説明

チエニル−およびフラニル−イソキノリノン、ならびにそれらの使用方法



本発明は、例えば、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の修飾因子として作用する置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノンに関する。本発明は、置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノンの調製のための方法、ならびに様々な疾患および障害を治療する際のそれらの使用にも関する。該化合物は、例えば被験体におけるニューロン細胞死を阻害するために、PARP阻害剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の修飾因子として作用する置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノンに関する。本発明は、置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノンの調製のための方法、ならびに様々な疾患および障害を治療する際におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
酵素のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)系統群は、DNAの損傷に応答していくつかの核タンパク質の翻訳後修飾を触媒する。PARPの活性化は、傷ついたDNAを修復する細胞の能力に関与しているが、様々な心血管系および炎症性の疾患の病変形成においても役割を果たしている。PARP酵素の系統群には、PARP−1、PARP−2、PARP−3、タンキラーゼおよびVPARPと呼ばれる少なくとも5つのメンバーが含まれる。
【0003】
DNA修復ならびに様々な心血管系および炎症性の疾患の病変形成におけるPARPの役割のため、多くのPARP阻害剤が現在臨床的に開発されているか、またはすでに、慢性および急性の神経性および心血管系の状態ならびに癌を含めて、様々な疾患および状態の治療のための臨床試験中である。(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Pharmacological Research、52巻、2005年7月1日発行、109〜118頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PARRの活性を阻害することができる強力な化合物に対する要求が存在する。本発明は、この要求および他の要求に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特定の置換されたチエニルおよびフラニル−イソキノリノン、ならびに例えば医学的治療におけるそれらの使用を対象とする。一態様において、本発明は、PARPの修飾因子として作用する置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノンに関する。該化合物は、例えば被験体におけるニューロン細胞死を阻害するために、PARP阻害剤として使用することができる。該化合物は、例えば、虚血および再灌流による損傷、変性疾患、多発性炎症性疾患を含めた炎症、癌を含めた腫瘍疾患、ならびに心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症を含めた心血管機能障害を含めて、疾患および障害を治療するために使用することができる。
【0007】
特定の態様において、本発明は、式I
【0008】
【化1】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、SまたはOであり、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルならびに上記シクロアルキル基、フェニル基およびベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから選択される1個または複数の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式(monocylic)または二環式の複素環を形成し、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOであり、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルおよびシクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから選択される1個または複数の基で場合によって置換されている)
の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態を対象とする。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物に関する。
【0010】
また他の実施形態において、本発明は、虚血および/または再灌流による組織損傷を有する患者を治療するための方法;例えば、脳卒中、大脳または脊髄の外傷(例えば、脊髄損傷)、てんかん発症、心停止および/または遷延性低血圧、呼吸停止、一酸化炭素もしくはシアン化物中毒、溺死または水頭症の状況から起こる状態による大脳損傷を含めて、虚血および/または再灌流による組織損傷に関連する疾患を治療するための方法;例えば、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、黄斑変性症および網膜虚血を含めて、中枢神経系の変性疾患を治療するための方法;例えば、筋ジストロフィーを含めて、筋肉の変性疾患を治療するための方法;例えば、骨粗鬆症を含めて、骨の変性疾患を治療するための方法;例えば、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、および老化中に見られる免疫系の疾患を含めて、血管系の変性疾患を治療するた
めの方法;例えば、多発性硬化症および他の脱髄疾患、ギランバレー症候群、三叉神経および/または他の脳神経の神経痛、末梢神経障害および他の慢性疼痛、骨関節炎、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎および大腸炎の他の形態を含めた腸の炎症性疾患を含めて、炎症性疾患を治療するための方法;例えば、白血病、原発性またはAIDSに関連する肉腫、乳癌、難治性固形腫瘍、リンパ系腫瘍、脳腫瘍およびp53欠損腫瘍を含めて、癌の様々な形態の治療のための方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの一水和物形態および無水形態に関するPXRDパターンを示す図である。
【図2】図2は、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの無水形態に関するTGAおよびDSCのスキャンを示す図である。
【図3】図3は、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの一水和物形態に関するTGAおよびDSCのスキャンを示す図である。
【図4】図4は、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの無水遊離塩基形態に関する赤外(IR)スペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、とりわけ置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノン、ならびにPARPの修飾因子としてのそれらの使用を対象とする。該化合物は、PARPを阻害するために使用することができる。該化合物は、ニューロン細胞死に関連するものを含めて、様々な疾患および障害を治療するための医学的治療において使用することもできる。
【0013】
以下の定義は、本明細書において使用される用語を十分に理解するために提供される。
【0014】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から12個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは1個から6個の炭素原子、およびより好ましくは1個から4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を指す。「アルキル」という用語は、直鎖および分枝鎖を含める。直鎖のアルキル基は1個から8個の炭素原子を有し、分枝鎖のアルキル基は3個から12個の炭素原子を有する。アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオ−ペンチル基、n−ヘキシル基およびイソヘキシル基が挙げられる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、一般式−(CH−を有する二価アルキル基(式中、nは1から10である)、ならびにこの範囲の全ての組合せおよび下位組合せを指す。アルキレン基は、直鎖、分枝または環式であってよい。非限定的な例として、メチレン、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−(CH−)、トリメチレン、ペンタメチレンおよびヘキサメチレンが挙げられる。好ましいアルキレン基は、1個から約3個の炭素を有する。
【0016】
「ペルフルオロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から8個の炭素原子、好ましくは1個から3個の炭素原子の直鎖または分枝の脂肪族炭化水素鎖を指し、ここで、全ての水素は、フッ素で置き換えられている(例えばCF)。
【0017】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から3個の二重結合を
含有する、2個から12個の炭素原子を有する脂肪族直鎖または分枝炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例として、これらに限定されないが、ビニル、プロパ−1−エニル、アルキル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、3,3−ジメチルブタ−1−エニルまたは2−メチルビニルが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アルケニレン」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルケニレン基として、例えば、エテニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH=CHCH−)が挙げられる。好ましいアルケニレン基は、2個から約3個の炭素を有する。
【0019】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から3個の三重結合を含有する、2個から9個の炭素原子を有する脂肪族直鎖または分枝炭化水素鎖を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アルキニレン」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルキニレン基として、例えば、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡CH−)が挙げられる。好ましいアルキニレン基は、2個から約3個の炭素を有する。
【0021】
「複素環」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環原子、および窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1個から4個の環ヘテロ原子を含有する、3員から12員およびより好ましくは5員から7員の飽和、部分的不飽和または不飽和の単環式または二環式環系を指す。窒素および硫黄のヘテロ原子は、場合によって酸化されていてよい。複素環として、例えば、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンおよびアゼチジンなど、3員から12員の飽和単環式環が挙げられる。
【0022】
「シアノ」という用語は、本明細書で使用される場合、−CN基を指す。
【0023】
「アミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、−NH基を指す。
【0024】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。
【0025】
本発明の化合物は、溶媒和、特に水和することもできる。水和は、例えば該化合物もしくは該化合物を含む組成物の製造中に起こり得るか、または該水和は、該化合物の吸湿性の性質により時間をかけて起こり得る。当業者は、「式Iの化合物」という成句が、本明細書で使用される場合、式Iの溶媒和化合物を含めることを意味していると理解されよう。
【0026】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、患者に投与されると、患っているまたは患うと疑わしい患者の状態を少なくとも部分的に治療するのに有効である、本発明の化合物の量を指す。
【0027】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、一般に安全な、無毒性のおよび望ましい医薬組成物の調製において有用である賦形剤を意味し、獣医的使用ならびにヒト医薬的使用に許容できる賦形剤が挙げられる。こうした賦形剤は、固体、液体、半固体、またはエアゾール組成物の場合気体であってよい。
【0028】
「薬学的に許容される塩」は、医薬として許容でき、所望の薬理学的特性を有する塩を指す。こうした塩として、例えば、該化合物中に存在する酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応できるように形成され得る塩が挙げられる。適当な無機塩として、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムおよびカリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムを用いて形成されるものが挙げられる。適当な有機塩として、例えば、アミン塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびN−メチルグルカミンなどの有機塩基を用いて形成されるものが挙げられる。薬学的に許容される塩として、アルカン−およびアレーン−スルホン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様に公知の許容できる有機酸および無機酸)を含めた無機酸および有機酸との親化合物のアミン部分の反応から形成される酸付加塩も挙げることができる。
【0029】
「阻害剤」「活性化因子」および「修飾因子」という用語は、発現または活性に関連して使用される場合、それぞれ阻害分子、活性化分子または修飾分子を指す。本発明の阻害剤として、PARPの発現を阻害またはPARPに結合し、PARPの刺激を部分的または完全に遮断し、PARPの活性化を減少し、阻止し、遅延し、PARPの活性を不活性化し、脱感作し、または下方制御する化合物または組成物が挙げられる。PARPを含む試料またはアッセイは、本発明の組成物で処理し、本発明の組成物を用いない対照試料と比較することができる。対照試料(本発明の組成物で処理していない)は、相対活性値を100%とすることができる。特定の実施形態において、PARPの阻害は、対照に対する活性値が約80%以下の場合に達成される。
【0030】
「薬学的に許容される」、「生理学的に忍容性のある」という用語およびそれらの文法的変化形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指す場合相互に用いられ、該化合物の投与を妨げる程度である吐き気、眩暈および胃の不調など望ましくない生理的効果の発生なく該物質をヒトにまたはヒト上に投与できることを表す。
【0031】
記載のない限り、「被験体」または「患者」という用語は、相互に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラットおよびマウスなどの実験動物、および他の動物を指す。すなわち、「被験体」または「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を投与することができる任意の哺乳動物の患者または被験体を意味する。本発明の例示的な実施形態において、本発明の方法によって治療するための対象患者を同定するため、認められたスクリーニング方法を用いることによって、標的とされるもしくは疑わしい疾患または状態に関連する危険因子を決定し、または被験体における現存の疾患もしくは状態の状況を決定する。これらのスクリーニング方法として、例えば、標的とされるまたは疑わしい疾患または状態に関連する恐れがある危険因子を決定するための従来の精密検査が挙げられる。これらおよび他の通例の方法は、臨床医が、本発明の方法および製剤を使用する治療を必要としている患者を選択するのを可能にする。
【0032】
「投与する(administer)」「投与する(administering)」または「投与」という用語は、本明細書で使用される場合、化合物または組成物を患者に直接投与すること、または患者の身体内で活性化合物または活性物質の当量を形成する該化合物のプロドラッグ誘導体または類似体を該患者に投与することのいずれかを指す。
【0033】
「治療する(treat)」および「治療する(treating)」という用語は、本明細書で使用される場合、患者が患うと疑わしい状態を部分的または完全に軽減すること、阻害すること、予防すること、寛解させることおよび/または緩和することを指す。
【0034】
「患う(suffer)」および「患う(suffering)」という用語は、本明細書で使用される場合、患者が診断された、または患者が有すると疑わしい1つまたは複数の状態を指す。
【0035】
特定の態様において、本発明は、式I
【0036】
【化2】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、SまたはOであり、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、アルキル、アルケニルならびにシクロアルキル基、フェニル基およびベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOであり、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、アルキル、アルケニルおよびシクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されている)
の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態を対象とする。
【0037】
特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキル(perfluroalkyl)であり、ただし、Rが水素でないことが前提となる。
は、適宜水素またはハロゲンであってよい。特定の実施形態において、Rは水素である。
【0038】
特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して水素、C〜Cアルキ
ル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルである。
【0039】
適宜、RおよびRの1つまたは両方は、同一でありまたは異なってよいC〜Cアルキルである。
【0040】
特定の実施形態において、Xは、C〜CアルキレンC〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンである。
【0041】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成する場合、該環は適宜ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンであってよい。
【0042】
こうした置換されたチエニル−およびフラニル−イソキノリノン酸として、式II、IIIおよびIVの以下の化合物
【0043】
【化3】

(式中、X、Y、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書において定義した通りである)
またはそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0044】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、SまたはOであり、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRが、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素
原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOである
もの、またはそれらの薬学的に許容される塩の形態が挙げられる。
【0045】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、SまたはOであり、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRが、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成し、
が水素である
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0046】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRが、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0047】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、またはRおよびR
が、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態が挙げられる。
【0048】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する、
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0049】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0050】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0051】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンで
あり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0052】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0053】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0054】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0055】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0056】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン
、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンであるものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0057】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンであるものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0058】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンである。
【0059】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンである。
【0060】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0061】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0062】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素もしくはハロゲンであり、またはRが水素であり、
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0063】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素もしくはハロゲンであり、またはRが水素であり、
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0064】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0065】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0066】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0067】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0068】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xがメチルであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0069】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xがメチルであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0070】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xがメチルであり、
およびRがそれぞれ、独立してメチルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0071】
式I、II、IIIまたはIVの化合物として、
、R、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xがメチルであり、
およびRがそれぞれ、独立してメチルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0072】
式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物として、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、メトキシ、CNまたはCFであり、
が水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、メトキシ、CNまたはCFである
ものがさらに挙げられる。
【0073】
例示的な実施形態において、ハロゲンはフッ素である。
【0074】
例示的な実施形態において、XはC〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンである。
【0075】
式Iの化合物として、
2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;8−クロロ−2−[(ジメチルアミノ)メチル]チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジメチルアミノ)メチル]−8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロ−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジメチルアミノ)メチル]フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩;9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;9−ヒドロキシ−2−(1,3−チアゾリジン−3−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;9−ヒドロキシ−2−{[(1−メチルエチル)アミノ]メチル}チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(4−ブロモピペリジン−1−イル)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−[(ジベンジルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;2−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態において、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸塩または臭化水素酸塩である。
【0077】
式Iの化合物として、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c
]イソキノリン−5(4H)−オン、またはこの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0078】
式Iの化合物として、非晶質2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン、またはこの薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態がさらに挙げられる。
【0079】
式Iの化合物として、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン水和物がさらに挙げられる。
【0080】
式Iの化合物として、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン一水和物がさらに挙げられる。
【0081】
式Iの化合物として、約139℃で吸熱を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン一水和物がさらに挙げられる。
【0082】
式Iの化合物として、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン無水物(anhydrate)がさらに挙げられる。
【0083】
式Iの化合物として、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの両性イオンがさらに挙げられる。
【0084】
式Iの化合物として、約210℃および270℃で吸熱を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン無水物がさらに挙げられる。
【0085】
式Iの化合物として、10.4、10.6、14.5、21.3、26.8および32.1から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3個の特有な2θ値を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態がさらに挙げられる。
【0086】
式Iの化合物として、8.3、8.6、11.7、18.4、18.9、19.4、25.7および28.7から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3個の特有な2θ値を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶一水和物形態がさらに挙げられる。
【0087】
式Iの化合物として、平均粒径が約5から10μm、さらに特に約7μmである2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態がさらに挙げられる。
【0088】
式Iの化合物として、平均長さが約5から10μm、さらに特に約6μmである斜方晶集塊を特徴とする2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態がさらに挙げられる。
【0089】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、PARPの活性を調節するために使用することができる。こうした化合物は、様々な疾患および状態の治療にとって関心対象である。特定の実施形態において、それらは、例えば脳卒中、大脳または脊髄の外傷、てんかん発症、心停止による、および/または遷延性低血圧、呼吸停止、一酸化炭素もしくはシアン化物中毒、溺死または水頭症の状況による大脳損傷などの様々な神経系疾患から起こ
る虚血および再灌流による組織損傷、アポトーシスおよび/または壊死性細胞死の治療のために被験体に投与することができる。脳傷害は、毒性性質(興奮毒および他の化学製品)のもの、(外科を含めて)医原性のもの、およびイオン化放射線によることもあり得る。虚血および再灌流による組織損傷は心筋に影響し、梗塞後、冠動脈バイパス外科手術の間およびその後、移植心臓における灌流の再開時、および実際に外科的理由のため心停止が行われ、血液再灌流が開始される任意の時など、多くの心疾患に存在している恐れもある。腎臓、肝臓、腸および骨格筋系は、虚血および再灌流による損傷を受けやすい。これは、敗血症、内毒素、出血性および圧迫性のショックにおいて生じ得る。それは、絞扼性ヘルニア、腸ループの絞扼、および多発外傷患者における関節の遷延性圧迫後にも生じる。
【0090】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、変性疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARPの阻害は、様々な細胞の生殖能力を拡大し、通常加齢に伴う疾患を予防するために利用することができる。例示的な変性疾患として、例えばパーキンソン病、アルツハイマー型認知症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、黄斑変性症および網膜虚血など、中枢神経系のものが挙げられる。他の変性疾患として、例えば皮膚の加齢、筋肉の変性疾患(筋ジストロフィー)、骨の変性疾患(骨粗鬆症)および血管系の変性疾患(アテローム性動脈硬化症)、糖尿病、ならびに老化中に見られる免疫系の疾患が挙げられる。
【0091】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、炎症性疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARPの過剰な活性化は、中枢神経系および末梢器官の両方の支配的な炎症的性質の様々な疾患において有害であり得る。本発明の化合物は、したがって、以下の病的状況において有用であり得る。多発性硬化症および他の脱髄疾患、ギランバレー症候群、三叉神経および/または他の脳神経の神経痛、末梢神経障害および他の慢性疼痛、骨関節炎、ならびに腸の炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、および他の大腸炎の形態)。
【0092】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、腫瘍疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARP阻害剤は、イオン化剤または化学療法剤により誘発された腫瘍細胞の死を促進することができ、原発性であるか、またはAIDS、乳癌、難治性固形腫瘍、リンパ系腫瘍、脳腫瘍およびp53欠損腫瘍に関連しているかにかかわらず、癌の様々な形態、例えば白血病および/または肉腫の予防および治療において、単独および他の治療との組合せの両方で使用することができる。PARP阻害剤は、抗腫瘍剤の細胞毒性を増強するように作用することができる。例えば、PARP阻害剤は、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、および例えばテモゾロマイドを含めたアルキル化剤の細胞毒性を増強するように作用することができる。
【0093】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、例えば、例えば卵巣癌、子宮頸癌および子宮癌を含めて、雌性生殖器の癌;肺癌;乳癌;腎細胞腫瘍;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;例えば腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌および尿道癌を含めて、尿生殖器系の癌;頭部および頸部の癌;肝臓癌;例えば胃癌、食道癌、小腸癌または大腸癌を含めて、胃腸管系の癌;胆樹の癌;膵癌;例えば精巣癌を含めて、雄性生殖器系の癌;妊娠性トロホブラスト疾患;例えば甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、カルチノイド腫瘍、インスリノーマおよびPNET腫瘍を含めて、内分泌系の癌;例えばユーイング肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫および横紋筋肉腫を含めた肉腫;中皮腫;皮膚の癌;メラノーマ;中枢神経系の癌;小児癌;ならびに例えば白血病、脊髄形成異常性症候群、骨髄増殖性疾患および多発性骨髄腫の全形態を含めて、造血系の癌を含めた癌の治療のために被験体に投与することができる。
【0094】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、骨折ならびに骨粗鬆症を含めた骨障害の
治療のため、ならびに関節炎、慢性閉塞性肺疾患、軟骨欠損、平滑筋腫、急性骨髄球性白血病、創傷治癒、前立腺癌、グレーブス眼症などの自己免疫性炎症性障害およびそれらの組合せの治療のために被験体に投与することができる。
【0095】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、網膜変性症および軸索切断の治療のために被験体に投与することができる。
【0096】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症を含めた心血管機能障害の治療のために被験体に投与することができる。
【0097】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、脳損傷を減少するため、部分的または完全な動脈閉塞後に被験体に投与する。該化合物は、閉塞直後に、または動脈閉塞後著しく遅延しても投与することができる。例えば、特定の実施形態において、投与は、動脈閉塞の1時間から10時間(すなわち、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間または10時間)後、好ましくは動脈閉塞の1時間から4時間後に開始する。
【0098】
特定の実施形態において、本発明は、したがって、本発明の化合物の治療有効量を、こうした病気を患うと疑われる患者に投与することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、上に列挙されている病気のそれぞれを治療、予防、阻害または軽減する方法を提供する。
【0099】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種または複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。特定の実施形態において、該組成物は、本発明の1種または複数の化合物の混合物を含む。
【0100】
本発明の他の実施形態において、本発明の化合物は、例えば虚血性脳卒中の補助的治療として、組織プラスミノゲン活性化因子もしくはtPAなどの血小板溶解薬と一緒に、または組み合わせて投与することができる。
【0101】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子または他のキラル元素を含有し、したがって、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた立体異性体を生じさせる。本発明は、一般に、式Iの化合物の全ての立体異性体、ならびに該立体異性体の混合物に関する。本出願を通して、不斉中心の絶対配置に関する表示のない化合物の名称は、個々の立体異性体、ならびに立体異性体の混合物を包含すると意図される。旋光度[(+)、(−)および(±)]の言及は、互いにおよびラセミ体からエナンチオマーを識別するのに利用される。さらに、本出願を通して、RおよびSという記号表示は、最も低い番号の不斉中心に対してRを自動的に付けるケミカルアブストラクトの慣例を用いて、相対立体化学を示すために使用される。
【0102】
エナンチオマーは、本発明の一部の実施形態において、対応するエナンチオマーを実質的に含まずに提供することができる。したがって、エナンチオマーを、対応するエナンチオマーを実質的に含まないと言及することは、それを、分離技術を介して単離もしくは分離、または調製することによって、対応するエナンチオマーを実質的に含まないことを示唆する。「実質的に含まない」は、本明細書で使用される場合、有意に小さい割合の対応するエナンチオマーが存在することを意味する。好ましい実施形態において、所望のエナンチオマーに対して約90重量%未満の対応するエナンチオマーが存在し、より好ましくは約1重量%未満である。好ましいエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含めて、当業者に公知の任意の方法によりラセミ混合物から単離することができ、または好ましいエナンチオマーは、本明細書に記載されている方法により調製することができる。エナンチオマーの調製のための方法は、例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、NewYork、1981年); Wilen, S.H.ら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年); Eliel, E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L. Eliei編集、Univ. of NotreDame Press、Notre Dame、IN、1972年)に記載されており、これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0103】
本発明の化合物が両性イオンである場合、本発明の化合物の両性イオン形態および非イオン形態の間は平衡であることを理解されよう。両性イオンおよび非イオンの形態ならびに両性イオンおよび非イオンの形態の平衡混合物は、全て本発明の範囲内である。
【0104】
本発明の化合物は、重水素化することによって、1個または複数の水素をこの重同位体により置き換えられてもよい。重水素化化合物は、所与の位置で1%、5%、10%または50%以上の重水素を含有する。重水素は、市販されているまたは当業者に公知の方法により調製される適当な重水素化(dueterated)中間体を使用することにより、合成手順に従って種々の位置に組み込むことができる。重水素は、プロトン−重水素平衡交換を介してヒドロキシルまたはアミドなど交換可能なプロトンを有する様々な位置に組み込むこともできる。
【0105】
本発明の化合物は、互変異性体であってもよい。互変異性体は、エノール−ケトおよびイミン−エナミン互変異性体、またはピラゾール類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、トリアゾール類およびテトラゾール類など、−NH−環部分および=N−環部分の両方に結合している環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性形態など、プロトンの位置が異なる化合物の交互形態を指す。
【0106】
以下の合成スキームは、本発明の化合物の調製のための一般的手順を例示するために設計されており、限定するためではない。使用される試薬は、市販で得ることができるか、または文献に記載されている標準手順により調製することができる。本発明の範囲は、全ての異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、および限定されないがラセミ混合物を含めた全ての混合物を包含することが意図される。本発明の化合物の異性体形態は、当業者に公知の方法または立体特異的もしくは不斉的である合成方法を使用して、分離または分割してよい。
【0107】
スキーム1に例示されている通り、本発明の化合物は、2,3−ジブロモフランから調製することができる。市販されている2,3−ジブロモフラン(II)を、Tietze, L.F.ら、Synlett、2002年、2083〜2085頁に従って、EtO中のn−BuLiで処理し、続いて生じるアニオンをDMFまたはN−ホルミルピペリジンなどの試薬でトラッピングすることによって、対応する2−ホルミル−3−ブロモフラン(III)を得る。p−TsOH・HOの存在下エチレングリコールなどのジオールを用いるホルミル基の保護で、アセタール(IV)を得る。n−BuLiを用いるこのアセタールの処理、続いてB(On−Bu)を用いるクエンチで、ボロン酸(V)を生成する。臭化アリールを用いる鈴木クロスカップリング、続いてアセタールの加水分解で、対応する2−ホルミル−3−アリール化チオフェン(VI)を得る。ジョーンズ試薬などの試薬を用いるアルデヒドの酸化で、対応する酸を生成する。三環形成(VIII)は、SOClまたは(CO)Clなどの試薬を使用してカルボン酸を対応する酸塩化物に変換すること、クルチウス転位を経ることによって対応するイソシアネートを得るアジ化ナトリウムを使用するアジ化アシルへの変換、続いてジクロロベンゼンなどの高沸点非極性溶媒中にて加熱下で閉環することにより達成される。化合物(I)は、次いで、マンニッヒ条件(アミ
ン、CHO、加熱)下でアミン側鎖を添加することにより調製される。
【0108】
スキーム1
【0109】
【化4】

フラン酸(XI)の調製は、スキーム2に従って行われる。臭化フラン(X)をPd(PhP)、NaCO水溶液の存在下にてDME中でアリールボロン酸とカップリングすることによって、(XI)を生成する。Iのフラン(IX)類似体は、次いで、スキームIにおける通りに調製することができる。三環形成は、SOClまたは(CO)Clなどの試薬を使用してカルボン酸を対応する酸塩化物に変換すること、アジ化ナトリウムを使用するアジ化アシルへの変換と、クルチウス転位を経ることによって対応するイソシアネートを得、続いてジクロロベンゼンなどの高沸点非極性溶媒中にて加熱下で閉環することにより達成される。化合物(IX)は、次いで、マンニッヒ条件(アミン、CHO、加熱)下でアミン側鎖を付加することにより調製される。
【0110】
スキーム2
【0111】
【化5】

アルキン類似体(XIII)およびプロピルアミン類似体(XIV)の調製は、スキーム3に示されている。チオフェン類(VIII)をICIなどの求電子ヨウ素供給源を使用して選択的にヨウ化することによって、対応する2−ヨードチオフェン類(XII)を得ることができる。触媒のPd(II)およびCuIの存在下にてプロパルギルアミン類を使用する薗頭クロスカップリングで、対応するチオフェンアルキン類(XIII)を得る。対応するプロピル類似体(XIV)は、Hおよびカーボン担持Pdを使用する還元により調製される。アルケン誘導体(XV)は、スキーム4に従って調製される。ヨウ化類似体(XII)がアリルアミン類を用いるHeck Pd触媒カップリングを経ることによって、アルケン化合物(XV)を得る。
【0112】
スキーム3
【0113】
【化6】

スキーム4
【0114】
【化7】

特定の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物および1種または複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。こうした組成物は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、編集Alfonoso R. Gennaro、MackPublishing Company、Easton、PA(1985年)に記載されているものなど一般の医薬製剤手順に従って調製される。薬学的に許容される担体は、該製剤中の他の成分と相容性があり、生物学的に許容できる担体である。
【0115】
本発明の化合物は、経口もしくは非経口で、未希釈で、または従来の医薬品担体との組合せで投与することができる。適用可能な固体担体として、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、バインダー、錠剤崩壊剤または封入材料として作用することもできる1つまたは複数の物質を挙げることができる。散剤において、該担体は、微粉化活性成分との混合状態である微粉化固体である。錠剤において、該活性成分は、必要な圧縮特性を適当な割合で有する担体と混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、活性成分を最大99%まで含有するのが好ましい。適当な固体担体として、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、低融ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0116】
液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルを調製するのに使用することができる。該活性成分は、水、有機溶媒、両方の混合物または薬学的に許容される油もしくは脂肪など薬学的に許容される液体担体中に溶解または懸濁することができる。該液体担体は、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存料、甘味料、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤など、他の適当な医薬品添加剤を含有することができる。経口および非経口投与用の液体担体の適当な例として、水(特に、上記の通りの添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液を含有する)、アルコール(一価アルコール、および多価アルコール例えばグリコールを含める)およびこれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別やし油およびラッカセイ油)が挙げられる。非経口投与のため、該担体は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液状形態組成物に使用される。加圧組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴霧剤であってよい。
【0117】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば筋肉内、腹腔内または皮下の注射により投与することができる。滅菌溶液は、静注、ボーラスもしくは注入またはそれらの組合せなどにより静脈内に投与することもできる。経口投与用の組成物は、液体または固形のいずれかの形態であってよい。
【0118】
本発明の化合物は、従来の坐剤の形態で直腸または経膣に投与することができる。鼻腔内または気管支内の吸入または吹入による投与のため、該化合物は、水溶液または部分的水溶液に処方することができ、次いでエアゾールの形態で利用することができる。本発明の化合物は、該活性化合物、および該活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して無毒性であり、皮膚を介して血流中への全身吸収用薬剤の送達を可能にする担体を含有する経皮パッチの使用を介して経皮的に投与することもでる。該担体は、クリームおよび軟膏剤、ペースト剤、ゲルならびに閉塞性デバイスなど、任意の数の形態をとることができる。クリームおよび軟膏剤は、粘稠液体、または水中油型もしくは油中水型のいずれかの半固体エマルジョンであってよい。該活性成分を含有する石油または親水性石油に分散された吸収性粉末を含むペースト剤も適当であり得る。担体の有無にかかわらず活性成分を含有するリザーバーを覆う半透膜、または活性成分を含有するマトリックスなどの様々な閉
塞性デバイスが、該活性成分を血流中に放出するために使用できる。他の閉塞性デバイスは、文献において公知である。
【0119】
好ましくは、該医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、粒剤または坐剤としての単位剤形である。こうした形態において、該組成物は、該活性成分の適当な分量を含有する単位用量に細分することができ、該単位剤形は、包装組成物、例えば小包散剤、バイアル、アンプル、予備充填シリンジ、または液体を含有するサシェであってよい。該単位剤形は、例えばカプセル剤もしくは錠剤自体であってよく、または包装形態における適当な数の任意のこうした組成物であってよい。
【0120】
患者に与えられる量は、投与されているもの、投与の目的および患者の状況、ならびに投与の方法などに依存して変動する。治療用途において、式Iの化合物は、疾患をすでに患っている患者に、該疾患およびその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に寛解させるのに十分な量で与えることができる。これを達成するのに適切な量を「治療有効量」と定義する。特定の場合の治療に使用される投与量は、主治医により主観的に決定されなければならない。関与する変動要素として、特定の状態ならびに患者のサイズ、年齢および応答パターンが挙げられる。該化合物は、皮膚および粘膜に対して経口的、直腸的、非経口的または局所的に投与することができる。通常の日用量は、特定の化合物、治療の方法および治療される状態に依存する。通常の日用量は、例えば経口適用に対しては単回用量または細分用量のいずれかで0.01mg/kg〜1000mg/kg、好ましくは0.5mg/kg〜500mg/kg、例えば非経口適用に対しては毎日1回から3回で約0.1mg/kg〜100mg/kg、好ましくは毎日1回から3回で0.5mg/kg〜50mg/kgである。
【0121】
特定の実施形態において、本発明は、本発明において提供される化合物のプロドラッグを対象とする。「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、インビボで代謝手段により(例えば加水分解により)式Iの化合物に変換可能な化合物を意味する。例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBundgaard、(編集)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985年);Widderら(編集)、Methodsin Enzymology、4巻、Academic Press(1985年);Krogsgaard−Larsenら、(編集)「Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development」、5章、113〜191頁(1991年)、Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews、8巻:1〜38頁(1992年)、Bundgaard, J.のPharmaceutical Sciences、77巻:285頁以下参照(1988年);およびHiguchiおよびStella(編集)Prodrugsas Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975年)において考察されているものなど、様々な形態のプロドラッグが当技術分野で公知である。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態の例示であり、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではない。使用される試薬は、市販で得ることができるか、または文献において記載されている標準手順により調製することができる。本発明の範囲は、全ての異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、および限定されないがラセミ混合物を含めた全ての混合物を包含することが意図される。本発明の化合物の異性体形態は、当業者に公知の方法を使用して、または立体特異的もしくは不斉的である合成方法によって、分離または分割してよい。
【0123】
(実施例1)
2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0124】
【化8】

9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン(Pellicciari,R.ら、Farmaco、2003年、58巻、851〜858頁)(0.20g、0.86mmo
l)を、乾燥DMF(1ml)および乾燥MeCN(2ml)の混合物中に溶解し、公知手順(Kinast,G.ら、Angew.Chem.Int.編集Engl.1976年、15巻、239〜240頁。Bohme, HらChem.Ber.1960年、93巻、1305頁)に従って調製されたN,N−
ジメチル(メチレン)塩化アンモニウム(1.2mmol)で処理した。反応混合物を終夜還流させた。形成された固体を次いで濾過し、乾燥ジエチルエーテルで洗浄することによって、標題化合物(83%の収率)が固体として得られた。
mp264〜265℃。
【0125】
【化9】

MS(ES)m/z289(M+H)
(実施例2)
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン臭化水素酸塩
【0126】
【化10】

三臭化ホウ素、1MのCHCl溶液、(0.1ml、0.41mmol)を、2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩(0.03g、0.09mmol)のジクロロメタン(2ml)溶液に添加し、反応混合物を24時間還流させた。混合物を23℃に冷却し、氷に注ぎ、生じた混合物を減圧下で蒸発させた。混合物を96%エタノールでの結晶化により精製することによって、標題化合物(54%の収率)を純粋固体として得た。
mp>300℃。
【0127】
【化11】

MS(ES)m/z275(M+H)
(実施例2A〜2D)
【0128】
【化12】

(2A)9−メトキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン(6)
3−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(6g;25.61mmol)のベンゼン(90mL)懸濁液に、SOCl(20mL)およびジメチルホルムアミド(DMF)(2滴)を添加した。反応混合物を3時間から4時間加熱還流した。後処理したTLCおよびNMR試料は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエン中に戻し、濃縮乾固させることによって、酸塩化物中間体が定量的収率で得られ、IRおよびNMR分光法により立証された。これを次いでテトラヒドロフラン(THF)(90mL)中に溶解し、0℃に冷却した。水(18mL)中のアジ化ナトリウム(2.5g、38.42mmol)の調製溶液を1分かけて添加した。生じた黄褐色の反応混合物を室温に加熱し、1時間撹拌した。後処理したTLC試料は、反応が完了したことを示した。
【0129】
反応混合物を氷、水でクエンチし、エーテル(2×)で抽出した。合わせたエーテル抽出物をMgSOで乾燥させ、濾別し、加熱せずに濃縮乾固させることによって、アシルアジド中間体(淡褐色固体として6.3g)が93%の収率で得られた。IRおよびNMRデータは一致した。このアシルアジド中間体を1,2,ジクロロベンゼン(110mL)中に溶解し、滴下により1.3時間かけて1,2,ジクロロベンゼン(150mL)の調製沸騰溶液(185℃)に添加した。反応は、後処理したTLCおよびHPLC試料により示された通り、3時間から4時間後に完了した。生じた黒色の反応混合物を室温に冷却し、終夜撹拌した。溶媒を真空中で除去し、黒色残渣をCHCl(100mL)で粉砕し、濾別し、乾燥させることによって、中間体6(9−メトキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン;灰色固体として4.7g)が79%の収率で得られた。
(M+H)232;
【0130】
【化13】

(2B)2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン(7)
9−メトキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン(12.7g;54.9mmol)およびN,N−ジメチルメチレン塩化アンモニウム(8.53g;91
.14mmol)を、0.5Lの三口丸底瓶フラスコに窒素雰囲気下で入れた。撹拌下にて、DMF(75mL)、続いてアセトニトリル(ACN)(190mL)を添加し、反応混合物を、予熱した油浴(90℃)に入れた。反応は、後処理したNMR試料により示された通り、1.5時間後に完了した。
まだ温かい間に、生成物を濾別し、ACN、t−ブチルメチルエーテル(TBME)で洗浄し、乾燥させることによって、7が(16.8g、94%の収率でオフホワイト固体として)得られた。
(M+H)289;
【0131】
【化14】

(2C)2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン−臭化水素酸塩
撹拌下にて、48%HBr(570mL)の冷たい(−20℃)溶液に、2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン(16.8g;51.7mmol)を一度に添加した。漏斗を氷酢酸(60mL)で濯ぎ、生じた暗色の懸濁液を、室温に20分かけて加熱し、次いで、還流して(135℃の浴温)24時間続けた。40℃で、懸濁液は黒色の溶液になった。反応は、後処理したTLC、NMRおよびHPLC試料により示された通り、還流の24時間後に完了した。
【0132】
反応混合物を室温に冷却し、揮発性成分を減圧下で(80℃)除去することによって、緑がかった色の固体(22.5g)が得られた。これを沸騰MeOH(210mL)中に溶解し、木炭(10g)で処理した。熱溶液を濾別し、ケーキをMeOHで洗浄した。合わせたMeOH濾液を、130mLの容量に濃縮した。撹拌下にて、エーテル(70mL)を30分かけて添加し、生成物を濾過により回収し、メチル−tert−ブチル−エーテル(MTBE)で洗浄し、乾燥させることによって、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン−臭化水素酸塩(12.7g;69%の収率で緑がかった固体として;mp:214℃)が得られた。
(M+H)275;
【0133】
【化15】

(2D)2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン−塩酸塩
窒素雰囲気下での2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン−臭化水素酸塩(7g;22.5mmol)の無水MeOH(300mL)溶液に、HCl(g)を25分かけて穏やかに泡立てた。20分後、一部の固体が沈殿し始めた。HCl(g)の泡立ちを停止させ、懸濁液を室温で終夜撹拌した。撹拌下にて、エーテル(300mL)を20分かけて添加し、生じた塩酸塩を濾過により回収し、エーテル(100mL)で洗浄し、60℃にて真空オーブン内で乾燥させることによって、6.67gが得られた。イオンクロマトグラフィーは1.13当量のHClを示し、NMRは予想生成物と一致した。これと、同様の操作からの2.8gとを合わせ(9.45g)、熱水(70mL)中に溶解した。撹拌下にて、アセトン(800mL)を滴下により40分かけて添加し、濾別し、アセトン(100mL)で洗浄し、60℃にて真空オーブン内で24時間乾燥させることによって、2−ジメチルアミノメチル−9
−ヒドロキシ−4H−チエノ[2,3−c]イソキノリン−5−オン−塩酸塩;7.1g;80%の収率;HPLC:99.25%が得られた。イオンクロマトグラフィーは、0.93当量のHCl、再結晶後に0.93当量に低下したHClの含有量を示した。
(M−H)273.1;
【0134】
【化16】

(実施例3)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]チエノ[2.3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0135】
【化17】

標題化合物は、9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの代わりにチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン(Pellicciari, R.、Camaioni, E.、Costantino, G.、Marinozzi, M.、Macchiarulo,A.、Moroni, F.およびNatalini, B.、Farmaco、2003年、58巻、851〜858頁)を使用し、実施例1の手順
に従って調製した。
MS(ES)m/z259(M+H)。
【0136】
(実施例4)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0137】
【化18】

ステップ1
7−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0138】
【化19】

標題化合物は、2−ブロモベンゼンの代わりに4−ブロモフルオロベンゼンを使用したこと以外はPellicciari, R.ら、2006年、米国特許第6,989,388号の実施例
1に従って調製した。
【0139】
ステップ2
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン
−5(4H)−オン塩酸塩
【0140】
【化20】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z277(M+H)。
【0141】
(実施例5)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0142】
【化21】

ステップ1
9−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0143】
【化22】

標題化合物は、2−ブロモベンゼンの代わりに2−ブロモフルオロベンゼンを使用したこと以外はPellicciari, R.およびMoroni, F.、2006年、米国特許第6,989,3
88号の実施例1に従って調製した。
【0144】
ステップ2
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0145】
【化23】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z277(M+H)。
【0146】
(実施例6)
8−クロロ−2−[(ジメチルアミノ)メチル]チエノ[2,3−c]イソキノリン−
5(4H)−オン塩酸塩
【0147】
【化24】

ステップ1
8−クロロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0148】
【化25】

標題化合物は、2−ブロモベンゼンの代わりに3−ブロモクロロベンゼンを使用したこと以外はPellicciari, R.およびMoroni, F.、米国特許第6,989,388号の実施例
1に従って調製した。
【0149】
ステップ2
8−クロロ−2−[(ジメチルアミノ)メチル]チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0150】
【化26】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z293(M+H)。
【0151】
(実施例7)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロ−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0152】
【化27】

ステップ1
7−フルオロ−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0153】
【化28】

標題化合物は、2−ブロモベンゼンの代わりに2−ブロモ−5−フルオロアニソールを使用したこと以外はPellicciari, R.およびMoroni, F.、2006年、米国特許第6,9
89,388号の実施例1に従って調製した。
【0154】
ステップ2
2−((ジメチルアミノ)メチル)−7−フルオロ−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0155】
【化29】

標題化合物を、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例1の手順に従って調製した。
【0156】
ステップ3
2−((ジメチルアミノ)メチル)−7−フルオロ−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0157】
【化30】

標題化合物を、出発原料として上記のステップ2の生成物を使用し、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z293(M+H)。
【0158】
(実施例8)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0159】
【化31】

ステップ1
8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0160】
【化32】

標題化合物は、2−ブロモベンゼンの代わりに3−ブロモアニソールを使用したこと以外はPellicciari,R.およびMoroni, F.、2006年、米国特許第6,989,388号の実施例1に従って調製した。
【0161】
ステップ2
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0162】
【化33】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z289(M+H)。
【0163】
(実施例9)
2−[(ジメチルアミノ)メチル]フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0164】
【化34】

ステップ1
3−フェニル−2−フランカルボン酸
【0165】
【化35】

3−ブロモ−2−フランカルボン酸(DME(105ml)中に溶解した540mg、2.8mmol)に、(PhP)Pd(936mg、0.81mmol)を添加し、生じた溶液を室温で15分撹拌した。混合物をベンゼンボロン酸500mg(3.0mmol)、2MのNaHCO(4mmol)の水溶液で処理し、10時間加熱還流した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で一部除去し、生じた混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。水層を10%HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出(5回)した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させた。残渣を、n−ヘキサン/酢酸エチル(約8:2)の混合物から結晶化させることによって、標題化合物が得られた。収率:70%。
【0166】
【化36】

ステップ2
フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0167】
【化37】

塩化チオニル(1ml)を、3−フェニル−2−フランカルボン酸(300mg、1.46mmol)の乾燥ベンゼン10ml懸濁液に添加し、混合物を2時間還流した。溶媒および過剰量の塩化チオニルを減圧下で除去し、残渣を、乾燥THF10mlを使用して溶かし、0℃に冷却した。アジ化ナトリウム(1.5mmol)を最少量の水中に溶解し、急速に添加し、生じた溶液を1時間室温で撹拌した。100mlの砕氷/HO中に注ぎ、ジエチルエーテル(4×100ml)で抽出した後、回収した有機層をNaSOで乾燥させた。濾液を減圧下で穏やかに蒸発させ、残渣をo−ジクロロベンゼン10ml中に溶解し、生じた混合物を5〜10時間還流した。混合物を次いで冷却し、フラッシュクロマトグラフィーに直接かけ、ジクロロメタン/メタノール(99/1)を用いる溶出で標題化合物を得た。収率:68%。
mp216〜218℃。
【0168】
【化38】

ステップ3
2−[(ジメチルアミノ)メチル]フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0169】
【化39】

フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン(55mg、0.27mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド(1ml)および乾燥アセトニトリル(2ml)の混合物中に溶解し、公知手順(Kinast G.らAngew.Chem.Int.Ed.Engl.1976年、15巻(4)、239〜240頁;Bohme H.らChem.Ber.1960年、93巻、1305頁)に従って
調製したN,N−ジメチル(メチレン)塩化アンモニウム(1mmol)で処理した。反応混合物を終夜還流し、生じた沈殿物を濾過し、乾燥ジエチルエーテルで洗浄することによって、標題化合物が得られた。収率:65%。
mp>200℃。
【0170】
【化40】

(実施例10)
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0171】
【化41】

ステップ1
9−メトキシ−2(モルホリノメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0172】
【化42】

モルホリン(950μL、0.011mmol)を、9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの37%ホルムアルデヒド水溶液2.6mL溶液にゆっくり添加し、生じた反応混合物を7時間還流した。全ての出発原料が消費されるまで、反応をTLCによりモニターした。室温に冷却した後、反応混合物を水および酢酸エチルの間で分配し、有機物を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させることによって、標題化合物を淡色固体として生成した。
MS(ES)m/z331(M+H)。
【0173】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0174】
【化43】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z317(M+H)。
【0175】
(実施例11)
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0176】
【化44】

ステップ1
9−メトキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0177】
【化45】

標題化合物は、モルホリンの代わりにピペリジンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z329(M+H)。
【0178】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0179】
【化46】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z315(M+H)。
【0180】
(実施例12)
9−ヒドロキシ−2−(1,3−チアゾリジン−3−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0181】
【化47】

ステップ1
9−メトキシ−2−(チアゾリジン−3−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0182】
【化48】

標題化合物は、モルホリンの代わりにチアゾリジンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z333(M+H)。
【0183】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(1,3−チアゾリジン−3−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0184】
【化49】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z319(M+H)。
【0185】
(実施例13)
9−ヒドロキシ−2{[(1−メチルエチル)アミノ]メチル}チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0186】
【化50】

ステップ1
2−((イソプロピルアミノ)メチル)−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0187】
【化51】

標題化合物は、モルホリンの代わりにイソプロピルアミンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z303(M+H)。
【0188】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−{[(1−メチルエチル)アミノ]メチル}チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0189】
【化52】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z289(M+H)。
【0190】
(実施例14)
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0191】
【化53】

ステップ1
9−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0192】
【化54】

標題化合物は、モルホリンの代わりにピロリジンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z315(M+H)。
【0193】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0194】
【化55】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z301(M+H)。
【0195】
(実施例15)
2−[(4−ブロモピペリジン−1−イル)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0196】
【化56】

ステップ1
2−((4−ブロモピペリジン−1−イル)メチル)−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0197】
【化57】

標題化合物は、モルホリンの代わりに4−ブロモピペリジンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z408(M+H)。
【0198】
ステップ2
2−[(4−ブロモピペリジン−1−イル)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0199】
【化58】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z394(M+H)。
【0200】
(実施例16)
2−[(ジベンジルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0201】
【化59】

ステップ1
2−((ジベンジルアミノ)メチル)−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0202】
【化60】

標題化合物は、モルホリンの代わりにジベンジルアミンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z441(M+H)。
【0203】
ステップ2
【0204】
【化61】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z427(M+H)。
【0205】
(実施例17)
2−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0206】
【化62】

ステップ1
2−((ベンジル(メチル)アミノ)メチル)−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0207】
【化63】

標題化合物は、モルホリンの代わりにN−メチル−N−ベンジルアミンを使用したこと以外は上記の実施例10ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z365(M+H)。
【0208】
ステップ2
2−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0209】
【化64】

標題化合物は、実施例2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z351(M+H)。
【0210】
(実施例18)
ヒトPARP−1酵素活性の機能評価
【0211】
【化65】

材料および試薬:hrPARP−1(ヒト組換え、Trevigen)、活性化DNA(Sigma)、6(5H)−フェナントリジノン(PND)、(Sigma)、NAD+(Calbiochem)、PARP−1アッセイ緩衝液(50mMのトリス、2mMのMgCl、pH8.0)、EtOH中20%アセトフェノン、2MのKOH
88%ギ酸、110℃オーブン、Flexstationプレートリーダー。
【0212】
手順:化合物プレートは、5mMの濃度から出発するDMSO中20μLで、それぞれ10段階の各試験化合物に対して一連の1:3希釈を作製することにより調製した。NAD(6.4μM溶液39μL)を96ウェル平底蛍光アッセイプレートの各ウェルに添加した。試験化合物(1μL)を各ウェルに添加した。反応を開始するため、PARP(5UのPARPおよび75μg/mLの活性化DNAを含有)10μLを、最終1UのhrPARP−1、15μg/mLの活性化DNAおよび5μMのNADで添加した。試験化合物のために使用した最高濃度は100μMであった。プレートを室温でシェーカー上にてインキュベートした。20分後、2M KOH 20μLおよび20%アセトフェノン20μLを添加した。プレートを10分4℃でインキュベートし、88%ギ酸90μLを添加した。110℃オーブン内で5分間インキュベートした後、プレートを室温に冷却し、Flexstationプレートリーダーで読み取った(360nmで励起、445nmで発光)。
【0213】
結果の分析:LSWデータ分析ソフトウェアを使用して、PARP−1 IC50を出した。結果を表1に示す。
【0214】
【表1】

(実施例19)
インビトロ脳曝露研究
1.MDCK透過性アッセイ
多剤耐性−メイディンダービーイヌ腎臓(MDR−MDCK)細胞を、NIH(Bethesda、MD、USA)から得た。細胞を、Costar 3401 Transwell 12ウェル、12mm直径、0.4um孔径プレート(Costar、MA、USA)上で平板培養し、輸送アッセイの前に少なくとも6日間培養した。細胞を、10mMのHEPESおよび15mMのD−グルコースをpH7.4で含有するハンクス平衡塩溶液で慎重に予備洗浄し、該液をアッセイ緩衝液としても使用した。試験化合物は、頂端側(A−B)または側底側(B−A)に0.2mMのルシファーイエロー(頂端側に500μL、側底側に1500μL)を投与した。頂端チャンバーまたは側底チャンバー内の試験化合物は、初濃度が10μMであった。プレートを、37℃にて5%COおよび90%相対湿度で2時間インキュベートした。レシーバー溶液(A−B輸送実験には側底側、B−A輸送実験には頂端側)100マイクロリットルを、試験化合物濃度のLC−MS−MS量子化およびルシファーイエローの蛍光光度計量子化のため96ウェルプレートに移した。結果を表1に示す。
【0215】
化合物の品質管理およびTEER測定を行うことによって、アッセイの適切な操作を確実にした(表2を参照のこと)。アッセイに使用される各ウェルのTEER値は、≧1400オーム・cmであるべきである。
【0216】
【表2】

2.脳(B)−血漿(P)透析
MWCO 3.5 KDの透析膜片を、HPLC水中に20分間、次いで30%エタノール/水中に15分間穏やかに浸漬し、水で濯ぎ、PBSに20分間浸した後使用した。1mMのDMSO原液を調製し、10μLを、990uLの血漿(1血漿:3PBS)または脳均質(1脳:12PBS)に添加した。最終濃度は、1%DMSOの10μM試験化合物であった。透析は、200uLのPBS対試験化合物を有する200uLの希釈血漿または希釈脳ホモジネートで設定した。透析プレートを、37℃、70RPMで5時間インキュベートした。インキュベーションの最後に、150μLのPBS、50uLの血漿および脳ホモジネート50uLを、透析装置からサンプリングした。試料のそれぞれを、PBS、血漿および脳ホモジネートと対応させることによって、一致マトリックス材料が得られた。冷アセトニトリル300μLを試料に添加することによって、タンパク質および組織を沈殿させた。溶液を遠心分離し、上澄みをLC−MS−MS分析のために移した。各試験化合物に対して四重に行った。Summerfield SG、Read K、Begley DJ、Obradovic T、Hidalgo IJ、Coggon S、LewisAV、Porter RA、Jeffrey P、2007年.Central Nervous System Drug Disposition:TheRelationship between in Situ Brain Permeability and Brain Free Fraction. J Pharmacol Exp Ther 322巻(1):205〜213頁に従ってデータを算定し、表3に示す。
【0217】
(実施例20)
ミクロソーム安定性の分析
アッセイプロトコルは、Summerfield SG、Read K、Begley DJ、ObradovicT、Hidalgo IJ、Coggon S、Lewis AV、Porter RA、Jeffrey P、2007年.Central Nervous System Drug Disposition:The Relationship between in Situ Brain Permeability and Brain Free Fraction. J Pharmacol Exp Ther 322巻(1):205〜213頁;およびLi Di、E. Kerns、S.Li、S. Petusky、「High Throughput Metabolic Stability Assay for InsolubleCompounds」、Int. J. Pharm.、317巻、54〜60頁、2006年に記載されていた。
【0218】
試料を、ラット、マウスおよびヒト由来の肝ミクロソームを用いて、1μM、0.5mg/mLのミクロソームタンパク質濃度、37℃にてNADPH補助因子の存在下でインキュベートした。0分および15分の両方のインキュベーション時に、冷アセトニトリルをウェルに添加することによって、反応を停止させた。溶液を遠心分離し、LC−MS−MSを使用して上澄みを分析した。「I期」は、I期の代謝−ミクロソームによる酸化代謝を表し、「II期」は、I期の酸化代謝(上に記載)の他にII期(非酸化、抱合)の代謝が行われるのを可能にする添加補因子を表す。
【0219】
結果を表3に示す。
【0220】
【表3】

(実施例21)
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(
4H)−オンの無水および一水和物遊離塩基形態の調製および分析
無水の手順:
1.2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩1gを仕込む。
2.水10mLを仕込む。完全に溶解するまで撹拌する。
3.0.1NのNaOH 32.2μL(1当量)を仕込む。遊離塩基が沈殿する。
4.濾過する。
5.40℃で真空オーブン内にてNパージ下で乾燥させる。
【0221】
一水和物手順:
1.2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン臭化水素酸塩1gを仕込む。
2.水26mLを仕込む。完全に溶解するまで撹拌。
3.0.1NのNaOH 28.1μL(1当量)の仕込み。遊離塩基が沈殿する。
4.濾過する。
5.40℃で真空オーブン内にてNパージ下で乾燥させる。
【0222】
実験
分析データ
特定形態の異なる結晶形は、異なるXRPDパターン、それにより異なる結晶格子が表されることによって互いに区別することができる。反射(ピーク)のXRPDパターンは、通常、特定の結晶形の指紋と考えられている。XRPDピークの相対強度は、とりわけ試料調製技術、結晶サイズ分布、使用した様々なフィルター、試料取り付け技術、および用いられる特定の機器に非常に依存して変動し得ることが周知である。一部の例において、機器の型または設定値に依存して、新たなピークが観測される場合があり、または現存のピークが消失する場合がある。本明細書で使用される場合、「ピーク」または「特性ピーク」は、最大ピーク高さ/強度の少なくとも約3%の相対的高さ/強度を有する反射を指す。さらに、機器の変動および他の要因が2θ値に影響を及ぼすことがある。したがって、ここで報告されているものなどのピーク指定は、プラスまたはマイナス約0.2°(2θ)変動することがあり得、本明細書においてXRPDの文脈で実質的に使用される場合の該用語は、上記で述べた変動を包含することを意味する。同様に、DSC、TGAまたは他の熱実験に関連する温度読み取りは、機器、特定の設定値、試料の調製などに依存
して、約+/−3℃変動することがある。すなわち、「実質的に」示されている通りのDSCサーモグラフを有する本明細書で報告されている結晶形は、こうした変動に対応すると理解される。
【0223】
X線回折データを、以下のパラメータを使用するRigaku Miniflex X線粉末回折計を使用して得た:400W、電位30kV、電流15.0mA、2°/分で走査範囲(2θ)3°から40°、走査ステップサイズ0.02°にて、Cu Kα供給源作動。2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶一水和物形態は、図1(ピークデータに関する表4を参照のこと)に実質的に示されている通りのXRPDパターンに従って特徴付けられる。
【0224】
【表4】

本発明の一部の態様において、それらの2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態は、8.3、8.6、11.7、18.4、18.9、19.4、25.7および28.7から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3つの特有な2θ値を有する。
【0225】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(
4H)−オンの結晶無水形態は、図1(ピークデータに関する表5を参照のこと)に実質的に示されている通りのXRPDパターンに従って特徴付けられる。
【0226】
【表5】

本発明の一部の態様において、それらの2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態は、10.4、10.6、14.5、21.3、26.8および32.1から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3つの特有な2θ値を有する。
【0227】
各表において、強度は、+++が最大強度の20%以上である強度を表し、++が最大強度の5%以上であるが最大強度の20%未満である強度を表し、+が最大強度の5%未満(であるが3%超)である強度を表すように、相対強度として表されている。
【0228】
示差走査熱量測定(DSC)データを、無水形態に関する図2および一水和物形態に関する図3に示されている以下のパラメータを使用するTA機器モデルQ1000を使用して回収した:50mL/分のパージガス(N);10℃/分で走査範囲40℃から275℃。熱重量分析(TGA)を、無水形態に関する図2および一水和物形態に関する図3に示されている以下のパラメータを使用するTA機器モデルQ500を使用して回収した:50mL/分のパージガス(N);10℃/分で走査範囲最大400℃まで。得られた水和物は、6.54重量%の水を含有していた(理論上1モルの水=6.16重量%)。吸熱を過ぎて加熱されると、一水和物は非晶質形態に変換する。この非晶質材料は、DSCにおける加熱による再結晶の証拠を示すものではない。
【0229】
種晶を入れることにより、一水和物形態および無水形態の両方が生成され得る。HBr塩は、90℃に加熱することにより5容量の水中に溶解することができる。溶液に(一水和物形態または無水形態のどちらかを)種晶として入れた後、1NのNaOH 1当量を添加することによって物質を結晶化し、それを次いで濾過し、乾燥させることができる。無水形態は、湿気への曝露により一水和物形態に変換することができる。
【0230】
図4は、固体状態におけるプロトン化アミン種を示す2150〜2800cm−1(ブロード)および1940cm−1で吸光度を持つ2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの無水遊離塩基形態に関する
赤外(IR)スペクトルを示す。IRスペクトル分析を、試料を乳鉢および乳棒で微細に粉砕し、臭化カリウム(KBr)と混合し、液圧プレスを使用してKBrディスクに圧縮する、KBrディスクの試料調製により行った。IRスペクトルは、現在の米国薬局方(USP)で推奨されている通り、少なくとも650cm−1から4000cm−1の波数範囲で4cm−1分解能のFT−IRスペクトル上で測定した。Digilab Excalibur FTS−4000 FT−IR分光計を使用した。Specac Automatic Hydraulic Press(Graseby Specac Limited)と一緒に分光光度法グレードのKBr粉末(Thermo Spectra−Tech)を使用して、KBrディスクを調製した。
【0231】
(実施例22)
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンのインビボ特性決定および分析
4種の独立した周知の虚血モデルを使用して、インビボ効力の評価を行った。
【0232】
材料および方法
動物
全研究において、成体雄性Wistarラット(Charles River、Wilmington、MA)290〜310gを使用した。動物手順は動物実験委員会により認可され、国立衛生研究所のガイドラインに従って行った。
【0233】
一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)
ラットに、ノーズコーンを介して70%亜酸化窒素と30%酸素との混合物中の3%イソフルランで麻酔をかけた。加熱ランプを使用して、中核体温を外科手術の間中37℃に保持した。腔内縫合法(Longaら、Reversible middle cerebral artery occlusion without craniectomy in rats. Stroke 20巻:84〜91頁、1989年)を使用して、tMCAOを90分間誘発した。簡潔には、フレームの丸い先端が付いた、ポリ−L−リシン(Belayevら、1996年)でコーティングされた4−0モノフィラメントナイロン縫合糸の18mm長を、外頸動脈に挿入し、内頸動脈中へと進めることによって、MCAの起点を閉塞した。90分後、ラットに再度麻酔をかけ、縫合糸を引き抜き、切り口を閉じた。薬物(試験化合物)またはビヒクルを、3回静脈内ボーラス用量として、3時間おいて、2ml/kgの容量で、脳卒中誘発の4時間後に開始し、脳卒中の誘発後様々な時間間隔で尾静脈中に投与した。(Bedersonら、1986年)により記載されている採点システムを使用し、動物の運動異常に関して試験した。tMCAO誘発の90分後のBedersonスコアの5(最大)を、該試験の包含物に対する判断基準とした。tMCAOの24時間後および48時間後に、運動異常および体重をモニターした。神経異常を盲検法操作者により評価した。ラットをtMCAOの48時間後に堵殺した。偽手術された対照に、MCA枝分かれ部位にモノフィラメントを進めることを除いた同一の外科手技を受けさせた。同じモデルも使用したが、中大脳動脈の閉塞に加えて、両頸動脈が、同じ時間の90分間閉塞した(CCAO)。これは重度一過性MCAOであった。
【0234】
持続性中大脳動脈閉塞(pMCAO)
開頭手術をイソフルラン麻酔下で行った。これに続いて、Chenら(Chenら、1986年)により記載されている通り、MCAの遠位部の電気焼灼、および両頸動脈の90分結紮によって、脳卒中の初期段階中の側副血行を制限した。化合物またはビヒクルを、脳卒中誘発の4時間後に開始して24時間持続する注入として投与した。動物を長期機能回復評価のために保持した。感覚運動および反射の異常を、(Bedersonら、1986年;DeRyckら、1989年)に従って、3日間隔で90日間評価した。各試験には、体位試験、2つの視覚的および2つの触覚的前肢配置試験および後肢配置試験が含まれた。各試験の成績を、最大総合スコアを12とする、0(異常なし)から2(重度の異常)で採点した
。神経学的採点を盲検方式で行った。
局所虚血の重度持続性モデルを使用し、挿入した腔内縫合を除去せず、動物を、梗塞体積測定のために虚血誘発の24時間後に堵殺した。そのモデルに、該化合物を、3回静脈内ボーラスとして、30分後に開始し、3時間間隔で投与した。
【0235】
梗塞体積分析
屠殺後、脳を摘出し、ラット脳マトリックス(Stoeling、Wood Dale、IL)を使用して前頭極から4mmのところから出発し、2mmの冠状切片を切断した。切片は、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリドの2%溶液中に37℃で10分間浸漬し、次いで保存用の10%中性ホルマリン中に浸漬することにより染色した。MCID画像解析システム(Imaging Research,Inc.Ontario、Canada)を使用して切片のデジタル画像を回収し、梗塞の領域を各スライスに対して決定した。領域の和をそれらの間のmmでの距離で乗ずることにより、全梗塞体積を算出した。
【0236】
統計分析
動物の表示数またはインビトロ実験の数に関する値は、平均値±SEMとして表す。平均値間の差異の統計的有意性を、必要に応じて、事後Fisher試験もしくは対照に対するDunnett比較を用いる、またはスチューデントt検定分析を用いる一元配置ANOVAにより算出した。線形混合モデルを使用して、pMCAO後の3週の神経学的機能回復試験中に治療群間の差異を評価した。統計的有意性をp<0.05とした。
【0237】
一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)モデルを使用し、第1研究を行った。ラットは90分のtMCAOを受け、虚血の4時間後、7時間後および10時間後に3回のボーラス注射、および腹腔内の(IP)投与経路を使用して化合物(2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン)を投与した。評価した3用量は、0.1mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kgであった。投薬は、治療にとって臨床に関連する治療時間ウィンドウであるので、MCAOの4時間後に開始した。虚血の48時間後に、梗塞体積および神経学的試験を実施した。このモデルは、運動皮質および線条体に関与する広範な片側病巣を生じさせる。それを使用して、脳卒中の再灌流モデルにおける急性神経保護および神経学的機能を評価する。
【0238】
3回の、0.1mg/kg、1mg/kgまたは10mg/kgのIP 2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを受けたラットは、ビヒクル処置したラットと比較して、tMCAOに続く48時間後に梗塞体積がそれぞれ20%、55%および66%と有意に減少した。さらに、1mg/kgの2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンで処置したラットも、MCAOの48時間後に神経異常が有意に減少したことを示した。
【0239】
重度の持続性MCAO研究も、虚血の30分後に第1回、続いて3.5時間後および8時間後の3回のボーラスで1mg/kg用量送達IPを、虚血の24時間後の梗塞評価とともに使用して行った。損傷は虚血性半球の大部分を囲む広範な梗塞を生じさせ、重度の炎症を誘発する。この傷害を受けたラットは24時間を越えると高い死亡率を有するため、神経学的試験を妨げた。このモデルは、再灌流しない脳卒中患者の治療における2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの使用を支持するとして、当業者により認められている。
【0240】
3×1mg/kgの2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンで処置したラットは、ビヒクル処置したラットより有意
に小さい梗塞体積(42%小さい)を有していた。
【0241】
第3アッセイにおいて、重度のtMCAOモデルを使用して(ここで、MCAOおよび頸動脈の両方を一時的に閉塞した)損傷を得た。2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを、複数回静脈内ボーラスにより投与した。1mg/kgまたは10mg/kgの用量の2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを4時間、7時間および10時間で与え、動物をMCAOの48時間後に梗塞サイズ、体重損失および神経学的スコアに関して評価した。
【0242】
3回の、1mg/kgまたは10mg/kgの2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを用いる処置の結果、tMCAOに続く48時間後に梗塞体積が有意に減少し(1mg/kgでは22%小さい体積、および10mg/kgでは19%小さい)、神経異常が減少し、虚血誘発による体重損失が減少した。
【0243】
さらなる効力研究を行い、低い重度の持続性MCAO(pMCAO)モデルを用いた。中大脳動脈の遠位部の閉塞を利用したこのモデルは、該動物の感覚運動皮質内に含有されたはるかに小さい損傷を生じた。このモデルが受けた損傷はそれほど広範ではなかったが、それでもなお運動皮質に関与し、ラットは、神経学的機能に関して長期にわたり(虚血後の3週から3カ月)評価することができる。このモデルを用いる第1研究において、ラットに、虚血の4時間後に開始する1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgの静脈内ボーラス用量、および続いて7時間および10時間後に2つの後続する同等の用量を投与した。第2研究において、ラットに単回静脈内ボーラス、続いて24時間の静脈内注入を与えた。神経学的機能を、MCAO後3週間の間2〜3日毎に試験した。
【0244】
このモデルに複数回静脈内ボーラス投薬パラダイムを使用し、10mg/kgの用量が効力に接近したが、虚血の21日後、神経学的機能における有意な改善は認められなかった。第2pMCAO研究において、2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを3.5mg/kgの静脈内ボーラス用量および2.5mg/時間の24時間静脈内注入を受けたラットは、虚血の39日後に測定したところ神経異常が有意に減少しており、この回復は、虚血の後、少なくとも3カ月間維持された。
【0245】
最終的に、2つのより低い用量の2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンを用いる、tMCAOモデルにおける静脈内ボーラスおよび24時間注入パラダイムで、ラットを試験した。tMCAOモデルは、複数回静脈内ボーラス注射の後、強い効力を生じた。ラットに、3.9mg/kgの静脈内ボーラス、続いて0.3mg/時間の注入を24時間、または11.7mg/kgボーラス、続いて0.9mg/時間の注入を24時間与えた。薬物またはビヒクル(同じ容量と注入速度で生理食塩水を与えた)の投与を、tMCAOの4時間後に開始した。2つの用量のうちより高い用量の2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン(11.7mg/kgボーラス、続いて0.9mg/時間の注入を24時間)を受けたラットは、48時間後に神経異常における有意な減少、虚血誘発体重損失における有意な減少、および梗塞体積における小さいが有意でない減少(10%)を示した。2つの用量のうちより低い用量では、効果が見られなかった。
【0246】
表6は、これらの研究において認められたインビボ効力の概要を示している。
【0247】
【表6】

分子量などの物性または化学式などの化学的特性に関して本明細書において範囲が使用されている場合、そこにおける具体的な実施形態の範囲の全ての組合せおよび下位組合せが包含されることを意図する。
【0248】
この文献において引用または記載されている各特許、特許出願および公報の開示は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0249】
当業者は、多数の変更および修正が本発明の好ましい実施形態になされ得ること、およびこうした変更および修正が本発明の趣旨を逸脱することなくなされ得ることを理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、全てのこうした同等な変形を、本発明の真の趣旨および範囲内に含まれるとして包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化66】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、SまたはOであり、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、該アルキル、該アルケニルならびに該シクロアルキル基、該フェニル基および該ベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOであり、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、該アルキル、該アルケニルおよび該シクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている)
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項2】
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、SまたはOであり、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
、RおよびRが、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選
択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成し、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはNOである、
請求項1に記載の式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項3】
式II
【化67】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項4】
式III
【化68】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項5】
式IV
【化69】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項6】
がハロゲンまたは水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
YがSである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
YがOである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、環原子の残りが炭素原子である飽和単環式複素環を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが一緒になって、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンを形成する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
XがC〜Cアルキレンである、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
XがC〜Cアルキレンであり、RおよびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Xがメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Xがメチルであり、RおよびRがそれぞれ独立してメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Xがメチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Xがメチルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
2−ジメチルアミノメチル−9−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
8−クロロ−2−[(ジメチルアミノ)メチル]チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;または
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的塩もしくは両性イオン形態。
【請求項22】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項23】
非晶質2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項24】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン一水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
約139℃で吸熱を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン一水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン無水物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
約210℃および270℃で吸熱を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン無水物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
10.4、10.6、14.5、21.3、26.8および32.1から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3つの特有な2θ値を含有するX線粉末回折を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
8.3、8.6、11.7、18.4、18.9、19.4、25.7および28.7から選択される、CuKα放射線を使用して測定される少なくとも3つの特有な2θ値を含有するX線粉末回折を有する2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶一水和物形態を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロ−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項32】
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−フルオロチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;または
2−[(ジメチルアミノ)メチル]フロ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項33】
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(1,3−チアゾリジン−3−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−{[(1−メチルエチル)アミノ]メチル}チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−[(4−ブロモピペリジン−1−イル)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−[(ジベンジルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4)である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは両性イオン形態。
【請求項34】
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの両性イオンを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
約5μmから10μmおよびさらに特に約7μmの平均粒径を持つ2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
約5μmから10μmおよびさらに特に約6μmの平均長さを持つ斜方晶集塊を特徴とする2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オンの結晶無水形態を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の医薬有効量および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項38】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを阻害する方法であって、該被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを阻害するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項39】
被験体におけるニューロン細胞死を阻害する方法であって、該被験体におけるニューロン細胞死を阻害するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項40】
被験体における虚血および再灌流による損傷を治療する方法であって、該被験体における虚血および再灌流による損傷を治療するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項41】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患を治療する方法であって、前記被験体における変性疾患を治療するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項42】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症を治療する方法であって、該被験体における炎症を治療するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項43】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌を治療する方法であって、該被験体における癌を治療するため、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項44】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害、ニューロン細胞死の阻害、虚血および再灌流による損傷の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症の治療、またはポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌の治療に使用するための、請求項1から36のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項45】
被験体における虚血および再灌流による損傷の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症の治療、またはポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌の治療における、請求項1から36のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−525186(P2011−525186A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514805(P2011−514805)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047788
【国際公開番号】WO2009/155413
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】