説明

チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体およびそれらの治療適用

本発明は、式(I)[式中、Mは、[C(R,R)]n1−C(E,COOR,N(H,Z))基、または置換されてもよいAr−CH(COOR,N(H,Z))基(Arはアリールまたはヘテロアリール基を示す)、または、式(II)などのα,β−環状アミノ酸基、または式(III)などのβ,γ−環状アミノ酸基であり、ここで、・Rは、HまたはRであり、Rはヒドロキシまたはカルボキシ保護基、例えばC−Cアルキル、Ar(アリールまたはヘテロアリールである)であり・Zは、H、またはアミノ保護基R’、例えばC−Cアルキル、C−Cアシル、Boc、Fmoc、COOR、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、もしくはArに関して定義されたように置換されたベンジルであり、・Eは、H、またはC1−C3アルキル、アリール;(CHn1−アルキルなどの疎水性基;ベンジル基などの(CHn1−アリール(またはヘテロアリール);またはキサンチル、アルキルキサンチルもしくはアルキルチオキサンチル基;または−(CHn1−シクロアルキル、−(CH−(CH−Ar);クロマニル基、特に4−メチルクロマニル;インダニル、テトラヒドロナフチル、特にメチル−テトラヒドロナフチルであるか、またはMは、OM’であり、ここで、M’はMについて上で定義したの同じであり;Rは、以下の群より選択され:D−CH(R)−C−(R,R)−、(R11,R12)CH−C(R,R10)−、D−CH(OH)−、D−[C(R13,R14)]n3−、C[(R15,R16,R17)]n4−、D−CH−、(R18)CH=C(R19)−、D−(Mn6−CO−、D−C(R,R’)−O−、D−O−、式(IV)、PO(OH)−CHもしくは(PO(OH)−CH)、(COOH−CH)−CH−であり、− D=H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、SR、S(OR)、SOR、NO、ヘテロアリール、C−Cアルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、(CHn2−アルキル、(COOH,NH)−(CHu1−シクロプロピル−(CHu2−、CO−NH−アルキル、Ar、(CHn2−Ar、CO−NH−Arで
あり、ここで、Rは上記定義のとおりであり、Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール基であり;− RないしR19は、同一または異なって、H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(ただし、x=0、1または2)、B(OH)、式(V)、NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルであり;− R11またはR12の一方は、COOR、COOH、(CH)n−COOH、(CH)n−COOR、POであり、他方はRおよびR10について定義したと同様であり;− R15、R16およびR17の一つは、COOHまたはCOORであり、他は同一または異なって、上記定義のとおりであり;− R18およびR19の一方は、COOHまたはCOORであり、他方は上記定義のとおりであり;− Mはアルキレンまたはアリーレン基であり;− n1=1、2または3;− n2=1、2または3;− n3=0、1、2または3;および− n4=1、2または3;− n5=1、2または3;− n6=0または1;− u1およびu2(同一または異なって)=0、1または2;Ar、およびアルキル基は同じ位置または異なる位置で1つ以上の置換基により置換されていてもよく、当該置換基は、OH、OR、(CHn1OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn1COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(ただし、x=0、1または2)、B(OH)、式(V)、NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルを含む群より選択され、Rは上記の定義と同様である]を有するチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体に関する


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は代謝調節型グルタミン酸受容体(metabotropic glutamate receptors:mGluR)に対してアゴニストまたはアンタゴニスト作用、取分け、第III群、サブタイプ4の代謝調節型グルタミン酸受容体(mGlu4R)に対してアゴニストまたはアンタゴニスト作用を有するチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体、およびそれらの治療適用に関する。
【背景技術】
【0002】
mGluR類は、それらが多様な脳障害、例えば、痙攣、疼痛、薬物依存性、不安障害、および数種の神経変性疾患などを治療するための適当な標的であると信じられるため、医薬品化学において特に興味が持たれている。
【0003】
mGluR類の8種の既知のサブタイプは3群に分類される。第III群はサブタイプ4および6〜8を含む。シナプス前部に主に位置しており、それらが自己受容体として作用する場合、第III群mGluRはG1/10タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ活性を低下させ、L−AP4によって特異的に活性化される。この群の中でも、mGlu4Rはパーキンソン病に対する可能性の高い新しい標的であると考えられるが、特異性の高いアゴニストのないことが、標的としての有効性確認の研究を著しく損なっている。さらに、グルタメートの構造周辺には多くの化学的バリエーションがあるにもかかわらず、L−AP4は未だに最も強いmGlu4RアゴニストであるがそのEC50が0.32μMに過ぎず、またそのα−メチル類似体は競合的アンタゴニストであるが、そのIC50は100μmである。より高い効能と特異性を有する新しい化学型を見出すべきである。
【0004】
当該分野における本発明者らの研究により、本発明者らは、数多くのmGlu4Rに対する有用なアゴニストまたはアンタゴニスト、およびそのα−置換誘導体に相当する有用なアンタゴニストを得ることを可能とするチオホスフィン(チオホスホン)酸の合成法を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、新規のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体、特に、第III群mGluRに対してアゴニストまたはアンタゴニスト作用を有する該誘導体を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、多様な置換基を有する生物学的に活性なチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の新規合成法を提供することにある。
【0007】
さらに別の目的によると、本発明はこのように得られるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体のmGlu4Rアゴニストまたはアンタゴニスト作用を利用し、脳障害を治療するために有用な医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は、以下の式(I)のジアステレオマーまたはエナンチオマーである:
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
Mは、[C(R,R)]n1−C,(E,COOR,N(H,Z))基、または置換されてもよいAr−CE,(COOR,N(H,Z))基(Arはアリールまたはヘテロアリール基を示す)、または
【0011】
【化2】

【0012】
などのα,β−環状アミノ酸基、または
【0013】
【化3】

【0014】
などのβ,γ−環状アミノ酸基である;
・Rは、HまたはRであり、RはヒドロキシまたはC−Cアルキル,Ar(アリールまたはヘテロアリールである)などのカルボキシ保護基である;
・Zは、H、またはC−Cアルキル、C−Cアシル、Boc、Fmoc、COOR、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、もしくはArに関して定義されるように置換されたベンジルなどのアミノ保護基R’である;
・Eは、H、またはC1−C3アルキル、アリール;(CHn1−アルキルなどの疎水性基;ベンジル基などの(CHn1−アリール(またはヘテロアリール);またはキサンチル、アルキルキサンチルもしくはアルキルチオキサンチル基;または−(CHn1−シクロアルキル、−(CH−(CH−Ar);クロマニル基、特に4−メチルクロマニル;インダニル、テトラヒドロナフチル、特にメチル−テトラヒドロナフチルである;
または
Mは、O−M’(式中、M’はMについて上で定義したのと同じである);
は、以下の群より選択される:
D−CH(R)−C−(R,R)−
(R11,R12)CH−C(R,R10)−
D−CH(OH)−
D−[C(R13,R14)]n3
C[(R15,R16,R17)]n4
D−CH
(R18)CH=C(R19)−
D−(Mn6−CO−
D−C(R,R’)−O−
D−O−
【0015】
【化4】

【0016】
PO(OH)−CHもしくは(PO(OH)−CH)、(COOH−CH)−CH−、
ここで、
− D=H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、SR、S(OR)、SOR、NO、ヘテロアリール、C−Cアルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、(CHn2−アルキル、(COOH,NH)−(CHu1−シクロプロピル−(CHu2−、CO−NH−アルキル、Ar、(CHn2−Ar、CO−NH−Arであり、Rは上記定義のとおりであり、Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール基である;
− R〜R19は、同一または異なって、H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(x=0、1または2)、B(OH)
【0017】
【化5】

【0018】
NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルである;
− R11またはR12の一方は、COOR、COOH、(CH)n−COOH、(CH)n−COOR、POであり、他方はRおよびR10について定義したと同様である;
− R15、R16およびR17の一つは、COOHまたはCOORであり、他は同一または異なって、上記定義のとおりである;
− R18およびR19の一方は、COOHまたはCOORであり、他方は上記定義のとおりである;
− Mはアルキレンまたはアリーレン基である;
− n1=1、2または3;
− n2=1、2または3;
− n3=0、1、2または3;および
− n4=1、2または3;
− n5=1、2または3;
− n6=0または1;
− u1およびu2(同一または異なって)=0、1または2;
Ar、およびアルキル基は同じ位置または異なる位置で1つ以上の置換基により置換されていてもよく、当該置換基は、OH、OR、(CHn1OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn1COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(x=0、1または2)、B(OH)
【0019】
【化6】

【0020】
NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルからなる群より選択され;;Rは上記の定義と同様である]。
【0021】
本発明の上記定義のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体において、Dは、好ましくは、Ar(置換されてもよい)、Ar−(CHn2(Arは置換されてもよい)、C−Cアルキルもしくはシクロアルキル;アルキル−(CHn2、またはCOOHである。好ましくは、Arはフェニル基(置換されてもよい)またはカルボキシアルキル基(置換されてもよい)である。あるいは、Arはヘテロ環基(置換されてもよい)である。有利な基は、基はチオフェニルまたはフラニル基(置換されてもよい)である。
【0022】
第一の好適なファミリーは式(II)で示されるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体に相当する:
【0023】
【化7】

【0024】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0025】
このファミリーの特に好適な誘導体において、DはArまたは置換Arであり、取分け、1〜5個の置換基により置換されてもよいフェニル基である。該置換基はオルトおよび/またはメタおよび/またはパラ位置にある。好適な置換基は、OH、OR、(CHn2OH、(CHn2OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn2COOR、C1−C3アルキルもしくはシクロアルキル、(CHn2−アルキル、アリール、(CHn2−アリール、ハロゲン、CF、SOH、PO、B(OH)アルキルアミノ、蛍光基(ダンシル)、3,5’−ジニトロベンゾイル、
【0026】
【化8】

【0027】
NO、SONH、SO(NH,R)、SR、S(O)R、SOR、OCF、ヘテロ環、Arに関して上に定義されたような置換ヘテロアリールを含む。
【0028】
有利には、Rおよび/またはRおよび/またはRは、H、C−Cアルキル、OH、CF、NHである。
【0029】
第二の好適なファミリーは、下記式(III)のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体に相当する:
【0030】
【化9】

【0031】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0032】
好適な誘導体において、R11またはR12の一つはCOOHである。
【0033】
有利には、R11またはR12および/またはRおよび/またはR10の他の一つはH、C−Cアルキル、OH、NH、CFである。
【0034】
第三の好適なファミリーは式(IV)のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体に相当する:
【0035】
【化10】

【0036】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0037】
好適な誘導体において、Dは式(II)に関して上に定義したと同様である。
【0038】
第四の好適なファミリーにおいて、該チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は式(V)を有する:
【0039】
【化11】

【0040】
[式中、該置換基は上記定義のとおりであり、R13またはR14の一つはOHを表わす]。
【0041】
好適な誘導体において、Dは式(II)に関して上に定義したと同様である。
【0042】
OHを表わすものではない置換基R13またはR14は、有利には、H,C−Cアルキル、OH、CF、NHである。
【0043】
第五の好適なファミリーにおいて、該チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は式(VI)を有する:
【0044】
【化12】

【0045】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0046】
好適な誘導体では、第一群の鎖においてR15、R16またはR17の1つまたは2つはCOOHであり、他方(単数または複数)は有利には、H、C−Cアルキル、OH、NH、CFである。
【0047】
第六のファミリーにおいて、該チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は式(VII)を有する:
【0048】
【化13】

【0049】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0050】
好適な誘導体において、Dは式(II)に関して上に定義したと同様である。
【0051】
第七のファミリーにおいて、該チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は式(VIII)を有する:
【0052】
【化14】

【0053】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0054】
好適な誘導体において、R18はCOOHである。
【0055】
有利には、R19は、H、C−Cアルキル、OHである。
【0056】
第八のファミリーは、式(LIX)のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体に相当する:
【0057】
【化15】

【0058】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0059】
好適な誘導体において、n6=0であるか、またはn6=1であり、また、Mは上記定義同様のアルキレンまたはアリーレン基である。
【0060】
本発明の好適な実施態様において、Mは上記定義の次亜リン酸誘導体中の[C(R,R)]n1−C(E,COOR,N(H,Z))基である。
【0061】
好ましくは、Rおよび/またはRはHであり、n1=1または2、より好ましくは2である。
【0062】
別の好適な実施態様において、MはAr基または置換アリーレン基、特に、C基または置換C基であり、該置換基は式(I)に関して上に定義したとおりである。
【0063】
さらに別の実施態様において、Mは環状アミノ酸基を含み、特に、Mは
【0064】
【化16】

【0065】
などのα,β−環状アミノ酸基であるか、または
【0066】
【化17】

【0067】
などのβ,γ−環状アミノ酸基である。
【0068】
取分け、本発明は、EがHを示す上記の誘導体に関し、該誘導体は、第III群mGluRアゴニストであり、より特定的には、対象として興味深いmGlu4Rアゴニストである。
【0069】
本発明はまた特に、EがHとは異なり、より具体的には、C1−C3アルキル、アリール、(CHn1−アルキル基などの疎水性基、または上記定義の(CHn1−アリール基、特に、ベンジル基、またはメチルキサンチル基もしくはアルキルキサンチルもしくはアルキルチオキサンチルである上記の誘導体に関する。
【0070】
有利には、かかる誘導体は有用なmGluRアンタゴニストであり、特に、mGlu4アンタゴニストである。
【0071】
本発明はまた、式(I)の示されるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の調製法に関する:
【0072】
【化18】

【0073】
[式中、該置換基は上記定義のとおりである]。
【0074】
方法(A)によると、当該方法は、
a1)式(IX):
【0075】
【化19】

【0076】
[式中、該置換基およびn1は上記定義のとおりである]
の誘導体を、塩化トリメチルシリル(TMSCl)およびトリエチルアミン(EtN)、またはN,O−(ビストリエチルシリル)アセトアミド(BSA)(EtはC基を表わす)のいずれかにより処理する工程と、
a2)この反応生成物に、それぞれ以下を有する誘導体の1種を加える工程と、
式(X):D−C(R)=C(R,R)、または
式(XI):(R11,R12)C=C(R,R10
式(XII):
【0077】
【化20】

【0078】
式(XIII):D−CH(=O)
式(XIV):D−[C(R13,R14)]n3−Br
式(XV):[C(R15,R16,R17)]n4−Br
式(XVI):D−I
式(XVII):(R18)C≡C(R19);
a3)P=O部分をP=S部分に置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスフィン(ホスホン)酸を保護した後にローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程と、
a4)2工程の加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃で脱保護することからなる加水分解を行う工程と、
a5)反応生成物を酸性条件下で、または触媒で処理して最終所望生成物を得る工程と、
a6)ジアステレマーまたはエナンチオマー体を回収する工程と、
a7)所望により、ジアステレオマー(得られる場合)をエナンチオマーに分離する工程;
を含む。
【0079】
方法(B)によると、当該方法は、
b1)式(XVIII):
(R”SiO)−P−H (XVIII)
[式中、R”はC−Cアルキルである]
の誘導体を、式(X):
D−C(R)=C(R,R) (X)
の誘導体、または式(XI):
(R11、R12)C=C(R,R10) (XI)
[式中、RまたはR10の1つはCOOalkであり、alkはC−Cアルキルである]
の誘導体のいずれかにより処理する工程と、
b2)該縮合生成物を、式(XIX):
Br−[C(R,Rn1−Br (XIX)
のジブロモ誘導体と、還流条件下に処理し、HC(Oalk)(式中、alkはC−Cアルキルである)を加える工程と、
b3)該縮合生成物を、式(XX):
NH(Z)−CH(COR) (XX)
の誘導体と、KCO、BuONBrの存在下、還流条件下に処理する工程と、
b4)P=O部分をP=Sに置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスフィン(ホスホン)酸を保護した後に、ローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程と、
b5)2工程での加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃で脱保護することを含む加水分解を行う工程と、
b6)縮合生成物を酸性条件下で、または触媒で処理して最終所望生成物を得る工程と、
b7)ジアステレオマーまたはエナンチオマー体を回収する工程と、
b8)所望により、ジアステレオマー(存在する場合)をエナンチオマーに分離する工程と
を含む。
【0080】
別法として、工程b1)で得られる反応生成物は、工程b2i)に従って、式(XXI):
[(R,R)C]n1=C(COOR,NH(Z)) (XXI)
の誘導体と反応させられる。
【0081】
工程b3i)において、反応生成物を酸性条件下に処理して、最終の所望の生成物とする。
【0082】
方法(C)によると、当該方法は、
c1)工程a1)に定義したように、式(XXII):
【0083】
【化21】

【0084】
[式中、Arは上記定義のとおりであり、好ましくは置換されてもよいC基であり;TはC−Cアルキル基を表わす]
の誘導体を反応させる工程と、
c2)式(X)ないし(XVII)の誘導体の1種を用いて反応工程a2)を行う工程と、
c3)反応生成物をNBS、AIBNで処理して、T’−Br(T’=CH)によって置換されたArをもつブロモ誘導体とする工程と、
c4)このように得られたブロモ誘導体を有機溶媒中、(CH)と反応させ、次いでAcOH/HOと反応させて、−C=Oによって置換されたArを有するセトン誘導体を得る工程と、
c5)該セトン誘導体をKCN、NHClおよびNHOHで処理し、−C(CN,NH)によって置換されたArを有するアミノシアノ誘導体を得る工程;
c6)P=O部分をP=Sに置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスフィン(ホスホン)酸を保護した後に、ローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程と、
c7)2工程での加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃で脱保護することを含む加水分解を行う工程と
c8)酸性条件下に処理して、−C(COOR,NH)によって置換されたArを有する誘導体を得る工程と、
c9)触媒で処理して、最終所望の生成物を得ること;
を含む。
【0085】
方法(D)は式(Iy):
【0086】
【化22】

【0087】
[式中、QはD−C(R,R’)−またはD−である]
のチオホスホネートの調製のために使用され:
d1)式(IX)の誘導体をN,O−(ビス−トリエチルシリル)アセトアミド(BSA)および硫黄粉末と処理する工程と
d2)1N−HClにより加水分解して、チオホスホネート(Ix)を得る工程と、
d3)DMF中、チオホスホネート(Ix)をEDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド)、アルコールQOHと反応させるか、またはチオホスホネート(Ix)をSOClと0℃で反応させ、次いで1当量のアルコールQOHと反応させる工程と、
d4)該反応生成物を酸性条件下、または触媒と、またはC7として処理し、最終所望生成物(Iy)を得る工程と
を含む。
【0088】
方法(E)は式(Iz):
【0089】
【化23】

【0090】
のチオホスホネートの調製のために使用され、
e1)Z−保護セリンメチルエステルO−ホスフェート(Z−Ser−(OMe)−O−ホスフェート)または同族体(例えば、ホモセリン)を(Ix)としてd3)(ジエステル化)で、次いで、a3)およびa4)に記載したように処理する工程と、
e2)または次亜リン酸HPOをb1)のように処理し、次いで、その縮合生成物をd1)のように反応させ、M’=Hの(Iz)を得ること;次いで、これをZ−保護セリンメチルエステル(Z−Ser−(OMe)−OH)または同族体とd3)およびd4)のように反応させる工程と
を含む。
【0091】
方法(A)では、好適な実施態様に従って、式(X):
D−CH(R)=C(R,R) (X)
の誘導体を式(IX)の誘導体とともに使用することにより、工程a2)において、式(XXIII):
【0092】
【化24】

【0093】
の中間誘導体が得られ、次いで、工程a5)において式(XXIV):
【0094】
【化25】

【0095】
の最終生成物が得られる。
【0096】
式(XI)または式(XII):
(R11,R12)C=C(R,R10) (XI)
または
【0097】
【化26】

【0098】
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXV):
【0099】
【化27】

【0100】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXVI):
【0101】
【化28】

【0102】
の最終生成物が得られる。
【0103】
式(XIII):
D−CH(=O) (XIII)
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXVII):
【0104】
【化29】

【0105】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXVIII):
【0106】
【化30】

【0107】
の最終生成物が得られる。
【0108】
式(XIV):
D−[C(R13,R14)]n3− Br (XIV)
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXIX):
【0109】
【化31】

【0110】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXX):
【0111】
【化32】

【0112】
の最終生成物が得られる。
【0113】
式(XV):
[C(R15,R16,R17)]n4−Br (XV)
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXXI):
【0114】
【化33】

【0115】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXXII):
【0116】
【化34】

【0117】
の最終生成物が得られる。
【0118】
式(XVI):
D−I (XVI)
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXXIII):
【0119】
【化35】

【0120】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXXIV):
【0121】
【化36】

【0122】
で示される最終生成物が得られる。
【0123】
式(XVII):
(R18)C≡C(R19) (XVII)
の誘導体を使用することにより、工程a2)において、式(XXXV):
【0124】
【化37】

【0125】
の中間誘導体が得られ、工程a5)において、式(XXXVI):
【0126】
【化38】

【0127】
の最終生成物が得られる。
【0128】
式(LIX):
【0129】
【化39】

【0130】
[式中、MはMに関して上に定義したと同様であり、n6=0または1である]
の誘導体を使用することにより、酸化して、式(LXI):
【0131】
【化40】

【0132】
の生成物が得られる。
【0133】
方法(B)において、式(XVIII):
(R”SiO)−P−H (XVIII)
の誘導体とともに、式(X):
D−CH(R)−C(R,R) (X)
の誘導体を使用することにより、工程b1)において、式(XXXVII):
D−CH(R)−C(R,R)−P(OSiR”) (XXXVII)
の中間誘導体が得られ、工程b2)において、式(XXXVIII):
【0134】
【化41】

【0135】
の中間誘導体が得られ、工程b5)において、式(XXXIX):
【0136】
【化42】

【0137】
の中間誘導体が得られ、工程b6)において、式(XXXX):
【0138】
【化43】

【0139】
の最終生成物が得られる。
【0140】
式(XVIII)の誘導体とともに、式(XI):
(R11,R12)C=C(R,R10) (XI)
の誘導体を使用することにより、工程b1)において、式(XXXXI):
(R11,R12)CH−C(R,R10)−P−(OSiR”) (XXXXI)
の中間誘導体が得られ、工程b2)において、式(XXXXII):
【0141】
【化44】

【0142】
の中間誘導体が得られ、工程b5)において、式(XXXXIII):
【0143】
【化45】

【0144】
の中間誘導体が得られ、工程b6)において、式(XXXXIV):
【0145】
【化46】

【0146】
の最終生成物が得られ;または別法として、
工程b1)に従って得られる式(XXXXI):
(R11,R12)CH−C(R,R10)−P−(OSiR”) (XXXXI)
の誘導体とともに、式(XXXXV):
(R,R)C=C(COOR,NH(Z) (XXXXV)
の誘導体を使用することにより、式(XXXXVI):
【0147】
【化47】

【0148】
[式中、OH−基は次いで保護され、P=O部分はP=S部分に置換される]
の中間誘導体が得られ、これを酸性条件下に処理することにより、式(XXXXVII):
【0149】
【化48】

【0150】
の最終生成物が得られる。
【0151】
方法(C)において、式(XXII):
【0152】
【化49】

【0153】
の誘導体を、
式(X):D−C(R)=C(R,R)、または
式(XI):(R11,R12)C=C(R,R10
式(XII):
【0154】
【化50】

【0155】
式(XIII):D−CH(=O)
式(XIV):D−[C(R13,R14)]n3−Br
式(XV):[C(R15,R16,R17)]n4−Br
式(XVI):D−I
式(XVII):(R18)C≡C(R19
の誘導体と共に用いることにより、それぞれ式(XXXXVIII)ないし(LIV)を有する中間誘導体が得られる:
【0156】
【化51】

【0157】
【化52】

【0158】
方法(A)において、式(IX):
【0159】
【化53】

【0160】
の誘導体は、有利には、式(LV):
【0161】
【化54】

【0162】
の次亜リン酸を、式(LVI):
(R,Rn1C=CH−C(E,COOR,NH(Z)) (LVI)
の誘導体と反応させることにより得られる。
【0163】
好ましくは、式(LVI)の誘導体は、Z−ビニル−glyOMeまたはその誘導体(Hとは異なるEを有し、Eは上記定義のとおりである)であり、式(LVIa):
【0164】
【化55】

【0165】
を有する。
【0166】
Z−ビニル−glyOMe誘導体は、有利には、文献(1)、(2)または(3)に従って、メチオニンまたはアルキルグルタメートから合成される。
【0167】
Hとは異なるEを有するZ−ビニル−glyOMe誘導体は、α−アルキルメチオニンまたはアルファアルキルグルタメートから調製され得る(文献4参照)。アルファアミノ酸は、イミダゾリノンまたはオキサゾリジノンを用いて立体選択的にα−アルキル化され得る(文献5および6)。
【0168】
Z−ビニル−glyOMe誘導体を得るための他の方法を実施例9に示す。反応は有利には、AIBNの存在下に、50℃超〜100℃、好ましくは約80℃に加熱することにより行われる。
【0169】
方法(B)において、式(XVIII):
(R”SiO)−P−H (XVIII)
の誘導体は、有利には、式(LVII):
【0170】
【化56】

【0171】
の次亜リン酸アンモニウム塩を、式(LVIII):
(alkSi)−NH (LVIII)
のジシラザン誘導体と反応させることにより得られる。
【0172】
反応は、有利には、不活性ガスの下で、100℃以上、特に、約120℃に加熱することにより、または次亜リン酸をN,O−(ビス−トリエチルシリル)アセトアミド(BSA)と室温で反応させることにより行われる。
【0173】
方法(C)において、式(XXII):
【0174】
【化57】

【0175】
の誘導体は、有利には、HPO、Ar−NH、Ar−Brおよび触媒Pd(0)Ln(Ln=n個のリガンド)の混合物を反応させることにより得られる。
【0176】
上記開示の製造法における中間体であるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は、本発明の範囲に包含される。
【0177】
上記のように、当該チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体は非常に興味深いmGluRアゴニストまたはアンタゴニスト作用を有し、従って、脳障害を治療するための医薬組成物における活性主成分として特に有用である。
【0178】
それらは特に非常に価値のあるmGlu4Rアゴニストまたはアンタゴニストである。
【0179】
従って、本発明はまた、式(I)で示されるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の少なくとも1種の治療有効量を、薬剤的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0180】
本発明はまた、脳障害を治療するための薬物を調製するための、式(I)のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の少なくとも1種の使用に関する。
【0181】
本発明の医薬組成物および薬物は、経口または注射ルートによる投与に適した形態にある。
【0182】
経口ルートによる投与のために、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤が特に使用される。これらの組成物は、有利には、服用単位あたり1〜100mg、好ましくは、2.5〜50mgの活性主成分を含む。
【0183】
他の投与形態は、静脈内、皮下または筋肉内ルート用の注射溶液含み、無菌または無菌化可能な溶液から製剤化される。それらはまた、懸濁剤または乳剤でもよい。
【0184】
これらの注射用形態は、例えば、服用単位あたり0.5〜50mg、好ましくは1〜30mgの活性主成分を含む。
【0185】
本発明に従って調製される本発明の医薬組成物は、痙攣、疼痛、薬物依存性、不安障害および神経変性疾患などの治療に有用である。
【0186】
効能・効果を目的として、必要とする患者を治療するために用いられ得る用量は、例えば、10〜100mg/日、好ましくは20〜50mg/日の用量に相当し、1回以上の用量で投与される。
【0187】
販売に関する条件付け、取分け、ラベリングと使用説明書、および有利にはパッケージングは、意図する治療用途に応じて定式化されている。
【0188】
別の目的によると、本発明は脳障害の治療方法であって、必要とする患者に、上記定義のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の有効量を投与する工程を含む方法に関する。
【0189】
さらに別の目的によると、本発明は、薬物障害を治療するための薬物を調製するための、少なくとも1種の上記定義のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の使用に関する。
【0190】
本発明の他の特徴と利点は、図1〜10を参照して、チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の合成を例証する以下の実施例に与えられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】図1は、L−AP4およびL−チオAP4の解離定数を示す。
【図2】mGlu4R受容体に対するL−AP4と類似体の用量−応答曲線を示す。
【図3】L−AP4(1)とドッキングしたmGlu7R(X線構造PDBコード:2e4z)およびmGlu4R(同族モデル)のローブ1残基のCα原子の重ね合わせ。
【図4】LBDにおいてドッキングしたL−AP4(1)。
【図5】mGlu1R LBD(PDBコード:lewk:A)の閉鎖型に結合したグルタメートの結晶構造。
【図6】mGlu3R LBD(PDBコード:2e4u)の閉鎖型に結合したグルタメートの結晶構造。
【図7】L−チオAP4のH NMR質量スペクトル。
【図8】L−チオAP4の13C NMR。
【図9】L−チオAP4の31P NMR。
【図10】L−チオAP4の質量スペクトル。
【図11】ラットmGluRアミノ末端ドメインの配列のアラインメント。
【発明を実施するための形態】
【0192】
(結果)
(化学)
mGlu4、6、7,8受容体のアゴニストとして試験されたL−AP4(2−アミノ−4−ホスホノ酪酸);L−チオAP4(2−アミノ−4−チオホスホノ酪酸)により得られた結果を以下に示す。
【0193】
【化58】

【0194】
グルタメートのγ−ホスフィン酸誘導体(5)は、合成スキームのすべてにおいてキーとなる中間体である。このものは水性次亜リン酸から、N−Z保護ビニルグリシンメチルエステルへのラジカル付加により合成された(以下のスキーム1)。
【0195】
H−ホスフィン酸誘導体の合成は、P−C結合の形成が通常、亜リン酸III部分の不飽和系または活性化ハロゲン化物への付加から生じる多くの研究の対象であった。これらの反応は塩基−触媒もしくは金属−触媒条件またはラジカル条件下で起こる。次亜リン酸(HPO)から出発する場合、この挑戦はモノ置換ホスフィン酸を得るために付加を1当量の置換基の制限することである。この問題は、ビス(トリメチルシリルオキシ)ホスホナイト(bis(trimethylsilyloxy)phosphonite:BTSP)を使用した場合に直面するが、この場合は、H−ホスフィン酸誘導体のみを生成させるために、大過剰のBTSP(5当量)を必要とする。Froestl et al(文献1)によって、GABAホスフィン酸類似体の合成に、別のルートが示唆された。一時的な保護がモノアルキル化を保証したが、後に、収率が低く、再現性のないことが報告された。最適な反応はラジカル条件下で起こると思われる。H−アルキルホスホネートは、それらのラジカルが第二のアルキル化工程の間に形成され得ないために、問題なく得られる。
【0196】
本発明者らは、保護されたビニルグリシンへのHPOのラジカル縮合を開始させて保護されたH−ホスフィン酸誘導体(5)を生じさせるために、α,α’−アゾイソブチロニトリル(azoisobutyronitrile:AIBN)を使用することを選択した。
【0197】
BTSPルートによる化合物(5)のR−エナンチオマーの合成が、Zeng et al(文献2)によって報告され、より最近になって、EtBが次亜リン酸アンモニウムのZ−L−α−ビニルGlyOMeへのラジカル付加を開始させるS−エナンチオマーの合成が記載された(文献3)。
【0198】
市販品として入手し得るL−AP4のコストが高額であることに鑑みて、(5)から出発する代替の効率的な合成ルートが開発された。保護されたホスフィン酸(5)のP−H結合の酸化は、化合物(5)を1当量のDMSOおよび触媒量のヨウ素と共に、60℃で5時間にわたって加熱して(6)を生じさせることにより達成された(文献4)。官能基の脱保護は、6N−HClの存在下に、(6)を5時間にわたって加熱することにより行われ、所望の生成物(1)を定量的収率で得た。反応を以下のスキーム1に要約する。
【0199】
【化59】

【0200】
保護されたH−ホスフィン酸誘導体(5)は、緩和な条件下、対応するチオホスホネートに酸化された。
【0201】
標的化合物(4)の合成を以下に示す。
【0202】
【化60】

【0203】
化合物(5)をN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(bis(trimethylsilyl)acetamide:BSA)でシリル化して、保護されたBTSP中間体とした。硫黄粉末の存在下、この中間体を円滑に酸化して、保護されたチオホスホネート(7)とした。(7)を6N−HClにより90℃で3時間にわたり脱保護し、35%の所望の生成物(4)および65%の加水分解生成物(1)を得た(比率は31P NMRにより測定)。従って、より緩和な脱保護が必要であった。(7)のカルボン酸メチルエステルの加水分解は、3当量のLiOHで行われ、良好な収率で(8)を得た。パラジウム/炭素存在下での(8)の加水素分解では、(4)とし得なかった。従って、本発明者らは、ベンジルオキシカルボニル基の緩和な酸性脱保護に方針転換した。(8)を4N HClにより75℃で3時間にわたり処理することで、主生成物として所望の生成物(4)と少量の(1)を得た(P NMRにより測定して、7:3の比)。化合物(4)は、陽イオン交換樹脂カラム上の水溶出により精製された。(4)の純度は、ケミカルシフトに大きな差がある((4)については86.7ppm、(1)については35.4ppm)ため、P NMRにより簡便にチェックされた。この評価法は、pH7の水溶液中、−20℃で数週間保存した後の(4)の安定性チェックに使用された。
【0204】
数種の第III群のmGluRアゴニスト(例えば、ACPT−I(アリールまたはヘテロアリールである)、DCPG(アリールまたはヘテロアリールである)、L−AP4)の効能がそれらのさらなる酸性機能に関係しているため、本発明者らはL−AP4(1)とL−チオAP4(4)の薬理学活性の差が、異なるイオン化状態によるものであろうと予測した。それらを比較するために、これらアミノ酸のpKa値を評価した。その結果を図1Aおよび1Bにて説明する:A)計算pKa値(SPARCオンライン計算機を使用)(文献5、6)。イオン化可能な官能基1〜4は、pKa、pKa、pKaおよびpKaに対応する。B)実験pKa値は、L−AP4((1)、青)およびL−チオAP4((4)、赤)についてのpHの変動に対して、31P NMRのケミカルシフトをプロットすることにより決定された。提示されたpKa値は、GraphPad Prismプログラムを使用する非線形回帰分析により計算された。さらに、(1)および(4)の31P NMRのケミカルシフトはイオン化状態に影響を受け易く、従って、それらのpH依存性から滴定曲線が入手され得る(文献7〜9)(図1B)。L−AP4(1)およびL−チオAP4(4)は、α−カルボン酸、γ−ホスホネート/チオホネート(pKa、pKa、pKa)およびα−アンモニウム(pKa)基の酸性度に相当する4つのpKa値によって特徴付けられる。pKaおよびpKa値は滴定曲線から判定するには接近し過ぎているが、pKaおよびpKaは容易に測定される。(1)のpKaおよびpKaについては、6.88および9.90の値が測定され、また(4)については5.56および9.70と測定された。特筆し得ることは、3つの第一の酸性官能基のイオン化によりリン原子の遮蔽(31P NMRのケミカルシフトの低下)が観察されるが、他方、該アミンが脱プロトン化を受け、その正電荷が除かれた場合は、脱遮蔽効果(31P NMRのケミカルシフトの増加)が起こることである。一旦、アミンが脱プロトン化された場合には、この効果が抑制され、31P NMRのケミカルシフトが増大する。電子密度がリン原子に結合したヘテロ原子上により局在化するからである。この効果は(4)でよりも、(1)でより顕著となる(図1B)。pKaおよびpKaは7よりかなり低いため、相当する官能基(α−カルボン酸およびホスホネート/チオホスホネート基の第一酸性度)は全体として生理学的pHにて脱プロトン化される。ホスホネートの第二酸性度はそのpHで半分だけ脱プロトン化されるが、その理由は(1)のpKaが6.88と測定されるからである。対照的に、同じ官能基は(4)において、そのpKa値が5.56に低下するため、略完全に脱プロトン化される。結果として、(4)の末端基を担持する負電荷は、(1)に比較して有意に増加し、結合部位の塩基性残基とのより強力な相互作用を可能とする。
【0205】
(薬理学)
L−AP4(1)およびL−チオAP4(4)の作用は、第III群mGlu受容体(mGlu4、mGlu6、mGlu7およびmGlu8)について試験された。結果を下記表1に示す。
【0206】
【表1】

【0207】
これらの受容体は、前述のように、HEK−293細胞において一時的に発現された。第III群mGlu受容体は自然にホスホリパーゼCと結合するわけではなく、むしろアデニル酸シクラーゼを阻害するので、受容体は、キメラG−タンパク質アルファサブユニットと同時トランスフェクトされた。キメラG−タンパク質アルファサブユニットは、これらの受容体によって認識され、ホスホリパーゼC経路を有効に活性化する。従って、機能的アッセイは、受容体活性化から生じる総イノシトールホスフェート産生を測定することにあった(文献10、11)。
【0208】
L−AP4類似体は第III群mGlu受容体においてアゴニスト活性を示した。L−チオAP4(4)は、すべてのサブタイプに対し、L−AP4(1)よりも約2倍以上活性であった(対応のあるステューデントのT検定:P<0.05)。L−AP4類似体は第III群mGlu受容体サブタイプの中で、選択性を示さなかった。
【0209】
第IおよびII群mGlu受容体に対する選択性をL−AP4類似体についてチェックした。100μMでは、これらの群に属する受容体に対し、アゴニスト活性もアンタゴニスト活性も検出されず、L−AP4が選択的第III群mGlu受容体アゴニストであることが示された。
【0210】
(分子分析)
第III群mGlu受容体に関わる(1)および(4)の選択性の分子的基本は、リガンド結合ドメイン(ligand binding domain:LBD)の結晶構造(文献13、14)および相同性モデル(文献15)の助けを借りて説明され得る。このドメインは2つのローブに包み込まれ、開放または閉鎖コンフォメーションを採っている。アゴニストはLBDの開放形態のローブ1に結合し、次いで、受容体の活性化に必要であることが証明されている閉鎖形態に捕捉される。閉鎖コンフォメーションはアゴニストの両方のローブとの相互作用により安定化される。安定化が良好である程、アゴニストはより強力であることが推測される。
【0211】
本明細書において、本発明者らは、効力の等級順位のこのような解釈が、閉鎖形態のmGlu受容体のLBDに結合するグルタメート、L−AP4(1)、L−チオ−AP4(4)の比較に適用されることを証明する。
【0212】
3つのmGluR群のそれぞれの間に高い受容体類似性があるために、各群(mGlu1、mGlu3およびmGlu4)の1つのサブタイプを分子分析のために選択した(図11のラットmGluRアミノ末端ドメインの配列アラインメントを参照)。従って、mGlu1およびmGlu3 LBDに結合したグルタメートのX線構造を用い(プロテインデータバンクコード:lewk:Aおよび2e4u)、mGlu4 LBDに結合したL−AP4(1)の相同性モデルを用いた。ここで見出されたことは、結晶化付加物である2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid:MES)に結合したmGlu7Rの結晶構造(PDBコード:2e4z)が、mGlu4 LBDの新しい相同性モデルを構築するのに都合がよくないということであった;その理由はそれがドメインの開放コンフォメーションを採り、分解能を制限するからである。実際問題として、アゴニストに接触すると思われる残基の一部の側鎖は解明されず(例えば、E405、K407、Q258ないしR263)、MESはmGlu受容体のすべてに見出されるサインモチーフに結合しない。しかし、L−AP4(1)とドッキングしたmGlu4の前者3Dモデルのローブ1の残基(Cα原子)は、最新のmGlu7R構造のものに重なり合った。非常に良好な重ね合わせ(rmsd 1.05Å)がこのモデルの精度を証明している(図11)。さらに、ローブ1とヒンジの結合部位残基の側鎖は、X線構造のものと比較して、相同性モデルによく適応している(図3)。
【0213】
L−AP4(1)周辺の結合残基に注目すると、5つの塩基性残基が末端ホスホネート基とイオン相互作用していることが分かる。それらはローブ1からのK74、R78およびK405並びにローブ2からのR258およびK317である(図4)。それらの内、これら塩基性残基の3つ(R78、K405およびR258)は同時に酸性残基(E403、D312、E287、D288)に結合し、その結果、それらの正の電荷が中和される。残りの2つの塩基性残基(K74およびK317)は、ホスホネート基の負の電荷により中和される。唯一の負の末端電荷を保持するグルタメートにより、静電気的安定化が弱まり、結果としてアゴニスト効力が低下する。L−AP4(1)についての同様の結合パターンが、mGlu4受容体に結合したL−チオAP4(4)で見出される。さらに、チオホネート基の総電荷がL−AP4(1)ホスホネート基によるよりもより2に接近するため(上記参照)、LBDの両方のローブに対する(4)の静電的相互作用は、(1)に比べて増強される。L−チオAP4(4)に結合したLBDの閉鎖コンフォメーションの安定化増加は、mGlu4受容体結合部位でのそのより高い効力を説明し得る。mGlu8受容体での(4)の同様に高い効力についても同様の解釈を示唆し得る;その理由は、結合パターンがmGlu4およびmGlu8結合部位で同じであるからである。興味深いのは、(1)と(4)のmGlu6およびmGlu7受容体でのEC50の増加(表1)が、その閉鎖コンフォメーションにおけるLBDの非最適安定化と相関することである。事実、K74はmGlu6中でグルタミン(Q58)によって置換され、mGlu7中でアスパラギン(N74)によって置換され(図11)、その結果、mGlu4/8に結合する(1)/(4)と比較して、イオン性相互作用の1つが失われている。さらに、mGlu4受容体においてR258に類似する別の塩基性残基がmGlu7受容体(Q258)において失われており、(1)または(4)に結合したLBDの活性コンフォメーションの安定性をさらにより低下させる。それにも拘らず、第III群mGlu受容体のすべてにおいて、(1)および(4)と強力に静電気的に相互作用するローブ2のリジン(mGlu4のK317、mGlu6のK306、mGlu7のK319、mGlu8RのK314)は保存される。この相互作用は、(4)とにおいてより強いため、(4)の効力が第III群受容体のすべてについて(1)よりも高い。
【0214】
LBDの閉鎖コンフォメーションにおいてmGlu1受容体に結合したグルタメートの結晶構造を図5に示す。この図は、グルタメートが、総数3つの塩基性残基を形成している、ローブ1の保存R78およびK409およびローブ2からのR323に結合していることを示す。これらの塩基性残基のそれぞれもまた酸性残基(D407、D318、E325)に結合するので、グルタメートの末端酸性基の負の電荷は必須でないようである。事実、第I群mGlu受容体の周知のアゴニストである(S)−3,5−ジヒドロキシフェニルグリシンは、末端電荷を保持していない。その上、グルタメートの末端電荷は、活性化プロセスの第1段階において、LBDの開放形態におけるK409とグルタメートとの間のより強力な相互作用を可能とする。L−AP4(1)とL−チオAP4(4)は、mGlu1/5受容体において効果をもたない。
【0215】
LBDの閉鎖コンフォメーションにおいてmGlu3受容体に結合したグルタメートの結晶構造は、グルタメートがローブ1のR68、K389およびR64に結合し、ローブ2の塩基性残基には結合していないことを示す(図6)。3つの塩基性残基の内の2つが酸性残基に結合し(E387にR68およびE324にK389)、その結果、中性の系を生じさせるためには、アゴニスト上に負の電荷1つのみが必要となる。同様の結合パターンは、図11の配列アラインメントに従い、mGlu2受容体についても予測され得る。従って、グルタメートに比較して、L−AP4(1)およびL−チオAP4(4)のさらなる負電荷は、該タンパク質とのさらなる相互作用を生じない。逆に、一旦リガンドが第一のローブに結合すると、さらなる負の電荷が、すでに異なるコンフォメーションを採ったローブ2の一部の塩基性残基と相互作用し得る(例えば、mGlu2のR271、mGlu3のR277)。LBDの閉鎖は受容体の活性化を防止するために改変され得る。実際問題として、L−AP4(1)は適度のmGlu2受容体アンタゴニストとして記載された。それは、L−AP4(1)はローブ1に結合し得るが、LBDの完全な閉鎖は阻害されることを証明する。
【0216】
mGluR選択性の分子決定因子をより明瞭にするために幾つかの変異誘発の研究を行ってきた。それらの研究は、アゴニストの選択性がmGlu受容体の各基に特異的な末端残基のセットに由来することを証明している。本研究にて検討された残基はそれらのセットの一部である。L−AP4およびL−チオAP4のホスホネートおよびチオホスホネート基の配置と電荷が、第III群受容体クラスターに最も良好に合致するが、上に説明したように第I/II群受容体のクラスターには合致しない。この状況は、第III群mGlu受容体の活性化に関し、L−AP4およびL−チオAP4の高い効力と選択性の分子的基本を明確にする。
【0217】
(考察)
L−AP4の数々の標品が過去10年間に公にされたが、その幾つかでは出発原料として天然のアミノ酸を使用している。本明細書に提示された合成は、ビニルグリシンと次亜リン酸との間のラジカル縮合を緩和な条件を利用する。
【0218】
第III群mGlu受容体アゴニストの効力と選択性は、カルボン酸であり得るさらなる酸性機能により、またはグルタメート類似体によって保持されているホスホネート基の第二の酸性度によりもたらされる。事実、この酸性度はL−AP4(1)に等比体積(isosteric)であるが唯一の末端酸性部分を有するL−ホモシステイン酸として重要であるようであり、第III群mGlu受容体におけるグルタメートと比較して活性の上昇を示さない。本発明の目的は、高活性度のためには、そのような追加の基を必要とすることをさらに証明することであった。
【0219】
L−AP4の硫黄類似体であるL−チオAP4(4)を合成し、試験した。L−チオAP4(4)は、以下に詳述するように、そのより強い酸性度のために、L−AP4よりもより効率的に第III群mGlu受容体を活性化し得た。今日まで、L−チオAP4(4)は、これらの受容体について記載された最も効力の強いアゴニストである。
【0220】
L−チオAP4(4)は、水溶液中、2種の互変異性体、すなわちチオーロ(thiolo)体(P−SH)またはチオノ(thiono)体(P=S)として存在し得る。研究により、ホスホノチオ酸においては、チオノ−チオーロ平衡が圧倒的にチオノ側にあることが示される。硫黄の水素結合は酸素よりも相当に弱いので、L−チオAP4の効力の上昇は、かかる相互作用から生じるものではない可能性がある。ホルホリル基の酸素原子に置き換わる硫黄の特殊性(P=OをP=Sに置換)は、それがホスホネートの第二酸性度に対し主たる作用を示すことである。(1)の末端基についてSPARCオンライン計算機を用いて計算されたpKa値(pKa、pKa)は、2.8および7.4であるのに対し、(4)のpKa値(pKa、pKa)は、2.1および3.4であった。対照的に、4,4’−ジフルオロ置換L−AP4におけるように、L−AP4の4位に電子吸引性置換基を導入すると、予測されるpKaが1.15および5.80と、両方の酸性度に影響する。第二の(チオ)ホスホン酸基の解離(pKa)は、中性のpHにおいて、この部分の電荷にとって臨界である。実験値は31P NMR滴定により測定され、(1)および(4)について、それぞれ6.88および5.56であった。このように、生理学的pHにおいて、L−PA4(1)は部分的にのみイオン化されているのに対し、L−チオAP4(4)のチオホスホネート基は略完全に脱プロトン化されて、mGlu4受容体結合部位でドッキングしたL−AP4の3Dモデルにて同定された結合部位の5つの塩基性残基とのより強力な静電気的相互作用を可能とする(図4)。これらの相互作用は結合ドメインの活性コンフォメーションを安定化し、それがその結果として受容体活性化の引き金を引く。mGlu7Rのローブ1残基(X線構造PDBコード:2e4z)のCα原子と、L−AP4(1)とドッキングしたmGlu4R(相同性モデル)のCα原子との重ね合わせを図3に示す。Glu4Rからの残基41〜124、150〜202、339〜371、およびmGlu7からの残基41〜124、150〜202、341〜373が、1.05Åのrmsdで重ね合わされた。図3に示された塩基性残基の殆どは第III群mGlu受容体の4つのサブタイプの中に保存され、その結果として、L−チオAP4(4)はサブタイプ選択性ではない。しかし、L−AP4(1)と同様に、L−チオAP4(4)は第III群選択的アゴニストであり、他の群のmGlu受容体に対してアゴニストまたはアンタゴニスト活性を示さない。L−AP4(1)およびL−チオAP4(4)の効力と選択性は、X線構造と相同性モデルを分析する分子レベルで説明され得る。一方、それらの末端(チオ)ホスホネート基の負電荷は、mGlu4/8受容体の高塩基性末端ポケットとの強力なイオン性相互作用を可能とするが、それらは結合したグルタメートと比較して、第I/II群受容体結合部位でのさらなる相互作用を可能にしない。対照的に、これら後者の受容体の場合、余分の電荷が、リガンド周辺の極性結合ネットワークを不安定にし得るので、それが有害となり、LBDの活性コンフォメーションに到達するのを妨げ得る。
【0221】
L−チオAP4はL−AP4よりもより強力であり、一旦放射ラベリングされると、有用な薬理学的ツールとなり、かつ本発明者らはこれまで制限されていた結合実験の遂行が可能となる。さらに、この化合物の構造−活性分析が新たな分子的特徴を解き明かし、それがより強力な第III群mGluRアゴニストの設計を可能とし、さらにそれは精神医学的疾患または神経変性疾患および神経障害性疼痛除去のための新規薬物として開発され得る。
【0222】
結論として、本発明者らは、ホスホネートをチオホスホネート(4)に変えることによって、結果として当該活性が増大するに至ることを証明した。増強された(4)の効力は、該チオホスホネート基の第二酸性度の増大、および生理学的pHでのこの基の完全な脱プロトン化に寄与する。総合すれば、これらの結果は、第III群mGlu受容体アゴニストであるグルタメート類似体における追加の酸性機能およびその負電荷の臨界的役割を確認するものであり、本発明者らは最も強力な第III群mGlu受容体アゴニストとしてのL−(+)−2−アミノ−4−チオホスホノ酪酸(4)(本明細書ではL−チオAP4と名付ける)を同定するに至った(mGlu4、6、7、8それぞれにおいて、EC50=0.039、0.73、197、0.054μM)。
【0223】
(実験の部)
(化学)
化学製品および溶媒類はすべて民間の供給業者(Acros、Aldrich)から購入し、受け取られたままに使用された。グルホシン酸アンモニウム塩(PT3)およびZ−L−a−ビニルGlyOMe(N−ベンジルオキシカルボニル−a−ビニルグリシンメチルエステル)は、それぞれRiedel-de Haen (Sigma-Aldrich)およびAscent Scientific Ltd (North Somerset, UK)から購入された。H(250.13MHz)、13C(62.9MHz)および31P(101.25MHz)NMRスペクトルは、ARX250 Bruker分光器で記録された。ケミカルシフト(d、ppm)は重水素化溶媒(CDCl 7.24、77.00;CDOD 3.30、49.0;DO 4.80)の残存するHまたは13Cを標準として与えられる。31P NMRのケミカルシフトについては、予め外部標準(HPO 95%)により測定されたSR値、DO中の−16664.43HzおよびCDOD中の−15643.78Hzを校正に使用した;外部標準は滴定実験のために使用された。生成物の可視化は2%(w/v)ニンヒドリン/エタノールで達成された。旋光度は、0.1または1dm光路セルを使用して、Perkin-Elmer 341旋光計により室温、ナトリウムD線(589nm)で測定された。質量スペクトル(Mass spectra:MS)はLCQ−アドバンテージ(ThermoFinnigan)質量分析計により、ポジティブ(ESI+)またはネガティブ(ESI−)エレクトロスプレー・イオン化(イオン化電位:4.5kV;インジェクション温度:240℃)で記録された。分子モデルおよび3D−構造はDiscovery Studio 1.6(Accelrys, San Diego)を用いて表示された。
【0224】
(2S)−2−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−[(ヒドロキシ)ホスフィニル]ブタン酸メチル(5):
次亜リン酸(HPO;660mg、5mmol、50%水性)、N−ベンジルオキシカルボニル−L−α−ビニルグリシン・メチルエステル(Z−L−α−ビニルGlyOMe;249.3mg、1mmol)およびα,α’−アゾイソブチロニトリル(AIBN、8.2mg、0.05mmol)のメタノール(1mL)中の混合物を80℃で5時間にわたって還流させた。次いで、メタノールを減圧下に留去し、残渣を水15mLで処理し、酢酸エチル(125mL)で抽出した。有機溶液を水10mLで洗い、無水MgSOで乾燥させ、減圧下に溶媒留去し、(5)(296mg、収率94%)を得た。
【0225】
1H NMR(CD3OD): δ 1.98(m, 4H), 3.72(s, 3H), 4.11(m, 1H), 5.12(s, 2H), 7.08(d, JPH=565Hz, 1H), 7.34(m, 5H)。13C NMR(CD3OD): δ 23.4, 26.1(d, J=92Hz), 52.2, 54.7, 66.9, 128.0, 128.3, 128.7, 137.2, 157.5, 172.7。31P NMR(CD3OD): δ 35.3。
(2S)−2−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ホスホノ酪酸メチルエステル(6):
(5)(0.90mmol)、DMSO(70mg、0.9mmol)およびヨウ素(1mg)のTHF(3mL)中の混合物を60℃に加熱下に5時間にわたり攪拌した。得られた混合物を減圧下に蒸発乾固させ、(6)(292mg、収率98%)を得た。
【0226】
1H NMR(CD3OD): δ 1.94(m, 4H), 3.72(s, 3H), 4.31(m, 1H), 5.12(s, 2H), 7.35(m, 5H)。31P NMR(CD3OD): δ 29.61。13C NMR(CD3OD): δ 23.76(d, J=139.79Hz), 25.50, 52.16, 54.82(d, J=18.56Hz), 66.81, 127.99, 128.25, 128.71, 137.22, 157.53, 172.90。
L(+)−2−アミノ−4−ホスホノ酪酸(1):
化合物(6)を5mLの6N−HClに溶解させた。この混合物を100℃に5時間にわたって加熱し、得られた溶液を室温に冷却した。揮発性の有機副生成物と水を減圧下に除去し、残渣をDowex AG50X4陽イオン交換樹脂カラム(H、20〜50メッシュ、24×1.7cm、水溶出)を用いて精製した。ニンヒドリンで呈色反応プラスとなったフラクションを集め、減圧下溶媒留去させて(1)を得た(定量的収率)。
【0227】
1H NMR(D2O): δ 1.70(m, 2H), 2.12(m, 2H), 3.99(t, J=6.02Hz, 1H)。31P NMR(D2O): δ 35.42。13C NMR(D2O): δ 23.61(d, J=135.42Hz), 24.68, 53.91(d, J=13.37Hz), 172.49。MS(ESI-)m/z 182.2(M-1)。[a]D20 +13.2(c 1.0, H2O,文献55 +10.3, c 2.0, H20)。
(2S)−2−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−チオホスホノブタン酸メチル(7):
(5)(296mg、0.94mmol)および硫黄粉末(96mg、3mmol)の塩化メチレン(2mL)中の混合物に、アルゴン雰囲気下、0℃で、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(814mg、4mmol)を滴下した。この混合物を室温に加温し、1時間にわたり攪拌して、次いで0℃に冷却し、15mLの1N−HCl15mLを加え、酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。合わせた有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、減圧濃縮した(302mg、93%)。
【0228】
1H NMR(CD3OD): δ 2.10(m, 4H), 3.78(s, 3H), 4.32(m, 1H), 5.11(s, 2H), 7.33(m, 5H)。31P NMR(CD3OD): δ 87.23。13C NMR(CD3OD): δ 26.21, 32.46(d, J=108.38Hz), 52.04, 54.51, 66.83, 127.87, 128.13, 128.60, 137.11, 157.58, 173.08。
(2S)−2−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−チオホスホノブタン酸(8):
(7)(302mg、0.87mmol)のエタノール溶液(5mL)に、室温でエタノール:水(10+10mL)中のLiOH・HO(126mg、3mmol)を加えた。反応液を同温度で3時間にわたり攪拌した。次いで、15mLの1N−HClを加え、酢酸エチルで抽出した(2×75mL)。有機抽出液を合わせ、無水MgSOで乾燥させ、減圧濃縮して(8)(257mg、収率89%)を得た。
【0229】
1H NMR(CD3OD): δ 1.91(m, 4H), 4.03(m, 1H), 5.12(s, 2H), 7.36(m, 5H)。31P NMR(CD3OD): δ 87.36。13C NMR(CD3OD): δ 26.31, 32.51(d, J=108.38Hz), 54.51(d, J=18.12Hz), 66.80, 127.82, 128.09, 128.56, 137.11, 157.68, 174.30。
L(+)−2−アミノ−4−チオホスホノ酪酸(4):
粗製の化合物(8)(147mg、0.44mmol)を4mLの4N−HClで処理し、75℃で3時間にわたり攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、Dowex+ AG50X4陽イオン交換樹脂カラムを用いて残渣を精製した(H、20〜50メッシュ、24×1.7cm、水溶出;12mLのフラクション;ニンヒドリンによる生成物可視化)。フラクション4〜20を集め、20%のL−AP4(1)を含む(4)53mgを得た。この混合物を同じカラムに再負荷し、水で溶出した。
【0230】
フラクション4〜9が、溶媒留去の後に高純度の(4)(19mg、0.095mmol、収率22%)を与えた。
【0231】
1H NMR(D2O): δ 1.97(m, 2H), 2.24(m, 2H), 4.16(t, J=6.03Hz, 1H)。31P NMR(D2O): δ 86.69。13C NMR(D2O): δ 25.06, 32.28(d, J=103.28Hz), 53.08, 171.85。MS(ESI+) m/z 200.0(M+1)。[α]D20+17(c1.0, H2O)。
L−AP4(1)およびL−チオAP4(4)のpKa測定:
31P NMRスペクトルは、外部HPO(95%)標準を0ppmとして27℃で取得された(密閉キャピラリー)。化合物(1)(12mg)または(4)(6.4mg)を0.54mLのHOおよび0.06mLのDOに溶解した。溶液のpHは少容量(1〜6μL)の濃HClまたは2M NaOH溶液で調整された。(1)について全数27のスペクトルまたは(4)について23のスペクトルを、0.50〜12.50の範囲のpH(1)または0.51〜12.56の範囲のpH(4)につき記録した。(チオ)ホスホネート基のジアニオンおよびモノアニオン形態の31P NMRのケミカルシフトを測定したpHに対してプロットした。pKa値はすべてGraphPad Prismプログラム(GraphPad Software Inc., San Diego CA)を使用する非線形回帰分析および等式pH=pKa−log[(δ−δ)/(δ−δ)]により計算された;式中、δは変化するpHでの31P NMRのケミカルシフト、δおよびδは、それぞれ完全酸性または塩基性型における滴定群での31P NMRのケミカルシフトである。
【0232】
(薬理学)
(細胞培養およびトランスフェクション):
薬理学実験はHEK293細胞を用いて実施された。細胞の培養は、10%ウシ胎仔血清(foetal calf serum:FCS)および抗生剤(ペニシリンおよびストレプトマイシン、100U/mL最終)を補足したダルベッコ改変イーグル培地にて実施された。
【0233】
細胞は、他の文献に記載されているエレクトロポレーション(文献6)により、第III群mGlu受容体(mGlu4、mGlu6、mGlu7およびmGlu8)のラットクローンを一時的にトランスフェクトされ、それを96ウェルマイクロプレートに塗布した。アッセイ培地中に細胞が放出するグルタメートの影響を避けるために、高親和性グルタメートトランスポーターEAAC1をその受容体とともに同時にトランスフェクトされた。第III群mGluRは、アデニリルシクラーゼ経路を調節するGi/o−プロテインを自然に活性化するので、これらの受容体をキメラG−プロテインとともに同時にトランスフェクトした;キメラG−プロテインはこれらの受容体により認識され、ホスホリパーゼ−C経路に結びついて、受容体の活性化の後にイノシトールホスフェート(inositol phosphate:IP)を産生する(文献7)。そこで、IP産生を測定することにより受容体活性を定量した。
【0234】
細胞培養に使用された培地、FCSおよび他の産物は、GIBCO-BRL-Life Technologies, Inc. (Cergy Pontoise, France)から購入された。グルタメート ピルベート トランスアミナーゼ(glutamate-pyruvate transaminase:GPT)はRoche (Basel, スイス)から購入された。H−ミオイノシトール(16Ci/mmol)はAmersham (Saclay, フランス)から購入された。
【0235】
(機能的アッセイ)
イノシトールホスフェート定量実験は、96ウェルマイクロプレート中、すでに記載されているとおりに実施された(文献15)。簡単に説明すると、トランスフェクションの6時間後、細胞媒地を除去し、新たな培地と置き換えた。該新たな培地は、グルタミン酸を含まず、FCSを補足しておらず、H−ミオイノシトール含有する。細胞を、この培地で一晩インキュベートした。翌日、細胞をすすぎ、周辺のグルタメートをGPTの存在下にインキュベートして分解した。細胞をアゴニストにより30分間にわたり刺激し、次いで、培地を除き、細胞を、低温0.1Mギ酸と共に1時間にわたりインキュベートし、これにより細胞溶解が誘発された。受容体刺激後に産生されたH−IPを、Dowex樹脂(Biorad)を用いるイオン交換クロマトグラフィーにより回収した。樹脂により保持されたIPを4Mフォルメート溶液(pH4.4)によって溶出し、96ウェルサンプルプレートに集めた。次いで、サンプルを液体シンチレーター(Perkin Elmer)と混合した。細胞密度の差によるウエル間の可変性を最少とするために、各ウエル中の細胞量に比例する細胞膜に残存する放射活性を用いて、生成したIPを標準化した。細胞膜はTriton(登録商標)X100(Sigma)10%を含有するNaOH溶液(0.1M)で可溶化し、次いで、得られる溶液を96ウェルサンプルプレートに集め、液体シンチレーターと混合した。放射活性をWallac 1450 Microbetaシンチレーション 蛍光計数器(Perkin Elmer)により計測した。結果はIPとIP+細胞膜に相当する総放射活性との間の比として表わされる。すべての点は三重測定で実現された。用量−応答曲線は、GraphPad Prismプログラムおよび以下の等式:y=[(ymaxymin)/(1+(x/EC50)n)]+ymin(式中、EC50は最大半量効果を得るために必要な化合物濃度であり、nはヒル係数である)を用いて合致させられた。
【0236】
(以下の合成スキーム3〜5に従う式(I)の化合物の合成)
【0237】
【化61】

【0238】
【化62】

【0239】
【化63】

【0240】
(合成スキーム6に従う式(Iy)の化合物の合成)
【0241】
【化64】

【0242】
(式(Iz)の化合物の合成は、合成スキーム7〜8に従って調製され得る)
【0243】
【化65】

【0244】
【化66】

【0245】
(文献)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Mは、[C(R,R)]n1−C(E,COOR,N(H,Z))基、または置換されてもよいAr−CH(COOR,N(H,Z))基(Arはアリールまたはヘテロアリール基を示す)、または
【化2】

などのα,β−環状アミノ酸基、または
【化3】

などのβ,γ−環状アミノ酸基であり、
ここで、
・Rは、HまたはRであり、Rはヒドロキシまたはカルボキシ保護基、例えばC−Cアルキル、Ar(アリールまたはヘテロアリールである)であり;
・Zは、H、またはアミノ保護基R’、例えばC−Cアルキル、C−Cアシル、Boc、Fmoc、COOR、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、もしくはArに関して定義されたように置換されたベンジルであり;
・Eは、H、またはC1−C3アルキル、アリール;(CHn1−アルキルなどの疎水性基;ベンジル基などの(CHn1−アリール(またはヘテロアリール);またはキサンチル、アルキルキサンチルもしくはアルキルチオキサンチル基;または−(CHn1−シクロアルキル、−(CH−(CH−Ar);クロマニル基、特に4−メチルクロマニル;インダニル、テトラヒドロナフチル、特にメチル−テトラヒドロナフチルであるか、
または
Mは、OM’であり、ここで、M’はMについて上で定義したのと同じであり;
は、以下の群より選択され:
D−CH(R)−C−(R,R)−
(R11,R12)CH−C(R,R10)−
D−CH(OH)−
D−[C(R13,R14)]n3
C[(R15,R16,R17)]n4
D−CH
(R18)CH=C(R19)−
D−(Mn6−CO−
D−C(R,R’)−O−
D−O−
【化4】

PO(OH)−CHもしくは(PO(OH)−CH)、(COOH−CH)−CH−であり、
ここで、
− D=H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、SR、S(OR)、SOR、NO、ヘテロアリール、C−Cアルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、(CHn2−アルキル、(COOH,NH)−(CHu1−シクロプロピル−(CHu2−、CO−NH−アルキル、Ar、(CHn2−Ar、CO−NH−Arであり、ここで、Rは上記定義のとおりであり、Arは置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール基であり;
− RないしR19は、同一または異なって、H、OH、OR、(CHn2OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(x=0、1または2)、B(OH)
【化5】

NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルであり;
− R11またはR12の一方は、COOR、COOH、(CH)n−COOH、(CH)n−COOR、POであり、他方はRおよびR10について定義したと同様であり;
− R15、R16およびR17の一つは、COOHまたはCOORであり、他は同一または異なって、上記定義のとおりであり;
− R18およびR19の一方は、COOHまたはCOORであり、他方は上記定義のとおりであり;
− Mはアルキレンまたはアリーレン基であり;
− n1=1、2または3;
− n2=1、2または3;
− n3=0、1、2または3;および
− n4=1、2または3;
− n5=1、2または3;
− n6=0または1;
− u1およびu2(同一または異なって)=0、1または2であり、
Ar、およびアルキル基は同じ位置または異なる位置で1つ以上の置換基により置換されていてもよく、当該置換基は、OH、OR、(CHn1OH、(CHn1OR、COOH、COOR、(CHn1COOH、(CHn1COOR、C−Cアルキル、シクロアルキル、(CHn1−アルキル、アリール、(CHn1−アリール、ハロゲン、CF、SOH、(CHPO(x=0、1または2)、B(OH)
【化6】

NO、SONH、SONHR;SR、S(O)R、SOR、ベンジルからなる群より選択され、Rは上記の定義と同様である]
を有する、チオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項2】
式(II):
【化7】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項3】
DがArまたは置換Ar、取分け、1〜5個の置換基を有するフェニル基である、請求項2に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項4】
当該置換基がオルトおよび/またはメタおよび/またはパラ位にあり、OH、OR、(CHn2OH、(CHn2OR、COOH、COOR、(CHn2COOH、(CHn2COOR、C1−C3アルキルもしくはシクロアルキル、(CHn2−アルキル、アリール、(CHn2−アリール、ハロゲン、CF、SOH、PO、B(OH)アルキルアミノ、蛍光基(ダンシル)、3,5’−ジニトロベンゾイル、
【化8】

NO、SONH、SO(NH,R)、SR、S(O)R、SOR、OCF、ヘテロ環、Arに関して上に定義した置換基を有するヘテロアリールを含む群より選択される、請求項3に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項5】
式(III):
【化9】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項6】
11またはR12の一方がCOOHである、請求項5に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項7】
式(IV):
【化10】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項8】
Dが式(II)に関して請求項3または4で定義したのと同様である、請求項7に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項9】
式(V):
【化11】

[式中、置換基は上記定義のとおりであり、R13またはR14の一方はOHを表わす]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項10】
Dが式(II)に関して請求項3または4で定義したのと同様である、請求項9に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項11】
式(VI):
【化12】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項12】
第1群の鎖において、R15、R16またはR17の1つまたは2つがCOOHである、請求項11に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項13】
式(VII):
【化13】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項14】
式(II)に関して請求項3または4で定義したのと同様である、請求項13に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項15】
ないしR10、R11またはR12の一方、R13またはR14の一方、R15、R16もしくはR17の1つまたは2つが、H、C−Cアルキル、OH、NH、CFである、請求項2〜14に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項16】
式(VIII):
【化14】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項17】
18がCOOHである、請求項16に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項18】
19が、H、C−Cアルキル、OHである請求項16または17に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項19】
式(LIX):
【化15】

[式中、置換基は上記定義のとおりである]
を有する、請求項1に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項20】
n6=0またはn6=1のいずれかであり、Mが上記定義のアルキレンまたはアリーレン基である、請求項19に記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項21】
Mが[C(R,R)]n1−C(E,COOR,N(H,Z))基である、請求項1〜20のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項22】
MがAr基または置換アリーレン基、特に、C基または置換C基であり、該置換基が式(I)に関して上に定義したとおりである、請求項1〜20のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項23】
Mが環状アミノ酸基、特に、
【化16】

などのα,β−環状アミノ酸基、または
【化17】

などのβ,γ−環状アミノ酸基を含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項24】
式(I):
【化18】

[式中、該置換基は請求項1〜23のいずれか1つに定義されたとおりである]
のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の調製方法であって、
− 方法(A)により、
a1)式(IX):
【化19】

の誘導体を、塩化トリメチルシリル(TMSCl)およびトリエチルアミン(EtN)、またはN,O−(ビストリエチルシリル)アセトアミド(BSA)のいずれかにより処理する工程;
a2)この反応生成物に、それぞれ以下を有する誘導体の1種を加える工程;
式(X):D−C(R)=C(R,R)、または
式(XI):(R11,R12)C=C(R,R10
式(XII):
【化20】

(n=1または2)
式(XIII):D−CH(=O)
式(XIV):D−[C(R13,R14)]n3−Br
式(XV):[C(R15,R16,R17)]n4−Br
式(XVI):D−I
式(XVII):(R18)C≡C(R19);
a3)P=O部分をP=Sに置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスホン酸を保護した後にローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程;
a4)2工程での加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃で脱保護する工程を含む加水分解を実施する工程;
a5)反応生成物を酸性条件下で、または触媒で処理して最終所望生成物を得る工程;
a6)ジアステレオマーまたはエナンチオマーを回収する工程;
a7)所望により、ジアステレオマー(得られる場合)をエナンチオマーに分離する工程;
を含み;
− 方法(B)により、
b1)式(XVIII):
(R”SiO)−P−H (XVIII)
[式中、R”はC−Cアルキルである]
の誘導体を、式(X):
D−C(R)=C(R,R) (X)
の誘導体、または式(XI):
(R11,R12)C=C(R,R10) (XI)
[式中、RまたはR10の1つはCOOalkであり、alkはC−Cアルキルである]
の誘導体のいずれかにより処理する工程;
b2)該縮合生成物を、式(XIX):
Br−[C(R,R)]n1−Br (XIX)
のジブロモ誘導体と共に、還流条件下に処理し、HC(Oalk)(式中、alkはC−Cアルキルである)を加える工程;
b3)該縮合生成物を、式(XX):
NH(Z)−CH(COR) (XX)
の誘導体と共に、KCO、BuONBrの存在下、還流条件下に処理する工程;
b4)P=O部分をP=Sに置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスホン酸を保護した後にローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程;
b5)2工程での加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃での脱保護を含む加水分解を実施する工程;
b6)縮合生成物を酸性条件下で、または触媒で処理して最終所望生成物を得る工程;
b7)ジアステレオマーまたはエナンチオマー体を回収する工程;および
b8)所望により、ジアステレオマー(得られる場合)をエナンチオマーに分離する工程;
を含み;
− あるいは、工程b1)で得られる反応生成物は、工程b2i)に従って式(XXI):
[(R,R)C]n1=C(COOR,NH(Z)) (XXI)
の誘導体と反応させられ;
工程b3i)により、反応生成物を酸性条件下に処理して、最終所望生成物を得;
− 方法(C)により、
c1)工程a1)に定義したように、式(XXII):
【化21】

[式中、Arは上記定義のとおりであり、好ましくは置換基されてもよいC基であり;TはC−Cアルキルを表わす]
の誘導体を反応させる工程;
c2)式(X)〜(XVII)の誘導体の1種を用いて工程a2)の反応を実施する工程;
c3)反応生成物をNBS、AIBNにより処理して、T’−Br(T‘=CH)によって置換されたArをもつブロモ誘導体とする工程;
c4)このように得られたブロモ誘導体を有機溶媒中、(CH)と反応させ、次いでAcOH/HOと反応させて、−C=Oによって置換されたArを有するセトン誘導体を得る工程;
c5)該セトン誘導体をKCN、NHClおよびNHOHで処理し、−C(CN,NH)によって置換されたArを有するアミノシアノ誘導体を得る工程;
c6)P=O部分をP=S部分に置換する工程であって、ヒドロキシメチル基(存在する場合)およびホスホン酸を保護した後に、ローソン試薬またはPSClの使用により硫黄原子を導入することによる、工程;
c7)2工程での加水分解、すなわち、1)エステルのLiOHまたはKOHによる加水分解;2)酸性条件下、60〜80℃での脱保護を含む加水分解を実施する工程;
c8)酸性条件下に処理して、−C(COOR,NH)によって置換されたArを有する誘導体を得る工程;および
c9)触媒で処理して、最終所望生成物を得る工程;
を含み;
− 方法(D)により、式(Iy):
【化22】

[式中、QはD−C(R,R’)−またはD−である]
の化合物の調製のために;
d1)式(IX)の誘導体をN,O−(ビス−トリエチルシリル)アセトアミド(BSA)および硫黄粉末で処理する工程;
d2)1N HClで加水分解して、チオホスホネート(Ix)を得る工程;
d3)DMF中、チオホスホネート(Ix)をEDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド)、アルコールQOHと反応させるか、またはチオホネート(Ix)をSOClと0℃で反応させ、次いで1当量のアルコールQOHと反応させる工程;
d4)該反応生成物を酸性条件下、または触媒により、またはC7として処理し、最終所望生成物(Iy)を得る工程;
を含み;
− 方法(E)により、式(Iz):
【化23】

のチオホスホネートの調製のために:
e1)Z−保護セリンメチルエステル O−ホスフェート(Z−Ser−(OMe)−O−ホスフェート)または同族体(例えば、ホモセリン)を、(Ix)のd3)(ジエステル化)のように、次いで、a3)およびa4)に記載されたように処理する工程;または
e2)または次亜リン酸HPOをb1)のように処理し、次いで、その縮合生成物をd1)のように反応させ、M’=Hの(Iz)を得て、次いで、これをZ−保護セリンメチルエステル(Z−Ser−(OMe)−OH)または相同体とd3)およびd4)のように反応させる工程;
を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
− 好適な実施態様に従う方法(A)において、
式(X):
D−CH(R)=C(R,R) (X)
の誘導体を式(IX)の誘導体とともに使用し、工程a2)において、式(XXIII):
【化24】

の中間誘導体、工程a5)において式(XXIV):
【化25】

の最終生成物を得る;
式(XI):
(R11,R12)C=C(R,R10) (XI)
または式(XII)
【化26】

の誘導体を使用して、工程a2)において、式(XXV):
【化27】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXVI):
【化28】

の最終生成物を得る;
式(XIII):
D−CH(=O) (XIII)
の誘導体を使用して、工程a2)において、式(XXVII):
【化29】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXVIII):
【化30】

の最終生成物を得る;
式(XIV):
D−[C(R13,R14)]n3− Br (XIV)
の誘導体を使用して、工程a2)において、式(XXIX):
【化31】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXX):
【化32】

の最終生成物を得る;
式(XV):
[C(R15,R16,R17)]n4−Br (XV)
の誘導体を使用して、工程a3)において、式(XXXI):
【化33】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXXII):
【化34】

の最終生成物を得る;
式(XVI):
D−I (XVI)
の誘導体を使用して、工程a2)において、式(XXXIII):
【化35】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXXIV):
【化36】

の最終生成物を得る;
式(XVII):
(R18)C≡C(R19) (XVII)
の誘導体を使用して、工程a2)において、式(XXXV):
【化37】

の中間誘導体、工程a5)において、式(XXXVI):
【化38】

の最終生成物を得る;
式(LIX):
【化39】

[式中、MはMに関して上に定義したと同様である]
の誘導体を使用し、酸化して、式(LXI):
【化40】

の生成物を得る、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、
方法(B)において、
式(XVIII)の誘導体とともに、式(X):
D−CH(R)−C(R,R) (X)
の誘導体を使用し、工程b1)において、式(XXXVII):
D−CH(R)−C(R,R)−P(OSiR”) (XXXVII)
の中間誘導体、工程b2)において、式(XXXVIII):
【化41】

の中間誘導体、工程b5)において、式(XXXIX):
【化42】

の中間誘導体、工程b6)において、式(XXXX):
【化43】

の最終生成物を得る;
式(XVIII)の誘導体とともに、式(XI):
(R11,R12)C=C(R,R10) (XI)
の誘導体を使用して、工程b1)において、式(XXXXI):
(R11,R12)CH−C(R,R10)−P−(OSiR”) (XXXXI)
の中間誘導体、工程b2)において、式(XXXXII):
【化44】

の中間誘導体、工程b5)において、式(XXXXIII):
【化45】

の中間誘導体、工程b6)において、式(XXXXIV):
【化46】

の最終生成物を得ること;あるいは、
工程b1)により得られた式(XXXXI)の誘導体が、式(XXXXV):
(R,R)Cn1=C(COOR,NH(Z) (XXXXV)
の誘導体と反応させられ、式(XXXXVI):
【化47】

の中間誘導体を得て、OH−基は次いで保護され、P=O部分はP=S部分に置換され、これを酸性条件下に処理して、式(XXXXVII):
【化48】

の最終生成物を得る、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、
方法(C)において、式(XXII):
【化49】

の誘導体を、
式(X):D−C(R)=C(R,R)、または
式(XI):(R11,R12)C=C(R,R10
式(XII):
【化50】

式(XIII):D−CH(=O)
式(XIV):D−[C(R13,R14)]n3−Br
式(XV):[C(R15,R16,R17)]n4−Br
式(XVI):D−I
式(XVII):(R18)C≡C(R19
の誘導体と共に用いて、それぞれ、式(XXXXVIII)ないし(LIV):
【化51】

【化52】

を有する中間誘導体を得る、方法。
【請求項28】
請求項24または25に記載の方法であって、
方法(A)において、式(IX):
【化53】

の誘導体が、有利には、式(LV):
【化54】

のチオホスフィン(チオホスホン)酸を、式(LVI):
(R,Rn1C=CH−C(E,COOR,NH(Z)) (LVI)
の誘導体、好ましくはEがHではないZ−ビニル−glyOMeまたはその誘導体と反応させることによって得られ、反応は、有利には、AIBNの存在下に、50〜100℃、好ましくは少なくとも80℃に加熱することによって行われる、方法。
【請求項29】
請求項24または26に記載の方法であって、
方法(B)において、式(XVIII):
(R”SiO)−P−H (XVIII)
の誘導体は、式(LVII):
【化55】

のチオホスフィン(チオホスホン)酸アンモニウム塩を、式(LVIII):
(alkSi)−NH (LVIII)
のヘキサメチルジシラザンと反応させることにより得られ、該反応は、不活性ガス下に、100℃超、好ましくは約120℃に加熱することによって行われるか、または、
次亜リン酸をN,O−(ビス−トリエチルシリル)アセトアミド(BSA)と室温で反応させることにより得られる、方法。
【請求項30】
請求項24または27に記載の方法であって、
方法(C)において、式(XXII):
【化56】

の誘導体は、有利には、HPO、Ar−NH、Ar−Brおよび触媒Pd(0)Ln(Ln=n個のリガンド)の混合物を反応させることにより得られる、方法。
【請求項31】
請求項24〜30のいずれか1つに記載の方法における中間体であるチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体。
【請求項32】
請求項1〜23のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の少なくとも1種の有効量を薬剤的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項33】
錠剤、丸剤またはカプセル剤などの経口ルートによる投与に適する形態である請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
服用単位あたり1〜100mgの有効成分を含む、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
静脈内、皮下または筋肉内ルート用の注射液など、注射による投与に適する形態である請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
服用単位あたり1〜30mgの有効成分を含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
痙攣、疼痛、薬物依存症、不安障害および神経変性疾患を治療するための、請求項32〜36のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項38】
脳障害の治療用の薬物を調製するための、請求項1〜23のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の少なくとも1種の使用。
【請求項39】
脳障害の治療方法であって、請求項1〜23のいずれか1つに記載のチオホスフィン(チオホスホン)酸誘導体の有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−535193(P2010−535193A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518779(P2010−518779)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002990
【国際公開番号】WO2009/016520
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】