可能である。以下の表1に、本ダンパー装置に粘弾性部材30として使用可能な材料A〜Eの弾性、粘性を示す。材料A,B,Cは低弾性であり、材料Dは弾性が少し高めで粘性も中程度である。材料Eは粘性が非常に高い。
【0031】
【表1】

【0032】
(ダンパーの解析モデル、図7〜図10参照)
図7に本ダンパー装置の解析用モデルを示す。20Aは単純に粘弾性部材30を4分割して配置したモデルである。20Bは単純に粘弾性部材30を2分割したモデルである。20Cは、2分割した粘弾性部材30をさらにそれぞれ8分割し、8分割したセグメントの間(7ヶ所)にフィルム35を配置し、該フィルム35の両面に各セグメントを接着したモデルであり、フィルム35の基端は入力部材21の軸部材22に固定されている。20Dは、2分割した粘弾性部材30をさらにそれぞれ4分割し、4分割したセグメントの間(3ヵ所)にフィルム35を配置し、該フィルム35の両面に各セグメントを接着したモデルであり、フィルム35の基端は入力部材21の軸部材22に固定されている。
【0033】
20Eは、2分割した粘弾性部材30をさらにそれぞれ4分割し、4分割したセグメントの間(3ヵ所)にフィルム35を配置し、該フィルム35の片面でのみ各セグメントを接着したモデルであり、フィルム35の基端は入力部材21の軸部材22に固定されている。20Fは、2分割した粘弾性部材30をさらにそれぞれ2分割し、2分割したセグメントの間にフィルム35を配置し、該フィルム35の両面に各セグメントを接着したモデルであり、フィルム35の基端は入力部材21の軸部材22に固定されている。
【0034】
以上8種類のモデルの解析結果を図8〜図10に示す。まず、フィルム35を配置しないモデル20A,20Bの解析結果を検討すると、2分割モデル20Bは4分割モデル20Aに対して、ねじり剛性が1/10以下であり(図8参照)、一見、望ましい性能に思われる。ところが、半径方向の変位は逆に10倍以上になっており(図9参照)、変形具合は図10に示すように粘弾性部材30が“腰折れ”を起こしている。2分割モデル20Bのこのような変形は粘弾性部材30の収納スペースを大きくする必要があり、振動抑制性能が不安定になり、粘弾性部材30を著しく短寿命にしてしまう不具合がある。
【0035】
フィルム35を用いたモデル20C〜20Fの解析結果を検討すると、モデル20C〜20Fは単純4分割モデル20Aに比べて、ねじり剛性が小さく、低周波の振動抑制性能が向上している(図8参照)。また、半径方向の変位で比較すると、モデル20C〜20Fは単純2分割モデル20Bに比べて、効果的に半径方向の変位を小さくできる(図9参照)。
【0036】
また、3枚のフィルム35を配置したモデル20D,20Eでは、各セグメントをフィルム35の片面のみに接着したモデル20Eは両面に接着したモデル20Dに対して、ねじり剛性が小さく、半径方向の変位は大きくなっている。従って、モデル20D,20Eはダンパー装置が実際に使用される部所に応じて使い分ければよい。
【0037】
(ダンパー装置の第1例、図11参照)
第1例であるダンパー装置20は、図2に示した基本的な実施形態に相当するものであり、フィルム35は入力部材21の軸部材22に接着により固定してもよく、あるいは、軸部材22と一体的に成形したものであってもよい。
【0038】
(ダンパー装置の第2例、図12参照)
第2例であるダンパー装置20は、フィルム35の基端に軸部35aを形成し、該軸部35aを入力部材21の軸部材22に形成した溝部に挿入したものである。フィルム35は基端(軸部35a)を支点として搖動自在であり、振動減衰効果が向上する。
【0039】
(ダンパー装置の第3例、図13参照)
第3例であるダンパー装置20は、前記フィルム35に代えて紐36を用いたものである。紐36は基端を入力部材21の軸部材22に固定し、粘弾性部材30を貫通し、先端の突部36aが粘弾性部材30の外周面を押さえることで、粘弾性部材30の直径方向への変位を規制している。なお、紐36は本第3例では樹脂材の成形品を用いているが、それに限定するものではなく、種々の材料を用いることができる。
【0040】
(ダンパー装置の第4例、図14参照)
第4例であるダンパー装置20は、2分割した粘弾性部材30の外周面に複数の断面三角形状の切込み30aを形成し、粘弾性部材30の一端面を入力部材21に、他端面を受動部材25に、接着あるいは単に圧着せしめている。受動部材25と一体的に形成した筒部材26の内径は粘弾性部材30の外径とほぼ等しくしている。
【0041】
本第4例においては、入力部材21に入力された回転駆動力で粘弾性部材30が収縮/伸長して振動を減衰させる点は前記第1例から第3例と同様であり、特に、本第4例では、筒部材26の内壁によって粘弾性部材30の直径方向の変位(伸び)を規制している。粘弾性部材30の円周方向への搖動(収縮/伸長)の自由度を保つためには、筒部材26の内壁に潤滑剤(例えば、グリース)を塗布しておき、該内壁と粘弾性部材30の外周面との摩擦力を低減させることが好ましい。また、切込み30aは粘弾性部材30の回転方向への変形を阻害しないために形成されている。
【0042】
(ダンパー装置を適用した駆動機構、図15及び図16)
図15及び図16は本ダンパー装置20を適用した駆動機構を示し、この駆動機構は図1に示したカラープリンタの作像ユニット(感光体ドラム2、現像器3の現像ローラ3a)の駆動機構である。なお、カラープリンタにおいて、本ダンパー装置20を好適に適用できるその他の箇所としては、中間転写ベルト10を駆動するローラ11の駆動機構を挙げることができる。
【0043】
感光体ドラム2と現像ローラ3aとは互いに僅かな隙間を保持して配置され、図示しないモータの出力ギヤ41はギヤ42の大径ギヤ42aと歯合し、小径ギヤ42bはギヤ43と歯合している。ギヤ43に取り付けた部材44が感光体ドラム2に回転駆動力を伝達する。さらに、ギヤ43にはギヤ45の小径ギヤ45aが歯合し、大径ギヤ45bがギヤ46に歯合している。ギヤ46と一体的に設けた軸部46aが現像ローラ3aに回転駆動力を伝達する。ギヤ43とその軸部材43aは一体的に形成されている。また、それぞれの部材の回転方向は図16に矢印で示すとおりである。
【0044】
以上の構成からなる駆動機構において、本ダンパー装置20は軸部材43aと部材44との間に取り付けられている。例えば、第1例(図11参照)のダンパー装置20を適用した場合、軸部材43aが軸部材22に相当し、部材44が筒部材26に相当し、粘弾性部材30は軸部材43aと部材44との間に介在される。回転駆動力はギヤ41,42,43,45,46の順で伝達され、上流側からギヤ43に伝達される回転駆動力に含まれる微振動は本ダンパー装置20で減衰され、感光体ドラム2や現像ローラ3aが配置されている下流側に伝達されることはない。
【0045】
(ダンパー装置の第5例、図17〜図19参照)
第5例であるダンパー装置20は直進振動の緩衝手段として用いたものである。即ち、図17及び図18に示すように、板状の入力部材21と板状の受動部材25とを互いに対向状態に配置している。入力部材21は軸部材22に連結され、受動部材25は筒部材26に連結され、入力部材21と受動部材25との間に粘弾性部材30が配置されている。粘弾性部材30は9分割されており、分割された各セグメントの間にはフィルム35が接着あるいは非接着状態で単に圧着されている。
【0046】
このダンパー装置20は、図19に示すように、基台40と微振動を排除すべき測定機器41との間に介在される。詳しくは、基台40の上面4隅に入力部材21を固定し、各受動部材25に例えば測定機器41を搭載する。これにて、基台40に微振動が生じたとしても、該微振動はダンパー装置20によって減衰され、測定機器41に伝達されることはない。なお、基台40上に配置される機器は測定機器41に限定するものではないことは勿論である。
【0047】
(他の実施例)
なお、本発明に係るダンパー装置及び画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明は、ダンパー装置、画像形成装置に有用であり、特に、簡単な構成で好ましい振動遮断効果を有する点で優れている。
【符号の説明】
【0049】
20…ダンパー装置
21…入力部材
22…軸部材
25…受動部材
26…筒部材
30…粘弾性部材
35…フィルム
36…紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力が入力される入力部材と、
前記入力部材に入力された回転駆動力を受けて回転する受動部材と、
前記入力部材と前記受動部材との間に介在された粘弾性部材と、
前記粘弾性部材の直径方向への変位を規制しつつ、前記粘弾性部材の回転方向への搖動は規制しない可撓性部材と、
を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
前記粘弾性部材は回転方向に複数に分割されており、
前記可撓性部材はフィルムからなり、
分割されたそれぞれの前記粘弾性部材は前記フィルムに接着又は支持されていること、
を特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項3】
分割されたそれぞれの前記粘弾性部材の回転方向側の面が前記フィルムに接着されていること、を特徴とする請求項2に記載のダンパー装置。
【請求項4】
分割されたそれぞれの前記粘弾性部材の回転方向の両面が前記フィルムに接着されていること、を特徴とする請求項2に記載のダンパー装置。
【請求項5】
前記可撓性部材は紐からなり、該紐は前記粘弾性部材に直径方向に貫通していること、
を特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項6】
回転駆動力が入力される入力部材と、
前記入力部材に入力された回転駆動力を受けて回転する受動部材と、
前記入力部材と前記受動部材との間に介在された粘弾性部材と、
前記粘弾性部材の直径方向への変位を規制しつつ、前記粘弾性部材の回転方向への搖動は規制しない円筒状内壁と、
を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【請求項7】
前記入力部材及び前記受動部材が互いに対向状態に配置されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のダンパー装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−252081(P2012−252081A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123378(P2011−123378)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】