説明

チューブ容器

【課題】 本発明は、ラベルの縁部に異物が付着し難く、さらに、ラベルがチューブ本体から浮き上がり難いチューブ容器を提供する。
【解決手段】 本発明のチューブ容器1は、中空状の胴部2の一端部に注出部31が形成され且つ前記胴部2の他端部に熱溶着閉塞部32が形成されたチューブ本体3と、前記チューブ本体3に巻き付けられて貼付されたラベル5と、を有し、前記ラベル5が、オレフィン系エラストマーを含むホットメルト型接着剤を介して、前記チューブ本体の胴部に貼付されており、前記ホットメルト型接着剤のMFRが、3〜50g/10minである。好ましくは、前記ラベル5の下端部5dが、前記チューブ本体3の熱溶着閉塞部32よりも上方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルがチューブ本体に貼付されたチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、練り歯磨き粉、洗顔用品、化粧品、ゲル状医薬品などの流動性充填物が、柔軟なチューブ容器に充填されている。
該チューブ容器の表面には、文字や絵柄などのデザインが表示されている。このデザインの表示方法として、チューブ容器の表面に直接デザイン印刷又は箔転写(所謂、ホットスタンプ)を施すことが知られている。しかしながら、この方法を用いる場合には、印刷インキや箔を安定的に貼着させるため、チューブ容器の表面に、特殊なコーティング層を形成しなければならない。また、この方法を用いた場合、インキや箔が剥がれ落ち易い。
このような問題点を解消するため、下記のような2つの方法が知られている。
【0003】
第1の方法は、デザインを表示した熱収縮性筒状ラベルを、チューブ本体に熱収縮装着する方法である(特許文献1を参照)。
第2の方法は、デザインを表示したラベルを、感圧粘着剤を介して、チューブ本体に巻き付けて貼付する方法である(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3310343号公報
【特許文献2】特許第3510350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記第1の方法によって得られたチューブ容器は、筒状ラベルとチューブ本体とが一体でない。このため、チューブ本体と筒状ラベルの間に、水やゴミなどの異物が入り込み易いという問題点がある。さらに、チューブ容器を使用しているうちに、筒状ラベルに皺が生じるため、チューブ容器の外観も悪くなる。
【0006】
一方、上記第2の方法によって得られたチューブ容器は、巻き付けラベルとチューブ本体とが感圧粘着剤を介して一体化されている。
しかしながら、このチューブ容器は、巻き付けラベルの縁部から出た感圧粘着剤に埃などの異物が付着し易く、その外観が損なわれるおそれがある。
さらに、通常、感圧粘着剤が塗工されたラベルは、離型紙上に仮貼付されて提供される。この離型紙の表面は、微細な凹凸を有するので、感圧粘着剤の層の表面が、凹凸状となる。この凹凸に起因して、感圧粘着剤の層の透明性が低下するため、上記巻き付けラベルが貼付されたチューブ容器の外観が損なわれるおそれがある。
【0007】
加えて、感圧粘着剤は、耐水性に劣るので、上記チューブ容器は、水に濡れることによってラベルが剥がれるおそれがある。
また、一般に、チューブ本体は、ポリプロピレンなどのポリオレフィンで形成されている。ポリオレフィン製のチューブ本体の表面は、化学的安定性に優れているため、感圧粘着剤とチューブ本体の接着性は必ずしも良好ではない。このため、チューブ容器を使用しているうちに、巻き付けラベルがチューブ本体から浮き上がるおそれがある。
【0008】
本発明の第1の目的は、ラベルの縁部に異物が付着し難く、さらに、ラベルがチューブ本体から浮き上がり難い、良好な外観を有するチューブ容器を提供することである。
本発明の第2の目的は、ラベルの縁部に異物が付着し難く、さらに、耐水性に優れ、ラベルがチューブ本体から浮き上がり難い、良好な外観を有するチューブ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のチューブ容器は、中空状の胴部の一端部に注出部が形成され且つ前記胴部の他端部に熱溶着閉塞部が形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の胴部に巻き付けられて貼付されたラベルと、を有し、前記ラベルが、オレフィン系エラストマーを含むホットメルト型接着剤を介して、前記チューブ本体の胴部に貼付されており、前記ホットメルト型接着剤のMFRが、3〜50g/10minである。
【0010】
上記本発明のチューブ容器は、ラベルがホットメルト型接着剤を介してチューブ本体に接着されている。ホットメルト型接着剤は、室温では接着性を示さないので、上記チューブ容器は、ラベルの縁部に異物が付着するおそれがない。また、ホットメルト型接着剤が設けられたラベルは、離型紙に仮貼付する必要がないので、ホットメルト型接着剤層の表面平滑性を維持できる。このため、透明性に優れたラベルを構成することができ、チューブ容器の外観も良好となる。
さらに、オレフィン系エラストマーを含み且つMFRが3〜50g/10minのホットメルト型接着剤は、接着後、凝集破壊を生じ難く、チューブ本体の表面に対して良好に接着し得る。このため、上記チューブ容器は、その使用時にチューブ本体が変形しても、ラベルがチューブ本体から剥がれ難くなる。
【0011】
本発明の好ましいチューブ容器は、前記ホットメルト型接着剤が、エチレン系共重合体及びオレフィン系エラストマーを含み、前記エチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーの質量比が30:70〜70:30である。
かかるホットメルト型接着剤を用いることにより、水が付着してもラベルが剥がれにくくなる。よって、水が付着する前及び水が付着した後においてもラベルがチューブ本体に接着し、耐水性にも優れたチューブ容器を提供できる。かかるチューブ容器は、水周り場所で使用されても、ラベルが剥がれるおそれがない。
【0012】
本発明の他の好ましいチューブ容器は、前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記オレフィン系エラストマーが前記エチレン系共重合体よりも多く含まれている。
かかるホットメルト型接着剤を用いることにより、水が付着する前及び水が付着した後においても、ラベルがチューブ本体に強く接着し、極めて耐水性に優れたチューブ容器を提供できる。
【0013】
本発明の他の好ましいチューブ容器は、前記ラベルの下端部が、前記チューブ本体の熱溶着閉塞部よりも上方に位置している。
チューブ本体の熱溶着閉塞部は、加熱しながらチューブ本体の他端部を押圧することによって形成される。この熱溶着閉塞部にラベルが重なっていると、前記熱溶着閉塞部の形成時に、ホットメルト型接着剤がラベルの縁から押し出されるおそれがある。
上記他の好ましいチューブ容器は、ラベルの下端部が熱溶着閉塞部よりも上方に位置しているので、ラベルの下端部において、ホットメルト型接着剤が押し出されて少なくなることはない。よって、上記他の好ましいチューブ容器は、ラベルの下端部がチューブ本体から剥がれ難くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチューブ容器は、ラベルの縁部に異物が付着し難く、さらに、ラベルがチューブ本体から剥がれ難いので、良好な外観を有する。
また、本発明の好ましいチューブ容器は、ラベルが水に濡れても接着剤が剥がれ難いので、特に水周り場所で好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】1つの実施形態に係るチューブ容器の正面図。
【図2】図1のII−II線で切断した一部省略端面図。
【図3】図1のIII−III線で切断した一部省略端面図。
【図4】1つの実施形態に係るラベルの平面図。
【図5】図4のV−V線で切断した断面図。
【図6】他の実施形態に係るラベルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図3において、チューブ容器1は、中空状の胴部2及び注出部31を有するチューブ本体3と、前記チューブ本体3の注出部31に取り付けられるキャップ4と、前記チューブ本体3の胴部2に巻き付けられ、ホットメルト型接着剤を介して貼付されたラベル5と、を有する。
【0017】
チューブ本体3の胴部2は、柔軟性のある円筒中空状に形成されている。その胴部2の長手方向一端部には、注出部31が形成されている。注出部31は、胴部2の一端部から突設された円筒状(胴部2よりも小径の円筒状)の部分であり、その外周面に雄ネジ部が形成されている(雄ネジ部は、図示せず)。この注出部31の雄ネジ部に、キャップ4が着脱自在に取り付け可能である。
【0018】
上記胴部2の長手方向他端部には、熱溶着閉塞部32が形成されている。この熱溶着閉塞部32は、胴部2の他端部を扁平状に押し潰し、その内面同士を熱溶着した部分である。熱溶着閉塞部32によって、胴部2の他端部が閉塞されている。なお、図1において、熱溶着閉塞部32を網掛けで表している。
【0019】
チューブ本体3の胴部2及び注出部31は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系などの合成樹脂の成形品で形成されている。オレフィン系樹脂で形成されたチューブ本体3は、柔軟性、スクィーズ性に優れているので好ましい。
なお、胴部2と注出部31は、一体的に形成されている。胴部2は、柔軟とするために、樹脂厚を薄く形成されており、注出部31は、比較的硬くするために、樹脂厚を厚く形成されている。
【0020】
上記ラベル5は、図4に示すように、チューブ本体3の胴部2の周囲に巻き付けることができる平面視略矩形状に形成されている。
ラベル5は、基材51と、デザイン層52と、ラベル5の最内面に設けられたホットメルト型接着剤層53と、を有する。
【0021】
1つの実施形態では、デザイン層52は、図5に示すように、基材51の内面に設けられる。この場合、ホットメルト型接着剤層53は、デザイン層52の内面に設けられる。
他の実施形態では、デザイン層52は、図6に示すように、基材51の外面に設けられる。この場合、ホットメルト型接着剤層53は、基材51の内面に設けられる。この他の実施形態の場合、デザイン層52を保護するため、デザイン層52の外面にオーバーコート層54を設けることが好ましい。
なお、ラベル5は、ラベル5の最内面にホットメルト型接着剤層53が設けられていれば、上記各層構成に限られず、様々な態様に変更可能である。
【0022】
ラベル5の基材51は、特に限定されず、合成樹脂製シート、紙、合成紙、金属蒸着シート、発泡樹脂シートなどのシートが挙げられる。また、基材51は、前記シートが2以上積層された積層シートでもよい。
好ましくは、基材51は、合成樹脂製シートが用いられる。該合成樹脂製シートは、非熱収縮性シート(例えば、2軸延伸シート)でもよいし、熱収縮性シートでもよい。ホットメルト型接着剤を活性化させるときに加える熱によって、ラベル5が収縮し難いことから、上記合成樹脂製シートは、非熱収縮性シートが好ましい。
【0023】
合成樹脂製シート等の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。これらの中では、基材51は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系のシートが好ましい。前記好ましいシートを有する基材51は、比較的柔軟であり、且つ伸張し易い。このため、ラベル5がチューブ本体3の変形に追従し易く、ラベル5がチューブ本体3から剥がれ難くなる。
【0024】
基材51は、透明又は不透明の何れでもよいが、透明性に優れているものが好ましい。透明性に優れた基材51は、好ましくは、その全光線透過率が80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0025】
上記透明性に優れた基材51は、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。
また、基材51の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10μm〜50μmである。かかる厚み範囲の基材51は、程度な柔軟性と腰を有しているので、チューブ容器1内の充填物を良好に絞り出すことができる。
【0026】
デザイン層52は、従来公知の印刷法によって形成される。該印刷法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、オフセット印刷法などが挙げられる。なお、デザイン層52は、箔転写法(ホットスタンプなど)によって形成されていてもよい。
【0027】
ホットメルト型接着剤層53は、ホットメルト型接着剤を基材51などの上に塗工することによって形成される。
ホットメルト型接着剤層53の厚みは、特に限定されないが、余りに薄い場合には、ラベル5がチューブ本体3に十分に接着せず、余りに厚い場合には、ラベル5とチューブ本体3との段差が大きくなる。これらを考慮をすると、ホットメルト型接着剤層53の厚みは、10μm〜30μmが好ましい。
感熱接着剤としては、ホットメルト型接着剤以外に、ディレードタック型感熱接着剤、固体可塑剤を含まないエマルジョン型感熱接着剤などがあるが、ディレードタック型感熱接着剤やエマルジョン型感熱接着剤は、厚く塗工できないので、ラベルをチューブ本体に接着するための十分な接着強度を得ることができない。この点、ホットメルト型接着剤を用いれば、比較的厚い層を形成することができるので、ラベル5をチューブ本体3に十分な接着強度を以て接着できる。
【0028】
ホットメルト型接着剤は、常温で接着性を示さず、加熱することによって接着可能となる性質を有する接着剤である。また、ホットメルト型接着剤は、加熱溶融によって塗工できる接着剤である。ホットメルト型接着剤は、例えば、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどの装置を用いて塗工し得る。
【0029】
ホットメルト型接着剤のMFR(メルトフローレート)は、余りに低すぎると、チューブ本体3と接着剤の密着性が低下し、余りに高すぎると、接着剤の流動性が高く、凝集破壊を生じるおそれがある上、ホットメルトコーターなどで塗工するので、接着剤の透明性が損なわれる場合がある。
従って、ホットメルト型接着剤のMFRは、3g/10min〜50g/10minであり、好ましくは3g/10min〜40g/10minであり、より好ましくは13g/10min〜40g/30minである。かかるMFR範囲のホットメルト型接着剤を用いることにより、接着後、接着剤自体が凝集破壊を起こし難く、ラベル5がチューブ本体3から剥がれ難くなる。
なお、上記MFRは、JIS K 7210(試験温度190℃、荷重2.16kg)に準じて測定される値である。
【0030】
ホットメルト型接着剤は、例えば、ベースポリマーと粘着付与剤とを含み、必要に応じて、ワックス、安定剤、改質剤などの各種添加剤を含む。
ベースポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体などのエチレン系共重合体;オレフィン系ポリマー;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのスチレン系、エチレン−αオレフィンなどのオレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;などが挙げられる。ベースポリマーは、1種単独で又は2種以上併用できる。
【0031】
本発明のホットメルト型接着剤は、ベースポリマーとして、エチレン−αオレフィンなどのオレフィン系エラストマーを含む。ホットメルト型接着剤にオレフィン系エラストマーが含まれていることにより、該ホットメルト型接着剤を介してラベル5をチューブ本体3に接着したときに、ラベルが剥がれにくくなる。特に、チューブ本体3がポリオレフィン系の合成樹脂から形成されている場合、前記ホットメルト型接着剤を用いることにより、チューブ本体3の表面への接着強度が高くなり、ラベル5がより剥がれにくくなる。
さらに、ホットメルト型接着剤は、ベースポリマーとして、好ましくはエチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーとを含み、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体とオレフィン系エラストマーとを含む。かかるホットメルト型接着剤は、比較的低い温度(130℃以下)で接着可能な状態になる。
【0032】
ベースポリマーが、エチレン系共重合体(好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体)とオレフィン系エラストマーとを含む場合、その含有比は特に限定されない。好ましくは、エチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーの質量比が、30:70〜70:30であり、より好ましくは同30:70〜60:40であり、特に好ましくは同33:67〜50:50である。前記エチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーが前記質量比の範囲内のホットメルト型接着剤は、水が付着する前及び水が付着した後における接着強度に優れ、ラベル5がチューブ本体3から剥がれにくくなる。
また、ベースポリマーが、エチレン系共重合体(好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体)とオレフィン系エラストマーとを含む場合、オレフィン系エラストマーがエチレン系共重合体よりも多く含まれていることが好ましい。オレフィン系エラストマーの配合量が相対的に低くなると耐水性が低下する。
【0033】
粘着付与剤(タッキファイヤー)としては、例えば、ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらの誘導体、樹脂酸ダイマーなどのロジン系樹脂;テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂などのテルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系などの石油樹脂;フェノール樹脂などが挙げられる。粘着付与剤は、1種単独で又は2種以上併用できる。
【0034】
上記ラベル5は、チューブ本体3の胴部2の周方向に巻き付けられ、ホットメルト型接着剤層53を介して、貼付されている。
上記ラベル5は、胴部2の周方向の全体に巻き付けられていてもよいし、或いは、胴部2の周方向の一部に巻き付けられていてもよい。好ましくは、ラベル5は、図1に示すように、胴部2の周方向全体に巻き付けられる。
胴部2の周方向全体にラベル5が巻き付けられる場合、該ラベル5の巻付始端部5aの側縁と巻付終端部5bの側縁が当接していてもよいし、或いは、ラベル5の巻付始端部5aと巻付終端部5bが重ねられていてもよい。
好ましくは、ラベル5は、図2に示すように、その巻付始端部5aと巻付終端部5bが重なるように胴部2に巻き付けられる(例えば、ラベル5の巻付始端部5aの上に、巻付終端部5bが接着される)。
【0035】
上記巻付始端部5aと巻付終端部5bの重ね合わせ部分の幅(重ね合わせ部分の、胴部2の周方向における長さ)は、特に限定されないが、1mm〜5mmが好ましい。
このように重ね合わせ部分を設けることにより、チューブ本体3に巻き付けたラベル5が剥離することを防止できる。
上記ホットメルト型接着剤を介して接着されたラベル5は、チューブ本体3の表面に対して、接着強度3N/15mm以上で接着し得る。
一方、上記巻付始端部5aと巻付終端部5bの重ね合わせ面における接着強度は、ラベル5のチューブ本体3の表面に対する接着強度よりも大きい。ポリオレフィン製のチューブ本体3は、表面の化学的安定性に優れているからである。上記ホットメルト型接着剤を用いれば、前記重ね合わせ面は、接着強度5N/15mm以上で接着し得る。
よって、ラベル5の端部が捲れ難くなり、ラベル5がチューブ本体3から剥がれることを防止できる。
ただし、上記接着強度は、下記実施例のように、JIS Z 0237に準じて測定できる。
【0036】
また、上記ラベル5の上端部5cは、図1に示すように、チューブ本体3の肩部33よりも僅かに下方に位置していることが好ましい。ラベル5の上端部5cが、チューブ本体3の肩部33を越えると、ラベル5の上端部5cに皺が生じるからである。
【0037】
一方、上記ラベル5の下端部5dは、チューブ本体3の熱溶着閉塞部32に重なるように位置していてもよいし、或いは、熱溶着閉塞部32よりも上方に位置していてもよい。
好ましくは、ラベル5は、図1及び図3に示すように、その下端部5dが熱溶着閉塞部32よりも上方に位置するように胴部2に巻き付けられる。
【0038】
ここで、上記チューブ容器1の製造手順を簡単に説明する。
ラベル5のホットメルト型接着剤層53を約110℃〜140℃に加熱して、ホットメルト型接着剤を活性化させる(接着性を生じるようにゲル化させる)。次に、このラベル5を、他端部が開口した状態のチューブ本体3の胴部2に巻き付け、ホットメルト型接着剤を介して接着する。この際、ラベル5の上端部5cをチューブ本体3の肩部33よりも下方に配置し、且つラベル5の下端部5dをチューブ本体3の他端部よりも上方に配置すると共に、ラベル5の巻付始端部5aの上に巻付終端部5bを所定幅重ね合わせることにより、ラベル5を胴部2に巻き付ける。
最後に、170℃〜190℃に加熱された熱コテを用いて、チューブ本体3の他端部を扁平状に押圧することによって、チューブ本体3の他端部の開口を閉塞する(すなわち、熱溶着閉塞部32を形成する)。
【0039】
上記のようにして形成される熱溶着閉塞部32に、ラベル5の下端部5dが重なっていると、上記熱溶着閉塞部32を形成するための熱コテの押圧によって、ホットメルト型接着剤がラベル5の下端部5dの縁から押し出されるおそれがある。
この点、ラベル5の下端部5dが熱溶着閉塞部32よりも上方に位置する上記好ましい態様によれば、ラベル5の下端部5dにおいて、ホットメルト型接着剤が押し出されて少なくなることはない。このため、ラベル5の下端部5dがチューブ本体から剥がれ難いチューブ容器1を提供できる。
【0040】
上述のように、ホットメルト型接着剤は室温では接着性を示さない。このため、上記本発明のチューブ容器1は、ラベル5の縁部に異物が付着するおそれがない。また、室温で接着性を示さないホットメルト型接着剤が設けられたラベルは、離型紙に仮貼付する必要がない。このため、ホットメルト型接着剤層53の表面を平滑状とすることができ、透明性に優れたラベルを構成できる。
さらに、ホットメルト型接着剤は、チューブ本体3の表面に対して良好に接着し得るので、上記チューブ容器1は、ラベル5がチューブ本体5から浮き上がり難くなる。
よって、本発明によれば、良好な外観を有するチューブ容器1を提供できる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明のチューブ容器の実施例を挙げる。ただし、本発明のチューブ容器は、下記実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
30質量部のエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名:ウルトラセン750)及び45質量部のオレフィン系エラストマー(ダウ社製、商品名:ENGAGE8137。このオレフィン系エラストマーは、エチレン−オクテン共重合体である)の混合物からなるベースポリマーに、25質量部の粘着付与剤(ヤスハラケミカル(株)製、商品名:クリアロンP115)を加え、更に、少量のポリエチレンワックス、ステアリン酸アミド等の添加剤をメルトブレンドし、水中にてペレット状にカットし、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
かかるホットメルト型接着剤ペレットのMFR(JIS K 7210に準じて測定。試験温度190℃、荷重2.16kg)は、16g/10minであった。
【0043】
30μmのOPPフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:パイレンP2161)の内面(この面にはコロナ処理が施されている)に紫外線硬化型インキ((株)T&K TOKA製、商品名:500シリーズ)を用いて印刷を行った。この印刷面上にエクストルージョンラミネーターを用い、上記ホットメルト型接着剤ペレットを溶融押し出し、前記フィルム上に厚み25μmのホットメルト型接着剤層を形成した。このフィルムを幅125mmに裁断し、ラベル連続体を作製した。
このラベル連続体をラベラーを用いて長さ125mmに裁断して、1枚のラベルを得た。このラベルを、ラベラー中でコロナ処理を施したチューブ本体(肉厚480μm、高密度ポリエチレン製、表面張力48dyne/cm)に、その巻付始端部上に巻付終端部がオーバーラップするように貼り付けた。なお、ラベルの貼付条件は、貼付押圧力0.1MPa、接着剤の加熱温度130℃、装着速度60本/分で行った。
このようにして、チューブ容器を複数個作製した。
【0044】
上記のようにして得られたチューブ容器について、ラベルの接着強度を測定した(JIS Z 0237に準じて測定。90°剥離、剥離速度300mm/min)。
その結果、オーバーラップにおける接着部(対OPPフィルム面同士)の接着強度は、9.47N/15mm、チューブ本体に対するラベル接着部の接着強度は、6.95N/15mmであった。
また、得られたチューブ容器を、常温水(25℃)に24時間浸漬した後、同様にして接着強度を測定したところ、オーバーラップにおける接着部の浸水後接着強度は、8.87N/15mm、チューブ本体に対するラベル接着部の浸水後接着強度は、6.27N/15mmであった。
【0045】
また、上記チューブ容器について、次の方法で対スクイズ性を評価した。
対スクイズ性は、上記接着強度試験を行わなかったチューブ容器を使用し、該チューブ容器の中央部を外側から手で50回揉んだ後、ラベルの状態を目視観察して、ラベルの浮きなどを評価した。その結果を表に示す。なお、表中、「○」は、「ラベルの浮きや皺がない」、「△」は、「ラベルの端部に幅5mm未満の浮きが発生」、「×」は、「ラベルの端部に幅5mm以上の浮きが発生」をそれぞれ意味する。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
[実施例2]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を26質量部に及びオレフィン系エラストマーを49質量部にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例2に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、14g/10minであった。
【0049】
次に、実施例2に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表1に示す。
【0050】
[実施例3]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を40質量部に及びオレフィン系エラストマーを35質量部にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例3に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、21g/10minであった。
【0051】
次に、実施例3に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表1に示す。
【0052】
[実施例4]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を49質量部に及びオレフィン系エラストマーを26質量部にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例4に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、25g/10minであった。
【0053】
次に、実施例4に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表1に示す。
【0054】
[実施例5]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を22質量部に及びオレフィン系エラストマーを53質量部にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例5に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、12g/10minであった。
【0055】
次に、実施例5に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表2に示す。
【0056】
[実施例6]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を53質量部に及びオレフィン系エラストマーを22質量部にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例6に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、34g/10minであった。
【0057】
次に、実施例6に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表2に示す。
【0058】
[実施例7]
エチレン−酢酸ビニル共重合体をエチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー(株)製、商品名:NUC6570)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この実施例7に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、14g/10minであった。
【0059】
次に、実施例7に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表2に示す。
【0060】
[比較例]
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名:ウルトラセン750)をエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名:ウルトラセン727。この共重合体のMFRは約2200である)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ホットメルト型接着剤ペレットを作製した。
この比較例に係るホットメルト型接着剤ペレットのMFR(試験方法は、実施例1と同様)は、57g/10minであった。
【0061】
次に、比較例に係るホットメルト型接着剤ペレットを使用して、実施例1と同様にして、チューブ容器を作製し、この接着強度及び浸水後の接着強度、並びにスクイズ性を測定した。
その結果を表2に示す。
【0062】
以上の結果から、比較例は、オーバーラップにおける接着部の接着強度が3.99であり、そのチューブ本体に対するラベル接着部の接着強度が2.97であった。従って、水が付着する前の接着強度について、比較例は、実施例1〜7に比して非常に劣っていた。この原因は、比較例のホットメルト型接着剤のMFRが50を超えていることに起因すると推定される。
また、実施例5及び6は、水が付着する前の接着強度が3以上であり、対スクイズ性も良いが、浸水後の接着強度が、実施例1〜4及び7に比して劣っている。この原因は、実施例5のエチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーの質量比が29:71で、実施例6のエチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーの質量比が71:29であることに起因すると推定される。
さらに、実施例1及び2は、水が付着する前及び水が付着した後の何れにおいても、非常に高い接着強度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のチューブ容器は、練り歯磨き粉、洗顔用品、化粧品、ゲル状医薬品などの流動性充填物を充填するための容器として使用できる。
【符号の説明】
【0064】
1…チューブ容器、2…胴部、3…チューブ本体、31…注出部、32…熱溶着閉塞部、4…キャップ、5…ラベル、5a…ラベルの巻付始端部、5b…ラベルの巻付終端部、5c…ラベルの上端部、5d…ラベルの下端部、51…基材、52…デザイン層、53…ホットメルト型接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の胴部の一端部に注出部が形成され且つ前記胴部の他端部に熱溶着閉塞部が形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の胴部に巻き付けられて貼付されたラベルと、を有するチューブ容器において、
前記ラベルが、オレフィン系エラストマーを含むホットメルト型接着剤を介して、前記チューブ本体の胴部に貼付されており、
前記ホットメルト型接着剤のMFRが、3〜50g/10minであることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記ホットメルト型接着剤が、エチレン系共重合体及びオレフィン系エラストマーを含み、前記エチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーの質量比が30:70〜70:30である請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記オレフィン系エラストマーが前記エチレン系共重合体よりも多く含まれている請求項2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記ラベルの下端部が、前記チューブ本体の熱溶着閉塞部よりも上方に位置している請求項1〜3のいずれかに記載のチューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−195402(P2010−195402A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38819(P2009−38819)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】