説明

チップカードのコンタクト層の製造方法

【課題】チップカードのコンタクト層を簡素な方法で製造する。
【解決手段】互いに対向している第1表面および第2表面を有する薄板を設ける工程と、該薄板に、該第1表面から該第2表面へ達する絶縁溝を少なくとも1つ形成する工程と、クラスター層を該第1表面へ設ける工程と、該クラスター層を該第1表面へ設ける工程後、該第2表面を担体へ接続させる工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、チップカード(ICカード)のコンタクト層の製造方法に関するものである。
【0002】
チップカードは、従来から知られており、ますます使用されている。例えば、テレフォンカードおよびIDカード(身分証明書)等に用いられている。このようなチップカードの寸法および技術的な詳細を規定した規格がある。この規格は、例えばISO7810およびISO7816である。
【0003】
チップカードは、現在では、非接触型チップカードと、接触型チップカードと、非接触型チップカードおよび接触型チップカードの双方の機能を有する併用型チップカードとの3つのカテゴリーに分類できる。接触型チップカードおよび併用型チップカードは、上述の規格に基づいて接点が設けられているコンタクト層を備えている。上記接点は、上記チップカード内の集積回路へ接続されている。上記チップカード上の複数のコンタクト域の配置は、上記規格によって規定されている。上記コンタクト層は、現在では、例えば金、NiPdAg、または同様な物質で製造される、適切な金属性の表面を有している。個々のコンタクト域は、チャネルが分離されることによって、互いに絶縁した状態で分離されている。
【0004】
チップカードの重要性が高まるのと同じく、上記カードの取り扱いの妨げへの関心が高まっている。
【0005】
WO2004/109591では、例えば、複数のコンタクト域を有する担体(carrier)を備えたチップカードモジュールが開示されている。上記担体上の上記コンタクト域に対向して、接続接点を有する集積回路を備えた半導体チップが配置されている。上記接続接点は、上記チップの一表面上に設けられている。上記接続接点は、電気的に導電性の状態で、関連するコンタクト域に接続されている。上記コンタクト域は、第1導電層および第2導電層を備え、金属の塊を有するクラスター素子が上記第2導電層に埋め込まれている。これらクラスター素子のランダムな配置は、チップカードを個別に設定することを可能にしている。また、上記クラスター素子により、重要な物理的な特性の検出および記憶を可能にしている。また、上記カードにモジュールが導入される以前に、認証することを可能としている。
【0006】
なお、他の従来技術としては、DE10325564およびDE19630049がある。
【0007】
本発明の目的は、個々に設定する、および認証する特性を有するチップカードのコンタクト域のできる限り簡素な製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明によれば、上記目的は、独立請求項1に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0009】
クラスター層は、クラスター素子によって形成される層であることが明確である。
【0010】
本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法は、互いに対向している第1表面および第2表面を有する薄板を設ける工程と、上記薄板に、上記第1表面から上記第2表面へ達する絶縁溝を少なくとも1つ形成する工程と、クラスター層を上記第1表面へ設ける工程と、上記クラスター層を上記第1表面へ設ける工程後、上記第2表面を担体へ接続させる工程とを有する。
【0011】
本発明の中心概念は、上記薄板を担体(carrier element)に接続する前に、上記薄板にクラスター層を設けることである。これは、上記クラスター層が、その蒸着の間に、上記担体上に形成されるのを回避できる。この結果、上記絶縁溝を埋めるのを回避できる。これにより、コンタクト層の個々のコンタクト域が、短絡される。
【0012】
本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の有利な実施形態は、独立請求項に記載の特徴から明らかとなる。
【0013】
本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の第1の実施形態は、上記薄板が電気的に導電性であることである。これは、上記コンタクト層とチップとの電気接続を殊更簡素にすることを可能とする。なぜなら、上記薄板は、電気線の一部として使用されるからである。例えば、上記薄板としては、銅のリードフレームが用いられる。
【0014】
本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の他の実施形態は、光学的に鏡面仕上げがなされている。これにより、入射光線が、上記クラスター層のクラスター素子および上記薄板の上記第1表面にて反射される。この反射は、上記チップカードの仕上がりを認証するための独自の光学的な検出特徴となる。
【0015】
一実施例では、上記薄板は、スタンピングによって形成される。これは、上記薄板の迅速な形成、優れたコスト対効果、および信頼性を確保することを可能にする。
【0016】
本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の他の実施形態は、上記クラスター層を上記第1表面へ設ける工程前に、上記第1表面へミラー層を設ける工程を有することである。例えば銅等の物質の表面は、かなり低いミラー特性を有している。それゆえ、上記薄板として使用される。加えて、上記追加のミラー層は、全構成の安定効果を有している。例えば、ニッケルが、上記ミラー層の材料として適切である。
【0017】
一実施例では、上記クラスター層は、スパッタリングによって形成される。これにより、上記クラスター層は、迅速に生成でき、コスト対効果が優れたものとなる。
【0018】
以下、本発明について、図を用いて具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【0020】
図1(a)は、上記製造方法の一実施形態の第1工程を示している。スタンピングプレス機1は、降下してスタンピングすることによって、リードフレーム3に絶縁溝2を形成する。絶縁溝2は、コンタクト層の個々のコンタクト域3´を電気的に絶縁するために必要である。リードフレーム3は、例えば銅またはCuSn6等の電気的に導電性の金属から製造される。しかしながら、これに限られるわけではなく、他の材料を使用して製造することも可能である。
【0021】
図1(b)は、上記製造方法の他の工程を示している。ここでは、電気的に導電性のミラー層5が、絶縁溝2が形成されたリードフレーム3の第1表面4に形成される。ミラー層5は、例えばニッケル/金を含んでいる。その蒸着は、例えば電気鍍金によって行われる。しかしながら、これに限られるわけではなく、他の適切な蒸着方法を使用することも可能である。
【0022】
加えて、接続接点6が、リードフレーム3の第2表面4´の規定された位置に取り付けられる。この接続接点6の取り付け動作は、電気鍍金によって、ミラー層5の形成と同時に行われる。接続接点6は、コンタクト層のコンタクト域3´と半導体チップとの間で後に取り付けられる配線のためのコンタクト域3´として設けられる。
【0023】
図1(c)は、上記製造方法の次の工程を示しており、クラスター層7が、ミラー層5に形成される。この形成は、例えばスパッタリングによって行われる。ここで、絶縁層2は、埋まらず、開いた状態を保っている。
【0024】
図1(d)は、上記製造方法の次の工程を示しており、ミラー層5が形成され、その後クラスター層7が形成されたリードフレーム3が、担体8に接続される。担体8は、例えばエポキシ物質を含んでいる。その接続は、例えば、リードフレーム3の第2表面4´を担体8へ積層することによって行われる。
【0025】
担体8は、穴9を有している。リードフレーム3は、接続接点6を穴9にはめ込むことで、担体8と位置が合わせられる。半導体チップ(不図示)は、穴9を介して、ワイヤによって、担体8の後部に接する接続接点6に接続される。
【0026】
また、リードフレーム3と担体8の後部の半導体チップ(不図示)との電気接続を構築するために、導電性の材料を用いて鍍金によって穴9を埋め込む構成とすることも可能である。
【0027】
〔符号の説明〕
1 スタンピングプレス機
2 絶縁溝
3 リードフレーム
3´ コンタクト域
4 第1表面
4´ 第2表面
5 ミラー層
6 接続接点
7 クラスター層
8 担体
9 穴
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るチップカードのコンタクト層の製造方法の一実施形態を説明するための図であり、(a)〜(d)は、上記製造方法の各工程を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している第1表面(4)および第2表面(4´)を有する薄板(3)を設ける工程と、
上記薄板(3)に、上記第1表面(4)から上記第2表面(4´)へ達する絶縁溝(2)を少なくとも1つ形成する工程と、
クラスター層(7)を上記第1表面(4)へ設ける工程と、
上記クラスター層(7)を上記第1表面(4)へ設ける工程後、上記第2表面(4´)を担体(8)へ接続させる工程とを有することを特徴とするチップカードのコンタクト層の製造方法。
【請求項2】
上記薄板(3)は、電気的に導電性であることを特徴とする請求項1に記載のチップカードのコンタクト層の製造方法。
【請求項3】
上記第1表面(4)は、光学的に鏡面仕上げがなされていることを特徴とする請求項1または2に記載のチップカードのコンタクト層の製造方法。
【請求項4】
上記薄板(3)は、スタンピングによって形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチップカードのコンタクト層の製造方法。
【請求項5】
上記クラスター層(7)を上記第1表面(4)へ設ける工程前に、上記第1表面(4)へミラー層(5)を設ける工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチップカードのコンタクト層の製造方法。
【請求項6】
上記クラスター層(7)は、スパッタリングによって形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップカードのコンタクト層の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−141237(P2007−141237A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306695(P2006−306695)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】