説明

チアゾリジンジオン化合物の製造方法及びその製造中間体

【課題】
インスリン抵抗性に起因する疾病の優れた予防および治療作用を有するチアゾリジンジオン誘導体の結晶および高純度に製造する方法を提供する。
【解決手段】
下記式
【化1】


で表される、4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸を一般式(I)[X=ハロゲン原子]に変換後、一般式(II)[R1、R2、R3、R4=水素原子、水酸基、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ベンジルオキシ、アセトキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン原子、R5=C1−C6アルキル、R6=アミノ基の保護基]で表される化合物と反応させ、一般式(III)で表される化合物を製造した後、環化して最終物を得る、一般式(A)で表される化合物又はその塩の製造方法、及び一般式(A)で表される化合物又はその塩の結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインスリン抵抗性に起因する疾病の優れた予防および治療作用を有する高純度のチアゾリジンジオン化合物、その結晶、製造方法及び製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
チアゾリジンジオン誘導体は、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群などのインスリン抵抗性に起因する疾病やアテローム性動脈硬化症などの心血管系疾患の予防および治療作用を有する化合物として知られている(例えば、特許文献1、2、3を参照)。
【0003】
また、これらの製造法に関しては、異なる中間体を経るいくつかの方法が開示されている(特許文献1、4を参照)。例えば、特許文献4には、以下の製造法が開示されている(特開2001-72671の式の化合物番号等を一部改変。式中、R1BはC1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基などを示し、R2BはC1-C6アルキル基を示し、R3Bは水素原子又は保護基を示す)。
【0004】
【化1】

【0005】
特許文献4では、一般式(2)で表される1,2−フェニレンジアミン誘導体と化合物(3)とを縮合剤の存在下、縮合反応させると記載されている。具体的には、R1Bがメトキシ基であり、R2Bがメチル基であり、R3Bがt−ブトキシカルボニル基である一般式(4)で表される化合物の製造実施例の記載があるが、反応収率は85%とさらなる改善の余地があるものであった。また縮合剤として過剰に用いているプロピルホスホン酸環状無水物を分解するため、反応終了後、反応混合液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、抽出操作を行うなど煩雑な操作を必要としており、これらの操作が、収率及び純度の低下の原因の1つとなっている。
【0006】
一方、フェニレンジアミン化合物(例えば、上記(2))との縮合で{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸(上記(3))のハロゲン化物を用いるような製造方法は、今まで全く知られていない。理由としては、{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸と同様の1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン骨格を有する化合物をオキシ塩化リン等のハロゲン化剤で処理すると、2,4−ジクロロチアゾ−ル誘導体が生成するとの報告があることが挙げられる(例えば、非特許文献1、2を参照)。つまり、{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸に対してハロゲン化剤を反応させた場合も同様に、目的とする酸ハロゲン化物ではなく、チアゾ−ル環の環部分がハロゲン化された化合物が主に生成、もしくは副生すると考えられていたためである。
【0007】
また、ジクロロメタン等の有機塩素系溶媒は、その使い易さから研究室レベルで溶媒として汎用されている。しかし、毒性等の疑いがあるため、溶媒を大量に使用する工業的製法においては、ジクロロメタンを使用しない合成法が求められている。
【特許文献1】特開平9-95970号公報
【特許文献2】特開2001-39976号公報
【特許文献3】国際公開第00/71540号パンフレット
【特許文献4】特開2001-72671号公報
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・ケミカルソサイエティー・パーキン・トランスアクション・I[J. Chem. Soc. Perkin I](英国)1992年,p.973‐978
【非特許文献2】バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ[Bioorganic Med. Chem. Lett.](英国)第14巻,p.235‐238(2004年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬品に用いられる物質については、その不純物による予期せぬ副作用(例えば、毒性等)が生じないように、特に厳しく高い純度が求められている。さらにその工業的な製法(大量製法)においては、より簡便な操作で不純物を取り除くことが要求される。
【0009】
加えて、医薬の原体は、その品質を保持しながら長期間保管できることが重要である。保管条件が低温であることが必要な場合は、品質の保持のために大掛かりな冷蔵設備が必要となるため、室温又はそれ以上で保管できるような安定した結晶を見出すことは工業的に有意義である。
【0010】
そこで、本発明者らは、インスリン抵抗性に起因する疾病(好適には、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群であり、更に好適には、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全であり、特に好適には、糖尿病である)の優れた予防および治療作用を有する、チアゾリジンジオン誘導体を、より高品質でより高収率に、工業的により有利な操作法で、かつより環境影響も少なく製造する方法の開発を目的として鋭意研究をおこなった結果、新規合成中間体である{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸ハロゲン化物を用いる反応、及びより純度が高くかつ経時安定性の優れた合成中間体化合物を分解させることなく高い回収率で精製する新規な精製方法を見出し、それによりチアゾリジンジオン誘導体の高品質・高収率かつ工業的に有利な操作での製造方法を確立し、本発明を完成した。加えて、一連の反応がジクロロメタン等の有機塩素系溶媒を使用しない方法までも確立した。
【0011】
さらに、高純度の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の結晶が、医薬の原体として非常に優れた結晶であることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、
(1)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(2)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が98%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(3)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が99%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(4)
純度が98%以上である、下記一般式(A)
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示す。]で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(5)
純度が98%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩、
(6)
純度が99%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩、
(7)
下記一般式(I)
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物又はその塩、
(8)
Xが塩素原子である、請求項7に記載の化合物又はその塩、
(9)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩の製造方法、
(10)
Xが塩素原子である、上記(9)に記載の製造方法、
(11)
下記一般式(I)
【0020】
【化5】

【0021】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される酸ハロゲン化合物を、下記一般式(II)
【0022】
【化6】

【0023】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表されるフェニレンジアミン化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(III)
【0024】
【化7】

【0025】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の製造方法、
(12)
R3がC1−C6アルコキシ基である、上記(11)に記載の製造方法、
(13)
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを反応させることを特徴とする、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩の製造方法、
(14)
下記一般式(III)
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物の粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することを特徴とする精製方法、
(15)
有機溶媒が、アルコール系溶媒である上記(14)に記載の精製方法、
(16)
一般式(III)で表される化合物が、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩である、上記(14)又は(15)に記載の精製方法、
(17)
下記一般式(III)
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物の不純物を、有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することにより、最終物の不純物の量を2%以下にすることを特徴とする、下記一般式 (A)
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(18)
下記一般式(I)
【0032】
【化11】

【0033】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物を、下記一般式(II)
【0034】
【化12】

【0035】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより得られる下記一般式(III)
【0036】
【化13】

【0037】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物を、酸で処理することを特徴とする、下記一般式(A)
【0038】
【化14】

【0039】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(19)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【0040】
【化15】

【0041】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【0042】
【化16】

【0043】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【0044】
【化17】

【0045】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の粗結晶を得、その粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することで精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することを特徴とする、下記一般式 (A)
【0046】
【化18】

【0047】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(20)
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩である、上記(17)乃至(19)に記載の製造方法、
(21)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【0048】
【化19】

【0049】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【0050】
【化20】

【0051】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【0052】
【化21】

【0053】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物又はその塩を得、その生成物の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流し精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することにより得られる一般式(A)
【0054】
【化22】

【0055】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(22)
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオンである、上記(21)に記載のチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(23)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する医薬組成物、
(24)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(25)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(26)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物、
(27)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(28)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(29)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物、
(30)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(31)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(32)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(1)乃至(3)に記載された結晶の使用、
(33)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用、
(34)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用、
(35)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(36)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(37)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(38)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物、
(39)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物、
(40)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の組成物、
(41)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の組成物である。
【0056】

本発明において「純度」は、定量分析によって測定される値である。
【0057】
本発明において「C1−C6アルキル基」とは、炭素数1乃至6個の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチルまたは2-エチルブチル基が挙げられる。R1、R2、R3、R4及びR5において、好適にはC1−C4アルキル基が挙げられ、更に好適にはエチルまたはメチル基が挙げられ、特に好適にはメチル基が挙げられる。
【0058】
本発明において「C1−C6アルコキシ基」とは、前記C1−C6アルキル基が酸素原子に結合した基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、2-メチルブトキシ、ネオペントキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシまたは2-エチルブトキシ基が挙げられる。R1、R2、R3及びR4において、好適にはC1−C4アルコキシ基が挙げられ、更に好適にはエトキシまたはメトキシ基が挙げられ、特に好適にはメトキシ基が挙げられる。
【0059】
本発明において「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子である。R1、R2、R3、R4及びXにおいて、好適にはフッ素、塩素、または臭素原子が挙げられ、更に好適には塩素が挙げられる。
【0060】
本発明において「アミノ基の保護基」とは、通常アミノ基の保護基として用いられるものであれば特に限定はないが、例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、ベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジルまたはナフチルメチル基のようなC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシもしくはハロゲンで置換されていてもよいアリールメチル基、ベンジルオキシカルボニル、メチルベンジルオキシカルボニル、メトキシベンジルオキシカルボニル、クロロベンジルオキシカルボニル、ブロモベンジルオキシカルボニルまたはナフチルメチルオキシカルボニルのようなC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシもしくはハロゲンで置換されていてもよいアリール−メチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニルまたはメタリルオキシカルボニル基のようなアルケニルオキシカルボニル基、もしくはt-ブトキシカルボニル基のようなアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。R6において、好適にはt-ブトキシカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、p-ブロモベンジル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニル基が挙げられ、更に好適にはt-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニル基が挙げられ、特に好適にはt-ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0061】
R1は、好適には、水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には、水素原子である。
【0062】
R2は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には水素原子である。
【0063】
R3は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適にはメトキシ基である。
【0064】
R4は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には水素原子である。
【0065】
R5は、好適にはC1−C4アルキル基であり、更に好適にはC1−C2アルキル基であり、特に好適にはメチル基である。
【0066】
R6は、好適には、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル又はp-ブロモベンジルオキシカルボニル基であり、更に好適にはt-ブトキシカルボニルである。
【0067】
Xは、好適には塩素原子である。
【0068】

本発明の合成中間体(I)、合成中間体(III)および最終目的化合物(A)及びその塩を製造する方法について、以下に詳細に説明する。
【0069】
【化23】

【0070】
本発明の方法は4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とハロゲン化剤を反応させ化合物(I)で表される酸ハロゲン化物を製造する第一工程、化合物(I)と化合物(II)を反応させて化合物(III)を製造する第二工程、化合物(III)を精製する第三工程、および化合物(III)を酸の存在下化合物(A)に変換する第四工程からなる。以下に各工程について詳しく説明する。
【0071】
(第一工程)
本工程は、酸ハロゲン化物(I)を製造する工程であり、不活性溶媒下、4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とハロゲン化剤を反応させることにより達成される。
【0072】
本工程で用いるハロゲン化剤としては、カルボン酸を酸ハロゲン化物に変換可能なものであれば特に限定はない。そのようなハロゲン化剤としては例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、塩化オキザリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられ、好適には塩化チオニル、塩化オキザリル、五塩化リン等が挙げられ、特に好適には塩化チオニルである。
【0073】
本工程で用いるハロゲン化剤の量は用いる4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸に対し、1当量以上であれば特に限定はないが、好適には1から2当量、さらに好適には1から1.2当量である。
【0074】
本工程において反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒を用いる場合、反応を阻害しないものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、スルホラン、及びそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類またはアミド類、及びそれらの混合物であり、更に好適にはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物であり、特に好適にはジクロロメタンまたはアセトニトリルである。
【0075】
本工程では触媒を添加することによって反応がより速やかに進行する場合がある。
【0076】
触媒を添加する場合、触媒としては通常、アミン、アミンの誘導体または含窒素へテロ環化合物が用いられる。アミンを用いる場合、通常3級アミンが用いられそのようなアミンとしては例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等のジアルキルアリールアミン類、もしくはジフェニルメチルアミン等のジアリールアルキルアミン類が挙げられる。アミンの誘導体としてはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド等のN,N-ジアルキルアミド類等が挙げられる。含窒素へテロ環化合物としては、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、イミダゾールまたはトリアゾール等が挙げられる。好適にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジンであり、さらに好適にはトリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ピリジンまたはN,N-ジメチル-4-アミノピリジンであり、特に好適にはジメチルホルムアミドである。
【0077】
用いる触媒の量は特に限定はないが、用いるハロゲン化剤に対して通常0.01〜20当量、好適には0.l〜10当量、さらに好適には0.3〜5当量である。本工程における反応温度は、原料化合物、試薬等により異なるが、通常-20℃〜150℃であり、好適には-10℃〜100℃であり、さらに好適には-10〜40℃である。
【0078】
本工程の反応時間は、原料化合物、試薬、反応温度等により異なるが、通常、30分間から80時間であり、好適には30分間から48時間であり、さらに好適には1時間から6時間である。
【0079】
本工程の終了後、化合物(I)もしくはその塩は単離したのち第二工程を実施してもよいし、単離しないまま第二工程を実施してもよく、好適には単離しないまま第二工程を実施したほうがよい。
(第二工程)
本工程は、化合物(III)を製造する工程であり、酸ハロゲン化物(I)と公知のフェニレンジアミン化合物(II)を不活性溶媒中反応させることにより達成される。
【0080】
本工程では塩基を用いると反応が速やかに進行する場合がある。本工程で塩基を使用する場合、用いる塩基とは、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物類、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ナノ-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)のような有機アミン類であり、好適には有機アミン類であり、さらに好適にはトリエチルアミン、トリブチルアミンまたはピリジンであり、特に好適にはトリエチルアミンである。
【0081】
本工程はは通常、溶媒中で行われる。溶媒としては反応を阻害しないものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、スルホランのようなスルホン類、およびそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類又はアミド類、およびそれらの混合物、更に好適にはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物であり、特に好適にはジクロロメタンまたはアセトニトリルである。
【0082】
本工程の反応温度は原料化合物、試薬等により異なるが、通常、-20℃乃至150℃であり、好適には-20℃乃至100℃である。
【0083】
本工程の反応時間は原料化合物、試薬、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至80時間である。好適には1時間乃至48時間である。
【0084】
本工程の反応終了後、化合物(III)は通常の後処理の後、自然晶析あるいは抽出および濃縮、などの単離操作によって単離されたのち、第三工程または第四工程を実施する。
(第三工程)
本工程は化合物(III)を有機溶媒中加熱攪拌し、溶解又は懸濁させ、その後冷却することにより再結晶または再懸濁によって不純物を除去し、より高純度の化合物(III)を製造する工程であるが、化合物(III)が結晶ではない場合や純度が十分高い場合には本工程を除くことも可能である。
【0085】
本工程は溶媒中で行われる。溶媒としては化合物(III)と反応せず、ある程度溶解するものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールのようなアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、およびそれらの混合物であり、好適にはアセトニトリル、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物であり、特に好適にはメタノールである。
【0086】
本工程の加熱温度は化合物(III)および溶媒の性質により異なるが、通常、室温〜使用溶媒の還流温度であり、好適には使用溶媒の還流温度である。
【0087】
本工程の時間は化合物(III)および溶媒の性質により異なるが、通常、10分間〜20時間であり、好適には20分間〜10時間である。
【0088】
本工程の終了後、化合物(III)は通常の晶析操作のあと、濾別操作によって単離されたのち、第四工程を実施する。
(第四工程)
本工程は、最終目的化合物(A)を製造する工程であり、化合物(III)を、酸存在下、環化させることにより達成される。
【0089】
本工程は溶媒中で行われる。溶媒としては化合物(III)と反応せず、ある程度溶解するものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、メタンノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールのようなアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、およびそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、エーテル類およびそれらの混合物であり、更に好適にはジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物であり、特に好適にはメタノールである。
【0090】
本工程で用いる酸はブレンステッド酸、ルイス酸いずれを用いてもよいが、通常ブレンステッド酸を用いる。本工程で通常用いられるブレンステッド酸としては特に限定はないが例えば、塩化水素、臭化水素、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシ酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、サリチル酸等の有機酸があり、好適には塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、酒石酸でありさらに好適には塩酸、硫酸であり、特に好適には塩酸である。
【0091】
本工程で化合物(A)を塩として製造する場合、製造しようとする塩の酸をそのまま用いて対応する塩とすることもできる。
【0092】
本工程で用いる酸の量は用いる化合物(III)に対して1当量以上であれば特に限定はないが、好適には1〜15当量、さらに好適には2〜8当量である。
【0093】
本工程で化合物(III)が溶媒に溶解する場合、酸を添加する前に濾過操作を行う事で化合物(III)に混入している無機性あるいは有機性の難溶性不純物を取り除くことができる。
【0094】
本工程の反応温度は化合物(III)、酸および溶媒の性質により異なるが、通常、室温〜100℃であり、好適には35℃〜80℃であり、さらに好適には40℃〜60℃である。
【0095】
本工程の反応時間は化合物(III)、酸および溶媒の性質により異なるが、通常、30分間〜20時間であり、好適には1時間〜10時間である。
【0096】
本工程の反応終了後、化合物(A)もしくはその塩が結晶として晶析する場合は濾別操作によって単離することができる。化合物(A)もしくはその塩が結晶とならない場合は通常の後処理の後、抽出操作等の単離操作によって単離することができる。得られた化合物(A)は乾燥後そのまま用いてもよいし、さらに再結晶、カラムクロマトグラフィー、等の通常の精製操作を行った後使用してもよい。
【0097】

本発明の高純度のチアゾリジンジオン化合物及びその結晶を含有する医薬は、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤又は細粒等の経口投与が可能な製剤で使用することができるが、好適には、錠剤である。
【0098】
上記製剤は、適宜、製薬学的に許容される添加物を含有してもよい。そのような添加物は、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α化デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムのようなデンプン誘導体;予めゼラチン化したデンプン;結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、珪酸水和物、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのようなケイ酸塩誘導体;リン酸二カルシウムのようなリン酸塩誘導体;塩化ナトリウムのような塩化塩誘導体;炭酸カルシウムのような炭酸塩誘導体;硫酸カルシウムのような硫酸塩誘導体;又はこれらの混合物)、結合剤(例えば、上記の賦形剤で例示した化合物;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール;又はこれらの混合物)、崩壊剤(例えば、上記の賦形剤で例示した化合物;架橋ポリビニルピロリドン;又はこれらの混合物)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;安息香酸ナトリウムのような安息香酸金属塩;ビーガム、ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;硫酸ナトリウムのような硫酸金属塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸金属塩;上記の賦形剤で例示したケイ酸塩誘導体;上記の賦形剤で例示したデンプン誘導体;水素化植物油;カルナバロウ;蔗糖脂肪酸エステル;又はこれらの混合物)、安定剤(例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウムのような安息香酸金属塩;メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸;又はこれらの混合物)、流動化剤(例えば、上記の賦形剤で例示したケイ酸塩誘導体;タルク;又はこれらの混合物)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80のようなポリソルベート類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60のようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類;ソルビタン脂肪酸エステル類;蔗糖脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類;ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル類;ステアリン酸ポリオキシル類;又はこれらの混合物、好適には、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60又はこれらの混合物)、着色剤(例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄)、抗酸化剤、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等)又は希釈剤であり得、使用される添加剤の種類及び量は、錠剤、カプセル剤又は他の投与形態薬剤により異なるが、製剤の分野の周知の技術に選択される。
【0099】
例えば、錠剤の場合には、全薬剤組成物中、結合剤の含量は、通常、1乃至10重量部(好適には、2乃至5重量部)であり、崩壊剤の含量は、通常、1乃至40重量部(好適には、5乃至30重量部)であり、滑沢剤の含量は、通常、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至3重量部)であり、流動化剤の含量は、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至5重量部)である。
【0100】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される添加物を用いて周知の方法(例えば、水を用いる混練方法、湿式粒状化方法等)により容易に製造される。そのような製造の例として、例えば、有効成分、安定化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び必要に応じて他の種類の助剤等を添加し、高速撹拌造粒機により混合し、得られた混合物に結合剤の水溶液を加えて練合し、造粒物を得る。その得られた造粒物を、流動層乾燥機器を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を、破砕造粒整粒機を用いて、スクリーンを強制的に通過させ、滑沢剤、崩壊剤及び必要に応じて他の種類の助剤等を加えてV型混合機で混合させ、得られた混合物を打錠し、又はカプセルに詰めることにより、それぞれ、錠剤又カプセル剤を製造することができる。
【0101】
得られた錠剤は、必要に応じて、糖衣又はコーティング(好適には、コーティング)を施すことができる。例えば、得られた錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、酸化チタン、乳糖、トリアセチン又はポリエチレングリコール、黄色三二酸化鉄若しくは三二酸化鉄、及び水からなるコーティング液を、パンコーティング機中で噴霧することにより、フィルムコーティングを施すことができる。
【0102】
又、上記の高速撹拌造粒機により混合し、結合剤の水溶液を加えて練合して得られた練合物を、押し出し造粒機を用いて、顆粒とした後、柵式乾燥機により乾燥し、乾燥した顆粒物を、破砕造粒整粒機を用いて、スクリーンを強制的に通過させることにより、顆粒剤を製造することができる。
【0103】
本発明の医薬組成物は、温血動物(特にヒト)に投与することができ、有効成分である5-[4-(6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン-2,4-ジオン又はその薬理上許容される塩の投与量は、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得るが、例えば経口投与の場合、1回当たり0.1mg/body〜20mg/body(好適には0.5mg/body〜3mg/body)をヒトに対して、1日当たり1乃至6回症状に応じて投与することができる。
【発明の効果】
【0104】
本発明は公知のインスリン抵抗性に起因する疾病の優れた予防および治療作用を有するチアゾリジンジオン誘導体の結晶およびその大量合成に適した製造方法を提供する。本発明の製造方法を用いることにより、大量合成する場合も収率よく高純度で、安価な試薬を用い簡便な操作で、かつ環境負荷を小さく、目的化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0105】
以下に本発明の実施例等を示し、さらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0106】
(実施例1)
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(220mg,0.78mmol)のジクロロメタン(10ml)懸濁液に、室温で、塩化チオニル(170mg, 1.34mmol)、ついでピリジン(1滴)を加え、3.5時間還流した。得られた溶液を減圧下、濃縮し、ガム状の目的化合物を約250mg得た。
核磁気共鳴スペクトル(400MHz、DMSO-d6)δ(ppm):3.05(1H, dd, J = 9.0 Hz, J = 14.1 Hz, CH2CH), 3.31 (1H, dd, J = 4.1 Hz,J = 14.1 Hz, CH2CH), 4.64 (2H. s, CH2O), 4.87 (1H, dd, J =4.1 Hz, J = 9.0 Hz, CH2CH), 6.85 (2H, d, J = 8.6 Hz, aromatic), 7.16(2H, J = 8.6 Hz, aromatic), 12.02 (1H, s, NH).
(実施例2)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(60.0g,213.3mmol)のジクロロメタン(390ml)懸濁液に、塩化チオニル(27.66g, 232.5mmol)、ジメチルホルムアミド(12ml)を注加し、還流するまで(39℃まで)加温した。完全に溶解した後、30分撹拌し、0〜5℃まで冷却した。内温5℃以下を保ち、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(53.84g,213.4mmol)及びトリエチルアミン(25.92g, 256.2mmol)のジクロロメタン(624ml)溶液を滴下した。反応液を5℃で1時間撹拌し、次にジクロロメタン(300ml)を注加し、次に炭酸水素ナトリウム(24g)と水(480ml)から調製した溶液を加え、20℃で20分撹拌し、静置後分液し、水層を廃棄した。有機層に水(480ml)を加え20℃で20分撹拌し、静置後分液し、水層を廃棄した。有機層に38%塩酸(19.8ml)と水(480ml)の溶液を注加し20℃で20分間撹拌した後、水層を廃棄し、さらに有機層へ活性炭(1.8g)、ジクロロメタン(18ml)を加え、30分間撹拌後、活性炭をろ過した。残渣をジクロロメタン(90ml)で洗浄し、ろ液と洗浄液を合わせ、内温25℃で液量300mlまで減圧濃縮した。常圧で10分撹拌した後、メタノール(300ml)を加え、内温25℃で液量300mlまで減圧濃縮した。さらにメタノール(300ml)を加え、内温30℃で液量300mlまで減圧濃縮した。ここへメタノール(198ml)を加え、0〜5℃まで冷却し、さらに1時間撹拌した。得られた結晶をろ別し、冷メタノール(240ml)で洗浄後減圧下50℃で乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを(97.09g,188.3mmol)を得た(収率89%)。
(実施例3)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(40.0g,142.2mmol)にアセトニトリル(400ml)を加え、内温7℃に冷却した後、塩化チオニル(18.4g, 155.0mmol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(32ml)を加え、同温度から11.4℃で3時間撹拌した。
【0107】
ここへ、0〜10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(38.4g,137.9mmol)及びトリエチルアミン(18.7g, 184.9mmol)のアセトニトリル(240ml)溶液を反応温度が0〜5℃に保たれるように冷却しながら65分間かけて滴下した後、同温度でさらに2時間撹拌した。次に水(320ml)を15分かけて加え、内温0〜5℃で2.5時間撹拌した後、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をアセトニトリル:水=2:1溶液(160ml)で洗浄し、減圧下50℃で、19時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(63.6g,123.4mmol)を得た(収率89%)。
(実施例4)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
(4−1)
(本実施例では実施例3で用いたものとそれぞれ同一のロットの4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸およびN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを用いた。)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(40.0g,142.2mmol)にアセトニトリル(400ml)を加え、内温8℃に冷却した後、塩化チオニル(18.4g, 155.0mmol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(32ml)を加え、同温度〜12℃で3時間撹拌した。ここへ、0〜10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(38.4g,137.9mmol)及びトリエチルアミン(18.7g, 184.9mmol)のアセトニトリル(240ml)溶液を反応温度が0〜3℃に保たれるように冷却しながら65分間かけて滴下した後、同温度でさらに3.5時間撹拌した。次に水(320ml)を27分間かけて加え、0〜5℃で2.5時間撹拌した後、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をアセトニトリル:水=2:1溶液(160ml)で洗浄後、減圧下50℃で、15時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(67.6g,131.0mmol)を得た(収率92%)。
(4−2)
(4−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(56.1g,108.6mmol)のメタノール(1680ml)懸濁液を攪拌しながら加熱した(内温が65.5℃となったところで完全に溶解した)。反応液を2時間かけて0〜5℃まで冷却し、さらに同温度で95分間攪拌した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をメタノール(224ml)で洗浄後、減圧下50℃で15時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの精製結晶(51.6g,100.0mmol)を得た(収率92%、全収率85%)。
(実施例5)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩
(5−1)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(61.0kg,216.9mol)のジクロロメタン(398L)懸濁液に、塩化チオニル(28.15kg, 236.6mol)、ジメチルホルムアミド(6.1L)を注加し、6時間還流した。得られた溶液を0〜5℃まで冷却したのち、内温5℃以下を保ちながら、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(54.72kg,216.9mol)及びトリエチルアミン(26.35kg, 260.4mol)のジクロロメタン(562L)溶液を1時間かけて滴下し、0〜5℃で15分間撹拌した。ここへ攪拌しながら水(488L)を注ぎ、炭酸水素ナトリウム(24.4kg)を加えたのち(内温度は約20℃に上昇した)、ジクロロメタン(305L)を注ぎ、冷却しながら20分間攪拌し、0〜3℃とした。ここへ水(488L)を注ぎ、10〜20℃で5分間攪拌した後、30分間静置し、水層を廃棄した。ここへ水(488L)ついで38%塩酸(23.8kg)を注ぎ5分間攪拌した後、10分間静置し、水層を廃棄した。ここへ水(488L)注ぎ、5分間攪拌した後、12時間静置し、水層を廃棄した。ここへ活性炭(1.83kg)のジクロロメタン(18L)懸濁液を加え、30分間攪拌した後、活性炭をろ別した。活性炭をジクロロメタン(92L)で洗浄し、ろ液と洗浄液を合わせ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。ここへメタノール(305L)を注ぎ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。さらにここへメタノール(305L)を注ぎ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。ここへメタノール(201L)を注ぎ、5℃で1時間攪拌後、得られた結晶をろ別し、メタノール(244L)で洗浄後、減圧下、50℃で乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(103.9kg,201.5mol)を得た(収率93%)。
(5−2)
(5−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを(97.0kg,188.1mol)をメタノール(2803L)、水(43L)および38%塩酸(72.8kg)からなる溶液に懸濁後、5時間攪拌しながら還流した。反応液を0〜5℃に冷却後、1時間攪拌し、同温度で12時間静置した。得られた結晶をろ別し、メタノール(291L)で洗浄後、減圧下50℃で乾燥し、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩(74.9kg、172.5mol)を得た(収率92%、実施例5の通算収率86%)。
【0108】
粉末X線回折(Cu Kα、λ=1.54オングストローム)での相対強度9以上のピークパターンを表1に示す。
(表1)

【0109】
(実施例6)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩
(6−1)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(18.0kg,64.0mol)にアセトニトリル(140.9kg)を加え、内温8℃に冷却した後、塩化チオニル(8.3kg, 69.8mol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(14.4L)を加え、同温度〜15℃で3.5時間撹拌した。ここへ、0から10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(15.7kg,62.2mol)及びトリエチルアミン(8.4kg, 83.0mol)のアセトニトリル(84.6kg)溶液を反応温度が0〜5℃に保たれるように冷却しながら1時間かけて滴下した後、同温度でさらに2時間撹拌した。次に水(144L)を22分かけて加え、内温0〜6℃を保ちながら30分間撹拌した後、12時間静置した。得られた結晶をろ別後、水=2:1溶液(54L)で洗浄し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品結晶を得た。
(6−2)
(6−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品結晶のメタノール(450L)に懸濁液を攪拌しながら25分間還流した。懸濁液を0〜5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をメタノール(54L)で洗浄し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品精製結晶を得た。
(6−3)
(6−2)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品精製結晶をメタノール(1080L)に懸濁後、還流し溶液とした。この溶液を50℃に冷却し、45分間かけてろ過した。残渣を50℃のメタノール(37L)で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、48℃で38%塩酸(20.9kg)、ついで水(11.2L)を注ぎ、同温度で6時間攪拌した。反応液を0〜5℃まで冷却した後、同温度で30分間攪拌し、12時間静置した。得られた結晶をろ別し、メタノール(91L)で洗浄後、減圧下50℃で乾燥し、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩(19.5kg、44.9mol)を得た(実施例6の通算収率70%)。
(実施例7)
(N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物(III1)の品質および経時安定性試験)
実施例3で得られた結晶、実施例3で得られた結晶を40℃で40日間保管した結晶、実施例4で得られた精製結晶、及び実施例4で得られた精製結晶を40℃で42日間保管した結晶の4検体の品質を分析した。品質の分析法は、以下の通りである。
【0110】
化合物(III1)の約10mg/Lのアセトニトリル-水(4:1)溶液を調整する。
【0111】
この試料溶液を約20μL用い、高速液体クロマトグラフィーで下記の条件で分析した。(この条件で被検物質は約12分の保持時間を示す。)
カラム:L-columnODS 4.6 x 250 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層: 0.02M酢酸アンモニウム水溶液/ アセトニトリル混合液(55:45)
流速:1ml/min
検出波長:220nm
測定温度:40度
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、各成分の含量(%)=100 ×(各成分のピーク面積)/(すべての成分のピーク面積の合計)とした。結果を表2に示す。
【0112】
(表2)

【0113】
各被験物質は、上記実施例で述べてきたように製造法に違いが有る。以下のスキーム(スキーム中の記号の定義は、前述のものと同意義)において、実施例4の結晶は、スキームに沿った合成方法で製造したものである。一方、実施例3の結晶は、以下のスキームのうち、第三工程の精製を行わずに製造したものである。
【0114】
【化24】

【0115】
表2から、第3工程の精製の操作を加えることにより、不純物の量が顕著に減少することがわかる。さらに、第3工程の精製の操作により得られた純度の高い結晶は、経時安定性に極めて優れていることも示されており、本結晶が医薬品の中間体として特に適した性質を有していることがわかる。
(実施例8)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩(以下、化合物(A1)とする)の不純物分析
(8−1)実施例5及び実施例6で得られた化合物(A1)の結晶の不純物の定性分析
分析しようとする化合物(A1)約0.02gを計り取り、0.5%リン酸水溶液−アセトニトリル(65:35)で溶解し100mlとし、これを試料溶液とする。
【0116】
(被験物質1:実施例5の化合物、被験物質2:実施例6の化合物、)
試料溶液を0.5%リン酸水溶液−アセトニトリル(65:35)で正確に100倍に希釈し、これを標準溶液とする。
【0117】
試料溶液および標準溶液を正確に10μlづつ用い、高速液体クロマトグラフィーで下記の条件で分析した。(この条件で被検物質は約10分の保持時間を示す。)
カラム:L-columnODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH= 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min
検出波長:225nm
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、各成分の含量(%)=[(試料溶液の各成分のピーク面積)/(標準溶液の被検物質のピーク面積)]とした。
【0118】
(8−2)実施例5及び実施例6で得られた化合物(A1)の結晶の定量分析。
試料溶解液:アセトニトリル‐0.5%リン酸水溶液(35:75)
内標準溶液:サリチル酸メチル約1mlを試料溶解液に溶解し、200mlとする。
標準溶液は以下のように調製した。
【0119】
化合物(A1)標準品約0.04gを200mlのメスフラスコに正確に量り取り、試料溶解液を約160ml加えて溶解させた後、内標準溶液10ml及び試料溶液を加え、200mlにした。この液10mlを正確に25mlのメスフラスコに入れた後、試料溶解液を加え、25mlとした。
測定試料溶液は以下のように調製した。
【0120】
試料約0.04gを200mlのメスフラスコに量り取り、試料溶解液を約160ml加え溶解させた後、内標準溶液10ml及び試料溶液を加え、200mlにした。この液10mlを正確に25mlのメスフラスコに入れた後、試料溶解液を加え、25mlとした。
HPLC条件は、以下の通り。
【0121】
検出波長:290nm
カラム:L-columnODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH= 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min(内標準の保持時間が約17分となるように調整する)
カラム温度:40℃
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、下記式に従って、化合物(A1)の含量を計算した。
化合物(A1)の含量(%)= W1 × F1 × (QT / QS) × [1 / {W2× (100 - F2) / 100}] × 100
W1:化合物(A1)標準品の秤取量(g)
W2:試料の秤取量(g)
F1:化合物(A1)標準品の純度係数
F2:カールフィッシャー水分計で測定した試料中の水分
QT:試料と内標準物質とのピーク面積比
QS:化合物(A1)標準品と内標準物質とのピーク面積比

実施例8の以上の結果を表3及び表4に示す。
【0122】
(表3)

【0123】
(表4)

【0124】
*)国際公開第00/71540号公報に記載の方法で製造した化合物(A1)(比較化合物)を参考例の方法で品質を定量分析した結果は、76%であった。
【0125】
各被験物質は、上記実施例で述べてきたように製造法に違いが有る。以下のスキーム(スキーム中の記号の定義は、前述のものと同意義)において、実施例6の結晶は、スキームに沿った合成方法で製造したものである。一方、実施例5の結晶は、以下のスキームのうち、第三工程の精製を行わずに精製したものである。また、国際公開第00/71540号公報に記載の方法は、中間体酸ハロゲン化物(I)を用いないルートで、かつ第三工程の精製も行わない方法で製造している。
【0126】
【化25】

【0127】
表3より、第三工程の精製の操作を加えることにより、不純物の量の顕著な減少が見られ、この精製方法が不純物の除去において特にすぐれていることを示している。さらに、第三工程における不純物の除去の効果が、最終物の純度にまで大きく反映していることから、第三工程の精製の操作は、高品質な化合物(A)の製造において、重要な操作であることがわかる。
【0128】
また、表4の結果から、公知の製法である国際公開第00/71540号公報に記載の方法に準じて製造した結晶の定量値が、76%であったことを比較すると、本発明の製法は、化合物(A)の製法に関して、より簡便な操作を用いる工業的な製法でありながら、効率よくしかも純度の高い結晶が得られることがわかる。
【0129】
(参考例1)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の定量分析法
カラム:L-columnODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH= 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min
検出波長:290nm
カラム温度:40度
この条件で、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩は、約10分で溶出し、得られたクロマトグラムから定量計算を行った。
【0130】

(製剤例)
(製剤例1)
錠剤
表5に示す種類及び量の成分を用いて、以下の方法で錠剤を得た。なお、有効成分の用量、各添加剤の含量、種類については、表5に限定されるものではない。
【0131】
実施例5の結晶に、賦形剤(ラクトース)、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)を添加し、高速撹拌造粒機により混合し、得られた混合物に結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)水溶液を加えて練合し、造粒物を得た。その得られた造粒物を流動層乾燥機を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を破砕造粒整粒機を用いてスクリーンを強制的に通過させ、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を加えてV型混合機で混合させた。得られた混合物を直径7mmの杵を用いて成形し、色素(黄色三二酸化鉄)を分散させたコーティング(オパドライWHITE YS-1-18202A)水溶液をコーティング機を用いスプレーし、所望の錠剤を得た。
(表5)

【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン・塩酸塩の結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。尚、粉末X線回折パターンの縦軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は2θの値で示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインスリン抵抗性に起因する疾病の優れた予防および治療作用を有する高純度のチアゾリジンジオン化合物、その結晶、製造方法及び製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
チアゾリジンジオン誘導体は、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群などのインスリン抵抗性に起因する疾病やアテローム性動脈硬化症などの心血管系疾患の予防および治療作用を有する化合物として知られている(例えば、特許文献1、2、3を参照)。
【0003】
また、これらの製造法に関しては、異なる中間体を経るいくつかの方法が開示されている(特許文献1、4を参照)。例えば、特許文献4には、以下の製造法が開示されている(特開2001-72671の式の化合物番号等を一部改変。式中、R1BはC1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基などを示し、R2BはC1-C6アルキル基を示し、R3Bは水素原子又は保護基を示す)。
【0004】
【化1】

【0005】
特許文献4では、一般式(2)で表される1,2−フェニレンジアミン誘導体と化合物(3)とを縮合剤の存在下、縮合反応させると記載されている。具体的には、R1Bがメトキシ基であり、R2Bがメチル基であり、R3Bがt−ブトキシカルボニル基である一般式(4)で表される化合物の製造実施例の記載があるが、反応収率は85%とさらなる改善の余地があるものであった。また縮合剤として過剰に用いているプロピルホスホン酸環状無水物を分解するため、反応終了後、反応混合液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、抽出操作を行うなど煩雑な操作を必要としており、これらの操作が、収率及び純度の低下の原因の1つとなっている。
【0006】
一方、フェニレンジアミン化合物(例えば、上記(2))との縮合で{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸(上記(3))のハロゲン化物を用いるような製造方法は、今まで全く知られていない。理由としては、{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸と同様の1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン骨格を有する化合物をオキシ塩化リン等のハロゲン化剤で処理すると、2,4−ジクロロチアゾ−ル誘導体が生成するとの報告があることが挙げられる(例えば、非特許文献1、2を参照)。つまり、{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸に対してハロゲン化剤を反応させた場合も同様に、目的とする酸ハロゲン化物ではなく、チアゾ−ル環の環部分がハロゲン化された化合物が主に生成、もしくは副生すると考えられていたためである。
【0007】
また、ジクロロメタン等の有機塩素系溶媒は、その使い易さから研究室レベルで溶媒として汎用されている。しかし、毒性等の疑いがあるため、溶媒を大量に使用する工業的製法においては、ジクロロメタンを使用しない合成法が求められている。
【特許文献1】特開平9-95970号公報
【特許文献2】特開2001-39976号公報
【特許文献3】国際公開第00/71540号パンフレット
【特許文献4】特開2001-72671号公報
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・ケミカルソサイエティー・パーキン・トランスアクション・I[J. Chem. Soc. Perkin I](英国)1992年,p.973‐978
【非特許文献2】バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ[Bioorganic Med. Chem. Lett.](英国)第14巻,p.235‐238(2004年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬品に用いられる物質については、その不純物による予期せぬ副作用(例えば、毒性等)が生じないように、特に厳しく高い純度が求められている。さらにその工業的な製法(大量製法)においては、より簡便な操作で不純物を取り除くことが要求される。
【0009】
加えて、医薬の原体は、その品質を保持しながら長期間保管できることが重要である。保管条件が低温であることが必要な場合は、品質の保持のために大掛かりな冷蔵設備が必要となるため、室温又はそれ以上で保管できるような安定した結晶を見出すことは工業的に有意義である。
【0010】
そこで、本発明者らは、インスリン抵抗性に起因する疾病(好適には、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群であり、更に好適には、糖尿病、高血糖症、耐糖能不全であり、特に好適には、糖尿病である)の優れた予防および治療作用を有する、チアゾリジンジオン誘導体を、より高品質でより高収率に、工業的により有利な操作法で、かつより環境影響も少なく製造する方法の開発を目的として鋭意研究をおこなった結果、新規合成中間体である{4−[(2,4−ジオキソ−1,3−チアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ}酢酸ハロゲン化物を用いる反応、及びより純度が高くかつ経時安定性の優れた合成中間体化合物を分解させることなく高い回収率で精製する新規な精製方法を見出し、それによりチアゾリジンジオン誘導体の高品質・高収率かつ工業的に有利な操作での製造方法を確立し、本発明を完成した。加えて、一連の反応がジクロロメタン等の有機塩素系溶媒を使用しない方法までも確立した。
【0011】
さらに、高純度の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の結晶が、医薬の原体として非常に優れた結晶であることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、
(1)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(2)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が98%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(3)
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が99%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶、
(4)
純度が98%以上である、下記一般式(A)
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(5)
純度が98%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩、
(6)
純度が99%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩、
(7)
下記一般式(I)
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物又はその塩、
(8)
Xが塩素原子である、請求項7に記載の化合物又はその塩、
(9)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩の製造方法、
(10)
Xが塩素原子である、上記(9)に記載の製造方法、
(11)
下記一般式(I)
【0020】
【化5】

【0021】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される酸ハロゲン化合物を、下記一般式(II)
【0022】
【化6】

【0023】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表されるフェニレンジアミン化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(III)
【0024】
【化7】

【0025】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の製造方法、
(12)
R3がC1−C6アルコキシ基である、上記(11)に記載の製造方法、
(13)
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを反応させることを特徴とする、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩の製造方法、
(14)
下記一般式(III)
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。] で表される化合物の粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することを特徴とする精製方法、
(15)
有機溶媒が、アルコール系溶媒である上記(14)に記載の精製方法、
(16)
一般式(III)で表される化合物が、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩である、上記(14)又は(15)に記載の精製方法、
(17)
下記一般式(III)
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。] で表される化合物の不純物を、有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することにより、最終物の不純物の量を2%以下にすることを特徴とする、下記一般式 (A)
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(18)
下記一般式(I)
【0032】
【化11】

【0033】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物を、下記一般式(II)
【0034】
【化12】

【0035】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより得られる下記一般式(III)
【0036】
【化13】

【0037】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物を、酸で処理することを特徴とする、下記一般式(A)
【0038】
【化14】

【0039】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(19)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【0040】
【化15】

【0041】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【0042】
【化16】

【0043】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【0044】
【化17】

【0045】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の粗結晶を得、その粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することで精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することを特徴とする、下記一般式 (A)
【0046】
【化18】

【0047】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法、
(20)
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩である、上記(17)乃至(19)に記載の製造方法、
(21)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【0048】
【化19】

【0049】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【0050】
【化20】

【0051】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【0052】
【化21】

【0053】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物又はその塩を得、その生成物の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流し精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することにより得られる一般式(A)
【0054】
【化22】

【0055】
[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(22)
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオンである、上記(21)に記載のチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩、
(23)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する医薬組成物、
(24)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(25)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(26)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物、
(27)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(28)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(29)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物、
(30)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物、
(31)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物、
(32)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(1)乃至(3)に記載された結晶の使用、
(33)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用、
(34)
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用、
(35)
上記(1)乃至(3)に記載された結晶を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(36)
上記(4)乃至(6)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(37)
上記(21)又は(22)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法、
(38)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物、
(39)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物、
(40)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の組成物、
(41)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の組成物である。

本発明において「純度」は、定量分析によって測定される値である。
【0056】
本発明において「C1−C6アルキル基」とは、炭素数1乃至6個の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチルまたは2-エチルブチル基が挙げられる。R1、R2、R3、R4及びR5において、好適にはC1−C4アルキル基が挙げられ、更に好適にはエチルまたはメチル基が挙げられ、特に好適にはメチル基が挙げられる。
【0057】
本発明において「C1−C6アルコキシ基」とは、前記C1−C6アルキル基が酸素原子に結合した基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、2-メチルブトキシ、ネオペントキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシまたは2-エチルブトキシ基が挙げられる。R1、R2、R3及び R4において、好適にはC1−C4アルコキシ基が挙げられ、更に好適にはエトキシまたはメトキシ基が挙げられ、特に好適にはメトキシ基が挙げられる。
【0058】
本発明において「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子である。R1、R2、R3、 R4及びXにおいて、好適にはフッ素、塩素、または臭素原子が挙げられ、更に好適には塩素が挙げられる。
【0059】
本発明において「アミノ基の保護基」とは、通常アミノ基の保護基として用いられるものであれば特に限定はないが、例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、ベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジルまたはナフチルメチル基のようなC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシもしくはハロゲンで置換されていてもよいアリールメチル基、ベンジルオキシカルボニル、メチルベンジルオキシカルボニル、メトキシベンジルオキシカルボニル、クロロベンジルオキシカルボニル、ブロモベンジルオキシカルボニルまたはナフチルメチルオキシカルボニルのようなC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシもしくはハロゲンで置換されていてもよいアリール−メチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニルまたはメタリルオキシカルボニル基のようなアルケニルオキシカルボニル基、もしくはt-ブトキシカルボニル基のようなアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。R6において、好適にはt-ブトキシカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、p-ブロモベンジル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニル基が挙げられ、更に好適にはt-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニル基が挙げられ、特に好適にはt-ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0060】
R1は、好適には、水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には、水素原子である。
【0061】
R2は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には水素原子である。
【0062】
R3は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適にはメトキシ基である。
【0063】
R4は、好適には水素原子またはC1−C4アルコキシ基であり、更に好適には水素原子またはメトキシ基であり、特に好適には水素原子である。
【0064】
R5は、好適にはC1−C4アルキル基であり、更に好適にはC1−C2アルキル基であり、特に好適にはメチル基である。
【0065】
R6は、好適には、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル又はp-ブロモベンジルオキシカルボニル基であり、更に好適にはt-ブトキシカルボニルである。
【0066】
Xは、好適には塩素原子である。
【0067】

本発明の合成中間体(I)、合成中間体(III)および最終目的化合物(A)及びその塩を製造する方法について、以下に詳細に説明する。
【0068】
【化23】

【0069】
本発明の方法は4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とハロゲン化剤を反応させ化合物(I)で表される酸ハロゲン化物を製造する第一工程、化合物(I)と化合物(II)を反応させて化合物(III)を製造する第二工程、化合物(III)を精製する第三工程、および化合物(III)を酸の存在下化合物(A)に変換する第四工程からなる。以下に各工程について詳しく説明する。
【0070】
(第一工程)
本工程は、酸ハロゲン化物(I)を製造する工程であり、不活性溶媒下、4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とハロゲン化剤を反応させることにより達成される。
【0071】
本工程で用いるハロゲン化剤としては、カルボン酸を酸ハロゲン化物に変換可能なものであれば特に限定はない。そのようなハロゲン化剤としては例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、塩化オキザリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられ、好適には塩化チオニル、塩化オキザリル、五塩化リン等が挙げられ、特に好適には塩化チオニルである。
【0072】
本工程で用いるハロゲン化剤の量は用いる4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸に対し、1当量以上であれば特に限定はないが、好適には1から2当量、さらに好適には1から1.2当量である。
【0073】
本工程において反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒を用いる場合、反応を阻害しないものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、スルホラン、及びそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類またはアミド類、及びそれらの混合物であり、更に好適にはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物であり、特に好適にはジクロロメタンまたはアセトニトリルである。
【0074】
本工程では触媒を添加することによって反応がより速やかに進行する場合がある。
【0075】
触媒を添加する場合、触媒としては通常、アミン、アミンの誘導体または含窒素へテロ環化合物が用いられる。アミンを用いる場合、通常3級アミンが用いられそのようなアミンとしては例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等のジアルキルアリールアミン類、もしくはジフェニルメチルアミン等のジアリールアルキルアミン類が挙げられる。アミンの誘導体としてはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド等のN,N-ジアルキルアミド類等が挙げられる。含窒素へテロ環化合物としては、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、イミダゾールまたはトリアゾール等が挙げられる。好適にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジンであり、さらに好適にはトリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ピリジンまたはN,N-ジメチル-4-アミノピリジンであり、特に好適にはジメチルホルムアミドである。
【0076】
用いる触媒の量は特に限定はないが、用いるハロゲン化剤に対して通常0.01〜20当量、好適には0.l〜10当量、さらに好適には0.3〜5当量である。本工程における反応温度は、原料化合物、試薬等により異なるが、通常-20℃〜150℃であり、好適には-10℃〜100℃であり、さらに好適には-10〜40℃である。
【0077】
本工程の反応時間は、原料化合物、試薬、反応温度等により異なるが、通常、30分間から80時間であり、好適には30分間から48時間であり、さらに好適には1時間から6時間である。
【0078】
本工程の終了後、化合物(I)もしくはその塩は単離したのち第二工程を実施してもよいし、単離しないまま第二工程を実施してもよく、好適には単離しないまま第二工程を実施したほうがよい。
(第二工程)
本工程は、化合物(III)を製造する工程であり、酸ハロゲン化物(I)と公知のフェニレンジアミン化合物(II)を不活性溶媒中反応させることにより達成される。
【0079】
本工程では塩基を用いると反応が速やかに進行する場合がある。本工程で塩基を使用する場合、用いる塩基とは、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物類、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ナノ-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)のような有機アミン類であり、好適には有機アミン類であり、さらに好適にはトリエチルアミン、トリブチルアミンまたはピリジンであり、特に好適にはトリエチルアミンである。
【0080】
本工程はは通常、溶媒中で行われる。溶媒としては反応を阻害しないものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、スルホランのようなスルホン類、およびそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類又はアミド類、およびそれらの混合物、更に好適にはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物であり、特に好適にはジクロロメタンまたはアセトニトリルである。
【0081】
本工程の反応温度は原料化合物、試薬等により異なるが、通常、-20℃乃至150℃であり、好適には-20℃乃至100℃である。
【0082】
本工程の反応時間は原料化合物、試薬、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至80時間である。好適には1時間乃至48時間である。
【0083】
本工程の反応終了後、化合物(III)は通常の後処理の後、自然晶析あるいは抽出および濃縮、などの単離操作によって単離されたのち、第三工程または第四工程を実施する。
(第三工程)
本工程は化合物(III)を有機溶媒中加熱攪拌し、溶解又は懸濁させ、その後冷却することにより再結晶または再懸濁によって不純物を除去し、より高純度の化合物(III)を製造する工程であるが、化合物(III)が結晶ではない場合や純度が十分高い場合には本工程を除くことも可能である。
【0084】
本工程は溶媒中で行われる。溶媒としては化合物(III)と反応せず、ある程度溶解するものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールのようなアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、およびそれらの混合物であり、好適にはアセトニトリル、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物であり、特に好適にはメタノールである。
【0085】
本工程の加熱温度は化合物(III)および溶媒の性質により異なるが、通常、室温〜使用溶媒の還流温度であり、好適には使用溶媒の還流温度である。
【0086】
本工程の時間は化合物(III)および溶媒の性質により異なるが、通常、10分間〜20時間であり、好適には20分間〜10時間である。
【0087】
本工程の終了後、化合物(III)は通常の晶析操作のあと、濾別操作によって単離されたのち、第四工程を実施する。
(第四工程)
本工程は、最終目的化合物(A)を製造する工程であり、化合物(III)を、酸存在下、環化させることにより達成される。
【0088】
本工程は溶媒中で行われる。溶媒としては化合物(III)と反応せず、ある程度溶解するものであれば特に限定はない。そのような溶媒とは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、メタンノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールのようなアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、およびそれらの混合物であり、好適にはハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、エーテル類およびそれらの混合物であり、更に好適にはジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物であり、特に好適にはメタノールである。
【0089】
本工程で用いる酸はブレンステッド酸、ルイス酸いずれを用いてもよいが、通常ブレンステッド酸を用いる。本工程で通常用いられるブレンステッド酸としては特に限定はないが例えば、塩化水素、臭化水素、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシ酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、サリチル酸等の有機酸があり、好適には塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、酒石酸でありさらに好適には塩酸、硫酸であり、特に好適には塩酸である。
【0090】
本工程で化合物(A)を塩として製造する場合、製造しようとする塩の酸をそのまま用いて対応する塩とすることもできる。
【0091】
本工程で用いる酸の量は用いる化合物(III)に対して1当量以上であれば特に限定はないが、好適には1〜15当量、さらに好適には2〜8当量である。
【0092】
本工程で化合物(III)が溶媒に溶解する場合、酸を添加する前に濾過操作を行う事で化合物(III)に混入している無機性あるいは有機性の難溶性不純物を取り除くことができる。
【0093】
本工程の反応温度は化合物(III)、酸および溶媒の性質により異なるが、通常、室温〜100℃であり、好適には35℃〜80℃であり、さらに好適には40℃〜60℃である。
【0094】
本工程の反応時間は化合物(III)、酸および溶媒の性質により異なるが、通常、30分間〜20時間であり、好適には1時間〜10時間である。
【0095】
本工程の反応終了後、化合物(A)もしくはその塩が結晶として晶析する場合は濾別操作によって単離することができる。化合物(A)もしくはその塩が結晶とならない場合は通常の後処理の後、抽出操作等の単離操作によって単離することができる。得られた化合物(A)は乾燥後そのまま用いてもよいし、さらに再結晶、カラムクロマトグラフィー、等の通常の精製操作を行った後使用してもよい。

本発明の高純度のチアゾリジンジオン化合物及びその結晶を含有する医薬は、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤又は細粒等の経口投与が可能な製剤で使用することができるが、好適には、錠剤である。
【0096】
上記製剤は、適宜、製薬学的に許容される添加物を含有してもよい。そのような添加物は、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α化デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムのようなデンプン誘導体;予めゼラチン化したデンプン;結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、珪酸水和物、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのようなケイ酸塩誘導体;リン酸二カルシウムのようなリン酸塩誘導体;塩化ナトリウムのような塩化塩誘導体;炭酸カルシウムのような炭酸塩誘導体;硫酸カルシウムのような硫酸塩誘導体;又はこれらの混合物)、結合剤(例えば、上記の賦形剤で例示した化合物;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール;又はこれらの混合物)、崩壊剤(例えば、上記の賦形剤で例示した化合物;架橋ポリビニルピロリドン;又はこれらの混合物)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;安息香酸ナトリウムのような安息香酸金属塩;ビーガム、ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;硫酸ナトリウムのような硫酸金属塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸金属塩;上記の賦形剤で例示したケイ酸塩誘導体;上記の賦形剤で例示したデンプン誘導体;水素化植物油;カルナバロウ;蔗糖脂肪酸エステル;又はこれらの混合物)、安定剤(例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウムのような安息香酸金属塩;メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸;又はこれらの混合物)、流動化剤(例えば、上記の賦形剤で例示したケイ酸塩誘導体;タルク;又はこれらの混合物)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80のようなポリソルベート類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60のようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類;ソルビタン脂肪酸エステル類;蔗糖脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類;ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル類;ステアリン酸ポリオキシル類;又はこれらの混合物、好適には、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60又はこれらの混合物)、着色剤(例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄)、抗酸化剤、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等)又は希釈剤であり得、使用される添加剤の種類及び量は、錠剤、カプセル剤又は他の投与形態薬剤により異なるが、製剤の分野の周知の技術に選択される。
【0097】
例えば、錠剤の場合には、全薬剤組成物中、結合剤の含量は、通常、1乃至10重量部(好適には、2乃至5重量部)であり、崩壊剤の含量は、通常、1乃至40重量部(好適には、5乃至30重量部)であり、滑沢剤の含量は、通常、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至3重量部)であり、流動化剤の含量は、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至5重量部)である。
【0098】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される添加物を用いて周知の方法(例えば、水を用いる混練方法、湿式粒状化方法等)により容易に製造される。そのような製造の例として、例えば、有効成分、安定化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤及び必要に応じて他の種類の助剤等を添加し、高速撹拌造粒機により混合し、得られた混合物に結合剤の水溶液を加えて練合し、造粒物を得る。その得られた造粒物を、流動層乾燥機器を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を、破砕造粒整粒機を用いて、スクリーンを強制的に通過させ、滑沢剤、崩壊剤及び必要に応じて他の種類の助剤等を加えてV型混合機で混合させ、得られた混合物を打錠し、又はカプセルに詰めることにより、それぞれ、錠剤又カプセル剤を製造することができる。
【0099】
得られた錠剤は、必要に応じて、糖衣又はコーティング(好適には、コーティング)を施すことができる。例えば、得られた錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、酸化チタン、乳糖、トリアセチン又はポリエチレングリコール、黄色三二酸化鉄若しくは三二酸化鉄、及び水からなるコーティング液を、パンコーティング機中で噴霧することにより、フィルムコーティングを施すことができる。
【0100】
又、上記の高速撹拌造粒機により混合し、結合剤の水溶液を加えて練合して得られた練合物を、押し出し造粒機を用いて、顆粒とした後、柵式乾燥機により乾燥し、乾燥した顆粒物を、破砕造粒整粒機を用いて、スクリーンを強制的に通過させることにより、顆粒剤を製造することができる。
【0101】
本発明の医薬組成物は、温血動物(特にヒト)に投与することができ、有効成分である5-[4-(6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン-2,4-ジオン又はその薬理上許容される塩の投与量は、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得るが、例えば経口投与の場合、1回当たり0.1mg/body〜20mg/body(好適には0.5mg/body〜3mg/body)をヒトに対して、1日当たり1乃至6回症状に応じて投与することができる。
【発明の効果】
【0102】
本発明は公知のインスリン抵抗性に起因する疾病の優れた予防および治療作用を有するチアゾリジンジオン誘導体の結晶およびその大量合成に適した製造方法を提供する。本発明の製造方法を用いることにより、大量合成する場合も収率よく高純度で、安価な試薬を用い簡便な操作で、かつ環境負荷を小さく、目的化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0103】
以下に本発明の実施例等を示し、さらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0104】
(実施例1)
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(220mg, 0.78mmol)のジクロロメタン(10ml)懸濁液に、室温で、塩化チオニル(170mg, 1.34mmol)、ついでピリジン(1滴)を加え、3.5時間還流した。得られた溶液を減圧下、濃縮し、ガム状の目的化合物を約250mg得た。
核磁気共鳴スペクトル(400MHz、DMSO-d6)δ(ppm):3.05 (1H, dd, J = 9.0 Hz, J = 14.1 Hz, CH2CH), 3.31 (1H, dd, J = 4.1 Hz, J = 14.1 Hz, CH2CH), 4.64 (2H. s, CH2O), 4.87 (1H, dd, J = 4.1 Hz, J = 9.0 Hz, CH2CH), 6.85 (2H, d, J = 8.6 Hz, aromatic), 7.16 (2H, J = 8.6 Hz, aromatic), 12.02 (1H, s, NH).
(実施例2)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(60.0g, 213.3mmol)のジクロロメタン(390ml)懸濁液に、塩化チオニル(27.66g, 232.5mmol)、ジメチルホルムアミド(12ml)を注加し、還流するまで(39℃まで)加温した。完全に溶解した後、30分撹拌し、0〜5℃まで冷却した。内温5℃以下を保ち、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(53.84g, 213.4mmol)及びトリエチルアミン(25.92g, 256.2mmol)のジクロロメタン(624ml)溶液を滴下した。反応液を5℃で1時間撹拌し、次にジクロロメタン(300ml)を注加し、次に炭酸水素ナトリウム(24g)と水(480ml)から調製した溶液を加え、20℃で20分撹拌し、静置後分液し、水層を廃棄した。有機層に水(480ml)を加え20℃で20分撹拌し、静置後分液し、水層を廃棄した。有機層に38%塩酸(19.8ml)と水(480ml)の溶液を注加し20℃で20分間撹拌した後、水層を廃棄し、さらに有機層へ活性炭(1.8g)、ジクロロメタン(18ml)を加え、30分間撹拌後、活性炭をろ過した。残渣をジクロロメタン(90ml)で洗浄し、ろ液と洗浄液を合わせ、内温25℃で液量300mlまで減圧濃縮した。常圧で10分撹拌した後、メタノール(300ml)を加え、内温25℃で液量300mlまで減圧濃縮した。さらにメタノール(300ml)を加え、内温30℃で液量300mlまで減圧濃縮した。ここへメタノール(198ml)を加え、0〜5℃まで冷却し、さらに1時間撹拌した。得られた結晶をろ別し、冷メタノール(240ml)で洗浄後減圧下50℃で乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを(97.09g, 188.3mmol)を得た(収率89%)。
(実施例3)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(40.0g, 142.2mmol)にアセトニトリル(400ml)を加え、内温7℃に冷却した後、塩化チオニル(18.4g, 155.0mmol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(32ml)を加え、同温度から11.4℃で3時間撹拌した。
【0105】
ここへ、0〜10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(38.4g, 137.9mmol)及びトリエチルアミン(18.7g, 184.9mmol)のアセトニトリル(240ml)溶液を反応温度が0〜5℃に保たれるように冷却しながら65分間かけて滴下した後、同温度でさらに2時間撹拌した。次に水(320ml)を15分かけて加え、内温0〜5℃で2.5時間撹拌した後、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をアセトニトリル:水=2:1溶液(160ml)で洗浄し、減圧下50℃で、19時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(63.6g, 123.4mmol)を得た(収率89%)。
(実施例4)
N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル
(4−1)
(本実施例では実施例3で用いたものとそれぞれ同一のロットの4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸およびN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを用いた。)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(40.0g, 142.2mmol)にアセトニトリル(400ml)を加え、内温8℃に冷却した後、塩化チオニル(18.4g, 155.0mmol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(32ml)を加え、同温度〜12℃で3時間撹拌した。ここへ、0〜10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(38.4g, 137.9mmol)及びトリエチルアミン(18.7g, 184.9mmol)のアセトニトリル(240ml)溶液を反応温度が0〜3℃に保たれるように冷却しながら65分間かけて滴下した後、同温度でさらに3.5時間撹拌した。次に水(320ml)を27分間かけて加え、0〜5℃で2.5時間撹拌した後、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をアセトニトリル:水=2:1溶液(160ml)で洗浄後、減圧下50℃で、15時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(67.6g, 131.0mmol)を得た(収率92%)。
(4−2)
(4−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの結晶(56.1g, 108.6mmol)のメタノール(1680ml)懸濁液を攪拌しながら加熱した(内温が65.5℃となったところで完全に溶解した)。反応液を2時間かけて0〜5℃まで冷却し、さらに同温度で95分間攪拌した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をメタノール(224ml)で洗浄後、減圧下50℃で15時間乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの精製結晶(51.6g, 100.0mmol)を得た(収率92%、全収率85%)。
(実施例5)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩
(5−1)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(61.0kg, 216.9mol)のジクロロメタン(398L)懸濁液に、塩化チオニル(28.15kg, 236.6mol)、ジメチルホルムアミド(6.1L)を注加し、6時間還流した。得られた溶液を0〜5℃まで冷却したのち、内温5℃以下を保ちながら、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(54.72kg, 216.9mol)及びトリエチルアミン(26.35kg, 260.4mol)のジクロロメタン(562L)溶液を1時間かけて滴下し、0〜5℃で15分間撹拌した。ここへ攪拌しながら水(488L)を注ぎ、炭酸水素ナトリウム(24.4kg)を加えたのち(内温度は約20℃に上昇した)、ジクロロメタン(305L)を注ぎ、冷却しながら20分間攪拌し、0〜3℃とした。ここへ水(488L)を注ぎ、10〜20℃で5分間攪拌した後、30分間静置し、水層を廃棄した。ここへ水(488L)ついで38%塩酸(23.8kg)を注ぎ5分間攪拌した後、10分間静置し、水層を廃棄した。ここへ水(488L)注ぎ、5分間攪拌した後、12時間静置し、水層を廃棄した。ここへ活性炭(1.83kg)のジクロロメタン(18L)懸濁液を加え、30分間攪拌した後、活性炭をろ別した。活性炭をジクロロメタン(92L)で洗浄し、ろ液と洗浄液を合わせ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。ここへメタノール(305L)を注ぎ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。さらにここへメタノール(305L)を注ぎ、内温20〜30℃で減圧下、約300Lとなるまで濃縮した。ここへメタノール(201L)を注ぎ、5℃で1時間攪拌後、得られた結晶をろ別し、メタノール(244L)で洗浄後、減圧下、50℃で乾燥し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(103.9kg, 201.5mol)を得た(収率93%)。
(5−2)
(5−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを(97.0kg, 188.1mol)をメタノール(2803L)、水(43L)および38%塩酸(72.8kg)からなる溶液に懸濁後、5時間攪拌しながら還流した。反応液を0〜5℃に冷却後、1時間攪拌し、同温度で12時間静置した。得られた結晶をろ別し、メタノール(291L)で洗浄後、減圧下50℃で乾燥し、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩(74.9kg、172.5mol)を得た(収率92%、実施例5の通算収率86%)。
【0106】
粉末X線回折(Cu Kα、λ=1.54オングストローム)での相対強度9以上のピークパターンを表1に示す。
(表1)

【0107】
(実施例6)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩
(6−1)
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸(18.0kg, 64.0mol)にアセトニトリル(140.9kg)を加え、内温8℃に冷却した後、塩化チオニル(8.3kg, 69.8mol)を加えた。さらにジメチルホルムアミド(14.4L)を加え、同温度〜15℃で3.5時間撹拌した。ここへ、0から10℃に保持した、N−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(15.7kg, 62.2mol)及びトリエチルアミン(8.4kg, 83.0mol)のアセトニトリル(84.6kg)溶液を反応温度が0〜5℃に保たれるように冷却しながら1時間かけて滴下した後、同温度でさらに2時間撹拌した。次に水(144L)を22分かけて加え、内温0〜6℃を保ちながら30分間撹拌した後、12時間静置した。得られた結晶をろ別後、水=2:1溶液(54L)で洗浄し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品結晶を得た。
(6−2)
(6−1)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品結晶のメタノール(450L)に懸濁液を攪拌しながら25分間還流した。懸濁液を0〜5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をメタノール(54L)で洗浄し、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品精製結晶を得た。
(6−3)
(6−2)で得られたN−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルの湿品精製結晶をメタノール(1080L)に懸濁後、還流し溶液とした。この溶液を50℃に冷却し、45分間かけてろ過した。残渣を50℃のメタノール(37L)で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、48℃で38%塩酸(20.9kg)、ついで水(11.2L)を注ぎ、同温度で6時間攪拌した。反応液を0〜5℃まで冷却した後、同温度で30分間攪拌し、12時間静置した。得られた結晶をろ別し、メタノール(91L)で洗浄後、減圧下50℃で乾燥し、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩(19.5kg、44.9mol)を得た(実施例6の通算収率70%)。
(実施例7)
(N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル(化合物(III1)の品質および経時安定性試験)
実施例3で得られた結晶、実施例3で得られた結晶を40℃で40日間保管した結晶、実施例4で得られた精製結晶、及び実施例4で得られた精製結晶を40℃で42日間保管した結晶の4検体の品質を分析した。品質の分析法は、以下の通りである。
【0108】
化合物(III1)の約10mg/Lのアセトニトリル-水(4:1)溶液を調整する。
【0109】
この試料溶液を約20μL用い、高速液体クロマトグラフィーで下記の条件で分析した。(この条件で被検物質は約12分の保持時間を示す。)
カラム:L-column ODS 4.6 x 250 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.02M酢酸アンモニウム水溶液 / アセトニトリル混合液(55:45)
流速:1ml/min
検出波長:220nm
測定温度:40度
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、各成分の含量(%) =100 ×(各成分のピーク面積)/(すべての成分のピーク面積の合計)とした。結果を表2に示す。
【0110】
(表2)

【0111】
各被験物質は、上記実施例で述べてきたように製造法に違いが有る。以下のスキーム(スキーム中の記号の定義は、前述のものと同意義)において、実施例4の結晶は、スキームに沿った合成方法で製造したものである。一方、実施例3の結晶は、以下のスキームのうち、第三工程の精製を行わずに製造したものである。
【0112】
【化24】

【0113】
表2から、第3工程の精製の操作を加えることにより、不純物の量が顕著に減少することがわかる。さらに、第3工程の精製の操作により得られた純度の高い結晶は、経時安定性に極めて優れていることも示されており、本結晶が医薬品の中間体として特に適した性質を有していることがわかる。
(実施例8)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩(以下、化合物(A1)とする)の不純物分析
(8−1)実施例5及び実施例6で得られた化合物(A1)の結晶の不純物の定性分析
分析しようとする化合物(A1)約0.02gを計り取り、0.5%リン酸水溶液−アセトニトリル(65:35)で溶解し100mlとし、これを試料溶液とする。
【0114】
(被験物質1:実施例5の化合物、被験物質2:実施例6の化合物、)
試料溶液を0.5%リン酸水溶液−アセトニトリル(65:35)で正確に100倍に希釈し、これを標準溶液とする。
【0115】
試料溶液および標準溶液を正確に10μlづつ用い、高速液体クロマトグラフィーで下記の条件で分析した。(この条件で被検物質は約10分の保持時間を示す。)
カラム:L-column ODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH = 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min
検出波長:225nm
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、各成分の含量(%)=[(試料溶液の各成分のピーク面積)/(標準溶液の被検物質のピーク面積)]とした。
【0116】
(8−2)実施例5及び実施例6で得られた化合物(A1)の結晶の定量分析。
試料溶解液:アセトニトリル‐0.5%リン酸水溶液(35:75)
内標準溶液:サリチル酸メチル約1mlを試料溶解液に溶解し、200mlとする。
標準溶液は以下のように調製した。
【0117】
化合物(A1)標準品約0.04gを200mlのメスフラスコに正確に量り取り、試料溶解液を約160ml加えて溶解させた後、内標準溶液10ml及び試料溶液を加え、200mlにした。この液10mlを正確に25mlのメスフラスコに入れた後、試料溶解液を加え、25mlとした。
測定試料溶液は以下のように調製した。
【0118】
試料約0.04gを200mlのメスフラスコに量り取り、試料溶解液を約160ml加え溶解させた後、内標準溶液10ml及び試料溶液を加え、200mlにした。この液10mlを正確に25mlのメスフラスコに入れた後、試料溶解液を加え、25mlとした。
HPLC条件は、以下の通り。
【0119】
検出波長:290nm
カラム:L-column ODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH = 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min(内標準の保持時間が約17分となるように調整する)
カラム温度:40℃
クロマトグラムから各々ピーク面積を求め、下記式に従って、化合物(A1)の含量を計算した。
化合物(A1)の含量(%) = W1 × F1 × (QT / QS) × [1 / {W2× (100 - F2) / 100}] × 100
W1:化合物(A1)標準品の秤取量(g)
W2:試料の秤取量(g)
F1:化合物(A1)標準品の純度係数
F2:カールフィッシャー水分計で測定した試料中の水分
QT:試料と内標準物質とのピーク面積比
QS:化合物(A1)標準品と内標準物質とのピーク面積比

実施例8の以上の結果を表3及び表4に示す。
【0120】
(表3)

【0121】
(表4)

【0122】
*)国際公開第00/71540号公報に記載の方法で製造した化合物(A1)(比較化合物)を参考例の方法で品質を定量分析した結果は、76%であった。
【0123】
各被験物質は、上記実施例で述べてきたように製造法に違いが有る。以下のスキーム(スキーム中の記号の定義は、前述のものと同意義)において、実施例6の結晶は、スキームに沿った合成方法で製造したものである。一方、実施例5の結晶は、以下のスキームのうち、第三工程の精製を行わずに精製したものである。また、国際公開第00/71540号公報に記載の方法は、中間体酸ハロゲン化物(I)を用いないルートで、かつ第三工程の精製も行わない方法で製造している。
【0124】
【化25】

【0125】
表3より、第三工程の精製の操作を加えることにより、不純物の量の顕著な減少が見られ、この精製方法が不純物の除去において特にすぐれていることを示している。さらに、第三工程における不純物の除去の効果が、最終物の純度にまで大きく反映していることから、第三工程の精製の操作は、高品質な化合物(A)の製造において、重要な操作であることがわかる。
【0126】
また、表4の結果から、公知の製法である国際公開第00/71540号公報に記載の方法に準じて製造した結晶の定量値が、76%であったことを比較すると、本発明の製法は、化合物(A)の製法に関して、より簡便な操作を用いる工業的な製法でありながら、効率よくしかも純度の高い結晶が得られることがわかる。
【0127】
(参考例1)
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の定量分析法
カラム:L-column ODS 4.6 x 150 mm(財団法人 化学物質評価研究機構)
移動層:0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH = 5)/ アセトニトリル混合液(13:7)
流速:1ml/min
検出波長:290nm
カラム温度:40度
この条件で、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩は、約10分で溶出し、得られたクロマトグラムから定量計算を行った。

(製剤例)
(製剤例1)
錠剤
表5に示す種類及び量の成分を用いて、以下の方法で錠剤を得た。なお、有効成分の用量、各添加剤の含量、種類については、表5に限定されるものではない。
【0128】
実施例5の結晶に、賦形剤(ラクトース)、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)を添加し、高速撹拌造粒機により混合し、得られた混合物に結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)水溶液を加えて練合し、造粒物を得た。その得られた造粒物を流動層乾燥機を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を破砕造粒整粒機を用いてスクリーンを強制的に通過させ、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を加えてV型混合機で混合させた。得られた混合物を直径7mmの杵を用いて成形し、色素(黄色三二酸化鉄)を分散させたコーティング(オパドライ WHITE YS-1-18202A)水溶液をコーティング機を用いスプレーし、所望の錠剤を得た。
(表5)

【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン・塩酸塩の結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。尚、粉末X線回折パターンの縦軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は2θの値で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項2】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が98%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項3】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が99%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項4】
純度が98%以上である、下記一般式(A)
【化1】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示す。]で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項5】
純度が98%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩。
【請求項6】
純度が99%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩。
【請求項7】
下記一般式(I)
【化2】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物又はその塩。
【請求項8】
Xが塩素原子である、請求項7に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【化3】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩の製造方法。
【請求項10】
Xが塩素原子である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
下記一般式(I)
【化4】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される酸ハロゲン化合物を、下記一般式(II)
【化5】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表されるフェニレンジアミン化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(III)
【化6】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の製造方法。
【請求項12】
R3がC1−C6アルコキシ基である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを反応させることを特徴とする、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩の製造方法。
【請求項14】
下記一般式(III)
【化7】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物の粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することを特徴とする精製方法。
【請求項15】
有機溶媒が、アルコール系溶媒である請求項14に記載の精製方法。
【請求項16】
一般式(III)で表される化合物が、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩である、請求項14又は15に記載の精製方法。
【請求項17】
下記一般式(III)
【化8】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物の不純物を、有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することにより、最終物の不純物の量を2%以下にすることを特徴とする、下記一般式 (A)
【化9】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項18】
下記一般式(I)
【化10】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物を、下記一般式(II)
【化11】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより得られる下記一般式(III)
【化12】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物を、酸で処理することを特徴とする、下記一般式(A)
【化13】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項19】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【化14】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【化15】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【化16】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の粗結晶を得、その粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することで精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することを特徴とする、下記一般式 (A)
【化17】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項20】
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン又はその薬理上許容される塩である、請求項17乃至19に記載の製造方法。
【請求項21】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【化18】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【化19】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【化20】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物又はその塩を得、その生成物の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流し精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することにより得られる一般式(A)
【化21】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項22】
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオンである、請求項21に記載のチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項23】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項24】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項25】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項26】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項27】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項28】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項29】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項30】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項31】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項32】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項1乃至3に記載された結晶の使用。
【請求項33】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【請求項34】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【請求項35】
請求項1乃至3に記載された結晶を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項36】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項37】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項38】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物。
【請求項39】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物。
【請求項40】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の組成物。
【請求項41】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,6−ジオン 塩酸塩の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項2】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が98%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項3】
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、純度が99%以上の{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩からなる結晶。
【請求項4】
純度が98%以上である、下記一般式(A)
【化1】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項5】
純度が98%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩。
【請求項6】
純度が99%以上である、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩。
【請求項7】
下記一般式(I)
【化2】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物又はその塩。
【請求項8】
Xが塩素原子である、請求項7に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【化3】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩の製造方法。
【請求項10】
Xが塩素原子である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
下記一般式(I)
【化4】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される酸ハロゲン化合物を、下記一般式(II)
【化5】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表されるフェニレンジアミン化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(III)
【化6】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の製造方法。
【請求項12】
R3がC1−C6アルコキシ基である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
塩化4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸とN−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−N−メチルカルバミン酸tert−ブチルを反応させることを特徴とする、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩の製造方法。
【請求項14】
下記一般式(III)
【化7】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。] で表される化合物の粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することを特徴とする精製方法。
【請求項15】
有機溶媒が、アルコール系溶媒である請求項14に記載の精製方法。
【請求項16】
一般式(III)で表される化合物が、N−{2−{4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシアセチルアミノ}−5−メトキシフェニル}−N−メチルカルバミン酸tert−ブチル又はその塩である、請求項14又は15に記載の精製方法。
【請求項17】
下記一般式(III)
【化8】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。] で表される化合物の不純物を、有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することにより、最終物の不純物の量を2%以下にすることを特徴とする、下記一般式 (A)
【化9】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項18】
下記一般式(I)
【化10】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。] で表される化合物を、下記一般式(II)
【化11】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより得られる下記一般式(III)
【化12】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物を、酸で処理することを特徴とする、下記一般式(A)
【化13】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項19】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【化14】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【化15】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【化16】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物の粗結晶を得、その粗結晶の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流することで精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することを特徴とする、下記一般式 (A)
【化17】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩の製造方法。
【請求項20】
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン又はその薬理上許容される塩である、請求項17乃至19に記載の製造方法。
【請求項21】
4−[(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イル)メチル]フェノキシ酢酸をハロゲン化剤と反応させることにより得られる下記一般式(I)
【化18】


[式中、Xはハロゲン原子を示す。]で表される化合物又はその塩を、下記一般式(II)
【化19】


[式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロメチル基若しくはハロゲン原子を示し、R5はC1−C6アルキル基を示し、R6はアミノ基の保護基を示す。]で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(III)
【化20】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前述したものと同意義を示す。] で表される化合物又はその塩を得、その生成物の有機溶媒(該有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、ニトリル類又はそれらの混合溶媒から選ばれる)懸濁液または溶液を還流し精製した後に、酸で処理することによりイミダゾール環に環化することにより得られる一般式(A)
【化21】


[式中、R1、R2、R3及びR4は前述したものと同意義を示す。] で表されるチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項22】
一般式(A)で表されるチアゾリジンジオン化合物が、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオンである、請求項21に記載のチアゾリジンジオン化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項23】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項24】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項25】
請求項1乃至3に記載された結晶を有効成分として含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項26】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項27】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項28】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項29】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項30】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病、高血糖症、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群若しくはアテローム性動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項31】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を含有する糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物。
【請求項32】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項1乃至3に記載された結晶の使用。
【請求項33】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【請求項34】
糖尿病の予防又は治療のための医薬組成物を製造するための請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【請求項35】
請求項1乃至3に記載された結晶を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項36】
請求項4乃至6に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項37】
請求項21又は22に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする、糖尿病の予防又は治療方法。
【請求項38】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物。
【請求項39】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において面間隔d=14.29、7.12、5.34、4.97、4.74、3.95、3.85、3.75、3.55、3.51、3.15、2.84、2.76、2.52及び2.37に主ピークを示す事を特徴とする、{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の結晶の組成物。
【請求項40】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて98重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の組成物。
【請求項41】
{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の含有量が、水を除いて99重量%以上である、精製された{5−4−[(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン 塩酸塩の組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−225382(P2006−225382A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15412(P2006−15412)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】