チャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法およびチャネル推定装置
【解決手段】(a)チャープ−偏移−変調信号のアップ−チャープ信号部分とダウン−チャープ信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと、(b)個別周波数成分の和のアップ−チャープ信号部分とダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算するステップと、(c)偏差周波数出力を用いて個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成するステップと、(d)発生するチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正を周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成するステップと、(e)周波数分析方法を適用して不連続補正出力を個別多重経路信号に分解するステップと、(f)多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップとを含むチャネル推定方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法およびチャネル推定装置に関し、より詳しくは、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号が伝播多重経路を通じて受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号に、送受信機で使われるチャープ信号、チャープ−偏移−変調信号、または周波数−多重−チャープ−変調信号をそれぞれ掛けてチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換することで、これを電磁波多重経路チャネル推定に利用する送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法およびチャネル推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来に使われてきたチャネル推定方式としては、直接周波数拡散コード(Direct-Sequence Spread Spectrum)方式があり、この方式によりチャネル推定の正確度を上げるためには拡散に使用するチップ(Chip)の幅を狭く(広帯域:Wide Bandwidth)し、拡散量を増やさなければならない。また、使用する周波数基準(Frequency Reference)も誤差が非常に少ないものを使用しなければチャネル推定、特に時間遅延値推定の精度を上げることができない。このような例は、GPS(Global Positioning System)から分かる。
【0003】
また、多重経路チャネル要素(Parameter)のうち、時間遅延測定正確度を上げるためには、使用する信号の周波数帯域幅を上げる方法を使用しなければならない。これは、時間遅延測定誤差が使用周波数帯域幅に反比例する特性があるためである。すなわち、信号の周波数帯域幅を上げる方法では、測定誤差を任意の値の以内に減らすために周波数帯域幅を任意に広く使用しなければならないが、これは各種周波数規制などにおいて多くの限界点が存在することになる。
【0004】
また、多重経路チャネル要素のうち、時間遅延測定正確度を上げるためには、送信機と受信機に使われる周波数基準に高い精度が要求される。このためには、精度の高い発振器の使用が要求されるが、これはシステム全体の費用を上げる主要原因となるという問題点がある。
【0005】
すなわち、精密測定のために要求される広い周波数帯域幅は、各種周波数規制に縛られて一般的に不可能であり、また広帯域のチップ速度(Chip-Rate)を有する高性能の送受信機の製作も費用などの点で、現実的に可能でないという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題点を解決するために、本発明は、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号が伝播多重経路を通じて受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号に送受信機で使われる反復チャープ信号を掛けてチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換することで、これを電磁波多重経路チャネル推定に利用する送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的によれば、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって、(a)上記送信機で生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して上記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−偏移−変調信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと、(b)上記個別周波数成分の和の上記アップ−チャープ信号部分と上記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算するステップと、(c)上記偏差周波数出力を用いて上記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成するステップと、(d)上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生するチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成するステップと、(e)周波数分析方法を適用して上記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)するステップと、(f)上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと、を含むことを特徴とする狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法を提供する。
【0008】
本発明の第2の目的によれば、広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって、(a)上記送信機で生成された上記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して上記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと、(b)周波数分析方法を適用して上記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)するステップと、(c)上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと、を含むことを特徴とする広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法を提供する。
【0009】
本発明の第3の目的によれば、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定装置であって、送信機で生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に上記受信機で自体生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と、上記サンプリング部から出力された上記個別周波数成分の和の上記アップ−チャープ信号部分と上記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、上記偏差周波数出力を用いて上記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する周波数補正部と、上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生される上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を上記周波数補正部で生成された上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する不連続補正部と、周波数分析方法を適用して上記不連続補正部で生成された上記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する周波数分析部と、上記周波数分析部で分解された上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と、を含むことを特徴とする狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を提供する。
【0010】
本発明の第4の目的によれば、広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置であって、送信機で生成された上記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と、周波数分析方法を適用して上記サンプリング部から出力された上記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する周波数分析部と、上記周波数分析部で分解された上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と、を含むことを特徴とする広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、チャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法および装置に関するものであって、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、チャープ−偏移−変調信号、または定数個の他の中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が伝播多重経路を通じて多重経路混合チャープ信号形態で受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号を分析して伝播多重経路に対するチャネル特性を推定する技術に関するものである。時間差がある2つのチャープ信号を掛ければ、その出力値はチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換される特徴があり、個別周波数のエネルギーは多重経路(Multi-Path)成分の大きさに比例する特徴があるので、これを電磁波多重経路チャネル推定に使用することが本発明の望ましい実施形態に係るチャネル特性推定方法および装置の核心である。
【0012】
受信機では、受信された多重経路混合チャープ信号に、送受信機で使われるチャープ信号を掛けることにより受信信号を分析するが、この時に使われるチャープ信号は、特定の周波数帯域幅を有するチャープ信号を時間軸で定数回繰り返して作ったチャープ−偏移−変調信号、または同時に定数個の異なる中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号になることができ、これを利用すれば、チャネル特性推定時、広帯域の単一チャープ信号を使用したものと同一な効果が得られる特徴がある。
【0013】
また、本発明では、送信機と受信機との間のローカル発振器(Local Oscillator)周波数偏差(Tolerance)に起因したチャネル推定誤差を除去する方法および装置も提案した。
【0014】
また、本発明では、アップ−チャープ/ダウン−チャープを同時に使用するアップ/ダウンチャープ信号対、またはチャープ−偏移−変調(Chirp Shift Keying)信号に対して、送信機と受信機との間の相対移動速度によるドップラー偏移(Doppler Shift)によるチャネル推定誤差も除去する方法および装置も提案した。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明によれば、受信側で多重チャープ信号の後信号処理(Post Signal Processing)により本来のチャープ信号が持っている周波数帯域幅の定数倍に反比例する推定正確度が得られる効果がある。また、時間遅延特性の精密測定を可能にすることで、推定された時間遅延値を用いて送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)および近距離レーダー(RADAR:RAdio Detection And Ranging)などに応用が可能であるという長所がある。
【0016】
また、アップ−チャープとダウン−チャープを同時に使用するチャープ偏移変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用する場合に、送信機と受信機との間の相対移動速度等によるドップラー偏移(Doppler Shift)によるチャネル推定誤差も除去可能であるので、時間遅延推定値の精度を向上させることができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
図1および図2は、基本チャープ信号を示すグラフである。
【0019】
本発明の望ましい実施形態において、送受信機間の電磁波(Electro-Magnetic Wave)多重経路(Multi-Path)特性に対するチャネル推定(Channel Estimation)のために使われる基本チャープ信号は、図1および図2のように表現される。
【0020】
図1を見ると、チャープ(Chirp)信号は時間によって線形的に瞬時周波数(Instantaneous Frequency)が増加する(Frequency Sweeping)特徴を有する正弦波信号(Sinusoidal Signal)である。
【0021】
図1および図2において、ωsはチャープ信号の最も低い瞬時角周波数(Angular Frequency)、ωeはチャープ信号の最も高い瞬時角周波数(Angular Frequency)であり、ωBW(ωBW=ωe−ωs)はチャープ信号の瞬時角周波数の総変化幅である。これをチャープの周波数帯域幅(Bandwidth)という。
【0022】
図1の(a)は、時間軸から見たチャープ信号の波形例であり、(b)は、時間軸と周波数軸から同時に見たチャープ信号の特性である。(b)を見ると、チャープ信号は時間が増加するにつれてその周波数が線形的に変化していくことを見ることができる。図1のような形態のチャープ信号をアップ−チャープ(Up-Chirp)という。
【0023】
これとは反対に、周波数が時間によって線形的に減少していく信号をダウン−チャープ(Down-Chirp)といい、図2にその特徴を示す。
【0024】
アップ−チャープ(Up-Chirp)信号は、数式1のように表現することができる。
【0025】
【数1】
【0026】
数式1において、Tchirpはチャープ信号の持続時間であり、p(t)はチャープ信号のウィンドウ関数(Windowing Function)である。ウィンドウ関数には直角関数(Rectangular Function)またはレイズドコサイン(Raised Cosine)関数が主に使われるが、これに限定されるのではない。
【0027】
一方、ダウン−チャープ信号の数学的表現式は、数式2の通りである。
【0028】
【数2】
【0029】
図3は、本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号と狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号(Sum of Multiple Center-Frequency Chirp
Signal)の例を示すものである。
【0030】
アップ−チャープ/ダウン−チャープ(Up-Chirp/Down-Chirp)の組合せ信号、または一つの周波数帯域を多数個に等分して、それぞれをサブ−チャープ(Sub-Chirp)信号に作った後、このようなサブチャープを再結合して作ったアップ/ダウンサブチャープの組合せ信号をチャープ−偏移−変調信号といい、これを使用すれば、送信機と受信機に使用した水晶発振器間の誤差による測定誤差除去が可能にし、信号相互間の干渉も少なくて(Low Correlation Property)、同時にこれらの信号を同一な距離で送信してもそれぞれを区分して受信することができるという長所がある。これに対する詳細は後述する。
【0031】
図3の(a)は、与えられた全体周波数帯域を2等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ2つずつ使用し、サブ−チャープ4つ(図面の1、2、3、4)の順序を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものであり、図3の(b)と(c)は、(a)でのようなアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ2つずつ使用してサブ−チャープ4つを組合せてチャープ−偏移−信号を構成した更に他の例を見せたものである。このように構成されたチャープ−偏移−変調信号は、全体周波数帯域成分を全て使用しており、相互間の相関値(Correlation)が少ないという共通的特徴を有する。
【0032】
図3の(d)と(e)は、それぞれチャープ−偏移−信号の更に他の構成例を見せたものである。(d)は与えられた全体周波数帯域を4等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ4つずつを使用して、サブ−チャープ8つ(図面の1、2、3、4、5、6、7、8)の順序を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものであり、(e)は与えられた全体周波数帯域を2等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープのそれぞれ2つずつと周波数−時間傾き(μ=ωBW/Tchirp)、すなわち、μ値が異なるアップ/ダウンフル−チャープ(Full-Chirp)2つずつを使用して、フル−チャープ/サブ−チャープ6個(絵の1、2、3、4、a、b)を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものである。
【0033】
図3の(f)は、定数個の異なる中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を示すものである。本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、互いに異なる周波数バンドのサブ−チャープを1つのサブ−チャープ期間に全て重畳して等価的に広帯域のチャープ−信号を構成したものであって、数式3のように表すことができる。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで、ψk(t)はサブ−チャープを表す信号、ω0は互いに異なる周波数バンドのサブ−チャープ間の周波数間隔を表す。ψk(t)は数式3の2番目の式を参照すれば、インデックス(Index)値がmとnで、互いに同一な場合は、積分値が1となり、mとnが互いに異なる場合は、積分値が0になる特性を有しているので、ψk(t)は直交基底関数群(Orthogonal Basis Functionset)を形成する。このような特性はフーリエ変換(Fourier Transform)と非常に類似な特性を有する。
【0036】
ここで、ψk(t)関数の和で作られたChirp(t)関数を時間(t)−周波数軸の上に図示したものが図3の(f)である。数式3のChirp(t)の自己相関関数特性は、単一広帯域のチャープ−信号の特性と類似な性能を有しており、この信号はディジタル信号処理方法により超広帯域(Ultra Wide-Band)のチャープ−信号を生成(Generation)することが容易であるという特徴がある。ψk(t)のチャープ−信号群(Chirp-Signal Set)は既存の通信で広く使われているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)のサイン波−信号群(Sine-Wave Signal Set)を代われることになる。
【0037】
図3は、互いに異なる周波数バンドのアップ/ダウンサブ−チャープ(Up/Down Sib-Chirp)がそれぞれ1つのサブ−チャープ期間に全て重畳して等価的に広帯域のチャープ−信号を構成した多重−チャープ(Multiple chirp)を用いて4つの信号組合せ方法例を図示した。
【0038】
信号組合せ方法は、例示した方法の他にもチャープ−信号の周波数傾きの大きさ、方向、バンド幅(Bandwidth)、およびこれらの組合せ順序などにより、一層多様な信号の生成が可能である。
【0039】
前述した送信機と受信機に使用する水晶発振器間の誤差による測定誤差を除去するためには、アップ/ダウンチャープがそれぞれ全周波数帯域成分を同時に使用しなければならないという条件があるが、図3に図示したように、図3の全ての信号はこのような条件を満たす。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ−偏移−変調信号は、多様な周波数−時間傾き(μ=ωBW/Tchirp)、すなわち、μ1、μ2、・・・、μMを有するフル−チャープ/サブ−チャープを多様な順序に再組合せした信号となる。
【0040】
図4Aは図3の(a)信号に対する時間軸での波形を示すものであり、図4Bは図3の(a)信号に対する時間軸上での相互相関関数(Cross-Correlation)の結果を示すものである。図4Bにおいて、2つのチャープ信号が同一時点で一致する時に相関最大値が出ることになり、互いの位置が左側あるいは右側にずれると、その相関値は急激に小さな値になることが分かる。一方、図3に例示した全てのチャープ−偏移−変調信号の相互相関関数値も図4Bと類似な特性を有することになる。
【0041】
本発明の望ましい実施形態に係る送受信機間の電磁波(Electro-Magnetic Wave)多重経路(Multi-Path)特性に対するチャネル推定(Channel Estimation)技術は、伝播の多重経路モデル(Multi-Path Model)の要素(Parameter)を抽出する技術である。
【0042】
一般的に使われる伝播多重経路モデルを式で表せば、数式4の通りである。
【0043】
【数4】
【0044】
ここで、Lは多重経路の個数、αiは経路別減衰係数(Attenuation)、δ(t)はダイラックのデルタ関数(Dirac's
Delta-Function)、τiは経路別時間遅延(Time Delay)、θiは経路による位相偏移(Phase Shift)を表す。チャネル推定技術は送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号から数式4の要素(Parameter)である、αi、τi、およびθiの全部または一部を抽出する技術である。
【0045】
送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号である多重経路混合チャープ信号を求めるためには、数式1と数式4のコンボリュ−ション(Convolution)を取ればよいが、その結果は、数式5の通りである。
【0046】
【数5】
【0047】
図5は、本発明の望ましい実施形態に係る送信チャープ信号と遅延チャープ信号を示す図である。
【0048】
まず、多重経路のうち、1つの経路のみ存在する場合を見るために、図5のように送信されたチャープ信号(図5の実線部分:TX)と、これが減衰され遅延されて受信されたチャープ信号(図5の点線部分:RX)を示す。
【0049】
図5において、送信信号(TX)とτだけ遅延された受信信号(RX)を掛ければ、2つのチャープ信号が時間軸で重ねる部分で遅延時間に比例する周波数成分ωτが出力される。これを数式で表せば、数式6の通りである。
【0050】
【数6】
【0051】
数式6の周波数成分を見ると、数式7に表現したものと同一であり、チャープ信号の時間遅延値がその値に比例する周波数で出力され、時間遅延と出力周波数との間には正比例(Linear)関係が成立つ。
【0052】
【数7】
【0053】
数式6を見ると、遅延された信号の大きさはそのまま出力されるので、この方法によれば、チャネルにより減衰および遅延された信号の主要要素であるα(減衰成分)、τ(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)を抽出することができる。
【0054】
送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号である数式5の場合にも同一な原理を適用するために、数式5の多重経路混合チャープ信号に送信する時に使用したものと同一なチャープ信号を掛ければ、時間遅延が異なるそれぞれの多重経路成分は、出力において、それぞれ異なる周波数(時間遅延に比例して)成分の和で出力される。また、それぞれの周波数成分はチャネルから受けた減衰値に比例する大きさを出力で有することになる。出力で合せられたそれぞれの多重経路成分は、全て異なる周波数成分を有するので、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路で分解(Decomposition)が可能(Resolvable)であることになり、この過程を通じてチャネル主要要素であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)およびθ(位相偏移成分)を推定することができ、推定された時間遅延値に電磁波の速度を掛ければ、位置の測定(Ranging)にも使用することができる。この過程は以下に詳細に説明する。
【0055】
図6は、狭帯域の反復チャープ信号と単一広帯域チャープ信号との間の相関関係を説明するための図である。
【0056】
一般に、電磁波を利用した時間遅延推定の正確度は、測定に使用する信号の周波数帯域幅に反比例する特性がある。例えば、時間遅延測定正確度が1ナノ秒(Nano-sec)以内になるには、使用周波数帯域幅(Frequency Bandwidth)が1GHzにならなければならない。しかしながら、信号の周波数帯域幅1GHzは可能な周波数帯が極めて制限的であり、ディジタル具現の場合、信号サンプリング(Sampling)のためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の電力消耗が非常に大きくなる。使用周波数帯域幅(Frequency
Bandwidth)が20MHzである場合を見ると、時間遅延測定正確度が50ナノ秒で大きい値となって、測定正確度が落ちることになる。一方、サンプリングのためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の速度は1/50となって、具現回路の計算量と複雑度は減り、電力消耗も少なくなる。
【0057】
チャープ信号は持続時間内にチャープの瞬時周波数が最小値から最大値に(アップ−チャープの場合)全体周波数帯域幅をスイーピング(sweeping)する。チャープ信号は、時間値と該当時間の周波数が相互換算可能である。このようなチャープの特性を拡張して、狭帯域のωBWを有するチャープ信号を定数回反復して作った反復チャープ信号、または狭帯域のチャープ信号を時間軸で重畳し合せて生成した狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、チャネル特性推定時、等価的にNxωBWの帯域幅を有する広帯域の単一チャープ信号を使用したものと同一な効果が得られて、サンプリングのためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の速度が低いものを使用することができ、特に時間遅延特性の精密測定が可能になって、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用が可能である。
【0058】
上記の例のように、1nsec時間遅延測定のためには20MHzのチャープ信号50個を使用して等価的に1GHzを使用した時の結果と同一な正確度の時間遅延を測定することができる。この結果を利用して信号到達時間(TOA:Time-Of-Arrival)の測定正確度を上げられることになる。
【0059】
図6は、前述した過程を説明した図である。すなわち、1つのチャープ信号を使用した場合は、図5の場合であって、基準となるチャープ信号と時間遅延があるチャープ信号の間の積は出力にその遅延時間に比例する周波数成分が出力されることになる。図6は、同一なチャープ信号を反復使用して反復チャープ信号(上段の絵)を作れば、等価的に元のチャープ信号の周波数帯域幅のN倍の周波数帯域幅を有する単一チャープ信号(下段の絵)と等価的な特性を有することになる。これは、チャープ−偏移−変調信号の場合も同様である。
【0060】
すなわち、本発明の望ましい実施形態では、広帯域単一チャープ信号だけでなく、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用するものである。
【0061】
このように作られたサンプリング(Sampling)された反復チャープ信号(Repeated Chirp-Signal)の数式は、数式8で表すことができる。
【0062】
【数8】
【0063】
図7は、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を示す図である。
【0064】
図7に示すように、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置はサンプリング部712、補正部714、周波数分析部716、およびチャネル推定部718などを含むことができる。
【0065】
送信機700から反復チャープ信号または反復チャープ−偏移−変調信号を送信すれば、この信号が受信機に直接入力される直接経路または物体に反射された反射経路を通じて受信機710に到達され、このように受信機710に到達された信号は、受信機710のアンテナで合せられてサンプリング部712に入力される。受信機710ではこのように伝播多重経路を通じて受信された受信複合信号を分析してチャネル主要要素であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)値に分離する。
【0066】
本発明の望ましい実施形態に係るサンプリング部712は、送信機700で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機710の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機710で自体生成された反復チャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和ρ(m)を出力する。
【0067】
本発明の望ましい実施形態に係る補正部714は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生されるチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)をサンプリング部712から出力された個別周波数成分の和に遂行して不連続性が補正された補正出力θ(m,n)を生成する。ここで、補正は不連続補正因子Φcを用いて遂行されるが、本発明の望ましい実施形態に係る不連続補正因子は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の周波数帯域幅、持続時間および反復方法のうち、1つ以上により決まる。
【0068】
本発明の望ましい実施形態に係る周波数分析部716は、周波数分析方法を適用して補正部714で生成された補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する。すなわち、補正出力をFFTなどの周波数分析方法を利用してそれぞれの周波数成分に分離すれば、各周波数成分の大きさと位相値が出力される。
【0069】
本発明の望ましい実施形態に係るチャネル推定部718では、周波数分析部716で分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて多重経路チャネルによるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)を抽出する。すなわち、各周波数成分はそれぞれ経路遅延時間成分で数式7の換算式により変換されて、以上の過程を通じて伝播多重経路の主要因子であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)の推定が可能になるものである。
【0070】
一方、チャネル推定部718では、個別周波数のうち、最小周波数に該当する時間遅延成分を抽出し、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛けて送信機700と受信機710との間の距離を算出できることになる。
【0071】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には、位相補正過程が不要になるので、図7のチャネル推定装置で補正部714を除外したチャネル推定装置を利用すれば同一な作用をすることになる。
【0072】
図8は、本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【0073】
まず、送信機700で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機710の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機710で自体生成(S800)された反復チャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する(S802)。
【0074】
ここで、前述した数式8の反復チャープ信号と数式4の多重経路チャネルを通過した信号を互いに掛けてサンプリングして定理すれば、数式9となる。
【0075】
【数9】
【0076】
すなわち、数式9が多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和となるものである。
【0077】
次に、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生するチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を数式9の個別周波数成分の和に遂行して不連続性が補正された補正出力を生成する(S804)。すなわち、数式9の結果にFFT(Fast
Fourier Transform)などのような周波数分析方法を使用して遅延時間に比例する周波数成分を抽出するには、狭帯域チャープ−偏移−変調信号により発生する不連続性を補正(Compensation)してくれなければならないが、数式10はこのような不連続性補正をした結果式である。
【0078】
【数10】
【0079】
すなわち、個別周波数成分の和である出力において、それぞれの多重経路成分は全て異なる周波数成分を有するので、ここに数式10の不連続位相補正因子(Phase Compensation Factor)であるφcを追加すれば、一般的な周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路に分解(Decomposition)が可能(Resolvable)になるものである。前述したように、位相補正要素は、チャープ信号の周波数帯域幅、持続時間、反復方法などにより決まる。数式10は、L個の多重経路があり、反復周期がTであり、N回の反復されたチャープを使用した例であって、ωBWTSを使用することもできる。
【0080】
一方、狭帯域チャープ−偏移−変調信号でない単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には前述した位相補正過程は不要であるはずである。
【0081】
不連続補正を遂行した後、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)を適用して補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する(S806)。
【0082】
分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを利用すれば、多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出することができる(S812)。
【0083】
一方、個別周波数のチャネル推定値のうち、最小周波数を選定し(S814)、これに該当する時間遅延成分を抽出して(S816)、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛ければ(S818)、送受信機間の距離を算出することができる(S820)。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係る方式を利用すれば、時間遅延特性の精密測定が可能になるので、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用可能になる。
【0084】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には、位相補正過程(S804)が不要になるだけであり、その以外の過程は同一であるので、単一の広帯域チャープ信号を利用する場合に対する別途の説明は省略する。
【0085】
一方、チャネル推定の正確度に影響を及ぼす要因はいろいろなものがあるが、最も重要な要因は周波数の正確度である。送信機と基準周波数(Reference Frequency)は一般的に同一でなくて、2つの基準周波数間に偏差(Frequency Tolerance)が存在する。この偏差は値が低廉な水晶発振器(Crystal Oscillator)を使用するほど、より大きくなることになる。このような周波数偏差は、チャネル推定値の精度を落とすことになって性能の低下をもたらす。
【0086】
本発明では、このような基準周波数(Reference Frequency)の正確度を改善できる周波数安定化方法を提案する。
【0087】
図9は、本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【0088】
図9の中央はディジタル信号処理部(Digital Signal Processing)、左側は周辺温度測定部、右側は基準周波数生成、および調節部から構成されている。
【0089】
以下、図10の順序図と共に説明する。
【0090】
温度測定部は、ディジタル信号処理部でD/Aを通じて低い電圧から徐々に高い電圧に直流電圧を増加させながら(S1000)電圧比較器に印加する(S1002)。電圧比較器は、温度抵抗(TH:Thermistor)の電圧とD/A出力電圧を比較して(S1004)D/Aの電圧が温度抵抗の電圧より高まれば+V電圧から0電圧へ変わることになる。
【0091】
ディジタル信号処理部はこれを感知して、その時にD/Aに出力される電圧を知ることになる。このように見つけ出した電圧は周辺の温度値と一致するので、測定された温度を利用して内部メモリテーブルに事前に記憶されているVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)調整電圧を利用して右側のVCXOを調整することになる(S1006〜S1008)。このようにすれば、使用VCXOの周波数偏差が大きい(例:±40PPM)ものを使用しても高い精度(例:±0.1PPM)の周波数出力を広い動作温度範囲で得られることになる。
【0092】
一方、送信機と受信機の基準周波数の微細偏差、または移動状況で、送信機と受信機との間の相対速度によるドップラー周波数偏移(Doppler Frequency Shift)の影響でも周波数偏差は発生され、これはチャネル推定値の精度を落とすことになって、チャネル推定性能の低下をもたらす虞がある。ここに、本発明の望ましい第2実施形態では、このような周波数偏差の影響を除去し、チャネル推定精度を向上させるために、アップ/ダウンチャープ信号(Up/Down Chirp Signal)、あるいはアップ/ダウンチャープ信号対(Up/Down Chirp Pair)を利用したチャープ−偏移−変調信号(Chirp-Shift-Keying Signal)、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用する。本発明の望ましい実施形態に係るチャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を図3および図4で説明した。
【0093】
図11は、周波数偏差がない場合のアップ/ダウンチャープ信号(Up-Down Chirp Signal)を示す図である。
【0094】
図11は、アップ/ダウンチャープ信号対を利用した例を示すものであり、チャープ−偏移−変調信号(Chirp-Shift-Keying Signal)、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用した場合も同一な方法で説明することができる。アップ/ダウンチャープ信号対、およびチャープ−偏移−変調信号は、共通的にアップ−チャープとダウン−チャープを対(Pair)で持っており、以下の説明は、2つの場合に全て同一に適用される。
【0095】
図11の上段の絵は2つのアップ/ダウンチャープ信号を重ねて示すものである。左側は遅延がない場合であり、右側はτだけ遅延された場合である。このような2つのアップ/ダウンチャープ信号対を互いに掛ければ、図11の下段の絵の結果が出るが、結果を見ると、偏差周波数出力は、アップ−チャープ部分は+符号の周波数、ダウン−チャープ部分は−符号の周波数が出るが、この場合のように、単純に時間遅延があるだけの場合には+周波数と−周波数が符号のみ異なり、大きさは同一であるので、2つの周波数値を合せれば0となる。すなわち、時間偏差のみあり、送信機と受信機との間の基準周波数の偏差がない場合(Balance)には補正が不要であることを意味する。
【0096】
図12は、周波数偏差がある場合のアップ/ダウンチャープ信号(Up-Down Chirp Signal)を示すものである。
【0097】
図12の上段の絵は2つのアップ/ダウンチャープ信号を重ねて示すものである。左側は遅延がない場合であり、右側はτだけ遅延され、信号が周波数軸で上に平行移動(Δω)した場合である。信号の周波数が平行移動したものはその原因が基準周波数偏差、またはドップラー周波数偏移が存在(Unbalance)する場合である。
【0098】
図12において、2つのアップ/ダウンチャープ信号対を互いに掛ければ、図12の下段の絵の結果が出るが、結果を見ると、偏差周波数出力は、アップ−チャープ部分は+符号の周波数、ダウン−チャープ部分は−符号の周波数が出るが、この場合には、+符号の周波数と−符号の周波数が符号および大きさが全て異なるので、2つの周波数値を合せれば、大きさが2Δωの周波数の大きさが出ることになる。これを周波数均衡偏差(Frequency Deviation Unbalance:Δω)とし、これは数式6または数式9により測定が可能であるので、測定された偏差周波数を利用してチャネル推定値の補正に使用すれば、時間遅延推定値の精度を向上させることができる。
【0099】
図13は、本発明の望ましい第2実施形態による狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【0100】
まず、送信機で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信信号に、受信機で自体生成(S1300)された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する(S1302)。
【0101】
次に、個別周波数成分の和のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて周波数均衡偏差Δωを計算する(S1304)。
【0102】
次に、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生されるチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)およびステップS1304で計算された周波数均衡偏差を用いて周波数偏差補正を遂行して補正出力を生成する(S1306)。
【0103】
ここで、不連続に対する補正は、数式10と同様に位相補正要素を用いて計算し、周波数偏差補正は図12と共に説明したように、周波数均衡偏差を用いて計算すればよい。すなわち、不連続に対する補正および周波数偏差補正を遂行することになれば、一般的な周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路に分解(Decomposition)が可能(Resolvable)になるものである。
【0104】
一方、狭帯域チャープ−偏移−変調信号でない単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には前述した不連続性に対する補正過程は不要であるはずである。
【0105】
補正を遂行した後、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)を適用して補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する(S1308)。
【0106】
分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを利用すれば、多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出することができる(S1312)。
【0107】
一方、個別周波数のチャネル推定値のうち、最小周波数を選定(S1314)し、これに該当する時間遅延成分を抽出し(S1316)、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛ければ(S1318)、送受信機間の距離を算出することができる(S1320)。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係る方式を利用すれば、時間遅延特性の精密測定が可能になるので、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用が可能になる。
【0108】
一方、本発明の望ましい第2実施形態により送信機700から送信される狭帯域反復チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、図3に示すように、多様な周波数−時間傾きを有するフル−チャープ信号(Full-Chirp Signal)、またはサブ−チャープ信号(Sub-Chirp Signal)が多様な順に組合わせた信号、またはこれを反復使用した信号となる。
【0109】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域信号を利用する場合には、前述した位相補正過程が不要になるだけであり、その以外の過程は同一であるので、単一の広帯域信号を利用する場合に対する別途の説明は省略する。
【0110】
また、本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定装置は、図7で説明したチャネル推定装置とその構造が類似している。
【0111】
すなわち、本発明の望ましい第2実施形態によるサンプリング部は、送信機で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機で自体生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する機能をする。
【0112】
本発明の望ましい第2実施形態による補正部は、周波数補正部と不連続補正部とに区分できるが、周波数補正部はサンプリング部から出力された個別周波数成分の和のアップ−チャープ信号部分とダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、偏差周波数出力を用いて個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する。ここで、周波数補正は偏差周波数出力のアップ−チャープ部分の周波数値とダウン−チャープ部分の周波数値を合せた値である周波数均衡偏差を用いて遂行される。また、不連続補正部は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生されるチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を周波数補正部で生成された上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する機能をする。
【0113】
本発明の望ましい第2実施形態による周波数分析部は、周波数分析方法を適用して不連続補正部で生成された不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する機能をする。
【0114】
本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定部は、周波数分析部で分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出する機能をする。
【0115】
一方、本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定部では、個別周波数のうち、最小周波数に該当する時間遅延成分を抽出し、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛けて送信機と受信機との間の距離を算出する機能もする。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】基本チャープ信号を示すグラフである。
【図2】基本チャープ信号を示すグラフである。
【図3】本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号と狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を示す図である。
【図4A】狭帯域チャープ−偏移−変調信号に対する時間軸での波形を示す図である。
【図4B】狭帯域チャープ−偏移−変調信号に対する時間軸上での相互相関関数の結果を示す図である。
【図5】本発明の望ましい実施形態に係る送信チャープ信号と遅延チャープ信号を示す図である。
【図6】狭帯域の反復チャープ信号と単一広帯域チャープ信号との間の相関関係を説明するための図である。
【図7】本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を示す図である。
【図8】本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【図9】本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【図10】本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【図11】周波数偏差がない場合のアップ/ダウンチャープ信号を示す図である。
【図12】周波数偏差がある場合のアップ/ダウンチャープ信号を示す図である。、
【図13】本発明の望ましい第2実施形態による狭帯域チャープ−偏移−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法およびチャネル推定装置に関し、より詳しくは、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号が伝播多重経路を通じて受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号に、送受信機で使われるチャープ信号、チャープ−偏移−変調信号、または周波数−多重−チャープ−変調信号をそれぞれ掛けてチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換することで、これを電磁波多重経路チャネル推定に利用する送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法およびチャネル推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来に使われてきたチャネル推定方式としては、直接周波数拡散コード(Direct-Sequence Spread Spectrum)方式があり、この方式によりチャネル推定の正確度を上げるためには拡散に使用するチップ(Chip)の幅を狭く(広帯域:Wide Bandwidth)し、拡散量を増やさなければならない。また、使用する周波数基準(Frequency Reference)も誤差が非常に少ないものを使用しなければチャネル推定、特に時間遅延値推定の精度を上げることができない。このような例は、GPS(Global Positioning System)から分かる。
【0003】
また、多重経路チャネル要素(Parameter)のうち、時間遅延測定正確度を上げるためには、使用する信号の周波数帯域幅を上げる方法を使用しなければならない。これは、時間遅延測定誤差が使用周波数帯域幅に反比例する特性があるためである。すなわち、信号の周波数帯域幅を上げる方法では、測定誤差を任意の値の以内に減らすために周波数帯域幅を任意に広く使用しなければならないが、これは各種周波数規制などにおいて多くの限界点が存在することになる。
【0004】
また、多重経路チャネル要素のうち、時間遅延測定正確度を上げるためには、送信機と受信機に使われる周波数基準に高い精度が要求される。このためには、精度の高い発振器の使用が要求されるが、これはシステム全体の費用を上げる主要原因となるという問題点がある。
【0005】
すなわち、精密測定のために要求される広い周波数帯域幅は、各種周波数規制に縛られて一般的に不可能であり、また広帯域のチップ速度(Chip-Rate)を有する高性能の送受信機の製作も費用などの点で、現実的に可能でないという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題点を解決するために、本発明は、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号が伝播多重経路を通じて受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号に送受信機で使われる反復チャープ信号を掛けてチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換することで、これを電磁波多重経路チャネル推定に利用する送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的によれば、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって、(a)上記送信機で生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して上記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−偏移−変調信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと、(b)上記個別周波数成分の和の上記アップ−チャープ信号部分と上記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算するステップと、(c)上記偏差周波数出力を用いて上記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成するステップと、(d)上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生するチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成するステップと、(e)周波数分析方法を適用して上記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)するステップと、(f)上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと、を含むことを特徴とする狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法を提供する。
【0008】
本発明の第2の目的によれば、広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって、(a)上記送信機で生成された上記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して上記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと、(b)周波数分析方法を適用して上記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)するステップと、(c)上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと、を含むことを特徴とする広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法を提供する。
【0009】
本発明の第3の目的によれば、狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定装置であって、送信機で生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に上記受信機で自体生成された上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と、上記サンプリング部から出力された上記個別周波数成分の和の上記アップ−チャープ信号部分と上記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、上記偏差周波数出力を用いて上記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する周波数補正部と、上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生される上記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または上記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を上記周波数補正部で生成された上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する不連続補正部と、周波数分析方法を適用して上記不連続補正部で生成された上記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する周波数分析部と、上記周波数分析部で分解された上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と、を含むことを特徴とする狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を提供する。
【0010】
本発明の第4の目的によれば、広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置であって、送信機で生成された上記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、上記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と、周波数分析方法を適用して上記サンプリング部から出力された上記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する周波数分析部と、上記周波数分析部で分解された上記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて上記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と、を含むことを特徴とする広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、チャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法および装置に関するものであって、送信機から送信されたチャープ(Chirp)信号、チャープ−偏移−変調信号、または定数個の他の中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が伝播多重経路を通じて多重経路混合チャープ信号形態で受信アンテナに受信されれば、受信機では受信された信号を分析して伝播多重経路に対するチャネル特性を推定する技術に関するものである。時間差がある2つのチャープ信号を掛ければ、その出力値はチャープ信号間の時間差に比例する個別周波数(Discrete Frequency)に変換される特徴があり、個別周波数のエネルギーは多重経路(Multi-Path)成分の大きさに比例する特徴があるので、これを電磁波多重経路チャネル推定に使用することが本発明の望ましい実施形態に係るチャネル特性推定方法および装置の核心である。
【0012】
受信機では、受信された多重経路混合チャープ信号に、送受信機で使われるチャープ信号を掛けることにより受信信号を分析するが、この時に使われるチャープ信号は、特定の周波数帯域幅を有するチャープ信号を時間軸で定数回繰り返して作ったチャープ−偏移−変調信号、または同時に定数個の異なる中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号になることができ、これを利用すれば、チャネル特性推定時、広帯域の単一チャープ信号を使用したものと同一な効果が得られる特徴がある。
【0013】
また、本発明では、送信機と受信機との間のローカル発振器(Local Oscillator)周波数偏差(Tolerance)に起因したチャネル推定誤差を除去する方法および装置も提案した。
【0014】
また、本発明では、アップ−チャープ/ダウン−チャープを同時に使用するアップ/ダウンチャープ信号対、またはチャープ−偏移−変調(Chirp Shift Keying)信号に対して、送信機と受信機との間の相対移動速度によるドップラー偏移(Doppler Shift)によるチャネル推定誤差も除去する方法および装置も提案した。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明によれば、受信側で多重チャープ信号の後信号処理(Post Signal Processing)により本来のチャープ信号が持っている周波数帯域幅の定数倍に反比例する推定正確度が得られる効果がある。また、時間遅延特性の精密測定を可能にすることで、推定された時間遅延値を用いて送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)および近距離レーダー(RADAR:RAdio Detection And Ranging)などに応用が可能であるという長所がある。
【0016】
また、アップ−チャープとダウン−チャープを同時に使用するチャープ偏移変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用する場合に、送信機と受信機との間の相対移動速度等によるドップラー偏移(Doppler Shift)によるチャネル推定誤差も除去可能であるので、時間遅延推定値の精度を向上させることができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
図1および図2は、基本チャープ信号を示すグラフである。
【0019】
本発明の望ましい実施形態において、送受信機間の電磁波(Electro-Magnetic Wave)多重経路(Multi-Path)特性に対するチャネル推定(Channel Estimation)のために使われる基本チャープ信号は、図1および図2のように表現される。
【0020】
図1を見ると、チャープ(Chirp)信号は時間によって線形的に瞬時周波数(Instantaneous Frequency)が増加する(Frequency Sweeping)特徴を有する正弦波信号(Sinusoidal Signal)である。
【0021】
図1および図2において、ωsはチャープ信号の最も低い瞬時角周波数(Angular Frequency)、ωeはチャープ信号の最も高い瞬時角周波数(Angular Frequency)であり、ωBW(ωBW=ωe−ωs)はチャープ信号の瞬時角周波数の総変化幅である。これをチャープの周波数帯域幅(Bandwidth)という。
【0022】
図1の(a)は、時間軸から見たチャープ信号の波形例であり、(b)は、時間軸と周波数軸から同時に見たチャープ信号の特性である。(b)を見ると、チャープ信号は時間が増加するにつれてその周波数が線形的に変化していくことを見ることができる。図1のような形態のチャープ信号をアップ−チャープ(Up-Chirp)という。
【0023】
これとは反対に、周波数が時間によって線形的に減少していく信号をダウン−チャープ(Down-Chirp)といい、図2にその特徴を示す。
【0024】
アップ−チャープ(Up-Chirp)信号は、数式1のように表現することができる。
【0025】
【数1】
【0026】
数式1において、Tchirpはチャープ信号の持続時間であり、p(t)はチャープ信号のウィンドウ関数(Windowing Function)である。ウィンドウ関数には直角関数(Rectangular Function)またはレイズドコサイン(Raised Cosine)関数が主に使われるが、これに限定されるのではない。
【0027】
一方、ダウン−チャープ信号の数学的表現式は、数式2の通りである。
【0028】
【数2】
【0029】
図3は、本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号と狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号(Sum of Multiple Center-Frequency Chirp
Signal)の例を示すものである。
【0030】
アップ−チャープ/ダウン−チャープ(Up-Chirp/Down-Chirp)の組合せ信号、または一つの周波数帯域を多数個に等分して、それぞれをサブ−チャープ(Sub-Chirp)信号に作った後、このようなサブチャープを再結合して作ったアップ/ダウンサブチャープの組合せ信号をチャープ−偏移−変調信号といい、これを使用すれば、送信機と受信機に使用した水晶発振器間の誤差による測定誤差除去が可能にし、信号相互間の干渉も少なくて(Low Correlation Property)、同時にこれらの信号を同一な距離で送信してもそれぞれを区分して受信することができるという長所がある。これに対する詳細は後述する。
【0031】
図3の(a)は、与えられた全体周波数帯域を2等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ2つずつ使用し、サブ−チャープ4つ(図面の1、2、3、4)の順序を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものであり、図3の(b)と(c)は、(a)でのようなアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ2つずつ使用してサブ−チャープ4つを組合せてチャープ−偏移−信号を構成した更に他の例を見せたものである。このように構成されたチャープ−偏移−変調信号は、全体周波数帯域成分を全て使用しており、相互間の相関値(Correlation)が少ないという共通的特徴を有する。
【0032】
図3の(d)と(e)は、それぞれチャープ−偏移−信号の更に他の構成例を見せたものである。(d)は与えられた全体周波数帯域を4等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープをそれぞれ4つずつを使用して、サブ−チャープ8つ(図面の1、2、3、4、5、6、7、8)の順序を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものであり、(e)は与えられた全体周波数帯域を2等分して作られたアップ/ダウンサブ−チャープのそれぞれ2つずつと周波数−時間傾き(μ=ωBW/Tchirp)、すなわち、μ値が異なるアップ/ダウンフル−チャープ(Full-Chirp)2つずつを使用して、フル−チャープ/サブ−チャープ6個(絵の1、2、3、4、a、b)を再組合せしてチャープ−偏移−信号を構成した4つの例を見せたものである。
【0033】
図3の(f)は、定数個の異なる中心周波数を有する狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を示すものである。本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、互いに異なる周波数バンドのサブ−チャープを1つのサブ−チャープ期間に全て重畳して等価的に広帯域のチャープ−信号を構成したものであって、数式3のように表すことができる。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで、ψk(t)はサブ−チャープを表す信号、ω0は互いに異なる周波数バンドのサブ−チャープ間の周波数間隔を表す。ψk(t)は数式3の2番目の式を参照すれば、インデックス(Index)値がmとnで、互いに同一な場合は、積分値が1となり、mとnが互いに異なる場合は、積分値が0になる特性を有しているので、ψk(t)は直交基底関数群(Orthogonal Basis Functionset)を形成する。このような特性はフーリエ変換(Fourier Transform)と非常に類似な特性を有する。
【0036】
ここで、ψk(t)関数の和で作られたChirp(t)関数を時間(t)−周波数軸の上に図示したものが図3の(f)である。数式3のChirp(t)の自己相関関数特性は、単一広帯域のチャープ−信号の特性と類似な性能を有しており、この信号はディジタル信号処理方法により超広帯域(Ultra Wide-Band)のチャープ−信号を生成(Generation)することが容易であるという特徴がある。ψk(t)のチャープ−信号群(Chirp-Signal Set)は既存の通信で広く使われているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)のサイン波−信号群(Sine-Wave Signal Set)を代われることになる。
【0037】
図3は、互いに異なる周波数バンドのアップ/ダウンサブ−チャープ(Up/Down Sib-Chirp)がそれぞれ1つのサブ−チャープ期間に全て重畳して等価的に広帯域のチャープ−信号を構成した多重−チャープ(Multiple chirp)を用いて4つの信号組合せ方法例を図示した。
【0038】
信号組合せ方法は、例示した方法の他にもチャープ−信号の周波数傾きの大きさ、方向、バンド幅(Bandwidth)、およびこれらの組合せ順序などにより、一層多様な信号の生成が可能である。
【0039】
前述した送信機と受信機に使用する水晶発振器間の誤差による測定誤差を除去するためには、アップ/ダウンチャープがそれぞれ全周波数帯域成分を同時に使用しなければならないという条件があるが、図3に図示したように、図3の全ての信号はこのような条件を満たす。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ−偏移−変調信号は、多様な周波数−時間傾き(μ=ωBW/Tchirp)、すなわち、μ1、μ2、・・・、μMを有するフル−チャープ/サブ−チャープを多様な順序に再組合せした信号となる。
【0040】
図4Aは図3の(a)信号に対する時間軸での波形を示すものであり、図4Bは図3の(a)信号に対する時間軸上での相互相関関数(Cross-Correlation)の結果を示すものである。図4Bにおいて、2つのチャープ信号が同一時点で一致する時に相関最大値が出ることになり、互いの位置が左側あるいは右側にずれると、その相関値は急激に小さな値になることが分かる。一方、図3に例示した全てのチャープ−偏移−変調信号の相互相関関数値も図4Bと類似な特性を有することになる。
【0041】
本発明の望ましい実施形態に係る送受信機間の電磁波(Electro-Magnetic Wave)多重経路(Multi-Path)特性に対するチャネル推定(Channel Estimation)技術は、伝播の多重経路モデル(Multi-Path Model)の要素(Parameter)を抽出する技術である。
【0042】
一般的に使われる伝播多重経路モデルを式で表せば、数式4の通りである。
【0043】
【数4】
【0044】
ここで、Lは多重経路の個数、αiは経路別減衰係数(Attenuation)、δ(t)はダイラックのデルタ関数(Dirac's
Delta-Function)、τiは経路別時間遅延(Time Delay)、θiは経路による位相偏移(Phase Shift)を表す。チャネル推定技術は送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号から数式4の要素(Parameter)である、αi、τi、およびθiの全部または一部を抽出する技術である。
【0045】
送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号である多重経路混合チャープ信号を求めるためには、数式1と数式4のコンボリュ−ション(Convolution)を取ればよいが、その結果は、数式5の通りである。
【0046】
【数5】
【0047】
図5は、本発明の望ましい実施形態に係る送信チャープ信号と遅延チャープ信号を示す図である。
【0048】
まず、多重経路のうち、1つの経路のみ存在する場合を見るために、図5のように送信されたチャープ信号(図5の実線部分:TX)と、これが減衰され遅延されて受信されたチャープ信号(図5の点線部分:RX)を示す。
【0049】
図5において、送信信号(TX)とτだけ遅延された受信信号(RX)を掛ければ、2つのチャープ信号が時間軸で重ねる部分で遅延時間に比例する周波数成分ωτが出力される。これを数式で表せば、数式6の通りである。
【0050】
【数6】
【0051】
数式6の周波数成分を見ると、数式7に表現したものと同一であり、チャープ信号の時間遅延値がその値に比例する周波数で出力され、時間遅延と出力周波数との間には正比例(Linear)関係が成立つ。
【0052】
【数7】
【0053】
数式6を見ると、遅延された信号の大きさはそのまま出力されるので、この方法によれば、チャネルにより減衰および遅延された信号の主要要素であるα(減衰成分)、τ(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)を抽出することができる。
【0054】
送信された信号が多重経路を通じてアンテナに受信された信号である数式5の場合にも同一な原理を適用するために、数式5の多重経路混合チャープ信号に送信する時に使用したものと同一なチャープ信号を掛ければ、時間遅延が異なるそれぞれの多重経路成分は、出力において、それぞれ異なる周波数(時間遅延に比例して)成分の和で出力される。また、それぞれの周波数成分はチャネルから受けた減衰値に比例する大きさを出力で有することになる。出力で合せられたそれぞれの多重経路成分は、全て異なる周波数成分を有するので、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路で分解(Decomposition)が可能(Resolvable)であることになり、この過程を通じてチャネル主要要素であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)およびθ(位相偏移成分)を推定することができ、推定された時間遅延値に電磁波の速度を掛ければ、位置の測定(Ranging)にも使用することができる。この過程は以下に詳細に説明する。
【0055】
図6は、狭帯域の反復チャープ信号と単一広帯域チャープ信号との間の相関関係を説明するための図である。
【0056】
一般に、電磁波を利用した時間遅延推定の正確度は、測定に使用する信号の周波数帯域幅に反比例する特性がある。例えば、時間遅延測定正確度が1ナノ秒(Nano-sec)以内になるには、使用周波数帯域幅(Frequency Bandwidth)が1GHzにならなければならない。しかしながら、信号の周波数帯域幅1GHzは可能な周波数帯が極めて制限的であり、ディジタル具現の場合、信号サンプリング(Sampling)のためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の電力消耗が非常に大きくなる。使用周波数帯域幅(Frequency
Bandwidth)が20MHzである場合を見ると、時間遅延測定正確度が50ナノ秒で大きい値となって、測定正確度が落ちることになる。一方、サンプリングのためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の速度は1/50となって、具現回路の計算量と複雑度は減り、電力消耗も少なくなる。
【0057】
チャープ信号は持続時間内にチャープの瞬時周波数が最小値から最大値に(アップ−チャープの場合)全体周波数帯域幅をスイーピング(sweeping)する。チャープ信号は、時間値と該当時間の周波数が相互換算可能である。このようなチャープの特性を拡張して、狭帯域のωBWを有するチャープ信号を定数回反復して作った反復チャープ信号、または狭帯域のチャープ信号を時間軸で重畳し合せて生成した狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、チャネル特性推定時、等価的にNxωBWの帯域幅を有する広帯域の単一チャープ信号を使用したものと同一な効果が得られて、サンプリングのためのA/D変換器(Converter)と信号処理部の速度が低いものを使用することができ、特に時間遅延特性の精密測定が可能になって、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用が可能である。
【0058】
上記の例のように、1nsec時間遅延測定のためには20MHzのチャープ信号50個を使用して等価的に1GHzを使用した時の結果と同一な正確度の時間遅延を測定することができる。この結果を利用して信号到達時間(TOA:Time-Of-Arrival)の測定正確度を上げられることになる。
【0059】
図6は、前述した過程を説明した図である。すなわち、1つのチャープ信号を使用した場合は、図5の場合であって、基準となるチャープ信号と時間遅延があるチャープ信号の間の積は出力にその遅延時間に比例する周波数成分が出力されることになる。図6は、同一なチャープ信号を反復使用して反復チャープ信号(上段の絵)を作れば、等価的に元のチャープ信号の周波数帯域幅のN倍の周波数帯域幅を有する単一チャープ信号(下段の絵)と等価的な特性を有することになる。これは、チャープ−偏移−変調信号の場合も同様である。
【0060】
すなわち、本発明の望ましい実施形態では、広帯域単一チャープ信号だけでなく、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用するものである。
【0061】
このように作られたサンプリング(Sampling)された反復チャープ信号(Repeated Chirp-Signal)の数式は、数式8で表すことができる。
【0062】
【数8】
【0063】
図7は、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を示す図である。
【0064】
図7に示すように、本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置はサンプリング部712、補正部714、周波数分析部716、およびチャネル推定部718などを含むことができる。
【0065】
送信機700から反復チャープ信号または反復チャープ−偏移−変調信号を送信すれば、この信号が受信機に直接入力される直接経路または物体に反射された反射経路を通じて受信機710に到達され、このように受信機710に到達された信号は、受信機710のアンテナで合せられてサンプリング部712に入力される。受信機710ではこのように伝播多重経路を通じて受信された受信複合信号を分析してチャネル主要要素であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)値に分離する。
【0066】
本発明の望ましい実施形態に係るサンプリング部712は、送信機700で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機710の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機710で自体生成された反復チャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和ρ(m)を出力する。
【0067】
本発明の望ましい実施形態に係る補正部714は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生されるチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)をサンプリング部712から出力された個別周波数成分の和に遂行して不連続性が補正された補正出力θ(m,n)を生成する。ここで、補正は不連続補正因子Φcを用いて遂行されるが、本発明の望ましい実施形態に係る不連続補正因子は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の周波数帯域幅、持続時間および反復方法のうち、1つ以上により決まる。
【0068】
本発明の望ましい実施形態に係る周波数分析部716は、周波数分析方法を適用して補正部714で生成された補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する。すなわち、補正出力をFFTなどの周波数分析方法を利用してそれぞれの周波数成分に分離すれば、各周波数成分の大きさと位相値が出力される。
【0069】
本発明の望ましい実施形態に係るチャネル推定部718では、周波数分析部716で分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて多重経路チャネルによるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)を抽出する。すなわち、各周波数成分はそれぞれ経路遅延時間成分で数式7の換算式により変換されて、以上の過程を通じて伝播多重経路の主要因子であるαi(減衰成分)、τi(時間遅延成分)、およびθ(位相偏移成分)の推定が可能になるものである。
【0070】
一方、チャネル推定部718では、個別周波数のうち、最小周波数に該当する時間遅延成分を抽出し、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛けて送信機700と受信機710との間の距離を算出できることになる。
【0071】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には、位相補正過程が不要になるので、図7のチャネル推定装置で補正部714を除外したチャネル推定装置を利用すれば同一な作用をすることになる。
【0072】
図8は、本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【0073】
まず、送信機700で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機710の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機710で自体生成(S800)された反復チャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する(S802)。
【0074】
ここで、前述した数式8の反復チャープ信号と数式4の多重経路チャネルを通過した信号を互いに掛けてサンプリングして定理すれば、数式9となる。
【0075】
【数9】
【0076】
すなわち、数式9が多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和となるものである。
【0077】
次に、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生するチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を数式9の個別周波数成分の和に遂行して不連続性が補正された補正出力を生成する(S804)。すなわち、数式9の結果にFFT(Fast
Fourier Transform)などのような周波数分析方法を使用して遅延時間に比例する周波数成分を抽出するには、狭帯域チャープ−偏移−変調信号により発生する不連続性を補正(Compensation)してくれなければならないが、数式10はこのような不連続性補正をした結果式である。
【0078】
【数10】
【0079】
すなわち、個別周波数成分の和である出力において、それぞれの多重経路成分は全て異なる周波数成分を有するので、ここに数式10の不連続位相補正因子(Phase Compensation Factor)であるφcを追加すれば、一般的な周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路に分解(Decomposition)が可能(Resolvable)になるものである。前述したように、位相補正要素は、チャープ信号の周波数帯域幅、持続時間、反復方法などにより決まる。数式10は、L個の多重経路があり、反復周期がTであり、N回の反復されたチャープを使用した例であって、ωBWTSを使用することもできる。
【0080】
一方、狭帯域チャープ−偏移−変調信号でない単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には前述した位相補正過程は不要であるはずである。
【0081】
不連続補正を遂行した後、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)を適用して補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する(S806)。
【0082】
分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを利用すれば、多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出することができる(S812)。
【0083】
一方、個別周波数のチャネル推定値のうち、最小周波数を選定し(S814)、これに該当する時間遅延成分を抽出して(S816)、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛ければ(S818)、送受信機間の距離を算出することができる(S820)。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係る方式を利用すれば、時間遅延特性の精密測定が可能になるので、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用可能になる。
【0084】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には、位相補正過程(S804)が不要になるだけであり、その以外の過程は同一であるので、単一の広帯域チャープ信号を利用する場合に対する別途の説明は省略する。
【0085】
一方、チャネル推定の正確度に影響を及ぼす要因はいろいろなものがあるが、最も重要な要因は周波数の正確度である。送信機と基準周波数(Reference Frequency)は一般的に同一でなくて、2つの基準周波数間に偏差(Frequency Tolerance)が存在する。この偏差は値が低廉な水晶発振器(Crystal Oscillator)を使用するほど、より大きくなることになる。このような周波数偏差は、チャネル推定値の精度を落とすことになって性能の低下をもたらす。
【0086】
本発明では、このような基準周波数(Reference Frequency)の正確度を改善できる周波数安定化方法を提案する。
【0087】
図9は、本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【0088】
図9の中央はディジタル信号処理部(Digital Signal Processing)、左側は周辺温度測定部、右側は基準周波数生成、および調節部から構成されている。
【0089】
以下、図10の順序図と共に説明する。
【0090】
温度測定部は、ディジタル信号処理部でD/Aを通じて低い電圧から徐々に高い電圧に直流電圧を増加させながら(S1000)電圧比較器に印加する(S1002)。電圧比較器は、温度抵抗(TH:Thermistor)の電圧とD/A出力電圧を比較して(S1004)D/Aの電圧が温度抵抗の電圧より高まれば+V電圧から0電圧へ変わることになる。
【0091】
ディジタル信号処理部はこれを感知して、その時にD/Aに出力される電圧を知ることになる。このように見つけ出した電圧は周辺の温度値と一致するので、測定された温度を利用して内部メモリテーブルに事前に記憶されているVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)調整電圧を利用して右側のVCXOを調整することになる(S1006〜S1008)。このようにすれば、使用VCXOの周波数偏差が大きい(例:±40PPM)ものを使用しても高い精度(例:±0.1PPM)の周波数出力を広い動作温度範囲で得られることになる。
【0092】
一方、送信機と受信機の基準周波数の微細偏差、または移動状況で、送信機と受信機との間の相対速度によるドップラー周波数偏移(Doppler Frequency Shift)の影響でも周波数偏差は発生され、これはチャネル推定値の精度を落とすことになって、チャネル推定性能の低下をもたらす虞がある。ここに、本発明の望ましい第2実施形態では、このような周波数偏差の影響を除去し、チャネル推定精度を向上させるために、アップ/ダウンチャープ信号(Up/Down Chirp Signal)、あるいはアップ/ダウンチャープ信号対(Up/Down Chirp Pair)を利用したチャープ−偏移−変調信号(Chirp-Shift-Keying Signal)、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用する。本発明の望ましい実施形態に係るチャープ−偏移−変調信号、および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を図3および図4で説明した。
【0093】
図11は、周波数偏差がない場合のアップ/ダウンチャープ信号(Up-Down Chirp Signal)を示す図である。
【0094】
図11は、アップ/ダウンチャープ信号対を利用した例を示すものであり、チャープ−偏移−変調信号(Chirp-Shift-Keying Signal)、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を利用した場合も同一な方法で説明することができる。アップ/ダウンチャープ信号対、およびチャープ−偏移−変調信号は、共通的にアップ−チャープとダウン−チャープを対(Pair)で持っており、以下の説明は、2つの場合に全て同一に適用される。
【0095】
図11の上段の絵は2つのアップ/ダウンチャープ信号を重ねて示すものである。左側は遅延がない場合であり、右側はτだけ遅延された場合である。このような2つのアップ/ダウンチャープ信号対を互いに掛ければ、図11の下段の絵の結果が出るが、結果を見ると、偏差周波数出力は、アップ−チャープ部分は+符号の周波数、ダウン−チャープ部分は−符号の周波数が出るが、この場合のように、単純に時間遅延があるだけの場合には+周波数と−周波数が符号のみ異なり、大きさは同一であるので、2つの周波数値を合せれば0となる。すなわち、時間偏差のみあり、送信機と受信機との間の基準周波数の偏差がない場合(Balance)には補正が不要であることを意味する。
【0096】
図12は、周波数偏差がある場合のアップ/ダウンチャープ信号(Up-Down Chirp Signal)を示すものである。
【0097】
図12の上段の絵は2つのアップ/ダウンチャープ信号を重ねて示すものである。左側は遅延がない場合であり、右側はτだけ遅延され、信号が周波数軸で上に平行移動(Δω)した場合である。信号の周波数が平行移動したものはその原因が基準周波数偏差、またはドップラー周波数偏移が存在(Unbalance)する場合である。
【0098】
図12において、2つのアップ/ダウンチャープ信号対を互いに掛ければ、図12の下段の絵の結果が出るが、結果を見ると、偏差周波数出力は、アップ−チャープ部分は+符号の周波数、ダウン−チャープ部分は−符号の周波数が出るが、この場合には、+符号の周波数と−符号の周波数が符号および大きさが全て異なるので、2つの周波数値を合せれば、大きさが2Δωの周波数の大きさが出ることになる。これを周波数均衡偏差(Frequency Deviation Unbalance:Δω)とし、これは数式6または数式9により測定が可能であるので、測定された偏差周波数を利用してチャネル推定値の補正に使用すれば、時間遅延推定値の精度を向上させることができる。
【0099】
図13は、本発明の望ましい第2実施形態による狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【0100】
まず、送信機で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信信号に、受信機で自体生成(S1300)された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する(S1302)。
【0101】
次に、個別周波数成分の和のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて周波数均衡偏差Δωを計算する(S1304)。
【0102】
次に、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生されるチャープ信号間の不連続性に対する補正(Compensation)およびステップS1304で計算された周波数均衡偏差を用いて周波数偏差補正を遂行して補正出力を生成する(S1306)。
【0103】
ここで、不連続に対する補正は、数式10と同様に位相補正要素を用いて計算し、周波数偏差補正は図12と共に説明したように、周波数均衡偏差を用いて計算すればよい。すなわち、不連続に対する補正および周波数偏差補正を遂行することになれば、一般的な周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)により個別多重経路に分解(Decomposition)が可能(Resolvable)になるものである。
【0104】
一方、狭帯域チャープ−偏移−変調信号でない単一の広帯域チャープ信号を利用する場合には前述した不連続性に対する補正過程は不要であるはずである。
【0105】
補正を遂行した後、周波数分析方法(例:Fast Fourier Transform)を適用して補正出力を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する(S1308)。
【0106】
分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを利用すれば、多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出することができる(S1312)。
【0107】
一方、個別周波数のチャネル推定値のうち、最小周波数を選定(S1314)し、これに該当する時間遅延成分を抽出し(S1316)、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛ければ(S1318)、送受信機間の距離を算出することができる(S1320)。すなわち、本発明の望ましい実施形態に係る方式を利用すれば、時間遅延特性の精密測定が可能になるので、送信機と受信機との間の距離測定(Ranging)、近距離RADAR(Radio Detection And Ranging)などに応用が可能になる。
【0108】
一方、本発明の望ましい第2実施形態により送信機700から送信される狭帯域反復チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、図3に示すように、多様な周波数−時間傾きを有するフル−チャープ信号(Full-Chirp Signal)、またはサブ−チャープ信号(Sub-Chirp Signal)が多様な順に組合わせた信号、またはこれを反復使用した信号となる。
【0109】
一方、前述した実施形態において、狭帯域チャープ−偏移−変調信号の代りに単一の広帯域信号を利用する場合には、前述した位相補正過程が不要になるだけであり、その以外の過程は同一であるので、単一の広帯域信号を利用する場合に対する別途の説明は省略する。
【0110】
また、本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定装置は、図7で説明したチャネル推定装置とその構造が類似している。
【0111】
すなわち、本発明の望ましい第2実施形態によるサンプリング部は、送信機で生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、受信機で自体生成された狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力する機能をする。
【0112】
本発明の望ましい第2実施形態による補正部は、周波数補正部と不連続補正部とに区分できるが、周波数補正部はサンプリング部から出力された個別周波数成分の和のアップ−チャープ信号部分とダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、偏差周波数出力を用いて個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する。ここで、周波数補正は偏差周波数出力のアップ−チャープ部分の周波数値とダウン−チャープ部分の周波数値を合せた値である周波数均衡偏差を用いて遂行される。また、不連続補正部は、狭帯域チャープ−偏移−変調信号を使用して発生されるチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を周波数補正部で生成された上記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する機能をする。
【0113】
本発明の望ましい第2実施形態による周波数分析部は、周波数分析方法を適用して不連続補正部で生成された不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する機能をする。
【0114】
本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定部は、周波数分析部で分解された個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出する機能をする。
【0115】
一方、本発明の望ましい第2実施形態によるチャネル推定部では、個別周波数のうち、最小周波数に該当する時間遅延成分を抽出し、抽出された時間遅延成分に光の速度を掛けて送信機と受信機との間の距離を算出する機能もする。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】基本チャープ信号を示すグラフである。
【図2】基本チャープ信号を示すグラフである。
【図3】本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号と狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の例を示す図である。
【図4A】狭帯域チャープ−偏移−変調信号に対する時間軸での波形を示す図である。
【図4B】狭帯域チャープ−偏移−変調信号に対する時間軸上での相互相関関数の結果を示す図である。
【図5】本発明の望ましい実施形態に係る送信チャープ信号と遅延チャープ信号を示す図である。
【図6】狭帯域の反復チャープ信号と単一広帯域チャープ信号との間の相関関係を説明するための図である。
【図7】本発明の望ましい実施形態に係るチャープ信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置を示す図である。
【図8】本発明の望ましい実施形態に係る狭帯域チャープ−偏移−変調信号および狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【図9】本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【図10】本発明の望ましい実施形態に係る周波数精度維持のための周波数調節装置を示す図である。
【図11】周波数偏差がない場合のアップ/ダウンチャープ信号を示す図である。
【図12】周波数偏差がある場合のアップ/ダウンチャープ信号を示す図である。、
【図13】本発明の望ましい第2実施形態による狭帯域チャープ−偏移−変調信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する過程を示す順序図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって:
(a)前記送信機で生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して前記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−偏移−変調信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと;
(b)前記個別周波数成分の和の前記アップ−チャープ信号部分と前記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算するステップと;
(c)前記偏差周波数出力を用いて前記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成するステップと;
(d)前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生するチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を前記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成するステップと;
(e)周波数分析方法を適用して前記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)するステップと;
(f)前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと;
を含むことを特徴とする、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項2】
(g)前記個別周波数のうち、最小周波数に該当する前記時間遅延成分を抽出するステップと;
(h)前記ステップ(g)で抽出された前記時間遅延成分に光の速度を掛けて前記送信機と前記受信機との間の距離を算出するステップと;
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項3】
前記送信機と受信機のそれぞれに使用した基準周波数発生器(Reference Oscillator)との間の基準周波数の偏差を水晶発振器の周辺の温度測定を用いて補正してチャネル推定の正確度を上げることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、前記周波数偏差の前記補正は、前記偏差周波数出力のアップ−チャープ部分の周波数値とダウン−チャープ部分の周波数値を合せた値である周波数均衡偏差を用いて遂行されることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項5】
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号は、多様な周波数−時間傾きを有するフル−チャープ信号(Full-Chirp Signal)、またはサブ−チャープ信号(Sub-Chirp Signal)が多様な順序に組合せされた信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項6】
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号は、狭帯域チャープ信号の時間軸での反復または多様な組合わせからなる信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項7】
前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、多様な中心周波数を有するチャープ−信号の反復または多様な組合わせからなる信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項8】
前記ステップ(d)での前記補正は、不連続補正因子を用いて遂行されるが、前記不連続補正因子は、前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の周波数帯域幅、持続時間、および反復方法のうち、一つ以上により決まることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項9】
広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって:
(a)前記送信機で生成された前記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して前記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと;
(b)周波数分析方法を適用して前記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)するステップと;
(c)前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと;
を含むことを特徴とする、広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項10】
(d)前記個別周波数のうち、最小周波数に該当する前記時間遅延成分を抽出するステップと;
(e)前記ステップ(d)で抽出された前記時間遅延成分に光の速度を掛けて前記送信機と前記受信機との間の距離を算出するステップと;
をさらに含むことを特徴とする、請求項9記載の広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項11】
前記送信機と受信機のそれぞれに使用した基準周波数発生器(Reference Oscillator)との間の基準周波数の偏差を水晶発振器の周辺の温度測定を用いて補正してチャネル推定の正確度を上げることを特徴とする、請求項9記載の広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項12】
狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復でなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定装置であって:
送信機で生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に前記受信機で自体生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と;
前記サンプリング部から出力された前記個別周波数成分の和の前記アップ−チャープ信号部分と前記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、前記偏差周波数出力を用いて前記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する周波数補正部と;
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生される前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を前記周波数補正部で生成された前記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する不連続補正部と;
周波数分析方法を適用して前記不連続補正部で生成された前記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する周波数分析部と;
前記周波数分析部で分解された前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と;
を備えることを特徴とする、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置。
【請求項13】
広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置であって:
送信機で生成された前記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と;
周波数分析方法を適用して前記サンプリング部から出力された前記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する周波数分析部と;
前記周波数分析部で分解された前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と;
を備えることを特徴とする、広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置。
【請求項1】
狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復によりなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって:
(a)前記送信機で生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して前記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−偏移−変調信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと;
(b)前記個別周波数成分の和の前記アップ−チャープ信号部分と前記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算するステップと;
(c)前記偏差周波数出力を用いて前記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成するステップと;
(d)前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生するチャープ−偏移−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を前記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成するステップと;
(e)周波数分析方法を適用して前記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)するステップと;
(f)前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと;
を含むことを特徴とする、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項2】
(g)前記個別周波数のうち、最小周波数に該当する前記時間遅延成分を抽出するステップと;
(h)前記ステップ(g)で抽出された前記時間遅延成分に光の速度を掛けて前記送信機と前記受信機との間の距離を算出するステップと;
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項3】
前記送信機と受信機のそれぞれに使用した基準周波数発生器(Reference Oscillator)との間の基準周波数の偏差を水晶発振器の周辺の温度測定を用いて補正してチャネル推定の正確度を上げることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、前記周波数偏差の前記補正は、前記偏差周波数出力のアップ−チャープ部分の周波数値とダウン−チャープ部分の周波数値を合せた値である周波数均衡偏差を用いて遂行されることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項5】
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号は、多様な周波数−時間傾きを有するフル−チャープ信号(Full-Chirp Signal)、またはサブ−チャープ信号(Sub-Chirp Signal)が多様な順序に組合せされた信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項6】
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号は、狭帯域チャープ信号の時間軸での反復または多様な組合わせからなる信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項7】
前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号は、多様な中心周波数を有するチャープ−信号の反復または多様な組合わせからなる信号であることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項8】
前記ステップ(d)での前記補正は、不連続補正因子を用いて遂行されるが、前記不連続補正因子は、前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号の周波数帯域幅、持続時間、および反復方法のうち、一つ以上により決まることを特徴とする、請求項1記載の狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項9】
広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定方法であって:
(a)前記送信機で生成された前記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して前記受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するステップと;
(b)周波数分析方法を適用して前記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)するステップと;
(c)前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するステップと;
を含むことを特徴とする、広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項10】
(d)前記個別周波数のうち、最小周波数に該当する前記時間遅延成分を抽出するステップと;
(e)前記ステップ(d)で抽出された前記時間遅延成分に光の速度を掛けて前記送信機と前記受信機との間の距離を算出するステップと;
をさらに含むことを特徴とする、請求項9記載の広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項11】
前記送信機と受信機のそれぞれに使用した基準周波数発生器(Reference Oscillator)との間の基準周波数の偏差を水晶発振器の周辺の温度測定を用いて補正してチャネル推定の正確度を上げることを特徴とする、請求項9記載の広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定する方法。
【請求項12】
狭帯域(Narrow-Band)チャープ(Chirp)信号の時間軸の反復でなされた信号である狭帯域チャープ−偏移−変調(Narrow-Band Chirp-Shift-Keying)信号、または多様な中心周波数のチャープ−信号の和からなる狭帯域周波数−多重−チャープ−変調(Narrow-Band Multiple Center-Frequency-Chirp)信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネル推定装置であって:
送信機で生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に前記受信機で自体生成された前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を掛けてチャープ−信号のアップ−チャープ(Up-Chirp)信号部分とダウン−チャープ(Down-Chirp)信号部分のそれぞれに対して多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と;
前記サンプリング部から出力された前記個別周波数成分の和の前記アップ−チャープ信号部分と前記ダウン−チャープ信号部分のそれぞれの出力を互いに掛けて偏差周波数出力を計算し、前記偏差周波数出力を用いて前記個別周波数成分の和の周波数偏差の補正を遂行して周波数補正出力を生成する周波数補正部と;
前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を使用して発生される前記狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または前記狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号間の不連続性に対する補正(Compensation)を前記周波数補正部で生成された前記周波数補正出力に遂行して不連続性が補正された不連続補正出力を生成する不連続補正部と;
周波数分析方法を適用して前記不連続補正部で生成された前記不連続補正出力を個別多重経路信号に分解(Decomposition)する周波数分析部と;
前記周波数分析部で分解された前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と;
を備えることを特徴とする、狭帯域チャープ−偏移−変調信号、または狭帯域周波数−多重−チャープ−変調信号を用いて送受信機間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置。
【請求項13】
広帯域単一チャープ信号(Chirp Signal)を用いて電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置であって:
送信機で生成された前記広帯域単一チャープ信号が送信アンテナから送信された後、多重経路チャネルを通過して受信機の受信アンテナで重畳されて合せられた受信複合信号に、前記受信機で自体生成されたチャープ信号を掛けて多重経路の距離差に起因した個別周波数成分の和を出力するサンプリング部と;
周波数分析方法を適用して前記サンプリング部から出力された前記個別周波数成分の和を個別多重経路信号成分に分解(Decomposition)する周波数分析部と;
前記周波数分析部で分解された前記個別多重経路信号で個別周波数別周波数成分の大きさを用いて前記多重経路チャネルによる減衰成分と時間遅延成分を抽出するチャネル推定部と;
を備えることを特徴とする、広帯域単一チャープ信号を用いて送信機と受信機との間の電磁波多重経路特性に対するチャネルを推定するチャネル推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図7】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図7】
【図9】
【公表番号】特表2008−537590(P2008−537590A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556967(P2007−556967)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000453
【国際公開番号】WO2006/090986
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507227153)オーソトロン カンパニーリミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000453
【国際公開番号】WO2006/090986
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507227153)オーソトロン カンパニーリミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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