説明

チオホスフィン化合物及びそれを含む重合性組成物の合成方法及び眼用レンズ製造のためのそれらの使用

本発明は、概して、チオホスフィン(さらに硫化ホスフィン化合物と呼ばれる)及び、重合性組成物を製造するためのそれらの利用に関する。該重合性組成物は、重合後、改良した機械的特性及び光学特性、特に、改良したUVカットをもつ、眼用レンズのような光学的に透明な製品を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、チオホスフィン(さらに硫化ホスフィン化合物と呼ばれる)及び、重合性組成物を製造するためのそれらの使用に関する。該重合性組成物、重合後、改良した機械的特性及び光学特性、特に、改良したUVカットをもつ、眼用レンズのような光透過製品を与える。
【0002】
チオウレタンモノマーよりなる重合性組成物の利用は、眼用レンズ製造でよく知られている。このように得られた眼用レンズは、固有の機械的特性及び光学的特性の組み合わせを呈する。
【0003】
それにもかかわらず、今もなお、眼用レンズ製造のために改良された材料及び特に、他の要求される機械的特性及び光学的特性に悪影響を及ぼすことなしに改良されたUVカットを備えた材料に対するニーズがある。
【0004】
下記a),b)よりなる重合性組成物を提供することにより、上記の目的が達成されることが今回判明した。
a)シアナートラジカル、イソシアナートラジカル、チオシアナートラジカル、イソチオシアナートラジカル、(メタ)アクリロイルラジカル、チオ(メタ)アクリロイルラジカル、エピスルフィドラジカルから選択される少なくとも2つの官能基をもつモノマーからなる群から選択される少なくとも1つの第一の重合性成分に、
b)i)下記化学式のチオホスフィンモノマー
【化18】

ここで、Xは、-SHまたは、
【化19】

であり、R1はHまたは-CH3、RおよびR’は互いに独立して、1つまたはそれ以上のアルキル基および/またはアルコキシで置換されてもよいアルキルラジカル、アルコキシラジカルまたはフェニルラジカルであり、nは0から4の整数、n’は0から5の整数、xは0から2の整数、yは、1から5の整数、但し、y+nは1から5の整数である;および、
ii)少なくとも1つの前記化学式(I)のチオホスフィンモノマー及び少なくとも1つの前記第一の重合性成分の重合により得られ、好ましくは、平均分子量が1000から10000の範囲であるプレポリマー、
から選択される少なくとも1つの第二の重合性組成物。
【0005】
本発明における組成物の第一の重合性成分は、ポリシアナート、ポリイソシアナート、ポリチオシアナート、ポリイソチオシアナート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリチオ(メタ)アクリレート、ポリエピスルフィド及びそれらの混合物から選択されるモノマーである。
【0006】
本発明で使用されるポリシアナートモノマー及びポリチオシアナートモノマーは、1分子につき、2またはそれ以上(好ましくは2または3、より好ましくは2)のシアナート基またはチオシアナート基をもつ任意のポリシアナートモノマー及びポリチオシアナートモノマーである。
【0007】
本発明による重合性組成物に含まれるポリイソシアナートモノマーまたはポリイソチオシアナートモノマーは、1分子につき、2またはそれ以上(好ましくは2または3、より好ましくは2)のイソシアナートまたはイソチオシアナート基をもつ任意のポリイソシアナートモノマーまたはポリイソチオシアナートモノマーである。
【0008】
好ましいポリイソシアナートモノマーまたはイソチオシアナートモノマーは、下記の化学式を持つものである。
【化20】

ここで、R2は独立してHまたはC1-C5アルキル基、好ましくはCH3またはC2H5;RはH、ハロゲン、好ましくはClまたはBr、またはC1-C5アルキル基、好ましくはCHまたはC2H5;Zは-N=C=A、ここでAがOまたはSである;aは1から4の範囲の整数、bは2から4の範囲の整数であり、かつ
【数2】

である;およびcは1から10、好ましくは1から6の整数である。
【0009】
好ましいポリイソシアナートモノマーまたはイソチオシアナートモノマーの中で、トリレンジイソシアナートまたはトリレンジイソチオシアナート、フェニレンジイソシアナートまたはフェニレンジイソチオシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナートまたはイソプロピルフェニレンジイソチオシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナートまたはジメチルフェニレンジイソチオシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナートまたはジエチルフェニレンジイソチオシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナートまたはジイソプロピルフェニレンジイソチオシアナート、トリメチルベンジルトリイソシアナートまたはトリメチルベンジルトリイソチオシアナート、キシレンジイソシアナートまたはキシレンジイソチオシアナート、ベンジルトリイソ(チオ)シアナート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナートまたは4,4’-ジフェニルメタンジイソチオシアナート、ナフタレンジイソシアナートまたはナフタレンジイソチオシアナート、イソホロンジイソシアナートまたはイソホロンジイソチオシアナート、ビス(イソシアナート)シクロヘキサンまたはビス(ジイソシアナートメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナートまたはジイソチオシアナート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアナートまたはジシクロヘキシルメタンジイソチオシアナートが挙げられる。
【0010】
本発明による重合性組成物に含まれるポリ(メタ)アクリレートモノマーは、一般に眼用レンズ製造に使われる任意のポリ(メタ)アクリレートモノマー、特にジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレートモノマーである。好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートモノマーは、ジ(メタ)アクリレートである。好ましいジ(メタ)アクリレートは、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、好ましくはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、好ましくはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートおよびビスフェノール-Aジ(メタ)アクリレートの誘導体が挙げられる。
【0011】
ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート化合物は、下記化合物を含んでもよい、
【化21】

ここで、R1はHまたはCH3、n1+n2は0から40の範囲の平均値をもつ。
【0012】
前述した化学式をもつ好ましい化合物は、R1がCH3及びn1+n2の平均値
=2,6(EBADMA)、n1+n2の平均値=4(DBADMA)、n1+n2の平均値=10(OBADMA)およびn1+n2の平均値=30である。
【0013】
本発明による重合性組成物に含まれる任意のポリチオ(メタ)アクリレートモノマーは、通常、眼用レンズの製造に使用される。特に、前述のポリチオ(メタ)アクリレートモノマーは、下記化学式をもつ;
【化22】

ここで、
Rは直鎖または分枝した多価脂肪族炭化水素ラジカル、または前記チオ(メタ)アクリレート基の硫黄原子と芳香環が直接結合された、または直鎖のアルキル鎖を介して結合された多価芳香族基であり、前記Rラジカルは、それらの鎖中に-O-,-S-及びカルボニル基から選ばれる1またはそれ以上の基を含んでもよい、またRは、水素または-CH3、及びkは2から6、特に2から3の整数である。
【0014】
Rが、二価のラジカルであるとき、チオ(メタ)アクリレートモノマーの好ましい種類は、下記のa),b)のモノマー、またはそれらの混合物である。
a)下記化学式のモノマー:
【化23】

ここで、Yは直鎖または分枝したC-C12アルキレン基、C3-C12シクロアルキレン基、C6-C14アリレン基またはC-C26アルカリレン(alkarylene)基であり、ここでYの炭素鎖は、1またはそれ以上の酸素および/または硫黄原子により割り込まれてもよく、Rは、水素またはメチル基である;
b)下記化学式のモノマー:
【化24】

ここで、RおよびYは上記で定義された通りであり、k’は1から10、好ましくは1から6の整数である。
【0015】
好ましい二価のYラジカルは、下記a)〜d)を含んでもよい:
a)下記化学式のラジカル:
-(CH2)j- (ここでjは2から8の整数である)
-(CH2CH2O)y’CH2CH2- (ここでy’は1から4の整数である)
-(CH2CH2S)Z CH2CH2- (ここでZは1から4の整数である)
-(CH2) u’(S(CH2)v’)x’ S-(CH2)w’ (ここでx’は0または1及びu’、 v’、 w’は2から6の整数である)
b)下記化学式のラジカル:
【化25】

(ここで、RとRは、C1-C5アルキルラジカルである)
c)下記化学式のラジカル:
【化26】

(ここで、RとRは、直鎖または分枝したC1-C5アルキレン基であり、それらの鎖中に1またはそれ以上の-O-、-S-またはカルボニル基を含んでもよい、またX’はC1-C5アルキルラジカルおよび水素から選択され、pは、0から4の整数である):
より具体的には下記化学式である:
【化27】

ここで、uおよびvは1から4の整数である:
d)下記化学式のラジカル:
【化28】

(ここで、RとR10は、直鎖または分枝したC1-C5アルキル基であり、それらの鎖中に1またはそれ以上の-O-、-S-またはカルボニル基を含んでもよい、またrおよびSは0または1である。)
【0016】
化学式(II)の二価モノマーはとりわけ、欧州特許出願公開明細書273,661号、欧州特許出願公開明細書273,710号、欧州特許出願公開明細書384,725号に開示されている。
【0017】
化学式(III)および(IV)のモノマーは、米国特許明細書5,384,379号に開示されている。
【0018】
化学式(II)のモノマーの三価のRラジカルは、その鎖中に1またはそれ以上の-O-、-S-またはカルボニル基を含んでもよいC-C10アルキルトリル基、そのアルキル鎖中に1またはそれ以上の-s-または-O-基を含んでもよい三価アルキルアリール基および三価アリール基が含まれる。
【0019】
三価のRラジカルまたはより高い価のラジカルは、下記の基を含む:
【化29】

【0020】
本発明で推奨するチオ(メタ)アクリレートモノマーは、下記の基を含む:
【化30】

1,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]エタン、
【化31】

1,2-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、
【化32】

1,3 -ビス[(メタ)アクリロイルチオ]プロパン、
【化33】

1,4 -ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ブタン、
【化34】

ビス-2-[(メタ)アクリロイルチオエチル]エーテル、
【化35】

ビス-2-[(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、
【化36】

ビス-2-[(メタ)アクリロイルチオエトキシ]メタン、
【化37】

ビス-2-[(メタ)アクリロイルチオエチルチオ]メタン、
【化38】

1,2-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエトキシ]エタン、
【化39】

1,2-ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオ]エタン、
【化40】

ビス-[2-(2-(メタ)アクリロイルチオエトキシ)エチル]エーテル、
【化41】

ビス-[2-(2-(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)エチル]スルフィド、
【化42】

1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]ベンゼン、
【化43】

1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]ベンゼン、
【化44】

1,4-ビス[(メタ)アクリロイルチオ]-2,3-ジメチルチオブタン、
【化45】

1,2,3-トリス[(メタ)アクリロイルチオエチル]チオプロパン、及び、
【化46】

ビス[(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド
ここで、Rは水素原子またはメチル基である。
【0021】
本発明による重合性組成物に含まれるポリエピスルフィドモノマーは、好ましくはジエピスルフィドモノマーであり、例えば次の特許に開示されている:欧州特許明細書942027号、米国特許明細書5945504号、欧州特許明細書761665号。
【0022】
好ましくは、本発明による組成物の第一の重合性成分は、組成物中に存在する重合性成分の総重量をベースとして25から70重量%である。より好ましくは、第一の重合性成分は30から50重量%である。
【0023】
第一の重合性成分のほかに、本発明による重合性組成物のもう一つの必須成分は、第二の成分(b)である。
【0024】
先に示したように、この第二の成分は、化学式(I)をもつチオホスフィンモノマーまたはその混合物であってよい。
【0025】
化学式(I)をもつ好ましいチオホスフィンモノマーは、そのy=1である。
【0026】
また、化学式(I)をもつ好ましいチオホスフィンモノマーは、そのnおよびn’が0に等しい。
【0027】
また、好ましいXは、-SHである。
【0028】
先に述べたようにRまたはR’は、アルキルラジカル、アルコキシラジカルまたはフェニルラジカルであり、それらは1またはそれ以上のアルキル基および/またはアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0029】
典型的に、アルキルラジカルは、メチル、エチル、ブチル、好ましくはメチルのようなC1-Cアルキルラジカルであり、アルコキシラジカルは、メトキシ、エトキシおよびプロポキシラジカルのようなC1-Cアルコキシラジカルである。
【0030】
最も好ましいチオホスフィンモノマーは:
【化47】

トリス(4-チオフェニル)ホスフィンスルフィド(TTPPS)
【化48】

ビス(4-チオフェニル)フェニルホスフィンスルフィド(BTPPS)
【化49】

ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィド(BPTTS)
【0031】
好ましくは、チオホスフィンモノマーは、組成物中に存在する重合性成分の総重量をベースで1から25重量%、好ましくは1から15重量%である。より好ましくは、チオホスフィンモノマーは、1から10重量%である。
【0032】
また、本発明による組成物の第二の重合性成分は、少なくとも1つの化学式(I)をもつチオホスフィンモノマーと少なくとも1つの前述した第一の重合性成分との重合により得られるプレポリマーである。
【0033】
好ましくは、前述のポリマー製造に使用される前述の第一の重合性成分は、ジシアナートモノマー、ジチオシアナートモノマー、ジイソシアナートモノマー、ジイソチオシアナートモノマー、ジ(メタ)アクリレートモノマー、ジチオ(メタ)アクリレートモノマーおよびジエピスルフィドモノマーから成る群から選択される。
【0034】
好ましくは、本発明によるプレポリマーは、1000から10000の数平均分子量Mnをもつ。
【0035】
好ましくは、前述のプレポリマーは、組成物中に存在する重合性成分の総重量をベースで40重量%以下、好ましくは30重量%未満で示される。
【0036】
前述の第一および第二の重合性成分に加えて、本発明の組成物は、1つまたはそれ以上の第一および第二の成分と異なった付加的な重合されるモノマーから構成されてもよい。そのような付加的なモノマーは、ポリチオールおよびポリビニルモノマーから選択されてもよい。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つの付加的なモノマーがポリチオールから選択される。
【0038】
本発明による重合性組成物に含まれるポリチオールモノマーは、当業者に周知であり、化学式R”(SH)n”で表される。ここで、n”は2またはそれ以上、好ましくは2から5の整数、そしてR”は、脂肪族ラジカル、芳香族ラジカルまたは複素環ラジカルである。
【0039】
ポリチオールモノマーは、好ましくは、ジチオール、トリチオールまたはテトラチオールモノマーである。
【0040】
これらポリチオール化合物は、当技術分野でよく知られており、とりわけ欧州特許明細書394,495号で開示されている。
【0041】
本発明で有効なジチオールは、9,10-アントラセンジメタンチオール、1,11-ウンデカンジチオール、4-エチルベンゼン-1,3-ジチオール、1,2-エタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,18-オクタデカンジチオール、2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール、1,3-(4-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、1,4-シクロヘキサンジチオール、1,1-シクロへプタンジチオール、1,1-シクロペンタンジチオール、4,8-ジチオウンデカン-1,11-ジチオール、ジチオペンタエリスリトール、ジチオスレイトール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル2',3'-ジメルカプトプロピルエーテル、2,3-ジヒドロキシプロピル2',3'-ジメルカプトプロピルエーテル、2,6-ジメチルオクタン-2,6-ジチオール、2,6-ジメチルオクタン-3,7-ジチオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、3,3-ジメチルブタン-2,2-ジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、1,3-ジ(4-メトキシ-フェニル)プロパン-2,2-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、10,11-ジメルカプトウンデカン酸、6,8-ジメルカプト-オクタン酸、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,2'-ジメルカプト-ビフェニル、4,4'-ジメルカプトビフェニル、4,4'-ジメルカプトビベンジル、3,4-ジメルカプトブタノール、3,4-ジメルカプトブチルアセテート、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプト-1,3-ブタンジオール、2,3-ジメルカプトプロピオン酸、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピル-2',3'-ジメトキシプロピルエーテル、3,4-チオフェンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,12-ドデカンジチオール、3,5,5-トリメチルへキサン-1,1-ジチオール、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,4-ナフタレンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、1,9ノナンジチオール、ノルボルネン-2,3-ジチオール、ビス(2-メルカプトイソプロピル)エーテル、ビス(11-メルカプトウンデシル)スルフィド、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ビス(18-メルカプトオクタデシル)スルフィド、ビス(8-メルカプトオクチル)スルフィド、ビス(12-メルカプトデシル)スルフィド、ビス(9-メルカプトノニル)スルフィド、ビス(4-メルカプトブチル)スルフィド、ビス(3-メルカプトプロピル)エーテル、ビス(3-メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(6-メルカプトヘキシル)スルフィド、ビス(7-メルカプトヘプチル)スルフィド、ビス(5-メルカプトペンチル)スルフィド、2,2'-ビス(メルカプトメチル)酢酸、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(メルカプトメチル)ズレン、フェニルメタン-1,1-ジチオール、1,2-ブタン-ジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、2,2-ブタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,2-ヘキサンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、2,5-ヘキサンジチオール、1,7-へプタンジチオール、2,6-へプタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、2,4-ペンタンジチオール、3,3-ペンタンジチオール、7,8ヘプタデカンジチオール、1,2-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、2-メチルシクロへキサン-1,1-ジチオール、2-メチルブタン-2,3-ジチオール、エチレングリコール、ジチオグリコレート、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオン酸塩)を含む。トリチオールは、1,2,3-プロパントリチオール、1,2,4-ブタントリチオール、トリメチロールプロパントリチオール、グリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオン酸塩)、ペンタエリスリトールトリチオグリコレート、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオン酸)、1,3,5-ベンゼントリチオールおよび2,4,6-メシチレントリチオールを含む。
【0042】
本発明の化合物に有効なポリチオールは、ネオペンタンテトラチオール、2,2’-ビス-(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ペンタエリスリロールテトラキス(3-メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、1,3,5-ベンゼントリチオール、2,4,6-トルエントリチオール、2,4,6-メチレントリチオールおよび下記化学式をもつポリチオール:
【化50】

および、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオールを含む。
【0043】
本発明による好ましいポリチオールは、エチレングリコール、ビス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリロールテトラキスチオプロピオン酸(PETP)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール(MDO)、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド(DMDS)およびペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)である。
【0044】
好ましくは、前述の付加的な重合性モノマーは、組成物中に存在する重合性モノマーの総重量をベースで25から50重量%である。
【0045】
また、本発明による重合性組成物は、光学製品、特に眼鏡、の成形のための重合性組成物に従来利用される添加物、すなわち開始剤、染料、UV吸収剤、香料、防臭剤、抗酸化剤、抗黄変剤を従来の割合で含んでもよい。
【0046】
より好ましくは、米国特許明細書5,442,022号、5,545,828号、5,702,825号及び5,741,831号に開示されているような抗黄変剤が使われる。
【0047】
好ましい抗黄変剤は、3-メチル2-ブタン1-オル(MBOL)である。
【0048】
トリフェニルホスフィン(TPP)及びlrganox(R)1010 (ペンタエリスリトール-テトラキス[3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩](CG1010)は、抗酸化剤の好適例としてあげられる。
【0049】
香料は、特に表面形成工程において、組成物からの悪臭を消すことができる。
【0050】
本発明による重合性組成物は、熱硬化性および/またはUV硬化性の組成物にしてもよい。それによって、組成物は一般的に、光開始剤、熱開始剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの重合開始剤を好ましくは組成物中に存在する重合性モノマーの総重量をベースとして0.001から5重量%の割合で含む。
【0051】
本発明による重合性組成物に有効な光開始剤は、特に2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシド(TPO)、1-ハイドロキシシクロヘキシルフェニルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アルキルベンゾイルエーテル、チバ・ガイギーコーポレーション(Ciba-Geigy Corporation)から商品名CGI1700で入手できる市販の光開始剤及びチバ・ガイギーコーポレーション(Ciba-Geigy Corporation)から入手できる市販の光開始剤CG1850を含む。
ここで、CG1700は、下記化学式の化合物:
【化51】

および、下記化学式の化合物:
【化52】

の25/75の混合物である。CGI1850光開始剤は、上記化合物Eと下記化学式のlrganox(R)184の50/50(重量で)の混合物である。
【化53】

【0052】
もうひとつの好ましい光開始剤は、下記化学式でチバ・ガイギーコーポレーション(Ciba-Geigy Corporation)から入手されるCGI819である。
【化54】

【0053】
また同じタイプのその他の光開始剤で下記化学式のようなものが使われている。
【化55】

【0054】
熱重合開始剤は、当技術分野でよく知られており、ベンゾイル過酸化物、シクロヘキシルパーオキシジカルボネート、イソプロピルパーオキシジカルボネートおよびt-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサン酸塩)のようなパーオキシドが含まれる。
【0055】
重合は、重合触媒の有無に影響される。触媒は、モノマーの重合のための任意の既知触媒でよい。
【0056】
有効な触媒の中で、ジメチル二塩化スズ、ジブチル二塩化スズ及びジブチル二ラウリン酸スズが挙げられる。また、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン及び1,4ジアザビシクロ-[2,2,2]-オクタン(DABCO)のような助触媒またはプロモーターは触媒と使用され、その活性を促進する。
【0057】
本発明のもう一つの目的は、前述のような重合性組成物の熱硬化および/またはUV硬化により得られる製品を提供することにある。前述の製品は、眼用レンズでもよい。
【0058】
本発明のもう一つの目的は、前述の化合物(I)のテレホスフィン化合物の製造方法を提供することにある。
【0059】
該製造方法は、y=1、リンに関して、xがパラ位にある化合物(I)のテレホスフィン化合物に対して詳細に記載されている。
【0060】
Xが-SHであるとき、前述のプロセスは下記a)〜f)のステップを含んでよい:
a)触媒存在下、下記化学式の成分Aを下記化学式の成分Bと反応させるステップ:
【化56】

(ここで、R’、n’およびxで上記に定義されたとおりである。)
【化57】

(ここで、Rとnは、先に定義されたとおりであり、GはSH官能基のブロックラジカルである)
ここで、成分A対Bのモル比が:
x=0のとき1/3
x=1のとき1/2、および
x=2のとき1/1
である。
b)ステップa)から下記化学式の第一中間化合物を分離するステップ:
【化58】

c)化合物Cと硫黄成分とを反応させるステップ:
d)ステップc)から下記化学式である中間化合物Dを分離するステップ:
【化59】

e)還流下、溶媒中で中間化合物Dとアルカリ性のチオラートとを反応させるステップ:および、
f)ステップe)から化学式(I)のチオホスフィンモノマーを分離するステップ。
【0061】
GはSH官能基のブロックラジカルとして使われる任意の既知のラジカルでよい。
好ましくは、GはCHである。
好ましくは、チオラートは2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウムである。
好ましくは、ステップa)の触媒はn-ブチルリチウムである。
y=1、リンに関してxはパラ位であり、-SHであり、x=0であるチオホスフィンモノマー製造のためのもう一つのプロセスは、下記a)〜d)のステップよりなる。
【0062】
a)触媒存在下、下記化学式の成分A’と下記化学式の成分Bとをモル比A’/B=1/3で反応させるステップ:
【化60】

【化61】

(ここで、R,nおよびGは上記で定義されたとおりである)、
b)ステップa)から下記化学式D’の中間化合物を分離するステップ:
【化62】

c)還流下、溶媒中で中間化合物D’とアルカリ性のチオラートとを反応させるステップ:および、
d)ステップc)から下記化学式のチオホスフィンモノマーを分離するステップ。
【化63】

(ここで、Rおよびnは先に定義されたとおりである)
【0063】
GはSH官能基のブロックラジカルとして使われる任意の既知のラジカルでよい。
好ましくは、GはCHである。
好ましくは、チオラートは2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウムである。
好ましくは、触媒はn-ブチルリチウムである。
【0064】
本発明は、以下の実施例でより詳細に記載する。
実施例
実施例1:トリス(4-チオフェニル)ホスフィンスルフィドの合成
トリス(4-チオフェニル)ホスフィンスルフィドは、本発明によるプロセスを使用して調製される。
a)トリス(4-チオアニシル)ホスフィンの調製
4-ブロモチオアニソール(190.8g;0.94mol)と無水テトラヒドロフラン(750ml)の冷却溶液は、窒素下で、テトラヒドロフラン中の2.5M n-ブチルリチウム(375ml;0.94mol)で滴下処理をされた。それから、冷却された混合物は、三塩化リン(39.0g;0.28mol)と無水テトラヒドロフラン(100ml)の溶液で滴下処理をされた。その結果得られた混合物は、室温まであたためられ、52時間、撹拌し、反応物は、水(500ml)でクエンチングされ、ジエチルエーテルで抽出された。合わせた抽出物は、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過され、そして蒸発乾固され、ペースト状の黄色の固体が得られた。エタノールでの粉砕により、トリス-(4-チオアニシル)ホスフィン(V)が白い粉(33.8g;30%収率)として得られた。
【化64】

【0065】
b)トリス(4-チオアニシル)ホスフィンスルフィドの調製
トリス-(4-チオアニシル)ホスフィン(30.2g;0.075mol)、硫黄成分(2.4g;0.075mol)および無水トルエン(850ml)の撹拌溶液を窒素下、20分間、還流加熱した。反応混合物は、蒸発乾固され、得られた固体は、エタノールで粉砕され、トリス-(4-チオアニシル)ホスフィンスルフィド(VI)が白い粉(26.1g;80%収率)として得られた。
【化65】

【0066】
また、化学式(VI)の化合物は、以下の方法に従って得ることができる。
4-ブロモチオアニソール(10.0g;0.049mol)および無水テトラヒドラフラン(50ml)の冷却溶液は、窒素下、テトラヒドラフラン中の2.5M n-ブチルリチウム(20ml;0.5mol)で滴下処理された。それから、冷却された混合物は、三塩化リン(2.78g;0.016mol)と無水テトラヒドラフラン(5ml)の溶液で滴下処理された。得られた混合物は、室温まであたためられ、20時間撹拌された。反応物は、水でクエンチングされ、ジエチルエーテルで抽出された。合わせた抽出物は、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、そして蒸発乾固し、トリス(4-チオアニシル)ホスフィンスルフィドが淡い黄色の固体として得られた(1.64g;23%収率)。
【0067】
c)トリス(4-チオフェニル)ホスフィンスルフィドの調製
トリス(4-チオアニシル)ホスフィンスルフィド(10.0g;0.023mol)、2-メチル-2-プロパンチオラート(15.56g:0.139mol)および無水DMF(150ml)は、窒素下、24時間、還流加熱された。反応混合物は、0℃まで冷却され、そして3M HCl(50ml)で処理され、白い固体を析出させた。固体は、ジクロロメタンで溶解され、水で数回、洗浄された。ジクロロメタン溶液は、乾燥、濾過、そして蒸発乾固され、トリス(4-チオフェニル)ホスフィンスルフィド(VII)が白い粉(5.87g;65%収率)として得られた。
【化66】

【0068】
実施例2:ビス-(4-チオフェニル)フェニルホスフィンスルフィドの合成
ビス-(4-チオフェニル)フェニルホスフィンスルフィドは、本発明に従ったプロセスを利用して調製される。
a)ビス(4-チオアニシル)フェニルホスフィンの調製
4-ブロモチオアニソール(160.0g;0.784mol)および無水テトラヒドロフラン(500ml)の冷却溶液は、窒素下、テトラヒドラフラン中の2.5M n-ブチルリチウム(313.6ml;0.784mol)で滴下処理された。冷却混合物は、ジクロロフェニルホスフィン(58.28ml;0.392mol)および無水テトラヒドロフラン(100ml)で滴下処理された。その結果得られた混合物は、室温まで暖められ、48時間、撹拌された。濁った反応混合物は、水でクエンチングされ、ジエチルエーテルで何回か抽出された。合わせた抽出物は、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発乾固させ、ペースト状の黄色の固体が得られる。エタノールでの粉砕により、ビス(4-チオアニシル)フェニルホスフィン(VIII)が白い固体(89.3g;63%収率)として得られた。
【化67】

【0069】
b)ビス-(4-チオアニシル)フェニルホスフィンスルフィドの調製
ビス-(4-チオアニシル)フェニルホスフィンスルフィド(25.0g;0.071mol)、硫黄成分(2.3g;0.070mol)および無水トルエン(500ml)の撹拌溶液は、窒素下、20時間還流加熱された。その反応混合液は、蒸発乾固され、そして、得られた固体は、エタノールで粉砕され、ビス(4-チオアニシル)フェニルホスフィンスルフィド(IX)が白い固体(17.2g;71%収率)として得られた。
【化68】

【0070】
c)ビス-(4-チオフェニル)フェニルホスフィンスルフィドの調製
ビス(4-チオアニシル)フェニルホスフィンスルフィド(4.28g;0.011mol)、2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウム(4.97g;0.044mol)および無水DMF(50ml)の撹拌溶液は、窒素下、21時間還流加熱された。反応混合物は、0℃へ冷却し、3M HClで処理し、白い固体を析出させた。ジエチルエーテルでの粉砕で、ビス-(4-チオフェニル)フェニルホスフィンスルフィド(X)が白い粉(3.14g;79%収率)として得られた。
【化69】

【0071】
実施例3:ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィドの合成
ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィドは、本発明に従ったプロセスを使用して調製される。
a)ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィンの調製
4-ブロモチオアニソール(10.2g;0.05mol)および無水テトラヒドロフラン(50ml)は、窒素下、テトラヒドラフラン中の2.5M n-ブチルリチウム(19.92ml;0.05mol)で滴下処理された。それから、冷却混合物は、クロロジフェニルホスフィン(10.0g;0.045mol)および無水テトラヒドロフラン(10ml)の溶液で滴下処理された。その結果得られた混合物は、室温まであたためられ、55時間撹拌された。反応物は、水(500ml)でクエンチングされ、ジエチルエーテルで抽出された。合わせた抽出物は、硫化マグネシウムで乾燥、濾過、そして、蒸発乾固し、黄色の固体が得られた。ブタノールからの再結晶化により、ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィン(XI)が白い粉(3.26g;23%)として得られた。
【化70】

【0072】
b)ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィンスルフィドの調製
ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィン(1.84g;0.006mol)、硫黄成分(0.20g;0.006mol)および無水トルエン(35ml)の撹拌溶液は、窒素下、6時間、還流加熱せられた。反応混合液は、蒸発乾固し、その結果得られた淡い黄色の固体をエタノールで粉砕し、ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィンスルフィド(XII)が白い固体(2.00g;98%収率)として得られた。
【化71】

【0073】
c)ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィドの調製
ビスフェニル-4-チオアニシルホスフィンスルフィド(1.73g;0.005mol)、2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウム(1.14g;0.010mol)および無水DMF(50ml)の撹拌溶液は、窒素下、20時間還流加熱された。反応混合液は、0℃へ冷却し、pH1へ3M HClで酸性化し、ジクロロメタンで抽出し、抽出物は、多量の3M HCl(50ml)で洗浄された。ジクロロメタン抽出物は、乾燥、濾過および蒸発乾固し、湿った茶色の固体が得られた。そして、それをエタノールで粉砕し、粗ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィドが黄色の固体(1.10g;66%収率)として得られた。粗固体は、シリカ(CHCl3中でクロマトグラフィーによって分離し、その結果得られた物質は、エタノールから再結晶され、ビスフェニル-4-チオフェニルホスフィンスルフィド(化合物XIII)が黄色の固体として得られた。
【化72】

【0074】
実施例4,5および6;重合性組成物から得られる製品
1.重合性組成物の調製
本発明による重合性モノマーである2つの組成物と1つの比較組成物は、下記の表1に示したモノマーの混合により考案されている。
【0075】
【表1】


(1)TTPPS+MonY+MonXを総重量とした重量%
MonY、TTPPS、MonXおよび触媒溶液の量は、重量部で与えられる。
TTPS: 4-チオフェニルホスフィンスルフィド
MonY:4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジオール
MonX:ジメチルフェニレンジイソシアナート
触媒:ジブチルジラウリン酸スズ
【0076】
触媒溶液は、室温で製造される。TTPPSは、MonYで溶解させる。約30分後、これはエマルジョンになる。それから、MonXが添加される。エマルジョンは、5分から10分で消失する。
【0077】
それから、得られた溶液は、脱ガスされる。TTPPSが存在すればするほど、脱ガスが必要である。
【0078】
2)キャスティングプロセス
上記に記載されるように調製される合成品は、2つの鉱物ガラスモールド部品から作られるモールドへ入れられる。組成物は、加熱硬化される。
得られた基質の特徴は、表2に示されるとおりである。
【0079】
【表2】


バーコルテスト:レンズのバーコル硬度は、ASTM D2583-93によるバーコル硬度計を使って測定される。
UVカット(nm)は、0.5%または1.0%透過に対する波長である。
E’,TgおよびMax tg(δ)測定、損失角である(δ)は、DMA(動的機械分析)により実施される。そのような分析は、平面5.2×1×2cm(厚さ)サンプルで実施される。Rheometrics Solid Analyzer RSA II装置を使い、1Hz周波数および2℃/分で-50℃から170℃の温度範囲で3点曲げする。
Max tg(δ)は、最大比率(E”(損失係数)/E’(保存係数))に対する温度と一致する。
屈折率ne(λ=546nm),nd(λ=589nm)およびアッベ数ve,vdは25℃で決定される。
【0080】
結論
組成物2および3へのTTPPSの混入は、UVカットと同様にTg, Max tg(δ)、100℃でのE’および屈折率の増加という結果が得られた。
【0081】
実施例7:本発明による重合性組成物からのポリマー調製
BTPPS(0.45g、0.0025モル)は、80℃、ジメチルホルムアミド(2ml)で溶解させた。溶液は、冷却し、MonX(0.216g、0.002モル)が添加され、50℃、3.5時間撹拌した。ポリマー分子量は、ポリスチレン標準を用いた、ゲル浸透クロマトグラフィーにより決定された。ポリマーは、分子量4000であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、(メタ)アクリロイル、チオ(メタ)アクリロイル、エピスルフィドラジカルから選択される少なくとも2つの官能基をもつモノマーからなる群から選択される少なくとも一つの第一の重合性成分および、
b)i)下記化学式のチオホスフィンモノマー:
【化1】

ここで、Xは、-SHまたは、
【化2】

で示され、R1はHまたは-CH3、RおよびR’は互いに独立に、1つまたはそれ以上のアルキル基および/またはアルコキシ基で置換されていてもよいアルキルラジカル、アルコキシラジカルまたはフェニルラジカルであり、nは0から4の整数、n’は0から5の整数、xは0から2の整数、そしてyは、1から5の整数、但し、y+nは1から5の整数である;および、
ii)少なくとも1つの前記化学式(I)のチオホスフィンモノマー及び少なくとも1つの前記第一の重合性成分の重合から得られ、好ましくは、平均分子量が1000から10000の範囲である、をプレポリマーから選択される、少なくとも1つの第二の重合性成分より成る重合性組成物。
【請求項2】
y=1である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
nおよびn’が0と等しい請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
Xが-SHで示される請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項5】
アルキルラジカルおよびアルコキシラジカルが、各々C1-C6アルキルラジカルおよびC1-C6アルコキシラジカルである請求項1に記載の重合性組成品。
【請求項6】
第一および第二の成分とは異なる1またはそれ以上の付加的な重合性モノマーをさらに含む請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記付加的なモノマーがポリチオールから選択される請求項6に記載の重合性組成品。
【請求項8】
前記第一の重合性モノマーは、ポリシアナートモノマー、ポリイソシアナートモノマー、ポリチオシアナートモノマー、ポリ(メタ)アクリレートモノマー、ポリチオ(メタ)アクリレートモノマー、ポリ(メタ)アクリレートモノマー、ポリチオ(メタ)アクリレートモノマー、ポリエピスルフィドモノマー基およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記ポリイソシアナートモノマーおよびポリイソチオシアナートモノマーは、下記化学式から選択されるモノマーから選択される請求項8に記載の重合性組成物。
【化3】

(ここで、R2は独立してHまたはC1-C5アルキル基、好ましくはCH3またはC2H5;RはH、ハロゲン、好ましくはClまたはBr、またはC1-C5アルキル基、好ましくはCHまたはC2H5であり;
Zは-N=C=A、ここでAがOまたはSであり;
aは1から4の範囲の整数、bは2から4の範囲の整数であって、かつ
【数1】

であり;および
cは1から10、好ましくは1から6の整数である。)
【請求項10】
cが1から6の整数である請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
ポリイソシアナートモノマーまたはイソチオシアナートモノマーが、トリレンジイソシアナートまたはトリレンジイソチオシアナート、フェニレンジイソシアナートまたはフェニレンジイソチオシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナートまたはイソプロピルフェニレンジイソチオシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナートまたはジメチルフェニレンジイソチオシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナートまたはジエチルフェニレンジイソチオシアナート、トリメチルベンジルトリイソシアナートまたはトリメチルベンジルトリイソチオシアナート、キシレンジイソシアナートまたはキシレンジイソチオシアナート、ベンジルトリイソ(チオ)シアナート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナートまたは4,4’-ジフェニルメタンジイソチオシアナート、ナフタレンジイソシアナートまたはナフタレンジイソチオシアナート、イソホロンジイソシアナートまたはイソホロンジイソチオシアナート、ビス(イソシアナート)シクロヘキサンまたはビス(イソチオシアナートメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアナートまたはヘキサンメチレンジイソチオシアナート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアナートまたはジシクロへキシルメタンジイソチオシアナートからなる群から選択される請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項12】
前記ポリ(メタ)アクリレートモノマーは、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、好ましくはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリツチレン(polytutylene)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびビスフェノール-Aジ(メタ)アクリレートの誘導体から選択される請求項8に記載の重合性組成物。
【請求項13】
ポリチオ(メタ)アクリレートモノマーが、化学式:
【化4】

の化合物から選択され、
ここで:
Rは、直鎖または分岐した多価脂肪族炭化水素ラジカル、または前記チオ(メタ)アクリレート基の硫黄原子と芳香環が直接結合された、または直鎖のアルカリ鎖を介して結合された多価芳香族基であり、前記Rラジカルは、それらの鎖中に随意に-O-,-S-及びカルボニル基から選ばれる1またはそれ以上の基を含み、Rは、水素または-CH3、及びkは2から6、特に2から3の整数である請求項8に記載の重合性組成物。
【請求項14】
前記ポリチオ(メタ)アクリレートモノマーが、下記化学式(III)または(IV)のモノマーおよびそれらの混合物から選択される請求項13に記載の重合性組成物。
【化5】

(ここで、Yは直鎖または分枝したC-C12アルキレン基、C3-C12シクロアルキレン基、C6-C14アリレン基またはC-C26アルカリレン(alkarylene)基であり、ここでYの炭素鎖は、1またはそれ以上の酸素および/または硫黄原子により割り込まれていてもよく、Rは、水素またはメチル基である、
【化6】

ここで、RおよびYは、上記で定義されたとおりであり、k’は1から10、好ましくは1から6の整数である)
【請求項15】
前記プレポリマーは、少なくとも1つの前記の化学式(I)のチオホスフィンモノマーと、ジシアナートモノマー、ジチオシアナートモノマー、ジイソチオシアナートモノマー、ジイソシアナートモノマー、ジ(メタ)アクリレートモノマー、ジチオ(メタ)アクリレートモノマーおよびジエピスルフィドモノマーから選択される前記第一の重合性成分の少なくとも1つと、の重合により得られる請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項16】
前記ポリチオールが、化学式R”(SH)n”で表されるモノマーから選択され、式中R”は、脂肪族ラジカル、芳香族ラジカルまたは複素環ラジカルであり、n”は2またはそれ以上、好ましくは2から5の整数である請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項17】
前記ポリチオールが、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリロールテトラキスチオプロピオン酸(PETP)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール(MDO)、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド(DMDS)およびペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)である請求項16に記載の重合性組成物。
【請求項18】
前記チオホスフィンモノマーが、前記組成物中に存在する前記重合性モノマーの総重量をベースとして1から25重量%、好ましくは1から15重量%である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項19】
前記チオホスフィンモノマーが、1から10重量%である請求項18に記載の重合性組成物。
【請求項20】
前記第一の重合性モノマーが、前記組成物中に存在する前記重合性モノマーの総重量をベースとして25から70重量%である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項21】
前記第一の重合性モノマーが、30から50重量%である請求項19に記載の重合性組成物。
【請求項22】
前記プレポリマーが、前記組成物である前記重合性モノマーの総重量をベースとして40重量%以下、好ましくは30%重量未満である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項23】
前記付加的な重合性モノマーが、前記組成物である前記重合性モノマーの総重量をベースとして25から50重量%である請求項6に記載の重合性組成物。
【請求項24】
前記組成物が、熱硬化性および/またはUV硬化性の組成物である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項25】
前記組成物が、光開始剤、熱開始剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの重合開始剤を、前記組成物中に存在する前記重合性モノマーの総重量をベースとして好ましくは、0.001から5重量%の割合で含む請求項24に記載の重合性組成物。
【請求項26】
請求項1に示す組成物の熱硬化および/またはUV硬化により得られる製品。
【請求項27】
前記製品が眼用レンズである請求項26に記載の製品。
【請求項28】
下記化学式のチオホスフィン化合物。
【化7】

(ここで、Xは、-SHまたは、
【化8】

で示され、R1はHまたは-CH3、RおよびR’は互いに独立して、1つまたはそれ以上のアルキル基および/またはアルコキシで置換されていてもよいアルキルラジカル、アルコキシラジカル、アリールラジカルまたは、フェニルラジカルであり、nは0から4の整数、n’は0から5の整数、xは0から2の整数、そしてyは、1から5の整数、但し、y+nは1から5の整数である。)
【請求項29】
y=1である請求項28に記載のチオホスフィン化合物。
【請求項30】
nおよびn’が0と等しい請求項28に記載のチオホスフィン化合物。
【請求項31】
Xが-SHである請求項28に記載のチオホスフィン化合物。
【請求項32】
下記化学式をもつ請求項31に記載のチオホスフィン化合物。
【化9】

【請求項33】
y=1、リンに関してxはパラ位であり、-SHである請求項28に記載のチオホスフィン化合物の製造方法であって、前記製造方法は、下記ステップよりなる;
a)触媒存在下、下記化学式の成分Aと下記化学式成分Bとを反応させるステップ
【化10】

(ここで、R’、n’およびxは、請求項28に記載のように定義されたとおりである。)、
【化11】

(ここで、Rとnは、先に定義されたとおりであり、GはSH官能基のブロックラジカルである。)、
成分A対Bのモル比が:
x=0のとき1/3
x=1のとき1/2、および
x=2のとき1/1である:
b)ステップa)から下記化学式の第一中間化合物Cを分離するステップ:
【化12】

c)化合物Cと硫黄成分を反応するステップ;
d)ステップc)からの下記化学式の中間化合物Dを分離するステップ;
【化13】

e)還流下、溶媒中で中間化合物Dとアルカリ性のチオラートを反応するステップ:および、
f)ステップe)から化学式(I)のチオホスフィンモノマーを分離するステップ。
【請求項34】
n=n’=0である請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
GがCHである請求項33に記載の製造方法。
【請求項36】
チオラートが2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウムである請求項33に記載の製造方法。
【請求項37】
ステップa)の触媒がn-ブチルリチウムである請求項33に記載の製造方法。
【請求項38】
x=0、y=1、リンに関してxはパラ位であり、-SHである請求項28に記載のチオホスフィンモノマーの製造方法であって、前記製造方法は、下記a)〜d)のステップよりなる;
a)触媒存在下、下記化学式の成分A’と下記化学式の成分Bとをモル比A’/B=1/3で、反応させるステップ
【化14】

【化15】

(ここで、R,nおよびGは請求項33で定義されたとおりである。)
b)ステップa)から下記化学式D’ の中間化合物を分離するステップ
【化16】

c)還流下、溶媒中で中間化合物D’とアルカリ性のチオラートを反応させるステップ:および、
d)ステップc)から下記化学式のチオホスフィンモノマーを分離するステップ。
【化17】

(ここで、Rおよびnは請求項28で定義されたとおりである。)
【請求項39】
nが0である請求項38の製造方法。
【請求項40】
GがCHである請求項38の製造方法。
【請求項41】
チオラートが2-メチル-2-プロパンチオラートナトリウムである請求項38の製造方法。
【請求項42】
触媒がn-ブチルリチウムである請求項38の製造方法。
【請求項43】
少なくとも1つの請求項1に記載のチオホスフィンモノマーと少なくとも1つの請求項1に記載の第一の重合性成分との重合から得られる平均分子量が1000から10000の範囲であるプレポリマー。
【請求項44】
第一の重合性成分が、ジシアナートモノマー、ジチオシアナートモノマー、ジイソシアナートモノマー、ジイソチオシアナートモノマー、ジ(メタ)アクリレートモノマー、ジチオ(メタ)アクリレートモノマーおよびジエピスルフィドモノマーからなる群から選択される請求項43に記載のプレポリマー。

【公表番号】特表2006−521437(P2006−521437A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504853(P2006−504853)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003142
【国際公開番号】WO2004/085447
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】