説明

チロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定領域、その使用およびその抗体

【課題】チロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定領域の取得とそれに対する抗体の作成、並びにそれらの利用法の開発。
【解決手段】TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含むペプチド配列。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定領域、その使用およびその抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
チロトロフィン、すなわち甲状腺刺激ホルモン(TSH)は下垂体ホルモンであって、甲状腺機能の調節に重要な役割を果たしている。このホルモンは視床下部で形成されるTRHホルモンの刺激により放出され、重要な甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)およびトリヨードチロニン(T3)の形成と放出を制御している。フィードバックのメカニズムに基づいて、甲状腺ホルモンの血清中含有量によりTSHの放出は制御されている。TSHの刺激により甲状腺細胞はT3およびT4を形成するが、その進行過程で下垂体により放出されたTSHが甲状腺細胞膜のTSH受容体に結合する。
【0003】
ある病理学的な条件では、このTSH受容体に対して各種タイプの自己抗体が形成される。これら抗体のタイプに応じて、T3およびT4の形成と放出に対する阻害がTSH分子の遮蔽によってTSH受容体で生起することもあるし、あるいは抗TSH受容体自己抗体がTSHの作用を模倣し、それによって甲状腺ホルモンの合成と放出が刺激され、これら甲状腺ホルモンが制御されないままに放出されることもある。
【0004】
自己免疫性の甲状腺疾患(AITD)は最も普通の自己免疫疾患であり、世界中のいろいろな人々に及んでいる。AITD患者、主にグレーブス疾患の患者の一部には既述のTSH受容体に対する自己抗体がある。この自己抗体はTSH受容体に結合し、通常はTSHの作用を模倣し、甲状腺を刺激して高いレベルの甲状腺ホルモンを産生する。こうした自己抗体は刺激活性ありと記述される。ある患者では自己抗体はTSH受容体に結合するが甲状腺ホルモンの産生を刺激しないので阻害活性ありと記述される(J Sanders, Y Oda, S-A Roberts, M Maruyama, J Furmaniak, B Rees Smith「チロトロフィン受容体-機能-構造関連の理解」Bailliere's Clinical Endoclinology and Metabolism、T F Davies編1997、11(3):451~479、発行、Baillier Tindall, London)。
【0005】
TSH受容体自己抗体の測定はAITD、特にグレーブス疾患の診断と管理において重要である。現在は三種の測定法を使用してTSH受容体自己抗体を測定しており、以下のごとくである。
【0006】
(a) 競合結合測定法であり、TSH受容体自己抗体がTSH受容体調製物へのTSHの結合を阻害する能力を測定する、
(b) バイオアッセイであり、TSH受容体自己抗体が培地中で細胞のTSH受容体発現を刺激する能力を測定する、および
(c) TSH受容体自己抗体でのTSH受容体調製物の免疫沈降法。
【0007】
これらの測定法でのTSH受容体自己抗体の測定は、J Sanders, Y Oda, S-A Roberts, M Maruyama, J Furmaniak, B Rees Smith「チロトロフィン受容体-機能-構造関連の理解」Bailliere's Clinical Endoclinology and Metabolism、T F Davies編1997、11(3):451~479、発行、Baillier Tindall, London、および J Sanders, Y Oda, S-A Roberts, A Kiddie, T Richard, J Bolton, V McGrath, S Walters, D Jaskolski, J Furmaniak, B Rees Smith「TSH受容体自己抗体と125I−標識TSH受容体との相互作用」Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 1999、84(10):3797~3802 に記述されている。
【0008】
しかし、TSH受容体自己抗体測定の上記現行法の使用には多数の制約がある。タイプ(a)の競合測定法にはいろいろなフォーマットが入手可能であり、一般に感度がよく、比較的に実施が容易であり、日常的な使用に適用できる。しかし、TSH受容体自己抗体の検知用として現在知られている競合的放射線受容体測定法には根本的に不利な実際上の性質があり、その原因はTSH受容体調製物の結合能が一般に受容体または受容体が結合した生体分子の変化にきわめて敏感に反応するという事実にある。本質がペプチドまたはタンパク質である生体分子、例えばホルモンまたは自己抗体の受容体への結合は一般に非常に複雑であり、受容体と生体分子の間の特異的な結合は、受容体が関連するほとんどの免疫測定法の基礎である通常の抗原/抗体結合対よりも、特に受容体の構造変化に対してきわめて敏感である。TSH受容体を固定化および/または標識化しようとする試みは概して構造変化に至らせ、受容体の機能を大いに損なう結果となっている。
【0009】
(b) に述べた型のバイオアッセイに関しては、これらは費用がかかり、時間を消費し、高度の技術スタッフが必要であり、日常的な使用には本来適さない。
【0010】
(c)の型の直接免疫沈降測定法については、現行のような免疫沈降測定法にはTSH受容体自己抗体検知に必要な感度が実際にない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、TSH受容体自己抗体の検出に関する従来技術に付随する問題を解決する。更に詳細には、本発明はTSH受容体自己抗体をスクリーニングする診断方法とキットであって、従来技術による診断方法とキットに比べ感度が上昇したものを提供する。これらは、上記タイプの競合測定法においてTSH受容体に対する1以上の競合結合性パートナーまたは競合体の使用を所望する場合には、それを可能にする。特に本発明は、TSH受容体自己抗体をスクリーニングする診断方法とキットにおいてTSH受容体の1以上の同定された抗原決定領域を使用することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含むペプチド配列を提供しており、該ポリペプチド配列は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座、および/または該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球は(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0013】
更に詳細には、本発明は、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るペプチド配列を提供する。該ポリペプチド配列は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座、および/または該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生した自己抗体は(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0014】
あるいは、本発明は、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るペプチド配列を提供する。該ポリペプチド配列は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含むか、か成るか、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座、および/または該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生したリンパ球は(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0015】
更に本発明は、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るペプチド配列を提供する。該ポリペプチド配列は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列が、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座;および/または該ポリペプチド配列が、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含むか、から成り、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球は(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0016】
更に詳細には、本発明は更に、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るペプチド配列を提供する。該ポリペプチド配列は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列が、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座;および/または該ポリペプチド配列が、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生した自己抗体は(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0017】
本発明は、更に、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療に使用するために、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の1次構造配座(アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るペプチド配列を提供する。該ポリペプチド配列は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、該ポリペプチド配列が、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座;および/または該ポリペプチド配列が、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
ここで、TSH受容体に応答して産生したリンパ球は(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0018】
このような診断的または治療的使用において、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385
の1以上、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列
(特に、該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座;および/または該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号247〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る)
または配列群が採用されるのが一般に好ましい。
【0019】
特に、本発明によるこのような診断的または治療的使用において、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体が採用されるのが一般に好ましい。
【0020】
特に、本発明によるこのような診断的または治療的使用において、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体が採用されるのが一般に好ましい。
【0021】
特に、本発明によるこのような診断的または治療的使用において、TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体が採用されるのが一般に好ましい。
【0022】
本発明による特に好ましいこのような診断的または治療的使用において、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療で使用するために、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を含む。
【0023】
ここでTSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0024】
特にこのような診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を含んでよい。
ここでTSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0025】
あるいは、このような診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を含んでよい。
【0026】
ここでTSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0027】
本発明による特に好ましいこのような診断的または治療的使用において、TSH受容体への免疫反応に付随する自己免疫疾患の診断または治療で使用するために、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
が含まれる。
【0028】
ここでTSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0029】
特にこのような診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を含んでよい。
【0030】
ここでTSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0031】
あるいは、このような診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を含んでよい。
【0032】
ここでTSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該ポリペプチド配列と相互作用し、それによって該診断または治療が可能になる。
【0033】
また、上記診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
が採用され、更に
(iii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上の更なるTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
が採用されるのが更に好ましい場合がある。
【0034】
このような診断的または治療的使用において、
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および、
(iii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上の更なるTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列であって、該ポリペプチド配列は、Figure 7のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはFigure 7のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、
を採用することが更に特に好ましい。
【0035】
配列表から解かるように、上記アミノ酸配列はヒト、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラットまたはヒツジ起源であり、上記種の各々における特定のアミノ酸配列は後にFigure 1、3、5、および7を参照して更に詳細に説明する。
【0036】
本発明は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基も提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0037】
更に特に本発明は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基を提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0038】
あるいは、本発明は、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基を提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0039】
本発明は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基を更に提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0040】
更に特に本発明は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基を提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0041】
本発明は更に、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基を提供し、該1以上のTSH受容体抗原決定基は、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る。
(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)。
【0042】
より好ましくは、1以上のTSH受容体抗原決定基に、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385
の1以上、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体、
(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;または、TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号247〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)
が含まれるのは一般に好ましい。
【0043】
本発明による特に好ましいTSH受容体抗原決定基は、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用するものを含む、から成る、または、から本質的に成る。
【0044】
本発明による特に好ましいTSH受容体抗原決定基は、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用するものを含む、から成る、または、から本質的に成る。
【0045】
本発明による特に好ましいTSH受容体抗原決定基は、TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用するものを含む、から成る、または、から本質的に成る。
【0046】
本発明はまた、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって、(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0047】
本発明は更に特に、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座(すなわち、アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0048】
あるいは本発明は、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座(すなわち、アミノ酸残基の連続的な配列)の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって(特に、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0049】
本発明は更に、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0050】
更に特に、本発明は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0051】
本発明は更に、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであり、該ポリペプチドは、Figure 1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチドであって(特に、Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体;および/または、Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体)、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、ただし全長のTSH受容体を除く、
を提供する。
【0052】
より好ましくは、本発明ポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むことができ、該ポリペプチドは、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385
の1以上、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る。
【0053】
本発明ポリペプチドは、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成るのが好ましい。
【0054】
本発明ポリペプチドは、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成るのが好ましい。
【0055】
本発明ポリペプチドは、TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成るのが好ましい。
【0056】
本発明では、提供されるポリペプチドは、
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く、
であることが好ましい。
【0057】
更に特に、本発明により提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く。
【0058】
あるいは、本発明により提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く。
【0059】
更に、本発明により提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く。
【0060】
更に特に、本発明により更に提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体の相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体が(TSH受容体とこの自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く。
【0061】
本発明により更に提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(ii) Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生したリンパ球が(TSH受容体とこのリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く。
【0062】
本発明により提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
(ii) TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(iii) TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く、
であることも好ましい。
【0063】
更に特に、本発明により更に提供されるポリペプチドは、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチドであり、該ポリペプチドは、
(i) Figure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはFigure 5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
(ii) Figure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはFigure 3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、および
(iii) Figure 7のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはFigure 7のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、ただし全長のTSH受容体を除く、
である。
【0064】
配列表から解かるように、上記アミノ酸配列はヒト、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラットまたはヒツジ起源であり、上記種の各々における特定のアミノ酸配列は以下にFigure 1、3、5、および7を参照して更に詳細に説明する。本発明の第二態様によるポリペプチドがTSH受容体抗原決定基の1を超える一次構造配座の部分または全部に対応するアミノ酸配列を含む場合には、各抗原決定基の一次構造配座の部分または全部に対応する各アミノ酸配列は、TSH受容体の活性部位に存在するアミノ酸の配座、配置または配列と類似、実質的に類似する配座、配置または配列を各アミノ酸配列が得るようにリンカーアミノ酸配列により好ましく分離されてもよく、および/または、その配列の効果により、TSH受容体の各アミノ酸配列によって引用されているものが本明細書に記載の自己抗体および/またはリンパ球との相互反応に適した配座、配置または配列を得ることができる。
【0065】
本発明による好ましいポリペプチド配列およびポリペプチドは、配列表1、3、5、または7のいずれかに各々示されるTSH受容体のアミノ酸番号化された配列で特定されるものを含む、から成る、または、から本質的に成る。しかし、上で示したごとく、本発明には本明細書に記載した特定アミノ酸配列の「変異体」、「類似体」、「誘導体」および「断片」も包含されており、本明細書で本発明ポリペプチド配列およびポリペプチド(例えば配列表を引用して記載された特定アミノ酸の1次構造配座を持つポリペプチド)を言う場合に使用されている「変異体」、「類似体」、「誘導体」および「断片」の語は、(本明細書に記載の自己抗体および/またはリンパ球との相互作用に関して) 配列表を引用して記載された特定アミノ酸の1次構造配座を持つポリペプチド配列およびポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を基本的に保持しているポリペプチド配列およびポリペプチドとして特徴付けられる。本明細書に記載の変異体、類似体、誘導体および断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体には配列表に見られるアミノ酸の1次構造配座が存在し、その中の数個(例えば5から10個、1から5個、あるいは1から3個)のアミノ酸残基は任意の組合わせに置換、削除あるいは追加されている。これらの中で特に好ましいのは、上に具体的に記載した本発明ポリペプチドの生物学的活性または機能を変化させない、または実質的に変化させないサイレントな置換、追加および削除である。保存的置換が好ましく、これは後に詳細に述べる。
【0066】
特に、配列表を引用して記載された特定アミノ酸の1次構造配座を持つポリペプチドの変異体、類似体または誘導体は、以下:
(i) 1以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換されたもの、または
(ii) 1以上のアミノ酸残基が置換基を有するもの、または
(iii) 追加のアミノ酸を更に含み、そのアミノ酸の効果により、本発明ポリペプチドに存在する、TSH受容体のアミノ酸番号により引用されるものがTSH受容体の活性部位に存在するアミノ酸の配座、配置または配列と類似または実質的に類似する配座、配置または配列を得ることができ、および/またはそのアミノ酸の効果により、本発明ポリペプチドに存在する、TSH受容体のアミノ酸番号により引用されるものが本明細書に記載の自己抗体および/またはリンパ球との相互作用に最適な配座、配置または配列を得ることができるもの、
であってよい。
【0067】
このような変異体、誘導体および類似体は当業者が本明細書の教示から容易に推考する範囲に属するとみなされる。
【0068】
一般に、変異体、類似体または誘導体は、引例(例えば、配列表を引用して記載された特定アミノ酸の1次構造配座を持つポリペプチド)からアミノ酸の保存置換によって変移可能なものである。このような置換によって、ポリペプチド中の所与のアミノ酸は特徴の似た他のアミノ酸に置き換わる。脂肪族アミノ酸A、V、LおよびI間、ヒドロキシル残基SおよびT間、酸性残基DおよびE間、アミド残基NおよびQ間、塩基性残基KおよびR間、および芳香族残基FおよびY間の相互の置換は、保存置換として一般に見られるものである。
【0069】
本発明が提供する変異体、類似体または誘導体は更に追加のアミノ酸を含み、そのアミノ酸の効果により、本発明ポリペプチドに存在する、TSH受容体のアミノ酸番号により引用されるものがTSH受容体の活性部位に存在するアミノ酸の配座、配置または配列と類似または実質的に類似する配座、配置または配列を得ることができ、および/またはそのアミノ酸の効果により、本発明ポリペプチドに存在する、TSH受容体のアミノ酸番号により引用されるものが本明細書に記載の自己抗体および/またはリンパ球との相互作用に最適な配座、配置または配列を得ることができるもの、であるのが好ましい。
【0070】
更に詳細に言えば、本明細書で使用する「断片」の語は、配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチドアミノ酸配列と部分としては全く同じだが、全部が同じではないアミノ酸配列を有するポリペプチドを言う。断片の変異体または誘導体およびこのような断片は「遊離状態」、すなわち他のアミノ酸やポリペプチドの一部ではない、またはそれらに融合していない状態であってもよく、あるいはより大きなポリペプチドの中に包含されて、それの一部または区分を形成していてもよい。理解されるように、本発明の断片は、本明細書に記載の自己抗体および/またはリンパ球と相互作用できるように、本明細書に記載の1以上のTSH受容体抗原決定基に存在するアミノ酸の一次構造配座を含む、または含有する。

したがって、本発明ポリペプチドには、配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチド、ならびに配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチドに少なくとも70%の同一性、好ましくは配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチドに少なくとも80%の同一性、更に好ましくは配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチドに少なくとも90%の同一性、より更に好ましくは配列表を引用して本明細書に記載されている特定のアミノ酸配列の一次構造配座を有するポリペプチドに少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド(すなわち上で述べた変異体、類似体および誘導体)が包含され、またこのようなポリペプチドの断片であって大要上に記載したものも包含される。
【0071】
本発明のポリペプチドは、以後に大要記載する本発明のポリヌクレオチドを発現することにより取得されまたは取得可能である。あるいは、本発明ポリペプチドは当分野に公知の技術を使用し通常のペプチド合成機により合成的に製造することができる。このようにして得た本発明ポリペプチドは他の真核生物のポリペプチドや天然環境では結合する恐れのある汚染物とは一体にならない点で有利である。
【0072】
本明細書に大要記載した本発明ポリペプチドは組替えタンパク質を生成する各種のシステムで発現可能である。例えば、大腸菌で発現するために、適切な本発明ポリペプチドをコードするcDNAをベクター、例えばpE122、pMEX8、pGEX2TまたはpQE81L Hisまたは均等物の中にクローン化することができる。酵母(例えば、サッカロミセスセレビシアあるいはサッカロマイセスポンベ)で発現する場合にはpYES2、pESP2、またはpYES2/CTまたは均等物等のベクターを採用することができる。AcMNPV(Bac-N-Blue)ベクターまたは均等物は昆虫細胞での発現に使用することができ、pRC/CMV、pcDNA3.1ベクターまたは均等物は哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスターオバリー(CHO)細胞での発現に使用することができる。本発明ポリペプチドは分離タンパク質としても、あるいは例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)またはポリヒスチジンリンカーに結合した融合タンパク質としても発現することができる。分離タンパク質のためには、本発明ポリペプチドの関連部分に対するマウスモノクローナル抗体をセファローズ粒子に結合したアフィニティーカラムクロマトグラフィー精製を利用することができる。本発明ポリペプチドをGSTに融合した場合には、グルタチオンセファローズクロマトグラフィー精製を利用して融合タンパク質を単離することができる。特異的なプロテアーゼを使用すれば、本発明ポリペプチドからGSTを分離することができるし、またグルタチオンセファローズクロマトグラフィーの第二ラウンドを使用すれば本発明ポリペプチドからGSTを分離することができる。ペプチドがポリヒスチジンリンカーに結合している場合には、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを利用して精製を行うことができる。
【0073】
本発明は更にこれまで大要記載したポリペプチドの製造プロセスを提供する。このプロセスには、
(i) これまで大要記載した宿主細胞を得ること、
(ii) その宿主細胞を増殖すること、および
(iii) 本発明ポリペプチドをその宿主から回収すること、
が含まれる。
【0074】
本発明ポリペプチドの回収には一般に通常の単離および精製の技術、例えば当業者に既知のクロマトグラフィー分離あるいは免疫学的分離を採用することができる。
【0075】
本発明の更なる態様では、ポリヌクレオチドが提供され、以下:
(i) これまで大要記載したポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(ii)これまで大要記載したポリペプチドであって、該ポリペプチドがFigure 1、3、5および7のいずれかを引用して定義されるTSH受容体の特定アミノ酸番号のアミノ酸配列または配列群を含むものをコードするヌクレオチド配列、
(iii) (ii)のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列がFigure 1、3、5および7のいずれかを引用して定義されるTSH受容体の上記特定アミノ酸番号をコードするヌクレオチド塩基を含み、かつ該ヌクレオチド塩基がFigure 2、4、6および8のいずれかを引用して定義されるヌクレオチド配列、
(iv)遺伝子コードの縮重が原因でコドン配列が(iii)の配列と異なるヌクレオチド配列、
(v) (iii)の配列のアレル変異体を含有するヌクレオチド配列、
(vi) (i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の配列のいずれかの断片を含むヌクレオチド配列、または
(vii) (i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または (vi)の配列のいずれかに厳格な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、
を含む。
【0076】
本発明ポリヌクレオチドのヌクレオチド塩基であって、本発明ポリペプチドの上記抗原決定領域をコードするものを以下のようにまとめることができる。

【0077】
本発明ポリヌクレオチドはDNAの形態でよく、例えばcDNA、合成DNA、ゲノムDNAを包含し、適宜にクローニングで得たりあるいは化学合成技術またはそれらの組み合わせによって得られる。本発明の好ましい実施態様ではcDNAまたは合成DNAを含む。
【0078】
本発明ポリペプチドをコードするコード配列は上の(iii)で述べ、Figure 2、4、6および8のいずれかを引用して定義されるポリヌクレオチドのコード配列に同じであってよい。別の配列を持ってはいるが、遺伝子コードの重複(縮重)の結果として本発明ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドでもよい。
【0079】
更に本発明は、配列表を引用して本明細書に記載した特定のアミノ酸の一次構造配座を有するポリペプチドをコードする上記ポリヌクレオチドの変異体、この変異体の変異体、類似体、誘導体または断片、あるいはこの断片の変異体、類似体または誘導体に関し、これまでに大要をより詳細に記載した通りである。ポリヌクレオチドの変異体は天然に生起する変異体、例えば天然に生起するアレル変異体であってもよく、天然に生起することが知られていない変異体でもよい。そのような非天然に生起するポリヌクレオチド変異体は突然変異誘発技術によって作成し得る。
【0080】
これに関連する変異体の中には、ヌクレオチドの置換、削除または追加によりこれまで記載してきたポリヌクレオチドとは異なっている変異体もある。置換、削除または追加が1以上のヌクレオチドに関与してもよい。コード領域における変化によりアミノ酸の保存的または非保存的な置換、削除または追加が生じてもよく、これも、これまでに大要記載した通りである。
【0081】
本発明の変異体ポリヌクレオチドは、配列表を引用して本明細書に記載した特定のアミノ酸の一次構造配座を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびこのポリヌクレオチドに相補またはハイブリッドするポリヌクレオチドに全長の少なくとも70%が同一である。あるいは、最も好ましいポリヌクレオチドは、配列表を引用して本明細書に記載した特定のアミノ酸の一次構造配座を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびこのポリヌクレオチドに相補またはハイブリッドするポリヌクレオチドに全長の少なくとも80%が同一である領域を含む。これに関し、全長の少なくとも90%がこれに同一であるポリヌクレオチドは特に好ましく、これら特に好ましいポリヌクレオチドの中では少なくとも95%同一のものが特別に好ましい。更に、少なくとも95%同一である中では少なくとも97%同一が好ましく、以上の中では少なくとも98%同一および少なくとも99%同一が特に非常に好ましく、少なくとも99%同一は更に好ましい。
【0082】
これまでに大要記載したように、本発明は更に、本明細書に前記した配列にハイブリッドするポリヌクレオチドに関する。これに関連して、本発明は特に、本明細書に前記したポリヌクレオチドに厳密な条件下でハイブリッドするポリヌクレオチドに関する。本明細書で使用する「厳密な条件」の語は、配列間に、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%相補的な同一性がある場合にのみハイブリッドが起こるということ意味する。
【0083】
また本発明は、本発明ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド群を含むベクター、本発明ベクターで遺伝子操作した宿主細胞、および組み換え技術による本発明ポリペプチドの製造に関する。
【0084】
したがって、本発明は更に、大要記載したポリヌクレオチドを担持し、そのポリヌクレオチドを宿主微生物のゲノムに導入することができる、生物学的機能のあるベクターシステムを提供する。
【0085】
宿主細胞を遺伝子操作して、ポリヌクレオチドの組み込みおよび本発明ポリペプチドの発現ができることから、本発明は更に、それぞれ本明細書で大要記載したポリヌクレオチド、または1以上のポリヌクレオチド、またはベクターシステムで形質転換またはトランスフェクションした宿主細胞を提供する。適切なDNA配列を各種の周知で日常的な技術のいずれかによってベクターに挿入してよい。
【0086】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明により更に、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングする方法であって、該方法が以下:
(a)(i)該対象由来の該体液試料または(ii)該試料から単離したリンパ球を得ること、
(b) 該試料または単離したリンパ球を大要前記した本発明ポリペプチドに(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、またはそれから単離された自己抗体またはリンパ球に相互作用するのを可能にすること、および
(c) TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、またはそれから単離された該自己抗体または該リンパ球と該ポリペプチドとの相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在またはそれから単離された該自己抗体または該リンパ球の存在証拠を得ること、
を含む方法が提供される。
【0087】
大要上記した通り、本発明方法は、対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングするのに適している。しかし本発明方法は、後に更に詳細に大要記載するごとく対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングする際の使用に特に適用できる。
【0088】
したがって、特に本発明では、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングする方法であって、該方法が以下:
(a) 該対象由来の該体液試料を得ること、
(b) 該試料を大要前記した本発明ポリペプチドに(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料中に存在する自己抗体と相互作用するのを可能にすること、および
(c) TSH受容体に応答して産生し該試料中に存在する該自己抗体と該ポリペプチドとの相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在する該自己抗体の存在証拠を得ること、
を含む方法が提供される。
【0089】
一般に本発明方法では、コントロール、例えば正常な対象、換言すればTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患がないことが判っている対象からの体液試料を採用してもよい。
【0090】
TSH受容体に対する自己抗体を本発明によりスクリーニングする方法では、一般に当分野で既知の非競合的サンドイッチ型測定法を採用して、(i)対象由来体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と(ii)大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用を直接モニターするすることが含まれる。
【0091】
一般に本発明方法で非競合的方法を採用する場合に、(i)試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と(ii)大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用の程度をモニターするには、大要前記した本発明ポリペプチドに、またはTSH受容体に対する自己抗体への結合性パートナーに、これを標識化する手段が付与されることが含まれ、そのいずれかの技法は上記相互作用のモニターが可能である。例えば、本発明方法では、大要前記した本発明ポリペプチドを直接または間接に標識すること;標識したポリペプチドをTSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料と接触させてこれらの混合物を得ること;および体液試料中に存在する、TSH受容体自己抗体への結合性パートナー(例えば抗IgG試薬)をこの混合物に加え、混合物中に存在する標識ポリペプチドとTSH受容体自己抗体との錯体を沈殿させること、が含まれる。あるいは、好ましい本発明方法として、標識したTSH受容体自己抗体への結合性パートナー(例えば抗IgG試薬、例えばプロテインAまたは抗ヒトIgGの標識化物、あるいは全長のTSH受容体またはその抗原決定基の標識化物)を(i) 大要前記した本発明ポリペプチドと(ii)TSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料との接触により得られた混合物に加えることが更に含まれてよい。
【0092】
あるいは、体液試料中のTSH受容体自己抗体を本発明によりスクリーニングする好ましい方法では、既知の競合測定法で採用されている原理を利用する。例えば、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできる少なくとも1の競合体を本発明方法において採用してよい。
【0093】
一般に、本発明による競合測定法で採用される競合体には、1以上の抗体が含まれ、これは天然でもあるいは一部または全体を合成的に製造してもよい。あるいは本発明で採用される競合体には、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできる結合領域を有する任意の他のタンパク質(例えばTSH)が含まれてもよい。しかし、好ましくは、本発明で採用される競合体には、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできるモノクローナル抗体、組替え抗体あるいはポリクロナール抗体(特にモノクローナル抗体)が含まれる。
【0094】
したがって、一般に、本発明による競合測定法には更に少なくとも1の競合体、例えばモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体を得ることが含まれ、大要前記した本発明ポリペプチドが、本明細書で記載した方法の段階(b)において競合体、例えばモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体、または該試料中に存在する、TSH受容体自己抗体と相互作用することができる。
【0095】
一般に、本発明により競合測定法でモニターリングするには、以下:
(i)スクリーニングしている該体液試料(すなわち疾患の疑いがある試料)の不存在下で、随意ではあるが正常対象、一般的にはTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患がないことが判っている対象からの体液試料の存在下における、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体(一般的にはモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体)との相互作用;と
(ii)スクリーニングしている体液試料の存在下における、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体(一般的にはモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体)との相互作用
との比較が含まれる。
【0096】
一般に、本比較では、該試料中にTSH受容体自己抗体の存在証拠を得るためには、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体との相互作用が(i)の場合に比較して(ii)の場合の方では減少することを含んでいる。一般に、相互作用の減少は、競合体を直接または間接に標識し、TSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料の不存在下および存在下において、標識競合体と大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用にどのような変化があったかをモニターすることによって観察することができる。適切には、大要前記した本発明ポリペプチドを固定化し上記モニターリングを円滑にするのがよい。
【0097】
あるいは、本発明は、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、該方法が以下:
(a)該対象由来の該体液試料を得ること、
(b)該試料を
(i)該全長のTSH受容体(一般的には組み換え技術で得られた全長のTSH受容体)、および
(ii)大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体、
と(TSH受容体とTSH受容体の自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって全長のTSH受容体が、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該競合体に相互作用するのを可能にすること、および
(c)該試料に存在する該自己抗体と該全長のTSH受容体の相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
を含む方法を提供する。
【0098】
全長のTSH受容体は一般にはヒト、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラットまたはヒツジ起源が可能であり、遺伝子組み換え操作で得た全長TSH受容体が更に好ましい。この測定法で使用する競合体には、一般には大要前記したモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体(好ましくはモノクローナル抗体)が含まれる。
【0099】
本発明方法で採用できる検出可能な標識は、酵素標識、同位元素標識、化学発光標識、蛍光標識、色素等からなる群から適切に選択することができる。
【0100】
同位元素標識(例えば、125I、14C、3Hまたは35S)を採用する場合には、それ故、モニターリングには大要前記した本発明ポリペプチドの結合性に応じた放射活性を測定することが含まれる。放射活性は一般的にガンマカウンターまたは液体シンチレーションカウンターを使用して測定される。
【0101】
本発明によりリンパ球をスクリーニングする方法の場合には、最初にリンパ球を対象由来の体液試料から当業者に周知の技法を使用して単離し、次に本発明ポリペプチドと接触せしめて単離リンパ球の増殖を促進するのが一般的に好ましい。本発明ポリペプチドと増殖リンパ球の相互作用の結果をモニターするに当たっては、リンパ球の増殖をモニターするための当分野で既知の手段を一般に採用する。
【0102】
本発明の更に特に好ましい実施態様によれば、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングするキットであって、該キットが以下:
(a) 大要前記した本発明ポリペプチド、
(b) (i)該対象から採取した体液試料、または(ii) 該対象から採取した体液試料から単離したリンパ球を(TSH受容体とこの自己抗体またはリンパ球との相互作用が可能になる条件下で適切に)該本発明ポリペプチドに、大要前記したごとく接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在するまたは単離された自己抗体またはリンパ球に相互作用するのを可能にする手段、および
(c) 該ポリペプチドとTSH受容体に応答して産生し該試料に存在するまたは単離された該自己抗体または該リンパ球との相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在するまたは該試料から単離された該自己抗体または該リンパ球の存在証拠を得る手段、
を含むキットが提供される。
【0103】
大要上記した通り、本発明キットは、対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングするのに適している。しかし本発明キットは、後に更に詳細に大要記載するごとく対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングする際の使用に特に適用できる。
【0104】
したがって、特に本発明では、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングするキットであって、該キットが以下:
(a) 大要前記した本発明ポリペプチド、
(b) 該対象から採取した体液試料を大要前記した該本発明ポリペプチドに(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する自己抗体に相互作用するのを可能にする手段、および
(c) 該ポリペプチドとTSH受容体に応答して産生し該試料に存在する該自己抗体との相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むキットが提供される。
【0105】
一般に本発明キットでは、コントロール手段、例えば正常な対象、換言すればTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患がないことが判っている対象からの体液試料を得る手段が更に含まれてもよい。
【0106】
TSH受容体に対する自己抗体を本発明によりスクリーニングするキットでは、(i)対象由来体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と(ii)大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用を直接モニターする手段を含み、一般に当分野で既知の非競合的サンドイッチ型測定手段を含んでよい。
【0107】
一般に非競合的測定手段を含む本発明キットには、(i)試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と(ii)大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用の程度をモニターする手段が提供され、その手段は大要前記した本発明ポリペプチドに、またはTSH受容体に対する自己抗体への結合性パートナーに付与される標識化手段を含むことができ、そのいずれかにより上記相互作用のモニターが可能になる。例えば、本発明キットでは、大要前記した本発明ポリペプチドを直接または間接に標識する手段;標識したポリペプチドをTSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料と接触させてこれらの混合物を得る手段;体液試料中に存在する、TSH受容体自己抗体への結合性パートナー(例えば抗IgG試薬);およびこの結合性パートナーをこの混合物に加え、混合物中に存在する標識ポリペプチドとTSH受容体自己抗体との錯体を沈殿させる手段、が含まれてよい。あるいは、好ましい本発明キットに、標識したTSH受容体自己抗体への結合性パートナー(例えば抗IgG試薬、例えばプロテインAまたは抗ヒトIgGの標識化物、あるいは全長のTSH受容体またはその抗原決定基の標識化物)、およびこの標識した結合性パートナーを、 (i) 基板に固定化した大要前記した本発明ポリペプチドと(ii)TSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料との接触により得られた混合物に加える手段が更に含まれてよい。
【0108】
あるいは、体液試料中のTSH受容体自己抗体を本発明によりスクリーニングする好ましいキットに既知の競合測定法手段が含まれてよい。例えば、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできる少なくとも1の競合体が本発明キットに含まれてよい。
【0109】
一般に、本発明による競合測定法キットで採用される競合体には、1以上の抗体が含まれてよく、これは天然でもあるいは一部または全体を合成的に製造されてもよい。あるいは、本発明で採用される競合体には、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできる結合領域を有する他のタンパク質が含まれてもよい。しかし、好ましくは、本発明で採用される競合体には、大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体自己抗体と競合することのできるモノクローナル抗体あるいはポリクロナール抗体(特にモノクローナル抗体)が含まれる。
【0110】
したがって、一般に、本発明による競合測定法キットには更に少なくとも1の競合体、例えばモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体が含まれ、大要前記した本発明ポリペプチドが競合体、例えばモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体、またはスクリーニングする試料中に存在する、TSH受容体自己抗体と相互作用することができる。
【0111】
一般に、本発明競合測定法キットでのモニター手段には、以下:
(i) スクリーニングしている体液試料(すなわち疾患の疑いがある試料)の不存在下で、随意ではあるが、正常対象、一般にはTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患がないことが判っている対象からの体液試料の存在下における、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体(一般的にはモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体)との相互作用;と
(ii) スクリーニングしている体液試料の存在下における、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体(一般的にはモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体)との相互作用
を比較する手段が含まれる。
【0112】
一般に、該試料中にTSH受容体自己抗体の存在証拠を得るためには、大要前記した本発明ポリペプチドと大要前記した1以上の競合体との相互作用が(i)の場合に比較して(ii)の場合の方では減少することを観察することを包含する。一般に、相互作用の減少は、競合体を直接または間接に標識し、TSH受容体自己抗体についてスクリーニングする体液試料の不存在下および存在下において、標識競合体と大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用にどのような変化があったかをモニターすることによって観察することができる。適切には、大要前記した本発明ポリペプチドを固定化し上記モニターリングを円滑にするのがよい。
【0113】
あるいは、本発明は、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、該キットが以下:
(a) 全長のTSH受容体(一般には組み換え技術で得られた全長のTSH受容体)、
(b) 大要前記した本発明ポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体、
(c) 該対象由来の該体液試料、該全長のTSH受容体および該競合体を(TSH受容体とTSH受容体に対する自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該競合体に全長のTSH受容体が相互作用するのを可能にする手段、および
(d) 該全長のTSH受容体と該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むキットを提供する。
【0114】
全長のTSH受容体は一般にはヒト、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラットまたはヒツジ起源が可能であり、組み換え操作で得た全長TSH受容体が更に好ましい。この測定キットで使用する競合体には、一般には大要前記したモノクローナル抗体またはポリクロナール抗体(好ましくはモノクローナル抗体)が含まれる。
【0115】
適切には、本発明キットで採用できる検出可能な標識は、酵素標識、同位元素標識、化学発光標識、蛍光標識、色素等からなる群から選択することができる。
【0116】
同位元素標識(例えば、125I、14C、3Hまたは35S)を採用する場合には、モニターリング手段には、それ故、大要前記した本発明ポリペプチドの結合性に応じた放射活性を測定することが含まれる。放射活性は一般にガンマカウンターまたは液体シンチレーションカウンターを使用して測定される。
【0117】
本発明によるリンパ球をスクリーニングするキットの場合には、最初にリンパ球を対象由来の体液試料から当業者に周知の技法を使用して単離する手段、および本発明ポリペプチドをこの単離したリンパ球と接触せしめて前者による後者の増殖を促進する手段が提供されるのが一般的に好ましい。本発明ポリペプチドとこのような増殖リンパ球の相互作用の効果をモニターする手段(やはり当業者に既知の)も本発明キットに提供される。
【0118】
これまでの記述から理解されることであるが、本発明には大要前記したごとく体液試料中のTSH受容体に応答して産生した(特に)自己抗体またはリンパ球を検出する測定方法および測定キットが提供されている。体液試料中のTSH受容体に応答して産生したこのような自己抗体および/またはリンパ球(あるいは少なくともこのような自己抗体および/またはリンパ球の試料中のレベル)が検出されれば、試料を採取した対象に、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患が存在することが証明されるので、したがって、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在の可能性を診断することが可能になる。
【0119】
したがって、本発明により、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト)における、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在の可能性を診断する方法であって、該方法が、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球を、対象由来の体液試料中に大要前記したごとく検出し、これによって検出された自己抗体および/またはリンパ球により、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患が対象において発生または存在する可能性を診断することを含む方法が更に提供される。
【0120】
更にまた本発明により、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である動物対象(特にヒト対象)におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在を遅延または防止する方法であって、該方法が、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在を示す自己抗体またはリンパ球を、対象由来の体液試料中に大要前記したごとく最初に検出し、これによってTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患が対象において発生している可能性を診断し、その後にTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生を遅延および/または防止するために対象を治療処置することを含む方法が提供される。
【0121】
大要前記した本発明ポリペプチドは、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療処置に使用するのに特に適している。例えば、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象(特にヒト対象)に大要前記した本発明ポリペプチドを投与することにより耐性を得ることができる。
【0122】
したがって、本発明は、大要前記した本発明ポリペプチドを医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に含有する医薬組成物であって、該ポリペプチドがTSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球と相互作用することができるものを更に提供する。
【0123】
本発明は更に、グレーブス疾患の治療用薬剤の製造で使用するための、大要前記した本発明ポリペプチドを提供する。
【0124】
本発明組成物または薬剤は、治療的または予防的な量の少なくとも1の本発明ポリペプチドを医薬的に受容可能な担体の中に含有すべきである。医薬的担体は、ポリペプチドを患者に運搬するのに適した適合性のある無毒の任意の物質である。滅菌水、アルコール、脂肪、ワックス、および不活性な固体は担体として使用してよい。医薬的に受容可能なアジュバント、緩衝剤、分散化剤等も医薬組成物中に配合してよい。このような組成物は、本発明の単一のポリペプチドを含有できるが、2以上のポリペプチドを含有してもよい。
【0125】
耐性を増大させるために、本発明ポリペプチドを免疫グロブリン、例えばIgGに、あるいは治療中の患者由来のリンパ球様細胞に結合することが好ましい。このようなアプローチはBradley-Mullen「遺伝的に同系の脾臓細胞に結合したタイプIII肺炎球菌多糖質でT抑制細胞の特異な小集団を活性化」IMMUNOLOGICAL TOLERANCE TO SELF AND NON-SELF、Buttistoら編、Annals N.Y.Acad.Sci.Vol.392,pp156-166,1982 に記載されている。あるいはポリペプチドを修飾することにより、MHCへの結合性を維持または増大し、関連T細胞受容体への結合性を減少または消失してもよい。このようにして、修飾したポリペプチドは天然のTSH受容体と競合してヘルパーT細胞の活性化を阻害し、したがって免疫応答を阻害する。本発明医薬組成物を投与した場合には、免疫応答は改善されるが強化されることはない点に常に留意するのがよい。
【0126】
本発明組成物は非経口投与に有用である。この組成物は非経口、すなわち皮下、筋肉内、あるいは静脈内に投与されるのが好ましい。したがって、本発明は、患者に対する非経口投与用組成物であって、上記の通り、ポリペプチドの受容可能な担体中溶液または分散液を含有する組成物を提供する。医薬組成物中のポリペプチドの濃度は広範囲、すなわち約0.1重量%未満から、通常は少なくとも約1重量%から20重量%以上にまで変動する。筋肉内注射用の典型的な医薬組成物は、例えば1mlの無菌緩衝水および1〜100μgの精製した本発明ポリペプチドを含有するように調製される。静脈内点滴用の典型的な組成物は、100〜500mlの無菌リンゲル溶液および100〜500mgの精製した本発明ポリペプチドを含有するように調製することができる。非経口投与可能な組成物を製造する実際の方法は当分野に公知であり、いろいろな出典、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、15版、Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1980)に記載されている。
【0127】
本発明ポリペプチドを医薬組成物に直接に使用する以外に、本発明ポリペプチドを使用することにより、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象のTSH受容体への耐性を増大することができ、これは次の原理を利用する。詳細に述べると、末梢血液のリンパ球を従来の方法で対象から採取し、上記のように本発明ポリペプチドに曝して刺激を加えることができる。通常は、他のマイトージェンおよび成長促進物質、例えばフィトヘマグルチニン、インターロイキン2等が存在する。増殖Tヘルパー細胞を単離し、本発明ポリペプチドの刺激下にクローン化してもよい。次に増殖を続けるクローンを使用して対象のための治療組成物を調製する。クローン化T細胞を、例えば放射線に曝して効力を弱めてから対象に投与して、耐性を誘起してもよい。あるいは、T細胞受容体またはその部分を従来のタンパク質精製法によりクローン化T細胞から単離し、個体に投与してもよい。このような免疫治療法は一般的にSinha等(1990)Science 248:1380〜1388に記載されている。
【0128】
ある場合には、Tヘルパー細胞を上記のごとくクローン化した後に、そのT細胞受容体から治療用ペプチドを取り出せば、そのペプチドは、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である患者集団の治療に有用であろう。そのような場合には、上記組み換え技術により製造製造されたペプチドに基づき、T細胞受容体遺伝子を従来の技法で単離およびクローン化してもよい。次に組み換え操作で製造したペプチドを上記医薬組成物に配合してもよい。
【0129】
また、本発明は、TSH受容体に応答して産生したリンパ球をクローン化する方法であって、該方法が以下:
リンパ球の供給源を得ること、
リンパ球を大要前記した本発明ポリペプチドに接触せしめ、該リンパ球の増殖をもたらすこと、および
増殖リンパ球を単離し、クローン化すること
を含む方法を提供する。
【0130】
また、本発明は、上記のごとく製造したクローン化リンパ球を、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療的処置において使用することを提供する。したがって、上記のごとく製造したクローン化リンパ球を医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物、およびTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患、特にグレーブス疾患の治療用薬剤の製造にこのクローン化リンパ球を使用することを提供する。
【0131】
本発明はまた、大要前記した1以上のTSH受容体抗原決定基のアミノ酸の一次配座の部分または全部を含むアミノ酸との相互作用によって治療効果を呈すると認められる、1以上の治療剤を提供する。また本発明は更に、大要前記した1以上のTSH受容体抗原決定基のアミノ酸の一次配座の部分または全部を含有するアミノ酸との治療的な相互作用に使用され、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療処置に使用される1以上の治療剤を提供する。
【0132】
したがって、本発明は更に、対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療方法であって、該方法は、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球を、大要前記した対象から採取した体液試料中に最初に検出し、それによって対象における自己免疫疾患を診断し、かつこのような自己免疫疾患の治療に有効な少なくとも1の治療剤、例えば大要前記した本発明ポリペプチドの治療的有効量を対象に投与することである方法を提供する。
【0133】
また本発明は、対象(特にヒト対象)におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療方法であって、該方法は、大要前記した1以上のTSH受容体抗原決定基のアミノ酸の一次配座の部分または全部を含むアミノ酸との相互作用によって治療効果を呈すると認められる治療剤の治療的有効量を対象に投与することである方法を提供する。
【0134】
投与治療剤の量は、治療中の自己免疫の特定状況、おそらく患者の年齢によるが、最終的には担当医師の裁量であろう。
【0135】
また更に本発明は、大要前記したTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療に有効な少なくとも1の治療剤の治療的有効量と組み合わせにした大要前記したキットを提供する。
【0136】
大要前記したごとく、本発明によりスクリーニングされる体液試料には、一般には血液試料や他の液状血液画分、例えば特に血清試料または血漿試料が含まれるが、試料は本来他の生物学的液体、例えば唾液、尿あるいは溶解した組織抽出物でもよく、あるいは針によるバイオプシーによって採取してもよい。
【0137】
本発明は更に、TSH受容体に対する結合性パートナー、例えばTSH受容体に対する抗体あるいはTSH受容体に対する抗体の断片であって、大要前記したTSH受容体の1以上の抗原決定基、特にTSH受容体のアミノ酸番号277〜296と相互作用することができるものを提供する。適切に言えば、本発明が提供する抗体はモノクローナル(好ましい)、組替えあるいはポリクロナールである。一般に、本発明が提供する抗体、例えばモノクローナル抗体は実質的に精製された形である。
【0138】
更に詳細に言えば、本発明が提供するモノクローナル抗体は、実施例に記載し更に添付Figureに示すモノクローナル抗体3C7、2B4、8E2、18C5、4D7、16E5、17D2、3B3および14D3またはこれらの活性断片のいずれかを含むことができる。抗体、例えば実施例に記載する2B4、8E2、18C5、4D7、16E5、17D2、3B3および14D3またはこれらの活性断片はTSH受容体に対して高い親和性、例えば少なくとも約108molar-1を有するのが好ましい。したがって、本発明は、TSH受容体の1以上の抗原決定基に対する親和性が少なくとも約108molar-1であるモノクローナル抗体を提供し、ここでその抗原決定基はTSH受容体の以下:
TSH受容体のアミノ酸22〜91、または
TSH受容体のアミノ酸246〜260
のアミノ酸配列のいずれか1によって提供され、あるいは更には以下:
TSH受容体のアミノ酸36〜42、または
TSH受容体のアミノ酸247〜260
のアミノ酸配列のいずれか1から本質的に成る。
【0139】
また本発明は、TSH受容体の1以上の抗原決定基に対する親和性が少なくとも約108molar-1であるモノクローナル抗体を提供し、ここでその抗原決定基はTSH受容体の以下:
TSH受容体のアミノ酸32〜41、または
TSH受容体のアミノ酸277〜296
のアミノ酸配列のいずれか1によって提供される。
【0140】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、TSH受容体に対する結合性パートナーであって、TSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができ、かつTSHまたはTSH受容体に対して天然に産生した自己抗体を含まないものが提供される。
【0141】
好ましくは、結合性パートナーには、TSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができる抗体、特にモノクローナルまたは組替え(好ましくはモノクローナル)抗体が含まれる。本明細書に開示するモノクローナル抗体でTSH受容体をこのように刺激する例には4D7、16E5、17D2および14D3を包含する。
【0142】
好ましい事例で本発明は、TSH受容体に対する結合性パートナーであって、TSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができるものを提供しており、それは、以下:
Figure 10、14、18、22、42、46または50のいずれか1に示されるVH領域、Figure 10に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、Figure 14に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、Figure 18に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、Figure 22に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、Figure 42に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、Figure 46に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、およびFigure 50に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、
から成る群から選択される抗体VH領域、および/または以下;
Figure 12、16、20、24、44、48または52のいずれか1に示されるVL領域、Figure 12に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、Figure 16に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、Figure 20に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、Figure 24に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、Figure 44に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、Figure 48に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、およびFigure 52に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、
から成る群から選択される抗体VL領域、
を含む。
【0143】
更に論じるように抗体VH領域または抗体VL領域を各独立に使用してTSH受容体に結合せしめてもよいが、大要前記した結合性パートナーが、大要前記した抗体VH領域と大要前記した抗体VL領域とを一対にして含有することによって、TSH受容体に対しVH領域とVL領域とを両方含む抗体結合部位が付与されるのが本発明による好ましい態様である。したがって、大要前記した結合性パートナーが、大要前記した抗体VH領域を、大要前記した抗体VL領域の不存在下に含むことが可能であると理解される。あるいは、大要前記した結合性パートナーが、大要前記した抗体VL領域を、大要前記した抗体VH領域の不存在下に含むことが可能であると理解される。あるいは、大要前記した結合性パートナーが、大要前記した抗体VH領域と大要前記した抗体VL領域とを一対にして含み、それによってTSH受容体に対するVH領域とVL領域とを両方含む抗体結合部位が付与されることが可能である。
【0144】
したがって、本発明の好ましい実施態様は、
Figure 10に示される抗体VH領域とFigure 12に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 14に示される抗体VH領域とFigure 16に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 18に示される抗体VH領域とFigure 20に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 22に示される抗体VH領域とFigure 24に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 42に示される抗体VH領域とFigure 44に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 46に示される抗体VH領域とFigure 48に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー;またはFigure 50に示される抗体VH領域とFigure 52に示される抗体VL領域を一対にして含むことにより、TSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる大要前記した結合性パートナー、
を包含できる。
【0145】
本発明により更に想定されることであるが、大要前記したVH領域は、本明細書に具体的に記載する以外のVL領域と一対になってもよい。同様に本発明により更に想定されることであるが、大要前記したVL領域は、本明細書に具体的に記載する以外のVH領域と一対になってもよい。
【0146】
本発明の別の実施態様によれば、TSH受容体に対する大要前記した結合性パートナーであって、TSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができるものが提供され、それは、
Figure 10に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 14に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 18に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 22に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 42に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 46に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、またはFigure 50に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVHCDRを含むVH領域、
を含む抗体VH領域、および/または、
Figure 12に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 16に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 20に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 24に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 44に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 48に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、またはFigure 52に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列を持った1以上のVLCDRを含むVL領域、
を含む抗体VL領域、
を含むことができる。
【0147】
上に引用した1以上のCDRは、前記VHおよびVL領域から取り出し、適当な枠組みに組み込んでもよい。例えば、大要前記した1以上のCDRのアミノ酸配列を、本明細書に具体的に開示したものとは異なる抗体枠組み領域に組み込んでもよく、それによってそれらの抗体は1以上のCDRを組み込み、TSH受容体に結合して、好ましくはTSH受容体を大要前記したごとく刺激することができる。あるいは、本発明結合性パートナーは、TSH受容体に結合してTSH受容体を大要前記したごとく刺激することができ、かつ本明細書に具体的に記載した1以上のCDRにより示されるアミノ酸の一次構造配座を含むポリペプチドを含むと共に、別のアミノ酸を随意に含んでもよい。この別のアミノ酸は、本明細書に記載の1以上のCDRのTSH受容体に対する結合親和性を増強してもよいし、あるいはポリペプチドのTSH受容体への結合特性を左右するなんの役割も、実質的に持たなくてもよい。
【0148】
本発明結合性パートナーには好ましくは抗体を包含する。本明細書で使用している「抗体」の語は免疫グロブリンを言い、天然でもまたは一部または全部を合成的に製造したものでもよい。またこの語は、抗体結合領域またはそれに相同の結合領域を有するポリペプチドを網羅する。抗体の例は、免疫グロブリンのアイソタイプおよびそれらの同形のサブクラスおよび断片であり、抗原結合領域、例えばFab、scFvあるいは同様の領域を含む。
【0149】
特に、本明細書で具体的に記載の抗体の断片は、本発明の重要な態様を形成する。本発明結合性パートナーが大要前記した抗体を含む場合に、この抗体は以下の断片:.(i) VL、VH、CLおよびCH1領域から成るFab断片;(ii) VHおよびCH1領域から成るFd断片;(iii) VLおよびVH領域から成るFv断片;(iv) VH領域から成るdAb断片;(v)単離したCDR領域;(vi)二つの結合したFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;および(vii)単鎖分子(scFv)、 のいずれかを含む。ここでVH領域およびVL領域はペプチドリンカーにより連結し、このリンカーにより二つの領域は一体になって抗原結合部位を形成する。
【0150】
あるいは、本発明結合性パートナーが抗体を含む場合に、その抗体は丸ごとの抗体を含んでもよく、したがってその抗体には可変領域および定常領域が含まれ、これら可変領域および定常領域はFigure 9〜24または41〜52のいずれかを引用して本発明が提供している抗体に対して示すことができる。
【0151】
本発明は、特定の結合性パートナー、抗体、VH領域、VL領域、CDRおよび本明細書に開示のポリペプチドの変異体、類似体および誘導体に及ぶが、たとえ変異体、類似体および誘導体であってもTSH受容体への結合能を保持しており、大要前記したごとくTSH受容体を刺激する。変異体、類似体および誘導体の語は、本明細書において本発明ポリペプチドに関連して以前に詳細に記載してあり、以前に記載したこれらの語の意味は、本発明の特定結合性パートナーの変異体、類似体および誘導体にも当てはまる。
【0152】
本発明は、大要前記したごとくTSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができる別の結合性パートナーも提供しているが、これら別の結合性パートナーは、TSH受容体への結合に関し、本明細書に開示の特定結合性パートナーと競合することができ、かつTSHまたはTSH受容体に対する自己抗体を含まない。特にこの別の結合性パートナーには、適宜前記したTSH受容体の抗原決定領域に対する結合部位を有する別の抗体が含まれていてよく、この別の抗体は大要前記したごとくにTSH受容体に結合してTSH受容体を刺激することができ、かつTSH受容体への結合に関し本明細書に開示の特定結合性パートナーと競合することができる。
【0153】
本発明は、以下
(i)Figure 10、12、14、16、18、20、22、24、42、44、46、48、50または52のいずれかに示す抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードする、Figure 25から40、または53から64のいずれかに示すヌクレオチド配列;またはこれら配列の部分であってFigure 26、28、30、32、34、36、38、40、54、56、58、60、62、または64に示すもの、
(ii)大要前記した結合性パートナーをコードする、あるいは大要前記した結合性パートナーの抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii)Figure 9から24、または41から52のいずれかに示されるアミノ酸の1次構造配座を有する結合性パートナーをコードする、またはFigure 10、12、14、16、18、20、22、24、42、44、46、48、50または52のいずれかに示す抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iv)遺伝子コードの縮重が原因でコドン配列が(i)のいずれかの配列と異なるヌクレオチド配列、
(v) (i)のいずれかの配列のアレル変異体を含むヌクレオチド配列、
(vi) (i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の配列のいずれかの断片を含むヌクレオチド配列、特に(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の配列のいずれかの断片を含み、かつ大要前記した結合性パートナーのFab断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片、単離したCDR領域、F(ab’)2断片、またはscFv断片をコードするヌクレオチド配列、
(vii)ヌクレオチド塩基の変異、削除または置換が原因で(i)のいずれかの配列と異なり、かつ大要前記した結合性パートナーをコードする、または大要前記した結合性パートナーの抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
を包むポリヌクレオチドを提供する。
【0154】
本発明の変異体ポリヌクレオチドは、適切にはその全長の少なくとも70%が(i)のポリヌクレオチドに同一であるが、全長の少なくとも80%が(i)のポリヌクレオチドに同一である領域を含むポリヌクレオチドは最も好ましく、全長の少なくとも90%が(i)のポリヌクレオチドに同一であるポリヌクレオチドは特に好ましく、これら特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、95%の同一性を有するものは格別に好ましい。本明細書に記載の特定ポリヌクレオチド配列の変異体の意味は前にもっと詳細に記載した。
【0155】
本発明は、大要前記したポリヌクレオチドを担持し、そのポリヌクレオチドを宿主微生物のゲノム中に導入することができる生物学的な機能ベクターシステムを提供する。
【0156】
また本発明は、本発明ポリヌクレオチドで形質転換した宿主細胞、および本発明結合性パートナーの組替え技術による製造に関する。宿主細胞には遺伝子操作によりポリヌクレオチドを組み込むことができ、本発明結合性パートナーが発現される。
【0157】
大要前記した結合性パートナーには診断的および治療的な用途があってよく、大要前記したTSH受容体の1以上の抗原決定領域と相互作用または結合するので有利である。
【0158】
したがって、大要前記した結合性パートナーは、大要前記した自己抗体を検出するスクリーニング方法に、および大要前記した診断方法にも採用することができる。こうして、本発明結合性パートナーは、大要前記した自己抗体を検出するスクリーニング方法および大要前記した診断方法で使用するためにこれまで記述してきた競合体の代わりに採用することができる。同様に、本発明結合性パートナーは、大要前記した自己抗体の検出に使用するキットで使用するためにこれまで記述してきた競合体の代わりに採用することができる。
【0159】
本発明はまた、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、該方法が以下:
(a)該対象由来の該体液試料を得ること、
(b)該試料を
(i)全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、および
(ii)大要前記した1以上の結合性パートナー、
と(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合性パートナーと相互作用するのを可能にすること、および
(c)該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
を含む方法を提供する。
【0160】
上に言及した本発明方法には更に、1以上の結合性パートナーの標識化手段の提供が含まれるのが好ましい。適切な標識化手段は大要前記されている。
【0161】
本発明はまた、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、該方法が以下:
(a)該対象由来の該体液試料を得ること、
(b)該試料を
(i)全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、および
(ii)TSH受容体に対する1以上の結合性メンバー、
と(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決性決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合メンバーに相互作用するのを可能にすること、および
(c)該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
ここで、該1以上の結合性メンバーは、段階(b)の前か後に、表面に直接または間接に固定化する、
を含む方法を提供する。
【0162】
一般に、1以上の結合性メンバーは、1以上の大要前記した本発明結合性パートナーを含んでいる。TSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはポリペプチドの標識化手段が提供されるのが適切である。
【0163】
本発明はまた、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、該キットが以下:
(a)全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、
(b)大要前記した1以上の結合性パートナー、
(c)該対象由来の該体液試料、該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチド、および該1以上の結合性パートナーを(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合性パートナーに相互作用するのを可能にする手段、および
(d)該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むキットを提供する。
【0164】
上に言及した本発明キットには更に、1以上の結合性パートナーの標識化手段が含まれるのが適切である。適切な標識化手段は大要前記されている。
【0165】
本発明はまた、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、該キットが以下:
(a)全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、
(b)TSH受容体のための1以上の結合性メンバー、
(c)該対象由来の該体液試料、該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチド、および該1以上の結合性メンバーを(TSH受容体とTSH受容体に応答して産生した自己抗体との相互作用が可能になる条件下で適切に)接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合性メンバーに相互作用するのを可能にする手段、
(d)該1以上の結合性メンバーを該対象由来の該体液試料および該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと接触させる前または後に、該1以上の結合性メンバーを直接にまたは間接に表面に固定化する手段、および
(e)該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基、または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むキットを提供する。
【0166】
一般に、1以上の結合性メンバーは、1以上の大要前記した本発明結合性パートナーを含んでいる。TSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはポリペプチドの標識化手段が提供されるのが適切である。
【0167】
適切なことに、上に言及した方法またはキットには、大要前記した本発明ポリペプチドまたは抗原決定基が採用できる。
【0168】
大要前記したごとく、TSH受容体に対する自己抗体が存在すると、固定化した結合性メンバーまたは結合性パートナーへのTSH受容体の結合は減少する。TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするこのような方法とキットは、TSH受容体を表面に固定化した場合にTSH受容体に伴う問題を軽減するのに有利である。
【0169】
大要前記した結合性パートナーは、治療においても有用に採用することができる。したがって、本発明は更に、大要前記した特定の結合性パートナーの投与を含む治療方法、大要前記した特定の結合性パートナーを(1以上の医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に)含む医薬組成物、および薬剤または組成物、特に甲状腺組織および/またはTSH受容体を含む組織の刺激に使用する薬剤または組成物の製造における、大要前記した特定の結合性パートナーの使用を提供する。特に特定の本発明結合性パートナーは腫瘍学において、特に甲状腺癌の診断、制御および治療での使用に採用することができる。
【0170】
本発明医薬組成物は、経口、非経口および局所の投与に適するものを包含する。ただし、最適のルートは一般的に患者の状態および治療中の特定の疾患に応ずる。患者に投与すべき大要前記した結合性パートナーの精密な量は、担当医師の職責範囲であるが、薬用量は多数の要因、例えば患者の年齢と性別、治療中の特定の疾患、および大要前記した投与ルート次第である。
【0171】
本発明は更に、甲状腺組織および/またはTSH受容体を含む組織の刺激方法であって、該方法はその刺激を必要とする患者に、大要前記した結合性パートナーの診断的または治療的有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0172】
本発明はまた、甲状腺組織および/またはTSH受容体含有組織の刺激に同時に、別々にまたは逐次に使用するために、大要前記した結合性パートナーと、甲状腺組織および/またはTSH受容体含有組織を刺激することができる1以上の別の薬剤との併用を提供する。該1以上の別の薬剤は、好ましくは組替え体ヒトTSHおよび/またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む。あるいは、該1以上の別の薬剤は、TSH受容体への結合とは無関係に機能することができる。
【0173】
以下の説明は、本明細書で使用される用語の理解を容易にする目的で提供される。この説明は便宜上の提供であって、本発明を制限するものではない。
【0174】
「TSH受容体に対する結合性パートナーまたは結合性メンバー」とは、TSH受容体に対する結合特異性を有する分子を述べている。本明細書に記載の結合性パートナーまたは結合性メンバーは、天然から誘導されても、全部または部分を合成的に製造されてもよい。このような結合性パートナーまたは結合性メンバーには、TSH受容体の1以上の抗原決定領域に特異的に結合し、したがってそれに相補的な領域が存在する。
【0175】
「C領域」とは、抗体分子における比較的に定常なアミノ酸配列の領域を言う。
【0176】
「CDR」とは、抗体分子の重鎖および軽鎖の両方に存在する相補性決定領域であり、配列で最も変動する領域を表す。CDRは可変領域の約15~20%を代表し、抗体の抗原結合部位を示す。
【0177】
「FR」とは、枠組み領域を言い、CDRには存在しない可変軽領域および可変重領域の残部をあらわす。
【0178】
「HC」とは、抗体分子の重鎖の部分であって、IgG定常領域の重鎖可変領域と最初の領域を含む。
【0179】
「宿主細胞」は、外来のポリヌクレオチド配列によって形質転換または形質導入された、または形質転換または形質導入が可能な細胞である。
【0180】
当分野で理解される「同一性」とは、2以上のポリペプチド配列間、または2以上のポリヌクレオチド配列間の関係であり、配列の比較により定まる。
【0181】
「LC」とは、抗体分子の軽鎖を言う。
【0182】
本明細書に記載の結合性パートナーまたは結合性メンバーによる「TSH受容体の刺激」とは、結合性パートナーまたは結合性メンバーがTSH受容体に結合し、それにより、例えばTSH受容体への結合の結果としてのAMPの産生を招来する能力を言う。このような刺激はTSHまたはTSH受容体自己抗体がTSH受容体に結合した際に見られる応答に類似しており、本明細書に記載の結合性パートナーまたは結合性メンバーは、この方法でTSHまたはTSH受容体自己抗体を模倣してTSH受容体に結合する。
【0183】
「V領域」とは、抗体分子における高度に可変なアミノ酸配列を言う。
【0184】
「VH領域」とは、抗体分子の重鎖における可変領域を言う。
【0185】
「VL領域」とは、抗体分子の軽鎖における可変領域を言う。
(配列表の簡単な説明)
【0186】
Figure 1は、
ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、マウス、ラットおよびヒツジの(順番での)TSH受容体のアミノ酸1〜200の一覧表である。更に詳細には、本発明で採用する以下のアミノ酸配列を包含している。
【0187】
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41、および
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42
Figure 2は、
ネコ、ウシ、イヌ、マウス、ブタ、ラット、ヒツジおよびヒトの(順番での)T
SH受容体の領域をコードするヌクレオチド塩基1〜300の一覧表である。更に詳細には、 Figure 1に存在する上記アミノ酸配列に対するコード領域を包含している。
Figure 3は、
ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、マウス、ラットおよびヒツジの(順番での)T
SH受容体のアミノ酸200〜300の一覧表である。更に詳細には、本発明で採用する以下のアミノ酸配列を包含している。
【0188】
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、および
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260
Figure 4は、
ネコ、ウシ、イヌ、マウス、ブタ、ラット、ヒツジおよびヒトの(順番での)T
SH受容体の領域をコードするヌクレオチド塩基700〜899の一覧表である。更に詳細には、Figure 3に存在する上記アミノ酸配列に対するコード領域を包含している。
Figure 5は、
ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、マウス、ラットおよびヒツジの(順番での)T
SH受容体のアミノ酸250〜449の一覧表である。更に詳細には、本発明で採用する以下のアミノ酸配列を包含している。
【0189】
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296
Figure 6は、
ネコ、ウシ、イヌ、マウス、ブタ、ラット、ヒツジおよびヒトの(順番での)T
SH受容体の領域をコードするヌクレオチド塩基750〜1100の一覧表である。更に詳細には、Figure 5に存在する上記アミノ酸配列に対するコード領域を包含している。
Figure 7は、
ヒト、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、マウス、ラットおよびヒツジの(順番での)T
SH受容体のアミノ酸350〜500の一覧表である。更に詳細には、本発明で採用する以下のアミノ酸配列を包含している。
【0190】
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418、および
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385
Figure 8は、
ネコ、ウシ、イヌ、マウス、ブタ、ラット、ヒツジおよびヒトの(順番での)T
SH受容体の領域をコードするヌクレオチド塩基1100〜1299の一覧表である。更に詳細には、Figure 7に存在する上記アミノ酸配列に対するコード領域を包含している。
Figure 9は、
4D7の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 10は、
4D7の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号10〜115)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66、CDRIIIアミノ酸番号99〜104)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号116〜200)を示す。
Figure 11は、
4D7の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 12は、
4D7の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号9〜111)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜38、CDRIIアミノ酸番号54〜60
、CDRIIIアミノ酸番号93〜101)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号112〜211)を示す。
Figure 13は、
16E5の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 14は、
16E5の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜120)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜109)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号121〜205)を示す。
Figure 15は、
16E5の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 16は、
16E5の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜107)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜34、CDRIIアミノ酸番号50〜56
、CDRIIIアミノ酸番号89〜97)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号108〜207)を示す。
Figure 17は、
17D2の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 18は、
17D2の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜120)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜109)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号121〜205)を示す。
Figure 19は、
17D2の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 20は、
17D2の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜107)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜34、CDRIIアミノ酸番号50〜56
、CDRIIIアミノ酸番号89〜97)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号108〜207)を示す。
Figure 21は、
14D3の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 22は、
14D3の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜120)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜109)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号121〜205)を示す。
Figure 23は、
14D3の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 24は、
14D3の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ
酸番号9〜107)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜34、CDRIIアミノ酸番号50〜56
、CDRIIIアミノ酸番号89〜97)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号108〜207)を示す。
Figure 25は、
Figure 9に示す4D7の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一覧
表である。
Figure 26は、
Figure 9に示す4D7の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一覧
表であり、Figure 10に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 27は、
Figure 11に示す4D7の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 28は、
Figure 11に示す4D7の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 12に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 29は、
Figure 13に示す16E5の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 30は、
Figure 13に示す16E5の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 14に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 31は、
Figure 15に示す16E5の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 32は、
Figure 15に示す16E5の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 16に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 33は、
Figure 17に示す17D2の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 34は、
Figure 17に示す17D2の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 18に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 35は、
Figure 19に示す17D2の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 36は、
Figure 19に示す17D2の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 20に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 37は、
Figure 21に示す14D3の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 38は、
Figure 21に示す14D3の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 22に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 39は、
Figure 23に示す14D3の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 40は、
Figure 23に示す14D3の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 24に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 41は、
3B3の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 42は、
3B3の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号8〜112)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜101)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号113〜196)を示す。
Figure 43は、
3B3の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 44は、
3B3の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号9〜111)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜38、CDRIIアミノ酸番号54〜60
、CDRIIIアミノ酸番号93〜101)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号112〜211)を示す。
Figure 45は、
3C7の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 46は、
3C7の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号10〜115)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31~35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜104)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号116〜200)を示す。
Figure 47は、
3C7の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 48は、
3C7の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号9〜111)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜38、CDRIIアミノ酸番号54〜60
、CDRIIIアミノ酸番号93〜101)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号112〜211)を示す。
Figure 49は、
2B4の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 50は、
2B4の重鎖(HC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号9〜122)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号31〜35、CDRIIアミノ酸番号50〜66
、CDRIIIアミノ酸番号99〜111)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号123〜207)を示す。
Figure 51は、
2B4の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表である。
Figure 52は、
2B4の軽鎖(LC)のアミノ酸の一覧表であり、可変領域(すなわち、アミノ酸
番号9~112)、CDR(すなわち、CDRIアミノ酸番号24〜39、CDRIIアミノ酸番号78~82、
CDRIIIアミノ酸番号94〜102)および定常領域(すなわち、アミノ酸番号113〜212)を示す。
Figure 53は、
Figure 41に示す3B3の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 54は、
Figure 41に示す3B3の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 42に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 55は、
Figure 43に示す3B3の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 56は、
Figure 43に示す3B3の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 44に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 57は、
Figure 45に示す3C7の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 58は、
Figure 45に示す3C7の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 46に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 59は、
Figure 47に示す3C7の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 60は、
Figure 47に示す3C7の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 48に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 61は、
Figure 49に示す2B4の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 62は、
Figure 49に示す2B4の重鎖(HC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 50に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
Figure 63は、
Figure 51に示す2B4の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表である。
Figure 64は、
Figure 51に示す2B4の軽鎖(LC)のアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基の一
覧表であり、Figure 52に示す可変領域、CDRおよび定常領域をコードするヌクレオチド塩基を示す。
【0191】
本発明を以下のFigureおよび実施例により説明するが、これらは本発明の範囲をなんら制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0192】
実施例1
(1) TSH受容体に対するマウスモノクローナル抗体の製造
BALB/cマウスを、CHO細胞で発現した組替え高精製成熟形のTSH受容体で免疫した(Y Oda、J Sanders、M Evans、A Kiddie、A Munkley、C James、T Richards、J Wills、J Furmaniak、B Rees Smith「モノクローナル抗体を利用するヒトチロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定基の分析」Thyroid 2000, 10(12):1051~1059)。DNA免疫技術により、pcDNA3.1でクローン化した全長のヒトTSHR cDNAでマウス抗体も作成した。MAbを標準的な技術でクローン化し、IgGを培養上澄液からアフィニティークロマトグラフィーによりプロテインAセファローズ上に精製した。TSH受容体とのMAbの反応性を、(a)部分精製受容体でのウエスタンブロット、(b)TSH受容体に対するTSHの結合を阻害、および(c) Y Oda、J Sanders、S Roberts、M Maruyama、R Kato、M Perez、VB Petersen、N Wedlock、J Furmaniak、B Rees Smith「TSH受容体に対する抗体の結合特性」Journal of Molecular Endocrinology 1998 20:233~244 に記載のin vitro転写/翻訳系で作成した35S標識TSH受容体の免疫沈降、によりテストした。
(2) TSH受容体に対する125I-TSHの結合の阻害
TSH受容体に対する125I-TSHの結合の阻害を次のように分析した。界面活性剤で可溶化したTSH受容体50μLを、段階(1)に記載のように精製したMAb50μLで15分間室温にて予備培養し、125I-TSH (30,000cpm)100μLを加え、次に37℃で1時間インキュベートした。16.5%ポリエチレングリコール2mLおよび健常血液供給者血清25μLを加えると、125I-TSH/TSH受容体の複合体が沈殿し、1500×gで4℃、30分間遠心分離し、アスピレータで吸引し、ペレットの放射活性を既知の技法でカウントした。
【0193】
MAb名称:2B4 MAb(IgG濃度5μg/mL)、8E2 Mab(IgG濃度1μg/mL)および18C5 MAb(IgG濃度1mg/mL)により、TSHの結合はそれぞれ76%、38%および91%阻害された。2B4 Mab、8E2 Mab、18C5 Mab IgGからL−システイン/パパインまたはペプシンで消化してFabを生成し、次にプロテインAカラム上にFcとFabを分離した。
(3) MAbによる抗原決定基の認識
ウエスタンブロット分析(Y Oda、J Sanders、M Evans、A Kiddie、A Munkley、C James、T Richards、J Wills、J Furmaniak、B Rees Smith「モノクローナル抗体を利用するヒトチロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定基の分析」Thyroid 2000, 10(12):1051~1059)の結果、2B4 MAbはTSH受容体配列のアミノ酸(aa)380と418の間の抗原決定基に結合し、8E2 MAbはTSH受容体配列のaa22と91の間の抗原決定基に結合し、18C5 MAbはTSH受容体配列のaa246と260の間の抗原決定基に結合することが示された。これらの領域を網羅するオーバーラップTSH受容体ペプチドで分析(Y Oda、J Sanders、M Evans、A Kiddie、A Munkley、C James、T Richards、J Wills、J Furmaniak、B Rees Smith「モノクローナル抗体を利用するヒトチロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定基の分析」Thyroid 2000, 10(12):1051~1059)の結果、2B4 MAbはaa381〜385と反応し、8E2 MAbはaa36〜42と反応し、18C5 MAbはaa247〜260と反応することが示された。
(4) 125I-標識TSH受容体の製造
J Sanders、Y Oda、S Roberts、A Kiddie、T Richards、J Bolton、V McGrath、S Walters、D Jaskolski、J Furmaniak、B Rees Smith「TSH受容体自己抗体と125I-標識TSH受容体との相互作用」Jourmal of Clinical Endocrinology and Metabolism1999 84(10):3797~3802 に記載のごとく調製した、TSH受容体のC末端と反応する125I-MAB(4E31)を介して、TSH受容体の溶解調製物を125Iで標識した。125I-標識4E31 F(ab)2の一部を溶解TSH受容体と共に室温で15分間インキュベートし、次に段階(5)で記載する免疫沈降法において使用した。
(5) MAbによるTSH受容体自己抗体(TRAb)のTSH受容体への結合の阻害
MAbによるTSH受容体自己抗体(TRAb)のTSH受容体への結合の阻害を以下のようにテストした。
【0194】
段階(4)で調製した125I-標識TSH受容体(30,000cpm)10μLを2B4 Fab(5および10mg/mL)と共に、室温で15分間予備インキュベートし、次にTRAb陽性患者の血清20μLと共に室温で1時間インキュベートした。次に固相プロテインA(抗ヒトIgG試薬)50μLを加え、室温で1時間インキュベートを続けた後に、洗浄段階を経て1500×gで4℃、30分間遠心分離し、アスピレータで吸引し、ペレットの放射活性をカウントした。同様な実験を8E2と18C5のFabおよび二つのFabの組み合わせで行った。
実施例1の結果
TSH受容体へのTRAbの結合を阻害した結果を表1に示す。
実施例2
方法
(1) TSH受容体に対するマウスモノクローナル抗体の製造
BALB/Cマウスを、CHO細胞で発現した組替え高精製成熟形のTSH受容体で免疫した(Y Oda、J Sanders、M Evans、A Kiddie、A Munkley、C James、T Richards、J Wills、J Furmaniak、B Rees Smith「モノクローナル抗体を利用するヒトチロトロフィン(TSH)受容体の抗原決定基の分析」Thyroid 2000, 10(12):1051~1059)。DNA免疫技術により、pRC/CM1でクローン化した全長のヒトTSHR cDNAでマウス抗体も作成した。MAbを標準的な技術でクローン化し、IgGを培養上澄液からアフィニティークロマトグラフィーによりプロテインAセファローズ上に精製した。
【0195】
(Fab)2断片を、精製MAb IgGからペプシン消化により作成し、Y Oda、J Sanders、S Roberts、M Maruyama、R Kato、M Perez、VB Petersen、N Wedlock、J Furmaniak、B Rees Smith「TSH受容体に対する抗体の結合特性」Journal of Molecular Endocrinology 1998 20:233~244に記載の如く、プロテインAアフィニティーカラム上でクロマトグラフィーをおこなった。
【0196】
E.Hendry、G.Taylor、F.Grennan-Jones、A.Sullivan、N.Liddy、J.Godfrey、N.Hayakawa、M.Powell、J.Furmaniak、B Rees Smith「甲状腺パーオキシダーゼ上の主要な自己抗原抗原決定基に結合するモノクローナル抗体のX線結晶構造」Thyroid 2001 11(12):1091~1099に記載のごとくに、Fab断片を、精製MAbのパパイン消化により作成した。
【0197】
TSH受容体とのMAbの反応性を、(a)部分精製受容体でのウエスタンブロット、(b)TSH受容体に対するTSHの結合の阻害、および(c) Y Oda、J Sanders、S Roberts、M Maruyama、R Kato、M Perez、VB Petersen、N Wedlock、J Furmaniak、B Rees Smith「TSH受容体に対する抗体の結合特性」Journal of Molecular Endocrinology 1998 20:233~244 に記載のin vitro転写/翻訳系で作成した35S標識TSH受容体の免疫沈降、によりテストした。
(2) TSH受容体に対する125I-TSHの結合の阻害
(a) 界面活性剤で可溶化したTSHRを使用するPEG法
界面活性剤で可溶化したTSH受容体に対する125I-TSHの結合の阻害を、次のような測定法で分析した。方法(1)に記載の様に精製したMAb50μLを受容体と共に15分間室温にて予備培養し、125I-TSH (30,000cpm)100μLを加え、次に37℃で1時間インキュベートした。16.5%ポリエチレングリコール2mLおよび健常血液供給者血清25μLを加えると、125I-TSH/TSH受容体の複合体が沈殿し、4℃で30分間1500×gにて遠心分離し、アスピレータで吸引し、ペレットの放射活性をガンマカウンターで計測した。
(b) TSHRで被覆したチューブを使用する方法
この操作では、最初にプラスチックチューブを、TSHやTRAbの結合に関係しないTSHRの一部に結合するMAb、例えば4E31で被覆する。次に界面活性剤で可溶化したTSHR調製物を加え、TSHR MAbで捕捉せしめ、チューブ表面に固定化してTSHまたはTRAbと結合できるようにする。特にTSHRのC末端(0.1M Na2CO3 pH9.2の中にF(ab)2 調製物10μg/mL)と反応するMab 4E31をプラスチックチューブに加え(Nunc Maxisorp、チューブ当り200μL)、被覆を4℃で終夜進行させた。洗浄および後被覆(10mg/mLウシ血清アルブミン)の後にチューブを測定用緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.8、50mM NaCl、1mg/mLウシ血清アルブミン、0.1% TritonX-100)で再び洗浄した。次に界面活性剤で可溶化したTSHR調製物200μLを加え、4℃で終夜インキュベートし、アスピレータで吸引して洗浄した。その後、「出発」緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.8、50mM NaCl、1mg/mLウシ血清アルブミン、6mM NaN3、1% TritonX-100)20μL、次に精製Mab IgGまたは患者血清100μLをTSHR被覆チューブに加え、ゆっくり振とうしながら室温で2時間インキュベートした。アスピレータで吸引後、チューブを測定用緩衝液1mLで2回洗浄し、125I-TSH (30,000cpm)100μLを加え、振とうしながら室温で20〜60分間インキュベートした。次にチューブを測定用緩衝液1mLで2回洗浄し、アスピレータで吸引し、ガンマカウンターで計測した。
(3) MAbの甲状腺刺激または抑制活性の分析
単離したブタ甲状腺細胞の環状AMPの産生を刺激する(甲状腺刺激活性)か、またはTSHの拮抗剤として機能しTSHの環状AMP刺激を抑制する(抑制活性)MAbの性能を、Yamasa Corporation, Tokyo, Japanから入手の試薬を使用して測定した。
【0198】
更に、ヒトTSHRを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で環状AMPの産生を刺激するMAbの性能を、M.Kita、L.Ahma、R.C.Marians、H.Vlase、P.Unger、P.N.Graves、T.F.Davies「チロトロフィン受容体抗体が介するグレーブス疾患のネズミモデルの制御および運搬」Endocrinology 1999 140:1392~1398 に記載のごとくに分析した。
(4) 125I-標識MAbのTSHRへの結合およびTRAbの効果
甲状腺刺激活性を示した二つのMAb(16E5および14D3、表2)由来の精製IgGをで125I標識し、次に組み込まれなかった125Iを、実施例1の(4)のごとくにセファデックスG-50上でのろ過により分離した。
【0199】
上の2bにおけるごとく、プラスチックチューブをTSHR調製物で被覆した。その後、(健常血液供給者由来またはグレーブス疾患患者由来)テスト血清100μLを加え、チューブを振とうしながら室温で2時間インキュベートした。このインキュベーションの後、チューブを測定用緩衝液で2回洗浄した。次に、16E5または14D3の125I-標識したIgG(20mM Tris-HCl pH7.3、50mM NaCl、1mg/mLウシ血清アルブミン、0.1% TritonX-100の中に希釈された30,000cpm)をチューブに加え、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。次に、125I-標識MAbを希釈するのに使用したと同じ緩衝液でチューブを2回洗浄し、ガンマカウンターで計測した。
(5) Abで被覆したチューブへのTSHRの結合およびTRAbの効果
界面活性剤で可溶化したTSHR調製物(20μL)を、テスト血清100μLおよび出発緩衝液(上記2b)20μLと共に、室温で1時間インキュベートした。次にこの混合物100μLをTSHR MAbで被覆したプラスチックスチューブに加え(上記2bにおけるごとく)、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。次にチューブを吸引し、2回洗浄し(上記2b)、上記4におけるごとく125Iで標識した125I-標識C末端TSHR Mab 4E31 F(ab)2調製物100μL (30,000cpm)を加えた。振とうしながら室温で1時間更にインキュベートした後に、チューブを吸引し、2回洗浄し、放射活性をガンマカウンターで計測した。
【0200】
以前に記載された(Kettleborough C.A.ら、「ポリメラーゼ連鎖反応を利用してマウス免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをクローン化するためのプライマーの最適化」European Journal of Immunology 1993 23:206~211)ごとく、配列を利用してオリゴヌクレオチドプライマーをデザインした。
【0201】
センスプライマーもアンチセンスプライマーも共に、追加の5' 制限エンドヌクレアーゼ部位の配列を包含していたので、PCR生産物のクローン化は容易であった。Qiagen法で製造したpUC18 DNA(Qiagen)の中にRT-PCR生産物をクローン化し、サンガークールソン法で配列を決定した。
実施例2の結果
(1)TSHR MAbの甲状腺刺激活性を表2および3に示す。四つのMAb(16E5、14D3、17D2、および4D7)は、単離したブタ甲状腺細胞において環状AMPの生産を刺激することができた。更に、これらMAbの中の三つに由来するFab断片をテストしたところ、三つが全て環状AMPの生産を刺激した(表2)。比較のためのTRAb陽性患者血清は、MAbに対し同様なレベルの刺激を示した(表2)。また、TSHR MAb 2B4は、TSHRへのTSHの結合を強く阻害する能力を有するが、甲状腺刺激活性は示さなかった(表2)。別のTSHR MAbおよびFab(3B3)は環状AMPの生産を刺激せず、Tg MAb Fab 2G2も同様に示さなかった(表2)。
【0202】
別の実験シリーズで、ブタ甲状腺細胞を刺激できるいくつかのMAb (16E5および14D3)を対象に、それらが環状AMP産生を刺激する能力についてヒトTSHRを発現するCHO細胞でテストした(表3)。ブタ甲状腺細胞で観察されたと同様な結果が得られた。
【0203】
(2)健常血液供給者由来の血清が存在すると、TSHRを被覆したチューブに結合した125I-標識16E5は、加算した全カウントの23から35%の範囲にある(表4)。グレーブス疾患患者(全部TRAb陽性)由来の血清が存在すると、125I-標識16E5の結合は著しく減少し、1.9から7.5%の範囲にあった(表4)。
【0204】
このことは、TRAb活性のあるグレーブス疾患患者血清は、TSHR MAb 16E5のTSHRへの結合を阻害することを示した。標識16E5での別の実験を表5に示すが、この実験では、(a)125I-標識16E5のTSHR被覆チューブに対する結合、および(b) 125I-標識TSHのTSHR被覆チューブに対する結合に及ぼすグレーブス疾患患者血清の効果を比較した。表5に示す実験と同様な実験を125I-標識TSHR MAb 14D3で実施した。結果を表6に示す。
【0205】
TSHR被覆チューブに対する125I-標識16E5、14D3またはTSHの結合に及ぼすグレーブス疾患患者血清の効果は、多くの事例で観察された強力な結合阻害に類似していた(表5および6)。グレーブス疾患患者血清とは対照的に、健常血液供給者由来の血清では、TSHR被覆チューブに対する標識MAbまたは標識TSHの結合に及ぼす効果はほとんど無かった(表5および6)。表7には、TSHR自己抗体以外の自己抗体を含有する血清が、標識TSH、16E5および14D3によるTSHR被覆チューブ結合にどのような効果を及ぼすかが示されている。表7から見られるように、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(D1およびD2)または21-ヒドロキシラーゼ(A1およびA2)に対する自己抗体を含有する血清には、TSHまたはMAb結合に及ぼす効果がなかった。しかし、グレーブス疾患患者由来の血清G42では、TSHおよびMAb結合に対する強力で用量依存的な阻害が示された。
【0206】
(3)表8に示されるごとく、MAb 16E5で被覆したプラスチックチューブはTSHRに結合することができ、この結合はTSHR自己抗体含有グレーブス血清により阻害された。特に、125I-標識TSHR MAb 4E31によりTSHR結合を検出したところ、(a)健常血液供給者由来の血清の存在下では、標識4E31結合は加算した全cpmの13.5~17.8%の範囲であるのに対し、(b)グレーブス血清の存在下では、標識MAbは加算した全cpmの1.8~4.8%の範囲であった。同様な結果は、MAb 14D3で被覆したプラスチックチューブで得られた。
結論
表2~9に示す結果から以下が示される:
(a) 本発明者らが製造したTSHR MAbおよびMab Fab断片は、患者血清中のTRAbに類似の様式でおよびTSHに類似の様式で、単離甲状腺細胞を刺激することができる。MAbが異なると、刺激活性の程度が異なる。
【0207】
(b) これらのMAbは、TSHR自己抗体(TRAb)の測定において標識TSHの代わりに使用することができる。
【0208】
(c) Mabをプラスチック表面に被覆すると、TSHR調製物と結合することができる。この結合は患者血清中のTRAbにより阻害されるので、新しいタイプのTRAb測定法が得られる。
【0209】
(d) Mabの甲状腺を刺激する能力は、これらがTSHの代替物としてin vivoでの用途にかなり有用であることを意味する。

実施例3
TSH受容体Mabによる125I-16E5 Fabの可溶化TSH受容体への結合の阻害
方法
界面活性剤で可溶化したTSH受容体への125I-16E5 Fabの結合を阻害するのを次のような測定法で分析した。上記のごとく精製したMab IgG(100μg/ml)50μLを受容体と共に30分間室温にてインキュベートし、125I-16E5 Fab (30,000cpm)100μLを加え、次に室温で2時間インキュベートした。16.5%ポリエチレングリコール2mLおよび健常血液供給者血清50μLを加えると、125I-16E5 FabとTSH受容体の複合体が沈殿し、4℃で30分間1500×gにて遠心分離し、アスピレータで吸引し、ペレットの放射活性をガンマカウンターで計測した。
【0210】
結果を表10に示す。表10から、Mab 4D7(246〜260の抗原決定領域に結合し、単離した甲状腺細胞を刺激する)は、標識16E5 FabがTSH受容体に結合するのをきわめて強力に阻害(24.2%阻害)することが見られる。他の二つのMab、3C7および18C5も、16E5 Fabの結合をきわめて強力に阻害(それぞれ17および15.7%阻害)し、また246〜260の抗原決定領域に結合する。他のMabでは阻害は弱いか皆無であるのが観察されている。このことから、246〜260の抗原決定領域は16E5のTSH受容体への結合に関与していることが示唆される。表10から見られるように、他の刺激性Mab、14D3および17D2は16E5のTSH受容体への結合と良好に競合するので、246〜260の抗原決定領域はおそらく14D3および17D2によるTSH受容体結合にも重要である。

表1:患者血清(K3)中のTRAbがTSH受容体に結合するのをMAb Fabにより阻害

【0211】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清およびテストMAb Fabの存在下で免疫沈降した125I-TSHR(cpm)であり、チューブに加えた物質の全cpmの百分率
B=テスト血清および測定用緩衝液の存在下で免疫沈降した125I-TSHR(cpm)であり、チューブに加えた物質の全cpmの百分率

上の結果は、
(1) TSHの結合に関与しているTSH受容体の配列はTRAbの結合にも関与している、
(2) これらの配列と反応するマウスMAbは、TRAbのTSH受容体への結合を阻害するのに効果的に利用することができる、および
(3) 1以上の上記TSH受容体配列と反応する1以上のMAbは、TRAbの検出と測定に利用することができる、
ことを示している。

表2:単離したブタ甲状腺細胞を使用してテストしたTSHR MAbの甲状腺刺激活性

【0212】
表2脚注:
1.MAb IgGまたはFab調製物を健常血液供給者血清のプール中に希釈した。刺激率(%)は、健常血液供給者血清のプールの存在下で産生した環状AMPに対するテスト試料存在下で産生した環状AMPの比率を100倍して計算した。
2.TSH結合の阻害レベルが>10%の場合が陽性である。
3.方法=被覆チューブ。
4.250μg/mlでテストした阻害率。
5.10μg/mlでテストした阻害率。
6.2G2はサイログロブリンと反応する、すなわちTSHRと反応しないMAb。
7.希釈してない血清での阻害率。
8.3B3および2B4のIgGは、TSH拮抗剤として機能する、すなわち単離したブタ甲状腺細胞による環状AMPの産生を刺激するTSHの能力を抑制する。
【0213】
nt=この濃度でテストしなかった。

表3:ヒトTSHRを発現するCHO細胞を使用してテストしたTSHR MAbの甲状腺刺激活性

【0214】
表3脚注:
1.試料は全て細胞に加える前に1:10に希釈した。
2.刺激率(%)は、健常血液供給者血清のプールの存在下で産生した環状AMPに対するテスト試料存在下で産生した環状AMPの比率を100倍して計算した。
3.TSH結合の阻害レベルが>10%の場合が陽性である。
4.方法=被覆チューブ。
5.10μg/mlでテストした阻害率。
6.希釈せずに阻害テストした。

表4:125I-標識MAb16E5のTSHR被覆チューブへの結合および患者血清中の
TRAbの効果

【0215】
表4脚注:
1.血清G1〜G22はグレーブス疾患患者由来である。NSF1〜NSF10は健常血液供給者由来である。
【0216】
NPS=健常血液供給者血清のプール。
2.TSH結合の阻害率が>14%の場合が陽性である。PEG法を使用。

表5:TSHR被覆チューブへの125I-16E5結合および125I-TSH結合に及ぼすグレーブス疾患患者血清の効果

【0217】
表5脚注:
1.血清G23〜G52はグレーブス疾患患者由来である。血清NSFは健常血液供給者由来である。
2.健常血液供給者血清存在下での平均結合率は125I-16E5では23.6%であった。
3.結合阻害率は次式で計算した。
【0218】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清の存在下での結合率
B=健常血液供給者血清の存在下での平均結合率
4.健常血液供給者血清の存在下での平均結合率は125I-TSHでは12.2%であった。

表6:125I-標識MAb14D3のTSHR被覆チューブへの結合および患者血清中の
TRAbの効果

【0219】
表6脚注
1.血清G23〜G41はグレーブス疾患患者由来である。血清NSFは健常血液供給者由来である。
2.健常血液供給者血清存在下での平均結合率は125I-14D3では17.4%であった。
3.結合阻害率は次式で計算した。
【0220】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清の存在下での結合率
B=健常血液供給者血清の存在下での平均結合率
4.健常血液供給者血清の存在下での平均結合率は125I-TSHでは12.1%であった。

表7:標識したTSH、16E5および14D3によるTSHR被覆チューブへの結合に及ぼす各種患者由来血清の効果

【0221】
表7脚注:
1.血清G42はグレーブス疾患患者由来である。
【0222】
血清D1およびD2はI型真性糖尿病(グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する自己抗体
が陽性)患者由来である。
【0223】
血清A1およびA2はアジソン疾患(ステロイド21-ヒドロキシラーゼ自己抗体が陽性)患者由来である。
【0224】
テスト試料は全て健常血液供給者由来血清のプール中に希釈した。希釈度は/5、/10、/20または/100として表示してある。
2.結合阻害率は次式で計算した。
【0225】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清の存在下での結合率
B=健常血液供給者血清のプールの存在下での平均結合率

表8:16E5 F(ab)2被覆チューブへのTSHRの結合に及ぼす患者血清の効果

【0226】
表8脚注:
1.血清G43〜G47はグレーブス疾患患者由来である。血清NSFは健常血液供給者由来である。
2.結合阻害率は次式で計算した。
【0227】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清の存在下で結合している4E31の結合率
B=健常血液供給者血清での標識4E31の平均結合率(15.4%)
3.TSH結合の阻害率が>14%の場合が陽性である。PEG法を使用。

表9:14D3 F(ab)2被覆チューブへのTSHRの結合に及ぼす患者血清の効果

【0228】
表9脚注:
1.血清A〜Dはグレーブス疾患患者由来である。血清NSFは健常血液供給者由来である。
2.結合阻害率は次式で計算した。
【0229】
阻害率%=100−[(A/B)×100]
A=テスト血清の存在下での標識4E31の結合率
B=健常血液供給者血清での標識4E31の平均結合率(13.4%)
3.TSH結合の阻害率が>14%の場合が陽性である。PEG法を使用。

表10:TSHR MAbによるTSHRへの125I-16E5 Fabの結合の阻害


【特許請求の範囲】
【請求項1】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の診断または治療において使用する目的の、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含むポリペプチド配列であって、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が該ポリペプチド配列と相互作用することにより、該診断または治療が可能になることを特徴とするポリペプチド配列。
【請求項2】
該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項1記載の使用。
【請求項3】
該ポリペプチド配列が、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項1記載の使用。
【請求項4】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の診断または治療において使用する目的の、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、図1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が該ポリペプチド配列と相互作用することにより、該診断または治療が可能になることを特徴とするポリペプチド配列。
【請求項5】
該ポリペプチド配列が、図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、または図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項4記載の使用。
【請求項6】
該ポリペプチド配列が、図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、または図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項4記載の使用。
【請求項7】
該ポリペプチド配列が、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41、
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42、
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、および
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、
の1以上、またはその1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含有む、から成る、または、から本質的に成る、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成るポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列、
を採用し、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が該ポリペプチド配列と相互作用することにより、該診断または治療が可能になる請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
(iii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上の更なるTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的になる、ポリペプチド配列を更に採用する請求項8記載の使用。
【請求項10】
(i) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、図5のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、または図5のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的になる、ポリペプチド配列、および
(ii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、図3のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、または図3のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列、
を採用し、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が該ポリペプチド配列と相互作用することにより、該診断または治療が可能になる請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
(iii) TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列であって、図7のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号381〜385、または図7のアミノ酸配列のいずれか1に示すTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチド配列を更に採用する請求項10記載の使用。
【請求項12】
該ポリペプチド配列またはポリペプチド配列群がTSH受容体に応答して産生した自己抗体と相互作用することにより、該診断または治療が可能になる請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
該ポリペプチド配列がTSH受容体に応答して産生したリンパ球と相互作用することにより、該診断または治療が可能になる請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基であって、該1以上のTSH受容体抗原決定基は、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、ことを特徴とする1以上のTSH受容体抗原決定基。
【請求項15】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基であって、図1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示される以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、ことを特徴とする1以上のTSH受容体抗原決定基。
【請求項16】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用する1以上のTSH受容体抗原決定基であって、以下:
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41、
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42、
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、および
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、ことを特徴とする1以上のTSH受容体抗原決定基。
【請求項17】
TSH受容体のアミノ酸番号277から296、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、TSH受容体抗原決定基TSHであって、受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体抗原決定基。
【請求項18】
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、TSH受容体抗原決定基TSHであって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体抗原決定基。
【請求項19】
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を含む、から成る、または、から本質的に成る、TSH受容体抗原決定基TSHであって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体抗原決定基。
【請求項20】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体が相互作用する請求項14〜19のいずれかに記載の1以上のTSH受容体抗原決定基。
【請求項21】
TSH受容体に応答して産生したリンパ球が相互作用する請求項14〜19のいずれかに記載の1以上のTSH受容体抗原決定基。
【請求項22】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチドであり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、ただし全長のTSH受容体を除くことを特徴とするポリペプチド。
【請求項23】
該ポリペプチドが、TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項22記載のポリペプチド。
【請求項24】
該ポリペプチドが、TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項22記載のポリペプチド。
【請求項25】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチドであり、図1、3、5および7のいずれかのアミノ酸配列のいずれか1に示され、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な以下:
TSH受容体のアミノ酸番号22〜91、
TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号260〜363、および
TSH受容体のアミノ酸番号380〜418、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、ただし全長のTSH受容体を除くことを特徴とするポリペプチド。
【請求項26】
該ポリペプチドが、図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、または図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項25記載のポリペプチド。
【請求項27】
該ポリペプチドが、図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、または図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項25記載のポリペプチド。
【請求項28】
該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な以下;
TSH受容体のアミノ酸番号32〜41、
TSH受容体のアミノ酸番号36〜42、
TSH受容体のアミノ酸番号247〜260、
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、および
TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、
の1以上、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項22〜27のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項29】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチドであり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、ただし全長のTSH受容体を除くことを特徴とするポリペプチド。
【請求項30】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチドであり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、ただし全長のTSH受容体を除くことを特徴とするポリペプチド。
【請求項31】
TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能であり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能な1以上のTSH受容体抗原決定基の一次構造配座の部分または全部を含む、から成る、または、から本質的に成る、ポリペプチドであり、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なTSH受容体のアミノ酸番号247〜260、またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座を含み、から成り、または、から本質的に成り、ただし全長のTSH受容体を除くことを特徴とするポリペプチド。
【請求項32】
(i) TSH受容体のアミノ酸番号277〜296、またはTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、および
(ii) TSH受容体のアミノ酸番号246〜260、またはTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項22〜31のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項33】
(iii) TSH受容体のアミノ酸番号381〜385、またはTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、を更に含む請求項32記載のポリペプチド。
【請求項34】
(i) 図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296、または図5のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号277〜296の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、および
(ii) 図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260、または図3のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号246〜260の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、
を含む、から成る、または、から本質的に成る、請求項22〜33のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項35】
(iii) 図7のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号381〜385、または図7のアミノ酸配列のいずれか1に示されるTSH受容体のアミノ酸番号381〜385の1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体の一次構造配座であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体および/またはリンパ球が相互作用可能なもの、を更に含む請求項34記載のポリペプチド。
【請求項36】
(i)請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(ii) 請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドが図1、3、5および7のいずれかを引用して定義されるTSH受容体の特定アミノ酸番号のアミノ酸配列または配列群を含むものをコードするヌクレオチド配列、
(iii) (ii)のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列が図1、3、5および7のいずれかを引用して定義されるTSH受容体の上記特定アミノ酸番号をコードするヌクレオチド塩基を含み、かつ該ヌクレオチド塩基が図2、4、6および8-のいずれかを引用して定義されるヌクレオチド配列、
(iv) 遺伝子コードの縮重が原因でコドン配列が(iii)の配列と異なるヌクレオチド配列、
(v) (iii)の配列のアレル変異体を含むヌクレオチド配列、
(vi) (i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の配列のいずれかの断片を含むヌクレオチド配列、または
(vii) (i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)の配列のいずれかに厳格な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項37】
請求項36記載のポリヌクレオチドを担持し、かつ該ポリヌクレオチドを宿主微生物のゲノム中に導入することを可能にする生物学的機能を持ったプラスミド。
【請求項38】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングする方法であって、以下:
(a) (i)該対象由来の該体液試料または(ii)該試料から単離したリンパ球を得ること、
(b) 該試料または単離したリンパ球を請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドに接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、または該試料から単離された自己抗体またはリンパ球に相互作用可能にすること、および
(c) TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、または該試料から単離された該自己抗体または該リンパ球と該ポリペプチドとの相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在する、または該試料から単離された該自己抗体または該リンパ球の存在証拠を得ること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
該対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングする請求項38記載の方法。
【請求項40】
該対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生したリンパ球をスクリーニングする請求項38記載の方法
【請求項41】
非競合的サンドイッチ型測定技法を採用して、対象由来体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と、請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用を直接モニターすることを含む請求項38記載の方法。
【請求項42】
請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体を採用する請求項38記載の方法。
【請求項43】
該競合体が1以上の抗体を含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、以下:
(a) 該対象由来の該体液試料を得ること、
(b) 該試料を
(i) 全長のTSH受容体、および
(ii) 請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体、
と接触させ、それによって該全長のTSH受容体が該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体、または該競合体に相互作用するのを可能にすること、および
(c) 該全長のTSH受容体と該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球をスクリーニングするキットであって、以下:
(a) 請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチド、
(b) (i)該対象から採取した体液試料、または(ii) 該対象から採取した体液試料から単離したリンパ球を、請求項22〜35のいずれかに記載の該ポリペプチドに接触させ、それによって該ポリペプチドが、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、または該試料から単離された自己抗体またはリンパ球に相互作用するのを可能にする手段、および
(c) 該ポリペプチドと、TSH受容体に応答して産生し該試料に存在する、またはそれから単離された該自己抗体または該リンパ球との相互作用の程度または効果をモニターし、それにより該試料中に存在する、または該試料から単離された該自己抗体または該リンパ球の存在証拠を得る手段、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項46】
該対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生した自己抗体をスクリーニングする請求項45記載のキット。
【請求項47】
該対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に応答して産生したリンパ球をスクリーニングする請求項45記載のキット。
【請求項48】
非競合的サンドイッチ型測定手段を含み、対象由来体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体と請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用を直接モニターする手段を含む請求項45記載のキット。
【請求項49】
請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用において、TSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体を更に含む請求項45記載のキット。
【請求項50】
該競合体が1以上の抗体を含む請求項49記載のキット。
【請求項51】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、以下:
(a) 全長のTSH受容体、
(b) 請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドとの相互作用においてTSH受容体に対する自己抗体と競合可能な少なくとも1の競合体、
(c) 該対象由来の該体液試料、該全長のTSH受容体および該競合体を接触させ、それによって該全長のTSH受容体が、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該競合体と相互作用するのを可能にする手段、および
(d) 該全長のTSH受容体と該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項52】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在の可能性を診断する方法であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球を対象由来の体液試料中に請求項38〜44のいずれかに従って検出し、検出された自己抗体および/またはリンパ球から、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患が対象において発生または存在している可能性を診断することを含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である動物対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生を遅延または防止する方法であって、TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生または存在を示す自己抗体またはリンパ球を対象由来の体液試料中に請求項38〜44のいずれかに従って最初に検出し、これによってTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患が対象において発生している可能性を診断し、その後にTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の発生を遅延および/または防止するために対象を治療処置することを含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患の治療処置に使用するための請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項55】
請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドを医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項56】
グレーブス疾患治療用薬剤の製造において使用するための請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項57】
請求項14〜21のいずれかに記載の1以上のTSH受容体抗原決定基のアミノ酸1次配座の部分または全部を含むアミノ酸との相互作用により治療効果を与えると認定された1以上の治療薬剤。
【請求項58】
対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患を治療する方法であって、TSH受容体に応答して産生した自己抗体またはリンパ球を対象由来の体液試料中に請求項38〜44のいずれかに従って最初に検出し、それによって対象の自己免疫疾患を診断し、その自己疾患の治療に有効な少なくとも1の治療薬剤の治療的有効量を対象に投与すること含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
該治療剤が請求項22〜35のいずれかに記載のポリペプチドを含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項60】
対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患を治療する方法であって、請求項14〜21のいずれかに記載の1以上のTSH受容体抗原決定基のアミノ酸1次配座の部分または全部を含むアミノ酸との相互作用により治療効果を与えると認定された治療薬剤の治療的有効量を対象に投与すること含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
TSH受容体のアミノ酸番号277〜296と相互作用可能なTSH受容体のための結合性パートナー。
【請求項62】
モノクローナルまたは組替えの抗体である請求項61記載の結合性パートナー。
【請求項63】
TSH受容体のための結合性パートナーであって、TSH受容体を刺激するためにTSH受容体に結合可能であり、かつTSHまたはTSH受容体に対する天然産生自己抗体を含まないことを特徴とする結合性パートナー。
【請求項64】
モノクローナル抗体またはその断片である請求項63記載の結合性パートナー。
【請求項65】
組替えの抗体またはその断片である請求項64記載の結合性パートナー。
【請求項66】
請求項14〜21のいずれかに記載の1以上の抗原性決定領域と相互作用する、請求項63〜65のいずれかに記載の結合性パートナー。
【請求項67】
TSH受容体のための結合性パートナーであって、TSH受容体を刺激するためにTSH受容体に結合可能であり、かつ:
図10、14、18、22、42、46または50のいずれか1に示されるVH領域、図10に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、図14に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、図18に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、図22に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、図42に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、図46に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、および図50に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、
から成る群から選択される抗体VH領域:
および/または
図12、16、20、24、44、48または52のいずれか1に示されるVL領域、図12に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、図16に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、図20に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、図24に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、図44に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、図48に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、および図52に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、
から成る群から選択される抗体VL領域:
を含むことを特徴とするTSH受容体のための結合性パートナー。
【請求項68】
図10に示される抗体VH領域と図12に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる;または図14に示される抗体VH領域と図16に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を有する抗体結合部位が得られる;または図18に示される抗体VH領域と図20に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる;または図22に示される抗体VH領域と図24に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる;または図42に示される抗体VH領域と図44に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる;または図46に示される抗体VH領域と図48に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる;または図50に示される抗体VH領域と図52に示される抗体VL領域を一対にして含むことによりTSH受容体のためのこれらVHとVLの両領域を含む抗体結合部位が得られる、請求項67記載の結合性パートナー。
【請求項69】
図10に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図14に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図18に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図22に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図42に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図46に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、または図50に示されるVHCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVHCDRを含むVH領域、
を含む抗体VH領域:
および/または
図12に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図16に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図20に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図24に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図44に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図48に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、または図52に示されるVLCDRに対応するアミノ酸配列をもった1以上のVLCDRを含むVL領域、
を含む抗体VL領域:
を含む請求項67記載の結合性パートナー。
【請求項70】
TSH受容体に結合可能な別の結合性パートナーであり、それによってTSH受容体は刺激され、かつ該別の結合性パートナーはTSH受容体への結合について請求項63〜69のいずれかに記載の任意の特異的結合パートナーと競合することができ、かつ該別の結合性パートナーはTSHまたはTSH受容体に対する自己抗体を含まない別の結合性パートナー。
【請求項71】
(i) 図10、12、14、16、18、20、22、24、42、44、46、48、50または52のいずれかに示す抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードする、図25から40、または53から64のいずれかに示すヌクレオチド配列、またはこれら配列の部分であって図26、28、30、32、34、36、38、40、54、56、58、60、62、または64に示すもの、
(ii) 請求項63〜70のいずれかに記載の結合性パートナーをコードする、もしくは請求項63〜70のいずれかに記載の結合性パートナーの抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iii) 図9から24、または41から52のいずれかに示されるアミノ酸の1次構造配座を有する結合性パートナーをコードする、または図10、12、14、16、18、20、22、24、42、44、46、48、50または52のいずれかに示す抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
(iv) 遺伝子コードの縮重が原因でコドン配列が(i)のいずれかの配列と異なるヌクレオチド配列、
(v) (i)のいずれかの配列のアレル変異体を含むヌクレオチド配列、
(vi) (i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の配列のいずれかの断片を含むヌクレオチド配列、
(vii) ヌクレオチド塩基の変異、削除または置換が原因で(i)のいずれかの配列と異なり、かつ請求項63〜70のいずれかに記載の結合性パートナーをコードする、または請求項63〜70のいずれかに記載の結合性パートナーの抗体VH領域、抗体VL領域またはCDRのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項72】
請求項71記載のポリヌクレオチドを担持し、かつそのポリヌクレオチドを宿主微生物のゲノムに導入することができる生物学的機能を持つベクター系。
【請求項73】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、以下:
(a) 該対象由来の該体液試料を得ること、
(b) 該試料を
(i) 全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、および
(ii) 請求項63〜70のいずれかに記載の1以上の結合性パートナー、
と接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体、または該1以上の競合体と相互作用するのを可能にすること、および
(c) 該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
該ポリペプチドが請求項22〜35のいずれかに記載されいてる請求項73記載の方法。
【請求項75】
TSH受容体の該1以上の抗原決定基が請求項14〜21のいずれかに記載されている請求項73記載の方法。
【請求項76】
請求項63〜70のいずれかに記載の該1以上の結合パートナーに対する標識化手段が提供されることを含む請求項73〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングする方法であって、以下:
(a) 該対象由来の該体液試料を得ること、
(b) 該試料を
(i) 全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、および
(ii) TSH受容体に対する1以上の結合性メンバー、
と接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合メンバーと相互作用するのを可能にすること、および
(c) 該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得ること、
ただし該1以上の結合性メンバーは、段階(b)の前か後に表面に直接または間接に固定化される、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
該結合性メンバーが請求項63〜70のいずれかに定義された結合性パートナーを含むことを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
該ポリペプチドが請求項22〜35のいずれかに記載されている請求項77記載の方法。
【請求項80】
TSH受容体の該1以上の抗原決定基が請求項14〜21のいずれかに記載されている請求項77記載の方法。
【請求項81】
該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基、または該ポリペプチドに対する標識化手段が提供されることを含む請求項77記載の方法。
【請求項82】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、以下:
(a) 全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、
(b) 請求項63〜70のいずれかに記載の1以上の結合性パートナー、
(c) 該対象由来の該体液試料、該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基、または該ポリペプチド、および該1以上の結合性パートナーを接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基、または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合性パートナーと相互作用するのを可能にする手段、および
(d) 該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項83】
該ポリペプチドが請求項22〜35のいずれかに記載されている請求項82記載のキット。
【請求項84】
TSH受容体の該1以上の抗原決定基が請求項14〜21のいずれかに記載されている請求項82記載のキット。
【請求項85】
請求項63〜70のいずれかに記載の該1以上の結合パートナーに対する標識化手段を含む請求項82記載のキット。
【請求項86】
TSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患に、罹患の疑いがある、感受性がある、罹患中である、または罹患から回復中である対象から採取した体液試料中に存在する、TSH受容体に対する自己抗体をスクリーニングするキットであって、以下:
(a) 全長のTSH受容体、それの1以上の抗原決定基またはTSH受容体の1以上の抗原決定基を含むポリペプチド、
(b) TSH受容体のための1以上の結合性メンバー、
(c) 該対象由来の該体液試料、該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチド、および該1以上の結合性メンバーを接触させ、それによって該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドが、該試料に存在する、TSH受容体に対する自己抗体または該1以上の結合性メンバーと相互作用するのを可能にする手段、
(d) 該1以上の結合性メンバーを直接にまたは間接に表面に固定化し、その後または前に該1以上の結合性メンバーを該対象由来の該体液試料および該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基、または該ポリペプチドと接触させる手段、
および
(e) 該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドと、該試料に存在する該自己抗体との相互作用をモニターし、それにより該試料中にTSH受容体に対する該自己抗体の存在証拠を得る手段、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項87】
該結合性メンバーが請求項63〜70のいずれかに定義の結合性パートナーを包む請求項86記載のキット。
【請求項88】
該ポリペプチドが請求項22〜35のいずれかに記載されている請求項86記載のキット。
【請求項89】
TSH受容体の該1以上の抗原決定基が請求項14〜21のいずれかに記載されている請求項86記載のキット。
【請求項90】
該TSH受容体、該それの1以上の抗原決定基または該ポリペプチドに対する標識化手段を含む請求項86記載のキット。
【請求項91】
対象におけるTSH受容体への免疫反応に伴う自己免疫疾患を治療する方法であって、請求項63〜70のいずれかに定義の特異的結合性パートナーの治療的有効量を該対象に投与すること含む方法。
【請求項92】
請求項63〜70のいずれかに定義の特異的結合性パートナーを、1以上の医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項93】
甲状腺組織またはTSH受容体含有組織を刺激するのに使用される医薬品の製造における請求項63〜70のいずれかに定義の特異的結合性パートナーの使用。
【請求項94】
甲状腺癌治療用医薬品の製造における請求項63〜70のいずれかに定義の特異的結合性パートナーの使用。
【請求項95】
甲状腺組織および/またはTSH受容体含有組織の刺激方法であって、そのような刺激を必要とする患者に、請求項63〜70のいずれかに定義の結合性パートナーの診断的または治療的有効量を投与することを含む方法。
【請求項96】
甲状腺組織および/またはTSH受容体含有組織の刺激に、同時、別々または逐次的に使用するために、請求項63〜70のいずれかに定義の結合性パートナーと甲状腺組織および/またはTSH受容体含有組織を刺激することができる1以上の別の薬剤との併用。
【請求項97】
該1以上の別の薬剤が組替え体ヒトTSHおよび/またはそれの1以上の変異体、類似体、誘導体または断片、またはその断片の変異体、類似体または誘導体を包む請求項96記載の併用。
【請求項98】
該1以上の別の薬剤がTSH受容体への結合とは独立に機能することを特徴とする請求項96記載の併用。

【公開番号】特開2009−278998(P2009−278998A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171358(P2009−171358)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2003−523491(P2003−523491)の分割
【原出願日】平成14年8月21日(2002.8.21)
【出願人】(399031230)アールエスアール リミテッド (3)
【Fターム(参考)】