ダンパー
【課題】起動トルクを低減できると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制できるダンパーを得る。
【解決手段】回転ダンパー10のハウジング12内にはシリコーンオイル18が充填されており、ローター20の回転軸22の下端部に連設されたローター制動板24がハウジング12内に回転可能に収納されている。また、ハウジング12と回転軸22との間には、シリコーンオイル18がハウジング12の外へ漏れるのを防止するためにOリング30が配設されている。このOリング30は、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなり、回転ダンパー10の起動トルクを低減すると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制するようになっている。
【解決手段】回転ダンパー10のハウジング12内にはシリコーンオイル18が充填されており、ローター20の回転軸22の下端部に連設されたローター制動板24がハウジング12内に回転可能に収納されている。また、ハウジング12と回転軸22との間には、シリコーンオイル18がハウジング12の外へ漏れるのを防止するためにOリング30が配設されている。このOリング30は、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなり、回転ダンパー10の起動トルクを低減すると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、歯車やラックと噛み合う被駆動歯車の回転を制動するダンパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸の一部がダンパーオイルが充填されたハウジングから突出しており、ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板が回転軸の下端部に連設されたダンパーが記載されている。そして、ハウジングと回転軸との間には、ダンパーオイルがハウジングの外へ漏れるのを防止する環状シール材が設けられている。また、このダンパーにおいては、環状シール材として、シリコーンオイルに対して非膨潤性を有したエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)で形成したOリングを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリコーンオイルに対して非膨潤性を有したEPDMでOリングを形成しても、ハウジング及び回転軸と、Oリングとが接触するので、Oリングに起因するトルクが発生する。このため、起動トルクの増加や、低速域でのトルクのばらつきがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、起動トルクを低減できると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制できるダンパーを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明のダンパーは、ハウジングと、このハウジング内に充填されたダンパーオイルと、前記ハウジングから一部が突出する回転軸と、この回転軸の下端部に連設されて前記ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板と、を有するローターと、前記ダンパーオイルが前記ハウジングの外へ漏れるのを防止するために、前記ハウジングと前記回転軸との間に配設された環状シール材と、を有し、前記環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなる。
【0007】
請求項1に記載の発明のダンパーでは、ハウジング内に充填されたダンパーオイルがハウジングの外へ漏れるのを防止するために、ロータの回転軸とハウジングとの間に環状シール材が配設されており、この環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなる。このため、環状シール材に起因するトルクが抑制される。この結果、起動トルクが低減されると共に、低速度回転領域でのトルクのばらつきも低減される。
【0008】
なお、環状シール材を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、環状シール材を構成するシリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載のダンパーにおいて、前記シリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である。
【0010】
請求項2に記載の発明のダンパーでは、環状シール材を構成するシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である。このため、環状シール材に起因するステックスリップが発生し難く、トルク波形が安定する。
【0011】
なお、環状シール材を構成するシリコーンゴムの損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、環状シール材を構成するシリコーンゴムの損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0012】
なお、損失正接は、損失正接(tanδ)=損失弾性率(粘性成分)/貯蔵弾性率(弾性成分)で示される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明のダンパーは、上記構成としたので、起動トルクを低減できると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の本発明のダンパーは、トルク波形が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図2の1−1断面線に沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である回転ダンパーを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるOリングを示す平面図である。
【図4】図3の4−4断面線に沿った断面図である。
【図5】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図6】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図7】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図8】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図9】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図10】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図11】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図12】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図13】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図14】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図15】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図16】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図17】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dであるときの各測定周波数と損失正接との関係を示すグラフである。
【図18】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがAのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図19】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがBのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図20】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがCのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図21】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがDのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図22】本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図23】比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図24】本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
【図25】比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
【図26】金型にサンドブラスト処理(SB♯120)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図27】金型にサンドブラスト処理(SB♯220)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図28】金型にサンドブラスト処理(SB♯320)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図29】金型にサンドブラスト処理(SB♯400)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係るダンパーについて説明する。
【0017】
なお、図1は図2の1−1断面線に沿った断面図であり、図2は本発明の一実施形態である回転ダンパーの平面図である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の回転ダンパー10はハウジング12を備えており、ハウジング12は合成樹脂で成形されたハウジング本体14と、合成樹脂で成形されたキャップ16とを備えている。
【0019】
図1に示すように、ハウジング12の内部にはダンパーオイルとしてのシリコーンオイル18が充填されている。また、回転ダンパー10のローター20は、ハウジング12から一部が突出する回転軸22と、この回転軸22の下端部に連設されてハウジング12内に回転可能に収納されたローター制動板24とを有する。回転ダンパー10の環状シール材としてのOリング30は、ハウジング12と回転軸22との間に配設されており、シリコーンオイル18がハウジング12の外へ漏れるのを防止するようになっている。また、ハウジング12から突出した回転軸22の部分には被駆動歯車40が取り付けられている。
【0020】
ハウジング本体14は、底を有する円筒部14Aと、この円筒部14Aの中心に連設され、円筒部14Aよりも上側へ突出する平断面円形の支持軸14Bと、円筒部14Aの対向する外側位置に半径方向外側へ延びるように連設された取付片14C、14Dと、で構成されている。なお、取付片14Cには取付孔42が設けられ、取付片14Dには取付凹部44が設けられている。
【0021】
キャップ16の中心には、回転軸22が貫通する円形の貫通孔46設けられている。また、キャップ16は、円形の天板16Aと、この天板16Aの周縁に周回して連設された周壁16Bとを備えている。天板16Aにおける貫通孔46の下端部に連なる部位には、貫通孔46と同心で貫通孔46よりも太径の段状をしたOリング収容部48が設けられており、周壁16Bの内側にはハウジング本体14の円筒部14Aが嵌合している。
【0022】
回転軸22は、太径軸部22Aと、この太径軸部22Aの上側に同心で連なる取付軸部22Bとで構成されている。また、太径軸部22Aには、円筒状の凹部からなる軸受け部22Cが形成されており、軸受け部22Cには、ハウジング本体14の支持軸14Bが下側から回転可能に挿入されるいる。一方、回転軸22の取付軸部22Bには、被駆動歯車40が一体で回転するように取り付けられている。
【0023】
回転軸22の取付軸部22Bは、被駆動歯車40を一体で回転させるために、Iカット状に成形されており、平行する面の下方部分に係止凹部22Dがそれぞれ設けられている。また、ローター制動板24は、太径軸部22Aの下端外周に、太径軸部22Aと同心の円板状に設けられている。さらに、被駆動歯車40には、係止凹部22Dに対応した係合部50を内周面に有した取付孔52が設けられている。
【0024】
なお、この回転ダンパー10は、ハウジング本体14の取付片14Cの取付孔42及び取付片14Dの取付凹部44によって、所望の位置に取り付けることができると共に、被駆動歯車40で制動をかける歯車、ラックなどに噛み合わせることができるようになっている。
【0025】
(回転ダンパーの動作について)
次に、本実施形態の回転ダンパー10の動作について説明する。
【0026】
回転ダンパー10の被駆動歯車40に、回転させようとする力が作用すると、シリコーンオイル18が充填されたハウジング12内でローター制動板24が回転することになる。そして、ローター制動板24がシリコーンオイル18内で回転すると、ローター制動板24にシリコーンオイル18の粘性抵抗およびせん断抵抗が作用することにより、被駆動歯車40の回転を制動する。
【0027】
従って、回転ダンパー10によって、被駆動歯車40が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動してその回転または移動をゆっくりとさせることができる。
【0028】
(Oリングについて)
次に、本実施形態のOリング30について説明する。
【0029】
Oリング30はシリコーンゴムで形成されており、このシリコーンゴムは自己潤滑無しで、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下となっている。なお、自己潤滑無しとは、潤滑油成分を含有していないものをいう。
【0030】
例えば、シリコーンゴムは自己潤滑性添加剤を含まない構造で上記硬さとしている。なお、自己潤滑性添加剤とはメチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル等である。
従って、シリコーンゴムの上記硬さを25度以上45度以下とすることで、Oリング30に起因するトルクが抑制されるため、回転ダンパー10の起動トルクが低減すると共に、回転ダンパー10の低速度回転領域でのトルクのばらつきが低減される。なお、シリコーンゴムの上記硬さは25度以上40度以下が好ましい。また、シリコーンゴムの上記硬さは30度以上40度以下がさらに好ましい。
【0031】
また、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0032】
また、このシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接(tanδ)が0.12以上0.25以下となっている。
【0033】
従って、シリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接(tanδ)を0.12以上0.25以下とすることで、Oリング30に起因するステックスリップが発生し難く、回転ダンパー10のトルク波形が安定する。
【0034】
また、Oリング30を構成するシリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。なお、シリコーンゴムの上記損失正接(tanδ)は0.13以上0.25以下が好ましい。
【0035】
従って、Oリング30に起因する回転ダンパー10のトルクが低く、起動トルクも無い。
【0036】
(測定1)
本実施形態では、回転ダンパー10の回転追従性を示すトルク特性を測定している。この測定1に使用されているOリング30は、図3及び図4に示す外径D1が5.62mm、内径D2が3.5mm、円形断面の直径(断面径)D3が1.06mmであって、潰れ代が14.14%、内径伸張率3.43%となっている。
【0037】
回転追従性を示すトルク特性の測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクを測定する。なお、各硬さの測定サンプル数nは30、測定時の温度は23℃±2℃とする。
【0038】
(測定1の結果)
【0039】
図5はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0040】
また、図6はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0041】
また、図7はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0042】
また、図8はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0043】
また、図9はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0044】
また、図10はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0045】
なお、図5〜図10の、縦軸はトルク(mN・m)で、横軸は回転数(r/min)である。また、各図の範囲X1は、測定サンプル数nのばらつきを示している。
【0046】
(測定2)
また、本実施形態では、各回転ダンパー10のトルクの時間変化(空トルク波形)をそれぞれ測定している。なお、この測定2に使用されているOリングは測定1と同じOリングとなっている。
【0047】
空トルク波形の測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクをn=4回測定する。なお、測定時の温度は23℃±2℃とする。
【0048】
(測定2の結果)
図11はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときのトルクの時間変化である。
【0049】
また、図12はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときのトルクの時間変化である。
【0050】
また、図13はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときのトルクの時間変化である。
【0051】
また、図14はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときのトルクの時間変化である。
【0052】
また、図15はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときのトルクの時間変化である。
【0053】
また、図16はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときのトルクの時間変化である。
【0054】
なお、図11〜図16の、縦軸はトルク(gf・cm)で、横軸は時間(min)である。また、各図のT1、T3、T5、T7は測定開始時間を示しており、T2、T4、T6、T8は測定終了時間を示している。
【0055】
以上の測定結果1、2から、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムのJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが45度以下の場合に、Oリング30に起因する回転ダンパー10のトルクのばらつきが抑制されることがわかる。この結果、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムのJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さを45度以下とすることで、回転ダンパー10の起動トルクが低減できると共に、低速度回転領域でのトルクのばらつきを低減できる。
【0056】
なお、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、シリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、Oリング30の成形が困難になる。このため、シリコーンゴムにおける上記硬さ、即ち、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さを25度以上45度以下とする。
【0057】
(測定3)
本実施形態では、Oリング30を構成するシリコーンゴム(表1のA、B、C、D)の損失正接を算出している。
【0058】
【表1】
【0059】
各周波数におけるシリコーンゴム(A、B、C、D)の損失正接(tanδ)=損失弾性率(粘性成分)/貯蔵弾性率(弾性成分)を算出する。このとき、損失弾性率は粘弾性測定装置(レオ・ラボラトリ社製、レオメータ)を用い、測定温度25℃一定、測定歪は線形歪み領域内で測定した。なお、この測定3に使用されているOリングは測定1と同じ形状になっている。
【0060】
(測定3の結果)
図17は、Oリング30を構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dのときの各測定周波数と損失正接との関係を示すグラフである。
【0061】
なお、図17の、縦軸はtanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)で、横軸は測定周波数(Hz)である。
(測定4)
また、本実施形態では、Oリング30を構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dのときの、回転ダンパー10のトルクの時間変化(空トルク波形)を測定している。
【0062】
空トルク波形測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクををn=3回測定する。また、測定時の温度は23℃±2℃とする。なお、この測定4に使用されているOリングは測定3と同じになっている。
【0063】
(測定4の結果)
図18はOリング30を構成するシリコーンゴムがAのときのトルクの時間変化である。
【0064】
また、図19はOリング30を構成するシリコーンゴムがBのときのトルクの時間変化である。
【0065】
また、図20はOリング30を構成するシリコーンゴムがCのときのトルクの時間変化である。
【0066】
また、図21はOリング30を構成するシリコーンゴムがDのときのトルクの時間変化である。
【0067】
なお、図18〜図21の、縦軸はトルク(gf・cm)で、横軸は時間(min)である。また、各図のT1、T3、T5、は測定開始時間を示しており、T2、T4、T6は測定終了時間を示している。
【0068】
以上の測定4の結果から、起動トルクがなく、トルク波形が安定しているのは、Oリング30を構成するシリコーンゴムがAのときである。また、以上の測定3の結果から、シリコーンゴムがAのとき、周波数が1Hzでの損失正接tanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)が0.12以上である。この結果、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接tanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)が0.12以上であると、回転ダンパー10にOリング30を起因するステックスリップが発生し難く、トルク波形が安定する。
【0069】
なお、シリコーンゴムは、上記損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。このため、Oリング30を構成するシリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接を0.12以上0.25以下とする。
【0070】
(測定5)
また、本実施形態のシリコーンゴム(上記硬さ35度)からなるOリングを使用した回転ダンパーと、EPDM(上記硬さ50度)からなるOリングを使用した比較例回転ダンパーとをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時間のばらつきを測定している。なお、測定サンプル数nは30とする。
【0071】
(測定5の結果)
図22は本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図23は比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
なお、図22及び図23の、縦軸は作動時間(sec)で、横軸は個数nである
【0072】
以上の測定結果5から、本実施形態回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスは、比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスと比較して、作動時間のばらつきが少ない。
【0073】
(測定6)
また、本実施形態のシリコーンゴム(上記硬さ35度)からなるOリングを使用した回転ダンパーと、EPDM(上記硬さ50度)からなるOリングを使用した比較例回転ダンパーとをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時の時間経過と角速度との関係を測定している。なお、測定サンプル数nは30とする。
(測定6の結果)
図24は本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
図25は比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
なお、図24及び図25の、角各速(deg/sec)で、横軸は時間(sec)である。
【0074】
以上の測定結果6から、本実施形態回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスは、比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスと比較して、低角速度時(開放作動後半)の作動ばらつき(図24及び図25のY1の範囲)が小さく、全体の開放作動時間のばらつき(図24及び図25のT1の範囲)も小さい。
【0075】
(測定7)
また、本実施形態では、金型に大同特殊鋼製のNAK55材を使用し、金型の成形表面にサンドブラスト処理(SB♯120、SB♯220、SB♯320、SB♯400)をして製造したOリング30(上記硬さ35度)を使用した回転ダンパーをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時間のばらつきを測定している。なお、測定サンプル数nは5とする。
【0076】
(測定7の結果)
図26は金型にサンドブラスト処理(SB♯120)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図27は金型にサンドブラスト処理(SB♯220)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図28は金型にサンドブラスト処理(SB♯320)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図29は金型にサンドブラスト処理(SB♯400)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
なお、図26〜図29の縦軸は作動時間(sec)で横軸は個数nである
【0077】
以上の測定結果7から、Oリング30を製造する金型に大同特殊鋼製のNAK55材を使用し、成形表面にサンドブラスト処理(SB♯120又はSB♯220)をして、Oリング30の外周面を滑らかにすることで、サンドブラスト処理(SB♯320又はSB♯400)と比較して、作動時間のばらつきが少なくなる。なお、好ましくは、Oリング30の耐久性能が向上するサンドブラスト処理(SB♯220)がよい。
【0078】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ダンパーオイルとしてシリコーンオイル18を使用したが、シリコーンオイル18に代えて高度に精錬したパラフィン系基油等をダンパーオイルとして使用してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、環状シール材としての断面円形のOリング30をしたが、断面が他の形状のOリング等の他の環状シール材を使用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 回転ダンパー
12 ハウジング
14 ハウジング本体
16 キャップ
18 シリコーンオイル(ダンパーオイル)
20 ローター
22 回転軸
24 ローター制動板
30 Oリング(環状シール材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、歯車やラックと噛み合う被駆動歯車の回転を制動するダンパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸の一部がダンパーオイルが充填されたハウジングから突出しており、ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板が回転軸の下端部に連設されたダンパーが記載されている。そして、ハウジングと回転軸との間には、ダンパーオイルがハウジングの外へ漏れるのを防止する環状シール材が設けられている。また、このダンパーにおいては、環状シール材として、シリコーンオイルに対して非膨潤性を有したエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)で形成したOリングを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリコーンオイルに対して非膨潤性を有したEPDMでOリングを形成しても、ハウジング及び回転軸と、Oリングとが接触するので、Oリングに起因するトルクが発生する。このため、起動トルクの増加や、低速域でのトルクのばらつきがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、起動トルクを低減できると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制できるダンパーを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明のダンパーは、ハウジングと、このハウジング内に充填されたダンパーオイルと、前記ハウジングから一部が突出する回転軸と、この回転軸の下端部に連設されて前記ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板と、を有するローターと、前記ダンパーオイルが前記ハウジングの外へ漏れるのを防止するために、前記ハウジングと前記回転軸との間に配設された環状シール材と、を有し、前記環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなる。
【0007】
請求項1に記載の発明のダンパーでは、ハウジング内に充填されたダンパーオイルがハウジングの外へ漏れるのを防止するために、ロータの回転軸とハウジングとの間に環状シール材が配設されており、この環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなる。このため、環状シール材に起因するトルクが抑制される。この結果、起動トルクが低減されると共に、低速度回転領域でのトルクのばらつきも低減される。
【0008】
なお、環状シール材を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、環状シール材を構成するシリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載のダンパーにおいて、前記シリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である。
【0010】
請求項2に記載の発明のダンパーでは、環状シール材を構成するシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である。このため、環状シール材に起因するステックスリップが発生し難く、トルク波形が安定する。
【0011】
なお、環状シール材を構成するシリコーンゴムの損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、環状シール材を構成するシリコーンゴムの損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0012】
なお、損失正接は、損失正接(tanδ)=損失弾性率(粘性成分)/貯蔵弾性率(弾性成分)で示される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明のダンパーは、上記構成としたので、起動トルクを低減できると共に、低速域でのトルクのばらつきを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の本発明のダンパーは、トルク波形が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図2の1−1断面線に沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である回転ダンパーを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるOリングを示す平面図である。
【図4】図3の4−4断面線に沿った断面図である。
【図5】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図6】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図7】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図8】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図9】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図10】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【図11】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図12】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図13】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図14】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図15】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図16】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図17】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dであるときの各測定周波数と損失正接との関係を示すグラフである。
【図18】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがAのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図19】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがBのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図20】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがCのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図21】回転ダンパーのOリングを構成するシリコーンゴムがDのときのトルクの時間変化を示すグラフである。
【図22】本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図23】比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図24】本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
【図25】比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
【図26】金型にサンドブラスト処理(SB♯120)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図27】金型にサンドブラスト処理(SB♯220)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図28】金型にサンドブラスト処理(SB♯320)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【図29】金型にサンドブラスト処理(SB♯400)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係るダンパーについて説明する。
【0017】
なお、図1は図2の1−1断面線に沿った断面図であり、図2は本発明の一実施形態である回転ダンパーの平面図である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の回転ダンパー10はハウジング12を備えており、ハウジング12は合成樹脂で成形されたハウジング本体14と、合成樹脂で成形されたキャップ16とを備えている。
【0019】
図1に示すように、ハウジング12の内部にはダンパーオイルとしてのシリコーンオイル18が充填されている。また、回転ダンパー10のローター20は、ハウジング12から一部が突出する回転軸22と、この回転軸22の下端部に連設されてハウジング12内に回転可能に収納されたローター制動板24とを有する。回転ダンパー10の環状シール材としてのOリング30は、ハウジング12と回転軸22との間に配設されており、シリコーンオイル18がハウジング12の外へ漏れるのを防止するようになっている。また、ハウジング12から突出した回転軸22の部分には被駆動歯車40が取り付けられている。
【0020】
ハウジング本体14は、底を有する円筒部14Aと、この円筒部14Aの中心に連設され、円筒部14Aよりも上側へ突出する平断面円形の支持軸14Bと、円筒部14Aの対向する外側位置に半径方向外側へ延びるように連設された取付片14C、14Dと、で構成されている。なお、取付片14Cには取付孔42が設けられ、取付片14Dには取付凹部44が設けられている。
【0021】
キャップ16の中心には、回転軸22が貫通する円形の貫通孔46設けられている。また、キャップ16は、円形の天板16Aと、この天板16Aの周縁に周回して連設された周壁16Bとを備えている。天板16Aにおける貫通孔46の下端部に連なる部位には、貫通孔46と同心で貫通孔46よりも太径の段状をしたOリング収容部48が設けられており、周壁16Bの内側にはハウジング本体14の円筒部14Aが嵌合している。
【0022】
回転軸22は、太径軸部22Aと、この太径軸部22Aの上側に同心で連なる取付軸部22Bとで構成されている。また、太径軸部22Aには、円筒状の凹部からなる軸受け部22Cが形成されており、軸受け部22Cには、ハウジング本体14の支持軸14Bが下側から回転可能に挿入されるいる。一方、回転軸22の取付軸部22Bには、被駆動歯車40が一体で回転するように取り付けられている。
【0023】
回転軸22の取付軸部22Bは、被駆動歯車40を一体で回転させるために、Iカット状に成形されており、平行する面の下方部分に係止凹部22Dがそれぞれ設けられている。また、ローター制動板24は、太径軸部22Aの下端外周に、太径軸部22Aと同心の円板状に設けられている。さらに、被駆動歯車40には、係止凹部22Dに対応した係合部50を内周面に有した取付孔52が設けられている。
【0024】
なお、この回転ダンパー10は、ハウジング本体14の取付片14Cの取付孔42及び取付片14Dの取付凹部44によって、所望の位置に取り付けることができると共に、被駆動歯車40で制動をかける歯車、ラックなどに噛み合わせることができるようになっている。
【0025】
(回転ダンパーの動作について)
次に、本実施形態の回転ダンパー10の動作について説明する。
【0026】
回転ダンパー10の被駆動歯車40に、回転させようとする力が作用すると、シリコーンオイル18が充填されたハウジング12内でローター制動板24が回転することになる。そして、ローター制動板24がシリコーンオイル18内で回転すると、ローター制動板24にシリコーンオイル18の粘性抵抗およびせん断抵抗が作用することにより、被駆動歯車40の回転を制動する。
【0027】
従って、回転ダンパー10によって、被駆動歯車40が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動してその回転または移動をゆっくりとさせることができる。
【0028】
(Oリングについて)
次に、本実施形態のOリング30について説明する。
【0029】
Oリング30はシリコーンゴムで形成されており、このシリコーンゴムは自己潤滑無しで、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下となっている。なお、自己潤滑無しとは、潤滑油成分を含有していないものをいう。
【0030】
例えば、シリコーンゴムは自己潤滑性添加剤を含まない構造で上記硬さとしている。なお、自己潤滑性添加剤とはメチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル等である。
従って、シリコーンゴムの上記硬さを25度以上45度以下とすることで、Oリング30に起因するトルクが抑制されるため、回転ダンパー10の起動トルクが低減すると共に、回転ダンパー10の低速度回転領域でのトルクのばらつきが低減される。なお、シリコーンゴムの上記硬さは25度以上40度以下が好ましい。また、シリコーンゴムの上記硬さは30度以上40度以下がさらに好ましい。
【0031】
また、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。
【0032】
また、このシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接(tanδ)が0.12以上0.25以下となっている。
【0033】
従って、シリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接(tanδ)を0.12以上0.25以下とすることで、Oリング30に起因するステックスリップが発生し難く、回転ダンパー10のトルク波形が安定する。
【0034】
また、Oリング30を構成するシリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの周波数が1Hzでの損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。なお、シリコーンゴムの上記損失正接(tanδ)は0.13以上0.25以下が好ましい。
【0035】
従って、Oリング30に起因する回転ダンパー10のトルクが低く、起動トルクも無い。
【0036】
(測定1)
本実施形態では、回転ダンパー10の回転追従性を示すトルク特性を測定している。この測定1に使用されているOリング30は、図3及び図4に示す外径D1が5.62mm、内径D2が3.5mm、円形断面の直径(断面径)D3が1.06mmであって、潰れ代が14.14%、内径伸張率3.43%となっている。
【0037】
回転追従性を示すトルク特性の測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクを測定する。なお、各硬さの測定サンプル数nは30、測定時の温度は23℃±2℃とする。
【0038】
(測定1の結果)
【0039】
図5はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0040】
また、図6はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0041】
また、図7はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0042】
また、図8はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0043】
また、図9はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0044】
また、図10はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときの回転追従性を示すトルク特性図である。
【0045】
なお、図5〜図10の、縦軸はトルク(mN・m)で、横軸は回転数(r/min)である。また、各図の範囲X1は、測定サンプル数nのばらつきを示している。
【0046】
(測定2)
また、本実施形態では、各回転ダンパー10のトルクの時間変化(空トルク波形)をそれぞれ測定している。なお、この測定2に使用されているOリングは測定1と同じOリングとなっている。
【0047】
空トルク波形の測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクをn=4回測定する。なお、測定時の温度は23℃±2℃とする。
【0048】
(測定2の結果)
図11はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが27度のときのトルクの時間変化である。
【0049】
また、図12はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが30度のときのトルクの時間変化である。
【0050】
また、図13はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが40度のときのトルクの時間変化である。
【0051】
また、図14はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度のときのトルクの時間変化である。
【0052】
また、図15はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが50度のときのトルクの時間変化である。
【0053】
また、図16はOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが80度のときのトルクの時間変化である。
【0054】
なお、図11〜図16の、縦軸はトルク(gf・cm)で、横軸は時間(min)である。また、各図のT1、T3、T5、T7は測定開始時間を示しており、T2、T4、T6、T8は測定終了時間を示している。
【0055】
以上の測定結果1、2から、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムのJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが45度以下の場合に、Oリング30に起因する回転ダンパー10のトルクのばらつきが抑制されることがわかる。この結果、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムのJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さを45度以下とすることで、回転ダンパー10の起動トルクが低減できると共に、低速度回転領域でのトルクのばらつきを低減できる。
【0056】
なお、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムの上記硬さが45度を超えると、上記効果が得られないと共に、シリコーンゴムの上記硬さが25度に達しないと、シリコーンゴムの硬さ不足により、Oリング30の成形が困難になる。このため、シリコーンゴムにおける上記硬さ、即ち、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さを25度以上45度以下とする。
【0057】
(測定3)
本実施形態では、Oリング30を構成するシリコーンゴム(表1のA、B、C、D)の損失正接を算出している。
【0058】
【表1】
【0059】
各周波数におけるシリコーンゴム(A、B、C、D)の損失正接(tanδ)=損失弾性率(粘性成分)/貯蔵弾性率(弾性成分)を算出する。このとき、損失弾性率は粘弾性測定装置(レオ・ラボラトリ社製、レオメータ)を用い、測定温度25℃一定、測定歪は線形歪み領域内で測定した。なお、この測定3に使用されているOリングは測定1と同じ形状になっている。
【0060】
(測定3の結果)
図17は、Oリング30を構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dのときの各測定周波数と損失正接との関係を示すグラフである。
【0061】
なお、図17の、縦軸はtanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)で、横軸は測定周波数(Hz)である。
(測定4)
また、本実施形態では、Oリング30を構成するシリコーンゴムがA、B、C、Dのときの、回転ダンパー10のトルクの時間変化(空トルク波形)を測定している。
【0062】
空トルク波形測定方法は、微小トルク測定装置(株式会社小野測器社製MD−202R型)の下側のアタッチメントに回転ダンパー10を配置し回転させ、微小トルク測定装置の上側のトルク検出部にてトルクををn=3回測定する。また、測定時の温度は23℃±2℃とする。なお、この測定4に使用されているOリングは測定3と同じになっている。
【0063】
(測定4の結果)
図18はOリング30を構成するシリコーンゴムがAのときのトルクの時間変化である。
【0064】
また、図19はOリング30を構成するシリコーンゴムがBのときのトルクの時間変化である。
【0065】
また、図20はOリング30を構成するシリコーンゴムがCのときのトルクの時間変化である。
【0066】
また、図21はOリング30を構成するシリコーンゴムがDのときのトルクの時間変化である。
【0067】
なお、図18〜図21の、縦軸はトルク(gf・cm)で、横軸は時間(min)である。また、各図のT1、T3、T5、は測定開始時間を示しており、T2、T4、T6は測定終了時間を示している。
【0068】
以上の測定4の結果から、起動トルクがなく、トルク波形が安定しているのは、Oリング30を構成するシリコーンゴムがAのときである。また、以上の測定3の結果から、シリコーンゴムがAのとき、周波数が1Hzでの損失正接tanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)が0.12以上である。この結果、回転ダンパー10のOリング30を構成するシリコーンゴムは、周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接tanδ(損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率)が0.12以上であると、回転ダンパー10にOリング30を起因するステックスリップが発生し難く、トルク波形が安定する。
【0069】
なお、シリコーンゴムは、上記損失正接が0.12に達しない場合には上記効果が得られないと共に、Oリング30を構成するシリコーンゴムの上記損失正接が0.25を超えると、シリコーンゴムの硬さ不足により、環状シール材の成形が困難になる。このため、Oリング30を構成するシリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接を0.12以上0.25以下とする。
【0070】
(測定5)
また、本実施形態のシリコーンゴム(上記硬さ35度)からなるOリングを使用した回転ダンパーと、EPDM(上記硬さ50度)からなるOリングを使用した比較例回転ダンパーとをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時間のばらつきを測定している。なお、測定サンプル数nは30とする。
【0071】
(測定5の結果)
図22は本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図23は比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
なお、図22及び図23の、縦軸は作動時間(sec)で、横軸は個数nである
【0072】
以上の測定結果5から、本実施形態回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスは、比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスと比較して、作動時間のばらつきが少ない。
【0073】
(測定6)
また、本実施形態のシリコーンゴム(上記硬さ35度)からなるOリングを使用した回転ダンパーと、EPDM(上記硬さ50度)からなるOリングを使用した比較例回転ダンパーとをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時の時間経過と角速度との関係を測定している。なお、測定サンプル数nは30とする。
(測定6の結果)
図24は本実施形態の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
図25は比較例の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時の時間経過と角速度との関係を示すグラフである。
なお、図24及び図25の、角各速(deg/sec)で、横軸は時間(sec)である。
【0074】
以上の測定結果6から、本実施形態回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスは、比較例回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスと比較して、低角速度時(開放作動後半)の作動ばらつき(図24及び図25のY1の範囲)が小さく、全体の開放作動時間のばらつき(図24及び図25のT1の範囲)も小さい。
【0075】
(測定7)
また、本実施形態では、金型に大同特殊鋼製のNAK55材を使用し、金型の成形表面にサンドブラスト処理(SB♯120、SB♯220、SB♯320、SB♯400)をして製造したOリング30(上記硬さ35度)を使用した回転ダンパーをそれぞれ同じ車載用コンソールボックスの開閉扉に取付けて、開放作動時間のばらつきを測定している。なお、測定サンプル数nは5とする。
【0076】
(測定7の結果)
図26は金型にサンドブラスト処理(SB♯120)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図27は金型にサンドブラスト処理(SB♯220)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図28は金型にサンドブラスト処理(SB♯320)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
図29は金型にサンドブラスト処理(SB♯400)をしたOリング使用の回転ダンパーを取付けた車載用コンソールボックスの開閉扉の開放作動時間の分布を示すグラフである。
なお、図26〜図29の縦軸は作動時間(sec)で横軸は個数nである
【0077】
以上の測定結果7から、Oリング30を製造する金型に大同特殊鋼製のNAK55材を使用し、成形表面にサンドブラスト処理(SB♯120又はSB♯220)をして、Oリング30の外周面を滑らかにすることで、サンドブラスト処理(SB♯320又はSB♯400)と比較して、作動時間のばらつきが少なくなる。なお、好ましくは、Oリング30の耐久性能が向上するサンドブラスト処理(SB♯220)がよい。
【0078】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ダンパーオイルとしてシリコーンオイル18を使用したが、シリコーンオイル18に代えて高度に精錬したパラフィン系基油等をダンパーオイルとして使用してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、環状シール材としての断面円形のOリング30をしたが、断面が他の形状のOリング等の他の環状シール材を使用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 回転ダンパー
12 ハウジング
14 ハウジング本体
16 キャップ
18 シリコーンオイル(ダンパーオイル)
20 ローター
22 回転軸
24 ローター制動板
30 Oリング(環状シール材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
このハウジング内に充填されたダンパーオイルと、
前記ハウジングから一部が突出する回転軸と、この回転軸の下端部に連設されて前記ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板と、を有するローターと、
前記ダンパーオイルが前記ハウジングの外へ漏れるのを防止するために、前記ハウジングと前記回転軸との間に配設された環状シール材と、
を有し、前記環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなるダンパー。
【請求項2】
前記シリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である請求項1に記載のダンパー。
【請求項1】
ハウジングと、
このハウジング内に充填されたダンパーオイルと、
前記ハウジングから一部が突出する回転軸と、この回転軸の下端部に連設されて前記ハウジング内に回転可能に収納されたローター制動板と、を有するローターと、
前記ダンパーオイルが前記ハウジングの外へ漏れるのを防止するために、前記ハウジングと前記回転軸との間に配設された環状シール材と、
を有し、前記環状シール材はJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが25度以上45度以下のシリコーンゴムからなるダンパー。
【請求項2】
前記シリコーンゴムは周波数が1Hzでの動的粘弾性測定から求められる温度23℃±2℃での、損失正接が0.12以上0.25以下である請求項1に記載のダンパー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−2347(P2012−2347A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191191(P2010−191191)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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