説明

チロシンキナーゼモジュレーターとしての化合物

【課題】チロシンキナーゼモジュレーターである新規化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、式(I)の新規化合物を対象とする。本発明の化合物は、強力なチロシンキナーゼモジュレーターであり、チロシンキナーゼ受容体の異常な活性に関連する疾患および状態を治療および予防するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を調節、制御および/または阻害することができる複数の芳香族成分を有する新規な化合物を対象とする。本発明はまた、これらに限られないが、細胞増殖障害、代謝障害、血管増殖性障害、炎症性障害、神経変性疾患および免疫障害を包含する、制御から逸脱したチロシンキナーゼシグナル伝達に関連する障害を予防および/または治療する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
タンパク質チロシンキナーゼ(「PTK」)は、細胞増殖および分化の制御において重要な役割を果たしている。PTKは、酵素活性を有するタンパク質からなる大きく多様な群を含む。PTKは、受容体型(細胞外、膜貫通および細胞内ドメインを有する)または非受容体型(全て細胞内にある)に属し得る。例えば、受容体チロシンキナーゼ(「RTK」)によって媒介されるシグナル伝達は、特異的増殖因子(即ち、リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、次いで、受容体二量体化、内因性タンパク質チロシンキナーゼ活性の一過性刺激およびリン酸化が続く。それによって、細胞内シグナル伝達分子のための結合部位が作られ、適切な細胞応答(例えば、細胞分裂、代謝ホメオスターシスおよび細胞外微細環境に対する応答)を促進する一連の細胞質シグナル伝達分子との複合体の形成をもたらす。
【0003】
RTKに関して、チロシンリン酸化部位が、シグナル伝達分子のSH2(src相同性)ドメインへの高親和性結合部位として機能することも示されている。RTKと結合する複数の細胞内基質タンパク質が同定されており、2つの主要な群、即ち、(1)触媒ドメインを有する基質;および(2)触媒ドメインは欠いているが、アダプターとして役立ち、触媒活性分子に結合する基質に分類されている。受容体またはタンパク質とその基質のSH2ドメインとの相互作用の特異性は、リン酸化チロシン残基のすぐ周囲にあるアミノ酸残基によって決定される。SH2ドメインと、特定の受容体の上にあるホスホチロシン残基の周囲のアミノ酸配列との結合親和性における相違は、その基質リン酸化プロファイルにおいて見られる相違と一致する。これらの知見は、各RTKの機能は、その発現パターンおよびリガンドアベイラビリティーによってだけではなく、特定の受容体によって活性化される一連の下流シグナル伝達経路によっても決定されることを示唆している。したがって、リン酸化は、特異的な増殖因子受容体、さらに分化因子受容体によって動員されるシグナル伝達経路の選択性を決定する重要な調節ステップを提供する。
【0004】
RTKは、多様な生物学的活性を有する膜貫通受容体からなる大きなファミリーを含む。RTKの固有の機能は、リガンドが結合すると活性化されて、受容体および複数の細胞基質のリン酸化、続いて、様々な細胞応答をもたらす。現在、少なくとも19種の別個のRTKサブファミリーが同定されている。HERサブファミリーと称されるRTKサブファミリーの1つは、EGFR、HER2、HER3およびHER4からなると考えられている。HERサブファミリーの受容体に対するリガンドには、上皮細胞成長因子(EGF)、TGF−α、アンフィレグリン、HB−EGF、ベータセルリンおよびヘレグリンが包含される。インスリンサブファミリーと称されるRTKの第2のサブファミリーは、INS−R、IGF−1RおよびIR−Rからなる。第3のRTKサブファミリー、即ち「PDGF」ファミリーには、PDGFαおよびβ受容体、CSFIR、c−kitおよびFLK−IIが包含される。FLKファミリーとして同定されているRTKの他のサブファミリーは、キナーゼ挿入ドメイン受容体胎児肝臓キナーゼ−1(KDR/FLK−1)、胎児肝臓キナーゼ4(FLK−4)およびfms様チロシンキナーゼ1(fit−1)からなると考えられている。これらの受容体はそれぞれ、造血成長因子のための受容体であると当初は考えられていた。RTKの他の2つのサブファミリーは、FGF受容体ファミリー(FGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4)およびMetサブファミリー(c−metおよびRon)と称されている。PDGFおよびFLKサブファミリーは似ているので、これら2つのサブファミリーは多くの場合に、一緒に検討される。公知のRTKサブファミリーは、参照によって本明細書に組み込まれるPlowmanら、1994、DN&P 7(6):334〜339において同定されている。
【0005】
非受容体型チロシンキナーゼは、細胞外および膜貫通配列が欠如している細胞酵素群を表している。現在、11種のサブファミリー(Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、AckおよびLIMK)を成す24種を超える個々の非受容体型チロシンキナーゼが同定されている。現在、非受容体型チロシンキナーゼのSrcサブファミリーは、最大数のPTKから成り、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkを包含する。Srcサブファミリーの酵素は、発癌に関連づけられている。非受容体型チロシンキナーゼについてのより詳細な検討は、参照によって本明細書に組み込まれるBolen、1993、Oncogen 8:2025〜2031に示されている。
【0006】
RTKであるか、または非受容体型チロシンキナーゼであるかに関わらず、多くのタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)が、細胞シグナルカスケードならびに癌、乾癬および高度免疫応答などの病原性状態をもたらす細胞シグナル伝達経路に関与していることが判明している。細胞増殖ならびに異常な細胞増殖と関連している疾患および障害を制御、調節およびモジュレーションする際のPTKの重要性に鑑み、突然変異リガンド(米国特許第4,966,849号)、可溶性受容体および抗体(Kendall & Thomas、1994、Proc.Nat’l Acad.Sci 90:10705〜09;Kimら、1993、Nature 362:841〜844)、RNAリガンド(Jellinekら、Biochemistry 33:10450〜56);Takanoら、1993、Mol.Bio.Cell 4:358A;Kinsellaら、1992、Exp.Cell Res.199:56〜62;Wrightら、1992、J.Cellular Phys.152:448〜57)およびチロシンキナーゼ阻害薬(米国特許第5,330,992号;Marianiら、1994、Proc.Am.Assoc.Cancer Res.35:2268)の使用を包含する様々なアプローチを使用して、受容体および非受容体型チロシンキナーゼ「阻害薬」を同定する多くの試みがなされている。
【0007】
さらに最近では、チロシンキナーゼ阻害薬として作用する小分子を同定する試みがなされている。例えば、ビス単環式、二環式または複素環式アリール化合物(PCT出願WO92/20642号)、ビニレン−アザインドール誘導体(PCT出願WO94/14808号)および1−シクロプロピル−4−ピリジル−キノロン(米国特許第5,330,992号)は、チロシンキナーゼ阻害薬として概して記載されている。スチリル化合物(米国特許第5,217,999号)、スチリル置換ピリジル化合物(米国特許第5,302,606号)、ある種のキナゾリン誘導体(欧州特許出願第0566266A1号)、セレオインドールおよびセレニド(PCT出願WO94/03427号)、三環式ポリヒドロキシ化合物(PCT出願WO92/21660号)およびベンジルホスホン酸化合物(PCT出願WO91/15495号)は、癌を治療する際に使用するためのチロシンキナーゼ阻害薬として使用される化合物として記載されている。
【0008】
加えて、全てその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,765,012号;同第6,541,504号;同第6,747,025号;同第5,792,783号;同第5,834,504号;同第5,883,113号;同第5,883,116号および同第5,886,020号に開示されている化合物などの他の小分子が、チロシンキナーゼ阻害薬として研究された。
【0009】
受容体および非受容体チロシンの活性をモジュレートすることによって、シグナル伝達を特異的に阻害する化合物を同定および使用することが、本発明の一態様である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達をモジュレート、調節および/または阻害することができる式Iによって表される化合物ならびに疾患を治療および予防するための該化合物および該化合物が組み込まれた組成物の使用を対象とする。
【0011】
本発明の化合物は、一般式Iにおいて示すことができる:
【化1】

式I
[式中、
Xは、NR1、O、S(O)nからなる群から選択され;
nは、0であるか、または1から2の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
Iは、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、S(O)f4、(CR56dC(O)OR4、S(O)f(CR56dC(O)OR4、(CR56dAr、NR4(CR56dAr、O(CR56dAr、S(O)f(CR56dAr、(CR56dS(O)f4、NR4(CR56dS(O)f4、O(CR56dS(O)f4、S(O)f(CR56eS(O)f4、(CR56dC(O)N(R42、NR4(CR56dC(O)N(R42、O(CR56dC(O)N(R42、S(O)f(CR56eC(O)N(R42、(CR56dOR4、S(O)f(CR56dOR4、(CR56dOSO24、S(O)f(CR56eOSO24、(CR56dP(O)(OR42、S(O)f(CR56eP(O)(OR42、OC(O)(CR56dN(R42、C(O)(CR56dN(R42、C(O)N=S(O)R56、NR2C(O)(CR56dN(R42、(CR56d5、S(O)f(CR56d5、HNC(O)R4、HN−C(O)OR4、(CR56dN(R42、S(O)f(CR56dN(R42、OC(O)OR4、(CR56dC(O)(CR56d4、(CR56dC(O)(CR56dOR4および(CR56dC(O)(CR56dN(R42からなる群から選択され、ここで、R4はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、アリール、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキルからなる群から独立に選択され、(CR56dおよびN(R42は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、5−フルオロピロリジン、ピペリジン、6−フルオロピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリンを含む3〜7員の複素環式環を形成していてよく、かつ前記複素環式環は、3個までのR5で置換されていてもよく;R5およびR6は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキル、スルホネートからなる群から独立に選択され、かつCR56は、5から6個の炭素を含む炭素環式または複素環式環を表していてよいか、または代わりに、(CR56dおよび(CR56eは、3〜7員の炭素環式または複素環式環を形成していてよく、その環は、ヒドロキシル、ハロ、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキルおよびスルホネートのうちの3個までで置換されていてもよく;
aは、0であるか、または1から3の整数であり;
dは、0であるか、または1から5の整数であり;
eは、1から4の整数であり;
fは、0であるか、または1から2の整数であり;
IIは、水素、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルキル、(NR23)アルコキシ、(NR23)アルケニル、(NR23)アルキル、(NR23)カルボニルアルケニルおよび(NR23)カルボニルアルキルからなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
bは、0または1から2の整数であり;
Yは、
(1) −(CH2)g−O−(CH2)h−;
(2) −(CH2)g−NR1−(CH2)h−;
(3) −(CH2)g−CO−(CH2)h−;
(4) −(CH2)g−C(O)NR2−(CH2)h−;
(5) −(CH2)g−NR2C(O)−(CH2)h−;
(6) −(CH2)g−(CH2)h−;
(7) −(CH2)g−CH(OH)−(CH2)h−;
(8) −(CH2)g−C=C−(CH2)h−;および
(9) 単結合
からなる群から選択され;
ここで、
gは、0であるか、または1から3の整数であり;
hは、0であるか、または1から3の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
2は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から選択され;
環Aは、
【化2】

(i)フェニル;
(ii)ナフチル;
(iii)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基および
(iv)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜6個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IIIは、C1〜C5直鎖または分岐アルキル、C1〜C5直鎖または分岐ハロアルキル、C1〜C5アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C5アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;
Zは、
(1’) (CH2iN(R7)C(O)N(R8)(CH2j
(2’) (CH2iN(R7)C(S)N(R8)(CH2j
(3’) (CH2iN(R7)C(O);
(4’) C(O)N(R8)(CH2j
(5’) (CH2iN(R7)S(O)2;および
(6’) S(O)2N(R8)(CH2j
からなる群から選択され;
ここで、
iは、0または1であり;
jは、0または1であり;
7およびR8は、水素およびアルキルからなる群から独立に選択され;
環Bは:
【化3】

(i’)フェニル;
(ii’)ナフチル;
(iii’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基;および
(iv’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IVは、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、アリールアルキル、カルボキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロおよび−NR910からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;ここで、R9およびR10は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立に選択される]。
【0012】
一部の本発明の実施形態は、次のパラグラフに包含される:
1)任意の互変異性体、立体異性体、ジアステレオ異性体形態、多形形態、結晶形、溶媒和物、水和物、代謝産物、薬学的に許容される塩またはプロドラッグ、種々の立体異性体の混合物、種々の結晶形の混合物を包含する式Iによる化合物;
2)プロドラッグの形態の式Iの化合物;
3)Yが、
(a) −(CH2)g−C=C−(CH2)h−;
(b) −(CH2)g−NR1−(CH2)h−;
(c) −(CH2)g−CO−(CH2)h−;
(d) −(CH2)g−C(O)NR2−(CH2)h−;
(e) −(CH2)g−NR2C(O)−(CH2)h−;
(f) −(CH2)g−(CH2)h−;
(g) −(CH2)g−CH(OH)−(CH2)h−;
(h) −(CH2)g−O−(CH2)h−;および
(i)単結合
からなる群から選択されるパラグラフ1による化合物;
4)Zが、(CH2iN(R7)C(O)N(R8)(CH2j、(CH2iN(R7)C(S)N(R8)(CH2j、(CH2iN(R7)C(O)およびC(O)N(R8)(CH2jからなる群から選択されるパラグラフ1〜3による化合物;
5)XがNHであるパラグラフ1〜4による化合物;
6)環Aおよび環Bが、
【化4】

からなる群から独立に選択されるパラグラフ1〜5による化合物;
7)XがSであるパラグラフ6による化合物;
8)任意の互変異性体、立体異性体、ジアステレオ異性体形態、結晶形、多形形態、立体異性体の混合物、多形形態の混合物、結晶形の混合物、溶媒和物、水和物、代謝産物、薬学的に許容される塩またはプロドラッグを包含する、式II:
【化5】

式II

によってさらに表すことができるパラグラフ1による化合物;
9)RIが水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、(CR56dC(O)OR4、(CR56dAr、NR4(CR56dAr、(CR56dC(O)N(R42、NR4(CR56dC(O)N(R42、O(CR56dC(O)N(R42、(CR56dOR4、OC(O)(CR56dN(R42、C(O)(CR56dN(R42、NR2C(O)(CR56dN(R42、(CR56d5、HNC(O)R4、HN−C(O)OR4、(CR56dN(R42、S(O)f(CR56dN(R42、OC(O)OR4、(CR56dC(O)(CR56d4、(CR56dC(O)(CR56dOR4および(CR56dC(O)(CR56dN(R42からなる群から選択され、ここで、R4はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、アリール、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキルからなる群から独立に選択され、(CR56dおよびN(R42は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、5−フルオロピロリジン、ピペリジン、6−フルオロピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリンを含む3〜7員の複素環式環を形成していてよく、ここで、前記複素環式環は、3個までのR5で置換されていてもよく;R5およびR6は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキル、スルホネートからなる群から独立に選択され、CR56は、5〜6個の炭素を含む炭素環式または複素環式環を表していてよいか、または代わりに、(CR56dおよび(CR56eは、3〜7員の炭素環式または複素環式環を形成していてよく、ここで、環は、ヒドロキシル、ハロ、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキルおよびスルホネートのうちの3個までで置換されていてもよいパラグラフ1〜8による化合物;
10)下式:
【化6】



からなる群から選択される化合物:
11)チロシンキナーゼモジュレーターとして使用する、パラグラフ1〜10の化合物を使用する方法;
12)治療有効量のパラグラフ1〜10の化合物を薬学的に許容される担体と一緒に投与することを含む、制御から逸脱したチロシンキナーゼ活性に関係する疾患または状態を治療または予防するための医薬品を調製する際のパラグラフ1〜10の化合物の使用;
13)疾患または状態が、細胞増殖および代謝障害、血管増殖性障害、炎症性障害、神経変性疾患および免疫障害からなる群から選択されるパラグラフ12の使用;
14)疾患または状態が、結腸直腸癌、肺癌、血液癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、眼血管形成、網膜浮腫、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞、分枝静脈閉塞、網膜前血管新生、レーザー誘発脈絡膜血管新生、角膜移植に随伴する血管新生、緑内障および眼腫瘍、関節炎、再狭窄、肝硬変、アテローム硬化症、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、神経変性疾患および免疫障害からなる群から選択されるパラグラフ12〜13の使用;
15)全身、非経口、局部または局所送達に適している、治療有効量のパラグラフ1〜10による化合物を薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物;
16)錠剤、カプセル剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、局部注射剤、局所クリーム剤、ゲル剤および軟膏剤、点眼剤、眼用液剤、眼科用懸濁液剤、眼用乳剤、硝子体中注射剤、テノン嚢下注射剤、眼用生浸食性インプラント剤および非生浸食性眼用インサート剤またはデポー剤からなる群から選択される形態のパラグラフ15の医薬組成物;
17)疾患および状態を治療するための医薬品を製造する際のパラグラフ10の化合物の使用であって、該医薬品が、パラグラフ15および16による薬学的に許容される組成物を含有する使用。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、タンパク質チロシンキナーゼ阻害薬として有用な複数の芳香族成分を有する一連の化合物を対象とする。本発明の化合物は、制御から逸脱したチロシンキナーゼシグナル伝達に関係する疾患、例えば、癌、血管増殖性障害、線維性障害および神経変性疾患を治療するために有用である。詳細には、本発明の化合物は、結腸直腸癌、肺癌、血液癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、眼血管形成、網膜浮腫、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞、分枝静脈閉塞、網膜前血管新生、レーザー誘発脈絡膜血管新生、角膜移植に随伴する血管新生、緑内障および眼腫瘍、関節炎、再狭窄、肝硬変、アテローム硬化症、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、神経変性疾患および免疫障害を治療するために有用である。
【0014】
1.本発明の化合物
本発明は、式Iの化合物を対象とする:
【化7】

式I
[式中、
Xは、NR1、O、S(O)nからなる群から選択され;
nは、0であるか、または1から2の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
Iは、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、S(O)f4、(CR56dC(O)OR4、S(O)f(CR56dC(O)OR4、(CR56dAr、NR4(CR56dAr、O(CR56dAr、S(O)f(CR56dAr、(CR56dS(O)f4、NR4(CR56dS(O)f4、O(CR56dS(O)f4、S(O)f(CR56eS(O)f4、(CR56dC(O)N(R42、NR4(CR56dC(O)N(R42、O(CR56dC(O)N(R42、S(O)f(CR56eC(O)N(R42、(CR56dOR4、S(O)f(CR56dOR4、(CR56dOSO24、S(O)f(CR56eOSO24、(CR56dP(O)(OR42、S(O)f(CR56eP(O)(OR42、OC(O)(CR56dN(R42、C(O)(CR56dN(R42、C(O)N=S(O)R56、NR2C(O)(CR56dN(R42、(CR56d5、S(O)f(CR56d5、HNC(O)R4、HN−C(O)OR4、(CR56dN(R42、S(O)f(CR56dN(R42、OC(O)OR4、(CR56dC(O)(CR56d4、(CR56dC(O)(CR56dOR4および(CR56dC(O)(CR56dN(R42からなる群から選択され、ここで、R4はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、アリール、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキルからなる群から独立に選択され、(CR56dおよびN(R42は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、5−フルオロピロリジン、ピペリジン、6−フルオロピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリンを含む3〜7員の複素環式環を形成していてよく、かつ前記複素環式環は、3個までのR5で置換されていてもよく;R5およびR6は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキル、スルホネートからなる群から独立に選択され、かつCR56は、5から6個の炭素を含む炭素環式または複素環式環を表していてよいか、または代わりに、(CR56dおよび(CR56eは、3〜7員の炭素環式または複素環式環を形成していてよく、その環は、ヒドロキシル、ハロ、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキルおよびスルホネートのうちの3個までで置換されていてもよく;
aは、0であるか、または1から3の整数であり;
dは、0であるか、または1から5の整数であり;
eは、1から4の整数であり;
fは、0であるか、または1から2の整数であり;
IIは、水素、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルキル、(NR23)アルコキシ、(NR23)アルケニル、(NR23)アルキル、(NR23)カルボニルアルケニルおよび(NR23)カルボニルアルキルからなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;別法ではR2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
bは、0または1から2の整数であり;
Yは、
(1) −(CH2)g−O−(CH2)h−;
(2) −(CH2)g−NR1−(CH2)h−;
(3) −(CH2)g−CO−(CH2)h−;
(4) −(CH2)g−C(O)NR2−(CH2)h−;
(5) −(CH2)g−NR2C(O)−(CH2)h−;
(6) −(CH2)g−(CH2)h−;
(7) −(CH2)g−CH(OH)−(CH2)h−;
(8) −(CH2)g−C=C−(CH2)h−;および
(9) 単結合
からなる群から選択され;
ここで、
gは、0であるか、または1から3の整数であり;
hは、0であるか、または1から3の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
2は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から選択され;
環Aは、
【化8】

(i)フェニル;
(ii)ナフチル;
(iii)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基および
(iv)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜6個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IIIは、C1〜C5直鎖または分岐アルキル、C1〜C5直鎖または分岐ハロアルキル、C1〜C5アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C5アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;
Zは、
(1’) (CH2iN(R7)C(O)N(R8)(CH2j
(2’) (CH2iN(R7)C(S)N(R8)(CH2j
(3’) (CH2iN(R7)C(O);
(4’) C(O)N(R8)(CH2j
(5’) (CH2iN(R7)S(O)2;および
(6’) S(O)2N(R8)(CH2j
からなる群から選択され;
ここで、
iは、0または1であり;
jは、0または1であり;
7およびR8は、水素およびアルキルからなる群から独立に選択され;
環Bは:
【化9】

(i’)フェニル;
(ii’)ナフチル;
(iii’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基;および
(iv’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IVは、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、アリールアルキル、カルボキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロおよび−NR910からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;ここで、R9およびR10は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立に選択される]。
【0015】
別段に示されていない限り、化合物に関する言及は、図示されている構造の化学成分または化学名の化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、ジアステレオ異性体、代替固体形態、結晶形、多形形態、水和物、溶媒和物、代謝産物、立体異性体の混合物、結晶形の混合物、非共有結合複合体およびこれらの組み合わせを幅広く包含すると解釈されるべきである。
【0016】
薬学的に許容される塩は、動物またはヒトに投与するのに適した親化合物の任意の塩である。薬学的に許容される塩はまた、酸を投与した結果としてin vivoで生じ得る任意の塩、他の塩または酸もしくは塩に変換されるプロドラッグを指す。塩は、共役酸または塩基などの1種または複数のイオンの形態の化合物を、1種または複数の対応する対イオンを随伴して含む。塩は、1種または複数の脱プロトン化酸性基(例えばカルボン酸)、1種または複数のプロトン化塩基性基(例えばアミン)またはその両方(例えば双性イオン)から形成することができるか、または含んでいてよい。
【0017】
「プロドラッグ」は、対象(哺乳動物など)の体に投与されると、対象の代謝経路で分解されて、活性な式Iの化合物をもたらす化合物である。より具体的には、プロドラッグは、対象または患者にプロドラッグが投与された後、加水分解、代謝などのin vivoでの生理学的作用を介して化学的に変性されて本発明の化合物になる、活性または不活性「マスキング」された化合物である。プロドラッグの一般的な形態の1つは、マスキングされたカルボン酸基である。マスキングされたカルボン酸塩陰イオンの例には、アルキル(例えば、メチル、エチル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)、アラルキル(例えば、ベンジル、p−メトキシベンジル)およびアルキルカルボニルオキシアルキル(例えば、ピバロイルオキシメチル)などの様々なエステルが包含される。アミンは、in vivoにおいてエステラーゼによって切断されて、遊離薬物およびホルムアルデヒドを放出するアリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスキングされている(Bundgaard J.Med.Chem.、2503(1989))。また、イミダゾール、イミド、インドールなどの酸性NH基を含有する薬物は、N−アシルオキシメチル基でマスキングされている(Bundgaard Design of Prodrugs、Elsevier(1985))。ヒドロキシ基は、エステルおよびエーテルとしてマスキングされている。EP第039,051号(SloanおよびLittle、1981年4月11日)は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、その調製および使用を開示している。例えば、変換を、エステル基または一部の他の生物学的に不安定な基を加水分解することによって行うことができる。プロドラッグ調製は、当分野では周知である。例えばRichard B. Silverman、Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、第2版、Elsevier Academic Press:Amsterdam、2004、pp.496〜557の1つの章である「Prodrug and Drug Delivery Systems」は、このテーマに関するさらなる詳細を提供している。
【0018】
互変異性体は、相互に迅速に平衡する異性体である。例えば、互変異性体は、プロトン、水素原子またはヒドリドイオンの移動に関係づけられ得る。立体化学が明確かつ明白に示されていない限り、構造は、純粋な形であっても、任意の可能な混合物の形であっても、起こり得る立体異性体の全てを包含することを意図している。
【0019】
代替固体形態は、本明細書に記載の手順を実施することで生じさせることができるものとは別の固体形態である。例えば、代替固体形態は、非晶形、結晶形、多形およびそれらの混合物であってよい。
【0020】
非共有結合複合体は、化合物と追加の化学種との共有結合相互作用を必要としない、化合物と1種または複数の追加的な化学種とから生じさせることができる複合体である。これらは、化合物と追加の化学種との特異的な比を有してもよいし、または有さなくてもよい。実施例には、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体などが包含されるであろう。
【0021】
2.使用、製剤および投与
本発明はまた、タンパク質チロシンキナーゼモジュレーターおよび阻害薬としての化合物の使用を対象とする。これらの化合物は、調節から逸脱したチロシンキナーゼシグナル伝達に関連した疾患、例えば、様々な癌、血管増殖性障害、線維性障害および神経変性疾患を治療するために使用することができる。詳細には、本発明の化合物は、ヒトにおける結腸直腸癌、肺癌、血液癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、眼血管形成、網膜浮腫、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞、分枝静脈閉塞、網膜前血管新生、レーザー誘発脈絡膜血管新生、角膜移植に随伴する血管新生、緑内障および眼腫瘍、関節炎、再狭窄、肝硬変、アテローム硬化症、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、神経変性疾患および免疫障害を治療および/または予防するために有用である。
【0022】
本発明はまた、チロシンキナーゼ受容体の異常な活性に関連する疾患および状態を治療および予防するための医薬品を調製することを対象としている。該医薬品は、治療有効量の本発明の化合物を薬学的に許容される担体と共に含む薬学的に許容される組成物を含有する。
【0023】
本開示の目的に関して、「治療する」、「治療すること」または「治療」は、疾患または他の望ましくない状態を診断、治癒、緩和、治療または予防することを指す。
【0024】
薬学的に許容される組成物は、治療有効量の本発明の化合物を含有する。これらの組成物は、医薬品として使用し、それを必要とするヒトなどの哺乳動物に投与することができる。種々の種類の適切な剤形および医薬品が当分野では周知であり、これらに限られないが、全身、非経口、局部および局所送達など、本発明の化合物を送達するために容易に適合させることができる。剤形は、錠剤、カプセル剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、局部注射剤、局所クリーム剤、ゲル剤および軟膏剤、点眼剤、眼用液剤、眼科用懸濁液剤、眼用乳剤、硝子体中注射剤、テノン嚢下注射剤、眼用生浸食性インプラント剤および非生浸食性眼用インサート剤またはデポー剤、経鼻噴霧剤および軟膏剤、様々な直腸または膣用製剤であってよい。
【0025】
3.実施例
表1:本発明の化合物の例示
【表1】



【0026】
3.1 化合物合成および特性決定
【0027】
化合物F1
メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化10】

メチル7−ブロモチエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(200mg、0.74mmol)のDMSO8ml中の撹拌溶液に、CuBr(10mg、0.074mmol)、エチル2−シクロヘキサノンカルボキシレート(26mg、0.15mmol)、炭酸セシウム(500mg、1.54mmol)および4−アミノフェノール(96mg、0.88mmol)を加えた。混合物を窒素で10分間パージし、次いで、70℃、N2下で3時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水100mlに注いだ。沈澱物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、粗製のアニリン中間体を淡緑色の固体(〜140mg)として得た。この粗製の物質をTHF10mlに溶かし、2−フルオロ−5−メチルフェニルイソシアネート(70mg、0.46mmol)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、水100mlに注いだ。茶色の沈澱物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、粗製の生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーによって、2〜3%MeOH/CHCl3で溶離して精製して、メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートを薄茶色の固体として得た。収率:90mg、27%。
1HNMR(d6−DMSO)d:9.25(s、1H)、8.61(d、J=5.3Hz、1H)、8.50(br.s.、1H)、8.21(s、1H)、7.96(d、J=6.7Hz、1H)、7.58(d、J=8.8Hz、2H)、7.25(d、J=8.8Hz、2H)、7.09(dd、J=11.4、8.2Hz、1H)、6.71−6.85(m、2H)、3.91(s、3H)、2.26(s、3H)
LR MS(ES+):452(MH)、474(M+Na+
LR MS(ES−):450(M−H)
【0028】
化合物F2
7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸
【化11】

メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(50mg、0.1lmmol)のMeOH(3ml)中の撹拌懸濁液に、0.4MのLiOH/MeOH溶液(10ml、4.0mmol)を加えた。混合物を50℃で7時間加熱し、水100mlに注いだ。pH=4まで、1MのHC1を加えた。生じた沈澱物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて、7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸を薄灰色の固体として得た。収量:40mg、83%。
1HNMR(DMSO−d6)δ:13.88(br.s.、1H)、9.19(s、1H)、8.58(d、J=5.3Hz、1H)、8.47(d、J=2.6Hz、1H)、8.10(s、1H)、7.96(dd、J=7.9、1.8Hz、1H)、7.53−7.59(m、2H)、7.22−7.27(m、2H)、7.08(dd、1H)、6.77−6.80(m、1H)、6.73(d、J=5.6Hz、1H)、2.25(s、3H)
LR MS(ES−):436(M−H)
【0029】
化合物F3
メチル7−[3−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化12】

化合物F1と同様の手順を使用して調製した。
1HNMR(DMSO−d6)δ:9.51(s、1H)、8.64(d、J=5.3Hz、1H)、8.60(s、1H)、8.21(s、1H)、7.87(dd、J=7.8、1.6Hz、1H)、7.58(t、J=2.1Hz、1H)、7.41(t、J=8.1Hz、1H)、7.23(dd、J=8.2、1.2Hz、1H)、7.06(dd、J=11.3、8.4Hz、1H)、6.91(dd、J=7.9、1.8Hz、1H)、6.85(d、J=5.3Hz、1H)、6.77(td、J=5.2、2.2Hz、1H)、3.91(s、3H)、2.21(s、3H)
LR MS(ES+):452(MH)、474(M+Na+
LR MS(ES−):450(M−H)
【0030】
化合物F4
メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化13】

メチル7−ブロモチエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(68mg、0.25mmol)および1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]尿素(102mg、0.28mmol)の1,4−ジオキサン8ml中の混合物に、PdCl2(PPh32(10mg、0.014mmol)および1MのNa2CO3水溶液(0.25ml、0.5mmol)を加えた。混合物を70℃、N2下で1時間加熱し、室温に冷却し、水100mlを注いだ。茶色の沈澱物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、粗製の生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーによって、2〜3%MeOH/CHCl3で溶離して精製して、メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートを薄黄色の固体として得た。収量:30mg、28%。
1HNMR(d6−DMSO)d:9.38(s、1H)、8.84(d、J=4.7Hz、1H)、8.58(d、J=2.1Hz、1H)、8.28(s、1H)、7.60−8.06(m、6H)、7.06−7.19(m、1H)、6.82(br.s.、1H)、3.93(s、3H)、2.28(s、3H)
LR MS(ES−):434(M−H)
【0031】
化合物F5
7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸
【化14】

メチル7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(20mg、0.046mmol)のTHF/MeOH(5ml/5ml)中の撹拌溶液に、1MのNaOH(2.0ml、2.0mmol)を加えた。混合物を70℃で30分間加熱し、室温に冷却し、水50mlに注いだ。pH=4まで、1MのHClを加え、生じた沈澱物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて、7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸を得た。
収量:20mg、100%。
LR MS(ES−):420(M−H)
【0032】
7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジンの調製
【化15】

チエノ[3,2−b]ピリジン−7−オール(20g、0.132mol)をオキシ塩化リン(80.9g、0.528mol)中に懸濁させ、100℃で2時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、氷の上に注いだ。水溶液を水酸化ナトリウムで中和し、生じた沈澱物を濾過によって集め、水で洗浄した。濾滓をジクロロメタンに入れ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濾過し、濾液を乾燥するまで濃縮して、7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジンを茶色の液体として得たが、これは高真空下で、ベージュ色の固体に固化した。収量:20.4g(91%);
【0033】
MS[M+H]+169.9;1HNMR(CDC13)δ:8.7(d、1H)、7.8(d、1H)、7.6(d、1H)、7.3(d,1H)ppm。
【0034】
メチル7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【化16】

7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジン(19.7g、0.116mol)をTHF(400mL)に入れ、約−70℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6M、80mL、0.128mol)を撹拌しながら、窒素雰囲気下で滴加した。溶液を−70℃で1時間撹拌したが、この時点で、そのままのクロロギ酸メチルを滴加した。反応混合物を徐々に室温に加温し、週末のあいだ撹拌した。反応混合物をメタノール25mLで処置し、次いで、乾燥するまで濃縮して、栗色の残渣を残した。粗製の固体をジクロロメタンに入れ、1:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離してシリカゲルカラムに通した。生成物を含有するフラクションを合わせ、濃縮して、赤色の固体を得た。9:1のヘキサン/ジエチルエーテルと共に摩砕して、濾過の後に、メチル7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートをピンク色の固体として得た。収量:14.5g(55%);MS[M+H]+ 227.9;1HNMR(CDCl3)δ:8.7(d、1H)、8.3(s、1H)、7.4(d、1H)ppm。
【0035】
メチル7−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【化17】

メチル7−クロロチエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(5g、0.022mol)および4−アミノ−3−フルオロフェノール(3.3g、0.026mol)を炭酸セシウム(14.8g、0.045mol)、エチル−2−シクロヘキサノンカルボキシレート(0.73g、0.004mol)および塩化銅(I)(0.22g、0.002mol)を含有する丸底フラスコに加えた。混合物をDMSO(250mL)で希釈し、70℃、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。暗色の反応混合物を室温に冷却し、激しく撹拌しながら、酢酸エチル(500mL)/水(1L)に注いだ。混合物をセライトで濾過し、濾液の有機層部分を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶液を濾過し、濾液を濃縮して、紫色の粘稠性の液体を得た。粗製の生成物をジクロロメタンに入れ、1:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離してシリカゲルカラムに通した。生成物を含有するフラクションを合わせ、濃縮して、メチル7−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートを赤色の固体として得た。収量:1.62g(23%);MS[M+H]+319.1。
【0036】
化合物F9
メチル7−(3−フルオロ−4−(3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレイド)フェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート
【化18】

メチル7−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(1.62g、5.1mmol)を酢酸エチル55mLに入れ、続いて、酢酸エチル5ml中の2−フルオロ−5−メチルフェニルイソシアネート(0.85g、5.6mmol)を滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶液は、ラベンダー色の固体を生じた。濾過によって固体を集め、ジエチルエーテルで洗浄して、メチル7−(3−フルオロ−4−(3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレイド)フェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレートをオフホワイト色の固体として得た。収量:1.75g(73%);MS[M+H]+ 470.1;1HNMR(DMSO−d6)δ:9.2(s、1H)、9.0(s、1H)、8.6(d、1H)、8.3(t、1H、8.1(s、1H)、8.0(d、1H)、7.5(d、1H)、7.2(m、2H)、6.8(m、2H)、3.9(s、3H)、2.1(s、3H)ppm。
【0037】
化合物F10
メチル3−[({7−[3−フルオロ−4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパノエート
【化19】

1HNMR(DMSO−d6)δ:9.10(br.s.、1H)、9.03(t、J=5.4Hz、1H)、8.96(br.s.、1H)、8.56(d、J=5.3Hz、1H)、8.26(t、J=9.1Hz、1H)、8.21(s、1H)、7.98(d、J=7.6Hz、1H)、7.40(dd、J=11.6、2.5Hz、1H)、7.06−7.16(m、2H)、6.74−6.84(m、2H)、3.60(s、3H)、3.48−3.55(m、2H)、2.62(t、J=6.9Hz、2H)、2.25(s、3H)
LR MS(ES+):563(M+Na+
LR MS(ES−):539(M−H)
【0038】
化合物F11
メチル3−[({7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパノエート
【化20】

7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸(120mg、0.27mmol)、HATU(122mg、0.32mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(105mg、0.81mmol)の無水THF(10ml)中の混合物を室温で10分間撹拌し、続いて、(R)−3−ピロリジノール(56mg、0.40mmol)を加えた。混合物を加熱し、60℃で30分間撹拌し、水100mlに注いだ。pH=4まで、2MのHClを滴加した。沈澱物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて、メチル3−[({7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパノエートを白色の固体として得た。収量:128mg、90%。
1HNMR(DMSO−d6)δ:9.18(s、1H)、9.01(t、1H)、8.54(br.s.、1H)、8.47(br.s.、1H)、8.20(br.s.、1H)、7.95(d、J=6.7Hz、1H)、7.55(d、J=8.8Hz、2H)、7.22(d、J=8.5Hz、2H)、7.08(dd、J=11.0、8.7Hz、1H)、6.78(br.s.、1H)、6.69(d、J=5.0Hz、1H)、3.60(s、3H)、3.46−3.55(m、2H)、2.62(t、J=6.7Hz、2H)、2.25(s、3H)
LR MS(ES+):545(M+Na+
LR MS(ES−):521(M−H)
【0039】
化合物F6
3−[({7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸
【化21】

メチル3−[({7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパノエート(98mg、0.19mmol)の溶媒THF/MeOH(10ml/10ml)混合物中の撹拌溶液に、1MのNaOH溶液2ml(2mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水100mlに注いだ。pH=4まで、2MのHClを加えた。生じた沈澱物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて、3−[({7−[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸をオフホワイト色の固体として得た。収量:90mg、95%。
1HNMR(DMSO−d6)δ:12.25(br.s.、1H)、9.18(s、1H)、8.99(t、J=5.1Hz、1H)、8.54(d、J=5.6Hz、1H)、8.47(br.s.、1H)、8.21(s、1H)、7.95(d、J=6.5Hz、1H)、7.55(d、J=8.8Hz、2H)、7.22(d、J=8.8Hz、2H)、7.08(dd、J=11.0、8.4Hz、1H)、6.78(br.s.、1H)、6.68(d、J=5.3Hz、1H)、3.42−3.53(m、2H)、2.53(t、J=6.9Hz、2H)、2.25(s、3H)
LR MS(ES−):507(M−H)
【0040】
化合物F7
3−[({7−[3−フルオロ−4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]プロパン酸
【化22】

1HNMR(DMSO−d6)δ:12.26(br.s.、1H)、9.09(br.s.、1H)、9.00(t、J=4.7Hz、1H)、8.96(br.s.、1H)、8.56(d、J=5.3Hz、1H)、8.25(t、J=9.0Hz、1H)、8.22(s、1H)、7.98(d、J=7.0Hz、1H)、7.35−7.44(m、1H)、7.05−7.16(m、2H)、6.71−6.85(m、2H)、3.42−3.54(m、2H)、2.53(t、J=6.7Hz、2H)、2.25(s、3H)
LR MS(ES−):525(M−H)
【0041】
化合物F8
7−[3−フルオロ−4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸
【化23】

メチル7−(3−フルオロ−4−(3−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレイド)フェノキシ)チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボキシレート(1.84g、3.92mmol)をTHF100mLに入れ、続いて、1Nの水酸化ナトリウム(4.8mL、4.8mmol)を滴加した。溶液を室温で3時間撹拌し、この時点で、追加の1Nの水酸化ナトリウム2.4mLを加えた。溶液を室温で一晩撹拌し、生じた混合物を水75mLで希釈し、1NのHClを使用して酸性化した。濾過によって、不溶性の物質を分離し、濾滓を酢酸エチルに懸濁させ、濾過の前に、数分撹拌した。濾滓を酢酸エチルで数回洗浄し、高真空下で乾燥させて、7−[3−フルオロ−4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]チエノ[3,2−b]ピリジン−2−カルボン酸をオフホワイト色の固体として得た。収量:1.6g(90%);MS[M+H]+456.1;1HNMR(DMSO−d6)δ:13.9(bs、1H)、9.2(s、1H)、9.0(s、1H)、8.6(d、1H)、8.3(t、1H)、8.1(s、1H)、8.0(d、1H)、7.5(d、1H)、7.2(m、2H)、6.8(m、2H)、2.1(s、3H)ppm。
【0042】
本出願の教示に従って製造することができる他の化合物には、下記の化合物が包含される:
【化24】

【0043】
4.生物学的試験
本発明の化合物の生物学的データを、次のアッセイのいずれか1つまたは複数を使用することによって得た。
【0044】
in vitroでのVEGF刺激Ca++シグナル
蛍光色素を取り込ませた内皮細胞において、VEGFにより誘発される細胞内カルシウム濃度の上昇に対する阻害薬をスクリーニングするために、自動FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)法を使用した。HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)(Clonetics)を、フィブロネクチンでコーティングされた黒色壁96ウェルプレートに、37℃/5%CO2で一晩播種した。細胞に、カルシウム指示薬であるFluo−4を、37℃で45分間にわたって取り込ませた。細胞を4回洗浄し(Original Cell Wash、Labsystems)、細胞外の色素を除去した。試験化合物を100%DMSO中で再構成し、最終DMSO濃度が0.1%になるように細胞に加えた。スクリーニングのために、細胞を、単一濃度(10μM)または0.01〜10.0μMの範囲の濃度の試験剤と共に30分間予めインキュベーションし、次いでVEGF刺激した(5ng/mL)。516nmにおける蛍光の変化を、96ウェル全部で同時に、冷却CCDカメラを用いて測定した。未刺激サンプル、刺激サンプルおよび薬物処置サンプルでの最高−最低蛍光レベルを決定することによってデータを得た。試験化合物のIC50値を、阻害薬が存在しない場合のVEGF刺激応答に対する抑制%から計算した。
【0045】
VEGFR2キナーゼアッセイ
His改変バキュロウイルスを用いて昆虫細胞を感染させることによって、ヒスチジン標識融合タンパク質として、ヒトVEGE受容体(VEGFR−2)の細胞質ドメインを発現させた。ニッケル樹脂クロマトグラフィーを使用してSDS−PAGEによって決定して同一となるまで、His−VEGFR−2を精製した。10mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.2〜7.4)中の30μgのポリ−Gly−Tyr(4:1)で一晩コーティングした96ウェルマイクロタイタープレート中で、キナーゼアッセイを行った。プレートを1%BSAと共にインキュベートし、次いでPBSで4回洗い、その後、反応を開始した。キナーゼ緩衝液(50mMのHepes緩衝液(pH7.4)、20mMのMgCl2、0.1mMのMnCl2および0.2mMのNa3VO4)中3.6μMのATPを含有する120μLの反応体積で、反応を実施した。試験化合物を100%DMSO中で再構成し、最終DMSO濃度が5%になるように反応に加えた。精製タンパク質0.5ngを加えることによって、反応を開始した。25℃で10分間インキュベーションした後に、0.05%のTween−20を含有するPBSで反応を4回洗浄した。モノクローナル抗ホスホチロシン抗体−ペルオキシダーゼ複合体100μLをPBS−Tween−20で1:10000希釈し、ウェルに30分間加えた。PBS−Tween−20で4回洗った後、過酸化尿素を含有するリン酸−クエン酸緩衝液中のO−フェニレンジアミンジヒドロクロリド100μLを、ペルオキシダーゼの発色基質として、ウェルに7分間加えた。各ウェルに2.5NのH2SO4100μLを加えることによって反応を停止し、492nmに設定したマイクロプレートELISAリーダーを使用して読み取った。光学密度(任意単位)に対する化合物濃度のグラフから、ブランク値を差し引くことによって、化合物の阻害のIC50値を直接計算した。
【0046】
モルモットにおけるVEGF誘発皮膚管外遊出(マイルズアッセイ)
雄のHartleyモルモット(300〜600g)にイソフルオランで麻酔をかけ、剃毛し、薬物またはそれぞれのビヒクルを一回投与した。表3で別段に示されていない限り、モルモットには経口で投与した。薬物処置が終了する10分前に、モルモットにイソフルオランで麻酔をかけ、PBS中0.5%のエバンスブルー色素(EBD)(EBD用量13〜15mg/kg)を静脈内注射した。5分後に、PBS100μl中のrhVEGF165100ngおよびPBS100μlのみの三重皮内注射を側腹部に投与した。20分後に、各動物をPentosolで安楽死させ、画像分析のために、皮内注射部位を含む皮膚を切除した。PCに接続したアナログビデオカメラを使用して、透過した各皮膚試料の画像を写し、各注射部位の積算光学密度をImagePro4を使用して測定した。各皮膚試料について、VEGF部位の平均光学密度とPBS部位の平均光学密度との差違が、その動物におけるVEGF誘発EBD管外遊出の大きさである。これらの測定値を研究群ごとに平均して、各実験条件での平均VEGF誘発EBD管外遊出を決定し、次いで、群平均を比較して、薬物処置群におけるVEGF誘発EBD管外遊出の阻害をビヒクル処置対照と比べて評価した。50%阻害(ID50)に必要な用量を決定するために、MicroSoft Excelソフトウェアの「ベストフィット」分析を使用して、阻害パーセントデータを経口用量の関数として、プロットした。プロットデータを使用することによって、ID50値を視覚的に実証した(50%y値からの水平線とベストフィットラインとの交差点において、垂直線をx軸(用量)へ下ろす)。
【0047】
ラットにおけるレーザー誘発性脈絡膜血管新生(CNV)(CNVアッセイ)
このモデルでは、既に記載されているとおりに(EdelmanおよびCastro.Exp.Eye Res.2000;71:523〜533)、CNVを誘発し、定量化した。0日目に雄のBrown Norwayラット(200〜300g)にケタミン100mg/kgおよびキシラジン10mg/kgで麻酔をかけ、1%トロピカミドで瞳孔を拡張させた。干渉性Novusアルゴンレーザーの青−緑セットを使用して、3レーザー熱傷(90mWで0.1秒;直径100μm)を視神経乳頭のまわりの網膜血管の間の各眼球に当てた。指示されたビヒクル中の試験化合物をラットに一日一回経口投与した。
【0048】
10日目に、100%CO2でラットを屠殺し、FITC−デキストラン(MW2×106)10mg/mlを用いる血管灌流によって、血管を標識した。スポットデジタルカメラおよびPCに接続した落射蛍光顕微鏡(20×)を使用して、各眼球からのRPE−脈絡膜−強膜の平坦な丘から画像を得て、ImagePro4ソフトウェアを使用して、各レーザー損傷部位内において過蛍光新生血管によって占められている面積を測定した。
【0049】
50%阻害(ID50)に必要な用量を決定するために、MicroSoft Excelソフトウェアの「ベストフィット」分析を使用して、阻害パーセントデータを経口用量の関数として、プロットした。プロットデータを使用することによって、ID50値を視覚的に実証した(50%y値からの水平線とベストフィットラインとの交差点において、垂直線をx軸(用量)へ下ろす)。
【0050】
ウサギ眼球VEGF透過性モデル
使用されたアッセイは、Jeffrey EdelmanなどによってExp.Eye.Res.80(2005)、249〜258頁に詳述されている。
【0051】
in vitroでのPDGF刺激Ca2+シグナル
蛍光色素を取り込ませた内皮細胞において、PDGFにより誘発される細胞内カルシウム濃度の上昇に対する阻害薬をスクリーニングするために、自動FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)法を使用した。NHDF−Ad(正常ヒト皮膚線維芽細胞)(Lonza)を、フィブロネクチンコーティングされた黒色壁384ウェルのプレートに37℃/5%CO2で一晩播種した。細胞に、カルシウム指示薬であるFluo−4を37℃で45分間にわたって取り込ませた。細胞を4回洗浄し(ELx405−CW、Bio−Tek)、細胞外の色素を除去した。試験化合物を100%DMSO中で再構成し、最終DMSO濃度が0.1%になるように細胞に加えた。スクリーニングのために、細胞を、単一濃度(10μM)または0.001〜10.0μMの範囲の濃度の試験剤と共に30分間予めインキュベーションし、次いでPDGF刺激した(10ng/mL)。515nmにおける蛍光の変化を、384ウェル全部で同時に、冷却CCDカメラを用いて測定した。未刺激サンプル、刺激サンプルおよび薬物処置サンプルでの最高−最低蛍光レベルを決定することによってデータを得た。試験化合物のIC50値を、阻害薬が存在しない場合のPDGF刺激応答に対する抑制%から計算した。
【0052】
表II:本発明の化合物の生物学的活性
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の薬学的に許容される塩またはプロドラッグを包含する式Iによって表される化合物:
【化1】

式I
[式中、
Xは、NR1、O、S(O)nからなる群から選択され;
nは、0であるか、または1から2の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環を形成していてよく;
Iは、水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、S(O)f4、(CR56dC(O)OR4、S(O)f(CR56dC(O)OR4、(CR56dAr、NR4(CR56dAr、O(CR56dAr、S(O)f(CR56dAr、(CR56dS(O)f4、NR4(CR56dS(O)f4、O(CR56dS(O)f4、S(O)f(CR56eS(O)f4、(CR56dC(O)N(R42、NR4(CR56dC(O)N(R42、O(CR56dC(O)N(R42、S(O)f(CR56eC(O)N(R42、(CR56dOR4、S(O)f(CR56dOR4、(CR56dOSO24、S(O)f(CR56eOSO24、(CR56dP(O)(OR42、S(O)f(CR56eP(O)(OR42、OC(O)(CR56dN(R42、C(O)(CR56dN(R42、C(O)N=S(O)R56、NR2C(O)(CR56dN(R42、(CR56d5、S(O)f(CR56d5、HNC(O)R4、HN−C(O)OR4、(CR56dN(R42、S(O)f(CR56dN(R42、OC(O)OR4、(CR56dC(O)(CR56d4、(CR56dC(O)(CR56dOR4および(CR56dC(O)(CR56dN(R42からなる群から選択され、ここで、R4はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、アリール、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキルからなる群から独立に選択され、(CR56dおよびN(R42は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、5−フルオロピロリジン、ピペリジン、6−フルオロピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリンを含む3〜7員の複素環式環を形成していてよく、かつ前記複素環式環は、3個までのR5で置換されていてもよく;R5およびR6は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキル、スルホネートからなる群から独立に選択され、かつCR56は、5から6個の炭素を含む炭素環式または複素環式環を表していてよいか、または代わりに、(CR56dおよび(CR56eは、3〜7員の炭素環式または複素環式環を形成していてよく、その環は、ヒドロキシル、ハロ、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキルおよびスルホネートのうちの3個までで置換されていてもよく;
aは、0であるか、または1から3の整数であり;
dは、0であるか、または1から5の整数であり;
eは、1から4の整数であり;
fは、0であるか、または1から2の整数であり;
IIは、水素、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、ヒドロキシアルキル、(NR23)アルコキシ、(NR23)アルケニル、(NR23)アルキル、(NR23)カルボニルアルケニルおよび(NR23)カルボニルアルキルからなる群から選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいは、R2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
bは、0または1から2の整数であり;
Yは、
(a) −(CH2)g−O−(CH2)h−;
(b) −(CH2)g−NR1−(CH2)h−;
(c) −(CH2)g−CO−(CH2)h−;
(d) −(CH2)g−C(O)NR2−(CH2)h−;
(e) −(CH2)g−NR2C(O)−(CH2)h−;
(f) −(CH2)g−(CH2)h−;
(g) −(CH2)g−CH(OH)−(CH2)h−;
(h) −(CH2)g−C=C−(CH2)h−;および
(i) 単結合
からなる群から選択され;
ここで、
gは、0であるか、または1から3の整数であり;
hは、0であるか、または1から3の整数であり;
1は、水素、アルケニル、アルコキシアルキル、CF3、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルキル(NR23)からなる群から独立に選択され、ここで、R2およびR3は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から独立に選択されるか;あるいはR2およびR3は一緒になって、Nを含む5〜7員の複素環式環を形成していてよく;
2は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロアルキルスルホニルおよびヘテロシクリルスルホニルからなる群から選択され;
環Aは、
【化2】

(i)フェニル;
(ii)ナフチル;
(iii)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基および
(iv)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜6個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IIIは、C1〜C5直鎖または分岐アルキル、C1〜C5直鎖または分岐ハロアルキル、C1〜C5アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C5アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;
Zは、
(1’) (CH2iN(R7)C(O)N(R8)(CH2j
(2’) (CH2iN(R7)C(S)N(R8)(CH2j
(3’) (CH2iN(R7)C(O);
(4’) C(O)N(R8)(CH2j
(5’) (CH2iN(R7)S(O)2;および
(6’) S(O)2N(R8)(CH2j
からなる群から選択され;
ここで、
iは、0または1であり;
jは、0または1であり;
7およびR8は、水素およびアルキルからなる群から独立に選択され;
環Bは:
【化3】

(i’)フェニル;
(ii’)ナフチル;
(iii’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5または6員の単環式ヘテロアリール基;および
(iv’)O、NおよびSからなる群から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する8から10員の二環式ヘテロアリール基
からなる群から選択され;
IVは、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、アリールアルキル、カルボキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロおよび−NR910からなる群から独立に選択される1〜3個の置換基を表してもよく;ここで、R9およびR10は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルからなる群から独立に選択される]。
【請求項2】
Zが、(CH2iN(R7)C(O)、C(O)N(R8)(CH2j、(CH2iN(R7)C(O)N(R8)(CH2jおよび(CH2iN(R7)C(S)N(R8)(CH2jからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aおよび環Bが、
【化4】

からなる群から独立に選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Iが水素、ハロゲン、C1〜C8アルキル、(CR56dC(O)OR4、(CR56dAr、NR4(CR56dAr、(CR56dC(O)N(R42、NR4(CR56dC(O)N(R42、O(CR56dC(O)N(R42、(CR56dOR4、OC(O)(CR56dN(R42、C(O)(CR56dN(R42、C(O)N=S(O)R56、NR2C(O)(CR56dN(R42、(CR56d5、HNC(O)R4、HN−C(O)OR4、(CR56dN(R42、S(O)f(CR56dN(R42、OC(O)OR4、(CR56dC(O)(CR56d4、(CR56dC(O)(CR56dOR4および(CR56dC(O)(CR56dN(R42からなる群から選択され、ここで、R4はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、アリール、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキルからなる群から独立に選択され、(CR56dおよびN(R42は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、5−フルオロピロリジン、ピペリジン、6−フルオロピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、チオモルホリンを含む3〜7員の複素環式環を形成していてよく、ここで、前記複素環式環は、3個までのR5で置換されていてもよく;R5およびR6は、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキル、スルホネートからなる群から独立に選択され、CR56は、5〜6個の炭素を含む炭素環式または複素環式環を表していてよいか、または代わりに、(CR56dおよび(CR56eは、3〜7員の炭素環式または複素環式環を形成していてよく、ここで、環は、ヒドロキシル、ハロ、C1〜C8アルキル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルアルキル、アミド、アルキルアミド、アミドアルキルおよびスルホネートのうちの3個までで置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
【化5】



からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
チロシンキナーゼ阻害薬として使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
ヒトにおける結腸直腸癌、肺癌、血液癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、眼血管形成、網膜浮腫、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、網膜静脈閉塞、分枝静脈閉塞、網膜前血管新生、レーザー誘発脈絡膜血管新生、角膜移植に随伴する血管新生、緑内障および眼腫瘍、関節炎、再狭窄、肝硬変、アテローム硬化症、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、神経変性疾患および免疫障害からなる群から選択される疾患または状態のいずれかを治療するために使用される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を、そのための薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項10】
錠剤、カプセル剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、局部注射剤、局所クリーム剤、ゲル剤および軟膏剤、点眼剤、眼用軟膏剤、眼用噴霧剤、眼科用懸濁液剤、眼用乳剤、硝子体中注射剤、テノン嚢下注射剤、眼用生浸食性インプラント剤および非生浸食性眼用インサート剤またはデポー剤を含む、請求項9に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−503903(P2013−503903A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528089(P2012−528089)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/047816
【国際公開番号】WO2011/029001
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】