説明

チャック装置

【課題】被挟持物を安定して挟持できるチャック装置を提供する。
【解決手段】ロボットハンドに取り付けられるチャック装置は、金属で形成される金属フィンガー41aと樹脂で形成される樹脂フィンガー41bとを有するフィンガー部40を備えている。よって、フィンガー部40でワーク91を挟持する場合、金属フィンガー41aは変形しないのに対して、樹脂フィンガー41bは挟持力によって弾性的に曲がる部分BNが生じる。このように樹脂フィンガー41bが弾性変形することによりワーク91をソフトに挟持できるため、金属同士のフィンガーでワークを挟持する場合のようにフィンガーとワークとが点接触とならず、ワーク(被挟持物)を安定して挟持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被挟持物を挟持可能な一対の挟持体を備えたチャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多点数の部品から構成される組立体を自動的に組み立てる産業用ロボットにおいては、ロボットハンドの先端にチャック装置を設け、このチャック装置における一対の金属製フィンガーでワーク(被挟持物)を挟持して組み付け作業等が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−276193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のチャック装置における各フィンガーは金属製であるため、ワークを安定して挟持することが困難な場合がある。例えば、図12(a)に示すように金属製のフィンガー90に一定の硬度を有するワーク91が挟持された場合には、各フィンガー90とワーク91との接触箇所が点接触となって、図12(b)のようにワーク91が予期せぬ方向Rtに廻ってしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被挟持物を安定して挟持できるチャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、チャック装置であって、被挟持物を挟持可能な一対の挟持体を備え、前記一対の挟持体は、樹脂で形成される第1の挟持体と、金属で形成される第2の挟持体とで構成されている。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るチャック装置において、前記第1の挟持体と前記第2の挟持体との間隔を所定の方向に変更可能な変更手段と、前記一対の挟持体による被挟持物の挟持状態を検出する挟持状態検出手段とをさらに備えるとともに、前記変更手段により、前記一対の挟持体は、前記被挟持物を挟持する挟持位置を経由して互いに最も離間する全開位置と互いに最も接近する全閉位置との間で移動可能となっており、前記挟持状態検出手段は、前記第1の挟持体に前記所定の方向における所定範囲内で移動自在として設けられ、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記所定の方向に第1の離間距離を確保しつつ前記第2の挟持体側に対向する第1の電極部材と、導電性を有し、前記第1の挟持体に設けられる連結電極と、前記第2の挟持体に設けられ、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記所定の方向に前記第1の離間距離よりも短い第2の離間距離を確保しつつ前記連結電極に対向するとともに、導電性を有し、前記第1の離間距離と前記第2の離間距離との差よりも長い範囲で前記所定の方向に弾性変形する第2の電極部材と、前記第1の電極部材を前記所定の方向における前記第2の挟持体側に向けて付勢する弾性部材とを有するとともに、前記第1の電極部材の一部に設けられる接続電極は、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記弾性部材により前記連結電極に圧接され、前記第1の離間距離は前記全開位置から前記挟持位置までの挟持体の移動距離よりも長く前記全開位置から前記全閉位置までの挟持体の移動距離よりも短いとともに、前記第2の離間距離は前記全開位置から前記挟持位置までの挟持体の移動距離よりも短い。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るチャック装置において、前記チャック装置は、産業用ロボットの腕に着脱自在なロボットハンドに設けられている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1ないし請求項3の発明によれば、一対の挟持体が樹脂で形成される第1の挟持体と金属で形成される第2の挟持体とで構成されているため、被挟持物を安定して挟持できる。
【0010】
特に、請求項2の発明においては、第1の電極部材と連結電極とが樹脂で形成される第1の挟持体に設けられているため、第1の電極部材と連結電極との絶縁状態を確保するために必要な絶縁部材が不要となり、挟持状態検出手段を簡素化できる。
【0011】
また、請求項3の発明においては、チャック装置が産業用ロボットの腕に着脱自在なロボットハンドに設けられているため、ロボットハンドで挟持されたワークを移送する際にワークが落下して当該ワークや他の機器に損傷を与えることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<ロボットの要部構成>
図1は、本発明の実施形態に係るチャック部4を備えたロボット1の要部構成を示す外観図である。
【0013】
産業用ロボットであるロボット1は、鉛直軸まわりの3つの旋回自由度の間に、水平軸まわりの3つの回動自由度をアーム結合した6自由度の垂直多関節ロボットとして構成されている。そして、ロボット1では、部品などのワークを把持して水平方向にそのワークを組み付ける作業を行うことも可能で、上下方向にワークを組み付ける作業も可能となっている。
【0014】
ロボット1のアーム(腕)2は、その先端にロボットハンド3を着脱可能な着脱部21が設けられている。この着脱部21と、着脱部21に連結するための特定の構造を有するロボットハンド3の連結部31との着脱動作について、図2を参照して説明する。ここで、図2(a)は、着脱部21に連結部31が結合されていない状態を示し、図2(b)は、結合されている状態を示している。
【0015】
アーム2の先端の着脱部21は、その中心軸に沿って突出した短尺の円筒形とされた突出部22を有しており、この突出部22の側面の複数箇所に形成された円形孔のそれぞれの内部に、この円形孔よりも若干大きな径を持つ可動球23が収容されている。円筒突出部22の内部にはアーム2内を通して圧縮空気が供給されるようになっており、その圧縮空気の供給のON/OFFによって、可動球23が円筒突出部22の側面から出没できるようになっている。
【0016】
一方、ロボットハンド3の連結部31に設けた着脱孔31Hは、その出口付近が狭まるような逆テーパの傾斜面31aを有する構造となっており、その開口径が、アーム2側の突出部22の外径と適合している。
【0017】
そして、図2(a)に示す非結合状態では、可動球23は突起部22の内部に収容されている。ところが、図2(b)に示す結合状態では、圧縮空気の供給によって可動球23を移動させて可動球23の一部を突起部22の外部に突出させることにより、着脱孔31Hの傾斜部31aに可動球23が係合する。これによって、アーム2とロボットハンド3とが連結されることとなる。以上の動作により、組立作業に必要なロボットハンド3の交換が容易となる。また、圧縮空気の供給を停止すると可動球23への付勢力は消失し、アーム2を引き抜くことによってロボットハンド3をその自重で取り外すことができる。
【0018】
図3は、ロボットハンド3の要部構成を示す外観図である。
【0019】
ロボットハンド3には、上述のように短尺の円筒形状を有する連結部31と、連結部31に接続するハンド本体部(以下では単に「本体部」とも称する)32と、本体部32に接続する4つのチャック部(チャック装置)4とが設けられている。これらの連結部31と本体部32とは樹脂で形成されているが、これらの部位を一体的に形成するようにしても良い。
【0020】
本体部32からは、チャック部4が4方向に伸びており、チャック部4は、2つのフィンガー部40を有している。
【0021】
フィンガー部40は、一対の挟持体として働く一対のフィンガー41を備えている。そして、一対のフィンガー41は、金属で形成されるフィンガー(以下では「金属フィンガー」と略称する)41aと、樹脂で形成されるフィンガー(以下では「樹脂フィンガー」と略称する)41bとで構成されている。
【0022】
連結部31および本体部32の内部には、エアー駆動するチャック部4に圧縮空気(駆動エアー)を供給するための管路が形成されている。ここで、連結部31および本体部32は加工性に優れる樹脂で形成されているため、これらの内部に管路を設けるのは容易である。以下では、これらの管路について詳しく説明する。
【0023】
図4は、図3のIV−IV位置から見た連結部31および本体部32の断面を示す図である。
【0024】
連結部31および本体部32に設けられる管路33は、着脱部21に接続する連結部31の端面31eからチャック部4に通じる駆動エアーの流路として形成されている。
【0025】
このような構成の管路33により、アーム2内を通して送られる圧縮空気を管路33の入口30aに供給すれば、管路33を通って出口30bからチャック部4内に圧縮空気を送れることとなる。これにより、ロボットハンド3の外部に駆動エアーの配管を設けることなく、チャック部4における一対のフィンガー41を閉方向に駆動して被挟持物であるワークを挟持することが可能となる。
【0026】
以上のように連結部31および本体部32の内部に駆動エアーの管路33を設けることにより、チャック部4に駆動エアーを供給する配管などが不要となってロボット1の動作範囲の拡大が図れる。
【0027】
<チャック部4の構成>
図5は、チャック部4の構成を示す外観図である。また、図6は、図5の矢印Dvから見たフィンガー部40付近の側面を示す図である。
【0028】
チャック部4には、一対のフィンガー41によるワークの挟持状態を検出する挟持状態検出部SNが設けられている。この挟持状態検出部SNの構成および動作について以下で詳しく説明する。
【0029】
チャック部4は、上記の管路33(図4)を通って供給される圧縮空気によって、金属フィンガー(第2の挟持体)41aが取付けられた移動部材DRaと樹脂フィンガー(第1の挟持体)41bが取付けられた移動部材DRbとを駆動することにより、各フィンガー41の間隔を移動方向(以下では単に「方向」ともいう)Dfに変更可能な移動機構(移動手段)DRを備えている。この移動機構DRにより、一対のフィンガー41は、ワークを挟持する挟持位置を経由して互いに最も離間する全開位置と互いに最も接近する全閉位置との間で移動可能となる。
【0030】
フィンガー部40における金属フィンガー41aには、支持部材としての絶縁部材42を介して、当接部材43と、導電性を有する電極部材(第2の電極部材)44とが取り付けられている。一方、樹脂フィンガー41bには、電極部材(第1の電極部材)45および連結電極46が取り付けられている。ここで、樹脂フィンガー41bは、絶縁体として働く樹脂で形成されているため、電極部材45と連結電極46との絶縁状態を確保するために必要な絶縁部材(金属フィンガー41aに関する絶縁部材42のような部材)が不要となり、挟持状態検出部SNに設ける必要がなくなり、挟持状態検出部SNを簡素化できる。
【0031】
絶縁部材42には、2つのネジ孔42a、42bが方向Dfと平行に形成されている。当接部材43は、ネジ孔42aに絶縁部材42の外側から螺合している。また、当接部材43には、絶縁部材42の外側に露出した部分に、ネジ孔42aに螺合した当接部材43の絶縁部材42の内側に突出する長さを規定するためのロックナット51が螺合している。
【0032】
電極部材44は、ネジ部が形成された本体44aの一端から可動ピン44bを本体44aの軸方向に突出する方向に付勢する構造を有しており、よって方向Dfに弾性変形が可能である。また、電極部材44は、ネジ孔42bに対して絶縁部材42の外側から螺合するとともに、電極部材44において絶縁部材42の外側に露出した部分には、ネジ孔42bに螺合した電極部材44の絶縁部材42の内側に突出する長さを規定するためのロックナット52が螺合している。
【0033】
樹脂フィンガー41bには、孔50aおよびネジ孔50bが方向Dfと平行に形成されている。孔50aには電極部材45の軸部45aが樹脂フィンガー41bの外側から貫通している。すなわち、電極部材45は方向Dfにおける所定範囲内で移動自在として樹脂フィンガー41bに設けられている。
【0034】
電極部材45の軸部45aにおいて樹脂フィンガー41bの内側に露出した部分には、電極部材45を方向Dfにおける金属フィンガー41a側に向けて付勢するコイルスプリング(弾性部材)53が外嵌している。このコイルスプリング53の一端は例えば樹脂フィンガー41b内の位置Psに固定されるとともに、他端は電極部材45の軸部45aに設けられたEリング54に当接している。一方、電極部材45の他端側には、電極部材45の一部として軸部45aに導電性を有するフランジ状の接続電極45bが設けられている。
【0035】
連結電極46は、導電性を有しており、ネジ部46aと頭部46bとからなっている。そして、連結電極46は、樹脂フィンガー41bの外側から螺合している。図6に示すようにフィンガー41が全開位置にある状態では、連結電極46の頭部46bに電極部材45の接続電極45bが圧接するが、これはコイルスプリング53の弾性力によって電極部材45が金属フィンガー41aの方向に向かって付勢されるためである。
【0036】
樹脂フィンガー41bの孔50aおよび絶縁部材42の孔42aは、方向Dfに関する同軸上に形成されている。したがって、樹脂フィンガー41bに支持された電極部材45の端面は、絶縁部材42に支持された当接部材43の端面に方向Dfに関して対向することとなる。一方、樹脂フィンガー41bに支持された連結電極46の端面も、絶縁部材42に支持された電極部材44の可動ピン44bの端面に方向Dfに関して対向している。
【0037】
図6に示すようにフィンガー41が全開位置にある状態では、電極部材45と金属フィンガー41a側の当接部材43とは方向Dfに一定の間隔(第1の離間距離)L1が確保されている。一方、電極部材44と連結電極46とは方向Dfに一定の間隔(第2の離間距離)L2が確保されている。よって、フィンガー41の全開位置では、電極部材44と電極部材45との間の導通はないこととなる。
【0038】
また、第1の間隔L1は第2の間隔L2よりも長いとともに、電極部材44における可動ピン44bの方向Dfの弾性変形量は、第1の間隔L1と第2の間隔L2との差よりも長くなっている。さらに、各フィンガー41の全開位置から挟持位置(ワークを適正に挟持する位置)までの移動距離の和は、第1の間隔L1よりも短く第2の間隔L2よりも長くなっているとともに、各フィンガー41の全開位置から全閉位置までの移動量の和は、第1の間隔L1よりも長くなっている。
【0039】
図7は、フィンガー41が挟持位置にある状態を示す図である。
【0040】
金属フィンガー41aと樹脂フィンガー41bとの間にワーク9が適正な姿勢で存在する場合において、移動機構DRにより図6に示す全開位置から各フィンガー41を閉方向に移動させると、図7に示すように両フィンガー41の間にワーク9が適正な状態で挟持されるとともに、各フィンガー41は挟持位置において停止する。
【0041】
このようなワーク9の挟持時には、当接部材43と電極部材45とは接触せず一定の間隔Gaが保持されるものの、連結電極46は電極部材44の可動ピン44bに当接して可動ピン44bが本体44a内に押し込まれる。
【0042】
以上のように、挟持位置にある一対のフィンガー41によってワーク9が適正に挟持されている状態では、電極部材44と電極部材45とは連結電極46を介して導通することとなる。
【0043】
図8は、フィンガー41が全閉位置にある状態を示す図である。
【0044】
金属フィンガー41aと樹脂フィンガー41bとの間にワークが存在しない場合において、移動機構DRにより図6に示す全開位置から各フィンガー41を閉方向に移動させると、フィンガー41は全閉位置に達する。
【0045】
このようなフィンガー41の全閉時には、図8に示すように連結電極46が電極部材44の可動ピン44bに当接するとともに、当接部材43が電極部材45に当接して電極部材45を押圧する。これにより、電極部材45はコイルスプリング53の付勢力に抗して樹脂フィンガー41bの外側方向に移動するため、電極部材45の接続電極45bは連結電極46の頭部46bと接触しなくなり、一定の間隔Gbが生じることとなる。
【0046】
以上のように、一対のフィンガー41がワークを挟持できずに全閉位置に移動した状態では、電極部材44と電極部材45とは連結電極46を介して導通しないこととなる。
【0047】
以上で説明した挟持状態検出部SNの構成および動作により、電極部材44と電極部材45との間の導通の有無を判断するだけで、ワーク9がフィンガー41に適切に挟持されているか否かの検出が可能となる。この挟持状態検出部SNにおいては、樹脂フィンガー41bが絶縁性を有する樹脂で形成されているため、上述のように電極部材45と連結部材46との絶縁確保に必要な絶縁部材が不要となり、挟持状態検出部SNの構成を簡素化できる。
【0048】
また、チャック部4では、一対のフィンガー41において一方を金属製の金属フィンガー41aとし他方を一定の弾性を有する樹脂製の樹脂フィンガー41bとしているため、ワークを安定して挟持できることとなる。これについて以下で詳しく説明する。
【0049】
図9は、フィンガー部40によるワーク91の挟持を説明するための図である。
【0050】
一定の硬度を有するワーク91をフィンガー部40で挟持する場合、図9(a)のように樹脂フィンガー41bでは移動機構DRによる挟持力(把持力)によって弾性的に曲がる部分BNが生じる。このように樹脂フィンガー41bが弾性変形することによりワーク91を比較的ソフトに挟持できるため、図12(b)のようにフィンガー90とワーク91とが点接触となってワーク91が回転する事態を防止して、安定したワークの挟持が可能となる(図9(b))。
【0051】
なお、ワークに対する一層ソフトな挟持を図るためには、フィンガー部40における両方のフィンガー41を樹脂で形成することも考えられる。しかし、この場合には両方のフィンガーが変形してワークに対する挟持力が低下するため、逆に安定した挟持が困難となる。
【0052】
以上で説明したようにチャック部4のフィンガー部40では、一方のフィンガーを金属製とし他方のフィンガーを樹脂製としているため、樹脂フィンガーによる軽量化が図れるとともに、ワークのソフトハンドリングが可能となってワークを安定して挟持できる。
【0053】
例えば、金型から成型品を抜き易くするための抜きテーパを有するワーク92(図10(a))を挟持する場合や、中空のためにへこみ易いワーク93(図10(b))を挟持する場合でも、一定の硬度を有する金属フィンガー41aが基準となって樹脂フィンガー41bで包み込むようにソフトに挟持できる。すなわち、本実施形態のチャック部4では、ワークの形状や材質(剛性があるもの、柔軟なもの)に影響を受けずに、安定したワークの挟持が可能である。そして、このようなチャック部4をロボットハンドに設ければ、挟持されたワークをロボットハンドで移送する際にワークが落下してワークや他の機器に損傷を与えることを防止できることとなる。
【0054】
なお、本実施形態のチャック部4については、図1に示す垂直多関節ロボットへの適用に限らず、図11に示す他のロボット6に適用しても良い。このロボット6に関して以下で説明する。
【0055】
ロボット6は、鉛直軸まわりの3つの旋回自由度のアーム結合の先端に鉛直軸方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。そして、ロボット6では、部品などのワークを把持して上下方向に部品を組み付ける作業が可能となっている。
【0056】
ロボット6のアーム7は、その先端にロボットハンド8を着脱可能な着脱部71が設けられている。
【0057】
ロボットハンド8は、上記のロボットハンド3の連結部31と同様の構成を有する連結部81と、連結部81に接続するハンド本体部(以下では単に「本体部」ともいう)82と、本体部82に接続する2つのチャック部83とを備えている。そして、このチャック部83は、上記のフィンガー部40と同様に、金属製のフィンガーと樹脂製のフィンガーとを有するフィンガー部84を有している。
【0058】
このような構成のロボット6においても、上述したチャック部4と同様にワークを安定して挟持できることとなる。
【0059】
<変形例>
上記の実施形態においては、金属フィンガー41aと樹脂フィンガー41bとが異なる形状を有するのは必須でなく、同一の形状(鏡面対称)となっていても良い。
【0060】
上記の実施形態における一対のフィンガーについては、双方のフィンガーを移動させてワークを挟持するのは必須でなく、一方のフィンガーを固定し他のフィンガーを移動させることでワークを挟持するようにしても良い。
【0061】
上記の実施形態におけるチャック部については、ロボットハンドによって空間を移動するものに限らず、空間に固定されたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係るチャック部4を備えたロボット1の要部構成を示す外観図である。
【図2】アーム2の着脱部21とロボットハンド3の連結部31との着脱動作を説明するための図である。
【図3】ロボットハンド3の要部構成を示す外観図である。
【図4】図3のIV−IV位置から見た連結部31および本体部32の断面を示す図である。
【図5】チャック部4の構成を示す外観図である。
【図6】図5の矢印Dvから見たフィンガー部40付近の側面を示す図である。
【図7】フィンガー41が挟持位置にある状態を示す図である。
【図8】フィンガー41が全閉位置にある状態を示す図である。
【図9】フィンガー部40によるワーク91の挟持を説明するための図である。
【図10】フィンガー部40によるワーク92、93の挟持を説明するための図である。
【図11】他のロボット6の要部構成を示す外観図である。
【図12】従来技術に係るフィンガー90によるワーク91の挟持を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
1、6 ロボット
2、7 アーム
3、8 ロボットハンド
9、91〜93 ワーク
21、71 着脱部
31、81 連結部
32、82 ハンド本体部
4、83 チャック部
40、84 フィンガー部
41 フィンガー
41a 金属フィンガー
41b 樹脂フィンガー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック装置であって、
被挟持物を挟持可能な一対の挟持体、
を備え、
前記一対の挟持体は、樹脂で形成される第1の挟持体と、金属で形成される第2の挟持体とで構成されていることを特徴とするチャック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチャック装置において、
前記第1の挟持体と前記第2の挟持体との間隔を所定の方向に変更可能な変更手段と、
前記一対の挟持体による被挟持物の挟持状態を検出する挟持状態検出手段と、
をさらに備えるとともに、
前記変更手段により、前記一対の挟持体は、前記被挟持物を挟持する挟持位置を経由して互いに最も離間する全開位置と互いに最も接近する全閉位置との間で移動可能となっており、
前記挟持状態検出手段は、
前記第1の挟持体に前記所定の方向における所定範囲内で移動自在として設けられ、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記所定の方向に第1の離間距離を確保しつつ前記第2の挟持体側に対向する第1の電極部材と、
導電性を有し、前記第1の挟持体に設けられる連結電極と、
前記第2の挟持体に設けられ、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記所定の方向に前記第1の離間距離よりも短い第2の離間距離を確保しつつ前記連結電極に対向するとともに、導電性を有し、前記第1の離間距離と前記第2の離間距離との差よりも長い範囲で前記所定の方向に弾性変形する第2の電極部材と、
前記第1の電極部材を前記所定の方向における前記第2の挟持体側に向けて付勢する弾性部材と、
を有するとともに、
前記第1の電極部材の一部に設けられる接続電極は、前記一対の挟持体が前記全開位置にある時には前記弾性部材により前記連結電極に圧接され、
前記第1の離間距離は前記全開位置から前記挟持位置までの挟持体の移動距離よりも長く前記全開位置から前記全閉位置までの挟持体の移動距離よりも短いとともに、前記第2の離間距離は前記全開位置から前記挟持位置までの挟持体の移動距離よりも短いことを特徴とするチャック装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のチャック装置において、
前記チャック装置は、産業用ロボットの腕に着脱自在なロボットハンドに設けられていることを特徴とするチャック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−237343(P2007−237343A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63937(P2006−63937)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2005年11月15日〜18日 社団法人日本電機工業会・社団法人日本電気制御機器工業会主催の「システムコントロールフェア2005」に出品
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年11月30日〜12月3日 日刊工業新聞社主催の「2005国際ロボット展」に出品
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】