説明

チオベンズイミダゾール誘導体

【課題】ヒト顆粒球中に存在するキマーゼ阻害活性を有するチオベンズイミダゾール誘導体を提供する。
【解決手段】下記式(1)


で表わされるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩であって、該チオベンズイミダゾール誘導体およびその医学上許容される塩は強いヒトキマーゼ阻害活性を示す。したがって、ヒトキマーゼが関与する各種疾患例えば、炎症疾患、アレルギー疾患、呼吸器疾患、循環器疾患または骨・軟骨代謝疾患の臨床応用可能な予防剤および/または治療剤となり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(1)で示されるチオベンズイミダゾール誘導体に関するものであり、更に詳しくは、ヒトキマーゼ活性阻害剤として有用なチオベンズイミダゾール誘導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キマーゼ(chymase)はマストセル(mast cell)顆粒中に存在する中性プロテアーゼの一つであり、マストセルが関与する様々な生体反応に深く関与している。例えばマストセルからの脱顆粒促進、インターロイキン−1−β(Interleukin−1β,IL−1β)の活性化、マトリックスプロテアーゼ(matrix protease)の活性化、フィブロネクチンやIV型コラーゲンの分解、トランスフォーミングファクター−β(Transforming growth factor−β,TGF−β)の遊離促進、サブスタンスP(substance P)やバソアクティブインテスティナルポリペプチド(bathoactive intestinal polypeptide,VIP)の活性化、アンジオテンシン(Angiotensin,Ang)IからAngIIへの変換作用、エンドセリン(Endothelin)変換作用など多様な作用が報告されている。
【0003】
以上のことから、該キマーゼに対する活性阻害剤は、気管支喘息等の呼吸器疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹等の炎症/アレルギー疾患;硬化性血管病変、血管内狭窄、末梢循環障害、腎不全、心不全等の循環器疾患;リウマチ、変形性関節症等の骨/軟骨代謝疾患などに対する予防剤および/または治療剤として有望と考えられる。
従来キマーゼ活性阻害剤としてはトリアジン誘導体(特開平8−208654号公報);ヒダントイン誘導体(特開平9−31061号公報);イミダゾリジン誘導体(国際出願WO96/04248号明細書);キナゾリン誘導体(国際出願WO97/11941号明細書);複素環アミド誘導体(国際出願WO96/33974号明細書)などが知られているが、これらの化合物と本発明の化合物とは構造上まったく異なったものである。
【0004】
一方、本発明の化合物の関連技術としては、米国特許第5124336号明細書がある。該明細書にはトロンボキサン受容体拮抗活性を有する化合物としてチオベンズイミダゾール誘導体が記載されている。しかしながら該明細書には該化合物のヒトキマーゼ阻害活性については何ら記載されていない。
そこで、本発明の目的は、臨床応用可能なヒトキマーゼ活性阻害剤となり得る新規化合物を提供することにある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−208654号公報
【特許文献2】特開平9−31061号公報
【特許文献3】国際公開第96/04248号明細書
【特許文献4】国際公開第97/11941号明細書
【特許文献5】国際公開第96/33974号明細書
【特許文献6】米国特許第5124336号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記1から15を見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
1. 下記式(1)
【化1】

[式(1)中、R及びRは、同時にまたはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基、またはR及びRは一緒になって−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−もしくは−CH−CH−CH−(この場合その炭素は、1つもしくは複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。)を表す。;
Aは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つもしくは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基{またここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としては、お互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、オキソ基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されてもよいフェノキシ基を表す。これらは環またはアルキレン基の任意の場所で一つもしくは複数個それぞれ独立に置換されていてもよい。}を表す。;
Eは、COOR、SO、CONHR、SONHR、テトラゾール基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール基または5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール基(Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐上の炭素数1〜6のアルキル基を表す。)を表す。;
Gは、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基を表し、途中にO、S、SO、NRを、一つもしくは複数個含んでいてもよい。{ここでRは、上記定義に同じである。またここにおける置換基としてはハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基またはオキソ基を表す。};
mは、0〜2の整数を表す。;
Jは、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基、置換の炭素数10〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素あるいは窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。
Jは、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基あるいは置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。
Jは、mが0かつAが単結合、またはmが1もしくは2の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基あるいは置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。{またここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状、もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリド基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、オキソ基、COOR基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されてもよいフェノキシ基を表す。これらは、環もしくはアルキル基の任意の場所で一つもしくは複数個それぞれ独立に置換されていてもよい。};
Xは、CHまたは窒素原子を表す。]
で表されるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩(以下「本発明のチオベンズイミダゾール誘導体」ということがある。)。
2. 上記式(1)において、Aが、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
3. 上記式(1)において、Aが、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
4. 上記式(1)において、mが1であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
5. 上記式(1)において、mが2であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
6. 上記式(1)において、mが0、Aが置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐上のアルキレン基、かつJが置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基、置換された炭素数10〜11のアリール基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
7. 上記式(1)において、mが0、Aが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基、かつJが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
8. 上記式(1)において、Gが、−CH−、−CHCH−、−CHCO−、−CHCHO−、−CHCONH−、−CO−、−SO−、−CHSO−、−CHS−または−CHCHS−であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
9. 上記式(1)において、R及びRが、同時に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基であるか、またはR及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリハロメチル基、シアノ基もしくは水酸基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
10. 上記式(1)において、EがCOOHまたはテトラゾール基であるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
11.上記式(1)において、XがCHであるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
12.ヒトキマーゼ阻害作用を有することを特徴とするチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
13.少なくとも1種のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩と製薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物。
14.該医薬組成物が、疾患の予防剤および/または治療剤である医薬組成物。
15.該疾患が、炎症疾患、アレルギー疾患、呼吸器疾患、循環器疾患または骨・軟骨代謝疾患である予防剤および/または治療剤。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の式(1)の化合物の置換基に対する上記の定義は、以下の通りである。
【0009】
及びRは、同時にまたはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはR及びRは一緒になって−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−もしくは−CH−CH−CH−を表す。この場合その炭素は、1つもしくは複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されてよい。炭素数1〜4のアルキル基として、具体的にはメチル基、エチル基、(n,i−)プロピル基、(n,i,s,t−)ブチル基を挙げることができ、好ましくはメチル基を挙げることができる。好ましくはR及びRが同時に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基であるか、またはR及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。ここでハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができ、好ましくは塩素原子、フッ素原子を挙げることができる。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、(n,i−)プロピル基、(n,i,t−)ブチル基を挙げることができ、好ましくはメチル基を挙げることができる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、(n,i−)プロピルオキシ基、(n,i,s,t−)ブチルオキシ基等を挙げることができ、好ましくはメトキシ基を挙げることができる。
【0010】
Aは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基を表す。好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基を挙げることができる。置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、(n,i−)プロピレン基、(n,i,t−)ブチレン基を挙げることができ、好ましくはエチレン基を挙げることができる。置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基としてはフェニレン基、インデニレン基、ナフチレン基等を挙げることができ、好ましくはフェニレン基を挙げることができる。置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基としてはピリジレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、イミダゾレン基、チアゾレン基、ピリミジレン基、オキサゾレン基、イソオキサゾレン基、ベンゾフニレン基、ベンズイミダゾレン基、キノリレン基、インドレン基、ベンゾチアゾレン基等を挙げることができ、好ましくはピリジレン基、フラニレン基、チオフェニレン基を挙げることができる。
【0011】
また、ここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されていてもよいフェノキシ基が挙げらる。これらは環またはアルキレン基の任意の場所で一つあるいは複数個それぞれ独立に置換してもよい。具体的には、例えばOH、クロロ基、ブロモ基、ニトロ基、メトキシ基、シアノ基、メチレンジオキシ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、(n,i−)プロピル基、(n,i,t−)ブチル基等である。
【0012】
Eとしては、COOR、SO、CONHR、SONHR、テトラゾール基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール基または5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール基を挙げることができ、好ましくはGOORまたはテトラゾール基を挙げることができる。ここにおけるRとしては水素原子、または直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基またはt−ブチル基を挙げることができ、特に好ましくは水素原子を挙げることができる。
【0013】
Gは、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基を表し、途中にO、S、SO、NRを、一つあるいは複数個含んでもよい。ここでRは、上記定義に同じである。またここにおける置換基としてはハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基またはオキソ基を表す。具体的には、例えば−CH−、−CHCH−、−CHCO−、−CHCHO−、−CHCONH−、−CO−、−SO−、−CHSO−、−CHS−、−CHCHS−等が挙げられ、好ましいものとしては−CH−、−CHCH−、−CHCO−または−CHCHO−を挙げることができる。
【0014】
mは、0〜2の整数を表し、好ましくは0または2を挙げることができる。
【0015】
Jは、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐上のアルキレン基の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖および環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基、置換の炭素数10〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。好ましいものとしては置換された炭素数10〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基が挙げられる。置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、(n,i−)プロピル基、(n,i,s,t−)ブチル基、(n,i,ne,t−)ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基としてはインデニル基が挙げられ、置換の炭素数10〜11のアリール基としてはナフチル基が挙げられる。置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、ピリミジン基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、ベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、ベンゾオキサジアゾール基、ベンゾチアジアゾール基、インドール基、N−メチルインドール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾイソオキサゾール基等を挙げることができ、好ましくはベンゾチオフェニル基またはN−メチルインドール基を挙げることができる。
【0016】
また、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基の場合は、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を挙げることができる。置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基としてはフェニル基、インデニル基、ナフチル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基またはナフチル基を挙げることができる。置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基としては前記と同じ物が挙げられる。またここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリド基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されてもよいフェノキシ基が挙げられる。これらは環またはアルキル基の任意の場所で一つあるいは複数個それぞれ独立に置換してもよい。具体的には、例えばOH、クロロ基、ブロモ基、ニトロ基、メトキシ基、シアノ基、メチレンジオキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、メチル基、エチル基、(n,i−)プロピル基、(n,i,s,t−)ブチル基、アニリド基等である。
【0017】
Xは、CHまたは窒素原子を表し、好ましくはCHを挙げることができる。
【0018】
式(1)の化合物としては、具体的には、表1から40に記載されたものが好ましいものとして挙げられる。この中で特に好ましいものとしては、化合物番号37、50、63、64、65、84、115、117、119、121、123、130、143、147、168、174、256、264、272、311、319、320、321、324、349、352、354、355、358、364、380、392、395、398、401、402、444、455、459、460、506、863、866、869の化合物である。
なお、表1〜40中のA1〜A21およびJ1〜J85は以下で表される基である。式中、EおよびGは前記に同じである。
【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
【表7】

【0029】
【表8】

【0030】
【表9】

【0031】
【表10】

【0032】
【表11】

【0033】
【表12】

【0034】
【表13】

【0035】
【表14】

【0036】
【表15】

【0037】
【表16】

【0038】
【表17】

【0039】
【表18】

【0040】
【表19】

【0041】
【表20】

【0042】
【表21】

【0043】
【表22】

【0044】
【表23】

【0045】
【表24】

【0046】
【表25】

【0047】
【表26】

【0048】
【表27】

【0049】
【表28】

【0050】
【表29】

【0051】
【表30】

【0052】
【表31】

【0053】
【表32】

【0054】
【表33】

【0055】
【表34】

【0056】
【表35】

【0057】
【表36】

【0058】
【表37】

【0059】
【表38】

【0060】
【表39】

【0061】
【表40】

【0062】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体(1)において、EがCOOH、mが0の場合、以下に示す合成法(A)または(B)により製造することができる。
【0063】
合成法(A)
【化5】

[式中、Zはハロゲンを示し、R、R、R、A、G、JおよびXは前記に同じである。]
【0064】
すなわち、2−ニトロアニリン誘導体(a1)のニトロ基を還元しオルトフェニレンジアミン(a2)を得る。これにCSを反応させ、化合物(a3)とした後、これにハライドエステル誘導体(a4)を反応させ(a5)を得、さらにこれにハライド誘導体(a6)を反応させ(a7)を得、これを加水分解することにより本発明のベンズイミダゾール誘導体(a8)を得ることができる。
【0065】
ニトロ基の還元は通常の接触還元反応の条件に従い、例えばPd−C等の触媒存在下、室温〜100℃の温度で水素ガスと反応させることにより行うことができる。また、酸性条件下で、亜鉛やスズを用いて処理する方法、中性またはアルカリ性条件下で亜鉛末を用いる方法により行うことができる。
【0066】
オルトフェニレンジアミン誘導体(a2)とCSの反応は例えばザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)1954年19巻631−637頁(Pyridine solution)またはザ・ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem)1993年36巻1175〜1187頁(EtOH solution)記載の方法により行うことができる。
【0067】
チオベンズイミダゾール類(a3)とハライドエステル(a4)との反応は、通常のS−アルキル化反応の条件に従い、例えばNaH、EtN、NaOH、KCO等の塩基の存在下に0℃〜200℃の温度で攪拌することにより行うことができる。
【0068】
チオベンズイミダゾール類(a5)とハライド誘導体(a6)との反応は、通常のN−アルキル化もしくはN−アシル化反応の条件に従い、例えばNaH、EtN、NaOH、KCO等の塩基の存在下に0℃〜200℃の温度で攪拌することにより行うことができる。
【0069】
カルボキシ保護基Rの脱離反応としては、水酸化リチウム等のアルカリまたは塩酸、トリフルオロ酢酸等の酸を用いて加水分解する方法を用いることが好ましい。
【0070】
合成法(B)
【化6】

【0071】
すなわち、2−ニトロアニリン誘導体(a1)のアミノ基をLにより保護し(b1)得る。これにハライド誘導体(a6)を反応させ(b2)を得、Lを脱保護することにより(b3)を得る。(b3)のニトロ基を還元しオルトフェニレンジアミン誘導体(b4)を得る。これにCSを反応させ、化合物(b5)とした後、これにハライドエステル誘導体(a4)を反応させ(a7)を得、これを加水分解することにより本発明のベンズイミダゾール誘導体を得ることができる。また、2−ニトロアニリン誘導体(a1)に対して無保護のままハライド誘導体(a6)またはアルデヒド誘導体(b6)を反応させることにより化合物(b3)を直接得ることも可能である。保護基Lとしては、トリフルオロアセチル基、アセチル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジル基等が挙げられる。2−ニトロアニリン誘導体(a1)とアルデヒド誘導体(b6)の反応は、LiAlH、NaBH、NaBHCN、NaBH(OAc)などの複合水素化合物やジボラン等の還元剤を用い、エタノール、メタノール、ジクロロメタン等の溶媒中、0℃〜200℃の温度条件下によって通常の還元アミノ化の方法により行なうことができる。その他の反応は合成法(A)と同様に行なうことができる。
【0072】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体(1)においてEがCOOH、mが0、Gがアミド結合である場合、以下に示す合成法(C)により製造することができる。
【0073】
合成法(C)
【化7】

[式中、Qはメチレン基、フェニレン基等を示し、Zはハロゲンを示す。R、R、R、A、JおよびXは前記に同じである。ただしここでRは、メチル基、エチル基等の酸性においては不活性な保護基とする。]
【0074】
すなわち、チオベンズイミダゾール化合物(a5)にtert−ブチルエステルハライド誘導体(c1)を反応させ化合物(c2)を得、これを酸性条件下加水分解することにより(c3)を得る。これにアミン誘導体(c4)を縮合させ(c5)を得、これを加水分解することにより本発明のベンズイミダゾール誘導体が得られる。
【0075】
縮合アミド化の条件は縮合剤を用いる一般的な方法が用いられる。縮合剤としてはDCC、DIPC、EDC=WSCI、WSCI・HCl、BOP、DPPA等が挙げられ、これらを単独で用いるかまたはHONSu、HOBt、HOOBt等と組み合わせて用いる。反応はTHF、クロロホルム、t−ブタノール等の適当な溶媒中、0℃〜200℃の温度条件下で行われる。その他の反応については合成法(A)と同様に行なうことができる。
【0076】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体(1)においてEがCOOH、mが0、Gがエーテル結合を有する場合においては、以下に示す合成法(D)により製造することができる。
【0077】
合成法(D)
【化8】

[式中、Zはハロゲンを示す。R、R、R、A、JおよびXは前記に同じである。]
【0078】
すなわち、チオベンズイミダゾール化合物(a5)に、たとえばハライドアルコール誘導体(d1)を反応させ、化合物(d2)を得る。これにフェノール誘導体(d3)を反応させ、エーテル体(d4)を得、これを加水分解することにより本発明のベンズイミダゾール誘導体が得られる。
【0079】
エーテル化反応はトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物およびDEAD、TMAD等のアゾ化合物を用い、N−メチルモルホリン、THFなどの適当な溶媒中、0℃〜200℃の温度条件下で光延反応及びその類似反応により行われる。
【0080】
その他の反応については合成法(A)と同様に行なうことができる。
【0081】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体(1)において、Eがテトラゾール、mが0である場合においては、以下に示す合成法(E)により製造することができる。
【0082】
合成法(E)
【化9】

[式中R、R、A、G、JおよびXは前記に同じである。]
【0083】
ニトリル体(e1)を種々のアジ化合物と反応させてテトラゾール体(e2)に変換する。
【0084】
アジ化合物としてはトリメチルスズアジド等のトリアルキルスズアジト化合物、アジ化水素酸またはそのアンモニウム塩などが挙げられる。有機スズアジド化合物を用いるときは化合物(e1)に対して1〜4倍モル量程度用いるのがよい。またアジ化水素酸またはそのアンモニウム塩を用いるときはアジ化ナトリウムと塩化アンモニウムまたはトリエチルアミン等の3級アミンを化合物(e1)に対して1〜5倍モル量程度用いるのがよい。各反応は0℃〜200℃の温度で、トルエン、ベンゼン、DMF等の溶媒を用いることにより行われる。
【0085】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体(1)において、mが1または2の場合は以下に示す合成法(F)により製造することができる。
【0086】
合成法(F)
【化10】

[式中、R、R、R、A、G、JおよびXは前記に同じ。]
【0087】
すなわち、チオベンズイミダゾール化合物(a7)を過酸化化合物と適当な溶媒中で反応させることによりスルホキシド誘導体(f1)および/またはスルホン誘導体(f2)が得られる。用いられる過酸化化合物としては例えば過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、過酸化水素等が挙げられ、用いられる溶媒としては例えばクロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。化合物(a7)と過酸化化合物との使用割合としては、特に限定が無く広い範囲で適宜選択すればよいが、一般的に1.2倍モル〜5倍モル量程度用いることが好ましい。各反応は通常0〜50℃程度、好ましくは0℃〜室温で行われ、一般的に4〜20時間程度で終了する。
【0088】
本発明のベンズイミダゾール誘導体は必要に応じて医学上許容される非毒性のカチオン塩に変換することができる。かかる塩としては、Na、K等のアルカリ金属イオン;Mg2+、Ca2+等のアルカリ土類金属イオン;Al3+、Zn2+等の金属イオン;あるいはアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、リシン(Lysine)、コリン、エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、4−ヒドロキシピペリジン、グルコサミン、N−メチルグルカミン等の有機塩基が挙げられる。なかでも、Na、Ca2+、リシン(Lysine)、コリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルグルカミンが好ましい。
【0089】
本発明のベンズイミダゾール誘導体は、ヒトキマーゼ活性を阻害する。具体的には、IC50が1000以下、好ましくは0.01以上1000未満、更に好ましくは0.05以上500未満である。このような優れたヒトキマーゼ阻害活性を有する本発明のベンズイミダゾール誘導体は、種々の疾患に対する臨床応用可能な予防剤および/または治療剤として使用することが可能である。
【0090】
本発明のベンズイミダゾール誘導体は、製薬学的に許容される担体とともに医薬組成物として、該医薬組成物を種々の剤型に成型して経口あるいは非経口によって投与することができる。非経口投与としては、例えば、静脈、皮下、筋肉、経皮、直腸、経鼻、点眼内への投与が挙げられる。
【0091】
該医薬組成物の剤型としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、経口投与剤の場合は、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、カプセル剤等の剤型が挙げられる。
【0092】
ここで、錠剤の成型方法としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤等の製薬学的に許容される担体を用いて通常の方法により成型することができる。丸剤、顆粒剤、散剤も錠剤の場合と同様に賦形剤等を用いて通常の方法により成型することができる。液剤、懸濁剤、シロップ剤の成型方法は、グリセリンエステル類、アルコール類、水、植物油等を用いて通常の方法により成型することができる。カプセル剤の成型方法は、顆粒剤、散剤、あるいは液剤等を、ゼラチン等のカプセルに充填することによって成型することができる。
【0093】
非経口投与剤のうち、静脈、皮下、筋肉内投与の場合には、注射剤として投与することができる。注射剤としては、安息香酸誘導体を、例えば生理食塩水など水溶性液剤の溶解する場合、あるいは、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油等の有機エステルからなる非水溶性液剤に溶解する場合等が挙げられる。
【0094】
経皮投与の場合には、例えば軟膏剤、クリーム剤などの剤型として用いることができる。軟膏剤は、安息香酸誘導体を油脂類、ワセリン等と混合して用いて、クリーム剤は安息香酸誘導体を乳化剤と混合して成型することができる。
【0095】
直腸投与の場合には、ゼラチンソフトカプセルなどを用いて坐剤とすることができる。
経鼻投与の場合には、液状または粉末状の組成物からなる製剤として用いることができる。液状剤の基剤としては、水、食塩水、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等が用いられ、更に、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、保存剤、粘性付与剤を含んでいてもよい。粉末状剤の基剤としては、例えば、水易溶性のポリアクリル酸塩類、セルロース低級アルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリビニルピロリドン、アミロース、プルラン等の水吸収性のもの、あるいは、例えば、セルロース類、澱粉類、タンパク類、ガム類、架橋ビニル重合体類等の水難溶性ものが挙げられ、水吸収性のものが好ましい。また、これらを混合して用いてもよい。さらに粉末状剤には、酸化防止剤、着色剤、保存剤、防腐剤、矯腐剤等を添加してもよい。かかる液状剤、粉末状剤は、例えばスプレー器具等を用いて投与することができる。
【0096】
点眼内投与の場合は、水性あるいは非水性の点眼剤として使用することができる。水性点眼剤としては、溶剤に滅菌精製水、生理食塩水等を用いることができる。溶剤として滅菌精製水のみを用いた場合、界面活性剤、高分子増粘剤等の懸濁剤を加えて水性懸濁点眼液として用いることができ、また、非イオン性界面活性剤等の可溶化剤を加えて可溶化点眼液として用いることもできる。非水性点眼剤としては、溶剤に注射用非水性溶剤を用いることができ、非水性懸濁点眼液として用いることができる。
点眼剤以外の方法で眼に投与する場合としては、眼軟膏剤、塗布液剤、散布剤、インサート剤等の剤型とすることができる。
【0097】
また、鼻、口等から吸入する場合においては、本発明のベンズイミダゾール誘導体と一般的に用いられる製薬賦形剤との溶液または懸濁液として、例えば、吸入用エアゾルスプレー等を用いて吸入される。また、乾燥粉末状とした本発明のベンズイミダゾール誘導体を、肺と直接接触させる吸入器等を用いて投与することができる。
これら種々の製剤には、必要に応じて、等張化剤、保存剤、防腐剤、湿潤剤、緩衝剤、乳化剤、分散剤、安定剤等の製薬学的の許容される担体を添加することができる。
【0098】
また、これら種々の製剤には、必要に応じて、殺菌剤の配合、バクテリア保留フィルターを用いた濾過、加熱、照射等の処置を行い無菌化することができる。あるいは、無菌の固形製剤を製造し、使用直前に適当な無菌溶液に溶解あるいは懸濁して使用することもできる。
【0099】
本発明のベンズイミダゾール誘導体の投与量は、疾患の種類、投与経路、患者の症状、年齢、性別、体重等により異なるが、一般的に、経口投与では1〜500mg/日/人程度であり、好ましくは10〜300mg/日/人である。静脈、皮下、筋肉、経皮、直腸、経鼻、点眼、吸入などの非経口的投与では、0.1〜100mg/日/人程度であり、好ましくは0.3〜30mg/日/人である。
また、本発明のベンズイミダゾール誘導体を予防剤として用いる場合には、各症状に応じて、予め公知の方法に従い投与することができる。
【0100】
本発明の予防剤および/または治療剤の対象疾患としては、気管支喘息等の呼吸器疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹等の炎症/アレルギー疾患;硬化性血管病変、血管内狭窄、末梢循環障害、腎不全、心不全等の循環器疾患;リウマチ、変形性関節症等の骨/軟骨代謝疾患が挙げられる。
【実施例】
【0101】
本発明を以下に製造例、実施例及び試験例によって具体的に説明する。しかし、本発明の範囲がこれらの実施例によっていかなる意味においても制限されるものではない。
【0102】
[参考例1]
5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−チオールの製造
5,6−ジメチルオルトフェニレンジアミン4.5g(33mmol)のピリジン溶液(40ml)に二硫化炭素40ml(0.66mol)を添加した。得られた溶液を加熱還流下18時間攪拌した後、水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧下80℃にて6時間乾燥させ表題化合物を4.1g得た。(収率 70%)
【0103】
[参考例2]
2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルの製造
得られた5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−チオール89mg(0.50mmol)のジメチルホルムアミド(2ml)溶液にトリエチルアミン84μl(0.6mmol)及び2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル137mg(0.6mmol)を添加した。得られた溶液を80℃で1.5時間攪拌した後、水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、表題化合物を146mg得た。(収率 90%)化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=326.11 実測値(M+H)=327.2
【0104】
[参考例3]
参考例2と同様の方法により、下記化合物を合成した。化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
3−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
計算値M=341.12 実測値(M+H)=342.2
2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)フラン−3−カルボン酸メチルエステル
計算値M=316.09 実測値(M+H)=317.2
3−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
計算値M=332.07 実測値(M+H)+=333.2
2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)安息香酸メチルエステル
計算値M=298.08 実測値(M+H)=299.2
3−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
計算値M=313.09 実測値(M+H)=314.2
3−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
計算値M=304.03実測値(M+H)=305.2
2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)フラン−3−カルボン酸メチルエステル
計算値M=288.06 実測値(M+H)=289.2
4−ベンズイミダール−2−イルチオブタン酸メチルエステル
計算値M=264.09 実測値(M+H)=265.2
2−((5,6−ジクロロベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)−5−クロロ安息香酸メチルエステル
計算値M=399.96 実測値(M+H)=401.2
2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)−5−クロロ安息香酸メチルエステル
計算値M=332.04 実測値(M+H)=333.2
4−(5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)ブタン酸エチルエステル
計算値M=292.12 実測値(M+H)=293.40
2−((5,6−ジクロロベンズイミダゾール−2−イルチオ))メチル)−安息香酸メチルエステル
計算値M=366.00 実測値(M+H)=367.0
2−((5,6−ジクロロベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ピリジン−3−カルボン酸メチルエステル
計算値M=366.99 実測値(M+H)=368.0
【0105】
[実施例1]
化合物No.143の製造
あらかじめ乾燥した反応容器に水素化ナトリウム11mg(0.306mmol)、テトラヒドロフラン2mlを加えた。参考例2で得られた2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル50mg(0.153mmol)及び1−クロロメチルナフタレン69μl(0.459mmol)を加え、60℃で45分間攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、2−((5,6−ジメチル−1−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを得た。(収率 32%)
【0106】
得られた2−((5,6−ジメチル−1−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル23mg(0.08mmol)のテトラヒドロフラン(1ml)、メタノール(0.5ml)溶液に4規定水酸化リチウム水溶液(0.25ml)を加えた。室温で5時間攪拌した後、6規定塩酸水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物を24mg得た。(収率 定量的)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=452.16 実測値(M+H)=453.2
【0107】
[実施例2]
実施例1と同様の方法により、参考例2または3に示した化合物および種々のハライド誘導体を用いて、表41〜表45の化合物を合成した。化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0108】
【表41】

【0109】
【表42】

【0110】
【表43】

【0111】
【表44】

【0112】
【表45】

【0113】
[実施例3]
化合物No.547の製造
5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−チオール236mg(1.32mmol)のジメチルホルムアミド2ml溶液にトリエチルアミン276μ1(1.98mmol)及び2−(ブロモエチル)安息香酸 t−ブチルエステル538mg(1.99mmol)を加えて、80℃で3時間攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸t−ブチルエステルを288mg得た。(収率 59%)
【0114】
2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸t−ブチルエステル30mg(0.082mmol)をクロロホルム3mlに溶解し、トリエチルアミン17μl(0.123mmol)、ベンゾイルクロリド14μl(0.123mmol)を順に加えて室温で2時間攪拌した。反応終了後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、2−((5,6−ジメチル−1−(フェニルカルボニル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸t−ブチルエステルを38mg得た。(収率 定量的)
【0115】
2−((5,6−ジメチル−1−(フェニルカルボニル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸t−ブチルエステルをジクロロメタン1mlに溶解し、トリフルオロ酢酸1mlを加えて6時間室温で攪拌した。反応終了後、溶媒留去し減圧下、終夜乾燥し、表題化合物を33mg得た。(収率 定量的)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=416.12 実測値(M+H)=417.0
【0116】
[実施例4]
化合物No.561の製造
実施例3と同様の方法により、表題化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=452.09 測定値(M+H)=453.2
【0117】
[参考例4]
3−(ナフチルメチル)イミダゾロ(5,4−b)ピリジン−2−チオールの製造
2−アミノ3−ニトロピリジン1680mg(12mmol)のジメチルホルムアミド(20ml)溶液に水素化ナトリウム75mg(0.55mmol)及び1−クロロメチルナフタレン74μl(0.55mmol)を添加した。得られた溶液を80℃で17時間攪拌した後、水を加えエチルエーテルで抽出した。エチルエーテル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、ナフチルメチル(3−ニトロ(2−ピリジル))アミンを903mg得た。(収率 27%)
【0118】
得られたナフチルメチル(3−ニトロ(2−ピリジル))アミン900mg(3.2mmol)のエタノール(40ml)溶液に、10% Pd−C 90.0mgを添加した。得られた溶液を水素雰囲気下にて50℃で8時間攪拌した後、セライト濾過しPd−Cを取り除いた。得られた溶液を濃縮し(3−アミノ(2−ピリジル))ナフチルメチルアミンを860mg得た。(収率 99%)得られた(3−アミノ(2−ピリジル))ナフチルメチルアミン860mg(3.2mmol)のエタノール溶液(20ml)に二硫化炭素6.1ml(102mmol)を添加した。得られた溶液を加熱還流下12時間攪拌した後、室温にて5時間静置した。析出した沈殿を濾取し、エタノール(5ml)にて3回洗浄した。減圧下80℃にて5時間乾燥させ表題化合物を555mg得た。
(収率 56%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=291.08 実測値(M+H)=292.3
【0119】
[参考例5]
3−((2,5ジメチルフェニル)メチル)イミダゾロ(5,4−b)ピリジン−2−チオールの製造
参考例4と同様の方法により、表題化合物を合成した。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=269.10 実測値(M+H)=270.2
【0120】
[実施例5]
化合物No.256の製造
参考例2と同様の方法により、参考例4で得られた3−(ナフチルメチル)イミダゾロ(5,4−b)ピリジン−2−チオール30mg(0.1mmol)を用いて2−((3−(ナフチルメチル)イミダゾロ(5,4−b))ピリジン−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを30mg得た。(収率 70%)
得られた2−((3−(ナフチルメチル)イミダゾロ(5,4−b)ピリジン−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル30mg(0.068mmol)を実施例1と同様の方法により加水分解反応を行い、表題化合物を18.3mg得た。(収率 66%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=425.12 実測値(M+H)=426.1
【0121】
[実施例6]
実施例5と同様の方法により、参考例4および5で得られた化合物および種々のハライドエステル誘導体を用いて、表46の化合物を、合成した。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0122】
【表46】

【0123】
【表47】

【0124】
【表48】

【0125】
[実施例7]
化合物No.264の製造
4−メチル−2−ニトロアニリン913mg(6mmol)をアセトニトリル(18ml)に溶解させ、無水トリフルオロ酢酸1.00ml(7.2mmol)を加えて、1.5時間還流した。室温まで冷却後、減圧濃縮、乾燥させて、4−メチル−2−ニトロ−トリフルオロアセトアニリド1.396gを得た。(収率 94%)
【0126】
4−メチル−2−ニトロ−トリフルオロアセトアニリリド1.396g(5.63mmol)をジメチルホルムアミド(14ml)に溶解させ、炭酸カリウム940mg(6.80mmol)、1−クロロメチルナフタレン1.15g(6.51mmol)を室温下で順に加え、100℃で加熱した。1時間40分後、5規定水酸化ナトリウム水溶液(7.5ml)を加えて、15分間そのまま還流した。15分後、室温まで冷却し、水(180ml)を加えて4℃で一晩保存した。生じた結晶をろ別し、乾燥させて、((1−ナフチル)メチル)(4−メチル−2−ニトロ−フェニル)アミン1.587gを得た。(収率 96%)
【0127】
(1−ナフチル)メチル)(4−メチル−2−ニトロ−フェニル)アミン1.0021g(3.43mmol)にエタノール(5ml)、1,4−ジオキサン(5ml)を加え、さらに2.058M水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加えて、油浴で還流した。15分後、オイルバスから外し、亜鉛粉末897mg(13.72mmol)を分割投入した。その後再び油浴にて2時間還流した。2時間後、減圧濃縮し、酢酸エチル(50ml)に溶かし、飽和食塩水(25ml)で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮乾燥させ、褐色オイル状の((1−ナフチル)メチル)(2−アミノ−4−メチル−フェニル)アミン943.1mgを得た。
【0128】
引き続き、((1−ナフチル)メチル)(2−アミノ−4−メチル−フェニル)アミン943.1mg(3.59mmol)をエタノール(6.4ml)に溶かし、二硫化炭素7ml(116mmol)を加えて、還流した。10時間後、室温に戻し、減圧濃縮し、残渣にエタノール(2ml)を加えて室温で30分間攪拌、さらに氷冷下で30分攪拌した。生じた結晶をろ別、乾燥して、1−((1−ナフチル)メチル)−6−メチル−ベンズイミダゾール−2−チオールを459.1mg得た。(収率 44% 2steps)
【0129】
1−((1−ナフチル)メチル)−6−メチル−ベンズイミダゾール−2−チオール431.1mg(1.42mmol)をジメチルホルムアミド(12ml)に溶かし、トリエチルアミン0.296ml(2.12mmol)、2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル390.1mg(1.70mmol)を加え、80℃で加熱した。5時間50分後、さらにトリエチルアミン0.296ml(2.12mmol)、2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル325mg(1.42mmol)を加え、1時間10分加熱した。この後、減圧濃縮し、酢酸エチル(80ml)に溶かし、水(30ml)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、残渣から酢酸エチル−ヘキサンで結晶化させて410mg、また母液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、結晶と同じ画分を回収し87mg、合計497mgの2−((1−((1−ナフチル)メチル)−6−メチル−ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを得た。(収率 78%)
【0130】
2−((1−((1−ナフチル)メチル)−6−メチル−ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル497mg(1.098mmol)をメタノール(10ml)、テトラヒドロフラン(10ml)に溶かして4規定水酸化リチウム水溶液(6.86ml)を加えた。更にメタノール(10ml)、テトラヒドロフラン(10ml)を加えた。室温で2時間30分攪拌した後、飽和クエン酸水溶液を(10ml)加えて反応を停止、減圧濃縮して溶媒量を1/3程度まで減らし、酢酸エチル(80ml)に溶かして、水(20ml)で5回洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣にアセトニトリル(10ml)を加えて溶解させ、再度濃縮、生じた結晶をろ別、乾燥させ、表題化合物を439.1mg得た。(収率 91%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=438.14 測定値(M+H)=439.3
【0131】
[実施例8]
化合物No.272の製造
実施例7と同様の方法により、表題化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=454.14 測定値(M+H)=455.3
【0132】
[実施例9]
化合物No.65の製造
2−ニトロアニリン829mg(6mmol)と1−メチルインドールカルボキサルデヒド1242mg(7.8mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、酢酸200μl、NaBH(OAc)5087mg(24mmol)を順に加えて室温で終夜攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製し、((1−メチルインドール−3−イル)メチル)(2−ニトロフェニル)アミンを264mg得た。(収率 18%)
【0133】
((1−メチルインドール−3−イル)メチル)(2−アミノフェニル)アミン264mg(0.939mmol)をエタノール(10ml)に溶解し、Pd−C50mg(10%Pd,0.047mmol)を加えて水素雰囲気下、室温で6時間攪拌した。反応終了後、Pd−Cをろ別し溶媒を留去し、((1−メチルインドール−3−イル)メチル)(2−アミノフェニル)アミンを212mg得た。(収率90%)
【0134】
((1−メチルインドール−3−イル)メチル)(2−アミノフェニル)アミン212mg(0.845mmol)をピリジン(1ml)に溶解し、二硫化炭素1ml(16.9mmol)を加えて、窒素雰囲気下、1時間還流した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し:1−((1−メチルインドール−3−イル)メチル)ベンズイミダゾール−2−チオールを96mg得た。(収率 39%)
【0135】
あらかじめ乾燥した反応容器に水素化ナトリウム12mg(0.342mmol)、ジメチルホルムアミド(2ml)を加えた。1−((1−メチルインドール−3−イル)メチル)ベンズイミダゾール−2−チオール50mg(0.171mmol)及び2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル59mg(0.257mmol)を加え、60℃で1時間攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、2−((1−((1−メチルインドール−3−イル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル54mgを得た。(収率 74%) 2−((1−((1−メチルインドール−3−イル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル54mg(0.122mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)、メタノール(1ml)溶液に4規定水酸化リチウム水溶液(0.5ml)を加えた。室温で一晩攪拌した後、6規定塩酸水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物を48mg得た。(収率 92%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=427.14 実測値(M+H)=428.2
【0136】
[実施例10]
実施例9と同様の方法により、種々のハライドエステル誘導体を用いて、前記表47の化合物を合成した。化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0137】
[実施例11]
化合物No.51の製造
あらかじめ乾燥した反応容器に水素化ナトリウム104mg(2.86mmol)、テトラヒドロフラン16mlを加えた。2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)安息香酸メチルエステル428mg(1.43mmol)及び2−(ブロモエチル)安息香酸t−ブチルエステル466mg(3.46mmol)を加え、60℃で50分間攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、2−((1−((2−((t−ブチル)オキシカルボニル)フェニル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル495mgを得た。(収率 71%)
【0138】
2−((1−((2−((t−ブチル)オキシカルボニル)フェニル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル248mg(0.51mmol)に4規定塩酸ジオキサン溶液1.28ml(5.1mmol)を加えて室温で一晩攪拌した。溶媒留去した後、減圧下で乾燥し、2−((2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)メチル)安息香酸を220mg得た。(収率 定量的)
【0139】
2−((2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)メチル)安息香酸180mg(0.42mmol)をクロロホルム(6ml)に溶解し、順にHOBT68mg(0.504mmol)、アニリン46μl(0.504mmol)、t−ブタノール(1.2ml)とEDCI97mg(0.504mmol)を加えて室温で一晩攪拌した。水を加えてジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後ろ別し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)により精製し、2−((1−((2−(N−フェニルカルバモイル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを86mg得た。(収率 40%)
【0140】
得られた2−((1−((2−(N−フェニルカルバモイル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル86mg(0.169mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)、メタノール(1ml)溶液に4規定水酸化リチウム水溶液(0.5ml)を加えた。60度でおよそ2時間攪拌した後、6規定塩酸水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物を83mg得た。(収率 定量的)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=493.15 実測値(M+H)=494.2
【0141】
[実施例12]
実施例11と同様の方法により、種々の安息香酸エステル誘導体を用いて、前記表48に示す化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0142】
[実施例13]
化合物No.619の製造
あらかじめ乾燥した反応容器に水素化ナトリウム400mg(10.0mmol)、ジメチルホルムアミド(30ml)を加えた。2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオメチル)安息香酸メチルエステル1500mg(5.0mmol)及びブロモ酢酸t−ブチルエステル1463mg(7.5mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した。水を加えエーテルで抽出した。エーテル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、2−(2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)酢酸t−ブチルエステルを1298mgを得た。(収率 63%)
【0143】
2−(2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)酢酸t−ブチルエステル1290mg(3.13mmol)にトリフルオロ酢酸(15ml)を加えて室温で終夜攪拌した。溶媒留去した後、減圧下で乾燥し、2−(2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)酢酸を715mg得た。(収率 64%)
【0144】
2−(2−((2−(メトキシカルボニル)フェニル)メチルチオ)ベンズイミダゾリル)酢酸35mg(0.1mmol)をテトラヒドロフラン(3ml)に溶解し、アニリン11.2mg(0.12mmol)、EDCI23mg(0.12mmol)を加えて室温で終夜攪拌した。水を加えて酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後ろ別し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)により精製し、2−((1−((N−フェニルカルバモイル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを27.5mg得た。(収率 64%)
【0145】
得られた2−((1−((N−フェニルカルバモイル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル20mg(0.046mmol)を実施例1と同様に加水分解を行い表題化合物を6.9mg得た。
(収率 36%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=417.11 実測値(M+H)=418.0
【0146】
[実施例14]
実施例13と同様の方法により、種々のアニリン誘導体を用いて、表49に示す化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0147】
【表49】

【0148】
【表50】

【0149】
【表51】

【0150】
【表52】

【0151】
[参考例6]
2−((1−(2−ヒドロキシエチル)−5,6−ジメチルベンゾイミダゾール−2−イルチオ))メチル)安息香酸メチルエステルの製造
参考例2で得られた2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル326mg(1mmol)のジメチルホルムアミド溶液に、炭酸カリウム207mg(1.5mmol)と2−ブロモエタノール150mg(1.2mmol)を添加し、80度で加熱しながら12時間攪拌した。反応終了後、エーテルで抽出し、溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し表題化合物を248mg得た。(収率 67%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=370.14 実測値(M+H)=371.2
【0152】
[実施例15]
化合物No.736の製造
参考例6で得られた2−((1−(2−ヒドロキシエチル)−5,6−ジメチルベンゾイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル45mg(0.12mmol)のN−メチルモルホリン(3ml)溶液に、Pph62mg(0.24mmol)、DEAD10.6ml(40%in toluene、0.24mmol)を加えて、室温で攪拌した。10分後、フェノール11.3mg(0.12mmol)を加えて、室温で12時間攪拌した。溶媒を留去し、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し2−((5,6−ジメチル−1−(2−フェノキシエチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステルを44mg得た。(収率 81%)
得られた2−((5,6−ジメチル−1−(2−フェノキシエチル)ベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)安息香酸メチルエステル35mg(0.078mmol)を用いて、実施例1と同様の方法にて加水分解反応を行い、表題化合物31mgを得た。(収率 94%)化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=432.15 実測値(M+H)=433.2
【0153】
[実施例16]
実施例15と同様の方法により、種々のフェノール誘導体を用いて、前記表50に示す化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0154】
[実施例17]
化合物No.825の製造
実施例2で得られた化合物No.68のエステル体33mg(0.075mmol)のジクロロメタン溶液に氷冷下にて50〜60%m−クロロ過安息香酸26mg(0.083mmol)を添加した。得られた溶液を氷冷下にて2時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎクロロホルムで抽出した。クロロホルム相を水洗後、濃縮し残さを薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し2−(((5,6−ジメチル−1−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール−2−イル)スルフィニル)メチル)安息香酸メチルエステルを7.1mg(収率 21%)得た。
これを実施例1と同様に加水分解して、標題化合物を5.2mg得た。(収率 76%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=440.12 実測値(M+H)=441.3
【0155】
[実施例18]
化合物No.869の製造
実施例2で得られた化合物No.37のエステル体39mg(0.094mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に氷冷下にて50〜60%m−クロロ過安息香酸64mg(0.374mmol)を添加した。得られた溶液を室温にて4時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎクロロホルムで抽出した。クロロホルム相を水洗後、濃縮し残さをフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し2−(((1−((2,5−ジメチルフェニル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イル)スルホニル)メチル)安息香酸メチルエステルを37mg得た。(収率87%)
2−(((1−((2,5−ジメチルフェニル)メチル)ベンズイミダゾール−2−イル)スルホニル)メチル)安息香酸メチルエステル64mg(0.14mmol)を実施例1と同様に加水分解して、標題化合物を53mg得た。(収率 87%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=434.13 実測値(M+H)=435.2
【0156】
[実施例19]
実施例18と同様の方法により、実施例2で得られた化合物のエステル体を用い、前記表51の化合物を合成した。化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0157】
[実施例20]
化合物No.952の製造
5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−チオール713mg(4mmol)のジメチルホルムアミド(10ml)溶液にトリエチルアミン836μl(6mmol)及び2−ブロモメチルベンゾニトリル1176mg(6mmol)を加えた。80℃で一晩攪拌した後、水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ベンゼンカルボニトリルを1159mg得た。(収率 99%)
【0158】
あらかじめ乾燥した反応容器に水素化ナトリウム178mg(4.90mmol)、テトラヒドロフラン(30ml)を加えた。2−((5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ベンゼンカルボニトリル719mg(2.45mmol)及び2,5−ジクロロベンジルクロリド543μl(4.90mmol)を加え、60℃で40分間攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、2−((1−((2,5−ジメチルフェニル)メチル)−5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ベンゼンカルボニトリル370mgを得た。(収率 37%)
【0159】
2−((1−((2,5−ジメチルフェニル)メチル)−5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イルチオ)メチル)ベンゼンカルボニトリル165mg(0.401mmol)をトルエン(3ml)に溶解し、MeSnN 124mg(0.602mmol)を加え、窒素雰囲気下、一晩還流した。反応終了後、溶媒留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=19:1)により精製し、表題化合物を75mg得た。(収率 41%)
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
計算値M=454.19 実測値(M+H)=455.2
【0160】
[実施例21]
実施例20と同様の方法により、前記表52に示す化合物を得た。
化合物の確認はLC−MSを用いて分子量から同定を行った。
【0161】
[実施例22]
組換えヒトマストセルキマーゼの調製
組換えプロ型ヒトマストセルキマーゼは、浦田らの報告(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー第266巻、17173頁(1991年)に従って調製した。すなわちヒトマストセルキマーゼをコードするcDNAを含有する組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞(Tn5)の培養液上清から、ヘパリンセファロース(ファルマシア)により精製した。さらに村上らの報告(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー第270巻、2218頁(1995年))に従い活性化した後、ヘパリンセファロースで精製し、活性型ヒトマストセルキマーゼを得た。
【0162】
[実施例23]
組換えヒトマストセルキマーゼの酵素活性阻害測定
実施例22で得られた1〜5 ngの活性型ヒトマストセルキマーゼを含む50μLのバッファーA(0.5〜3.0M NaCl、50mMトリス塩酸pH8.0)に本発明の化合物を含むDMSO溶液2μLを加えた後、基質として0.5mMスクシニルアラニルーヒスチジループロリルーフェニルアラニルパラニトロアニリド(バッケム社)を含む50μLのバッファーAを加え室温にて5分間反応させた。405nmの吸光度の経時変化を測定し、阻害活性を調べた。
【0163】
その結果、化合物No.63、64、65、143、174、256、264、272、311、354、319、349、358、395、401、402、にIC50=1nM以上10nM未満、化合物No.37、50、84、115、117、119、121、123、130、147、168、256、320、321、324、352、355、364、380、392、398、444、455、459、460、506、863、866、869にIC50=10nM以上100nM以下の阻害活性を認めた。
【0164】
以上のように本発明のベンズイミダゾール誘導体は強いキマーゼ阻害活性を示す。従って、本発明のベンズイミダゾール誘導体はヒトキマーゼが関与する各種疾患の予防および/または治療に用いられる臨床応用可能なヒトキマーゼ活性阻害物質であることが明らかとなった。
【0165】
[実施例24]
錠剤の製造
1錠が次の組成からなる錠剤を製造した。
化合物(No.37) 50mg
乳糖 230mg
じゃがいもデンプン 80mg
ポリビニルピロリドン 11mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
【0166】
本発明化合物(実施例2の化合物)、乳糖およびジャガイモデンプンを混合し、これをポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で均等に湿潤させ、20nmメッシュのふるいを通し、45℃で乾燥させ、かつ再び15nmメッシュを通した。こうして得られた顆粒をステアリン酸マグネシウムと混和して錠剤に圧縮した。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩は強いヒトキマーゼ阻害活性を示す。したがって、該チオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩は、ヒトキマーゼ阻害剤として、炎症疾患、アレルギー疾患、呼吸器疾患、循環器疾患または骨・軟骨代謝疾患に対して臨床応用可能な予防剤および/または治療剤として使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

[式(1)中、R及びRは、同時にまたはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、シアノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基、またはR及びRは一緒になって−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−もしくは−CH−CH−CH−(この場合その炭素は、1つもしくは複数の炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。)を表す。;
Aは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つもしくは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基{またここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としては、お互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、オキソ基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されてもよいフェノキシ基を表す。これらは環またはアルキレン基の任意の場所で一つもしくは複数個それぞれ独立に置換されていてもよい。}を表す。;
Eは、COOR、SO、CONHR、SONHR、テトラゾール基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール基または5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール基(Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐上の炭素数1〜6のアルキル基を表す。)を表す。;
Gは、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基を表し、途中にO、S、SO、NRを、一つもしくは複数個含んでいてもよい。{ここでRは、上記定義に同じである。またここにおける置換基としてはハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基またはオキソ基を表す。};
mは、0〜2の整数を表す。;
Jは、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基、置換の炭素数10〜11のアリール基、置換もしくは無置換の酸素あるいは窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。
Jは、mが0かつAが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基あるいは置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。
Jは、mが0かつAが単結合、またはmが1もしくは2の場合、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖、環状または分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基あるいは置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つまたは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基を表す。{またここにおける置換基としては、ハロゲン原子、OH、NO、CN、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基(この場合置換基としてお互い隣接する部位でアセタール結合していてもよい。)、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルチオ基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシル基、直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜6のアシルアミノ基、置換もしくは無置換のアニリド基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、フェニル基、オキソ基、COOR基、または一つ以上のハロゲン原子で置換されてもよいフェノキシ基を表す。これらは、環もしくはアルキル基の任意の場所で一つもしくは複数個それぞれ独立に置換されていてもよい。};
Xは、CHまたは窒素原子を表す。]
で表されるチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項2】
上記式(1)において、Aが、置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基である請求の範囲第1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項3】
上記式(1)において、Aが、置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基である請求の範囲第1項または第2項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項4】
上記式(1)において、mが1である請求の範囲第1項、第2項および第3項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項5】
上記式(1)において、mが2である請求の範囲第1項、第2項および第3項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項6】
上記式(1)において、mが0、Aが置換もしくは無置換の炭素数1〜6の直鎖または分岐上のアルキレン基、かつJが置換もしくは無置換の炭素数7〜9のアリール基、置換された炭素数10〜11のアリール基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基である請求の範囲第1項、第2項および第3項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項7】
上記式(1)において、mが0、Aが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリーレン基、または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリーレン基、かつJが置換もしくは無置換の炭素数6〜11のアリール基または置換もしくは無置換の酸素、窒素および硫黄原子を一つあるいは複数個環上に含んでいてもよい炭素数4〜10のヘテロアリール基である請求の範囲第1項、第2項および第3項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項8】
上記式(1)において、Gが、−CH−、−CHCH−、−CHCO−、−CHCHO−、−CHCONH−、−CO−、−SO−、−CHSO−、−CHS−または−CHCHS−である請求の範囲第1項〜第7項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項9】
上記式(1)において、R及びRが、同時に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基であるか、またはR及びRがそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリハロメチル基、シアノ基もしくは水酸基である請求の範囲第1項〜第8項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項10】
上記式(1)において、EがCOOHまたはテトラゾール基である請求の範囲第1項〜第9項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項11】
上記式(1)において、XがCHである請求の範囲第1項〜第10項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項12】
ヒトキマーゼ阻害作用を有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第11項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩。
【請求項13】
少なくとも請求の範囲第1項〜第12項いずれか1項記載のチオベンズイミダゾール誘導体またはその医学上許容される塩と製薬学的に許容される担体とからなる医薬組成物。
【請求項14】
該医薬組成物が、疾患の予防剤および/または治療剤である請求の範囲第13項記載の医薬組成物。
【請求項15】
該疾患が、炎症疾患、アレルギー疾患、呼吸器疾患、循環器疾患または骨・軟骨代謝疾患である請求の範囲第14記載の予防剤および/または治療剤。

【公開番号】特開2007−119478(P2007−119478A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312977(P2006−312977)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【分割の表示】特願2000−560104(P2000−560104)の分割
【原出願日】平成11年7月14日(1999.7.14)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】