説明

チューブにフレア端部を形成するための方法及び装置

フレキシブルなチューブにフレア端部を形成する方法に於いて、前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱し、前記フレキシブルチューブの前記加熱された端部を、フレア成形部を備えたフレア成形ダイ中に挿入し、前記フレキシブルチューブの前記端部内にマンドレルを突入させ、前記フレキシブルチューブの前記端部にフレア端部を圧力成形する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フレキシブル或いは剛固なチューブは、継手又は別のチューブに接続するために、成形された端部を有する場合がある。フレキシブルなチューブは、フレキシブル又は剛固なチューブ或いは継手に接続するために、例えばフレア端部を有する場合がある。フレア端部を有するチューブは、ブッシングおよび(または)ナットを用いることなく接続することが可能である。フレア端部の内径は、別のチューブ又は継手の外径を受容し或いは接続されるべく、その寸法が定められる。剛固なチューブの端部は、フレア端部をなすものでも、フランジ端部をなすものであっても良い。
【0002】
フレキシブルなチューブの場合、コールドフレア工具又は加熱フレア工具を用いてフレア端部が形成される。コールドフレア工具は、端部をフレア端部とするために圧力のみを用いる。加熱フレア工具は、チューブの端部を不均一に加熱し、チューブ内に挿入されたフレア型を用いてフレア端部を成形する。これらの方法により形成されたフレア端部は、チューブの弾性記憶のために、通常の温度及び圧力下に於いて、その形状を失う場合がある。剛固なチューブの場合、例えば、圧力成形装置により、端部をフランジ形状とすることができる。
【発明の開示】
【0003】
本発明に基づくフレキシブルなチューブにフレア端部を形成する方法は、前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱する過程と、前記フレキシブルチューブの前記加熱された端部を、フレア成形部を備えたフレア成形ダイ中に挿入する過程と、前記フレキシブルチューブの前記端部内にマンドレルを突入させ、前記フレキシブルチューブの前記端部にフレア端部を圧力成形する過程とを有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
上記したような或いは他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した以下の記載から自ずと明らかになろう。尚、以下の記述及び図面において、同様の部分には同様の符号を付した。
【0005】
圧力成形されたフレア端部を有するチューブは、フレキシブルチューブを、チューブ、パイプまたは継手に接続するために利用される。図1は、嵌合部(継手)3に装着されるべきフレア端部2を有するフレキシブルチューブ1の実施例を示す。継手を固定するための嵌合部3に設けられたねじ5に螺合するようなナット4を用いることができる。フレキシブルチューブ1のフレア端部の内側輪郭6は、嵌合部3の嵌合端8の外面の輪郭7に適合するべく形成されている。フレキシブルチューブ1は、その内径9が、フレキシブルチューブの内面が嵌合部3の内面部12に装着されるような嵌合部3の部分の内径10に適合するように選択され、これにより継手の内面に沿って連続した面が提供されることにより、リークの可能性を低減し、あるいは継手の不具合を回避することができる。実施例においては、フレアは、45度の角度をなし、かつ0.060インチの半径を有する。
【0006】
圧縮フレア成形システムの実施例が図2に示されている。このフレア成形システムは、ヒータ20及びフレア成形装置40を含む。ヒータ20は、フレキシブルチューブの端部にフレアを圧力成形する準備段階として、フレキシブルチューブの全周を接触により均一に加熱する接触ヒータをなす。ヒータは、図示されない加熱要素と、加熱構造21と、コントローラ22とを有する。加熱要素は、加熱構造21と熱接触するもので、例えば加熱構造21における図示されない熱伝達チャンバ内に挿入された複数の電気加熱されるべきバレル式の抵抗加熱要素を含むものであって良い。この目的に適する抵抗性加熱要素の例としては、平坦な端部を有し、外径が約5/8インチであって約4インチの長さを有するものがある。コントローラ22は、加熱要素を制御することにより加熱構造21を所望の温度に加熱する。これに代わる他の適切な加熱装置を用いることもできる。他の適宜な加熱要素としては、加熱構造21を外囲するブランケット式の加熱要素がある。
【0007】
加熱構造21は、チューブ端を接触加熱可能に受容する加熱受容部23を有する。加熱構造21は、複数の加熱受容部23−27を有するものであって良い。各加熱受容部は、異なる径を有するチューブの端部を受容し加熱するべく適合されている。図示された実施例では、加熱構造は、1/4インチ、3/8インチ、1/2インチ、3/4インチ及び1インチの径を有するチューブを受容し加熱するべく適合された加熱受容部23−27を備えている。加熱構造21は、ニッケル−ポリマーのコーティングがなされたアルミニウムからなるものであって良い。ニッケル−ポリマーのコーティングは、チューブが加熱受容部の面に付着するのを防止し、アルミニウムの酸化によりチューブ端が汚染されるのを防ぐことができる。加熱構造のための他の適切なコーティングとしては、上記に代えてテフロンすなわちPTFEを用いることもできる。
【0008】
フレア成形装置40により形成されるべきチューブの端部は、チューブ端を成形する前に加熱受容部23−27に挿入されて加熱される。適切な寸法を備えた受容部に挿入されたチューブ端は、加熱により膨張し、受容部内にしっかりと保持される。チューブは、加熱受容部内のチューブの全長に渡って、またチューブを全周に渡って加熱受容部の内面231と均一に接触する。この接触加熱により、フレアが形成されるべきチューブの領域の全体に渡ってチューブの全周を均一に加熱することができる。均一な加熱を行うことにより、フレアを再現性良く成形することが可能となる。
【0009】
チューブ受容部に挿入されたチューブは、受容部23の端部に設けられたチューブストッパ232に至るまでチューブ受容部内に挿入される。チューブストッパ232は、成形加工に適するようなチューブ端の所望の長さに渡って加熱されるように選択される。これにより、チューブ端部は、再現性良く、予定通りまた所望の長さに渡って所望の温度に加熱されることになる。チューブは、少なくともフレアが形成されるべき長さに渡って加熱される。チューブ端は、形成されるフレアの長さよりも長い長さに渡って加熱することもできる。チューブの種類によっては、フレアされるべき領域を約10〜15パーセントを超える長さに渡って加熱し、場合によってはフレアが形成されるべき領域の約30パーセントを超える長さに渡って加熱する場合もある。チューブの寸法及び肉厚によっては、フレアを形成するべき領域を越えて加熱することにより、成形されるべきチューブの端部に圧入されるマンドレルの力が、大部分チューブの軸性方向に伝達されることにより、チューブがアコーディオン状につぶれる場合があり、この力は本来チューブの端部にフレアが形成されるように概ね半径方向外向きに伝達されるべきものである。図示された実施例では、1/4インチの径を有し、肉厚が約0.047インチであるチューブが用いられており、この場合フレアされるべきチューブ端部の長さを約0.047インチ超える長さに渡って加熱することができる。フレアが形成されるべき部分をどの程度超えてチューブを加熱するべきかは、チューブの径に依存する。それ以外のファクターとしてはチューブの材料、チューブの肉厚、チューブ端部を加熱する温度及びチューブの壁のつぶれをどの程度防止したいかなどがある。
【0010】
フレアに形成されるべきチューブの端部は、チューブを構成する材料の融点よりもわずかに低い温度にまで加熱される。チューブの端部が完全に軟化し、変形容易となり、成形に適する状態となるような融点に近い状態までチューブの材料が加熱される。フレアによる接続部を構成するべく予熱されるフレキシブルチューブとして適するものとしては、PFA(perfluoroalkoxy),FEP(fluoroethyl propylene)あるいはPVDF(polyvinyldene fluoride)などのプラスチック材料などがある。フレアを圧縮成形する前に、フレキシブルチューブを予熱するのに適する温度範囲は、PFAの場合480−520°F、FEPの場合390−440°F、PVDFの場合240−300°Fである。
【0011】
加熱構造21はフレアが形成されるべきチューブを挿入する前に所定の温度に加熱される。チューブは、それを所望の温度に加熱するのに十分な時間に渡って加熱受容部内に放置される。加熱の時間は、少なくとも約30秒以上である。加熱の目標温度及び加熱時間は、使用されるチューブの肉厚、チューブ端が形成されるべき目的およびチューブを構成する材料の特性などに依存する。均一な接触加熱を行うことにより、非均一な加熱方法に比較してホット時間を大幅に短縮することができるが、これは特定の用途に関わるパラメータにも依存する。ホット時間とは、チューブ端の温度が高い状態に保たれる時間である。
【0012】
形成されるべきチューブ端が加熱された後に、チューブ端は加熱受容部23から取り出され、フレア成形装置40に移される。ヒータ20及びフレア成形装置40は、互いに隣接して配置されていると良く、それによってヒータから取り出されたチューブは、ヒータからフレア成形装置に移される間に、適切なフレア成形過程が実行されるのに十分な熱を保持できるようにするとよい。
【0013】
図示された実施例におけるチューブ成形装置40は、チューブ受容部41、マンドレル及びマンドレルプレス(図2には示されず)を有する。チューブ受容部41は、クランプ部分及びチューブ端成形部分を有する。チューブ受容部41は、フレア成形ダイ42に設けられているとよい。フレア成形ダイは、複数の部分からなる。図2に於いて、図示されたフレア成形ダイ42は、上側半分43及び下側半分44を有する。両半分は、互いに押し付けられることにより、チューブ受容部のクランプ部分によりチューブをクランプすることにより固定し、フレア成形部分をフレア成形位置に配置することができる。両半分は、手動レバー45により互いに押し付けられる。図示された実施例では、レバー45は、レバー45の回転運動をフレア成形ダイ42の上側半分43の直線運動に変換し、チューブ受容部を、チューブ端を受け入れ或いは取り外し可能とするように開くことができる。
【0014】
チューブ成形装置40は、フレア成形ダイ42に設けられた複数のチューブ受容部41、46−49を有する。チューブ受容部は、チューブ端ヒータの加熱受容部の寸法及び形状に対応する寸法及び形状を有するチューブの端部を成形するべくその寸法及び形状が定められている。レバー50は、そのストロークにより、チューブ端を圧縮することによりフレアが形成されるように、マンドレルプレスを駆動するために設けられる。図示された実施例では、レバーは、その回転運動をマンドレルプレスの直線運動に変換し、マンドレルがチューブの端部に押し込まれ、フレアを形成するようになっている。
【0015】
図3は、本実施例のフレア成形装置40の断面図を示す。フレア成形装置40は、複数のチューブ受容部41、46−49を備えたフレア成形ダイ42を有する。各チューブ受容部は、クランプ部61及びフレア成形部62を有する。チューブ受容部のフレア成形部62は、例えば、形成されるべきフレアの外形に適合する輪郭を有する。フレア成形部40は、形成されるべきフレアの内側輪郭に適合する輪郭52を備えたマンドレル51と、そのマンドレルをチューブの端部に押し込むためのマンドレルプレス60とを有する。形成されるべきフレアの内側輪郭は、図1に示されるように対応する継手3の外側輪郭7に適合する。
【0016】
クランプ部61におけるチューブ受容部の径は、受容部に受容されるべきチューブの外径よりも小さい。例えば、チューブの外径よりも約8ないし10パーセント小さい。例えば、図2に示されるように、レバー45の運動によりフレア成形ダイの両部分が互いに閉じられると、チューブ受容部のより狭いクランプ部がチューブを圧縮し、マンドレルがチューブに圧入されるときにマンドレルにより及ぼされる力に対してチューブを固定する。図4に示された実施例では、チューブ受容部のクランプ部61は、チューブに対する損傷を回避するようにクランプ力を加えられたチューブが膨らみ或いは変形するためのスペースを提供するような切欠部64を有する。成形装置に挿入されたチューブ端は、クランプ部に位置するチューブの部分が、フレア形成のための所望の温度に加熱されておらず、従ってクランプ部により保持されているチューブの部分が永久変形を行わないように所定の長さに渡ってあらかじめ加熱される。
【0017】
図3に示された実施例では、フレア成形装置は複数のマンドレル51、53−56を有する。各マンドレルは、カラー57を有する。マンドレル51はマンドレルプレス60内に配置される。カラー57は、マンドレルプレスからマンドレルに加えられた力を伝達し、マンドレルが、フレア成形を行うべくチューブ内に押し込まれるようにする。図3に示された実施例では、マンドレル51はマンドレルプレス60に固着されている。他のマンドレル53−56は、マンドレルプレス60の凹部59内にばね58によりばね支持される。図5A、5Bについてさらに詳しく述べるように、フレア加工されるべきチューブの端部を挿入する際に、マンドレルの移行斜面部分71が、チューブストッパとして機能する位置に配置されるように、各マンドレルが取り付けられる。実施例に於いては、ばね支持されたマンドレルは、固着された1インチマンドレル51に対して、3/4インチマンドレル53の場合には0.050インチ前方に、1/2インチマンドレル56の場合には0.100インチ前方に、3/8インチマンドレル55の場合には0.150インチ前方に、1/4インチマンドレル54の場合には0.200インチ前方に配置される。
【0018】
図示された実施例では、フレア成形ダイ及び又はマンドレルは、成形されるべきフレキシブルチューブの端部を構成する材料に対して不活性な材料からなる。これにより、チューブの汚染を回避することができ、これは用途によっては望ましいことである。図示された実施例では、フレア成形ダイ及びまたはマンドレルは、かなりの熱容量を有し、高い熱伝導率を有する材料からなる。これにより、フレア形成の間にチューブ端が冷却するのを回避し、マンドレルをフレア成形位置に於いて前方に押し付ける時間を低減し、チューブの端部が、フレア形状を保つような状態に到達する時間を短縮することができる。図示された実施例では、フレア成形ダイ及びマンドレルはステンレス鋼を含む。
【0019】
図3に示された実施例では、ラム64が、図2におけるレバー50などにより加えられた力を、ラムロッド65を介してマンドレルプレス60に向けて横方向に伝達する働きを行う。或いは、油圧システムまたはモーターシステムを利用してラム64に力を加えることもできる。ラムロッド65は、ガイド構造67を通過するようにガイド66によりガイドされる。フレア成形過程において、マンドレルプレスが、マンドレルの受容部内のチューブの端部内に押し込むのに十分なストロークをもって変位し、加熱されたチューブの端部を変形させ、加熱されかつ変形したチューブの端部にフレアが形成されるのに十分な圧力を加える。フレアを適切に形成するためにマンドレルが変位するべき距離、或いはフレア成形距離は、チューブの寸法や、形成されるべきフレアの形状や、チューブストッパの所望の位置などに応じて異なる。異なるサイズのマンドレルをばね支持することにより、特定のマンドレルプレスの変位に対して、異なるマンドレルが異なるフレア成形距離に渡って変位することが可能となる。例えば、マンドレル51は、プレスの1ストロークの間の変位と同一の距離に渡って変位する。マンドレル53は、マンドレルプレスが変位する初期段階においては、チューブが移行斜面部分に当接した状態で静止状態にある。マンドレルプレスの変位に応じてばね58が圧縮し、最終的にはマンドレルプレス60の前面がカラー57に当接する。その時に、カラー57はラムからの横方向の力をマンドレルに伝達し、マンドレルをチューブの端部内に押し込み、フレアが形成される。フレア成形ダイ42、マンドレルプレス60及びマンドレル51、53−56は、各マンドレルが各チューブ受容部に於いて、適切なサイズのチューブが所望のフレア形状を形成するように、それぞれ所望の距離変位するように設計される。
【0020】
図5A及び5Bに示された実施例では、あらかじめ加熱されたチューブの端部80がチューブ受容部内に配置される。チューブ端80はチューブ受容部のフレア成形部内に延出する。チューブ端80は、フレアの形成に先立ってフレア成形部の端部をわずかに超える位置まで延出するものであってよい。(図5A)。チューブストッパ71を、チューブが所望のフレア成形位置で停止するように設けることができる。チューブストッパは、例えばマンドレル51の移行斜面部分71に設けることができる。図5Aにおいて、チューブ81は、チューブ端部80がマンドレル51の移行斜面部分に衝当するまでチューブ受容部47内に挿入される。マンドレル51は、チューブ成形装置が待機位置にあるときには、チューブストッパが所望位置にあるように配置される。フレア成形ダイの上半分43は、チューブ受容部内にチューブ端を挿入容易とするために持ち上げられる。チューブが所望位置に配置された後、フレア成形ダイの上半分43が下げられ、チューブをフレア成形ダイのクランプ部61によりクランプする。フレアが形成された後に、上半分が持ち上げられ、チューブ端を容易にチューブ受容部から取り外し得るようにする。
【0021】
チューブ受容部のフレア成形部の輪郭63は、形成されるべきフレアの外周の輪郭を有する。フレア成形マンドレル51は、加熱されたチューブ端部80内に向けて所要のストローク72(図5B)をもって押し込められ、チューブ端81を所望のフレア形状に圧縮する。チューブは、チューブ受容部47のクランプ部61により、マンドレルの横方向の運動に対して保持される。マンドレルの輪郭73は、形成されるべきフレアの内周の輪郭であって、形成されるべきフレアが嵌め合うべきフレア継手(図1)の端部の輪郭に適合するように設計される。チューブのフレア領域に於いては、チューブの肉厚が、成形前の厚さに対して10−20パーセント減少する。フレアの形成により、チューブ端の長さが短縮し、フレアが形成された後にはチューブ端80はチューブ受容部47内に引き込まれた状態となる(図5B)。
【0022】
マンドレルは、チューブの端部をフレア形状に圧縮成形するのに十分な圧力をもってチューブ端部内に圧入される。図示された実施例では、マンドレルは、カムの作用によりマンドレルがフレア成形部分においてロックされるまでレバーによる手動の圧力によりチューブ内に押し込まれる。マンドレルは、チューブ端にフレアを形成するのに十分な力をもって、またフレアがその形成された形状を保持するのに十分な程度に冷却されるのに十分な時間をもって保持される。マンドレルは例えば、少なくとも1分又は65秒の時間に渡ってフレア成形部分に保持される。マンドレルは、約10ないし15ポンドの力をもって保持されるが、これは特定の用途におけるパラメータに依存する。
【0023】
予熱を行うと共にフレアを圧力成形することにより、広い範囲の作動温度においてそのフレア形状を、長時間に渡って維持するような安定したフレアを形成することが可能となる。圧力成形されたフレアは、冷間成形されたフレアや、熱成形/非圧縮成形されたフレアに比較してより高い温度においてより長時間に渡ってその形状を維持することができる。冷間成形されたフレアや、熱成形/非圧縮成形されたフレアは、例えば200°F以上の温度に加熱されたときにその成形前の形状に戻ってしまうことがある。例えば、PFA、FEP、PVDFの場合、圧力成形されたフレアは、場合によっては200°Fを超える温度に於いてもその形状を維持することができる。
【0024】
チューブに形成されたフレア端部は、外側フレア内周、内側チューブ内周及び外側フレア内周から内側チューブ円周に至る内側傾斜輪郭を有する。外側フレア内周は、チューブが、緊密に、かつシール可能に嵌合するべき継手の外周に適合するように形成される。フレアの傾斜輪郭は、チューブが、嵌合するべき継手の端部の外側輪郭に適合するように形成される。内側チューブ内周は、チューブが、嵌合するべき継手の端部の内周に適合するように形成される。チューブが嵌合するべきフレアの外周、チューブ端輪郭及び内周に対して、外側フレア内周、内側チューブ円周及び外側フレア内周を適合させることにより、緊密なシールを達成することができる。フレアが設けられたチューブが嵌合するべき継手が、一定のサイズ及び形状に成形されたものであれば、フレア成形装置は、成形された継手に対して、安定した嵌合状態を達成し得るフレア接続部を形成することができる。緊密な嵌合状態は、接続部の内孔を円滑に接続し、システム内の乱流の発生を抑制し、リークや、継手の故障の可能性を低減することができる。緊密な嵌合状態は、コールドフローと呼ばれる、界面の不整合性や適合不良のフレアに起因する過度な締め付けによる継手及び又はチューブのフレア端部の変形を防止し、ポケットと呼ばれる継手及び又はチューブのフレア端部の界面に於ける空隙を最小化或いは除去することができる。圧縮成形されたフレア接続部は、継手とチューブとの間の完全な接続部を形成し、継手とフレアとの間の少なくとも90−95%の面接触を達成することができる。
【0025】
複数の異なる形状のチューブ受容部を備えたチューブ端成形装置に於いて、チューブ受容部の入口にロックアウト装置を設けることができる。ロックアウト装置は、チューブが不適切なサイズの受容部内に挿入されるのを防止することができる。製造現場に於いて、多数の同一のサイズのチューブの端部を、他のサイズの受容部を用いることなく、次々に成形することが望まれる。チューブの端部を成形する前に、他のサイズの受容部のロックアウト装置を作動させておくことにより、オペレータが、チューブを、不適切なサイズの受容部内に誤って挿入するの防止することができる。これにより、製造誤りを低減させ、製造効率を向上させることができる。ロックアウト装置は、チューブ受容部の少なくとも入口部分に選択的に配置されるべき構造を有するものであって良い。図6に示された実施例では、ロックアウト装置は、細長い開口92を有するロックアウト構造90を有する。ロックアウト構造90は、開口92に挿通されたねじ94によりチューブ受容部47の入口93の外側の位置に固定され、或いはねじ94により受容部47の入口93の前方の位置に固定されるものであって良い。図6に示されたロックアウト装置は、フレア成形ダイの片半分、例えばフレア成形ダイの下半分44に取り付けられたものであって良い。ロックアウト装置は、チューブ受容部の入口をブロックすることが可能な他の任意の構造からなるものであって良い。
【0026】
ばね支持されたマンドレル(図3の53−56)は、セットねじ即ちボルトにより、固着されたマンドレル(図3の51)から所定の距離前方の位置に取り付けられている。図7は、マンドレルプレス60に配置されたマンドレル53を示す。マンドレル53は、マンドレルプレス60の凹部59及びマンドレル53の凹部532内に設けられたばね58によりばね支持されている。ばね58は圧縮され、マンドレル53に対して離反する向きの付勢力を及ぼす。セットねじ601即ちボルトは、マンドレルプレス60内に捩じ込まれ、更にマンドレルプレスの底部に向けて捩じ込まれる。
【0027】
セットねじ601の端部が、マンドレル53の凹部532内に突入する。この凹部532は、スロットをなしているものであって良い。スプリング58のばね力により、凹部532の後部壁がセットねじ601の端部に当接するまで、マンドレルを押し出す。マンドレル53が待機位置にあるときに、マンドレル53の移行斜面部がチューブストッパとして機能するように、マンドレル53が適切に位置決めされるように、セットねじ601及び凹部532の寸法が定められ、配置されている。マンドレルプレスが、チューブの端部にフレアを形成するようなストロークをもって前進したときに、セットねじ601が凹部532の前部壁に当接することが無いように、凹部532即ちスロットの長さが定められる。図示された実施例では、セットねじ601即ちボルトは、凹部532内に、約0.100インチの長さをもって突入する。このボルトは、0.190インチの直径を有し、凹部532が、約0.200インチの幅を有するスロットからなるものであって良い。スロットは、少なくともボルトの直径に、マンドレルプレスが1ストローク中に変位する距離を加えた長さを有するものであって良い。
【0028】
本発明を特定の実施例について記述してきたが、当業者であれば、本発明の概念及び技術範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に関して様々な変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】フレキシブルチューブのフレア端及び継手の対応嵌合部の実施例を示す断面図である。
【図2】フレキシブルチューブの端部にフレアを形成するためのフレア成形システムの実施例を示す。
【図3】フレア成形装置の実施例を示す断面図である。
【図4】フレア成形ダイのチューブ受容部の実施例のクランプ部の実施例を示す断面図である。
【図5A】待機位置にあるチューブ受容部及びマンドレルの実施例を示す断面図である。
【図5B】フレア成形位置にあるチューブ受容部及びマンドレルの実施例を示す断面図である。
【図6】チューブ受容部ロックアウト装置の実施例を備えたフレア成形ダイの下半分の実施例を示す。
【図7】マンドレルプレスに配置されたマンドレルの実施例を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルなチューブにフレア端部を形成する方法であって、
前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱する過程と、
前記フレキシブルチューブの前記加熱された端部を、フレア成形部を備えたフレア成形ダイ中に挿入する過程と、
前記フレキシブルチューブの前記端部内にマンドレルを突入させ、前記フレキシブルチューブの前記端部にフレア端部を圧力成形する過程とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱する前記過程が、前記端部の外周を均一に接触加熱することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱する前記過程が、前記端部を少なくとも約30秒間加熱することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の接触加熱受容部を備えたヒータを提供する過程と、前記チューブの端部を、前記接触加熱受容部の1つに挿入する過程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フレア成形ダイのクランプ部に前記チューブをクランプする過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フレキシブルチューブの端部を、前記チューブ受容部の1つに、チューブストッパに達するまで挿入する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブストッパが、前記マンドレルの移行斜面部を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フレキシブルチューブの前記端部内に、前記マンドレルをフレア成形部に至るまで突入させ、前記フレキシブルチューブの前記端部にフレア端部を圧力成形する過程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マンドレルを、フレア形状を保持するようなフレアが形成されるのに十分な時間に渡って前記フレア成形部内に放置する過程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マンドレルを、少なくとも約60秒間に渡って前記フレア成形部内に放置する過程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記フレキシブルチューブの前記端部に装着されるべき継手の外側輪郭に適合するような内側輪郭を有するフレア形状を前記フレキシブルチューブの前記端部に圧力成形する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ヒータと、フレア成形ダイと、マンドレルとを有することを特徴とするフレキシブルなチューブにフレア端部を形成するためのシステム。
【請求項13】
前記ヒータが、前記端部の外周を均一に接触加熱するべく適合された接触加熱受容部を備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ヒータが、前記接触加熱受容部を備えたヒータ構造と、前記ヒータ構造と熱接触するヒータ要素と、前記ヒータ構造を所望の温度に加熱するように前記ヒータ要素を制御するコントローラとを有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ヒータ構造が複数の前記接触加熱受容部を備えていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の接触加熱受容部が、複数のサイズのフレキシブルチューブ端部を受容するべく適合された加熱受容部を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記フレア成形ダイが、クランプ部及びフレア成形部を含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記フレア成形部が複数のチューブ受容部を含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
複数のマンドレルを有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
マンドレルプレス上に配置された複数のマンドレルを有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記マンドレルプレス上にばね支持された少なくとも1つの第1のマンドレルを有することを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記マンドレルプレス上に固定支持された第2のマンドレルを有することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ヒータが、特定の複数のサイズのフレキシブルチューブ端部を受容し、接触加熱するべく適合された接触加熱受容部を有し、
前記フレア成形ダイが、前記特定の複数のサイズのフレキシブルチューブ端部を受容するべく適合されたチューブ受容部を有し、
前記マンドレルが、前記特定の複数のサイズのフレキシブルチューブ端部にフレア端部を形成するべく適合された複数のマンドレルの1つをなすことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項24】
前記マンドレルプレス上にばね支持された第1のマンドレル及び前記マンドレルプレス上に固定支持された第2のマンドレルを有することを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1のマンドレル及び前記第2のマンドレルが、前記マンドレルプレスが待機位置にあるとき、それぞれチューブストップ位置にあることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1のマンドレル及び前記第2のマンドレルが、前記マンドレルプレスがフレア成形行程を実行するときに、それぞれフレア成形距離に渡って変位することを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
チューブ受容部ロックアウト部を有することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
請求項1に記載の方法により形成されたフレア端部を有するフレキシブルチューブ。
【請求項29】
前記フレキシブルチューブ端部の内側輪郭が、前記フレキシブルチューブ端部に装着されるべき継手の外側輪郭に適合することを特徴とする請求項28に記載のフレキシブルチューブ。
【請求項30】
前記フレキシブルチューブが、PFA、PVDF及びFEPのいずれかを含むことを特徴とする請求項28に記載のフレキシブルチューブ。
【請求項31】
外側輪郭を有する継手と、前記継手に係合する、圧力成形されたフレア端部を有するフレキシブルチューブとを有し、前記圧力成形されたフレア端部が、前記継手の前記外側輪郭に適合する内側輪郭を有することを特徴とするフレキシブルチューブアセンブリ。
【請求項32】
前記フレキシブルチューブが、PFA、PVDF及びFEPのいずれかを含むことを特徴とする請求項31に記載のフレキシブルチューブアセンブリ。
【請求項33】
フレキシブルなチューブにフレア端部を形成する方法であって、
前記フレキシブルチューブの端部を、融点近傍の温度に加熱する過程と、
前記フレキシブルチューブの前記加熱された端部を、フレア成形ダイの第1の部分に設けられたチューブ受容部の第1の部分に挿入する過程と、
前記フレア成形ダイの第2の部分に設けられた前記チューブ受容部の第2の部分をフレア成形位置に移動し、前記チューブ受容部のクランプ部に前記チューブをクランプする過程と、
前記フレキシブルチューブの前記端部内にマンドレルを突入させる過程と、
前記フレキシブルチューブの前記端部に、該端部が所望の温度に冷却するのに十分な時間に渡って、フレア端部を圧力成形する過程と、
前記マンドレルを抜き出し、前記フレア成形ダイの前記第1の部分を、前記フレア成形ダイの前記第2の部分から引き離す過程と、
前記フレキシブルチューブの前記端部を、前記フレア成形ダイから取り出す過程とを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−537054(P2007−537054A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518889(P2006−518889)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021839
【国際公開番号】WO2005/007389
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505473592)
【氏名又は名称原語表記】HAYES, Frank, F., Jr.
【住所又は居所原語表記】1712−M, Newport Circle, Santa Ana, CA92605, U.S.A.
【出願人】(505473606)
【氏名又は名称原語表記】CRIST, Paul, E.
【住所又は居所原語表記】34771 County Road 22, Woodland, CA95695, U.S.A.
【Fターム(参考)】