説明

ツインローラユニット及びこれを用いた屋内消火栓の改修方法

【課題】 既設の折り畳み式の布ホースを用いた屋内消火栓を簡単且つ容易に、然も短時間で安価に保形ホースを用いた易操作性1号消火栓に改修できるようにする。
【解決手段】 ローラ軸1を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラ2と、屋内消火栓の格納箱5の底板5a上に載置される下部架台3と、格納箱5の背板5bに固定したホース掛取付台6へ固定される上部架台4とから成り、前記下部架台3と上部架台4との間でローラ軸1を挿通せしめた一対のガイドローラ2を一定の間隔を置いて並列状に且つ回転可能に支持する構成のツインローラユニットAを用いて、既設の屋内消火栓を改修する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツインローラユニットと、これを用いた屋内消火栓の改修方法に関するものであり、既設の屋内消火栓を一人操作が可能な保形ホースを用いた易操作性1号消火栓に改修する際に用いるツインローラユニットと、これを用いて既設の屋内消火栓を簡単且つ容易に易操作性1号消火栓に転換できるようにした改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋内消火栓としては、従前から図9に示すような形態の屋内消火栓(1号消火栓)が多く利用されている(例えば、特許文献1参照)。この種の屋内消火栓(1号消火栓)は、永い使用実績と優れた実用的効用を具備するものの、火災発生の緊急時に単独操作が出来ないと云う基本的な難点を有している。
【0003】
即ち、緊急時の放水に際しては、先ず一人が格納箱5の扉体(図示省略)を開放し、ホース掛11の先端部を格納箱5の外方へ回動させ、放水ノズル10をホース掛11先端部のノズル掛け12から引き外すと共に、ホース掛11から布ホース13を脱離させ、これを引き伸ばしつつ放水ノズル10の先端を火災地点へ向けて構える。
【0004】
その後、他の一人が消火栓ポンプ起動押釦14を操作して消火栓ポンプ(図示省略)を起動させると共に、開閉弁9を手動開放する。これにより、前記放水ノズル10から放水が開始される。尚、図9に於いて、6はホース掛取付台、15はホース掛11の固定用ボルト、16は表示ランプ、17は警報ベルである。
【0005】
このように、図9の形態の屋内消火栓(1号消火栓)にあっては、少なくとも二人の操作者が居ないと円滑に放水を行うことができないうえ、布ホース13の折れ曲りにより送水障害が生じるなど、多くの問題が存在する。
【0006】
一方、上述のような問題を解決するものとして、図10に示すように保形ホース8を用いた単独操作の可能な易操作性1号消火栓が開発され、実用に供されている。この図10に示す型式の易操作性1号消火栓は、所謂保形ホース8を使用しているために保形ホース8が湾曲状態であっても通水が可能である。
【0007】
そのため、火炎の発生時には、単独で放水ノズル10を筒状のローラ18の間から格納箱5外へ取り出し、放水ノズル10を保持した状態で開閉弁9(ポンプ起動スイッチ付)の開放を行うと共に、保形ホース8を引き出しつつ火炎地点へ近づき、放水ノズル10を開けて放水を行う。このとき、消火栓ポンプは、開閉弁9の開放操作に連動してポンプ起動スイッチ(図示省略)により自動的に起動される。
【0008】
図10の形態の易操作性1号消火栓を用いた消火活動は、通常放水ノズル10の取り出し、開閉弁9の開放(これに連動して消火栓ポンプが起動)、保形ホース8の引き伸ばしの順で行われるが、各機器類の操作は如何なる順序であっても良く、単独で迅速且つ円滑に放水を行うことが可能である。
【0009】
尚、図10において、14は火災報知器の押釦、18は筒状のローラ、19はローラ軸、20はローラ軸連結体である。
又、前記ローラ軸19の下端は、格納箱5の底板5aに、更にローラ軸19の上端は、ローラ軸連結体20を介して格納箱5の背板5bへ夫々固定されており、当該ローラ軸19へ筒状のローラ18を被せることにより、ローラ18が回転可能に支持されている。
【0010】
上述のように、保形ホース8を用いた単独操作が可能な屋内消火栓(以下、易操作性1号消火栓と呼ぶ)は、従前の図9の如き形態の消火屋内栓(1号消火栓)に比較して操作性が極めて高い。そのため、近年従前の屋内消火栓を易操作性1号消火栓に改修する要望が高まりつつあり、現実にも多数の改修工事が実施されて来た。
【0011】
例えば、既設の露出型屋内消火栓の改修に際しては、先ず格納箱5を壁面へ固定する固定用ボルト・ナット(図示省略)を弛めて格納箱5を壁面から取り外すと共に、ホース掛11と格納箱5に溶接止めされているホース掛取付台6を格納箱5の背板5bから取り外す。
【0012】
次に、図10のローラ軸連結体20を格納箱5へ固定するためのボルト孔を格納箱5の背板5bに穿孔し、当該ボルト孔に背板5bの裏側よりローラ軸連結体20の取付用ボルト(図示省略)を挿通させ、このボルト頭部を背板5bへ溶接により固定する。
尚、このとき、格納箱5の壁面への固定用ボルトの挿通孔と前記ローラ軸連結体20の取付用ボルトの挿通孔とが相互に干渉する場合には、前者の格納箱5固定用ボルトの挿通孔の位置を変更し、壁面側に新たな格納箱固定用ボルトの引留アンカーを植設する。
【0013】
その後、ローラ軸連結体20の取付用ボルトの溶接箇所を塗装等により補修し、塗装が乾燥すると、格納箱5を再度壁面へ取り付けると共に、ローラ軸連結体20を取付用ボルトにより格納箱5へ固定する。又、このローラ軸連結体20へローラ軸19及びローラ18を取り付け、最後に所定長さの保形ホース8をローラ18と格納箱5の背板5bとの空間部へ適宜に巻取り収納する。
【0014】
しかし、従前のこの種屋内消火栓の改修方法にあっては、事前の詳細寸法調査、別注保形ホース収納ユニットの製作、格納箱5の取り外し、ホース掛取付台6の取り外し、格納箱5の取り外し跡や現地溶接部の塗装、改造後の格納箱5の再取り付け、ローラ軸連結体20の取り付け等に多くの手数を必要とし、改修費用の引き下げ及び改修工期の短縮を図れないと云う問題がある。
【0015】
又、既設の屋内消火栓にあっては、色々なサイズの格納箱5があり、そのホース収納空間も大きいものや小さいものもあるため、屋内消火栓の改修時に格納箱5のサイズに応じてその都度ローラ18やローラ軸19等を製作する必要があり、多くの手数を必要とすると云う問題がある。
【0016】
更に、壁面埋込型(差込型)屋内消火栓にあっては、格納箱5そのものの壁面からの取り外しが容易でなく、躯体工事も必要となって工期が長くなり、改修工事中に未警戒部分の火災に対応できない状況が発生し、現実には改修を断念する場合が多く生じると云う問題がある。
【0017】
その結果、易操作性1号消火栓に改修したいと云う要望が高いにも拘わらず、これに迅速且つ十分に対応することができず、折り畳み式の布ホースを用いた旧型の屋内消火栓が多数残されていると云う実情にある。
【0018】
【特許文献1】実開平7−34852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、従前の布ホースを用いた従来型の屋内消火栓を保形ホースを用いた易操作性1号消火栓に改修する上での上述の如き問題、即ち、改修に手数が掛かり、改修費の引き下げ及び工期の短縮を図れないうえ、埋設型屋内消火栓では改修自体が困難なケースが多いと云う問題を基本的に解決せんとするものであり、その目的は、露出型又は埋込型の屋内消火栓であっても、迅速且つ容易に、然も安価に易操作性1号消火栓に改修することができるようにしたツインローラユニットと、これを用いた屋内消火栓の改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の請求項1に記載のツインローラユニットは、ローラ軸を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラと、屋内消火栓の格納箱の底板上に載置される下部架台と、格納箱の背板に固定したホース掛取付台へ固定される上部架台とから成り、前記下部架台と上部架台との間でローラ軸を挿通せしめた一対のガイドローラを一定の間隔を置いて並列状に且つ回転可能に支持する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0021】
本発明の請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、各ガイドローラに挿通せしめたローラ軸を夫々上下に分割して下部ローラ軸及び上部ローラ軸とし、前記下部ローラ軸の下端部を下部架台に取り付けると共に、前記上部ローラ軸の上端部を上部架台に取り付けて上部架台及び上部ローラ軸をガイドローラに対して上下方向へスライド自在とし、ツインローラユニットを高さ調整自在な構成としたものである。
【0022】
本発明の請求項3の発明は、請求項2の発明に於いて、上部架台に、格納箱のホース掛取付台に形成したボルト挿通孔に合致する横長のボルト挿通用長孔を形成したものである。
【0023】
本発明の請求項4の発明は、請求項1の発明に於いて、上部架台にローラ軸を挿通せしめたガイドローラの上端部をスライド自在に且つ回転自在に挿入し、当該上部架台をホース掛取付台へ上下位置調整自在に固定可能な構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0024】
本発明の請求項5に記載の屋内消火栓の改修方法は、ホース掛を取り外すことにより、既設の屋内消火栓の格納箱の背板に固定されているホース掛取付台を露出させた後、予め組み立ててユニット化したツインローラユニットを格納箱内に配設し、当該ツインローラユニットの下部架台を格納箱の底板に固定すると共に、ツインローラユニットの上部架台を前記露出せしめたホース掛取付台へ固定し、上部架台と下部架台との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラと格納箱の背板との間に保形ホースの巻取り収納空間を形成する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0025】
本発明の請求項6に記載の屋内消火栓の改修方法は、ホース掛を取り外すことにより、既設の屋内消火栓の格納箱の背板に固定されているホース掛取付台を露出させた後、ツインローラユニットの下部架台、ローラ軸を挿通せしめた一対のガイドローラ及び上部架台を順次格納箱内に配設して格納箱内でツインローラユニットを組み立ててユニット化し、当該ツインローラユニットの下部架台を格納箱の底板に固定すると共に、ツインローラユニットの上部架台を前記露出せしめたホース掛取付台へ固定し、上部架台と下部架台との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラと格納箱の背板との間に保形ホースの巻取り収納空間を形成する構成としたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に於いては、折り畳み式布ホースを用いた既設の屋内消火栓には必ず設けられているホース掛取付台を有効に活用し、当該ホース掛取付台へツインローラユニットを取り付け固定する構成としているため、既設の格納箱を壁面等から取り外しすることなしにツインローラユニットを用いて保形ホースを巻込み収納するための空間部を格納箱内に形成することができ、露出型、埋設型に関係なく、易操作性1号消火栓への改修を迅速且つ簡単に行える。
【0027】
又、本発明に係るツインローラユニットは、ローラ軸を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラと、ローラ軸を挿通せしめたガイドローラの下端部を回転自在に支持する下部架台と、ローラ軸を挿通せしめたガイドローラの上端部を回転自在に支持する上部架台とから成る極めて簡単な構造に形成されており、上部架台を既設の屋内消火栓の格納箱に固定されているホース掛取付台へボルト・ナット用いて固定することにより、極めて簡単に格納箱内へ取り付けすることができる。
更に、本発明に係るツインローラユニットは、スライド自在に構成して高さ調整できるようにしているため、デザインにより格納箱のホース収納空間が大きくなっているものや小さくなっている屋内消火栓であっても、ツインローラユニットのサイズを既設の屋内消火栓の格納箱のサイズに簡単且つ容易に合わせることができ、一つのツインローラユニットを色々なサイズの格納箱に簡単且つ確実に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4は本発明の第1実施形態に係るツインローラユニットAを示し、当該ツインローラユニットAは、折り畳み式布ホースを用いた既設の屋内消火栓を一人操作が可能な保形ホースを用いた易操作性1号消火栓に改修する際に用いるものであり、ローラ軸1を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラ2と、格納箱5の底板5a上に載置され、下部ローラ支持部3aを備えた下部架台3と、格納箱5の背板5bに固定したホース掛取付台6へ固定され、上部ローラ支持部4aを備えた上部架台4等から形成されており、ローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2は、下部架台3の下部ローラ支持部3aと上部架台4の上部ローラ支持部4aとの間で並列状に且つ回転可能に支持されている。
又、このツインローラユニットAは、その高さを調整できるように上下方向に一定の寸法(この例では150mm)だけスライド自在に構成されており、既設の屋内消火栓の格納箱5に取り付ける際に高さ調整されて色々なサイズの格納箱5に取り付け固定できるようになっている。
【0029】
具体的には、前記ローラ軸1は、図1及び図2に示す如く、適宜の長さを有する金属パイプ又は金属棒等により形成されており、下端部分で上下に分割されて下部架台3に取り付けられる下部ローラ軸1aと上部架台4に取り付けられる上部ローラ軸1bとから成る。
又、ガイドローラ2は、適宜の長さを有する金属パイプにより形成されており、ローラ軸1(下部ローラ軸1a及び上部ローラ軸1b)に回転自在に外挿されている。このガイドローラ2の長さ寸法は、前記ローラ軸1の長さ寸法(下部ローラ軸1aと上部ローラ軸1bの合計寸法)より若干小さく選定されている。
【0030】
前記下部架台3は、図1及び図2に示す如く、両端部が下方へL字状に折り曲げられていると共に、後端部が上方へ折り曲げられた長方形状の基板3bと、基板3bの前端部両端に挿通され、溶接により基板3bに固着された一対の短円筒状の下部ローラ支持部3aとから形成されており、下部ローラ支持部3aの内径寸法は、下部ローラ支持部3aに下部ローラ軸1aを挿着できる寸法に選定されている。
又、下部架台3の奥行寸法は、屋内消火栓の格納箱5の内側奥行寸法よりやや小さ目に選定されており、格納箱5の底板5a上に載置した状態で使用に供される。
【0031】
前記上部架台4は、図1及び図2に示す如く、前面板4b、背面板4c、上面板4d、下面板4e及び左右の側面板4fにより長方形状の薄い箱型に形成されており、下面板4eの両端部には上部ローラ軸1bの上端部を挿入するための二つの挿入孔4aが形成されている。各挿入孔4aは、下部架台3の下部ローラ支持部3aに夫々対向する状態で形成されており、この挿入孔4aと上面板4dの挿入孔4aに対向する部分が上部ローラ支持部4aを形成することになる。即ち、上部ローラ軸1bは、その上端部を上部架台4の下面側から下面板4eの挿入孔4aに挿入し、その上端を上面板4dの裏面に溶接することにより上部架台4に固定支持されている。
又、上部架台4の背面板4cには、上部架台4を既設の格納箱5内に設けられているホース掛取付台6へ固定するための固定用ボルト・ナット7のボルト挿通用長孔4gが形成されている。このボルト挿通用長孔4gは、ホース掛取付台6に形成したボルト挿通孔に確実に合致するように横長に形成されている。
【0032】
そして、前記ツインローラユニットAは、組み立ててユニット化したときにその上部架台4及び上部ローラ軸1bが一定の寸法(この例では150mm)だけ上下方向へスライド自在になっており、既設の屋内消火栓の格納箱5に取り付ける際に高さ調整されて色々なサイズの格納箱5に取り付け固定できるようになっている。
即ち、ツインローラユニットAは、下部ローラ軸1aの下端部を下部架台3の短円筒状の下部ローラ支持部3aに挿着して下部架台3に下部ローラ軸1aを対向状に立設すると共に、上部ローラ軸1bの上端部を上部架台4の挿入孔4aに挿入して溶接により上部ローラ軸1bを下部架台3に取り付け固定し、ガイドローラ2を前記上部ローラ軸1b及び下部ローラ軸1aに回転自在に外挿することにより、組み立てられる。このとき、上部架台4及び上部ローラ軸1bは、ガイドローラ2に対して一定の距離だけ上下動できるようになっており、これによってホース掛取付台6と上部架台4との間の高さ位置を調整することができる。
【0033】
次に、上述したツインローラユニットAを用いて図9に示す既設の屋内消火栓(1号消火栓)を易操作性1号消火栓に改修する工法について説明する。
先ず、既設の屋内消火栓の格納箱5の扉体(図示省略)を開放するか若しくは取り外し、ホース掛11から布ホース13を取り除く。その後、ホース掛11の固定用ボルト15を取り外してホース掛11を取り除く。これにより、格納箱5の背板5bに溶接により固定されているホース掛取付台6が露出する。
【0034】
次に、予め組み立ててユニット化したツインローラユニットA(図1及び図に示すもの)を格納箱5内のホース収納空間に配設し、当該ツインローラユニットAの下部架台3を格納箱5の底板5a上の所定位置へ取り付け固定する。尚、下部架台3の固定手段は、下部架台3をリベットにより格納箱5の底板5aに固定しても良く、或いは下部架台3を溶接や嵌め込みにより格納箱5の底板5aに固定するようにしても良い。又、下部架台3を接着剤により格納箱5の底板5aに固定するようにしても良い。
【0035】
その後、上部架台4及びこれに固定した上部ローラ軸1bを上下方向へスライドさせて高さ調整し、上部架台4の背面板4cをホース掛取付台6へ固定用ボルト・ナット7により固定する。これにより、ツインローラユニットAが、図1及び図2に示すように既設の格納箱5内に固定されることになり、上部架台4と下部架台3との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラ2と格納箱5の背板5bとの間に保形ホース8の巻取り収納空間が形成される。尚、ガイドローラ2の下端部は、下部架台3の上面へ載置された状態になっている。
【0036】
最後に、所定長さの保形ホース8をガイドローラ2と格納箱5の背板5bとの間の巻取り収納空間内へ巻き込み収納し、その基端を開閉弁9(ポンプ起動スイッチ付)へ接続すると共に、保形ホース8の先端側に放水ノズル10を接続し、図1に示す如き形態に仕上げる。尚、先に保形ホース8を巻いたままの状態で格納箱5内にセットしておき、この状態でツインローラユニットAを格納箱5内に収納して取り付け固定するようにしても良い。
【0037】
本発明は、既設の屋内消火栓に設けられているホース掛取付台6を有効に活用し、当該ホース掛取付台6へ、予めユニット化したツインローラユニットAを取り付け固定するようにしているため、既設の格納箱5を壁面等から取り外しすることなしにツインローラユニットAを用いて保形ホース8を巻込み収納するための空間部を格納箱5内に形成することができ、露出型屋内消火栓、埋込型屋内消火栓に関係なく、既設の屋内消火栓を易操作性1号消火栓へ迅速且つ簡単に改修することができる。
又、本発明は、高さ調整自在に構成したツインローラユニットAを使用しているため、色々なサイズの格納箱5にツインローラユニットAを取り付けることができ、格納箱5のサイズに関係なく、易操作性1号消火栓への改修を簡単且つ良好に行える。然も、ツインローラユニットAを使用すると、1号消火栓の格納箱5と易操作性1号消火栓の格納箱5が兼用できることになり、生産する格納箱5が一種類で済むと云う生産メリットが生じる。
【0038】
図5及び図6は本発明の第2実施形態に係るツインローラユニットAを示し、当該ツインローラユニットAは、ローラ軸1を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラ2と、下部ローラ支持部3aを備えた下部架台3と、上部ローラ支持部4aを備えた上部架台4等から形成されており、ローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2は、下部架台3の下部ローラ支持部3aと上部架台4の上部ローラ支持部4aとの間に回転可能に支持されている。
【0039】
具体的には、前記ローラ軸1は、適宜の長さを有する金属パイプ又は金属棒等により形成されており、又、ガイドローラ2は、適宜の長さを有する金属パイプにより形成されており、ローラ軸1に回転自在に外挿されている。尚、ガイドローラ2の長さ寸法は、ローラ軸1の長さ寸法より若干小さく選定されている。
【0040】
前記下部架台3は、長方形状の基板3bと、基板3bの前端部両端に溶接により固定した一対の短円筒状の下部ローラ支持部3aとから形成されており、下部ローラ支持部3aの内径寸法は、ガイドローラ2の外径寸法よりやや大き目に選定されている。
又、基板3bの奥行寸法は、屋内消火栓の格納箱5の内側奥行寸法よりやや小さ目に選定されており、格納箱5の底面上に載置した状態で使用に供される。
【0041】
前記上部架台4は、逆L状に折り曲げした支持板4hと、一対の短円筒状の上部ローラ支持部4aとから形成されており、支持板4hの水平状突出片4h′の前端部の下面側に、上部ローラ支持部4aが前記下部ローラ支持部3aと対向するように溶接により固定されている。この上部ローラ支持部4aの内径寸法は、ローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2の上端部をスライド自在に且つ回転自在に挿入できるように選定されている。
又、支持板4hの垂直状突出片4h″には、上部架台4を既設の格納箱5内に取り付けられているホース掛取付台6へ固定するための固定用ボルト・ナット7のボルト挿通用長孔4gが設けられている。このボルト挿通用長孔4gは、ホース掛取付台6に形成したボルト挿通孔に合致し易いように縦長に形成されている。
【0042】
尚、前記下部架台3と上部架台4との間の距離は、上部ローラ支持部4aの高さ寸法の略1/2に相当する距離だけ上下方向に微調整することができ、これによってホース掛取付台6と上部架台4の垂直状突出片4h″との間の高さ位置を調整する。
【0043】
又、ホース掛取付台6のボルト挿通孔と垂直状突出片4h″のボルト挿通用長孔4gとの位置が合致しない場合には、垂直状突出片4h″側に現場合せで別途にボルト挿通用長孔4gに代るボルト挿通孔を穿設する。
【0044】
尚、前記下部架台3及び上部架台4の構成は、所定の間隔を置いて2本のガイドローラ2を回転自在に支持できると共に、上部架台4の取り付け高さを調整することにより、上・下両架台間の高さ寸法を10〜20mm程度変更可能なものであれば、如何なるものであっても良い。
【0045】
図7は本発明の第3実施形態に係るツインローラユニットAを示し、当該ツインローラユニットAは、ローラ軸1を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラ2と、下部ローラ支持部3aを備えた下部架台3と、上部ローラ支持部4aを備えた上部架台4等から形成されており、ローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2は、下部架台3の下部ローラ支持部3aと上部架台4の上部ローラ支持部4aとの間に回転可能に支持されている。このツインローラユニットAは、第2実施形態に係るツインローラユニットAと同様構造に構成されており、ローラ軸1及びガイドローラ2が第2実施形態に係るツインローラユニットAのローラ軸1及びガイドローラ2と同じに形成され、下部架台3及び上部架台4の形状及び構造を変えたものである。
【0046】
即ち、前記下部架台3は、長手方向の端部を夫々異なる方向(上・下方向)へ折り曲げした四角状の基板3bより形成されており、その前端部近傍にローラ軸1及びこれに被せたガイドローラ2の下端部が回転自在に挿入される二つの挿通孔3aが形成されている。この二つの挿通孔3aが下部ローラ支持部3aを形成することになる。
【0047】
又、前記上部架台4は、長方形状の薄い箱型に形成されており、その下面側の両側前端部にローラ軸1及びこれに被せたガイドローラ2の上端部がスライド自在に且つ回転自在に挿入される二つの挿入孔4aが形成されている。この挿入孔4aがガイドローラ2の上端部をスライド自在に且つ回転自在に支持する上部ローラ支持部4aを形成することになる。更に、上部架台4の背面板4cには、当該背面板4cをホース掛取付台6へ固定するための縦長のボルト挿通用長孔4gが穿設されている。
【0048】
図8は本発明の第4実施形態に係るツインローラユニットAを示し、当該ツインローラユニットAは、ローラ軸1を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラ2と、下部ローラ支持部3aを備えた下部架台3と、上部ローラ支持部4aを備えた上部架台4等から形成されており、ローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2は、下部架台3の下部ローラ支持部3aと上部架台4の上部ローラ支持部4aとの間に回転可能に支持されている。このツインローラユニットAは、第2実施形態に係るツインローラユニットAと同様構造に構成されており、ローラ軸1及びガイドローラ2が第2実施形態に係るツインローラユニットAのローラ軸1及びガイドローラ2と同じに形成され、下部架台3及び上部架台4の形状及び構造を変えたものである。
【0049】
即ち、前記下部架台3は、並列状に配置した上面が開放された一対の直方体状の下部支持部材3cと、両下部支持部材3cを並列状に連結する連結板3dと、両下部支持部材3cの前端部側に挿着した仕切板3eとから形成されており、当該仕切板3eにより両下部支持部材3cの前端部側にローラ軸1及びガイドローラ2を保持するための下部ローラ支持部3aを形成した構成とされている。
【0050】
同様に、前記上部架台4の方も、並列状に配置した下面が開放された一対の直方体状の上部支持部材4iと、両上部支持部材4iを並列状に連結する支持板4jと、両上部支持部材4iの前端部側に挿着した仕切板4kとから形成されており、当該仕切板4kにより両上部支持部材4iの前端部側にローラ軸1及びガイドローラ2をスライド自在に且つ回転自在に支持するための上部ローラ支持部4aを形成した構成とされている。
【0051】
尚、上部架台4の支持板4jには、当該支持板4jをホース掛取付台6へ固定するための縦長のボルト挿通用長孔4gが穿設されている。
【0052】
次に、上述した第2乃至第4実施形態に係るツインローラユニットAを用いて図9に示す既設の屋内消火栓(1号消火栓)を易操作性1号消火栓に改修する工法について説明する。
先ず、既設の屋内消火栓の格納箱5の扉体(図示省略)を開放するか若しくは取り外し、ホース掛11から布ホース13を取り除く。その後、ホース掛11の固定用ボルト15を取り外してホース掛11を取り除く。これにより、格納箱5の背板5bに溶接により固定されているホース掛取付台6が露出する。
【0053】
次に、下部架台3を格納箱5の底板5a上の所定位置へ嵌め込み固定する。尚、下部架台3の固定方法は、嵌め込み固定以外に溶接や接着剤等を利用することも可能である。
【0054】
その後、下部架台3の両下部ローラ支持部3a内へローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2の下端部を挿入し、下部架台3にローラ軸1を挿通せしめたガイドローラ2を回転自在に立設する。更に、ローラ軸1及びガイドローラ2の上端部を上部架台4の上部ローラ支持部4a内へ挿入し、上部架台4へローラ軸1及びガイドローラ2を回転可能に支持させると共に、上部架台4の支持板4h,4j(又は背面板4c)をホース掛取付台6へ固定用ボルト・ナット7により固定する。これにより、ツインローラユニットAが、既設の格納箱5内に固定されることになり、上部架台4と下部架台3との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラ2と格納箱5の背板5bとの間に保形ホース8の巻取り収納空間が形成される。
【0055】
尚、上部架台4をホース掛取付台6へ固定するに際しては、ガイドローラ2が回転自在に保持されるよう上部架台4の高さ位置を調整する必要があることは勿論であり、万一ボルト挿通用長孔4gがホース掛取付台6側のボルト挿通孔と合致しない場合には、支持板4h,4j(又は背面板4c)に現場合せでボルト挿通用長孔4gを形成する。
【0056】
最後に、所定長さの保形ホース8をガイドローラ2と格納箱5の背板5bとの間の空間内へ巻き込み収納し、その基端部を開閉弁9(ポンプ起動用のスイッチ付)へ接続すると共に、保形ホース8の先端側に放水ノズル10を接続する。尚、先に保形ホース8を巻いたままの状態で格納箱5内にセットしておき、この状態でツインローラユニットAを格納箱5内で順次組み立ててユニット化するようにしても良い。
【0057】
上記実施形態に於いては、ツインローラユニットAの下部架台3、ローラ軸1を挿通せしめた一対のガイドローラ2及び上部架台4を順次格納箱5内に配設して格納箱5内でツインローラユニットAを組み立ててユニット化し、当該ツインローラユニットAの下部架台3を格納箱5の底板に固定すると共に、ツインローラユニットAの上部架台4を格納箱5のホース掛取付台6へ固定するようにしたが、他の実施形態に於いては、予め組み立ててユニット化したツインローラユニットAを格納箱5内に配設し、当該ツインローラユニットAの下部架台3を格納箱5の底板5aに固定すると共に、ツインローラユニットAの上部架台4を前記露出せしめたホース掛取付台6へ固定するうにしても良い。
【0058】
上記実施形態に於いては、ガイドローラ2を金属パイプにより形成するようにしたが、他の実施形態に於いては、ガイドローラ2を合成樹脂パイプにより形成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、主として既設の屋内消火栓の改修に利用されるものであるが、屋外消火栓の改修にも使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係るツインローラユニットの正面図である。
【図2】図1に示すツインローラユニットの縦断側面図である。
【図3】図1に示すツインローラユニットを格納箱内に取り付け固定した屋内消火栓の扉体を取り外した状態の正面図である。
【図4】図3の縦断側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るツインローラユニットの縦断正面図である。
【図6】図5に示すツインローラユニットの縦断側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るツインローラユニットの斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るツインローラユニットの斜視図である。
【図9】従前の折り畳み式布ホースを用いた屋内消火栓の扉体を取り外した状態の正面図である。
【図10】従前の保形ホースを用いた易操作性1号消火栓の扉体を取り外した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0061】
Aはツインローラユニット、1はローラ軸、1aは下部ローラ軸、1bは上部ローラ軸、2はガイドローラ、3は下部架台、4は上部架台、4gはボルト挿通用長孔、5は格納箱、5aは底板、5bは背板、6はホース掛取付台、8は保形ホース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ軸を挿通せしめた回転自在な一対の筒状のガイドローラと、屋内消火栓の格納箱の底板上に載置される下部架台と、格納箱の背板に固定したホース掛取付台へ固定される上部架台とから成り、前記下部架台と上部架台との間でローラ軸を挿通せしめた一対のガイドローラを一定の間隔を置いて並列状に且つ回転可能に支持する構成としたことを特徴とするツインローラユニット。
【請求項2】
各ガイドローラに挿通せしめたローラ軸を夫々上下に分割して下部ローラ軸及び上部ローラ軸とし、前記下部ローラ軸の下端部を下部架台に取り付けると共に、前記上部ローラ軸の上端部を上部架台に取り付けて上部架台及び上部ローラ軸をガイドローラに対して上下方向へスライド自在とし、ツインローラユニットを高さ調整自在な構成としたことを特徴とする請求項1に記載のツインローラユニット。
【請求項3】
上部架台に、格納箱のホース掛取付台に形成したボルト挿通孔に合致する横長のボルト挿通用長孔を形成したことを特徴とする請求項2に記載のツインローラユニット。
【請求項4】
上部架台にローラ軸を挿通せしめたガイドローラの上端部をスライド自在に且つ回転自在に挿入し、当該上部架台をホース掛取付台へ上下位置調整自在に固定可能な構成としたことを特徴とする請求項1に記載のツインローラユニット。
【請求項5】
ホース掛を取り外すことにより、既設の屋内消火栓の格納箱の背板に固定されているホース掛取付台を露出させた後、予め組み立ててユニット化したツインローラユニットを格納箱内に配設し、当該ツインローラユニットの下部架台を格納箱の底板に固定すると共に、ツインローラユニットの上部架台を前記露出せしめたホース掛取付台へ固定し、上部架台と下部架台との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラと格納箱の背板との間に保形ホースの巻取り収納空間を形成する構成としたことを特徴とするツインローラユニットを用いた屋内消火栓の改修方法。
【請求項6】
ホース掛を取り外すことにより、既設の屋内消火栓の格納箱の背板に固定されているホース掛取付台を露出させた後、ツインローラユニットの下部架台、ローラ軸を挿通せしめた一対のガイドローラ及び上部架台を順次格納箱内に配設して格納箱内でツインローラユニットを組み立ててユニット化し、当該ツインローラユニットの下部架台を格納箱の底板に固定すると共に、ツインローラユニットの上部架台を前記露出せしめたホース掛取付台へ固定し、上部架台と下部架台との間で回転自在に支持された並列状のガイドローラと格納箱の背板との間に保形ホースの巻取り収納空間を形成する構成としたことを特徴とするツインローラユニットを用いた屋内消火栓の改修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−223447(P2006−223447A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39057(P2005−39057)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(390031554)株式会社横井製作所 (9)
【Fターム(参考)】