説明

ダンパ装置

【課題】簡易な構成でありながら、外力に対する反力を減衰させると共に、ピストンをシリンダに対して所望の位置に保持させるようにしたダンパ装置を提供する。
【解決手段】作動油Oが封入されたシリンダ12の内部に摺動自在に収容されるピストン14を備えて外力による反力を減衰させるダンパ装置10において、ピストンロッド14bに回転可能に収容されるインナースリーブ16と、インナースリーブ16の内部に挿入され、その内部に油路22bが穿設されたポンプロッド22を備えると共に、ポンプロッド22の通路に穿設されるオリフィス22fと、インナースリーブ16に形成されたオリフィス22fを閉塞可能な長短2つの軸端位置(閉塞部位)16b1,16b2と、インナースリーブ16をそれらの位置に回転させるアクチュエータ20とからなり、ピストン14をシリンダ12に対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はダンパ装置に関し、より具体的には車両の懸架装置のバネの間に配置してバネの振動を減衰させると共に、車高を所望の高さに調整するのに好適なダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のダンパ装置としては特許文献1記載の技術が知られている。特許文献1記載の技術にあっては、ピストンの上下動に伴ってシリンダの下方室に作動油(作動液)を供給し、ピストンロッドを押し上げて伸張させて車高を上げる一方、所定の車高まで到達すると、ポンプロッドに穿設されたレベリングポートを下方室と連通させることで、それ以上の上昇を止めるように構成している。
【0003】
このように特許文献1記載の技術にあっては、ポンピング動作を解除するレベリングポートの穿設位置で保持できる車高が定まってしまうため、特許文献2においてピストンロッドの内部に雌ねじ部材とそれに噛合された雄ねじ部材を収容してポンプロッド(ポンプチューブ)に接続し、アクチュエータで雌ねじ部材を軸方向に移動させることでポンピング動作が解除される軸方向高さを調整する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−292284号公報
【特許文献2】特開平10−211810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献2記載の技術にあっては、アクチュエータで雌ねじ部材を軸方向に移動、具体的には雌ねじ部材を回転させ、それに噛合された雄ねじ部材を移動させる、より具体的にはアクチュエータによる回転運動を並進運動に変換することでポンピング動作が解除される軸方向高さを調整しているため、構成が複雑になると共に、雌ねじ部材に加えて雄ねじ部材が移動する距離に相当するスペースがピストンロッドに必要となり、ダンパ装置をホイルハウスなどの限られた空間に配置する場合、レイアウトが困難となる。
【0006】
この発明の目的は上記した課題を解決し、簡易な構成でありながら、外力に対する反力を減衰させると共に、ピストンをシリンダに対して所望の位置に保持させるようにしたダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、リザーバ室に接続される作動液が封入されたシリンダの内部をピストンで2つの室に区画し、作動液を前記2つの室の一方から他方に流通させ、外力による前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対する反力を減衰させるダンパ装置において、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッドと、円筒形を呈すると共に、前記ピストンロッドの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブと、一端が前記シリンダのボトムに固定され、他端が前記インナースリーブの内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路が穿設されたポンプロッドと、前記ピストンの変位による前記ピストンロッドのストロークに応じて前記ポンプロッドと前記インナースリーブが相対変位するとき、作動液を前記リザーバ室から少なくとも前記ポンプロッドの通路を介して前記2つの室のいずれかに流通させ、前記シリンダに対して前記ピストンをポンピング動作させるポンプ手段と、前記ピストンロッドのストロークの途中で前記ポンプ手段によって流通させられる作動液を前記リザーバ室に排出させ、よって前記ピストンを前記シリンダに対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、前記ピストン位置保持手段が、前記ポンプロッドの通路に穿設されると共に、前記リザーバ室に接続されるオリフィスと、前記インナースリーブの先端側に形成された、軸方向において異なる少なくとも2つの位置で前記オリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、前記インナースリーブに連結され、前記ピストンロッドに対して前記インナースリーブを前記閉塞部位に相応する角度に回転させるアクチュエータとからなる如く構成した。
【0008】
請求項2に係るダンパ装置にあっては、前記ポンプロッドには前記2つの室のいずれかに接続される所定の軸方向長さのグルーブが穿設されると共に、前記オリフィスは、前記グルーブの所定の軸方向長さの間の任意の位置において径方向に角度を相違させつつ、前記ポンプロッドに穿設される如く構成した。
【0009】
請求項3にあっては、リザーバ室に接続される作動液が封入されたシリンダの内部をピストンで2つの室に区画し、作動液を前記2つの室の一方から他方に流通させ、外力による前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対する反力を減衰させるダンパ装置において、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッドと、円筒形を呈すると共に、前記ピストンロッドの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブと、一端が前記シリンダのボトムに固定され、他端が前記インナースリーブの内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路が穿設されたポンプロッドと、前記ピストンの変位による前記ピストンロッドのストロークに応じて前記ポンプロッドと前記インナースリーブが相対変位するとき、作動液を前記リザーバ室から少なくとも前記ポンプロッドの通路を介して前記2つの室のいずれかに流通させ、前記シリンダに対して前記ピストンをポンピング動作させるポンプ手段と、前記ピストンロッドのストロークの途中で前記ポンプ手段によって流通させられる作動液を前記リザーバ室に排出させ、よって前記ピストンを前記シリンダに対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、前記ピストン位置保持手段が、前記ポンプロッドの通路に穿設されると共に、前記リザーバ室に接続されるオリフィスと、前記インナースリーブの先端側に形成された前記オリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、前記インナースリーブの内周面に形成された少なくとも1つの第1の溝部と、前記ポンプロッドの外周面に軸方向において異なる位置に形成された少なくとも2つの第2の溝部と、前記インナースリーブに連結され、前記ピストンロッドに対して前記インナースリーブを前記第1の溝部が前記ポンプロッドに形成された第2の溝部との間で径方向に間隙を生じさせる角度に回転させるアクチュエータとからなる如く構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るダンパ装置にあっては、一端がピストンに連結され、他端がシリンダの外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッドと、円筒形を呈すると共に、ピストンロッドの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブと、一端がシリンダのボトムに固定され、他端がインナースリーブの内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路が穿設されたポンプロッドと、ピストンロッドのストロークに応じてポンプロッドとインナースリーブが相対変位するとき、作動液をリザーバ室から少なくともポンプロッドの通路を介して2つの室のいずれかに流通させ、シリンダに対してピストンをポンピング動作させるポンプ手段と、ピストンロッドのストロークの途中でポンプ手段によって流通させられる作動液をリザーバ室に排出させ、よってピストンをシリンダに対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、ピストン位置保持手段が、ポンプロッドの通路に穿設されると共に、リザーバ室に接続されるオリフィスと、インナースリーブの先端側に形成された、軸方向において異なる少なくとも2つの位置でオリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、インナースリーブに連結され、ピストンロッドに対してインナースリーブを閉塞部位に相応する角度に回転させるアクチュエータとからなる如く構成したので、外力に対する反力を減衰できると共に、ピストンをシリンダに対して閉塞部位に相応する所望の位置に保持させることができる。従って、例えば車両の懸架装置のバネの間に配置されるとき、バネの振動を減衰させると共に、車高を所望の高さに調整することができる。
【0011】
また、雄ねじ部材が移動する距離に相当するスペースがピストンロッドで不要となることから、構成が簡易となり、例えばホイルハウスなどの限られた空間に配置する場合にもレイアウトが容易となる。
【0012】
請求項2に係るダンパ装置にあっては、ポンプロッドには2つの室のいずれかに接続される所定の軸方向長さのグルーブが穿設されると共に、オリフィスは、グルーブの所定の軸方向長さの間の任意の位置において径方向に角度を相違させつつ、ポンプロッドに穿設される如く構成したので、ポンピング動作において作動液をリザーバ室から少なくともポンプロッドの通路を介して2つの室のいずれかに流通させるとき、ピストンがポンプロッドに対して所定の位置に達すると、グルーブを介してポンプロッドから2つの室のいずれかに流通させることができ、ポンピング動作を不要に長引かせることがない。
【0013】
請求項3に係るダンパ装置にあっては、ピストン位置保持手段が、前記ポンプロッドの通路に穿設されると共に、前記リザーバ室に接続されるオリフィスと、前記インナースリーブの先端側に形成された前記オリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、インナースリーブの内周面に形成された少なくとも1つの第1の溝部と、ポンプロッドの外周面に軸方向において異なる位置に形成された少なくとも2つの第2の溝部と、インナースリーブに連結され、ピストンロッドに対してインナースリーブを第1の溝部がポンプロッドに形成された第2の溝部との間で径方向に間隙を生じさせる角度に回転させるアクチュエータとからなる如く構成したので、外力に対する反力を減衰できると共に、ピストンをシリンダに対して特に縮小方向の所望の位置に保持させることができる。従って、例えば車両の懸架装置のバネの間に配置されるとき、バネの振動を減衰させると共に、車高を所望の高さに低下させる(調整する)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施例に係るダンパ装置を模式的に示す全体図である。
【図2】図1に示すダンパ装置をより具体的に示す、その本体の縦断面拡大斜視図である。
【図3】図2に示すダンパ装置の本体の要部拡大図である。
【図4】図2に示すダンパ装置の本体のインナースリーブの斜視図である。
【図5】図2に示すダンパ装置の本体のポンプロッドの斜視図である。
【図6】図1に示すダンパ装置の車高調整動作を示す説明図である。
【図7】図1に示すダンパ装置の本体の側面図である。
【図8】この発明の第2実施例に係るダンパ装置のインナースリーブの先端を模式的に示す斜視図である。
【図9】この発明の第3実施例に係るダンパ装置のインナースリーブの先端を模式的に示す斜視図である。
【図10】この発明の第4実施例に係るダンパ装置を模式的に示す全体図である。
【図11】図10の破線X,Y,Zで区画される部位の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明に係るダンパ装置を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1などにおいて符号10はダンパ装置を示す。図示の如く、ダンパ装置10は、円筒形状のシリンダ12と、シリンダ12の中に摺動自在に配置されるピストン14を備える。ダンパ装置10は車両の後輪側の懸架装置のバネ(図示せず)の間に配置される。
【0017】
シリンダ12の内部には作動油(作動液)が封入されると共に、その内部はピストン14によって第1油室12aと第2油室12bからなる2つの室に区画される。ピストン14には連通路14aが穿設され、作動油は連通路14aを介して第1、第2油室12a,12bの一方から他方へと流通(往来)する。
【0018】
シリンダ12において第1、第2油室12a,12bの外側(円周側)には、高圧の不活性ガス12c1が封入されたダイアフラム(ブラダ)12c2が設けられた第3油室12cとリザーバ室12dが形成される。
【0019】
第2油室12bはオリフィス(孔)12b1を介して第3油室12cと接続される結果、第1、第2、第3油室12a,12b,12cの作動油には高圧ガス12c1の圧力が印加される。
【0020】
リザーバ室12dには作動油Oが貯留される。リザーバ室12dには高圧ガス12c1に比して低圧で、同様に不活性ガスからなる低圧ガス12d1が封入され、貯留される作動油にはその圧力が印加される。図示の簡略化のため、作動油Oの図示は図2以降で省略する。
【0021】
ピストン14にはピストンロッド14bが接続される。ピストンロッド14bは一端がピストン14に連結されると共に、他端がシリンダ12の外部に延長される。ピストンロッド14bは、その軸方向に中空凹部が穿設された円筒形状を呈する。
【0022】
ピストンロッド14bにはインナースリーブ16が収容される。インナースリーブ16はピストンロッド14bの中空凹部に回転可能に収容される。他方、インナースリーブ16はピストンロッド14bの先端から突出させられ、その突出部位16aはアクチュエータ(例えばステッピングモータなどの電動モータからなる)20の出力軸20aに連結され、アクチュエータ20によってピストンロッド14bに対して回転自在に構成される。アクチュエータ20は、ピストンロッド16に固定される。
【0023】
インナースリーブ16もピストンロッド14bと同様に円筒形状を呈し、突出部位16aの付近を除く、突出部位16aから先端16bに至る、その全長のほとんどにわたって作動油の油路として機能する中空凹部16cが穿設される。また突出部位16aの付近において細孔16dが軸方向に穿設され、中空凹部16cは細孔16dに接続される。
【0024】
さらに、図1に良く示す如く、インナースリーブ16の外周にはその全長にわたってグルーブ(溝)16eが穿設され、ピストンロッド14bに収容されるとき、グルーブ16eにおいてピストンロッド14bとの間で空隙が生じるように構成される。
【0025】
細孔16dは突出部位16aに向けて軸方向に延びた後、90度折曲して径方向に伸び、グルーブ16eに接続される。細孔16dにはワンウェイバルブ(逆止弁)16fが配置される。図2に良く示すようにワンウェイバルブ16fはバルブ体16f1とスプリング16f2を備え、作動油が先端16bから突出部位16aに向かう方向にのみ流れるのを許容する。
【0026】
シリンダ12の軸心位置にはポンプロッド22が固定される。ポンプロッド22はボトム端(一端)22aがシリンダ12のボトム12eに一体的に固定されると共に、他端はインナースリーブ16の中空凹部16cに液密に挿入される。換言すれば、ポンプロッド22は、インナースリーブ16の内部にインナースリーブ16の先端16bの側から液密に挿入される。
【0027】
ポンプロッド22の軸心には、ポンプロッド22の全長にわたって油路(通路)22bが軸方向に穿設される。油路22bはリザーバ室12dに油路12fを介して接続される。油路22bにはワンウェイバルブ(逆止弁)22cが配置される。
【0028】
図2に良く示すようにワンウェイバルブ22cもバルブ体22c1とスプリング22c2を備え、作動油が油路22bからインナースリーブ16の中空凹部16cに向かう方向にのみ流れるのを許容する。
【0029】
従って、リザーバ室12dに貯留する作動油は油路12fを介して油路22bに流れ、ワンウェイバルブ22cを通ってインナースリーブ16の中空凹部16cから細孔16dに流れ、ワンウェイバルブ16fを通ってグルーブ16eに流れ、グルーブ16eから第1油室12aに流れる。次いで作動油は第1油室12aから第2油室12bに流れ、オリフィス12b1を通って第3油室12cに流れる。
【0030】
ポンプロッド22の油路22bにおいてワンウェイバルブ22cには、バルブ保持スプリング22d(図2のみ示す)が接続される。バルブ保持スプリング22dは、シリンダ12に対してピストン14が上下動するポンピング動作のときの衝撃入力を緩和させる。
【0031】
図1などに良く示す如く、ポンプロッド22の外周にはグルーブ(溝)22eが軸方向に穿設される。グルーブ22eは所定の軸方向長さを備えると共に、図5に良く示す如く、オリフィス(孔)22fが、グルーブ22eの軸方向長さの間の任意の位置、より具体的にはグルーブ22eのボトム端22aに近い側の端部の付近において径方向に角度(90度程度)を相違させて穿設される。
【0032】
他方、ポンプロッド22を収容するインナースリーブ16の先端16bの側は、図4に示す如く、半円(180度)部を径方向に切断した2段の形状を呈し、長短2つの軸端位置16b1,16b2を有するように構成される。
【0033】
尚、図2に示す如く、ピストンロッド14bとインナースリーブ16はOリング14b1で液密にシールされると共に、ポンプロッド22にはOリング22gが嵌められてインナースリーブ16との間が液密にシールされる。
【0034】
以上説明したように、ポンプロッド22はインナースリーブ16に液密に収容されることから、インナースリーブ16の先端16bの軸端位置16b1あるいは16b2がオリフィス22fを軸方向においてボトム端22aの方向に超える限り、オリフィス22fはインナースリーブ16の軸端位置16b1あるいは16b2によって閉塞され、作動油がオリフィス22fを通って第1、第2油室12a,12bに流れるのが阻止される。
【0035】
このように、インナースリーブ16の先端16bには、軸方向において異なる少なくとも2つの位置でポンプロッド22のオリフィス22fを閉塞可能な長短2つの軸端位置(閉塞部位)16b1,16b2が形成される。
【0036】
ダンパ装置10においてピストンロッド14bは車両の車体側に連結されると共に、シリンダ12はブッシュ12gを介して懸架装置のバネ下部材に連結され、路面あるいは車両の加減速に起因する外力によるシリンダ12に対するピストン14の変位に対する反力を減衰させ、懸架装置のバネの振動を減衰させる。
【0037】
次いで図6を参照してダンパ装置10の車高調整動作を説明する。同図(a)は車両に乗員あるいは貨物が積載されない空車時、(b)は積載された積載時で車高が低く設定された場合、(c)は同様に積載時で車高が高く設定された場合を示す。
【0038】
図6(b)に示すように、ダンパ装置10の延び側の工程において、路面あるいは車両の加減速に起因する外力によってシリンダ12に対してピストン14が往復動(変位)すると、作動油がリザーバ室12dから油路12fを通り、ポンプロッド22の油路22bを流れ、インナースリーブ16の中空凹部16cに到達する。
【0039】
続いて、図6(c)に示すダンパ装置10の縮み側の工程において、インナースリーブ16の中空凹部16cの作動油はワンウェイバルブ16fを通って細孔16d、グルーブ16eを流れ、第1油室12a、次いで第2油室12bに流入し、更にオリフィス12b1を通じて最終的に第3油室12cに流入する。これにより、インナースリーブ16の油量が減少する。
【0040】
このように往復運動を繰り返すことで、リザーバ室12dから作動油が第1、第2、第3油室12a,12b,12cに供給され、ダイアフラム12c2の内部の高圧ガス12c1を圧縮する。これにより、ダイアフラム12c2の内圧が増加するため、ピストン14をシリンダ12の外方に押し出そうとする力が増加し、ダンパ装置10を全体として伸張させる。
【0041】
この状態は、インナースリーブ16の軸端位置16b1あるいは16b2がオリフィス22fをボトム端22a側に越え、オリフィス22fがインナースリーブ16によって閉塞される間、継続する。
【0042】
他方、オリフィス22fがインナースリーブ16の軸端位置16b1あるいは16b2を軸方向においてボトム端22a側に越えると、オリフィス22fが開放され、作動油がオリフィス22fを通って直ちにリザーバ室12dに流れる結果、ピストンロッド14bのポンプロッド22に対する変位、換言すれば車高調整は終了し、ダンパ装置10はそのときの高さに保持される。
【0043】
このことは、インナースリーブ16の長短2つの軸端位置16b1,16b2で選択可能とすることで、ダンパ装置10の高さを選択された位置に相応する高さに調整できることを意味する。
【0044】
従って、この実施例においてはアクチュエータ20をインナースリーブ16に連結し、図7に示す如く、インナースリーブ16をピストンロッド14bに対して長短2つの軸端位置16b1,16b2のいずれかに相応する角度に回転させる如く構成した。
【0045】
図7(a)はインナースリーブ16の回転角を0度(回転させない)、(b)は180度(半回転させた)としたときの説明図である。図7から明らかな如く、インナースリーブ16を180度回転させた場合、回転させない場合に比し、オリフィス22fをボトム端22aにより近い位置、換言すればピストンロッド14bがシリンダ12に対してより長く延長させる位置まで閉塞することができる。
【0046】
図1に示す如く、アクチュエータ20はバッテリ(車両搭載電源)24に接続されると共に、その通電路にはスイッチ26が設けられる。スイッチ26は、マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)30によって開閉される。
【0047】
また、車両の運転席の適宜位置には運転者によって操作可能であり、高低2種のいずれかからなる目標車高を指示可能なノブ32が設けられると共に、懸架装置のバネの付近にはストロークセンサ34が配置され、車体のストローク、即ち、懸架装置のバネの伸縮による車両の上下動に比例した出力を生じる。
【0048】
ノブ32とストロークセンサ34の出力はECU30に入力される。ECU30は、ストロークセンサ34の出力から支障ないと判断されるとき、ノブ32を介して入力された運転者の指示する目標車高となるようにアクチュエータ20の作動を決定し、スイッチ26を開閉する。
【0049】
この実施例に係るダンパ装置10は上記のように構成したので、ダンパ装置10に作用する外力に対する反力を減衰できると共に、ピストン14をシリンダ12に対して2つの軸端位置(閉塞部位)16b1,16b2のいずれかに相応する所望の位置に保持させることができ、車両の懸架装置のバネの間に配置されるとき、バネの振動を減衰しつつ、車高を2つの軸端位置のいずれかに相応する高さに調整することができる。
【0050】
また、構成が簡易となり、ホイルハウスなどの限られた空間に配置する場合にもレイアウトが容易となると共に、ポンピング動作を不要に長引かせることがない。
【実施例2】
【0051】
図8は、この発明の第2実施例に係るダンパ装置のインナースリーブを示す、図4に部分的に類似する、インナースリーブ16の先端16bの斜視図である。
【0052】
第1実施例に相違する点に焦点をおいて説明すると、第2実施例に係るダンパ装置にあっては、インナースリーブ16の先端16bは、図示の如く、軸方向において3段の形状を呈し、長短2つの軸端位置16b1,16b2に加え、中間の軸端位置16b3を含む3つの位置を有するように構成される。
【0053】
このように第2実施例に係るダンパ装置10にあっては、ピストン位置保持手段が、インナースリーブ16の先端16b側に形成された、軸方向において異なる2つの位置でオリフィス22fを閉塞可能な長短2つ軸端位置(閉塞部位)16b1,16b2に加え、中間の3つ目の軸端位置(閉塞部位)16b3を有する如く構成したので、車高を3つの軸端位置16b1,16b2,16b3のいずれかに相応する高さに調整することができる。その結果、運転者の指示(意図)に一層良く沿うことが可能となる。尚、残余の構成および効果は第1実施例と異ならない。
【実施例3】
【0054】
図9は、この発明の第3実施例に係るダンパ装置のインナースリーブを示す、図4に部分的に類似する、インナースリーブ16の先端16bの斜視図である。
【0055】
第1実施例に相違する点に焦点をおいて説明すると、第3実施例に係るダンパ装置にあっては、インナースリーブ16の先端16bは、図示の如く、軸方向において連続的に変化する形状を呈し、長短2つの軸端位置16b1,16b2に加え、その間は滑らかに連続させられ、その間で任意の中間位置を有するように構成される。
【0056】
第3実施例に係るダンパ装置10にあっては、ピストン位置保持手段が、インナースリーブ16の先端16b側に形成された、軸方向において異なる位置でオリフィス22fを閉塞可能な長短2つの軸端位置(閉塞部位)16b1,16b2に加え、その中間の任意の軸端位置(閉塞部位)を有する如く構成したので、車高を2つの軸端位置16b1,16b2とその間の任意の軸端位置(閉塞部位)のいずれかに相応する高さに精密に調整することができ、その結果運転者の指示(意図)に尚一層良く沿うことが可能となる。尚、残余の構成および効果は第1実施例と異ならない。
【0057】
このように、第1から第3実施例にあっては、リザーバ室12dに接続される作動油(作動液)が封入されたシリンダ12の内部をピストン14で第1油室12a、第2油室12b(2つの室)に区画し、作動油を第1油室12a、第2油室12b(2つの室)の一方から他方に流通させ、外力によるシリンダ12に対するピストン14の変位に対する反力を減衰させるダンパ装置10において、一端がピストン14に連結され、他端がシリンダ12の外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッド14bと、円筒形を呈すると共に、ピストンロッド14bの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブ16と、一端(ボトム端)22aがシリンダ12のボトム12eに固定され、他端がインナースリーブ16の内部に先端側から挿入されると共に、その内部に油路(通路)22bが穿設されたポンプロッド22と、ピストン14の変位によるピストンロッド14bのストロークに応じてポンプロッド22とインナースリーブ16が相対変位するとき、作動油をリザーバ室12dから少なくともポンプロッド22の油路22bを介して第1油室12a、第2油室12b(2つの室)のいずれかに流通させ、シリンダ12に対してピストン14をポンピング動作させるポンプ手段(ワンウェイバルブ16f,22c、細孔16d、グルーブ16e、オリフィス12b1)と、ピストンロッド14bのストロークの途中でポンプ手段によって流通させられる作動油をリザーバ室12dに排出させ、よってピストン14をシリンダ12に対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、ピストン位置保持手段が、ポンプロッド22の通路に穿設されると共に、リザーバ室12dに接続されるオリフィス22fと、インナースリーブ16の先端16b側に形成された、軸方向において異なる少なくとも2つの位置16b1,16b2でオリフィス22fを閉塞可能な閉塞部位と、より具体的には軸方向において異なる少なくとも2つの位置16b1,16b2とその中間の位置16b3を含む任意の位置でオリフィス22fを閉塞可能な閉塞部位と、インナースリーブ16に連結され、ピストンロッド14bに対してインナースリーブ16を閉塞部位に相応する角度(0度あるいは180度)に回転させるアクチュエータ20とからなる如く構成した。
【0058】
これにより、ダンパ装置10に作用する外力に対する反力を減衰できると共に、ピストン14をシリンダ12に対して2つの軸端位置16b1,16b2とその間の位置のいずれかからなる所望の位置に保持させることができる。
【0059】
従って、車両の懸架装置のバネの間に配置されるとき、バネの振動を減衰できると共に、車高を所望の高さに調整することができる。また、その調整を運転者の指示(意図)に応じて行うことが可能となる。
【0060】
また、雄ねじ部材が移動する距離に相当するスペースがピストンロッドで不要となることから、構成が簡易となり、ホイルハウスなどの限られた空間に配置する場合にもレイアウトが容易となる。
【0061】
また、ポンプロッド22には第1油室12a、第2油室12b、第3油室12cのいずれかに接続される所定の軸方向長さのグルーブ22eが穿設されると共に、オリフィス22fは、グルーブ22eの所定の軸方向長さの間の任意の位置において径方向に角度を(例えば90度程度)相違させつつ、ポンプロッド22に穿設される如く構成したので、ポンピング動作において作動油をリザーバ室12dから少なくともポンプロッド22の油路22bを介して第1油室12a、第2油室12b、第3油室12cのいずれかに流通させるとき、グルーブ22eを介して直ちに第1油室12a、第2油室12b、第3油室12cのいずれかに流通させることができ、ポンピング動作を不要に長引かせることがない。
【実施例4】
【0062】
図10はこの発明の第4実施例に係るダンパ装置を模式的に示す全体図、図11は、図10の破線X,Y,Zで区画される部位の拡大図である。
【0063】
第1から第3実施例において、ポンピング動作によりピストンロッド14bを押し上げる方向にダンパ装置10の高さを調整、即ち、積載荷重などで下がった車高を所望(所期)の高さに戻す方向に調整する場合を説明したが、同様のことはポンピング動作によりピストンロッド14bを押し下げて車高を下げる方向に調整する場合にも妥当する。
【0064】
第4実施例はそのようなポンピング動作によりピストンロッド14bを押し下げる構成を備えたダンパ装置に関し、その意図からピストン位置保持手段としてオリフィス22fとインナースリーブ16の先端(閉塞部位)16bに加え、インナースリーブ16の内周面に形成された少なくとも1つの第1の溝部16hと、ポンプロッド22の外周面に軸方向において異なる位置に形成された少なくとも2つの第2の溝部22hとを備えると共に、アクチュエータ20は、ピストンロッド14に対してインナースリーブ16を第1の溝部16hがポンプロッド14に形成された第2の溝部22hとの間で径方向に間隙を生じさせる角度に回転させる如く構成した。
【0065】
尚、第4実施例に係るダンパ装置10は、第1油室12aとポンプロッド22の油路22bはフリーピストン室40に接続される。フリーピストン室40にはフリーピストン40aが摺動自在に配置されてフリーピストン室40を図10において2つの室40a1,40a2に区画する。
【0066】
第1油室12aとポンプロッド22の油路22bは、その一方の40a1に接続される。第1油室12aと室40a1を接続する接続路には電磁ソレノイドバルブ42が配置される。さらに、第1油室12aは第2のフリーピストン室44にも接続される。第2のフリーピストン室44にもフリーピストン44aが摺動自在に配置される。
【0067】
即ち、第4実施例に係るダンパ装置は、高圧ガスに代えてフリーピストン室40と電磁ソレノイドバルブ42からなるリザーバ室を備えると共に、ピストン位置保持手段としてオリフィス22fとインナースリーブ16の先端(閉塞部位)16bに加え、第1、第2の溝部16h、22hを備えるように構成される。尚、残余の構成は第1実施例と異ならない。
【0068】
図10(a)は走行前で電磁ソレノイドバルブ42が開放されると共に、車高が比較的高い状態、(b)は走行中(ポンピング後)で電磁ソレノイドバルブが閉鎖されると共に、アクチュエータ20を回転させて車高を低下させた状態、(c)も走行中(ポンピング後)で電磁ソレノイドバルブが閉鎖されると共に、アクチュエータ20を回転させて車高をさらに低下させた状態を示す。
【0069】
これにより、図10を拡大した図11の(b)(c)に示す如く、第1の溝部16hと第2の溝部22hの位置関係が変化するため、作動油の開放位置が変化し、車両の下げ幅を調整することができる。
【0070】
このように、第4実施例にあっては、リザーバ室(フリーピストン室40、電磁ソレノイドバルブ42)に接続される作動油(作動液)が封入されたシリンダ12の内部をピストン14で2つの室(第1油室12a、第2油室12b)に区画し、作動油を2つの室の一方から他方に流通させ、外力によるシリンダ12に対するピストン14の変位に対する反力を減衰させるダンパ装置10において、一端がピストン14に連結され、他端がシリンダ12の外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッド14bと、円筒形を呈すると共に、ピストンロッド14bの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブ16と、一端がシリンダ12のボトム12eに固定され、他端がインナースリーブ16の内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路(油路)22bが穿設されたポンプロッド22と、ピストン14の変位によるピストンロッド14bのストロークに応じてポンプロッド22とインナースリーブ16が相対変位するとき、作動油をリザーバ室から少なくともポンプロッド22の通路22bを介して2つの室のいずれかに流通させ、シリンダ12に対してピストン14をポンピング動作させるポンプ手段と、ピストンロッド14bのストロークの途中でポンプ手段によって流通させられる作動油をリザーバ室に排出させ、よってピストン14をシリンダ12に対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、ピストン位置保持手段が、ポンプロッド22の通路に穿設されると共に、リザーバ室に接続されるオリフィス22fと、インナースリーブ16の先端側に形成されたオリフィス22fを閉塞可能な閉塞部位(先端16b)と、前記インナースリーブ16の内周面に形成された少なくとも1つの第1の溝部16hと、ポンプロッド22の外周面に軸方向において異なる位置に形成された少なくとも2つの第2の溝部22hと、インナースリーブ16に連結され、ピストンロッド14bに対してインナースリーブ16を第1の溝部16hがポンプロッド22に形成された第2の溝部22hとの間で径方向に間隙を生じさせる角度に回転させるアクチュエータ20とからなる如く構成した。
【0071】
これにより、従前の実施例と同様、外力に対する反力を減衰できると共に、ピストン14をシリンダ12に対して特に縮小方向の所望の位置に保持させることができる。従って、例えば車両の懸架装置のバネの間に配置されるとき、バネの振動を減衰させると共に、車高を所望の高さに低下させる(調整する)ことができる。
【0072】
また、上記においてダンパ装置10を車両の後輪側の懸架装置のバネの間に配置される構成で説明したが、本発明に係るダンパ装置は前輪側に配置されても良く、さらには車両用に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 ダンパ装置、12 シリンダ、12a 第1油室(室)、12b 第2油室(室)、12c 第3油室、12d リザーバ室、12f 油路、14 ピストン、14a 連通路、14b ピストンロッド、16 インナースリーブ、16a 突出部位、16b 先端、16b1,16b2 軸端位置、16c 中空凹部、16d 細孔、16e グルーブ、16f ワンウェイバルブ、20 アクチュエータ、22 ポンプロッド、22a ボトム端、22b 油路(通路)、22c ワンウェイバルブ、22e グルーブ、22f オリフィス、24 バッテリ、26 スイッチ、30 電子制御ユニット(ECU)、32 ノブ、34 ストロークセンサ、40,44 フリーピストン室,40a,44a フリーピストン、42 電磁ソレノイドバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバ室に接続される作動液が封入されたシリンダの内部をピストンで2つの室に区画し、作動液を前記2つの室の一方から他方に流通させ、外力による前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対する反力を減衰させるダンパ装置において、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッドと、円筒形を呈すると共に、前記ピストンロッドの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブと、一端が前記シリンダのボトムに固定され、他端が前記インナースリーブの内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路が穿設されたポンプロッドと、前記ピストンの変位による前記ピストンロッドのストロークに応じて前記ポンプロッドと前記インナースリーブが相対変位するとき、作動液を前記リザーバ室から少なくとも前記ポンプロッドの通路を介して前記2つの室のいずれかに流通させ、前記シリンダに対して前記ピストンをポンピング動作させるポンプ手段と、前記ピストンロッドのストロークの途中で前記ポンプ手段によって流通させられる作動液を前記リザーバ室に排出させ、よって前記ピストンを前記シリンダに対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、前記ピストン位置保持手段が、前記ポンプロッドの通路に穿設されると共に、前記リザーバ室に接続されるオリフィスと、前記インナースリーブの先端側に形成された、軸方向において異なる少なくとも2つの位置で前記オリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、前記インナースリーブに連結され、前記ピストンロッドに対して前記インナースリーブを前記閉塞部位に相応する角度に回転させるアクチュエータとからなることを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記ポンプロッドには前記2つの室のいずれかに接続される所定の軸方向長さのグルーブが穿設されると共に、前記オリフィスは、前記グルーブの所定の軸方向長さの間の任意の位置において径方向に角度を相違させつつ、前記ポンプロッドに穿設されることを特徴とする請求項1記載のダンパ装置。
【請求項3】
リザーバ室に接続される作動液が封入されたシリンダの内部をピストンで2つの室に区画し、作動液を前記2つの室の一方から他方に流通させ、外力による前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対する反力を減衰させるダンパ装置において、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延長されると共に、軸方向に中空凹部が穿設されたピストンロッドと、円筒形を呈すると共に、前記ピストンロッドの中空凹部に回転可能に収容されるインナースリーブと、一端が前記シリンダのボトムに固定され、他端が前記インナースリーブの内部に先端側から挿入されると共に、その内部に通路が穿設されたポンプロッドと、前記ピストンの変位による前記ピストンロッドのストロークに応じて前記ポンプロッドと前記インナースリーブが相対変位するとき、作動液を前記リザーバ室から少なくとも前記ポンプロッドの通路を介して前記2つの室のいずれかに流通させ、前記シリンダに対して前記ピストンをポンピング動作させるポンプ手段と、前記ピストンロッドのストロークの途中で前記ポンプ手段によって流通させられる作動液を前記リザーバ室に排出させ、よって前記ピストンを前記シリンダに対して所望の位置に保持させるピストン位置保持手段とを備えると共に、前記ピストン位置保持手段が、前記ポンプロッドの通路に穿設されると共に、前記リザーバ室に接続されるオリフィスと、前記インナースリーブの先端側に形成された前記オリフィスを閉塞可能な閉塞部位と、前記インナースリーブの内周面に形成された少なくとも1つの第1の溝部と、前記ポンプロッドの外周面に軸方向において異なる位置に形成された少なくとも2つの第2の溝部と、前記インナースリーブに連結され、前記ピストンロッドに対して前記インナースリーブを前記第1の溝部が前記ポンプロッドに形成された第2の溝部との間で径方向に間隙を生じさせる角度に回転させるアクチュエータとからなることを特徴とするダンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−255732(P2010−255732A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105876(P2009−105876)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】