説明

チエノピリミジン化合物の製造方法

本発明は一般には抗ガン活性を有するチエノピリミジン化合物の製造および精製方法に関するものであり、より具体的にはPI3キナーゼ活性を阻害する化合物に関するものである。本発明はPI3K阻害剤である、式Iおよび式IIの化合物の、調製、分離および生成のプロセスおよび式Iおよび式IIの化合物の調製のための新規中間体を供給する。式Iおよび式IIの化合物は、特にP110アルファサブタイプにおいて、クラスIbよりクラスIaPI3Kに選択性を示す。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
非仮出願は米国特許法施行規則§1.53(b)に基づいて出願し、全体として参考として援用する、2007年10月25日付の米国仮出願No. 60/982,562の米国特許法§119(e) に基づく利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は一般には抗ガン活性を有するチエノピリミジン化合物の製造および精製方法に関するものであり、より具体的にはPI3キナーゼ活性を阻害する化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ホスファチジルイノシトール(ここでは以下「PI」と略す)は細胞膜中から発見されたいくつかのリン脂質のうちの一つである。近年PIが細胞内のシグナルの導入に重要な役割を果たしていることが明らかになった。3’−リン酸化ホスホイノシチドを経由する細胞シグナル伝達は様々な細胞プロセス、例えば、悪性形質転換、成長因子シグナル伝達、炎症および免疫、の原因であると指摘されている(Ramehら (1999) J. Biol Chem, 274:8347−8350)。これらのリン酸化されたシグナル伝達生成物の生成の原因の酵素であるホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼまたはPI3Kとも呼ばれる)は当初はウイルス性の発ガンたんぱく質に関する活性、ならびにホスファチジルイノシトール(PI)およびそのイノシトール環上の3’−ヒドロキシ位がリン酸化された誘導体をリン酸化する成長因子受容体チロシンキナーゼとして同定された(Panayotou ら (1992) Trends Cell Biol 2:358−60)。
【0003】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)は脂質のイノシトール環の3−ヒドロキシ残基 をリン酸化する脂質キナーゼである(Whitmanら(1988) Nature, 332:664)。PI3−キナーゼにより生成する3−リン酸化リン脂質(PIP3)がAktおよびホスホイノシチド依存キナーゼ−1(PDK1)のような脂質結合ドメイン(プレクストリンホモロジー(PH)領域を含む)有するキナーゼを補充するセカンドメッセンジャーとして作用する。AktのPIP3らの膜に対する結合は、Aktの形質膜へのトランスロケーションを引き起こし、Aktの活性化の原因となる、AktのPDK1への接触へと至らしめる。腫瘍抑制ホスファターゼ、PTENはPIP3を脱リン酸化し、そして、したがってAkt活性化の負のレギュレーターとして働く。PI3キナーゼAktおよびPDK1は、細胞周期の調節、増殖、生存、アポトーシスおよび運動性を含む多くの細胞プロセスの調節にとって重要であり、そしてガン、糖尿病および免疫性の炎症などの疾病の分子機構の重要な構成要素である(Vivancoら(2002) Nature Rev. Cancer 2:489; Phillipsら(1998) Cancer 83:41)。
【0004】
ガン中の主要なPI3−キナーゼのアイソフォームはクラスIPI3−キナーゼ、p110α(アルファ)である(US 5824492; US 5846824; US 6274327)。その他のアイソフォームは心臓血管の疾病および免疫性の炎症の疾病の原因であると指摘されている。(Workman P (2004) Biochem Soc Trans 32:393−396; Patelら(2004) Proceedings of the American Association of Cancer Research (Abstract LB−247) 95th Annual Meeting, March 27−31, Orlando, Florida, USA; Ahmadi KおよびWaterfield MD (2004) Encyclopedia of Biological Chemistry (Lennarz W J, Lane M D eds) Elsevier/Academic Press)。
【0005】
抗ガン剤がガン細胞中で、増殖を阻害し、アポトーシスの抑制を逆転させ、そして細胞毒性剤への抵抗を克服すると期待されているようなので、PI3−キナーゼ/Akt/PTEN経路は抗ガン剤開発の魅力的な標的である。PI3−キナーゼ抑制剤は報告されている(Yaguchiら(2006) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 98(8):545−556; US 7173029; US 7037915; US 6608056; US 6608053; US 6838457; US 6770641; US 6653320; US 6403588; US 6703414; WO 97/15658; WO 2006/046031; WO 2006/046035; WO 2006/046040; WO 2007/042806; WO 2007/042810; WO 2004/017950; US 2004/092561; WO 2004/007491; WO 2004/006916; WO 2003/037886; US 2003/149074; WO 2003/035618; WO 2003/034997; US 2003/158212; EP 1417976; US 2004/053946; JP 2001247477; JP 08175990; JP 08176070)。
【0006】
式Iおよび式IIの化合物を含むチエノピリミジン化合物はp110アルファ結合、PI3キナーゼ阻害活性を有し、そしてガン細胞の増殖を阻害する(WO 2006/046031; US 2008/0039459; US 2008/0076768; US 2008/0076758; WO 2008/070740; WO 2008/073785).。
【0007】
式Iの化合物、GDC−0941 (Genentech Inc.)は有望な薬物動態学的および薬学的な特質を有する、選択的で、経口で生物学的に利用できるPI3K阻害剤である。(Folkesら(2008) Jour. Med. Chem. 51:5522−5532; Belvinら, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月15日, Abstract 4004; Folkesら, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月14日, Abstract LB−146; Friedmanら, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月14日, Abstract LB−110)。
【0008】
式Iおよび式IIの化合物およびある種の化学療法剤の治療における組み合わせは「COMBINATIONS OF PHOSPHOINOSITIDE 3−KINASE INHIBITOR COMPOUNDS AND CHEMOTHERAPEUTIC AGENTS, AND METHODS OF USE」Belvinら, 出願日2008年9月10日;米国出願番号第12/208,227.中に記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2006/046031パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0039459号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0076768号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0076758号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/070740パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008/073785パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Jour. Med. Chem. 51:5522−5532
【非特許文献2】American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月15日, Abstract 4004
【非特許文献3】American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月14日, Abstract LB−146
【非特許文献4】Abstract LB−146; Friedmanら, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:2008年4月14日, Abstract LB−110
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の側面は式Iおよび式IIの化合物の調製、分離および精製方法を含む。
【0012】
式Iの化合物は4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンと命名され、そして以下の構造を有する。
【0013】
【化1】

式IIの化合物は4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンと命名され、そして以下の構造を有する。
【0014】
【化2】

式Iおよび式IIの化合物全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、代謝産物および薬学的に許容されるそれらの塩を含む。式Iおよび式IIの化合物は薬物様の物理化学的および薬物動態学的な特徴を有する有力なPI3K阻害剤である。式Iおよび式IIの化合物は、特にP110アルファサブタイプ(US 2008/0039459; US 2008/0076768; US 2008/0076758)において、クラスIbよりクラスIaPI3Kに選択性を示す。
【0015】
本発明のもう一つの側面は、4−クロロ−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール13および2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10を含む式Iおよび式IIの化合物の調製に有用な新規中間体を含む。
【0016】
【化3】

4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14およびTHP位置異性体4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14A
【0017】
【化4】

4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン」−4−イル)モルホリン21およびTHP位置異性体4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン」−4−イル)モルホリン21A
【0018】
【化5】

【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的な実施形態の詳細な記述
これより参照は、付随する構造および式で説明される発明、実施例の実施形態を明らかにするために、詳細に行われるであろう。本発明が列挙される実施形態との関連の中で記述される際、それらは本発明をこれらの実施形態に制限する意図があるものではないことが理解されるであろう。本発明は全ての代替物、修正、そして本発明の範囲内であると含められうる均等なものを含むことが意図される。当業者は本発明の実施の上で使用されうる、ここで記述されている方法および物質と類似するあるいは等価である多くの方法や物質を認識するだろう。本発明は決して記述されている方法および物質に限定されない。一つあるいは、複数の援用された文献、特許そして類似のもの(用語の定義、用語の使用法、記述された技術などを含み、しかしながらそれらに限定されない)が本出願と異なるかまたは矛盾する際には、本出願が支配する。
【0020】
定義
本明細書および以下の請求の範囲に用いられる際に、「包含する」「包含している」「含む」「含んでいる」および「含む」という語句は、言明された特徴、整数、構成要素または工程の存在を詳述する意図があるが、これらの語句は一つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、工程またはそれらの集団の存在または追加を妨げない。
【0021】
「キラル」という用語は鏡像相手と重ね合わせられないという特徴を有する分子のことをいい、一方、「アキラル」という用語はその分子の鏡像相手と重ね合わせることができる分子ことをいう。
【0022】
「立体異性体」という用語は同一の化学組成を有しながら、しかし空間において原子あるいは基の配置に関して異なっている化合物のことをいう。
【0023】
「ジアステレオマー」とは二つまたはそれ以上の不斉中心を有する立体異性体であり、それらの分子が互いの鏡像でないものをいう。ジアステレオマーは異なる物理性質、たとえば融点、沸点、スペクトル特性および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は電気泳動およびクロマトグラフィーなどの高分解分析手法により分離し得る。
「鏡像異性体」とは互いの鏡像を重ね合わせることのできない化合物の二つの立体異性体のことをいう。
【0024】
ここで用いられる立体化学の定義および慣行は一般にS. P. Parker, Ed., McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw−Hill Book Company, New York; and Eliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994.に従う。本発明の化合物は非対称あるいは不斉中心を含む可能性があり、そして、したがって異なった立体異性体の形態で存在しうる。ジアステレオマー、鏡像異性体およびアトロプ異性体およびラセミ混合物のようなそれらの混合物に含み、しかしながらそれらに限定されることのない、本発明の化合物の全ての立体異性体の形態が本発明の一部を形成することを意図する。多くの有機化合物が光学活性体として存在している。すなわち、それらは面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物を記述する際に、DおよびLまたはRおよびSといった接頭辞が分子のその不斉中心においての絶対配置を示すために用いられる。dおよびlまたは(+)および(−)といった接頭辞は化合物による面偏光の回転の形跡を明示するために用いられ、(−)あるいはlは分子が左旋性であることを意味する。(+)あるいはdを接頭辞に有する分子は右旋性である。特定の化学構造の中ではこれらの立体異性体は、それが互いの鏡像であることを除いて、同一のものである。特定の立体異性体はまた、鏡像異性体といわれることがあり、そしてそのような異性体の混合物はよく鏡像異性体の混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物あるいはラセミ体といわれるものであって、化学反応あるいは化学プロセスにおいて立体選択または立体特異性が存在しない場合に生じ得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ体」という用語は二つの鏡像異性体の等量混合物であり、光学活性がないもののことをいう。
【0025】
「互変異性体(tautomer)」または「互変異性体(tautomeric form)」は異なるエネルギー状態にある構造異性体であって低いエネルギー障壁を経て相互変換可能な状態にあるものをいう。例として、プロトン互変異性体(プロトン性互変異性体としても既知である)はケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化のようなプロトンの移動を経る相互変換を含む。原子価互変異性体はいくつかの結合性電子の再編成による相互変換を含む。
【0026】
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能な塩」との語句は、本発明の化合物の薬学的に受容可能な有機塩または無機塩のことをいう。例示となる塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、没食子酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシラート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモエート(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)塩を含むが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な塩は酢酸イオン、コハク酸イオンあるいはその他の対イオンのような、他の分子の含有物(inclusion)を伴い得る。対イオンは親化合物上の電荷を安定化するいかなる有機部位あるいは無機部位でもなり得る。さらに、薬学的に許容される塩はその構造の中に一つより多くの電荷を帯びた原子を持ちうる。多重に電荷を帯びた原子が薬学的に受容可能な塩の一部である例は複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に受容可能な塩は一つあるいはそれ以上の電荷を帯びた原子および/あるいは一つあるいはそれ以上の対イオンを有し得る。
【0027】
本発明の化合物が塩基である場合には、所望の薬学的に受容可能な塩は当該分野の任意の適切な方法、例えば、遊離塩基を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸、のような無機酸、あるいは酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸のような有機酸、グルクロン酸あるいはガラクツロン酸のようなピラノシジル酸、クエン酸あるいは酒石酸のようなαヒドロキシ酸、アスパラギン酸あるいはグルタミン酸のようなアミノ酸、安息香酸あるいは桂皮酸のような芳香族酸、p−トルエンスルホン酸あるいはエタンスルホン酸のようなスルホン酸などで処理することにより調製され得る。
【0028】
本発明の化合物が酸である場合には、所望の薬学的に受容可能な塩は任意の適切な方法、例えば、遊離酸をアミン(第一級、第二級、または第三級)、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物のような無機あるいは有機塩基で処理することにより調製され得る。適切な塩の実例となる例は、グリシンおよびアルギニンのようなアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級および第三級アミンおよびピペリジン、モルホリンおよびピペラジンのような環状アミン由来の有機塩ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウム由来の無機塩を含むが、これらに限定されない。
【0029】
「溶媒和物」は一つまたはそれ以上の溶媒分子および本発明の化合物の会合体あるいは錯体のことをいう。溶媒和物を形成する溶媒の例は水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンを含むが、しかしこれらに限定されない。「水和物」という用語は溶媒分子が水である錯体のことをいう。
【0030】
式Iおよび式IIの化合物の調製
本発明の式Iおよび式IIの化合物は非対称または不斉中心を含み得、そして、したがって異なる立体異性体の形態で存在し得る。本発明の化合物の全ての立体異性体の形態(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびアトロプ異性体およびラセミ混合物のようなそれらの混合物を含むが、しかしこれらに限定されない)は本発明の一部を形成すると意図される。加えて、本発明は全ての幾何および位置異性体を包含する。本明細書中で示されている構造の中で、任意の不斉原子の立体化学が特定されていない場合には、全ての立体異性体が本発明の化合物として意図され、そして含められる。立体化学が、実線のくさびまたは破線により特定の配座を表し、明示されている場合には、その後、その立体異性体がその通りに特定され、そして定義される。
【0031】
本発明の化合物は溶媒和されていない形態および水、エタノールなどのような薬学的に受容可能な溶媒との溶媒和物の形態で存在し得、そして、本発明は溶媒和された形態および溶媒和されていない形態を包含することが意図される。
【0032】
本発明の化合物は異なる互変異性体の形態でも存在し得、そして全てのそのような形態は本発明の範囲内に含められる。「互変異性体(tautomer)」または「互変異性体(tautomeric form)」という用語は、異なるエネルギー状態にある構造異性体であって低いエネルギー障壁を経て相互変換可能な状態にあるもののことをいう。例として、プロトン互変異性体(プロトン性互変異性体としても既知である)はケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化のようなプロトンの移動を経る相互変換を含む。原子価互変異性体はいくつかの結合性電子の再編成による相互変換を含む。
【0033】
一つあるいはそれ以上の原子が一般に天然中に見いだされる原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子に置き換えられる事実以外は、本明細書中で列挙された化合物と同一である、本発明の化合物が同位体標識された本発明の化合物をも本発明は包含する。任意の特定の原子または特定される元素の全ての同位体は本発明の範囲および本発明の使用に包含される。本発明の化合物に援用され得る例示の同位体はH, H, 11C, 13C, 14C, 13N, 15N, 15O, 17O, 18O, 32P, 33P, 35S, 18F, 36Cl, 123I および125Iのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体を含む。ある同位体標識された本発明の化合物(例えば、Hおよび14Cで標識された本発明の化合物)は、化合物および/また基質の組織分布アッセイに有用である。三重水素(H)および炭素−14(14C)同位体はその調製の簡便さと検出能から有用である。さらに、重水素(すなわちH)のようなより重い同位体での置換は増大な代謝安定性に起因するある種の治療上の利点(例えば、インビボでの半減期の増大または必要投薬量の減少)を与え得、そして従っていくつかの状況では好まれ得る。15O, 13N, 11C および18Fのような陽電子放射性の同位体は基質受容体占有度を検査するための陽電子放射断面撮影(PET)に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、以下の明細書中の実施例に開示されているものに類似する手順に従って、同位体標識されていない試薬を同位体標識された試薬に置換することにより、一般に調製され得る。
【0034】
式Iおよび式IIの化合物を調製するための出発原料および試薬はSigma−Aldrich Chemical (Milwaukee, WI)のような商業的供給元から一般に入手可能であるか、あるいは当業者に周知の方法(例えば、Louis F. FieserおよびMary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1−19, Wiley, N.Y. (1967−1999 ed.)または(Beilsteinオンラインデータベースを経由しても入手可能である)増補を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer−Verlag, Berlin, に一般に記述されている方法により調製される)を用いて容易に調製される。
【0035】
以下のスキーム1〜8は式Iの化合物および式IIの化合物の合成ならびに特定の中間体および試薬を説明する。
【0036】
【化6】

スキーム1
スキーム1は3‐アミノチオフェンカルボン酸メチル1とシアン酸カリウムとの酢酸および水中で室温でのチエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2を与える環化から始まる4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4の合成を示している。これは、高温とアンモニアガスの発生を必要とする1と尿素との環化についての改善点である。チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2はアセトニトリル中、オキシ塩化リンおよび触媒量のN,N−ジメチルアニリン(0.75当量)で2,4−ジクロロチエノ[3,2−d]ピリミジン3へと転換された。4位のモルホリンによる選択的置換が4を与えた。
【0037】
3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル1からチエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2への環化ならびに2−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル15からチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16への環化反応は、高温およびアンモニアガスの発生による圧力上昇を必要とする尿素を用いて以前は行われていた(Robbaら(1975) Bulletin de la Societe Chimique de France (3−4, Pt. 2) 587−91)。本発明は1を2へと環化するために尿素をシアン酸カリウムへと置き換えており(実施例1)、そして、15を16へと環化するために尿素をクロロスルホニルイソシアネートへと置き換えている(スキーム6、実施例12)。
【0038】
【化7】

スキーム2
スキーム2は4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8の合成を示しており、それは、4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル7を与える1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン6(BOC−ピペラジン)のメタンスルホニルクロリドによるN−スルホニル化により始まり、7を水性の塩化水素1,4−ジオキサン溶液中で処理することで8を与えた。
【0039】
【化8】

スキーム3
スキーム3は2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10の合成を示し、それは4−クロロ−1H−インダゾール12を与える3−クロロ−2−メチルアニリン11と酢酸カリウム、無水酢酸、および亜硝酸イソアミルとの環化から始まる。4−クロロ−1H−インダゾール12のインダゾール窒素は、ジクロロメタン中で3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよびp−トルエンスルホン酸ピリジニウムとでテトラヒドロピラニル(THP)として保護され、4−クロロ−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール13および少量(およそ10%)のTHP位置異性体である4−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾールを与えた。その混合物をPdCl(PPh、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ピナコラート)ジボランおよび酢酸カリウムとDMSO中で反応させ、そして130℃まで16時間加熱し、10を得た。この10は少量(およそ10%)のTHP位置異性体である1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾールを含んでいた。
【0040】
【化9】

スキーム4
スキーム4は4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9の合成を示し、それは、4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4(1.0当量)の7位でのTHF中、ヘキサン中のn−BuLiでのホルミル化から始まり、酸性化の後に2−クロロ−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド5を与える。アルデヒド5の還元的アミノ化は、1,2−ジクロロエタン中、4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8および酢酸ナトリウム(無水粉末)とで達成された。オルトギ酸トリメチルを加え、そして6時間撹拌し、引き続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを添加することで、9を得た。
【0041】
【化10】

スキーム5
スキーム5は4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIのビスメシラート塩の合成を示し、それは1,4−ジオキサン中の4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9と2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物との水性炭酸ナトリウム中での鈴木カップリングによる。粗THP保護中間体14とともに少量のTHP位置異性体14Aを含むその混合物を、濃縮し、アセトニトリルを加え、そして、そのスラリーをろ過した。得られたケーキを乾燥し14を茶色がかった黄色固体で残留Pd含有量2000ppmであるものとして得た。そのケーキをメチレンクロリド中に溶解し、そしてその後、FRORISIL(登録商標)(60−100メッシュ, Sigma−Aldrich Chemical Company, Inc)をパラジウムスカベンジャーとして加えた。FRORISIL(登録商標)(U.S. Silica Company)はケイ酸マグネシウムであり、高選択的な吸着剤である。
【0042】
そのスラリーを室温で最低でも5時間撹拌し、その後SILIABOUND(登録商標)Thiol(Silicycle Inc)を加えた。最低でも12時間撹拌した後、その混合物をろ過し、メチレンクロリドおよび酢酸エチルでリンスした。ろ液およびリンスを濃縮し、14を黄色がかった白色固体で、Pd含有量が20ppm未満のものとして得た。
【0043】
4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14を水およびメタノールの混合物中に溶解した。メタンスルホン酸をゆっくりと加え、そして、そのスラリーを室温で1時間撹拌し、その後65℃まで加熱し、そして16時間撹拌しIをビスメシラート塩として得た。その後、その塩を追加のメタンスルホン酸の存在下、水およびメタノールの混合物中で再結晶した。
【0044】
多様なパラジウム触媒が化合物14および化合物21を形成するために鈴木カップリング工程の際、用いられ得る。鈴木カップリングはパラジウムにより媒介される、9および20のようなハロゲン化アリールと10のようなボロン酸とのクロスカップリング反応である。低原子価の、Pd(II)およびPd(0)触媒が14および21の調製に用いられ得、用いられ得る触媒はPdCl2(PPh, Pd(t−Bu), PdCl dppf CHCl, Pd(PPh, Pd(OAc)/PPh, ClPd[(Pet)], Pd(DIPHOS), ClPd(Bipy), [PdCl(PhPCHPPh)], ClPd[P(o−tol), Pd(dba)/P(o−tol), Pd(dba)/P(フリル), ClPd[P(フリル), ClPd(PMePh, ClPd[P(4−F−Ph), ClPd[P(C, ClPd[P(2−COOH−Ph)(Ph), ClPd[P(4−COOH−Ph)(Ph),ならびにカプセル化された触媒Pd EnCatTM 30, Pd EnCatTM TPP30,およびPd(II)EnCatTM BINAP30 (US 2004/0254066)を含む。
【0045】
多様な固体吸着剤スカベンジャーが、化合物14および化合物21を形成する鈴木カップリング工程後、パラジウムを除くために用いられ得る。本明細書中(実施例10および実施例17)で記述されているパラジウムスカベンジャーの例示の実施形態はFLORISIL(登録商標)、SILIABOUND(登録商標)ThiolおよびSILIABOND(登録商標)Thioureaを含む。その他のパラジウムスカベンジャーはシリカゲル、controlled−pore glass (TosoHaas)および誘導体化低架橋ポリスチレンの派生品であるQuadraPureTM AEA, QuadraPureTM IMDAZ, QuadraPureTM MPA, QuadraPureTM TU (Reaxa Ltd., Sigma−Aldrich Chemical Co.)を含む。
【0046】
【化11】

スキーム6
スキーム6は4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18の合成を示し、それは2−アミノチオフェンカルボン酸メチル15(95g)とクロロスルホニルイソシアネートとの、低温(−60℃〜−55℃)を保持しながらの環化で、チエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16を得ることから始まる。オキシ塩化リンをゆっくりとチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16およびN,N−ジメチルアニリン(0.75当量)の冷アセトニトリル溶液に加え、その間温度を25℃未満に保持した。次いで、その混合物を80℃〜85℃に加熱し、そして24時間撹拌し、ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17を得た。モルホリン(2.2当量)を2,4−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17のメタノール溶液に加え、そして室温で1時間撹拌し18を得た。
【0047】
【化12】

スキーム7
スキーム7は4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20の合成を示し、それは4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18のTHF中、−78℃でのヘキサン中のn−BuLi(1.2当量)とのホルミル化による。得られたスラリーを−60℃まで加温し、−78℃まで冷却し、そしてDMF(1.5当量)をゆっくりと加え、2−クロロ−4−モルホリノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド19を得た。19と、4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8(あるいは1−(メチルスルホニル)ピペラジン塩酸と命名される、1.45当量)と、無水酢酸ナトリウムとの1,2−ジクロロエタン懸濁液にオルトギ酸トリメチル(10当量)を加えた。そのスラリーを室温で少なくとも6時間撹拌し、その後水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムを加え、そして反応物を24時間撹拌し20を得た。
【0048】
【化13】

スキーム8
スキーム8は4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIIのスルホン酸塩の合成を示し、1,4−ジオキサン中の4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20と2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10(1.25当量)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物(0.02 当量)との水性炭酸ナトリウム中での鈴木カップリングから始まる。その混合物を88℃まで加熱し、そして14時間撹拌した。その反応混合物を冷却し、ろ過し、水でリンスし、そしてFRORISIL(登録商標)(60−100メッシュ, Sigma−Aldrich Chemical Company, Inc)とメチレンクロリド中で、室温で5時間撹拌した。その混合物をろ過し、メチレンクロリドおよび酢酸エチルでリンスし、そしてろ液およびリンスを合わせ、そして濃縮することで固体21をパラジウム含有量150ppmで得た。その固体をメチレンクロリドに溶解し、そしてSILIABOND(登録商標)Thiourea(Silicyle Inc)を加えた。その混合物を5時間撹拌し、ろ過し、メチレンクロリドおよび酢酸エチルでリンスした。全てのろ液およびリンスを合わせ、そして濃縮し4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン21を収率70%でPd含有量10ppm未満の固体として得た。この固体は少量のTHP位置異性体21Aを伴う。
【0049】
THP保護された21をメタノールおよび水と混合させ、0℃に冷却し、そして冷たい水性硫酸溶液(1.20当量)をゆっくりと加え、その間温度を10℃未満に保持した。混合物を室温まで加温し、そして20時間撹拌した。そのスラリーを5℃まで冷却し、ろ過し、そして冷メタノールでリンスした。そのケーキを水性メタノール中、50℃で3時間撹拌し、その後、0℃〜5℃まで冷却し、ろ過し、そして冷メタノールでリンスし、ケーキを得、そのケーキを真空オーブン中で乾燥することでIIを明るい黄色固体のスルホン酸塩として収率94%で得た。
【0050】

分離の方法
本発明の化合物の調製方法中、反応生成物を互いに、および/または出発原料と分離することは有益であり得る。それぞれの工程あるいは連続した複数の工程の所望の生成物は、当該分野の一般的な技術で、所望の均一性の程度まで分離されおよび/または精製される(以下、分離)。典型的には、そのような分離は、多相抽出、溶媒または溶媒混合物からの結晶化、蒸留、昇華、あるいはクロマトグラフィーを伴う。クロマトグラフィーは、任意の数の方法を含み得る、含み得る方法は、例えば逆相および順相;サイズ排除;イオン交換;高圧、中圧および低圧液体クロマトグラフィー法および機器;小スケール分析;擬似動床(simulated moving bed)(SMB)ならびに分取薄層または厚層クロマトグラフィーならびに小スケール薄層およびフラッシュクロマトグラフィーの技術などである。
【0051】
そのほかの分離方法の部類は混合物を試薬と処理することを伴い、その試薬は、所望の生成物、未反応の出発原料、反応副生成物のようなものと結合するかあるいは、そうでなければそれらを分離可能な状態にするように選択される。そのような試薬は吸着剤あるいは活性炭、分子ふるい、イオン交換媒体などのような吸収剤を含む。あるいは、その試薬は、塩基性の物質の場合、酸であり得、酸性の物質の場合、塩基であり得、抗体または結合タンパク質のような結合試薬であり得、クラウンエーテル、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)などの様な選択的キレート剤であり得る。
【0052】
適切な分離手法の選択は関わる物質の性質に依存する。例えば、蒸留ならびに昇華の場合には沸点ならびに分子量に依存、クロマトグラフィーの場合には極性官能基の存在または非存在に依存、多相抽出の場合には物質の酸性および塩基性の媒体中での安定性などに依存。当業者は所望の分離を達成するのに最も適切な技術を適用するだろう。
【0053】
ジアステレオマー混合物はそれらの物理化学的差異に基づきクロマトグラフィーおよび/または分別結晶のような、当業者に周知の方法によりそれらのここのジアステレオマーに分離され得る。鏡像異性体は鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に転換し、(この転換は適切な光学活性な化合物(たとえばキラルアルコールまたはMosherの酸塩化物などのキラル補助剤)との反応による)、ジアステレオマーを分離し、そして個々のジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体へと転換(例えば、加水分解)することで分離され得る。あるいは本発明の化合物のいくつかはアトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であり得、そして本発明の一部であると考えられる。鏡像異性体はキラルHPLCカラムの使用でも分離され得る。
【0054】
単一の立体異性体、例えば一つの鏡像異性体、実質的にその立体異性体を含まないものは、光学活性な分割試薬を用いてのジアステレオマーの形成のような方法を用いてラセミ混合物を分割することにより得られ得る(Eliel, E.およびWilen, S. 「Stereochemistry of Organic Compounds」 John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994; Lochmuller, C. H., (1975) J. Chromatogr., 113(3):283−302)。本発明のキラルな化合物のラセミ混合物は任意の適切な方法で分離され、そして単離され得る。その方法は(1)キラルな化合物とのイオン性のジアステレオマー塩を形成し、そして分別結晶化または他の方法で分離すること、(2)キラル誘導化試薬とのジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして純粋な立体異性体へと転換すること、および(3)キラルな条件下で、直接的に、実質的に純粋な、または富化された立体異性体を分離することを含む。「Drug Stereochemistry, Analytical Methods and Pharmacology」 Irving W. Wainer, Ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1993)を参照。
【0055】
方法(1)では、ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニン、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などのような鏡像異性体的に純粋なキラルな塩基と、カルボン酸およびスルホン酸のような 酸性の官能基を有する非対称な化合物との反応により得られ得る。そのジアステレオマー塩は分別結晶化またはイオンクロマトグラフィーにより分離するように誘導され得る。アミノ化合物の光学異性体の分離のために、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸または乳酸のようなキラルなカルボン酸またはスルホン酸の添加がジアステレオマー塩の形成をもたらし得る。
【0056】
あるいは、方法(2)により、分割されるべき基質はキラルな化合物の一つの鏡像異性体と反応させられることで、ジアステレオマー対を形成する(E. およびWilen, S. 「Stereochemistry of Organic Compounds」, John Wiley & Sons, Inc., 1994, p. 322)。ジアステレオマー化合物は、非対称な化合物とメンチル誘導体のような鏡像異性体的に純粋なキラル誘導化試薬とを反応させ、引き続いてのジアステレオマーの分離、そして、純粋または富化された鏡像異性体を与える加水分解を行うことで、形成され得る。光学純度を決定する方法は、ラセミ混合物の、メンチルエステル、例えば、(−)クロロギ酸メンチル、またはMosherエステル、酢酸α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル(Jacob III. J. Org. Chem., (1982) 47:4165)のようなキラルなエステルを塩基存在下で作成すること、およびH NMRスペクトルで二つのアトロプ異性にある鏡像異性体またはジアステレオマーの存在を分析することを含む。アトロプ異性な化合物の安定なジアステレオマーは、アトロプ異性なナフチル−イソキノリンを分離する方法(WO 96/15111)に従い、順相および逆相クロマトグラフィーにより分離され、および単離され得る。方法(3)により、二つの鏡像異性体のラセミ混合物はキラルな固定相を用いてクロマトグラフィーにより、分離され得る(「Chiral Liquid Chromatography」 (1989) W. J. Lough, Ed., ChapmanおよびHall, New York; Okamoto, J. Chromatogr., (1990) 513:375−378)。富化されたまたは純粋な鏡像異性体は、旋光または円偏光二色性のような、非対称炭素原子を持つ他のキラル分子と区別するために用いられる方法により、区別され得る。
薬学的な処方
本発明の化合物をヒトを含む哺乳類の治療処置(予防処置を含む)のために用いるために、本発明の化合物は薬学的な組成物としての標準的な薬学的な実務に従って標準的に処方される。本発明のこの局面により、薬学的に受容可能な希釈剤またはキャリアと共に本発明の化合物を含む薬学的な組成物が提供される。
【0057】
典型的な処方は本発明の化合物およびキャリア、希釈剤または賦形剤を混合することにより調製される。適切なキャリア、希釈剤または賦形剤は当業者には周知であり、そして炭水化物、ロウ、水溶性および/または膨潤性のポリマー、親水性または疎水性の物質、ゼラチン、油、溶媒、水などのような物質を含む。使用される特定のキャリア、希釈剤または賦形剤は、本発明の化合物が適用されるための手段および目的に依存するだろう。溶媒は、当業者により、哺乳類に投与することが安全(GRAS)であるとして認識された溶媒に基づき、一般に選択される。一般に、安全な溶媒は、水および水中に溶解可能な、あるいは混和可能なその他の無毒な溶媒のような無毒な水性の溶媒である。適切な水性の溶媒は水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)などおよびそれらの混合物を含む。処方は一つまたはそれより多くの緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、抗酸化剤、乳白剤、流動促進剤、プロセス補助剤、着色剤、甘味料、香料、風味料およびその他の公知の添加剤で、的確な薬剤(すなわち、本発明の化合物またはその薬学的な組成物)を提供するか、あるいは薬学的な製品(すなわち薬剤)を製造する際に助成するものをも含み得る。
【0058】
本発明の化合物の薬学的な組成物は様々な投与の経路および種類のために調製され得る。例えば、式Iまたは式IIの化合物で所望の純度を有するものは、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、賦形剤または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences (1980) 16th edition, Osol, A. Ed)と、凍結乾燥処方、粉砕粉末、または水溶液の形態で、必要に応じて混合され得る。処方は室温で、適切なpHで、そして所望の純度で、生理学的に受容可能なキャリア、すなわち使用される投薬量および濃度で受容者に無毒であるキャリアと混合することにより、実行され得る。処方のpHは、特定の化合物の用途および濃度に、主に依存するが、しかしpH値はおよそ3〜およそ8の間の範囲であり得る。pH5の酢酸緩衝液中での処方は、適切な実施形態である。本発明の化合物で、本明細書中用いられるものは好ましくは滅菌されている。特に、インビボの投与のために使用されるべき処方は滅菌されなければならない。そのような滅菌は、滅菌のろ過膜を通してろ過することにより、容易に達成される。化合物は通常、固体組成物、凍結乾燥処方として、または水溶液として保存され得る。
【0059】
受容可能な希釈剤、キャリア、賦形剤および安定化剤は、使用する投与量および濃度では、受容者に無毒であり、そしてリン酸、クエン酸、およびその他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;ヘキサメチオニン塩化物;ベンズアルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物;フェノール;ブチルまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量の(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたはイムノグロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性のポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖、二糖およびその他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールのような糖類;ナトリウムのような塩を形成する対イオン;金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体); および/あるいはTWEENO, PLURONICSO、またはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。活性な薬学的成分は例えば、コアセルベート技術により、あるいは界面重合、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルそれぞれとの、コロイド性ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ−粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルション中での界面重合により調製されたマイクロカプセル中にも封入され得る。そのような技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)中に記述されている。
【0060】
式Iおよび式IIの化合物の 徐放性調製物は調製され得る。徐放性調製物の適切な例は、固体で、疎水性のポリマーの半透性のマトリックス(式Iまたは式IIの化合物を含む)を含み、そのマトリックスは、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルのような、成形られた一つの物品の形態である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(US 3773919)、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性のエチレン‐ビニルアセテート、LUPRON DEPOTO (注入可能なマイクロスフィアで、乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される)のような分解性の乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸を含む。
【0061】
その処方は本明細書中に詳述されている投与経路に適した処方を含む。その処方は便宜的に単位用量の形態で表され得、そして製薬分野で任意の周知の方法により調製され得る。技術および処方はRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, PA)中に一般に見られる。そのような方法は活性成分と一つまたはそれより多くの付属の成分を構成するキャリアとの会合物(association)へと至らせる工程を含む。一般に、処方は一様におよび緊密に有効成分と、液体キャリアまたは細かく分割された固体キャリアあるいはその両方との会合物(association)へと至らしめ、そしてその後、必要ならば生成物を成形することにより調製される。
【0062】
式Iまたは式IIの化合物の経口投与に適している処方は、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、またはタブレット、でそれぞれの既定量の式Iまたは式IIの化合物を含むものような分離した単位として調製され得る。
【0063】
圧縮されたタブレットは適切な機器の中で、有効成分を、粉末あるいは顆粒のような自由に流れる形態で圧縮され、必要に応じて、結合剤、滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤また分散剤と混合され圧縮されることで調製され得る。成形されたタブレットは適切な機器の中で、不活性液体希釈剤で湿らされ、粉末化された活性成分の混合物を型で成形することにより作成され得る。タブレットは必要に応じて、被覆されまたは刻み目を付けられ得、そして、必要に応じて、そこからの遅いあるいは制御された活性成分の放出をもたらすため、調製される。
【0064】
タブレット、トローチ剤、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末または顆粒、エマルション、硬、または軟カプセル例えばゼラチンカプセル、シロップあるいはエリキシル剤は経口用途のために調製され得る。式Iまたは式IIの化合物の経口用途のために意図される処方は薬学的な組成物の製造分野で公知である、任意の方法に従い調製され得、そしてそのような組成物は、食味の良い調製物を供給するために一つまたはそれより多くの物質(甘味料、風味料、着色料および保存料を含む)を含み得る。無毒で、薬学的に受容可能な賦形剤で、タブレットの製造に適しているもの、との混合物中に活性成分を含むタブレットは受容可能である。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性な希釈剤;トウモロコシデンプン、またはアルギニン酸のような顆粒化剤または分解剤;デンプン、ゼラチン、またはアカシアのような結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクのような滑剤であり得る。タブレットは非被覆であり得、または、消化器官中での消化および吸着を遅延させ、そして、それにより長期間の持続した作用をもたらすマイクロカプセル化を含む公知の技術により被覆され得る。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリン単体か、あるいはロウとでのもののような、時間を遅延させる物質が使用され得る。
【0065】
式Iまたは式IIの化合物の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムのような懸濁剤、ならびに天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)のような分散剤および湿潤剤を含む。水性懸濁液は、一つまたはそれより多くの、p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピルのような保存料、一つまたはそれより多くの着色剤、一つまたはそれより多くの風味料、ならびに一つまたはそれより多くの、スクロースまたはサッカリンのような甘味料をも含み得る。
【0066】
式Iまたは式IIの化合物の薬学的な組成物は、滅菌の注入可能な水性または油性の懸濁液のような、滅菌の注入可能な調製物の形態であり得る。この懸濁液は、上述した、これらの適切な、分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いる公知の技術に従い、処方され得る。滅菌の注入可能な調製物は、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、無毒で非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中での滅菌の注入可能な溶液あるいは懸濁液でもあり得、あるいは凍結乾燥された粉末として調製され得る。使用され得る受容可能な分散剤および溶媒の中では、水、Ringer液および等張食塩水である。さらに、滅菌の固定油は慣用的に溶媒あるいは懸濁媒として使用され得る。この目的のために、合成モノ−または、ジグリセリドなどの任意の刺激の強くない固定油が使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が同様に、注入可能物の調製に用いられ得る。
【0067】
キャリア物質と合わせられ単一の投薬量の形態を形成し得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与の形態に依存しながら、異なるだろう。例えば、ヒトへの経口投与を意図される徐効処方は、総組成の約5%から約95%(重量:重量)の範囲で変化し得る適切で便宜的な量のキャリア物質と合わせられたおよそ1mg〜1000mgの活性物質を含み得る。薬学的な組成物は容易に計量できる投与量を供給するように調製され得る。例えば、約30mL/時間の速度で適切な容量の注入が起こり得るように、静脈注入を意図される水溶液は溶液ミリリットル中約3μgから500μgの活性成分を含み得る。
【0068】
非経口投与に適した処方物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および意図される受容者の血液と処方物が等浸透圧になるようにする溶質;および、懸濁剤および糊料を含み得る、水性および非水性の滅菌の懸濁液を含み得る、水性および非水性の滅菌注入溶液を含む。
【0069】
眼への局所投与に適した処方物は、活性成分が、適切なキャリア、特に活性成分に対する水性溶媒中に溶解または懸濁される点眼剤をも含む。活性成分は、好ましくは、そのような処方物では約0.5%〜20%w/wの間の濃度の中、例えば、約0.5%〜10%w/w、例えば約1.5%w/wである。
【0070】
口内の局所投与に適した処方物は、活性成分を風味付けられた基盤(通常、スクロースおよびアカシアもしくはトラガカント)中に含む、ロゼンジ;活性成分を不活性な基盤(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような)中に含むパステル剤;ならびに適切な液体キャリア中に活性成分を含むうがい薬を含む。
【0071】
処方物は例えば、封管されたアンプルおよびバイアルのような単位用量または多単位用量の容器に包装され得、そして使用の直前に、注入のために、滅菌液体キャリア、例えば水、を添加することだけを必要とする凍結乾燥(lyophilized)状態で保存され得る。即座の注入溶液および懸濁液は既述の種類の滅菌の粉末、顆粒およびタブレットから調製される。好まれる単位用量の処方物は、有効成分の、本明細書中で上述されている日単位の使用量または日単位の副使用量、またはそれらの適切な画分を含む処方である。
【実施例】
【0072】
本発明を記述するために以下の実施例を挙げる。ただしこれらの実施例は本発明を限定するものではなく本発明の実行の方法を示唆することを意味するだけであると理解されるべきである。当業者は記述されている化学反応は本発明の化合物の調製において本発明の範囲内とみなされる他の方法に容易に適応され得ることを認識するだろう。
【0073】
以下の実施例のなかで、他に指示しない限りすべての温度は摂氏(℃)で記載されている。試薬はSigma−Aldrich Chemical Companyなどの商業的な供給業者から購入し、他に指示のない限りそれ以上の精製は行わずに用いられた。
【0074】
以下に記述される反応は一般に窒素やアルゴンの陽圧下で(他に言及されない限り)乾燥管を用いて無水溶媒中で行われた。そして反応に用いるフラスコは注射器を用いて基質や試薬を導入するために代表的にはゴム製のふたを装着された。ガラス器具はオーブンで乾燥したか、かつ/または熱で乾燥した。
【0075】
カラムクロマトグラフィーはシリカゲルカラムを有するBiotage system (製造者:Dyax Corporation) もしくはシリカSEP PAK(登録商標)カートリッジ(Waters)で行った。H NMRスペクトルは重水素化CDCl, d−DMSO, CHOD または重水素化アセトンの溶液中でクロロホルムを参考標準(7.25 ppm)として用いて測定した(ppmで報告されている)。ピーク多重度を報告するとき、以下の以下の略語を用いている:s(一重)、d(二重)、t(三重)、m(多重)、br(幅広)、dd(二重の二重)、dt(三重の二重)。カップリング定数が与えられるとき、ヘルツ(Hz)で報告されている。
【0076】
実施例1 チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 2
【0077】
【化14】

3−アミノチオフェンカルボン酸メチル 1 (850 g, 5.41 mol, 1.0 当量)、酢酸(6 L)と水(5 L)の混合物にシアン酸カリウム(KOCN, 1316 g, 16.22 mol, 3.0 当量)の水(3.2 L)溶液を1時間かけてゆっくりと加えた。得られた混合物を室温で20時間撹拌した後、ろ過し、水(4 L)でリンスした。そのケーキを適切な大きさの反応器に満たし、2 Mの水酸化ナトリウム水溶液(14 L)を加えた。そのスラリーを2時間撹拌し、液体クロマトグラフ質量分析で所望の生成物の形成を確認した。この混合物を10℃まで冷やし、pH が5.0 − 6.0 (pH試験紙で確認)になるまで3 Mの塩酸(約11 L)を加えた。そのスラリーをろ過し、水(6L)でリンスしたのち、真空オーブン中で50℃で24時間乾燥したところチエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2を黄色がかった白色の固体として得た(834 g,92%). H NMR (400 MHz, DMSO−d) ・・6.90 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.40 - 5.55 (br s, 2 H). LCMS (ESI pos) m/e 169 (M+1)。
【0078】
実施例2 2,4−ジクロロチエノ[3,2−d]ピリミジン 3
【0079】
【化15】

オキシ塩化リン(299 mL, 3.27 mol, 5.0当量)を冷たいチエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2(110 g, 0.654 mol, 1.0 当量)とN,N−ジメチルアニリン(62 mL, 0.491 mol, 0.75 当量)とのアセトニトリル(550 mL)溶液にゆっくりと添加し、その間、温度を20℃未満を維持した。次いで、その混合物を80−85℃に加熱し24時間撹拌した。液体クロマトグラフ質量分析が反応が完了したことを示した。その反応混合物を15℃まで冷却した後、ゆっくりと氷と冷水(1.0 L)の混合物上に注いだ。得られたケーキをろ過し冷水(300 mL)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で40℃で24時間乾燥し2,4−ジクロロチエノ[3,2−d]ピリミジン3を黄色がかった白色の固体として得た(93.4 g, 67%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d) ・・7.56 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 8.76 (d, J = 5.5 Hz, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 205 (M+1)。
【0080】
実施例3 4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4
【0081】
【化16】

モルホリン(87 ml, 1.00 mol, 2.2当量)を2,4−ジクロロチエノ[3,2−d]ピリミジン3(93.4 g, 0.456 mol, 1.0当量)の溶液に加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、得られたスラリーをろ過し、水(500 mL)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で40℃で24時間乾燥し4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4を黄色がかった白色の固体として得た(109 g, 94%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ・3.74 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 3.90 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 7.40 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 5.6 Hz, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 257 (M+1)。
【0082】
実施例4 2−クロロ−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド5
【0083】
【化17】

4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4(50 g, 195 mmol, 1.0 当量)のTHF(無水、800 ml)懸濁液にn−BuLiの2.5 Mヘキサン溶液(93.9 ml, 234.6 mmol, 1.2 当量)を-78 Cでゆっくりと加えた。得られたスラリーは−60 Cまで加温した。そして、澄んだ茶色の溶液が観測された。その後、その溶液を-78 Cまで冷却し、DMF(無水, 22.7ml, 293mmol, 1.5当量)をゆっくりと加えた。得られた溶液を-78 Cで0.5時間撹拌し、その後1-1.5時間かけてゆっくりと0 Cまで加温した。その後得られた溶液をゆっくりと0.25 M 塩酸(1.65l)と氷水(800ml)の混合物に注いだ。得られたスラリーは0 C〜10 Cで0.5時間撹拌し、ろ過し、冷水(200ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で40℃で24時間乾燥し2−クロロ−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド5を薄い黄色の固体として得た(54.9 g, 99% 収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ3.76 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 3.95 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 8.28 (s, 1H), 10.20 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 285 (M+1)。
【0084】
実施例5 4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8
【0085】
【化18】

メタンスルホニルクロリド(34.38ml, 443mmol, 1.1 当量)を1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン6(BOC−ピペラジン、75g, 403 mmol, 1.0当量)とトリエチルアミン(67.4ml, 483mmol, 1.2当量)のメチレンクロリド(750 ml)溶液にゆっくりと添加し、その間、内部の温度を20℃未満に維持した。その溶液を室温で24時間撹拌した。その溶液を氷と水(1.5 L)の混合物上に注いだ。相を分離し、水相をメチレンクロリド(800ml、2回)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮することで4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル7を黄色がかった白色の固体として得た(105g)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ1.45 (s, 9H), 2.75 (s, 3H), 3.15 (m, 4H), 3.50 (m, 4H)。
【0086】
4Mの塩化水素の1,4−ジオキサン(1.2L)溶液を冷たい4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル7(105g)のメチレンクロリド(1.1L)溶液にゆっくりと添加し、その間、内部の温度を20℃未満に維持した。その溶液を20時間撹拌し、H NMRが反応が完了したことを示した。得られたスラリーをろ過し、メチレンクロリド(300ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で50℃で20時間乾燥し4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8を白色の固体として得た(78.4g, 97% 二段階での収率)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ・3.00 (s, 3H), 3.17 (m, 4H), 3.38 (m, 4 H), 9.45 (br s, 2H)。
【0087】
実施例6 4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9
【0088】
【化19】

2−クロロ−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド5(20.6g, 72.6mmol, 1.0当量)、4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8(18.9g, 94.4mmol, 1.30当量)と酢酸ナトリウム(無水粉末、7.74g, 94.4mmol, 1.30当量)の1,2−ジクロロエタン(無水,412ml)懸濁液にオルトギ酸トリメチル(79.5ml, 726mmol, 10 当量)を加えた。そのスラリーを室温で少なくとも6時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(純度>90%、20.5g, 87.1mmol, 1.2当量)を加え、その反応物を24時間撹拌した。液体クロマトグラフ質量分析が反応が終了したことを示した。反応を水(1.0L)とメチレンクロリド(1.0 L)で終結させた。相を分離し有機相をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮することで黄色の固体(35g)を得た。その後、その粗固体を酢酸エチル(500ml)中、80℃で2時間撹拌した。そのスラリーを30〜40℃に冷却し、ろ過し、酢酸エチル(50ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で45℃で乾燥し4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9を黄色がかった白色固体として得た(24g, 75%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ 2.53−2.60 (m, 4H), 2.90 (s, 3H), 3.09−3.19 (m, 4H), 3.73 (t, J = 4 Hz, 4H), 3.89 (t, J = 4 Hz, 4H), 3.91 (s, 2H), 7.31 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 432 (M+1)。
【0089】
実施例7 4−クロロ−1H−インダゾール12
【0090】
【化20】

撹拌棒の付いた250mlフラスコに3−クロロ−2−メチルアニリン11(8.4ml, 9.95g, 70.6mmol)、酢酸カリウム(8.3g, 84.7mmol)とクロロホルム(120ml)を加えた。この混合物を0℃まで撹拌しながら冷却した。その冷却した混合物に無水酢酸(20.0ml, 212mmol)を2分間かけて滴下した。その反応混合物を25℃まで加温し1時間撹拌した。この時点で反応は60℃まで熱せられた。亜硝酸イソアミル(18.9ml, 141mmol)を加えて、反応を60℃で一晩中撹拌した。いったん終了した後、水(75ml)とTHF(150ml)を加え、反応物を0℃まで冷却した。水酸化リチウム(LiOH,20.7g, 494mmol)を加え、反応物を0℃で3時間撹拌した。水(200ml)を加え、生成物を酢酸エチル(300ml, 100ml)で抽出した。有機相を合わせ、MgSOを用いて乾燥し、濃縮することで4−クロロ−1H−インダゾール12をオレンジ色の固体として得た(11.07g(100%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.18 (d, J = 1 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8 Hz 1H), 7.31 (t, J = 7 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 7 Hz, 1 Hz 1H). LCMS (ESI pos) m/e 153 (M+1)。
【0091】
実施例8 4−クロロ−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール13
【0092】
【化21】

メカニカルスターラーの付いた1Lフラスコに4−クロロ−1H−インダゾール12(75.0g, 0.492mol)とp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(1.24g, 4.92mmol)、CHCl (500ml)と3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(98.6ml, 1.08mol)を加えた。撹拌しながら、この混合物を45℃まで16時間加熱した。反応混合物の分析は生成物の両方の異性体の生成を示した。反応物を25℃まで冷却し、CHCl (200ml)を加えた。その溶液を水(300ml)と飽和NaHCO(250ml)とで洗浄した。有機物をMgSOで乾燥し、乾燥するまで濃縮した。粗生成物を酢酸エチル/ヘキサン(4:6, 1 L)に溶解し、SiO(1.2L)を加えて精製した。その混合物をろ過し、そのケーキを酢酸エチル/ヘキサン(4:6, 2L)で洗浄した。その有機物を濃縮して4−クロロ−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール13をオレンジ色の固体(110.2 g, 95%)として得るとともに、THP位置異性体である4−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾールを少量(およそ10%)得た。異性体1:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.10 (d, J = 1 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 9 Hz, 1 Hz 1H), 7.29 (dd, J = 9 Hz, 8 Hz 1H), 7.15 (dd, J = 8 Hz, 1 Hz 1H) 5.71 (dd, J = 9 Hz, 3 Hz 1H) 4.02 (m, 1H) 3.55 (m, 1H) 2.51 (m, 1H) 2.02 (m, 2H) 1.55 (m, 3H). LCMS (ESI pos) m/e 237 (M+1);異性体2:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.25 (d, J = 1 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 9 Hz, 1 Hz 1H), 7.20 (dd, J = 9 Hz, 8 Hz 1H), 7.06 (dd, J = 8 Hz, 1 Hz 1H) 5.69 (dd, J = 9 Hz, 3 Hz 1H) 4.15 (m, 1H) 3.80 (m, 1H) 2.22 (m, 2H) 2.05 (m, 1H) 1.75 (m, 3H). LCMS (ESI pos) m/e 237 (M+1)。
【0093】
実施例9 2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10
【0094】
【化22】

撹拌棒の付いた500mlフラスコに4−クロロ−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール13(10.0g, 42.2mmol),DMSO(176 ml),PdCl(PPh (6.2g, 8.86mmol),トリシクロヘキシルホスフィン(0.47g, 1.69mmol),ビス(ピナコラート)ジボロン(16.1g, 63.4mmol)と酢酸カリウム(12.4g, 0.127mol)を加えた。撹拌しながら、その混合物を130℃まで16時間加熱した。その反応物を25℃まで冷却し、酢酸エチル(600ml)を加え、水(250ml、2回)で洗浄した。有機物をMgSOで乾燥し、乾燥するまで濃縮した。粗生成物をSiOプラグ(120g)で10%酢酸エチル/ヘキサン(1L)と30%酢酸エチル/ヘキサン(1L)を用いて溶出し精製した。そのろ液を濃縮し2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10(13.9g, 100%)を20%(重量/重量)酢酸エチル溶液として得た。H NMRはおよそ20%(重量/重量)のビス(ピナコラート)ジボロンと少量(およそ10%)のTHP位置異性体である1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾールの存在を示している。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.37 (s, 1H), 7.62 (dd, J = 14 Hz, 2 Hz 1H), 7.60 (dd, J = 7 Hz, 1 Hz 1H), 7.31 (dd, J = 8 Hz, 7 Hz 1H) 5.65 (dd, J = 9 Hz, 3 Hz 1H) 4.05 (m, 1H) 3.75 (m, 1H) 2.59 (m, 1H) 2.15 (m, 1H) 2.05 (m, 1H) 1.75 (m, 3H) 1.34 (s, 12H). LCMS (ESI pos) m/e 245 (M+1)。
【0095】
実施例10 4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14
【0096】
【化23】

4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9(96.5g,223mmol,1.0当量)の1,4−ジオキサン(1.75L)溶液に水(772ml)、炭酸ナトリウム(47.4g, 447mmol, 2.0当量)と2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10(73 w/w%, 150.7g, 325mmol, 1.5当量)を加えた。その混合物を三回脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物(6.28g, 9.94mmol, 0.04当量)を加え、得られたスラリーを四回脱気した。その混合物を88℃まで14時間加熱した。その反応混合物を50℃まで冷却し、真空下で全体積の半分になるまで濃縮し、その後15℃まで冷却し、アセトニトリル(900ml)を加えた。2時間の撹拌の後、得られたスラリーを−5℃まで冷却し、ろ過し、アセトニトリル(40ml)、水(90ml)とアセトニトリル(40ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で50℃で24時間乾燥し茶色がかった黄色固体(140g、Pd含有量:2000ppm)を得た.そのケーキをメチレンクロリド(1930ml)に溶解し、その後FLORISIL(登録商標)(60−100メッシュ, 193g, Aldrich Chemical Company, Incより購入)を加えた。そのスラリーを室温で最低5時間撹拌し、SILIABOUND(登録商標)Thiol (28g)を加えた。その混合物を室温で最低12時間撹拌し、ろ過し、メチレンクロリド(2L)、引き続きメチレンクロリド(2L)と酢酸エチル(2L)の混合物でリンスした。全てのろ液とリンスを合わせ濃縮することで4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14をの黄色がかった白色固体(93g)として得た。この固体のPd含有量20ppm未満であり少量のTHP位置異性体14Aを含んでいた。H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.20−4.30 (br, 8H), 2.61−2.64 (m, 4H), 2.74 (s, 3H), 3.23−3.26 (m, 4H), 3.83−3.86 (m, 6H), 3.99−4.02 (m, J = 4.15 Hz, 4H), 5.66−5.70 (m, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.32−7.37 (dd, 8.6Hz, 7.1Hz, 1H), 7.77−7.80 (d, 8.6Hz, 1H), 8.22−8.25 (d, 6.99Hz, 1H), 9.04 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 598 (M+1)。
【0097】
実施例11 4−(2−((1H−インダゾール4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンI
【0098】
【化24】

4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14(200g, 0.3346mole)を適切な大きさの反応容器に窒素下で充填し、引き続きメタノール(3.0L)と水(0.16L)を充填した。メタンスルホン酸(160.8g, 1.673モル, 5.00当量)をゆっくりと反応容器に加えた(穏やかな発熱が観測された)。そのスラリーを室温で一時間撹拌し、その後65℃まで加熱し、16時間撹拌した。反応容器から試料を採取し、HPLC分析を行った。HPLCは残存する出発原料の量が0.5%(仕様 1%未満)。その反応混合物を0〜5℃まで冷却し、そして3時間より長く撹拌し、ろ過し、そして冷メタノール(0〜5℃、600ml)でリンスした。そのケーキを大きな反応容器に移した。引き続いて酢酸エチル(1 L)とメチル−tert−ブチルエーテル(2L)。得られたスラリーを室温で4時間より長く撹拌し、ろ過し、そしてメチル−tert−ブチルエーテル(200ml)でリンスした。真空オーブン中で55℃で少なくとも12時間乾燥し4−(2−((1H−インダゾール4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIのビスメシラート塩を黄色がかった白色固体として得た(224g)。
【0099】
その固体を適切な大きさの反応容器に移し、引き続き水(1.34L)を加えた。澄んだ溶液を得るために、得られた混合物を30℃まで加熱した。その後、全ての異質なものを除くために二重のインラインフィルター(1ミクロンおよび0.45ミクロン)を通して溶液をろ過した。そのろ液をおよそ80%の水が除かれるまで、55℃で真空下濃縮した。反応容器にインラインフィルター(0.45ミクロン)を通してメタノール(3.36L)を加え、そして得られた混合物を5℃まで冷却し、そしてメタンスルホン酸(60.5g)をゆっくりと加えた。5℃で30分撹拌の後、その混合物を少なくとも16時間55℃で撹拌した。インプロセス(in−process)XRPD(X線粉末回折)とDSC(示差走査熱量測定)により所望の結晶が生成していることを確認し、そしてそのスラリーを0℃〜5℃まで冷却し、そして少なくとも3時間撹拌し、ろ過し、そして冷メタノール(0℃〜5℃、0.47L)でリンスした。そのケーキを適切な大きさの反応容器に移し、引き続き酢酸エチル(1.0L)とtert−ブチルメチルエーテル(2.0L)とを加えた。得られたスラリーを室温で少なくとも4時間撹拌し、ろ過し、そしてtert−ブチルメチルエーテル(1.50wt)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で55℃で少なくとも12時間乾燥し4−(2−((1H−インダゾール4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIのビスメシラート塩を黄色がかった白色固体として得た(204g, 87%)。H NMR (300 MHz, DMSO−d) δ 2.40 (s, 6H), 3.02 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.00−3.87 (br, 8H), 3.88−3.89 (m, 4H), 4.10−4.12 (m, 4H), 4.77 (br, 2H), 7.52−7.57 (t, 7.8Hz, 1H), 7.77−7.83 (t, 8.7Hz, 2H), 8.14−8.16 (d, 7.17Hz,1H), 8.76 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 514 (M+1)。
【0100】
生成物Iのビスメシラートをジェットミルで窒素をプロセスガスとして用い、 すりつぶした。そのすりつぶしの条件は以下の通りである:ベンチュリ圧:100psi;すりつぶし圧:35〜50psi;そして供給速度3.6〜4.4kg/時であった。典型的な回収は93〜97%である。
【0101】
実施例12 チエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16
【0102】
【化25】

2−アミノチオフェンカルボン酸メチル15(95g)とジクロロメタン(2.85L)の溶液を−60℃まで冷やし、そしてクロロスルホニルイソシアネート(89.81g)を内部温度が−60℃〜−55℃に保たれるような速度で添加した。得られた混合物をその後、20℃まで加温し、そして出発原料の完全な消失をLCMSで確認した。その後、その混合物をロータリーエバポレータを用いて乾燥するまで濃縮し、そしてその固体を5Lフラスコ中で水(1.9L)を用いて75℃で1時間撹拌した。その後、そのスラリーを30℃まで冷却し、10M NaOH(200 mL)溶液を加えた。その混合物を85℃まで加熱しそして20分間撹拌し、その後室温まで冷却した。濃HClをpH 値が 1になるまで加え、そしてその混合物を室温で18時間撹拌した。その後、そのスラリーをろ過し、そして冷水(300ml、3回)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で55℃で24時間乾燥することによりチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16を黄色がかった白色の固体として得た(80.05g, 79%)。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 7.08 (d, J = 5.6 Hz, 1H), δ 7.12 (d, J = 5.6 Hz, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 169 (M+1). LCMS (ESI pos) m/e 169 (M+1)。
【0103】
実施例13 2,4−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17
【0104】
【化26】

オキシ塩化リン(365g,2.38mol, 5.0当量)をチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16(80g,0.476mol,1.0当量)とN,N−ジメチルアニリン(42g,0.347mol,0.75当量)の冷たいアセトニトリル(400ml)溶液にゆっくりと添加した。その間、温度は25℃未満に保った。その後、その混合物を80〜85℃に加熱し、そして24時間撹拌した。LCMSが反応が完了したことを示した。その反応混合物を15℃まで冷却し、その後ゆっくりと氷と冷水(1.0L)の混合物上に注いだ。その得られたスラリーをろ過し、冷水(300ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で40℃で24時間乾燥することによりジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17を黄色がかった白色の固体として得た(93.4g,67%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 7.62 (d, J = 6.4 Hz, 1H), δ 8.16 (d, J = 6.4 Hz, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 205 (M+1)。
【0105】
実施例14 4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18
【0106】
【化27】

モルホリン(85.1g,0.977mol,2.2当量)を2,4−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17(91g,0.444mol,1.0当量)の溶液に加えた。その反応混合物を室温で1時間撹拌し、そして得られたスラリーをろ過し、水(500ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で55℃で24時間乾燥することにより4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18を黄色がかった白色の固体として得た(100.3g,88%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ3.736 (t, J = 4.8 Hz, 4H), δ 3.897 (t, J = 5.2 Hz, 4H), δ 7.658 (d, J = 6.4Hz, 1H), δ 7.682 (t, J = 6.4Hz, 4H). LCMS (ESI pos) m/e 257 (M+1)。
【0107】
実施例15 2−クロロ−4−モルホリノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド19
【0108】
【化28】

4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18(90.2g,0.350mol,1.0当量)のTHF(無水,1400ml)懸濁液に−78℃でゆっくりとn−BuLiの2.5Mヘキサン溶液(169ml,0.522mol,1.2当量)を添加した。得られたスラリーを−60℃まで加温し、そして澄んだ茶色の溶液が観測された。その後その溶液を−78℃まで冷却しそしてDMF(無水,38.67g,0.530モル,1.5当量)をゆっくりと加えた。得られた溶液を−78℃で0.5時間撹拌し、そしてゆっくりと1〜1.5時間かけて0℃まで加温した。その後、その溶液をゆっくりと0.25M塩酸(3.0L)と氷水(1.4L)の混合物に注いだ。得られたスラリーを0℃〜10℃で0.5時間撹拌し、ろ過し、そして冷水(0.5L)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で55℃で24時間乾燥することにより2−クロロ−4−モルホリノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド19を明るい黄色固体として得た(90.8g、91%収率)。 H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ 3.778 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.990 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 8.756 (s, 1H), 10.022 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 285 (M+1)。
【0109】
実施例16 4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20
【0110】
【化29】

2−クロロ−4−モルホリノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド19(90.8g、0.320mol,1.0当量)、4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8(あるいは1−(メチルスルホニル)ピペラジン塩酸塩と命名される,92.3g,0.460mol,1.45当量)と酢酸ナトリウム(無水粉末、37.7g,0.460mol,1.45当量)の1,2−ジクロロエタン(無水,1.8L)懸濁液にオルトギ酸トリメチル(340g,3.20mol,10当量)を加えた。そのスラリーを室温で少なくとも6時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(純度>90%,101.3g,0.430mol,1.35当量)を加え、そしてその反応物を24時間撹拌した。LC/MSが反応が完了したことを示した。反応を水(4.4L)とメチレンクロリド(4.4L)を用いて終了させた。相を分離し、そして有機相をMgSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮することで黄色固体を得た。その後、その粗固体を酢酸エチル(2.0L)中80℃で2時間撹拌した。そのスラリーを30〜40℃まで冷却し、ろ過し、そして酢酸エチル(50ml)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で45℃で乾燥することにより4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20を黄色がかった白色固体として得た(110.2g,80%収率)。H NMR (400 MHz, DMSO−d)δ 2.52−2.55 (m, 4H), 2.89 (s, 3H), 3.12−3.14 (m, 4H), 3.73 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.81 (s, 2H), 3.86 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 7.59 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 432 (M+1)。
【0111】
実施例17 4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン」−4−イル)モルホリン21
【0112】
【化30】

4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20(110g,0.250mol,1.0当量)の1,4−ジオキサン(1.98L)溶液に、水(0.88L)、炭酸ナトリウム(54.1g,0.50mol,2.0当量)と2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10(50w/w%,209.4g,0.310mol,1.25当量)を加えた。その混合物を三回脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物(3.57g,0.005mol,0.02当量)を加え、そして得られたスラリーを四回脱気した。その混合物を88℃まで加熱し、そして14時間撹拌した。LCMSによれば反応が完了していた。そして反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、そして水(2.0L)でリンスした。
【0113】
その後、その粗生成物をFLORISIL(登録商標)(60−100メッシュ,101g,Aldrich Chemical Company, Incより購入)と、メチレンクロリド(2L)中で室温で少なくとも5時間撹拌し、その後ろ過し、メチレンクロリド(3L)でリンスし、引き続きメチレンクロリド(2L)と酢酸エチル(2L)の混合物でリンスした。全てのろ液とリンスを合わせ、そして濃縮し固体(110g,Pd含有量:150ppm)を得た。その固体をメチレンクロリドに溶解し、そしてSILIABOND(登録商標)チオ尿素(50g,Silicycle Inc., Crawford Scientific Ltd.)を加えた。その混合物を5時間撹拌し、ろ過し、メチレンクロリド(3L)でリンスし、引き続きメチレンクロリド(2L)と酢酸エチル(2L)の混合物でリンスした。全てのろ液とリンスを合わせ、そして濃縮することで4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン21を少量のTHP位置異性体21Aと共に、固体として得た(98g,Pd含有量:<10ppm,70%)。H NMR (300 MHz, CDCl) δ1.20−2.40 (br, 6H), 2.66−2.69 (m, 4H), 2.81 (s, 3H), 3.28−3.31 (m, 4H), 3.78−3.86 (m, 3H), 3.91−3.94 (m, J = 4.15 Hz, 4H), 3.97−4.00 (m, J = 4.21, 4H), 4.15−4.19 (d, 1H), 5.74−5.78 (dd, 8.9Hz, 3.2Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.39−7.44 (dd, 8.6Hz, 7.1Hz, 1H), 7.84−7.87 (d, 8.7Hz, 1H), 8.30−8.32 (dd, 7.08Hz, 0.72Hz, 1H), 9.11 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 598 (M+1)。
【0114】

実施例18 4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンII
【0115】
【化31】

4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン」−4−イル)モルホリン21(500g,0.836モル)を相当に大きな反応容器に充填し、引き続き、メタノール(9.5L)と水(250ml)を充填した。得られたスラリーを0℃まで冷却し、そして0.5時間撹拌した。濃硫酸(HSO,5.54ml,純度95〜98%,1.004モル,1.20当量)と水(250ml)の冷たい溶液をゆっくりと加えた。その間、温度を10℃未満に保った。その混合物を室温まで加温し、そして20時間撹拌した。そのスラリーを5℃まで冷却し、ろ過し、そして冷メタノール(2L)でリンスした。そのケーキを反応容器に充填し、そしてメタノール(9.5L)と水(25ml)の混合物中で50℃で3時間撹拌した。そのスラリーを0〜5℃まで冷却し、ろ過し、そして冷メタノール(2L)でリンスした。そのケーキを真空オーブン中で50℃で24時間乾燥することにより4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIIのスルホン酸塩を明るい黄色固体として得た(482g、94%)。H NMR (300 MHz, DMSO−d) δ 3.00−4.00 (br, 8H), 3.01 (s, 3H), 3.85−3.87 (m, 4H), 4.00−4.02 (m, 4H), 4.69 (s, 2H), 7.46−7.52 (t, 7.8Hz, 1H), 7.70−7.73 (d, 8.3Hz, 1H), 7.91 (br, 1H), 8.22−8.25 (d, 7.2Hz, 1H), 8.82 (s, 1H). LCMS (ESI pos) m/e 514 (M+1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの4−(2−(1H−インダゾ−ル−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンを調製するためのプロセスであって、
【化32】

3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル1およびシアン酸カリウムを反応させ、チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2を得る工程を包含する、プロセス。
【化33】

【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、2、オキシ塩化リン、およびN,N−ジメチルアニリンとを反応させて2,4−ジクロロチエノ[3,2−d]ピリミジン3を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化34】

【請求項3】
請求項2に記載のプロセスであって、3およびモルホリンを反応させて4−(2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン4を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化35】

【請求項4】
請求項3に記載のプロセスであって、4およびn−ブチルリチウムを反応させ、そしてその後ジメチルホルムアミドを反応させて2−クロロ−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド5を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化36】

【請求項5】
請求項4に記載のプロセスであって、5および4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8を反応させて4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン9を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化37】

【請求項6】
請求項5に記載のプロセスであって、9、2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10およびパラジウム触媒を反応させて4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン14を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化38】

【請求項7】
請求項6に記載のプロセスであって、前記パラジウム触媒がPdCl2(PPh, Pd(t−Bu), PdCl dppf CHCl, Pd(PPh, Pd(OAc)/PPh, ClPd[(Pet)], Pd(DIPHOS), ClPd(Bipy), [PdCl(PhPCHPPh)], ClPd[P(o−tol), Pd(dba)/P(o−tol), Pd(dba)/P(フリル), ClPd[P(フリル), ClPd(PMePh, ClPd[P(4−F−Ph), ClPd[P(C, ClPd[P(2−COOH−Ph)(Ph), およびClPd[P(4−COOH−Ph)(Ph)から選択される、プロセス。
【請求項8】
請求項6に記載のプロセスであって、前記14を含む反応混合物をパラジウムスカベンジャーで処理し、それにより残留パラジウムを除去し、そして14をパラジウム20ppm未満で単離する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスであって、前記パラジウムスカベンジャーがFLORISIL(登録商標)、SILIABOUND(登録商標)ThiolまたはSILIABOND(登録商標)Thioureaである、プロセス。
【請求項10】
請求項6に記載のプロセスであって、14を酸と反応させて式Iの化合物を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスであって、式Iのジメシラート塩を、メタンスルホン酸で、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよびイソブタノールから選択されるアルコール中で形成する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項12】
式IIの4−(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリンIIを調製するためのプロセスであって:
【化39】

2−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル15およびクロロスルホニルイソシアネ−トを反応させてチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン16を得る工程を包含する、プロセス。
【化40】

【請求項13】
請求項12に記載のプロセスであって、16、オキシ塩化リンおよびN,N−ジメチルアニリンを反応させて2,4−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン17を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化41】

【請求項14】
請求項13に記載のプロセスであって、17およびモルホリンを反応させて4−(2−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン18を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化42】

【請求項15】
請求項14に記載のプロセスであって、18をn−ブチルリチウムと反応させ、そしてその後ジメチルホルムアミドと反応させて2−クロロ−4−モルホリノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド19を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化43】

【請求項16】
請求項15に記載のプロセスであって、19および4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イウム塩化物8を反応させて4−(2−クロロ−6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン20を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化44】

【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、20、2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2H−インダゾール10、およびパラジウム触媒を反応させて4−(6−((4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2H−インダゾール−4−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)モルホリン21を得る工程をさらに包含する、プロセス。
【化45】

【請求項18】
請求項17に記載のプロセスであって、前記パラジウム触媒がPdCl2(PPh, Pd(t−Bu), PdCl dppf CHCl, Pd(PPh, Pd(OAc)/PPh, ClPd[(Pet)], Pd(DIPHOS), ClPd(Bipy), [PdCl(PhPCHPPh)], ClPd[P(o−tol), Pd(dba)/P(o−tol), Pd(dba)/P(フリル), ClPd[P(フリル), ClPd(PMePh, ClPd[P(4−F−Ph), ClPd[P(C, ClPd[P(2−COOH−Ph)(Ph), およびClPd[P(4−COOH−Ph)(Ph)から選択される、プロセス。
【請求項19】
請求項17に記載のプロセスであって、前記21を含む反応混合物をパラジウムスカベンジャーで処理し、それにより残留パラジウムを除去し、そして21をパラジウム20ppm未満で単離する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項20】
請求項19に記載のプロセスであって、前記パラジウムスカベンジャーがFLORISIL(登録商標)またはSILIABOND(登録商標)Thioureaである、プロセス。
【請求項21】
請求項17に記載のプロセスであって、21を酸と反応させて式IIを得る工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項22】
請求項21に記載のプロセスであって、式IIの硫酸塩を、硫酸で、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよびイソブタノールから選択されるアルコール中で形成する工程をさらに包含する、プロセス。
【請求項23】
化合物13。
【化46】

【請求項24】
化合物10。
【化47】

【請求項25】
化合物であって、14および14Aから選択される、化合物。
【化48】

【請求項26】
化合物であって、21および21Aから選択される、化合物。
【化49】


【公表番号】特表2011−500848(P2011−500848A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531291(P2010−531291)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/081204
【国際公開番号】WO2009/055730
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】