説明

チューナブルフィルタ、無線装置、受信機および送信機

【課題】チューナブルデバイスをアンテナ共用器に利用した無線機を提供する。
【解決手段】無線機200は、送信部210と受信部220とを含む。ここで、送信部210および受信部220の構成は、それぞれ、高周波信号の送信および受信を行う部分であり、具体的には、周知な構成を有する。無線機200は、さらに、送信部210とアンテナ250との間に設けられる第1のバンドリジェクトフィルタ230と、受信部220とアンテナ250との間に設けられる第2のバンドリジェクトフィルタ240とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューナブルフィルタに関し、より特定的には、このようなチューナブルフィルタを用いたアンテナ共用器の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等においては、複数の周波数帯の電波の送受信を行うためにアンテナ共用器が使用されている。
【0003】
従来は、このようなアンテナの共用のための構成には、一般には、マイクロ波領域で動作させるためには、別々にアンテナ共用器を作製し、スイッチにより切りかえる等の方式が用いられてきた。
【0004】
または、2つの分波器がそれぞれ中心周波数の異なる2つの弾性表面波フィルタで構成され、外部アンテナと接続するためのアンテナ用端子群と、外部回路と接続するための送信端子群と、外部回路と接続するための受信端子群とが配置される領域が、互いに交差することなく平面的に分離されているアンテナ分波器などが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
あるいは、ダイプレクサと、低域の周波数の信号を送受するための第1の弾性表面波フィルタと、第1の弾性表面波フィルタの送受信間を整合させる第1の移相回路と、高域の周波数の信号を送受するための第2の弾性表面波フィルタと、第2の弾性表面波フィルタの送受信間を整合させる第2の移相回路とを、弾性表面波フィルタを収納するパッケージの中に形成したものが提案されている(特許文献2)。
【0006】
なお、このようなアンテナ共用器の実現のためには、チューナブルデバイスを用いることが1つの方法である。
【0007】
ここで、チューナブルデバイスとは、外部信号(たとえば、外部からの入力電圧)に応じて、そのデバイスの所定の周波数領域(たとえば、マイクロ波領域)でのインピーダンス値を変更可能なデバイスのことをいう。
【0008】
チューナブルデバイス技術は、例えば特許文献3−5、または非特許文献1に開示されている。ただし、アンテナ共用器への応用との観点での開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−349586号公報
【特許文献2】特開2005−268878号公報
【特許文献3】特表2004−524770号公報
【特許文献4】特開2009−268122号公報
【特許文献5】特開2008−53563号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A. K. Tagantsev, V. O. Sherman, K. F. Astafiev, J. Venkatesh and N. Setter, “Ferroelectric Materials for Microwave Tunable Applications”, J. Electro-ceramics, voL11, pp. 5, 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のようなアンテナ共用器の構成では、小型化を志向したものではあるものの、一般には、素子点数が増加するために、十分な小型化が難しい、という問題があった。
【0012】
ところで、一方で、携帯電話機等の基地局等の比較的高出力の高周波無線装置では、携帯電話機そのものに比べて、高電力を扱いつつ、信号の送信と受信において、同一のアンテナを共用するためには、送信信号が受信側に、また、受信信号が送信側に漏れることを防止することが必要になる。
【0013】
しかしながら、従来のアンテナ共用器の構成では、電力ロスを低減しつつ、高いチューナビィティを両立させることが困難であるという問題があった。
【0014】
すなわち、従来、この種の装置としては半導体ダイオードが用いられていた。これはpn接合空乏層容量を電界制御するものである。また、近年はMEMS構造可変空隙構造による可変容量キャパシタを用いたRF−MEMSの研究が精力的になされている。
【0015】
ただし、1)半導体ダイオードは、pn あるいはp-i-n接合容量の電界制御による可変容量キャパシタであり、順方向リークが大きく大振幅電力入力が不可能である。また誘電損失も大きくなる。2)RF−MEMSでは、MEMSによる可動体可変容量キャパシタであり、現状では、高外部出力を達成するのが困難である。さらにMEMSでは、高外部振動環境での安定な電界高精度制御は非常に困難であり、また、そもそも素子の構成上、安定性、耐久性、信頼性の確保も難しい。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、その目的は、素子点数を減少させて、小型化が可能なチューナブルデバイスを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、高周波帯で低消費電力で高電力制御性を有するチューナブルデバイスを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、チューナブルデバイスをアンテナ共用器に利用した受信機または無線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明の一つの局面に従うと、チューナブルフィルタであって、基板と、基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを備え、各キャパシタ素子は、BST膜上に設けられ、キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、BST膜を介して第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを含む。
【0020】
好ましくは、基板は、(111)面を主面とするMgO基板であり、BST膜は基板上に直接成膜されたものであり、第1の電極および第2の電極は、BST膜上に形成されたものであり、各キャパシタ素子は、プレーナ型である。
【0021】
好ましくは、BST膜は、第2の電極上に成膜され、第2の電極はキャパシタ素子の下部電極であり、第1の電極は、キャパシタ素子の上部電極であって、各キャパシタ素子は積層型である。
【0022】
好ましくは、下部電極は、Pt電極である。
この発明の他の局面に従うと、無線装置であって、電磁波を受信するアンテナと、アンテナを介して所定の周波数帯の信号を送信するための送信器と、アンテナを介して所定の周波数帯の信号を受信するための受信器と、アンテナからの信号を受け、送信器側と受信器側とを分離するためのチューナブルフィルタを含むアンテナ共用器とを備え、チューナブルフィルタは、基板と、基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、各キャパシタ素子は、BST膜上に設けられ、キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、BST膜を介して第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、アンテナ共用器において受信信号を送信信号を分離するように、チューナブルフィルタの電圧印加手段を制御する制御回路をさらに備える。
【0023】
この発明のさらに他の局面に従うと、受信機であって、複数の周波数帯の信号を受信するアンテナと、アンテナからの信号を受けるチューナブルフィルタを含むアンテナ共用器とを備え、チューナブルフィルタは、基板と、基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、各キャパシタ素子は、BST膜上に設けられ、キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、BST膜を介して第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、アンテナ共用器からの信号を受け、複数の周波数帯のうち特定の信号を受信するようにチューナブルフィルタの電圧印加手段を制御する受信処理回路をさらに備える。
【0024】
この発明のさらに他の局面に従うと、送信機であって、無線信号を送信するアンテナと、アンテナに与える高周波信号を生成するための送信信号変調手段と、送信信号変調手段からの信号を受けるチューナブルフィルタと、チューナブルフィルタを制御するための制御手段とを備え、チューナブルフィルタは、基板と、基板上に成膜されるBST膜と、BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、各キャパシタ素子は、BST膜上に設けられ、キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、BST膜を介して第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、制御手段は、所定の周波数帯の特定の信号が透過するようにチューナブルフィルタの電圧印加手段を制御する。
【0025】
好ましくは、BST膜は、(111)配向を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明のチューナブルフィルタによれば、小型のチューナブルデバイスを実現することが可能となる。
【0027】
また、本発明のチューナブルフィルタによれば、高周波帯で低消費電力で高電力制御性を有するチューナブルデバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】携帯電話機などにおいて、複数の周波数、たとえば、f1、f2およびf3の受信信号を選択的に受信する受信機100の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】携帯電話機の基地局のように、比較的高出力の信号を送受信する無線機200の構成を示す図である。
【図3】バンドリジェクタフィルタの一例の7次バンドリジェクタフィルタ回路300の構成を示す回路図である。
【図4】図3に示した7次バンドリジェクタフィルタ回路300にSパラメータからの挿入損失のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】BSTキャパシタを用いて、フィルタを設計試作した場合の回路図の例を示す図である。
【図6】図5に示した回路についてシミュレーションした回路特性を示す特性図である。
【図7】チューナブルなローパスフィルタを用いた送信機の構成を示す図である。
【図8】BSTキャパシタの基本的な特性の概念を示す図である。
【図9】このようなBST膜を成膜するための装置構成を示す図である。
【図10】平面型のBSTキャパシタの構成の概略と、実際に作成したサンプルの上面写真を示す図である。
【図11】図10に示した平面型のBSTキャパシタの特性の、BST膜を成長させるMgO基板の結晶面依存性を示す図である。
【図12】チューナビリティのMgO基板の面方位依存性を、プレーナ型CPW線路のマイクロ波透過特性(Sパラメータ:S21挿入損失の周波数依存性)により測定した例を示す図である。
【図13】プレーナ型のキャパシタ(インターデジタル型)の印加電圧による特性のヒステリシスを評価した結果を示す図である。
【図14】Pt電極上に成膜したBST膜を用いたBST積層キャパシタの断面構造を示す図である。
【図15】図14に示したBSTキャパシタの印加電圧による特性のヒステリシスを評価した結果を示す図である。
【図16】MgO(100)面上に成長させたBST膜とMgO(111)面上に成長させたBST膜のX線回折の測定結果を示す図である。
【図17】MgO(001)面上に成膜したBST膜についてのX線回折のロッキングカーブ半値幅,Phiスキャン半値幅の膜厚依存性を示す図である。
【図18】MgO(111)面上に成膜したBST膜についてのX線回折のロッキングカーブ半値幅,Phiスキャン半値幅の膜厚依存性を示す図である。
【図19】Pt電極上に成膜しポリ結晶膜となっている場合のBST膜の粒径を、X線回折により評価した結果を示す図である。
【図20】Pt電極上に成膜しポリ結晶膜となっている場合のBST膜について、膜厚の増加による、X線回折パターンの変化を示す図である。
【図21】図20において、2theta-theta測定結果から、各回折ピークの積分強度比を導出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0030】
以下に説明するように、本発明では、高誘電率を有する(BaxSr1-x)TiO3(以下、BSTと略称する)をチューナブル強誘電体膜として用いることで、可変容量キャパシタを実現する。そして、このような可変容量キャパシタを用いて、チューナブルデバイスとしてチューナブルフィルタ回路およびアンテナ共用器を実現するものである。このようなチューナブルフィルタ回路およびアンテナ共用器は、電磁波の信号を送受信する送信機、受信機、無線装置に使用することができる。以下では、説明の簡単のために、電磁波としては、マイクロ波を例として説明することにする。ただし、電磁波の周波数は、必ずしも、マイクロ波帯に限定されるものではない。
【0031】
(アンテナ共用器の例1)
図1は、携帯電話機などにおいて、複数の周波数、たとえば、f1、f2およびf3の受信信号を選択的に受信する受信機100の構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
図1を参照して、受信機100は、複数の周波数(f1,f2,f3)の受信信号を受けるアンテナ10と、アンテナ10からの信号を増幅するための高周波アンプ12と、高周波アンプ12からの信号を選択的に透過させるためのチューナブルフィルタ14とを備える。ここで、チューナブルフィルタ14の構成については、後述するが、チューナブル強誘電体膜を用いる場合は、電圧制御により透過帯域を可変な帯域透過型フィルタを用いることができる。
【0033】
受信機100は、さらに、チューナブルフィルタ14からの出力を受けて中間周波数にダウンコンバートするためのIFダウンコンバータ16と、IFダウンコンバータ16の出力をデジタル信号に変換するためのA−D変換器18と、A−D変換器18からの信号に対する所定の復調処理(デジタル復調、復号処理等)を行いベースバンド信号を得るためのベースバンド処理回路20とを含む。IFダウンコンバータ16は、チューナブルフィルタ14で選択された周波数に対応したダウンコンバートを行うために、電圧制御発振器VCO(Voltage Control Oscillator:図示せず)によりダウンコンバート処理を行う。
【0034】
ベースバンド処理回路20は、たとえば、Si LSIにより実現される。
したがって、チューナブルフィルタ14を制御回路(図示せず)が制御することで、複数の周波数のうちから、特定の周波数の信号を選択的に受信することができる。
【0035】
(アンテナ共用器の例2)
図2は、携帯電話機の基地局のように、比較的高出力の信号を送受信する無線機200の構成を示す図である。
【0036】
図2に示すように、無線機200は、送信部210と受信部220とを含む。ここで、送信部210および受信部220の構成は、それぞれ、高周波信号の送信および受信を行う部分であり、具体的には、周知な構成を有する。
【0037】
無線機200は、さらに、送信部210とアンテナ250との間に設けられる第1のバンドリジェクトフィルタ230と、受信部220とアンテナ250との間に設けられる第2のバンドリジェクトフィルタ240とを含む。
【0038】
たとえば、受信部220については、図1の場合と同様に、アンテナ250とバンドリジェクトフィルタ240の間に設けられる受信アンプ(図示せず)で増幅されバンドリジェクトフィルタ240を通過した受信信号を受けて中間周波数にダウンコンバートするためのIFダウンコンバータ(図示せず)と、IFダウンコンバータの出力をデジタル信号に変換するためのA−D変換器(図示せず)と、A−D変換器から信号をベースバンド信号に復調する復調処理(デジタル復調、復号処理等)を行うための復調処理回路(図示せず)とを含む構成とすることができる。
【0039】
一方で、送信部210については、ベースバンド信号に対する変調処理(デジタル変調、変調処理等)を行うための変調処理回路(図示せず)と、変調処理回路の出力をD−A変換するD−A変換器(図示せず)と、D−A変換器の出力を中間周波数へアップコンバートし、この中間周波数送信信号をバンドリジェクトフィルタ230に与えるIFアップコンバータ(図示せず)と、バンドリジェクトフィルタフィルタ240の出力を増幅してアンテナ250に与える送信アンプ(図示せず)とを含む構成とすることができる。
【0040】
バンドリジェクトフィルタ(BRF:Band Reject Filter)は特定帯域の信号の通過を阻止し、それ以外の帯域の信号を通過させるためのフィルタである。たとえば、第2のバンドリジェクトフィルタ240は、送信信号が受信側に回り込み、受信を妨害することを防ぐために設けられ、同様に、第1のバンドリジェクトフィルタ230は、送信側に受信周波数を通さないために設けられる。
【0041】
したがって、無線機200には、バンドリジェクトフィルタのフィルタする周波数帯を制御する制御回路も設けられている。
【0042】
図3は、バンドリジェクタフィルタの一例の7次バンドリジェクタフィルタ回路300の構成を示す回路図である。
【0043】
図3に示すように、7次バンドリジェクタフィルタ回路300は、入力ノード310と出力ノード320との間に、直列に接続されるBST膜を誘電体膜として使用したキャパシタ(以下、「BSTキャパシタ」と呼ぶ)C12,C22,C32と、BSTキャパシタC12,C22,C32にそれぞれ並列に接続されるインダクタL12,L22,L32とを含む。
【0044】
入力ノード310とBSTキャパシタC12とは、接続ノードn11で接続され、BSTキャパシタC12とBSTキャパシタC22とは、接続ノードn21で接続され、BSTキャパシタC22とBSTキャパシタC32とは、接続ノードn31で接続され、BSTキャパシタC32と出力ノード320とは、接続ノードn41で接続される。
【0045】
7次バンドリジェクタフィルタ回路300は、さらに、接続ノードn11と接地との間に直列に接続されるインダクタンスL11およびBSTキャパシタC11と、接続ノードn21と接地との間に直列に接続されるインダクタンスL21およびBSTキャパシタC21と、接続ノードn31と接地との間に直列に接続されるインダクタンスL31およびBSTキャパシタC31と、接続ノードn41と接地との間に直列に接続されるインダクタンスL41およびBSTキャパシタC41とを含む。
【0046】
図4は、図3に示した7次バンドリジェクタフィルタ回路300にSパラメータからの挿入損失のシミュレーション結果を示す図である。
【0047】
図4においては、キャパシタンスのパラメータを変更したものも対比として示している。パラメータを適切に設定することで、たとえば、0.396GHzにおいて、入力ノードから出力ノードへの透過特性を示すS21の絶対値が−73.06dBとなっており、良好な遮断特性を示している。
【0048】
すなわち、上述した制御回路がBSTキャパシタへ適切なバイアス電圧を印加することで、所定の周波数においてバンドリジェクトフィルタとして要求されるフィルタ特性を実現できることがわかる。
【0049】
図5は、BSTキャパシタを用いて、フィルタを設計試作した場合の回路図の例を示す図である。
【0050】
図5に示すとおり、ノードRF−INより入力された信号は、一般キャパシタ素子C1、インダクタンス素子L1、一般キャパシタ素子C2、一般キャパシタ素子C3を通過してノードRF−OUTへ出力される。キャパシタ素子C1とインダクタンス素子L1との接続ノードと接地との間にBSTキャパシタ素子CV1が設けられ、キャパシタ素子C2とキャパシタ素子C3との接続ノードと接地との間にBSTキャパシタ素子CV2が設けられる。ノードCN1に直流電源を接続することで、BSTキャパシタ素子CV1、CV2に任意のバイアス電圧をかけることができる。また、バイアス電圧は可変抵抗RV1、RV2で調整可能である。
【0051】
この図5のような回路構成により、BSTキャパシタにかける電圧を変えることで、RF−OUTへ出力される波形がどのように変化するかをシミュレートすることができる。
【0052】
図6は、図5に示した回路についてシミュレートした回路特性を示す特性図である。
印加電圧を変化させて、BSTキャパシタの容量が200pFとなるように調整した場合と、82pFとなるように調整した場合とで、透過特性(SパラメータのS21)が変化しており、チューナブルなフィルタとして動作していることが確認できる。
【0053】
図6の特性により、チューナブルフィルタを用いて、ローパスフィルタを実現できることがわかる。
【0054】
図7は、チューナブルなローパスフィルタを用いた送信機の構成を示す図である。
図7(a)を参照して、送信機500は、ベースバンド信号処理回路(図示せず)からの信号を受けて、D−A変換処理を行うD−A変換器20と、D−A変換器20からの信号をアップコンバートし変調処理をするアップコンバータ・変調器22と、アップコンバータ変調器22からの高周波信号を増幅する送信アンプ24と、送信アンプ24からの信号を制御器30からの制御信号に応じた周波数をカットオフ周波数としてローパスフィルタ処理を行うチューナブルフィルタ26と、チューナブルフィルタ26からの信号を送信するためのアンテナ28とを含む。
【0055】
図7のような構成とすることで、たとえば、同一のハードウェアとして製造した送信機500を、制御器30でのソフトウェアでの制御の設定を変更するのみで、高帯域用、中帯域用、低帯域用といったように、送信帯域の異なった仕様の送信機として出荷することが可能となる。
【0056】
図7(b)は、図7(a)のチューナブルフィルタ26の構成を説明するための回路図である。マイクロ波の入力のRF−INからマイクロ波の出力のRF−OUTとの間に、インダクタンス素子L1とL2とが直接に接続される。
【0057】
入力RF−INとインダクタンス素子L1との接続ノードと接地との間に、制御信号に応じて容量の変化するBSTキャパシタ素子CV1が接続され、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2との接続ノードと接地との間に、制御信号に応じて容量の変化するBSTキャパシタ素子CV2が接続され、インダクタンス素子L2と出力RF−OUTとの接続ノードと接地との間に、制御信号に応じて容量の変化するBSTキャパシタ素子CV3が接続される。したがって、チューナブルフィルタ26は、ローパスフィルタとして動作する。
【0058】
なお、チューナブルフィルタ26の段数は、図7に示したものに限定されることなく、使用される帯域等に応じて、適宜、変更することが可能である。
【0059】
また、チューナブルフィルタ26は、用途に応じて、ローパスフィルタに限られず、帯域透過型フィルタやハイパスフィルタとすることもできる。
【0060】
(BSTキャパシタの基本的な特性と成膜方法)
図8は、BSTキャパシタの基本的な特性の概念を示す図である。
【0061】
誘電体としてBST膜を用いた場合、膜に印加される電圧に応じて、誘電率は印加電圧0Vにおいて極大を示す。
【0062】
ここで、BST膜の周波数同調性(チューナビリティ)とは、以下の式で定義される。
【0063】
【数1】

【0064】
図9は、このようなBST膜を成膜するための装置構成を示す図である。
図9に示すように、成膜装置は、RFマグネトロンスパッタリング装置である。スパッタガスとしては、ArとO2の混合ガスを用いた酸化雰囲気中で行っている。たとえば、スパッタ中のガスの流量比は、Ar:O2=90(sccm):10(sccm)である。スパッタ時のチャンバ内の圧力は、200mTorr、基板温度は700℃である。
【0065】
ターゲットとしては、(Ba0.5Sr0.5)TiO3の焼結体を用いている。生成される膜のBaとSrの組成比を変更する場合は、このターゲットの組成比を変更すればよい。ターゲット・基板間距離は90mmであり、スパッタ中にターゲット・基板間に投入されるRFパワーは、80Wである。なお、後に説明するように、基板としては、MgO基板またはSi基板上にシリコン酸化膜およびPt膜を成膜したものを使用している。
【0066】
ここで、Pt膜自身の配向は、(111)方向である。
(MgO基板上に成膜した平面型BSTキャパシタの特性)
以下では、まず、基板上に作成された平面型のBSTキャパシタの特性について説明する。
【0067】
図10は、平面型のBSTキャパシタの構成の概略と、実際に作成したサンプルの上面写真を示す図である。
【0068】
まず、図10(a)は、平面型のBSTキャパシタの構成の概略を示す図であり、図10(b)は、実際に作成したサンプルの上面写真を示す。
【0069】
図10(a)に示すように、MgO基板10上に、BST膜20を成膜したものの上に、さらにコプレーナ型の接地線32および信号線34を形成した構成(以下、「コプレナー線路(CPW:CoPlanar Waveguide)構造」)を示す図である。接地線32と信号線34との間には、DCバイアスが印加される構成となっている。
【0070】
図10(b)に示したサンプルでは、接地線32と信号線34とが対向している距離は2500μmであり、接地線32と信号線34とのギャップ(コプレーナー線路間のギャップ)は5μmである。
【0071】
図11は、図10に示した平面型のBSTキャパシタの特性の、BST膜を成長させるMgO基板の結晶面依存性を示す図である。
【0072】
まず、図11(a)は、MgO(100)面上に成膜したBST膜と、MgO(111)面上に成膜したBST膜との差動位相シフトを示す図である。
【0073】
ここで、差動位相シフトΔΦは、以下の式で表され、BST膜のチューナビリティを示す。
【0074】
【数2】

【0075】
図11(a)に示されるとおり、20GHzにおける差動位相シフトは、MgO(100)面上に成膜したBST膜では、−30.1degであるのに対して、MgO(111)面上に成膜したBST膜では、−62.5degであって、約2倍に向上している。
【0076】
また、図11(b)は、MgO(100)面上に成膜したBST膜と、MgO(111)面上に成膜したBST膜との性能指数(FOM:Figure Of Merit)を示す図である。ここで、性能指数とは、以下の式で表される。
【0077】
【数3】

【0078】
図11(b)に示されるように、同じ印加電圧30Vにおいて、MgO(111)面上に成膜したBST膜の方が、広い周波数にわたって、性能指数が高いことがわかる。
【0079】
図12は、チューナビリティのMgO基板の面方位依存性をプレーナ型のキャパシタ(インターデジタル型)により測定した例を示す図である。
【0080】
図12(a)に示すように、チューナビィティの測定は、プレーナ型のキャパシタ(インターデジタル型)により行った。電極間の対向距離は、100μmであり、電極間のギャップは5μmである。左右それぞれ5本ずつのくし型電極が、相互に対向するように配置されている。
【0081】
図12(b)に示すように、MgO(100)面上に成長させた場合のチューナビィティが17.0%のとき、MgO(111)面上に成長させた場合のチューナビィティが32.8%のとなり、ほぼ、チューナビィティは2倍に向上している。
【0082】
図13は、プレーナ型のキャパシタ(インターデジタル型)の印加電圧による特性のヒステリシスを評価した結果を示す図である。
【0083】
図13(a)に示すように、マイナス側からプラス側に電圧を印加した場合も、逆に、プラス側からマイナス側に電圧を印加した場合も、キャパシタンスの電圧依存性は同一であってヒステリシスは観測されない。
【0084】
また、図13(b)に示すように、誘電損についても、ヒステリシスは観測されない。
(Pt電極上に成膜した積層型BSTキャパシタの特性)
以上の説明は、MgO基板上に成長させたBST膜を用いたBSTキャパシタについてのものであった。
【0085】
以後は、Pt電極上に成膜したポリ結晶のBST膜を用いたBSTキャパシタの特性について説明する。成膜条件等は、MgO基板上に成膜する場合と同様である。
【0086】
まず、図14は、このように、Pt電極上に成膜したBST膜を用いたBSTキャパシタの断面構造を示す図である。
【0087】
図14に示すように、Si基板上にSiO2膜を成膜した上で、下部電極としてPt/Ti電極を、たとえば、真空蒸着法で、30nm堆積する。その上に、BST膜を成膜し、さらに、Au/Cr電極を、たとえば、真空蒸着法により成膜して、上部電極としている。
【0088】
図15は、図14に示したBSTキャパシタの印加電圧による特性のヒステリシスを評価した結果を示す図である。図15に示した例では、BSTの膜厚は、約1000nmである。
【0089】
図15(a)に示すように、マイナス側からプラス側に電圧を印加した場合も、逆に、プラス側からマイナス側に電圧を印加した場合も、キャパシタンスの電圧依存性は、ほぼ同一であってヒステリシスは、ほとんど観測されない。
【0090】
また、図15(b)に示すように、誘電損についても、ヒステリシスは観測されない。
特に、図15(a)に示すように、積層型のBSTキャパシタでは、チューナビィティが47%と、プレーナ型に比べて著しく向上している。
(MgO基板上のBST膜およびPt電極上のBST膜の結晶性の評価)
図16は、MgO(100)面上に成長させたBST膜とMgO(111)面上に成長させたBST膜のX線回折の測定結果を示す図である。
【0091】
図16(a)に示すように、MgO(100)面上に成長させたBST膜は、ランダムな配向を示す。これに対して、図16(b)に示すように、MgO(111)面上に成長させたBST膜は、(111)方向への単一な配向を示す。
【0092】
図17は、MgO(001)面上に成膜したBST膜についてのX線回折のロッキングカーブ半値幅,Phiスキャン半値幅の膜厚依存性を示す図である。
【0093】
ここで、ロッキングカーブ測定およびPhiスキャンでは、結晶の揺らぎを評価することに相当する。ロッキングカーブでは,結晶成長方向(基板垂直)の揺らぎを、Phiスキャンでは、結晶回転方向の揺らぎを評価している。これらの値が小さいほど、揺らぎの少ない、結晶方位の揃っている結晶であるといえる。
【0094】
図17に示されるように、MgO(001)面上に成膜した場合、膜厚とともに、これらの値は、一旦減少した後、さらに、膜厚を増加させると、再び、増加に転じている。
【0095】
図18は、MgO(111)面上に成膜したBST膜についてのX線回折のロッキングカーブ半値幅,Phiスキャン半値幅の膜厚依存性を示す図である。
【0096】
MgO(001)面上の場合と異なり、MgO(111)面上に成膜した場合は、膜厚とともに、これらの値は、単調に減少している。
【0097】
図19は、Pt電極上に成膜しポリ結晶膜となっている場合のBST膜の粒径を、X線回折により評価した結果を示す図である。粒径の評価は、2theta-theta測定、In-Plane測定から面垂直方向(面外),面内方向の粒径を比較した。
【0098】
図19に示されるとおり、面外、面内ともに膜厚に対する差は小さい。
図20は、Pt電極上に成膜しポリ結晶膜となっている場合のBST膜について、膜厚の増加による、X線回折パターンの変化を示す図である。
【0099】
図20に示されるように、膜厚に対して、BSTに起因する回折強度比が異なっていることが分かる。特に膜厚の増加に伴い、111回折強度の増加が著しいことから、(111)配向の体積が増加していることが分かる。
【0100】
図21は、図20において、2theta-theta測定結果から、各回折ピークの積分強度比を導出した結果を示す図である。
【0101】
図21に示されるとおり、膜厚の増加に伴い、(100)配向はほぼ一定であるのに対し、(110)配向は減少し、(111)配向は増加する傾向があることが分かる。
【0102】
以上の結果から、BSTキャパシタにおいては、結晶の配向が(111)配向である場合には、成長の下地が、MgO基板であるか、Pt電極であるかに関らず、チューナビリティの向上に寄与することが示唆される。すなわち、図21に示されるように、BST膜について、(111)配向の体積比が優位となる膜厚では、図15に示したとおり、チューナビリティの向上が認められる。
【0103】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
10 アンテナ、12 高周波アンプ、14 チューナブルフィルタ、16 ダウンコンバータ、18 変換器、20 ベースバンド処理回路、30 制御器、32 接地線、34 信号線、100 受信機、200 無線機、210 送信部、220 受信部、230 第1のバンドリジェクトフィルタ、240 第2のバンドリジェクトフィルタ、250 アンテナ、300 次バンドリジェクタフィルタ回路、310 入力ノード、320 出力ノード、C11,C12,C21,C22,C31,C32,C41 キャパシタ、CN1 ノード、L11,L21,L31,L41 インダクタンス、L12,L22,L32 インダクタ、n11,n21,n31,n41 接続ノード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューナブルフィルタであって、
基板と、
前記基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、
前記BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを備え、
各前記キャパシタ素子は、
前記BST膜上に設けられ、前記キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、
前記BST膜を介して前記第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、前記キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、
前記第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを含む、チューナブルフィルタ。
【請求項2】
前記基板は、(111)面を主面とするMgO基板であり、前記BST膜は前記基板上に直接成膜されたものであり、
前記第1の電極および前記第2の電極は、前記BST膜上に形成されたものであり、
各前記キャパシタ素子は、プレーナ型である、請求項1記載のチューナブルフィルタ。
【請求項3】
前記BST膜は、前記第2の電極上に成膜され、前記第2の電極は前記キャパシタ素子の下部電極であり、
前記第1の電極は、前記キャパシタ素子の上部電極であって、各前記キャパシタ素子は積層型である、請求項1記載のチューナブルフィルタ。
【請求項4】
前記下部電極は、Pt電極である、請求項3記載のチューナブルフィルタ。
【請求項5】
電磁波を受信するアンテナと、
前記アンテナを介して所定の周波数帯の信号を送信するための送信器と、
前記アンテナを介して所定の周波数帯の信号を受信するための受信器と、
前記アンテナからの信号を受け、前記送信器側と前記受信器側とを分離するためのチューナブルフィルタを含むアンテナ共用器とを備え、
前記チューナブルフィルタは、
基板と、
前記基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、
前記BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、
各前記キャパシタ素子は、
前記BST膜上に設けられ、前記キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、
前記BST膜を介して前記第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、前記キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、
前記第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、
前記アンテナ共用器において受信信号を送信信号を分離するように、前記チューナブルフィルタの前記電圧印加手段を制御する制御回路をさらに備える、無線装置。
【請求項6】
複数の周波数帯の信号を受信するアンテナと、
前記アンテナからの信号を受けるチューナブルフィルタを含むアンテナ共用器とを備え、
前記チューナブルフィルタは、
基板と、
前記基板上に成膜され、(111)配向を有するBST膜と、
前記BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、
各前記キャパシタ素子は、
前記BST膜上に設けられ、前記キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、
前記BST膜を介して前記第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、前記キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、
前記第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、
前記アンテナ共用器からの信号を受け、前記複数の周波数帯のうち特定の信号を受信するように前記チューナブルフィルタの前記電圧印加手段を制御する受信処理回路をさらに備える、受信機。
【請求項7】
無線信号を送信するアンテナと、
前記アンテナに与える高周波信号を生成するための送信信号変調手段と、
前記送信信号変調手段からの信号を受けるチューナブルフィルタと、
前記チューナブルフィルタを制御するための制御手段とを備え、
前記チューナブルフィルタは、
基板と、
前記基板上に成膜されるBST膜と、
前記BST膜上に、入力される電磁波に対して所定の帯域のフィルタとして機能するように設けれた複数のインダクタ素子および複数のキャパシタ素子とを含み、
各前記キャパシタ素子は、
前記BST膜上に設けられ、前記キャパシタ素子の第1の端子として機能する第1の電極と、
前記BST膜を介して前記第1の電極との間でキャパシタを構成するように設けられ、前記キャパシタ素子の第2の端子として機能する第2の電極と、
前記第1および第2の電極間にバイアス電圧を印加するための電圧印加手段とを有し、
前記制御手段は、所定の周波数帯の特定の信号が通過するように前記チューナブルフィルタの前記電圧印加手段を制御する、送信機。
【請求項8】
前記BST膜は、(111)配向を有する、請求項7記載の送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図4】
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【図10】
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【図12】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−142805(P2012−142805A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294569(P2010−294569)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人科学技術振興機構、「産学共同シーズイノベーション化事業 顕在化ステージ」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【出願人】(502365829)株式会社大日電子 (6)
【Fターム(参考)】