説明

チューブ式の加熱バーナ及びそれを備えた加熱装置

【課題】ラジアントチューブ内部が高圧の状態になった場合であっても、適切にそのラジアントチューブ内部の高圧力を外部に逃してラジアントチューブ又はバーナ本体の損傷を防止できるチューブ式の加熱バーナ、及び、ラジアントチューブが固定される炉壁等の構成部材の損傷を防止できる加熱装置を提供する。
【解決手段】ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナ本体部とラジアントチューブとが接続される状態で備えられ、前記バーナ本体部が、供給されるガス燃料を供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスを前記ラジアントチューブに供給し、且つ、そのラジアントチューブから排出される前記燃焼ガスを外部に排出するように構成されたチューブ式の加熱バーナ、及び、そのチューブ式の加熱バーナを備えた加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるチューブ式の加熱バーナは、例えば、金属溶解炉、熱処理炉等の工業炉の熱源として用いられるものであり、バーナ本体部とラジアントチューブとが接続される状態で備えられて、バーナ本体部が、供給されるガス燃料を供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスを前記ラジアントチューブに供給し、且つ、そのラジアントチューブから排出される前記燃焼ガスを外部に排出するように構成されている。
そして、このようなチューブ式の加熱バーナを、加熱対象空間とその外部とを区画する区画壁としての炉壁に、ラジアントチューブを加熱対象空間としての炉内に位置させる状態で設置することにより、加熱対象空間を加熱する加熱装置が構成されることになる。
【0003】
かかるチューブ式の加熱バーナとして、一端側が閉塞され、他端側が開口されたラジアントチューブを備え、そのラジアントチューブの開口側の端部にバーナ本体部を接続させた、いわゆるシングルエンド型のチューブ式の加熱バーナがある。
このシングルエンド型のチューブ式の加熱バーナは、バーナ本体部に、燃料供給路から供給されるガス燃料を燃料噴出孔に供給する燃料路と、給気ファンにより空気供給路に供給される燃焼用酸素含有ガスを空気吐出口に供給する空気路と、ラジアントチューブから還流してくる燃焼ガスを外部に排出する排気路を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
又、かかるチューブ式の加熱バーナの別の例として、両端が開口されたW字状のラジアントチューブの両端部にバーナ本体部を接続させて、それら一対のバーナ本体部を交互に燃焼させるようにした、いわゆる交番燃焼型のチューブ式の加熱バーナがある。
この交番燃焼型のチューブ式の加熱バーナは、バーナ本体部に、供給されるガス燃料をガスノズルに供給する燃料供給路と、給気用送風機により供給される燃焼用酸素含有ガスを供給する給気状態とラジアントチューブから還流してくる燃焼ガスを外部に排出する排気状態とに切換えられる給排管路とを備えて構成されている。
ちなみに、この交番燃焼型のチューブ式の加熱バーナは、一般に、給排気路に、排気状態において排出される燃焼ガスの熱を蓄熱し、給気状態において蓄熱した熱にて燃焼用酸素含有ガスを予熱する蓄熱体を装備して、いわゆる蓄熱交番燃焼型のチューブ式の加熱バーナとして構成されることが多い(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−279001号公報
【特許文献2】特許第4007835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなチューブ式の加熱バーナにおいては、例えばガス燃料の不完全燃焼や不着火の発生等により、ラジアントチューブ内にガス燃料が充満して、その充満したガス燃料が急激に燃焼する、いわゆる爆発が発生する可能性が皆無であるとは言えない。
そして、このような爆発が生じると、ラジアントチューブの内部がかなりの高圧となることに起因して、ラジアントチューブ或いはバーナ本体部が損傷する虞がある。
【0007】
ちなみに、シングルエンド型のチューブ式の加熱バーナにおいては、バーナ本体部に排気路が設けられ、交番燃焼型のチューブ式の加熱バーナにおいては、給排気路が設けられているから、上記のような爆発が発生した際には、排気路や給排気路を通して燃焼ガスが排出されるものとなるが、そのような排気路や給排気路は、通路自体が狭く、また、給排気路には蓄熱体が設けられていること等により、気体の通過抵抗が大であり、ラジアントチューブ内部の高圧力をその外部に逃すことができないものである。
【0008】
そして、チューブ式の加熱バーナを備えた加熱装置において、上記した爆発が発生すると、ラジアントチューブの破損により加熱対象空間の内部も高圧になり、その圧力のために加熱対象空間を区画する区画壁を損傷する等、加熱対象空間に付随して存在する構成部材を損傷する虞がある。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラジアントチューブの内部で爆発が発生しても、ラジアントチューブ及びバーナ本体部の損傷を防止できるチューブ式の加熱バーナを提供することにある。
又、本発明の別の目的は、ラジアントチューブの内部で爆発が発生しても、加熱対象空間に付随して存在する構成部材の損傷を防止できる加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るチューブ式の加熱バーナは、バーナ本体部とラジアントチューブとが接続される状態で備えられ、前記バーナ本体部が、供給されるガス燃料を供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスを前記ラジアントチューブに供給し、且つ、そのラジアントチューブから排出される前記燃焼ガスを外部に排出するように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記ラジアントチューブ内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段が設けられている点にある。
【0011】
すなわち、圧力逃し手段が、ラジアントチューブ内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口されることになる。
つまり、例えばガス燃料の不完全燃焼や不着火の発生等により、ラジアントチューブ内にガス燃料が充満して、その充満したガス燃料が急激に燃焼する、いわゆる爆発が発生すると、その爆発によってラジアントチューブの内部が高圧になるが、そのようにラジアントチューブの内部が高圧になると、その圧力にて圧力逃し手段が外部と連通する状態に開口することになり、その開口よってラジアントチューブ内に発生した圧力を外部に逃すことができる。
【0012】
そして、圧力逃し手段が開口することになる設定圧力を、ラジアントチューブ及びそのラジアントチューブに接続されたバーナ本体部が損傷する虞のある圧力未満になるように設定することにより、ラジアントチューブ内部の圧力がラジアントチューブ及びバーナ本体部を損傷させる虞がある圧力以上になることを回避して、ラジアントチューブ及びバーナ本体部が損傷することを抑制することができる。
【0013】
したがって、本発明のチューブ式の加熱バーナの第1特徴構成によれば、ラジアントチューブの内部で爆発が発生しても、ラジアントチューブ及びバーナ本体部の損傷を防止できる。
【0014】
本発明に係るチューブ式の加熱バーナの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記ラジアントチューブと前記バーナ本体部との間に、前記ラジアントチューブ内と連通する筒状部が設けられ、前記圧力逃し手段が、前記筒状部に設けられている点にある。
【0015】
すなわち、ラジアントチューブとバーナ本体部との間に、ラジアントチューブ内と連通する筒状部が設けられ、圧力逃し手段がその筒状部に設けられているから、ラジアントチューブ内部に発生した圧力を筒状部に設けられている圧力逃し手段から外部に逃すことが可能となる。
【0016】
そして、本来的に別体として構成されているバーナ本体とラジアントチューブとの間に、圧力逃し手段が設けられている筒状部を備えさせるものであるから、大幅な改造を行うことなく、筒状部を備えさせることができるものであり、本来構成を有効利用した簡素な構成にて圧力逃し手段を設置することが可能となる。
【0017】
従って、本発明のチューブ式の加熱バーナの第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、簡素な構成にて圧力逃し手段を設置することができる。
【0018】
本発明に係るチューブ式の加熱バーナの第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記圧力逃し手段が、前記ラジアントチューブに接続される状態で設けられている点にある。
【0019】
すなわち、圧力逃し手段がラジアントチューブに接続される状態で設けられているから、ラジアントチューブ内部に発生した圧力をラジアントチューブに接続された圧力逃し手段から外部に逃がすことができるものとなる。
【0020】
そして、ラジアントチューブに接続された圧力逃し手段には、ラジアントチューブの内部の圧力を直接的に導くことができるものとなるから、圧力逃し手段をラジアントチューブ内の圧力にて的確に開口させることができるものとなる。
【0021】
従って、本発明のチューブ式の加熱バーナの第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、圧力逃し手段をラジアントチューブ内の圧力にて的確に開口させることができる。
【0022】
本発明に係るチューブ式の加熱バーナの第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記圧力逃し手段が、前記ラジアントチューブの内部と連通する状態で前記ラジアントチューブに接続された連通管に設けられている点にある。
【0023】
すなわち、ラジアントチューブの内部と連通する状態でラジアントチューブに接続された連通管に、圧力逃し手段が設けられているから、ラジアントチューブの内部に発生した圧力をラジアントチューブに接続された連通管に設けられた圧力逃し手段から外部に逃がすことができるものとなる。
【0024】
そして、このように構成されたチューブ式の加熱バーナを、加熱対象空間の加熱のために設置するにあたり、加熱対象空間の内部に位置させるラジアントチューブに接続された連通管を、加熱対象空間の区画形成用の区画壁を通して外部に延出させるようにすれば、ラジアントチューブの内部に発生した圧力を加熱対象空間の外部に逃すことができるものとなり、区画壁等の加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止するのに有効となる。
【0025】
従って、本発明のチューブ式の加熱バーナの第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止するのに有効となる。
【0026】
本発明に係る加熱装置の第1特徴構成は、上記第2特徴構成を備えたチューブ式の加熱バーナが、加熱対象空間内に位置させる前記ラジアントチューブを前記加熱対象空間の区画形成用の区画壁に固定する状態で、且つ、前記筒状部を前記区画壁の外部に位置させる状態で設けられている点にある。
【0027】
すなわち、ラジアントチューブが加熱対象空間の区画形成用の区画壁に固定され且つ加熱対象空間内に位置する状態で設けられ、且つ、筒状部が区画壁の外部に位置させる状態で設けられているから、ラジアントチューブの内部に発生した圧力を、区画壁の外部に位置する筒状部に備えさせた圧力逃し手段にて加熱対象空間の外部に逃すことができるものとなり、区画壁等の加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止することができるものとなる。
【0028】
従って、本発明の加熱装置の第1特徴構成によれば、加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止することができる。
【0029】
本発明に係る加熱装置の第2特徴構成は、上記第4特徴構成を備えたチューブ式の加熱バーナが、加熱対象空間内に位置させる前記ラジアントチューブに接続された前記連通管を前記加熱対象空間の区画形成用の区画壁を通して外部に延出させる状態で設けられている点にある。
【0030】
すなわち、加熱対象空間内に位置させるラジアントチューブに接続された連通管が、加熱対象空間の区画形成用の区画壁を通して外部に延出させる状態で設けられているものであるから、ラジアントチューブの内部に発生した圧力を、連通管を通して区画壁の外部に導いて、加熱対象空間の外部に逃すことができるものとなり、区画壁等の加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止することができるものとなる。
【0031】
従って、本発明の加熱装置の第2特徴構成によれば、加熱対象空間に付随する構成部材の損傷を防止することができる。
【0032】
本発明に係る加熱装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記連通管が、前記ラジアントチューブを前記区画壁に対して支持する支持体に兼用されている点にある。
【0033】
すなわち、連通管が、ラジアントチューブを区画壁に対して支持する支持体に兼用されているものであるから、ラジアントチューブを区画壁に対して支持する支持体と連通管との双方を備える場合に較べて、構成の簡素化を図ることができる。
説明を加えると、ラジアントチューブを区画壁に固定する場合に、ラジアントチューブを加熱対象空間内においてより安定的に固定するために、ラジアントチューブを区画壁に対して支持する支持体を設けることが好ましい場合がある。このような場合において、連通管を支持体に兼用するように構成することによって、構成の簡素化を図れるものとなった。
【0034】
従って、本発明の加熱装置の第3特徴構成によれば、上記した第2特徴構成による作用効果に加えて、構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係るチューブ式の加熱バーナの縦断側面図
【図2】第1実施形態に係る圧力逃し手段の側面図
【図3】第2実施形態に係るチューブ式の加熱バーナの縦断側面図
【図4】第3実施形態に係るチューブ式の加熱バーナの縦断側面図
【図5】第4実施形態に係るチューブ式の加熱バーナの一部切欠平面図
【図6】第4実施形態に係る加熱バーナ及び圧力逃し手段の横断平面図
【図7】第5実施形態に係るチューブ式の加熱バーナの一部切欠平面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、チューブ式の加熱バーナが、加熱対象空間Sを区画する区画形成用の区画壁としての炉壁Wに固定されて、加熱装置が構成されている。
つまり、加熱装置が、炉壁Wの内部空間を加熱対象空間Sとして、加熱作用するように構成されている。
【0037】
チューブ式の加熱バーナは、バーナ本体部10とラジアントチューブRとが接続される状態で設けられ、そのラジアントチューブRとバーナ本体部10との間に、ラジアントチューブR内と連通する筒状部100が設けられている。
つまり、ラジアントチューブRと筒状部100とがフランジ接続され、筒状部100とバーナ本体部10とがフランジ接続されている。
【0038】
ラジアントチューブRは、金属等の素材にて、一方側の端部が閉塞され且つ他方側の端部が開口される有底直筒状に形成されたチューブ21により構成されるものであって、そのチューブ21が、加熱対象空間Sの内部に延出する状態で炉壁Wに固定されている。
つまり、チューブ21の開口側の端部がフランジ状に構成され、その端部が、炉壁Wの外面に当て付けた状態で取り付けられるフランジ状に形成されている。そして、このチューブ21の開口側の端部に、前述の如く、筒状部100の一端部が接続されることになり、筒状部100は、炉壁Wの外部に位置する状態で設けられている。
【0039】
バーナ本体部10について説明すると、有底筒状の外筒12と、有底筒状の中筒15と、中筒15の底部を貫通し且つチューブ21の内部に伸びる内筒18とが同芯状に設けられ、そして、外筒12、中筒15、内筒18の三重管部分に、酸素含有ガスAを供給する酸素含有ガス供給路17とチューブ21から排出される燃焼ガスEを外部に排出する排気路13とを形成する給排気路形成用部材16が接続され、さらに、ガスノズル11が、外筒12の底部を貫通し且つ内筒18の内部に伸びる状態で設けられている。
尚、酸素含有ガス供給路17には、空気を酸素含有ガスAとして供給する給気用送風機52から延出される酸素含有ガス管路53が接続され、ガスノズル11には、ガス燃料Gを供給するガス燃料管路51が接続されている。
【0040】
外筒12と中筒15との間に、酸素含有ガス供給路17と連通する酸素含有ガス流路10aが形成され、この酸素含有ガス流路10aは、内筒18の基端部の開口に連通されており、酸素含有ガスAが、内筒18の内部を通して、ガスノズル11の先端の燃料噴出部に向けて流動されるように構成されている。
また、中筒15と内筒18との間に、チューブ21から排出されて筒状部100の内部を通して流動してくる燃焼ガスEを流動させる排気流路10bが形成されている。
【0041】
給排気路形成用部材16に備えられる酸素含有ガス供給路17は、酸素含有ガス管路53と接続され且つ前記三重管部分の軸芯方向に伸びる第一流路部分17a、及び、その第一流路部分17aの端部に連通され且つ前記三重管部分の軸芯と直交する方向に伸びる一対の第二流路部分17b、第三流路部分17cとから構成され、それら一対の第二流路部分17b、第三流路部分17cが、外筒12と中筒15との間に形成された酸素含有ガス流路10aに連通されている。
【0042】
給排気路形成用部材16における排気路13が、前記三重管部分の軸芯と直交する方向に伸びる状態で形成されて、中筒15と内筒18との間に形成される排気流路10bに連通されている。さらに、給排気路形成用部材16には、排気路13と連通する排気管14が設けられており、排気流路10bからの燃焼ガスEが、排気路13及び排気管14を通して外部に排出されるように構成されている。
【0043】
前述の一対の第二流路部分17b及び第三流路部分17cのうちの一方である第三流路部分17cが、排気路13に近接して位置し、且つ、燃焼ガス吸引用開口13sを通して排気路13に連通するように構成されており、第三流路17cを酸素含有ガスAが通流することによるエジェクタ作用により、燃焼ガス吸引用開口13sを通して燃焼ガスEを第三流路17c内に吸引して、第三流路17cを通流する酸素含有ガスAに燃焼ガスEを混合させるように構成されている。
ちなみに、酸素含有ガスAに燃焼ガスEを混合させるのは、燃焼温度の高温化を抑制して、低NOx化を図るためである。
【0044】
酸素含有ガス供給路17における第一流路部分17aが、排気路13を貫通するように配置され、その第一流路部分17aを通流する酸素含有ガスAの一部を排気路13に供給する供給口17sが設けられ、燃焼ガスEに酸素含有ガスAが混合されるように構成されている。
ちなみに、排気路13を通流する燃焼ガスEに酸素含有ガスAを混合させるのは、燃焼ガスEの温度を低下させるためである。
【0045】
尚、図1においては、内筒18の先端が、炉壁Wにおける加熱対象空間S側の内面よりも加熱対象空間Sの内方に延出させ、ガスノズル11の先端の燃料噴出部が、炉壁Wにおける加熱対象空間S側の内面と同じ位置に位置させる場合を例示したが、例えば、ガスノズル11の先端の燃料噴出部を、炉壁Wにおける加熱対象空間S側の内面よりも加熱対象空間Sの内方側に延出させる、又は、炉壁Wにおける加熱対象空間S側の内面よりも外方側に引退させる等、内筒18及びガスノズル11の配置構成は種々変更できる。
【0046】
図1及び図2に示すように、筒状部100の側面には、開口部102が設けられ、この開口部102を覆う壁体103が、ビスによって筒状部100に固定されている。
壁体103は、設定圧力以上の圧力にて加圧されると破壊され、筒状部100の側面に設けられた開口部102を露出するように構成されている。
壁体103が破壊する設定圧力は、チューブ21及びバーナ本体部10が損傷する虞のある圧力よりも低い圧力であるように設定され、加えて、開口部102の開口面積は、チューブ21内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となるように構成されている。
【0047】
すなわち、開口部102と壁体103とによって、ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが構成されることになり、そして、圧力逃し手段Fが、筒状部100に設けられることになる。
又、開口部102の設置個数は、筒状部100の強度を確保でき、且つ、その開口部102がチューブ21内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となる範囲で任意に選択可能である。
尚、この筒状部100の両端には、バーナ本体部10又はチューブ21と接続するためのフランジ部が設けられている。
【0048】
次に、このチューブ式の加熱バーナの作用について説明を加える。
バーナ本体部10は、供給されるガス燃料Gを供給される酸素含有ガスAにて燃焼させた燃焼ガスEを、チューブ21内部に延出したバーナ本体部10の内管18を通してチューブ21内に供給する。チューブ21は筒体の一方側の端部が閉塞された状態に構成されているため、供給された燃焼ガスEは閉塞された端部にて折り返して、バーナ本体部10の内管18とチューブ21との間の空間を通過してチューブ21の開口側の端部に還流され、チューブ21外に排出される。
チューブ21は燃焼ガスEによって加熱され、その輻射熱によって加熱対象空間S内を加熱するものとなる。
チューブ21から排出された燃焼ガスEは、筒状部100の内部を通過し、さらにバーナ本体部10の排気流路10b及び給排気路形成部材16における排気路13を経由して排気管14に送られ、外部に排出される。
【0049】
そして、不完全燃焼や不着火等によってチューブ21内に充満したガス燃料Gが爆発した場合には、その爆発による圧力にて筒状部100に設けられた壁体103が加圧されることになり、その圧力が設定圧力以上になると、壁体103が破壊され、開口部102にて外部と連通する状態となる。この開口部102は、チューブ21内に発生した圧力を外部に逃すのに十分な開口面積であるため、チューブ21内に発生した圧力が炉壁Wの外部、すなわち加熱対象空間Sの外部に逃されることになり、チューブ21、バーナ本体部10、及び、炉壁W等の構成部材の損傷が防止されることになる。
さらに、壁体103は、筒状部100にビスにて止着されるものであり、破壊された場合には、新たな壁体103を筒状部100に付け替えることができる。
【0050】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより説明を省略し、主として第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0051】
図3に示すように、ラジアントチューブRが、第1実施形態と同様の有底直筒状のチューブ22により構成され、このラジアントチューブ22の開口端部に、バーナ本体10がフランジ接続されている。
そして、ラジアントチューブRを構成するチューブ22の長手方向の中間部に、連通管Lが接続され、チューブ22における連通管Lの接続箇所には、チューブ22の内部と連通管Lの内部とを連通する連通孔22hが形成されている。
【0052】
連通管Lを構成する管41は、チューブ22に接続される屈曲管41aと、その屈曲管41aに接続される直管41bとから構成されている。そして、直管41bが、炉壁Wを貫通して、炉壁Wの外部に延出される状態で設けられている。
また、屈曲管41a及び直管41bは、金属性の素材にて形成されている。
この管41の端部がフランジ状に形成されて、ボルト等により、炉壁Wに取り付けられており、連通管Lを構成する管41が、チューブ22を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されている。
チューブ22と屈曲管41aとの接続、及び、屈曲管41aと直管41bとの接続は、溶接により行うことができるが、螺合等、他の接続構造を用いることもできる。
【0053】
連通管Lを構成する管41の炉壁Wよりも外部に位置する端部に、筒状部110がフランジ接続されている。この筒状部110の先端部には、その先端側の開口部112を覆うように壁体113がビスによって固定されている。
壁体113は、設定圧力以上の圧力が加圧されると破壊され、筒状部110の先端の開口部112を露出するように構成されている。
壁体113が破壊する設定圧力は、チューブ22、管41、及び、バーナ本体部10が損傷する虞のある圧力よりも低い圧力であるように設定され、加えて、開口部112の開口面積は、チューブ22内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となるように構成されている。
すなわち、開口部112と壁体113とによって、ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが構成されることになり、その圧力逃し手段Fが、チューブ22の内部と連通する状態でチューブ22に接続された管41に設けられることとなる。
【0054】
そして、不完全燃焼や不着火等によってチューブ21内に充満したガス燃料Gが爆発した場合には、その爆発による圧力にて壁体113が加圧されることになり、その圧力が設定圧力以上になると、壁体113が破壊され、開口部112にて外部と連通する状態となる。この開口部112は、チューブ22内に発生した圧力を外部に逃すに十分な開口面積であるため、チューブ22内に発生した圧力は炉壁Wの外部、すなわち加熱対象空間Sの外部に逃されることになり、チューブ22、管41、バーナ本体部10、及び、炉壁W等の構成部材の損傷が防止されることになる。
さらに、壁体113は、筒状部110にビスにて止着されるものであり、破壊された場合には、新たな壁体113を筒状部110に付け替えることができる。
【0055】
加えて、管41が、チューブ22を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されているから、管41にてチューブ22を炉壁Wに対して適確に支持できることになる。そして、炉壁に対して支持体と管41とを各別に設ける必要が無く、簡素な構成でチューブ22を支持できるものとなる。
【0056】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明するが、第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより説明を省略し、主として第1及び第2実施形態と異なる構成を説明する。
【0057】
図4に示すように、ラジアントチューブRが、第1実施形態と同様の有底直筒状のチューブ23により構成され、第2実施形態と同様に、このチューブ23の開口端部に、バーナ本体10がフランジ接続されている。
そして、ラジアントチューブRを構成するチューブ23における閉塞側の先端部に、連通管Lが接続され、チューブ23における連通管Lの接続箇所には、チューブ23の内部と連通管Lの内部とを連通する連通孔23hが形成されている。
【0058】
連通管Lとしての管42は、直筒状に形成され、一端側がチューブ23の閉塞側の端部に接続され、他端側が炉壁Wの外部側に延出される状態で設けられる。
また、管42は、金属性の素材にて形成されている。
この管42の端部がフランジ状に形成されて、ボルト等により、炉壁Wに取り付けられており、連通管Lを構成する管42が、チューブ23を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されている。
チューブ23と管42との接続は、溶接により行うことができるが、螺合等、他の接続構造を用いることもできる。
【0059】
連通管Lとしての管42の炉壁Wよりも外部に位置する端部に、上記第2実施形態で説明した筒状部110がフランジ接続され、炉壁Wに止め付けられている。
つまり、この筒状部110の先端部には、その先端側の開口部112を覆うように壁体113がビスによって固定され、この壁体113は、設定圧力以上の圧力が加圧されると破壊され、筒状部110の先端の開口部112を露出するように構成されている。
壁体113が破壊する設定圧力は、チューブ22、管41、及び、バーナ本体部10が損傷する虞のある圧力よりも低い圧力であるように設定され、加えて、開口部112の開口面積は、チューブ22内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となるように構成されている。
すなわち、開口部112と壁体113とによって、ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが構成されることになり、その圧力逃し手段Fが、チューブ22の内部と連通する状態でチューブ23に接続された管42に設けられることとなる。
【0060】
そして、不完全燃焼や不着火等によってチューブ23内に充満したガス燃料Gが爆発した場合には、その爆発による圧力にて壁体113が加圧されることになり、その圧力が設定圧力以上になると、壁体113が破壊され、開口部112にて外部と連通する状態となる。この開口部112は、チューブ23内に発生した圧力を外部に逃すに十分な開口面積であるため、チューブ22内に発生した圧力は炉壁Wの外部、すなわち加熱対象空間Sの外部に逃されることになり、チューブ23、管42、バーナ本体部10、及び、炉壁W等の構成部材の損傷が防止されることになる。
さらに、壁体113は、筒状部110にビスにて止着されるものであり、破壊された場合には、新たな壁体113を筒状部110に付け替えることができる。
【0061】
加えて、管42が、チューブ23を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されているから、管42にてチューブ23を炉壁Wに対して適確に支持できることになる。そして、炉壁に対して支持体と管42とを各別に設ける必要が無く、簡素な構成でチューブ23を支持できるものとなる。
【0062】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態を説明するが、第4実施形態において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより説明を省略し、主として第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0063】
図5に示すように、チューブ式の加熱バーナは、金属等の素材にて、両端が開口するW字状に形成されたチューブ24により構成されるラジアントチューブRと、そのラジアントチューブRにおけるチューブ24の両端に接続される一対のバーナ本体部70とを備えて構成されている。
そして、ラジアントチューブRにおけるチューブ24と一対のバーナ本体部70との夫々の間に、ラジアントチューブR内と連通する筒状部100が設けられている。この筒状部100は、上記第1実施形態で説明したものと同様のものである。
つまり、ラジアントチューブRと筒状部100がフランジ接続され、筒状部100とバーナ本体部70とが、フランジにて接続されている。
【0064】
ラジアントチューブRを構成するチューブ24は、端部用の直筒状部分24a、中間用の直筒状部分24b、及び、半円状に湾曲する湾曲筒状部分24cを接続して構成されている。
また、端部用の直筒状部分24aの一端側にはフランジ部が形成され、筒状部100及びバーナ本体部70が接続されるように構成されている。
尚、チューブ24は、湾曲筒状部分24cに接続され且つ炉壁Wに接続された支持体Uにて炉壁Wに対して支持されている。この支持体Uは、棒状材等にて構成される。
【0065】
図6に示すように、バーナ本体部70は、有底筒状の外筒72の内部に、ラジアントチューブR内にガス燃料Gを供給するガスノズル71が設けられ、外筒72と内筒75との間に、通気可能な蓄熱体73を備えた給排気路74が形成されている。
また、バーナ本体部70のガス燃料噴出方向側の端部には、筒状部100の内部を通ってチューブ24内に延びる導入管76が接続されている。この導入管76のバーナ本体部側の端部は、内筒75よりも大径で且つ外筒72よりも小径に形成されて、後述の如く、給排気路74を通して供給される酸素含有ガスを内部に受け入れることや、チューブ24からの燃焼ガスを給排気路74に導くことが行われるようになっている。
【0066】
一対のバーナ本体部70のガスノズル71の夫々に対して、ガス燃料Gを供給する一対のガス燃料管路51が設けられ、各ガス燃料管路51にはガス燃料Gの供給を断続する開閉弁59が設けられており、その一対の開閉弁59を交互に開弁することにより、一対のガスノズル71に交互にガス燃料Gを供給できるように構成されている。
【0067】
一対のバーナ本体部70の給排気路74の夫々に対して、四方弁56から延出された 給排気管路57が接続されている。
四方弁56には、給気用送風機52から延出される酸素含有ガス管路53が接続され、並びに、排気用送風機54から延出される排気管路55が接続されている。そして、四方弁56は、一対のバーナ本体部70の給排気路74の一方に給気用送風機52を接続し且つ他方に排気用送風機54を接続する状態と、一対のバーナ本体部70の給排気路74の一方に排気用送風機54を接続し且つ他方に給気用送風機52を接続する状態とを切り替えるように構成されている。
【0068】
そして、一対のバーナ本体部70のうちの一方にガス燃料Gと酸素含有ガスを供給し、かつ、他方から燃焼ガスを排出する状態と、一対のバーナ本体部70のうちの他方にガス燃料Gと酸素含有ガスを供給し、かつ、一方から燃焼ガスを排出する排出状態とに切換えるように、一対の開閉弁59並びに四方弁56を操作することにより、いわゆる、蓄熱式の交番燃焼を行えるように構成されている。
【0069】
又、酸素含有ガス管路53には、エジェクタ58が設けられ、排気管路55とエジェクタ58の吸引部とが排気再循環路60にて接続されており、酸素含有ガスにラジアントチューブRから排出された燃焼ガスの一部を混合して、燃焼ガスの一部をバーナ本体部70内に再循環するように構成されている。
ちなみに、酸素含有ガスに燃焼ガスを混合させるのは、燃焼温度の高温化を抑制して、低NOx化を図るためである。
【0070】
筒状部100は、上述の如く第1実施形態で説明したものと同様の構造である。
つまり、筒状部100に設けられた壁体103は、設定圧力以上の圧力にて加圧されると破壊され、筒状部100の側面に設けられた開口部102を露出するように構成されている。
壁体103が破壊する設定圧力は、チューブ21及びバーナ本体部10が損傷する虞のある圧力よりも低い圧力であるように設定され、加えて、開口部102の開口面積は、チューブ21内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となるように構成されている。
【0071】
すなわち、開口部102と壁体103とによって、ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが構成されることになり、そして、圧力逃し手段Fが、筒状部100に設けられることになる。
又、開口部102の設置個数は、筒状部100の強度を確保でき、且つ、その開口部102がチューブ21内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となる範囲で任意に選択可能である。
【0072】
次に、このチューブ式の加熱バーナの作用について説明を加える。
一対のバーナ本体部70のうちの一方が、供給されるガス燃料Gを供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスEをチューブ24内に供給する燃焼状態となり、他方のバーナ本体部70が、燃焼ガスを排出する排気状態となる燃焼形態と、一対のバーナ本体部70のうちの他方が、供給されるガス燃料Gを供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスをチューブ24内に供給する燃焼状態となり、一方のバーナ本体部70が、燃焼ガスを排出する排気状態となる燃焼形態とに、設定時間おきに繰り返し切り替えられることになる。
【0073】
そして、排気状態のバーナ本体部70においては、燃焼ガスの保有熱を給排気路74に備えられる蓄熱体73に蓄熱することになり、燃焼状態のバーナ本体部70においては、蓄熱体73の保有熱にて酸素含有ガスを予熱することになる。
従って、チューブ24には両端側から交互に燃焼ガスEが供給されることとなり、加熱対象空間S内を均一に加熱できるものとなる。
【0074】
そして、不完全燃焼や不着火等によってチューブ24内に充満したガス燃料Gが爆発した場合には、その爆発による圧力にて筒状部100に設けられた壁体103が加圧されることになり、その圧力が設定圧力以上になると、壁体103が破壊され、開口部102にて外部と連通する状態となる。この開口部102は、チューブ24内に発生した圧力を外部に逃すのに十分な開口面積であるため、チューブ24内に発生した圧力が炉壁Wの外部、すなわち加熱対象空間Sの外部に逃されることになり、チューブ24、バーナ本体部70、及び、炉壁W等の構成部材の損傷が防止されることになる。
さらに、壁体103は、筒状部100にビスにて止着されるものであり、破壊された場合には、新たな壁体103を筒状部100に付け替えることができる。
【0075】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態を説明するが、第5実施形態において、第1〜第4実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより説明を省略し、主として第1〜第4実施形態と異なる構成を説明する。
【0076】
図7に示すように、第4実施形態と同様に、ラジアントチューブRが、金属等の素材にて、両端が開口するW字状に形成されたチューブ25により構成され、そのラジアントチューブRにおけるチューブ24の両端に、一対のバーナ本体部70が備えられている。
ラジアントチューブRを構成するチューブ25は、端部用の直筒状部分25a、中間用の直筒状部分25b、及び、半円状に湾曲する湾曲筒状部分25cを接続して構成されている。
また、端部用の直筒状部分25aの一端側にはフランジ部が形成され、バーナ本体部70が接続されるように構成されている。
【0077】
チューブ25の湾曲筒状部分25cには、連通管Lが接続され、湾曲筒状部分25cには、連通管Lの内部と連通するための連通孔25hが設けられている。
連通管Lを構成する管43は、一端側をチューブ25の連通孔25hに連通するようにチューブ25に接続され、他端側を炉壁Wの外部側に延出される状態で設けられる。
また、管43は、金属性の素材にて形成されている。
この管43の端部がフランジ状に形成されて、ボルト等により、炉壁Wに取り付けられており、連通管Lを構成する管43が、チューブ25を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されている。
チューブ25と管43との接続は、溶接により行うことができるが、螺合等、他の接続構造を用いることもできる。
【0078】
連通管Lとしての管43の炉壁Wよりも外部に位置する端部に、上記第2実施形態で説明した筒状部110がフランジ接続されている。
つまり、この筒状部110の先端部には、その先端側の開口部112を覆うように壁体113がビスによって固定され、この壁体113は、設定圧力以上の圧力が加圧されると破壊され、筒状部110の先端の開口部112を露出するように構成されている。
壁体113が破壊する設定圧力は、チューブ25、管43、及び、バーナ本体部70が損傷する虞のある圧力よりも低い圧力であるように設定され、加えて、開口部112の開口面積は、チューブ25内に発生した高圧力を外部に逃すに十分な開口面積となるように構成されている。
すなわち、開口部112と壁体113とによって、ラジアントチューブR内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段Fが構成されることになり、その圧力逃し手段Fが、チューブ25の内部と連通する状態でチューブ25に接続された管43に設けられることとなる。
【0079】
そして、不完全燃焼や不着火等によってチューブ25内に充満したガス燃料Gが爆発した場合には、その爆発による圧力にて壁体113が加圧されることになり、その圧力が設定圧力以上になると、壁体113が破壊され、開口部112にて外部と連通する状態となる。この開口部112は、チューブ25内に発生した圧力を外部に逃すに十分な開口面積であるため、チューブ25内に発生した圧力は炉壁Wの外部、すなわち加熱対象空間Sの外部に逃されることになり、チューブ25、管43、バーナ本体部70、及び、炉壁W等の構成部材の損傷が防止されることになる。
さらに、壁体113は、筒状部110にビスにて止着されるものであり、破壊された場合には、新たな壁体113を筒状部110に付け替えることができる。
【0080】
加えて、管43が、チューブ25を炉壁Wに対して支持する支持体に兼用されているから、管43にてW字状のチューブ25を炉壁Wに対して適確に支持できることになる。そして、炉壁Wに対して支持体Uと管43とを各別に設ける必要が無く、簡素な構成でチューブ25を支持できるものとなる。
【0081】
〔その他の実施形態〕
(イ)上記第1〜第5の各実施形態では、ラジアントチューブにバーナ本体部からの燃焼ガスを供給するように構成したが、そのような構成に限定されるものではなく、例えばバーナ本体部で燃焼させる火炎の輻射熱にてラジアントチューブを加熱するように構成してもよい。
【0082】
(ロ)上記第1〜第5の各実施形態では、圧力逃し手段が、ラジアントチューブ内の圧力が設定圧力以上になると破壊される壁体を備えるように構成したが、そのような構成に限定されるものではなく、例えば閉状態となるように付勢され、設定圧力以上の圧力がかかるとその付勢力に抗して開状態となるような弁体を設けて構成してもよい。その他、圧力逃し手段としては、設定圧力以上の圧力によって開口状態になることのできる手段であれば各種利用可能である。
【0083】
(ハ)上記第4実施形態では、ラジアントチューブRを炉壁Wに対して支持する支持体Uを備える構成としたが、そのような支持体Uを備えない構成としてもよい。
また、上記第5実施形態では、連通管Lと支持体Uとを兼用する構成としたが、それらを各別に備える構成とすることも可能である。
【0084】
(ニ)上記第1〜第5の各実施形態においては、圧力逃し手段を備える筒状部100又は110をいずれか一方のみ備える構成としたが、双方とも備える構成にしてもよい。その場合、ラジアントチューブR内の圧力をより適切に外部に逃すことができるものとなる。
【0085】
(ホ)上記第1〜第5の各実施形態においては、ラジアントチューブ、筒状部、及びバーナ本体部を、それらが備えるフランジによって相互に接続するように構成したが、そのような構成に限定されるものでは無い。例えば、ラジアントチューブ、筒状部、及びバーナ本体部の夫々を螺合によって接続するように構成してもよく、その相互の接続についてはは、上記爆発等による圧力によって分解しない手段を各種採用可能である。
【0086】
(ヘ)上記第4及び第5実施形態では、ラジアントチューブRを、湾曲筒状部分を3つ備えるW字状に形成するものとしたが、このような構成に限定されるものではなく、湾曲筒状部分を2つ以下或いは4つ以上としてもよい。例えば、湾曲筒状部分を1つのみとするU字状とすることや、湾曲筒状部分を5つ以上とする波状に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 バーナ本体部
10a 酸素含有ガス流路
10b 排気流路
11 ガスノズル
12 外筒
13 排気路
13s 燃焼ガス吸引用開口
14 排気管
15 中筒
16 給排気路形成用部材
17 酸素含有ガス供給路
17a 第1流路部分(酸素含有ガス供給路)
17b 第2流路部分(酸素含有ガス供給路)
17c 第3流路部分(酸素含有ガス供給路)
17s 供給口
18 内管
21 チューブ(ラジアントチューブ)
51 ガス燃料管路
52 給気用送風機
53 酸素含有ガス管路
100 筒状部
102 開口部(圧力逃し手段)
103 壁体(圧力逃し手段)
A 酸素含有ガス
G ガス燃料
E 燃焼ガス
F 圧力逃し手段
R ラジアントチューブ
W 炉壁
S 加熱対象空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ本体とラジアントチューブとが接続される状態で備えられ、
前記バーナ本体が、供給されるガス燃料を供給される酸素含有ガスにて燃焼させた燃焼ガスを前記ラジアントチューブに供給し、且つ、そのラジアントチューブから排出される前記燃焼ガスを外部に排出するように構成されたチューブ式の加熱バーナであって、
前記ラジアントチューブ内の圧力が設定圧力以上になると、その圧力にて外部と連通する状態に開口される圧力逃し手段が設けられているチューブ式の加熱バーナ。
【請求項2】
前記ラジアントチューブと前記バーナ本体部との間に、前記ラジアントチューブ内と連通する筒状部が設けられ、前記圧力逃し手段が、前記筒状部に設けられている請求項1記載のチューブ式の加熱バーナ。
【請求項3】
前記圧力逃し手段が、前記ラジアントチューブに接続される状態で設けられている請求項1記載のチューブ式の加熱バーナ。
【請求項4】
前記圧力逃し手段が、前記ラジアントチューブの内部と連通する状態で前記ラジアントチューブに接続された連通管に設けられている請求項3記載のチューブ式の加熱バーナ。
【請求項5】
請求項2に記載のチューブ式の加熱バーナが、加熱対象空間内に位置させる前記ラジアントチューブを前記加熱対象空間の区画形成用の区画壁に固定する状態で、且つ、前記筒状部を前記区画壁の外部に位置させる状態で設けられている加熱装置。
【請求項6】
請求項4のチューブ式の加熱バーナが、加熱対象空間内に位置させる前記ラジアントチューブに接続された前記連通管を前記加熱対象空間の区画形成用の区画壁を通して外部に延出させる状態で設けられている加熱装置。
【請求項7】
前記連通管が、前記ラジアントチューブを前記区画壁に対して支持する支持体に兼用されている請求項6記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−230278(P2010−230278A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80181(P2009−80181)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】