説明

チアシード及びマカを含む健康補助食品、飼料、薬学組成物並びにその製造方法

【課題】チアシード(chia seed)とマカ(maca)を含む健康補助食品、食品添加剤、飼料、飼料添加剤、薬学組成物、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の健康補助食品などは、植物に由来するチアシード、マカ、その粉末又は抽出物を主成分として含有し、必要に応じてゲルマニウム、セレニウム、又は食餌亜鉛がさらに添加でき、生物学及び生化学的側面で体重減量や、疲労回復、持久力の増進、血液循環の改善、コレステロールの減少、炎症の減少、免疫力の増大、性ホルモンの増大、皮膚美容、宿酔除去、ニコチン除去、口臭除去、体臭除去、強壮、又は不妊の改善などといった腸機能、性機能又は肝機能障害の予防及び改善に卓越した効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアシード(chia seed)とマカ(maca)を含む健康補助食品、食品添加剤、飼料、飼料添加剤、薬学組成物、及びその製造方法に関するもので、前記健康補助食品等は、体重減量や、性機能、腸機能又は肝機能の改善、男性ホルモン分泌量の増加、持久力の増進などに有意的に卓越した効果を示す。
【背景技術】
【0002】
現代人は、健康食品への関心が高く、食品の選好傾向が高級化、多様化及び西欧化しつつある。特に、健康の増進に関連して、西欧式食生活及び職場における過度な業務ストレスにより各種成人病、例えば肝疾患、免役疾患、運動機能障害、腎臓機能障害などに晒されており、特に、神経系、内分泌系及心血管疾患ばかりではなく、精力及び性機能の障害まで伴う傾向を示している。
【0003】
一般に、持久力は、血中ヘモグロビン濃度や筋肉ミトコンドリアの代謝活性、血管拡張及び心筋代謝の活性化などが関与するが、通常、筋肉内無機リン酸や乳酸などの疲労物質の蓄積抑制、ATP、リン酸クレアチン(creatine phosphate)などのエネルギー代謝物質の速い再生によって筋収縮力を回復させることにより増進させることができると知られている。また、男性の性機能とは、性的欲求、陰茎の勃起、射精及び極致感などを包括する広義の概念であるが、神経系、内分泌系及び心血管系などの異常は、インポテンツの原因となり、性欲減退、勃起不全、射精障害、勃起解消障害、オルガズム障害などをもたらす。特に、現代人の一般な高脂肪食は、生体内コレステロールの含量を高め、これにより心血管の障害と肝機能の障害による身体全体の異常を招き、ストレスと共に性機能障害を起こす代表的な原因になってきた。このような高脂肪食は、前記性機能障害に止まらず、日常生活における持久力の減退につながるという点で、問題の深刻性が大きいといえる。
【0004】
統計によれば、成人男性の約20〜60%が性機能障害を訴えており、年齢増加に伴って発病率も増加する趨勢を示している。このような性機能障害は、僅か10年前までは大部分が成人病に起因するものとされたが、現代医学の発達に伴い、性機能障害患者の約50%程度が性機能障害を血管系、神経系及び内分泌系疾患、糖尿病、高血圧、薬物服用などの原因に帰するものと報告されている。
【0005】
現在、陰茎勃起の生理現象については、陰茎海綿体の弛緩作用に影響を及ぼす物質に関する研究が盛んに行われているが、例えば、パパベリン、フェントルアミン及びプロスタグランジンE1などが海綿体注射療法に臨床的に使われている。パパベリンはアヘンアルカロイド尿管及び血管の平滑筋を弛緩させ、フェントルアミンはアドレナリン性抑制剤である。ところが、これらの物質は疼痛、勃起持続症、陰茎海綿体線維化などの副作用によりその使用が制限的である。経口薬剤としてトラゾドン、ヨヒンビンなどが知られているが、これらはその薬理メカニズムが不分明であるという限界がある。ホスホジエステラーゼ5型抑制剤としてのシルデナフィル(sildenafil)があるが、これは勃起が一時的で価格が高く、頭痛、血圧増加、心臓故障障害などを引き起こす。よって、人体本来の勃起機能を強化させる、安全かつ有効な性機能障害改善剤が切実に要求されている。最近、陰茎海綿体平滑筋細胞のNO(nitric oxide)及びcGMPの生成及び活性を増加させて海綿体に強い弛緩作用を示す性機能障害治療剤の開発に関心が集まっている。
【0006】
伝統的な医学方法に基づいた滋養強壮剤を用いて性機能障害を治療する生薬複合剤の処方が紹介されているが、実際、薬理メカニズムに関する医学的研究は行われていない。それぞれの生薬に含有された単一成分を分離して薬学組成物に剤形化しているが、性機能や持久力の改善に関する薬理的研究は未だ大きく不足している実情である。現在まで持久力の強化に役立つと知られている天然物質としては、小麦胚芽油、糠油、砂糖黍などが挙げられる。その他に、リンゴ及びブドウの果皮に極小量存在するオクタコサノール(octacosanol)は、持久力の増進や血中コレステロールの調節、心肺機能及び新陳代謝の活性化などの効能、及び筋肉と肝に蓄えるグリコーゲン(glycogen)を調節する効果を持っていることが報告された。また、シトルリン(citrulline)は、NO(nitric oxide)の生成を刺激して血管を拡張させることにより、男性の性器に血流を増進させるものと知られている。それだけでなく、紅参を含む高麗人参は、ヒドロキシラジカル(hydroxy radical)消去能と強い抗酸化力を持っており、性機能の向上及び勃起力の改善に利用すると報告されている。このため、これらの物質に関する研究が盛んに行われている。一連の研究が行われてはいるが、天然物質に対してバイアグラと同等の効果を期待するのは未だ早い。更に、患者の疾患による苦痛だけでなく、医療費の負担も日増しに増加する趨勢にある。よって、臨床分野に全般的に活用することが可能な性機能障害改善及び持久力改善物質の開発が切実に要請されている。
【0007】
ひいては、このような効能は人だけでなく、家畜などの動物も必要とする要素であるから、前記効能を有する物質を含有する飼料又は飼料添加剤に対する要求も増大しつつある。
【0008】
性機能の改善、持久力の増進について特許出願された事例は、韓国漢医学研究院で山参培養根を鶏に給与して得られた機能性卵及び前記卵による持久力の増強(特許文献1)、紅参とウコギのミクロコクシン(micrococcin)による持久力の改善(特許文献2)、グルタミンペプチド(glutamine peptide)とクロレラ成長因子(chlorella growth factor)による持久力の増強効果(特許文献3)、プロポリス抽出物粉末による持久力の増強/改善(特許文献4)、オクタコサノールによる持久力の増進効果(特許文献5)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許出願第2005−0115891号明細書
【特許文献2】韓国特許出願第1997−0024211号明細書
【特許文献3】韓国特許出願第1998−0040319号明細書
【特許文献4】韓国特許第10−0329010号明細書
【特許文献5】韓国特許第10−0329011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、チアシード(chia seed)とマカ(maca)の混合組成物が様々な面で人体及び家畜の健康を増進させるということに基づいて案出されたもので、その目的は、チアシードとマカを主成分として含む健康補助食品又は食品添加剤を提供することにある。
【0011】
本発明のその他の目的は、前記チアシード及びマカを主成分として含む飼料又は飼料添加剤を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、前記チアシード及びマカを主成分として含む薬学組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、前記チアシード及びマカを主成分として含む健康補助食品、食品添加剤、飼料、飼料添加剤又は薬学組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の健康補助食品、食品添加剤、飼料又は飼料添加剤は、チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を含むことを特徴とする。
【0015】
前記チアシード及びマカは、それぞれそれ自体を用いるか、粉末化又は抽出して用いることができるが、例えば、水、エタノール、及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物であることが好ましい。
【0016】
また、前記健康補助食品、食品添加剤、飼料又は飼料添加剤はゲルマニウム、セレニウム、食餌亜鉛及びその混合物よりなる群から選ばれたミネラルをさらに含んでもよい。
【0017】
前記ミネラルの含量はチアシード100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0018】
また、前記ミネラルは、必ずしもこれに限定されるものではないが、水、低級アルコール、酢酸エチル、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物であることが好ましい。
【0019】
また、本発明で提供するものが食品添加剤又は飼料添加剤の場合、その食品添加剤又は飼料添加剤は食品又は飼料中に0.001〜5重量%で含有されることが好ましく、0.5〜2.5重量%で含有されることがより好ましい。
【0020】
一方、本発明の薬学組成物は、チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物を有効成分として含有する、性機能、腸機能又は肝機能改善用薬学組成物であってもよい。
【0021】
この際、有効成分として含有される前記抽出物の含量は、患者の性別、年齢、疾病の重症度、疾病の具体的な種類などによって適切に決定でき、例えば、薬学組成物の全体重量に対して0.001〜80重量%、好ましくは0.01〜50重量%で含有できる。
【0022】
一方、本発明の健康補助食品、食品添加剤、飼料、飼料添加剤又は薬学組成物を製造する方法は、特に制限はあるのではないが、一例を挙げると、次の工程を含む方法によって製造できる:
(A)チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を、水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒500〜7000重量部と混合する工程、
(B)前記チアシード、マカ及び溶媒の混合物を30〜60℃で2〜6時間加熱して抽出する工程、及び
(C)前記抽出液を濾過及び乾燥させる工程。
【0023】
また、前記の製造方法は、工程(A)の前に、(D)前記チアシード及びマカを平均粒径0.3〜2μmのサイズに粉砕する工程をさらに含んでもよい。
【0024】
また、前記薬学組成物は、薬学的に通常許容される賦形剤、補助剤、希釈剤、等張化剤、保存剤、滑沢剤、及び溶解補助剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。
【0025】
また、前記薬学組成物は、バイアグラ、ベビトラ、シアリス、ヘビードラッグ、ザイデナ、緑茶、核酸含有複合体、藻類由来の生理活性物質、平茸抽出液、シバイサン抽出物、ミクロコクシン及びその混合物よりなる群から選ばれた成分をさらに含んでもよい。
【0026】
一方、前記薬学組成物は、性機能、腸機能又は肝機能改善用の他に皮膚細胞活性化用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は宿酔除去用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物はニコチン除去用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は口臭及び体臭除去用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は勃起不全治療用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は不妊改善用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は体重減量用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は疲労回復用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は持久力増進用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は血液循環改善用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物はコレステロール減少用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は炎症減少用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は免役力増大用薬学組成物であってもよい。
また、前記薬学組成物は性ホルモン増大用薬学組成物であってもよい。
【0027】
また、前記健康補助食品又は食品添加剤は腸機能、性機能又は肝機能改善用補助食品又は食品添加剤であってもよい。
【0028】
また、前記健康補助食品又は食品添加剤は、体重減量、疲労回復、持久力の増進、血液循環の改善、コレステロールの減少、炎症の減少、免疫力の増大、性ホルモンの増大、皮膚美容、宿酔除去、ニコチン除去、口臭除去、体臭除去、強壮、又は不妊改善用健康補助食品又は食品添加剤であってもよい。
【0029】
また、前記飼料又は飼料添加剤は、腸機能、性機能又は肝機能改善用飼料又は飼料添加剤であってもよい。
【0030】
また、前記飼料又は飼料添加剤は、体重減量、疲労回復、持久力の増進、血液循環の改善、コレステロールの減少、炎症の減少、免疫力の増大、性ホルモンの増大、皮膚美容、口臭除去、体臭除去、強壮、又は不妊改善用飼料又は飼料添加剤であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の健康補助食品などを構成するチアシードは、食物繊維、オメガ−3脂肪酸を始めとした植物性脂肪、アミノ酸、及びミネラル成分に富み、コレステロールがなくて耐久力などの体力増進、健康及び美容の改善、ひいてはダイエットに優れた効能を持つ食品ではあるが、長期服用の際に体重減量による無気力症と疲労度の増加、下痢などの副作用も示す問題点があった。本発明者らは、前記チアシードにマカを添加して混合することにより、チアシードの効能は維持しながら前記問題点を解決するうえ、追加の効能も発揮することができることを確認した。
【0032】
すなわち、本発明の健康補助食品、食品添加剤、飼料、飼料添加剤又は薬学組成物は、植物に由来するチアシード、マカ、その粉末又は抽出物を主成分として含有し、必要に応じてゲルマニウム、セレニウム又は食餌亜鉛がさらに添加でき、生物学及び生化学的側面で体重減量、疲労回復、持久力の増進、血液循環の改善、コレステロールの減少、炎症の減少、免疫力の増大、性ホルモンの増大、皮膚美容、宿酔除去、ニコチン除去、口臭除去、体臭除去、強壮、又は不妊改善などの腸機能、性機能又は肝機能障害の予防及び改善に卓越した効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】チアシードとマカの投与による体重変化を示すグラフである。
【図2】チアシードとマカの投与が血圧に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】水泳分析によってチアシードとマカの投与が持久力に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】野外試験場試験によってチアシードとマカの投与が運動量に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】野外試験場試験でチアシードとマカの投与がマウスの移動経路に及ぼす影響を撮影した写真である。
【図6】ロータロッド試験(Rotarod test)でチアシードとマカの投与が空間知覚能力に及ぼす影響を示すグラフである。
【図7】チアシードとマカの投与による血中アルコール濃度の変化を示すグラフである。
【図8】チアシードとマカの投与によるアルコール脱水素酵素の活性度を示すグラフである。
【図9】チアシードとマカの投与によるアルデヒド脱水素酵素の活性度を示すグラフである。
【図10】チアシードとマカの投与による全血テストステロン量を示すグラフである。
【図11】チアシードとマカの投与による尾静脈内テストステロン量を示すグラフである。
【図12】チアシードとマカの投与による全血高密度脂肪タンパク質量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を付するに際して、同一の構成要素に限っては他の図面上に表示されても出来る限り同一の符号で表されたことに留意すべきである。また、下記の説明では多くの特定の事項、例えば具体的な構成要素などが示されているが、これらは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されるものに過ぎず、これらの特定の事項なしでも本発明が実施できることは当該技術分野における通常の知識を有する者には自明である。なお、本発明を説明するにあたって、関連した公知の機能或いは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本発明者らは、肝疾患、運動機能障害、腎臓機能障害などの各種成人病を始めとして、特に老人疾患、例えば神経系、内分泌系及び心血管疾患の退行化に対する改善効果を有する天然製剤について長期間研究を行ってきた。その結果、植物由来のチアシード及びマカ、その粉末又は抽出物が生化学的、細胞生物学的及び動物行動学的実験において体重減量、性機能の改善、男性ホルモン分泌の増加、持久力の増進及び肝機能障害の抑制などの効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0036】
次に、本発明で使用されるチアシードの特徴と効能について考察する。チアシード(chia seed)はサルビア科植物(Salvia hispanica又はSalvia columbariae)の種であって、1000年前からメキシコなどの南米で耐久力、体力、健康及び美容改善のための伝統食品として使われてきた。このようなチアシードは、伝統的にメキシコ、米国南西部、南米などの地域で消費されたが、アジア又はヨーロッパー地域では広く知られていない状態である。
【0037】
チアシードは、水に入れるとゼラチン化(gelatinization)して体積が10倍に膨張するという特性があり、体内の消化液中でも膨張するため、接種により飽満感を持続させる効果があって、ダイエット食品として使われる。また、チアシードは体内への脂肪吸収を減少させて体重減量にさらに役立てる。
【0038】
チアシードは、サラダ菜、ホウレンソウ、寒天に比べて圧倒的に多い28%の食物繊維を含有している。食物繊維は、人体内で消化されないが、胃から小腸、大腸へ移動する間に、保水性、カチオン交換性、ゲル形成力、吸着性などの物理化学的性質によって他の栄養素の消化吸収に影響を与える。飲食物中の食物繊維の量が過量の場合、飲食物があまり速く消化器官を過ぎて消化及び吸収が十分に行われないおそれもあり、結果として体重が減少する可能性がある。また、水と結合して排泄されることにより、下痢や脱水などの症状が発生することもある。
【0039】
また、チアシードは、約32%が植物性脂肪からなっており、その60%以上がオメガ−3脂肪酸などのリノレン酸からなっている。このようなオメガ−3脂肪酸含有量は、他のオメガ−3脂肪酸の源泉である魚(fish)又は亜麻(flax)に比べて多い。
【0040】
また、チアシードは、グルタミン、アルギニン、アスパラギン、ロイシン、バリン、アラニンなどの18種のアミノ酸を豊富に含有し、コレステロールが全くない天然健康食品である。さらに、チアシードは、カルシウム、リン、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛及び銅などのミネラル成分も豊富に含有し、その他に天然の酸化防止剤を含有する。
【0041】
また、チアシード内の食物繊維に該当する多糖類は、各平均分子量74674、21722、8066、2038、1050の多糖類の混合物である。このような低分子量及び中間分子量の混合体は、多孔質食物繊維性外殻から構成されており、5〜40倍の多量の水を担持することができる。よって、2〜30分間放置するとジェル状態になるが、このジェルには数種の多糖類が含まれている。
【0042】
チアシードが前述のように優れた効能を有する食品ではあるが、数週以上長期服用の際に体重減量による無気力症と疲労度の増加などの副作用が発生するおそれがある。しかも、服用者の10%内外は前述したように下痢などの副作用を示すなどの問題点がある。
【0043】
本発明者らは、チアシードの効能は維持しながら前記問題点を解決するために多様な成分との組み合わせを試験したところ、マカ(maca)との混合の際に副作用がないだけでなく、追加の効能も発揮することができることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0044】
チアシードと共に本発明の必須構成要素をなすマカ(maca)は、滋養強壮と疲労回復のための生薬であって、正式学名はLepidium meyenii Walpである。野生マカは、花の模様がバラと同様であり、地中に埋められている根とその中身を乾燥させたものが食用として使われる。マカは、南米のアンデス山脈に文明を開いたインカ帝国の時代以前から、標高4000mを超える高地の過酷な気候に自生する植物である。昼間には強烈な紫外線に晒され、夜には零下に下がる気温、低い気圧及び強い風邪に晒されるなど、植物が生育し難い自然環境に自生するマカは、栄養価が高い貴重な飲食である。マカの根は、形状がジャガイモに似ており、その中身もジャガイモに似ている。中身から上方に向かって一筋の細い茎が伸びている。この茎は5cm未満であって地上に出て来ないため、天然に自生するマカを発見するには茎から伸びて地上に出てきた葉の部分を見出す他はない。マカの葉は多少萎れている様子をしている。現在、ペルーには11種のマカがある。マカは、明るい黄色、濃紫色、濁桃色、パステルピンク色などの様々なものがあり、あまり派手でない雑草のような感じである。
【0045】
アンデスの人参と言われるマカは、精力で代表される性機能を増強させるものと知られている。マカに含有されているアミノ酸のリジンとアルギニンは、生殖器官を活性化させて卵巣異常などの不妊の原因を防ぎ、女性のホルモン系統の異常を治して生理痛又は生理不順に効果があるものと報告されている。ひいては、閉経期女性の急激なホルモン減少により引き起こされる更年期症状を改善させる。
【0046】
マカは、ストレス性勃起不全に効果がある「アルカロイド」を多量含有する。また、卵子と精子の増量を促進させる男性ホルモンに関連した「ステロイド」と、陰茎動脈の血液の流れを盛んにする「デキストリン」も含有しており、その他にアントシアニン、サポニン、テルペノイドなどの活性物質を豊富に含有している。このような成分により男性の勃起不全が自然に改善されるのである。ひいては、バイアグラで代表される化学的勃起不全が激しい副作用を示すのとは対照的に、マカは同一の効能を有しながらも天然植物であって副作用がないという利点がある。
【0047】
言い換えれば、勃起不全と精力の衰退で悩む現代の男性に精子数を増加させ、精子運動性を促進する効果を提供し、女性にはエストロゲンの分泌を促進させて不妊症と更年期障害を改善する効果を提供する。ひいては、女性の性ホルモンを調節して繁殖能力を改善し、気力を良くし、免役体系を維持し、貧血、慢性疲労症候群、無気力症、閉経期症候群を改善するうえ、生理痛にも良いという多様な効能が食薬庁の食品原料に登載されている。
【0048】
前記効能を持つマカを前述のチアシードと混合服用する場合、チアシードを単独で服用するときに現れる体重減量による無気力症、疲労度の増加、下痢などの副作用が顕著に改善される結果を得ることができた。具体的には、持久力が増強され、基礎代謝率が改善され、男性ホルモンの合成を促進する。ひいては、肝機能改善などの効果を補強して勃起不全剤又は滋養強壮剤の代用で摂取する場合に現れる、疲れ易い現象と体温低下などの副作用を補完することができる。その結果、性機能の改善、持久力の増強、肝機能の改善などの効能を有する健康補助食品又は医薬組成物を提供することができる。
【0049】
前記成分は、それぞれそれ自体で摂取し、或いは粉末化して摂取することもでき、それぞれ単独で抽出して抽出物を得てこれらの抽出物を混合し、或いはまず混合してから共に抽出して用いることもできる。それとも、必要な生薬成分を添加して混合した後、共に抽出してもよい。
【0050】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
チアシード10gとマカ5gを混合して0.5μmのサイズに摩砕し、蒸留水を添加して1000mLとなるようにし、45℃の水槽に3時間重湯して抽出した後、ガーゼで濾過し、得られた濾過液を凍結乾燥させて粉末2gを得た。
【0052】
(実施例2)
実施例1と同様の過程を経るが、チアシード5gとマカ10gを使用し、凍結乾燥工程を経ないため、抽出濾過液として収得した。
【0053】
(実施例3)
実施例2と同様の過程を経るが、チアシード10gとマカ5gを使用した。
【0054】
(実施例4)
実施例2と同様の過程を経るが、チアシード100gとマカ50gを使用した。
【0055】
(実施例5)
実施例1と同様の過程を経るが、チアシード25gとマカ50gを使用した。
【0056】
(実施例6)
実施例1と同様の過程を経るが、チアシード75gとマカ50gを使用した。
【0057】
(実施例7)
実施例1と同様の過程を経るが、チアシード100gとマカ50gを使用した。
【0058】
(実施例8)
チアシード10gに、1μmのサイズに粉末化したマカ3gを混合することにより、本発明の組成物を得た。この際、チアシードはそれ自体で使用した。
【0059】
(実施例9)
チアシード50gに、0.3μmのサイズに粉末化したマカ50gを混合することにより、本発明の組成物を得た。この際、チアシードはそれ自体で使用した。
【0060】
(実施例10)
チアシード10gとマカ5gをそれぞれ0.5μmのサイズに摩砕し、蒸留水を添加して1000mLとなるようにし、45℃の水槽に3時間重湯して抽出物を得た。得られた各抽出物を混合してガーゼで濾過した後、その濾過液を凍結乾燥させて粉末2gを得た。
【0061】
(実験例)
(実験例1):マウスの飼育及び体重変化
本発明の組成物が有する肝機能及び持久力増進能力を測定するために、体重200g前後のSpragus−Dawley雄マウスを(株)オリエントバイオから購入した。実験期間中、飼育室の温度は22±2℃、湿度は50±10%に維持した。昼と夜の周期は12時間に自動調節した。各群は6匹ずつ無作為に配分し、正常群を除いた対照群と各実験群は5週間毎日25%アルコールを飲用させた。全てのマウスは3日毎に体重を測定して週当たりの体重変化を測定した。これにより、本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明した。前記実施例(実施例1)の抽出粉末を飼料に添加する場合、飼料中の抽出粉末の含量は0.5〜2.5重量%に維持した。
【0062】
アルコール及び抽出物を摂取させていない正常群の体重は5週後に380.5±13.3gであった。アルコールを摂取させるが抽出物は摂取させていない対照群は350.2±11.2g、アルコール及びチアシード抽出物を摂取させた投与群は340.2±5.2g、アルコール及びマカ抽出物を摂取させた投与群は317.1±3.1g、アルコールとチアシート及びマカの混合抽出物を摂取させた投与群は315.1±7.2gの体重を示した。よって、相対的にチアシード及び/又はマカの混合抽出物を投与した群における体重が11〜18%減少することを確認することができた(図1)。
【0063】
(実験例2):血圧の測定
過重なストレス又は飲酒は、血管内の血液速度及び心臓拍動を増加させるために、血圧が上昇する。正常群を除いた対照群と各実験群は、毎日25%アルコールを飲用させ、血圧を測定した。血圧測定は、BLOOD PRESSURE MONITORING SYSTEM(BP−2000 Series II、USA)を用いて平均血圧を記録した。正常群、対照群及び実験群の全てのSpragus−Dawley雄マウス((株)オリエントバイオ)に対して血圧を測定するとき、35℃のPREHEATING CHAMBERに20分間入れて10分間予熱させた後、マウスを固定ホルダーに入れて適正サイズのTAIL CUFF SENSORを尾に取り付け、5分間環境に適応させた後、血圧を測定した。正常的な血圧の平均値は33に固定し、4回にわたって平均値を記録した。
【0064】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の方法によって得られた抽出物を摂取した場合、血圧降下効果があるかを測定した。アルコール及び抽出物を摂取させていない正常群は73.5±2.0mmHg、アルコールを摂取させるが抽出物は摂取させていない対照群は153.6±6.8mmHg、アルコール及び血圧上昇物質としてのL−NAME(nitro-L-arginine methyl ester)(濃度1mg/mL、匹当たり1mL投与)投与群は167.8±3.9mmHg、アルコール及びチアシード投与群(チアシード10g/飼料量1kg/1day/1kg)は95.5±5.9mmHg、アルコール及びマカ投与群(マカ5g/飼料量1kg/1day/1kg)は134.8±4.6mmHg、アルコールとチアシード及びマカ同時投与群(チアシード10g+マカ5g/飼料量1kg/1day/1kg)は126.6±8.9mmHgであった(図2)。よって、チアシード及びマカ同時投与群における血圧が対照群とL−NAME投与群における血圧より多少減少する傾向を示して血圧降下効果を有するものと判断される。
【0065】
(実験例3):持久力の測定
Spragus−Dawley雄マウス((株)オリエントバイオ)にアルコール及び抽出物を摂取させていない正常群、アルコールを摂取させるが抽出物は摂取させていない対照群、ここに1重量%オクタコサノール投与群、1重量%チアシード投与群、0.5重量%マカ投与群、1重量%のチアシードと0.5重量%のマカを共に投与した群に区分し、各群あたり26日間投与した。飼料は、正常群の場合には飲用水の他に一般飼料のみを投与し、対照群の場合には25%アルコールと一般飼料のみを投与し、残りは前記開示された含量によって投与した。
【0066】
水泳実験は、透明に製作したアクリール水槽(横80cm×縦50cm×高さ90cm)に24℃に維持させた水を2/3程度まで充填し、Spragus−Dawley雄マウス((株)オリエントバイオ)の腹部に体重8〜10%に相当する錘を吊り下げて自由水泳を行わせ、マウスの頭部が水面上に10秒以上浮き上がらない時点までを測定した(Hong, S.G., J. Kor. Food Sci. Nutr. 32(7), 1076(2003))。
【0067】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の方法によって得られた抽出物から水泳実験を施した結果、正常群は306.33±6.21秒であるが、対照群は147.16±21.71秒であって正常群の約46%に減少する傾向を示した。これに対し、オクタコサノール投与群は352.66±34.69秒、チアシード投与群は355.66±34.62秒、マカ投与群は476.00±45.56秒、チアシード及びマカ同時投与群は527.83±25.57秒であって、対照群に比べてそれぞれ2.4倍、2.4倍、3.2倍、3.5倍程度持久力が増加する傾向を示した。このような水泳実験からオクタコサノール、チアシード、マカ、及びチアとマカの混合物が持久力を増加させ、特にチアシードとマカの混合物が持久力を最も多く増加させるものと判断させることができる(図3、表1)。
【0068】
【表1】

【0069】
(実験例4):運動量の測定
前記実施例3の試験群として運動量の測定を行うために、野外試験場試験(open field test)用箱(38.0cm×26.0cm×42.0cm;LETICA、SPAIN)で赤外線ビームを用いて探知し、平面移動力(horizontal activity)の測定を10分間行った。
【0070】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の方法によって得られた抽出物から前記実験を行った結果、正常群の運動量は1179.2±21.2cmであり、これに対し、対照群は30±21.2cmであって正常群より約75%に減少する傾向を示した。そして、正常群は全体平面にわたって盛んに移動したが、対照群は主に中央に集まって移動する様子を示した。これに対し、オクタコサノール投与群は240.2±12.3cm、チアシード投与群は510.1±21.3cm、マカ投与群は718±11.3cm、チアシード及びマカ同時投与群は891±17cmであった。これは対照群に比べてそれぞれ8倍、17倍、24倍、30倍程度運動量が増加したのである。このような野外試験場試験からオクタコサノール、チアシード、マカ、及びチアシードとマカの混合物は運動量を増加させ、特にチアシードとマカの混合物が運動量を最も大きく増加させるものと判断することができる(図4、図5)。
【0071】
(実験例5):空間知覚能力の測定
前記実験例3の試験群として、空間知覚能力と持久力を測定するために、ロータロッドLE8300(LETICA、SPAIN)のロータドラム(380×260×420mm)で4〜40rpmの速度にて5分間試験を行った。20秒以内に床に落ちるものは測定で排除した。
【0072】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の方法によって得られた抽出物からロータロッド(rotarod)を用いて空間知覚能力及び持久力実験を行った結果、正常群は96.83±11.42秒であるが、対照群は31.16±4.53秒であって正常群より約32%に減少する傾向を示した。これに対し、オクタコサノール投与群は98.16±11.35秒、チアシード投与群は151.50±5.08秒、マカ投与群は215.33±13.14秒、チアシード及びマカ同時投与群は240.66±39.30秒であった。これらは対照群に比べてそれぞれ3倍、5倍、7倍、8倍程度空間知覚能力及び持久力が増加したのである。このような空間知覚能力試験からオクタコサノール、チアシード、マカ、及びチアとマカの混合物は、空間知覚能力及び持久力を増加させ、中でもチアシードとマカの混合物が最も大きい効果を持つものと判断することができる(図6、表2)。
【0073】
【表2】

【0074】
(実験例6):血中アルコール濃度の測定
25%アルコールを30日間毎日投与した後、血中アルコール濃度を測定するために、前記実験例3の試験群を対象として5日間隔で午後6時に尾静脈から採血し、血中アルコール濃度測定器(アセア通商、Model No.LION SD−400)で分析した。
【0075】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の方法によって得られた抽出物から血中アルコール濃度を測定した結果、正常群は0%、対照群は0.06%であるが、オクタコサノール投与群は0.034%、チアシード投与群は0.024%、マカ投与群は0.019%、チアシード及びマカ同時投与群は0.016%であった。これは対照群に比べてそれぞれ55%、60%、69%、74%程度アルコール数値が減少するもので、このような結果は肝のアルコール分解機能を活性化させて解毒を強く促進するためのものであると判断される(図7)。
【0076】
(実験例7):アルコール分解酵素活性の測定
酒が体内に入ってくると、1次分解酵素としてのアルコール脱水素酵素(alcohol dehydrogenase)酵素によって毒性物質としてのアセトアルデヒドに変わり、この物質はさらに2次分解酵素としてのアルデヒドロ脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase)によって無毒性のアセテートに転換される。
【0077】
本発明の組成物が前記アルコール分解酵素の活性に及ぼす影響を確認するために、実験例3の試験群をクロロホルムで麻酔し、腹部を切開して肝臓を採取した。前記肝組織を10倍容積の100mMナトリウム緩衝液(pH7.4)に入れ、ホモジナイザーで均質化させ、超音波粉砕機でさらに破壊した。700Gで10分間遠心分離して核と細胞残留物を除去し、9000Gで20分間遠心分離して得た上澄液を用いて肝細胞内のアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の活性を測定した。上澄液のタンパク質濃度をBCAキットで測定して実験群間の肝組織量のバラツキを補正した。アルコール脱水素酵素の活性は1mM NAD、5μMロテノン(rotenone)(ミトコンドリアのNADPHオキシダーゼ抑制剤)、5mMエタノールを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に肝組織均質液10μLを加えて5分間培養し、340nmで吸光度を測定して得た。アルデヒド脱水素酵素の活性は1mM NAD、5μmロテノン、0.1mMピラゾール(pyrazole)(ALD抑制剤)、5mMプロパナール(propanal)、2mM 2−メルカプトエタノールを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に肝組織均質液10μLを加えて5分間培養し、340nmで吸光度を測定して得た。
【0078】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の抽出物からアルコール脱水素酵素の活性を測定した結果、正常群は13.8±1.4mmomle/min/mgタンパク質、対照群は4.7±0.7mmomle/min/mgタンパク質、オクタコサノール投与群は8.9±0.8mmomle/min/mgタンパク質、チアシード投与群は16±1.2mmomle/min/mgタンパク質、マカ投与群は14.5±1.0mmomle/min/mgタンパク質、チアシード及びマカ同時投与群は19±1.2mmomle/min/mgタンパク質であって、チアシード及びマカ同時投与群におけるアルコール脱水素酵素の活性度が最も大きく増加したことが確認された。チアシード等の投与群におけるアルコール脱水素酵素の活性度が対照群に比べて増加した理由は、前記チアシード及びマカ成分が肝によるアルコール分解を強く促進するためのものと判断される。
【0079】
また、アルデヒド酵素の活性を測定した結果、正常群は13.5±1.3mmomle/min/mgタンパク質、対照群は4.5±1.0mmomle/min/mgタンパク質、オクタコサノール投与群は9.8±1.4mmomle/min/mgタンパク質、チアシード投与群は16.5±1.2mmomle/min/mgタンパク質、マカ投与群は18.3±2.0mmomle/min/mgタンパク質、チアシード及びマカ同時投与群は19±0.8mmomle/min/mgタンパク質であって、チアシード及びマカ同時投与群の活性度が最も大きく増加したことが確認された。よって、本発明のチアシード及びマカはアルコールによる宿酔解消機能を強く保有しているものと判断される(図8、図9)。
【0080】
(実験例8):男性ホルモン及び高密度脂肪タンパク質含量の測定
実験例3の試験群を対象として25日間毎日25%アルコールを飲用させて25日後に尾静脈からの部分血液を介して酵素免役分析法(EIA:Roche、USA)でテストステロンを測定した。心臓内全血テストステロンと高密度脂肪タンパク質(high-density lipoprotein)の濃度を測定するために、EONE医療財団(Eone Reference Laboratory)に依頼した。
【0081】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の抽出物から全血テストステロン量を測定した結果、正常群は473.0±223.0ng/dL、対照群は115.1±54.1ng/dL、オクタコサノール投与群は195±62.2ng/dL、チアシード投与群は299.9±96.6ng/dL、マカ投与群は466.2±44.2ng/dL、チアシード及びマカ同時投与群は617.1±78.5ng/dLであって、チアシード及びマカ同時投与群におけるテストステロン量が最も大きく増加したものと確認された(図10)。対照群に比べて、チアシード等の投与群におけるテストステロン量が増加した理由は、前記チアシード及びマカ成分が精粗のテストステロン分泌を促進するように刺激させるためであると判断される。このようにテストステロン量が増加することにより、これら投与群の性機能が改善されることを確認することができる。
【0082】
一方、図11は尾静脈から測定したテストステロン量を示すもので、心臓内全血テストステロンと類似した傾向を示すことが分かる。
【0083】
本発明の組成物で有効成分として使用されるチアシード及びマカ(抽出物)の効果を解明するために、本発明の抽出物から高密度脂肪タンパク質の量を測定した結果、正常群は44.7±4.0mg/dL、対照群は29.1±3.8mg/dL、オクタコサノール投与群は32.5±1.5mg/dL、チアシード投与群は41.0±4.1mg/dL、マカ投与群は44.1±3.6mg/dL、チアシード及びマカ同時投与群は45.2±0.6mg/dLであった。チアシード及びマカ同時投与群でのみ正常群より高い高密度タンパク質量を示した(図12)。このような結果は、心血管内高密度脂肪タンパク質の含量増加によって内皮細胞の機能が円滑になり、血液内血小板の凝集を抑制してフィブリンの生成を阻害するので、血流量の増加を促進し、肝機能と性器の海綿体周辺平滑筋の機能が発達するにつれて勃起が強力になり、かつ勃起の持続力の増加にも大きく有益な結果を誘導するものと判断される。
【0084】
(実験例9):臨床テスト
臨床テストのために、性機能、腸機能、肝機能などに問題がある30代の喫煙男性20名を対象として、実施例8で得た組成物を1日2〜3回ずつ一ヶ月間服用した。
【0085】
その結果、摂取した人々の大部分が、チアシード単独摂取の際に一般に現れる疲れさと無気力症状を経験しなかった。むしろ大部分の場合、より活動的な気分を感じた。性機能、腸機能、持久力及び宿酔解消などが改善されるものと確認された。チアシードのみ摂取した場合より体重減少がさらに多く起こるものと確認された。また、傷が速く治る、あまり風邪を引かないなどの免疫力増大効果もあるものと確認された。具体的な改善症状をまとめると、下記表のとおりである。
【0086】
【表3】

【0087】
以上の実験から確認されるように、チアシード及びマカを同時に摂取する場合、性機能の改善、持久力の増進、並びに肝機能及び腸機能障害の改善などに卓越した薬理効果を有する。したがって、チアシード及びマカ(抽出物)を含む本発明の組成物は、健康補助飼料又は飼料だけでなく、薬学組成物として有用に使用できる。
【0088】
本発明の組成物が薬学組成物の場合、患者の性別、年齢、疾病の重症度などによってその使用量が異なるが、それに含まれるチアシード及びマカを水又は有機溶媒で抽出せず、生薬自体で使用する場合には1日1.0g〜50gの量を使用することができ、抽出物の形で使用する場合には1日10mg〜1000mgを1日1回〜数回投与することができる。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0089】
本発明の薬学組成物は、性機能の改善、持久力の増進、及び肝機能障害などの生殖代謝疾患の治療に既に効能を持つ既存のバイアグラ、ベビトラ、シアリス、ヘビードラッグ、ザイデナなどと併用して使用されてもよく、ひいては緑茶、核酸含有複合体、藻類由来の生理活性物質、平茸抽出液、シバイサン抽出物、ミクロコクシン及びその混合物よりなる群から選ばれた成分と併用して使用されてもよい。バイアグラは性器の海綿体平滑筋のNO(nitric oxide)を増加させるか血圧を上昇させるなどの副作用が報告されているが、本発明の薬学組成物を前記従来の薬物と併用すると、既存薬物の使用量を減らすことができる。よって、既存の薬物の問題点を軽減させることができる。
【0090】
本発明の薬学組成物は、薬学的に通常使用される賦形剤、補助剤、無痛化剤、等張化剤、保存剤などと混合し、薬学的に通常許容される剤形に製剤化して薬学的製剤を製造することができる。このような薬学的剤形としては注射剤、液剤、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤などを挙げることができる。
【0091】
以下、製剤実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0092】
(製剤実施例1):注射剤1
実施例1のチアシードとマカ抽出物50mgを注射用蒸留水に溶解し、0.1N水酸化ナトリウムを用いてpH約7.6に調節し、全体を2mLにした後、容量2mLのアンプルに充填し滅菌して薬鍼注射剤を製造した。
【0093】
(製剤実施例2):注射剤2
実施例2のチアシードとマカ抽出物50mgを注射用蒸留水に溶解し、0.1N水酸化ナトリウムを用いてpH約7.2に調節し、全体を2mLにした後、容量2mLのアンプルに充填し滅菌して薬鍼注射剤を製造した。
【0094】
(製剤実施例3):錠剤1
実施例1のチアシードとマカ抽出物200mg、乳糖100mg、澱粉100mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常の錠剤製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0095】
(製剤実施例4):錠剤2
実施例1のチアシードとマカ抽出物10mg、乳糖100mg、澱粉50mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常の錠剤製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0096】
(製剤実施例5):散剤
実施例5のチアシードとマカ抽出物1000mg、乳糖100mg及びステアリン酸マグネシウム2mgを混合し、内部がポリエチレンクロライドでコートされた紙包に充填しシールして散剤を製造した。
【0097】
(製剤実施例6):カプセル剤1
実施例1のチアシードとマカ抽出物500mg、乳糖50mg、澱粉50mg、タルク2mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0098】
(製剤実施例7):カプセル剤2
実施例1のチアシードとマカ抽出物400mg、乳糖100mg、澱粉93mg、タルク2mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0099】
(製剤実施例8):カプセル剤3
実施例1のチアシードとマカ抽出物200mg、スルファサラジン(sulfasalazine)20mg、乳糖100mg、澱粉100mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0100】
(製剤実施例9):カプセル剤4
実施例1のチアシードとマカ抽出物500mg、アレンドロン酸ナトリウム(alendronate sodium)50mg、乳糖100mg、澱粉50mg、タルク2mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0101】
(製剤実施例10):カプセル剤5
実施例1のチアシードとマカ抽出物500mg、アリセプト(Aricept)20mg、乳糖100mg、澱粉50mg、タルク2mg、及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0102】
(製剤実施例11):カプセル剤6
実施例1のチアシードとマカ抽出物500mg、ラロキシフェン(raloxifene)10mg、乳糖50mg、澱粉50mg、タルク2mg及びステアリン酸マグネシウムの適量を混合し、 通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0103】
(製剤実施例12):液剤
実施例1のチアシードとマカ抽出物500mg、パミドロン酸二ナトリウム(pamidronate disodium)1000mg、砂糖20g、異性化糖20g、及びレモン香の適量を精製水に加えて全体を100mLとし、通常の液剤の製造方法によって混合した後、100mLの褐色瓶に充填し滅菌させて液剤を製造した。
【0104】
以上、本発明の好適な実施例について図示及び説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されるものではなく、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の要旨を外れることなく多様な変形実施を加え得るのは勿論のことである。よって、本発明の範囲はこれらの実施例に局限されて解釈されてはならず、特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を含む、健康補助食品又は食品添加剤。
【請求項2】
前記チアシード及びマカは、水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の健康補助食品又は食品添加剤。
【請求項3】
ゲルマニウム、セレニウム、食餌亜鉛及びその混合物よりなる群から選ばれたミネラルをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の健康補助食品又は食品添加剤。
【請求項4】
前記ミネラルの含量は前記チアシード100重量部に対して0.1〜10重量部であることを特徴とする、請求項3に記載の健康補助食品又は食品添加剤。
【請求項5】
チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物を有効成分として含有する、性機能、腸機能又は肝機能改善用薬学組成物。
【請求項6】
チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を含む、飼料又は飼料添加剤。
【請求項7】
前記チアシード及びマカは水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒で抽出した抽出物であることを特徴とする、請求項6に記載の飼料又は飼料添加剤。
【請求項8】
(A)チアシード100重量部及びマカ5〜250重量部を、水、エタノール及びその混合物よりなる群から選ばれた溶媒500〜7000重量部と混合する工程と、
(B)前記チアシード、マカ及び溶媒の混合物を30〜60℃で2〜6時間加熱して抽出する工程と、
(C)前記抽出液を濾過及び乾燥させる工程とを含んでなる、健康補助食品、飼料又は薬学組成物の製造方法。
【請求項9】
前記工程(A)の前に、(D)前記チアシード及びマカを平均粒径0.3〜2μmのサイズに粉砕する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の健康補助食品、飼料又は薬学組成物の製造方法。


【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−501778(P2013−501778A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524642(P2012−524642)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005278
【国際公開番号】WO2011/019210
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512034760)
【Fターム(参考)】